説明

情報入力支援装置及びプログラム

【課題】複数の利用者が各々利用する利用形態において、個々の利用者が認証情報等の互いに異なる情報を入力する操作の負担軽減を実現する。
【解決手段】利用者によって選択されたサービスを提供するAPサーバに接続を要求し(100)、APサーバから認証情報が要求されると(104が肯定)、管理サーバから利用者の属性情報を取得し(108)、今回の接続先に対応する認証情報(利用者ID及びパスワード)のルールが登録されているか確認し、登録されていれば(110が肯定)、利用者IDのルールに従って利用者IDを生成・表示し(112〜122)、パスワードのルールに従って利用者にパスワードの入力を求めるか固定値を設定・表示し(124〜128)、送信が指示されると(132が肯定)利用者ID及びパスワードをAPサーバへ送信する(134)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報入力支援装置及び情報入力支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
認証時のログイン操作の簡便化に関し、特許文献1には、電子取引先毎の識別番号と暗証番号のデータベースを保持し、インターネット・ブラウザや専用ソフトウェア等の電子取引ソフトウェアと一体化または連携して、電子取引先毎に適切な識別番号と暗証番号の自動入力を行う技術が開示されている。
【0003】
また特許文献2には、ユーザが操作するウェブブラウザによりウェブサーバを介して接続される統合システムに、複数のシステムの各々への接続に必要な接続情報を各システムの管理システム毎に、各システムに対応する接続情報を識別するための属性情報を各システム毎に管理情報として保持させることで、複数のシステムが稼働する環境におけるシングルサインオンを実現する技術が開示されている。
【0004】
また特許文献3には、サーバアプリケーションを提供するサーバコンピュータと、サーバコンピュータが提供するサーバアプリケーションを使用するクライアントを含むシステムにおいて、サーバアプリケーション毎にクライアントのユーザ認証情報を登録した個人情報管理テーブルをクライアント毎に設けておき、個人情報管理テーブルに登録されたユーザ認証情報に基づきクライアントに代わってサーバに対するユーザ認証を行う個人情報管理サーバを設ける技術が開示されている。
【0005】
更に特許文献4には、ユーザのログイン名毎、ウェブサーバ毎に、ウェブサーバの所在を示す所在情報と、ウェブサーバに送信する送信情報とを対応付けたウェブサーバ管理テーブルを設け、装置を利用するユーザのログイン名を識別すると、ウェブサーバ管理テーブル中の識別されたログイン名に関する内容を決定し、その内容に含まれるウェブサーバへ対応する送信情報を送信することで、画像処理装置からウェブサーバにアクセスする場合に、セキュア性を確保しつつキー操作の作業軽減を実現する技術が開示されている。
【0006】
また特許文献5には、クライアントが、クライアントで記憶されているマスタ認証情報と、第1サーバに関連するデータとに基づき、マスタ認証情報とは異なる、第1サーバ特有の認証情報のセットを作成し、第1サーバによって制御されている限定リソースにアクセスするために、第1サーバ特有の認証情報を第1サーバに供給することで、ユーザが単一のマスタ認証情報を覚えてさえいれば、サーバ毎に異なる認証情報での複数のサーバへのサインオンを可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−032341号公報
【特許文献2】特開2002−324051号公報
【特許文献3】特開2000−207362号公報
【特許文献4】特開2008−083809号公報
【特許文献5】特開2000−347994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、複数の利用者が共用する情報入力支援装置において、情報の入力先毎に個々の利用者が互いに異なる情報を入力する操作の負担軽減を実現できる情報入力支援装置及び情報入力支援プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る情報入力支援装置は、利用者を識別する識別手段と、利用者の属性情報を複数の利用者について各々記憶する第1記憶手段から前記識別手段によって識別された利用者に対応する属性情報を取得すると共に、利用者の属性情報から入力情報を生成するためのルールを表すルール情報を、入力情報の送信先及び入力情報の種別と対応付けて各々記憶する第2記憶手段から、入力情報の送信先及び入力情報の種別に対応するルール情報を取得し、取得した前記属性情報及び前記ルール情報に基づいて前記識別された利用者に対応する前記入力情報を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された前記入力情報を前記送信先へ送信する処理を行う処理手段と、を含んで構成されている。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記入力情報は、指示された接続先へ接続した際に前記接続先から配信された入力画面内の認証情報入力欄への入力が要求される認証情報であり、前記生成手段は、前記接続先から前記入力画面が配信されると、前記ルール情報を前記入力情報の送信先としての接続先及び入力情報の種別と対応付けて各々記憶する第2記憶手段から、前記入力画面の配信元の前記接続先及び前記認証情報入力欄への入力が要求された情報の種別に対応するルール情報を取得し、取得した前記属性情報及び前記ルール情報に基づいて前記入力情報としての前記認証情報を生成し、前記処理手段は、前記生成手段によって生成された前記認証情報を、前記接続先へ送信する処理を行う。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記入力情報は、指示された接続先へ接続した際に前記接続先から配信された入力画面内の認証情報入力欄への入力が要求される認証情報であり、前記生成手段は、前記接続先から前記入力画面が配信されると、前記ルール情報を、入力情報の送信先としての接続先、及び、入力情報の種別としての、前記入力情報を入力する入力画面内の入力欄を識別する情報と対応付けて各々記憶する第2記憶手段から、前記入力画面の配信元の前記接続先及び前記配信された入力画面内の認証情報入力欄に対応するルール情報を取得し、取得した前記属性情報及び前記ルール情報に基づいて前記入力情報としての前記認証情報を生成し、前記処理手段は、前記生成手段によって生成された前記認証情報を、前記配信された入力画面内の認証情報入力欄に入力する処理を行う。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、前記生成手段は、前記第2記憶手段から取得したルール情報が、前記ルールとして、前記入力情報として用いる属性情報の種類を指定する情報である場合、前記第1記憶手段より取得した前記属性情報から、前記ルール情報が指定する種類に対応する属性情報を抽出することで、前記識別された利用者に対応する前記入力情報を生成する。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、前記生成手段は、前記第2記憶手段から取得したルール情報が、前記ルールとして、前記入力情報として用いる属性情報の種類と、当該属性情報の編集方法と、を指定する情報である場合、前記第1記憶手段より取得した前記属性情報から、前記ルール情報が指定する種類に対応する属性情報を抽出した後に、抽出した属性情報を前記ルール情報が指定する編集方法に従って編集することで、前記識別された利用者に対応する前記入力情報を生成する。