説明

建設機械

【課題】 フックのロック機能を2段階とすることにより、少ない部品点数で開閉カバーの不用意な開扉を防止する。
【解決手段】 ロック装置19を構成するフック23には、キャッチ20に係合可能な第1の爪部23Bと、この第1の爪部23Bよりも先端側に位置してキャッチ20に係合可能な第2の爪部23Cとを設け、キャッチ20に対して2段階で係合するものとした。従って、キャッチ20に対する第1の爪部23Bの係合が不十分で、走行時や作業時の振動で第1の爪部23Bがキャッチ20から外れても、先端側の第2の爪部23Cをキャッチ20に係合させることができ、タンクカバー18の開扉を規制することができる。これにより、1つのフック23に2つの爪部23B,23Cを設けるという簡単な構成によって、タンクカバー18の不用意な開扉を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、開閉可能なカバーを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としては油圧ショベルが知られており、この油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。
【0003】
また、上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームに搭載されるエンジン、油圧ポンプ、熱交換器、作動油タンク、燃料タンク等の搭載機器と、これらの搭載機器を覆うように前記旋回フレーム上に設けられた外装カバーとにより大略構成されている。
【0004】
ここで、外装カバーは、その一部が開閉可能な開閉カバーとなり、この開閉カバーを開くことによって、エンジン、作動油タンク等の点検作業、修理作業、燃料タンクへの給油作業等を行うことができる。また、開閉カバーと旋回フレーム側の固定側部材との間には、開閉カバーを閉扉した状態で保持するロック装置が設けられている。
【0005】
このロック装置は、例えば開閉カバーに設けられたキャッチと、該キャッチに対応するように旋回フレーム側の固定側部材に設けられ、開閉カバーを閉じたときに該キャッチと係合するフックと、前記キャッチに対するフックの係合を解除するための解除操作レバーとにより構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】実開平3−62149号公報
【0007】
そして、特許文献1による油圧ショベルでは、開閉カバーを閉じたときに、ロック装置のキャッチとフックとを係合でき、開閉カバーを閉扉状態で保持することができる。また、開閉カバーを閉じた状態で解除操作レバーを操作することにより、キャッチに対するフックの係合を解除することができ、開閉カバーを開くことができる。
【0008】
ここで、油圧ショベルの外装カバーを構成する開閉カバーは、油圧ショベルの走行時や作業時にがたついて損傷しないように、例えば開閉不可能なカバーの縁部等に押付けた状態でロック装置によりロックする構成となっている。
【0009】
この場合、ロック装置のキャッチとフックとを係合させるためには、開閉カバーを旋回フレーム側の固定側部材に押付けなくてはならないから、押付け力が弱いと、キャッチとフックとが完全に係合しないことがある。このときには、走行時や作業時の振動によりキャッチとフックとが外れて開閉カバーが不用意に開く虞がある。
【0010】
そこで、開閉カバーを確実に閉じた状態でロックする第1のロック装置と、この第1のロック装置による係合が不用意に外れたときに開閉カバーに係合する第2のロック装置とを別個に備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
【特許文献2】特開昭58−17978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上述した特許文献2によるものでは、開閉カバーが不用意に開かないように、第1のロック装置に加えて別個に第2のロック装置を設けているから、部品点数が多く組立作業性が悪い上に、装置全体が大型化してしまうという問題がある。
【0013】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、少ない部品点数で2段階のロック機能を備えることにより、開閉カバーが不用意に開扉するのを防止できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による建設機械は、支持構造体をなし油圧ポンプを駆動するエンジン、作動油タンク、燃料タンク、バッテリを含む搭載機器が取付けられる車体フレームと、該車体フレームに搭載された機器を覆うように該車体フレームに開閉可能に設けられた開閉カバーと、該開閉カバーを前記車体フレームに対して閉扉した状態で保持するロック装置とを備えてなる。
【0015】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ロック装置は、前記車体フレームまたは前記搭載機器からなる固定側部材に設けられたキャッチと、基端側が前記開閉カバーに回動可能に設けられ前記開閉カバーの閉扉時に前記キャッチと係合するフックと、前記キャッチに対するフックの係合を解除するために該フックを回動操作する解除操作部材とにより構成し、前記フックには、前記キャッチに係合可能な第1の爪部と、該第1の爪部よりも先端側に位置して前記キャッチに係合可能な第2の爪部とを設ける構成としたことにある。
