説明

微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法

【課題】地球磁界のような微弱磁界を精密に検出することができ、小型化、軽量化、高集積か及び多機能化の電子製品に要求される超小型の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法を提供する。
【解決手段】両面に第1励磁回路及び第1検出回路がそれぞれ形成された原板と、前記原板の両面にそれぞれ積層され、多数の軟磁性コアが多層に形成された軟磁性コア積層体と、前記軟磁性コア積層体上にそれぞれ積層され、前記軟磁性コアを巻く形態となるように、前記第1励磁回路及び前記第1検出回路とそれぞれビアホールを介して導通する第2励磁回路及び第2検出回路が形成された外層とを含んでなり、前記原板の一面に形成された多数の軟磁性コア、励磁回路及び検出回路と、前記原板の他面に形成された多数の軟磁性コア、励磁回路及び検出回路とがそれぞれ互いに直交する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法に係り、より詳しくは印刷回路基板の上部と下部で互いに直交するように軟磁性コア励磁回路及び検出回路を形成して、地球磁界と類似範囲の微弱磁界を検出するための微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、微弱磁界感知用センサは地球磁気の検出によるナビゲーションシステム、地震予測のための地磁気変動モニター、一部生体磁気計測、金属材料の欠陥検出、磁気エンコード、無接点ポテンシャルメータ、電流センサ、トルクセンサ、変異センサなどの広範囲な応用分野に使用されている。
特に、携帯電話及び携帯用端末機の位置情報サービスを提供するため、現在の位置を正確に感知することができるセンサが必要である。このような位置情報を提供する手段として、地球磁界を感知して現在の位置を検出する、図1に示すような微弱磁界感知用センサが用いられている。
【0003】
図1は従来の微弱磁界感知用センサの概略的構成を示す斜視図、図2aは第1磁性コアから発生する磁界のタイミング図、図2bは第2磁性コアから発生する磁界のタイミング図、図2cは第1磁性コアから発生する磁束密度のタイミング図、図2dは第2磁性コアから発生する磁束密度のタイミング図、図2eは検出コイルに誘導される第1誘導電圧Vind1、第2誘導電圧Vind2のタイミング図、図2fは第1誘導電圧と第2誘導電圧との和(Vind1+Vind2)のタイミング図である。
【0004】
図1に示すように、従来の微弱磁界感知用センサは、大きい棒状の第1及び第2磁性コア1a、1bと、前記第1及び第2磁性コアに一定の方向及び間隔で巻線され、磁場を励磁させるための励磁コイル2a、2bと、前記第1及び第2磁性コアを含むように一定の方向及び間隔で巻線され、前記第1及び第2磁性コアから発生する磁場を検出するための検出コイル3a、3bとを含む。
【0005】
このような従来の微弱磁界感知用センサの動作を図2a〜図2fに基づいて説明すると、交流の励磁電流による第1磁性コア1aの内部磁界H1は“Hext(外部磁界)+Hexc(励磁コイルによる磁界)”で表され、第2磁性コア1bの内部磁界H2は“Hext−Hexc”で表される。
【0006】
また、第1磁性コア1aの磁束密度B1は“Bext(外部磁界による磁束密度)+Bexc(励磁コイルによる磁束密度)”で表され、第2磁性コア1bの磁束密度B2は“Bext−Bexc”で表される。
【0007】
すなわち、第1及び第2磁性コア1a、1bのそれぞれで現れる内部磁界H1、H2及び磁束密度B1、B2は互いに逆方向に発生する。
【0008】
この際、第1及び第2磁性コア1a、1bの検出コイル3a、3bから検出される第1及び第2誘導電圧Vind1、Vind2は、図2eに示すようである。
【0009】
ここで、検出コイル3a、3bは第1及び第2磁性コア1a、1bから発生する磁束変化の和を取るように巻線されているので、検出コイル3a、3bで測定される電圧は第1及び第2誘導電圧Vind1、Vind2が互いに相殺され、図2fに示すように検出される。
【0010】
すなわち、第1及び第2磁性コア1a、1bの軸方向に印加された励磁コイルによる磁界Hexcは、互いに反対方向に印加されるので相殺されて“0”になるが、第1及び第2磁性コア1a、1bの軸方向に印加された外部磁界Hextは、第1及び第2磁性コア1a、1bに対して同一の方向に印加されるので相殺されない。
【0011】
したがって、第1誘導電圧と第2誘導電圧との和(Vind1+Vind2)の大きさを測定することにより、外部磁界Hextの大きさを知ることができる。
【0012】
ところが、このような従来の微弱磁界感知用センサは、励磁コイル2a、2b及び検出コイル3a、3bが磁性コア1a、1bに巻線されるときにその位置精度を維持し難く、温度、光又は表面物質に影響されやすいため、その特性値に対する精度が低下するという問題点もあった。
【0013】
また、微弱磁界感知用センサは、励磁コイル2a、2b及び検出コイル3a、3bが磁性コア1a、1bに直接巻線されるため、コイルの切れ現象が頻繁に発生するという問題点がある。
【0014】
しかも、従来の微弱磁界感知用センサは、その大きさが大きく、電力消費が大きいため、小型化及び低電力化しつつある電子製品の趨勢に合わないという問題点もあった。
【0015】
かかる従来の微弱磁界感知用センサの問題点を克服するために、特許文献1及び特許文献2は、所定のパターンが上下導通できるようにエッチングしたエポキシ基板の両面に、環状エッチングを行ったアモルファス板を合わせて積層してアモルファスコアを製造し、アモルファスコアの上下面にそれぞれXコイル及びYコイルをエッチングしたエポキシ基板を積層してなる微弱磁気センサを開示している。
【0016】
しかし、特許文献1及び特許文献2の発明は、エポキシ基板に環状エッチングを行い、エッチング部分を合わせて積層してアモルファスコアを製造しなければならず、アモルファスコアの上下面にXコイル及びYコイルをエッチングしたエポキシ基板を積層しなければならないので、その製造工程が複雑になり、回路基板の層が多くなるうえ、コストが高くかかるという問題点がある。
【0017】
また、特許文献1及び特許文献2の発明は、環状のアモルファスコアの内側にコイルのランドが密集しているため、巻線コイルの回数が限定されて、単位長さ当りコイルの密度が低くて微弱磁界の検出に対する敏感度が低下し、小型化しつつある電子製品の趨勢に合わないという問題点もあった。
上述した問題点を解決するために、本出願人が2002年3月9日に出願した特許文献3は、両面に第1ドライビングパターン及び第1ピックアップパターンが形成された第1基板と、前記第1基板の上下両面に積層され、所定の形態にパターン化された磁性体が形成された第1積層体と、前記第1積層体上にそれぞれ積層され、前記磁性体を巻く形態となるように、前記第1ドライビングパターン及び前記第1ピックアップパターンとそれぞれ導通する第2ドライビングパターン及び第2ピックアップパターンが形成された第2積層体とを含んで成り、前記第1基板の上部に形成される磁性体、ドライビングパターン及びピックアップパターンと、前記第1基板の下部に形成される磁性体、ドライビングパターン及びピックアップパターンは互いに直交する印刷回路基板技術を用いる微弱磁界感知用センサを開示している。
