説明

弾性ローラの製造方法の製造方法

【課題】 本発明は電子写真プロセスを利用した画像形成装置に用いる弾性ローラにおいて、成形工程時にローラの電気抵抗を測定し、その測定値で成形装置を制御することによってばらつきが少なく均一な抵抗値をもち、さらに表面欠陥の少ない高精度な弾性ローラを製造する方法を提供することにある。
【解決手段】 電子写真プロセスを利用した画像形成装置に用いる弾性部材(ゴムローラ)表面の部材による加圧回転加熱工程において、成形時に電圧を印加し、測定されるローラの電気抵抗値で成形装置を制御することで、均一な抵抗値をもつ高精度な弾性ローラを製造する方法。成形工程後のローラ抵抗値から最適成形条件を予測し、その最適成形条件にて成形工程を実施する事で均一な抵抗値を持つローラ製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LBP(Laser Beam Printer)、複写機及びファクシミリ等のOA機器において、電子写真プロセスを利用した画像形成装置に用いるゴムローラの(帯電ローラ、現像ローラ等)の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電子写真の帯電・転写プロセスにおいて、接触帯電及び接触転写の手法が多く研究されている。図1は、接触帯電手段及び接触転写手段を有する電子写真装置の構成を模式的に示す図である。1は被帯電体としての像担持体であり、アルミニウムなどの導電性の支持体とその外周面に少なくとも光導電層を有するドラム型の電子写真プロセスに用いられる感光体である。2はこの感光体に接し、感光体面を所定の電位に一様に帯電させる帯電部材であり、本例はローラ形状のもの(以下、帯電ローラとする)を示す。
【0003】
この帯電ローラは、少なくとも中心部の芯金と、その外周面に弾性体の層(以下、弾性層)を有する。この帯電ローラをバネ等の圧接手段(不図示)で感光体1に所定の圧接力をもって圧接され、感光体1の回転にともない従動回転する。また、この芯金部に直流+交流(又は、直流のみ)バイアスを印加することで感光体1を所定の電位に接触帯電される。つまり、良好なコピー画像を得るために、帯電部材2には、感光体1との均一な接触状態と、導電性が必要になる。帯電部材2で所定の電位に帯電された感光体1の表面が、レーザー、LED等の露光手段(不図示)から出力される露光光3によって画像情報を露光されることによって、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0004】
次いで、その潜像を現像手段4によってトナー画像として可視像化する。このトナー画像は、転写部材5によって転写材6の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで感光体1の表面のトナー画像が転写材6の表面側に転写される。トナー画像の転写を受けた転写材6は感光体1から分離され、定着部材7によって熱、圧力で固着される。また、像転写後の感光体1の表面はクリーニング部材8で転写時における残留トナー等の付着物の除去を受けて清浄面化され、くり返し作像に供される。なお、図1の中の9はトナー、10は回転軸を示す。
【0005】
こうした帯電、転写、現像部材等に用いられるローラは、少なくとも両端において回転可能に支持される芯金と、芯金の外周面に設けられた弾性層によって構成される弾性体ローラである。
【0006】
たとえば感光体に接触させて用いる帯電ローラの場合、ローラ抵抗を中抵抗化することが必要であると共に、ローラの周方向、長手方向の抵抗値のばらつきを極力抑えなければならず、この抵抗ばらつきが大きいと、画像にムラが生じてしまい、良好な画像を得ることが困難である。
【0007】
従来このような中抵抗領域の抵抗を有するローラは、カーボンなどの電子導電性粉体をポリマーおよび樹脂等に混合して抵抗値の調整を行うことにより得られているが、この場合抵抗値のばらつき大きくが非常に困難であり、均一な抵抗値を有するローラを得ることは難しい。そこで、このような抵抗値のばらつきを改善するため、導電剤としてイオン導電性物質を用いて抵抗値を中抵抗領域に調整したイオン導電性を有するポリマー組成物を用いて中抵抗のローラを得る方法も提案されている。しかしながら、イオン導電性のポリマーは、雰囲気の水分の影響を受けやすく、高温高湿環境下と低温低湿環境下ではイオンの移動度が大きくことなり、環境変動による抵抗値の変動が著しく、電子導電系よりも抵抗値の環境安定性が劣るという問題がある。
【0008】
なお、このような抵抗値の均一性及び安定性については、上記帯電ローラ等の帯電部材に限らず、転写部材、現像部材等、その他の電子写真用部材についても重要な性能の1つであり、抵抗値の均一性及び安定性に優れた電子写真用弾性ローラの開発が望まれる。
【0009】
