説明

建設機械の油圧駆動装置

【課題】油圧ポンプの急激な駆動負荷の発生を未然に抑止して、エンジンの回転数低下を防止する。
【解決手段】エンジン12で駆動される油圧ポンプ13と、油圧ポンプ13のトルクを調整するトルク調整手段31と、油圧ポンプ13からの吐出油で駆動する油圧アクチュエータ16と、油圧アクチュエータ16を操作する操作装置20と、操作装置20の操作状態を検出する操作状態検出器21と、操作状態検出器21からの信号に基づいてトルク調整手段31を制御するコントローラ22とを設け、コントローラ22は、操作装置20が操作状態に作動された時に油圧ポンプ13が低トルクとなるように制御する第1トルク制御部と、そのあと油圧ポンプ13が低トルクから上昇して最大トルクに移行するように制御する第2トルク制御部とを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械の油圧駆動装置に関するものであり、特に、エンジンで油圧ポンプを駆動すると共に、該油圧ポンプからの圧油により油圧アクチュエータを駆動する建設機械の油圧駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、此種油圧ショベル等の建設機械は、下部走行体上に上部旋回体が旋回可能に装架されていると共に、該上部旋回体の前部にブームが俯仰動可能に連結されている。又、該ブームの先端部にア−ムが上下回動可能に枢着され、該ア−ムの先端部にバケットが揺動可能に取り付けられている。そして、前記ブーム、ア−ム及びバケットは、油圧アクチュエータとしての各油圧シリンダにより夫々駆動される。
【0003】
又、上部旋回体にはエンジンが搭載されていると共に、該エンジンの出力軸に可変容量型の油圧ポンプが連結されている。そして、該油圧ポンプは流量制御弁を介して油圧シリンダに圧油を供給することにより、該油圧シリンダを駆動するように構成されている。
【0004】
更に、前記エンジンの負荷を安定させるために、油圧ポンプの吐出ラインの最下流側(油タンク側)にネガコン絞りを設け、該ネガコン絞り上流側のネガコン圧を負帰還させて油圧ポンプを負帰還制御する方式が採用されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−117410公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の油圧駆動装置では、油圧シリンダがストロークエンドに到達すると、駆動負荷が急激に発生し、この時、上記油圧ポンプの圧力上昇等に基づいて駆動負荷を検出して、該油圧ポンプの駆動負荷を低減させるべく制御している。
【0006】
しかし、前記ポンプ負荷の低減制御方式によれば、油圧シリンダに駆動負荷が急激に作用した状態で駆動負荷を検出し、その後に、油圧ポンプの駆動負荷を事後的に低減させている。従って、ポンプ負荷低減の対応が遅延し、その結果、油圧ポンプ用駆動源としてのエンジンの回転数が急激に低下するという問題があった。
【0007】
又、前記エンジンにノズル開度が調整可能な可変容量型のターボチャージャーを搭載したものでは、ターボチャージャーのブースト圧が発生した時に、該ブースト圧の上昇に基づいて油圧ポンプの駆動負荷を検出して、該駆動負荷を低減させる制御方式が提案されている。しかし、この制御方式においても、油圧シリンダに駆動負荷が作用した状態でブースト圧を検出し、その後に、油圧ポンプの駆動負荷を事後的に低減させているので、上記同様に、ポンプ負荷低減の対応が遅延してエンジンの回転数が急激に低下する。
【0008】
そこで、油圧ポンプの急激な駆動負荷を未然に抑止して、エンジンの回転数低下を防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、エンジンと、該エンジンにより駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプのトルクを調整するトルク調整手段と、該油圧ポンプから吐出された圧油が供給される油圧アクチュエータと、該油圧アクチュエータを操作するための操作装置とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、前記操作装置の操作状態を検出する操作状態検出器と、該操作状態検出器からの信号に基づいて前記トルク調整手段を制御するコントローラとを設け、該コントローラは、前記操作装置が操作状態に作動された時に、前記油圧ポンプが低トルクとなるように制御する第1トルク制御部と、該低トルク状態での制御が所定時間経過した後に前記油圧ポンプが低トルクから最大トルクに移行するように制御する第2トルク制御部とを備え、前記エンジンにはノズル開度が調整可能な可変容量型のターボチャージャーが搭載され、且つ、前記第2トルク制御部は、該ターボチャージャーのノズル開度速度が所定値以上になった時に、上記油圧ポンプのトルクが該ノズル開度速度に応じた低トルクから上昇して最大トルクに移行するように制御することを特徴とする建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【0010】