【0018】
しかしながら、特許文献3の発明は、小型化、高集積化及び多機能化しつつある電子製品の要求に応えて、微弱磁界感知用センサを印刷回路基板に超小型に集積することに問題点があった。
【0019】
【特許文献1】米国特許第5,936,403号明細書
【特許文献2】米国特許第6,270,686号明細書
【特許文献3】大韓民国特許登録第432,662号公報明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、前記のような問題点を解決するための本発明の技術的課題は、地球磁界のような微弱磁界を精密に検出するための微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法を提供することにある。
【0021】
本発明の他の技術的課題は、小型化、軽量化、高集積か及び多機能化の電子製品に要求される超小型の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記のような技術的課題を解決するため、本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板は、両面に第1励磁回路及び第1検出回路がそれぞれ形成された原板と、前記原板の両面にそれぞれ積層され、多数の軟磁性コアが多層に形成された軟磁性コア積層体と、前記軟磁性コア積層体上にそれぞれ積層され、前記軟磁性コアを巻く形態となるように、前記第1励磁回路及び前記第1検出回路とそれぞれビアホールを介して導通する第2励磁回路及び第2検出回路が形成された外層とを含んでなり、前記原板の一面に形成された多数の軟磁性コア、励磁回路及び検出回路と、前記原板の他面に形成された多数の軟磁性コア、励磁回路及び検出回路とがそれぞれ互いに交差することを特徴とする。
【0023】
本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の前記多数の軟磁性コアは2の倍数の四角形であり、前記励磁回路及び前記検出回路は前記多数の軟磁性コアに直交することが好ましい。
【0024】
本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の前記多数の軟磁性コアは四角リング状であり、前記原板の一面に形成された前記励磁回路及び前記検出回路は前記多数の軟磁性コアの1辺に直交し、前記原板の他面に形成された前記励磁回路及び前記検出回路は前記多数の軟磁性コアの前記1辺に平行なことが好ましい。
また、前記技術的課題を解決するため、本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法は、(A)一面にx軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路が形成され、他面にy軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路が形成された原板、及び多数のx軸方向及びy軸方向の軟磁性コアがそれぞれ多層に形成されたx軸方向及びy軸方向の軟磁性コア積層体を提供する段階と、(B)前記原板の一面に、絶縁体、前記x軸方向の軟磁性コア積層体、絶縁体及び銅箔を順次積層し、前記原板の他面に、絶縁体、前記y軸方向の軟磁性コア積層体、絶縁体及び銅箔を順次積層する段階と、(C)前記x軸方向及びy軸方向の軟磁性コアをそれぞれ巻く形態となるように、前記x軸方向とy軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路とそれぞれ導通するx軸方向とy軸方向の第2励磁回路及び第2検出回路を前記銅箔にそれぞれ形成する段階とを含んでなることを特徴とする。
本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の前記(A)段階は、(A−1)前記原板の一面に、x軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路を形成し、前記原板の他面にy軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路を形成する過程と、(A−2)二つの絶縁体の両面にそれぞれ軟磁性コアのプレフォームを積層する過程と、(A−3)前記二つの絶縁体の四つの軟磁性コアのプレフォームの表面にエッチングレジストを塗布した後、前記エッチングレジストを露光及び現像して所定のエッチングレジストパターンを形成する過程と、(A−4)前記エッチングレジストパターンを用いて前記軟磁性コアのプレフォームをエッチすることにより、一つの絶縁体に積層された二つの軟磁性コアのプレフォームにx軸方向の軟磁性コアを形成してx軸方向の軟磁性コア積層体を形成し、ほかの一つの絶縁体に積層された二つの軟磁性コアのプレフォームにy軸方向の軟磁性コアを形成してy軸方向の軟磁性コア積層体を形成する過程と、(A−5)前記エッチングレジストを除去する過程を含むことが好ましい。
本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の前記(A)段階は、(A−6)前記x軸方向と前記y軸方向の軟磁性コア積層体の一面にそれぞれ絶縁体及び難磁性コアのプレフォームを積層する過程と、(A−7)前記(A−6)過程の前記軟磁性コアのプレフォームの表面にエッチングレジストを塗布した後、前記エッチングレジストを露光及び現像して所定のエッチングレジストパターンを形成する過程と、(A−8)前記(A−7)過程の前記エッチングレジストパターンを用いて前記軟磁性コアのプレフォームをエッチングすることにより、前記x軸方向の軟磁性コア積層体に積層された軟磁性コアのプレフォームにx軸方向の軟磁性コアを形成し、前記y軸方向の軟磁性コア積層体に積層された軟磁性コアのプレフォームにy軸方向の軟磁性コアを形成する過程と、(A−9)前記(A−8)過程のエッチングレジストを除去する過程と、(A−10)前記(A−6)過程ないし前記(A−9)過程を繰り返して、形成しようとする層数に相当するx軸方向及びy軸方向の軟磁性コアを形成する過程とをさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
以上のような本発明は、軟磁性コアの断面積を増加させることにより、地球磁界のような微弱磁界を精密に検出する高感度の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法を提供する。
【0026】
したがって、本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法は、軟磁性コアの断面積が増加するので、励磁回路及び検出回路の巻数を減少させても、微弱磁界を優れた感度で検出することができる効果がある。
