説明

廃棄物処分場等の遮水構造

【課題】 接合強度の向上、及び経済性の向上を図り、確実に漏水を防止する。
【解決手段】 表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部19の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シート17の凸部先端19aと、第一の遮水シート11とを加熱溶融にて接合して第一シート1を形成し、他の凹凸シート17の凸部先端19aと、第二の遮水シート13とを加熱溶融にて接合して第二シート3を形成し、第一シート1と第二シート3とを、それぞれの凹凸シート17,17の凹21凸19が相互に嵌るように合わせて接着剤にて接合するとともに、凹凸シート17,17によって形成される第一,第二の遮水シート11,13の間の空間部23に、液状修復材25が所定の加圧状態で充填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処分場の地面、貯水池の底面、建物の屋上面等の被覆に用いて好適な二重遮水シートを用いた廃棄物処分場等の遮水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば廃棄物を埋め立てて処分する廃棄物処分場は、埋め立てた廃棄物からの有毒な汚染水が地面に漏出しないように遮水シートを敷設する。従来、この種の遮水シートには、例えば断面波形の凹凸シートの表裏を基材シートで挟んだ積層構造のものがある。この遮水シートは、表裏の基材シートのそれぞれに、加熱溶融接着剤を塗布し、凹凸シートを挟んだ状態で加熱することで、凹凸シートの表裏面に基材シートを接合していた。すなわち、凹凸シートは、凸部先端が加熱溶融接着剤によって基材シートに接合される。したがって、遮水シートは、凹凸シートを挟んで二枚の基材シートを有することとなり、仮に一方の基材シートに穿孔が生じても、他方の基材シートによって漏水が阻止され、二重に防水効果が得られるようになっており、また、凹凸シートを備えることで、潰れ方向に十分な耐力を有し、緩衝効果などを得ることが可能となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の廃棄物処分場等に使用される上記した遮水シートは、平滑な基材シートに塗布した加熱溶融接着剤により、凹凸シートの凸部を局所的に接着固定していたため、基材シートと凹凸シートの接合強度が弱く、遮水シートを斜面に敷設した場合、堆積物の荷重により、接着強度の弱い接合部が剥がれ、下面側の基材シートと上面側の基材シートに、面方向と平行な方向にずれの生じる虞があった。
【0004】
また、基材シートと凹凸シートとを接着する場合、凹凸シートの凸部に合わせて加熱溶融接着剤を塗布することは困難であり、従来では基材シートの略全面に加熱溶融接着剤を塗布していた。このため、凸部に相当する以外の不要部分、すなわち、凹部に相当する部分にも加熱溶融接着剤が塗布されることとなり、不経済であるとともに、製造コストが増大した。
【0005】
これに対して、凹凸シートに加熱溶融接着剤を塗布すれば、基材シートに接触しない凹部にも加熱溶融接着剤が流入することとなり、加熱溶融接着剤が多量に必要となって、これによっても製造コストが増大した。
【0006】
また、基材シートと凹凸シートとを熱風溶着する方法もあるが、凹凸シートが薄い場合には余計な熱が凹凸シートに加わり、凹凸形状が変形する問題があった。この一方で、熱風溶着の場合、凹凸シートが低温であると溶着不良が発生した。つまり、熱風溶着の場合、高度な温度管理下においても、溶着ムラを回避することが困難であった。
【0007】
さらに、上述した従来の遮水シートでは、上記したように一方の基材シートに穿孔が生じた場合に、遮水構造として修復を行わなければならず、その破損個所の検知を行い、そして基材シートの修復、例えば二枚の基材シート間にセメント等のグラウト注入等を行うなど煩雑なものであった。
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、不経済な接着剤の塗布をなくし、かつ確実に接合されて、接合強度の向上、及び経済性の向上を図られた二重遮水シートを用い、廃棄物処分場等に敷設して、確実に漏水を阻止することのできる廃棄物処分場等の遮水構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の廃棄物処分場等の遮水構造は、廃棄物等からの浸出水を漏出防止する廃棄物処分場等の遮水構造において、
第一の遮水シート11と、第二の遮水シート13とで上面及び下面を構成するとともに、これら遮水シート11,13の間に、表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部19の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シート17が、前記遮水シート11,13に対して部分的或いは全体的な配置位置となって、前記凸部19の先端19aに接合されて積層構成され、前記凹凸シート17の配設される前記第一の遮水シート11と第二の遮水シート13との間である空間部23に、液状修復材25が所定の加圧状態で充填される二重遮水シートが、前記廃棄物処分場等の地盤上に敷設されることを特徴とする。
【0010】
この廃棄物処分場等の遮水構造では、地盤上に敷設される二重遮水シートが、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13との間に凹凸シート17が部分的或いは全体的に接合されて積層形成され、これにより厚み方向の圧縮強度が高まるとともに、この凹凸シート17の配設される両シート11,13間の空間部23に、液状修復材25を所定の加圧状態として充填されることによって、遮水シート11(13)が破損するようなことがあっても、その破損個所にて液状修復材25が流出し、その流出個所にて破損を閉塞して自己修復をすることとなり、すなわち、浸出水の処分場等の外部への流出を防止することとなる。なお、二重遮水シートは、処分場等の地盤に、所定の区画毎、例えば700m2毎に区画されて構成され、その区画の範囲内で、自己修復が行われ、またその区画毎で、液状修復材の補充や、遮水シートの点検などが行われる。
【0011】
本発明の請求項2記載の廃棄物処分場等の遮水構造は、廃棄物等からの浸出水を漏出防止する廃棄物処分場等の遮水構造であって、
