説明

廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法と同サーマルリサイクルシステム

【課題】汎用性に富む蒸気ボイラで未燃物が少なく燃焼効率の高い燃料として利用でき、飛躍的に熱効率を向上でき、省エネルギー化を図れて地球温暖化を抑制することができる、廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法を提供する。
【解決手段】廃タイヤをチップ状に破砕してチップ状廃タイヤAとし、ガス化・炭化炉2内に投入し、1次空気を導入しかつ水分を加えて部分燃焼させるとともに、前記チップ状廃タイヤに含有された炭素および炭化水素成分の水性ガス化反応等を同時に行わせることにより可燃性ガスGを生成する。未燃カーボンは炭化物Bとして副生し、含有されている鉄類を除去したのち、粉砕して微粉化し、水または油と混合・撹拌してスラリー化し、可燃性ガスGおよびスラリー状微粉炭化物C’をそれぞれ蒸気ボイラ5の燃焼室5a内に送り込んで2次空気を導入して完全燃焼させ、蒸気ボイラ5内の水を水蒸気化して熱源にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高発熱量で難燃性の可燃物である廃タイヤを燃料化して有効利用することができる、廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法とその方法を実施するためのサーマルリサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したとおり、廃タイヤは高発熱量の可燃物であるが、燃焼性が悪い固定炭素を多量に含有するため、燃焼時間が長い大型の特殊な燃焼炉でしか利用されていない、というのが現状である。また、例えば、廃タイヤを蒸気ボイラの燃料として利用するには、特殊な燃焼炉が必要になるため、都心から離れたセメント会社や製紙会社などの大型の燃焼炉で、廃タイヤを丸ごと燃焼炉内に投入して燃焼させることにより利用していることから、輸送コストが高くなっている。図3は従来の排熱ボイラ用の廃タイヤ燃料化システムを示すフロー図で、同図に示すように、従来は焼却炉に流動層炉51を使用し、難燃性の廃タイヤを完全燃焼させるために燃焼用空気を流動層炉51内に過剰に供給し、過剰空気で燃焼状態を制御しながら流動層炉51内に投入される廃タイヤを850℃前後の高温で完全燃焼させ、この完全燃焼の排ガスを対流伝熱により排熱ボイラ52の水管内に供給される水を170〜180℃程度に加熱しており、排ガスの温度は250℃前後になる。したがって、排熱ボイラ52からの排ガス量が非常に多くなり、熱効率の悪いシステムである。なお、燃料として利用されないか、あるいは再生ゴムとしてリサイクルされない廃タイヤは、通常、産業廃棄物として焼却処分されるか、地中に埋めるかして処分されている。
【0003】
廃タイヤの燃料化に関する先行技術として、廃タイヤを伝熱壁を介して間接加熱することによりその一部をガス化するガス化工程、およびそのガス化工程において生じた可燃性ガスを部分燃焼し、前記ガス化工程に必要な熱を発生させるとともに、そのガス化によって発生した可燃性ガスを、回転円筒を包囲する部分燃焼室に導いて部分燃焼させ、それに伴って発生した熱を回転円筒の壁面を介して廃タイヤに間接的に伝達させ、それに伴なって他へも利用可能なガス燃料を得る部分燃焼工程を備えた,廃タイヤのガス化方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この廃タイヤの処理方法では、可燃性ガスの部分燃焼に伴う発生熱によって廃タイヤを伝熱壁を介して間接加熱することにより、乾留によって可燃性ガスと炭化物が得られる旨、記載されている。
【0004】
またこの種の他の先行技術として、 破砕された廃タイヤを乾留熱分解する工程と、この工程で生成された生成熱分解ガスを触媒接触反応により軽質化と脱硫黄を同時に行う工程を含む廃タイヤの処理方法、および前記乾留熱分解工程で生成した熱分解残渣を粉砕したのち水および添加剤と混合してスラリー化し、このスラリー化物を水蒸気反応によって前記熱分解残渣を有用ガスに変換する廃タイヤの処理方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003-238966号公報
【特許文献2】特開平09−40969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1あるいは上記特許文献2に記載の処理方法では、つぎのような点で解決すべき課題が残されている。すなわち、
