説明

建設機械のワイパー作動装置

【課題】 キャビン内よりフロントウインドーを通して作業機の位置を監視しながらキャビン内に設置されている操作レバを操作して作業機を操作する建設機械において、操作レバより手を離すことなくワイパーの作動を可能にする。
【解決手段】 作業機を操作するための操作レバ20の操作ノブ21にワイパー2を作動/停止に切り換えるためのスイッチ23を設け、該スイッチ23の切り換えにより建設機械のフロントウインドー2に付着した水滴、雨水、泥水等の付着物を拭き落とせるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建設機械のワイパー作動装置に関するものであり、特に、操作レバにワイパーの作動/停止を切り換えるスイッチを設けた建設機械のワイパー作動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、建設機械としては、作業機としてブームの先端部に掘削用のバケットを取付けたものや、ロワーフレームに掘削用のブレードを取付けたものが提供されている。この種の建設機械では、キャビン内よりフロントウインドーを通して作業機の位置を監視しながらキャビン内に設置されている操作レバの操作により作業を行い、雨天時には、オペーレータの周囲に配設されているワイパースイッチによりワイパーを作動して作業に必要な視野を確保する。
【0003】図3はこの種、従来の建設機械のワイパー作動装置1を示している。
【0004】同図において、2は建設機械のキャビンのフロントウインドー、3はワイパー、4はワイパー3を作動するためのワイパー駆動モータを示しており、ワイパー駆動モータ4を駆動するとフロントウインドー2に沿ってワイパー3が往復動作をし、フロントウインドー2に付着した水滴、泥、泥水が拭き落とされる。
【0005】5はスイッチパネルであり、スイッチパネル制御回路7とワイパースイッチ8とを備えている。該ワイパースイッチ8によりスイッチパネル制御回路7に信号が入力されるように構成されている。そして、スイッチパネル制御回路7はトランジスタ6及び信号ライン9を介してワイパー駆動回路10に接続されており、前記ワイパースイッチ8が押される毎に演算し、演算結果をスイッチパネル出力として信号ライン9を介してワイパー駆動回路10に出力するよう構成されている。
【0006】ここで、前記スイッチパネル制御回路7は、前記ワイパースイッチ8を一度押すと連続作動命令とみなして、スイッチパネル出力をグランドに接地したまま保持し、次に、ワイパースイッチ8を押すと間欠作動とみなしてスイッチパネル出力を一定間隔おいてグランドに接地し、更に、ワイパースイッチ8が押されたとき停止命令とみなしてスイッチパネル5の出力の回路をグランドより切り離すよう構成され、更に又、ワイパースイッチ8が押されると連続作動に戻るように構成されている。
【0007】このように従来の建設機械のワイパー作動装置1では一つのワイパースイッチ8のサイクリックな切り換えによって連続作動モード、間欠作動モード、停止モードのいずれかにワイパー3のモードを切り換えて、水滴、泥、泥水等の付着物を拭き落とす。もちろん、3個のスイッチによりワイパーの切り換えを行なうこともできる。なお、前記ワイパー駆動回路10及びワイパー駆動モータ4はワイパー3の自動復帰回路を備えているため、ワイパー3の作動中に前記スイッチパネル出力がOFFとなってもその作動はフロントウインドー2の収納ポジョションに到達するまで継続される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、前記ワイパ作動装置1の作動モードには、ワイパー連続動作モードと間欠動作モード及び停止モードの3モードが備えられており、状況に適した作動モードを選択するように構成している。しかし、時折、小雨がぱらつくような不安定な天候のとき、あるいは河川付近での工事中の跳水や噴水のとき等、時折、フロントウインドー2に水や、泥水が付着する場合があり、このような場合は、都度、バケットアーム等の作業機を操作するための操作レバから手を離して、コンソールボックス等に配設されている前記ワイパースイッチ8によって前記ワイパー3を作動せざるを得ず、作業を中断せざるを得ない。
【0009】そこで建設機械において、作業機械を操作レバより手を離すことなくワイパーの作動するために解決せられる技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、キャビン内よりフロントウインドーを通して作業機の位置を監視しながらキャビン内に設置されている操作レバを操作して作業機を操作すると共に、スイッチの切り換えによりワイパーを作動してフロントウインドーを清掃するように構成した建設機械において、前記操作レバの操作ノブに前記スイッチを設置し、前記操作レバを操作しながら前記スイッチを切り換えて前記フロントウインドーに付着した雨水、水滴、泥、泥水等の付着物を拭き落とすように構成した建設機械のワイパー作動装置を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図1R>1及び図2に従って詳述する。なお、従来技術と同一構成部については同一符号を付しその説明は省略するものとする。
【0012】図1に示すように、前記トランジスタ6のコレクタCと前記ワイパー駆動回路10とを結ぶ信号ライン9を二又に分岐する一方、建設機械に設置されている作業機(図示せず)の操作レバ20の操作ノブ21の頂面22に第1のスイッチ23を配設し、該第1のスイッチ23の+側接点24を前記信号ライン9の分岐ライン25に接続し、−側接点26を接地している。