表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部19の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シート17の前記凸部19の先端19aと、両面が平坦な第一の遮水シート11とを加熱溶融にて接合して第一シート1を形成し、
他の凹凸シート17の凸部先端19aと、両面が平坦な第二の遮水シート13とを加熱溶融にて接合して第二シート3を形成し、
前記第一シート1と前記第二シート3とを、それぞれの前記凹凸シート17,17の凹21凸19が相互に嵌るように合わせて接着剤にて接合するとともに、
前記凹凸シート17,17によって形成される前記第一の遮水シート11と第二の遮水シート13との間である空間部23に、液状修復材25が所定の加圧状態で充填される二重遮水シート100が、
前記廃棄物処分場等の地盤上に敷設されることを特徴とする。
【0012】
この廃棄物処分場等の遮水構造では、地盤上に敷設される二重遮水シート100が、第一シート1と第二シート3の凹凸シート17,17が、互いに凹凸21,19を嵌め合わせて接合され、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13のそれぞれに作用する面方向に沿う逆向きの力、すなわち、ずれ方向の力に対する強度が高まる。また、凹凸シート17が二重に重ね合わされ、二重遮水シート100の厚み方向の圧縮強度が高まる。さらに、両シート11,13間の接着強度の向上により、両シート11,13間が拡がってしまうような不具合の発生を抑えることが可能となる。このことから、両シート11,13間の空間部23に充填される液状修復材25を所定の加圧状態としてもシート11,13,17同士の接着の剥離などを起こさずに二重遮水シート100を構成でき、そして、この充填される液状修復材25によって、遮水シート11(13)が破損するようなことがあっても、その破損個所にて液状修復材25が流出し、その流出個所にて破損を閉塞して自己修復をすることとなり、すなわち、浸出水の処分場等の外部への流出を防止することとなる。なお、二重遮水シートは、処分場等の地盤に、所定の区画毎、例えば700m2毎に区画されて構成され、その区画の範囲内で、自己修復が行われ、またその区画毎で、液状修復材の補充や、遮水シートの点検などが行われる。
【0013】
請求項3記載の廃棄物処分場等の遮水構造は、廃棄物等からの浸出水を漏出防止する廃棄物処分場等の遮水構造であって、
表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部19の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シート17の一方の面17aの凸部19の先端19aと補助シート15とを加熱溶融にて接合するとともに、
前記凹凸シート17の他方の面17bの凸部19と両面が平坦な第一の遮水シート11とを加熱溶融にて接合し、
前記補助シート15と両面が平坦な第二の遮水シート13とを加熱溶融にて接合し、
前記凹凸シート17によって形成される前記第一の遮水シート11と第二の遮水シート13との間である空間部23に、液状修復材25が所定の加圧状態で充填される二重遮水シート101が、
前記廃棄物処分場等の地盤上に敷設されることを特徴とする。
【0014】
また請求項4記載の廃棄物処分場等の遮水構造は、前記補助シート15の面積が、前記凹凸シート17の面積の30〜70%とされることを特徴とする。
なお、前記補助シート15は、少なくとも1枚、好ましくは複数で構成され、例えば帯状に形成されて複数の帯状補助シート15を間隔をあけて並列させる構成や、凹凸シート17の一方の面に略同等の大きさで構成されるとともに、凹凸シート17が表出する穴部が適宜貫通形成されて接合される構成などとしてもよい。
【0015】
この廃棄物処分場等の遮水構造では、二重遮水シート101が、第一の遮水シート11は凹凸シート17に接合され、第二の遮水シート13は補助シート15に接合され、この第二の遮水シート13は補助シート15を介して凹凸シート17に接合される。補助シート15は、例えば複数で構成され、凹凸シート17の一方の面17aにおいて各凸部19に対して接合されており、第一の遮水シート11は、補助シート15の接合される位置を除いた凹凸シート17の他方の面17bの凸部19に対して接合される。そして、第二の遮水シート13は、補助シート15の面15aに対して面同士の接合が行われる。特に、凹凸シート17の各凸部19との接合、及び補助シート15と第二の遮水シートとの接合に加熱手段を用いた加熱溶融接合とされているとともに、補助シート15の面積を凹凸シート17の面積の30〜70%としていることで、互いの接合が確実に密着される接合となり、これにより互いの剥離強度を大きくすることが可能となり、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13との間隔が拡がってしまうような不具合の発生を防ぐことができるとともに、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13のそれぞれに作用する面方向に沿う逆向きの力、すなわち、ずれ方向の力に対する強度が高まることとなる。このことから、両シート11,13間の空間部23に充填される液状修復材25を所定の加圧状態としてもシート11,13,15,17同士の接着の剥離などを起こさずに二重遮水シート101を構成でき、そして、この充填される液状修復材25によって、遮水シート11(13)が破損するようなことがあっても、その破損個所にて液状修復材25が流出し、その流出個所にて破損を閉塞して自己修復をすることとなり、すなわち、浸出水の処分場外への流出を防止することとなる。なお、二重遮水シートは、処分場等の地盤に、所定の区画毎、例えば700m2毎に区画されて構成され、その区画の範囲内で、自己修復が行われ、またその区画毎で、液状修復材の補充や、遮水シートの点検などが行われる。
【0016】
請求項5記載の廃棄物処分場等の遮水構造は、前記液状修復材25が、コロイド溶液よりなることを特徴とする。
【0017】
