説明

情報提供装置及びそれを用いた走行支援システム

【課題】 データ処理量を抑えて車両接近の予測を行うことができ、表示装置の小型化が図れ、自車両との接近が予想される他車両の速度や他車両との距離がどの程度であるかを直感的に把握することが可能な警告表示を行うことができる情報提供装置を提供する。
【解決手段】 道路地図の情報を用いずに、GPSセンサ13等から得られる自車両に関する現在時刻における情報と、通信装置14を介して取得される他車両に関する現在時刻における情報とに基づいて、将来時刻において自車両に接近する可能性が高い他車両を特定するECU11と、ECU11により特定された他車両をアイコンで表示するとともに、そのアイコンの大きさにより自車両から他車両までの距離を反映させ、アイコンの背景に他車両の速度を反映した縞模様を表示する表示器12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(global positioning system)を利用して車両同士の接近を予測する情報提供装置及びそれを用いた走行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載され、車両同士の接近を予測する装置では、車両の位置を検出するためにGPSが利用され、表示装置に道路地図を表示するとともに自車両および他車両の位置を表示し、道路地図および車両の位置等の情報を用いて近い将来の車両同士の接近を予測するようにしている。
【0003】
また、特許文献1には、道路状況と車両の走行状態に応じて必要な警告を運転者に与える自動二輪車の情報提供装置が記載されている。この場合、必要な警告を与える方法として、警告のマークや文字を表示装置に表示するようにしている。
【特許文献1】特開2002−140800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の車両同士の接近を予測する装置では、表示装置に表示される道路地図の情報を用いて車両接近の予測を行うため、道路地図のように緻密な画像を表示するためには表示装置の画面はある程度の大きさが必要であり、表示装置の小型化が困難であった。また、道路地図の情報を用いて車両接近の予測を行うためには、地図上の道路の位置を車両の位置を示す座標系と同じ座標系に変換する等のデータ処理が必要となり、データ処理量が膨大な量になる。
【0005】
また、特許文献1に記載の装置では、警告のマークとして、交差車両有りの表示、対向車有りの表示等のマークが示されているが、これらの警告のマークは、ナビゲーション装置による地図等に重ねて合成表示されるため、運転者へのインパクトが薄らぐことになる。また、警告のマークを見て、他車両の速度や他車両との距離がどの程度であるかを直感的に把握することができない。また、警告のマークは、前述のように地図等に重ねて合成表示されるため、表示装置の小型化が困難である。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、データ処理量を抑えて車両接近の予測を行うことができる情報提供装置及びそれを用いた走行支援システムを提供することを目的としている。さらには、表示装置(表示手段)の小型化が図れ、運転者に対するインパクトが強く、自車両との接近が予想される他車両の速度や他車両との距離がどの程度であるかを直感的に把握することが可能な警告表示を行うことができる情報提供装置及びそれを用いた走行支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の情報提供装置は、自車両に搭載される情報提供装置であって、現在時刻における前記自車両のウィンカの作動情報を含む走行情報と、現在時刻における他車両のウィンカの作動情報を含む走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する車両接近判定処理を行う車両接近判定手段と、前記車両接近判定手段による前記車両接近判定処理の結果に基づいて前記自車両に接近する可能性の高い他車両を運転者に報知する報知手段とを備えている。
【0008】
この構成によれば、道路地図の情報を用いずに他車両が自車両に接近する可能性が高いか否かの判定(車両接近の予測)を行うことができ、車両接近判定手段におけるデータ処理量を抑えることができる。
【0009】
また、前記車両接近判定処理は、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第1の判定処理と、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略逆方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第2の判定処理と、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の後方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第3の判定処理と、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の左側から右側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第4の判定処理と、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の右側から左側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第5の判定処理とのうち、少なくとも前記第1、第2及び第3の判定処理を含んでなるようにしてもよい。
【0010】
また、前記車両接近判定処理は、前記車両接近判定処理に含まれる各々の前記判定処理において前記自車両に接近する可能性が高いと判定された他車両が複数存在する場合に、所定の条件に基づいて前記複数のうちの1つを前記自車両に接近する可能性が高い他車両に決定し、この他車両以外の前記他車両を前記自車両に接近する可能性が低いと決定する再判定処理を含んでもよい。
【0011】
この構成によれば、各判定処理により自車両に接近する可能性が高いと判定され、かつ報知される他車両が1つに決まる。
【0012】
また、前記車両接近判定処理は、複数の将来時刻において前記他車両が前記自車両に接近する可能性が高いか否かの判定を行う処理であり、前記複数の将来時刻は、現在時刻から所定時間経過するまでの間に、一定時間間隔で到来する各々の時刻からなるようにしてもよい。
【0013】
また、車両接近判定手段は、前記車両接近判定処理を一定周期で繰り返し行うようにすればよい。
【0014】
また、前記車両接近判定処理は、前記第1〜第5の全ての判定処理を含むようにしてもよい。この構成によれば、様々なケースによる他車両が自車両に接近する可能性が高いか否かの判定を行うことができる。
【0015】
また、前記第1の判定処理で用いる現在時刻における前記自車両の走行情報は前記自車両の位置、走行方向及び走行速度の情報であり、現在時刻における前記他車両の走行情報は前記他車両の位置、走行方向及び走行速度の情報と左右のウィンカの作動情報であり、前記第2の判定処理で用いる現在時刻における前記自車両の走行情報は前記自車両の位置、走行方向及び走行速度の情報と右または左のウィンカの作動情報であり、現在時刻における前記他車両の走行情報は前記他車両の位置、走行方向及び走行速度の情報と右または左のウィンカの作動情報であり、前記第3の判定処理で用いる現在時刻における前記自車両の走行情報は前記自車両の位置、走行方向及び走行速度の情報と左右のウィンカの作動情報であり、現在時刻における前記他車両の走行情報は前記他車両の位置、走行方向及び走行速度の情報であり、前記第4の判定処理及び前記第5の判定処理のそれぞれで用いる現在時刻における前記自車両の走行情報は前記自車両の位置、走行方向及び走行速度の情報であり、現在時刻における前記他車両の走行情報は前記他車両の位置、走行方向及び走行速度の情報であるようにすればよい。
【0016】
ここで、車両が左側通行である交通規則の場合には、第2の判定処理において、自車両の右のウィンカの作動情報と他車両の右のウィンカの作動情報を用い、車両が右側通行である交通規則の場合には、第2の判定処理において、自車両の左のウィンカの作動情報と他車両の左のウィンカの作動情報を用いるようにする。
【0017】
また、ここで、前記第1〜第5の判定処理は、現在時刻における前記自車両の位置、走行方向及び走行速度の情報から、将来時刻における前記自車両の位置、走行方向及び走行速度を推定するとともに、現在時刻における前記他車両の位置、走行方向及び走行速度の情報から、将来時刻における前記他車両の位置、走行方向及び走行速度を推定し、これらの推定結果に基づいて前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定するようにすればよい。
【0018】
また、前記自車両の位置を検出する位置検出手段と、前記自車両の走行方向を検出する方向検出手段と、前記他車両の左右のウィンカの作動情報及び位置の情報を受信する通信手段と、前記通信手段で受信される前記他車両の位置の情報から前記他車両の走行方向及び走行速度を算出する演算手段とを備え、前記車両接近判定手段は、前記自車両の車両本体から前記自車両の左右のウィンカの作動情報及び走行速度の情報を取得するように構成されてあってもよい。
【0019】
また、前記自車両の位置を検出する位置検出手段と、前記自車両の走行方向を検出する方向検出手段と、前記他車両の左右のウィンカの作動情報と位置及び走行方向の情報とを受信する通信手段と、前記通信手段で受信される前記他車両の位置の情報から前記他車両の走行速度を算出する演算手段とを備え、前記車両接近判定手段は、前記自車両の車両本体から前記自車両の左右のウィンカの作動情報及び走行速度の情報を取得するように構成されてあってもよい。
【0020】
また、前記自車両の位置を検出する位置検出手段と、前記自車両の走行方向を検出する方向検出手段と、前記他車両の左右のウィンカの作動情報と位置及び走行速度の情報とを受信する通信手段と、前記通信手段で受信される前記他車両の位置の情報から前記他車両の走行方向を算出する演算手段とを備え、前記車両接近判定手段は、前記自車両の車両本体から前記自車両の左右のウィンカの作動情報及び走行速度の情報を取得するように構成されてあってもよい。
【0021】
また、前記自車両の位置を検出する位置検出手段と、前記自車両の走行方向を検出する方向検出手段と、前記他車両の左右のウィンカの作動情報と位置、走行方向及び走行速度の情報とを受信する通信手段とを備え、前記車両接近判定手段は、前記自車両の車両本体から前記自車両の左右のウィンカの作動情報及び走行速度の情報を取得するように構成されてあってもよい。
【0022】
また、前記位置検出手段はGPSセンサを用いて構成され、前記方向検出手段は、前記GPSセンサで検出される前記自車両の位置から前記自車両の走行方向を算出する演算手段により構成されるようにしてもよい。
【0023】
また、前記位置検出手段及び前記方向検出手段はGPSセンサを用いて構成されるようにしてもよい。
【0024】
また、前記車両接近判定手段は、前記第1の判定処理を含む前記車両接近判定処理を行う前に、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とに基づいて、現在時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行する他車両を検出する第1の検出処理を行い、この処理により検出した前記他車両のみを対象にして前記第1の判定処理を行い、前記第2の判定処理を含む前記車両接近判定処理を行う前に、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とに基づいて、現在時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略逆方向に走行する他車両を検出する第2の検出処理を行い、この処理により検出した前記他車両のみを対象にして前記第2の判定処理を行い、前記第3の判定処理を含む前記車両接近判定処理を行う前に、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とに基づいて、現在時刻において前記自車両の後方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行する他車両を検出する第3の検出処理を行い、この処理により検出した前記他車両のみを対象にして前記第3の判定処理を行い、前記第4の判定処理を含む前記車両接近判定処理を行う前に、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とに基づいて、現在時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の左側から右側方向へ走行する他車両を検出する第4の検出処理を行い、この処理により検出した前記他車両のみを対象にして前記第4の判定処理を行い、前記第5の判定処理を含む前記車両接近判定処理を行う前に、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とに基づいて、現在時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の右側から左側方向へ走行する他車両を検出する第5の検出処理を行い、この処理により検出した前記他車両のみを対象にして前記第5の判定処理を行うように構成されてあってもよい。
【0025】
この構成によれば、車両接近判定手段によるデータ処理量をより低減することが可能になる。
【0026】
また、前記第1〜第5の各々の検出処理で用いる現在時刻における前記自車両の走行情報は前記自車両の位置及び走行方向の情報であり、現在時刻における前記他車両の走行情報は前記他車両の位置及び走行方向の情報であるようにすればよい。
【0027】
また、前記報知手段は、前記自車両に接近する可能性の高い他車両をアイコンとして画面に表示する表示手段であることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、道路地図の情報を用いないため、画面に地図等が表示されず、運転者が画面に表示されたアイコンを見たときのインパクトが強く、運転者に対してより効果的な情報提供が可能になる。また、表示手段は簡単な画像を表示するだけであるので、小型化することが可能である。これにより、カーナビのような大型画面の装置の搭載が困難な二輪車にも容易に搭載することが可能である。
【0029】
また、前記表示手段は、現在時刻における前記自車両の走行情報に含まれる前記自車両の位置の情報と、前記自車両に接近する可能性の高い現在時刻における他車両の走行情報に含まれる前記他車両の位置の情報とから算出される現在時刻における前記自車両と前記他車両との距離が所定距離以上であれば前記アイコンを小さく表示し、前記自車両と前記他車両との距離が前記所定距離未満であれば前記アイコンを大きく表示するように構成されてあってもよい。
