説明

情報処理装置及び方法、並びにプログラム

【課題】ユーザの移動状態に応じて、適切な表示形態で地図を表示させる。
【解決手段】デジタルカメラは、3軸加速度センサ20Bから出力される3軸加速度データに基づいて振動周期を求め、特にX成分に基づいて垂直方向の振動周期を求め、振動周期に基づいてユーザの移動状態を検出する。デジタルカメラは、検出された種類のユーザの移動状態に基づいて、表示部16に表示させる地図の表示形態を設定する。デジタルカメラは、設定された表示形態で地図を表示部16に表示させる制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び方法、並びにプログラムに関し、特に、ユーザの移動状態に応じて適切な表示形態で地図を表示させることが可能になる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置の中には、車両に搭載された状態(以下、「搭載状態」と呼ぶ)のみならず、車両から取り外された状態(以下、「非搭載状態」と呼ぶ)でも使用可能なものも登場してきている。
ここで、搭載状態と非搭載状態とでは、ナビゲーション装置の移動速度、即ちナビゲーション装置で地図の確認作業を行うユーザの移動速度が大きく異なる。従って、搭載状態と非搭載状態とによらず常に同一の縮尺の地図が表示されると、ユーザにとっては、地図の確認作業が困難になってしまう。
そこで、このような地図の確認作業の困難性を軽減すべく、例えば、ナビゲーション装置が、搭載状態から非搭載状態に遷移したときに、最も詳細な地図の縮尺に変更する技術が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−286577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を採用した場合、ナビゲーション装置は、非搭載状態ではユーザは歩行中であるとして、最も詳細な地図の縮尺を常に選択するが、最も詳細な縮尺が、車両外にいるユーザにとって好適であるとは一概にいえない。
なぜならば、ナビゲーション装置の状態が非搭載状態であっても、ユーザの状態は、常に歩行中の状態であるわけではなく、その他、例えば、走行中の状態や、別の乗り物(電車やバス等)に乗車中の状態等になっているからである。
このように、ユーザの状態が歩行中の状態以外に、最も詳細な縮尺が選択されると、ユーザにとって不適な場合がある。このような場合、ユーザは、ナビゲーション装置を手動操作して、自己にとって好適な縮尺を変更する、といった煩雑で手間のかかる操作をしなければならない。
このため、単にナビゲーション装置の移動状態を考慮するだけではなく、さらに、ユーザの移動状態も考慮して、より適切な表示形態で地図を表示する技術が要求されている状況である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザの移動状態に応じて、適切な表示形態で地図を表示させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、
ユーザの移動状態の複数の種類の中から、現在のユーザ移動状態を示す種類を検出するユーザ状態検出手段と、
前記ユーザ状態検出手段により検出された種類のユーザの移動状態に基づいて、地図の表示形態を設定する表示設定手段と、
前記表示設定手段により設定された表示形態で前記地図の表示を制御する表示制御手段と、
を備える情報処理装置を提供する。
【0007】
本発明の他の態様によると、上述した本発明の一態様に係る情報処理装置に対応する方法及びプログラムの各々を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの移動状態に応じて、適切な表示形態で地図を表示させることを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図2】地図表示処理を実行するための図1の情報処理装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図3】データベース用不揮発性メモリのうち、ユーザの移動状態とその検出条件とを登録(記憶)するためのテーブル(領域)の構造例である。
【図4】地図表示処理の流れを説明するフローチャートである。
【図5】表示部において表示される地図の一例を示している。
【図6】表示部において表示される地図の一例を示している。
【図7】表示部において表示される地図の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置は、例えば、GPS(Global Positioning System)機能を搭載したデジタルカメラ1により構成することができる。
【0012】
デジタルカメラ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリ12と、撮像部13と、データベース用不揮発性メモリ14と、操作部15と、表示部16と、バックライト17と、GPS部18と、GPS受信アンテナ19と、のセンサ部20と、自律航法部21と、ドライブ22と、を備える。
【0013】
CPU11は、メモリ12に記録されているプログラムに従って、後述する地図表示処理を含む各種処理を実行する。メモリ12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成されている。
【0014】
メモリ12において、ROMには、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なプログラム等が記憶されており、RAMには、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等が適宜記憶される。
【0015】
さらに、メモリ12に含まれるDRAMには、後述する撮像部13から出力された画像データや、音声データ等が一時記憶される。また、DRAMは、各種画像処理や音声処理に必要な各種データも記憶する。また、DRAMには、画像表示用の画像データの保存と読み出しを行うための表示メモリ領域も含まれている。
【0016】