また、本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法は、励磁回路及び検出回路の巻数を減少させても優れた感度を提供するので、超小型化及び高集積化の微弱磁界感知用センサを提供する効果もある。
また、本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法は、超小型化した微弱磁界感知用センサを提供するので、小型化、軽量化、高集積化及び多機能化の電子製品に対応し得る効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面に基づき、本発明に係る微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板及びその製作方法を詳細に説明する。
【0028】
図3は本発明の実施例による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の分解斜視図である。
【0029】
図3に示すように、本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板は、x軸方向の第2励磁回路30及びx軸方向の第2検出回路50が形成された第1層と、x軸方向の第2軟磁性コア12が形成された第2層と、x軸方向の第1軟磁性コア11が形成された第3層と、x軸方向の第1励磁回路20及びx軸方向の第1検出回路40が形成された第4層と、y軸方向の第1励磁回路20’及びy軸方向の第1検出回路40’が形成された第5層、y軸方向の第1軟磁性コア11’が形成された第6層と、y軸方向の第2軟磁性コア12’が形成された第7層と、y軸方向第2励磁回路30’及びy軸方向の第2検出回路50’が形成された第8層とを上から順次積層してなる。
【0030】
ここで、第1層ないし第4層は、x軸方向の微弱磁界を感知するための構成であり、第5層ないし第8層は、前記x軸に垂直な方向(すなわち、y軸方向)の微弱磁界を感知するための構成であり、x軸方向の微弱磁界感知用センサ及びy軸方向の微弱磁界感知用センサが上下に重なり合って結合する構造を成している。
【0031】
したがって、本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板は、x軸及びy軸方向の微弱磁界(例えば、地球磁界)を同時に測定することができる。
まず、x軸方向の微弱磁界感知用センサを考察すると、一対の軟磁性コア11、12を介在して、その上下両面にx軸方向の第1及び第2励磁回路20、30とx軸方向の第1と第2検出回路40、50が形成される。
ここで、x軸方向の第2励磁回路30とx軸方向の第2検出回路50は、同一平面上に多数の直線状に一定間隔を置いて互いに交互に形成される。前記x軸方向の第2励磁回路30は、y軸方向に分離されたx軸方向の2列に形成される。これに反して、前記x軸方向の第2検出回路50はx軸方向の1列に形成され、一側の検出回路パターンが他側の対応する隣接検出回路パターンと一方向にそれぞれ連結されるように形成される。
同様に、x軸方向の第1励磁回路20とx軸方向の第1検出回路40も、同一平面上に多数の直線状に一定間隔を置いて互いに交互に形成される。前記x軸方向の第1励磁回路20は、x軸方向に分離されたy軸方向の2列に形成される。これに反して、前記x軸方向の第1検出回路40はx軸方向の1列に形成され、一側の検出回路パターンが他側の対応する隣接検出回路パターンと一方向にそれぞれ連結されるように形成される。
ここで、x軸方向の第1及び第2検出回路40、50と、x軸方向の第1及び第2励磁回路20、30は所定数で交互に形成することもできるが、互いに一つずつ交互に形成することが好ましい。
【0032】
本発明によるx軸方向の微弱磁界感知用センサは、x軸方向の第1励磁回路20と第2励磁回路30を電気的に連結させるために、その間にビアホール(図示せず)が形成される。同様に、x軸方向の第1検出回路40と第2検出回路50も電気的に連結させるために、その間にビアホール(図示せず)が形成される。
前記x軸方向の第1及び第2励磁回路20、30は、ビアホールを介して互いにジグザグに連結されて1本のラインを形成する。
同様に、x軸方向の第1及び第2検出回路40、50は、ビアホールを介して互いにジグザグに連結されて1本のラインを形成する。ところが、yz平面で切った断面の形状が“0”字状となるように、x軸方向の第1及び第2検出回路40、50は、一対のx軸方向の軟磁性コア11、12の両方を取り囲む形に形成される。
【0033】
一実施例として、本発明による微弱磁界感知用センサのx軸方向の第1及び第2軟磁性コア11、12は、一対の四角リング(rectangular ring)状又はこれと類似した状に形成できる。このようなx軸方向の第1及び第2軟磁性コア11、12は、アモルファス金属(amorphous metal)、パーマロイ(permalloy)、及びスーパーマロイ(supermalloy)からなる群より選択することが好ましい。
つぎに、本発明によるy軸方向の微弱磁界感知用センサは前述したx軸方向の微弱磁界感知用センサに対して直角に配向されることを除き、細部構成及び製作過程はx軸方向の微弱磁界感知用センサと同一である。
【0034】
前述したように構成された本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板は、励磁回路20、30、20’、30’に交流電流を流すと、軟磁性コア11、12、11’、12’の磁束密度が変化する。したがって、検出回路40、50、40’、50’に誘導電流が発生して電圧差を生じさせる。このような電圧差を検出することにより、x軸及びy軸方向の磁界を感知する。
【0035】
図4a〜図4qは、図3のX−X’線に沿った断面図であって、微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す。
図4aに示すように、絶縁樹脂層111に銅箔層112、112’が被覆された銅張積層板としての原板110を準備する。
このような原板110として用いられた銅張積層板の種類には、その用途に応じて、ガラス/エポキシ銅張積層板、耐熱樹脂銅張積層板、紙/フェノール銅張積層板、高周波用銅張積層板、フレキシブル銅張積層板、複合銅張積層板などいろいろがある。ところが、両面印刷回路基板及び多層印刷回路基板の製造には、主に用いられる絶縁樹脂層111に銅箔層112、112’が被覆されたガラス/エポキシ銅張積層板を使用することが好ましい。
【0036】
図4bに示すように、原板110にドライフィルム200a、200a’を塗布した後、所定のパターンが印刷されたアートワークフィルム(図示せず)を介してドライフィルム200a、200a’を露光及び現像することにより、x軸方向の第1励磁回路パターン及び第1検出回路パターンを含むエッチングレジストパターンを原板110の上部ドライフィルム200aに形成し、y軸方向の第1励磁回路パターン及び第1検出回路パターンを含むエッチングレジストパターンを原板110の下部ドライフィルム200a’に形成する。
