説明

建設機械

【課題】 熱交換器に対する交換作業、清掃作業等を行うときの作業性を高める。
【解決手段】 旋回フレーム5の右側に設けられる右エンジンユニット9を、旋回フレーム5に取付けられるベース部材10と、ベース部材10に互いに分割可能に取付けられるエンジン組立体部11及び熱交換器組立体部17とにより構成する。同じく旋回フレーム5の左側に設けられる左エンジンユニット24を、ベース部材25と、エンジン組立体部26及び熱交換器組立体部30とにより構成する。これにより、右エンジンユニット9では、ベース部材10上にエンジン組立体部11を残したまま熱交換器組立体部17のみを単独で取外すことができ、左エンジンユニット24では、ベース部材25上にエンジン組立体部26を残したままから熱交換器組立体部30のみを単独で取外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等のエンジン及び熱交換器を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能なクローラ式の下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成され、作業装置を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。
【0003】
また、上部旋回体は、通常、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの前部左側に設けられたキャブと、旋回フレームの後端部に取付けられたカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に配置されたエンジン及び熱交換器等の搭載機器と、該搭載機器を覆う建屋と、燃料タンク及び作動油タンクとにより大略構成されている。
【0004】
ここで、大量の土砂等を掘削する大型の油圧ショベルを作業現場に輸送する場合には、通常、油圧ショベルを下部走行体、上部旋回体、作業装置に分割し、これら下部走行体、上部旋回体、作業装置をそれぞれ別の輸送手段に積載して作業現場に輸送した後、作業現場において油圧ショベルを組立てるようになっている。
【0005】
また、例えば鉱山等での露天掘り作業に用いられる超大型の油圧ショベルは、下部走行体、上部旋回体、作業装置の外径寸法、重量が非常に大きいため、これら油圧ショベルを構成する下部走行体、上部旋回体、作業装置をさらに複数の部分に分割することができるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−58796号公報
【0007】
ここで、超大型の油圧ショベルを構成する上部旋回体は、例えば旋回フレームと、旋回フレームの後端部に取付けられるカウンタウエイトと、旋回フレームの右側に取付けられる右エンジンユニットと、旋回フレームの左側に取付けられる左エンジンユニットとに分割され、これら旋回フレーム、カウンタウエイト、左,右のエンジンユニットをそれぞれ別々の輸送手段によって作業現場に輸送した後、作業現場において上部旋回体を組立てる構成となっている。
【0008】
ここで、従来技術による左,右のエンジンユニットは、通常、旋回フレームにボルト等を用いて取付けられるベース部材と、該ベース部材に搭載されるエンジン、油圧ポンプ、熱交換器等の搭載機器と、これらの搭載機器を覆うためにベース部材に設けられた建屋とにより大略構成されている。
【0009】
このように、上部旋回体を構成する左,右のエンジンユニットは、それぞれベース部材、エンジン等の搭載機器、建屋が一体に組立てられた1個のユニットとして構成され、上部旋回体の組立時、分解時には、旋回フレームに対してユニット単位で取付け、取外しされるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述した従来技術によるエンジンユニットは、ベース部材に設けられた建屋内に、エンジン、油圧ポンプ、熱交換器等の搭載機器を収容した状態で、旋回フレームに取付けられる構成となっている。
【0011】
このため、例えば熱交換器の交換作業、熱交換器に対する入念な清掃作業を行う場合には、エンジンユニットを構成する建屋の一部を分解した状態で、ベース部材から熱交換器を取外す必要があり、交換した新たな熱交換器をベース部材に取付けた後には、分解した建屋を再び組立てる必要がある。
【0012】