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れかに記載の発明において、前記生成手段は、前記入力情報の送信先及び入力情報の種別に対応するルール情報が前記第2記憶手段に記憶されていない場合に、前記第2記憶手段に記憶されている複数のルール情報が表す複数のルールを選択肢として利用者に各々提示し、提示した複数のルールの中から利用者によって選択されたルールに基づいて前記識別された利用者に対応する前記入力情報を生成すると共に、前記選択されたルールを表すルール情報を、前記入力情報の送信先及び前記入力情報の種別と対応付けて前記第2記憶手段に追加記憶させる。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れかに記載の発明において、利用者によって入力情報が入力された場合に、利用者によって入力された前記入力情報を、前記第1記憶手段から取得した、前記識別手段によって識別された利用者に対応する属性情報と照合し、利用者の属性情報から前記入力情報を生成するためのルールを生成し、生成したルールを表すルール情報を、前記入力情報の送信先及び入力情報の種別と対応付けて前記第2記憶手段に追加記憶させるルール管理手段を更に備えている。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記ルール管理手段は、前記第1記憶手段から取得した、前記識別手段によって識別された利用者に対応する属性情報の中に、利用者によって入力された前記入力情報と完全一致する属性情報が存在している場合は、前記ルールとして、前記完全一致する属性情報の種類を指定するルールを生成し、前記第1記憶手段から取得した、前記識別手段によって識別された利用者に対応する属性情報の中に、利用者によって入力された前記入力情報と部分一致する属性情報が存在している場合は、前記部分一致する属性情報を利用者によって入力された前記入力情報と完全一致させるための編集方法を判断し、前記ルールとして、前記部分一致する属性情報の種類と、前記判断した編集方法と、を指定するルールを生成する。
【0017】
請求項9記載の発明に係る情報入力支援プログラムは、コンピュータを、利用者を識別する識別手段、利用者の属性情報を複数の利用者について各々記憶する第1記憶手段から前記識別手段によって識別された利用者に対応する属性情報を取得すると共に、利用者の属性情報から入力情報を生成するためのルールを表すルール情報を、入力情報の送信先及び入力情報の種別と対応付けて各々記憶する第2記憶手段から、入力情報の送信先及び入力情報の種別に対応するルール情報を取得し、取得した前記属性情報及び前記ルール情報に基づいて前記識別された利用者に対応する前記入力情報を生成する生成手段、及び、前記生成手段によって生成された前記入力情報を前記送信先へ送信する処理を行う処理手段として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1,4,5,9記載の発明は、複数の利用者が共用する情報入力支援装置において、情報の入力先毎に個々の利用者が互いに異なる情報を入力する操作の負担軽減を実現できる、という効果を有する。
【0019】
請求項2記載の発明は、個々の利用者が接続先毎に異なる認証情報を入力する場合の認証情報の入力操作の負担軽減を実現できる、という効果を有する。
【0020】
請求項3記載の発明は、個々の利用者が入力画面内の認証情報入力欄毎に異なる認証情報を入力する場合の認証情報の入力操作の負担軽減を実現できる、という効果を有する。
【0021】
請求項6記載の発明は、対応するルール情報が未記憶の送信先又は入力画面内の入力欄について、利用者の負担増大を抑制しつつ対応するルール情報を追加記憶できる、という効果を有する。
【0022】
請求項7,8記載の発明は、第2記憶手段にルール情報として未記憶の新たなルールによって生成される新たな入力情報が出現した場合にも、新たなルールを表すルール情報を追加記憶できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係るコンピュータ・システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】APサーバ接続処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】ルール情報追加処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】認証情報入力画面及び仮想キーボードの一例を各々示すイメージ図である。
【図5】ルール情報テーブルを構成する接続先別ルールテーブル及びルール定義テーブルの一例を各々示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係るコンピュータ・システム10の概略構成が示されている。コンピュータ・システム10は、LAN(Local Area Network)やインターネット等から成るネットワーク12に、画像読取印刷装置14、PC(Personal Computer:パーソナル・コンピュータ)等から成る複数台の端末装置26、管理サーバ36及び複数台のアプリケーション・サーバ(APサーバ)40が各々接続されて構成されている。
【0025】
画像読取印刷装置14は、マイクロコンピュータ等から成りCPU16A、メモリ16B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部16C、ネットワークI/F(インタフェース)部16Dを内蔵した本体制御部16を備えている。また本体制御部16には、セットされた読取対象の文書(紙原稿)を光学的に読み取って読取画像データを出力する画像読取部18、入力された印刷画像データが表す画像を記録用紙に印刷する画像印刷部20、LCD等から成る表示手段としての表示部22A及びテンキーやタッチパネル等から成る入力受付手段としての操作部22Bが設けられた操作パネル22、及び、コンピュータ・システム10の個々の利用者が各々所持するICカード(図示省略)に記録されているカードID等の情報を読み取るカードリーダ24が各々接続されている。なお、カードリーダ24は本発明の識別手段の一例である。
【0026】
本体制御部16のネットワークI/F部16Dはネットワーク12に接続され、端末装置26とのネットワーク12経由での通信を司る。また本体制御部16の記憶部16Cには、CPU16Aによって実行されるプログラムとして、画像読取印刷装置14の各部の動作を制御して利用者(ユーザ)に各種のサービス(例えば文書の複写、プリント(端末装置26から受信した文書データや、APサーバ40の記憶部に記憶されたDB(データベース)に登録されている文書データが表す文書の印刷)、スキャンtoサーバ(文書を読み取り、読取画像データをAPサーバ40へアップロードすることでAPサーバ40の記憶部上に予め設けられた保存領域に読取画像データを格納させるサービス)等を提供するためのサービス提供プログラムと、CPU16Aによって後述するAPサーバ接続処理を行うためのAPサーバ接続プログラムが各々インストールされており、更にルール情報テーブル(詳細は後述)も記憶されている。なお、本体制御部16の記憶部16Cは請求項1等に記載の第2記憶手段の一例である。
【0027】