撮像部13は、例えば、光学レンズ部と、イメージセンサと、を備える。
光学レンズ部は、規定された画角に含まれる被写体を撮像するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。
光学レンズ部にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
【0017】
イメージセンサは、例えば、光電変換素子や、AFE(Analog Front End)等から構成される。
光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部からシャッタ部(図示せず)を介して被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、一定時間毎に被写体像を光電変換(撮影)して画像信号を蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。
AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、デジタル信号が生成され、イメージセンサの出力信号として出力される。なお、以下、画像信号のデジタル信号を、「画像データ」と呼ぶ。
このようにして、撮像部13からは最終的に画像データが出力されて、メモリ12に供給される。
【0018】
データベース用不揮発性メモリ14は、データベースとして蓄積される各種データを記憶する。例えば、本実施形態では、データベース用不揮発性メモリ14には、地図情報と位置情報とを有する複数の地図データが、位置情報を含むメタデータと対応付けられて記憶されている。
【0019】
操作部15は、シャッタキー、電源ボタン、ズームキー、及びモード切替キー等の各種ボタンやキーから構成される。ユーザにより各種ボタンやキーが押下操作されると、押下操作されたボタンやキーに応じた操作信号が発生し、CPU11に供給される。
【0020】
表示部16は、例えば液晶ディスプレイで構成され、各種画像を表示する。例えば本実施形態では、表示部16は、デジタルカメラ1の現在位置に基づく地図を表示する。
バックライト17は、表示部16を構成する液晶ディスプレイの各液晶を、その背面から照明する。即ち、バックライト17の明るさ等の状態が変化すると、表示部16に表示されている画像の明るさ(輝度)等も変化するので、結果として、表示部16の表示状態も変化することになる。
【0021】
GPS部18は、GPS受信アンテナ19を介して、複数のGPS用衛星からのGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて、デジタルカメラ1の現在位置を示す位置情報として、緯度、経度、高度等を算出する。
【0022】
センサ部20は、3軸地磁気センサ20Aと、3軸加速度センサ20Bと、傾斜センサ20Cとを備える。
【0023】
3軸地磁気センサ20Aは、例えば外部磁界の変動に応じてインピーダンスが変化するMI素子(磁気インピーダンス素子:Magneto−Impedance element)を備えており、当該MI素子を用いて、地磁気の3軸(X,Y,Z)成分を検出し、その検出結果を示すデータを出力する。なお、3軸地磁気センサ20Aの検出結果を示すデータを、以下、「3軸地磁気データ」と呼ぶ。
【0024】
3軸加速度センサ20Bは、ピエゾ抵抗型もしくは静電容量型の検出機構を備えており、当該検出機構を用いて、加速度の3軸(X,Y,Z)成分を検出し、その検出結果を示すデータを出力する。なお、3軸加速度センサ20Bの検出結果を示すデータを、以下、「3軸加速度データ」と呼ぶ。
ここで、3軸加速度データのうち、X成分はデジタルカメラ1の垂直方向の振動周期に、Y成分はデジタルカメラ1の水平方向の振動周期に、Z成分はデジタルカメラ1の進行方向の振動周期に、それぞれ対応する。
【0025】
また、3軸加速度センサ20Bは、任意の姿勢(傾斜角度)状態においても、傾斜角度に応じて補正した3軸加速度データを出力することができる。従って、傾斜角度に応じて補正されたこの3軸加速度センサ20Bの出力するデータに対応して、可動機構を有するセンサ類、具体的には、ジャイロセンサを用いた傾斜センサ20C等から出力するデータを補正するようにする。これによって、デジタルカメラ1に遠心力等の外力がかかる動状態で使用するような場合、例えば電車や自動車等で移動中に被写体を撮影するような場合でも、正確に各種データを取得して測位演算を実行できる。
【0026】
傾斜センサ20Cは、例えば、加えられた角速度に対応した電圧値を出力する圧電振動ジャイロ等の角速度センサから構成される。
即ち、傾斜センサ20Cの検出結果が、デジタルカメラ1の傾斜そのものを示すのではなく、傾斜センサ20Cの検出結果(角速度を示す電圧値)に基づいて、デジタルカメラ1の傾斜がCPU11によって算出される。
【0027】
具体的には、CPU11は、傾斜センサ20Cから順次出力される各電圧値を積分することによって、傾斜の変化量を表わす傾斜変化量データを生成し、傾斜変化量データからデジタルカメラ1の傾斜を算出する。
CPU11は、3軸加速度センサ20Bの検出結果に基づいて、傾斜センサ20Cの検出結果を補正することで、任意の姿勢(傾斜角度)状態においても方位の計測が可能である。
【0028】
自律航法部21は、GPS部18からの位置情報の出力が途絶えた時やGPS部18を間欠駆動動作させて位置情報を出力する時にCPU11が代替的に位置情報を算出するために必要な補助的な情報(以下、「位置補助情報」と呼ぶ)を出力する。
自律航法部21は、このような位置補助情報を出力すべく、自律航法制御部21Aと、自律航法記憶部21Bと、自律航法誤差補正部21Cと、を備えている。
【0029】
自律航法制御部21Aは、3軸地磁気センサ20Aから出力された3軸地磁気データに基づいて、デジタルカメラ1の移動方向を算出する。
また、自律航法制御部21Aは、3軸加速度センサ20Bから順次出力された3軸加速度データを積分することによって、デジタルカメラ1の移動距離を算出する。
