説明

座標入力装置

【課題】複数の要素によって構成される座標入力装置において、各要素をより正確な位置関係で配置することを容易とする。
【解決手段】入射光を、入射光の入射方向へと反射する再帰反射部材が配置されたフレームと、再帰反射部材へと光を投光する投光手段、及び投光手段によって投光され再帰反射部材によって反射された光を受光する受光手段を備えるセンサユニットと、を備え、フレームとセンサユニットとが座標入力領域の周囲に所定の位置関係となるように配置された際に、座標入力領域に対する入力位置を検出する座標入力装置。フレームは、フレームとセンサユニットとが所定の位置関係となるように配置された際に、センサユニットの投光手段から投光された光を、センサユニットの受光手段へと反射するように配置された鏡面部材を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は座標入力装置に関し、より詳しくは、入力面に対して指示具又は指を用いて座標を入力することにより、接続されたコンピュータを制御するために、又は文字若しくは図形などを書き込むために用いられる、座標入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光を用いた座標入力装置が知られている。このような座標入力装置においては、投光部が発した光を反射部材が反射し、反射した光を受光部が検出するように構成されている。指示具又は指で光が遮られると、座標入力装置はどの位置で光が遮られたのかを検出することができる。この時、正確に遮光位置の座標を測定及び算出するためには、投光部、受光部、及び反射部材が正確な位置関係で配置される必要がある。特許文献1に記載の発明においては、位置合わせマークを用いることにより、配置角度のズレが検出される。検出されたズレに基づいて、算出された座標が補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−2222111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より高精度な座標入力を実現するためには、座標入力装置を構成する各要素は正確に配置されることが好ましい。しかしながら特許文献1に記載の方法のようにマークを用いて位置合わせを行う場合、受光部から見てマークが所定の方向にあるように位置合わせを行うことができても、マークから見て受光部が所定の方向にあるように位置合わせを行うことを困難である。
【0005】
本発明は、複数の要素によって構成される座標入力装置において、各要素をより正確な位置関係で配置することを容易とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の座標入力装置は以下の構成を備える。すなわち、
入射光を、該入射光の入射方向へと反射する再帰反射部材が配置されたフレームと、前記再帰反射部材へと光を投光する投光手段、及び前記投光手段によって投光され前記再帰反射部材によって反射された光を受光する受光手段を備えるセンサユニットと、を備え、前記フレームと前記センサユニットとが座標入力領域の周囲に所定の位置関係となるように配置された際に、該座標入力領域に対する入力位置を検出する座標入力装置であって、
前記フレームは、前記フレームと前記センサユニットとが前記所定の位置関係となるように配置された際に、前記センサユニットの前記投光手段から投光された光を、当該センサユニットの前記受光手段へと反射するように配置された鏡面部材を備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
複数の要素によって構成される座標入力装置において、各要素をより正確な位置関係で配置することを容易とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1に係る座標入力装置の構成を説明する図。
【図2】実施例1に係る投光部200の詳細図。
【図3】実施例1に係る受光部300の詳細図。
【図4】実施例1に係るセンサユニット102の断面図。
【図5】実施例1に係る発光タイミングチャート。
【図6】実施例1に係る初期光量分布を示す図。
【図7】実施例1に係る入力時の光量分布を示す図。
【図8】実施例1に係る座標入力装置の配置と、光量分布とを示す図。
【図9】実施例1に係る座標入力装置の配置と、光量分布とを示す図。
【図10】実施例1に係る座標入力装置の配置と、光量分布とを示す図。
【図11】実施例1に係る座標入力装置の配置と、光量分布とを示す図。
【図12】実施例1に係る、光量分布とユーザに対する報知とを示す図。
【図13】実施例1及び3に係る、ミラー部材の詳細図。
【図14】実施例1に係る角度計算を説明する図。
【図15】実施例1に係る座標系を説明する図。
【図16】実施例2に係る座標入力装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、本実施例に係る座標入力装置100の構成について、図1を参照して説明する。図1には、ユーザが座標入力を行う座標入力領域111が示されている。座標入力領域111を挟んで対向する2辺には、再帰反射部材101a,101bが配置されている。また、再帰反射部材101a,101bのそれぞれの両端には、センサユニット102a,102b,102c,102dが配置されている。
【0010】
センサユニット102a〜102dはそれぞれ、投光部200と受光部300とを備える。センサユニット102a〜102dの詳細な構成については後述する。センサユニット102a〜102dの投光部200からは、再帰反射部材101a,101bに向けて光が投射される。再帰反射部材101a,101bに入射した光は、光が入射した方向へと反射される。すなわち、センサユニット102a〜102dから再帰反射部材101a,101bへと投光された光は、センサユニット102a〜102dへと反射される。センサユニット102a〜102dの受光部300は、受光部300へと入射した光の光量を測定する。図1に示されるように、センサユニット102a〜102dのそれぞれもまた、再帰反射部材106a〜106dを備えていてもよい。