この廃棄物処分場等の遮水構造における二重遮水シートによれば、両シート11,13間の空間部23に充填される液状修復材であるコロイド溶液25によって、遮水シート11(13)が破損するようなことがあっても、その破損個所にてコロイド溶液25が流出し、その流出個所におけるシート外方の土粒子等によって泥壁等を構成して破損を閉塞し、自己修復をすることとなり、すなわち、浸出水の処分場外への流出を防止することとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る請求項1記載の廃棄物処分場等の遮水構造によれば、地盤上に敷設される二重遮水シートが、第一の遮水シートと第二の遮水シートとの間に凹凸シートが部分的或いは全体的に接合されて積層形成され、これにより厚み方向の圧縮強度が高まるとともに、この凹凸シートの配設される両シート間の空間部に、液状修復材を所定の加圧状態として充填されることによって、遮水シートが破損するようなことがあっても、その破損個所にて液状修復材が流出し、その流出個所にて破損を閉塞して自己修復をすることとなり、すなわち、浸出水の処分場等の外部への流出を防止することとなる。
【0019】
本発明に係る請求項2記載の廃棄物処分場等の遮水構造によれば、地盤上に敷設される二重遮水シートが、第一シートと第二シートのそれぞれの凹凸シートが、互いに凹凸を嵌め合わせて接合されるので、第一の遮水シートと第二の遮水シートのそれぞれに作用する面方向に沿う逆向きの力、すなわち、ずれ方向の力に対する強度が高まる。また、凹凸シートが二重に重ね合わされ、二重遮水シートの厚み方向の圧縮強度が高まる。さらに、両シート間の接着強度の向上により、両シート間が拡がってしまうような不具合の発生を抑えることが可能となる。このことから、両シート間の空間部に充填される液状修復材を所定の加圧状態としても各シート同士の接着の剥離などを起こさずに二重遮水シートを構成でき、そして、この充填される液状修復材によって、遮水シートが破損するようなことがあっても、その破損個所にて液状修復材が流出し、その流出個所にて破損を閉塞して自己修復をすることとなり、すなわち、浸出水の処分場等の外部への流出を防止することとなる。
【0020】
請求項3記載の廃棄物処分場等の遮水構造によれば、地盤上に敷設される二重遮水シートが、第一の遮水シートは凹凸シートに接合され、第二の遮水シートは補助シートに接合され、この第二の遮水シートは補助シートを介して凹凸シートに接合される。第一の遮水シートは、補助シートの接合される位置を除いた凹凸シートの他方の面の凸部に対して接合され、第二の遮水シートは、補助シートの面に対して面同士の接合が行われる。特に、凹凸シートの各凸部との接合に加熱手段を用いた加熱溶融接合とされていることで、互いの接合が確実に密着される接合となり、これにより互いの剥離強度を大きくすることが可能となり、第一の遮水シートと第二の遮水シートとの間隔が拡がってしまうような不具合の発生を防ぐことができるとともに、第一の遮水シートと第二の遮水シートのそれぞれに作用する面方向に沿う逆向きの力、すなわち、ずれ方向の力に対する強度が高まることとなる。このことから、両シート間の空間部に充填される液状修復材を所定の加圧状態としてもシート同士の接着の剥離などを起こさずに二重遮水シートを構成でき、そして、この充填される液状修復材によって、遮水シートが破損するようなことがあっても、その破損個所にて液状修復材が流出し、その流出個所にて破損を閉塞して自己修復をすることとなり、すなわち、浸出水の処分場等の外部への流出を防止することとなる。
【0021】
請求項4記載の廃棄物処分場等の遮水構造によれば、地盤上に敷設される二重遮水シートが、補助シートの面積が凹凸シートの面積の30〜70%とされ、例えばこの補助シートは、少なくとも1枚、好ましくは複数で構成されて、例えば帯状に形成されて複数の帯状とされる場合には補助シートを間隔をあけて並列させる構成とすることができ、また、凹凸シートの一方の面に略同等の大きさで構成されるとともに、凹凸シートが一部或いは複数箇所で表出する穴部が適宜貫通形成されて接合される構成などとしてもよく、この補助シートを介在させることで、第一,第二の遮水シート、凹凸シートを確実に互いに加熱溶融による接合ができることとなる。
【0022】
請求項5記載の廃棄物処分場等の遮水構造によれば、地盤上に敷設される二重遮水シートが、第一,第二の遮水シート間の空間部に充填される液状修復材であるコロイド溶液によって、遮水シートが破損するようなことがあっても、その破損個所にてコロイド溶液が流出し、その流出個所におけるシート外方の土粒子等によって泥壁等を構成して破損を閉塞し、自己修復をすることとなり、すなわち、浸出水の処分場外への流出を防止することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る廃棄物処分場等の遮水構造の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
第一の実施の形態
図1は本発明の第一の実施の形態に係る廃棄物処分場等の遮水構造に用いられる二重遮水シートの断面図、図2は同二重遮水シートの分解斜視図である。
この第一の実施の形態による二重遮水シート100は、第一シート1と、第二シート3とを接合した積層構造を有する。第一シート1は、表裏面が平滑な第一の遮水シート11の一方の面に、凹凸シート17を接合してなる。凹凸シート17は、表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部19の端面が間隔をあけられた面上に存在する構成とされ、別言すると、一方の面17aに、複数の凸部19が縦横所定間隔で形成されるとともに、この凸部19同士の間が凹部21となり、他方の面17bでは凸部19が凹部21となり、凹部21同士の間が凸部19となる構造となっている。
【0024】
第一シート1は、凹凸シート17の凸部端面である先端19aを第一の遮水シート11に加熱溶融して接合される。第二シート3も第一シート1と同様にして形成される。すなわち、第二シート3は、他の凹凸シート17を、第二の遮水シート13に接合して形成される。
【0025】
第一の遮水シート11、第二の遮水シート13、凹凸シート17には、例えばオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラストマー等からなるシートを用いることができる。そして、第一シート1と第二シート3とは、それぞれの凹凸シート17,17の凹部21と凸部19が相互に嵌るように合わせて接合されている。
【0026】
第一,第二の遮水シート11,13及び凹凸シート17は、例えば方形に形成される。第一,第二の遮水シート11,13は、凹凸シート17より大外形で形成される。したがって、第一シート1と第二シート3の凹凸シート17,17同士が接合された状態で、上下の遮水シート11,13は、四辺の縁部が、凹凸シート17より外方へ延出される。