【0016】
請求項2の発明は、前記フックの第1の爪部は、前記開閉カバーを閉扉位置まで閉じたときに前記キャッチに係合し、前記第2の爪部は、前記開閉カバーを閉扉位置よりも開いた半開き位置まで閉じたときに前記キャッチに係合する構成としたことにある。
【0017】
請求項3の発明は、前記フックと前記解除操作部材とを1つの組立体として支持する支持部材を設け、該支持部材を用いて前記フックと解除操作部材を前記開閉カバーに取付ける構成としたことにある。
【0018】
請求項4の発明は、前記フックに沿う位置には、前記フックの各爪部が係合する位置に向け前記キャッチを案内するキャッチガイドを設ける構成としたことにある。
【0019】
請求項5の発明は、1つの支持部材に対して前記フックと解除操作部材を設けると共に前記フックの回動方向に沿わせ前記キャッチを案内するキャッチガイドを設けることにより、フック組立体を構成し、前記キャッチガイドは、2つのガイド部間に形成されるV字状溝に前記キャッチを挿入する構成とし、前記フックを形成する第1の爪部と第2の爪部は、前記開閉カバーが閉扉位置にあるとき前記各爪部先端が前記V字状溝を越えて前記ガイ部と重なる位置となり、前記解除操作部材によって前記フックが回動させたとき前記各爪部先端が前記V字状溝から退避する構成としたことにある。
【0020】
請求項6の発明による建設機械は、支持構造体をなし油圧ポンプを駆動するエンジン、作動油タンク、燃料タンク、バッテリを含む搭載機器が取付けられる車体フレームと、該車体フレームに搭載された機器の側面を覆うため該車体フレームの側面に固定側部材として設けられた側面カバーと、前記車体フレームに搭載された機器の上面を覆うため該側面カバーの上側に位置して前記車体フレームに開閉可能に設けられた開閉カバーと、該開閉カバーを前記車体フレームに対して閉扉した状態で保持するロック装置とを備えてなる。
【0021】
そして、上述した課題を解決するために、請求項6の発明が採用する構成の特徴は、前記ロック装置は、前記開閉カバーに設けられたキャッチと、基端側が前記側面カバーに回動可能に設けられ前記開閉カバーの閉扉時に前記キャッチと係合するフックと、前記キャッチに対するフックの係合を解除するために該フックを回動操作する解除操作部材とにより構成し、前記フックには、前記キャッチに係合可能な第1の爪部と、該第1の爪部よりも先端側に位置して前記キャッチに係合可能な第2の爪部とを設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、ロック装置のフックには、キャッチに係合可能な第1の爪部と、該第1の爪部よりも先端側に位置してキャッチに係合可能な第2の爪部とを設けた2段階の構成としている。従って、キャッチに対する第1の爪部の係合が不十分で、走行時や作業時に第1の爪部がキャッチから外れることがあっても、この第1の爪部よりもフックの先端側に設けられた第2の爪部がキャッチに係合する。これにより、第2の爪部は、開閉カバーの開扉を規制することができる。
【0023】
この結果、ロック装置は、1つのフックに2つの爪部を設けるという簡単な構成によって、走行時や作業時に開閉カバーが不用意に開扉するのを確実に防止することができ、ロック装置の部品点数の削減、信頼性の向上等を図ることができる。また、ロック装置は、部品点数が少ないから、小さなスペースに設けることができ、例えば超小型な建設機械にも適用することができる。
【0024】
請求項2の発明によれば、フックの第1の爪部は、開閉カバーを閉扉位置まで閉じたときにキャッチに係合するものであるから、第1の爪部をキャッチに係合させたときには、開閉カバーを閉扉位置にがたつくことなく確実に保持することができる。一方、第2の爪部は、開閉カバーを閉扉位置よりも開いた半開き位置まで閉じたときにキャッチに係合することができるから、開閉カバーを軽い力で閉じたときにも第2の爪部をキャッチに必ず係合させることができる。これにより、開閉カバーを閉じたときには、最低でも第2の爪部をキャッチに係合させることができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、支持部材は、フックと解除操作部材とを1つの組立体として支持することができるから、この支持部材を用いてフックと解除操作部材を開閉カバーに取付けることができる。これにより、支持部材とフックと解除操作部材とを1つの組立体として構成することができ、組立作業性を高めることができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、フックに沿う位置には、フックの各爪部が係合する位置に向けキャッチを案内するキャッチガイドを設けているから、開閉カバーを閉じたときには、キャッチガイドによりフックとキャッチとを正しい位置で確実に係合させることができる。
【0027】
請求項5の発明によれば、1つの支持部材に対してフックと解除操作部材とキャッチガイドを設けることにより、フック組立体を構成することができ、組立作業性を高めることができる。また、キャッチガイドは、2つのガイド部間に形成されるV字状溝にキャッチを挿入することにより、フックの回動方向に沿わせキャッチを案内するができる。
【0028】