ここで、移動距離とは、所定の開始点位置から、現在のデジタルカメラ1の位置までの距離をいう。所定の開始点位置とは、自律航法制御部21Aが積分を開始した時点、換言すると、初期設定で積分が0にセットされた時点又はその後0にリセットされた時点における、デジタルカメラ1の位置をいう。
自律航法制御部21Aは、このようにして算出した移動方向及び移動距離を示す情報を、位置補助情報としてCPU11に供給する。
CPU11は、位置補助情報に基づいて、デジタルカメラ1の現在位置を示す位置情報として、緯度、経度、高度等を算出する。
なお、自律航法制御部21Aは、後述する自律航法誤差補正部21Cから供給される補正情報に基づいて、位置補助情報を補正する。この補正情報の生成には、GPS部18から位置情報が出力されているときの位置補助情報の履歴が必要になる。そこで、自律航法制御部21Aは、GPS部18から位置情報が出力されているか否かを問わず、随時、位置補助情報を出力している。
【0030】
自律航法記憶部21Bは、自律航法部21の演算結果や、その演算に必要な情報等を適宜記憶する。例えば、自律航法記憶部21Bは、自律航法制御部21Aから出力された移動補助情報、即ち、デジタルカメラ1の移動方向及び移動距離を記憶する。
【0031】
自律航法誤差補正部21Cは、センサ部20の検出結果に起因する移動補助情報(デジタルカメラ1の移動方向及び移動距離)の誤差を補正するための情報(以下、「補正情報」と呼ぶ)を生成し、自律航法制御部21Aに供給する。
この場合、自律航法制御部21Aは、補正情報を用いて、移動補助情報を補正する。これにより、センサ部20の検出結果に起因する誤差が低減した移動補助情報が得られることになる。
【0032】
例えば、センサ部20の検出結果は、温度変化の影響を受けやすい。よって、この温度変化の影響を受けたセンサ部20の検出結果に起因して、移動補助情報に誤差が生ずることになる。
そこで、自律航法誤差補正部21Cは、随時、自律航法制御部21Aにより位置補助情報として算出された移動方向及び移動距離と、GPS部18から出力された位置情報により特定される移動方向及び移動距離との差分を演算する。そして、自律航法誤差補正部21Cは、演算結果を示すデータ(以下、「差分データ」と呼ぶ)を補正情報として、当該差分データが得られたときの温度や温度変化量と対応付けて、自律航法記憶部21Bに記憶する。
この場合、自律航法制御部21Aは、移動方向及び移動距離を演算する際に、その時点の温度に対応する差分データを補助情報として、自律航法記憶部21Bから取得する。そして、自律航法制御部21Aは、補正情報を用いて、移動補助情報を補正する。これにより、センサ部20の検出結果に起因する誤差が低減した移動補助情報が得られることになる。
【0033】
ドライブ22には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなるリムーバブルメディア23が適宜装着される。ドライブ22によってリムーバブルメディア23から読み出されたプログラムが、必要に応じてメモリ12やデータベース用不揮発性メモリ14等にインストールされる。また、リムーバブルメディア23は、データベース用不揮発性メモリ14の代わりに、複数の地図データを、メタデータと対応付けて記憶することができる。また、リムーバブルメディア23は、メモリ12等に記憶されている画像データ等の各種データも、同様に記憶することができる。
【0034】
このような構成を有するデジタルカメラ1は、次のような一連の処理を実行することができる。
【0035】
即ち、デジタルカメラ1は、3軸加速度センサ20Bから出力される3軸加速度データに基づいて振動周期を求め、特にX成分に基づいて垂直方向の振動周期を求め、振動周期に基づいてユーザの移動状態を検出する。
ここで、検出可能なユーザの移動状態として複数の種類存在し、これらの複数の種類の中から、現在のユーザの移動状態に適した種類が検出される。
デジタルカメラ1は、検出された種類のユーザの移動状態に基づいて、表示部16に表示させる地図の表示形態を設定する。具体的には、本実施形態では、デジタルカメラ1は、ユーザの移動状態に基づいて、表示部16に表示させる地図の縮尺を設定する。
デジタルカメラ1は、設定された表示形態で地図を表示部16に表示させる制御を実行する。
このような一連の処理を、以下、「地図表示処理」と呼ぶ。
このような地図表示処理が実行されることで、ユーザの移動状態にとって好適な表示形態の地図、具体的には本実施形態では、好適な縮尺の地図が表示部16に表示される。
【0036】
図2は、このような地図表示処理を実行するためのデジタルカメラ1の機能的構成を示す機能ブロック図である。
図2においては、図1のデジタルカメラ1の構成のうち、CPU11と、データベース用不揮発性メモリ14と、表示部16と、バックライト17と、GPS部18と、センサ部20と、のみが図示されている。
CPU11は、ユーザ状態検出部31と、表示設定部32と、表示制御部33と、を備えている。
データベース用不揮発性メモリ14は、地図データベース41(以下、「地図DB41」と呼ぶ)と、文字フォントデータベース42(以下、「文字フォントDB42」と呼ぶ)と、を備えている。
【0037】
ユーザ状態検出部31は、センサ部20の3軸加速度センサ20Bから出力される3軸加速度データを取得する。
ユーザ状態検出部31は、3軸加速度データに基づいて振動周期を求め、そのうちの主に垂直方向の振動周期(X成分から求められた振動周期)を用いて、ユーザの移動状態を検出する。
なお、このようにしてユーザ状態検出部31がユーザの移動状態を検出するまでに実行する一連の処理を、以下、「状態検出処理」と呼ぶ。
例えば本実施形態では、図3のテーブルに基づきユーザの移動状態を検出する処理が、状態検出処理として採用されている。
【0038】
図3は、データベース用不揮発性メモリ14のうち、ユーザの移動状態とその検出条件とを登録(記憶)するためのテーブル(領域)の構造例を示している。
【0039】
ここで、状態検出処理により検出され得るユーザの移動状態の種類は、特に限定されないが、少なくとも複数の種類が必要である。そこで、本実施形態では、図3に示すように、4種類の移動状態、即ち、停止状態、歩行状態、走行状態、及びその他の状態が、状態検出処理により検出され得るようになっている。
【0040】