またローラ表面に大きな凹み・穴等の欠陥がある場合も画像不良を発生させることがあるため、ローラの表面欠陥を低減する手法として、芯金上の未加硫ゴム組成物を圧接部材によって圧力をかけた状態で、回転させながら加熱を行う押圧加熱回転によって表面平滑化する手法(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、ローラの抵抗値に関する記載はされていない。
【特許文献1】特開2000-177005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は電子写真プロセスを利用した画像形成装置に用いる弾性ローラにおいて、成形工程時にローラの電気抵抗を測定し、その測定値で成形装置を制御することによって抵抗のばらつきが少なく、さらに表面欠陥の少ない高精度な弾性ローラを製造する方法を提供することにある。またその他の目的は、成形工程における成形条件と成形工程後もしくは加硫後のローラの抵抗値から最適成形条件を予測し、その最適成形条件にて成形工程を行うことで、導電性フィラーを含有する材料を用いて成形方法にてローラの抵抗を制御する方法、つまり異なる抵抗値を持つローラ製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題・目的は以下に示す本発明によって解決・達成される。
【0012】
1.未加硫ゴム組成物を芯金とともに押出す事で芯金上に未加硫ゴム組成物を被覆する工程と、該芯金上の未加硫ゴム組成物表面を圧接部材により圧力かけた状態で回転させながら加熱を行う成形工程とを有する事を特徴とする弾性ローラの製造方法において、該芯金上の未加硫ゴム組成物表面を圧接部材に圧力をかけた状態で回転させながら加熱しつつ、芯金と圧接部材との間に電圧を印加して未加硫ゴム組成物の電気抵抗を測定する手段を備え、測定される電気抵抗値に基づいて圧接部材による加圧回転加熱工程における圧接部材の加圧時間あるいは加圧力あるいは加熱温度あるいは回転数の少なくともいずれか1つをフィードバック制御する事を特徴とする弾性ローラの製造方法を提供することにある。
【0013】
2.未加硫ゴム組成物を芯金とともに押出す事で芯金上に未加硫ゴム組成物を被覆する工程と、該芯金上の未加硫ゴム組成物表面を圧接部材により圧力かけた状態で回転させながら加熱を行う成形工程とを有する事を特徴とする弾性ローラの製造方法において、成形中もしくは成形後もしくは加硫後のいずれか/毎に弾性ローラの電気抵抗を測定し、測定された電気抵抗値と圧接部材による加圧回転加熱工程における圧接部材の加圧時間あるいは加圧力あるいは加熱温度あるいは回転数からなる少なくともいずれか1つの成形条件から、要求する電気抵抗値をもつ弾性ローラの成形条件を予測し、予測された成形条件を最適成形条件として決定し、該最適成形条件により圧接部材による加圧回転加熱工程をおこなう事を特徴とする弾性ローラの製造方法を提供することにある。
【0014】
3.前記未加硫ゴム組成物が導電性フィラーを少なくとも含有する事を特徴と上記1〜2に記載の弾性ローラの製造方法を提供することにある。
【0015】
4.前記導電性フィラーがカーボンブラックであり、少なくとも含有される該カーボンブラックの窒素吸着比表面積をA(m/g)、DBP吸油量をB(ml/100g)、ゴム100重量部に対する添加重量部をCとして、該カーボンブラックが式(I)および(II)の関係を満たすこと事を特徴とする上記1〜2に記載の弾性ローラの製造方法を提供することにある。
【0016】
式(I) 1000≦Σ(A×C)≦100,000
式(II) 2500≦Σ(B×C)≦50,000
【発明の効果】
【0017】
本発明は、電子写真プロセスを利用した画像形成装置に用いるゴムローラの製造方法において、ポリマー原料と添加剤を配合し混練された未加硫ゴム組成物を芯金とともに押出す事で芯金上に未加硫ゴム組成物を被覆する工程と、該芯金上の未加硫ゴム組成物表面を圧接部材により圧力かけた状態で回転させながら加熱を行う成形工程とを有し、芯金と圧接部材との間に電圧を印加して電気抵抗を測定し、測定される電気抵抗値に基づいて圧接部材による加圧回転加熱工程における成形装置を制御することによって、表面に欠陥等も無く、表面粗さも良好で形状精度も高くかつ均一な抵抗値を持つ弾性ローラを、安定して得ることができるため、製造コストを削減するだけでなく、製品としての品質も高めることができる。また、成形後もしくは加硫後の弾性ローラの電気抵抗値と圧接部材による成形条件から要求する抵抗値をもつローラの最適成形条件が決定できるため、導電性フィラーを含有する未加硫ゴム組成物のロット起因による抵抗バラツキ等も低減することが可能であり、安定した抵抗をもつ製品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を更に図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
