説明

建設機械の油圧駆動装置

【課題】油圧ポンプの急激な駆動負荷の発生を未然に抑止して、エンジンの回転数低下を防止する。
【解決手段】エンジン12で駆動する油圧ポンプ13と、油圧ポンプ13からの吐出油が供給される油圧アクチュエータ(ブームシリンダ7等)と、油圧アクチュエータにより回動駆動される作業アタッチメント(ブーム4等)と、作業アタッチメントを回動可能に支持する支持部材(ブラケット16等)とを備える。又、支持部材の作業アタッチメントの回動角度を検出する角度センサ23,24,25を設けると共に、該角度センサ23,24,25をコントローラ22に接続する。コントローラ22は、作業アタッチメントが稼動可能な最大回動角度近傍又は最小回動角度近傍に回動したときに、油圧アクチュエータの作動を維持できる範囲内にて、油圧ポンプ13の駆動負荷に関連する吸収トルク等の状態量が減少するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械の油圧駆動装置に関するものであり、特に、エンジンで油圧ポンプを駆動すると共に、該油圧ポンプからの吐出油により油圧アクチュエータを駆動する建設機械の油圧駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、此種油圧ショベル等の建設機械は、下部走行体上に上部旋回体が旋回可能に装架されていると共に、該上部旋回体の前部にブームが俯仰動可能に連結されている。又、該ブームの先端部にア−ムが上下回動可能に枢着され、該ア−ムの先端部にバケットが揺動可能に取り付けられている。そして、前記ブーム、ア−ム及びバケットは夫々、油圧アクチュエータとしての油圧シリンダにより駆動される。
【0003】
又、上部旋回体にはエンジンが搭載されていると共に、該エンジンの出力軸に可変容量型の油圧ポンプが連結されている。そして、該油圧ポンプは流量制御弁を介して上記油圧シリンダに圧油を供給することにより、該油圧シリンダを駆動するように構成されている。
【0004】
更に、前記エンジンの負荷を安定させるために、油圧ポンプの吐出ラインの最下流側(油タンク側)にネガコン絞りを設け、該ネガコン絞り上流側のネガコン圧を負帰還させて油圧ポンプを負帰還制御する方式が採用されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−117410公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の上記油圧駆動装置では、油圧シリンダがストロークエンドに到達した時、即ち、ブーム等の作業アタッチメントが稼動可能な最大回動角度又は最小回動角度に回動した時に駆動負荷が急激に発生する。この場合、上記油圧ポンプの圧力上昇等に基づいて駆動負荷を検出し、この検出信号に応答して油圧ポンプの駆動負荷を低減させるべく制御している。
【0006】
しかし、前記駆動負荷制御方式によれば、油圧シリンダに駆動負荷が作用した状態で駆動負荷を検出し、その後に、油圧ポンプの駆動負荷を事後的に低減させているので、ポンプ負荷低減の対応が遅延する。その結果、油圧ポンプの駆動源であるエンジンの回転数が急激に低下するという問題があった。
【0007】
そこで、油圧ポンプの急激な駆動負荷の発生を未然に抑止して、エンジンの回転数低下を防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、エンジンと、該エンジンにより駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出された圧油が供給される油圧アクチュエータと、該油圧アクチュエータにより回動駆動されるブーム等の作業アタッチメントと、該作業アタッチメントを回動可能に支持する支持部材とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、前記支持部材に前記作業アタッチメントの回動角度を検出する角度センサを取り付けると共に、該角度センサをコントローラに接続し、該コントローラは、前記作業アタッチメントが稼動可能な最大回動角度若しくは最小回動角度の近傍に回動したときに、該油圧アクチュエータの作動を維持できる範囲内にて、前記油圧ポンプの駆動負荷に関連する状態量が減少するように制御することを特徴とする建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【0009】
この構成によれば、作業アタッチメントが稼動可能な最大回動角度若しくは最小回動角度の近傍に回動すると、油圧ポンプの駆動負荷に関連する状態量(以下、「ポンプ負荷状態量」という。)が所定値、即ち、油圧アクチュエータの作動を維持できる範囲内における所定値まで減少する。従って、油圧ポンプに駆動負荷が急激に作用する前に、油圧アクチュエータが停止することなく、油圧ポンプの駆動負荷が減少する。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記油圧ポンプの駆動負荷に関連する状態量が、該油圧ポンプの吸収トルクであることを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【0011】