特許文献1には,廃タイヤのガス化により、可燃性ガスと保温材その他に有効利用可能な炭化物が得られる旨の記載があるが、間接加熱によって乾留することによるガス化処理であるから、生成される可燃性ガス中にはタール成分が多量に含有されることになり、その後の利用に大きな障害となる。また、炭化物については保温材以外には、具体的な利用の方法について記載されていない。
【0006】
特許文献2に記載の処理方法において、粉砕した廃タイヤを乾留分解して得られるガスは触媒接触反応により軽質化と脱硫黄とが同時に行われる。また、残渣を水および添加剤と混合してスラリー化させ、このスラリー化させた残渣を水蒸気と反応させることで有用ガスに変換する技術が示されている。しかし、この処理方法では,廃タイヤを乾留熱分解するので、多くのタール分が生じるために後でタールトラブルが予想される上に,悪臭が発生するという問題がある。
【0007】
また、セメント会社や製紙会社などの大型の燃焼炉で廃タイヤを丸ごと炉内に投入して燃料として利用する従来の処理方法では、大型ゆえに処理量が多く、収集範囲が広域となり、廃タイヤを収集地から遠方までトラックで搬送する必要があるため輸送コストが高く、しかも発熱量が化石燃料と同等程度あるにも拘わらず、熱効率が悪いため有効に利用されていない。さらに、廃タイヤは難燃性のカーボンを30〜50重量%と多量に含有するため、大型のセメント焼成炉や流動層ボイラのような高価で特殊な燃焼装置以外で利用することが困難なうえ、廃タイヤを丸ごと投入して燃焼させるので、熱効率が低く、また多量の空気を吹き込んで燃焼させなければならず、排ガス量が多くなり、熱効率が悪い。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、汎用性に富む小型の蒸気ボイラで未燃物が少なく燃焼効率の高い燃料として利用でき、現在は廃タイヤの収集運搬により発生している二酸化炭素量を大幅に削減でき、輸送コストを低減でき、さらに蒸気ボイラの燃焼室内では高温で低空気比を保った燃焼を可能にすることで、飛躍的に熱効率を向上でき,省エネルギー化を図れて地球温暖化を抑制することができる、廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法とそのサーマルリサイクルシステムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために本発明に係る廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法は、
a) 廃タイヤをチップ状に破砕し(チップ状廃タイヤを)蒸気ボイラの燃料用原料として使用するリサイクル方法であって、
b) 前記チップ状廃タイヤをガス化・炭化炉(部分燃焼炉)内に投入し、1次空気を前記炉内に導入しかつ水分を加えて部分燃焼させるとともに、前記チップ状廃タイヤに含有された炭素および炭化水素成分の水蒸気改質反応、水性ガス化反応およびシフト反応をほぼ同時に行わせることにより、可燃性ガスを生成する一方、未燃カーボン(未燃固定炭素)は炭化物として副生する、
c) 前記炭化物中に含有されている鉄類を除去したのち、その炭化物を水または油と混合・撹拌してスラリー化し、スラリー状炭化物とする、
d) 前記可燃性ガスおよび前記スラリー状炭化物をそれぞれ前記蒸気ボイラの燃焼室内に送り込み2次空気を導入して完全燃焼させ、前記蒸気ボイラ内の水を水蒸気化して熱源にする、ことにより特定されることを特徴とする。
【0010】
上記の事項a)〜d)を備えた本発明に係る廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法によれば、上記事項a)により、チップ状に粉砕した廃タイヤを蒸気ボイラの燃料用原料として使用するが、特に小型の蒸気ボイラは廃タイヤの収集地の近くに数多く設置されており、チップ状に破砕する前の廃タイヤに比べて輸送が容易であり、輸送コストも大幅に低減され、輸送に際し化石燃料の使用量が少なくて済み、二酸化炭素の発生量を削減できる。なお、廃タイヤをチップ状に破砕する前に、できればビートワイヤーを除去しておくことが好ましい。
【0011】