ここで、ドライフィルム200a、200a’はカバーフィルム(cover film)、フォトレジストフィルム(photo-resist film)及びマイラーフィルム(Mylar film)の3層から構成されるが、実質的にレジストの役割を果たす層はフォトレジストフィルムである。
ドライフィルム200a、200a’の露光及び現像工程は、所定のパターンが印刷されたアートワークフィルムをドライフィルム200a、200a’上に密着させた後、紫外線を照射する。この際、アートワークフィルムのパターンが印刷された黒い部分は紫外線が透過せず、印刷されていない部分は紫外線が透過して、アートワークフィルムの下のドライフィルム200a、200a’を硬化させる。このようにドライフィルム200a、200a’の硬化した銅張積層板を現像液に浸漬すると、硬化していないドライフィルム200a、200a’部分が現像液によって除去され、硬化したドライフィルム200a、200a’部分のみが残ってエッチングレジストパターンを形成する。ここで、現像液としては、炭酸ナトリウムNaCO又は炭酸カリウムKCOの水溶液などを使用する。
【0037】
図4cに示すように、ドライフィルム200a、200a’をエッチングレジストとして用いて上下銅箔層112、112’をエッチングすることにより、原板110の上部銅箔層112にx軸方向の第1励磁回路20及び第1検出回路40を形成し、原板110の下部銅箔層112’にy軸方向の第1励磁回路20’及び第1検出回路40’を形成する。次いで、ドライフィルム200a、200a’を水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)などの剥離液で除去する。
図4b及び図4cの過程において、エッチングレジストとしてドライフィルム200a、200a’を使用したが、液体状態の感光材をエッチングレジストとして用いることもできる。この場合、紫外線に感光される液体状態の感光材を原板110に塗布した後、乾燥させる。次に、所定のパターンが形成されたアートワークフィルムを介して感光材を露光及び現像することにより、感光材に、第1励磁回路化ターン及び第1検出回路パターンを含むエッチングレジストパターンを形成する。その後、所定のパターンが形成された感光材をエッチングレジストとして用いて上下銅箔層112、112’をエッチングすることにより、原板110の上部銅箔層112にx軸方向の第1励磁回路20及び第1検出回路40を形成し、原板110の下部銅箔層112’にy軸方向の第1励磁回路20’及び第1検出回路40’を形成する。その次に、感光材を除去する。ここで、液体状態の感光材をコートする方式としては、ディップコーティング(dip coating)方式、ロールコーティング(roll coating)方式、電着(electro-deposition)方式などがある。
【0038】
そして、図4dに示すように、絶縁体130(例えば、プレプレッグ(prepreg))の上下面にx軸方向の軟磁性コアのプレフォームとなる軟磁性体311、312をそれぞれ積層する。
ここで、絶縁体130の厚さが大きいと、最終印刷回路基板が大きくなるため、絶縁体130の厚さは30〜100μmのものが好ましい。
【0039】
図4eに示すように、軟磁性体311、312にドライフィルム200b、200b’をそれぞれ塗布した後、所定パターンが印刷されたアートワークフィルム(図示せず)を介してドライフィルム200b、200b’を露光及び現像することにより、ドライフィルム200b、200b’にx軸方向の第1及び第2軟磁性コアパターンを含むエッチングレジストパターンを形成する。
【0040】
図4fに示すように、ドライフィルム200b、200b’をエッチングレジストとして使用して軟磁性体311、312をエッチングすることにより、x軸方向の第1及び第2軟磁性コア11、12を形成する。その後、ドライフィルム200b、200b’を水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)などの剥離液で除去する。
図4b及び図4cの過程と同様に、図4e及び図4fの過程においても、液体状態の感光材をエッチングレジストとして使用してx方向の第1及び第2軟磁性コア11、12を形成することができる。
【0041】
本実施例においては、二つのx軸方向の軟磁性コア11、12が示されているが、三つ以上の軟磁性コアを形成することもできる。この場合、x軸方向の第1及び第2軟磁性コア11、12の一面に絶縁体及び軟磁性コアのプレフォームを積層する。その後、軟磁性コアのプレフォームにドライフィルム又は液体状態の感光材を塗布した後、露光及び現像してエッチングレジストパターンを形成する。つぎに、エッチングレジストパターンにより、軟磁性コアのプレフォームにx軸方向の第3軟磁性コアを形成する。このような過程を繰り返して、形成しようとする数の軟磁性コアを形成することができる。ほかの方法として、x軸方向の第1及び第2軟磁性コア11、12の両面に、絶縁体及び軟磁性コアのプレフォームを積層して、x軸方法の第3及び第4軟磁性コアを形成することもできる。
【0042】
一方、図4gに示すように、絶縁体130’の上下面にy軸方向の軟磁性コアのプレフォームとなる軟磁性体311’、312’をそれぞれ積層する。
図4dの絶縁体130と同様に、絶縁体130’の厚さが大きいと、最終印刷回路基板が大きくなるため、絶縁体130’の厚さは30〜100μmのものが好ましい。
【0043】
図4hに示すように、軟磁性体311’、312’にドライフィルム200c、200c’をそれぞれ塗布した後、所定パターンが印刷されたアートワークフィルム(図示せず)を介してドライフィルム200c、200c’を露光及び現像することにより、ドライフィルム200c、200c’にy軸方向の第1及び第2軟磁性コアパターンを含むエッチングレジストパターンを形成する。
【0044】
図4iに示すように、ドライフィルム200c、200c’をエッチングレジストとして使用して軟磁性体311’、312’をエッチングすることにより、y軸方向の第1及び第2軟磁性コア11’、12’を形成する。その後、ドライフィルム200c、200c’を水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)などの剥離液で除去する。
その後、x軸方向の軟磁性コアと同様に、三つ以上の軟磁性コアを形成することもできる。
図4b及び図4cの過程と同様に、図4h及び図4iの過程においても、液体状態の感光材をエッチングレジストとして使用してy軸方向の第1及び第2軟磁性コア11’、12’を形成することができる。
【0045】
そして、図4jに示すように、上から、上部銅箔150、上部第2絶縁体140、x軸方向の第1及び第2軟磁性コア11、12、上部第1絶縁体120、原板110、下部第1絶縁体120’、y軸方向の第1及び第2軟磁性コア11’、12’、下部第2絶縁体140’、及び下部銅箔150’の順の予備レイアップを行う。