【0030】
この構成によれば、アイコンの大きさにより自車両に接近する可能性の高い他車両までの距離がどの程度であるかを直感的に把握できる。
【0031】
また、前記表示手段は、前記自車両に接近する可能性の高い現在時刻における他車両の走行情報に含まれる前記他車両の走行速度の情報に基づいて、前記他車両の走行速度の速さの程度を反映した模様を前記アイコンの背景に表示するように構成されてあってもよい。
【0032】
この構成によれば、自車両に接近する可能性の高い他車両の走行速度がどの程度であるかを直感的に把握することができる。
【0033】
また、前記アイコンの背景に表示する模様はV字状の縞模様であり、前記自車両に接近する可能性の高い他車両の走行速度が所定速度以上であれば前記V字状の縞の幅及び/又は間隔を狭くし、前記他車両の走行速度が前記所定速度未満であれば前記V字状の縞の幅及び/又は間隔を広くすること、及び/又は、前記他車両の走行速度が前記所定速度以上であれば前記V字状の角度を小さくし、前記他車両の走行速度が前記所定速度未満であれば前記V字状の角度を大きくすることによって、前記他車両の走行速度の速さの程度を反映するようにしてもよい。
【0034】
この構成によれば、自車両に接近する可能性の高い他車両の走行速度がどの程度であるかを直感的に把握することができる。
【0035】
また、前記表示手段は、前記自車両に接近する可能性の高い他車両の車種の情報に基づいて、前記アイコンを前記他車両の車種を反映した形状で表示するように構成されてあってもよい。
【0036】
この構成によれば、自車両に接近する可能性の高い他車両の道路上での発見が容易になる。
【0037】
また、前記車両接近判定処理は、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第1の判定処理と、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略逆方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第2の判定処理と、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の後方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第3の判定処理と、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の左側から右側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第4の判定処理と、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の右側から左側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第5の判定処理とのうち、少なくとも前記第1、第2及び第3の判定処理を含んでなり、前記表示手段は、前記画面の表示領域を、前記車両接近判定処理に含まれる各々の前記判定処理に対応して各々の前記判定処理において前記自車両に接近する可能性が高いと判定される他車両のアイコンが表示される複数の判定表示領域を有するように分割し、それぞれの前記判定処理において判定される前記自車両と前記他車両との位置関係が、前記画面の略中央に前記自車両のアイコンが表示されると想定した場合に、想定された前記自車両のアイコンと前記判定表示領域に表示される前記他車両のアイコンとの位置関係に略反映されるように、各々の前記判定表示領域を配置するように構成されてあってもよい。
【0038】
この構成によれば、表示手段の画面を一目見て直感的に、自車両に接近する可能性の高い他車両がどの方向から接近してくるかが把握できる。
【0039】
また、前記車両接近判定処理は、前記第1〜第5の全ての判定処理を含み、前記表示手段は、前記画面の左側上部に前記第1の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側上部に前記第2の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の下部略中央に前記第3の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側の中央部ないし下部に前記第4の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側の中央部ないし下部に前記第5の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置するように構成されてあってもよい。
【0040】
この構成によれば、画面を一目見て直感的に、自車両に接近する可能性の高い他車両がどの方向から接近してくるかが把握できる(車両が左側通行である交通規則の場合)。
【0041】
また、前記車両接近判定処理は、前記第1〜第5の全ての判定処理を含み、前記表示手段は、前記画面の右側上部に前記第1の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側上部に前記第2の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の下部略中央に前記第3の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側の中央部ないし下部に前記第4の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側の中央部ないし下部に前記第5の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置するように構成されてあってもよい。
【0042】
この構成によれば、画面を一目見て直感的に、自車両に接近する可能性の高い他車両がどの方向から接近してくるかが把握できる(車両が右側通行である交通規則の場合)。
【0043】
また、本発明の他の情報提供装置は、自車両に搭載される情報提供装置であって、他車両が将来時刻において前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する車両接近判定手段と、前記車両接近判定手段による判定結果に基づいて、前記自車両に接近する可能性の高い他車両をアイコンとして画面に表示するとともに、現在時刻における前記自車両と前記他車両との距離が所定距離以上であれば前記アイコンを小さく表示し、前記自車両と前記他車両との距離が所定距離未満であれば前記アイコンを大きく表示する表示手段とを備えている。
【0044】
この構成によれば、道路地図の情報を用いないため、画面に地図等が表示されず、運転者が画面に表示されたアイコンを見たときのインパクトが強く、運転者に対してより効果的な情報提供が可能になる。また、表示手段は簡単な画像を表示するだけであるので、小型化することが可能である。これにより、カーナビのような大型画面の装置の搭載が困難な二輪車にも容易に搭載することが可能である。また、アイコンの大きさにより自車両に接近する可能性の高い他車両までの距離がどの程度であるかを直感的に把握できる。
【0045】
また、前記表示手段は、前記自車両に接近する可能性の高い他車両の現在時刻における走行速度の速さの程度を反映した模様を前記アイコンの背景に表示するように構成されてあってもよい。
【0046】
この構成によれば、自車両に接近する可能性の高い他車両の走行速度がどの程度であるかを直感的に把握することができる。
【0047】
また、前記アイコンの背景に表示する模様はV字状の縞模様であり、前記自車両に接近する可能性の高い他車両の走行速度が所定速度以上であれば前記V字状の縞の幅及び/又は間隔を狭くし、前記他車両の走行速度が前記所定速度未満であれば前記V字状の縞の幅及び/又は間隔を広くすること、及び/又は、前記他車両の走行速度が前記所定速度以上であれば前記V字状の角度を小さくし、前記他車両の走行速度が前記所定速度未満であれば前記V字状の角度を大きくすることによって、前記他車両の走行速度の速さの程度を反映するようにしてもよい。
【0048】
この構成によれば、自車両に接近する可能性の高い他車両の走行速度がどの程度であるかを直感的に把握することができる。
【0049】
また、前記表示手段は、前記自車両に接近する可能性の高い他車両の車種の情報に基づいて、前記アイコンを前記他車両の車種を反映した形状で表示するように構成されてあってもよい。
【0050】
この構成によれば、自車両に接近する可能性の高い他車両の道路上での発見が容易になる。
【0051】
また、前記車両接近判定手段は、前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第1の判定処理と、前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略逆方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第2の判定処理と、前記他車両が将来時刻において前記自車両の後方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第3の判定処理と、前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の左側から右側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第4の判定処理と、前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の右側から左側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第5の判定処理とのうちの複数の前記判定処理を行い、前記表示手段は、前記画面の表示領域を、各々の前記判定処理に対応して各々の前記判定処理において前記自車両に接近する可能性が高いと判定される他車両のアイコンが表示される複数の判定表示領域を有するように分割し、それぞれの前記判定処理において判定される前記自車両と前記他車両との位置関係が、前記画面の略中央に前記自車両のアイコンが表示されると想定した場合に、想定された前記自車両のアイコンと前記判定表示領域に表示される前記他車両のアイコンとの位置関係に略反映されるように、各々の前記判定表示領域を配置するように構成されてあってもよい。
【0052】
この構成によれば、画面を一目見て直感的に、自車両に接近する可能性の高い他車両がどの方向から接近してくるかが把握できる。
【0053】
また、前記車両接近判定手段は、前記第1〜第5の全ての判定処理を行い、前記表示手段は、前記画面の左側上部に前記第1の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側上部に前記第2の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の下部略中央に前記第3の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側の中央部ないし下部に前記第4の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側の中央部ないし下部に前記第5の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置するように構成されてあってもよい。
【0054】
この構成によれば、画面を一目見て直感的に、自車両に接近する可能性の高い他車両がどの方向から接近してくるかが把握できる(車両が左側通行である交通規則の場合)。
【0055】
また、前記車両接近判定手段は、前記第1〜第5の全ての判定処理を行い、前記表示手段は、前記画面の右側上部に前記第1の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側上部に前記第2の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の下部略中央に前記第3の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側の中央部ないし下部に前記第4の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側の中央部ないし下部に前記第5の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置するように構成されてあってもよい。
【0056】
この構成によれば、画面を一目見て直感的に、自車両に接近する可能性の高い他車両がどの方向から接近してくるかが把握できる(車両が右側通行である交通規則の場合)。
【0057】
また、本発明の走行支援システムは、自車両に搭載される上記本発明の情報提供装置と、他車両に搭載される情報送信装置とを備えた走行支援システムであって、前記情報送信装置は、前記情報提供装置で用いられる現在時刻における前記他車両の走行情報を前記他車両から検出する他車両情報検出手段と、前記他車両情報検出手段で検出された情報を送信する他車両側通信手段とを備え、前記情報提供装置は、前記他車両側通信手段から送信された情報を受信して前記車両接近判定手段へ提供する通信手段を有するように構成されている。
【0058】
この構成によれば、情報提供装置のデータ処理量を抑えて車両接近の予測を行うことができる走行支援システムを提供することができる。また、情報提供装置に備えられる表示手段の小型化が図れ、運転者に対するインパクトが強く、自車両との接近が予想される他車両の速度や他車両との距離がどの程度であるかを直感的に把握することが可能な警告表示を行うことができる走行支援システムを提供することができる。
【0059】
また、本発明の走行支援システムは、自車両に搭載される上記本発明の情報提供装置と、他車両に搭載される情報送信装置とを備えた走行支援システムであって、前記情報送信装置は、前記情報提供装置で用いられる現在時刻における前記他車両の走行情報の一部の情報を前記他車両から検出する他車両情報検出手段と、前記他車両情報検出手段で検出された情報を送信する他車両側通信手段とを備え、前記情報提供装置は、前記他車両側通信手段から送信された前記一部の情報を受信して前記車両接近判定手段へ提供する通信手段を有し、前記車両接近判定手段は前記通信手段から提供される前記一部の情報以外の現在時刻における前記他車両の走行情報を前記通信手段から提供される前記一部の情報に基づいて算出する演算処理を行うように構成されている。
【0060】
この構成によれば、情報提供装置のデータ処理量を抑えて車両接近の予測を行うことができる走行支援システムを提供することができる。また、情報提供装置に備えられる表示手段の小型化が図れ、運転者に対するインパクトが強く、自車両との接近が予想される他車両の速度や他車両との距離がどの程度であるかを直感的に把握することが可能な警告表示を行うことができる走行支援システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0061】