図3の例では、テーブルは行列構造を有しているため、以下、図3中横方向の項目の集合体を「行」と呼び、同図中縦方向の項目の集合体を「列」と呼ぶ。
図3において、♯Kは、行番号Kを示している。ここで、第K行には、ユーザの移動状態の所定の種類が対応付けられている。従って、Kとは、検出され得る移動状態の種類の総数以下のうちの、何れかの整数値である。即ち、図3の例では、検出され得る移動状態の種類の総数は4種類であるため、1乃至4のうちの何れかの整数値がKとなる。
【0041】
図3の例では、K行目の第1列目の「ユーザの移動状態」の項目には、当該K行に対応する種類のユーザの移動状態が登録(記憶)される。
K行目の第2列目の「認識条件」の項目には、当該K行に対応する種類のユーザの移動状態が検出されるための条件、即ち、当該K行目の第1列目に登録(記憶)されたユーザの移動状態が検出されるための条件が登録(記憶)される。
【0042】
具体的には、1行目の第1列目には“停止状態”が記憶され、当該1行目の第2列目には、“3軸加速度センサ20Bにより加速度が検出されない”という条件が記憶されている。
ここで、“3軸加速度センサ20Bにより加速度が検出されない”という条件は、センサ部20の3軸加速度センサ20Bから出力される3軸加速度データの各成分が、略0である場合に満たされ、それ以外の場合満たされない。
従って、3軸加速度データの各成分が、略0である場合、“3軸加速度センサ20Bにより加速度が検出されない”という条件が満たされて、ユーザの移動状態は“停止状態”であると認識されることになる。
【0043】
同様に、2行目の第1列目には“歩行状態”が記憶され、当該2行目の第2列目には、“3軸加速度センサ20Bにより垂直方向の振動周期が2Hzを検出”という条件が記憶されている。
ここで、“3軸加速度センサ20Bにより垂直方向の振動周期が2Hzを検出”という条件は、センサ部20の3軸加速度センサ20Bから出力される3軸加速度データのうちX成分に基づいて求められた振動周期、即ち垂直方向の振動周期が略2Hzである場合に満たされ、それ以外の場合満たされない。
従って、3軸加速度データのうちX成分から求められた垂直方向の振動周期が、略2Hzである場合、“3軸加速度センサ20Bにより垂直方向の振動周期が2Hzを検出”という条件が満たされて、ユーザの移動状態は“歩行状態”であると認識される。
【0044】
同様に、3行目の第1列目には“走行状態”が記憶され、当該3行目の第2列目には、“3軸加速度センサ20Bにより垂直方向の振動周期が2Hzを超えて検出”という条件が記憶されている。
ここで、“3軸加速度センサ20Bにより垂直方向の振動周期が2Hzを超えて検出”という条件は、センサ部20の3軸加速度センサ20Bから出力される3軸加速度データのうちX成分に基づいて求められた振動周期、即ち垂直方向の振動周期が2Hz以上である場合に満たされ、それ以外の場合満たされない。
従って、3軸加速度データのうちX成分から求められた垂直方向の振動周期が、2Hz以上である場合、“3軸加速度センサ20Bにより垂直方向の振動周期が2Hzを超えて検出”という条件が満たされて、ユーザの移動状態は“走行状態”であると認識される。
【0045】
同様に、4行目の第1列目には“その他の状態”が記憶され、当該4行目の第2列目には、“3軸加速度センサ20Bにより、垂直方向の振動周期が少なく、水平方向の振動周期が所定の値を超えて検出、かつ、検出後、逆の加速度(停止動作)が検出されない”という条件が記憶されている。
ここで、“3軸加速度センサ20Bにより、垂直方向の振動周期が少なく、水平方向の振動周期が所定の値を超えて検出、かつ、検出後、逆の加速度(停止動作)が検出されない”という条件は、センサ部20の3軸加速度センサ20Bから出力される3軸加速度データのうちX成分に基づいて求められた振動周期、即ち垂直方向の振動周期が少量に規定された特定の振動周期以下であり、センサ部20の3軸加速度センサ20Bから出力される3軸加速度データのうちY成分に基づいて求められた振動周期、即ち水平方向の振動周期が所定の振動周期以上であり、かつ、センサ部20の3軸加速度センサ20Bから出力されるY成分の3軸加速度データを検出後、検出したY成分とは逆の方向に働く3軸加速度データを検出されない場合に満たされ、それ以外の場合満たされない。
従って、3軸加速度データのうちX成分から求められた垂直方向の振動周期が、特定の振動周期以下であり、3軸加速度データのうちY成分から求められた水平方向の振動周期が、所定の値以上であり、かつ、センサ部20の3軸加速度センサ20Bから出力されるY成分の3軸加速度データを検出後、検出したY成分とは逆の方向に働く3軸加速度データを検出されない場合、“3軸加速度センサ20Bにより、垂直方向の振動周期が少なく、水平方向の振動周期が所定の値を超えて検出、かつ、検出後、逆の加速度(停止動作)が検出されない”という条件が満たされて、ユーザの移動状態は“その他の状態”であると認識される。
【0046】
ユーザ状態検出部31は、このようにして図3のテーブルを用いる状態検出処理を実行すると、その処理結果、即ち、検出したユーザの移動状態を表示設定部32に供給する。
【0047】
表示設定部32は、このようなユーザの移動状態の他、デジタルカメラ1の現在位置を示す位置情報も供給される。
【0048】
表示設定部32は、このようにして供給されたユーザの移動状態や位置情報に基づいて、表示部16で表示させる地図の表示形態を設定する。例えば、表示設定部32は、地図の縮尺、地図の文字サイズ、バックライト17の点灯状態等の表示形態を設定する。
【0049】
具体的には、地図のデータの詳細については後述するが、本実施形態では、少なくとも「詳細」と「通常」との各々の地図のデータが地図DB41に記憶されているものとする。即ち、地図の縮尺として、少なくとも「詳細」と「通常」との2段階のレベルが存在するものとする。そして、ユーザの移動情報のうち、歩行状態及び走行状態に対して「詳細」が対応付けられており、停止状態及びその他の状態に対して「通常」が対応付けられているものとする。
この場合、表示設定部32は、ユーザの移動状態が歩行状態や走行状態であるときには、地図の縮尺を「詳細」に設定する。