ここで、上下部の第1及び第2絶縁体120、120’、140、140’はプレプレッグを使用することが好ましい。また、最終印刷回路基板の大きさのため、絶縁体120、120’、140、140’の厚さは30〜100μmのものが好ましい。
また、上下部銅箔150、150’は厚さ12〜35μmのものを使用することができるが、厚さ12μmの銅箔150、150’を使用することが好ましい。
【0046】
図4kに示すように、上部銅箔150、上部第2絶縁体140、x軸方向の第1及び第2軟磁性コア11、12、上部第1絶縁体120、原板110、下部第1絶縁体120’、y軸方向の第1及び第2軟磁性コア11’、12’、下部第2絶縁体140’、及び下部銅箔150’を所定の温度及び圧力(例えば、約150℃〜200℃、及び30kg/cm〜40kg/cm)で加温及び加圧して1次積層する。
【0047】
図4lに示すように、上下部同箔150、150’に均一にエッチングを行って厚さを減らした後、ドライフィルム(図示せず)を介して露光、現像及びエッチング工程を行って、ビアホールを形成するためのウィンドウAを形成する。
ここで、エッチングされた銅箔150、150’の厚さは3〜7μmのものが好ましく、エッチング方式は、湿式方式(例えば、エッチング液によるエッチング)又は乾式方式(例えば、プラズマによるエッチング)が用いられる。
【0048】
図4mに示すように、銅箔150、150’に形成されたウィンドウAを用いて、x軸方向の第1励磁回路20及びx軸方向の第1検出回路40と導通するように、上部ビアホール(図示せず)を形成し、y軸方向の第1励磁回路20’及びy軸方向の第1検出回路40’と導通するように、下部ビアホールBを形成する。
ここで、上部及び下部ビアホールBを形成する過程は、レーザドリルで上下絶縁体120、120’、130、130’、140、140’を加工して形成することが好ましい。レーザドリルとしては、二酸化炭素レーザドリルを使用することが好ましい。仮に、銅箔150、150’まで加工可能なYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザでビアホールBを加工する場合、図4lの銅箔150、150’にウィンドウAを形成する工程を行わず、ビアホールBを加工することもできる。
一実施例において、ビアホールBを形成した後、ビアホールの形成時に発生する熱により絶縁体120、120’、130、130’、140、140’などが溶けてビアホールBの側壁から発生するスミアー(smear)を除去するデスミアー(desmear)工程を行うことが好ましい。
ほかの実施例において、上部銅箔150と下部銅箔150’を連結する通孔を形成する場合、レーザドリルでなく、CNCドリル(Computer Numerical Control drill)のような機械的ドリルを使用することができる。
【0049】
図4nに示すように、第1励磁回路20、20’及び第1検出回路40、40’と銅箔150、150’の電気的連結のため、ビアホールBの側壁及び銅箔150、150’に銅鍍金層160、160’を形成する。
ここで、ビアホールBの側壁が絶縁体120、120’、130、130’、140、140’であるため、ビアホールBの形成の直後に電解銅鍍金を行うことができない。
したがって、形成されたビアホールBの電気的連結及び電解銅鍍金を行うため、無電解銅鍍金を行う。無電解銅鍍金は絶縁体120、120’、130、130’、140、140’に対する鍍金であるので、電気を呈するイオンによる反応を期待することができない。このような無電解銅鍍金は析出反応によりなされ、析出反応は触媒により促進される。鍍金液から銅が析出されるためには、鍍金しようとする材料の表面に触媒が付着しなければならない。これは、無電解銅鍍金が多くの前処理を必要とすることを示す。
【0050】
一例として、無電解銅鍍金工程は、脱脂(cleanet)過程、ソフト腐食(soft etching)過程、予備触媒処理(pre-catalyst)過程、触媒処理過程、活性化(accelerator)過程、無電解銅鍍金過程、及び酸化防止処理過程を含む。
脱脂過程において、上下部銅箔150、150’の表面に存在する酸化物又は異物、特に油脂分などを酸又はアルカリ界面活性剤の含まれた薬品で除去した後、界面活性剤をすっかり水洗する。
ソフト腐食過程において、上下部銅箔150、150’の表面に微細な粗さ(例えば、およそ1〜2μm)を与えて、鍍金段階で銅粒子が均一に密着するようにし、脱脂過程で処理されなかった汚染物を除去する。
予備触媒処理過程において、低濃度の触媒薬品に印刷回路基板を浸漬することにより、触媒処理段階で使用される薬品が汚染されるかあるいは濃度が変わることを防止する。さらに、同一成分の薬品槽に印刷回路基板を予め浸漬するので、触媒処理がより活性化する効果がある。このような予備触媒処理過程には、1〜3%に希釈された触媒薬品を使用することが好ましい。
【0051】
触媒処理過程において、銅箔150、150’と絶縁体120、120’、130、130’、140、140’の面(つまり、ビアホールBの側壁)に触媒粒子を被せる。触媒粒子としてはPd−Sn化合物を使用することが好ましく、このPd−Sn化合物は、鍍金される粒子のCuとPdが結合して鍍金を促進する役割をする。
無電解銅鍍金過程において、鍍金液は、CuSO、HCHO、NaOH及びそのほかの安定剤からなることが好ましい。鍍金反応を持続させるためには、化学反応が均衡をとらなければならなく、このため、鍍金液の組成を制御することが重要である。組成を維持するためには、不足した成分の適切な供給、機械撹拌、鍍金液の純化システムをよく運営しなければならない。反応の結果として発生する副産物のための濾過装置が必要であり、これを活用することにより鍍金液の使用時間を延長することができる。
酸化防止処理過程において、無電解銅鍍金後に残存するアルカリ成分により鍍金膜が酸化することを防止するため、酸化防止膜を全面にコートする。
しかし、前述した無電解銅鍍金工程は、一般に電解銅鍍金に比べて物理的特性が劣るので、薄く形成する。
【0052】
無電解銅鍍金が完了した後、印刷回路基板を銅鍍金作業槽内で浸食させた後、直流整流器を用いて電解銅鍍金を行う。このような電解銅鍍金は、鍍金する面積を計算し、その面積に相応する電流を直流整流器に流して銅を析出する方式を用いることが好ましい。電解銅鍍金は、銅鍍金層の物理的特性が無電解銅鍍金層に比べて優れており、厚い銅鍍金層を形成し易い利点がある。
前述したように形成された銅鍍金層160、160’の厚さは15〜18μmのものが好ましい。
【0053】
図4oに示すように、上下部銅箔150、150’及び銅鍍金層160、160’にドライフィルム200d、200d’をそれぞれ塗布した後、所定のパターンが印刷されたアートワークフィルム(図示せず)を介してドライフィルム200d、200d’を露光及び現像することにより、x軸方向の第2励磁回路パターン及び第2検出回路パターンを含むエッチングレジストパターンを上部ドライフィルム200dに形成し、y軸方向の第2励磁回路パターン及び第2検出回路パターンを含むエッチングレジストパターンを下部ドライフィルム200d’に形成する。
