説明

微小接着剤ノズルおよび接着剤塗布装置

【課題】塗布量のばらつきを少なくし、安定した接着剤の塗布が可能であり、チップ部品間の隣接間隔が狭くても塗布された接着剤に接触することがなく、また、接着剤をノズル先端部に接触させないようにする。
【解決手段】プリント回路基板上に接着剤を塗布する接着剤塗布ノズルにおいて、ノズル先端部1の外周部に凸部2を設け、接着剤吐出部先端3が凸部2と接触しない隙間4を設ける。ノズル先端部の外形寸法を1.5mm×1.5mm以下に、接着剤吐出部の寸法を0.9mm×0.3mm以下に、凸部の高さを0.15mm以下にし、ノズル先端部に補強加工を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板上へ粘着物を塗布するための微小接着剤ノズル、およびこのノズルを用いた塗布装置に関するもので、詳細には、チップ部品等の微細部品用の接着剤塗布において、塗布量のバラツキが少なく、安定した接着剤の塗布が可能であり、さらにチップ部品間の隣接間隔が狭くても塗布された接着剤に接触することのない接着剤塗布ノズルおよび塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント回路基板に搭載されたチップ部品と挿入部品をはんだ付けする場合、フローはんだ槽において一括はんだ付け処理を行っていた。このはんだ付けの際には、プリント基板に搭載されたチップ部品を、プリント基板の下側になっても落下しないように、接着剤を用いてチップ部品を仮固定して落下を防止していた。
チップ部品の仮固定方法としては、粘着性の接着剤を図9に示す接着剤塗布装置を用いて図5(c),(d)に示すように、プリント回路基板のパッド10の間に接着剤を1点(14あるいは17)14または2点(15あるいは17)で適量塗布している。そして、チップ部品実装装置(図示省略)によりプリント回路基板上のパッド10とチップ部品電極16の位置合わせを行った後、チップ部品16を搭載する。その後、硬化炉等により一括加熱して接着剤を硬化させ、チップ部品16を仮固定させていた。
【0003】
このような技術に関して、塗布ノズルを用いて接着剤を微細パターンとして塗布する方法については、例えば、実用新案登録第2544122号公報(特許文献1参照)および、特開平9−46034号公報(特許文献2参照)に記載されている。
実用新案登録第2544122号公報には、ノズル本体の先端部に一対の接着剤吐出用ノズル部と一対のストッパ部を設けた技術が開示されているが、この方法では接着剤の塗布量を十分にかつ安定に保つことができないという問題があった。さらに、多品種のチップ部品のパッド形状に対応できないばかりでなく、ストッパ部の間隔がパッド部相互の間隔に影響を与えるので、高密度化(狭隣接実装)ができないという問題もあった。
一方、特開平9−46034号公報には、ノズル部とストッパ部を一体形成して微細部品を密集して実装する技術について開示されているが、この方法では塗布された接着剤の径が広がって許容範囲を超えたり、一対のノズル間に接着剤が塗布されないという問題点があった。
【0004】
近年においては、チップ部品の小型化、低価格化が進み、電子部品の実装も高密度化(狭隣接実装)している。特に1005サイズ(1.0mmm×0.5mm)チップ部品に対しては、電極部に接着剤がはみ出さないで、しかも仮固定するのに十分な量(適度な量)を安定して供給することが難かしいという問題があった。そのため、フローはんだ槽において一括はんだ付けするプリント回路基板面には、1005サイズ(1.0mm×0.5mm)以下の微細チップ部品を採用することができず、プリント回路基板に電子部品を配置する際には、設計の自由度を著しく損なっていた。
そこで、本願出願人は、プリント回路基板上に微細チップ部品を接着するための接着剤を微細パターンとして塗布するとき、塗布量のばらつきが少なく安定して塗布することができ、またチップ部品間の隣接間隔が狭くできるようにする方法として、プリント回路基板上に接着剤を塗布する塗布ノズルにおいて、ノズル部先端に溝を設ける構造を提案した。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2544122号公報