なお、上記のAPサーバ接続プログラムは本発明に係る情報入力支援プログラムの一態様であり、本実施形態では、画像読取印刷装置14の本体制御部16のCPU16Aによって上記のAPサーバ接続プログラムが実行されることで、画像読取印刷装置14が本発明に係る情報入力支援装置の一例として機能する。
【0028】
また、個々のAPサーバ40は、画像読取印刷装置14と協働して、APサーバ40を利用するサービス(例えば、前述したように、DB登録文書を印刷するサービスや、スキャンtoサーバのサービス等)を利用者に提供するためのコンピュータであり、APサーバ40の記憶部には上記サービスを実現するためのアプリケーション・プログラムがインストールされている。また、個々の端末装置26には、ディスプレイ28、キーボード30及びマウス32が各々接続されている。また、管理サーバ36の不揮発性の記憶部(図示省略)には、コンピュータ・システム10の個々の利用者について、利用者IDや社員番号、電子メールアドレス、個々の利用者が所持するICカードに記録されているカードID等の複数種の属性情報が各々登録された利用者属性情報テーブルが記憶されている。なお、管理サーバ36の記憶部は請求項1等に記載の第1記憶手段の一例である。
【0029】
次に本実施形態の作用を説明する。画像読取印刷装置14の本体制御部16は、サービス提供プログラムがCPU16Aによって実行されることで、各種のサービスを利用者に提供するサービス提供処理を行うが、このサービス提供処理では、画像読取印刷装置14の設置箇所へ出向き、所持しているICカードに記録されているカードID等の情報をカードリーダ24によって読み取らせる利用者認証処理を経た利用者から、利用対象のサービスとしてAPサーバ40を利用するサービスが選択された場合に、選択されたサービスを提供するAPサーバ40と接続するために、APサーバ40接続プログラムを呼び出す処理を行う。これにより、CPU16AによってAPサーバ40接続プログラムが実行されることで、画像読取印刷装置14の本体制御部16によってAPサーバ40接続処理が行われる。以下、このAPサーバ40接続処理について図2を参照して説明する。
【0030】
APサーバ40接続処理では、まずステップ100において、利用者によって選択されたサービスに基づいて、当該サービスの提供を受けるためのAPサーバ40の接続先を認識し、認識した接続先に対して接続を要求する情報を送信する。なお、本体制御部16の記憶部16Cには、APサーバ40を利用する個々のサービス毎に、接続対象のAPサーバ40の情報を含む接続先情報(例えば接続先URL(Uniform Resource Locator))が登録された接続先テーブルが予め記憶されており、ステップ100の処理は、例えば、利用者によって選択されたサービスをキーにして接続先テーブルを検索し、対応する接続先情報を読み出し、読み出した接続先情報が表す接続先に対してウェブページ配信要求を送信することによって成される。
【0031】
次のステップ102では、接続先のAPサーバ40から送信されたウェブページの情報を受信することで、前記情報を取得する。次のステップ104では、APサーバ40から受信した情報が表す画面が認証情報入力画面か否かに基づいて、APサーバ40から認証情報の入力が要求されているか否か判定する。APサーバ40は、サービスの提供にあたって利用者の確認が不要なサービス(例えば不特定の利用者に提供するサービス等)が要求された場合、認証情報入力画面以外の他の画面(例えば提供するサービスの細目等を選択可能な画面)の情報を画像読取印刷装置14へ配信する。この場合は、前記他の画面が操作パネル22の表示部22Aに表示されると共に、ステップ104の判定が否定されてAPサーバ接続処理を終了し、サービス提供処理へ制御が戻る。
【0032】
一方、例えばDB登録文書を印刷するサービスや、スキャンtoサーバのサービス等の提供にあたっては、例えばDB登録文書のセキュリティの確保やアップロードされたデータを利用者毎に異なる保存領域に格納する等を目的として、サービスの提供を要求した利用者を確認する必要がある。このように、利用者の確認が必要なサービスの提供が要求された場合、APサーバ40は、例として図4(A)に示すように、利用者IDの入力欄50及びパスワードの入力欄52が各々設けられた認証情報入力画面の情報を画像読取印刷装置14へ配信する。この認証情報入力画面は、HTML(HyperText Markup Language)で記述され、利用者IDの入力欄50には利用者IDの入力欄であることを示すタグ、パスワードの入力欄52にはパスワードの入力欄であることを示すタグが付加されており、認証情報入力画面の情報を受信した画像読取印刷装置14側では、各入力欄50,52に付加されたタグを解釈することで、入力欄50に入力すべき情報の種別が「利用者ID」であり、入力欄52に入力すべき情報の種別が「パスワード」であることを認識することができる。APサーバ40から認証情報入力画面の情報が配信された場合、配信された認証情報入力画面が操作パネル22の表示部22Aに表示されると共に、ステップ104の判定が肯定されてステップ106へ移行する。
【0033】
また、APサーバ40の中には、認証情報入力画面の情報を接続元の装置へ配信せず、認証情報が無いため接続を許可しない旨のエラー情報のみ配信する仕様のAPサーバ40も存在しており、接続先のAPサーバ40がこのような仕様のAPサーバ40である場合は、接続元の装置である画像読取印刷装置14側で、例として図4(A)に示すように、利用者IDの入力欄50及びパスワードの入力欄52が各々設けられた認証情報入力画面が生成され、操作パネル22の表示部22Aに表示される。なお、この場合もステップ104の判定が肯定されてステップ106へ移行する。
【0034】
次のステップ106では、管理サーバ36へ利用者識別情報(利用者が所持しているICカードから読み取ったカードID等)を送信することで、送信した利用者識別情報によって特定される利用者の属性情報を要求する。これにより、管理サーバ36では、画像読取印刷装置14から受信した利用者識別情報をキーにして利用者属性情報テーブルを検索し、受信した利用者識別情報と同一の利用者に対応する全ての属性情報(利用者IDや社員番号、電子メールアドレス等)を利用者属性情報テーブルから読み出して送信する処理が行われ、ステップ106ではこれらの属性情報を受信してメモリ16Bに記憶させる処理が行われる。
【0035】
ところで、ASP(Application Service Provider)やSaaS(Software as a Service)の普及により、本実施形態に係るコンピュータ・システム10が或る企業内に設置されたシステムであっても、画像読取印刷装置14が外部のサービスプロバイダが提供するAPサーバ40と協働して利用者にサービスを提供する形態は増加してきている。しかしその場合、APサーバ40を利用するための利用者IDはサービスプロバイダ側の付与規則に従って付与されると共に、パスワードもサービスプロバイダ側が定めた基準(例えば桁数や使用可能文字の種類等)を満足するように設定されるので、画像読取印刷装置14が外部のサービスプロバイダが提供するAPサーバ40と協働することで実現されるサービスの提供を受ける利用者は、互いに異なるサービスプロバイダが提供するAPサーバ40を利用するサービス毎に異なる認証情報(利用者ID及びパスワード)を入力する必要が有る。また、APサーバ40を含むコンピュータ・システム10が同一企業内に設置されたシステムであったとしても、画像読取印刷装置14がAPサーバ40と協働することで提供される全てのサービスにおける認証情報を統一できない状況は生じ得る。
