説明

建設切断作業用のソー

回転可能な円形ソーブレード(3)と、ソーブレード(3)を回転するためのモーター出力軸駆動モーター(5)と、モーター出力軸(9)を回転可能なソーブレード(3)に相互接続するための伝動装置(20)であって、モーター出力軸(9)の不適当な高速および低トルクの組み合わせを、回転可能な工具(3)におけるより有用な高トルクおよび低速度の組合せに変換するための伝動装置(20)と、を備え、伝動装置は、伝動装置(20)の歯およびギアがさらされる力の最大値を制限するように、所望の所定値に設定可能な並列の2つの調整可能な摩擦ソー保護クラッチを備える。寸法を大きくしすぎる必要はなく、かつ伝動装置(20)は、過酷な環境において正常に動作する。伝動装置は、1速または2速タイプとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォールソー、フロアソー(floor saw)または石工ソー(masonry saw)などの可搬式および/または車輪付きのソーに関連し、該ソーは、回転可能な円形ソーブレードと、ソーブレードを回転させるためのモーター出力軸を有する駆動モーターと、モーター出力軸の不適当な高速および低トルクの組み合わせを、回転可能な工具においてより有効な低速度および高トルクの組み合わせに変換するために、モーター出力軸を回転可能なソーブレードに相互接続するための伝動装置と、を備える。
【背景技術】
【0002】
建設機械は、例えばビルの改修、改築および増築に使用される。ウォールソーは、ドア、窓および光戸等の切断および開口部の拡張、間仕切り壁および庭の壁等の修正作業、およびコンクリートの制御された解体に使用される。フロアソーは、車輪付きであり、通常コンクリートの床の切断に使用される。ウォールソー、フロアソー、石工ソーおよび類似の建設機械は、通常電気の駆動モーター、およびモーターによって駆動される回転工具を有する。ウォールソーまたはフロアソーにおいて、工具は、切断ダイヤモンドセグメントが装備された円形ソーブレードである。例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4を参照すると、通常強力なウォールソーは、油圧で駆動されている。しかし、油圧式ウォールソーは、比較的重く、かつ設置が容易ではなく、例えば特許文献5などに開示される比較的軽量の電気ウォールソーが市場に導入されている。このような電気のウォールソーは、最大出力用に特に設定された回転速度で動作する誘導モーターによって通常駆動される。最大出力のための速度は、通常約15,000rpm〜30,000rpmの間の大きさであり、ソーブレードの適切な回転速度まで速度を遅くするために遊星ギアセット等が必要である。遊星ギアは、費用がかさみ、かつ十分な潤滑油の供給またははねかけ潤滑のためのオイルポンプが通常必要である。さらに、切断セグメントが同じ最適周辺速度になるようにウォールソーを動作させることが通常望ましい。したがって異なる直径のソーブレードは、誘導モーターからソーブレードへの変換比率を変えることが必要である。このような誘導モーターの最大出力のための回転速度は、固定されているため、多くのギアを有する機械的なギアボックスまたはバリエーター、例えば使用される各ブレード直径用の1つの機械的なギアを有するギアボックスがまた必要である。これらの解決策は、高価、重い、空間が必要である、および定期的な詳細点検が必要である、などのいくつかの欠点を有する。
【0003】
石用の可搬式回転切断機械は、特許文献6に開示されている。機械は、円形ソーブレードおよび調整可能な摩擦クラッチを有する伝動装置を介してソーブレードに接続された駆動モーターを有する。
【0004】
特許文献7は、摩擦による遊星ギア変速装置の内部ギアを保持するトルクリミッタに関連する。
【0005】
モーターおよび伝動装置を有する電動石切断機は、特許文献8に開示されている。モーター軸は、ソーブレードの平面内に位置し、かつ伝動装置は、モーターからの動力をソーブレード円周外側から中心へ伝える、ソーブレードに平行に延在する細長い駆動軸を含む。
【0006】
特許文献9は、手持ちの円形ソーを開示する。モーターハウジングは、モーターと、エネルギーをモーターから回転ソーブレードへ伝える伝動機構とを支持する。ハンドルアセンブリは、ワークに対してソーを移動させるために設けられている。ハンドルアセンブリは、モーター運転中ソーブレードハウジングに対して回転可能である。
【0007】
特許文献10は、例えば板形状体の切断のための電気モーターに関連し、モーターは、非対称に配置されたローター円盤を有する円盤形状ローターと、ローター円盤および加工・切断工具に固定された永久磁石をを有する。
【0008】
ウォールソーは、通常切断される壁または床に取り付けられ、それらから等距離離れるように意図されたラック、すなわち歯付きバーまたはロッドを含む。台は、円形ソーブレードの駆動モーターを支持し、別のモーターによってラックに沿って移動可能である。通常ウォールソーは、作業者の安全および快適性のために、遠隔制御が可能である。ソーブレードは、台に取り付けられ、かつ駆動モーター軸の回転をソーブレードに伝える伝動装置を収容する枢動アームの自由端部に取り付けられる。枢動アーム、または伝動装置ハウジングは、第3のモーターにより壁に向かって、または壁から離れる方向へ揺れる。通常伝動装置は、駆動モーターのモーター出力軸に取り付けられた第1ギア、およびギア出力軸を有する第2ギアを含み、ソーブレードは、ギア出力軸に取り付けられるようになっている。第2ギアは、チェーン、または好ましくは1つまたは複数の介在されたギアによって第1ギアに駆動可能に接続されることができる。しかし、予期せぬことにより、ソーブレードの回転を急に止める場合、ウォールソーおよび特にギアの歯に大きい外力がかかるため、歯およびギアは、このような力に耐えるための大きさにする必要がある。このような力の大きさを把握することは難しいため、通常歯およびギアは大きくなりすぎる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,955,167号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0201492号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0163412号明細書