さらに、開閉カバーを閉扉位置に配置したときには、フックを形成する第1の爪部と第2の爪部の先端がV字状溝を越えてガイド部と重なるから、ガイド部は、キャッチが爪部から逃げないように確実に係合させることができる。一方、解除操作部材によってフックが回動させたときには、各爪部の先端をV字状溝から退避させることができるから、キャッチとフックとの係合を解除して開閉カバーを開くことができる。
【0029】
請求項6の発明によれば、請求項1の発明とほぼ同様に、簡単な構成により走行時や作業時に開閉カバーが不用意に開扉するのを確実に防止することができ、ロック装置の部品点数の削減、信頼性の向上等を図ることができる。また、ロック装置は、部品点数が少ないから、小さなスペースに設けることができ、例えば超小型な建設機械にも適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る建設機械の代表例として油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0031】
まず、図1ないし図12は本発明の第1の実施の形態を示している。図1、図2において、1は建設機械としての油圧ショベルを示している。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより大略構成されている。
【0032】
また、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3は、支持構造体を構成すると共に前部に作業装置4が取付けられる旋回フレーム5をベースとし、該旋回フレーム5の左前側にオペレータが搭乗するキャブ6を備えている。また、旋回フレーム5の後部には、作業装置4との重量バランスをとるためのカウンタウエイト7が取付けられている。
【0033】
さらに、旋回フレーム5には、多くの機器が搭載されている。これらの搭載機器としては、図3に示す如く、キャブ6とカウンタウエイト7との間に位置して旋回フレーム5の後側に横置き状態で搭載されたエンジン8と、該エンジン8の左側に取付けられた油圧ポンプ9と、前記エンジン8の右側に設けられたラジエータ、オイルクーラ等の熱交換器10と、該熱交換器10の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載された後述の作動油タンク14と、該作動油タンク14の前側に位置して設けられた燃料タンク11と、該燃料タンク11の上方に配設されたバッテリ12と、前記キャブ6の下方に配設された制御弁装置13等とがあり、これらの搭載機器の多くは、後述の外装カバー15によって覆われている。
【0034】
14は熱交換器10の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載された作動油タンクで、該作動油タンク14は、搭載機器の1つであり、後述するロック装置19のキャッチ20を取付けるための車体フレームの固定側部材を構成している。また、作動油タンク14は、図3、図4に示すように、長方形状の鋼板等からなる前面板14A、後面板14B、左側面板14C、右側面板14D、上面板14Eおよび下面板(図示せず)によって強度をもった直方体状の容器として構成されている。そして、作動油タンク14には、その後面板14Bの上部にキャッチ20が取付けられている。
【0035】
15はキャブ6の後側から右側に亘って旋回フレーム5上に設けられた外装カバーで、該外装カバー15は、旋回フレーム5上に搭載されたエンジン8、油圧ポンプ9、熱交換器10、燃料タンク11、バッテリ12、作動油タンク14等の機器を覆うものである。
【0036】
そして、外装カバー15は、図1、図2等に示すように、カウンタウエイト7の上,下方向の中間部位に配置され、該カウンタウエイト7に形成されたエンジン8等に対する点検用の開口部(図示せず)を開閉可能に覆うエンジンカバー16と、カウンタウエイト7の左端側から前方へと延び、エンジン8等を左側方から覆う左側面カバー(図示せず)と、熱交換器10、作動油タンク14、燃料タンク11等の右側面を覆うためカウンタウエイト7の右端側から旋回フレーム5の周縁に沿って前方へと延びつつ旋回フレーム5の右側面に固定側部材として設けられた右側面カバー17と、該右側面カバー17の上側に位置して設けられた後述のタンクカバー18とにより大略構成されている。
【0037】
ここで、外装カバー15の一部を構成する右側面カバー17は、旋回フレーム5に固定的に取付けられ、その後側がエンジンカバー16とほぼ同じ高さ寸法となり、前側が燃料タンク11よりも低く形成されている。また、右側面カバー17には、図9等に示す如く、例えば上側の端縁に沿うように振動抑制機能、シール機能をもったクッション材17Aが取付けられている。これにより、クッション材17Aは、タンクカバー18を閉扉位置に配置したときに弾性力をもって接することで、該タンクカバー18のがたつきを抑えると共に、隙間からの雨水、塵埃の浸入を防止するものである。
【0038】
また、18は右側面カバー17の上側に位置して設けられた開閉カバーとしてのタンクカバーである。このタンクカバー18は、旋回フレーム5の左,右方向の右側に搭載される熱交換器10、燃料タンク11、作動油タンク14等の上面を覆うもので、カウンタウエイト7の右端側から前方へと延びて形成されている。また、タンクカバー18は、その前側が旋回フレーム5の前部に回動可能に取付けられ、これにより後側を上,下方向に開閉することができる。
【0039】