【0027】
二重遮水シート100は、この延出した上下に位置する第一,第二の遮水シート11,13同士の周縁が加熱溶融によって、例えば超音波溶着や高周波溶着、加熱鏝などの方法にて接合される。つまり、上下の遮水シート11,13の間には、凹凸シート17,17を収容した空間部23が形成されている。そして、二重遮水シート100は、厚み方向に加わる荷重が、二重に接合された凹凸シート17,17によって支持されるようになっている。
【0028】
二重遮水シート100は、この空間部23に、液状修復材25が充填される。この液状修復材25としては、コロイド溶液である膨潤性粘土鉱物溶液や、ポリマー粒子を水中に分散させたエマルジョンとされ、所定の加圧状態で充填される。
このコロイド溶液である膨潤性粘土鉱物溶液を作液できる材料としては、モンモリロナイト属のベントナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトやホルマイト属のアルパタジャイト、セピオライト、バーミキュライト、イライト、カオリンナイト、ハロイサイト、ギブサイト、ヘマタイト、アロフェン、イモゴライト、雲母粘土鉱物、合成ベントナイト、ゼオライト、タルク、緑泥岩、カルサイト、クロライト等の粘土鉱物の天然品や合成品がある。
また、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリマー粒子を水中に安定に分散させた各種エマルジョンを液状修復材として用いることも可能である。
【0029】
なお、二重遮水シート100は、上記のように延出させた上下の遮水シート11,13同士の周縁が接合されるが、この場合、図5に示すように、上下遮水シート11,13のいずれか一方の周縁11a,13aを長く延出させておくことが好ましい。これにより、複数の二重遮水シート100,100を連結する場合、この延出させた片側の周縁11a,13a同士を接合することで、段差の生じない平坦な連結構造を可能にすることができ、また、これらを互いに重合するように連結することで、互いが強固に接合されることとなる。
【0030】
また、これら周縁11a,13a同士の接合には、図6に示すような、別構成の連結部材27などを用いることで、互いを接合し、二重遮水シート100,100同士を連結することとしてもよい。その場合は、隣り合う二重遮水シート100,100の第一の遮水シート11,11の周縁11a,11a同士と、第二の遮水シート同士13,13の周縁13a,13a同士をそれぞれ接合するとともに、各遮水シート11,13の間に配置されるように連結部材27を設け、互いを接合することとする。この連結部材27を用いた構成であれば、二重遮水シート100同士の連結部分においても、所定の厚み、すなわち凹凸シート17の厚さよりなる遮水シートの厚みを維持して、この連結部分を構成させることが可能となる。
【0031】
次に、上記第一の実施の形態の二重遮水シートの製造方法を説明する。
図3は遮水シートと凹凸シートとの接合説明図、図4は第一シートと第二シートとの接合説明図である。
凹凸シート17は、円周面に多数の突起を有する一対の成形型の間に、シート状基材を導入して塑性変形させることにより得られる。この凹凸シート17の連続成形装置(図示は省略する)は、円周面に多数の突起を備えた成形型である一対の回転ロールを備える。一方の回転ロールの突起は他方の回転ロールの突起と接触しない状態で、一方の回転ロールの突起の先端がなす仮想円筒面内に他方の回転ロールの突起の先端が嵌入するように構成されている。したがって、これら一対の回転ロールの間にシート状基材を導入することで、シート状基材の表裏に複数の凹凸を所定間隔で形成した凹凸シート17が連続的に繰り出されて成形されるようになっている。
【0032】
このように形成される凹凸シート17と、遮水シート11,13との接合には、連続加熱溶融接合装置(図示は省略する)を用いる。この連続加熱溶融接合装置は、円周面に多数の棒状の加熱手段、例えば棒形状の溶接部としての加熱ヒータを凹部21の間隔と同間隔で突設させた加熱回転ロールと、凹凸のない円周面を有する押さえ回転ロールとを備える。遮水シート11(13)と凹凸シート17とを接合するには、押さえ回転ロール側に遮水シート11(13)を配置し、加熱回転ロール側に凹凸シート17を配置させて、両ロール間に遮水シート11(13)と凹凸シート17とを重ねて導入する。この際、凹凸シート17は、凹部21に加熱ヒータが一致するように導入する。これにより、加熱ヒータの先端が凹凸シート17の凹部21に順次挿入されるとともに、凹部21の底面21aと、遮水シート11(13)とが棒状加熱ヒータと押さえ回転ロールとに加熱圧接され、全ての凸部先端19aが遮水シート11(13)と加熱溶融接合される。なお、加熱ヒータは、好ましくは先端が略球面形状とされた円柱体とされ、凹部21に対して曲面で加熱が行われる。この棒状の加熱ヒータの凹部に挿入される溶接部の先端が、略球面形状とされた円柱体とされたことで、凹凸シート17を遮水シート11(13)に接合する際に、凹部21内への挿入がスムースになり、また、角部分を有さない略球面状であることから略中央が膨らんだ形状でこの中央に向けて圧力がかかることとなり、確実に凹凸シート17と遮水シート11(13)とを密着させることが可能となって、確実な加熱が行われて溶融接合させることが可能となる。そして、このことから、凹凸シート17と遮水シート11(13)との剥離強度を大きくすることが可能となり、凹凸シート17と遮水シート11(13)とが接合された状態では、それぞれが容易に剥離などを起こさないことから、巻回状態として搬送などを行うことが可能となる。
【0033】
なお、本実施の形態では、凹凸シート17と遮水シート11,13とを棒状加熱ヒータによって加熱溶融接合する場合を例に説明したが、この他、凹凸シート17と遮水シート11,13とは、熱風溶着、超音波溶着又は高周波溶着によって加熱溶融接合されてもよい。
【0034】
このようにして得られた図4に示す第一シート1と第二シート3とは、両シート間に接着剤としての加熱溶融接着剤を塗布し、例えば、一方のシートに点状や線状などの所定のパターンに位置して塗布を行い、相互の凹21,凸19を嵌め合わせて、凹凸シート17,17同士を接着剤、例えば加熱溶融接着剤にて接合する。これにより、第一シート1と第二シート3とが接合され、二重遮水シート100の製造が完了する(図1参照)。なお、接着剤は、凹凸シート17,17同士の間の対向する面において、所定のパターンで少なくとも一部に塗布されていればよく、例えば複数箇所の点状個所や、連続線状や断続線状などの個所、ストライプ状や、らせん状、千鳥状などの個所、或いはこれらパターンを組み合わせた個所などにのみ接着剤の塗布が行われればよい。このことから、接着剤の使用量が削減できることとなる。