このように、従来技術によるエンジンユニットは、熱交換器の交換作業等を行う場合に、熱交換器が収容された建屋の一部を分解したり、再び組立てるといった煩雑な作業を行なわなくてはならず、その作業性が低下してしまうという問題がある。
【0013】
また、熱交換器に対する点検作業、清掃作業等を行う場合には、作業者は、重量物である工具類や交換部品を持って、地上高さの高い上部旋回体と地上との間を乗降しなければならず、その作業性が悪いという問題がある。
【0014】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、熱交換器に対する交換作業、清掃作業等を行うときの作業性を高めることができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するため本発明は、支持構造体をなすフレームと、エンジン及び熱交換器を含んで構成され前記フレームに着脱可能に取付けられるエンジンユニットとを備えてなる建設機械に適用される。
【0016】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記エンジンユニットは、前記フレームに取付けられるベース部材と、該ベース部材に搭載される前記エンジンと該エンジンを覆うエンジン建屋とを有するエンジン組立体部と、前記ベース部材に搭載される前記熱交換器と該熱交換器を覆う熱交換器建屋とを有し前記エンジン組立体部に対して独立して分割可能な熱交換器組立体部とにより構成したことにある。
【0017】
請求項2の発明は、前記熱交換器は、前記ベース部材に締結部材を用いて着脱可能に取付けられる取付枠体と、該取付枠体に保持された熱交換器本体とにより構成し、前記熱交換器建屋は前記取付枠体に取付ける構成としたことにある。
【0018】
請求項3の発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、エンジン及び熱交換器を含んで構成され前記旋回フレームの右側に着脱可能に取付けられる右エンジンユニットと、エンジン及び熱交換器を含んで構成され前記旋回フレームの左側に着脱可能に取付けられる左エンジンユニットとを備えてなる建設機械において、前記右エンジンユニットと左エンジンユニットとは、それぞれ前記旋回フレームに取付けられるベース部材と、該ベース部材に搭載される前記エンジンと該エンジンを覆うエンジン建屋とを有するエンジン組立体部と、前記ベース部材に搭載される前記熱交換器と該熱交換器を覆う熱交換器建屋とを有し前記エンジン組立体部に対して独立して分割可能な熱交換器組立体部とにより構成したことにある。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、エンジンユニットを、フレームに取付けられるベース部材と、ベース部材に搭載されるエンジン組立体部と、エンジン組立体部に対して分割可能にベース部材に搭載される熱交換器組立体部とにより構成したので、フレームに取付けたエンジンユニットから、エンジン組立体部を残したまま熱交換器組立体部のみを単独で取外すことができる。このため、例えば熱交換器に対する交換作業、清掃作業等を行うときに、エンジン組立体部のエンジン建屋等を分解して熱交換器組立体部を取外したり、分解したエンジン建屋を再び組立てるといった煩雑な作業を不要にできるので、熱交換器に対する交換作業、清掃作業等の作業性を高めることができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、熱交換器を構成する取付枠体をベース部材から取外すことにより、熱交換器と熱交換器建屋とからなる熱交換器組立体部を、エンジンユニットから一体的に取外すことができる。従って、エンジンユニットが地上から高い位置に配設されている場合でも、クレーン等を用いて熱交換器組立体部を容易に地上に下ろすことができるので、熱交換器に対する交換作業、点検作業、清掃作業等を地上の広い作業スペースで行うことができ、その作業性を高めることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、旋回フレームに取付けられる左,右のエンジンユニットを、それぞれ旋回フレームに取付けられるベース部材と、ベース部材に搭載されるエンジン組立体部と、エンジン組立体部に対して分割可能にベース部材に搭載される熱交換器組立体部とにより構成したので、左,右のエンジンユニットのいずれにおいても、エンジン組立体部を残したまま熱交換器組立体部のみを単独で取外すことができ、熱交換器に対する交換作業、清掃作業等の作業性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、大型の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図12を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
