説明

座標位置検出装置及び座標位置検出方法

【課題】ティーチング作業時に、アーム取付体から加工ヘッドを取り外すことなく、より簡単な構成で、レーザ溶接点等のターゲットの座標位置を検出することが可能とする。
【解決手段】座標位置検出装置は、揺動自在で、それぞれのラインレーザ光22a〜22cの平面が互いに平行にならないように設置された少なくとも3つのスリットレーザ照射器20a〜20cと、各スリットレーザ照射器20a〜20cの揺動角度を検出する揺動角度検出手段(ロータリーエンコーダ30a〜30c)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワークに対するレーザ加工に先立ち行われるティーチング作業において、レーザ溶接点等のターゲットの座標位置を検出するための座標位置検出装置及び座標位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークに対するレーザ加工に先立ち、該ワークにおけるレーザ溶接点等のターゲットの座標位置を算出し、算出した前記ターゲットの座標位置をティーチングデータとするティーチィング作業を行い、次に、実際のレーザ加工において、該ティーチングデータに基づいて、リモートレーザ照射器等の加工ヘッドから前記ワークにレーザ光を照射して所定のレーザ加工を行うことが広く行われている。
【0003】
特許文献1には、ティーチング作業時に、ロボットのアームから加工ヘッドを取り外した後に検知装置を装着し、該検知装置内の4つのレーザ照射器から出力された直線状のレーザ光を4個のプリズムによりワークの上方で一点に交差させ、該ワークの表面に前記一点に交差した4本のレーザ光を照射スポットとしてそれぞれ照射させ、さらに、前記各照射スポットを含む前記ワークの表面を撮像装置にて撮像し、その映像を表示器で表示させることが提案されている。
【0004】
この場合、前記表示器の画面上には、前記各照射スポットと、基準線としての十字線及び該十字線の交点を中心とする基準円とが表示され、前記各照射スポットが前記基準線と前記基準円との各交点に合致した場合に、その後のレーザ加工において、前記交点を通過するように、加工ヘッドからレーザ光をワークに照射することで、該レーザ加工用のレーザ光の光軸が適正に保たれる。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−259409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際上、複数のレーザ光を一点に交差させて、当該一点の座標位置を特定することは困難である。例えば、2本の直線状のレーザ光を一点に交差させる場合に、ねじれの位置にあれば、交差することはない。
【0007】
そこで、(1)1本のレーザ光が通過する二点の座標を求めるか、あるいは、(2)1本のレーザ光が通過する一点と該一点及び前記レーザ光の成す角度とを求めることにより、該レーザ光の示す直線そのものを特定することが考えられる。しかしながら、(1)の場合には、一方の点を固定(特定)しても、他方の点の座標成分(3成分)を任意のものとしなければならないので、1本の直線(レーザ光)に対して3自由度必要となる。また、(2)の場合には、一点を固定しても、角度については2成分の合計4自由度を持たせる必要がある。
【0008】
従って、特許文献1のような、4本の直線状のレーザ光をワークの上方で一点に交差させる場合では、上記のように、該一点の位置を特定することは困難である。また、前記4本の直線状のレーザ光が一点に交差するように該各レーザ光の照射を正確に制御する必要がある等、検知装置の構成が複雑化する。
【0009】
さらに、特許文献1の技術では、ティーチング作業時に、アーム取付体から加工ヘッドを取り外して検知装置を取り付け、上記のティーチング作業を行い、該ティーチング作業後には、前記検知装置を取り外して前記アーム取付体に加工ヘッドを再度装着しなければならないので、作業者の負担が大きくなる。
【0010】
この発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、ティーチング作業時に、アーム取付体から加工ヘッドを取り外すことなく、より簡単な構成で、レーザ溶接点等のターゲットの座標位置を検出することが可能となる座標位置検出装置及び座標位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る座標位置検出装置は、揺動自在で、それぞれのスリットレーザ光の平面が互いに平行にならないように設置された少なくとも3つのスリットレーザ照射器と、前記各スリットレーザ照射器の揺動角度を検出する揺動角度検出手段とを有することを特徴としている。