【特許文献2】特開平9−46034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、提案された接着剤塗布ノズルでは、チップ部品間の隣接間隔が狭いと、塗布された接着剤が隣接するチップ部品に接触する可能性があり、また、接着剤がノズルの先端部にも接触して、後で清掃しなければならないという問題があった。
【0007】
(目的)
本発明の目的は、1.0mm×0.5mmサイズのチップ部品等の微細部品用の接着剤塗布において、塗布量のばらつきを少なくし、安定した接着剤の塗布が可能であり、チップ部品間の隣接間隔が狭くても塗布された接着剤に接触することがなく、また、接着剤をノズル先端部に接触させることがない微小接着剤ノズルおよび接着剤塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の微小接着剤ノズルは、プリント回路基板上に接着剤を塗布する接着剤塗布ノズルにおいて、ノズル先端部の外周部に凸部を設け、接着剤吐出部先端が該凸部と接触しない隙間を設ける(請求項1)。
また、前記ノズル先端部の外形寸法が1.5mm×1.5mm以下とする(請求項2)。
また、接着剤吐出部の寸法を0.9mm×0.3mm以下とする(請求項3)。
また、凸部の高さを0.15mm以下とする(請求項4)。
また、ノズル先端部に補強加工が施されたことを特徴とする(請求項5)。
本発明の接着剤塗布装置は、上記各接続剤塗布ノズルを用いて製作されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接続剤塗布ノズル先端の接着剤吐出部とプリント回路基板の間に隙間を設けたので、接着剤吐出部より吐出された接着剤を潰し、押し広げることがないため、塗布接着剤の塗布幅を狭く抑えることができる。
ノズル先端が隣接部品、隣接パッドおよび隣接付近に塗布された接着剤に接触することなく、接着剤塗布が可能である。
塗布される接着剤形状を長細い形状にでき部品ずれの防止、接着強度の強化が図れる。
溝深さ寸法を0.15mm以下にすることで、接着剤の微少安定塗布が可能となる。
ワイヤー加工にて、微細加工が容易にできる。
接続剤塗布ノズル先端部の耐久性を向上させることができる。
ノズル先端の摩耗、変形等のダメージを軽減し、ノズル先端凸部を保護することができる。
上記各ノズルを使用することで、プリント回路基板を安価で生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図9は、本発明の微小接着剤ノズルを備えた接着剤塗布装置の全体構造図である。
図9において、26は接着剤ノズル、29はノズル先端部、45は接着剤塗布ヘッド、47は緩衝部、21はプリント基板、35はテーブル部、37,38はガイド部、28はヘッド部である。ガイド部37に案内されてX方向に移動するヘッド部28と、ガイド部38に案内されてY方向に移動するテーブル部35を備えている。ヘッド部28には、塗布ノズル26を備えた接着剤塗布ヘッド45が設けられ、テーブル部35にはサポートピン36を介してプリント回路基板21が支持されている。ヘッド部28をX方向に移動し、テーブル部35をY方向に移動することにより、プリント回路基板21上の接着剤を塗布すべき位置に塗布ノズル26を位置決めして接着剤を塗布することができる。
なお、図9において、装置によっては、上部がX方向に移動し、下部のYは固定されている機構があり、その逆に、上部Xが固定で、下部のY方向を移動させる機構も存在する。
【0011】
図10は、図9における塗布ノズルの拡大図である。
図10において、56は塗布ノズル、57はノズル本体、58は取り付け部、59はノズル先端部である。破線で示した部分は、接着剤の入る容積部分である。下図における矢印は、上方から加えられたエアー圧力を示している。図のように、円錐状の容器の上方から中心の出口に向って集中的に圧力を加えることにより、吐出口から接着剤が吐出され(54)、このとき、隅に接着剤が溜ることがなくなる。