この構成によれば、第1トルク制御部及び第2トルク制御部によって、トルク調整手段を連続的に動作制御することにより、油圧ポンプが低トルクから最大トルクに円滑に変化するように作動する。即ち、先ず、第1トルク制御部は、操作装置が非操作状態から操作状態に作動された時に、油圧ポンプのトルクが最大トルクよりも低い所定の低トルクとなるように制御される。
【0011】
次に、第2トルク制御部は、低トルク状態での制御が所定時間ΔT(急激な駆動負荷を抑止できる時間)だけ保持された後に、記油圧ポンプのトルクを所定の制御パターンに従って最大トルクまで上昇するように制御する。これにより、操作装置のオン操作時に、油圧ポンプは低トルクから上昇して最大トルクにスムーズに移行する。
本発明では、更に、油圧ポンプのトルクは、ターボチャージャーのノズル開度速度が所定値V以上、即ち、所要のエンジン出力を確保できるノズル開度速度以上になった時に、該ノズル開度速度に応じた低トルクから上昇して、所定の制御パターンに従って最大トルクに移行する。
【0012】
請求項2記載の発明は、上記第2トルク制御部は、上記操作装置の操作速度が所定値以上で作動された時に、上記油圧ポンプのトルクが該ノズル開度速度に応じた低トルクから上昇して最大トルクに移行するように制御することを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【0013】
この構成によれば、油圧ポンプのトルクは、操作装置(操作レバー)の操作速度が所定値V以上、即ち、所要の油圧駆動力を確保できる操作速度V以上になった時に、前記ノズル開度速度に応じた低トルクから上昇して、所定の制御パターンに従って最大トルクにスムーズに移行する。
【0014】
請求項3記載の発明は、上記油圧ポンプのトルク制御はポンプ吐出圧を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【0015】
この構成によれば、油圧ポンプのトルク制御はポンプ吐出圧を制御するので、該油圧ポンプに吐出圧制御手段を接続することで、前記圧油の圧力が速やかに低減制御される。
【0016】
請求項4記載の発明は、上記油圧ポンプのトルク制御はポンプ吐出流量を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、油圧ポンプのトルク制御はポンプ吐出流量を制御するので、該油圧ポンプに吐出流量制御手段を接続することで、前記圧油の流量が速やかに低減制御される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明は、油圧ポンプのトルクが低トルクから最大トルクに円滑に移行することにより、該油圧ポンプに急激な駆動負荷が作用する恐れがないので、該駆動負荷に起因するエンジンの回転数低下を防止できるのみならず、ターボチャージャーのノズル開度速度が所定値V以上になった時に、油圧ポンプのトルクは、ノズル開度速度に応じた低トルクから上昇して最大トルクに移行するので、前記ノズル開度速度が大きく変化する場合でも、最大トルク移行時におけるポンプ制御を一層円滑、且つ、安定的に行うことができる。
【0019】
請求項2記載の発明は、操作装置の操作速度が所定値V以上になった時に、油圧ポンプは、該操作速度に応じた低トルクから上昇して最大トルクに移行するので、請求項1記載の発明の効果に加えて、前記操作速度が変化する場合でも、最大トルク移行時における制御を円滑、且つ、安定的に行うことができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、油圧ポンプに吐出圧制御手段を接続することで、圧油の圧力を速やかに低減制御でき、トルク制御を精度良く行うことができる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、油圧ポンプに吐出流量制御手段を接続することで、圧油の流量を速やかに低減制御でき、トルク制御を精度良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、油圧ポンプの急激な駆動負荷の発生を未然に抑止して、エンジンの回転数低下を防止するという目的を達成するため、エンジンと、該エンジンにより駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプのトルクを調整するトルク調整手段と、該油圧ポンプから吐出された圧油が供給される油圧アクチュエータと、該油圧アクチュエータを操作するための操作装置とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、 