説明

情報提示システム、情報処理システム、プログラム及び情報記憶媒体

【課題】ユーザにとって意味のある場所を抽出して適切なコンテンツの提示等を実現できる情報提示システム、情報処理システム、プログラム及び情報記憶媒体の提供。
【解決手段】情報提示システムは、ユーザの状況を推定する状況推定部106と、ユーザへの提示候補となるコンテンツの中からユーザの滞在場所に対応するコンテンツを選択するコンテンツ選択部112と、選択されたコンテンツを、情報提示部142によりユーザに提示するための制御を行う提示制御部118を含む。状況推定部106は、ユーザがエリアに滞在しているのか、エリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断する。コンテンツ選択部112は、ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリア用のコンテンツを選択し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポット用のコンテンツを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提示システム、情報処理システム、プログラム及び情報記憶媒体等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPSセンサ等を用いてユーザの位置を特定し、特定された位置に基づいてコンテンツを選択して、ユーザに対して提示するシステムが提案されている。この情報提示システムによれば、ユーザの位置に応じた適切なコンテンツをユーザに提供できるため、ユーザにとって利便性が高い。
【0003】
しかしながら、GPSにより得られる位置データ(緯度・経度)は、それ自体は単なるデータにすぎず、ユーザの滞在場所を直接意味する情報ではない。従って、このような位置データから、ユーザにとって意味のある場所を如何にして特定するかが重要な課題になる。
【0004】
ところがこれまでの情報提示システムでは、コンテンツ選択のために必要なユーザの滞在場所を階層的には扱ってはおらず、単一的にしか扱っていなかった。従って、その場所に滞在するユーザにとって、その場所がどのような意味のある場所なのかを適正に検出することはできず、このため、その場所に応じた適切なコンテンツをユーザに提供することができなかった。
【0005】
また、これまでの情報提示システムでは、必要性が顕在化している情報を操作レスでプッシュ情報としてユーザに提示することはできるものの、潜在的に必要としている情報については提示できないという課題があった。そして、必要性が顕在化している情報だけを提示し続けても、便利ではあるが、日常の生活パターンの延長を支援するだけであり、このパターン化された生活・行動だけからは、新たな気づきは生まれにくく、充実した生活には結びつかないという問題があった。一方、非日常の新しい体験の中には、煩雑さや不安もつきまという問題もある。
【0006】
そこで、日常の生活パターンに変化を与えるきっかけを提供すると共に、非日常体験のハードルを下げて、日々の生活の中で日常と非日常を適度にバランスさせることができる情報提示システムの実現が望まれる。
【0007】
なお特許文献1には、独居老人の異常行動を監視するシステムが開示されているが、このシステムは、独居老人が異常を来して行動不能に陥った場合に、それを自動的に検知して通報することを目的としており、ユーザに気づきを与えて自己の成長を促すインスパイア型ユビキタスサービスを目指したものではない。
【0008】
【特許文献1】特開2000−99858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の幾つかの態様によれば、ユーザにとって意味のある場所を抽出して適切なコンテンツ提示等を実現できる情報提示システム、情報処理システム、プログラム及び情報記憶媒体を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ユーザの状況を推定する状況推定部と、ユーザへの提示候補となるコンテンツの中から、ユーザの滞在場所に対応するコンテンツを選択するコンテンツ選択部と、選択されたコンテンツを、情報提示部によりユーザに提示するための制御を行う提示制御部とを含み、前記状況推定部は、ユーザがエリアに滞在しているのか、エリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断し、前記コンテンツ選択部は、ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリア用のコンテンツを選択し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポット用のコンテンツを選択する情報提示システムに関係する。また本発明は、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラム、又は該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に関係する。
【0011】