また上記事項b)・c)・d)により、炉内でチップ状廃タイヤを、理論的に完全燃焼する空気量よりも少ない量の1次空気を加えると同時に水分を加えることで、部分燃焼させ、チップ状廃タイヤを所定の温度(例えば300〜550℃の温度)に加熱することで、廃タイヤに含有された炭素および炭化水素成分については、部分燃焼と同時に、水蒸気改質反応、シフト反応および水性ガス化反応によって可燃性ガスが生成される。一方、廃タイヤに多量に含有されている炭素成分としてのカーボンブラックはそのままで炭化物として残り、また廃タイヤに含有された炭化水素成分中の未燃カーボンも炭化物になる。さらに、廃タイヤをチップ状に破砕する前には除去しにくく、スチールワイヤーを編んでベルト状に構成したブレーカーコード(スチールコード)を、短寸に破砕した鉄類は、炭化物を粉砕する際に磁選機などの鉄除去装置で除去したのち、炭化物は水や油(廃油など)と均質に混合してスラリー化する。したがって、スラリー化した状態の炭化物は、ポンプ等で噴霧状に蒸気ボイラの燃焼室に送り込んで供給できるから、燃焼室内で拡散され、ガス化された可燃性ガスとともに、燃焼室内に導入される2次空気中の酸素と高効率で反応して高温(例えば1200℃前後の温度)で燃焼する。この結果、未燃物が少なく燃焼効率の高い燃料として汎用の小型蒸気ボイラで使用できるうえに、蒸気ボイラの燃焼室内では高温でかつ低空気比で燃焼され、熱効率を飛躍的に向上できるから、省エネルギー化が図られて地球温暖化も抑制されることになる。
【0012】
請求項2に記載のように、f) 前記炭化物を粉砕して微粉化し、この微粉炭化物を水または油と混合・撹拌してスラリー化し、スラリー状微粉炭化物とすることができる。
【0013】
このようにすれば、噴射ポンプを経由して蒸気ボイラの2次燃焼室内に噴霧して供給でき、燃焼室内に拡散されるから、燃焼性が向上する。
【0014】
請求項3に記載のように、g) 前記チップ状廃タイヤを、酸化鉄、酸化亜鉛またはその他の金属酸化物とともに前記ガス化・炭化炉内に投入することが好ましい。
【0015】
このようにすれば、廃タイヤ中に含有された硫黄分は、ガス化の過程で硫化水素が発生し、この硫化水素中の硫黄分が鉄や亜鉛などの金属に固定され、排ガス中から除去される。
【0016】
請求項4に記載されているように、h) 前記炭化物を粉砕する際、あるいは前記微粉炭化物または前記炭化物に水または油を混合・撹拌する際に、消石灰またはその他の脱硫剤(炭酸カルシウム、生石灰、活性炭、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなど)を混合することが好ましい。
【0017】
このようにすれば、燃料用原料としてのチップ状廃タイヤに含有されている硫黄分が脱硫剤と化学反応して除去されるので、人体に対しては健康障害を引き起こし、設備・機器に対しては腐食の進行を早める硫化水素の発生を低減し、蒸気ボイラの燃焼室から排出される排ガスが清浄化される。
【0018】
上記の課題を解決するために本発明(請求項5)に係る廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクルシステムは、
A) 廃タイヤをチップ状に破砕したチップ状廃タイヤを,蒸気ボイラの燃料として使用するためのシステムであって、
B) 水を供給して加熱し水蒸気にする蒸気ボイラと、
C) 前記チップ状廃タイヤを所定量貯留し、内燃式ガス化・炭化炉の投入口に一定量ずつ供給する原料供給手段と、
D) 円筒状ケーシング内の中心部軸方向にスクリューコンベヤを備え、前記円筒状ケーシング内に投入した前記チップ状廃タイヤを部分燃焼させるための空気供給手段とこの空気供給手段の近傍において前記円筒状ケーシング内に水分を噴射させるための水噴射手段とをそれぞれ設けた内燃式ガス化・炭化炉と、
E) 前記内燃式ガス化・炭化炉の周囲を取り囲み、前記内燃式ガス化・炭化炉をその起動時に加熱する起動用加熱手段と、
F) 前記内燃式ガス化・炭化炉の炭化物排出口に炭化物投入口が接続され、円筒状ケーシング内の中心部軸方向にスクリューコンベヤを備えるとともに、前記円筒状ケーシングの外周に冷却ジャケットを設け、前記内燃式ガス化・炭化炉内で炭化された炭化物を冷却して排出口より取り出す炭化物冷却コンベヤと、
G) 前記炭化物冷却コンベヤの排出口から取り出される炭化物を、前記蒸気ボイラの燃焼室に供給する炭化物供給路と、
H) 前記炭化物供給炉の途中に介設され、前記炭化物を水または油と混合して撹拌し、スラリー状炭化物にする混合機と、
I) 前記内燃式ガス化・炭化炉内で発生させた可燃性ガスを、前記蒸気ボイラの燃焼室にファン(循環ファンなど)を介して供給するガス供給路と、
J) 前記炭化物供給路の、前記混合機と前記蒸気ボイラの間に介設され,前記スラリー状炭化物を前記蒸気ボイラの燃焼室内に噴射させるポンプとを備えたことを特徴とする。
【0019】
上記の構成要素を備えた本発明に係る廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクルシステムによれば、上記の請求項1記載のサーマルリサイクル方法を確実に実施できるほか、固定炭素の含有率が高くかつ難燃性の廃タイヤを燃料用原料とする燃焼効率を向上させるとともに、蒸気ボイラの熱効率の向上が図れ、例えば従来の廃タイヤを燃料として使用する排熱ボイラと比較し、総合的な熱効率を飛躍的に向上できる。
【0020】
これらに加えて、