そして、タンクカバー18は、右側面カバー17に沿って湾曲するように該右側面カバー17から上側に延びた側面部18Aと、該側面部18Aから熱交換器10、作動油タンク14、燃料タンク11等を上側から覆う位置まで左側に延びた上面部18Bとによって構成されている。また、側面部18Aと上面部18Bは、前側に向けて低くなるように湾曲し、側面部18Aの下縁は後側に向けて高く形成されている。さらに、側面部18Aには、後述のキャッチ20に対応する後側寄りの上部に位置して後述の解除操作ボタン24を押動操作するための凹陥穴18Cが形成され、該凹陥穴18Cの位置には、図6、図9等に示す如く、側面部18Aの内側から後述のフック組立体21が取付けられている。
【0040】
次に、旋回フレーム5に搭載された固定側部材をなす作動油タンク14と外装カバー15の開閉可能なタンクカバー18との間に設けられたロック装置19について述べる。
【0041】
即ち、19は旋回フレーム5上に固定された作動油タンク14と外装カバー15のタンクカバー18との間に設けられた第1の実施の形態によるロック装置を示している。このロック装置19は、開閉可能なタンクカバー18を旋回フレーム5に対して閉扉した状態で保持するものである。そして、ロック装置19は、後述のキャッチ20、支持部材22、フック23、解除操作ボタン24、キャッチガイド26等により構成されている。
【0042】
20はロック装置19を構成するキャッチで(図3ないし図6参照)、該キャッチ20は、例えば旋回フレーム5上に固定された固定側部材としての作動油タンク14に設けられている。ここで、第1の実施の形態では、キャッチ20を作動油タンク14に設けた場合を例に挙げているが、キャッチ20は、旋回フレーム5、該旋回フレーム5の一部を構成する柱、梁等の構造体、エンジン8の構成部品、燃料タンク11、バッテリ12、外装カバー15の右側面カバー17等の他の固定側部材に設ける構成としてもよい。
【0043】
そして、キャッチ20は、強度をもった棒状体をU字状に折曲げることにより形成されている。また、キャッチ20は、タンクカバー18の側面部18Aの近傍に位置するように、取付板20Aを介して作動油タンク14の後面板14Bの右上位置に取付けられている。さらに、キャッチ20は、タンクカバー18が前側を支点として開閉することに対応し、後述のフック23がほぼ直角に係合するように、後側に向けて高くなるように斜めに形成されている。これにより、キャッチ20に対しフック23をスムーズに係合させることができ、係合状態でのがたつきも抑えることができる。
【0044】
21は開閉カバーをなすタンクカバー18に設けられたフック組立体で、該フック組立体21は、図6ないし図12に示す如く、後述の支持部材22、フック23、解除操作ボタン24、キャッチガイド26等を一体的に組立てることにより1つの組立体として構成されている。これにより、フック組立体21は、細かな部品を支持部材22に予め組付けることができるから、組立作業性を向上することができる。
【0045】
22はフック組立体21の取付ベースとなる支持部材で、該支持部材22は、フック23、解除操作ボタン24等をタンクカバー18に取付けるものである。また、支持部材22は、図7、図8に示すように、長方形状の板体をU字状に折曲げて形成されたフック支持部22Aと、該フック支持部22Aの底部22A1に取付けられた取付板22Bとを備えている。ここで、フック支持部22Aをなす一対の縦板22A2のうち、一方の縦板22A2には、フック23を回動可能に支持する支持軸22Cが内向きに突出して設けられている。また、一対の縦板22A2には、支持軸22Cとほぼ同じ高さ位置に、キャッチ20を位置決めするための位置決め溝22Dがそれぞれ形成されている。
【0046】
一方、フック支持部22Aの底部22A1と取付板22Bの中央には、解除操作ボタン24を挿着するための挿着穴22Eが形成されている。そして、支持部材22は、タンクカバー18の側面部18Aに設けられた凹陥穴18Cに挿着穴22Eを合わせた状態で、取付板22Bの両側部分が側面部18Aの内面にボルト止めされる。
【0047】
23は支持部材22を介してタンクカバー18の側面部18Aに設けられたフックで、該フック23は、タンクカバー18の閉扉時に旋回フレーム5側のキャッチ20と係合し、該タンクカバー18の開扉を規制するものである。また、フック23は、基端部23Aが支持部材22の支持軸22Cに回動可能に取付けられ、先端側はキャッチ20の係合位置とほぼ直角に交わるように後側に向けて斜めに延びている。
【0048】
また、フック23には、ほぼ長さ方向の中間部に位置して第1の爪部23Bが設けられ、該第1の爪部23Bは、キャッチ20に係合可能な略三角形状の突起として形成されている。さらに、フック23には、前記第1の爪部23Bよりも先端側に位置して第2の爪部23Cが設けられ、該第2の爪部23Cも第1の爪部23Bとほぼ同様にキャッチ20に係合可能な略三角形状の突起として形成されている。また、フック23には、基端部23A側に位置して押動操作用のピン23Dが突設されている。
【0049】
ここで、第1の爪部23Bは、タンクカバー18を図1に示す閉扉位置まで閉じたときにキャッチ20に係合するものである。この場合、第1の爪部23Bをキャッチ20に確実に係合させるためには、図9に示すように、例えば右側面カバー17のクッション材17Aを変形させるまで、タンクカバー18を下側に押付ける必要がある。
【0050】