本発明によれば、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかが判断される。そしてエリアに滞在している場合にはエリア用のコンテンツが選択され、スポットに滞在していると場合にはスポット用のコンテンツが選択されて、情報提示部により提示される。このようにすれば、ユーザにとって意味の異なる領域を、例えばエリアよりも狭いスポットとして抽出し、スポット用のコンテンツを選択してユーザに提示したり、エリアとして抽出し、エリア用のコンテンツを選択してユーザに提示することが可能になる。従って、ユーザにとって意味のある場所に対応する適切なコンテンツの提示が可能になる。
【0012】
また本発明では、複数のエリアの各エリアの広さを可変に設定し、複数のスポットの各スポットの広さを可変に設定するエリア・スポット設定部を含んでもよい。
【0013】
このように各エリアや各スポットの広さを可変に設定すれば、ユーザの位置データ等からユーザにとって意味のある場所を適正に抽出できるようになる。
【0014】
また本発明では、前記状況推定部は、所定時間内でのユーザの位置の標準偏差に基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断してもよい。
【0015】
このようにすれば、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差を求めるという統計処理により、ユーザが滞在している場所を、エリア又はスポットという意味のある領域として特定できるようになる。
【0016】
また本発明では、前記状況推定部は、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、所定の第1のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがエリアに滞在しているか否かを判断し、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、前記第1のしきい値よりも小さい所定の第2のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがスポットに滞在しているか否かを判断してもよい。
【0017】
このようにすれば、第1のしきい値や第2のしきい値の設定により、エリア又はスポットというユーザにとって意味のある領域を抽出できるようになる。
【0018】
また本発明では、複数のエリアの各エリア毎に前記第1のしきい値を可変に設定し、複数のスポットの各スポット毎に前記第2のしきい値を可変に設定するエリア・スポット設定部を含んでもよい。
【0019】
このようにすれば、第1のしきい値や第2のしきい値を可変に設定することで、各エリアや各スポットの広さを可変に設定できるようになる。
【0020】
また本発明では、前記状況推定部は、ユーザの行動を計測する行動センサ、ユーザの状態を計測する状態センサ及びユーザの環境を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断してもよい。
【0021】
このようにすれば、センサ情報等を活用して、ユーザが滞在するエリアやスポットを特定できるようになる。
【0022】
また本発明では、前記コンテンツ選択部は、ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合に、スポット用のコンテンツ又はエリア用のコンテンツを選択してもよい。
【0023】
このようにすれば、ユーザがエリア内のスポットに滞在している場合に、ユーザの状況に応じて、スポット用のコンテンツを提示したり、エリア用のスポットを提示することが可能になる。
【0024】
また本発明では、前記コンテンツ選択部は、ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、スポット用のコンテンツを優先的に選択し、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、エリア用のコンテンツを選択してもよい。
【0025】
このようにすれば、スポットが特定された場合にはスポット用のコンテンツを優先的に提示し、スポットが特定されなかった場合にはエリア用のコンテンツを提示するという制御が可能になる。
【0026】
また本発明では、ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部を含み、前記コンテンツ選択部は、ユーザの滞在場所に対するユーザの日常度の評価結果に基づいて、コンテンツを選択してもよい。
【0027】
このようにすれば、ユーザの日常度を反映したコンテンツ提示が可能になり、例えばユーザの日常の生活パターンに変化や気づきを与えたり、非日常的な体験におけるユーザの煩雑さや不安感を取り除いたりすることが可能になる。
【0028】
また本発明では、前記日常度評価部は、ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を評価し、前記コンテンツ選択部は、ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択してもよい。
【0029】
このようにすれば、スポット毎又はエリア毎にユーザの日常度を評価して、その日常度の評価結果に基づいてユーザに対して適切なコンテンツを提示できるようになる。
【0030】