【0012】
(実施例)
図1は、本発明の一実施例に係るノズル先端部の構造を示す図である。
図1(a)は、ノズル先端部1の外観図であって、接着剤ノズルの全体から見ると、先端部1は極めて小さい部分である。
図1(b)は正面図、図1(c)は上面図、図1(d)は側面図であって、それぞれ図1(a)のノズル先端部1の構造を示している。正面図(b)から明らかなように、本実施例では、ノズル先端部1の破線内で示した接着剤吐出部7の出口は中央部に設けられ、接着剤塗布ノズル先端の周囲には、接着剤塗布ノズル先端凸部2が設けられている。すなわち、先端の周囲が凸部形状(高さ寸法は6)となっており、中央が凹部となっている。周囲の凸部2と接着剤吐出部7の出口との間には、隙間4が存在する。この隙間4の存在により、周囲の凸部2に囲まれた部分は空洞が形成される。
ノズル先端部の径5は、従来よりも大きい寸法である。具体的には、従来は0.5mm〜0.8mm径であったが、本実施例では、1.0mm径となっている。
上面図(c)から明らかなように、接着剤塗布ノズル先端部1を上面から見ると、接着剤吐出部7の先端3は、細長い楕円を形成している。
【0013】
図2は、図1のノズル先端部1をプリント基板8の上に接触させた場合の正面図である。
図2において、1はノズル先端部、2は凸部、3は接着剤吐出部先端、8はプリント基板である。いま、接着剤吐出部7の先端3から接着剤が吐出した状態が示されている。
プリント基板8と凸部2で囲まれた空洞内に吐出された接着剤が基板8に接触している。
このように、接着剤を接着剤吐出部7から吐出した場合、凸部2に接着剤が付着する心配がない。
【0014】
図3は、プリント基板上のパッド部に順次接着剤を付着する状態を示す上面図である。
図3では、プリント基板上の複数のパッド部10が配列されているうちの一部を示している。ノズル先端部1で上から順次、パッド部10の間に接着剤を塗布していく状態が示され、現在は中央の破線内の塗布が行われている。接着剤9が塗布された状態からも明らかなように、本実施例では、接着剤9が隣接するパッド部10に接触することがない。なお、7は接着剤吐出部である。
【0015】
図4は、本実施例による接着剤塗布動作の説明図である。
図4(a)は基板8上にノズル先端1が配置された状態である。図4(b)では、まず、接着剤塗布ノズル先端1の接着剤吐出部先端3から適量の接着剤11を吐出する。この時、接着剤吐出部先端3と接着剤ノズル先端1の凸部2に隙間4が存在するため、凸部2に接着剤11が付着することはない。
図4(c)では、接着剤塗布ノズル1と先端の凸部2と、先に吐出された接着剤11がプリント回路基板8と接触する。
この時、接着剤吐出部先端3は、ノズル先端凸部2によりプリント回路基板8と接触することはない。これにより、接着剤吐出部先端3から吐出され、プリント回路基板8に塗布された接着剤9は、押し潰され広がることが少なくなる。
【0016】
図4(d)に示すように、ノズル先端凸部間隔2が、接着剤吐出部先端3よりも広いため、ノズル先端凸部2を伝わり、吐出接着剤11および塗布接着剤9がノズル先端外形寸法12以上に広がることはない。
また、接着剤の吐出量に合わせて、凸部2の高さを設定することにより、塗布接着剤9が広がることを押さえることもできる。
なお、ノズル先端部1の上面の外形寸法5は、1.5mm×1.5mm以下にすれば、効果が大であって、加工可能な最小寸法は、0.3mmm×0.3mmである。
これにより、チップ部品間の隣接間隔が狭くても塗布された接着剤に接触されることがなく、また、接着剤をノズル先端部に接触させることがない、という条件に適合する。
また、接着剤吐出部先端3の口径の寸法は、0.9mm×0.3mm以下にすれば効果が大であって、加工可能な最小寸法は、0.15mm×0.12mmである。
接着内に含まれる硬化剤等の粒子径が0.06mm程度であり、ノズル内での接着剤詰まりを防ぐために、最低でも粒子径よりも倍の寸法が必要である。また、本実施例の接着剤ノズルでの特徴は、「塗布される接着剤が細長い楕円になる」であるため、長手方向は0.12mmよりも大きくしても差し支えはない。