【0011】
本実施例においては、再帰反射部材101a、並びにセンサユニット102a及び102bは、センサフレーム104aに固定されている。センサユニット102aと102bとは、所定距離離れて固定されている。また、センサユニット102aは、投光部200と受光部300との光学軸が所定の方向を向くように、センサフレーム104aに固定されている。センサユニット102bも同様である。このように、再帰反射部材101a、センサユニット102a及び102b、並びにセンサフレーム104aは、センサバー105aを構成している。このように、座標入力領域111の周囲には、センサユニット102及びセンサフレーム104が配置されている。
【0012】
同様に、再帰反射部材101b、センサユニット102c及び102dもまた、センサフレーム104bに固定されている。このように、再帰反射部材101b、センサユニット102c及び102d、並びにセンサフレーム104bは、センサバー105bを構成している。
【0013】
本実施例においてセンサフレーム104aはさらにミラー部材103を備える。ミラー部材103とは、通常の鏡面を有する部材(鏡面部材)である。ミラー部材103が平面の鏡面を有する場合、ミラー部材103に入射角αをもって入射した光は、反射角αをもって反射する。このとき、入射方向と反射方向とは、鏡面の法線に対して対称となる。この点でミラー部材103は、入射方向と反射方向とが同じ向きとなる再帰反射部材とは異なる。ミラー部材103の詳細については後述する。
【0014】
本実施例に係る座標入力装置100はさらに、制御ユニット107a,107bを備える。制御ユニット107aは、センサユニット102a,102bと接続されている。また、制御ユニット107bは、センサユニット102c,102dと接続されている。座標入力領域111に対して指などによる入力指示がなされると、投光部200から投光された光が遮られる。すると、入力指示位置を通る再帰反射部材101a,101bからの反射光は、受光部300へと入射しなくなる。
【0015】
制御ユニット107aは、センサユニット102a,102bの受光部300が検出した光量変化に基づいて、ユーザ入力によって光が遮られた部分の、センサユニット102a,102bからの方向を検出する。もっとも制御ユニット107aは、受光部300による測定結果をそのまま外部に送信してもよい。
【0016】
制御ユニット107aによって検出された結果は、通信経路108を経由して、制御ユニット107bに送信される。通信経路108は何でもよく、例えば有線接続、赤外線接続、無線接続、Bluetooth(登録商標)接続などでありうる。制御ユニット107bは、制御ユニット107aと同様に、ユーザ入力によって光が遮られた部分の、センサユニット102c,102dからの方向を検出する。制御ユニット107bは、制御ユニット107bで検出された結果を、制御ユニット107aで検出された結果と合わせて、インタフェース109を介してPC110へと出力する。こうしてPC110は、ユーザによって入力された座標値を知ることができる。インタフェース109は何でもよく、例えばUSBなどの有線接続、又は無線接続でありうる。
【0017】
また、制御ユニット107bはさらに、報知手段(不図示)を備えることが好ましい。報知手段は、後述のように、センサバー105aと105bとが正しい相対配置で配置されているか否かをユーザに報知する。報知方法は特に限定されず、視覚表示によって報知してもよい、音によって報知してもよい。また、他の要素が報知手段を有してもよい。例えば、PC110が報知手段を有してもよいし、PC110自体が報知手段であってもよい。この場合、制御ユニット107はPC110に対して制御情報を送ってもよく、PC110の報知手段はこの制御情報に従ってユーザに対して報知を行うことができる。
【0018】
座標入力領域111としてはどのようなものを用いることもできる。とりわけ、表示画面を座標入力領域111として用いることができる。例えば、PDPやリアプロジェクタ、LCDパネルなどの、表示装置の表示画面を座標入力領域111とすることができる。また、フロントプロジェクタによる画像の投影面を座標入力領域111とすることもできる。表示画面を座標入力領域111として用いることにより、インタラクティブな入力装置を実現することができる。例えば、PC110からの出力画像を座標入力領域111に表示することができる。この場合、PC110からの出力画像上の座標をユーザが指定して、指定された座標をPC110へ送信することができる。このように、指などの入力部を用いて、PC110を操作することができる。例えば、画面上に線を描画したり、アイコンの操作をしたりすることができる。
【0019】
<センサユニット>
次に、センサユニット102a〜102dの構成について、図2〜図4を参照して説明する。図2(A)はセンサユニット102a〜102dの投光部200を上から見た図(座標入力領域111に対して平行な断面図)である。投光部200は、赤外LED201と、投光レンズ202とを備える。赤外LED201は、赤外光を発する。赤外光は、投光レンズ202を介して、略90°の範囲に投光される。
【0020】
図2(B)はセンサユニット102a〜102dの投光部200を横から見た図(座標入力装置100に対して垂直な断面図)である。図2(B)に示されるように、赤外LED201からの光は座標入力装置100に平行な方向に投光される。すなわち赤外LED201からの光は、主に再帰反射部材101a,101bへと投光される。
【0021】
図3はセンサユニット102a〜102dの受光部300を上から見た図(座標入力領域111に対して平行な断面図)である。受光部300は、CCD301と、レンズ302,303と、絞り304と、赤外フィルタ305と、を備える。CCD301は1次元のラインCCDである。レンズ302,303は、結像光学系を構成する。絞り304は、入射光の入射方向を制限する。また赤外フィルタ305は、可視光など余分な光の入射を防止する。
【0022】