本発明は、以上に説明した構成を有し、データ処理量を抑えて車両接近の予測を行うことができる情報提供装置及びそれを用いた走行支援システムを提供することができる。また、表示手段の小型化が図れ、運転者に対するインパクトが強く、自車両との接近が予想される他車両の速度や他車両との距離がどの程度であるかを直感的に把握することが可能な警告表示を行うことができる情報提供装置及びそれを用いた走行支援システムを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0063】
図1は、本発明の実施の形態の情報提供装置の構成例を示すブロック図である。この情報提供装置10は、複数の各車両に搭載されており、車両接近判定手段であるECU(電子制御ユニット)11を備えている。ECU11は、CPU3、ROM4、RAM5、タイマ6、インターフェース7などからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とし、CPU3によってROM4に記憶されたコンピュータプログラムが実行されることにより、後述の動作を行う。またその動作によって発生あるいは取得され一時的に保持すべきデータ等はRAM5に記憶される。
【0064】
表示器12は、ECU11の制御によって、車両接近する可能性が高い他の車両を運転者に報知するために用いられるディスプレイである。この表示器12は、カラー表示を行うものでもよいし、モノクロ表示を行うものでもよい。
【0065】
GPS(global positioning system)センサ13は、人工衛星(GPS衛星)から発信される電波を受信して自車両の現在位置(緯度、経度)を検出するとともに、現在位置の経時的変化から自車両の走行方向の方位角(北を0度とし時計回りに計った角度)を検出するセンサであり、検出した自車両の現在位置と走行方向の方位角をECU11へ出力する。なお、走行方向の方位角については、コンパスを搭載して検出する構成のものでもよい。また、GPSセンサ13は、ジャイロスコープを搭載し、自律航法によりGPS衛星からの電波が届かない場所での現在位置を検出可能にしたものが好ましい。GPSセンサ13からECU11へ出力された自車両の現在位置と走行方向の方位角の情報は、インターフェース7を介してCPU3へ提供される。
【0066】
また、ECU11には、自車両の車両本体に設けられている車速センサ15からその車速センサ15で検出される走行速度を示す速度信号SVが入力されるとともに、自車両の車両本体の制御装置16から右折用及び右側車線に変更用のウィンカ(以下、右ウィンカという)の制御信号SR及び左折用及び左側車線に変更用のウィンカ(以下、左ウィンカという)の制御信号SLが入力される。車速センサ15からECU11へ出力された速度信号SVの情報及び制御装置16からECU11へ出力されたウィンカの制御信号SR、SLの情報は、インターフェース7を介してCPU3へ提供される。
【0067】
通信装置14は他の車両の情報提供装置と双方向無線通信を行う装置である。通信方式は、例えばブロードキャスト方式を採用することができ、その通信範囲としては、例えば半径400m程度の範囲とすることができる。例えば図1に示される情報提供装置を各車両に搭載して、各車両に関する情報を周期的に送信し、受信側の情報提供装置において運転者に車両接近する可能性が高い他の車両についての情報提供等を行うことができる。情報の送信の周期は、例えば、0.1秒とする。
【0068】
本実施の形態では、周辺の他車両にも図1と同様の情報提供装置が搭載されているものとして説明する。また、自車両及び周辺の他車両に搭載された情報提供装置は、それぞれ、搭載されている車両の情報を送信することで、車両の走行を支援する走行支援システムを構成している。ここで、各情報提供装置から送信する情報は、例えば、搭載されている車両の現在位置(緯度、経度)及び走行方向の方位角の情報と、当該車両の速度の情報と、当該車両の左右のウィンカの作動の有無の情報と、当該車両の車種(二輪車、普通車、大型車)の情報と、当該車両の識別情報(各車両に搭載されている情報提供装置の識別情報すなわち情報提供装置に予め付与されているアドレス)等が含まれる。これらの情報が、ECU11の制御により通信装置14から送信される。なお、車両の車種の情報は、予めECU11内部のROM4等に記憶されている。本実施の形態において、二輪車は、道路交通法によって規定される原動機付自転車及び自動二輪車とし、普通車は、道路交通法によって規定される普通自動車とし、大型車は、道路交通法によって規定される大型自動車及び大型特殊自動車とするが、特にこの分類に限られるものではない。
【0069】
また、以下の説明において、他車両とは、それに搭載されている情報提供装置が自車両に搭載されている情報提供装置とそれぞれの通信装置14を介して通信可能な車両である。
【0070】
図2は本実施の形態1における情報提供装置の動作を示すフローチャートである。この情報提供装置の動作は、ECU11によって制御される。
【0071】
ステップS1〜ステップS5の処理をt秒(例えば0.1秒)間隔で繰り返し行う。
【0072】
まず、ステップS1では、ECU11は現在時刻における自車両と周辺の全ての他車両の情報を取得する。ここで、前述のようにステップS1〜S5がt秒間隔で繰り返されるが、前回のステップS1〜S5の開始後から今回のステップS1〜S5の開始時点までのt秒間の間に取得される情報を、今回のステップS1で取得される現在時刻における情報とする。ECU11は、自車両の走行情報として、GPSセンサ13から自車両の位置(緯度、経度)及び走行方向の方位角の情報を取得するとともに、速度信号SVから自車両の速度の情報を取得し、さらに右ウィンカ制御信号SR及び左ウィンカ制御信号SLから左右のウィンカの作動の有無の情報を取得する。また、ECU11は、他車両の走行情報として、他車両に搭載されている同様の情報提供装置から送信される、他車両の位置(緯度、経度)及び走行方向の方位角の情報と、他車両の速度の情報と、他車両の左右のウィンカの作動の有無の情報とを、通信装置14を介して受信することにより取得する。さらに、他車両の車種(二輪車、普通車、大型車)の情報も、同様にして通信装置14を介して受信することにより取得する。
【0073】
次に、ステップS2では、ステップS1で取得された現在時刻における自車両及び各他車両の位置、速度、走行方向(方位角)の情報に基づいて、現在時刻からt秒間隔で設定されるT秒(例えば10秒)先までの各時刻(以下、将来時刻という)における自車両及び全ての他車両の位置、速度、走行方向(方位角)を予測する。ここでは、自車両及び他車両ともにT秒先まで予測する速度及び走行方向は、ステップS1で取得した速度及び走行方向がT秒先まで維持されるものとし、各将来時刻における自車両及び各他車両の位置を算出する。現在時刻をt0、t秒間隔で設定されるT秒先までの各将来時刻をtn(n=1、2、・・・、mで、m=T/t)とする。t=0.1(秒)、T=10(秒)であれば、t1、t2、・・・、t100の100の各将来時刻tnにおける自車両及び各他車両の位置を算出する。
【0074】
続いて、ステップS3では、ステップS1で取得された自車両及び各他車両の左右のウィンカの作動の有無の情報と、ステップS2で予測される自車両及び各他車両の位置、速度、走行方向とに基づいて、後述の5つのケースについて、各将来時刻tnにおける自車両と全ての他車両の各々とが接近する可能性が高いか否かについて判定する。この判定方法の詳細については、後述する。
【0075】
ステップS4では、ステップS3の結果、各ケースについて、自車両に接近する可能性の高い他車両が複数存在する場合には1つに決定する。この決定方法は、例えば、車両最接近時刻(車両が最も接近する可能性が高いと判定された将来時刻)が最も早いものを優先して決定する。また、車両最接近時刻の最も早いものが車両最接近時刻が同じで複数ある場合には、それらの中から現在時刻t0の他車両の速度に応じて決定する。さらに、速度が同じものが複数ある場合には、それらの車種に応じて決定する。この場合、二輪車を最優先し、次に普通車を優先し、その次に大型車という順に優先して決定する。さらに、車種が同じものが複数ある場合には、自車両との距離が最も近いものを優先して決定する。このように、ステップS4では、車両最接近時刻、他車両の速度、他車両の車種、自車両との距離の順に考慮して、自車両に接近する可能性の高い他車両を1つに決定する。なお、ここでは4段階で考慮するようにしているが、例えば車両最接近時刻、他車両の速度の順の2段階で考慮したり、あるいは、車両最接近時刻、他車両の速度、他車両の車種の順の3段階で考慮したり、あるいは、車両最接近時刻、他車両の速度、自車両との距離の順に3段階で考慮するようにして、自車両に接近する可能性の高い他車両を1つに決定するようにしてもよい。
【0076】
ステップS5では、ステップS3及びステップS4の結果に基づいて、自車両に接近する可能性の高い他車両を表示器12に表示する。
【0077】
なお、ステップS2及びステップS3の処理は、繰り返し処理として行うようにしてもよい。例えば、各将来時刻tnにおける自車両の位置、速度、走行方向を予測した後、各将来時刻tnにおける任意の1つの他車両の位置、速度、走行方向を予測し、各将来時刻tnにおいて前述の1つの他車両に対し自車両に接近する可能性が高いか否かの判定を後述の5つのケースについて行うことを、全ての他車両に対する判定が終了するまで繰り返すようにしてもよい。
【0078】
次に、ステップS3における判定方法について説明する。
【0079】
まず、前処理として、ステップS2で予測した、各将来時刻tnにおける自車両及び他車両の位置(緯度、経度)、走行方向を、図3に示すように、自車両の位置をxy座標の原点とし、自車両の走行方向をy軸正方向とするxy座標系に変換する。この図3に示すように、ある将来時刻における自車両1の位置の経度X0(秒)、緯度Y0(秒)、走行方向の方位角φ0(°)であり、他車両2の位置の経度Xi(秒)、緯度Yi(秒)、走行方向の方位角φi(°)である場合に、xy座標系に変換されると、他車両2の位置のx座標がxi(m)、y座標がyi(m)、自車両1の走行方向に対する他車両2の走行方向の角度(以下、他車両2の走行角度という)がθi(°)になる。これらは以下の式により算出可能である。
【0080】
xi=Kx×(Xi−X0)×cos(Kt×φ0)−Ky×(Yi−Y0)×sin(Kt×φ0)
yi=Kx×(Xi−X0)×sin(Kt×φ0)+Ky×(Yi−Y0)×cos(Kt×φ0)
θi=φi−φ0
ここで、Kxは、秒(経度)からm(長さ単位)への換算係数であり、Kyは、秒(緯度)からm(長さ単位)への換算係数であり、Ktは、度(°)からラジアン(rad)への換算係数である。
【0081】
以上のようにして算出される各将来時刻tnにおける他車両2の位置xi、yi及び走行角度θiと、各将来時刻tnにおける自車両1の速度v0及び他車両2の速度viと、現在時刻t0における自車両1及び各他車両2の左右のウィンカの作動の有無の情報とに基づいて、それぞれの他車両2について、後述のように、図4の(a)〜(e)に示される5つのケースについて自車両1に接近する可能性が高いか否かの判定を行う。なお、後述のステップS5で用いられる現在時刻t0における他車両2の位置xi、yi及び走行角度θiも、上記の各将来時刻tnにおける場合と同様にして算出すればよい。
【0082】
本実施の形態では、各将来時刻tnにおける自車両1の速度v0及び走行方向φ0は現在時刻t0における速度及び走行方向と等しいものとし、各将来時刻tnにおける他車両2の速度vi及び走行方向φiも現在時刻t0における速度及び走行方向と等しいものと推定し、このように推定することによりECU11における計算の負荷が軽減されるが、これに限られない。例えば、ECU11は、t秒間隔で取得する自車両1の速度から加速度を算出し、その加速度を考慮して各将来時刻tnにおける自車両1の速度v0を算出するようにしてもよい。同様にして、t秒間隔で取得する他車両2の速度から加速度を算出し、その加速度を考慮して各将来時刻tnにおける他車両2の速度viを算出するようにしてもよい。また、ECU11は、t秒間隔で取得する自車両1の走行方向の変動分から角速度を算出し、その角速度を考慮して各将来時刻tnにおける自車両1の走行方向φ0を算出するようにしてもよい。同様にして、t秒間隔で取得する他車両2の走行方向の変動分から角速度を算出し、その角速度を考慮して各将来時刻tnにおける他車両2の走行方向φiを算出するようにしてもよい。
【0083】
〔ケース1〕
ケース1では、図4(a)に示されるように、他車両2が自車両1の前方を自車両1と略同一方向に走行している場合であり、このケースで想定される事例は、自車両1が他車両2へ後方から接近する事例、他車両2が左折する場合に自車両1(例えば二輪車)が接近する事例、他車両2が車線変更する場合に自車両1と接近する事例である。
【0084】
〔ケース1の場合の車両接近判定条件〕
任意の他車両2の各将来時刻tnにおける位置xi、yiと走行角度θiと速度viと、その他車両2の現在時刻t0での左右のウィンカの作動情報と、自車両1の各将来時刻tnにおける速度v0とを用いて、以下の条件を満足するか否かを判定し、全て満足する場合には、その他車両2を、ケース1で想定される事例が起こる可能性が高い車両であると判定する。
(1)|xi|≦xa
(2)0≦yi≦ya
(3)|θi|≦θa
(4)vi≦v0−vdiff1、または、vi≦va
上記において、xa、ya、θa、vdiff1及びvaは、例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている設定値であり、例えば、xa=1〜30(m)、ya=10〜200(m)、θa=0〜45(°)、他車両2が右または左ウィンカを作動時にはvdiff1=0〜10(km/h)、他車両2が左右両方のウィンカを非作動時にはvdiff1=0〜20(km/h)、va=−1〜20(km/h)のそれぞれの範囲内の値に設定されている。例えば、xa=5(m)、ya=200(m)、θa=20(°)、他車両2が右または左ウィンカを作動時にはvdiff1=10(km/h)、他車両2が左右両方のウィンカを非作動時にはvdiff1=20(km/h)、va=20(km/h)に設定されている場合、他車両2の位置について|xi|が5m以下、yiが0m以上で200m以下であり、かつ走行角度θiの絶対値が20°以下であることを共通条件とし、この共通条件を満足し、かつ、他車両2の左ウィンカが作動されており、他車両2の速度viと自車両1の速度v0とが、vi≦v0−10の関係を満足するときには、左折時あるいは車線変更時の車両接近事例が想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。また、上記の共通条件を満足し、かつ、他車両2の右ウィンカが作動されており、他車両2の速度viと自車両1の速度v0とが、vi≦v0−10の関係を満足するときには、車線変更時の車両接近事例が想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。また、上記の共通条件を満足し、かつ、他車両2の左右のウィンカが作動されておらず、他車両2の速度viと自車両1の速度v0とが、vi≦v0−20の関係を満足するときには、後方から接近する事例が想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。また、上記の共通条件を満足し、かつ、他車両2のウィンカの作動の有無に関わらず他車両2の速度viが20km/h以下の低速(停止を含む)であれば、後方から接近する事例が想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。