【0012】
また、この発明に係る座標位置検出方法は、スリットレーザ光の平面が互いに平行にならないように少なくとも3つのスリットレーザ照射器を揺動して、該各スリットレーザ照射器から前記スリットレーザ光をそれぞれ照射する第1工程と、前記揺動角度検出手段により前記各スリットレーザ照射器の揺動角度を検出する第2工程とを含むことを特徴としている。
【0013】
これらの発明によれば、スリットレーザ照射器が揺動自在で且つ各スリットレーザ光の平面が互いに平行ではないので、各スリットレーザ光の平面の交点は確実に一点のみとなり、ティーチング作業時に、該交点をレーザ溶接点等のターゲットに容易に一致させることが可能となる。従って、前記ターゲットを前記交点と一致させることで、前記ターゲットの座標位置を確実に特定することができる。
【0014】
これにより、特許文献1の技術と比較して、前記ティーチング作業時には、アーム取付体から加工ヘッドを取り外すことなく、より簡単に、前記ターゲットの座標位置を検出することが可能となり、リモートレーザ溶接等の各種のレーザ加工に対するティーチング作業に、これらの発明を容易に適用することができる。
【0015】
また、スリットレーザ光を用いているので、ワークに対して該スリットレーザ光が直交していない(面直でない)場合には、各スリットレーザ光の照射により前記ワークの表面に形成される直線の形状は、歪んで見えることになる。従って、前記ワークに対して前記各スリットレーザ光が面直であるか否かを目視で容易に判断することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、スリットレーザ照射器が揺動自在で且つ各スリットレーザ光の平面が互いに平行ではないので、各スリットレーザ光の平面の交点は確実に一点のみとなり、ティーチング作業時に、該交点をレーザ溶接点等のターゲットに容易に一致させることが可能となる。従って、前記ターゲットを前記交点と一致させることで、前記ターゲットの座標位置を確実に特定することができる。
【0017】
これにより、特許文献1の技術と比較して、前記ティーチング作業時には、アーム取付体から加工ヘッドを取り外すことなく、より簡単に、前記ターゲットの座標位置を検出することが可能となり、リモートレーザ溶接等の各種のレーザ加工に対するティーチング作業に、この発明を容易に適用することができる。
【0018】
また、スリットレーザ光を用いているので、ワークに対して該スリットレーザ光が直交していない(面直でない)場合には、各スリットレーザ光の照射により前記ワークの表面に形成される直線の形状は、歪んで見えることになる。従って、前記ワークに対して前記各スリットレーザ光が面直であるか否かを目視で容易に判断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明に係る座標位置検出装置について、座標位置検出方法との関係で好適な実施形態を、図1〜図5Bを参照しながら説明する。
【0020】
図1は、この発明の実施形態に係る座標位置検出装置40(図2参照)を構成するスリットレーザ照射器20a〜20cの配置を示す斜視図である。
【0021】
図1に示すように、図示しない支持部材に支持されたテーブル10の底面(図1の手前側の表面)には、3つの固定部材12a〜12cを介してサーボモータ14a〜14cがそれぞれ配置されている。各サーボモータ14a〜14cの回転軸16a〜16cの先端には、スリットレーザ照射器20a〜20cが取り付けられ、サーボモータ14a〜14cの駆動作用下に回転軸16a〜16cが軸方向を中心としてそれぞれ回転することにより、スリットレーザ照射器20a〜20cは前記軸方向を中心としてそれぞれ揺動する。
【0022】