【特許文献4】米国特許第5,887,579号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0189258号明細書
【特許文献6】英国特許出願公開第704748号明細書
【特許文献7】特開昭58-028045号公報
【特許文献8】米国特許第5,653,218号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2007/0180709号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第102006018262号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、歯およびギアを大きくしすぎないように、伝動装置の歯およびギアに働く力を制限、かつ把握されるソーを提供することである。それによりまたモーターの回転部品への負荷が減少する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記第1段落に言及された種類のソーにおいて、ソーの伝動装置が並列の2つの調整可能な摩擦ソー保護クラッチを備え、それぞれがナットによって締め付けられ、かつ意図しない回転に対してナットを固定するためのナット固定手段が設けられた本発明により、この目的は達成される。
【0012】
調整可能な摩擦クラッチは、ウォールソーまたは他の建設機械を大きい外力から保護し、かつ調整可能な摩擦クラッチを所望の所定値に設定することにより、歯、ギアおよび軸受けがさらされる力の最大値を制限することができる。それにより伝動装置は、よりコンパクト、かつ軽量にすることができる。これにより、寸法を大きくしすぎる必要は少なくなる。好都合に、寸法を大きくしすぎる必要はなくなり、伝動装置は過酷な環境において正常に動くことができる。
【0013】
さらに、2つの摩擦クラッチを有する伝動装置は、1つの摩擦ソー保護クラッチのみを有する伝動装置に比べて、より大きい歯を係合し、伝動装置アセンブリをよりコンパクトにすることができる。なおも、ソーブレードの適切な位置決めに十分な長さのアーム形状のハウジングを提供するような伝動装置の設計の自由度がある。より具体的には、伝動装置はアーム形状のハウジングに好ましく取り付けられ、モーターのモーター出力軸の回転軸と同軸の枢動軸周りに回転することができる。
【0014】
好ましい実施形態において、伝動装置は、モーター出力軸に配置された第1ギアと、第1ギアによって同時に駆動されるよう取り付けられた2つの第1ギアアセンブリと、並列の2つの第1ギアアセンブリによって駆動されるよう配置された共通の第2ギアと、を有する。第2ギアは、ギア出力軸を有し、そこにソーブレードが取り付けられるようになっており、各第1ギアアセンブリは、調整可能な摩擦ソー保護クラッチの1つを含む。この設計により、伝動装置をコンパクトな構造とすることができる。
【0015】
回転力を第2ギアに伝えるために駆動チェーンを使用することができるが、第1ギアアセンブリおよび第2ギアの間に配置されるように第3ギアを取り付け、第1ギアアセンブリによって駆動され、第2ギアを駆動することが望ましい。ギア伝動は、チェーン伝動よりもより確実である。
【0016】
各第1ギアアセンブリは、被駆動ギアおよび駆動ギアを備え、被駆動ギアは、第1ギアとかみ合い、かつ駆動ギアは、第2ギアまたは第3ギアのいずれかとかみ合うことが好ましい。それにより、伝動装置は、コンパクトで頑丈になり、かつ重い負荷に耐えるように容易に作られることができる。
【0017】
好ましくは、ウォールソーは第1ギアによって同時に駆動され、かつ第1の2つのギアアセンブリを駆動するよう配置された2つの追加的なギアアセンブリと、モーター出力軸を第1ギアに接続するスプライン継手と、をさらに含み、第1ギアは、第2ギアを第1の速度で回転させるために、2つの第1ギアアセンブリに動作可能に直接接続される第1の位置と、第2の異なる速度で第2ギアを回転させるために、2つの追加的なギアアセンブリに動作可能に直接接続され、それにより2つの第1ギアアセンブリに間接的に接続される第2の位置と、の間を摺動することができる。それにより、コンパクトかつ頑丈な2速伝動装置が達成され、重い負荷に耐えるように容易に作られることができる。
【0018】
2つの第1ギアアセンブリと同様に、各追加的なギアアセンブリは、以降第2被駆動ギアと呼ぶ被駆動ギアと、以降第2駆動ギアと呼ぶ第2の駆動ギアと、を備える。追加的なギアアセンブリの第2被駆動ギアは、第1ギアとかみ合う一方、追加的なギアアセンブリの第2駆動ギアは、2つの第1ギアアセンブリの被駆動ギアとかみ合う。それにより、伝動装置は、コンパクト、頑丈になり、かつ重い負荷に耐えるように容易作られることができる。第1ギアをモーター出力軸の2つの位置の間で移動させるために、変速装置(gear shifter)が設けられる。好ましくは、「低いギア」で約10:1の全体減速比、および「高いギア」で約7.5:1の減速比となるように、伝動装置の全てのギアが選択される。
【0019】
各第1ギアアセンブリは、同軸シャフトに一体、かつ前記被駆動ギアを形成する第4ギアと、同軸シャフトに回転可能に取り付けられ、かつ前記駆動ギアを形成する第5ギアと、第4ギアおよび第5ギアの間で軸方向に締め付けられる摩擦クラッチ盤と、第5ギアから第4ギアへトルクを伝えるために、調整可能な圧力にて摩擦クラッチ盤に対して第5ギアを押すための機構とを備えることが好ましい。前記調整可能な摩擦ソー保護クラッチを有するこのようなギアアセンブリは、コンパクト、頑丈であり、および重い負荷に耐えるように容易に作られることができる。
【0020】
適当に、クラッチ伝達板は、第4ギアおよび摩擦クラッチ盤の間で同軸シャフトに固定される。それにより、摩擦クラッチ盤は、第4ギアの軸の端面に係合する必要がない。
【0021】
摩擦クラッチを調整可能にするために、同軸シャフトは、適当に第5ギアから軸方向に延在する自由端部を有し、自由端部は、ねじ山と、ねじ山に係合するナットと、ナットおよび第5ギアの間で締め付けられる皿バネと、を有し、それによってナットの締め付け程度により、どのくらいのトルクでソーブレードの回転が停止するかを決定する。