・廃タイヤのスチールワイヤーを編んでベルト状に構成したブレーカーコード(スチールコード)における鉄類を有価物として回収でき、また蒸気ボイラの燃焼室内でスラリー状微粉炭化物を完全燃焼させ、焼却灰として回収できる。
【0021】
・内燃式ガス化・炭化炉内で生じる廃タイヤの残渣である炭化物を、水や廃油などの油と混合してスラリー状にして蒸気ボイラの燃焼室に供給するので、燃焼速度が速い。
【0022】
・炭化物は、水や廃油などの油と混合撹拌してスラリー化した炭化物として使用するので、蒸気ボイラの燃焼室内に噴霧して供給でき、燃焼室内に拡散されるから、燃焼性が向上する。
【0023】
・内燃式ガス化・炭化炉内でのチップ状廃タイヤおよび蒸気ボイラの燃焼室内での炭化物のそれぞれの燃焼速度を高速化できるので、ガス化・炭化炉および燃焼室の容量を小さくして小型化を図れ、設備コストを削減できる。
【0024】
・サーマルリサイクルシステムの総合的な熱効率が高く、コストダウンが図れ、省エネ・省コスト化される。
【0025】
請求項6に記載のように、K) 前記炭化物冷却コンベヤの排出口の下流側で、前記炭化物供給路の途中に、前記炭化物を粉砕する粉砕機を設けることが望ましい。
【0026】
このようにすれば、内燃式ガス化・炭化炉内で生じる廃タイヤの残渣である炭化物の大きさが大きい場合に、粉砕機で粉砕して細かく微粉化し、水や廃油などの液体と混合してスラリー状にして蒸気ボイラの燃焼室に供給することができるので、燃焼速度が速い。また、微粉状の炭化物とすることで、水や廃油などの油と混合撹拌して均一にスラリー化することができるから、蒸気ボイラの燃焼室内に噴霧して供給でき、燃焼室内に拡散されるから、燃焼性が向上する。
【0027】
請求項7に記載のように、L) 前記蒸気ボイラの燃焼室から排出される排ガスの排気通路の末端に煙突を設け、その排気通路にバグフィルターとガス誘引ファン、あるいはバグフィルターと脱硫装置とガス誘引ファンを介設することができる。
【0028】
このようにすれば、排ガス中のダスト分がバグフィルターで回収、除去され、排ガスが清浄化される。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法および同サーマルリサイクルシステムには、つぎのような優れた効果がある。
【0030】
チップ状に破砕した廃タイヤをガス化して可燃性ガスとその残渣である炭化物とに分離して生成し、さらに炭化物はそのまま、あるいは微粉化して液体(水や油)と混合してスラリー化するので、可燃性ガスとスラリー状炭化物の両者を汎用性に富む特に小型の蒸気ボイラで未燃物が少なく燃焼効率の高い燃料として利用できる。また、従来の廃タイヤのままでの取り扱いに比べて取り扱いが容易になるので、現在は廃タイヤの収集運搬により発生している二酸化炭素量を大幅に削減でき、輸送コストを低減できる。さらに、可燃性ガスおよびスラリー状にした炭化物をボイラ燃料として使用するので、蒸気ボイラの燃焼室内では高温で低空気比を保った燃焼が可能になり、飛躍的に熱効率が向上して省エネルギー化が図れるとともに、地球温暖化を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクルシステムについて実施の形態を図面に基づいて説明し、併せて同サーマルリサイクル方法についても説明する。
【0032】
図1は内燃式ガス化・炭化炉を用いた汎用小型蒸気ボイラ用の廃タイヤ燃料化サーマルリサイクルシステムの実施例を示す全体概要図である。図2は汎用小型蒸気ボイラ用の廃タイヤ燃料化サーマルリサイクルシステムの実施例を簡略化して示すフロー図である。
【0033】
図1に示すように、本サーマルリサイクルシステム1では、ビートワイヤーを除去した状態でチップ状(数mm〜数十mmの大きさ、例えば2mm〜30mmあるいは4mm〜35mm)に破砕したチップ状廃タイヤAを、燃料用原料として廃タイヤ処理メーカーから有価で購入して使用する。その他、例えば木材のほか、木材ペレット、プラスチック、RDF、RPFを使用することができる。同システム1は、内燃式ガス化・炭化炉としてのガス化・炭化用スクリューコンベヤ2および同スクリューコンベヤ2の周囲を取り囲む起動用加熱手段としての熱ガス通路3および炭化物冷却用スクリューコンベヤ(炭化物冷却コンベヤ)4などの燃料化装置、粉砕機6などの炭化物Bを微粉状に粉砕する装置、混合機7などの微粉状炭化物Cを水や廃油などの液体と混合してスラリー状炭化物C’とする装置、ならびに汎用小型蒸気ボイラ5などのボイラを主要構成機器として備えている。
【0034】