また、スリットレーザ照射器20a〜20cは、光軸18a〜18cを中心に扇状に拡開するラインレーザ光(扇状の平面を有するスリットレーザ光)22a〜22cをそれぞれ照射する。この場合、ラインレーザ光22a〜22cの平面(の法線)が互いに平行にならないように、各スリットレーザ照射器20a〜20cが、テーブル10に形成された孔部24の下方に向けてラインレーザ光22a〜22cをそれぞれ照射すると、ラインレーザ光22a〜22cは互いに交差して、1つの交点26を形成する。すなわち、交点26は、ラインレーザ光22a〜22cがそれぞれ形成する3つの平面(扇状に拡開する略三角形状の3つの平面)が交差して形成される一点である。
【0023】
なお、テーブル10の下方に図示しないワークが配置されている場合に、ラインレーザ光22a〜22cの照射により前記ワークの表面には直線25a〜25c(図1において破線で図示)が形成され、該直線25a〜25cの交差する箇所が交点26となる。
【0024】
ここで、ラインレーザ光22a〜22cの交差によって1つの交点26のみ形成され、該交点26の座標位置が特定できることについて、図4A〜図4Cを参照しながら説明する。
【0025】
3次元空間において任意の一点(交点26)を特定するためには、3次元空間におけるx、y、zの3成分の自由度を固定する(自由度をなくす)必要がある。
【0026】
例えば、図4Aに示すように、3次元空間の任意の平面60a(ラインレーザ光22aを模擬した平面)は、2つの自由度を有し、一方で、直線62は、1つの自由度を有しているので、互いに平行ではない平面60aと直線62とが交差して、交点64が形成された場合に、該交点64は、その自由度をなくすことができる。すなわち、交点64の座標位置を特定することができる。
【0027】
一方、図4Bに示すように、3次元空間で互いに平行ではない2つの平面60a、60b(ラインレーザ光22a、22bを模擬した平面)を交差させると直線66が形成されるが、この場合、該直線66は、1つの自由度を有する。
【0028】
次に、図4Cに示すように、3次元空間で互いに平行ではない3つの平面60a〜60c(ラインレーザ光22a〜22cを模擬した平面)を交差させれば、交差した箇所に1つの交点68が形成される。すなわち、自由度のない該交点68について、その座標位置を特定することが可能となる。
【0029】
従って、図4Cのように、互いに平行ではない3つの平面60a〜60cが交差することにより形成された1つの交点68は、互いに平面(の法線)が平行ではない3つのラインレーザ光22a〜22cが交差することにより形成された1つの交点26(図1参照)に対応している。そのため、自由度が固定された交点26に対して、後述する処理部52での座標位置の算出処理が可能となる。
【0030】
図1に戻り、サーボモータ14a〜14cは、回転軸16a〜16cを軸方向を中心に回転させるモータ28a〜28cと、該モータ28a〜28cに取り付けられ、各回転軸16a〜16cの回転量に応じたスリットレーザ照射器20a〜20cの揺動角度を出力するロータリーエンコーダ30a〜30cとを備える。
【0031】
なお、図2に示すように、テーブル10の上面には、支持部材32を介して加工ヘッド34が配置されている。ラインレーザ光22a〜22cの照射により交点26を形成するティーチング作業の完了後、加工ヘッド34は、孔部24を介して交点26にレーザ光38を照射することにより、前記ワークに対するレーザ加工を行うことが可能である。
【0032】
図3は、この実施形態に係る座標位置検出装置40の概略ブロック図である。
【0033】
この座標位置検出装置40は、前記レーザ加工に先立って行われる前記ティーチング作業において、レーザ溶接点等のターゲット(交点26)の座標位置を検出するための装置であり、前述したテーブル10、サーボモータ14a〜14c及びスリットレーザ照射器20a〜20c(図1参照)に加え、ティーチング作業を実行するコンピュータから構成されるティーチング装置42を有する。
【0034】
ティーチング装置42は、コンピュータ本体としての制御手段44と、マウスやキーボード等の入力手段46と、コンピュータ本体内の記憶装置又は外部記憶装置としての記憶手段48と、ディスプレイ又はプリンタ等の出力手段50とから構成される。また、制御手段44は、ターゲット(交点26)の座標位置の算出処理を実行する処理部(算出処理手段)52を有する。
【0035】
次に、座標位置検出装置40の動作(座標位置検出方法)について、図1〜図5Bを参照しながら説明する。
【0036】
ここでは、図1の交点26からテーブル10の底面に向かう方向をz軸とし、テーブル10の底面に沿った方向をx軸及びy軸とする。
【0037】