【0013】前記第1のスイッチ23はオルタネートスイッチ又はモーメンタリスイッチより構成される。第1のスイッチ23を、オルタネートスイッチで構成した場合は、1度押すと、前記ワイパー2が1往復し、オルタネートスイッチで構成した場合は1回押すと連続作動し、再度、押すと停止する。
【0014】何れの形式のスイッチでも、操作レバ20の操作ノブ21の頂面22に設置されていて操作が容易であるので、時折、フロントウインドー2に水がかかる工事現場において、その都度、操作レバ20より手を離すことなく、また、バケットアーム等の作業機より目を離すことなく、必要な回数だけワイパー3を作動することが可能となる。このため、従来の建設機械の比較して作業性及び安全性が可及的に向上する。
【0015】図2は、前記操作レバ20に前記第1のスイッチ23の他に、更に、ウォッシャーポンプを作動するスイッチを設置した例を示している。なお、同図にあっては、理解を容易にするために、前記ワイパー作動回路1を省略している。
【0016】図2において、30はウォッシャー液を圧送するためのウォッシャー液圧送ポンプを示している。31は前記スイッチパネル5とは別に設けられているスイッチパネルであり、スイッチ32の切り換え信号をスイッチパネル制御回路33に入力するように構成され、トランジスタ34及び信号ライン36を介してウォッシャー液圧送ポンプ駆動回路37に電気的に接続されている。
【0017】前記スイッチパネル制御回路33は、前記スイッチ32が押される毎に、演算を行い対応する信号をウォッシャー液圧送ポンプ駆動回路37に出力し、ウォッシャー液圧送ポンプ駆動回路37はスイッチパネル制御回路33の信号に対応して、前記、ウォッシャー液圧送ポンプ30を作動又は停止する。
【0018】ここで、前記スイッチパネル制御回路33は、前記スイッチ32を押している間のみスイッチパネル出力をグランドに接地したまま保持し、ウォッシャー液圧送ポンプ30を作動する。
【0019】一方、前記操作レバ20の操作ノブ21の前面上部には第二のスイッチ38が配設され、該第二のスイッチ38の+側端子39が、前記トランジスタ34のコレクタCと前記ウォッシャー液圧送ポンプ駆動回路37を接続する信号ライン35より分岐されている信号ライン36に接続され、−側端子41がグランドに接続されている。前記第二のスイッチ38はオルタネートスイッチ又はモーメンタリスイッチより構成される。従って、第二のスイッチ38がオルタネートスイッチの場合は、一度押すとウォッシャー液圧送ポンプ30は1回分のウォッシャー液をタンク42より吸い出してフロントウインドー2に吹き付け、モーメンタリスイッチの場合はフロントウインドー2にウォッシャー液を連続的に吹き付ける。このため、泥濘地で、フロントウインドー2に付着した泥乃至泥水を、操作レバ20から手を離すことなく、また、作業機より目を離すことなく、拭き落とすことが可能となり、作業を中断なく継続することができる。
【0020】なお、前記操作レバ20近傍の別の操作レバ(図示せず)に操作ノブにプッシュスイッチ(図示せず)を取付けると共に、該プッシュスイッチにより前記第1のスイッチ23及び第2のスイッチ38の操作を有効又は無効とする電気回路を設けることを可とし、然るときは、前記第1のスイッチ23及び第2のスイッチ38の誤った切り換えによるワイパー3、ウォータポンプ30の誤作動を禁止することができる。
【0021】このように、本発明は、本発明の精神を改変しない限り種々の改変を為すことができ、そして本発明は該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0022】
【発明の効果】本発明は上記一実施の形態に詳述したように、操作レバの操作ノブに設置したスイッチの切り換えにより、ワイパーを作動し、建設機械のフロントウインドーに付着した水滴、雨水、泥等の付着物を拭き落とすように構成している。このため、時折、フロントウインドーに水がかかる工事現場や、不安定な天候において、その都度、操作レバから手を離すことなく、また、作業機から目を離すことなく、必要な回数だけワイパーを作動することが可能となり、フロントウインドーの付着物による作業の中断を防止することができる等、正に、著大なる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す建設機械のワイパー作動装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示し、更に、ウォッシャーポンプの作動装置を組み込んだ例を示すブロック図である。
【図3】従来の建設機械のワイパー作動装置のブロック図である。
【符号の説明】
2 フロントウインドー
3 ワイパー
20 操作レバ
21 操作ノブ
23 第1のスイッチ(スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャビン内よりフロントウインドーを通して作業機の位置を監視しながらキャビン内に設置されている操作レバを操作して作業機を操作すると共に、スイッチの切り換えによりワイパーを作動してフロントウインドーを清掃するように構成した建設機械において、前記操作レバの操作ノブに前記スイッチを設置し、前記操作レバを操作しながら前記スイッチを切り換えて前記フロントウインドーに付着した雨水、水滴、泥、泥水等の付着物を拭き落とすように構成したことを特徴とする建設機械のワイパー作動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−163145(P2000−163145A)
【公開日】平成12年6月16日(2000.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−339120
【出願日】平成10年11月30日(1998.11.30)
【出願人】(000183314)住友建機株式会社 (13)
【Fターム(参考)】