ガス化・炭化用スクリューコンベヤ2は、水平に配置される円筒状ケーシング2a内の中心部軸方向に回転軸2hと一体回転するスクリュー2bを回転可能に配備し、円筒状ケーシング2aの一端に配置した駆動モータ21でスクリュー2bの回転軸2hを回転する構造からなる。円筒状ケーシング2aの端部(最上流端)における燃料用原料の投入口2dには、チップ状廃タイヤAを所定量貯留するホッパー22とこのホッパー22の下端排出口に接続される切り出し装置23とで構成される、チップ状廃タイヤ(燃料用原料)Aの供給手段が接続されている。円筒状ケーシング2aの端部の投入口2dの近傍に、1次空気の複数の給気口2cと複数の水噴射口2fとが長手方向に間隔をあけて設けられ、これらの給気口2cと水噴射口2fとから炉2内に1次空気と水がほぼ全長にわたって導入される。スクリュー2bと円筒状ケーシング2aの内周壁との間には、必要なクリアランス(空間)(図示せず)が設けられており、この空間を部分燃焼用の1次空気と水(水蒸気)と可燃性ガスとが上流側から下流側にわたり流通する。
【0035】
熱ガス通路3の主要部3Aは、ガス化・炭化炉であるスクリューコンベヤ2の周囲を取り囲むようにスクリューコンベヤ2に比べて口径のより大きな円筒状ケーシングで構成され、円筒状ケーシング3A内を熱ガスが上流から下流へ流れた後、熱ガス出口2gから排気路19を通って排気通路15へ送られて排出されるもので、熱ガスによって起動時にだけスクリューコンベヤ2内を外部から加熱し、スクリューコンベヤ2内に投入されるチップ状廃タイヤAを自己燃焼可能な状態にする。本例では、円筒状ケーシング2aの最上流側給気口2cより下流側の周囲が、熱ガス通路3の円筒状ケーシング3Aにより取り囲まれている。この円筒状ケーシング3A内は、上流側から仕切り壁24で上部室、下部室、上部室の順に本例では5室に仕切られ、上流側上部室3a、同下部室3b、中流部上部室3c、下流側下部室3d、下流側上部室3eの順に連通している。また、下流側上部室3eを貫通するかたちで可燃性ガス排出口2eが設けられており、外部設置の循環ファン27への可燃性ガス供給路20が設けられている。さらに、円筒状ケーシング2aの各給気口2cの近傍にはそれぞれ水噴射口2fが熱ガス通路3とは独立して設けられ、また同下流側には可燃性ガスGの排気口2eが熱ガス通路3とは独立して設けられ、循環ファン27を経由して可燃性ガス供給路20により蒸気ボイラ5の2次燃焼室5aに接続されている。なお、図1中の符号13は、蒸気ボイラ5と熱ガス通路3とを接続する熱ガス供給路である。
【0036】
炭化物冷却用スクリューコンベヤ4は、上流端から下流端にかけ上向きに傾斜して配置される円筒状ケーシング4a内の中心部軸方向に回転軸4hと一体回転するスクリュー4bを備え、円筒状ケーシング4a端部の駆動モータ26でスクリュー4bの回転軸4hを回転する構造からなり、円筒状ケーシング4aの外周面に冷却ジャケット4eを一体に設けている。炭化物冷却用スクリューコンベヤ4の最上流端部に炭化物Bの投入口4cが設けられ、ガス化・炭化用スクリューコンベヤ2の最下流端における炭化物Bの排出口2iから下向きに垂下させた炭化物供給路11の下端が投入口4cに接続されている。また、スクリューコンベヤ4の最下流端部には炭化物Bの取り出し口4dが下向きに設けられ、この取り出し口4dの下方には、切り出し装置12を介してハンマーミルなどの粉砕機6が設置されている。この粉砕機6の入口付近には、例えばドラム型の磁選機8が設置され、炭化物B内に含まれる鉄類を除去する。除去する鉄類はスチールワイヤーからなるベルト状のブレーカーコード(スチールコード)が破砕機(図示せず)で短く裁断されたもので、ビートワイヤーと違って破砕前にあらかじめ除去しにくいものである。
【0037】
蒸気ボイラ5には、例えば汎用の小型の水管ボイラを使用できるもので、蒸気ボイラ5の本体と一体の2次燃焼室5aは、ガス化・炭化用スクリューコンベヤ2の円筒状ケーシング2aの下流側に設けられた、可燃性ガスGの排出口2eと循環ファン27を経由して可燃性ガス供給路20により2次燃焼室5aと接続され、チップ状廃タイヤAから生成された可燃性ガスGが、ガス状燃料として燃焼室5aに供給される。また、同時に残渣である炭化物Bを粉砕して微粉化した微粉状炭化物Cも、燃焼室5a内にスラリー状燃料として供給される。このため、粉砕機6から微粉状炭化物Cを燃焼室5a内に供給するための燃料供給路14が燃焼室5aに接続されている。また、燃料供給路14の途中には、混合機7および微粉状炭化物C’を燃焼室5aに噴射して供給するための噴射ポンプ9が順に介設されている。混合機7は消石灰を混合して溶解する溶解槽7a内に、撹拌翼7bを回転可能に配設し、駆動モータ7cで回転させる構造からなる。混合機7の混合槽7aには粉砕機6から微粉状炭化物Cが所定量ずつ供給された状態で、水や廃油その他の液体が注入され、また消石灰が投入される。そして、混合機7では、微粉状炭化物Cが回転する撹拌翼7bによって均一に混合されてスラリー化されたスラリー状微粉炭化物C’となる。このスラリー状微粉炭化物C’が燃焼室5a内に噴霧状態で供給される。燃焼室5a内には2次空気が空気導入口5bより十分に供給され、可燃性ガスGとともにスラリー状微粉炭化物C’が完全燃焼する。この完全燃焼した排ガスHで蒸気ボイラ5内に設置される水管内に供給される水が高温で加熱され、水蒸気となり、工場などの熱源として利用される。