前記操作装置の操作状態を検出する操作状態検出器と、該操作状態検出器からの信号に基づいて前記トルク調整手段を制御するコントローラとを設け、該コントローラは、前記操作装置が操作状態に作動された時に、前記油圧ポンプが低トルクとなるように制御する第1トルク制御部と、該低トルク状態での制御が所定時間経過した後に前記油圧ポンプが低トルクから最大トルクに移行するように制御する第2トルク制御部とを備え、前記エンジンにはノズル開度が調整可能な可変容量型のターボチャージャーが搭載され、且つ、前記第2トルク制御部は、該ターボチャージャーのノズル開度速度が所定値以上になった時に、上記油圧ポンプのトルクが該ノズル開度速度に応じた低トルクから上昇して最大トルクに移行するように制御することにより実現した。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の好適な一実施例を図1乃至図6に従って説明する。図1は、本実施例に係る建設機械としての油圧ショベル1を示す。同図において、下部走行体2上には上部旋回体3が旋回可能に装架され、該上部旋回体3の前方一側部にブーム4が俯仰動可能に連結されている。又、ブーム4の先端部にア−ム5が上下回動可能に枢着されていると共に、該ア−ム5の先端部にバケット6が揺動可能に取り付けられている。
【0024】
前記ブーム4、ア−ム5及びバケット6はブームシリンダ7、ア−ムシリンダ8及びバケットシリンダ9により夫々駆動される。又、上部旋回体3の前方他側部にはキャブ10が搭載され、該キャブ10の後方に設けたエンジン室11内にエンジン12等の装置機器が配置されている。
【0025】
図2は、本発明に係る油圧駆動装置の油圧駆動回路図を示す。本発明は、油圧アクチュエータとして、例えば、ブームシリンダ7等単数又は複数の油圧シリンダ又は油圧モータを設けた油圧駆動回路であれば全て適用可能である。尚、説明の都合上、図2の構成例では油圧シリンダを1つだけ図示し、他の油圧アクチュエータを省略するものとする。
【0026】
同図に示すように、エンジン12の出力軸にはメイン油圧ポンプ13及びパイロット油圧ポンプ14が連結され、該メイン油圧ポンプ13としては斜板形可変容量型のポンプが採用されている。そして、メイン油圧ポンプ13の吐出ライン15には駆動用の油圧シリンダ16が接続されていると共に、該吐出ライン15の途中に6ポート3位置切り換え型の流量制御弁(方向切換弁)17が設けられている。
【0027】
前記流量制御弁17は、中立位置から伸び位置(イ)又は縮み位置(ロ)に切り換えることにより、メイン油圧ポンプ13から油圧シリンダ16のボトム側油室又はトップ側油室に供給され、これに応じて油圧シリンダ16が伸長又は収縮するように構成されている。
【0028】
更に、流量制御弁17は、操作レバー18に連動するリモコン弁19を介して作動され、該操作レバー18及びリモコン弁19は本発明の操作装置20を構成している。又、操作装置20には操作状態検出器21が取り付けられ、該操作状態検出器21は、操作レバー18の操作速度を含む操作状態を検出して、その信号をコントローラとしての制御装置22に送信する。
【0029】
又、上記エンジン12には、タービンを内蔵した可変容量型のターボチャージャー(Variable Geometry Turbocharger:以下、「VGターボ」と略称する。)23が搭載され、該VGターボ23は、図示しないタービンハウジング内のノズル開度を変更することにより、エンジン12の過給効率乃至出力を変更できるように構成されている。更に、VGターボ23には速度検出器24が取り付けられ、該速度検出器24は前記ノズル開度の速度を検出して、その信号を制御装置22に送信する。
【0030】
制御装置22は、主としてマイクロコンピュータから成り、図3に例示するように、信号入力部22A、演算部22B、記憶部22C、ポンプ吐出圧制御部22D、ポンプ吐出流量制御部22E、第1トルク制御部22F、第2トルク制御部22G及び信号出力部22H等により構成され、前記操作状態検出器21及び速度検出器24からの検出信号に基づいて、メイン油圧ポンプ13の吐出圧、吐出流量及びトルクを可変制御する。
【0031】
特に、第1トルク制御部22Fは、操作装置20の操作レバー18が非操作状態から操作状態に作動された時に、メイン油圧ポンプ13のトルクが最大トルクよりも低い所定のトルク(以下、「低トルク」という。)となるようにレギュレータ31を制御する。更に、第2トルク制御部22Gは、低トルク状態で所定時間ΔT(急激な駆動負荷を有効に抑止し得る時間)だけ運転した後に、メイン油圧ポンプ13のトルクが低トルクから上昇して最大トルクに円滑に移行するように、レギュレータ31の動作を制御する。