また本発明では、ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、前記日常度評価部が、エリアに対するユーザの日常度とスポットに対するユーザの日常度の両方を評価し、前記コンテンツ選択部が、エリアに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択すると共に、スポットに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択し、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、前記日常度評価部が、エリアに対するユーザの日常度を評価し、前記コンテンツ選択部が、エリアに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択してもよい。
【0031】
このようにすれば、ユーザにとって意味の異なる領域を、エリアよりも狭いスポットとして切り出して、日常度を評価できるため、より正確で適正な日常度に基づいて、コンテンツを選択してユーザに提示できるようになる。
【0032】
また本発明では、ユーザの滞在場所であるエリア又はスポットに日常度を関連づけて記憶する日常度情報記憶部を含み、前記日常度評価部は、ユーザが滞在するエリア又はスポットに関連づけられた日常度を前記日常度情報記憶部から読み出して、ユーザの日常度を評価してもよい。
【0033】
このようにすれば、日常度情報記憶部においてエリア又はスポットに日常度を関連づけておくことで、エリア又はスポットについての日常度を簡素な処理で評価できるようになる。
【0034】
また本発明は、ユーザの状況を推定する状況推定部と、ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部を含み、前記状況推定部は、ユーザがエリアに滞在しているのか、エリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断し、前記日常度評価部は、ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を評価する情報処理システムに関係する。
【0035】
本発明によれば、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかが判断される。そしてエリアに滞在している場合には、エリアに対するユーザの日常度が評価され、スポットに滞在している場合には、スポットに対するユーザの日常度が評価される。従って、ユーザにとって意味の異なる領域を、エリアよりも狭いスポットとして切り出して、日常度を評価できるため、より正確で適正な日常度の評価処理を実現できる。
【0036】
また本発明は、前記状況推定部は、所定時間内でのユーザの位置の標準偏差に基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断してもよい。
【0037】
また本発明では、前記日常度評価部は、ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度とスポットに対するユーザの日常度の両方を評価し、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0039】
1.センサ情報の取得
ユーザにとって適切なコンテンツを提供し、インスパイア型ユビキタスサービス等を実現するためには、ユーザの状況を特定する必要がある。このためには、例えば、ユーザの行動、状態、環境を計測する行動センサ(行動計測部)、状態センサ(状態計測部)、環境センサ(環境計測部)からのセンサ情報を取得し、取得されたセンサ情報等を用いて、ユーザの状況を特定することが望ましい。そこで、まずこのセンサ情報の取得手法について説明する。
【0040】
図1においてユーザ(使用者)は、携帯型電子機器100(モバイルゲートウェイ)を所持している。またモバイル制御対象機器としてウェアラブルディスプレイ140(モバイルディスプレイ)を頭部の一方の眼の近傍に装着している。更にウェアラブルセンサ(モバイルセンサ)として種々のセンサを身体に身につけている。具体的には、屋内外センサ510、周囲温度センサ511、周辺湿度センサ512、周辺光度センサ513、腕装着型の運動計測センサ520、脈拍(心拍数)センサ521、体温センサ522、抹消皮膚温度センサ523、発汗センサ524、足圧力センサ530、発話・咀嚼センサ540、携帯型電子機器100に設けられるGPS(Global Position System)センサ550、ウェアラブルディスプレイ140に設けられる顔色センサ560や瞳孔の大きさセンサ561などを装着している。これらの携帯型電子機器100や、ウェアラブルディスプレイ140などのモバイル制御対象機器や、ウェアラブルセンサなどによりモバイルサブシステムが構成される。
【0041】