一方、第2の爪部23Cは、タンクカバー18を図5中に二点鎖線で示す半開き位置まで閉じたときにキャッチ20に係合するものである。この場合、第2の爪部23Cは、タンクカバー18を右側面カバー17上に乗せるように軽い力で閉じるだけでキャッチ20に確実に係合することができる。なお、タンクカバー18の半開き位置とは、キャッチ20にフック23の第2の爪部23Cが係合した位置で、タンクカバー18が大きく開くことはないものの、カタカタと動くことができる位置である。
【0051】
このように、フック23には、第1の爪部23Bと第2の爪部23Cとを2段に配設することにより、該フック23は、キャッチ20と2段階でロックすることができる。従って、図11に示すように、キャッチ20に対する第1の爪部23Bの係合が不十分で、走行時や作業時に第1の爪部23Bがキャッチ20から外れた場合には、図12に示す如く、第1の爪部23Bよりもフック23の先端側に設けられた第2の爪部23Cにキャッチ20を係合させることができる。これにより、タンクカバー18が半開き位置よりも大きく開くのを規制することができる。
【0052】
また、タンクカバー18の閉扉位置または半開き位置では、図7に示すように、フック23を形成する第1の爪部23Bと第2の爪部23Cの先端が、後述するキャッチガイド26のV字状溝26Cを越えて反対側の直線状ガイド部26Bと重なる位置に達する。これにより、各爪部23B,23Cには、位置ずれして脱落しないようにキャッチ20を確実に係合させることができる。一方、図10に示す如く、解除操作ボタン24によってフック23を解除方向に回動させたときには、各爪部23B,23Cの先端をV字状溝26Cから湾曲状ガイド部26A側に退避させることができ、キャッチ20と各爪部23B,23Cとの係合を解除してタンクカバー18を開くことができる。
【0053】
24は支持部材22に設けられた解除操作部材としての解除操作ボタンで、該解除操作ボタン24は、キャッチ20に対するフック23の係合を解除するために、該フック23を係合方向と反対側に回動操作するものである。そして、解除操作ボタン24は、図7に示す如く、支持部材22の挿着穴22Eに内側から挿着されたボタン部24Aと、該ボタン部24Aを取囲むように支持部材22の内側に取付けられたケース24Bと、該ケース24Bから突出したボタン部24Aの先端側に取付けられ、該ボタン部24Aの直径方向に延びた押し板24Cと、前記ボタン部24Aを基端側に向けて付勢するばね部材24Dとにより大略構成されている。
【0054】
ここで、解除操作ボタン24は、ボタン部24Aがキーシリンダを兼ねており、このボタン部24Aにエンジンキーを差し込んで任意の方向に回動することにより、図6に示すように、押し板24Cをフック23のピン23Dに合わせたときにだけ、図10に示すようにフック23の解除操作を行うことができる。一方、エンジンキーの操作で押し板24Cの位置をフック23のピン23Dから外すことにより、タンクカバー18の開扉を規制することができる。
【0055】
25はフック組立体21の一部を構成する復帰ばねで、該復帰ばね25は、支持部材22の支持軸22Cに巻回するように設けられ、その一端がフック23に掛止めされ、他端が解除操作ボタン24のケース24Bに掛止めされている。そして、復帰ばね25は、タンクカバー18を閉じるときにキャッチ20がフック23に当接すると、各爪部23B,23Cの傾斜によってフック23が解除位置(図10に示す位置)に向けて回動するのを許し、キャッチ20が各爪部23B,23Cを通過したときには、係合位置(図9に示す位置)に復帰させることができるばね力を有している。
【0056】
26はフック23の側面に沿って支持部材22に取付けられたキャッチガイドで、該キャッチガイド26は、図8に示すように、フック支持部22Aの一方の縦板22A2の板厚方向に沿って平行に配置され、フック23と対面した状態で平行に延びている。また、キャッチガイド26は、図7に示す如く、タンクカバー18の内側寄りに位置する湾曲状ガイド部26Aと、該湾曲状ガイド部26Aと対向するようにタンクカバー18の外側寄りに位置する直線状ガイド部26Bと、該各ガイド部26A,26B間に形成されたV字状溝26Cとにより大略構成されている。
【0057】
また、キャッチガイド26を形成する湾曲状ガイド部26Aは、V字状溝26C側が湾曲縁部26A1となっている。この湾曲縁部26A1は、タンクカバー18を閉じたときに、キャッチ20を積極的に案内できる(拾い易い)ように、V字状溝26Cの開口側を内側に広く形成している。一方、直線状ガイド部26Bは、V字状溝26C側が直線状縁部26B1となっている。この直線状縁部26B1は、V字状溝26Cに挿入されたキャッチ20を、該V字状溝26Cの最深部に向けて真直ぐに案内することができる。これにより、V字状溝26Cは、図7に示す如く、下側の開口側が広くなり、その開口角度θは、キャッチ20を拾い易く、円滑に案内できる角度に設定されている。また、V字状溝26Cの最深部は、支持部材22の位置決め溝22D(係合位置)とほぼ一致している。
【0058】
これにより、タンクカバー18を閉じるときには、キャッチ20をキャッチガイド26のV字状溝26C内に挿入することにより、湾曲状ガイド部26Aと直線状ガイド部26Bとによってキャッチ20をフック23による係合位置に向け案内することができ、第1の爪部23Bまたは第2の爪部23Cにキャッチ20を係合させることができる。