この構成によれば、上記ポンプ負荷状態量が油圧ポンプの吸収トルクであるので、該油圧ポンプに吸収トルク制御手段を接続することで、油圧ポンプの吸収トルクが速やかに低減制御される。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記油圧ポンプの駆動負荷に関連する状態量が、該油圧ポンプから吐出される圧油の流量であることを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【0013】
この構成によれば、ポンプ負荷状態量が、油圧ポンプから吐出される圧油の流量であるので、該油圧ポンプに吐出流量制御手段を接続することで、前記圧油の流量が速やかに低減制御される。
【0014】
請求項4記載の発明は、上記油圧ポンプの駆動負荷に関連する状態量が、該油圧ポンプから吐出される圧油の圧力であることを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【0015】
この構成によれば、ポンプ負荷状態量が油圧ポンプから吐出される圧油の圧力であるので、該油圧ポンプに吐出圧制御手段を接続することで、前記圧油の圧力が速やかに低減制御される。
【0016】
請求項5記載の発明は、上記角度センサの取付箇所が、上記支持部材における上記作業アタッチメント若しくは上記油圧アクチュエータの回動摺動部であることを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、作業アタッチメントの回動角度を検出する角度センサの取付箇所が、上記支持部材における作業アタッチメント若しくは上記油圧アクチュエータ(ブームシリンダ等の駆動用シリンダ)の回動摺動部であるので、作業アタッチメントの回動角度が正確に検出される。
【0018】
請求項6記載の発明は、上記作業アタッチメントが複数設けられ、各作業アタッチメントに上記角度センサが取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【0019】
この構成によれば、複数の各作業アタッチメントに角度センサが夫々取り付けられているので、作業アタッチメント毎に回動角度が各別に検出される。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明は、油圧ポンプに作用する急激な駆動負荷が未然に抑止できるので、該駆動負荷に起因するエンジンの回転数低下を確実に防止することができる。
【0021】
請求項2記載の発明は、ポンプ負荷状態量としての油圧ポンプの吸収トルクを容易迅速に減少させることができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ポンプ負荷状態量の減少制御を精度良く行うことができる。
【0022】
請求項3記載の発明は、ポンプ負荷状態量としての油圧ポンプの吐出流量を容易迅速に減少させることができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ポンプ負荷状態量の減少制御を精度良く行うことができる。
【0023】
請求項4記載の発明は、ポンプ負荷状態量としての油圧ポンプからの吐出圧を容易迅速に減少させることができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ポンプ負荷状態量の減少制御を精度良く行うことができる。
【0024】
請求項5記載の発明は、作業アタッチメントの回動角度を角度センサにより正確、且つ、迅速に検出できるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ポンプ負荷状態量の減少制御を精度良く行うことができる。
【0025】
請求項6記載の発明は、作業アタッチメント毎に回動角度を各別に検出できるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ポンプ負荷状態量をより一層精度良く減少制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、油圧ポンプの急激な駆動負荷を抑止して、エンジンの回転数低下を未然に防止するという目的を達成するため、エンジンと、該エンジンにより駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出された圧油が供給される油圧アクチュエータと、該油圧アクチュエータにより回動駆動されるブーム等の作業アタッチメントと、該作業アタッチメントを回動可能に支持する支持部材とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、前記支持部材に前記作業アタッチメントの回動角度を検出する角度センサを取り付けると共に、該角度センサをコントローラに接続し、該コントローラは、前記作業アタッチメントが稼動可能な最大回動角度若しくは最小回動角度の近傍に回動したときに、該油圧アクチュエータの作動を維持できる範囲内にて、前記油圧ポンプの駆動負荷に関連する状態量が減少するように制御することにより実現した。