1は建設機械の代表例としての大型の油圧ショベルで、この油圧ショベル1は、例えば鉱山での露天掘り作業等に好適に用いられるものである。そして、油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0024】
ここで、上部旋回体3は、図3及び図4に示すように、強固な支持構造体をなして前,後方向に延びる旋回フレーム5と、該旋回フレーム5の後端部に取付けられ作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6と、旋回フレーム5の右側に取付けられ前,後方向に延びる後述の右エンジンユニット9と、旋回フレーム5の左側に取付けられ前,後方向に延びる後述の左エンジンユニット24とにより大略構成されている。
【0025】
そして、これら旋回フレーム5、カウンタウエイト6、右エンジンユニット9、左エンジンユニット24は、例えばトレーラ、貨物船等の輸送手段によって個別に作業現場に輸送された後、作業現場において上部旋回体3として組立てられる構成となっている。
【0026】
ここで、旋回フレーム5は、図4及び図9等に示すように、厚肉な鋼板等からなり前,後方向に延びる底板5Aと、該底板5A上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びる左,右の縦板5B,5Cとにより大略構成されている。そして、左,右の縦板5B,5Cの前端側には、作業装置4の基端側が回動可能に取付けられ、左,右の縦板5B,5Cの後端側には、カウンタウエイト6が着脱可能に取付けられる構成となっている。また、旋回フレーム5のうちカウンタウエイト6よりも前側となる部位には、作動油タンク7と燃料タンク8とが前,後方向に並んで配設されている。
【0027】
9は旋回フレーム5の右側に着脱可能に取付けられた右エンジンユニットで、該右エンジンユニット9は、旋回フレーム5に沿って前,後方向に延びる1個のユニットからなっている。そして、右エンジンユニット9は、図4、図9等に示すように、後述のベース部材10と、エンジン組立体部11と、熱交換器組立体部17とにより大略構成されている。
【0028】
10は右エンジンユニット9のベースとなるベース部材で、該ベース部材10は、全体として前,後方向に延びる長方形の枠状に形成され、強固な支持構造体をなしている。そして、ベース部材10は、旋回フレーム5の底板5A、右縦板5Cにボルト等を用いて着脱可能に取付けられ、後述のエンジン組立体部11、熱交換器組立体部17等が搭載されるものである。
【0029】
11はベース部材10上に搭載されたエンジン組立体部(エンジンアッセンブリ)で、該エンジン組立体部11は、後述のエンジン12、油圧ポンプ14、オイルクーラ15、エンジン建屋16等により構成されている。
【0030】
12はベース部材10の後部側に搭載された右側のエンジンで、該エンジン12は、前,後方向に延びる縦置き状態で配置され、複数のマウント部材13を介してベース部材10上に支持されている(図5参照)。そして、エンジン12の前端側には複数の油圧ポンプ14が取付けられ、これら各油圧ポンプ14は、エンジン12によって駆動されることにより、作動油タンク7内に貯溜した作動油を、油圧ショベル1に搭載された各種油圧アクチュエータに向けて圧送するものである。
【0031】
15はベース部材10の前部側に搭載された複数のオイルクーラで、該各オイルクーラ15は、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータから作動油タンク7に戻る戻り油を冷却するものである。そして、各オイルクーラ15は、エンジン12、油圧ポンプ14等と一緒に後述のエンジン建屋16内に収容される構成となっている。
【0032】