【0022】
緩みに対してナットを締め付けるために、同軸シャフトで意図しない回転に対してナットを固定するための手段を設けることができる。手段は、ねじ部の非円形断面と、整合中央穴を有し、皿バネおよびナットの間でねじ部に取り付けられる外歯付きロックワッシャーと、ナットを締め付け/緩めるための工具の把持部を提供するナットの複数の周面部分と、を好ましく含む。ロックワッシャーの歯の数、およびナットの面部分を提供する把持部の数は、1つの面部分に対し少なくとも1つの歯を曲げることによりねじ部のほぼ任意の位置にナットを固定するのに十分な数である。
【0023】
コンパクトな設計を達成するために、第1および第5ギアは、約3:2の減速比になるように選択されることができ、かつ第4ギアおよびそれにより駆動されるギアは、約5:1の減速比になるように選択されることができる。これにより、駆動モーターから回転可能な工具への減速比は、約7.5:1の好ましい結果となる。
【0024】
第2および第3ギアは、適切に実質的に同じ大きさ、すなわち約1:1のギア比である。それにより、アーム形状ハウジングは、伝動装置を容易に囲むことができる。
【0025】
好ましい実施形態において、駆動モーターは、永久磁石モーターである。永久磁石モーターは、同じ重量および大きさの誘導モーターに比べ、好都合に高いトルク性能を有する。
【0026】
永久磁石モーターは、少なくとも1,000rpmの速度範囲の実質的に全ての回転速度において最大出力に近い出力を出せるように配置されることができる。
【0027】
好ましくは、永久磁石モーターは、少なくとも3,000rpmの速度範囲の実質的に全ての回転速度において最大出力に近い出力を出せるように配置される。
【0028】
一例として、モーターは、6,000rpm〜9,000rpmの間の実質的に全ての回転速度において最大出力に近い出力が出るように配置される。これは永久磁石モーター用などとして知られている技術であるタップ切替弱め界磁によって達成されることができるが、本明細書ではより詳細に説明しない。しかし、この特定の用途において、タップ切替弱め界磁には、いくつかの利点がある。
【0029】
永久磁石モーターは、各ギア比に対する範囲を提供する、すなわち各ギア比に対し、いくつかのソーブレード直径について同じ最適周辺速度に達することができる。このように、ソーブレード直径とは無関係にソーブレードの周辺速度を一定に保つという問題は小さくなり、機械的なギアの数を減らすことができる。例えば、1つの機械的なギアは、600mm〜1200mmの範囲のソーブレード直径に対応することができ、1200mm〜1600mmの第2の範囲では、十分な切断力を維持しながらブレード直径の範囲内でソーブレードの周辺速度を一定に保つことができる。
【0030】
本発明の別の態様は、回転可能な円形ソーブレードと、ソーブレードを回転させるためのモーター出力軸を有する駆動モーターと、モーター出力軸の不適当な高速度および低トルクを回転可能な工具においてより有効な高トルク低速度に変化させるために、モーター出力軸を回転可能なソーブレードに相互接続するための伝動装置とを有するウォールソーに対し、駆動モーターは、少なくとも1000rpmの回転速度の範囲の実質的に全ての回転速度において最大出力に近い利用可能な出力を有する電気モーターであり、かつそれにより前記範囲内の回転速度において前記駆動モーターはまた、前記伝動装置を介して最適な回転速度および/またはソーブレードの最適な周辺速度に変換する回転速度に調整可能である。
【0031】
この用途の永久磁石モーターは、好ましくは例えば工業用ロボットに使用されるタイプのサーボモーターとすることができる。幅広い回転速度範囲を通じて最大出力に近い出力の現実的な特徴を示すために、本発明によるウォールソーの永久磁石モーターは、通常6000rpmにおいて約11kWの出力であり、9000rpmにおいて約13kWの出力までわずかに増加する。それにより、モーターはまた、ソーブレードの回転速度を調整するために、モーターの回転速度を調整することが可能であり、なおも最大出力に近い高出力を維持するという、所与のギア比内におけるギアボックスまたはバリエーターの機能性を提供する。このようにソーブレード直径とは無関係にソーブレードの切断セグメントの周辺速度を一定に保つという問題は、小さくなり、かつ機械的なギアの数を最小限にすることができる。
【0032】
タップ切替弱め界磁の利用は、モーターコイルのオーバーヒートおよび/または焼き付けの危険性を減らす。一例として、弱め界磁の機能がない場合、6000rpmにおいて11kWの出力を有するモーターの6000rpmの出力トルクは、9000rpmまでの高回転速度における出力トルクとほとんど同じである。これは、出力は、9000rpmにおいて6000rpmの約50%以上であることを意味し、モーターコイルが焼きつく、またはより高出力のモーター設計が必要となる結果となる。したがって、タップ切替弱め界磁は、高回転速度における出力トルクを制限し、かつ高回転速度におけるモーターコイルの平均電流を制限することにより問題を解決し、幅広い回転速度範囲(6000rpm〜9000rpm)に亘って概ね一定の出力を維持する。これにより、ウォールソーにおいて柔軟性のある比較的軽量および低コストの永久磁石モーターを使用することが可能となる。
【0033】
ソー保護クラッチを使用することにより、伝動装置の大きさおよび重量を小さくすることができる。永久磁石モーターを使用することにより、さらに小さくすることができる。したがって上述した典型的なウォールソーは、対応する一般のウォールソーが約40kgであるのに対し、全体重量をたった25kgとすることができる。ソーは作業場に運ばれ、取り付けられるため、これは重要である。さらに伝動装置をよりコンパクトにすることにより、対応する一般のウォールソーがラックの205mm近くを切断するのに対し、190mm近く、好ましくは170mm近くを切断することが可能となる。これは明白な利点である。
【0034】