座標位置検出装置40は、ティーチング作業の際、下記の第1の作業又は第2の作業を行う。
【0038】
先ず、第1の作業について説明する。
【0039】
第1の作業において、先ず、作業者は、入力手段46を操作してターゲットの座標位置(i、j、k)や、スリットレーザ照射器20a〜20c(における回転軸16a〜16cの取付箇所)の座標位置(x1、y1、z1)〜(x3、y3、z3)を入力する。
【0040】
次に、処理部52は、座標位置(i、j、k)、(x1、y1、z1)〜(x3、y3、z3)に基づいて、スリットレーザ照射器20a〜20cの揺動角度φ1〜φ3を算出する。
【0041】
図5A及び図5Bは、ターゲット(交点26)と、スリットレーザ照射器20a〜20c(における回転軸16a〜16cの取付箇所)を示す点70a〜70cとの位置関係を示す模式説明図である。なお、図5A及び図5Bにおいて、リモートレーザ溶接等のレーザ加工におけるワークの加工エリアの中心位置を、原点Oとする。
【0042】
図1及び図5Aに示すように、スリットレーザ照射器20a、20bは、x軸に平行な回転軸16a、16bを中心にそれぞれ回転(揺動)する。従って、スリットレーザ照射器20a、20bの揺動角度φ1、φ2は、y軸の正方向を0°としたときに回転軸16a、16bを中心としてスリットレーザ照射器20a、20bがそれぞれ回転(揺動)したときの角度をいう。
【0043】
また、図1及び図5Bに示すように、スリットレーザ照射器20cは、y軸に平行な回転軸16cを中心に回転(揺動)する。従って、スリットレーザ照射器20cの揺動角度φ3は、x軸の正方向を0°としたときに回転軸16cを中心としてスリットレーザ照射器20cが回転(揺動)したときの角度をいう。
【0044】
さらに、原点Oと点70a、70bとをそれぞれ結ぶ直線と、y軸との成す角度をそれぞれθ1、θ2とし、一方で、原点Oと点70cとを結ぶ直線と、x軸と点70cとの成す角度をθ3とする。
【0045】
ここで、処理部52は、下記の(1)式〜(6)式を用いて、座標位置(i、j、k)、(x1、y1、z1)〜(x3、y3、z3)からスリットレーザ照射器20a〜20cの揺動角度φ1〜φ3や角度θ1〜θ3を算出する。
θ1=cos-1{y1/(y12+z121/2} (1)
θ2=cos-1{y2/(y22+z221/2} (2)
θ3=cos-1{y3/(x32+z321/2} (3)
cos(φ1−θ1)={y1×(y1−j)+z1×(z1−k)}
/[(y12+z12)×{(y1−j)2
+(z1−k)2}]1/2 (4)
cos(φ2−θ2)={y2×(y2−j)+z2×(z2−k)}
/[(y22+z22)×{(y2−j)2
+(z2−k)2}]1/2 (5)
cos(φ3−θ3)={x3×(x3−i)+z3×(z3−k)}
/[(x32+z32)×{(x3−i)2
+(z3−k)2}]1/2 (6)
【0046】
制御手段44は、処理部52が算出した揺動角度φ1〜φ3に基づく制御信号を生成してモータ28a〜28cに出力すると共に、ラインレーザ光22a〜22cの照射を指示するための指示信号を生成してスリットレーザ照射器20a〜20cに出力する。
【0047】
これにより、モータ28a〜28cは、制御信号に基づいて駆動し、この結果、回転軸16a〜16cは、その軸方向を中心として揺動角度φ1〜φ3だけ回転するので、スリットレーザ照射器20a〜20cは、揺動角度φ1〜φ3だけ揺動する。一方、スリットレーザ照射器20a〜20cは、指示信号に基づいて、光軸18a〜18cを中心に、扇状に拡開し且つ互いに平行ではないラインレーザ光22a〜22cをそれぞれ照射し、ラインレーザ光22a〜22cは、孔部24の下方で互いに交差して、ワークの表面上に1つの交点26を形成する(第1の工程)。そのため、作業者は、ラインレーザ光22a〜22cの交差により形成される交点26と、ワークの表面のターゲットとが一致しているか否かを確認することができる。また、ロータリーエンコーダ30a〜30cは、回転軸16a〜16cの回転量(揺動角度)を検出して制御手段44に出力する(第2の工程)。
【0048】
なお、出力手段50は、入力手段46から制御手段44に出力された座標位置(i、j、k)、(x1、y1、z1)〜(x3、y3、z3)や、処理部52が算出した揺動角度φ1〜φ3及び角度θ1〜θ3を、ディスプレイにより画面表示し、あるいは、プリンタによりプリントアウトする。