【0059】
このときに、第1の爪部23Bの先端と第2の爪部23Cの先端は、キャッチガイド26のV字状溝26Cを越えて反対側の直線状ガイド部26Bと板厚方向で重なっている。これにより、キャッチ20は、各爪部23Bと23Cからずれて脱落する虞がなく、各爪部23Bと23Cに対して確実に係合させることができる。
【0060】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、外装カバー15のタンクカバー18を開閉するときのロック装置19の動作(操作)について説明する。
【0061】
まず、閉扉位置にあるタンクカバー18を開く場合には、タンクカバー18の凹陥穴18Cに指先を押入れて解除操作ボタン24のボタン部24Aを押動し、フック23を解除位置に向けて回動させる。これにより、キャッチ20と第1の爪部23Bとの係合を解除できるから、第2の爪部23Cが係合しないように、半開き位置を過ぎるまでボタン部24Aを押したままタンクカバー18の後側を上側に持上げることにより、図5に示す如く、タンクカバー18を前側に大きく開くことができる。
【0062】
そして、タンクカバー18を開いた状態では、熱交換器10、バッテリ12、作動油タンク14等の点検作業、修理作業、燃料タンク11に対する給油作業等を行うことができる。
【0063】
次に、上述した作業が終了したら、タンクカバー18を後側ないし下側に回動させて閉じる。このタンクカバー18の閉扉作業において、タンクカバー18を閉扉位置にロックするためには、ロック装置19のフック23に設けられた第1の爪部23Bをキャッチ20に確実に係合させる必要がある。そこで、タンクカバー18を、図9に示すように、例えば右側面カバー17のクッション材17Aが変形するまで下向きに押付け、第1の爪部23Bをキャッチ20に確実に係合させる。このときには、キャッチガイド26によってキャッチ20をフック23の係合位置に向け正確に案内することができる。
【0064】
一方、タンクカバー18の閉扉作業では、図11に示すように、キャッチ20に対する第1の爪部23Bの係合が不十分な場合がある。この場合には、走行時や作業時の振動によって、フック23の第1の爪部23Bがキャッチ20から外れることがある。しかし、フック23には、第1の爪部23Bよりも先端側、即ち、第1の爪部23Bから外れたキャッチ20が相対的に移動する方向に第2の爪部23Cを設けている。これにより、第2の爪部23Cは、図12に示すようにキャッチ20に係合し、タンクカバー18が半開き位置よりも大きく開くのを規制することができる。
【0065】
次に、第1の実施の形態による油圧ショベル1の動作について説明すると、オペレータは、上部旋回体3のキャブ6に搭乗し、走行用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、下部走行体2を前進または後退させることができる。一方、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0066】
以上のように、第1の実施の形態によれば、ロック装置19のフック23には、キャッチ20に係合可能な第1の爪部23Bと、該第1の爪部23Bよりも先端側に位置してキャッチ20に係合可能な第2の爪部23Cとを設けた2段階の構成としている。
【0067】
従って、タンクカバー18を閉じるときにキャッチ20に対する第1の爪部23Bの係合が不十分で、走行時や作業時の振動で第1の爪部23Bがキャッチ20から外れることがあっても、この第1の爪部23Bよりもフック23の先端側に設けた第2の爪部23Cがキャッチ20に係合するから、第2の爪部23Cによりタンクカバー18の開扉を規制することができる。
【0068】
この結果、ロック装置19は、1つのフック23に2つの爪部23B,23Cを設けるという簡単な構成によって、走行時や作業時にタンクカバー18が不用意に開扉するのを確実に防止することができ、ロック装置19の部品点数の削減、信頼性の向上等を図ることができる。しかも、ロック装置19は、部品点数が少ないから、小さなスペースに設けることができ、実施の形態のように超小型な油圧ショベル1にも適用することができる。
【0069】
また、フック23の第1の爪部23Bは、タンクカバー18を、図1、図9に示す閉扉位置まで閉じたときにキャッチ20に係合するものであるから、第1の爪部23Bをキャッチ20に係合させたときには、タンクカバー18を閉扉位置にがたつくことなく確実に保持することができる。
【0070】
一方、フック23の第2の爪部23Cは、タンクカバー18を閉扉位置よりも開いた半開き位置(図5中に二点鎖線で示す位置)まで閉じたときにキャッチ20に係合することができるから、タンクカバー18を軽い力で閉じたときにも第2の爪部23Cをキャッチ20に必ず係合させることができる。これにより、タンクカバー18を閉じたときには、最低でも第2の爪部23Bをキャッチ20に係合させることができ、タンクカバー18の不用意な開扉を確実に防止することができる。
【0071】
また、支持部材22にフック23、解除操作部材24、復帰ばね25、キャッチガイド26を予め組付けることにより1つのフック組立体21を形成することができる。これにより、支持部材22をタンクカバー18に取付けることにより、フック23、解除操作部材24、復帰ばね25、キャッチガイド26をタンクカバー18に容易に取付けることができ、組立作業性を高めることができる。