【0035】
したがって、上記の二重遮水シート100によれば、第一シート1と第二シート3とが、凹凸21,19を嵌め合わせた構造で接合されるので、第一シート1と第二シート3のそれぞれに作用するずれ方向の力に対する強度を高めることができる。すなわち、図5に示すように、斜面31に二重遮水シート100が敷設され、その上面に堆積物からの荷重が作用した場合であっても、強固な接合構造によって第一シート1と第二シート3とのずれを防止することができる。また、凹凸シート17が二重に重ね合わされるので、二重遮水シート100の厚み方向の圧縮強度を高めることができる。
【0036】
そして、この二重遮水シート100を多数連結することで処分場等の地盤上である底面に敷設した状態では、凹凸シート17により形成される第一の遮水シート11と第二の遮水シート13との間に形成される空間部23に、コロイド溶液などの液状修復材25が所定の加圧状態で充填されており、この処分場底面を覆い、好ましくは、図13に示すように、この二重遮水シート100の上面には、保護土等による修復対応層29が積層形成される。
【0037】
このことから、遮水シート100が、廃棄物などによって破損した際(図13(a)参照)には、その破損個所51から液状修復材25が流出し(図13(b)参照)、修復対応層29に浸透することとなり、この修復対応層29に浸透するコロイド溶液は、その特性によって、修復対応層29の土粒子にイオン交換によって負電荷のコロイド粒子を吸着させて、修復対応層29に浸透沈積層を形成させながら、修復対応層の間隙内に泥膜を形成し、不透水性の泥壁である新規の遮水層52を構成して破損を閉塞し、自己修復となる(図13(c)参照)。すなわち、浸出水の処分場等の外部への流出を防止することとなる。なお、二重遮水シート100は、処分場等の地盤に、所定の区画毎、例えば700m2毎に区画されて構成され、その区画の範囲内で、自己修復が行われ、またその区画毎で、液状修復材25の補充や、遮水シートの破損個所の点検、例えば敷設直後の点検などが行われる。
【0038】
なお、上記の二重遮水シート100の製造方法によれば、凹凸シート17と、遮水シート11,13とが、凹部21に挿入される棒状加熱ヒータによって溶着接合されるので、凹凸シート17と遮水シート11,13との接触面が確実に接合され、凹凸シート17と遮水シート11,13との接合強度を高めることができる。このことから、上下遮水シート11,13間に所定の加圧状態で充填される液状修復材によって、これら上下遮水シート11,13間が拡がってしまうような不具合が防止される。また、従来方法のように、遮水シート11,13の全面に不要な部分の含まれる接着剤を塗布する必要がなくなるので、経済性を向上させることができる。
【0039】
さらに、第一シート1と第二シート3とは、凹凸シート17,17同士の凹凸21,19が嵌り合うので、その間に塗布した接着剤によって面接合されることになり、第一シート1と第二シート3の強固な接合が可能となる。換言すれば、一定の強度を確保するための接着剤の塗布量を、従来構造に比べて少なくすることができる。また、加熱手段を凹部21に挿入し、凸部19を局所的に遮水シート11,13に加熱溶融接合するので、従来の熱風溶着の場合のように、余計な熱が凹凸シート17に作用しなくなり、凹凸シート17の熱変形を防止することもできる。
【0040】
なお、上述した実施の形態では、第一シート1と第二シート3とが、共に凹凸シート17を全面に備えた構成とされているが、一方のシート、例えば第一シート1では凹凸シート17を全面に接合して構成し、他方のシート、例えば第二シート3では凹凸シート17を部分的に、例えばストライプ状に配設したり、千鳥状に配設して、構成することとしてもよい。この場合、第二シート3には、各凹凸シート17が全面に配置されないことから、この凹凸シート17の使用量を削減することが可能となる。
【0041】
また、上述した実施の形態では、上下の遮水シート11,13の間に位置する凹凸シート17により、上側の遮水シート11側と下側の遮水シート13側とで空間部23が仕切られてしまうこととなる場合があることから、この空間部23内に充填される液状修復材25がスムースに流出するように、凹凸シート17に貫通穴部(図示せず)を形成し、凹凸シート17の表裏面を往来可能とすることとしてもよい。
【0042】
さらに、上述した実施の形態では、二重遮水シート100の上下遮水シート11,13間に所定の加圧状態で液状修復材(コロイド溶液)25が単に充填されている例として説明したが、この液状修復材25が加圧状態を保つ構成としては、例えば、上下遮水シート11,13間の空間部23に連通される給排出管を接続し、処分場外部に設置される溶液タンクと連結状態として、ポンプを用いることで加圧状態としたり、あるいは、ポンプを用いずに処分場内の浸出水の水位との差を利用して、溶液水位を高く維持させることで圧力差を生じさせて、二重遮水シート100の空間部23へ所定の加圧状態を発生させる構成などとしてもよい。
【0043】
第二の実施の形態
図7は本発明の第二の実施の形態に係る廃棄物処分場等の遮水構造に用いられる二重遮水シートの断面図、図8は同二重遮水シートの一部分解斜視図である。
この第二の実施の形態による二重遮水シート101は、第一の遮水シート11と、第二の遮水シート13と、凹凸シート17,及び補助シート15とを接合した積層構造を有する。なお、上述した第一の実施の形態と同等あるいは同一部分については同符号を付して説明する。
第一の遮水シート11及び第二の遮水シート13は、表裏面が平滑なシート状部材とされる。凹凸シート17は、表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部19の端面が間隔をあけられた面上に存在する構成とされ、別言すると、一方の面17aに、複数の凸部19が縦横所定間隔で形成されるとともに、この凸部19同士の間が凹部21となり、他方の面17bでは凸部19が凹部21となり、凹部21同士の間が凸部19となる構造となっている。補助シート15は、本実施の形態では帯状に形成されて、複数で構成され、表裏両面が平滑なシート状部材とされ、上記第一,第二の遮水シート11,13よりも厚さが薄く形成される。