以下、好ましい実施形態および添付図面を参照して、本発明はより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】歯付きラックに沿って移動可能であり、かつ本発明の好ましい実施形態による伝動装置を介してモーターによって駆動される円形ソーブレードを有するウォールソーの斜視図である。
【図2】図1に示す伝動装置のハウジングの斜視図である。
【図3】ハウジング内部の伝動装置のギアおよび2つの摩擦ソー保護クラッチの平面図である。
【図4】図3に示す摩擦ソー保護クラッチの側面図である。
【図5】図4の摩擦ソー保護クラッチの縦断面図である。
【図6】摩擦ソー保護クラッチの代替の実施形態の部分分解斜視図である。
【図7】2速伝動装置のギアおよび摩擦ソー保護クラッチの第2の好ましい実施形態の側面図である。
【図8】図7に示す実施形態の反対側からの側面図である。
【図9】図7および図8の2速伝動装置のギアおよび摩擦ソー保護クラッチの斜視図である。
【図10】2速伝動装置の低いまたは高いギアを選択するために使用される変速装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
概して本発明は、駆動モーターと、駆動モーターによって駆動される回転可能な工具と、不適当な高速および低トルクの駆動モーター出力軸を回転可能な工具においてより有用な低速、高トルクに変えるために、駆動モーターのモーター出力軸を回転可能な道工具に相互接続する伝動装置と、を有する建設機械に関連する。このような建設機械の例示的な実施形態は、モーターと、モーターによって駆動される円形ソーブレードと、モーター出力軸を回転可能なソーブレードに相互接続するための伝動装置と、を有するウォールソーである。ウォールソーという名前ではあるが、ウォールソーは、床または天井を切断するためにも使用される。
【0037】
図1は、床を切断するために配置されたウォールソーアセンブリの斜視図である。ウォールソーアセンブリは、歯付きラック2に沿って移動可能であり、かつ保護フード4の内側に円形ソーブレード3を有するウォールソー1を含み、破線で示された円形ソーブレード3は、本発明の好ましい実施形態による伝動装置20を介してモーター5によって駆動される。
【0038】
実施形態に示すように、ウォールソーは、図示しない2つの追加的なモーターを有し、一方は、切断される開口部のある「壁」に取り付けられるようになっている歯付きラック2に沿ってウォールソー1を動かすためのものであり、他方のモーターは、ソーブレード3を上げ下げするためのものである。ケーブル6は、モーターに電力を供給し、かつ図示しない制御装置とモーターとの間で制御データを伝達するためにモーター5に接続されている。冷却水は、第1ホース7を通じてモーター5に供給され、および第2ホース8を通じてソーブレード3の中央部へ送られ、ソーブレードを冷却し、切断によって形成されたちりをまとめる。
【0039】
伝動装置20は、図2によく示され、2つの端部を有するアーム形状ハウジング21を含む。第1端部は、モーター5のモーター出力軸9に接続され、他端部は、ソーブレード3が取り付けられるギア出力軸25に接続される。ソーブレード3を上下させる場合、伝動装置ハウジング21は、モーター出力軸9の回転軸と同軸の枢動軸で回転し、かつソーブレード3を支持するハウジングの前記他端部は、弧上を移動する。保護フード4内側のソーブレード3が弓状に移動できるように、ウォールソーには、ガイド装置10が設けられており、フード4は、モーター5(図1に示す)に対して制限された水平移動が可能であり、かつフード4はまたソーブレード3のためのギア出力軸25を垂直に移動させることが可能な垂直溝11を有する。水平の床ではなく垂直の壁を切断する場合、モーター5に対するフード4の許容される動きは、本発明のこの実施形態においてはもちろん水平ではなく垂直である。
【0040】
本発明によると、伝動装置は、並列する2つの調整可能な摩擦クラッチ30−33(図5参照)を備える。調整可能な摩擦クラッチは、ウォールソーまたは他の建設機械を大きい外力から保護し、調整可能な摩擦クラッチ30−33を所望の所定値に設定することにより、歯およびギアがさらされる力の最大値を制限することができる。それにより、伝動装置20は、よりコンパクト、かつ軽量にすることができる。寸法を大きくしすぎる必要はなく、伝動装置20は、過酷な環境において正常に動くことができる。
【0041】
伝動装置ハウジング21内部の実際の伝動装置の好ましい実施形態は、図3に示される。第1ギア22は、モーター出力軸9に取り付けられ、モーター出力軸は、整合する雌スプラインを有する第1ギア22に大きな力を伝えるために雄スプラインを有する。2つの第1ギアアセンブリ23は、第1ギア22によって同時に駆動されるよう取り付けられ、かつ共通の第2ギア24は、並列する2つの第1ギアアセンブリ23によって間接的に駆動されるよう取り付けられる。第2ギア24は、ソーブレード3が取り付けられるようになっているギア出力軸25を有する。各第1ギアアセンブリ23は、前記調整可能な摩擦ソー保護クラッチの1つを含む。この設計により、伝動装置20をコンパクトな構造にすることができる。
【0042】
回転力を第2ギア24に伝えるために駆動チェーンを使用してもよいが、ギアアセンブリ23によって駆動され、かつ第2ギア24を駆動するように、第3ギア26をギアアセンブリ23および第2ギア24の間に配置されるように取り付けることが望ましい。ギア伝動は、チェーン伝動よりも確実である。
【0043】
図4および図5により詳細に示されるように、各第1ギアアセンブリ23は、同軸シャフト28に一体の、駆動ギアを構成する第4ギア27と、同軸シャフト28に回転可能に取り付けられ、かつ被駆動ギアを構成する第5ギア29と、第4ギア27および第5ギア29の間で軸方向に締め付けられる摩擦クラッチ盤30と、第5ギア29から第4ギア27へトルクを伝えることができるように、調整可能な圧力によって摩擦クラッチ盤30に対して第5ギア29を押し付ける機構31−33と、を備えることが好ましい。前記調整可能な摩擦ソー保護クラッチを有するこのようなギアアセンブリは、コンパクト、頑丈であり、かつ重い負荷に耐えるように容易に作られることが可能である。
【0044】