【0085】
上記のxa、ya、θa、vdiff1及びvaの各パラメータは、現在時刻における他車両2または自車両1の速度に応じて変動するように設定されてあってもよい。
【0086】
なお、左折時の事例は、日本の交通規則のように車両が左側通行である場合に想定される事例であり、車両が右側通行である交通規則の場合には、想定されない。この場合、上記において他車両2の右ウィンカが作動されて車線変更時の車両接近事例が想定される条件の場合に、車線変更時の車両接近事例あるいは右折時の事例(自車両1の前方の他車両2が右折する場合に自車両1が接近する事例)が想定される。いずれにしても、上記の車両接近判定条件に変更はない。
【0087】
〔ケース2〕
ケース2では、図4(b)に示されるように、他車両1が自車両1と略逆方向に走行し自車両1の前方から接近してくる場合であり、このケースで想定される事例は、自車両1が直進して他車両2が右折する場合に車両接近する事例(右直事例A)、他車両2が直進して自車両1が右折する場合に車両接近する事例(右直事例B)である。
【0088】
〔ケース2の場合の車両接近判定条件〕
任意の他車両2の各将来時刻tnにおける位置xi、yiと走行角度θiと速度viと、その他車両2及び自車両1の現在時刻t0での右ウィンカの作動情報とを用いて、以下の条件を満足するか否かを判定し、全て満足する場合には、その他車両2を、ケース2で想定される事例が起こる可能性が高い車両であると判定する。
(1)|xi|≦xb、または、|xi−yi・tanθi|≦xb
(2)0≦yi≦yb
(3)|θi−180|≦θb
(4)vi≧vb
上記の(1)に記載の2つの式は、他車両2が真正面から接近する場合と斜め前方から接近する場合とを考慮したものである。上記において、xb、yb、θb及びvbは、例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている設定値であり、例えば、xb=1〜30(m)、yb=10〜200(m)、θb=0〜45(°)、他車両2が右ウィンカを作動時にはvb=0〜10(km/h)、自車両1が右ウィンカを作動時にはvb=10〜30(km/h)のそれぞれの範囲内の値に設定されている。例えば、xb=5(m)、yb=200(m)、θb=20(°)、他車両2が右ウィンカを作動時にはvb=0(km/h)、自車両1が右ウィンカを作動時にはvb=30(km/h)に設定されている場合、他車両2の位置について|xi|が5m以下または|xi−yi・tanθi|≦5であり、yiが0m以上で200m以下であり、かつ走行角度θiに関する|θi−180|の値が20°以下であることを共通条件とし、この共通条件を満足し、かつ、他車両2の右ウィンカが作動されており、他車両2の速度viが0km/h以上であれば、右直事例Aが想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。また、上記の共通条件を満足し、かつ、自車両1の右ウィンカが作動されており、他車両2の速度viが30km/h以上であれば、右直事例Bが想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。
【0089】
上記のxb、yb、θb及びvbの各パラメータは、現在時刻における他車両2または自車両1の速度に応じて変動するように設定されてあってもよい。
【0090】
なお、右直事例は、日本の交通規則のように車両が左側通行である場合に想定される事例であり、車両が右側通行である交通規則の場合には、想定されない。この場合、上記の右直事例Aが想定される車両接近判定条件において、他車両2の右ウィンカが作動される条件に代えて他車両2の左ウィンカが作動される条件を用い、その場合の車両接近判定条件を満足すれば、自車両1が直進して他車両2が左折する場合に車両接近する事例を想定して、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定するようにすればよい。また、上記の右直事例Bが想定される車両接近判定条件において、自車両1の右ウィンカが作動される条件に代えて自車両1の左ウィンカが作動される条件を用い、その場合の車両接近判定条件を満足すれば、他車両2が直進して自車両1が左折する場合に車両接近する事例を想定して、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定するようにすればよい。
【0091】
〔ケース3〕
ケース3では、図4(c)に示されるように、他車両2が自車両1の後方を自車両1と略同一方向に走行している場合であり、このケースで想定される事例は、他車両2が自車両1へ後方から接近する事例、自車両1が左折する場合に他車両2(例えば二輪車)が接近する事例、自車両1が車線変更する場合に他車両2と接近する事例である。
【0092】
〔ケース3の場合の車両接近判定条件〕
任意の他車両2の各将来時刻tnにおける位置xi、yiと走行角度θiと速度viと、自車両1の現在時刻t0での左右のウィンカの作動情報と、自車両1の各将来時刻tnにおける速度v0とを用いて、以下の条件を満足するか否かを判定し、全て満足する場合には、その他車両2を、ケース3で想定される事例が起こる可能性が高い車両であると判定する。
(1)|xi|≦xc、または、|xi−yi・tanθi|≦xc
(2)−yc≦yi≦0
(3)|θi|≦θc
(4)vi≧v0+vdiff3
上記の(1)に記載の2つの式は、他車両2が真後ろから接近する場合と斜め後方から接近する場合とを考慮したものである。上記において、xc、yc、θc及びvdiff3は、例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている設定値であり、例えば、xc=1〜30(m)、yc=10〜200(m)、θc=0〜45(°)、自車両1が右または左ウィンカを作動時にはvdiff3=0〜10(km/h)、自車両1が左右両方のウィンカを非作動時にはvdiff3=0〜20(km/h)のそれぞれの範囲内の値に設定されている。例えば、xc=5(m)、yc=200(m)、θc=20(°)、自車両1が右または左ウィンカを作動時にはvdiff3=10(km/h)、自車両1が左右両方のウィンカを非作動時にはvdiff3=20(km/h)に設定されている場合、他車両2の位置について|xi|が5m以下または|xi−yi・tanθi|≦5であり、yiが−200m以上で0m以下であり、かつ走行角度θiの絶対値が20°以下であることを共通条件とし、この共通条件を満足し、かつ、自車両1の左ウィンカが作動されており、他車両2の速度viと自車両1の速度v0とが、vi≧v0+10の関係を満足するときには、左折時あるいは車線変更時の車両接近事例が想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。また、上記の共通条件を満足し、かつ、自車両1の右ウィンカが作動されており、他車両2の速度viと自車両1の速度v0とが、vi≧v0+10の関係を満足するときには、車線変更時の車両接近事例が想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。また、上記の共通条件を満足し、かつ、自車両1の左右のウィンカが作動されておらず、他車両2の速度viと自車両1の速度v0とが、vi≧v0+20の関係を満足するときには、後方から接近する事例が想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。
【0093】
上記のxc、yc、θc及びvdiff3の各パラメータは、現在時刻における他車両2または自車両1の速度に応じて変動するように設定されてあってもよい。
【0094】
なお、左折時の事例は、日本の交通規則のように車両が左側通行である場合に想定される事例であり、車両が右側通行である交通規則の場合には、想定されない。この場合、上記において自車両1の右ウィンカが作動されて車線変更時の車両接近事例が想定される条件の場合に、車線変更時の車両接近事例あるいは右折時の事例(自車両1が右折する場合に自車両1の後方の他車両2が接近する事例)が想定される。いずれにしても、上記の車両接近判定条件に変更はない。
【0095】
〔ケース4〕
ケース4では、図4(d)に示されるように、他車両2が自車両1の前方の左側から接近してくる場合であり、このケースで想定される事例は、交差点における車両接近事例である。
【0096】
〔ケース4の場合の車両接近判定条件〕
任意の他車両2の各将来時刻tnにおける位置xi、yiと走行角度θiと速度viとを用いて、以下の条件を満足するか否かを判定し、全て満足する場合には、その他車両2を、ケース4で想定される事例が起こる可能性が高い車両であると判定する。なお、以下の(4)の条件における3600/1000は、速度viの単位(km/h)に合わせるための数値である。
(1)xi≦xd
(2)|yi|≦yd、または、|yi−xi/tanθi|≦yd
(3)|θi−90|≦θd
(4)vi≧{−(xi+xd)/td}×3600/1000
上記の(2)に記載の2つの式は、他車両2が真横(左側)から接近する場合と斜め左側から接近する場合とを考慮したものである。上記において、xd(xd≧0)、yd、θd及びtdは、例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている設定値であり、例えば、xd=0〜50(m)、yd=0〜50(m)、θd=0〜45(°)のそれぞれの範囲内の値に設定され、tdは、現在時刻t0からt秒間隔で設定されるT秒先までの各将来時刻tn(sec)に応じて可変に設定され、例えば、tdは6〜11(sec)の間で、td=6+(5/T)tnの関係式(現在時刻t0=0とする)を満足するように設定される。例えば、xd=10(m)、yd=10(m)、θd=20(°)に設定され、tdは上記の関係式を満足するように設定されている場合、他車両2の位置について、xiが10m以下であり、|yi|が10m以下または|yi−xi/tanθi|≦10であり、かつ走行角度θiに関する|θi−90|の値が20°以下であり、他車両2の走行速度vi(km/h)が上記(4)の条件を満足するときに、左側から接近する他車両2との車両接近事例が想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。なお、上記の(1)で用いるxdを、xd≧0としているのは、道路のカーブや自車両1の走行方向のぶれ等により左側から接近する他車両2を見逃さないようにするため、条件にある程度の余裕を持たせていることを示す。
【0097】
上記のxd、yd、θd及びtdの各パラメータは、現在時刻における他車両2または自車両1の速度に応じて変動するように設定されてあってもよい。
【0098】
〔ケース5〕
ケース5では、図4(e)に示されるように、他車両2が自車両1の前方の右側から接近してくる場合であり、このケースで想定される事例は、交差点における車両接近事例である。
【0099】
〔ケース5の場合の車両接近判定条件〕
任意の他車両2の各将来時刻tnにおける位置xi、yiと走行角度θiと速度viとを用いて、以下の条件を満足するか否かを判定し、全て満足する場合には、その他車両2を、ケース1で想定される事例が起こる可能性が高い車両であると判定する。なお、以下の(4)の条件における3600/1000は、速度viの単位(km/h)に合わせるための数値である。
(1)−xe≦xi
(2)|yi|≦ye、または、|yi−xi/tanθi|≦ye
(3)|θi−270|≦θe
(4)vi≧{(xi−xe)/te}×3600/1000
上記の(2)に記載の2つの式は、他車両2が真横(右側)から接近する場合と斜め右側から接近する場合とを考慮したものである。上記において、xe(xe≧0)、ye、θe及びteは、例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている設定値であり、例えば、xe=0〜50(m)、ye=0〜50(m)、θe=0〜45(°)のそれぞれの範囲内の値に設定され、teは、現在時刻t0からt秒間隔で設定されるT秒先までの各将来時刻tn(sec)に応じて可変に設定され、例えば、teは6〜11(sec)の間で、te=6+(5/T)tnの関係式(現在時刻t0=0とする)を満足するように設定される。例えば、xe=10(m)、ye=10(m)、θe=20(°)に設定され、teは上記の関係式を満足するように設定されている場合、他車両2の位置について、xiが−10m以上であり、|yi|が10m以下または|yi−xi/tanθi|≦10であり、かつ走行角度θiに関する|θi−270|の値が20°未満であり、他車両2の走行速度vi(km/h)が上記(4)の条件を満足するときに、右側から接近する他車両2との車両接近事例が想定され、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定する。なお、上記の(1)で用いる(−xe)のxeを、xe≧0としているのは、道路のカーブや自車両1の走行方向のぶれ等により左側から接近する他車両2を見逃さないようにするため、条件にある程度の余裕を持たせていることを示す。
【0100】
上記のxe、ye、θe及びteの各パラメータは、現在時刻における他車両2または自車両1の速度に応じて変動するように設定されてあってもよい。
【0101】
上記のステップS3において、任意の1つの他車両2と自車両1とが接近する可能性が高いか否かの判定を行う際、ある将来時刻(時刻txとする)における他車両2の位置xi、yiと走行角度θiと速度viとを少なくとも用いて行う場合の判定を、その将来時刻txにおける判定とする。ステップS3では、任意の1つの他車両2ごとに、5つのケースについて自車両1に接近する可能性が高いか否かの判定を行うものとする。この際、例えば、ある他車両2について判定する場合、現在時刻に近い将来時刻から順次、各々の将来時刻ごとに5つ全てのケースについての判定を行い、あるケースの場合に自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定されたときの将来時刻を、その他車両2についての車両最接近時刻とし、その他車両についての判定を終了し、その後の判定は行わないようにする。あるいは、他の手順でもよい。例えば、予め5つのケースについての判定順序(例えば、ケース1、ケース2、ケース3、ケース4、ケース5の順)を定めておき、ある他車両2について判定する場合、各々のケースごとに、現在時刻に近い将来時刻から順次、各将来時刻における判定を行い、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定されたときの将来時刻を、その他車両2についての車両最接近時刻とし、その他車両2についての判定を終了し、その後の判定は行わないようにしてもよい。