まず、本発明の弾性体ローラの製造方法について説明する。
【0020】
ここで図2は本発明に用いる押出機の模式図を示す。図2において押出機11は、クロスヘッド12を備える。クロスヘッド12は芯金送りローラ13によって送られた芯金14を後ろから挿入でき、芯金14と同時に円筒状の未加硫ゴム組成物を一体に押出すことができる。芯金の周囲に円筒状に未加硫ゴム組成物を被覆形成した後に、端部を切断・除去処理15を行い、未加硫ローラ16とした。
【0021】
前記の芯金として使用する材質は、ニッケルメッキやクロムメッキしたSUM材等の鋼材を含むステンレススチール棒、リン青銅棒、アルミニウム棒、耐熱樹脂棒等が好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0022】
本発明で使用されるポリマー原料としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッソゴム、塩素ゴムなどのゴムがある。
【0023】
これらのゴムを単体もしくはブレンドして用いることもできる。さらに熱可塑性の材料や、熱可塑性の材料とゴム材料と混合されたものでも良い。
【0024】
また加硫済みのゴムに対して裁断、粉砕、研削等の処理を施し、ゴム片あるいはゴム粉状にしたもの、あるいは1nm以上200μm以下の球状に成形・加硫されたゴム粉等を添加することもできる。
【0025】
また上記ゴム材料には、加硫剤、加硫促進剤、導電剤、帯電制御剤、可塑剤、老化防止剤等を適宜に添加することもできる。さらに、帯電防止剤、紫外線吸収剤、補強剤、充填剤、滑剤、離型剤、顔料、染料、難燃剤等を必要に応じて適宜に添加することもできる。
【0026】
本発明の効果を得るために前記ポリマー原料中に分散させる導電性フィラーとしては、カーボンブラック、導電性カーボン等のカーボン類、グラファイト、TiO、SnO、ZnOなどの金酸化物、SnOとSbの固溶体、ZnOとAlの固溶体などの複酸化物、Cu、Agなどの金属粉等を始めとして、公知の各種のものが使用でき、単体もしくは複数種をブレンドして使用してもよい。
【0027】
さらに好ましくはカーボンブラックを添加するのがよく、少なくとも含有するカーボンブラックの窒素吸着比表面積をA(m/g)、DBP吸油量をB(ml/100g)、ポリマー原料100重量部に対する添加重量部をCとして、該カーボンブラックが式(I)および(II)の関係を満たす範囲に原料ポリマー中に添加することで、本発明の効果をさらに高める事ができる。
【0028】
式(I) 1000≦Σ(A×C)≦100,000
式(II) 2500≦Σ(B×C)≦50,000
上記の式(I)および式(II)について説明する。一般的に原料ポリマー中に分散した状態で導電性を示すカーボンブラックの指標の一つとして、窒素吸着比表面積およびDBP吸油量の数値が大きいものが導電性が高いことが知られている。例えば帯電ローラとして要求される抵抗値をもつローラを得るためには、導電性の高いカーボンブラックを少量添加する、もしくは導電性の低いカーボンブラックを多量添加することで実現可能であることが検討により求められた。さらに鋭意検討を進めた結果、添加する各カーボンブラックの窒素吸着比表面積と添加重量部の積の和が1000以上100000以下であり、かつDBP吸油量と添加重量部の積の和が2500以上50000以下でにある場合に本発明の効果を効果的に得ることできる。下限値については本発明の効果を得るためには導電性が不足し、つまり電子導電性の導電性示さないため、上限値については導電性が高すぎて所望の抵抗値を得ることができない、つまり低抵抗化すぎるために設定される。
【0029】
また導電性ポリマー、イオン導電剤などを前記導電性フィラーと併用して導電性を付与しても良い。
【0030】
前記のような方法で得られた未加硫ゴムローラの表面を回転させながら当接させる加熱状態の圧接部材の材質としてはステンレス、鉄、アルミニウム、銅、真鋳等の金属が好ましく、更に熱伝導性が高く、加工精度が高い金属を用いる事が好ましい。また、圧接部材には表面処理を施しても良く、未加硫ゴムの防着のために、クロムメッキ、ニッケルメッキ等のメッキ類の他に、フッ素コーティング、フッ素樹脂・シリコーン樹脂等をコーティングしたものや、フッ素系・シリコーン系の離型剤を塗布したもの、DLC(ダイアモンドライクカーボン)蒸着したもの、その他公知の金属の表面処理を用いる事ができる。
【0031】
次に、圧接部材の形状及び表面粗さについて説明する。
【0032】
圧接部材の形状として未加硫ローラのゴム部分の幅よりも小さい圧接部材を用いる場合には未加硫ローラの一部分だけに集中して圧力を加えると、外観上も跡が残ってしまうことがあるため、連続的に回転しながら圧接部材によって圧力をかけ、さらに圧力をかける場所を連続的にずらしていくことが好ましい。加熱回転させながら長手方向に移動するために、螺旋状の加熱履歴が発生し、ローラの抵抗ムラとして影響する場合がある。その為、未加硫ゴムローラのゴム部分の長さよりも長い部材を用いる事がさらに好ましい。当接面は平面形状でも良いが、曲面形状である事が好ましい。