【0072】
また、フック23の側方に沿うようにキャッチガイド26を設けているから、該キャッチガイド26のV字状溝26Cによりフック23の第1の爪部23Bが係合する位置に向けキャッチ20を案内することができる。従って、タンクカバー18を閉じたときには、キャッチガイド26によりフック23とキャッチ20とを正しい位置で確実に係合させることができ、開閉操作に対する信頼性を向上することができる。
【0073】
さらに、キャッチガイド26には、湾曲状ガイド部26Aと直線状ガイド部26Bとの間にV字状溝26Cを設け、フック23を形成する第1の爪部23Bと第2の爪部23Cの先端は、V字状溝26Cを越えて直線状ガイド部26Bと板厚方向で重ねることができる。これにより、直線状ガイド部26Bは、キャッチ20が爪部23B,23Cから逃げないように確実に係合させることができる。一方、解除操作ボタン24によってフック23を回動操作したときには、各爪部23B,23Cの先端をV字状溝26Cから逃げ出すように退避させることができ、キャッチ20とフック23との係合を解除してタンクカバー18を開くことができる。
【0074】
次に、図13および図14は本発明による第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、ロック装置は、開閉カバーに設けられたキャッチと、基端側が側面カバーに回動可能に設けられ開閉カバーの閉扉時にキャッチと係合するフックと、キャッチに対するフックの係合を解除するためにフックを回動操作する解除操作部材とにより構成したことにある。なお、第2の実施の形態では、前記した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0075】
図13において、31は第1の実施の形態によるロック装置19に代えて設けられた第2の実施の形態によるロック装置を示している。この第2の実施の形態によるロック装置31は、第1の実施の形態によるロック装置19とほぼ同様に、キャッチ32と、フック組立体33を形成する支持部材34、フック35、解除操作ボタン36、キャッチガイド37等とにより構成されている。
【0076】
しかし、第2の実施の形態によるロック装置31は、キャッチ32が開閉カバーとしてのタンクカバー18′の側面部18A′に下向きに延びるように設けられ、支持部材34、フック35、解除操作ボタン36、キャッチガイド37等からなるフック組立体33が固定側部材としての右側面カバー17′に設けられている点で、第1の実施の形態によるロック装置19と相違している。
【0077】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。即ち、第2の実施の形態では、第1の実施の形態とほぼ同様に、フック35等を簡単な構成とした場合でも、走行時や作業時にタンクカバー18′が不用意に開扉するのを防止することができる。また、ロック装置31の部品点数の削減、信頼性の向上等を図ることができる。さらに、ロック装置31は、部品点数が少ないから、小さなスペースに設けることができる。
【0078】
なお、第1の実施の形態では、旋回フレーム5上に搭載した固定側部材の1つをなす作動油タンク14にロック装置19のキャッチ20を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばキャッチ20は、旋回フレーム5、該旋回フレーム5の一部を構成する柱、梁等の構造体、エンジン8の構成部品、燃料タンク11、バッテリ12、外装カバー15の右側面カバー17等の他の固定側部材に設ける構成としてもよい。
【0079】
また、第1の実施の形態では、開閉カバーとして燃料タンク11、作動油タンク14等の上側を覆うタンクカバー18を例示し、このタンクカバー18と作動油タンク14との間にロック装置19を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば開閉可能なエンジンカバー16と旋回フレーム5側の固定側部材との間にロック装置を設ける構成としてもよい。
【0080】
さらに、各実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばキャノピ仕様の油圧ショベル、ホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベル等に適用してもよい。それ以外にも、ホイールローダ、リフトトラック等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1に示す油圧ショベルの平面図である。
【図3】キャブ、カウンタウエイト、外装カバー等を省略した状態の上部旋回体を拡大して示す平面図である。
【図4】旋回フレームに燃料タンク、バッテリ、作動油タンクを搭載した状態を示す外観斜視図である。
【図5】タンクカバーを開いた状態の油圧ショベルの正面図である。
【図6】ロック装置のキャッチとフックとが係合する状態をタンクカバーの内側からみた要部拡大図である。
【図7】第1の実施の形態によるフック組立体を図6中の矢示VII−VII方向からみた拡大断面図である。
【図8】フック組立体を図6中の矢示VIII−VIII方向からみた底面図である。
【図9】フックの第1の爪部をキャッチに係合させた閉扉位置で示す動作説明図である。
【図10】解除操作ボタンによってキャッチに対するフックの係合を解除した状態を示す動作説明図である。