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の好適な一実施例を図1乃至図6に従って説明する。図1は、本実施例に係る建設機械としての油圧ショベル1を示す。同図において、下部走行体2上には上部旋回体3が旋回可能に装架され、該上部旋回体3の前方一側部にブーム4が回動可能に連結されている。又、ブーム4の先端部にア−ム5が回動可能に枢着されていると共に、該ア−ム5の先端部にバケット6が回動可能に取り付けられている。
【0028】
前記ブーム4、ア−ム5及びバケット6はブームシリンダ7、ア−ムシリンダ8及びバケットシリンダ9により夫々駆動される。又、前記上部旋回体3の前方他側部にはキャブ10が搭載され、該キャブ10の後方に設けたエンジン室11内にエンジン12等の装置機器が配置されている。
【0029】
図2は、本発明に係る油圧駆動装置の油圧駆動回路図を示す。本発明は、油圧駆動回路に設けた油圧アクチュエータとして、1又は2以上の油圧シリンダ、例えば、ブームシリンダ7又はアームシリンダ8等を含むものであれば全て適用可能である。尚、説明の都合上、図2の構成例では油圧シリンダを1つだけ図示し、他の複数の油圧アクチュエータの図示を省略するものとする。
【0030】
図2において、エンジン12の出力軸にはメイン油圧ポンプ13及びパイロット油圧ポンプ14が連結され、メイン油圧ポンプ13としては、斜板形可変容量型のポンプが採用されている。そして、メイン油圧ポンプ13の吐出ライン15には油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ、例えばブームシリンダ7が接続されていると共に、該吐出ライン15の途中に6ポート3位置切換型の流量制御弁(方向切換弁)17が設けられている。尚、前記吐出ライン15には、ブームシリンダ7以外にアームシリンダ8及び/又はバケットシリンダ9が接続されている。

又、前記流量制御弁17は、操作レバー18に連動するリモコン弁19を介して作動される。本実施例では、流量制御弁17を中立位置から伸び位置(イ)又は縮み位置(ロ)に切り換えることにより、メイン油圧ポンプ13からブームシリンダ7のボトム側油室又はトップ側油室に圧油が供給され、これに応じてブームシリンダ7が伸長又は収縮するように構成されている。
【0031】
又、作業アタッチメントとしての上記ブーム4の基端部は、上部旋回体3に固設した略へ字形のブラケット16の中間上部に上下回動可能に枢着支持されている。更に、該ブーム7の回動摺動部(支持ピン)には角度センサ23が取り付けられ、該角度センサ23はブーム4の回動角度を検出して、その信号をコントローラとしての制御装置22に送信する。
【0032】
前記と同様に、作業アタッチメントとしての上記アーム5及びバケット6についても回動角度を検出できるように構成されている。即ち、アーム5及びバケット6は夫々、ブーム4先端部及びアーム5先端部に上下回動可能に枢着支持され、且つ、該アーム5及びバケット6の回動摺動部(支持ピン)に取り付けた角度センサ24,25により、アーム5及びバケット6の回動角度を夫々検出して、各信号を制御装置22に送信できるように構成されている。
【0033】
前記制御装置22は、主としてマイクロコンピュータから成り、図3に例示するように、信号入力部22A、演算部22B、記憶部22C、ポンプ状態量制御部22D及び信号出力部22E等により構成されている。そして、ポンプ状態量制御部22Dは、前記角度センサ23、24,25からの検出信号に基づいて、メイン油圧ポンプ13の駆動負荷に関連する吸収トルク等の状態量(ポンプ負荷状態量)を制御する。
【0034】
例えば、前記ブーム4、アーム5又はバケット6が稼動可能な回動角度の最大値近傍又は最小値近傍(以下、回動角度エンド近傍という。)まで回動変位した時に、制御装置22は、ポンプ負荷状態量を所定値Sまで減少するように制御する。ここに、所定値Sとは、ブームシリンダ7が作動し得る範囲内にて予め設定した一定値であって、メイン油圧ポンプ13の駆動負荷を有効に低減できるポンプ負荷状態量に対応する値をいう。
【0035】
更に、上記メイン油圧ポンプ13の吐出ライン15からは油路26が分岐している。又、油路26は油タンク27に連通していると共に、該油路26の途中にはリリーフ弁28が設けられている。該リリーフ弁28は油路29により上記パイロット油圧ポンプ14に接続され、該油路29の途中に電磁切換弁30が設置されている。該電磁切換弁30のソレノイドは、制御装置22の出力側に電気的に接続されている。
【0036】