【0038】
燃焼室5aからの排ガスHは、蒸気ボイラ5を経由した後に排気口5cから排気通路15を経由し、さらに浄化処理装置16を経由して末端の煙突18から排出される。浄化処理装置として例えばパルスジェット式のバグフィルタ16が排ガス誘引ファン17とともに、排気通路15に介設されている。また、誘引ファン17は蒸気ボイラ5の燃焼室5a内のガスを吸引し、スクリューコンベヤ2内を負圧にする役目を担っている。
【0039】
以上のようにして本実施例のサーマルリサイクルシステム1が構成されるが、続いてそのサーマルリサイクルシステム1による使用態様についてサーマルリサイクル方法と併せて詳しく説明する。
【0040】
図1において、本例ではあらかじめビートワイヤーを除去した状態で破砕したチップ状廃タイヤAが有価で購入され、燃料用原料としてホッパー22に投入される。ホッパー22内に投入された燃料用原料Aは、定量ずつ切り出されてガス化・炭化用スクリューコンベヤ2の投入口2dから円筒状ケーシング2a内に投入される。燃料用原料Aが円筒状ケーシング2a内に最初に投入されるときは、すなわち運転開始時(起動時)には、蒸気ボイラ5のバーナー25で燃料油またはガス燃料を燃焼させることで熱ガスを発生させ、熱ガス通路13を経由させてこの熱ガスにて熱ガス通路3内を所定温度(例えば300℃前後)まで加熱すると、円筒状コンベヤ2a内に投入されたチップ状廃タイヤA中の炭化水素成分がガス化され、可燃性ガスGの発生が始まる。
【0041】
そして、ガス化・炭化用スクリューコンベヤ2内に投入された燃料用原料であるチップ状廃タイヤAが自己燃焼状態(外部の熱により加熱されて燃焼するのではなく、自ら燃焼する状態)で、複数の給気口2cから1次空気を理論的に完全燃焼する空気量よりも少ない量だけ導入すると同時に、水噴射口2fから水を注入することで、その水が炉2内の熱で蒸気化されることにより、チップ状廃タイヤAが部分燃焼すると同時に、チップ状廃タイヤA中に含有された炭素と炭化水素成分は、水蒸気改質反応、シフト反応および水性ガス化反応することによってガス化され、可燃性ガスGが生成される。
【0042】
このようにして、チップ状廃タイヤAをスクリューコンベヤ2内で自己燃焼させることで、円筒状ケーシング2a内の温度を必要な温度に維持することができる。つまり、チップ状廃タイヤAが1次空気の導入と同時に、炉2内に水が注入され蒸気化されて発生した水蒸気を供給することで、部分燃焼と同時に水蒸気改質反応、シフト反応および水性ガス化反応を行うことによって、円筒状ケーシング2a内においてチップ状廃タイヤAが自己燃焼状態おいて必要な温度に保たれるので、燃焼室5aのバーナー25による加熱を中止する。チップ状廃タイヤAは円筒状ケーシング2a内を搬送される間に、温度が上昇(例えば300〜500℃前後、最終的に550℃程度まで)し、廃タイヤAに含有されている炭素と炭化水素成分は、部分燃焼と同時に水蒸気改質反応(下記の1)式)と水性ガス化反応(下記の2)式)とシフト反応(下記の3)式)とがほぼ同時に起こって可燃性ガスGが生成される。この可燃性ガスGは、蒸気ボイラ5の2次燃焼室5aへ可燃性ガス供給路20を通って送られ、燃焼室5a内で酸素と結合することにより燃焼し、高い熱量を発生する。なお、下記の3)式は、可燃性ガスGが燃焼する際の、シフト反応を表している。
(化1)
1)炭化水素原料の水蒸気改質反応
CnHm+nHO⇔nCO+(n+m/2)H
2)水性ガス化反応
C+HO⇔CO+H
3)シフト反応
CO+HO⇔CO+H

チップ状廃タイヤAは円筒状ケーシング2a内を下流側へ搬送される間に、ガス化され可燃性ガスGとなる一方、廃タイヤAに多量に含有されている炭素成分としてのカーボンブラックはそのままで炭化物Bとして残り、また廃タイヤA中に含有されている炭素成分中の未燃カーボンが炭化物Bになる。この炭化物Bの温度は500℃前後に上昇しているので、スクリューコンベヤ2の排出口2iから炭化物供給路11を通って投入口4cより冷却用スクリューコンベヤ4内に投入され、常温付近まで冷却される。そして、炭化物Bは取り出し口4dから取り出され、切り出し装置12にて切り出される。炭化物Bには裁断された鉄類が含まれているので、磁選機8(図2参照)にかけて鉄類を除去したのち、炭化物Bを粉砕機6に投入して微粉状に粉砕する。