【0054】
図4pに示すように、上下部ドライフィルム200d、200d’をエッチングレジストとして使用して、上下部銅箔150、150’及び銅鍍金層160、160’をエッチングすることにより、上部銅箔150及び銅鍍金層160にx軸方向の第2励磁回路30及び第2検出回路50を形成し、下部銅箔150’及び銅鍍金層160’にy軸方向の第2励磁回路30’及び第2検出回路50’を形成する。その後、ドライフィルム200d、200d’を水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)などの剥離液で除去する。
図4b及び図4cの過程と同様に、図4o及び図4pの過程においても、液体状態の感光材をエッチングレジストとして使用して、x軸方向の第2励磁回路30、x軸方向の第2検出回路50、y軸方向の第2励磁回路30’、及びy軸方向の第2検出回路50’を形成することができる。
【0055】
図4qに示すように、ソルダレジスト400、400’を塗布した後、硬化させる。
ここで、銅箔150、150’及び銅鍍金層160、160’に第2励磁回路30、30’及び第2検出回路50、50’が形成された印刷回路基板に指紋、脂、埃などが付いている場合、後続工程で形成されるソルダレジスト400、400’と印刷回路基板が全く密着しない問題が発生し得る。したがって、ソルダレジスト400、400’を塗布するに先立ち、ソルダレジスト400、400’と印刷回路基板との密着力を向上させるため、基板表面を洗浄し、基板表面に粗さを付与する前処理を行うことが好ましい。
ソルダレジスト400、400’を塗布する方式としては、スクリーン印刷方式、ローラコーティング方式、カーテンコーティング方式、スプレーコーティング方式などを用いることができる。
【0056】
その後、ニッケル/金鍍金のような表面処理工程、及びルーター又はパワープレスなどを用いて印刷回路基板の外郭を形成すると、本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板が製作される。
前述した方法により製作された本発明の微弱磁界センサの感度Sは次の数学式1で示すようである。
S=α×N×A×μ×f
前記式で、αは、軟磁性コアのB(磁束密度)−H(内部磁界)曲線において、平衡状態と減少部分の勾配に関連する係数、Nは軟磁性コアに巻かれた励磁回路又は検出回路の巻数、Aは軟磁性コアの断面積、μは軟磁性コアの透磁率、fは軟磁性コアを励磁させる周波数である。
【0057】
数学式1から分かるように、軟磁性コアの断面積Aが増加するほど、微弱磁界センサの感度Sが増加する。したがって、本発明の微弱磁界センサは、軟磁性コア11、12、11’、12’の数の増加によって断面積が増加するので、感度が増加する。また、軟磁性コア11、12、11’、12’に巻かれた励磁回路20、30、20’、30’又は検出回路40、50、40’、50’の巻数を減らしても、優れた感度の微弱磁界センサ(α、μ及びfが変わらない場合)を得ることができない。
【0058】
図5aは本出願人が2002年3月9日付で出願した大韓民国登録特許第432,622号公報にしたがって製作した微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板のx軸方向の第2ドライビングパターン3(本発明の第2励磁回路に対応)とx軸方向の第2ピックアップパターン5(本発明の第2検出回路に対応)が形成された第1層と、二つのバー状のx軸方向の磁性体1(本発明のx軸方向の軟磁性コアに対応)が形成された第2層の透視平面図である。そして、図5bは本発明により製作した微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板のx軸方向の第2励磁回路30a及びx軸方向の第2検出回路50aが形成された第1層と、二つのバー状のx軸方向の軟磁性コア12aが形成された第2層の透視平面図である。
図5aに示すように、従来の微弱磁界感知用センサは、磁性体1をドライビングパターン3及びピックアップパターン5が12回巻く形態に形成した。
【0059】
これに反し、図5bに示すように、本発明による微弱磁界感知用センサは、同一感度を得るため、軟磁性コア12aを励磁回路30a及び検出回路50aが6回巻く形態に形成した。
【0060】
また、従来の微弱磁界感知用センサは、12回のドライビングパターン3及びピックアップパターン5を第1層に集積するため、二つの磁性体1の外部に形成されたビアホールのランドが4行に配列される。したがって、従来の微弱磁界感知用センサの大きさは全体ドライビングパターン3及びピックアップパターン5の大きさによって決定される。
これに反し、本発明による微弱磁界感知用センサは、6回の励磁回路30a及び検出回路50aを第1層に集積するため、二つの軟磁性コア12aの外部に形成されたビアホールのランドが4行に配列される。これは、励磁回路30a及び検出回路50aの巻数が減少すると、軟磁性コア12aからビアホールのランド部分まで連結される励磁回路30a及び検出回路50aを垂直方向から斜線方向に形成し得るので、ビアホールのランド部の空間を増やして2行の配列に形成することができるためである。したがって、本発明による微弱磁界感知用センサの大きさはビアホールのランドの位置によって決定される。
一例として、従来の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の大きさは5.3mm×5.3mm=28.09mmであるに対し、本発明による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の大きさは4.0mm×4.0mm=16.0mm(およそ57%の大きさ)で同一感度を得ることができることが分かった。
【0061】
図6は本発明のほかの実施例による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の透視平面図で、x軸方向の第2励磁回路30b及びx軸方向の第2検出回路50bが形成された第1層と、四角リング状のx軸方向の軟磁性コア12bが形成された第2層を示す。
図5bの微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板と図6の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板を比較すると、図5bの微弱磁界感知用センサは二対の四角形の軟磁性コア12aを使用するに対し、図6の微弱磁界感知用センサは一対の四角リング状の軟磁性コア12bを使用することに違いがある。
前記実施例においては、二対の四角形の軟磁性コア、又は一対の四角リング状の軟磁性コアを使用したが、これらと同等又は類似形態の軟磁性コアを目的又は用途に応じて使用することができる。