これに対して、表示設定部32は、ユーザの移動状態が停止状態やその他の状態であるときには、地図の縮尺を「通常」に設定する。
【0050】
また例えば、文字フォントの詳細については後述するが、本実施形態では、少なくとも「大サイズ」と「通常サイズ」との各々の文字フォントが文字フォントDB42に記憶されているものとする。即ち、地図の文字のサイズとして、少なくとも「大サイズ」と「通常サイズ」との2つのサイズが存在するものとする。そして、ユーザの移動情報のうち、走行状態に対して「大サイズ」が対応付けられるており、歩行状態、停止状態、及びその他の状態に対して「通常サイズ」が対応付けられているものとする。
この場合、表示設定部32は、ユーザの移動状態が走行状態である場合には、地図の文字サイズを「大サイズ」を設定する。
これに対して、表示設定部32は、ユーザの移動状態が歩行状態、停止状態又はその他の状態である場合には、地図の文字サイズを「通常サイズ」を設定する。
【0051】
また例えば、表示設定部32は、バックライト17の点灯状態として、ユーザの移動状態に対応する点灯状態を設定することによって、結果として、地図の表示形態を設定することができる。
即ち、バックライト17の点灯状態が変化すると、その変化に応じて、表示部16の表示形態(明るさ等の形態)が変化する。よって、バックライト17の点灯状態を設定することは、地図の表示形態(明るさ等の形態)を設定することに他ならない。
ここで、バックライト17の点灯状態の設定は、特に限定されず、バックライト17の明るさ(輝度)を変化させる設定でもよいし、バックライト17の点滅の周期やタイミングを変化させる設定でもよいし、バックライト17の発光色を変化させる設定でもよい。バックライト17の発光色を変化させる手法としては、例えば、相互に異なる色を発光させる蛍光灯等を複数用意し、複数の蛍光灯等の各々の明るさ(輝度)の比率を変化させる手法等を採用することができる。
また、バックライト17の点灯状態とユーザの移動状態との対応付けも、特に限定されない。例えば、上述のようにユーザの移動状態は、加速度や振動周期を用いることによって、ある程度分類することができる。そこで、バックライト17の点灯状態と、加速度や振動周期とを対応付けることによって、結果として、バックライト17の点灯状態とユーザの移動状態とを対応付けることができる。例えば、バックライト17を点滅させる場合には、点灯タイミングが、垂直方向加速度が最小時となるように、バックライト17の点灯状態と、加速度や振動周期とを対応付けることができる。
【0052】
表示設定部32は、このようにして地図の表示形態を設定すると、その設定内容に応じた地図情報(地図のデータ等)を地図DB41から取得するとともに、その設定内容に応じた文字サイズの文字フォントを文字フォントDB42から取得する。取得された地図情報や文字フォントは、表示制御部33に供給される。また、表示設定部32は、バックライト17の点灯状態の設定内容も表示制御部33に供給する。
【0053】
表示制御部33は、表示設定部32から供給された地図情報や文字フォントに基づいて、表示設定部32により設定された表示形態で、地図を表示部16に表示させる。
表示制御部33はまた、表示設定部32から供給された設定内容に基づいて、即ち表示設定部32により設定された点灯状態で、バックライト17の点灯を制御する。
【0054】
地図DB41には、本実施形態では、地表の状態を一定の割合で縮尺して平面上に表した地図のデータと、当該地図上の緯度、経度及び高度を示す位置情報とを少なくとも含む情報が、地図情報として記憶されている。
なお、地図のデータの形式としては、一般的にベクター地図とラスター地図とが採用されているが、本実施形態においては、ベクター地図を採用した場合について説明する。
ベクター地図とは、地図の中で道路や施設、文字等のオブジェクトに対応する表示用のデータが、地図の他の要素を表す表示用のデータから予め分離されている地図のデータをいう。さらに、ベクター地図の各オブジェクトに対応する表示用のデータは有向線分のデータ、又はベクトルデータの集合体で構成され、道幅や規模等に対応するオブジェクトに関連する属性情報が付加されている。
また、本実施形態では、このようなベクター地図を構成する要素(データ)のうち、文字のオブジェクトを構成する文字フォントが、文字フォントDB42に記憶されている。文字フォントは、上述した「大サイズ」と「通常サイズ」とを少なくとも含む複数の文字サイズ毎に、文字フォントDB42に記憶されている。
このベクター地図による表示処理は一般的な技術なので詳細な説明は省略するが、表示設定部32は、例えば、ユーザの移動状態に対応する縮尺に基づいて地図範囲を設定する。そして、表示設定部32は、各道路や施設に付加されている道幅や規模を示す属性情報に基づいて、地図範囲に応じた表示対象オブジェクトを選択して、選択した表示対象オブジェクトを含む地図情報を地図DB41から取得する。また、表示設定部32は、文字のオブジェクトを生成すべく、ユーザの移動状態に対応する文字サイズの文字フォントを文字フォントDB42から取得する。
【0055】
次に、図4を参照して、デジタルカメラ1の処理のうち、このような図2の機能的構成により実現される処理(以下、「地図表示処理」と呼ぶ)について説明する。
図4は、地図表示処理の流れを説明するフローチャートである。
なお、図4の地図表示処理では、説明の便宜上、地図の表示形態の設定として、地図の縮尺と文字サイズのみが設定され、バックライト17の点灯状態の設定は省略されている。
【0056】
例えば、地図表示処理は、本実施形態では、デジタルカメラ1の動作モードとしてGPSモードに切り替えられたことを契機として開始し、その後、所定時間の間隔毎に繰り返し実行される。
ここで、GPSモードとは、デジタルカメラ1の動作モードの1つであり、デジタルカメラ1の現在位置等が示された地図を表示部16に表示させるモードをいう。上述したように、操作部15には、デジタルカメラ1の動作モードを切り替える指示を行うモード切替キーが含まれている。即ち、ユーザは、当該モード切替キーを押下操作することによって、GPSモードに切り替える指示をすることができる。従って、このような指示がなされて、GPSモードに切り替えられると、地図表示処理は開始して、次のようなステップS11乃至S20の処理が実行される。