電磁切換弁30は吐出圧制御手段として機能し、メイン油圧ポンプ13の吐出圧を制御する。例えば、制御装置22からの指令信号により、電磁切換弁30がノーマル位置から作動位置(ハ)に切り換わると、リリーフ弁28とパイロット油圧ポンプ14との連通が遮断される。その結果、リリーフ弁28の設定圧が低下して、メイン油圧ポンプ13の吐出圧が低下する(図4中の矢印Aを参照)。
【0037】
又、制御装置22の出力側にはレギュレータ31が電気的に接続され、該レギュレータ31は制御装置22からの指令信号により動作制御される。該レギュレータ31は吸収トルク/流量制御手段として機能し、メイン油圧ポンプ13の吸収トルク又は吐出流量を制御する。
【0038】
更に、レギュレータ31は、制御装置22により吸収トルク値又は吐出流量値を変更できるように設定されている。例えば、制御装置22からトルク減少信号が出力されると、レギュレータ31における吸収トルクの設定値が小さくなるように変更され、そのため、メイン油圧ポンプ13の吸収トルクが減少する(図5中の矢印Cを参照)。
【0039】
一方、制御装置22から吐出流量減少信号が出力されると、レギュレータ31における前記吐出流量の設定値が小さくなるように変更され、そのため、メイン油圧ポンプ13の吐出流量が減少する(図4中の矢印Bを参照)。
【0040】
次に、上記ポンプ負荷状態量の制御手順を図6のフローチャートに基づいて詳述する。尚、メイン油圧ポンプ13の吐出ライン15には、ブームシリンダ7以外にアームシリンダ8及びバケットシリンダ9がそれぞれ流量制御弁(図示せず)を介して接続されているものとする。
【0041】
先ず、エンジン12によってメイン油圧ポンプ13が駆動され、メイン油圧ポンプ13からの圧油が流量制御弁17等を介して、ブームシリンダ7、アームシリンダ8又はバケットシリンダ9に夫々供給されると、ブームシリンダ7、アームシリンダ8若しくはバケットシリンダ9が伸長又は収縮して、ブーム4、アーム5又はバケット6が回動動作する。この時、ブーム4、アーム5又はバケット6の回動角度は、角度センサ23,24又は25により検出される(ステップS1)。
【0042】
そして、ブーム4、アーム5又はバケット6が回動角度エンド近傍に達すると(ステップS2)、角度センサ23,24又は25から制御装置22に回動角度エンド近傍信号が送られる(ステップS3)。次いで、制御装置22は該回動角度エンド近傍信号に基づいて、上記ポンプ負荷状態量、即ち、メイン油圧ポンプ13の吸収トルク、吐出流量及び吐出圧の少なくとも1以上を減少させるべく、電磁切換弁30及び/又はレギュレータ31に指令信号を出力する(ステップS4)。これにより、ブームシリンダ7等の油圧アクチュエータの作動を停止させない範囲で、メイン油圧ポンプ13の吸収トルク、吐出流量及び/又は吐出圧が所定値Sまで減少するように制御される(ステップS5)。
【0043】
例えば、メイン油圧ポンプ13の吐出圧を制御する場合は、制御装置22から電磁切換弁30のソレノイドに吐出圧低下信号を送信する。これにより、リリーフ弁28の設定圧が低下して、メイン油圧ポンプ13の吐出圧が低下する。この場合は、図4中の矢印Aで示すように、メイン油圧ポンプ13の吐出圧Pの低下量相当分だけ(同図中の矢印Aを含む斜線部分だけ)、メイン油圧ポンプ13の駆動負荷が低減する。
【0044】
又、メイン油圧ポンプ13の吐出流量又は吸収トルクを制御する場合は、制御装置22からレギュレータ31に吐出流量低下信号又は吸収トルク低下信号を送信する。これにより、レギュレータ31において吐出流量又は吸収トルクの設定値が小さくなるように変更される。その結果、メイン油圧ポンプ13の吐出流量又は吸収トルクが減少する。
【0045】
特に、吐出流量の減少制御の場合は、図4中の矢印Bで示すように、メイン油圧ポンプ13の吐出流量Qが低下する。それ故、吐出流量Qの低下量相当分(同図中の矢印Bを含む斜線部分)だけメイン油圧ポンプ13の駆動負荷が低減する。
【0046】
又、吸収トルクの減少制御の場合は、図5中の矢印Cで示すように、吸収トルク一定曲線Tが内側(同図の左下側)にシフトすることにより、メイン油圧ポンプ13の吸収トルクが低下する。それ故、吸収トルクの低下量相当分(同図中の矢印Cを含む斜線部分)だけメイン油圧ポンプ13の駆動負荷が低減する。
【0047】
叙上の如く本発明によると、作業アタッチメントとしてのブーム4、アーム5又はバケット6が回動角度エンドに接近すると、ブームシリンダ7等の油圧アクチュエータの作動を維持しつつ、メイン油圧ポンプ13の吸収トルク、吐出流量及び/又は吐出圧が可及的速やかに減少する。斯くして、該メイン油圧ポンプ13の駆動負荷が急激に上昇する前に、エンジン12の回転数低下が抑制され、以て、エンスト等の不具合が確実に防止される。
【0048】
更に、本実施例によれば、電磁切換弁(吐出圧制御手段)30及びレギュレータ(吸収トルク/吐出流量制御手段)31により、メイン油圧ポンプ13の吐出圧、吸収トルク及び/又は吐出流量を容易迅速に減少させることができるので、ポンプ負荷状態量の減少制御を一層精度良く行うことができる。
【0049】