【0102】
次に、ステップS4では、ステップS3の結果、上記の5つの各ケースについて、自車両に接近する可能性の高い他車両が複数存在する場合には、車両最接近時刻が早いものを優先して1つに決定する。また、車両最接近時刻の最も早いものが複数ある場合には、ケース1については現在時刻t0における他車両の速度が遅いものを優先して最も低速であるものに決定し、ケース2〜5については現在時刻t0における他車両の速度が速いものを優先して最も高速であるものに決定する。さらに、同じケースで速度が同じものが複数ある場合には、それらの車種に応じて決定する。この場合、例えば、二輪車を最優先し、次に普通車を優先し、その次に大型車という順に優先して決定する。さらに、車種が同じものが複数ある場合には、自車両との距離が最も近いものを優先して決定する。5つの各ケースについて、自車両に接近する可能性の高い他車両が複数存在しない場合には、ステップS5に進む。
【0103】
次に、ステップS5では、ステップS3及びステップS4の結果に基づいて、自車両に接近する可能性の高い他車両を表示器12に表示する。ここでは、自車両に接近する可能性の高い他車両の車種の情報(ステップS1で取得)を用い、車種に応じたアイコンを用いて他車両を表示する。この表示方法について説明する。図5(a)、図5(b)は、それぞれ表示器12の表示画面の一例を示す図である。本例では、表示画面を、5つの判定表示領域12a〜12eとその他の領域12Xとに分割している。判定表示領域12aは、ケース1において自車両に接近する可能性の高い他車両を表示する領域であり、判定表示領域12bは、ケース2において自車両に接近する可能性の高い他車両を表示する領域であり、判定表示領域12cは、ケース3において自車両に接近する可能性の高い他車両を表示する領域であり、判定表示領域12dは、ケース4において自車両に接近する可能性の高い他車両を表示する領域であり、判定表示領域12eは、ケース5において自車両に接近する可能性の高い他車両を表示する領域である。また、空白で示されたそれぞれの領域12Xには、特に何も表示されなくてもよいし、必要に応じて何らかの情報を表示するようにしてもよい。ここで、その他の領域12Xのうち画面中央に空白で示された領域12Xcに自車両があるものと想定すれば、各ケース1〜5における自車両と他車両との位置関係が、画面中央の領域12Xcにある自車両(想定)と各判定表示領域12a〜12eに表示される他車両との位置関係に略反映されている。なお、ここでは、交通規則に、車両は左側通行であることが規定されている場合を前提としているが、車両が右側通行である交通規則の場合には、ケース1とケース2に対応する判定表示領域を入れ替えることが望ましい。すなわち、判定表示領域12aをケース2において自車両に接近する可能性の高い他車両を表示する領域とし、判定表示領域12bをケース1において自車両に接近する可能性の高い他車両を表示する領域とすればよい。
【0104】
図5(a)、(b)において、判定表示領域12a及び12dには、それぞれ他車両の車種が二輪車である場合のアイコンが示され、判定表示領域12b及び12eには、それぞれ他車両の車種が乗用車である場合のアイコンが示され、判定表示領域12cには、それぞれ他車両の車種が貨物自動車である場合のアイコンが示されている。ここで、判定表示領域12aには、他車両に対応する車種の車両を後方から見たアイコンを表示し、判定表示領域12bには、他車両に対応する車種の車両を前方から見たアイコンを表示し、判定表示領域12cには、他車両に対応する車種の車両を上方から見たアイコンを表示し、判定表示領域12dには、他車両に対応する車種の車両が右方向に進んでいるときにその車両を側面から見たアイコンを表示し、判定表示領域12eには、他車両に対応する車種の車両が左方向に進んでいるときにその車両を側面から見たアイコンを表示する。
【0105】
また、これらのアイコンは、現在時刻t0における自車両と他車両とのx方向あるいはy方向の距離を算出し、その距離に応じて大きさを異ならせて表示する。図3のように、自車両1の走行方向をy軸方向として自車両1をxy座標の原点に位置させるようにして、自車両1と他車両2の位置をxy座標系に変換したときの、他車両2のx座標の絶対値が上記x方向の距離であり、他車両2のy座標の絶対値が上記y方向の距離である。したがって、現在時刻t0における自車両1と他車両2とのx方向の距離は、現在時刻t0における他車両2の位置xiの絶対値|xi|を算出し、y方向の距離は、現在時刻t0における他車両2の位置yiの絶対値|yi|を算出すればよい。そして、ケース1,2,3において自車両に接近する可能性が高いと判定された他車両について、ECU11は、現在時刻t0におけるy方向の距離|yi|と予め設定されたしきい値ytとを比較し、|yi|<ytである場合(y方向の距離が近い場合)には大きなアイコンを表示させ、|yi|≧ytである場合(y方向の距離が遠い場合)には小さなアイコンを表示させるように表示器12を制御する。しきい値ytは、例えば、50〜150(m)の範囲内の値に設定すればよい。このしきい値ytは自車両または他車両の速度に応じて変動するように設定されてもよい。また、ケース1,2,3についてのそれぞれのしきい値ytを異なる値に設定してもよい。また、ステップS5では、ケース4,5において自車両に接近する可能性が高いと判定された他車両について、ECU11は、現在時刻t0におけるx方向の距離|xi|と予め設定されたしきい値xtとを比較し、|xi|<xtである場合(x方向の距離が近い場合)には大きなアイコンを表示させ、|xi|≧xtである場合(x方向の距離が遠い場合)には小さなアイコンを表示させるように表示器12を制御する。しきい値xtは、例えば、50〜150(m)の範囲内の値に設定すればよい。このしきい値xtは自車両または他車両の速度に応じて変動するように設定されてもよい。また、ケース4,5についてのそれぞれのしきい値xtを異なる値に設定してもよい。しきい値yt、xtは例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている。図5(a)には、各判定表示領域12a〜12eに大きなアイコンが表示された例が示され、図5(b)には、各判定表示領域12a〜12eに小さなアイコンが表示された例が示されている。
【0106】
なお、ここでは、各判定表示領域12a〜12eに表示するアイコンとして車種別に大小2種類の大きさのアイコンを用いて表示するようにしているが、同様にして3種類以上の大きさのアイコンを用いて表示するようにしてもよい。例えば、各判定表示領域12a〜12eに表示するアイコンとして、それぞれ大、中、小の3種類の大きさのアイコンを用いるようにし、ケース1,2,3において、2つのしきい値yt1, yt2を予め設定しておき、|yi|<yt1である場合には大の大きさのアイコンを表示させ、yt1≦|yi|<yt2である場合には中の大きさのアイコンを表示させ、|yi|≧yt2である場合には小の大きさのアイコンを表示させるようにし、同様に、ケース4,5において、2つのしきい値xt1, xt2を予め設定しておき、|xi|<xt1である場合には大の大きさのアイコンを表示させ、xt1≦|xi|<xt2である場合には中の大きさのアイコンを表示させ、|xi|≧xt2である場合には小の大きさのアイコンを表示させるようにしてもよい。さらには、ケース1,2,3において|yi|の値が小さくなるほどアイコンの大きさが大きくなるように|yi|の値の連続的な変化に応じてアイコンの大きさを連続的に変化させ、ケース4,5において|xi|の値が小さくなるほどアイコンの大きさが大きくなるように|xi|の値の連続的な変化に応じてアイコンの大きさを連続的に変化させるようにしてもよい。
【0107】
また、アイコンは、現在時刻t0における自車両と他車両との直線距離に応じて大きさを異ならせて表示するようにしてもよい。この場合、ステップS5では、ケース1,2,3,4,5において自車両に接近する可能性が高いと判定された他車両について、ECU11は、現在時刻t0における他車両の位置xi、yiを用いて直線距離ri=(xi+yi1/2を算出し、その距離riを予め設定されたしきい値rtとを比較し、ri<rtである場合(距離が近い場合)には大きなアイコンを表示させ、ri≧rtである場合(距離が遠い場合)には小さなアイコンを表示させるように表示器12を制御する。しきい値rtは、例えば、50〜150(m)の範囲内の値に設定すればよい。このしきい値rtは自車両または他車両の速度に応じて変動するように設定されてもよい。また、ケース1,2,3,4,5についてのそれぞれのしきい値rtを異なる値に設定してもよい。しきい値rtは例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている。なお、この場合も、前述の場合と同様にして車種別に3種類以上の大きさのアイコンを用いて表示するようにしてもよい。例えば、大、中、小の3種類の大きさのアイコンを用いる場合は、2つのしきい値rt1, rt2を予め設定しておき、ri<rt1である場合には大の大きさのアイコンを表示させ、rt1≦ri<rt2である場合には中の大きさのアイコンを表示させ、ri≧rt2である場合には小の大きさのアイコンを表示させるようにする。さらには、riの値が小さくなるほどアイコンの大きさが大きくなるようにriの値の連続的な変化に応じてアイコンの大きさを連続的に変化させるようにしてもよい。
【0108】
また、ケース1,2,3において自車両に接近する可能性が高いと判定された他車両を示すアイコンは、現在時刻t0における自車両と他車両とのy方向の距離に応じて大きさを異ならせて表示し、ケース4,5において自車両に接近する可能性が高いと判定された他車両を示すアイコンは、現在時刻t0における自車両と他車両との直線距離に応じて大きさを異ならせて表示するようにしてもよい。
【0109】
また、自車両と他車両との距離が近い場合には、アイコンを画面の中央に近づけて配置し、自車両と他車両との距離が遠い場合には、アイコンを画面の中央から遠ざけて配置するようにしている。これによっても、自車両と他車両との距離の遠近を直感的に把握することができる。
【0110】
また、各判定表示領域12a〜12eには、アイコンの背景画として、V字状の縞模様を表示する。この縞模様において、V字状の先細り方向(図5(b)の判定表示領域12aの場合は矢印αの方向)は、現在時刻t0における他車両の走行方向を示している。この他車両の走行方向は、現在時刻t0における他車両の走行角度θi(図3参照)に基づいて決まる正確な方向を示すものとしてもよいし、判定表示領域12a〜12eの各々について予め定められている方向としてもよい。例えば、判定表示領域12a及び判定表示領域12cではV字状の先細り方向が上向き、判定表示領域12bではV字状の先細り方向が下向き、判定表示領域12dではV字状の先細り方向が右向き、判定表示領域12eではV字状の先細り方向が左向きとなるように、予め定めておけばよい。
【0111】
また、現在時刻t0における他車両の速度に応じて縞の幅及び間隔とV字状の角度(図5(b)の判定表示領域12aの場合はV字状の縞21がV字をなす角度β)を異ならせている。そのため、ステップS5では、ケース1〜5において自車両に接近する可能性が高いと判定された他車両について、ECU11は、現在時刻t0における他車両の速度viと予め設定されたしきい値vtとを比較し、vi<vtである場合には低速であることを示す縞模様を表示させ、vi≧vtである場合には高速であることを示す縞模様を表示させるように表示器12を制御する。しきい値vtは、例えば、30〜50(km/h)の範囲内の値に設定すればよい。このしきい値vtは自車両の速度に応じて変動するように設定されてもよい。また、ここで、ケース1〜5についてのそれぞれのしきい値vtを異なる値に設定してもよい。なお、しきい値vtは例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている。図5(a)では、判定表示領域12cに、他車両が高速であることを示す縞模様が表示され、他の判定表示領域12a、12b、12d、12eに、他車両が低速であることを示す縞模様が表示されている。すなわち、速度が速い時には、縞の幅及び間隔を狭くするとともに、V字状の角度を小さくした縞模様を用い、速度が遅い時には、縞の幅及び間隔を広くするとともに、V字状の角度を大きくした縞模様を用いている。このような縞模様については、速度が直感的に把握できる模様であれば他のものを用いてもよい。例えば、速度が速い時も遅い時もV字状の角度は同じとし、速度が速い時には縞の幅及び/又は間隔を狭くし、遅い時には縞の幅及び/又は間隔を広くした縞模様でもよい。あるいは、速度が速い時も遅い時も縞の幅及び間隔は同じとし、速度が速い時にはV字状の角度を小さくし、遅い時にはV字状の角度を大きくした縞模様でもよい。また、前述のように背景の模様によって車両の走行方向をも把握できるものが好ましい。
【0112】
なお、ここでは、速度に応じて2種類の縞模様を用いているが、同様にして速度に応じて3種類以上の縞模様を用いるようにしてもよい。例えば、2つのしきい値vt1, vt2を予め設定しておき、vi<vt1である場合には他車両が低速であることを示す縞模様を表示させ、vt1≦vi<vt2である場合には他車両が中速であることを示す縞模様を表示させ、vi≧vt2である場合には他車両が高速であることを示す縞模様を表示させるようにしてもよい。
【0113】
また、図5(a)及び図5(b)では、5つ全ての判定表示領域12a〜12eにアイコン及び背景の縞模様が表示されているが、これは、5つの全てのケース1〜5において、自車両に接近する可能性が高いと判定される他車両が存在している場合であり、自車両に接近する可能性が高いと判定される他車両が存在しないケースがあれば、そのケースに対応する判定表示領域には何も表示されない。
【0114】
以上のように、表示器12の画面上で、各ケース1〜5における自車両と他車両との位置関係が反映されるように、各ケース1〜5に対応する各判定表示領域12a〜12eを配置したこと、各判定表示領域12a〜12eに車両の走行方向を反映したアイコンを表示するようにしたこと、及び、各判定表示領域12a〜12eに車両の走行方向を反映した縞模様を表示するようにしたことにより、表示器12の画面を一目見て直感的に、自車両に接近する可能性の高い他車両がどの方向から接近してくるかが把握できる。また、車種に応じたアイコンを表示するようにしたことにより、自車両に接近する可能性の高い他車両の道路上での発見が容易になる。また、アイコンの大きさにより自車両に接近する可能性の高い他車両までのおおよその距離を直感的に把握できる。また、背景の縞模様の形状(縞の幅及び間隔、V字状の角度)により自車両に接近する可能性の高い他車両のおおよその走行速度を直感的に把握できる。