【0057】
ステップS11において、ユーザ状態検出部31は、センサ部20の検出結果に基づいてユーザの移動状態を検出する。
具体的には、本実施形態では、センサ部20の検出結果とは、上述したように、3軸加速度センサ20Bから出力される3軸加速度データである。そこで、ユーザ状態検出部31は、3軸加速度データから振動周期を求め、そのうちの特に垂直方向の振動周期(X成分から求められた振動周期)に基づいて、ユーザの移動状態を検出する。
検出されたユーザの移動状態は、ユーザ状態検出部31から表示設定部32に供給される。
【0058】
ステップS12において、表示設定部32は、GPS部18から出力された現在位置の位置情報を取得する。
【0059】
ステップS13において、表示設定部32は、ステップS11の処理でユーザ状態検出部31により検出されたユーザの移動状態は、歩行状態であるか否かを判定する。
【0060】
ユーザの移動状態は歩行状態である場合、ステップS13において、YESであると判定されて、処理はステップS14に進む。
【0061】
ステップS14において、表示設定部32は、地図の縮尺を「詳細」に設定し、地図の文字サイズを「通常サイズ」に設定する。
このようにして、ユーザの移動状態が歩行状態である場合には、ユーザの歩行速度に適切な縮尺である「詳細」が設定される。即ち、ユーザは、歩行時には移動速度が遅くなるため、周辺の詳細な情報が必要となることから、地図の縮尺として「詳細」が設定される。これにより、歩行時に利便性が高い地図の表示が実現可能になる。
なお、ステップS14において、地図の縮尺と文字サイズを設定したが、ユーザが、ステップS14の前で、地図の縮尺を「詳細」に設定した場合には、地図の文字サイズだけを「通常サイズ」に設定する。
【0062】
これに対して、ユーザの移動状態は歩行状態ではない場合、即ち、停止状態、走行状態、又はその他の状態である場合、ステップS13において、NOであると判定されて、処理はステップS15に進む。
【0063】
ステップS15において、表示設定部32は、ステップS11の処理でユーザ状態検出部31により検出されたユーザの移動状態は、走行状態であるか否かを判定する。
【0064】
ユーザの移動状態が走行状態である場合、ステップS15において、YESであると判定されて、処理はステップS16に進む。
【0065】
ステップS16において、表示設定部32は、地図の縮尺を「詳細」に設定し、地図の文字サイズを「大サイズ」に設定する。
このようにして、ユーザの移動状態が走行状態である場合には、ユーザの走行速度に適切な縮尺である「詳細」が設定される。即ち、ユーザは、走行時にはユーザの移動速度が比較的遅くなるため、周辺の詳細な情報が必要となることから、地図の縮尺として「詳細」が設定される。これにより、走行時に利便性が高い地図の表示が実現可能になる。さらに、走行時には振動により地図上の文字の視認性が悪化するため、地図上に表示される文字のサイズを「大サイズ」に変更することで、走行時においても視認性が高い地図の表示が実現可能になる。
【0066】
これに対して、ユーザの移動状態が走行状態ではない場合、即ち、停止状態又はその他の状態の場合、ステップS15において、NOであると判定されて、ステップS17に進む。
【0067】
ステップS17において、表示設定部32は、地図の縮尺を「通常」に設定し、地図の文字サイズを「通常サイズ」に設定する。
この処理では、ユーザの移動状態が歩行状態でも走行状態でもない場合には、地図の縮尺を通常時の縮尺に設定することにより、車や電車等乗り物の移動スピード、又は停止時に最適な縮尺に戻すことができる。
また、さらに、ユーザの移動状態が歩行状態でも走行状態でもない場合には、文字のサイズを通常の文字サイズに戻すことにより、地図上に表示される文字の視認性を向上することができる。
即ち、車や電車等乗り物に乗っているとき、又は、停止時には、地図のデフォルトの状態に変更することで、地図全体を把握するのに利便性が高い地図の表示を行うことができる。さらに、車や電車に乗っているとき、又は、停止時には、振動による影響を受けにくいので、地図上に表示される文字のサイズを通常時に変更することで、広範囲の地図を見ることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0068】
ステップS14、ステップS16又はステップS17の処理で、地図の縮尺及び文字サイズが設定されると、処理はステップS18に進む。
【0069】
ステップS18において、表示設定部32は、ステップS14、ステップS16又はステップS17の処理で設定された地図の縮尺に基づき、対応する地図情報を地図DB41から取得する。
具体的には、表示設定部32は、ステップS12の処理において取得された位置情報に基づいて、現在位置を含む地図を認識し、当該地図の中で、設定された縮尺の地図のデータを含む地図情報を地図DB41から取得する。
【0070】
ステップS19において、表示設定部32は、ステップS14、ステップS16又はステップS17の処理で設定された地図の文字サイズに基づき、対応する文字サイズの文字フォントを文字フォントDB42から取得する。
【0071】
ステップS20において、表示制御部33は、ステップS18の処理で取得された地図情報及びステップS19の処理で取得された文字フォントに基づき、地図を表示部16に表示させる。これにより、本実施形態では、図5乃至図7に示すように、ユーザの移動状態に適した表示形態で、地図が表示部16に表示される。
【0072】
図5乃至図7は、表示部16において表示される地図の一例を示している。
【0073】
図5は、表示部16において表示される地図の一例として、地図の縮尺が「通常」に設定され、地図の文字サイズが「通常サイズ」に設定された場合の地図51を示している。
即ち、図5には、ユーザの移動状態が、歩行状態でも走行状態でもない場合、即ち、停止状態又はその他の状態の場合に、表示部16に表示される地図51が示されている。