16はベース部材10上に設けられたエンジン建屋で、該エンジン建屋16は、ベース部材10上に搭載されたエンジン12、油圧ポンプ14、オイルクーラ15等を覆うものである。そして、エンジン建屋16は、エンジン12、油圧ポンプ14、オイルクーラ15等と共にエンジン組立体部11を構成している。
【0033】
ここで、エンジン建屋16は、ベース部材10上に設けられた骨組み状の建屋支持枠16A(図5参照)と、この建屋支持枠16Aによって支持されエンジン12、油圧ポンプ14、オイルクーラ15等を覆う建屋カバー16Bとにより、前,後方向に延びる直方体の箱状に形成されている(図4、図9参照)。この場合、エンジン建屋16の後端部16Cは開口端となっており、このエンジン建屋16の後端部16Cを閉塞するように、後述の熱交換器組立体部17が配設される構成となっている。
【0034】
17はエンジン組立体部11と共に右エンジンユニット9を構成する熱交換器組立体部(熱交換器アッセンブリ)で、該熱交換器組立体部17は、図8、図9に示すように、エンジン組立体部11に対し独立して分割可能に構成されている。そして、熱交換器組立体部17は、後述の熱交換器18と、熱交換器建屋22とにより大略構成され、図3等に示すように、エンジン建屋16の後端部16Cを閉塞する位置に配設されている。
【0035】
18は熱交換器組立体部17を構成する熱交換器で、該熱交換器18は、ベース部材10に取付けられる後述の取付枠体19と、該取付枠体19に保持された後述の熱交換器本体21とにより大略構成されている。
【0036】
19は熱交換器18のベースとなる取付枠体で、該取付枠体19は、ベース部材10の後端部に着脱可能に取付けられ、後述の熱交換器本体21を保持するものである。ここで、取付枠体19は、図5ないし図7に示すように、左,右方向に延びる長方形の枠状に形成され、強固な支持構造体をなしている。
【0037】
そして、取付枠体19の下端部は、締結部材としての複数のボルト20を用いてベース部材10の後端部に着脱可能に取付けられ、取付枠体19には、後述の熱交換器本体21が保持されると共に、後述の熱交換器建屋22が取付けられる構成となっている。
【0038】
21は取付枠体19によって保持された熱交換器本体で、該熱交換器本体21は、図5、図6等に示すように、後述のラジエータ21Aと、インタクーラ21Bと、冷却ファン21Cとにより大略構成されている。
【0039】
ここで、ラジエータ21Aは、エンジン12の冷却水が流通する放熱部を有し、冷却ファン21Cによって生じた冷却風が放熱部を通過することにより、エンジン冷却水の熱を冷却風中に放熱して該エンジン冷却水を冷却するものである。また、インタクーラ21Bは、ラジエータ21Aの前側に配置され、ターボ過給機(図示せず)によって吸入した空気の熱を冷却風中に放熱することによりこの吸入空気を冷却するものである。
【0040】
また、冷却ファン21Cは、例えば油圧モータを用いたファンモータからなり、インタクーラ21Bの前側に複数個(例えば4個)配置されている。そして、各冷却ファン21Cは、外気を吸込んでラジエータ21A、インタクーラ21Bに冷却風として供給することにより、エンジン冷却水、吸入空気を冷却するものである。
【0041】
22は熱交換器18の取付枠体19に取付けられた熱交換器建屋で、該熱交換器建屋22は、図4ないし図6等に示すように、熱交換器本体21を取囲むように取付枠体19上に立設された骨組み状の建屋支持枠22Aと、該建屋支持枠22Aの外側に設けられた外装カバー22Bとにより構成されている。そして、外装カバー22Bのうち熱交換器本体21のラジエータ21Aと対面する部位には、各冷却ファン21Cによる冷却風をラジエータ21A、インタクーラ21Bへと導く冷却風導入口22Cが設けられている(図9参照)。
【0042】
このように、熱交換器組立体部17を構成する熱交換器18は、右エンジンユニット9のベース部材10にボルト20を用いて着脱可能に取付けられる取付枠体19と、該取付枠体19に保持される熱交換器本体21とにより構成し、熱交換器建屋22は、熱交換器本体21と一緒に取付枠体19に取付けられている。
【0043】
従って、取付枠体19をベース部材10から取外すことにより、熱交換器組立体部17をエンジン組立体部11に対し独立して分割することができ、例えば図8に示すように、クレーン23等を用いて熱交換器組立体部17を単体で吊上げることにより、エンジン組立体部11を残したまま、右エンジンユニット9から熱交換器組立体部17のみを単独で取付け、取外しすることができる構成となっている。