【0036】
このため、本実施形態では本体制御部16の記憶部16Cにルール情報テーブルを記憶している。このルール情報テーブルは、図5(A)に示す接続先別ルールテーブルと、図5(B)に示すルール定義テーブルから構成されており、接続先別ルールテーブルは、APサーバ40を利用する互いに異なる複数種のサービスについて、当該サービスの提供を受けるための接続先情報(接続先URL)、及び、前記サービスの提供を受ける際に入力すべき情報の種別(図5(A)に示す例では「利用者ID」及び「パスワード」)と対応付けて、入力情報のルールを表すルール情報が各々登録されて構成されている(「利用者ID」と対応付けられたルール情報は、サービスの提供を受ける際に入力すべき利用者IDのルールを表し、「パスワード」と対応付けられたルール情報は、サービスの提供を受ける際に入力すべきパスワードのルールを表している)。またルール定義テーブルは、入力情報の各種別(例えば「利用者ID」及び「パスワード」)のうちの少なくとも1つの種別の入力情報に適用される全てのルールについて、その名称と内容、ルールのタイプを表す情報が各々登録されて構成されており、前述の接続先別ルールテーブルに登録されている利用者ID及びパスワードのルール情報のうち、ルール定義テーブルに内容が登録されているルールを適用する利用者IDやパスワードについては、ルール情報としてルールの名称("ルール1"や"ルール2"等)のみ登録されている。
【0037】
ステップ108では、先のステップ100における情報送信で用いた接続先情報と、認証情報入力画面の入力欄に付加されたタグに基づいて認識した入力情報の種別をキーにして接続先別ルールテーブルを検索し、次のステップ110では、ステップ108における検索の結果に基づき、利用者が選択したサービスの提供を受けるための接続先及び入力情報の種別に対応するルール情報が接続先別ルールテーブルに登録されているか否か判定する。この判定が肯定された場合はステップ112へ移行し、該当するルール情報を接続先別ルールテーブルから読み出してメモリ16Bに記憶させる。なお、以下では、利用者が選択したサービスの提供を受けるための入力情報の種別が「利用者ID」及び「パスワード」である場合を例に説明を進める。
【0038】
次のステップ114では、ステップ112で読み出したルール情報のうち、入力情報の種別「利用者ID」に対応するルール情報が表すルールの内容を判定し、判定結果に応じて分岐する。本実施形態では、「利用者ID」に対応するルールとして、利用者IDとして用いる属性情報の種類を指定する第1のタイプのルール(図5(B)に示すルール2,3)、利用者IDとして用いる属性情報の種類を指定すると共に指定した属性情報の編集方法を指定する第2のタイプのルール(図5(B)に示すルール4)、及び、利用者IDとして固定値を指定する第3のタイプのルール(図5(A)に示す「固定値("anonymous")」参照)の何れかを用いており、接続先別ルールテーブルには、利用者IDに対応するルールとして、個々の接続先における利用者IDの付与規則に応じて第1〜第3のタイプのルールの何れかが個々の接続先毎に設定される。
【0039】
ここで、ステップ112で読み出した利用者IDのルール情報が第1のタイプのルールに相当するルール内容を表していた場合には、ステップ114からステップ116へ移行し、先のステップ106で取得した利用者の属性情報の中から、ステップ112で読み出した利用者IDのルール情報で指定された種類の属性情報を利用者IDとして抽出し、ステップ122へ移行する。
【0040】
また、ステップ112で読み出した利用者IDのルール情報が第2のタイプのルールに相当するルール内容を表していた場合には、ステップ114からステップ118へ移行し、先のステップ106で取得した利用者の属性情報の中から、ステップ112で読み出した利用者IDのルール情報で指定された種類の属性情報を抽出する。また、次のステップ120では、ステップ118で抽出した属性情報をステップ112で読み出した利用者IDのルール情報で指定された編集方法に従って編集することで利用者IDを生成し、ステップ122へ移行する。
【0041】
また、ステップ112で読み出した利用者IDのルール情報が第3のタイプのルールに相当するルール内容を表していた場合には、ステップ114からステップ121へ移行し、ルール情報で規定された固定値を利用者IDとして設定し、ステップ122へ移行する。なお、上述したステップ106〜ステップ121は、後述するステップ128と共に、本発明の生成手段(より詳しくは請求項2,4,5に記載の生成手段)による処理の一例である。
【0042】
ステップ122では、ステップ116又はステップ120又はステップ121の処理によって得られた利用者IDを、操作パネル22の表示部22Aに表示されている認証情報入力画面の利用者IDの入力欄50内に設定する。これにより、例として図4(B)に示すように、認証情報入力画面の利用者IDの入力欄50内には、利用者が利用者IDを入力する操作を行うことなく、接続先別ルールテーブルに登録された利用者IDのルール(ルール情報)に従って、適正な利用者IDが設定・表示される。なお、ステップ122は本発明の処理手段による処理の一例である。
【0043】
ステップ124では、ステップ112で読み出したルール情報のうち、入力情報の種別「パスワード」に対応するルール情報が表すルールの内容を判定し、判定結果に応じて分岐する。本実施形態では、「パスワード」に対応するルールとして、パスワードの入力を利用者に求める第4のタイプのルール(図5(B)に示すルール1)、及び、パスワードとして固定値を指定する第5のタイプのルール(図5(A)に示す「固定値(""))」参照)の何れかを用いており、接続先別ルールテーブルには、パスワードのルールとして、個々の接続先におけるパスワードの付与規則(固定値か否か)に応じて第4のタイプのルール又は第5のタイプのルールが個々の接続先毎に設定される。
【0044】
ここで、ステップ112で読み出したパスワードのルール情報が第4のタイプのルールに相当するルール内容を表していた場合には、ステップ124からステップ126へ移行して利用者によりパスワードが入力されたか否かを判定し、判定が肯定される迄ステップ126を繰り返す。そして、利用者によって操作パネル22の操作部22Bが操作されることで認証情報入力画面のパスワードの入力欄52内にパスワードが入力されると、ステップ126の判定が肯定されてステップ132へ移行する。なお、例として図4(C)には、認証情報入力画面の利用者IDの入力欄50内に利用者IDが設定・表示された後に、パスワードの入力欄52内に利用者によってパスワードが入力された状態を示している。
【0045】
また、ステップ112で読み出したパスワードのルール情報が第5のタイプのルールに相当するルール内容を表していた場合には、ステップ124からステップ128へ移行し、ルール情報で規定された固定値をパスワードとして設定し、ステップ132へ移行する。
【0046】
次のステップ132では利用者ID及びパスワードの送信が指示されたか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ132を繰り返す。図4(A)〜(C)に示すように、認証情報入力画面には利用者ID及びパスワードの送信を指示するためのボタン54が設けられており、認証情報入力画面の入力欄50内に表示された利用者ID及び入力欄52内に表示されたパスワードを確認した利用者がボタン54を選択する操作を行うと、ステップ132の判定が肯定されてステップ134へ移行し、先のステップ100で接続を要求する情報を送信した接続先に対し、認証情報入力画面の入力欄50内に表示されている利用者ID及び入力欄52内に表示されているパスワードを送信する。