【0115】
本実施の形態では、道路地図の情報を用いないため、ECU11(内部のCPU3)におけるデータ処理量を抑えて、他車両が自車両に接近する可能性が高いか否かの判定(車両接近の予測)を行うことができる。また、表示器12の画面の各判定表示領域12a〜12eには、地図等が表示されることはなく、自車両に接近する可能性の高い他車両を示すアイコンと、背景画として他車両の速度及び進行方向に応じた縞模様とからなる簡単な画像が表示されるだけであるので、運転者が見たときのインパクトが強く、運転者に対してより効果的な情報提供が可能になる。また、前述のように表示器12には簡単な画像を表示するだけであるので、表示器12を小型化することが可能である。これにより、カーナビのような大型画面の装置の搭載が困難な二輪車にも容易に搭載することが可能である。二輪車に搭載する場合には、例えば、ハンドルの中央付近のスピードメータの近傍に、運転者が画面を見やすい位置に表示器12を配置すればよい。普通車、大型車では、十分なスペースがあるので、運転者が見やすい位置に表示器12を配置すればよい。
【0116】
なお、図5(a)及び図5(b)に例示されるように、自車両に接近する可能性の高い他車両を表示器12に表示することで得られる前述の効果は、各ケースの場合の車両接近判定方法が本実施の形態で述べた車両接近判定方法に限られるものではなく、他の車両接近判定方法を用いても得られるものである。
【0117】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における情報提供装置について説明する。本実施の形態2における情報提供装置の構成は、実施の形態1と同様、図1に示されたブロック図で示される。本実施の形態2では、ECU11による自車両に接近する可能性が高いか否かの判定を行うための動作が実施の形態1の場合と異なるだけであり、他の構成等については実施の形態1の場合と同様であり、その説明を省略する。以下では、主に実施の形態1との相違点について説明する。
【0118】
図6は本実施の形態2における情報提供装置の動作を示すフローチャートである。この情報提供装置の動作は、ECU11によって制御される。
【0119】
ステップS11〜ステップS17の処理をt秒(例えば0.1秒)間隔で繰り返し行う。
【0120】
まず、ステップS11では、ECU11は現在時刻t0における自車両と周辺の全ての他車両の情報を取得する。ここで、ECU11は、自車両については、GPSセンサ13から自車両の位置(緯度、経度)及び走行方向(方位角)の情報を取得し、速度信号SVから自車両の速度の情報を取得し、右ウィンカ制御信号SR及び左ウィンカ制御信号SLから左右のウィンカの作動の有無の情報を取得する。また、他車両については、他車両に搭載されている同様の情報提供装置から送信される、他車両の位置(緯度、経度)及び走行方向(方位角)の情報と、他車両の速度の情報と、他車両の左右のウィンカの作動の有無の情報と、他車両の車種(二輪車、普通車、大型車)の情報とを、通信装置14を介して受信することにより取得する。このステップS11は、実施の形態1のステップS1と同じである。
【0121】
次に、ステップS12では、ステップS11で取得された現在時刻t0における自車両の位置、速度、走行方向の情報に基づいて、現在時刻t0からt秒間隔で設定されるT秒先(例えば10秒)までの各将来時刻tnにおける自車両の位置、速度、走行方向を予測する。ここで予測する自車両の速度及び走行方向は、ステップS11で取得した速度及び走行方向がT秒先まで維持されるものとし、各将来時刻tnにおける自車両の位置を算出する。
【0122】
続いて、ステップS13では、ステップS11で取得された現在時刻t0における自車両及び各他車両の位置、走行方向の情報に基づいて、周辺の全ての他車両の中から、図4の(a)〜(e)に示される5つのケースのうちの各々のケースに該当する他車両を選択する。このステップS13について詳述する。
【0123】
まず、前処理として、現在時刻t0における自車両及び他車両の位置(緯度、経度)、走行方向を、図3に示すように、自車両の位置をxy座標の原点とし、自車両の走行方向をy軸正方向とするxy座標系に変換する。この詳細については実施の形態1における説明と同様であるので省略する。xy座標系に変換されると、他車両2の位置のx座標がxi(m)、y座標がyi(m)、他車両2の走行角度がθi(°)になる。
【0124】
以上のようにして現在時刻t0における他車両2の位置xi、yi及び走行角度θiを算出し、図4の(a)〜(e)に示される5つのケースのうちの各々のケースに該当する他車両2(各々のケースに該当する車両接近判定対象車両)を、以下で述べるそれぞれの選択条件に基づいて選択する。なお、全ての他車両2がいずれかのケースに該当する車両接近判定対象車両になるとは限らない。
【0125】
〔ケース1に該当する車両接近判定対象車両の選択条件〕
それぞれの他車両2について、それぞれの現在時刻t0における位置xi、yi及び走行角度θiが、それぞれ以下の条件を満足するか否かを判定し、全て満足する場合には、その他車両を、ケース1に該当する車両接近判定対象車両とする。
(1)|xi|≦xa’
(2)0≦yi
(3)|θi|≦θa
上記において、xa’及びθaは、例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている設定値であり、例えば、xa’=100〜200(m)、θa=0〜45(°)のそれぞれの範囲内の値に設定されている。
【0126】
〔ケース2に該当する車両接近判定対象車両の選択条件〕
それぞれの他車両2について、それぞれの現在時刻t0における位置xi、yi及び走行角度θiが、それぞれ以下の条件を満足するか否かを判定し、全て満足する場合には、その他車両を、ケース2に該当する車両接近判定対象車両とする。
(1)|xi|≦xb’
(2)0≦yi
(3)|θi−180|≦θb
上記において、xb’及びθbは、例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている設定値であり、例えば、xb’=100〜200(m)、θb=0〜45(°)のそれぞれの範囲内の値に設定されている。
【0127】
〔ケース3に該当する車両接近判定対象車両の選択条件〕
それぞれの他車両2について、それぞれの現在時刻t0における位置xi、yi及び走行角度θiが、それぞれ以下の条件を満足するか否かを判定し、全て満足する場合には、その他車両を、ケース3に該当する車両接近判定対象車両とする。
(1)|xi|≦xc’
(2)yi≦0
(3)|θi|≦θc
上記において、xc’及びθcは、例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている設定値であり、例えば、xc’=100〜200(m)、θc=0〜45(°)のそれぞれの範囲内の値に設定されている。
【0128】
〔ケース4に該当する車両接近判定対象車両の選択条件〕
それぞれの他車両2について、それぞれの現在時刻t0における位置xi、yi及び走行角度θiが、それぞれ以下の条件を満足するか否かを判定し、全て満足する場合には、その他車両を、ケース4に該当する車両接近判定対象車両とする。
(1)xi≦0
(2)yd’≦yi
(3)|θi−90|≦θd
上記において、yd’及びθdは、例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている設定値であり、例えば、yd’=−200〜−100(m)、θd=0〜45(°)のそれぞれの範囲内の値に設定されている。
【0129】
〔ケース5に該当する車両接近判定対象車両の選択条件〕
それぞれの他車両2について、それぞれの現在時刻t0における位置xi、yi及び走行角度θiが、それぞれ以下の条件を満足するか否かを判定し、全て満足する場合には、その他車両を、ケース5に該当する車両接近判定対象車両とする。
(1)0≦xi
(2)ye’≦yi
(3)|θi−270|≦θe
上記において、ye’及びθeは、例えばECU11内のROM4等に予め記憶されている設定値であり、例えば、ye’=−200〜−100(m)、θe=0〜45(°)のそれぞれの範囲内の値に設定されている。
【0130】
次に、ステップS14では、ステップS13で車両接近判定対象車両(以下、判定対象車両と記載)に選択された他車両について、ステップS11で取得された現在時刻t0における位置、速度、走行方向の情報に基づいて、現在時刻t0からt秒間隔で設定されるT秒先までの各将来時刻tnにおける位置、速度、走行方向を予測する。ここで予測する他車両の速度及び走行方向は、ステップS11で取得した現在時刻t0における速度及び走行方向がT秒先まで維持されるものとし、各将来時刻tnにおける位置を算出する。
【0131】
続いて、ステップS15では、ステップS11で取得された現在時刻t0における自車両の左右のウィンカの作動の有無の情報と、ステップS12で予測された各将来時刻tnにおける自車両の位置、速度、走行方向と、ステップS13で選択された他車両についてステップS11で取得された現在時刻t0における左右のウィンカの作動の有無の情報と、ステップS14で予測された各将来時刻tnにおける他車両の位置、速度、走行方向とに基づいて、各将来時刻tnにおいて自車両とステップS13で選択された全ての判定対象車両とが接近する可能性が高い否かについて判定する。ここで、自車両と5つのケースのうちの任意の1つのケースに該当する判定対象車両とが接近する可能性が高いか否かの判定については、上記任意の1つのケースについての判定を行えばよい。また、任意の1つの判定対象車両ごとに、自車両1に接近する可能性が高いか否かの判定を行う。この際、ある1つのケースに該当する1つの判定対象車両について判定する場合、現在時刻に近い将来時刻から順次、各将来時刻における判定を行い、自車両に接近する可能性の高い他車両であると判定されたときの将来時刻を、その判定対象車両についての車両最接近時刻とし、その判定対象車両についての判定を終了し、その後の将来時刻における判定は行わないようにする。各ケースについての判定方法は、実施の形態1のステップS3(図2)における判定方法と同じであり、その詳細については省略する。例えば、ケース1に該当する判定対象車両と自車両とが接近する可能性が高い否かを判定する場合には、実施の形態1で述べたケース1の場合の車両接近判定条件を満たすか否かによって接近する可能性が高い否かを判定を判定する。また、ステップS15においても、実施の形態1のステップS3の場合と同様、ある将来時刻txにおける判定対象車両(他車両)の位置xi、yiと走行角度θiと速度viとを少なくとも用いて行う場合の判定を、その将来時刻txにおける判定とする。
【0132】
ステップS16では、ステップS15の結果、各ケースについて、自車両に接近する可能性の高い他車両が複数存在する場合には1つに決定する。この決定方法は、例えば、車両最接近時刻が最も早いものを優先して決定する。また、車両最接近時刻の最も早いものが車両最接近時刻が同じで複数ある場合には、さらに現在時刻t0の他車両の速度に応じて決定する。さらに、速度が同じものが複数ある場合には、それらの車種に応じて決定する。さらに、車種が同じものが複数ある場合には、自車両との距離が最も近いものを優先して決定する。このステップS16は、実施の形態1におけるステップS4と同じであり、その詳細は省略する。
【0133】
ステップS17では、ステップS15及びステップS16の結果に基づいて、自車両に接近する可能性の高い他車両を表示器12に表示する。この表示方法については、実施の形態1におけるステップS5の場合と同じであり、その詳細については省略する。
【0134】
上記において、ステップS12の処理は、ステップS15の処理を行うまでに行えばよい。
【0135】
また、ステップS12の処理を行った後、ステップS13、ステップS14及びステップS15の処理を、繰り返し処理として行うようにしてもよい。例えば、ステップS12において各将来時刻における自車両の位置、速度、走行方向を予測した後、各他車両についてどのケースの判定対象車両に該当するか否かの判定を行うようにするとともに、判定対象車両が選択されるたびに、その判定対象車両の各将来時刻における位置、速度、走行方向を予測し、その判定対象車両と自車両とが接近する可能性が高い否かを該当ケースについて判定することを、全ての他車両についてどのケースの判定対象車両に該当するか否かの判定が終了し、かつ判定対象車両と自車両とが接近する可能性が高いか否かの判定が終了するまで、繰り返すようにしてもよい。
【0136】
また、ステップS12及びステップS13の処理を行った後、ステップS14及びステップS15の処理を、繰り返し処理として行うようにしてもよい。例えば、ステップS13において全ての判定対象車両が選択された後、任意の1つの判定対象車両について各将来時刻における位置、速度、走行方向を予測し、その判定対象車両と自車両とが接近する可能性が高い否かを該当ケースについて判定することを、全ての判定対象車両について自車両とが接近する可能性が高いか否かの判定が終了するまで、繰り返すようにしてもよい。
【0137】
本実施の形態2では、実施の形態1における効果に加え、現在時刻t0における自車両および他車両の位置および走行方向の情報のみを用いた簡易的な判定によって判定対象車両を選択し、選択した判定対象車両に対して1つのケースについてのみ将来時刻において自車両に接近する可能性が高いか否かを判定するようにしているため、ECU11(内部のCPU3)におけるデータ処理量をより低減することができる。
【0138】
なお、上記の実施の形態1,2では、ステップS4、S16において、ステップS3、S15の結果、各ケースについて、自車両に接近する可能性の高い他車両が複数存在する場合には1つに決定して、各判定表示領域12a〜12eには、1つのアイコンを表示するようにしているが、ステップS4、S16を行わずに(省略し)、ステップS3、S15の結果に応じた複数のアイコンを並べて、あるいは、重ねて(少しずらして一部が重なる場合も含む)表示するようにしてもよい。あるいは、各判定表示領域12a〜12eに表示するアイコンの上限個数を予めk個(kは複数)に定めておいて、ステップS3、S15の結果、各ケースについて、自車両に接近する可能性の高い他車両が(k+1)個以上存在する場合にはステップS4、S16と同様の方法によって優先順位を定めてk個に決定し、k個のアイコンを並べて、あるいは、重ねて(少しずらして一部が重なる場合も含む)表示するようにしてもよい。この場合において、上記の実施の形態1,2は、k=1にした場合に相当する。