【0033】
まず、圧接部材と未加硫ゴムローラとの当接面が曲面形状であるものについて説明する。具体的には円筒状の圧接部材を用いる事がある。円筒状の圧接部材の場合は回転している圧接部材に芯金の両端部を加圧しながら未加硫ゴムローラを当接させ、従動回転させる事によって連続的に位置を変えながら圧力を加える事ができる。なお、円筒状の圧接部材としては、未加硫ゴムローラの外径よりも大きい内径を持つ円筒形状のものを用いて、内周面に当接させながら回転させても良い。
【0034】
次に、圧接部材と未加硫ゴムローラとの当接面が平面形状であるものについて説明する。具体的には平板状の圧接部材を用いる事がある。平板状の圧接部材の場合は芯金の両端部を加圧して未加硫ゴムローラを圧接させながらその上を回転させることによって連続的に位置を変えながら圧力を加える事ができる。
【0035】
得られるゴムローラを長手方向で外径が異なるクラウン形状や逆クラウン形状にするためには、圧接部材が円筒状の場合、クラウン形状(中央部の外径が端部の外径よりも大きい)、或いは逆クラウン形状(中央部の外径が端部の外径よりも小さい)の圧接部材を用いて加熱を行えば良い。又、あらかじめ外径差をつけた未加硫ローラを用いても良い。
【0036】
圧接部材の表面粗さについては、所望の表面粗さを得るために所望の表面粗さと同程度の表面粗さにする事によりゴムローラの表面粗さを制御する事が可能である。
【0037】
圧接部材の加熱方法に関しては、熱風炉、加硫缶、熱盤、遠・近赤外線、誘導加熱、電熱線等のいずれの方法を併用しても良く、120℃以上220℃以下の範囲の温度で均一に加熱されている事が好ましい。
【0038】
未加硫ゴムローラの加熱方法に関しては、圧接部材による加熱工程と共に熱風炉、加硫缶、熱盤、遠・近赤外線、誘導加熱等のいずれの方法を併用しても良く、140℃以上220℃以下の範囲の温度で10分以上180分以下の時間で加熱する事が好ましい。
【0039】
未加硫ゴムローラの圧接部材への圧接荷重に関しては、ゴム材料の粘度等によって適宜調整が可能であり、芯金の重量によっては自重のみでも良いが、安定性の面からも両端部に100gづつ以上かける、あるいはローラゴム長に対して均一な面圧をかける方法が好ましい。荷重はバネ圧、エアー圧等のいずれの方法で加えても良い。
【0040】
図3に本発明に用いるの円筒状の圧接部材を有する圧接加硫装置の模式図(Aは正面図、Bは側面図)を示す。
【0041】
回転している円筒状の圧接部材17と、芯金と一体に押出された未加硫ゴムローラ16の中心は平行に保持され、未加硫ゴムローラの両端部に加圧するための保持部材18を押し当てて軸が左右にずれる事がないように保持している。圧接部材は、中心に加熱用赤外線ヒーター19(ハロゲンランプヒーター)が配置されており、あらかじめ加熱温度に温めている。モータ20によって圧接部材を回転させる事で、未加硫ゴムローラを従動回転させる事ができる。又、加圧力は荷重21を変化させる事で調節可能である。更に、未加硫ゴムローラに電圧が印加されるように直流電源22が、そのローラ抵抗値を測定するようにマルチメータ23が配置されており、未加硫ゴムローラの加熱状態の圧接部材への当接と電圧の印加および測定を同時に行う事が可能である。
【0042】
圧接部材と未加硫ゴムローラが接触することにより圧接部材から未加硫ゴムローラに通電される。その電流を例えばマルチメータ・電流計等で測定することで、未加硫ゴムローラの抵抗値を得ることが可能となる。例えば、前記の検出される抵抗値をモニタし、あらかじめ設定した圧接部材による加熱回転工程時間に達した場合にゴムローラの抵抗値が規定値に未到達の場合には加熱回転工程時間を規定値に到達するまで延長する、または設定時間前にゴムローラの抵抗値が規定値に到達した場合には圧接部材とゴムローラとを離間し加熱回転工程を終了する、もしくは圧接部材の加熱温度を上昇もしくは下降させ設定時間で弾性ローラの抵抗値が規定値に到達するように圧接部材の加熱温度を変更する、もしくは圧接部材による加圧力を変更する、圧接部材の回転数を変更するといったようなフィードバック制御を行う事で、均一な抵抗値をもつ弾性ローラを製造することが可能となる。電圧の印加に関しては、加熱回転工程の終始印加するあるいは、設定した時間間隔(例えば15秒毎など)に印加してもよい。フィードバック制御を行う圧接部材による成形条件としては、例えば圧接部材の圧接時間、加圧力、温度、回転数等が上げられるが、これら成形条件を単独で制御しても複数を組み合わせて制御しても良い。
【0043】