【0049】
次に、第2の作業について説明する。
【0050】
第2の作業において、先ず、作業者は、入力手段46を操作してスリットレーザ照射器20a〜20cの座標位置(x1、y1、z1)〜(x3、y3、z3)を入力する。
【0051】
次に、制御手段44は、制御信号を生成してモータ28a〜28cに出力すると共に、指示信号を生成してスリットレーザ照射器20a〜20cに出力する。これにより、モータ28a〜28cは、制御信号に基づいて駆動し、回転軸16a〜16cは、その軸方向を中心として回転することで、スリットレーザ照射器20a〜20cを揺動させる。そして、スリットレーザ照射器20a〜20cは、指示信号に基づいて、ラインレーザ光22a〜22cの照射を開始する(第1の工程)。一方、ロータリーエンコーダ30a〜30cは、回転軸16a〜16cの回転量(揺動角度)を検出して制御手段44に出力する(第2の工程)。
【0052】
作業者は、スリットレーザ照射器20a〜20cの揺動に起因したラインレーザ光22a〜22cの交差により形成された交点26と、ワークの表面のターゲットとが一致していることを確認したときに、入力手段46に対してスリットレーザ照射器20a〜20cの揺動を停止させるための入力操作を行い、制御手段44は、前記入力操作に基づいて、前記制御信号及び前記指示信号の出力を停止すると共に、現時点でロータリーエンコーダ30a〜30cから入力されている揺動角度を、ターゲットと交点26とが一致したときの揺動角度φ1〜φ3とみなして処理部52に出力する。
【0053】
処理部52は、揺動角度φ1〜φ3及び座標位置(x1、y1、z1)〜(x3、y3、z3)を下記の(7)式〜(9)式に代入して交点26の座標位置(i、j、k)を算出し、算出した交点26の座標位置(i、j、k)をターゲットの座標位置、すなわち、ティーチングデータとして記憶手段48に記憶する。
j=(y2×tan2φ1−y2×tan2φ2)
−tanφ1×tanφ2×|y1−y2| (7)
k=z−|j−y2|×|tanφ2| (8)
i=x3−{(z3−k)/tanφ3} (9)
【0054】
なお、第2の作業においても、出力手段50は、入力手段46から制御手段44に出力された座標位置(x1、y1、z1)〜(x3、y3、z3)や、揺動角度φ1〜φ3や、処理部52が算出した座標位置(i、j、k)を、ディスプレイにより画面表示し、あるいは、プリンタによりプリントアウトする。
【0055】
以上説明したように、この実施形態に係る座標位置検出装置40及び座標位置検出方法によれば、スリットレーザ照射器20a〜20cが揺動自在で且つ各ラインレーザ光22a〜22cの平面(の法線)が互いに平行ではないので、各ラインレーザ光22a〜22cの平面の交点26は確実に一点のみとなり、該交点26がレーザ溶接点等のターゲットとなる。従って、処理部52により、各揺動角度φ1〜φ3に基づいて交点26の座標位置(i、j、k)を算出すれば、該交点26の座標位置(i、j、k)がターゲットの座標位置となる。
【0056】
これにより、特許文献1の技術と比較して、ティーチング作業時には、アーム取付体から加工ヘッドを取り外すことなく、より簡単に、ターゲットの座標位置を検出することができる。従って、リモートレーザ溶接等の各種のレーザ加工に対するティーチング作業に、この実施形態を容易に適用することが可能となる。
【0057】
また、ラインレーザ光22a〜22cを用いているので、ワークに対して該ラインレーザ光22a〜22cが直交していない(面直でない)場合には、各ラインレーザ光22a〜22cの照射によりワークの表面に形成される直線25a〜25cの形状は、歪んで見えることになる。従って、ワークに対して各ラインレーザ光22a〜22cが面直であるか否かを目視で容易に判断することが可能となる。
【0058】
また、第1の作業によるティーチング作業を行うことにより、交点26とターゲットとが一致するか否かを容易に確認することができる。一方、第2の作業によるティーチング作業を行えば、該ティーチング作業を効率よく行うことができる。
【0059】