地図51において、領域61は、地図の縮尺が「詳細」の場合に表示される地理的範囲を示している。このように、地図の縮尺が「通常」である地図51のサイズは、地図の縮尺が「詳細」の場合と比較して、表示される地理的範囲が広くなっていることがわかる。
また、図5の例の地図51には、建物の名称を示す文字が複数表示されている。これらの文字のサイズは、「通常のサイズ」、例えば14ポイントとされている。
【0074】
図6は、表示部16において表示される地図の一例として、地図の縮尺が「詳細」に設定され、地図の文字サイズが「通常サイズ」に設定された場合の地図52を示している。
即ち、図6には、ユーザの移動状態が歩行状態である場合に、表示部16に表示される地図52が示されている。
地図52は、地図の縮尺が「通常」である場合に表示される地図51の領域61に相当する地理的範囲が示されている。このように、地図の縮尺が「詳細」である地図52のサイズは、地図の縮尺が「通常」の場合と比較して、表示される地理的範囲が狭くなっていることがわかる。
また、図6の例の地図52には、建物の名称を示す文字が複数表示されている。これらの文字のサイズは、「通常のサイズ」、例えば14ポイントとされている。
【0075】
図7は、表示部16において表示される地図の一例として、地図の縮尺が「詳細」に設定され、地図の文字サイズが「大サイズ」に設定された場合の地図53を示している。
即ち、図7には、ユーザの移動状態が走行状態である場合に、表示部16に表示される地図53が示されている。
地図53は、地図の縮尺が「通常」である場合に表示される地図51の領域61に相当する地理的範囲が示されている。このように、地図の縮尺が「詳細」である地図53のサイズは、地図の縮尺が「通常」の場合と比較して、表示される地理的範囲が狭くなっていることがわかる。
また、図7の例の地図53には、建物の名称を示す文字が複数表示されている。これらの文字のサイズは、「大サイズ」、例えば28ポイントとされている。
【0076】
図4のステップS20の処理において、図5乃至図7に示すような地図が表示されると、地図表示処理は終了となる。
【0077】
その後、このような地図表示処理は、所定の時間間隔毎に繰り返し実行される。従って、刻々と変化するユーザの移動状態に応じて、地図の表示形態も刻々と変化していく。例えば、ユーザの移動状態が停止状態から歩行状態に遷移し、さらに走行状態に遷移するような場合、ユーザの移動状態が遷移する毎に、上述した図5乃至図7の各地図が表示部16に順次表示されていく。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のデジタルカメラ1は、ユーザ状態検出部31と、表示設定部32と、表示制御部33と、を備えている。
ユーザ状態検出部31は、ユーザの移動状態の複数の種類の中から、現在のユーザ移動状態を示す種類を検出する。
表示設定部32は、ユーザ状態検出部31により検出された種類のユーザの移動状態に基づいて、地図の表示形態を設定する。
表示制御部33は、表示設定部32により設定された表示形態で地図の表示を制御する。
これにより、ユーザの移動状態に応じて適切な地図の表示を自動で行うことが可能になる。
【0079】
また、ユーザ状態検出部31は、3軸加速度センサ20Bからの3軸加速度データのうち、少なくともX成分から垂直方向の振動周期を求め、当該垂直方向の振動周期に基づいてユーザの移動状態を検出する。
この場合、ユーザ状態検出部31は、ユーザの移動状態として、少なくとも歩行状態と走行状態といった2種類を明確に区別して検出することができる。よって、歩行状態に適した表示形態と、それとは別の走行状態に適した表示形態との各々で、地図をそれぞれ表示することが可能になる。
【0080】
また、表示設定部32は、ユーザ状態検出部31の検出結果に基づいて、表示制御部33により表示が制御される地図の縮尺を設定する。
例えば、ユーザの移動状態が、移動速度が遅い種類、具体的には例えば停止状態や歩行状態等の場合には、ユーザにとっては、周辺の詳細な情報が必要となることが多い。このような場合、表示設定部32は、地図の縮尺を「詳細」に設定することができる。このようにして、地図を使用するユーザの利便性の向上が図られる。
【0081】
また、表示設定部32は、ユーザ状態検出部31の検出結果に基づいて、表示制御部33により表示が制御される地図の文字サイズを設定する。
例えば、ユーザの移動状態が、振動する種類、具体的には例えば走行状態である場合、ユーザにとっては、地図上の文字の視認性が悪化することが多い。このような場合、表示設定部32は、文字サイズを「大サイズ」に設定する。このようにして、地図の視認性が向上し、その結果、地図を使用するユーザの利便性がさらに向上する。
【0082】
また、本実施形態のデジタルカメラ1は、その現在地を示す位置情報を取得可能なGPS部18をさらに備えている。
表示設定部32は、GPS部18により取得された位置情報により特定される現在位置を含む地図の表示形態を設定する。
従って、現在位置に対応する地図が表示されるので、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0083】
また、表示制御部33は、地図を、バックライト17により照明された表示部16に表示させる制御を実行する。
また、表示設定部32は、ユーザ状態検出部31の検出結果に基づいて、バックライト17の点灯状態を設定する。
従って、ユーザの移動状態に応じて適切な地図の表示を行うことが可能になる。
【0084】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0085】
例えば、上述する実施形態では、停止状態や歩行状態等の場合には、地図の縮尺を「詳細」に設定し、走行状態である場合には、文字サイズを「大サイズ」に設定するようにしたが、地図の縮尺は、変更しないで、停止、歩行、走行と移動速度が速くなるにつれて、文字サイズを徐々に「大サイズ」とするように設定してもよい。
【0086】
例えば、上述の実施形態では、自律航法制御部21Aは、3軸加速度センサ20Bから順次出力された3軸加速度データを積分することによって、デジタルカメラ1の移動距離を算出しているが、3軸加速度センサ20Bのセンサ出力に現れる上下方向の加速度の変化からユーザの歩数を計数し、これに予め設定されている歩幅データに乗算することで、移動量を算出するようにしてもよい。