またローラの抵抗値を制御する他の方法として、前記のように圧接部材と未加硫ゴムローラ間に電圧を印加して測定される抵抗値に基づくフィードバック制御を各ローラ毎に行う方法以外に、圧接部材による加圧回転加熱成形後もしくは2次加硫後のローラの抵抗値を測定し、測定された抵抗値と成形条件の関係から、要求する抵抗値をもつローラを製造する為の圧接部材による最適成形条件を予測し、予測された最適成形条件にて加圧回転加熱成形工程を行う方法がある。
【0044】
最適成形条件を推定する手法について、圧接部材による圧接時間を例にあげて以下に説明するが、圧接力、温度、回転数等のその他成形条件の場合についても同様の手法を用いる事ができる。
【0045】
圧接部材による加圧回転加熱成形工程において、あらかじめ少なくとも2点以上、好ましくは5点程度水準にて圧接部材による圧接時間を変更して弾性ローラを作成し、ローラ抵抗値を測定する。測定されたローラ抵抗値を圧接時間についてプロットすると、圧接時間を延ばすと圧接時間に応じてゴムローラの抵抗値が上昇していくことがわかる。つまりローラ抵抗値と圧接部材による成形条件に相関があることが明らかであり、このローラ抵抗値と成形条件の関係から要求する抵抗値をもつゴムローラを製造する為の圧接部材による最適圧接時間が推定でき、同じ材料であっても成形条件を変えることで、異なる抵抗値を持つローラを得ることが可能であることが本発明の最大の特徴である。
【0046】
圧接部材による成形条件とゴムローラの抵抗値の関係としては、前述のように圧接時間を長くすると高抵抗化する方向、加圧力を高くすると高抵抗化する方向、加熱温度を高くすると高抵抗化する方向に変化させることができるが、その変化率は導電性フィラーの配合量や種類、さらにはポリマー種やその他添加剤等によって異なることがある。
【0047】
この手法を用いることで、例えば未加硫ゴム組成物の混練りロット違い等から未加硫ゴム組成物の抵抗値がある程度ばらついた場合においても、最適成形条件をあらかじめ推定して、推定された最適成形条件にて圧接部材による加熱回転工程を行うことで未加硫ゴム組成物ロットの抵抗値ばらつきを抑えたローラを製造することができる。
【0048】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例1】
【0049】
〈未加硫ゴム組成物の作製〉
エピクロルヒドリンゴム(商品名「エピクロマー(エピクロマーは登録商標です)CG105」:ダイソー(株)製)100質量部に対して,酸化亜鉛(酸化亜鉛二種 正同化学)5質量部,ステアリン酸1質量部,導電性フィラーとしてカーボンブラック(HS500 旭カーボン社製)35質量部をオープンロールで30分間混練した。更に、加硫促進剤(DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)1質量部、加硫促進剤(TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド)1質量部及び加硫剤としてイオウ1.2質量部を加えて、15分間オープンロールで混練して未加硫ゴム組成物を作製した。
【0050】
導電性フィラーの配合量および式(1)および式(2)の計算結果を表1に示す。
【0051】
次いで、外径φ6mm、長さ258mmのステンレス棒の芯金を用意した。ここで、図3に模式的に示す押出機を用いて芯金とゴムとを一体に押出すことで、芯金の周囲に円筒状の未加硫ゴム組成物を成形した。その後、未加硫ゴム組成物の長さが232mmになるように端部を切断・除去処理を行い、未加硫ゴムローラを得た(未加硫ゴムローラ外径φ8.5mm)。以降特に記載がない場合は、すべてこの方法で未加硫ゴムローラを作成した。
【0052】
前記未加硫ゴムローラを図3に模式的に示す圧接加熱装置を用いて、145℃に加熱した円筒状の圧接部材による加圧回転加熱成形を未加硫ゴムローラの両端に1kgづつの荷重をかけて行った。なお、圧接部材による加圧回転加熱成形と同時に円筒状の圧接部材と未加硫ゴムローラ間に直流電圧200Vを印加し、測定されるローラ抵抗値が2*10^6Ωに到達した時点で圧接部材を離間して、ゴムローラを得た。その後、160℃、120分間加熱加硫を行いゴムローラを得た。このゴムローラを10本ごとに抜取り低温低湿環境(15℃、10%)下で直流電圧200Vを印加した場合のローラ抵抗値を図4に示す。ほぼ一定の抵抗を持つゴムローラが安定して得られている事が分かった。又、このゴムローラを低温低湿環境(15℃、10%)下で帯電ローラとして電子写真用カートリッジに組込み、感光ドラムの両端に500gづつの荷重を負荷した状態で圧接し、このゴムローラ(帯電ローラ)を用いてハーフトーンによる画像評価を行った。この評価において、本実施例のゴムローラ(帯電ローラ)は、抵抗ムラによる帯電不良や凹み等の表面欠陥による画像不良も無く良好な画像を得ることができた。以降特に記載がない場合は、すべてこの方法でゴムローラの画像評価を行った。
【実施例2】
【0053】
〈未加硫ゴム組成物の作製〉