【0032】
上記メイン油圧ポンプ13の吐出ライン15からは油路26が分岐している。又、油路26は油タンク27に連通していると共に、該油路26の途中にはリリーフ弁28が設けられている。該リリーフ弁28は油路29によって上記パイロット油圧ポンプ14に接続され、該油路29の途中に電磁切換弁30が設置されている。該電磁切換弁30のソレノイドは制御装置22の出力側に電気的に接続され、該制御装置22からの指令信号により制御される。
【0033】
電磁切換弁30は、メイン油圧ポンプ13の吐出圧Pを制御する。例えば、油圧ポンプ13の駆動負荷が設定値以上になると、制御装置22からの吐出圧低下信号により、電磁切換弁30がノーマル位置から作動位置(ハ)に切り換わると、リリーフ弁28とパイロット油圧ポンプ14との連通が遮断される。その結果、リリーフ弁28の設定圧Pが低下して、メイン油圧ポンプ13の吐出圧が低下する(図4中の矢印Aを参照)。
【0034】
又、制御装置22の出力側にはレギュレータ31が電気的に接続され、該レギュレータ31の動作は制御装置22からの指令信号により制御される。該レギュレータ31は、制御装置22によりトルク値(吸収トルク値)又は吐出流量値を設定変更することができる。
【0035】
例えば、油圧ポンプ13の駆動負荷が予め定めた設定値以上になると、制御装置22から吐出流量低下信号又はトルク低下信号がレギュレータ31に出力されることにより、前記油圧シリンダ16を停止させない範囲で、前記吐出流量値又はトルク値を低下させるべく、レギュレータ31における設定値が変更される。その結果、メイン油圧ポンプ13の吐出流量Q又はトルクTが減少する(図4中の矢印B又は図5中の矢印Cを参照)。
【0036】
次に、上記油圧駆動装置におけるトルク制御の手順を図6のフローチャートに基づいて詳述する。先ず、エンジン12の始動によってメイン油圧ポンプ13が回転駆動される。そして、操作装置20の操作レバー18が非操作状態から操作状態に操作されると、メイン油圧ポンプ13からの圧油が流量制御弁17を介して、油圧シリンダ16のボトム側油室又はトップ側油室に供給され、油圧シリンダ16が伸長又は収縮する(ステップS1)。
【0037】
上記操作レバー18が操作状態に切り換えられた時、これを操作状態検出器21が検出して、その検出信号を制御装置22に送信する(ステップS2)。そして、制御装置22は第1トルク制御部22F及び第2トルク制御部22Gによって、レギュレータ31の動作を連続的に制御することにより、メイン油圧ポンプ13のトルクが最大値TM1になるように可変する。
【0038】
即ち、先ず、第1トルク制御部22Fは、操作レバー18が非操作状態から操作状態に操作されると、メイン油圧ポンプ13のトルクが最大トルクTM1よりも低い所定の低トルクTL1となるように、レギュレータ31の動作を制御する(ステップS3)。
【0039】
次に、メイン油圧ポンプ13のトルクが低トルクTL1で所定時間ΔTだけ保持された後に、第2トルク制御部22Gは、メイン油圧ポンプ13のトルクを所定の制御パターンに従って最大トルクTM1まで上昇するように、レギュレータ31の動作を制御する。このように、操作レバー18の操作時には、メイン油圧ポンプ13は直ちに最大トルクTM1に上昇するのではなく、低トルクTL1状態でのポンプ制御が所定時間ΔTだけ経過した後に、最大トルクTM1まで円滑に移行する。
【0040】
本実施例においては、VGターボ23のノズル開度速度又は操作レバー18の操作速度が夫々所定値V又はV以上になった時には、第2トルク制御部は、速度検出器24又は操作状態検出器21からの信号に基づいて、ノズル開度速度又はレバー操作速度に応じて、メイン油圧ポンプ13が低トルクTL2から上昇して最大トルクTM2に移行するように、上記レギュレータ31の動作を制御する(ステップS4)。
【0041】
ここに、所定値V以上とは、所要のエンジン出力を確保できるノズル開度速度以上をいい、又、所定値V以上とは、所要の油圧駆動力を確保できる操作速度以上をいう。
【0042】
叙上の如く本発明によると、操作レバー18が非操作状態から操作状態に作動された時に、メイン油圧ポンプ13のトルクが低トルクとなるように制御され、そして、所定時間経過後に、メイン油圧ポンプ13のトルクが低トルクから最大トルクに円滑に移行する。斯くして、メイン油圧ポンプ13に駆動負荷が急激に作用する恐れがないので、該駆動負荷に起因するエンジン12の回転数低下が確実に防止される。
【0043】
又、メイン油圧ポンプ13のトルクは、VGターボ23のノズル開度速度が所定値以上になった時に、該ノズル開度速度に応じた低トルクから上昇して最大トルクに所定の制御パターンで連続的に移行するので、ノズル開度速度が大きく変化する場合でも、最大トルク移行時における制御を円滑、且つ、安定的に実行することができる。