さらに、凸部2の高さを、0.15mm以下の寸法にすることが望ましく、本実施例では、0.01mmにすることができる。
実施例では、作成したノズルは凸部2の高さは0.05mmとなっているが、0.03mm程度は問題なく作成できる。
接着剤吐出部7の貫通をワイヤー加工で施こすことにより、仕上りが向上できる。
また、ノズル先端部1に補強加工が施されることが望ましい。
なお、上記の寸法は、一例として、1005サイズ(1.0mmm×0.5mm)のチップ部品に対応したサイズの設定であるが、同じ形状で1608(1.6mm×0.8mm)サイズのチップでも対応が可能である。種々のサイズのチップ部品に適用した場合、1005サイズのチップ部品より大きいものに対しては、製造可能なノズル先端部の外形寸法、吐出部口径の寸法、先端部の凸部の高さ寸法は、上記の数値よりもそれぞれ大きい数値となり、小さい場合には、上記の数値よりもそれぞれ小さい数値となる。ただ、加工精度が要求されるため、無限に小さくはならない。また、ノズル内での接着剤結まりが発生しない寸法が必要になる。
また、本ノズルサイズでも多点塗布を行えば、1608サイズのチップよりも大きい部品も接着可能であると予測できる。
【0017】
図5は、従来の塗布接着剤と本発明のノズルでの塗布接着剤の相違点を示す図である。
図5(a),(b)は本発明のノズルによる塗布接着剤の形状、図5(c),(d)は従来のノズルによる1点接着の塗布接着剤の形状、図5(e),(f)は従来のノズルによる2点接着の塗布接着剤の形状を示している。各図の上方が正面図、下方が平面図である。
本実施例のノズルと従来のノズルとは、接着剤ノズル先端の形状が異なるだけで、その他の接着剤全体の構造は同じである。図5において、8はプリント回路基板、10はプリント基板パッド部、13は本実施例の塗布形状、17は接着面積、16はチップ部品、14は従来の丸1点の塗布形状、15は従来の丸2点の塗布形状である。
【0018】
図5(a)に示すように、プリント回路基板8上に2つのパッド部の間に、接着剤ノズル先端を当てて接着剤を塗布した場合、本実施例の塗布形状は13に示すように、接着剤ノズル先端の接着剤吐出部7の先端3の形状とほぼ同じ塗布形状(細長い楕円)となる。
図5(b)は、本実施例において、(a)によりプリント回路基板8上に2つのパッド部を配置し、その間に接着剤を塗布した後、両パッドに跨ってチップ部品16を搭載した場合の塗布形状を示したものである。この場合には、チップ部品16で上から押されるため、接着剤形状は13の場合より少し拡がるが、ほぼ比例した大きさの形状(細長い楕円)となる。
【0019】
一方、従来の塗布形状は、図5(c)、(e)に示すように、プリント回路基板8上に2つのパッド部を配置し、その間に接着剤ノズル先端で接着剤を塗布した場合、1個または2個の塗布形状(円形)となる。また、図5(d)、(f)に示すように、(c)、(e)で接着剤を塗布した後、両パッド10に跨ってチップ部品16を搭載した場合には、上から押されて接着剤形状は少し拡がるが、(c)、(e)の場合とほぼ同じ形状である。
従来例の2点塗布の場合には、平面図からも明らかなように、チップ部品16の側面より広く接着剤がはみ出しているため、接着強度が大きい。一方、本実施例では、1点の塗布であるが、形状が細長いため、やはりチップ部品16の側面より広く接着剤がはみ出しており、接着強度は大きい。
【0020】
図6(a)〜(f)は、従来の接着剤塗布ノズルの接着剤を吐出する前の状態と、プリント回路基板8上に接着剤を吐出し、接触する前の状態と、プリント回路基板8上に接着剤を接触させた状態の各々正面図と平面図を示している。
また、図7(a)〜(f)は、本発明の一実施例に係る接着剤塗布ノズルの接着剤を吐出する前の状態と、プリント回路基板8上に接着剤を吐出し、接触する前の状態と、プリント回路基板8上に接着剤を接触させた状態の各々正面図と平面図を示している。