携帯型電子機器100(モバイルコンピュータ)は、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型PCなどの携帯情報端末であり、例えばプロセッサ(CPU)、メモリ、操作パネル、通信装置、或いはディスプレイ(サブディスプレイ)などを備える。この携帯型電子機器100は、例えばセンサからのセンサ情報を収集する機能、収集したセンサ情報に基づいて演算処理を行う機能、演算結果に基づいて制御対象機器(ウェアラブルディスプレイ等)の制御(表示制御等)を行ったり外部のデータベースから情報を取り込む機能、外部と通信を行う機能などを有することができる。なお携帯型電子機器100は、携帯電話、腕時計、或いはポータブルオーディオなどとして兼用される機器であってもよい。
【0042】
ウェアラブルディスプレイ140(広義には情報提示部)は、ユーザの一方の眼の近傍に装着されると共にディスプレイ部の大きさが瞳孔の大きさよりも小さくなるように設定され、いわゆるシースルービューアの情報表示部として機能する。なおユーザへの情報提示は、ヘッドフォン、バイブレータなどを用いて行ってもよい。またモバイル制御対象機器(情報提示部)としては、ウェアラブルディスプレイ140以外にも、例えば腕時計、携帯電話、或いはポータブルオーディオなどの種々の機器を想定できる。
【0043】
屋内外センサ510は、ユーザが屋内にいるのか屋外にいるのかを検知するセンサであり、例えば超音波を照射し、天井等により超音波が反射して戻ってくるまでの時間を計測する。但し屋内外センサ510は、超音波方式に限らず、アクティブ光方式、パッシブ紫外線方式、パッシブ赤外線方式、パッシブ騒音方式のセンサであってもよい。
【0044】
周囲温度センサ511は、例えばサーミスタ、放射温度計、熱電対などを用いて外界温度を計測する。周辺湿度センサ512は、例えば湿度によって電気抵抗が変化することを利用して周囲の湿度を計測する。周辺光度センサ513は、例えば光電素子を用いて周囲の光度を計測する。
【0045】
腕装着型の運動計測センサ520は、加速度センサや角加速度センサでユーザの腕の動きを計測する。この運動計測センサ520と足圧力センサ530を用いることでユーザの日常動作、歩行状態を更に正確に計測できる。脈拍(心拍数)センサ521は、手首又は指又は耳に装着し、例えば拍動に伴う血流の変化を赤外光の透過率や反射率の変化で計測する。体温センサ522、抹消皮膚温度センサ523は、サーミスタ、放射温度計、熱電対などを用いてユーザの体温、抹消皮膚温度を計測する。発汗センサ524は、例えば皮膚の表面抵抗の変化により皮膚の発汗を計測する。足圧力センサ530は、靴にかかる足裏の圧力分布を検出して、ユーザの立ち状態、座り状態、歩行状態などを計測、判定する。
【0046】
発話・咀嚼センサ540は、ユーザが発話中(会話中)であるか、咀嚼中(食事中)であるかの可能性を計測するためのイヤホン型のセンサであり、その筺体内に骨伝導マイク、外界音マイクが内蔵されている。骨伝導マイクは、発話・咀嚼時に体内から生じ、体内を伝搬する振動である体内音を検出する。外界音マイクは、発話に応じて体外に伝導する振動である音声や、環境の雑音を含む外界音を検出する。そして骨伝導マイク、外界音マイクにより捕らえられた音の単位時間におけるパワーの比較処理等を行うことで、発話可能性や咀嚼可能性を計測する。
【0047】
GPSセンサ550はユーザの位置(場所)を検知するセンサである。なおGPSセンサ550の代わりに携帯電話の位置情報サービスや周辺にある無線LANの位置情報を利用してもよい。顔色センサ560は、例えば顔面近くに光センサを配置し、複数の光学的バンドパスフィルタを通過した後の光度を比較して顔色を計測する。瞳孔の大きさセンサ561は、例えば瞳孔の近くにカメラを配置し、カメラの信号を解析して瞳孔の大きさを計測する。
【0048】
2.構成例
図2に本実施形態の情報提示システム(情報処理システム)のシステム構成例を示す。図2の情報提示システムは、例えば図1の携帯型電子機器100、ウェアラブルディスプレイ140等により実現できる。
【0049】
処理部102は、図示しない操作部からの操作情報や、ウェアラブルセンサ150から取得されたセンサ情報などに基づいて、種々の処理を行う。例えばセンサ情報の取得処理や、各種の演算処理、評価処理や、ディスプレイ等の情報提示部142による情報提示の制御処理を行う。この処理部102の機能は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、情報記憶媒体130(光ディスク、ICカード、HDD等)に記憶されたプログラムなどにより実現できる。
【0050】
記憶部120は、処理部102、通信部138などのワーク領域となるもので、その機能はRAMなどのメモリやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。この記憶部120は、コンテンツ情報記憶部122、エリア・スポット情報記憶部123、日常度情報記憶部124、予定情報記憶部126を含む。
【0051】
コンテンツ情報記憶部122(コンテンツデータベース)は、例えば画像、映像、音楽、音声、テキスト(文字、文章)、或いは各種データ等であるコンテンツの情報を記憶する。このコンテンツは、リアルタイムに生成してもよいし、例えば通信部138を介して外部からダウンロードしてもよい。またコンテンツ情報記憶部122は、コンテンツに関連づけられたメタ情報(付加情報)を記憶することができる。
【0052】
エリア・スポット情報記憶部123は、エリアやスポットに関する各種情報を記憶する。例えばエリアやスポットの位置情報や広さを示す情報(標準偏差のしきい値情報、分布範囲情報)を記憶する。