【0087】
例えば、上述の実施形態では、ユーザ状態検出部31は、3軸加速度センサ20Bの出力値(3軸加速度データのX成分)から求めた垂直方向の振動周期に基づいて、ユーザの移動状態を検出しているが、ユーザの移動状態の検出手法はこれに限定されない。例えば、3軸加速度センサ20Bの出力強度に基づいてユーザの移動状態を検出する手法を採用してもよい。
【0088】
また例えば、上述した実施形態では、本発明が適用される情報処理装置は、デジタルカメラ1として構成される例として説明した。
しかしながら、本発明は、特にこれに限定されず、地図を表示する機能を有する電子機器一般に適用することができ、例えば、本発明は、携帯可能なパーソナルコンピュータ、携帯型ナビゲーション装置、ポータブルゲーム機等に幅広く適用可能である。
【0089】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0090】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0091】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディア23により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア23は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されているメモリ12やハードディスク等で構成される。
【0092】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0093】
1・・・デジタルカメラ、11・・・CPU、12・・・メモリ、13・・・撮像部、14・・・データベース用不揮発性メモリ、15・・・操作部、16・・・表示部、17・・・バックライト、18・・・GPS部、19・・・GPS受信アンテナ、20・・・センサ部、20A・・・3軸地磁気センサ、20B・・・3軸加速度センサ、20C・・・傾斜センサ、21・・・自律航法部、21A・・・自律航法制御部、21B・・・自律航法記憶部、21C・・・自律航法誤差補正部、22・・・ドライブ、23・・リムーバブルメディア、31・・・ユーザ状態検出部、32・・・表示設定部、33・・・表示制御部、41・・・地図DB、42・・・文字フォントDB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの移動状態の複数の種類の中から、現在のユーザ移動状態を示す種類を検出するユーザ状態検出手段と、
前記ユーザ状態検出手段により検出された種類のユーザの移動状態に基づいて、地図の表示形態を設定する表示設定手段と、
前記表示設定手段により設定された表示形態で前記地図の表示を制御する表示制御手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
加速度センサをさらに備え、
前記ユーザ状態検出手段は、前記加速度センサの検出結果に基づいて垂直方向の振動周期を求め、前記垂直方向の振動周期に基づいて、現在のユーザの移動状態を示す種類を検出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
加速度センサをさらに備え、
前記ユーザ状態検出手段は、前記加速度センサの出力強度に基づいて、現在のユーザの移動状態を示す種類を検出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示設定手段は、前記ユーザ状態検出手段の検出結果に基づいて、前記表示制御手段により表示が制御される地図の縮尺を設定する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示設定手段は、前記ユーザ状態検出手段の検出結果に基づいて、前記表示制御手段により表示が制御される地図の文字サイズを設定する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記地図を、バックライトにより照明された表示部に表示させる制御を実行し、
前記表示設定手段は、前記ユーザ状態検出手段の検出結果に基づいて、前記バックライトの点灯状態を設定する、
請求項1乃至5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、
前記表示設定手段は、前記位置情報取得手段により取得された位置情報により特定される現在位置を含む地図の表示形態を設定する、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
地図の表示を制御する表示制御手段を備える情報処理装置の情報処理方法であって、
ユーザの移動状態の複数の種類の中から、現在のユーザ移動状態を示す種類を検出するユーザ状態検出ステップと、
前記ユーザ状態検出ステップにより検出された種類のユーザの移動状態に基づいて、地図の表示形態を設定する表示設定ステップと、
前記表示設定ステップにより設定された表示形態で前記地図の表示を制御する表示制御ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項9】
地図の表示を制御する表示制御手段を備える情報処理装置を制御するコンピュータに、
ユーザの移動状態の複数の種類の中から、現在のユーザ移動状態を示す種類を検出するユーザ状態検出機能と、
前記ユーザ状態検出機能により検出された種類のユーザの移動状態に基づいて、地図の表示形態を設定する表示設定機能と、
前記表示設定機能により設定された表示形態で前記地図の表示を制御する表示制御機能と、
を実現させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−78273(P2012−78273A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225505(P2010−225505)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】