【0047】
これにより、接続先のAPサーバ40では、画像読取印刷装置14から受信した利用者IDとパスワードの組み合わせに基づいて、画像読取印刷装置14を介してサービスの提供を要求している利用者が正当な利用者か否かを確認する利用者認証処理が行われる。そして、利用者認証処理によって正当な利用者であることが確認された場合、APサーバ40は認証情報入力画面以外の他の画面(例えば提供するサービスの細目等を選択可能な画面)の情報を画像読取印刷装置14へ配信する。この情報を受信した画像読取印刷装置14では、ステップ136でAPサーバ40から受信した情報が表す画面(ウェブページ)を操作パネル22の表示部22Aに表示してAPサーバ接続処理を終了する。これにより、サービス提供処理へ制御が戻ることになる。
【0048】
次に、利用者が選択したサービスの提供を受けるための接続先に対応する利用者ID及びパスワードのルール情報が接続先別ルールテーブルに登録されていなかった場合の処理について説明する。なお、この状況が生じる場合としては、過去に接続したことのない接続先へ接続した場合等が挙げられる。接続先に対応する利用者ID及びパスワードのルール情報が接続先別ルールテーブルに登録されていなかった場合、ステップ110の判定が否定されてステップ130へ移行し、ルール情報追加処理が行われる。
【0049】
このルール情報追加処理について、図3を参照して説明すると、ステップ150では、例として図4(D)に示すように、利用者IDの入力欄56と、利用者IDを入力するための複数のキー58が設けられた仮想キーボード60を操作パネル22の表示部22Aに表示させる。また、このステップ150では、ルール情報テーブルに登録されている利用者IDの全てのルール(ルール情報)を抽出し、抽出した個々のルールに対応するルールボタン62を仮想キーボード60に追加表示させると共に、入力欄56内に入力した利用者IDを固定値として設定するルール情報の生成を指示するためのボタン64も仮想キーボード60に追加表示させる。
【0050】
操作パネル22の表示部22Aに表示させた仮想キーボード60に対し、利用者によって何らかの操作が行われるとステップ152へ移行し、利用者による操作がルールボタン62を選択する操作か否か判定する。利用者は、操作パネル22の表示部22Aに仮想キーボード60が表示されると、今回の接続先における利用者IDの付与規則を認識し、認識した付与規則が仮想キーボード60に表示されている何れかのルールボタン62が表す利用者IDのルールに合致しているか否か判断する。そして、認識した付与規則に合致する利用者IDのルールを表すルールボタン62が存在していた場合は、当該ルールボタン62を選択する操作を行う。利用者によって上記操作が行われた場合、ステップ152の判定が肯定されてステップ154へ移行する。
【0051】
ステップ154では、利用者によって選択されたルールボタン62が表す利用者IDのルールの内容を判定し、判定結果に応じて分岐する。ここで、利用者によって選択されたルールボタン62が表す利用者IDのルールの内容が、第1のタイプのルールに相当するルール内容であった場合には、ステップ154からステップ156へ移行し、先のステップ106で取得した利用者の属性情報の中から、利用者によって選択されたルールボタン62が表す利用者IDのルールで指定された種類の属性情報を利用者IDとして抽出し、ステップ162へ移行する。
【0052】
また、利用者によって選択されたルールボタン62が表す利用者IDのルールの内容が、第2のタイプのルールに相当するルール内容であった場合には、ステップ154からステップ158へ移行し、先のステップ106で取得した利用者の属性情報の中から、利用者によって選択されたルールボタン62が表す利用者IDのルールで指定された種類の属性情報を抽出する。また、次のステップ160では、ステップ158で抽出した属性情報を利用者によって選択されたルールボタン62が表す利用者IDのルールで指定された編集方法に従って編集することで利用者IDを生成し、ステップ162へ移行する。
【0053】
ステップ162では、利用者によって選択されたルールボタン62が表す利用者IDのルール情報を今回の接続先の接続先情報と対応付けて接続先別ルールテーブルに追加登録する。なお、上述したステップ150〜ステップ164は請求項6に記載の生成手段による処理の一例である。
【0054】
またステップ164では、操作パネル22の表示部22Aに認証情報入力画面を再表示させると共に、ステップ156又はステップ160で生成した利用者IDを、再表示させた認証情報入力画面の利用者IDの入力欄50内に設定する。これにより、例として図4(E)に示すように、認証情報入力画面の利用者IDの入力欄50内には、利用者が利用者IDを入力する操作を行うことなく、利用者によって選択されたルールボタン62が表す利用者IDのルールに従って、適正な利用者IDが設定・表示される。
【0055】
ステップ166では、操作パネル22の表示部22Aに再表示させた認証情報入力画面に、パスワードの入力欄52に入力したパスワードを固定値として設定するルール情報の生成を指示するためのボタン66(図4(E)も参照)を追加表示させる。次のステップ168では、利用者によりパスワードが入力されたか否かを判定し、判定が肯定される迄ステップ168を繰り返す。利用者は、今回の接続先におけるパスワードの付与規則(固定値か否か)を認識し、認識した付与規則が固定値であれば、認証情報入力画面のボタン66を選択した後にパスワードの入力欄52内にパスワードを入力する操作を行い、認識した付与規則が固定値でなければ、認証情報入力画面のボタン66を選択せずにパスワードの入力欄52内にパスワードを入力する操作を行う。
【0056】
上記何れかの操作が行われることで、パスワードの入力欄52内にパスワードが入力されると、ステップ168の判定が肯定されてステップ170へ移行し、利用者によってボタン66を選択する操作が行われたか否か判定する。この判定が否定された場合はステップ171へ移行し、パスワードの入力を利用者に求める第4のタイプのルールを表すパスワードのルール情報を、今回の接続先の接続先情報と対応付けて接続先別ルールテーブルに追加登録し、ルール情報追加処理を終了する。また、ステップ170の判定が肯定された場合はステップ172へ移行し、利用者によってパスワードの入力欄52内に入力されたパスワードをパスワードの固定値として指定する第5のタイプのルールを表すパスワードのルール情報を、今回の接続先の接続先情報と対応付けて接続先別ルールテーブルに追加登録し、ルール情報追加処理を終了する。
【0057】
なお、例として図5(C)には、図5(A)に示す情報が接続先別ルールテーブルに登録されている状態で、対応する利用者ID及びパスワードのルール情報が未登録の新たな接続先として、接続先URL=" http://www.acme.com/"への接続が行われることで、図4(D)に示す仮想キーボード60が操作パネル22の表示部22Aに表示され、利用者IDについては、利用者の属性情報のうちのメールアドレスを利用者IDとして指定するルールに対応するルールボタン62が利用者によって選択され、パスワードについては、ボタン66を選択することなくパスワードの入力欄52内にパスワードを入力する操作が利用者によって行われた場合に、接続先情報(接続先URL)及び利用者ID・パスワードのルール情報が接続先別ルールテーブルに追加登録された状態を示している。