【0062】
また、前記実施例においては、一軸方向(例えば、x軸方向、又はy軸方向)の励磁回路及び検出回路が取り囲む軟磁性コアを二対(又は二つ)使用したが、集積度の向上のため、三対(又は三つ)以上の軟磁性コアも使用することができる。
これまで本発明を説明したが、これは本発明の一実施例に過ぎなく、当業者であれば、特許請求の範囲により決められる本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な変形及び修正が可能であることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】従来の微弱磁界感知用センサの概略的構成を示す斜視図である。
【図2a】図1の微弱磁界感知用センサの動作を説明するタイミング図である。
【図2b】図1の微弱磁界感知用センサの動作を説明するタイミング図である。
【図2c】図1の微弱磁界感知用センサの動作を説明するタイミング図である。
【図2d】図1の微弱磁界感知用センサの動作を説明するタイミング図である。
【図2e】図1の微弱磁界感知用センサの動作を説明するタイミング図である。
【図2f】図1の微弱磁界感知用センサの動作を説明するタイミング図である。
【図3】本発明の一実施例による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の分解斜視図である。
【図4a】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4b】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4c】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4d】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4e】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4f】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4g】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4h】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4i】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4j】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4k】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4l】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4m】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4n】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4o】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4p】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図4q】微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法の流れを示す図3のX−X’線に沿った断面図である。
【図5a】従来の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の透視平面図である。
【図5b】本発明の一実施例による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の透視平面図である。
【図6】本発明のほかの実施例による微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の透視平面図である。
【符号の説明】
【0064】
11 x軸方向の第1軟磁性コア
11’ y軸方向の第1軟磁性コア
12、12a、12b x軸方向の第2軟磁性コア
12’ y軸方向の第2軟磁性コア
20 x軸方向の第1励磁回路
20’ y軸方向の第1励磁回路
30、30a、30b x軸方向の第2励磁回路
30’ y軸方向の第2励磁回路
40 x軸方向の第1検出回路
40’ y軸方向の第1検出回路
50、50a、50b x軸方向の第2検出回路
50’ y軸方向の第2検出回路
110 原板
111 絶縁樹脂層
112、112’ 銅箔層
120、120’、130、130’、140、140’ 絶縁体
150、150’ 銅箔
160、160’ 銅鍍金層
200a、200a’、200b、200b’、200c、200c’、200d、200d’ ドライフィルム
311、311’、312、312’ 軟磁性体
400、400’ ソルダレジスト
A ビアホールのウィンドウ
B ビアホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に第1励磁回路及び第1検出回路がそれぞれ形成された原板と、
前記原板の両面にそれぞれ積層され、多数の軟磁性コアが多層に形成された軟磁性コア積層体と、
前記軟磁性コア積層体上にそれぞれ積層され、前記軟磁性コアを巻く形態となるように、前記第1励磁回路及び前記第1検出回路とそれぞれビアホールを介して導通する第2励磁回路及び第2検出回路が形成された外層とを含んでなり、
前記原板の一面に形成された多数の軟磁性コア、励磁回路及び検出回路と、前記原板の他面に形成された多数の軟磁性コア、励磁回路及び検出回路とがそれぞれ互いに交差することを特徴とする微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板。
【請求項2】
前記磁性体コアが、アモルファス金属(amorphous metal)、パーマロイ(permalloy)及びスーパーマロイ(supermalloy)からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板。
【請求項3】
前記第1励磁回路と前記第1検出回路、かつ前記第2励磁回路と前記第2検出回路はそれぞれ一つずつ交互に形成されることを特徴とする請求項1記載の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板。
【請求項4】
前記多数の軟磁性コアは2の倍数本のバー(bar)形状を形成し、
前記励磁回路及び前記検出回路は前記多数の軟磁性コアに直交することを特徴とする請求項1記載の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板。
【請求項5】
前記多数の軟磁性コアは四角リング状であり、