エピクロルヒドリンゴム(商品名「エピクロマー(エピクロマーは登録商標です)CG105」:ダイソー(株)製)100質量部に対して、酸化亜鉛(酸化亜鉛二種 正同化学)5質量部、ステアリン酸1質量部、導電性フィラーとしてケッチエンブラック(商品名「EC600JD」ライオン(株)製)2質量部、カーボンブラック(HS500 旭カーボン社製)15質量部をオープンロールで30分間混練した。更に、加硫促進剤(DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)1質量部、加硫促進剤(TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド)1質量部及び加硫剤としてイオウ1.2質量部を加えて、15分間オープンロールで混練して未加硫ゴム組成物を作製した。導電性フィラーの配合量および式(1)および式(2)の計算結果を表1に示す。この未加硫ゴム組成物を用いる以外は前記の実施例1と同様な方法で未加硫ゴムローラを得た。この未加硫ゴムローラを図3に模式的に示す圧接加熱装置を用いて、145℃に加熱した円筒状の圧接部材による加圧回転加熱成形を未加硫ゴムローラの両端に1kgづつの荷重をかけて、30、60、90、120、150、180秒間の6水準の圧接時間で行った。その後、160℃、120分間加熱加硫を行いゴムローラを得た。
【0054】
このゴムローラを低温低湿環境(15℃、10%)下で直流電圧200Vを印加した場合のローラ抵抗値を圧接時間についてプロットしたグラフを図5Aに示す。図5Aより圧接時間が長くなるとゴムローラの抵抗が高抵抗化している事が確認できた。図5A中に示した近似曲線から最適成形条件として圧接時間120秒を設定した。圧接時間を120秒固定として加圧回転加熱成形する以外は上記と同様な方法でゴムローラを得た。このゴムローラを10本ごとに抜取り低温低湿環境(15℃、10%)下で直流電圧200Vを印加した場合のローラ抵抗値をプロットしたグラフを図5Bに示す。図5Bよりローラ間での抵抗バラツキの少ないローラが作成可能なことが確認できた。
【実施例3】
【0055】
〈未加硫ゴム組成物の作製〉
エピクロルヒドリンゴム(商品名「エピクロマー(エピクロマーは登録商標です)CG105」:ダイソー(株)製)100質量部に対して、酸化亜鉛(酸化亜鉛二種 正同化学)5質量部、ステアリン酸1質量部、導電性フィラーとしてSRF−カーボン(商品名:旭#35 旭カーボン社製)60質量部をオープンロールで30分間混練した。更に、加硫促進剤(DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)1質量部、加硫促進剤(TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド)1質量部及び加硫剤としてイオウ1.2質量部を加えて、15分間オープンロールで混練して未加硫ゴム組成物を作製した。導電性フィラーの配合量および式(1)および式(2)の計算結果を表1に示す。
【0056】
この未加硫ゴム組成物を用いる以外は前記の実施例1と同様な方法で未加硫ゴムローラを得た。この未加硫ゴムローラを用いて実施例2と同様な6水準の圧接時間で加圧回転加熱成形を行いゴムローラを得た。このゴムローラを低温低湿環境(15℃、10%)下で直流電圧200Vを印加した場合のローラ抵抗値を圧接時間についてプロットしたグラフを図6に示す。図6より圧接時間が長くなるとゴムローラの抵抗が高抵抗化している事が確認できた。
【実施例4】
【0057】
〈未加硫ゴム組成物の作製〉
NBR(商品名「N230S」JSR社製)100質量部に対して、酸化亜鉛(酸化亜鉛二種 正同化学)5質量部、ステアリン酸1質量部、導電性フィラーとしてケッチエンブラック(商品名「EC600JD」ライオン(株))6質量部、カーボンブラック(HS500 旭カーボン社)14質量部、充填材として炭酸カルシウム(商品名「ナノックス#30」丸尾カルシウム(株))30質量部をオープンロールで30分間混練した。更に、加硫促進剤(DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)1質量部,加硫剤としてイオウ1.2質量部を加えて、15分間オープンロールで混練して未加硫ゴム組成物を作製した。導電性フィラーの配合量および式(1)および式(2)の計算結果を表1に示す。
【0058】
この未加硫ゴム組成物を用いる以外は前記の実施例1と同様な方法で未加硫ゴムローラを得た。この未加硫ゴムローラを図3に模式的に示す圧接加熱装置を用いて、未加硫ゴムローラの両端に1kgづつの荷重をかけて、圧接時間を120秒固定として、125、145、155℃の3水準にあらかじめ加熱した円筒状の圧接部材による加圧回転加熱成形を行った。その後、160℃、120分間加熱加硫を行いゴムローラを得た。
【0059】