【0058】
接続先別ルールテーブルが図5(C)に示す状態へ更新されると、例えば別の利用者が、利用対象のサービスとして接続先URL=" http://www.acme.com/"への接続が必要なサービスを選択した場合、上記の接続先情報(接続先URL)と対応付けて接続先別ルールテーブルに追加登録された利用者IDのルール情報に従い、図4(F)に示すように、別の利用者のメールアドレスが利用者IDの入力欄50に表示されることになる。
【0059】
また、先のステップ150で仮想キーボード60が操作パネル22の表示部22Aに表示された状態で、今回の接続先における利用者IDの付与規則に合致する利用者IDのルールを表すルールボタン62が存在していなかった場合、利用者は、今回の接続先における利用者IDの付与規則が固定値であれば、仮想キーボード60内のボタン64を選択した後に、仮想キーボード60のキー58を操作して入力欄56内に利用者IDを入力する操作を行い、利用者IDの付与規則が固定値でなければ、仮想キーボード60内のボタン64を選択することなく、仮想キーボード60のキー58を操作して入力欄56内に利用者IDを入力する操作を行う。
【0060】
上記何れかの操作が行われることで入力欄56内に利用者IDが入力された場合は、ステップ152の判定が否定されてステップ174へ移行し、利用者によってボタン64を選択する操作が行われたか否かに基づいて、入力欄56に入力した利用者IDを固定値として設定するルール情報の生成が指示されたか否か判定する。この判定が肯定された場合はステップ176へ移行し、利用者によって入力欄56内に入力された利用者IDを利用者IDの固定値として指定する第3のタイプのルールを表すルール情報を生成し、ステップ162へ移行する。この場合、ステップ162では、ステップ176で生成したルール情報が、利用者IDのルール情報として、今回の接続先の接続先情報と対応付けて接続先別ルールテーブルに追加登録され、次のステップ164において、操作パネル22の表示部22Aに認証情報入力画面が再表示されると共に、仮想キーボード60の入力欄56内に入力された利用者IDが認証情報入力画面の利用者IDの入力欄50内へ設定される。
【0061】
また、先のステップ150で仮想キーボード60が操作パネル22の表示部22Aに表示された状態で、今回の接続先における利用者IDの付与規則に合致する利用者IDのルールを表すルールボタン62が存在しておらず、今回の接続先における利用者IDの付与規則が固定値でもない場合、利用者により、仮想キーボード60内のボタン64を選択することなく、仮想キーボード60の入力欄56内に利用者IDを入力する操作が行われることで、ステップ174の判定が否定されてステップ178へ移行し、先のステップ106で取得した利用者の属性情報の中に、入力欄56内に入力された利用者IDと完全一致する属性情報、又は、入力された利用者IDと部分一致する属性情報(但し利用者IDの全文字を含む属性情報)が存在しているか否かを検索する。
【0062】
次のステップ180では、ステップ178の検索によって該当する情報(入力欄56内に入力された利用者IDと完全一致又は部分一致する属性情報)が抽出されたか否か判定する。この判定が否定された場合、入力欄56内に入力された利用者IDから利用者IDのルールを判別することは困難であるので、ステップ164へ移行し、ルール情報の生成や接続先別ルールテーブルへの追加登録を行うことなく、ステップ164において、操作パネル22の表示部22Aへ認証情報入力画面を再表示し、仮想キーボード60の入力欄56内に入力された利用者IDを認証情報入力画面の利用者IDの入力欄50内へ設定する処理を行う。
【0063】
また、ステップ180の判定が肯定された場合はステップ182へ移行し、ステップ178の検索において、入力欄56内に入力された利用者IDと完全一致する属性情報が抽出されたか否か判定する。ステップ182の判定が肯定された場合、今回の接続先における利用者IDのルールは、入力欄56内に入力された利用者IDと完全一致した属性情報を利用者IDとして用いるルールであると判断できるので、ステップ184へ移行し、利用者IDのルール情報として、入力欄56内に入力された利用者IDと完全一致した属性情報の種類を、利用者IDとして用いる属性情報の種類として指定する内容のルール情報を生成し、生成したルール情報をその名称と共にルール定義テーブルに追加登録した後にステップ162へ移行する。
【0064】
この場合、ステップ162では、ステップ184で生成したルール情報が、利用者IDのルール情報として、今回の接続先の接続先情報と対応付けて接続先別ルールテーブルに追加登録され、次のステップ164において、操作パネル22の表示部22Aに認証情報入力画面が再表示されると共に、仮想キーボード60の入力欄56内に入力された利用者IDが認証情報入力画面の利用者IDの入力欄50内へ設定される。上記処理が行われた場合にも、例えば別の利用者が、利用対象のサービスとして接続先URL=" http://www.acme.com/"への接続が必要なサービスを選択した場合、上記の接続先情報(接続先URL)と対応付けて接続先別ルールテーブルに追加登録された利用者IDのルール情報に従い、当該ルール情報で種類が指定されている別の利用者の属性情報が利用者IDの入力欄50に設定・表示されることになる。
【0065】
また、ステップ178の検索により、入力欄56内に入力された利用者IDの全文字を含み、かつ入力された利用者IDと部分一致する属性情報(入力された利用者IDに余分な文字列が付加された属性情報)が抽出された場合には、ステップ182の判定が否定されてステップ186へ移行し、抽出された属性情報を入力欄56内に入力された利用者IDと完全一致させるための編集方法を導出する。この編集方法の導出は、具体的には、例えば抽出された属性情報を構成する個々の文字のうち、入力欄56内に入力された利用者IDに対して余分な文字を抽出し、抽出した文字を削除する第1の編集方法を生成し、抽出された属性情報から生成した第1の編集方法に従って余分な文字を削除した後の文字列が、入力欄56内に入力された利用者IDと一致していない場合には、前記文字列における文字の順序を入力欄56内に入力された利用者IDと一致するように入れ替える第2の編集方法を生成することによって成される。
【0066】
次のステップ188では、利用者IDのルール情報として、入力欄56内に入力された利用者IDと部分一致した属性情報の種類を利用者IDとして用いる属性情報の種類として指定すると共に、ステップ186で生成した編集方法を前記種類の属性情報に対する編集方法として指定することで利用者IDを規定する内容のルール情報を生成し、生成したルール情報をその名称と共にルール定義テーブルに追加登録した後にステップ162へ移行する。なお、例として図5(E)には、利用者IDとして用いる属性情報の種類として利用者の「メールアドレス」を指定すると共に、「メールアドレス」に対する編集方法の一例として「"@"より前の文字列の先頭から8文字」を抽出することを表すルール情報が、名称「ルール5」と共にルール定義テーブルに追加登録された状態を示している。
【0067】
この場合、ステップ162では、ステップ184で生成したルール情報が、利用者IDのルール情報として、今回の接続先の接続先情報と対応付けて接続先別ルールテーブルに追加登録される。なお、例として図(D)には、図5(E)に示した「ルール5」のルール情報が、利用者IDのルール情報として、接続先情報(接続先URL=" http://www.acme.com/")と対応付けて接続先別ルールテーブルに追加登録された状態を示している。そして次のステップ164において、操作パネル22の表示部22Aに認証情報入力画面が再表示されると共に、仮想キーボード60の入力欄56内に入力された利用者IDが認証情報入力画面の利用者IDの入力欄50内へ設定される。