【0044】
24は旋回フレーム5の左側に着脱可能に取付けられた左エンジンユニットで、該左エンジンユニット24は、旋回フレーム5に沿って前,後方向に延びる1個のユニットからなっている。そして、左エンジンユニット24も、上述した右エンジンユニット9とほぼ同様に、後述のベース部材25と、エンジン組立体部26と、熱交換器組立体部30とにより大略構成されている(図4、図10参照)。
【0045】
25は左エンジンユニット24のベースとなるベース部材で、該ベース部材25は、全体として前,後方向に延びる長方形の枠状に形成され、強固な支持構造体をなしている。そして、ベース部材25は、旋回フレーム5の底板5A、左縦板5Bにボルト等を用いて着脱可能に取付けられ、後述のエンジン組立体部26、熱交換器組立体部30等が搭載されるものである。
【0046】
26はベース部材25上に搭載されたエンジン組立体部(エンジンアッセンブリ)で、該エンジン組立体部26は、後述のエンジン27、油圧ポンプ28、エンジン建屋29等により大略構成されている。
【0047】
27はベース部材25の後部側に搭載された左側のエンジンで、該エンジン27は、図4等に示すように、前,後方向に延びる縦置き状態でベース部材25上に支持されている。そして、エンジン27の前端側には、油圧ショベル1に搭載された各種油圧アクチュエータに向けて圧油を供給する複数の油圧ポンプ28が取付けられている。
【0048】
29はベース部材25上に設けられたエンジン建屋で、該エンジン建屋29は、ベース部材25上に搭載されたエンジン27、油圧ポンプ28等を覆うものである。そして、エンジン建屋29は、エンジン27、油圧ポンプ28等と共にエンジン組立体部26を構成している。
【0049】
ここで、エンジン建屋29は、ベース部材25上に設けられた骨組み状の建屋支持枠(図示せず)と、この建屋支持枠によって支持されエンジン27、油圧ポンプ28等を覆う建屋カバー29Aとにより、前,後方向に延びる直方体の箱状に形成されている(図4、図10参照)。また、エンジン建屋29の後端部29Bは開口端となっており、このエンジン建屋29の後端部29Bを閉塞するように、後述の熱交換器組立体部30が配設される構成となっている。
【0050】
30はエンジン組立体部26と共に左エンジンユニット24を構成する熱交換器組立体部(熱交換器アッセンブリ)で、該熱交換器組立体部30は、図10に示すように、エンジン組立体部26に対し独立して分割可能に構成されている。そして、熱交換器組立体部30は、後述の熱交換器31と、熱交換器建屋34とにより大略構成され、エンジン建屋29の後端部29Bを閉塞する位置に配設されている。
【0051】
31は熱交換器組立体部30を構成する熱交換器で、該熱交換器31は、右エンジンユニット9の熱交換器組立体部17を構成する熱交換器18と同様に、ベース部材25に取付けられる取付枠体32と、該取付枠体32に保持された熱交換器本体33とにより大略構成されている。そして、熱交換器本体33は、上述した熱交換器18の熱交換器本体21と同様に、エンジン27のエンジン冷却水を冷却するラジエータ33Aと、エンジン27の吸入空気を冷却するインタクーラ33Bと、複数の冷却ファン33Cとにより構成されている。
【0052】
34は熱交換器31の取付枠体32に取付けられた熱交換器建屋で、該熱交換器建屋34は、熱交換器本体33を取囲むように取付枠体32上に立設された骨組み状の建屋支持枠34Aと、該建屋支持枠34Aの外側に設けられた外装カバー34Bとにより構成されている。そして、外装カバー34Bには、図4等に示す熱交換器本体33に冷却風を導く冷却風導入口34Cが設けられている(図10参照)。
【0053】
このように、熱交換器組立体部30を構成する熱交換器31は、左エンジンユニット24のベース部材25に着脱可能に取付けられる取付枠体32と、該取付枠体32に保持される熱交換器本体33とにより構成し、熱交換器建屋34は、熱交換器本体33と一緒に取付枠体32に取付けられている。
【0054】
従って、取付枠体32をベース部材25から取外すことにより、熱交換器組立体部30をエンジン組立体部26に対し独立して分割することができ、クレーン等を用いて熱交換器組立体部30を単体で吊上げることにより、エンジン組立体部26を残したまま、左エンジンユニット24から熱交換器組立体部30のみを単独で取付け、取外しすることができる構成となっている。