両者を比較すると、先ず接着剤を吐出する前の状態では、図6(a),(b)に示すように、従来のノズルの径は0.5〜0.8mmに対して、本実施例のノズル径は、図7(a),(b)に示すように、1.0mmであるため、ノズル径に対する接着剤容器の比率が、破線で示すように従来例では大きく、本実施例では小さくできる。平面図から明らかなように、従来例では円形であるのに対して、本実施例では細長い楕円である。
【0021】
次に、接着剤を吐出させ、基板に接触する前の状態を比較すると、従来ノズルでは、図6(c)(d)に示すように、ノズル先端のプリント基板接触面18’に接着剤11’が接触しているのに対して、本実施例では、図7(c),(d)に示すように、ノズル先端のプリント基板接触面18’に接着剤11が接触していない。これにより、本実施例では、必要箇所以外の場所に接着剤を付着させることがなく、汚れが少ないので、後で清掃などの必要がない。
また、接着剤をプリント基板8に接触した状態を比較すると、従来ノズルでは、図6(e),(f)に示すように、接着剤吐出部先端18’にも接着剤が付着しているため、塗布形状が吐出時の径よりも拡がって、かなり大きな寸法の円形状19になるのに対して、本実施例では、図7(e),(f)に示すように、プリント基板8に接触させた時点でも、塗布形状が吐出時の径より拡がることはなく、接着剤吐出部先端3の口径とほぼ同じ細長い楕円形状である。
【0022】
図6の従来の型と図7の本実施例の長所短所について整理する。
図6の従来型では、凸部2’と接着剤流動部7’が一体となっているため、ノズル先端のプリント回路基板接触面18’に接着剤がはみ出すおそれがある。接着剤がはみ出した場合、接着剤塗布時、接着剤11’にノズル先端プリント回路基板接触面18’とプリント回路基板8’が接触する際に、接着剤が押しつぶされて塗布され(9)、ノズル先端外形より接着剤塗布幅が大きく塗布されてしまう(19)。
一方、図7の本実施例では、ノズル先端部の凸部2を接着剤流動部7と独立させたことにより、凸部2を伝わり、ノズル先端プリント基板接触面に接着剤がはみ出すことがなくなる。
これにより、プリント回路基板8への接着剤11の塗布時に、ノズル先端により押し潰され接着剤塗布幅を広げることがなくなり、微小安定塗布が可能となる。
【0023】
図8は、本発明の他の実施例に係る接着剤塗布ノズル先端の形状を示す図である。
図8(a)は正面図、図8(b)は平面図である。図7(a),(b)と比べると、接着剤吐出部7の先端3の平面形状がひょうたん型をしている点が異なる。図7(a),(b)のノズルでは、接着剤を塗布した場合に、接着剤吐出部7の先端3の形状が細長い楕円であるが、塗布された後の接着剤の形状がどうしても楕円の中央部で拡がる傾向にある。図8(a),(b)のノズルでは、接着剤吐出部7の先端の形状がひょうたん型であるため、塗布された後の接着剤の形状が中央部分で拡がり、その結果、細長い楕円形になるという効果がある。図8(a)に示す破線内の接着剤の容器の形状も、ひょうたん形状の断面が継続した形でノズル内を貫通している。
なお、接着剤吐出部を形成するノズル本体内部の接着剤容器の断面を長穴の楕円形状にして、先端の吐出部の形状のみをひょうたん形にすることもできる。
【0024】
図11(a),(b)は、それぞれ本発明の一実施例に係る接着剤塗布装置の駆動制御手段の構成図、および部品搭載記憶部の記憶内容を示すテーブル図である。
図11(a)において、記憶部118は、部品搭載情報記憶部120、ヘッド位置記憶部121、ノズル位置記憶部122、およびテーブル位置記憶部123から成り、部品搭載情報記憶部120には、図11(b)に示すように、それぞれの部品名(チップ部品)0001,0002,・・・毎に搭載位置(ヘッド位置およびテーブル位置)X=a,Y=a’、X=b、Y=b’・・・、実装方向(ノズル位置)A,B,・・および部品形状等の情報が記憶されている。
【0025】
ヘッド位置記憶部121は、現在の搭載位置(ヘッド位置:X=a)を記憶しており、テーブル位置記憶部123は現在の搭載位置(テーブル位置:Y=a)を記憶しており、またノズル位置記憶部122は現在の実装方向(ノズル位置:A)を記憶している。