摩擦ソー保護クラッチを調整可能とするために、同軸シャフト28は、第5ギア29から軸方向に延在する自由端部を適当に有し、自由端部は、ねじ部31、ねじ部のねじ山31に係合するナット32、およびナット32および第5ギア29の間で締め付けられる皿バネ33を有し、それによってナット32の締め付け程度が、どのくらいのトルクでソーブレード3の回転を止めるかを決定する。適切に、クラッチ伝達板34は、第4ギア27および摩擦クラッチ円盤30の間で同軸シャフト28に固定される。それにより摩擦クラッチ盤30は、第4ギア27の軸の端面に係合するはない。クラッチ伝達板34は、任意の適切な方法により同軸シャフト28の回転に対して固定される。示された実施形態において、1つは図示されている、等角度に間隔の空いた3つのボール35によって、固定が成し遂げられる。各ボール35は、半分は同軸シャフト28内の個々のくぼみに、半分はクラッチ伝達板34の対応する個々のくぼみに配置される。
【0045】
ナット32の緩みに対して固定するために、同軸シャフト28上での意図しない回転に対してナット32を固定するようナット固定手段が好ましく設けられる。図6に好ましい実施形態が示される。ここで、ナット固定手段は、2つの対向配置された平面的な機械加工面145a,145bのようなねじ部31の非円形断面と、ねじ部31の非円形断面145a,145bに整合する中央穴147を有し、皿バネ33およびナット32の間に取り付けられる外歯付きロックワッシャー136と、ナット32の複数の周辺が凹んだ面部分148と、を含み、ロックワッシャー33の少なくとも1つの歯146を1つの面部分148に対して曲げることによって提供される固定手段によって、ロックワッシャー136はナット32に固定されることができる。ロックワッシャー136を皿バネ33によって生じる摩擦磨耗から保護するために、硬化ワッシャー149が皿バネ33およびロックワッシャー136の間に設けられる。歯を曲げるため、ロックワッシャー136自体は、硬くない。ロックワッシャー136の歯の数、およびナット32の面部分148の数は、ナット32をねじ部31のほとんどの任意の位置で固定するために十分な数である。好ましくは、共にまとめた歯146の数および面部分148の数は、少なくとも5個、より好ましくは少なくとも10個、さらに好ましくは少なくとも15個である。周辺が凹んだ面部分148はまた、ナット32を締め付ける/緩めるための工具のための把持部を提供する。
【0046】
さらに、緩みに対してナット32を固定するための別のナット固定手段を使用することができる。例えば、図示しない実施形態において、一端部を切断した溝または切欠きを有する菊ナットを使用することができる。そして、同軸シャフトのねじ部を通る1つまたは2つ穴が開けられ、ナットに適切にトルクがかけられ、溝が同軸シャフトの穴の位置に合わない場合、ナットは、最も近い溝へ回転される。ナットは、コッタピンまたはゆるみ止め線によって固定される。さらに、一般の六角または四角ナットも歯付きワッシャー136と組み合わせて、へこんだ面部分のないナットの横に歯を曲げることによって使用することができる。
【0047】
被駆動第5ギア29は、第1ギア22に好ましくかみ合い、かつ駆動第4ギア27は、2つの第1ギアアセンブリ23によって駆動されるギア、実施形態に示す第3ギア26にかみ合い、第3ギア26は、次に第2ギア24とかみ合う。それにより、伝動装置は、コンパクト、頑丈、かつ重い負荷に耐えるように容易に作られることができる。しかし、実現されるように、ギアアセンブリ23は、第1ギア22が同軸シャフト28において回転可能なギアにかみ合い、かつ同軸シャフト28に一体のギアが第3ギア26にかみ合うような設計とすることも可能である。さらに、もちろん伝動装置の全ての回転可能な構成要素を当業者に既知な、図示しない適切な軸受けに取り付けることができる。
【0048】
コンパクトな設計を達成するために、第1ギア22および第5ギア29はそれぞれ、約3:2の減速比となるように選択されることができ、および第4ギア27およびそれにより駆動されるギア、示される実施形態においては第3ギア26は、約5:1の減速比となるように選択されることができる。第2ギア24および第3ギア26はそれぞれ、適切に実質的に同じ大きさである。それにより、伝動装置をアーム形状のハウジング21で容易に囲むことができる。
【0049】
図7〜図9は、本発明が2速伝動装置に適用された、ギアおよび摩擦ソー保護クラッチの好ましい実施形態を示す。2速伝動装置の多くの構成要素およびそれらの機能が1速伝動装置と同じであるため、全体的に見た相違点のみを後述する。2速伝動装置は、コンパクトかつ軽量のギアボックスを保ったまま、ソーの運用範囲を広げる、すなわちより広い範囲のソーブレード直径を許容することができる。
【0050】
2速伝動装置において、2つの追加的なギアアセンブリ123が第1ギア22によって同時に駆動され、かつ第1の2つのギアアセンブリ23を駆動するように配置される。モーター出力軸9の雄スプラインおよび第1ギア22の雌スプラインは、モーター出力軸9を第1ギア22に接続するスプライン継手12を形成し、第1ギア22は、第2ギア24を第1速度で回転させるために2つの第1ギアアセンブリ23に動作可能に直接接続される第1位置と、第2ギア24を第2の異なる速度にて回転させるために2つの追加的なギアアセンブリ123に動作可能に直接接続され、それにより2つの第1ギアアセンブリ23に間接的に接続される第2位置と、の間を摺動することができる。
【0051】
各追加的なギアアセンブリ123は、第2被駆動ギア129および第2駆動ギア127を備え、追加的なギアアセンブリ123の第2被駆動ギア129は、第1ギア22にかみ合い、追加的なギアアセンブリ123の第2駆動ギア127は、2つの第1ギアアセンブリ23の被駆動ギア29とかみ合う。1速伝動装置と同様に、2速伝動装置のギアは、第1ギア22および第2被駆動ギア129の間の減速比が実質的に約3:2となるように選択されることができ、第2駆動ギア127および第2ギア22の間のギア列のギアは、減速比が約5:1となるように選択されることができる。伝動装置の全てのギアは、全体の減速比が「低いギア」で約10:1、「高いギア」で約7.5:1の減速比となるように選択されることができる。図に示される実施形態において、様々なギアは、以下に示す歯の数を有する。
【表1】

【0052】