さらに、テーブル10と加工ヘッド34とを一体的なユニットとして構成し、ティーチング作業の際に、ロボットのアームの動作により前記ユニットをワーク近傍にまで移動させた後に、上記の第1の作業又は第2の作業を行うことで、該加工ヘッド34を移動させることなくティーチング作業を行うことが可能になると共に、該ティーチング作業後は、ティーチングデータを用いて、直ちにワークに対してリモートレーザ溶接等のレーザ加工を行うことができる。勿論、テーブル10と加工ヘッド34とを別体とし、ティーチング作業の際に、ロボットのアームの動作によりテーブル10及び加工ヘッド34をそれぞれワーク近傍に移動させても、上述した効果が得られる。
【0060】
なお、この実施形態は、上述した説明に限定されるものではなく、下記の構成に自由に変更することも可能である。
【0061】
座標位置検出装置40が自動的にスリットレーザ照射器20a〜20cを揺動させると共に、揺動角度φ1〜φ3を検出する上述の構成に代えて、例えば、出力手段50がディスプレイによる画面表示によって揺動角度φ1〜φ3を表示し、作業者が画面表示の内容を見て、該揺動角度φ1〜φ3だけスリットレーザ照射器20a〜20cを手動で揺動させ、揺動後のスリットレーザ照射器20a〜20cの揺動角度φ1〜φ3を分度器により計測し、計測した揺動角度φ1〜φ3を入力手段46を操作して入力するようにしてもよい。
【0062】
また、この実施形態では、テーブル10の底面にサーボモータ14a〜14b及びスリットレーザ照射器20a〜20cを配置した場合について説明したが、各ラインレーザ光22a〜22cの平面(の法線)が互いに平行にならないように該各ラインレーザ光22a〜22cを照射できるのであれば、スリットレーザ照射器20a〜20cを1つのテーブル10に配置する場合に限らず、いかなる配置方法であってもよい。
【0063】
さらに、サーボモータ14a〜14bもz方向に揺動自在とし、一方で、スリットレーザ照射器20a〜20cについても回転軸16a〜16cに対して揺動自在とすることで、孔部24下方の複数のターゲットに対するティーチング作業を容易に行うことが可能となる。
【0064】
なお、この発明は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】スリットレーザ照射器の配置を示す斜視図である。
【図2】スリットレーザ照射器及び加工ヘッドの配置を示す正面図である。
【図3】この実施形態に係る座標位置検出装置の概略ブロック図である。
【図4】図4Aは、1つの平面と1つの直線とが交差する場合を示す説明図であり、図4Bは、2つの平面が交差する場合を示す説明図であり、図4Cは、3つの平面が交差する場合を示す説明図である。
【図5】図5A及び図5Bは、ターゲット(交点)と、スリットレーザ照射器を示す点との位置関係を示す模式説明図である。
【符号の説明】
【0066】
10…テーブル 12a〜12c…固定部材
14a〜14c…サーボモータ 16a〜16c…回転軸
18a〜18c…光軸 20a〜20c…スリットレーザ照射器
22a〜22c…ラインレーザ光 24…孔部
25a〜25c、62、66…直線 26、64、68…交点
28a〜28c…モータ 30a〜30c…ロータリーエンコーダ
32…支持部材 34…加工ヘッド
38…レーザ光 40…座標位置検出装置
42…ティーチング装置 44…制御手段
46…入力手段 48…記憶手段
50…出力手段 52…処理部
60a〜60c…平面 70a〜70c…点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動自在で、それぞれのスリットレーザ光の平面が互いに平行にならないように設置された少なくとも3つのスリットレーザ照射器と、
前記各スリットレーザ照射器の揺動角度を検出する揺動角度検出手段と、
を有することを特徴とする座標位置検出装置。
【請求項2】
スリットレーザ光の平面が互いに平行にならないように少なくとも3つのスリットレーザ照射器を揺動して、該各スリットレーザ照射器から前記スリットレーザ光をそれぞれ照射する第1工程と、
前記揺動角度検出手段により前記各スリットレーザ照射器の揺動角度を検出する第2工程と、
を含むことを特徴とする座標位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−127751(P2010−127751A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302354(P2008−302354)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】