前記原板の一面に形成された前記励磁回路及び前記検出回路は前記多数の軟磁性コアの1辺に直交し、
前記原板の他面に形成された前記励磁回路及び前記検出回路は前記多数の軟磁性コアの前記1辺に平行なことを特徴とする請求項1記載の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板。
【請求項6】
(A)一面にx軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路が形成され、他面にy軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路が形成された原板、及び多数のx軸方向及びy軸方向の軟磁性コアがそれぞれ多層に形成されたx軸方向及びy軸方向の軟磁性コア積層体を提供する段階と、
(B)前記原板の一面に、絶縁体、前記x軸方向の軟磁性コア積層体、絶縁体及び銅箔を順次積層し、前記原板の他面に、絶縁体、前記y軸方向の軟磁性コア積層体、絶縁体及び銅箔を順次積層する段階と、
(C)前記x軸方向及びy軸方向の軟磁性コアをそれぞれ巻く形態となるように、前記x軸方向とy軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路とそれぞれ導通するx軸方向とy軸方向の第2励磁回路及び第2検出回路を前記銅箔にそれぞれ形成する段階とを含んでなることを特徴とする微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法。
【請求項7】
前記(A)段階は、
(A−1)前記原板の一面に、x軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路を形成し、前記原板の他面にy軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路を形成する過程と、
(A−2)二つの絶縁体の両面にそれぞれ軟磁性コアのプレフォームを積層する過程と、
(A−3)前記二つの絶縁体の四つの軟磁性コアのプレフォームの表面にエッチングレジストを塗布した後、前記エッチングレジストを露光及び現像して所定のエッチングレジストパターンを形成する過程と、
(A−4)前記エッチングレジストパターンを用いて前記軟磁性コアのプレフォームをエッチすることにより、一つの絶縁体に積層された二つの軟磁性コアのプレフォームにx軸方向の軟磁性コアを形成してx軸方向の軟磁性コア積層体を形成し、ほかの一つの絶縁体に積層された二つの軟磁性コアのプレフォームにy軸方向の軟磁性コアを形成してy軸方向の軟磁性コア積層体を形成する過程と、
(A−5)前記エッチングレジストを除去する過程を含むことを特徴とする請求項6に記載の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法。
【請求項8】
(A−6)前記x軸方向と前記y軸方向の軟磁性コア積層体の一面にそれぞれ絶縁体及び難磁性コアのプレフォームを積層する過程と、
(A−7)前記(A−6)過程の前記軟磁性コアのプレフォームの表面にエッチングレジストを塗布した後、前記エッチングレジストを露光及び現像して所定のエッチングレジストパターンを形成する過程と、
(A−8)前記(A−7)過程の前記エッチングレジストパターンを用いて前記軟磁性コアのプレフォームをエッチングすることにより、前記x軸方向の軟磁性コア積層体に積層された軟磁性コアのプレフォームにx軸方向の軟磁性コアを形成し、前記y軸方向の軟磁性コア積層体に積層された軟磁性コアのプレフォームにy軸方向の軟磁性コアを形成する過程と、
(A−9)前記(A−8)過程のエッチングレジストを除去する過程と、
(A−10)前記(A−6)過程ないし前記(A−9)過程を繰り返して、形成しようとする層数に相当するx軸方向及びy軸方向の軟磁性コアを形成する過程とをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法。
【請求項9】
前記(C)段階は、
(C−1)前記x軸方向及びy軸方向の第1励磁回路及び第1検出回路と導通するようにビアホールを形成する過程と、
(C−2)前記ビアホールの側壁、及び前記原板の両面に積層された銅箔の表面に銅鍍金層を形成する過程と、
(C−3)前記銅鍍金層の表面にエッチングレジストを塗布した後、前記エッチングレジストを露光及び現像して所定のエッチングレジストパターンを形成する過程と、
(C−4)前記エッチングレジストパターンを用いて前記銅箔及び銅鍍金層をエッチングすることにより、前記レジストパターンに対応するx軸方向及びy軸方向の第2励磁回路及び第2検出回路を形成する過程と、
(C−5)前記エッチングレジストを除去する過程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法。
【請求項10】
前記(C−1)過程に先立ち、
(C−6)前記原板の両面に積層された銅箔を均一に部分エッチングする過程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の微弱磁界感知用センサを備えた印刷回路基板の製作方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図4g】
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【図4h】
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【図4i】
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【図4j】
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【図4k】
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【図4l】
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【図4m】
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【図4n】
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【図4o】
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【図4p】
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【図4q】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−41466(P2006−41466A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3659(P2005−3659)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】