2つの追加的なギアアセンブリ123は、調整可能な摩擦ソー保護連結を含まない。モーター出力軸9からソーブレード3に伝わる力は、2つの第1ギアアセンブリ23の摩擦ソー保護連結30−33を常に通過し、かつそれらはソーブレードを低回転速度で回転する「低いギア」によって提供される高トルクに設定されている。従来通り、「高いギア」は、トルクが小さいが高速度である。「高いギア」において、モーター出力軸9からの力は、1速伝動装置と同じ経路をたどるが、「低いギア」においては、経路は、追加的なギアアセンブリ123を通り、第1ギアアセンブリ23等へ向かう。
【0053】
図9は、モーター出力軸9に位置する「高いギア」へ移動した第1ギア22を示し、第1ギア22は、第1ギアアセンブリ23の2つの被駆動ギア29に係合している。調整可能な摩擦ソー保護クラッチを介して、回転は、第1ギアアセンブリ23の駆動ギア27に伝わり、駆動ギア27は、第2ギア24を、直接または第3ギア26を介して駆動する。第1ギア22およびモーター出力軸9の間のスプライン継手12は、第1ギア22の位置を図9に示すようなモーター出力軸9の右側に位置する「低いギア」へ移動させることが可能な程度に十分緩い。「低いギア」の位置において、第1ギア22は、追加的なギアアセンブリ123の2つの第2被駆動ギア129に係合する。これらの第2被駆動ギア129は、第2駆動ギア127を駆動し、次に第2駆動ギア127は、第1ギアアセンブリ23の被駆動ギア29を駆動する。そこから、回転は、「高いギア」の代替形について上述したように伝えられる。
【0054】
図7および図8に示すが、図10に最もよく示される変速装置141が第1ギア22をモーター出力軸9の2つの位置の間で移動させるために設けられる。第1ギア22は、第1ギアアセンブリ23の被駆動第5ギア29または追加的なギアアセンブリ123の第2被駆動ギア129のいずれかを駆動し、両方を同時に駆動しないということに留意しなければならない。図9に最もよく示されるように、1つの軸側において、第1ギア22は、周辺溝138が設けられた、軸方向に突出したスリーブ137を有する。変速装置142は、実質的にL字状の二又分岐139を有し、第1ギア22の軸上での移動のためにその二又は、溝138に適合しスリーブ137を把持する。分岐139は、モーター出力軸9に平行な軸140上で軸方向に移動可能である。非分岐端部において、実質的にL字状の分岐139は、軸140に直角に延在する溝141を有する。変速装置142はさらに、回転ギア切替つまみ143を有し、回転ギア切替つまみ143は、溝141に適合しかつ溝141内で移動可能な、偏心配置された突出ピン144を有し、これにより分岐139は、つまみ143が回転すると軸140に沿って移動することができる。これは、モーターのモーター出力軸9からソーブレード3への力の経路から追加的なギアアセンブリ123を除外、または含む。第1ギア22をモーター出力軸9の2つの位置の間で移動させることにより、ギア出力軸25の回転方向が変化することに留意しなければならない。結果として生ずる回転方向の変化を補うために、モーター出力軸9における2つの位置の間での第1ギア22の移動が、例えばつまみ143によって作動するスイッチを有することにより電気モーター5の極移動を開始することが好ましい。
【0055】
本発明の一実施形態において、モーター5は、最大出力が約13kWの永久磁石モーターである。出力13kWでは、約9,000rpmが得られる。出力は、6,000rpmまでずっと最大値に近く、その出力は、約11kWである。これは、高回転速度でタップ切替弱め界磁を適用し、それによりまたオーバーヒートまたは焼き付けを防ために、モーターコイルの電流を減らすことによって達成される。この実施形態において、利用可能な出力は、3,000rpmの速度範囲(6,000rpm〜9,000rpm)において最大出力に近い値に保持され、またより広いまたはより狭い速度範囲にわたって、すなわち1,000rpmの範囲にわたって、最大出力に近い利用可能な出力を出すモーター5を有するウォールソー1を提供するように適することもできる。モーター5の弱め界磁を各ギア比に対する幅広い運用範囲に適応させる場合に、特定のウォールソーにおいて使用されるソーブレード直径の範囲を考慮しなければならない。切断セグメントの最適な周辺速度に対するソーブレードの毎分回転数を調整するために、モーター5の毎分回転数は、モーターの最大出力に近い出力を維持しながら容易に調整される。上述した性能を有する永久磁石モーターの重量は、通常約8kgである。
【0056】
本発明のさらなる実施形態において、前の段落で説明されたような永久磁石モーターを前述したものと別の種類の伝動装置を備えたウォールソーに設けることができる。例えば、平行摩擦ソー保護クラッチを省くことができ、または当業者には既知の任意の他の過負荷保護で置換することができる。より具体的には、本発明によるこのようなウォールソーは、回転可能な円形ソーブレード3と、ソーブレード3の回転のためのモーター出力軸9を有する駆動モーター5と、モーター出力軸9の不適当な高速および低トルクを回転可能な工具3においてより有用な低速度、高トルクに変換するために、モーター出力軸9を回転可能なソーブレード3に相互接続するための伝動装置20とを備え、駆動モーター5は、幅広い運用速度範囲において最大出力に近い利用可能な出力を有する電気モーターであるため、必要なギア数を減らすことができる。
【0057】
したがって、モーターからソーブレードへの可変伝動装置の比に対する要求に関連する課題は解決する。費用および点検を減らす単純な設計を有するコンパクトな、軽量の機械的なギアボックスにより、ウォールソーの柔軟性が増す。同様に制御された遊星ギアセットのような不連続の可変伝動装置が要求される。点検費用は、それにより減少し、かつ潤滑油を十分に供給するための高価なオイルポンプシステムおよびはねかけ潤滑システムを省くことができる。
【0058】
ウォールソーに従来使用される誘導モーターと比べ、永久磁石モーターの適用は、いくつかのさらなる利点を有する。誘導モーターでは、ローター温度は非常に高いレベルに達する。高温かつ高回転速度は、過度の磨耗等にさらされる軸受けおよび軸封止における問題の原因となり得る。永久磁石モーターの別の重要な利点は、比較的低回転速度において、誘導モーターよりも通常高トルクで動くということである。これは、伝動装置の減速要求を減らす。