各遮水シート11,13、凹凸シート17、補助シート15には、例えばオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラストマー等からなるシートを用いることができる。
【0044】
そして、凹凸シート17の一方の面17aに、複数の補助シート15を、例えば所定間隔ごとで互いに平行に配置されるように接合するとともに、凹凸シート17の他方の面17bに、第一の遮水シート11を接合し、さらに、補助シート15を介して第二の遮水シート13を凹凸シート17の一方の面17a側に接合して構成される。
【0045】
第一,第二の遮水シート11,13及び凹凸シート17は、例えば方形に形成される。第一,第二の遮水シート11,13は、凹凸シート17より大外形で形成される。したがって、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13とが凹凸シート17に接合された状態で、各遮水シート11,13は、四辺の縁部が、凹凸シート17より外方へ延出される。
【0046】
二重遮水シート101は、この延出した上下に位置する第一,第二の遮水シート11,13の各周縁が加熱溶融によって、例えば超音波溶着や高周波溶着、加熱鏝などの方法にて接合される。つまり、上下の遮水シート11,13の間には、凹凸シート17を収容した空間部23が形成される。そして、二重遮水シート101は、厚み方向に加わる荷重が、凹凸シート17によって支持されるようになっている。
【0047】
二重遮水シート101は、この空間部23に、液状修復材25が充填される。この液状修復材25としては、コロイド溶液である膨潤性粘土鉱物溶液や、ポリマー粒子を水中に分散させたエマルジョンとされ、所定の加圧状態で充填される。
このコロイド溶液である膨潤性粘土鉱物溶液を作液できる材料としては、モンモリロナイト属のベントナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトやホルマイト属のアルパタジャイト、セピオライト、バーミキュライト、イライト、カオリンナイト、ハロイサイト、ギブサイト、ヘマタイト、アロフェン、イモゴライト、雲母粘土鉱物、合成ベントナイト、ゼオライト、タルク、緑泥岩、カルサイト、クロライト等の粘土鉱物の天然品や合成品がある。
また、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリマー粒子を水中に安定に分散させた各種エマルジョンを液状修復材として用いることも可能である。
【0048】
なお、二重遮水シート101は、上記のように延出させた各遮水シート11,13同士の周縁が接合されるが、この場合、図12に示すように、上下遮水シート11,13のいずれか一方の周縁11a,13aを長く延出させておくことが好ましい。これにより、複数の二重遮水シート101,101を連結する場合、この延出させた片側の周縁11a,13a同士を接合することで、段差の生じない平坦な連結構造を可能にすることができ、また、これらを互いに重合するように連結することで、互いが強固に接合されることとなる。
【0049】
また、これら周縁11a,13a同士の接合には、別構成の連結部材27などを用いることで、互いを接合し、二重遮水シート101,101同士を連結することとしてもよい(図6参照)。その場合は、隣り合う二重遮水シート101,101の第一の遮水シート11,11の周縁11a,11a同士と、第二の遮水シート同士13,13の周縁13a,13a同士をそれぞれ接合するとともに、各遮水シート11,13の間に配置されるように連結部材27を設け、互いを接合することとする。この連結部材27を用いた構成であれば、二重遮水シート101同士の連結部分においても、所定の厚み、すなわち凹凸シート17の厚さよりなる遮水シートの厚みを維持して、この連結部分を構成させることが可能となる。
【0050】
次に、上記第二の実施の形態の二重遮水シートの製造方法を説明する。
図9は凹凸シートと補助シートとの接合説明図、図10は凹凸シートと第一の遮水シートとの接合説明図、図11は第二の遮水シートとの接合説明図である。
凹凸シート17は、円周面に多数の突起を有する一対の成形型の間に、シート状基材を導入して塑性変形させることにより得られる。この凹凸シート17の連続成形装置(図示は省略する)は、円周面に多数の突起を備えた成形型である一対の回転ロールを備える。一方の回転ロールの突起は他方の回転ロールの突起と接触しない状態で、一方の回転ロールの突起の先端がなす仮想円筒面内に他方の回転ロールの突起の先端が嵌入するように構成されている。したがって、これら一対の回転ロールの間にシート状基材を導入することで、シート状基材の表裏に複数の凹凸を所定間隔で形成した凹凸シート17が連続的に繰り出されて成形されるようになっている。
【0051】
次に、このように形成される凹凸シート17と、補助シート15との接合を行う。この接合には、連続加熱溶融接合装置(図示は省略する)を用いる。この連続加熱溶融接合装置は、円周面に多数の棒状の加熱手段、例えば棒形状の溶接部としての加熱ヒータ41(図9参照)を凹部21の間隔と同間隔で突設させた加熱回転ロールと、凹凸のない円周面を有する押さえ回転ロール(図示せず)とを備える。補助シート15と凹凸シート17とを接合するには、押さえ回転ロール側に補助シート15を配置し、加熱回転ロール側に凹凸シート17を配置させて、両ロール間に補助シート15と凹凸シート17とを重ねて導入する。この際、凹凸シート17は、他方の面17b側の凹部21に加熱ヒータが一致するように導入する。これにより、加熱ヒータ41の先端が凹凸シート17の凹部21に順次挿入されるとともに、凹部21の底面21aと、補助シート15とが棒状加熱ヒータ41と押さえ回転ロールとに加熱圧接され、一方の面17a側の凸部先端19aが補助シート15と加熱溶融接合される。なお、加熱ヒータ41は、好ましくは先端が略球面形状とされた円柱体とされ、凹部21に対して曲面で加熱が行われる。また、本実施の形態では、図8に示すように、補助シート15が略帯状に形成され、所定間隔ごと、例えば補助シート15と同幅の間隔ごとに配置されることから、加熱ヒータ41の配設位置も同様に所定間隔ごとに略帯状の集合部分と間隙部分とが交互に配置形成とされる。すなわち、凹凸シート17に対して、補助シート15の存在しない個所においては加熱が行われない。