投光部200から投射された光は主に再帰反射部材101a,101bによって反射される。反射された光は、赤外フィルタ305及び絞り304を抜けて、CCD301に入射する。レンズ302,303を介することにより、略90°の範囲から入射する光が、その入射角に依存したCCDの検出画素上に結像される。すなわち、CCD301から得られる各画素についての信号値は、角度ごとの光量分布を示す。言い換えれば、画素番号が角度を表すことになる。
【0023】
図4は、本実施例に係る座標入力装置100の断面図である。図4に示される断面は、図1に示される直線A−A’で座標入力装置100を切断することによって得られる。本実施例においては、投光部200と受光部300とは、座標入力領域111に垂直な方向に重ねられている。また、投光部200による投光方向の中心と、受光部300による受光方向の中心とは、一致するように構成されている。
【0024】
センサユニット102aの赤外LED201aからの光は、投光レンズ202aによって、座標入力領域111に略平行な光として、再帰反射部材101b及び106dへと投光される。そして投光された光は、再帰反射部材101b及び106dによって光の入射方向へと再帰反射され、受光部300(301a〜305a)によって検出される。具体的には再帰反射された光は、赤外フィルタ305a、絞り304a、及び集光レンズ303a,302aを経て、CCD301aの検出画素上に集光される。センサユニット102dの赤外LED201dからの光も同様に、再帰反射部材101a及び106aへと投光され、再帰反射された光が受光部300(301d〜305d)によって検出される。
【0025】
<光量分布検出の説明>
図5は、制御信号のタイミングチャートを示す。ただし、図5のタイミングチャートは一例にすぎず、本実施例に係る座標入力装置100は異なるタイミングで動作してもよい。SH信号501、ICGL信号502、及びICGR信号503は、CCD制御用の制御信号である。SH信号501は、CCDのシャッタを制御する。すなわちSH信号501が示す時間間隔だけ、CCD301のシャッタが解放される。ICGL信号502及びICGR信号503は、CCD301内部の光電変換部の電荷の読み出しを制御する。具体的には、ICGL信号502に従って、左側のセンサユニット(センサユニット102a及び102c)のCCDから電荷が読み出される。また、ICGR信号503に従って、右側のセンサユニット(センサユニット102b及び102d)のCCDから電荷が読み出される。
【0026】
LEDU信号504及びLEDD信号505は、赤外LED201の駆動信号である。SH信号501の最初の周期において、上部のセンサユニット(センサユニット102a及び102b)のLEDを点灯するために、LEDU信号504がLED駆動回路を経て赤外LED201に供給される。SH信号501の次の周期において、下部のセンサユニット(センサユニット102c及び102d)のLEDを点灯するために、LEDD信号505がLED駆動回路を経て赤外LED201に供給される。赤外LED201の駆動が終了した後に、CCD301の電荷が読み出される。上部のセンサユニット(センサユニット102a及び102b)の投光部200と、下部のセンサユニット(センサユニット102c及び102d)とは、異なるタイミングで投光を行う。こうして、それぞれのCCD301において、複数の光量分布が得られる。
【0027】
座標入力領域111に対して指などによる入力が行われていない場合に、CCD301から得られる光量分布の一例を、図6に示す。すなわち図6は、投光部200からの光が遮られていない場合の光量分布を示す。図6及び図7は、本実施例に係る座標検出方法の一例を説明するための図であって、図6及び図7に示される光量分布は説明のために簡略化されている。本実施例に係る座標入力装置100のCCD301から得られる光量分布は、図6及び図7に示すような光量分布に限られるわけではない。
【0028】
図6において、Aは最大光量レベルを示し、Bは最低光量レベルを示す。入射光がない方向について得られる信号レベルはBである。また、入射光がある方向について得られる信号レベルは、入射光強度が強くなるほどAに近づく。本実施例においては、信号レベルAは信号レベルBよりも大きいものとして説明する。このようにCCD301から読み出されたデータは、制御ユニット107a,bによって逐次AD変換され、PC110によってデジタルデータとして取り込まれる。
【0029】
座標入力領域111に対して指などによる入力が行われている場合に、CCD301から得られる光量分布の一例を、図7に示す。すなわち図7は、投光部200からの光が遮られている場合の光量分布を示す。図7に示されるように、Cとして示される方向については、信号レベルが低下している。これは、Cに対応する方向において、指などによって投光部200からの光が遮られているためである。
【0030】
本実施例において座標入力装置100は、光量分布の変化に基づいて、光を遮っている物体の位置を算出する。具体的には座標入力装置100は、図6のように光が遮られていない初期状態の光量分布を予め記憶する。そして座標入力装置100は、この初期状態と、図7のような測定された光量分布とを比較することによって、光を遮っている物体が存在するか否かを検出する。光を遮っている物体が存在する場合、座標入力装置100は、光を遮っている物体の位置(すなわち入力位置)がどの方向(角度)にあるのかを検出する。
【0031】
<角度計算の説明>
具体的な角度検出方法の一例について以下で説明する。以下では1つのセンサユニット(例えば102a)が行う処理について説明するが、他のセンサユニットも同様の処理を行うことができる。経時変化、およびCCDのバイアスなどの理由により、光量分布は常に一定ではない。そこで本実施例では、以下に説明する参照光量分布(Bas_Data[N],Ref_Data[N])を用いて、入力位置を検出する。こうして、例えば再帰反射部材がほこりなどで汚れている場合にも、座標入力装置100は入力位置を検出することができる。参照光量分布の取得は、座標入力領域111への入力が行われる前に行われる。具体的には、参照光量分布の取得は、座標入力装置100の起動時、例えば電源投入時、に行うことができる。