また、制御部119は、ヘッド駆動制御部124、接着剤吐出量制御部130、テーブル駆動制御部133およびノズル部先端とプリント回路基板8上面までの距離を検出する基板上面検出センサー部129を備えている。ヘッド駆動制御部124は、実装方向に合わせてノズル部を回転させるヘッド回転駆動部125と、接着剤塗布ヘッドを上下方向および水平方向(X方向)に移動させるヘッド垂直駆動部126およびヘッド水平駆動部127とを備えている。接着剤吐出量制御部130は、コンプレッサー131からノズル部へ供給する空気圧を制御するレギュレータ132を備えている。テーブル駆動制御部133は、テーブル部135を水平方向(Y方向)に移動させるテーブル水平駆動部134を備えている。
【0026】
図12は、本発明の一実施例に係る接着剤塗布装置の動作フローチャートである。
接着剤を塗布する塗布位置は、部品搭載情報記憶部120に記憶されている情報を読み出す(ステップ101)。搭載位置X=b,Y=b’と、ヘッド位置記憶部121に記憶されている現在の搭載位置X=a、およびテーブル位置記憶部123に記憶されている現在の搭載位置Y=a’との比較演算処理を実施し、次にチップ部品を搭載する搭載位置を算出して決定する。ヘッド移動方向と移動距離を算出し(ステップ102)、ヘッド移動指示を出して(ステップ103)、ヘッドを移動させる(ステップ104)(X)。
また、テーブル移動方向と移動距離を算出し(ステップ105)、テーブル移動指示を出して(ステップ106)、テーブルを移動させる(ステップ107)(Y)。
【0027】
また、接着剤を塗布する塗布方向は、部品搭載情報記憶部120に記憶されている実装方向データ(B)と、ノズル位置記憶部122に記憶されている現在の実装方向(A)とを比較して(ステップ109)、同じであればそのままとし(ステップ110)、異なっていれば実装方向に合わせてノズル部を回転させることを決定する(ステップ111,112)(Z)。
ここで、現在のヘッド位置、テーブル位置、およびノズル位置(ノズル部の向き)情報を更新する(ステップ113)。この後、算出された搭載位置および実装方向のデータは、制御部119に伝達され、更にヘッド駆動制御部124、テーブル駆動制御部133に分配され、ヘッド部28とテーブル部35がモータ駆動(図示省略)において次の搭載位置へと接着剤塗布ヘッド45を移動する。
【0028】
装置に取り付けてある基板上面検出センサー部129によりプリント基板上面までの距離を計測し(ステップ114)、制御部119により塗布ヘッドの下降距離を算出し(ステップ115)、ヘッド垂直駆動部126に下降量を指示する(ステップ116)。ヘッド垂直駆動部126は指示された下降量だけ塗布ヘッドを下降させ、ノズル部をプリント基板上面まで下降させて、吐出量を制御して接着剤を適量塗布する(ステップ117)。塗布が一時終った時点でヘッドを上昇させ(ステップ118)、他の部品の塗布があるか否かを判断する(ステップ119)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例に係る接着剤塗布ノズルおよびその先端部の構造図である。
【図2】本発明における接着剤塗布ノズル先端とプリント回路基板の正面図である。
【図3】本発明における接着剤塗布ノズル先端と塗布接着剤の配置関係図である。
【図4】本発明における接着剤塗布過程の説明図である。
【図5】従来塗布接着剤と本発明のノズルでの塗布接着剤の相違点説明図である。
【図6】従来接着剤ノズルの塗布過程の正面と平面の説明図である。
【図7】本発明の接着剤ノズルの塗布過程の正面と平面の説明図である。
【図8】本発明の他の実施例に係る接着剤塗布ノズルおよびその先端部の構造図である。
【図9】本発明の接着剤塗布装置の概略図である。
【図10】本発明の塗布ノズルのノズル本体内部の形状を示す模式図である。
【図11】本発明の接着剤塗布装置の駆動制御手段のブロック構成図である。
【図12】本発明の接着剤塗布装置の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1…接着剤ノズル先端、2,2’…接着剤塗布ノズル先端凸部、3…接着剤吐出部先端、
4…隙間、5…ノズル先端外形寸法、6…先端凸部の高さ寸法、