【0052】
次に、補助シート15が接合された凹凸シート17には、第一の遮水シート11の接合が行われる。この接合には、上記した凹凸シート17と補助シート15との接合に用いた連続加熱溶融接合装置と略同等の装置を用いる。すなわち、多数の好ましくは先端が略球面形状とされた円柱体形状の加熱ヒータ43(図10参照)を凹部21の間隔と同間隔で突設させた加熱回転ロールと凹凸のない円周面を有する押さえロール(図示せず)とを備える。また、上記同様に、加熱ヒータ43の配置位置は、所定間隔ごとに略帯状の集合部分と間隙部分とが配置され、すなわち図10に示すように補助シート15が既に接合された部分を間隙部分として加熱ヒータ43が配設される。そして、凹凸シート17と第一の遮水シート11とを接合するには、押さえ回転ロール側に第一の遮水シート11を配置し、加熱回転ロール側に凹凸シート17を配置させて、両ロール間に遮水シート11と凹凸シート17とを重ねて導入する。この際、凹凸シート17は、一方の面17a側から凹部21に加熱ヒータ43が一致するように導入する。これにより、加熱ヒータ43の先端が凹凸シート17の凹部21に順次挿入されるとともに、凹部21の底面21aと、第一の遮水シート11とが棒状加熱ヒータ43と押さえ回転ロールとに加熱圧接され、他方の面17bの凸部先端19aが遮水シート11と加熱溶融接合される。これにより、補助シート15の位置する個所を除く凹凸シート17の他方の面17bと第一の遮水シート11とが接合される。
【0053】
なお、上述した凹凸シート17と補助シート15、及び凹凸シート17と第一の遮水シート11との接合において、加熱ヒータ41,43を用い、この加熱ヒータ41,43の形状を先端が略球面形状とされた円柱体としたことで、接合時における凹凸シート17の凹部21内への挿入がスムースになり、また、角部分を有さない略球面状であることから略中央が膨らんだ形状でこの中央に向けて圧力がかかることとなり、確実に凹凸シート17と補助シート15、及び凹凸シート17と第一の遮水シート11とを密着させることが可能となって、確実な加熱が行われて溶融接合させることが可能となる。そして、このことから、凹凸シート17と補助シート15、及び凹凸シート17と第一の遮水シート11との剥離強度を大きくすることが可能となる。
【0054】
次に、凹凸シート17に補助シート15及び第一の遮水シート11とが接合された後、第二の遮水シート13の接合が行われる。この接合は、熱風、或いは熱鏝によって行われる。すなわち、補助シート15の平滑な表面15aと第二の遮水シート13とを重合し、加熱して互いを溶融接合する。これにより、図12に示すように第一の遮水シート11と第二の遮水シート13とが凹凸シート17を挟んで接合され、二重遮水シート101の製造が完了する。
【0055】
したがって、上記の二重遮水シート101によれば、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13とが、それぞれ凹凸シート17及び補助シート15とに加熱溶融によって接合されるので、十分な剥離強度を備えることとなり、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13との間隔が拡がってしまうような不具合の発生を防ぐことができるとともに、第一の遮水シート11と第二の遮水シート13のそれぞれに作用する面方向に沿う逆向きの力、すなわち、ずれ方向の力に対する強度が高まることとなる。
その結果、図12に示すように、斜面31に二重遮水シート101が敷設され、その上面に堆積物からの荷重が作用した場合であっても、強固な接合構造によって第一,第二の遮水シート11,13間のずれを防止することができる。
【0056】
そして、この二重遮水シート101を多数連結することで処分場等の地盤上である底面に敷設した状態では、凹凸シート17により形成される第一の遮水シート11と第二の遮水シート13との間に形成される空間部23に、コロイド溶液などの液状修復材25が所定の加圧状態で充填されており、この処分場底面を覆い、好ましくは、この二重遮水シート100の上面には、保護土等による修復対応層が積層形成される(図13参照)。
【0057】
このことから、遮水シート101が、廃棄物などによって破損した際には、その破損個所から液状修復材25が流出し、修復対応層に浸透することとなり、この修復対応層に浸透するコロイド溶液は、その特性によって、修復対応層の土粒子にイオン交換によって負電荷のコロイド粒子を吸着させて、修復対応層に浸透沈積層を形成させながら、修復対応層の間隙内に泥膜を形成し、不透水性の泥壁である新規の遮水層を構成して破損を閉塞し、自己修復となる。すなわち、浸出水の処分場外への流出を防止することとなる(図13参照)。なお、二重遮水シート101は、処分場等の地盤に、所定の区画毎、例えば700m2毎に区画されて構成され、その区画の範囲内で、自己修復が行われ、またその区画毎で、液状修復材25の補充や、遮水シートの破損個所の点検、例えば敷設直後の点検などが行われる。
【0058】
なお、上記の二重遮水シート101の製造方法によれば、凹凸シート17と、補助シート15及び第一の遮水シート11とが、凹部21に挿入される棒状加熱ヒータによって溶着接合されるので、凹凸シート17と補助シート15,第一の遮水シート11との接触面が確実に接合され、これら凹凸シート17と補助シート15,第一の遮水シート11との接合強度を高めることができる。また、各シート11,13,15,17同士を加熱溶融接合することで二重遮水シート101が得られる構成としたので、従来方法のような加熱溶融接着剤を不要とすることができ、経済性を向上させることができるとともに、接着剤を使用する工程を省くことが可能となる。
【0059】
また、上述した実施の形態では、凹凸シート17に接合される補助シート15を帯形状とし、この補助シート15と略同幅の間隔を有するように、凹凸シート17に接合した例を示したが、この補助シート15の形状については、上述の帯形状に限定されることはなく、この補助シート15の面積が凹凸シート17の面積の30〜70%とされればよく、上記のような帯形状以外の形状、或いは複数ではなく1枚で構成させることとしてもよい。例えば複数での構成としては、矩形小片状に形成して、凹凸シート17に対して千鳥状、或いはその他のパターンで配置し接合することとしてもよい。この場合、凹凸シート17と補助シート15との接合には、上述の加熱ヒータ41が円周面に配設される加熱回転ロールではなく、平面上に円柱状の加熱ヒータが配設されるような加熱手段とする。また、この補助シート15が1枚構成の場合には、例えば凹凸シート17の一方の面に略同等の大きさで構成し、凹凸シート17が一部或いは複数箇所で表出する穴部が適宜貫通形成される形状の補助シート15とし構成すればよい。