【0055】
35は左エンジンユニット24を構成するベース部材25の前部側に設けられたキャブベッドで、該キャブベッド35は角筒状の箱体からなり、後述のキャブ36を支持するものである。
【0056】
36は上部旋回体3の前部左側に配置されたキャブで、該キャブ36は、左エンジンユニット24に設けられたキャブベッド35上に取付けられている。そして、キャブ36内には、オペレータが着席する運転席、操作レバー、走行レバー等の操作機器類(いずれも図示せず)が配設される構成となっている。
【0057】
37は右エンジンユニット9のベース部材10に取付けられた右側の通路部材で、該通路部材37は、右エンジンユニット9に沿って前,後方向に延び、エンジン12等に対する点検作業を行う作業者の通路を形成するものである。38は左エンジンユニット24のベース部材25に取付けられた左側の通路部材で、該通路部材38は、左エンジンユニット24に沿って前,後方向に延び、エンジン27等に対する点検作業を行う作業者の通路を形成するものである。
【0058】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1の上部旋回体3を組立てる手順について図9ないし図12を参照して説明する。なお、上部旋回体3の組立作業は、通常、下部走行体上に旋回フレーム5を取付けた状態で行われるが、図9ないし図11は、簡略化のため下部走行体を省略した状態で示す。
【0059】
まず、図9に示すように、右エンジンユニット9を、クレーン等(図示せず)を用いて旋回フレーム5の右側に配置する。そして、右エンジンユニット9のベース部材10を、ボルトを用いて旋回フレーム5の右縦板5C等に取付ける。この場合、右エンジンユニット9は、ベース部材10と、該ベース部材10に互いに分割可能に取付けられるエンジン組立体部11及び熱交換器組立体部17とにより構成されている。
【0060】
このため、例えばベース部材10にエンジン組立体部11を取付けた状態で、ベース部材10を旋回フレーム5に取付けた後、このベース部材10の後部側に熱交換器組立体部17のみを単独で取付けることができる。
【0061】
次に、図10に示すように、左エンジンユニット24を、クレーン等を用いて旋回フレーム5の左側に配置する。そして、左エンジンユニット24のベース部材25を、ボルトを用いて旋回フレーム5の左縦板5B等に取付ける。この場合、左エンジンユニット24は、ベース部材25と、該ベース部材25に互いに分割可能に取付けられるエンジン組立体部26及び熱交換器組立体部30とにより構成されている。
【0062】
このため、例えばベース部材25にエンジン組立体部26を取付けた状態で、ベース部材25を旋回フレーム5に取付けた後、このベース部材25の後部側に熱交換器組立体部30のみを単独で取付けることができる。
【0063】
そして、図11に示すように、旋回フレーム5の右側に右エンジンユニット9を取付け、旋回フレーム5の左側に左エンジンユニット24を取付けた状態で、図12に示すように、旋回フレーム5の後端部にカウンタウエイト6を取付け、左エンジンユニット24の前部側に配置されたキャブベッド35上にキャブ36を取付ける。さらに、例えば右エンジンユニット9のベース部材10に通路部材37を取付けると共に、左エンジンユニット24のベース部材25に通路部材38を取付けることにより、上部旋回体3を組立てることができる。
【0064】
次に、上部旋回体3が組立てられた状態で、例えば右エンジンユニット9の熱交換器18を構成するラジエータ21A、インタクーラ21B(熱交換器本体21)に対する交換作業、清掃作業を行う場合には、図7及び図8に示すように、熱交換器18の取付枠体19を右エンジンユニット9のベース部材10に固定する各ボルト20を取外すことにより、熱交換器組立体部17をエンジン組立体部11から分割する。
【0065】
このように、地上から高い位置に配置された右エンジンユニット9から熱交換器組立体部17のみを取外し、この熱交換器組立体部17を単独でクレーン23等を用いて地上に下ろすことができる。これにより、熱交換器組立体部17を地上に下ろした状態で、熱交換器18のラジエータ21A、インタクーラ21Bに対する交換作業、清掃作業等を広い作業スペースで行うことができるので、その作業性を高めることができる。
【0066】