【0053】
日常度情報記憶部124(日常度データベース)は日常度情報を記憶する。例えばユーザの滞在場所であるエリア又はスポットに日常度を関連づけて記憶する。或いは滞在場所(エリア、スポット)及び滞在時間帯に関連づけて、日常度を記憶する。例えば日常度情報記憶部124は、ユーザが過去に滞在した複数の滞在場所の各々に対して、それに対応する日常度を関連づけて記憶する。或いは滞在場所及び滞在時間帯の組み合わせの各々に対して、それに対応する日常度を関連づけて記憶する。なお予定情報記憶部126は、ユーザの予定情報(予定表データ、スケジュール情報)を記憶する。
【0054】
情報記憶媒体130(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)などにより実現できる。処理部102は、情報記憶媒体130に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体130には、本実施形態の各部としてコンピュータ(操作部、処理部、記憶部、出力部を備える装置)を機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0055】
処理部102は、センサ情報取得部104、状況推定部(場所特定部)106、エリア・スポット設定部108、日常度評価部110、コンテンツ選択部112、提示制御部(表示制御部)118を含む。なおこれらの構成要素の一部(例えば日常度評価部、コンテンツ選択部、提示制御部)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0056】
センサ情報取得部104は、ウェアラブルセンサ150(広義にはセンサ)からのセンサ情報を取得する。具体的には、ウェアラブルセンサ150は、ユーザの行動(歩行、会話、食事、手足の動き、感情表現又は睡眠等)を計測する行動センサ、ユーザの状態(疲労、緊張、空腹、精神状態、身体状態又はユーザに発生したイベント等)を計測する状態センサ、及びユーザの環境(場所、時間、明るさ、気温又は湿度等)を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサを含んでおり、センサ情報取得部104は、これらのセンサからのセンサ情報を取得する。
【0057】
なおセンサは、センサデバイス自体であってもよいし、センサデバイスの他に制御部や通信部等を含むセンサ機器であってもよい。またセンサ情報は、センサから直接得られるセンサ1次情報であってもよいし、センサ1次情報を加工処理(情報処理)することで得られるセンサ2次情報であってもよい。
【0058】
状況推定部(状況同定部)106は、センサ情報取得部104により取得されたセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザの滞在場所等のユーザの状況(ユーザの行動、状態及び環境の少なくとも1つ)を推定(同定)するための処理を行う。具体的には、取得されたセンサ情報の乗算処理や加算処理などを行い、センサ情報のフィルタリング処理(選択処理)や解析処理のための種々の演算処理を実現する。そして、ユーザの現在の状況を推定する処理である状況同定処理を行う。或いは、ユーザの未来の状況を推定する処理である状況予測処理を行う。
【0059】
なお、状況推定部106が推定するユーザの状況は、例えばユーザの行動、状態、又は環境等である。ユーザの行動の推定は、ユーザが身に着けた行動センサの情報により、ユーザの静止・歩行・走行・座り・寝転がり・階段昇降の状態を判別したり、ユーザの周辺に配置されたセンサ(外部カメラ、ホームセンサ)により、ユーザの行動・姿勢状態を判別したり、位置検知センサにより求められた位置の軌跡により、ユーザの滞留中・移動中の状態を判別することなどにより実現できる。またユーザの状態は、ユーザの精神状態や肉体状態などである。ユーザの状態の推定は、ユーザが身に着けた生体センサの情報により、ストレス・興奮・緊張・健康状態などを判別することなどで実現できる。またユーザの環境は、ユーザの場所情報、時間情報、周囲環境情報などである。ユーザの環境の推定は、位置検知センサにより、ユーザの滞在場所(現在地)を判別したり、時計により年・月・日・曜日・時間を取得したり、周囲環境センサにより気温・気圧・照度・騒音などを取得することなどで実現できる。この場合に、センサ情報によりユーザ状況を完全・正確に特定することは難しいため、状況推定部106による状況推定の確からしさは、ある程度の幅を持つことになる。
【0060】
なおユーザ状況の推定に、センサ情報以外の情報を用いてもよい。具体的には、予定情報記憶部126に記憶されたユーザの予定情報(予定表データ、スケジュール情報)や、通信部138等を介して取得された外部情報を用いて、ユーザ状況を推定してもよい。例えば、ユーザが入力したスケジュール表に基づいて、ユーザのこれからの予定を推定したり、入力された予定から付随的な予定を推定する。或いは、ウェブ情報や外部データベースからインターネット等を介して取得した情報(例えば今日の天気・交通情報)や、他のユーザから取得した情報(例えば他のユーザからの連絡情報)などの外部情報に基づいて、ユーザ状況を推定する。
【0061】