【0059】
本伝動装置の別の利点は、例えば遊星ギアセットが必要とするオイルポンプからの潤滑が必要ないということである。オイルポンプなしであれば、オイルポンプを両方向で動作させるようにする必要なく、駆動モーター5の方向変換を容易に行うことができ、回転可能な工具3を作業中に両方向に回転させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の伝動装置は、従来技術の伝動装置よりもよりコンパクト、かつ軽量に作られた伝動装置が望まれるウォールソーおよび類似の建設機械に特に適用することができる。伝動装置の歯およびギアがさらされる力の最大値を制限するように、並列の2つの調整可能な摩擦クラッチを所望の所定値に設定することができる。それにより、伝動装置は、よりコンパクトかつより軽量に作られることができる。サイズを大きくしすぎる必要はなく、伝動装置は、過酷な環境において、正常に動作することができる。伝動装置は、1速または2速のタイプとすることができる。
【0061】
前記伝動装置を介してソーブレードを駆動する駆動モーターとして本発明による永久磁石モーターをウォールソーに設けることにより、特にモーターの重量を減らすことができ、かつ幅広い回転速度範囲にわたって略一定のモーター出力を得ることができる。それにより、永久磁石モーターはまた、ギアボックスの機能を少なくとも部分的に提供することができ、必要な機械的なギアの数を減らす。それにより、全体としての駆動系は、よりコンパクトかつより軽量にすることができ、製造および維持の費用効率を高くすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 ソー
2 歯付きラック
3 ソーブレード
5 駆動モーター
9 モーター出力軸
20 伝動装置
21 アーム形状ハウジング
22 第1ギア
23 第1ギアアセンブリ
24 第2ギア
25 ギア出力軸
26 第3ギア
27 第4ギア
28 同軸シャフト
29 第5ギア
30 摩擦クラッチ盤
31 ねじ部
32 ナット
33 皿バネ
34 クラッチ伝達板
123 追加的なギアアセンブリ
127 第2駆動ギア
129 第2被駆動ギア
136 外歯付きロックワッシャー
142 変速装置
145a,145b 非円形断面
147 整合中央穴
146 歯
148 周面部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォールソー、フロアソーまたは石工ソーなどの可搬式および/または車輪付きソー(1)であって、該ソー(1)は、
回転可能な円形ソーブレード(3)と、
前記ソーブレード(3)を回転させるためのモーター出力軸(9)を有する駆動モーター(5)と、
前記モーター出力軸(9)の不適当な高速および低トルクの組み合わせを、前記回転可能な工具(3)におけるより有用な高トルクの低速度に変換するために、前記モーター出力軸(9)を前記回転可能なソーブレード(3)に相互接続する伝動装置(20)と、
を備え、前記伝動装置(20)が調整可能な摩擦ソー保護クラッチ(30−33)を含み、
前記伝動装置(20)は、それぞれナット(32)によって締め付けられる並列の2つの調整可能な摩擦ソー保護クラッチ(30−33)を備え、かつ意図しない回転に対して前記ナット(32)を固定するためのナット固定手段(145a,145b,136,146,147,148)が設けられている、ソー(1)。
【請求項2】
前記調整可能な摩擦ソー保護クラッチ(30−33)が、前記駆動モーター(5)の最大トルクの少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍の摺動トルクを提供することができるように構成され、かつ前記伝動装置が1つの固定比を有する請求項1に記載のソー(1)。
【請求項3】
前記ソーが切断される部材に固定される、またはごく接近するように固定されるよう意図された歯付きラック(2)を備え、ウォールソーなどでの切断中に前記ソーの移動可能な部品が前記ラックに沿って移動することができる、請求項1または2に記載のソー。
【請求項4】
第1ギア(22)が前記モーター出力軸(9)に取り付けられ、2つの第1ギアアセンブリ(23)が前記第1ギア(22)に同時に駆動されるように配置され、共通の第2ギア(24)が並列の前記2つの第1ギアアセンブリ(23)によって駆動されるよう配置され、前記第2ギア(24)は、ギア出力軸(25)を有し、該ギア出力軸(25)に前記ソーブレード(3)が取り付けられるようになっており、各第1ギアアセンブリ(23)が、前記調整可能な摩擦ソー保護クラッチ(30−33)の1つを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のソー。
【請求項5】
第3ギア(26)が、前記第1ギアアセンブリ(23)および前記第2ギア(24)の間に配置されるように取り付けられ、前記第1ギアアセンブリ(23)によって駆動されかつ前記第2ギア(24)を駆動する、請求項4に記載のソー。
【請求項6】
各第1ギアアセンブリ(23)が、被駆動ギア(29)および駆動ギア(27)を備え、前記被駆動ギア(29)が前記第1ギア(22)とかみ合い、かつ前記駆動ギア(27)が前記第2ギア(24)または前記第3ギア(26)のいずれかとかみ合う、請求項4または5に記載のソー。
【請求項7】
前記第1ギア(22)によって同時に駆動され、かつ前記第1の2つのギアアセンブリ(23)を駆動するよう配置された2つの追加的なギアアセンブリ(123)と、前記モーター出力軸(9)を前記第1ギア(22)に接続するスプライン継手(12)とをさらに含み、前記第2ギア(24)を第1速度で回転させるために、前記2つの第1ギアアセンブリ(23)に動作可能に直接接続される第1の位置と、前記第2ギア(24)を第2の異なる速度にて回転させるために、前記2つの追加的なギアアセンブリ(123)に動作可能に直接接続され、それにより前記2つの第1ギアアセンブリ(23)に間接的に接続される第2の位置と、の間を前記第1ギア(22)が摺動することができる、請求項4〜6のいずれか一項に記載のソー。
【請求項8】