このゴムローラを低温低湿環境(15℃、10%)下で直流電圧200Vを印加した場合のローラ抵抗値を圧接部材の加熱温度についてプロットしたグラフを図7に示す。図7より圧接部材の加熱温度が高くなるとゴムローラの抵抗が高抵抗化している事が確認できた。
【実施例5】
【0060】
実施例4で用いた未加硫ゴム組成物を用いる以外は前記の実施例1と同様な方法で未加硫ゴムローラを得た。この未加硫ゴムローラを図3に模式的に示す圧接加熱装置を用いて、圧接時間を120秒固定として、145℃に加熱した円筒状の圧接部材による加圧回転加熱成形を未加硫ゴムローラの両端に1、2、3、4kgづつの4水準の荷重をかけて行った。その後、160℃、120分間加熱加硫を行いゴムローラを得た。
【0061】
このゴムローラを低温低湿環境(15℃、10%)下で直流電圧200Vを印加した場合のローラ抵抗値を両端の荷重による加圧力についてプロットしたグラフを図8に示す。図8よりローラにかかる加圧力が高くなるとゴムローラの抵抗が高抵抗化している事が確認できた。
【0062】
(比較例1)
〈未加硫ゴム組成物の作製〉
エピクロルヒドリンゴム(商品名「エピクロマー(エピクロマーは登録商標です)CG105」:ダイソー(株)製)100質量部に対して、酸化亜鉛(酸化亜鉛二種 正同化学)5質量部、ステアリン酸1質量部、導電性フィラーとしてカーボンブラック(商品名:シーストSO 東海カーボン)10質量部、イオン導電剤としてテトラブチルアンモニウムパークロレート1質量部、充填材として炭酸カルシウム(商品名「ナノックス#30」丸尾カルシウム(株))30質量部をオープンロールで30分間混練した。更に、加硫促進剤(DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)1質量部、加硫促進剤(TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド)1質量部及び加硫剤としてイオウ1.2質量部を加えて、15分間オープンロールで混練して未加硫ゴム組成物を作製した。導電性フィラーの配合量および式(1)および式(2)の計算結果を表1に示す。
【0063】
この未加硫ゴム組成物を用いる以外は前記の実施例1と同様な方法で未加硫ゴムローラを得た。この未加硫ゴムローラを用いて60、180、300秒間の3水準の圧接時間とする以外は前記の実施例2と同様に圧接部材による加圧回転加熱成形を行いゴムローラを得た。その後、160℃、120分間加熱加硫を行いゴムローラを得た。このゴムローラを低温低湿環境(15℃、10%)下で直流電圧200Vを印加した場合のローラ抵抗値を圧接時間についてプロットしたグラフを図9に示す。図9より比較例1の未加硫ゴム組成物を用いた場合には圧接時間を長くした場合でもゴムローラの抵抗がほぼ変化していない事が確認できた。
【0064】
(比較例2)
比較例1で用いた未加硫ゴム組成物を用いる以外は前記の実施例1と同様な方法で未加硫ゴムローラを得た。この未加硫ゴムローラを用いて圧接部材を140、155、170℃の3水準に加熱する以外は前記の実施例4と同様に圧接部材で加圧回転加熱成形を行いゴムローラを得た。その後、160℃、120分間加熱加硫を行いゴムローラを得た。このゴムローラを低温低湿環境(15℃、10%)下で直流電圧200Vを印加した場合のローラ抵抗値を圧接部材の加熱温度についてプロットしたグラフを図10に示す。図10より比較例1の未加硫ゴム組成物を用いた場合には圧接部材の加熱温度を高くした場合でもゴムローラの抵抗がほぼ変化していない事が確認できた。
【0065】
(比較例3)
比較例1で用いた未加硫ゴム組成物を用いる以外は前記の実施例1と同様な方法で未加硫ゴムローラを得た。この未加硫ゴムローラを用いて未加硫ゴムローラの両端に1、2、3kgづつの3水準の荷重をかける以外は前記の実施例5と同様に圧接部材で加圧回転加熱成形を行いゴムローラを得た。その後、160℃、120分間加熱加硫を行いゴムローラを得た。このゴムローラを低温低湿環境(15℃、10%)下で直流電圧200Vを印加した場合のローラ抵抗値を両端の荷重による加圧力についてプロットしたグラフを図11に示す。図11より比較例1の未加硫ゴム組成物を用いた場合にはローラにかかる加圧力を高くした場合でもゴムローラの抵抗がほぼ変化していない事が確認できた。
【0066】
(比較例4)
〈未加硫ゴム組成物の作製〉
エピクロルヒドリンゴム(商品名「エピクロマー(エピクロマーは登録商標です)CG105」:ダイソー(株)製)100質量部に対して、酸化亜鉛(酸化亜鉛二種 正同化学)5質量部、ステアリン酸1質量部、導電性フィラーとしてMT−カーボン(N990)35質量部をオープンロールで30分間混練した。更に、加硫促進剤(DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)1質量部、加硫促進剤(TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド)1質量部及び加硫剤としてイオウ1.2質量部を加えて、15分間オープンロールで混練して未加硫ゴム組成物を作製した。導電性フィラーの配合量および式(1)および式(2)の計算結果を表1に示す。