このような予定情報や外部情報を利用すれば、センサ情報だけを用いてユーザ状況を推定する場合に比べて、状況推定の確度を高めることができる。例えばセンサ情報と予定情報を組み合わせてユーザの行動を推定することで、より確からしいユーザの行動の推定が可能になる。
【0062】
そして本実施形態では状況推定部(場所特定部)106が、ユーザの滞在場所を特定する。例えばユーザの滞在場所として、エリアと、エリアよりも狭いスポットを特定し、ユーザがエリアに滞在しているのか、或いは、エリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断する。具体的には、所定時間内でのユーザの位置の標準偏差を求める。そしてこの標準偏差に基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断する。更に具体的には、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、第1のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがエリア内に滞在しているか否かを判断する。また、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、第1のしきい値よりも小さい第2のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがスポット内に滞在しているか否かを判断する。なおエリアを求めるための所定期間とスポットを求めるための所定期間は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。またエリアとスポットというような2段階の区画(粒度)ではなく、3段階以上の区画にしてもよい。またスポットは、エリア内の場所であってもよいし、エリア外の場所であってもよい。
【0063】
なお、ユーザの滞在場所(エリア、スポット)については、GPSセンサを利用したり、携帯電話機の位置情報サービスや周辺にある無線LANの位置情報を利用してその位置を特定し、地図情報などを用いてその場所を特定できる。
【0064】
エリア・スポット設定部(場所設定部)108は、エリアやスポットの設定処理を行う。例えば、複数のエリアの各エリアの広さを可変に設定する。また複数のスポットの各スポットの広さを可変に設定する。具体的には、状況推定部106が、ユーザの位置の標準偏差と、第1、第2のしきい値を比較する場合に、複数のエリアの各エリア毎に第1のしきい値を可変に設定する。また複数のスポットの各スポット毎に第2のしきい値を可変に設定する。このように、その広さが可変に設定されるエリアやスポットの設定情報(第1、第2のしきい値等)は、エリア・スポット情報記憶部123に記憶される。
【0065】
日常度評価部110はユーザの日常度(非日常度)の評価処理を行う。例えば、取得されたセンサ情報等に基づいてユーザの日常度を評価(判断)する。例えば、GPS等からの緯度経度情報に基づいて、ユーザの滞在場所が特定されると、その場所への過去の滞在経験の頻度から日常度を評価する。
【0066】
具体的には日常度評価部110は、ユーザがエリアに滞在(位置)していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価する。例えばそのエリアへのユーザの過去の滞在経験の頻度から日常度を評価する。また、ユーザがスポットに滞在(位置)していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を評価する。例えばそのスポットへのユーザの過去の滞在経験の頻度から日常度を評価する。
【0067】
コンテンツ選択部112は、ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリア用のコンテンツを選択する。一方、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポット用のコンテンツを選択する。ここでエリア用のコンテンツとは、例えばエリアに関連づけられたコンテンツであり、エリアに対するユーザの興味を喚起する情報やエリア内でのユーザの活動を支援する情報などである。同様にスポット用のコンテンツとは、例えばスポットに関連づけられたコンテンツであり、スポットに対するユーザの興味を喚起する情報やスポット内でのユーザの活動を支援する情報などである。
【0068】
またコンテンツ選択部112は、ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合に、スポット用のコンテンツ又はエリア用のコンテンツを選択してもよい。例えばユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、スポット用のコンテンツを優先的に選択する。一方、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、エリア用のコンテンツを選択する。例えばユーザがエリア内のスポットに滞在している場合には、まず、スポット用のコンテンツの中から適切なコンテンツを選択して提示する。そして、その後にエリア用のコンテンツを選択したり、エリア用のコンテンツについては選択しないようにする。一方、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在している場合に、エリア用のコンテンツを選択して提示する。