【0043】
粉砕化された微粉状炭化物Cは、燃料供給路14により混合機7の溶解槽7a内に供給する。ここで、水または廃油を注入するとともに、消石灰を溶解槽7a内に混合して溶解する。そして、溶解槽7a内で撹拌翼7bを回転することにより、消石灰が溶解して微粉状炭化物Cと混合され、微粉状炭化物C中の硫黄分が脱硫化される。また、混合槽7a内で、微粉状炭化物Cが回転する撹拌翼7bによって水または廃油と均一に混合されてスラリー化し、スラリー状微粉炭化物C’となる。このようにしてスラリー化した状態のスラリー状微粉炭化物C’は、噴射ポンプ9により蒸気ボイラ5の燃焼室5a内に噴射して供給される。スラリー状微粉炭化物C’は燃焼室5a内で拡散され、可燃性ガス供給路20を通って燃焼室5a内に供給された可燃性ガスGおよび空気導入口5bから供給された2次空気とともに高温(例えば1200℃前後)で燃焼する。この結果、微粉状炭化物Cを未燃物が少なく燃焼効率の高い燃料として汎用の特に小型の蒸気ボイラ5で使用できるうえに、蒸気ボイラ5の燃焼室5a内では高温でかつ低空気比での燃焼が達成され、熱効率が飛躍的に向上するから、省エネルギー化が図られ、経済的である。
【0044】
このようにして、微粉状炭化物Cが可燃性ガスGとともに完全燃焼し、その排ガスで蒸気ボイラ5内に設置された水管内に供給される水を高温で加熱し、蒸気化することができる。排気口5cから排出される排ガスHは、排気通路15を通って誘引ファン17にて吸引され、排ガスH中のダストがバグフィルター16でろ過されて回収され、浄化された排ガスH’が煙突18から大気中に放出される。一方、誘引ファン17にて、排気通路15内、蒸気ボイラ5の燃焼室5a内および熱ガス通路3内が連続して吸引されて負圧になる。また、熱ガス通路3内が負圧になることで、スクリューコンベヤ2内も負圧状態に維持される。
【0045】
以上に本発明のサーマルリサイクルシステム1の実施例について説明したが、本発明のサーマルリサイクルシステム1はつぎのように実施することもできる。
・上記実施例では、起動時にだけガス化・炭化用スクリューコンベヤ2の外側の熱ガス通路3で円筒状ケーシング2a内を外側から加熱する構造の外熱式炉を備えているが、例えば、中空の回転軸2h(図1参照)内を起動時に加熱してガス化および炭化する内熱式炉を使用することができる。
・排ガスの浄化処理装置には、バグフィルター16のほか、例えばサイクロン、スクラバーがある。
・上記例では、炭化物Bを粉砕機6で粉砕し微粉化して微粉状炭化物Cにして燃料として利用するが、製造される炭化物Bの大きさが小さい場合には、粉砕は不要であり、したがって粉砕機6も必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の、内燃式ガス化・炭化炉を用いた汎用小型蒸気ボイラ用の廃タイヤ燃料化サーマルリサイクルシステムの実施例を示す全体概要図である。
【図2】汎用小型蒸気ボイラ用の廃タイヤ燃料化サーマルリサイクルシステムの実施例を簡略化して示すフロー図である。
【図3】従来の排熱ボイラ用の廃タイヤ燃料化システムを示すフロー図である。
【符号の説明】
【0047】
1 サーマルリサイクルシステム
2 ガス化・炭化用スクリューコンベヤ(内燃式ガス化・炭化炉)
2a 円筒状ケーシング
2bスクリューコンベヤ
2c給気口
2d投入口
2e可燃性ガス排出口
2h回転軸
2f水噴射口
2g熱ガス排気口
2i排出口
3 熱ガス通路(起動用加熱手段)
3A熱ガス通路の主要部(円筒状ケーシング)
3a上流側上部室
3b上流側下部室
3c中流部上部室
3d下流側下部室
3e下流側上部室
4 炭化物冷却用スクリューコンベヤ(炭化物冷却コンベヤ)
4a円筒状ケーシング
4bスクリューコンベヤ
4c投入口
4d取り出し口
4e冷却ジャケット
5 蒸気ボイラ
5a燃焼室
5b空気導入口
5c排気口
6 粉砕機
7 混合機
7a混合槽
7b撹拌翼
7c駆動モータ
8 磁選機(鉄類除去装置)
9 噴射ポンプ
11 炭化物供給路
12 切り出し装置
13 熱ガス供給路
14 燃料供給路
15 排気通路
16 バグフィルター
17 誘引ファン
18 煙突
19 熱ガス排気路
20 可燃性ガス供給路
21 駆動モータ
22 ホッパー
23 切り出し装置
24 仕切り壁
25 起動用バーナー
26 駆動モータ
27 循環ファン
A チップ状廃タイヤ(燃料用原料)
B 炭化物
C 微粉状炭化物
C’スラリー状微粉炭化物
G 可燃性ガス
H.H’排ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃タイヤをチップ状に破砕し蒸気ボイラの燃料用原料として使用するリサイクル方法であって、