【0032】
まずセンサユニット102aは、投光部200から光を投光することなく、受光部300において光量分布を測定する。すなわち制御ユニット107aは、CCD301からの出力をA/D変換することにより得られるデータBas_Data[N]を取得する。そして制御ユニット107aは、このデータBas_Data[N]を格納する。Bas_Data[N]は、CCDのバイアスのばらつき等を含んだデータである。Nは画素番号であり、Bas_Data[N]はそれぞれの画素についての受光レベルを、すなわちそれぞれの入射角度についての受光レベルを示す。通常はBas_Data[N]は、図6のレベルB付近の値を示す。
【0033】
次にセンサユニット102aは、投光部200から投光を行いながら、受光部300において光量分布を測定する。制御ユニット107aは、こうして得られたデータRef_Data[N]を格納する。Ref_Data[N]の一例は、図6の実線で示される。こうして座標入力装置100は、座標入力領域111への入力が行われる前に、参照光量分布を取得する。
【0034】
こうして、座標入力領域111への入力が可能となる。座標入力装置100は、定期的に投光部200から投光を行いながら、受光部300において光量分布を測定する。あるサンプル期間について得られた光量分布を、Norm_Data[N]とする。そして座標入力装置100は、得られたデータNorm_Data[N]を解析することにより、座標入力領域111に対して入力が行われているかを判定し、入力が行われているのなら入力位置を検出する。
【0035】
まず制御ユニット107aは、座標入力領域111に対して入力が行われているか、すなわち投光部200からの光が遮光されているか否かを判定する。具体的には制御ユニット107aは、各々の画素について、Norm_Data[N]とRef_Data[N]との差分の絶対値を算出する。例えば、以下の式(1)に従ってこの処理を行うことができる。
Diff_Data[N] = Norm_Data[N] - Ref_Data[N] …(1)
通常はNorm_Data[N]はRef_Data[N]よりも大きいため、式(1)に従って絶対値を算出することができる。
【0036】
さらに制御ユニット107aは、各々の画素についてのDiff_Data[N]が、予め定められた閾値Dthrよりも大きいか否かを判定する。Diff_Data[N]がDthrを超える画素が、所定数を超えて連続している場合に、座標入力領域111に対する入力があるものと、制御ユニット107aは判定する。
【0037】
このように座標入力装置100は、データの変化の絶対値に従って、座標入力領域111に対する入力があるか否かを判定する。この処理には、差分を求める工程と、値を比較する工程しか含まれないため、座標入力装置100は座標入力の有無を高速に行うことができる。
【0038】
制御ユニット107aが、座標入力領域111に対する入力があるものと判定した場合、制御ユニット107aは続けて、入力位置の角度を算出する。制御ユニット107aは、Diff_Data[N]がDthrを超えている画素についてのみ、以下の処理を行ってもよい。
【0039】
まず制御ユニット107aは、以下の式(2)に従って、信号レベルの変化の比を求める。
Ratio_Data[N] = (Norm_Data[N] - Ref_data[N]) / (Bas_Data[N] - Ref_Data[N])
…(2)
式(2)に従って求められたRatio_Data[N]の一例を、図14に示す。図14には、Diff_Data[N]がDthrを超えている連続画素群のうちのそれぞれの画素について求めたRatio_Data[N]が示されている。
【0040】
制御ユニット107aは続けて、各画素について、Ratio_Data[N]が、予め定められた閾値Vthrよりも大きいか否かを判定する。図14の例では、Ratio_Data[Nr−1]はLr−1であり、Ratio_Data[Nr]はLrである。また、Ratio_Data[Nf−1]はLf−1であり、Ratio_Data[Nf]はLfである。
【0041】
図14に示されるように、Lr−1はVthrよりも小さいが、LrはVthrよりも大きい。また、Lf−1はVthrよりも大きいが、LfはVthrよりも小さい。さらに、画素Nrと画素Nf−1との間の画素について、Ratio_Data[N]はVthrよりも大きい。この場合制御ユニット107aは、入力の中心はNrとNf−1との間にあるものと判定する。
【0042】
すなわち制御ユニット107aは、Ratio_Data[N]がVthrよりも大きい連続画素群を検出する。そして、この連続画素群の中心に入力の中心が存在するものと判定する。
【0043】
入力の中心となる画素の画素番号は、様々な方法で求めることができる。例えば、以下の式(3)に従って、入力の中心となる画素の画素番号Npを求めてもよい。
Np = Nr + (Nf-1 - Nr) / 2 …(3)
しかしながらこの場合、画素番号Npの分解能は画素間隔に相当する。より高い分解能で画素番号Npを求めるために、以下の式(4)〜(6)を用いることもできる。
Nrv = Nr-1 + ( Vthr - Lr-1 ) / ( Lr - Lr-1 ) …(4)
Nfv = Nf-1 + ( Vthr - Lf-1 ) / ( Lf - Lf-1 ) …(5)
Np = Nrv + ( Nfv - Nrv ) / 2 …(6)
【0044】
次に制御ユニット107aは、得られた画素番号Npを、角度情報へと変換する。本実施例における座標計算(後述)では、画素番号Npに対応する角度θの正接(tanθ)を用いる。したがって制御ユニット107aは、画素番号Npをtanθへと変換する。画素番号から、tanθへの変換には、ルックアップテーブル又は変換式を用いることができる。本明細書において、センサユニット102aの基準方向について、角度θ=0であるものとする。センサユニット102aの基準方向とは例えば、センサユニット102aの光学軸の中心でありうる。
【0045】