【図11】キャッチに対するフックの第1の爪部の係合が不十分な状態を示す動作説明図である。
【図12】フックの第1の爪部から外れたキャッチが第2の爪部に係合した半開き位置で示す動作説明図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図14】第2の実施の形態によるロック装置を図13中の矢示XIV−XIV方向からみた拡大断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
4 作業装置
5 旋回フレーム(車体フレーム)
6 キャブ
7 カウンタウエイト
8 エンジン(固定側部材)
9 油圧ポンプ(固定側部材)
10 熱交換器(固定側部材)
11 燃料タンク(固定側部材)
12 バッテリ(固定側部材)
14 作動油タンク(固定側部材)
15 外装カバー
17,17′ 右側面カバー(固定側部材)
18,18′ タンクカバー(開閉カバー)
19,31 ロック装置
20,32 キャッチ
21,33フック組立体
22,34 支持部材
23,35 フック
23B 第1の爪部
23C 第2の爪部
24,36 解除操作ボタン(解除操作部材)
26,37 キャッチガイド
26A 湾曲状ガイド部
26B 直線状ガイド部
26C V字状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなし油圧ポンプを駆動するエンジン、作動油タンク、燃料タンク、バッテリを含む搭載機器が取付けられる車体フレームと、該車体フレームに搭載された機器を覆うように該車体フレームに開閉可能に設けられた開閉カバーと、該開閉カバーを前記車体フレームに対して閉扉した状態で保持するロック装置とを備えてなる建設機械において、
前記ロック装置は、前記車体フレームまたは前記搭載機器からなる固定側部材に設けられたキャッチと、基端側が前記開閉カバーに回動可能に設けられ前記開閉カバーの閉扉時に前記キャッチと係合するフックと、前記キャッチに対するフックの係合を解除するために該フックを回動操作する解除操作部材とにより構成し、
前記フックには、前記キャッチに係合可能な第1の爪部と、該第1の爪部よりも先端側に位置して前記キャッチに係合可能な第2の爪部とを設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記フックの第1の爪部は、前記開閉カバーを閉扉位置まで閉じたときに前記キャッチに係合し、前記第2の爪部は、前記開閉カバーを閉扉位置よりも開いた半開き位置まで閉じたときに前記キャッチに係合する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記フックと前記解除操作部材とを1つの組立体として支持する支持部材を設け、該支持部材を用いて前記フックと解除操作部材を前記開閉カバーに取付ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記フックに沿う位置には、前記フックの各爪部が係合する位置に向け前記キャッチを案内するキャッチガイドを設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
【請求項5】
1つの支持部材に対して前記フックと解除操作部材を設けると共に前記フックの回動方向に沿わせ前記キャッチを案内するキャッチガイドを設けることにより、フック組立体を構成し、前記キャッチガイドは、2つのガイド部間に形成されるV字状溝に前記キャッチを挿入する構成とし、前記フックを形成する第1の爪部と第2の爪部は、前記開閉カバーが閉扉位置にあるとき前記各爪部先端が前記V字状溝を越えて前記ガイド部と重なる位置となり、前記解除操作部材によって前記フックが回動させたとき前記各爪部先端が前記V字状溝から退避する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項6】
支持構造体をなし油圧ポンプを駆動するエンジン、作動油タンク、燃料タンク、バッテリを含む搭載機器が取付けられる車体フレームと、該車体フレームに搭載された機器の側面を覆うため該車体フレームの側面に固定側部材として設けられた側面カバーと、前記車体フレームに搭載された機器の上面を覆うため該側面カバーの上側に位置して前記車体フレームに開閉可能に設けられた開閉カバーと、該開閉カバーを前記車体フレームに対して閉扉した状態で保持するロック装置とを備えてなる建設機械において、
前記ロック装置は、前記開閉カバーに設けられたキャッチと、基端側が前記側面カバーに回動可能に設けられ前記開閉カバーの閉扉時に前記キャッチと係合するフックと、前記キャッチに対するフックの係合を解除するために該フックを回動操作する解除操作部材とにより構成し、
前記フックには、前記キャッチに係合可能な第1の爪部と、該第1の爪部よりも先端側に位置して前記キャッチに係合可能な第2の爪部とを設ける構成としたことを特徴とする建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−203729(P2009−203729A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48006(P2008−48006)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】