下記の事項a)〜c)により特定されることを特徴とする廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法。
a) 前記チップ状廃タイヤをガス化・炭化炉内に投入し、1次空気を前記炉内に導入しかつ水分を加えて部分燃焼させるとともに、前記チップ状廃タイヤに含有された炭素および炭化水素成分の水蒸気改質反応、水性ガス化反応およびシフト反応をほぼ同時に行わせることにより、可燃性ガスを生成する一方、未燃カーボンは炭化物として副生する、
b) 前記炭化物中に含有されている鉄類を除去したのち、その炭化物を水または油と混合・撹拌してスラリー化し、スラリー状炭化物とする、
c) 前記可燃性ガスおよび前記スラリー状炭化物をそれぞれ前記蒸気ボイラの燃焼室内に送り込み2次空気を導入して完全燃焼させ、前記蒸気ボイラ内の水を水蒸気化して熱源にする。
【請求項2】
d) 前記炭化物を粉砕して微粉化し、この微粉炭化物を水または油と混合・撹拌してスラリー化し、スラリー状微粉炭化物とすることを特徴とする請求項1記載の廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法。
【請求項3】
e) 前記チップ状廃タイヤを、酸化鉄、酸化亜鉛またはその他の金属酸化物とともに前記ガス化・炭化炉内に投入することを特徴とする請求項1または請求項2記載の廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法。
【請求項4】
f) 前記炭化物を粉砕する際、あるいは前記微粉炭化物または前記炭化物に水または油を混合・撹拌する際に、消石灰またはその他の脱硫剤を混合することを特徴とする請求項2記載の廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクル方法。
【請求項5】
廃タイヤをチップ状に破砕したチップ状廃タイヤを,蒸気ボイラの燃料として使用するためのシステムであって、
水を供給して加熱し水蒸気にする蒸気ボイラと、
前記チップ状廃タイヤを所定量貯留し、内燃式ガス化・炭化炉の投入口に一定量ずつ供給する原料供給手段と、
円筒状ケーシング内の中心部軸方向にスクリューコンベヤを備え、前記円筒状ケーシング内に投入した前記チップ状廃タイヤを部分燃焼させるための空気供給手段とこの空気供給手段の近傍において前記円筒状ケーシング内に水分を噴射させるための水噴射手段とをそれぞれ設けた内燃式ガス化・炭化炉と、
前記内燃式ガス化・炭化炉の周囲を取り囲み、前記内燃式ガス化・炭化炉をその起動時に加熱する起動用加熱手段と、
前記内燃式ガス化・炭化炉の炭化物排出口に炭化物投入口が接続され、円筒状ケーシング内の中心部軸方向にスクリューコンベヤを備えるとともに、前記円筒状ケーシングの外周に冷却ジャケットを設け、前記内燃式ガス化・炭化炉内で炭化された炭化物を冷却して排出口より取り出す炭化物冷却コンベヤと、
前記炭化物冷却コンベヤの排出口から取り出される炭化物を、前記蒸気ボイラの燃焼室に供給する炭化物供給路と、
前記炭化物供給炉の途中に介設され、前記炭化物を水または油と混合して撹拌し、スラリー状炭化物にする混合機と、
前記内燃式ガス化・炭化炉内で発生させた可燃性ガスを、前記蒸気ボイラの燃焼室にファンを介して供給するガス供給路と、
前記炭化物供給路の、前記混合機と前記蒸気ボイラの間に介設され,前記スラリー状炭化物を前記蒸気ボイラの燃焼室内に噴射させるポンプとを備えたことを特徴とする廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクルシステム。
【請求項6】
前記炭化物冷却コンベヤの排出口の下流側で、前記炭化物供給路の途中に、前記炭化物を粉砕する粉砕機を設けたことを特徴とする請求項5記載の廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクルシステム。
【請求項7】
前記蒸気ボイラの燃焼室から排出される排ガスの排気通路の末端に煙突を設け、その排気通路にバグフィルターとガス誘引ファン、あるいはバグフィルターと脱硫装置とガス誘引ファンを介設したことを特徴とする請求項5または6記載の廃タイヤの燃料化によるサーマルリサイクルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−300006(P2009−300006A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155622(P2008−155622)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(308007505)カワサキプラントシステムズ株式会社 (51)
【Fターム(参考)】