変換式を用いる場合、変換精度を向上させるために、高次の多項式を用いることができる。多項式の次数は、計算能力および必要とされる精度を考慮して、任意に決定することができる。ここでは、5次多項式を用いるものとする。5次多項式を用いる場合には係数が6個必要になる。したがってこの場合、例えば制御ユニット107aの不揮発性メモリに、この係数を記憶しておけばよい。5次多項式の係数をL5,L4,L3,L2,L1,及びL0とする場合、以下の式(7)に従ってtanθを求めることができる。
【0046】
tanθ = (L5 * Np + L4) * Np + L3) * Np + L2) * Np + L1) * Np + L0 …(7)
ここではセンサユニット102aについての処理を説明したが、他のセンサユニット102b〜dも同様の処理を行うことができる。こうしてそれぞれのセンサユニットについて、座標入力領域111への入力が存在する方向(角度)を決定することができる。本実施例では制御ユニット107aはtanθを求めたが、角度θを求めてもよい。この場合、制御ユニット107aは続けて角度θをtanθへと変換してもよい。
【0047】
<座標計算方法の説明>
以上のように制御ユニット107が求めた角度データを用いて、制御ユニット107は座標を算出する。もっとも、制御ユニット107は角度データをPC110に送信してもよい。この場合、PC110は送信された角度データを用いて座標を算出する。以下では、センサユニット102c及び102dの測定結果に基づいて座標位置を検出する。しかしながら、他のセンサユニット102a,102bの測定結果に基づいて座標位置を検出する場合にも、同様の処理が行われうる。
【0048】
図15は、座標入力領域111と入力座標との位置関係を示す図である。例えば点Pの位置に入力があった場合、センサユニット102c及び102dによって、上述のように点Pの角度が検出される。センサユニット102c,102d間の距離はDhで表される。また、座標入力領域111の中央を原点とする。さらに、センサユニット102cの基準方向(角度θ=0)と、センサユニット102dの基準方向(角度θ=0)との交点を、P0(0,P0Y)とする。
【0049】
センサユニット102cについての角度をθL、センサユニット102dについての角度をθRとして、tanθL及びtanθRが上述のように算出されたものとする。このとき、点Pの座標(x,y)は、下式(8)及び(9)に従って求められる。
x = Dh * (tanθL + tanθR) / ( 1 + (tanθL * tanθR) ) …(8)
y = - Dh * (tanθR - tanθL - ( 2 * tanθL * tanθR) ) / ( 1+ ( tanθL * tanθR) ) + P0Y …(9)
【0050】
座標入力領域111のどこに入力が行われたかによって、座標を求めるために用いられるセンサユニットの組み合わせは変更になる。この場合、式(8)及び(9)のパラメータを変更すればよい。例えば、センサユニット102b及び102dによって検出された角度データを用いて座標を算出する場合、式(8)及び(9)において、DhをDvとし、P0YをP1Xとする。さらに、計算されたxはyに、yはxに交換される。これらのパラメータDv及びP1Xは、図15に示されている。同様に、センサユニット102a及び102bによって検出された角度データを用いる場合、及びセンサユニット102a及び102dによって検出された角度データを用いる場合にも、同様に座標を算出することができる。
【0051】
<センサバーの位置調整についての説明>
本実施例において、センサフレーム104aは、すなわちセンサバー105aは、ミラー部材103を有する。ミラー部材103は、再帰反射部材101aに接して設置される。より具体的にはミラー部材103は、図13(A)に示されるように、再帰反射部材101aの再帰反射面上に設置されることが好ましい。本実施例においてはミラー部材103はセンサフレーム104aに設置され、センサフレーム104bには設置されないものとする。しかしながら、ミラー部材103がセンサフレーム104bにのみ設置されてもよいし、センサフレーム104a及び104bの双方に設置されてもよい。
【0052】
図13(A)に示されるように、ミラー部材103は、例えば平面のミラー面103a及び103aによって構成されうる。そしてミラー部材103は、センサユニット102c及び102dが正しい位置に有る場合に限り、センサユニット102c,dからの光がセンサユニット102c,dへと正反射されるように配置される。本実施例においてはミラー部材103はセンサユニット102a及び102bから等距離となるように配置されるものとするが、他の位置にミラー部材103が配置されてもよい。また、センサフレーム104aはミラー部材103を複数有してもよいし、それぞれのミラー部材103が1枚のミラー面によって構成されていてもよい。
【0053】
ミラー部材103を用いることにより、基準となる一方のセンサバー105aに対して、他方のセンサバー105bを、予め定められた所定の位置関係となるように、すなわち所定の距離及び角度で配置することができる。以下に、本実施例に係る位置合わせ方法について説明する。図8(A)は、センサバー105a,105bが所定の位置関係からずれて配置されている場合を示す。また、図8(A)の配置においてセンサユニット102cによって検出される光量分布を図8(B)に、センサユニット102dによって検出される光量分布を図8(C)に、それぞれ示す。
【0054】
図8(A)の配置において、センサユニット102cの投光部200によって投光された光は、ミラー部材103で正反射される。しかしながら、この正反射された光はセンサユニット102cに向かっては反射されない。したがって、センサユニット102cの受光部300はこの光を受光することができない。すなわち、センサユニット102cの投光部から、ミラー部材103の方向へと投光された光は、受光部300によっては受光されない。結果として、センサユニット102cによって検出される光量分布においては、座標入力領域111に対して入力が無い場合でも、ミラー部材103の方向について光が検出されないことが示される。すなわち、ミラー部材103の方向は光が検出されない特異点となる。センサユニット102dについても同様である。