【0067】
この未加硫ゴム組成物を用いる以外は前記の実施例1と同様な方法で未加硫ゴムローラを得た。この未加硫ゴムローラを用いて60、120、180秒間の3水準の圧接時間とする以外は前記の実施例2と同様に圧接部材による加圧回転加熱成形を行いゴムローラを得た。その後、160℃、120分間加熱加硫を行いゴムローラを得た。このゴムローラを低温低湿環境(15℃、10%)下で直流電圧200Vを印加した場合のローラ抵抗値を圧接時間についてプロットしたグラフを図12に示す。図12より比較例4の未加硫ゴム組成物を用いた場合には圧接時間を長くした場合でもゴムローラの抵抗がほぼ変化していない事が確認できた。
【0068】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】画像形成装置の概略構成図
【図2】押出機の模式図
【図3】円筒状圧接部材の圧接加熱装置の模式図(Aは正面図、Bは側面図)
【図4】実施例1における抜き取りローラ抵抗値
【図5】実施例2における圧接時間とローラ抵抗値の関係および抜き取りローラ抵抗値
【図6】実施例3における圧接時間とローラ抵抗値の関係
【図7】実施例4における圧接部材加熱温度とローラ抵抗値の関係
【図8】実施例5における加圧力とローラ抵抗値の関係
【図9】比較例1における圧接時間とローラ抵抗値の関係
【図10】比較例2における圧接部材加熱温度とローラ抵抗値の関係
【図11】比較例3における加圧力とローラ抵抗値の関係
【図12】比較例4における圧接時間とローラ抵抗値の関係
【符号の説明】
【0070】
1 感光体
2 帯電部材
3 露光光
4 現像部材
5 転写部材
6 転写材
7 定着部材
8 クリーニング部材
9 トナー
10 回転軸
11 押出機
12 クロスヘッド
13 芯金送りローラ
14 芯金
15 切断・除去処理
16 未加硫ローラ
17 圧接部材
18 保持部材
19 加熱用赤外線ヒーター
20 モータ
21 荷重
22 直流電源
23 マルチメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫ゴム組成物を芯金とともに押出す事で芯金上に未加硫ゴム組成物を被覆する工程と、該芯金上の未加硫ゴム組成物表面を圧接部材により圧力かけた状態で回転させながら加熱を行う成形工程とを有する事を特徴とする弾性ローラの製造方法において、該芯金上の未加硫ゴム組成物表面を圧接部材に圧力をかけた状態で回転させながら加熱しつつ、芯金と圧接部材との間に電圧を印加して未加硫ゴム組成物の電気抵抗を測定する手段を備え、測定される電気抵抗値に基づいて圧接部材による加圧回転加熱工程における圧接部材の加圧時間あるいは加圧力あるいは加熱温度あるいは回転数の少なくともいずれか1つをフィードバック制御する事を特徴とする弾性ローラの製造方法。
【請求項2】
未加硫ゴム組成物を芯金とともに押出す事で芯金上に未加硫ゴム組成物を被覆する工程と、該芯金上の未加硫ゴム組成物表面を圧接部材により圧力かけた状態で回転させながら加熱を行う成形工程とを有する事を特徴とする弾性ローラの製造方法において、成形中もしくは成形後もしくは加硫後のいずれか/毎に弾性ローラの電気抵抗を測定し、測定された電気抵抗値と圧接部材による加圧回転加熱工程における圧接部材の加圧時間あるいは加圧力あるいは加熱温度あるいは回転数からなる少なくともいずれか1つの成形条件から、要求する電気抵抗値をもつ弾性ローラの成形条件を予測し、予測された成形条件を最適成形条件として決定し、該最適成形条件により圧接部材による加圧回転加熱工程をおこなう事を特徴とする弾性ローラの製造方法。
【請求項3】
前記未加硫ゴム組成物が導電性フィラーを少なくとも含有する事を特徴とする請求項1〜2に記載の弾性ローラの製造方法。
【請求項4】
前記導電性フィラーがカーボンブラックであり、少なくとも含有される該カーボンブラックの窒素吸着比表面積をA(m/g)、DBP吸油量をB(ml/100g)、ゴム100重量部に対する添加重量部をCとして、該カーボンブラックが式(I)および(II)の関係を満たすこと事を特徴とする請求項1〜2に記載の弾性ローラの製造方法。
式(I) 1000≦Σ(A×C)≦100,000
式(II) 2500≦Σ(B×C)≦50,000

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−171279(P2007−171279A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365028(P2005−365028)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】