各追加的なギアアセンブリ(123)が第2被駆動ギア(129)および第2駆動ギア(127)を備え、前記追加的なギアアセンブリ(123)の前記第2被駆動ギア(129)が前記第1ギア(22)にかみ合う一方、前記追加的なギアアセンブリ(123)の前記第2駆動ギア(127)は、前記2つの第1ギアアセンブリ(23)の前記被駆動ギア(29)にかみ合う、請求項7に記載のソー。
【請求項9】
前記モーター出力軸(9)上の前記2つの位置の間で前記第1ギア(22)を移動させるための変速装置(142)が設けられている、請求項7または8に記載のソー。
【請求項10】
低いギアで全体の減速比が約10:1、および高いギアで減速比が約7.5:1となるように前記伝動装置の全ての前記ギアが選択される請求項6〜9のいずれか一項に記載のソー。
【請求項11】
各第1ギアアセンブリ(23)が、
同軸シャフト(28)に一体、かつ前記被駆動ギアを形成する第4ギア(27)と、
前記同軸シャフト(28)に回転可能に取り付けられ、かつ前記駆動ギアを形成する第5ギア(29)と、
前記第4ギア(27)および前記第5ギア(29)の間で軸方向に締め付けられる摩擦クラッチ盤(30)と、
前記第5ギア(29)から前記第4ギア(27)へのトルクの伝達を許容するために、前記摩擦クラッチ盤(30)に対して調整可能な圧力で前記第5ギア(29)を押すための機構(31−34)と、
を備える請求項6〜10のいずれか一項に記載のソー。
【請求項12】
クラッチ伝達板(34)が前記第4ギア(27)および前記摩擦クラッチ盤(30)の間で前記同軸シャフト(28)に固定されている、請求項11に記載のソー。
【請求項13】
前記同軸シャフト(28)が前記第5ギア(29)から軸方向に延在する自由端部を有し、前記自由端部がねじ部(31)と、前記ねじ部のねじ山(31)に係合するナット(32)と、前記ナット(32)および前記第5ギア(29)の間で締め付けられる皿バネ(33)と、を有し、それによって前記ナット(32)の締め付け程度により、どのくらいのトルクで前記ソーブレードの回転が停止するかを決定する、請求項11または12に記載のソー。
【請求項14】
前記同軸シャフト(28)での意図しない回転に対して前記ナット(32)を固定するために、前記ナット固定手段(145a,145b,136,146,147,148)が設けられている、請求項13に記載のソー。
【請求項15】
前記ナット固定手段が、
− 前記ねじ部(31)の非円形断面(145a,145b)と、
− 整合中央穴(147)を有し、前記皿バネ(33)および前記ナット(32)の間の前記ねじ部(31)に取り付けられる外歯付きロックワッシャー(136)と、
− 前記ワッシャー(136)を前記ナット(32)に固定するための固定手段(146,148)と、
を含む請求項14に記載のソー。
【請求項16】
前記固定手段が、
− 前記ワッシャー(136)の円周から延在する少なくとも1つの歯(146)と、
− 前記ナット(32)の少なくとも1つの周面部分(148)と、
を含み、
前記ロックワッシャー(136)の歯(146)の数および前記ナット(32)の面部分の数は、少なくとも1つの前記歯(146)を前記面部分の1つに対して曲げることによって、前記ねじ部(31)のほぼ任意の位置への前記ナット(32)の固定を可能にするのに十分である、請求項15に記載のソー。
【請求項17】
共にまとめた前記歯(146)の数および前記面部分(148)の数が少なくとも5個、より好ましくは少なくとも10個、さらにより好ましくは少なくとも15個である、請求項16に記載のソー。
【請求項18】
減速比が約3:2となるように、前記第1および第5ギア(それぞれ22および29)が選択され、かつ減速比が約5:1となるように、前記第4ギア(27)および前記第3ギア(26)またはそれにより駆動される前記第2ギア(24)が選択される、請求項6〜17のいずれか一項に記載のソー。
【請求項19】
前記第2および前記第3ギア(それぞれ24および26)が実質的に同じ大きさである、請求項18に記載のソー。
【請求項20】
前記伝動装置(20)がアーム形状ハウジング(21)に取り付けられ、前記モーター(5)の前記モーター出力軸(9)の回転軸と同軸の枢動軸で回転することができる、請求項3〜19のいずれか一項に記載のソー。
【請求項21】
前記駆動モーター(5)が電気モーター(5)、好ましくは永久磁石モーターである、請求項3〜20のいずれか一項に記載のソー。
【請求項22】
少なくとも1,000rpmの速度範囲の実質的に全ての回転速度において最大出力に近い出力が出るように前記電気モーター(5)が配置されている、請求項21に記載のソー。
【請求項23】
少なくとも3,000rpmの速度範囲の実質的に全ての回転速度において最大出力に近い出力がでるように前記電気モーター(5)が配置されている、請求項22に記載のソー。
【請求項24】
前記モーター(5)の6,000rpm〜9,000rpmの間の実質的に全てのモーター回転速度において最大出力に近い出力が出るように前記永久磁石モーターが配置されている、請求項21〜23のいずれか一項に記載のソー。
【請求項25】
特定の範囲の回転速度に亘って連続的に最大出力を得るため、タップ切替弱め界磁のために前記モーター(5)が配置されている、請求項21〜24のいずれか一項に記載のソー。
【請求項26】
前記駆動モーター(5)の方向を変えることによって、作業中に前記回転可能な工具(3)が両方向に回転できるように、前記駆動モーター(5)および前記伝動装置(20)の両方が配置されている、請求項1〜25のいずれか一項に記載のソー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−503762(P2013−503762A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527844(P2012−527844)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000398
【国際公開番号】WO2011/028154
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(511268591)ハスクバーナ・アーベー (5)
【Fターム(参考)】