【0055】
座標入力領域111に対して入力が無いことが予想される場合に、以上のように光が検出されない点が存在すると、制御ユニット107(判定手段)が判定した場合、報知手段はユーザに対して報知を行う。すなわち制御ユニット107は、センサユニット102の投光部200が投光し、ミラー部材103に反射された光が、センサユニット102の受光部300によって受光されているか否かを判定する。また、報知手段は、制御ユニット107による判定結果を報知する。
【0056】
本実施例に係る座標入力装置100は、例えば、複数のモードで動作しうる。1つは通常の座標入力を受け付ける入力モードであり、もう1つはセンサバー105の位置を調整するための調整モードでありうる。調整モードにおいては、座標入力領域111に対して入力が無いことが予想され、この場合、報知手段はユーザに対してセンサユニット102の配置が正しくないことを報知しうる。
【0057】
図8(B)及び(C)には、報知方法の一例が示されている。図8(B)及び(C)の下部に示される表示は、制御ユニット107によってPC110で表示される表示の一例であるインジケータである。本実施例においては、ミラー部材103に対するセンサユニット102cの相対位置が予め定められた所定の相対位置に近いほど、白棒の数が増えていくものとする。図8(B)及び(C)の表示では、白棒は3つ表示されている。例えば、光が検出されない特異点の方向と、所定の相対配置においてミラー部材103が位置する方向との差が小さいほど、ミラー部材103に対するセンサユニット102cの相対位置は所定の位置により近いものと判断することができる。
【0058】
図9(A)は、センサユニット102cが投光した光を、センサユニット102cが受光できる場合を示す。この場合、ミラー部材103のミラー面の法線方向に、センサユニット102cは位置する。このような場合、図9(B)に示されるように、センサユニット102cが投光した光をセンサユニット102cは受光できるから、センサユニット102cが測定した光量分布において、光量が低下している点は観測されない。一方で通常は、ミラー部材103からの正反射光の方が、再帰反射部材101aからの再帰反射光よりも強度が強い。したがって、センサユニットの102cがミラー部材103から遠く離れている場合を除き、図9(B)に示されるように、ミラー部材103が位置する方向に光量が強い特異点が現れる。このような特異点は、上述の角度計算方法にしたがって検出することができる。
【0059】
センサユニット102cが測定した光量分布において光量が低下している点が存在しないことは、ミラー部材103のミラー面の法線方向にセンサユニット102cが位置することを意味する。また、センサユニット102cが測定した光量分布において光量が強い特異点がある方向に現れることは、その方向にミラー部材103が位置することを意味する。このようにして、センサユニット102cが得た光量分布を参照することにより、センサユニット102cをミラー部材103のミラー面の法線方向に配置することができる。さらに、センサユニット102cから見て予め定められた所定の方向にミラー部材103が位置するように、センサユニット102の配置を決定することができる。
【0060】
図10(A)は、センサユニット102cと102dとの双方が、ミラー部材103のミラー面の法線方向に位置する場合を示す。しかしながら図10(A)においては、センサユニット102c,102dについての所定方向に、ミラー部材103が位置しない。この場合、センサユニット102cによって測定される光量分布は図10(B)のようになり、センサユニット102dによって測定される光量分布は図10(C)のようになる。
【0061】
図10(B)及び(C)に示されるように、この場合、光量分布において光量が低下している点は存在しないが、光量が強い特異点は予め定められた所定の方向には出現しない。この場合、光量が強い特異点が予め定められた所定の方向に出現するようにセンサバー105の位置を調整すればよい。こうして、センサユニット102c,102dについての所定方向にミラー部材103が位置するように、センサユニット102c,102dを配置することができる。
【0062】
報知手段は、センサユニット102cが測定した光量分布において光量が低下している点が存在しないことをユーザに報知することができる。また、光量が強い特異点の方向と、予め定められた所定の相対配置においてミラー部材103が位置する方向との差を、ユーザに報知することができる。図9(B)の表示においては、特異点の方向と予め定められた所定の方向とが一致することを示すために、白棒が10個表示されている。
【0063】
以上のように、光量が強い特異点の方向と予め定められた所定の方向とが一致するようにセンサバー105を配置すればよい。このようにして、センサユニット102cがミラー部材103のミラー面の法線方向に位置するようにセンサユニット102の配置を決定することができる。また、センサユニット102cから見て予め定められた所定の方向にミラー部材103が位置するように、センサユニット102cの配置を決定することができる。このように本実施例に従えば、センサユニット102をセンサバー105に対してより正確な相対位置に配置することが容易となる。
【0064】
しかしながら、図9(A)に示される位置Aにセンサユニット102cが位置する場合と、位置Bにセンサユニット102cが位置する場合のいずれにおいても、光量分布において光量が低下している点は観測されない。また、光量が強い特異点の方向と所定の方向とは一致する。
【0065】
そこで本実施例においては、図11(A)〜(C)に示されるように、センサユニット102cと102dとの双方において、観測された光量分布において光量が強い特異点の方向と所定の方向とが一致するように、センサバー105を配置する。このようにして、センサユニット102c,102dとミラー部材103との間の距離が所定距離となるように、センサバー105を配置することができる。