【0068】
上記処理が行われた場合にも、例えば別の利用者が、利用対象のサービスとして接続先URL=" http://www.acme.com/"への接続が必要なサービスを選択した場合、上記の接続先情報(接続先URL)と対応付けて接続先別ルールテーブルに追加登録された利用者IDのルール情報(「ルール5」)に従い、前記別の利用者のメールアドレスにおける"@"より前の文字列の先頭から8文字の文字列が利用者IDの入力欄50に設定・表示されることになる。なお、上述したステップ178〜ステップ188,162は請求項7(より詳しくは請求項8)に記載のルール管理手段による処理の一例である。
【0069】
なお、図3のステップ186,188のように、利用者によって入力された利用者IDの全文字を含み、かつ入力された利用者IDと部分一致する属性情報に基づいてルール情報を生成する等の場合、例えば上記の条件に合致する属性情報が複数存在している等の理由により、複数種のルール情報が生成可能な場合も生じ得るが、この場合には、同一の接続先情報と対応付けて複数のルール情報を接続先別ルールテーブルに各々追加登録しておき、別の利用者により利用対象のサービスとして同一の接続先への接続が必要なサービスが選択された場合、複数種のルール情報に従って複数の認証情報を各々生成して入力対象の認証情報の選択肢として表示させるようにしてもよい。この場合、何れかの認証情報が選択されると、選択されなかった認証情報に対応するルール情報は接続先別テーブルやルール定義テーブルから削除することが望ましい。
【0070】
また、上記では、利用者IDのルールとして、利用者IDとして用いる属性情報の種類を指定する第1のタイプのルール、利用者IDとして用いる属性情報の種類を指定すると共に指定した属性情報の編集方法を指定する第2のタイプのルール及び利用者IDとして固定値を指定する第3のタイプのルールの何れかを用い、パスワードのルールとして、パスワードの入力を利用者に求める第4のタイプのルール及びパスワードとして固定値を指定する第5のタイプのルールの何れかを用いる態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば利用者IDのルールから第1のタイプのルール〜第3のタイプのルールの何れかを除外してもよいし、パスワードのルールとして第1のタイプのルールや第2のタイプのルールに類するルールを用いることも可能である。
【0071】
また、上記では利用者IDやパスワード等の認証情報を生成した場合に、生成した認証情報を認証情報入力画面内の対応する入力欄に設定・表示させ、利用者からの指示によりAPサーバ40へ送信する態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、利用者ID及びパスワードを各々生成した場合に、生成した利用者ID及びパスワードをAPサーバ40へ送信するようにしてもよい。この場合、認証情報入力画面内の対応する入力欄への利用者ID及びパスワードの設定・表示は省略してもよいし、認証情報入力画面自体の表示も省略してもよい。上記態様において、利用者ID及びパスワードをAPサーバ40へ送信する処理も本発明の処理手段による処理の一例である。
【0072】
更に、上記では、ルール情報テーブルのうちの接続先別ルールテーブルに、個々の接続先毎に、接続先情報(接続先URL)及び入力情報の種別(利用者ID及びパスワード)と対応付けてルール情報を登録する態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、接続先の個々のAPサーバ40が配信する個々の認証情報入力画面に画面ID等を各々付与しておくと共に、個々の認証情報入力画面内の個々の認証情報入力欄(例えば利用者ID又はパスワードの入力欄)に入力欄IDを各々付与しておき、認証情報入力画面の情報として、対応する画面ID及び入力欄IDを埋め込んだ情報を配信するようにAPサーバ40を構成する等の場合には、画面IDと入力欄IDの組み合わせを入力情報の種別として用い、接続先情報(接続先URL)、及び、画面IDと入力欄IDの組み合わせと対応付けてルール情報テーブルにルール情報を登録しておくようにしてもよい。この場合、APサーバ40から配信された認証情報入力画面の情報から画面ID及び入力欄IDを抽出し、接続先URLと、抽出した画面IDと入力欄IDの組み合わせと、に対応するルール情報をルール情報テーブルから読み出し、読み出したルール情報に従って認証情報(例えば利用者ID又はパスワード)の生成を行うことができる。この態様は請求項3記載の発明の一例である。
【0073】
また、上記ではAPサーバ40を利用するサービスの提供を受ける利用者が、画像読取印刷装置14の操作パネル22を操作する態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば利用者が、サービスの提供を受けるための指示や認証情報の入力を端末装置26介して行い、ネットワーク12経由で上記の指示や認証情報を受信した画像読取印刷装置14がAPサーバ40に接続する態様において、画像読取印刷装置14は、接続先及び入力情報の種別に対応するルール情報に基づいて認証情報を生成し、APサーバから情報が配信された認証情報入力画面内の入力欄内に生成した認証情報を設定した画面を端末装置26へ配信したり、生成した認証情報をAPサーバ40へ送信し、その結果を端末装置26へ配信する処理を行うようにしてもよい。
【0074】
また、上記では本実施形態に係る画像読取印刷装置14を本発明に係る情報入力支援装置として機能させる態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものでもなく、例えば複数の利用者によって各々使用されるPCや携帯端末等の電子機器を本発明に係る情報入力支援装置として機能させ、これらの電子機器が、接続先から認証情報を要求された場合に、接続先及び入力情報の種別に対応するルール情報に基づいて認証情報を生成し、接続先から配信された認証情報入力画面の認証情報入力欄内に生成した認証情報を設定したり、生成した認証情報を接続先へ送信する処理を行うようにしてもよい。この場合、本発明の識別手段としては、個々の利用者が電子機器の使用を開始する際に入力した利用者識別情報に基づいて利用者を識別する構成を採用することができる。
【0075】
また、上記では画像読取印刷装置14とネットワーク12を介して接続された管理サーバ36の記憶部に利用者属性情報テーブルを記憶させることで、管理サーバ36の記憶部を請求項1等に記載の第1記憶手段の一例として用いていたが、これに限定されるものではなく、画像読取印刷装置14の記憶部16Cに利用者属性情報テーブルを記憶させることで、画像読取印刷装置14の記憶部16Cを第1記憶手段の一例として用いる構成を採用することも可能である。
【0076】
更に、上記では本発明における入力情報の一例として認証情報を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、利用者による任意の情報の入力に適用可能である。特に、先に説明したように入力情報の種別として画面IDと入力欄IDの個々の組み合わせを用いる態様は、認証情報入力画面以外の入力画面や認証情報入力欄以外の情報入力欄にも容易に拡張可能であり、利用者による認証情報以外の任意の情報の入力にも好適である。