そして、熱交換器18のラジエータ21A、インタクーラ21Bに対する交換作業、清掃作業等が終了した後には、図8に示すように、熱交換器組立体部17をクレーン23を用いて吊上げ、右エンジンユニット9のベース部材10上に配置する。そして、図7に示すように、熱交換器18の取付枠体19をボルト20を用いてベース部材10に締結することにより、熱交換器組立体部17を右エンジンユニット9の所定位置に配設することができる。
【0067】
このように、熱交換器18を構成するラジエータ21A、インタクーラ21Bに対する交換作業、清掃作業等を行う場合に、エンジン組立体部11から熱交換器組立体部17を分割し、この熱交換器組立体部17のみを単独で右エンジンユニット9から取外すことができる。従って、熱交換器18のラジエータ21A、インタクーラ21Bを右エンジンユニット9から取外すために、エンジン組立体部11のエンジン建屋16等を分解するといった煩雑な作業を不要にでき、交換作業、清掃作業の作業性を高めることができる。
【0068】
かくして、本実施の形態によれば、旋回フレーム5の右側に設けられる右エンジンユニット9を、旋回フレーム5に取付けられるベース部材10と、該ベース部材10に互いに分割可能に搭載されたエンジン組立体部11及び熱交換器組立体部17とにより構成したので、ベース部材10上にエンジン組立体部11を残したまま、右エンジンユニット9から熱交換器組立体部17のみを単独で取外すことができる。
【0069】
これにより、熱交換器18のラジエータ21A、インタクーラ21Bに対する交換作業、清掃作業等を行うときに、右エンジンユニット9から熱交換器18を取外すためにエンジン組立体部11のエンジン建屋16等を分解したり、分解したエンジン建屋16等を再び組立てるといった煩雑な作業を不要にできるので、交換作業、清掃作業の作業性を高めることができる。
【0070】
また、熱交換器18を、右エンジンユニット9のベース部材10にボルト20を用いて着脱可能に取付けられる取付枠体19と、該取付枠体19に保持された熱交換器本体21(ラジエータ21A、インタクーラ21B)と、取付枠体19に取付けられた熱交換器建屋22とにより構成したので、取付枠体19をベース部材10から取外すことにより、熱交換器18と熱交換器建屋22とからなる熱交換器組立体部17を、右エンジンユニット9から一体的に取外すことができる。
【0071】
従って、右エンジンユニット9が地上から高い位置に配設されている場合でも、クレーン23等を用いて熱交換器組立体部17全体を容易に地上に下ろすことができる。これにより、ラジエータ21A、インタクーラ21Bに対する交換作業、清掃作業等を地上の広い作業スペースで行うことができ、その作業性を高めることができる。
【0072】
一方、旋回フレーム5の左側に設けられる左エンジンユニット24を、旋回フレーム5に取付けられるベース部材25と、該ベース部材25に互いに分割可能に搭載されたエンジン組立体部26及び熱交換器組立体部30とにより構成したので、ベース部材25上にエンジン組立体部26を残したまま、左エンジンユニット24から熱交換器組立体部30のみを単独で取外すことができる。従って、上述したと同様の理由により、熱交換器31のラジエータ33A、インタクーラ33Bに対する交換作業、清掃作業等を行うときの作業性を高めることができる。
【0073】
なお、上述した実施の形態では、右エンジンユニット9の熱交換器組立体部17として、ラジエータ21Aとインタクーラ21Bとからなる熱交換器18を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばラジエータ単体によって構成した熱交換器を用いてもよく、また、オイルクーラ単体によって構成した熱交換器を用いてもよい。さらに、ラジエータ、インタクーラ、オイルクーラの3部材によって構成した熱交換器を用いてもよい。このことは、左エンジンユニット24を構成する熱交換器31についても同様である。
【0074】
また、上述した実施の形態では、右エンジンユニット9をエンジン組立体部11と熱交換器組立体部17とにより構成し、左エンジンユニット24をエンジン組立体部26と熱交換器組立体部30とにより構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば左,右のエンジンユニットのうちの一方のエンジンユニットをエンジン組立体部と熱交換器組立体部とにより構成してもよい。
【0075】