【0066】
図1で説明したように、各々のセンサユニット間の距離は既知である。その為、センサユニット102c,102dの各々について、自らが投光し正反射された光を受光することが可能であり、正反射された光の入射方向が所定の方向であることは、センサバー105a,105bは正しく設置されていることを意味する。
【0067】
図12(A)〜(D)は、センサバー105の位置調整中に、センサユニット102cによって得られる光量分布と、報知手段によるユーザへの通知例を示す。もっとも、センサユニット102a,b,dについても、同様の通知を行いうる。図12(A)は、センサユニット102cが、再帰反射光を含めて、全く光を受けていない状態を表す。図12(B)は、センサユニット102cが、再帰反射部材101aからの再帰反射光は受光しているが、ミラー部材103からの正反射光を受光していない状態を示す。図12(B)の光量分布においては、ミラー部材103の方向に対応する光量低下部分が特異点として表れている。図12(C)は、センサユニット102cがミラー部材103からの正反射光を取得しているが、正反射光の入射方向が予め定められた所定の角度とは異なっている場合を表す。図12(D)は、正反射光を所望の角度から受光している場合の光量分布を表す。
【0068】
制御ユニット107は上述のように、センサユニット102cが測定した光量分布において光量が低下している点が存在するか否か、及び、光量が強い特異点の方向と予め定められた所定の方向とが一致するか、を判定する。また報知手段は、制御ユニット107によるこの判定結果をユーザに報知する。報知手段による報知を参照しながら、図11(A)〜(C)に示される状態となるように、ユーザはセンサバー105の位置を調整することができる。
【0069】
通常ユーザは、予め定められた配置に近くなるように、センサバー105を設置することが可能であるものと考えられる。例えば図1に示される座標入力領域111を有する場合、ユーザはセンサバー105を、座標入力領域111を挟むように略平行に設置することができるだろう。このような場合、本実施例で説明した報知手段は、このように仮設置されたセンサバー105を正確に位置合わせするために用いられうる。
【0070】
センサバー105の位置がユーザによって仮に位置合わせされている場合、通常、センサユニット102からミラー部材103へと向かう方向は、所定の方向からは少ししかずれていないものと考えられる。すなわち、所定の方向から所定の角度範囲内、例えば10°以内に、ミラー部材103が存在するものと考えられる。通常、このような角度範囲については再帰反射光が得られるはずである。このような場合、センサユニット102から得られる光量分布において、所定角度から所定の角度範囲内について受光光量が閾値以下となる角度が存在する場合、再帰反射光が得られなかったと、制御ユニット107は判定することができる。同様に、センサユニット102から得られる光量分布において、所定角度から所定の角度範囲内について受光光量が閾値以上となる角度(特異点)が存在する場合、正反射光が得られたと、制御ユニット107は判定することができる。
【0071】
以上の説明において報知手段は、図示されているように、PCを介してインジケータを表示した。しかしながら報知手段がユーザに対して報知を行う方法は任意である。例えば、報知手段はセンサバーに備えられたインジケータを用いてユーザに報知してもよいし、LEDランプの点滅によってユーザに報知してもよいし、表示部の色を変化させてユーザに報知してもよい。また報知手段は、音を発することによりユーザに報知してもよい。つまり、ユーザが視覚、聴覚、又は触覚などの感覚を介して認識できる方法で、報知手段は報知を行えばよい。報知手段は、予備知識の無いユーザが容易に認識できるように報知を行ってもよく、こうしてユーザが座標入力装置100の調整を容易に行うことを可能としうる。
【0072】
ミラー部材103は、常時センサフレーム104に取り付けられていてもよいが、取り外し及び取り付けが可能であってもよい。例えばセンサフレーム104の所定位置にマークが付されており、ユーザがマーク位置にミラー部材103を取り付けることが可能であってもよい。センサフレーム104の所定位置に、ミラー部材103を固定可能な固定具が備えられていてもよい。この場合座標入力装置100の調整後にミラー部材103を取り外すことができるため、ミラー部材103が座標入力装置100の精度に影響を与えることを防ぐことができる。また、ミラー部材103の大きさは、センサユニット102の角度分解能と比べ、十分に小さくすることが有利である。ミラー部材103を小さくすることにより、ミラー部材103がセンサフレーム104に取り付けられていても、ミラー部材103が座標入力装置100の精度に与える影響を最小限にできる。
【0073】
[実施例2]
実施例1ではミラー部材103は、平面ミラーの組み合わせによって構成された。このミラー部材からの反射光を測定しながらセンサユニット102の位置を調整することにより、所定の相対配置を有するようにセンサバー105を設置することが可能である。実施例2では、ミラー部材を有限の曲率を持ったミラーの組み合わせによって構成する。
【0074】
図16(A)は、本実施例に係る座標入力装置100を示す。本実施例においては、センサユニット102aと102bとの中央にミラー部材1601が設けられる。図16(B)は、ミラー部材1601の拡大図である。その他の構成については実施例1と同様であるから、説明を省略する。
【0075】
ミラー部材1601は、有限の曲率を持つ2つのミラー面から構成されている。それぞれのミラー面の曲率中心1602a,1602bは、センサユニット102c,102dにある。図9で説明したように、実施例1において1つのセンサユニットのみを用いて位置を調整する場合、センサユニットがミラー面に対する法線方向に位置し、センサユニットから所定の方向にミラー面が位置することを確認することは可能である。しかしながらミラー部材とセンサユニットとの間の距離を所定の距離とするためには、2つのセンサユニットを用いる必要があった。