【0139】
また、上記の実施の形態1,2では、車種を二輪車、普通車、大型車の3種類に分類したが、この分類に限らなくてもよい。例えば、2種類(例えば、二輪車とそれ以外の車両)に分類し、表示器12では例えば二輪車と普通車のアイコンを用いて自車両に接近する可能性の高い他車両を表示するようにしてもよい。また、車種を分類せず、表示器12では例えば矩形のアイコンを用いて自車両に接近する可能性の高い他車両を表示することも可能である。
【0140】
また、上記の実施の形態1,2では、5つのケースの場合について他車両が自車両に接近する可能性が高いか否かを判定し、5つのケースに対応して表示器12の画面領域に5つの判定表示領域12a〜12eを設けているが、これに限られるものではない。例えば、ケース4,5の場合についてのみ他車両が自車両に接近する可能性が高いか否かを判定し、そのケース4,5に対応して表示器12の画面領域に2つの判定表示領域を設けて自車両に接近する可能性の高い他車両を表示するようにしてもよい。要するに前述の5つのケースのうち少なくとも1つのケースの場合について他車両が自車両に接近する可能性が高いか否かを判定し、その判定するケースの数に対応して表示器12の画面領域に判定表示領域を設けて自車両に接近する可能性の高い他車両を表示するようにしてもよい。なお、5つのケースのうち複数のケースの場合について他車両が自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する場合には、前述の5つのケースの場合同様、画面中央に自車両があるものと想定して、各ケースにおける自車両と他車両との位置関係が、画面中央(自車両の想定位置)と各ケースの判定表示領域との位置関係に略反映されるようにすることが好ましい。
【0141】
また、上記の実施の形態1,2では、表示器12により自車両に接近する可能性の高い他車両を表示するようにしたが、音声により自車両に接近する可能性の高い他車両を報知することも可能である。例えば、ECU11にスピーカを接続し、各ケースについて自車両に接近する可能性の高い他車両を報知する音声情報を予めECU11内部のROM4等に記憶しておいて、該当するケースの音声情報をスピーカへ出力することにより、スピーカから例えば「後方から二輪車接近」等の音声を発するようにして報知することができる。
【0142】
また、上記の実施の形態1,2では、GPSセンサ13により現在時刻の自車両の位置及び走行方向(方位角)を検出するようにしたが、GPSセンサ13では自車両の位置のみを検出し、自車両の走行方向については、GPSセンサ13で一定時間(t秒)間隔で検出される自車両の位置(位置の変移)に基づいてECU11により走行方向を算出するようにしてもよい。また、同様にして、現在時刻の自車両の走行速度についても、車速センサ15から取得せずに、GPSセンサ13で一定時間(t秒)間隔で検出される自車両の位置(位置の変移)に基づいてECU11により算出することも可能である。
【0143】
また、上記の実施の形態1,2では、通信装置14を介して取得される他車両の情報として、現在時刻の他車両の走行方向及び速度も取得するようにしたが、これらはそれぞれ、通信装置14を介して一定時間(t秒)間隔で取得される他車両の位置(位置の変移)に基づいて、ECU11により算出するようにしてもよい。
【0144】
また、上記の実施の形態1,2では、自車両及び他車両の位置情報として、それぞれの車両に搭載されている情報提供装置のGPSセンサ13から得られる経度及び緯度を用いたが、さらにGPSセンサ13から得られる高度も位置情報に追加し、実施の形態1におけるステップS3での判定、実施の形態2におけるステップS13での選択及びステップS15での判定に高度情報も用いるようにしてもよい。
【0145】
また、上記の実施の形態1,2では、情報提供装置同士がそれぞれの通信装置14によって直接相互に通信を行うことにより、お互いに他車両の情報を取得するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、基地局を設け、各情報提供装置からの送信情報を基地局で受信し、その情報を基地局から他の各情報提供装置へ送信するようにしてもよい。
【0146】
また、上記の実施の形態1,2では、他車両にも自車両と同じ構成の情報提供装置が搭載されているものとして説明したが、これに限られるものではない。自車両に搭載された情報提供装置において、他車両と接近する可能性が高いか否かを判定するために必要な他車両の情報を発信する装置が他車両に備えられていればよい。また、自車両に搭載された情報提供装置において、他車両と接近する可能性が高いか否かを判定する上で、通信装置14から自車両の情報を送信する必要はなく、自車両に搭載された情報提供装置において通信装置14の送信機能は無くてもよい。例えば、他車両の情報提供装置に対して、自車両の情報を送信する機能が自車両に搭載された本実施の形態1,2の情報提供装置以外の他の装置に設けられてあってもよい。
【0147】
また、上記の実施の形態1,2において、ECU11は、必ずしも単独の制御装置で構成される必要はなく、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働して情報提供装置の動作を制御するよう構成されていてもよい。また、ECU11は、例えば車両本体の制御装置16にECU11の機能が組み込まれることにより構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、GPSを利用して車両同士の接近を予測して報知する情報提供装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の実施の形態1の情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1の情報提供装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1において自車両及び他車両の位置(緯度、経度)、走行方向を、xy座標系に変換する方法を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1において他車両が自車両に接近する可能性が高いか否かの判定を行う5つのケースを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1における表示器の画面の表示例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2の情報提供装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0150】
11 ECU
12 表示器
13 GPSセンサ
14 通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載される情報提供装置であって、
現在時刻における前記自車両のウィンカの作動情報を含む走行情報と、現在時刻における他車両のウィンカの作動情報を含む走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する車両接近判定処理を行う車両接近判定手段と、
前記車両接近判定手段による前記車両接近判定処理の結果に基づいて前記自車両に接近する可能性の高い他車両を運転者に報知する報知手段とを備えた情報提供装置。
【請求項2】
前記車両接近判定処理は、
現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第1の判定処理と、
現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略逆方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第2の判定処理と、
現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の後方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第3の判定処理と、
現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の左側から右側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第4の判定処理と、
現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の右側から左側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第5の判定処理と
のうち、少なくとも前記第1、第2及び第3の判定処理を含んでなる請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記車両接近判定処理は、前記車両接近判定処理に含まれる各々の前記判定処理において前記自車両に接近する可能性が高いと判定された他車両が複数存在する場合に、所定の条件に基づいて前記複数のうちの1つを前記自車両に接近する可能性が高い他車両に決定し、この他車両以外の前記他車両を前記自車両に接近する可能性が低いと決定する再判定処理を含む請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記車両接近判定処理は、複数の将来時刻において前記他車両が前記自車両に接近する可能性が高いか否かの判定を行う処理であり、前記複数の将来時刻は、現在時刻から所定時間経過するまでの間に、一定時間間隔で到来する各々の時刻からなる請求項1または2に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記車両接近判定手段は、前記車両接近判定処理を一定周期で繰り返し行う請求項1または2に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記車両接近判定処理は、前記第1〜第5の全ての判定処理を含む請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記第1の判定処理で用いる現在時刻における前記自車両の走行情報は前記自車両の位置、走行方向及び走行速度の情報であり、現在時刻における前記他車両の走行情報は前記他車両の位置、走行方向及び走行速度の情報と左右のウィンカの作動情報であり、
前記第2の判定処理で用いる現在時刻における前記自車両の走行情報は前記自車両の位置、走行方向及び走行速度の情報と右または左のウィンカの作動情報であり、現在時刻における前記他車両の走行情報は前記他車両の位置、走行方向及び走行速度の情報と右または左のウィンカの作動情報であり、
前記第3の判定処理で用いる現在時刻における前記自車両の走行情報は前記自車両の位置、走行方向及び走行速度の情報と左右のウィンカの作動情報であり、現在時刻における前記他車両の走行情報は前記他車両の位置、走行方向及び走行速度の情報であり、
前記第4の判定処理及び前記第5の判定処理のそれぞれで用いる現在時刻における前記自車両の走行情報は前記自車両の位置、走行方向及び走行速度の情報であり、現在時刻における前記他車両の走行情報は前記他車両の位置、走行方向及び走行速度の情報である請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記自車両の位置を検出する位置検出手段と、前記自車両の走行方向を検出する方向検出手段と、前記他車両の左右のウィンカの作動情報及び位置の情報を受信する通信手段と、前記通信手段で受信される前記他車両の位置の情報から前記他車両の走行方向及び走行速度を算出する演算手段とを備え、
前記車両接近判定手段は、前記自車両の車両本体から前記自車両の左右のウィンカの作動情報及び走行速度の情報を取得するように構成された請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記自車両の位置を検出する位置検出手段と、前記自車両の走行方向を検出する方向検出手段と、前記他車両の左右のウィンカの作動情報と位置及び走行方向の情報とを受信する通信手段と、前記通信手段で受信される前記他車両の位置の情報から前記他車両の走行速度を算出する演算手段とを備え、
前記車両接近判定手段は、前記自車両の車両本体から前記自車両の左右のウィンカの作動情報及び走行速度の情報を取得するように構成された請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記自車両の位置を検出する位置検出手段と、前記自車両の走行方向を検出する方向検出手段と、前記他車両の左右のウィンカの作動情報と位置及び走行速度の情報とを受信する通信手段と、前記通信手段で受信される前記他車両の位置の情報から前記他車両の走行方向を算出する演算手段とを備え、
前記車両接近判定手段は、前記自車両の車両本体から前記自車両の左右のウィンカの作動情報及び走行速度の情報を取得するように構成された請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項11】
前記自車両の位置を検出する位置検出手段と、前記自車両の走行方向を検出する方向検出手段と、前記他車両の左右のウィンカの作動情報と位置、走行方向及び走行速度の情報とを受信する通信手段とを備え、
前記車両接近判定手段は、前記自車両の車両本体から前記自車両の左右のウィンカの作動情報及び走行速度の情報を取得するように構成された請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項12】
前記位置検出手段はGPSセンサを用いて構成され、前記方向検出手段は、前記GPSセンサで検出される前記自車両の位置から前記自車両の走行方向を算出する演算手段により構成される請求項8〜11のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項13】
前記位置検出手段及び前記方向検出手段はGPSセンサを用いて構成される請求項8〜11のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項14】
前記車両接近判定手段は、
前記第1の判定処理を含む前記車両接近判定処理を行う前に、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とに基づいて、現在時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行する他車両を検出する第1の検出処理を行い、この処理により検出した前記他車両のみを対象にして前記第1の判定処理を行い、
前記第2の判定処理を含む前記車両接近判定処理を行う前に、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とに基づいて、現在時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略逆方向に走行する他車両を検出する第2の検出処理を行い、この処理により検出した前記他車両のみを対象にして前記第2の判定処理を行い、