【0060】
さらに、上述した実施の形態では、二重遮水シート101の上下遮水シート11,13間に所定の加圧状態で液状修復材(コロイド溶液)25が単に充填されている例として説明したが、上記第一の実施の形態と同様に、この液状修復材25が加圧状態を保つ構成としては、例えば、上下遮水シート11,13間の空間部23に連通される給排出管を接続し、処分場外部に設置される溶液タンクと連結状態として、ポンプを用いることで加圧状態としたり、あるいは、ポンプを用いずに処分場内の浸出水の水位との差を利用して、溶液水位を高く維持させることで圧力差を生じさせて、二重遮水シート101の空間部23へ所定の加圧状態を発生させる構成などとしてもよい。
【0061】
なお、上述した第一、第二の実施の形態では、凹凸シート17の製造方法として、円周面に多数の突起を備えた成形型である一対の回転ロールを用いてシート状基材の表裏に複数の凹凸を所定間隔で形成して得る例を示したが、平板状のシート状基材に対して、平板なまま表裏面からプレス加工を行うように成形する方法としてもよく、すなわち平板状で一方の面に凹凸面を備える一方の型枠と、これに対向して凹凸面を備える他方の型枠、或いは、棒状突起を対向する両面に備えるような成形型などとの間に挟み込み、所定の圧力にて成形するような方法で得られることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る廃棄物処分場等の遮水構造に用いられる二重遮水シートの断面図である。
【図2】同二重遮水シートの分解斜視図である。
【図3】遮水シートと凹凸シートとの接合説明図である。
【図4】第一シートと第二シートとの接合説明図である。
【図5】傾斜面に敷設された二重遮水シートの断面図である。
【図6】二重遮水シートの連結部分における断面図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態に係る廃棄物処分場等の遮水構造に用いられる二重遮水シートの断面図である。
【図8】同二重遮水シートの概略分解斜視図である。
【図9】凹凸シートと補助シートとの接合説明図である。
【図10】凹凸シートと第一の遮水シートとの接合説明図である。
【図11】第二の遮水シートとの接合説明図である。
【図12】廃棄物処分場等の傾斜面に敷設された二重遮水シートの断面図である。
【図13】二重遮水シートの破損個所における修復状況を示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1…第一シート
3…第二シート
11…第一の遮水シート
13…第二の遮水シート
15…補助シート
17…凹凸シート
17a…一方の面
17b…他方の面
19…凸部
19a…凸部先端
21…凹部
23…空間部
25…液状修復材
100,101…二重遮水シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物等からの浸出水を漏出防止する廃棄物処分場等の遮水構造において、
第一の遮水シートと、第二の遮水シートとで上面及び下面を構成するとともに、これら遮水シートの間に、表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シートが、前記遮水シートに対して部分的或いは全体的な配置位置となって、前記凸部の先端が接合されて積層構成され、前記凹凸シートの配設される前記第一の遮水シートと第二の遮水シートとの間である空間部に、液状修復材が所定の加圧状態で充填される二重遮水シートが、前記廃棄物処分場等の地盤上に敷設されることを特徴とする廃棄処分場等の遮水構造。
【請求項2】
廃棄物等からの浸出水を漏出防止する廃棄物処分場等の遮水構造であって、
表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シートの前記凸部の先端と、両面が平坦な第一の遮水シートとを加熱溶融にて接合して第一シートを形成し、
他の凹凸シートの凸部先端と、両面が平坦な第二の遮水シートとを加熱溶融にて接合して第二シートを形成し、
前記第一シートと前記第二シートとを、それぞれの前記凹凸シートの凹凸が相互に嵌るように合わせて接着剤にて接合するとともに、
前記凹凸シートによって形成される前記第一の遮水シートと第二の遮水シートとの間である空間部に、液状修復材が所定の加圧状態で充填される二重遮水シートが、
前記廃棄物処分場等の地盤上に敷設されることを特徴とする廃棄物処分場等の遮水構造。
【請求項3】
廃棄物等からの浸出水を漏出防止する廃棄物処分場等の遮水構造であって、
表裏両面に交互に凹凸形成され、その表裏両面の凸部の端面が間隔をあけられた面上に存在する凹凸シートの一方の面の凸部の先端と補助シートとを加熱溶融にて接合するとともに、
前記凹凸シートの他方の面の凸部と両面が平坦な第一の遮水シートとを加熱溶融にて接合し、
前記補助シートと両面が平坦な第二の遮水シートとを加熱溶融にて接合し、
前記凹凸シートによって形成される前記第一の遮水シートと第二の遮水シートとの間である空間部に、液状修復材が所定の加圧状態で充填される二重遮水シートが、
前記廃棄物処分場等の地盤上に敷設されることを特徴とする廃棄物処分場等の遮水構造。
【請求項4】
前記補助シートの面積は、前記凹凸シートの面積の30〜70%とされることを特徴とする請求項3記載の廃棄物処分場等の遮水構造。
【請求項5】
前記液状修復材は、コロイド溶液よりなることを特徴とする請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の廃棄物処分場等の遮水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−43639(P2006−43639A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231284(P2004−231284)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【出願人】(000109233)チカミミルテック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】