【0076】
しかしながら本実施例においては、センサユニット102において取得される光量分布において光量低下部分が生じないのは、センサユニット102がミラー面の曲率中心1602にある場合のみである。したがって本実施例においては、1つのセンサユニットのみを用いて位置を調整する場合でも、センサユニット102の位置は一意に決定される。したがって、センサユニット102cとセンサユニット102とが、例えばセンサバー105bを介して互いに固定されていない場合であっても、それぞれのセンサユニット102を正しい相対位置に設置することができる。
【0077】
[実施例3]
実施例1及び2においては、ミラー部材103の幅は、図13(a)に示すように、再帰反射部材101の幅と同様である。実施例3では、例えば図13(b)に示すように、ミラー部材103の幅が、再帰反射部材101の幅よりも小さくなるように構成する。例えばミラー部材103の幅は、再帰反射部材101の幅の半分程度でありうる。ミラー部材103の幅が、再帰反射部材101の幅より小さい場合、図13(b)に示される領域1301もまた、光を再帰反射することができる。このために、ミラー部材103を座標入力装置100に設ける場合に、座標入力装置の座標検出性能に対する影響を小さくすることができる。
【0078】
[その他の実施例]
以上の説明においては、センサユニット102とセンサフレーム104とが、センサバー105へと一体化されることを前提にして説明した。このような構成においては、座標入力領域111に対する座標入力装置100の設置及び取り外しが可能となり、座標入力装置100の持ち運びも容易である。上述した座標入力装置100は、ユーザが設置する場合であっても、より容易かつより高精度に取り付け位置を調整することができるために、より高精度な座標算出が可能となる。
【0079】
さらには、上述の実施例に係る座標入力装置100は、座標入力領域111が大型又は横長である場合にも有用である。横長である画面のデザイン性、及び臨場感などの映像効果を損なうことがない、小型の座標入力装置への要求がある。上述の実施例に係る座標入力装置100を用いる場合、座標入力領域111の対向する2辺にセンサバー105を配置すればよい。したがって、座標入力領域111が大型の場合、特に横長である場合にも、映像効果を失わずに、容易に座標入力装置100を設置することができる。また、例えばサービスマンが現場で大型ディスプレイに対して、本実施例に係る座標入力装置100を設置する場合であっても、大掛かりな工具は必要とされず、容易に設置及び調整することが可能である。
【0080】
また、上述の実施例においては、再帰反射部材を用いた光学遮光方式の座標入力装置について説明した。しかしながら、本発明の範囲はこの方式に限られない。例えば、受光手段としてCMOSセンサ等を用いてもよい。また例えば、2次元センサを用いた座標入力装置であってもよく、センサユニットの位置調整用に別途投光手段を設けてもよい。また、このような場合、正反射光のみを、センサユニットの設置状況の判定に用いる特異点としてもよい。
【0081】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0082】
101a,b 再帰反射部材
102a,b,c,d センサユニット
103 ミラー部材
104a,b センサフレーム
105a,b センサバー
106a,b,c,d 再帰反射部材
107a,b 制御ユニット
108 通信経路
109 インタフェース
110 PC
111 座標入力領域
201 赤外LED
202 投光レンズ
301 CCD
302,303 集光レンズ
304 絞り
305 赤外フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を、該入射光の入射方向へと反射する再帰反射部材が配置されたフレームと、前記再帰反射部材へと光を投光する投光手段、及び前記投光手段によって投光され前記再帰反射部材によって反射された光を受光する受光手段を備えるセンサユニットと、を備え、前記フレームと前記センサユニットとが座標入力領域の周囲に所定の位置関係となるように配置された際に、該座標入力領域に対する入力位置を検出する座標入力装置であって、
前記フレームは、前記フレームと前記センサユニットとが前記所定の位置関係となるように配置された際に、前記センサユニットの前記投光手段から投光された光を、当該センサユニットの前記受光手段へと反射するように配置された鏡面部材を備える
ことを特徴とする座標入力装置。
【請求項2】
前記投光手段が前記鏡面部材へと投光した光を、前記受光手段が受光しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を報知する報知手段と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の座標入力装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記受光手段が測定した、光の入射角度に対する光量を示す光量分布において、光量が所定の閾値よりも大きい特異点が存在する場合に、前記投光手段が前記鏡面部材へと投光した光を、前記受光手段が受光しているものと判定することを特徴とする、請求項2に記載の座標入力装置。
【請求項4】
前記判定手段はさらに、所定の入射角度について前記特異点が存在するか否かを判定することを特徴とする、請求項3に記載の座標入力装置。
【請求項5】
前記鏡面部材が前記フレームから取り外し可能であることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の座標入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−168654(P2012−168654A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27842(P2011−27842)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】