前記第3の判定処理を含む前記車両接近判定処理を行う前に、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とに基づいて、現在時刻において前記自車両の後方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行する他車両を検出する第3の検出処理を行い、この処理により検出した前記他車両のみを対象にして前記第3の判定処理を行い、
前記第4の判定処理を含む前記車両接近判定処理を行う前に、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とに基づいて、現在時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の左側から右側方向へ走行する他車両を検出する第4の検出処理を行い、この処理により検出した前記他車両のみを対象にして前記第4の判定処理を行い、
前記第5の判定処理を含む前記車両接近判定処理を行う前に、現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とに基づいて、現在時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の右側から左側方向へ走行する他車両を検出する第5の検出処理を行い、この処理により検出した前記他車両のみを対象にして前記第5の判定処理を行うように構成された請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項15】
前記第1〜第5の各々の検出処理で用いる現在時刻における前記自車両の走行情報は前記自車両の位置及び走行方向の情報であり、現在時刻における前記他車両の走行情報は前記他車両の位置及び走行方向の情報である請求項14に記載の情報提供装置。
【請求項16】
前記報知手段は、前記自車両に接近する可能性の高い他車両をアイコンとして画面に表示する表示手段である請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項17】
前記表示手段は、現在時刻における前記自車両の走行情報に含まれる前記自車両の位置の情報と、前記自車両に接近する可能性の高い現在時刻における他車両の走行情報に含まれる前記他車両の位置の情報とから算出される現在時刻における前記自車両と前記他車両との距離が所定距離以上であれば前記アイコンを小さく表示し、前記自車両と前記他車両との距離が前記所定距離未満であれば前記アイコンを大きく表示するように構成された請求項16に記載の情報提供装置。
【請求項18】
前記表示手段は、前記自車両に接近する可能性の高い現在時刻における他車両の走行情報に含まれる前記他車両の走行速度の情報に基づいて、前記他車両の走行速度の速さの程度を反映した模様を前記アイコンの背景に表示するように構成された請求項16に記載の情報提供装置。
【請求項19】
前記アイコンの背景に表示する模様はV字状の縞模様であり、前記自車両に接近する可能性の高い他車両の走行速度が所定速度以上であれば前記V字状の縞の幅及び/又は間隔を狭くし、前記他車両の走行速度が前記所定速度未満であれば前記V字状の縞の幅及び/又は間隔を広くすること、及び/又は、前記他車両の走行速度が前記所定速度以上であれば前記V字状の角度を小さくし、前記他車両の走行速度が前記所定速度未満であれば前記V字状の角度を大きくすることによって、前記他車両の走行速度の速さの程度を反映する請求項18に記載の情報提供装置。
【請求項20】
前記表示手段は、前記自車両に接近する可能性の高い他車両の車種の情報に基づいて、前記アイコンを前記他車両の車種を反映した形状で表示するように構成された請求項16に記載の情報提供装置。
【請求項21】
前記車両接近判定処理は、
現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第1の判定処理と、
現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略逆方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第2の判定処理と、
現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の後方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第3の判定処理と、
現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の左側から右側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第4の判定処理と、
現在時刻における前記自車両の走行情報と現在時刻における前記他車両の走行情報とを用いて、前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の右側から左側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第5の判定処理と
のうち、少なくとも前記第1、第2及び第3の判定処理を含んでなり、
前記表示手段は、前記画面の表示領域を、前記車両接近判定処理に含まれる各々の前記判定処理に対応して各々の前記判定処理において前記自車両に接近する可能性が高いと判定される他車両のアイコンが表示される複数の判定表示領域を有するように分割し、それぞれの前記判定処理において判定される前記自車両と前記他車両との位置関係が、前記画面の略中央に前記自車両のアイコンが表示されると想定した場合に、想定された前記自車両のアイコンと前記判定表示領域に表示される前記他車両のアイコンとの位置関係に略反映されるように、各々の前記判定表示領域を配置するように構成された請求項16〜20のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項22】
前記車両接近判定処理は、前記第1〜第5の全ての判定処理を含み、
前記表示手段は、前記画面の左側上部に前記第1の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側上部に前記第2の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の下部略中央に前記第3の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側の中央部ないし下部に前記第4の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側の中央部ないし下部に前記第5の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置するように構成された請求項21に記載の情報提供装置。
【請求項23】
前記車両接近判定処理は、前記第1〜第5の全ての判定処理を含み、
前記表示手段は、前記画面の右側上部に前記第1の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側上部に前記第2の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の下部略中央に前記第3の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側の中央部ないし下部に前記第4の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側の中央部ないし下部に前記第5の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置するように構成された請求項21に記載の情報提供装置。
【請求項24】
自車両に搭載される情報提供装置であって、
他車両が将来時刻において前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する車両接近判定手段と、
前記車両接近判定手段による判定結果に基づいて、前記自車両に接近する可能性の高い他車両をアイコンとして画面に表示するとともに、現在時刻における前記自車両と前記他車両との距離が所定距離以上であれば前記アイコンを小さく表示し、前記自車両と前記他車両との距離が所定距離未満であれば前記アイコンを大きく表示する表示手段とを備えた情報提供装置。
【請求項25】
前記表示手段は、前記自車両に接近する可能性の高い他車両の現在時刻における走行速度の速さの程度を反映した模様を前記アイコンの背景に表示するように構成された請求項24に記載の情報提供装置。
【請求項26】
前記アイコンの背景に表示する模様はV字状の縞模様であり、前記自車両に接近する可能性の高い他車両の走行速度が所定速度以上であれば前記V字状の縞の幅及び/又は間隔を狭くし、前記他車両の走行速度が前記所定速度未満であれば前記V字状の縞の幅及び/又は間隔を広くすること、及び/又は、前記他車両の走行速度が前記所定速度以上であれば前記V字状の角度を小さくし、前記他車両の走行速度が前記所定速度未満であれば前記V字状の角度を大きくすることによって、前記他車両の走行速度の速さの程度を反映する請求項25に記載の情報提供装置。
【請求項27】
前記表示手段は、前記自車両に接近する可能性の高い他車両の車種の情報に基づいて、前記アイコンを前記他車両の車種を反映した形状で表示するように構成された請求項24に記載の情報提供装置。
【請求項28】
前記車両接近判定手段は、
前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第1の判定処理と、
前記他車両が将来時刻において前記自車両の前方にあって前記自車両と略同一進路上を略逆方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第2の判定処理と、
前記他車両が将来時刻において前記自車両の後方にあって前記自車両と略同一進路上を略同一方向に走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第3の判定処理と、
前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の左側から右側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第4の判定処理と、
前記他車両が将来時刻において前記自車両の走行方向と略直交して前記自車両の右側から左側方向へ走行し、かつ前記自車両に接近する可能性が高いか否かを判定する第5の判定処理と
のうちの複数の前記判定処理を行い、
前記表示手段は、前記画面の表示領域を、各々の前記判定処理に対応して各々の前記判定処理において前記自車両に接近する可能性が高いと判定される他車両のアイコンが表示される複数の判定表示領域を有するように分割し、それぞれの前記判定処理において判定される前記自車両と前記他車両との位置関係が、前記画面の略中央に前記自車両のアイコンが表示されると想定した場合に、想定された前記自車両のアイコンと前記判定表示領域に表示される前記他車両のアイコンとの位置関係に略反映されるように、各々の前記判定表示領域を配置するように構成された請求項24〜27のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項29】
前記車両接近判定手段は、前記第1〜第5の全ての判定処理を行い、
前記表示手段は、前記画面の左側上部に前記第1の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側上部に前記第2の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の下部略中央に前記第3の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側の中央部ないし下部に前記第4の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側の中央部ないし下部に前記第5の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置するように構成された請求項28に記載の情報提供装置。
【請求項30】
前記車両接近判定手段は、前記第1〜第5の全ての判定処理を行い、
前記表示手段は、前記画面の右側上部に前記第1の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側上部に前記第2の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の下部略中央に前記第3の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の左側の中央部ないし下部に前記第4の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置し、前記画面の右側の中央部ないし下部に前記第5の判定処理に対応する前記判定表示領域を配置するように構成された請求項28に記載の情報提供装置。
【請求項31】
自車両に搭載される請求項1〜23のいずれかに記載の情報提供装置と、他車両に搭載される情報送信装置とを備えた走行支援システムであって、
前記情報送信装置は、前記情報提供装置で用いられる現在時刻における前記他車両の走行情報を前記他車両から検出する他車両情報検出手段と、前記他車両情報検出手段で検出された情報を送信する他車両側通信手段とを備え、
前記情報提供装置は、前記他車両側通信手段から送信された情報を受信して前記車両接近判定手段へ提供する通信手段を有するように構成された走行支援システム。
【請求項32】
自車両に搭載される請求項1〜23のいずれかに記載の情報提供装置と、他車両に搭載される情報送信装置とを備えた走行支援システムであって、
前記情報送信装置は、前記情報提供装置で用いられる現在時刻における前記他車両の走行情報の一部の情報を前記他車両から検出する他車両情報検出手段と、前記他車両情報検出手段で検出された情報を送信する他車両側通信手段とを備え、
前記情報提供装置は、前記他車両側通信手段から送信された前記一部の情報を受信して前記車両接近判定手段へ提供する通信手段を有し、前記車両接近判定手段は前記通信手段から提供される前記一部の情報以外の現在時刻における前記他車両の走行情報を前記通信手段から提供される前記一部の情報に基づいて算出する演算処理を行うように構成された走行支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−102577(P2007−102577A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292822(P2005−292822)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】