さらに、上述した実施の形態では、超大型の油圧ショベル1を構成する旋回フレーム5の右側に、エンジン12が縦置き状態となるように右エンジンユニット9を前,後方向に延ばして配置し、旋回フレーム5の左側に、エンジン27が縦置き状態となるように左エンジンユニット24を前,後方向に延ばして配置した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、右エンジンユニット9のエンジン12を左,右方向に延びる横置き状態に配置し、左エンジンユニット24のエンジン27を左,右方向に延びる横置き状態に配置する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを示す背面図である。
【図3】上部旋回体を構成する旋回フレーム、左,右のエンジンユニット、カウンタウエイト等の配置を図1中の矢示III−III方向からみた横断面図である。
【図4】図3中の旋回フレーム、左,右のエンジンユニット、カウンタウエイトを分解して示す分解図である。
【図5】右エンジンユニットを構成するエンジン組立体部、熱交換器組立体部を示す拡大図である。
【図6】右エンジンユニットの熱交換器を図5中の矢示VI−VI方向からみた断面図である。
【図7】右エンジンユニットのベース部材と熱交換器の取付枠体との取付部を拡大した要部拡大図である。
【図8】右エンジンユニットから熱交換器組立体部を取外す状態を示す拡大図である。
【図9】旋回フレームに右エンジンユニットを取付ける状態を示す分解斜視図である。
【図10】旋回フレームに左エンジンユニットを取付ける状態を示す分解斜視図である。
【図11】旋回フレームに左,右のエンジンユニットを取付けた状態を示す斜視図である。
【図12】上部旋回体を組立てた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
5 旋回フレーム(フレーム)
9 右エンジンユニット
10,25 ベース部材
11,26 エンジン組立体部
12,27 エンジン
16,29 エンジン建屋
17,30 熱交換器組立体部
18,31 熱交換器
19,32 取付枠体
20 ボルト(締結部材)
21,33 熱交換器本体
22,34 熱交換器建屋
24 左エンジンユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなすフレームと、エンジン及び熱交換器を含んで構成され前記フレームに着脱可能に取付けられるエンジンユニットとを備えてなる建設機械において、
前記エンジンユニットは、前記フレームに取付けられるベース部材と、該ベース部材に搭載される前記エンジンと該エンジンを覆うエンジン建屋とを有するエンジン組立体部と、前記ベース部材に搭載される前記熱交換器と該熱交換器を覆う熱交換器建屋とを有し前記エンジン組立体部に対して独立して分割可能な熱交換器組立体部とにより構成したことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記熱交換器は、前記ベース部材に締結部材を用いて着脱可能に取付けられる取付枠体と、該取付枠体に保持された熱交換器本体とにより構成し、前記熱交換器建屋は前記取付枠体に取付ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、エンジン及び熱交換器を含んで構成され前記旋回フレームの右側に着脱可能に取付けられる右エンジンユニットと、エンジン及び熱交換器を含んで構成され前記旋回フレームの左側に着脱可能に取付けられる左エンジンユニットとを備えてなる建設機械において、
前記右エンジンユニットと左エンジンユニットとは、それぞれ前記旋回フレームに取付けられるベース部材と、該ベース部材に搭載される前記エンジンと該エンジンを覆うエンジン建屋とを有するエンジン組立体部と、前記ベース部材に搭載される前記熱交換器と該熱交換器を覆う熱交換器建屋とを有し前記エンジン組立体部に対して独立して分割可能な熱交換器組立体部とにより構成したことを特徴とする建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−273236(P2008−273236A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115600(P2007−115600)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】