更に又、ブーム4、アーム5及びバケット6の各支持部材に角度センサ23,24及び25を夫々取り付けたので、該角度センサ23,24及び25により前記ブーム4、アーム5及びバケット6の回動角度を各別に正確に検出でき、それ故、ポンプ駆動負荷低減の制御精度がより一層向上する。
【0050】
本発明に係る角度センサは1個又は複数個配置でき、角度センサの個数の上限を設けないものとする。又、角度センサの取付箇所は、支持部材(ブラケット等)における作業アタッチメントの回動摺動部に限定されるべきではなく、油圧アクチュエータ(ブームシリンダ等)の回動摺動部でもよい。このように構成しても、作業アタッチメントの回動角度を角度センサにより正確に検出できるので、ポンプ負荷状態量の減少制御を精度良く行うことができる。
【0051】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例を示し、油圧駆動装置を搭載した油圧ショベルの側面図。
【図2】本発明に係る油圧駆動装置の油圧駆動回路図。
【図3】本発明に係る制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図4】本発明に係る流量制御/吐出圧制御を説明する流量−吐出圧曲線のグラフ。
【図5】本発明に係るポンプ吸収トルク制御を説明する流量−吐出圧曲線のグラフ。
【図6】本発明に係るポンプ負荷状態量の制御手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
1 油圧ショベル(建設機械)
3 上部旋回体
4 ブーム(作業アタッチメント、アームの支持部材)
5 ア−ム(作業アタッチメント、バケットの支持部材)
6 バケット(作業アタッチメント)
7 ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
8 ア−ムシリンダ(油圧アクチュエータ)
9 バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)
12 エンジン
13 メイン油圧ポンプ
16 ブラケット(ブームの支持部材)
17 流量制御弁
22 制御装置(コントローラ)
22Dポンプ状態量制御部
23 ブーム用の角度センサ
24 アーム用の角度センサ
25 バケット用の角度センサ
30 電磁切換弁(吐出圧制御手段)
31 レギュレータ(吸収トルク/吐出流量制御手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジンにより駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出された圧油が供給される油圧アクチュエータと、該油圧アクチュエータにより回動駆動されるブーム等の作業アタッチメントと、該作業アタッチメントを回動可能に支持する支持部材とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、
前記支持部材に前記作業アタッチメントの回動角度を検出する角度センサを取り付けると共に、該角度センサをコントローラに接続し、
該コントローラは、前記作業アタッチメントが稼動可能な最大回動角度若しくは最小回動角度の近傍に回動したときに、該油圧アクチュエータの作動を維持できる範囲内にて、前記油圧ポンプの駆動負荷に関連する状態量が減少するように制御することを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項2】
上記油圧ポンプの駆動負荷に関連する状態量が該油圧ポンプの吸収トルクであることを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置。
【請求項3】
上記油圧ポンプの駆動負荷に関連する状態量が、該油圧ポンプから吐出される圧油の流量であることを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置。
【請求項4】
上記油圧ポンプの駆動負荷に関連する状態量が、該油圧ポンプから吐出される圧油の圧力であることを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置。
【請求項5】
上記角度センサの取付箇所が上記支持部材における上記作業アタッチメント若しくは上記油圧アクチュエータの回動摺動部であることを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置。
【請求項6】
上記作業アタッチメントが複数設けられ、各作業アタッチメントに上記角度センサが取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−150774(P2010−150774A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328156(P2008−328156)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】