【0077】
また、上記では本発明に係る情報入力支援プログラムの一例としてのAPサーバ接続プログラムが画像読取印刷装置14の本体制御部16の記憶部16Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る情報入力支援プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 コンピュータ・システム
14 画像読取印刷装置
16 本体制御部
16C 記憶部
22 操作パネル
22B 操作部
22A 表示部
24 カードリーダ
36 管理サーバ
40 APサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を識別する識別手段と、
利用者の属性情報を複数の利用者について各々記憶する第1記憶手段から前記識別手段によって識別された利用者に対応する属性情報を取得すると共に、利用者の属性情報から入力情報を生成するためのルールを表すルール情報を、入力情報の送信先及び入力情報の種別と対応付けて各々記憶する第2記憶手段から、入力情報の送信先及び入力情報の種別に対応するルール情報を取得し、取得した前記属性情報及び前記ルール情報に基づいて前記識別された利用者に対応する前記入力情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された前記入力情報を前記送信先へ送信する処理を行う処理手段と、
を含む情報入力支援装置。
【請求項2】
前記入力情報は、指示された接続先へ接続した際に前記接続先から配信された入力画面内の認証情報入力欄への入力が要求される認証情報であり、
前記生成手段は、前記接続先から前記入力画面が配信されると、前記ルール情報を前記入力情報の送信先としての接続先及び入力情報の種別と対応付けて各々記憶する第2記憶手段から、前記入力画面の配信元の前記接続先及び前記認証情報入力欄への入力が要求された情報の種別に対応するルール情報を取得し、取得した前記属性情報及び前記ルール情報に基づいて前記入力情報としての前記認証情報を生成し、
前記処理手段は、前記生成手段によって生成された前記認証情報を、前記接続先へ送信する処理を行う請求項1記載の情報入力支援装置。
【請求項3】
前記入力情報は、指示された接続先へ接続した際に前記接続先から配信された入力画面内の認証情報入力欄への入力が要求される認証情報であり、
前記生成手段は、前記接続先から前記入力画面が配信されると、前記ルール情報を、入力情報の送信先としての接続先、及び、入力情報の種別としての、前記入力情報を入力する入力画面内の入力欄を識別する情報と対応付けて各々記憶する第2記憶手段から、前記入力画面の配信元の前記接続先及び前記配信された入力画面内の認証情報入力欄に対応するルール情報を取得し、取得した前記属性情報及び前記ルール情報に基づいて前記入力情報としての前記認証情報を生成し、
前記処理手段は、前記生成手段によって生成された前記認証情報を、前記配信された入力画面内の認証情報入力欄に入力する処理を行う請求項1記載の情報入力支援装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記第2記憶手段から取得したルール情報が、前記ルールとして、前記入力情報として用いる属性情報の種類を指定する情報である場合、前記第1記憶手段より取得した前記属性情報から、前記ルール情報が指定する種類に対応する属性情報を抽出することで、前記識別された利用者に対応する前記入力情報を生成する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の情報入力支援装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記第2記憶手段から取得したルール情報が、前記ルールとして、前記入力情報として用いる属性情報の種類と、当該属性情報の編集方法と、を指定する情報である場合、前記第1記憶手段より取得した前記属性情報から、前記ルール情報が指定する種類に対応する属性情報を抽出した後に、抽出した属性情報を前記ルール情報が指定する編集方法に従って編集することで、前記識別された利用者に対応する前記入力情報を生成する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の情報入力支援装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記入力情報の送信先及び入力情報の種別に対応するルール情報が前記第2記憶手段に記憶されていない場合に、前記第2記憶手段に記憶されている複数のルール情報が表す複数のルールを選択肢として利用者に各々提示し、提示した複数のルールの中から利用者によって選択されたルールに基づいて前記識別された利用者に対応する前記入力情報を生成すると共に、前記選択されたルールを表すルール情報を、前記入力情報の送信先及び前記入力情報の種別と対応付けて前記第2記憶手段に追加記憶させる請求項1〜請求項5の何れか1項記載の情報入力支援装置。
【請求項7】
利用者によって入力情報が入力された場合に、利用者によって入力された前記入力情報を、前記第1記憶手段から取得した、前記識別手段によって識別された利用者に対応する属性情報と照合し、利用者の属性情報から前記入力情報を生成するためのルールを生成し、生成したルールを表すルール情報を、前記入力情報の送信先及び入力情報の種別と対応付けて前記第2記憶手段に追加記憶させるルール管理手段を更に備えた請求項1〜請求項6の何れか1項記載の情報入力支援装置。
【請求項8】
前記ルール管理手段は、前記第1記憶手段から取得した、前記識別手段によって識別された利用者に対応する属性情報の中に、利用者によって入力された前記入力情報と完全一致する属性情報が存在している場合は、前記ルールとして、前記完全一致する属性情報の種類を指定するルールを生成し、前記第1記憶手段から取得した、前記識別手段によって識別された利用者に対応する属性情報の中に、利用者によって入力された前記入力情報と部分一致する属性情報が存在している場合は、前記部分一致する属性情報を利用者によって入力された前記入力情報と完全一致させるための編集方法を判断し、前記ルールとして、前記部分一致する属性情報の種類と、前記判断した編集方法と、を指定するルールを生成する請求項7記載の情報入力支援装置。
【請求項9】
コンピュータを、
利用者を識別する識別手段、
利用者の属性情報を複数の利用者について各々記憶する第1記憶手段から前記識別手段によって識別された利用者に対応する属性情報を取得すると共に、利用者の属性情報から入力情報を生成するためのルールを表すルール情報を、入力情報の送信先及び入力情報の種別と対応付けて各々記憶する第2記憶手段から、入力情報の送信先及び入力情報の種別に対応するルール情報を取得し、取得した前記属性情報及び前記ルール情報に基づいて前記識別された利用者に対応する前記入力情報を生成する生成手段、
及び、前記生成手段によって生成された前記入力情報を前記送信先へ送信する処理を行う処理手段
として機能させるための情報入力支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−187010(P2011−187010A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54467(P2010−54467)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】