7,7’…接着剤吐出部、8…プリント回路基板、9,9’…接着剤(塗布)、
10…プリント基板パッド部、11,11’…接着剤(吐出)、
12…ノズル先端外形寸法、13…塗布形状、14…従来の丸1点塗布、
15…従来の丸2点塗布、16…チップ部品、17…接着面積、
18…プリント回路基板接触面、19…接着剤(大塗布)、21…プリント回路基板、
26…塗布ノズル、29…ノズル部、28…ヘッド部、35…テーブル部、
36…サポートピン、27,38…ガイド部、45…接着塗布ヘッド、47…緩衝部、
54…接着剤、56…塗布ノズル、57…ノズル本体、58…取り付け部、
59…ノズル部先端、118…記憶部、120…部品搭載情報記憶部、
121…ヘッド位置記憶部、122…ノズル位置記憶部、123…テーブル位置記憶部、
119…制御部、124…ヘッド駆動制御部、125…ヘッド回転駆動部、
126…ヘッド垂直駆動部、127…ヘッド水平駆動部、128…ヘッド部、
130…接着剤吐出量制御部、131…コンプレッサー、132…レギュレータ、
133…テーブル駆動制御部、134…テーブル水平駆動部、135…テーブル部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板上に接着剤を塗布する接着剤塗布ノズルにおいて、
該接着剤塗布ノズルの先端部の外周に凸部を設け、該接着剤塗布ノズルの先端部が該凸部と接触しない隙間を設けたことを特徴とする微小接着剤ノズル。
【請求項2】
請求項1記載の微小接着剤ノズルにおいて、
前記接着剤塗布ノズルの先端部の外形寸法を、1.5mm×1.5mm以下とすることを特徴とする微小接着剤ノズル。
【請求項3】
請求項1記載の微小接着剤ノズルにおいて、
前記接着剤塗布ノズルの吐出部口径の寸法を、0.9mm×0.3mm以下とすることを特徴とする微小接着剤ノズル。
【請求項4】
請求項1記載の微小接着剤ノズルにおいて、
前記接着剤塗布ノズルの先端部の凸部の高さ寸法を、0.15mm以下とすることを特徴とする微小接着剤ノズル。
【請求項5】
請求項3記載の微小接着剤ノズルにおいて、
前記接着剤吐出部をワイヤー加工により施すことを特徴とする微小接着剤ノズル。
【請求項6】
請求項1記載の微小接着剤ノズルにおいて、
前記接着剤塗布ノズルの先端部に補強加工が施されることを特徴とする微小接着剤ノズル。
【請求項7】
請求項1記載の微小接着剤ノズルにおいて、
前記接着剤吐出部の形状を長穴の楕円形にして、プリント回路基板上に塗布された接着剤の形状も細長い楕円形になるように構成することを特徴とした微小接着剤ノズル。
【請求項8】
請求項1記載の微小接着剤ノズルにおいて、
前記接着剤吐出部の形状を長穴でかつひょうたん形にして、プリント回路基板上に塗布された接着剤の形状もひょうたん形状になるように構成することを特徴とした微小接着剤ノズル。
【請求項9】
請求項1記載の微小接着剤ノズルにおいて、
前記凸部の形状は、正面および裏面から見ると接着剤ノズルの縁が凸部になっているが、側面から見ると凸部と同じ高さ寸法の壁であることを特徴とする微小接着剤ノズル。
【請求項10】
請求項8記載の微小接着剤ノズルにおいて、
前記接着剤吐出部の本体内部の形状を長穴の楕円形状にして、先端の吐出部の形状のみをひょうたん形に構成することを特徴とする微小接着剤ノズル。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の微小接着剤ノズルを用いて製作されたことを特徴とするプリント回路基板。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の微小接着剤ノズルを用いて製作されたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−13427(P2006−13427A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28453(P2005−28453)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】