【0044】
更に、メイン油圧ポンプ13のトルクは、操作レバー18の操作速度が所定値以上になった時に、前記ノズル開度速度に応じた低トルクから最大トルクに連続的に移行するので、操作速度が大きく変化する場合でも、最大トルク移行時における制御を円滑、且つ、安定的に実行することができる。
【0045】
本発明に係る油圧ポンプのトルク制御は、ポンプ吐出圧又はポンプ吐出流量を制御することにより、トルク制御を精度良く行うことができる。
【0046】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例を示し、油圧駆動装置を搭載した油圧ショベルの側面図。
【図2】本発明に係る油圧駆動装置の油圧駆動回路図。
【図3】本発明に係る制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図4】本発明に係る油圧ポンプの流量制御/吐出圧制御を説明する流量−吐出圧曲線のグラフ。
【図5】本発明に係る油圧ポンプのトルク制御を説明する流量−吐出圧曲線のグラフ。
【図6】本発明に係るポンプトルクの制御手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0048】
1 油圧ショベル(建設機械)
3 上部旋回体
4 ブーム
5 ア−ム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 ア−ムシリンダ
9 バケットシリンダ
12 エンジン
13 メイン油圧ポンプ
16 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
17 流量制御弁
18 操作レバー
19 リモコン弁
20 操作装置
21 操作状態検出器
22 制御装置(コントローラ)
22F 第1トルク制御部
22G 第2トルク制御部
23 VGターボ
24 速度検出器
30 電磁切換弁(吐出圧制御手段)
31 レギュレータ(トルク調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジンにより駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプのトルクを調整するトルク調整手段と、該油圧ポンプから吐出された圧油が供給される油圧アクチュエータと、該油圧アクチュエータを操作するための操作装置とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、
前記操作装置の操作状態を検出する操作状態検出器と、該操作状態検出器からの信号に基づいて前記トルク調整手段を制御するコントローラとを設け、該コントローラは、前記操作装置が操作状態に作動された時に、前記油圧ポンプが低トルクとなるように制御する第1トルク制御部と、該低トルク状態での制御が所定時間経過した後に前記油圧ポンプが低トルクから最大トルクに移行するように制御する第2トルク制御部とを備え、前記エンジンにはノズル開度が調整可能な可変容量型のターボチャージャーが搭載され、且つ、前記第2トルク制御部は、該ターボチャージャーのノズル開度速度が所定値以上になった時に、上記油圧ポンプのトルクが該ノズル開度速度に応じた低トルクから上昇して最大トルクに移行するように制御することを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項2】
上記第2トルク制御部は、上記操作装置の操作速度が所定値以上になった時に、上記油圧ポンプのトルクが該ノズル開度速度に応じた低トルクから上昇して最大トルクに移行するように制御することを特徴とする請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置。
【請求項3】
上記油圧ポンプのトルク制御はポンプ吐出圧を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械の油圧駆動装置。
【請求項4】
上記油圧ポンプのトルク制御はポンプ吐出流量を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械の油圧駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−169242(P2010−169242A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14780(P2009−14780)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】