【0069】
またコンテンツ選択部112は、日常度評価部110によりユーザの日常度が評価される場合には、日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択してもよい。例えばコンテンツ選択部112は、ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択する。例えばそのエリアに滞在することがユーザにとって日常的である場合には、ユーザを非日常に導くコンテンツを選択し、そのエリアに滞在することがユーザにとって非日常的である場合には、ユーザを日常に導くコンテンツを選択する。
【0070】
また、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択する。例えばそのスポットに滞在することがユーザにとって日常的である場合には、ユーザを非日常に導くコンテンツを選択し、そのスポットに滞在することがユーザにとって非日常的である場合には、ユーザを日常に導くコンテンツを選択する。
【0071】
なおユーザを非日常に導くコンテンツは、例えばユーザにとって親密度が低いコンテンツであり、ユーザを日常に導くコンテンツは、例えばユーザにとって親密度が高いコンテンツである。具体的にはコンテンツ情報記憶部122は、各コンテンツに関連づけてそのコンテンツに対するユーザの親密度を記憶する。例えばコンテンツのタグ情報としてユーザの親密度を記憶する。そしてユーザがそのエリア又はスポットに滞在することがユーザにとって日常度が高いと評価される場合には、コンテンツ選択部112は、コンテンツ情報記憶部122のコンテンツの中から、低い親密度が関連づけられたコンテンツを選択する。一方、ユーザがそのエリア又はスポットに滞在することがユーザにとって日常度が低いと評価される場合には、コンテンツ選択部112は、コンテンツ情報記憶部122のコンテンツの中から、高い親密度が関連づけられたコンテンツを選択する。
【0072】
また日常度評価部110は、ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度とスポットに対するユーザの日常度の両方を評価し、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価する。即ちエリアとスポットが重なっている場所にユーザが位置する場合には、エリア及びスポットの両方について日常度を評価し、エリアとスポットが重なっていない場所にユーザが位置する場合には、エリアのみについて日常度を評価する。
【0073】
そしてコンテンツ選択部112は、ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択すると共に、スポットに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択する。即ちエリアとスポットが重なっている場所にユーザが位置する場合には、エリアの日常度によりコンテンツが選択されると共にスポットの日常度によりコンテンツが選択される。
【0074】
一方、コンテンツ選択部112は、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択する。即ちエリアとスポットが重なっていない場所にユーザが位置する場合には、エリアの日常度のみでコンテンツを選択する。
【0075】
また日常度情報記憶部124(日常度データベース)は、ユーザの滞在場所であるエリア又はスポットに日常度を関連づけて記憶している。例えばユーザが過去に滞在した複数の滞在場所の各々に対して、それに対応する日常度を関連づけて記憶する。具体的には、そのエリア又はスポットに対するユーザの過去の滞在経験の頻度が多い場合には、そのエリア又はスポットに対して高い日常度が関連づけられる。一方、そのエリア又はスポットに対するユーザの過去の滞在経験の頻度が少ない場合には、そのエリア又はスポットに対して低い日常度が関連づけられる。
【0076】
なお、日常度情報記憶部124は、ユーザの滞在場所のみならず、ユーザの滞在場所及び滞在時間帯に関連づけて、日常度を記憶してもよい。例えば滞在場所及び滞在時間帯の組み合わせの各々に対して、それに対応する日常度を関連づけて記憶してもよい。
【0077】
そして日常度評価部110は、ユーザが滞在するエリア又はスポットに関連づけられた日常度を日常度情報記憶部124から読み出すことで、ユーザの日常度を評価する。例えば各エリア又は各スポットのタグ情報として関連づけられた日常度を読み出して、エリア又はスポットに滞在することについての日常度を評価する。
【0078】
なお日常度は、例えば、ユーザの過去の状況(状況履歴)との比較等において、ユーザの現在の状況が、どの程度、日常的なのか(普通、ありふれている、平凡)の度合いを表すパラメータである。またユーザの日常度を評価する処理と非日常度(普段とは違う、異常度)を評価する処理は、等価な処理として扱うことができる。
【0079】
提示制御部118は、選択されたコンテンツを、情報提示部142によりユーザに提示するための制御を行う。例えば情報提示部142がウェアラブルディスプレイやデジタルフォトフレームであった場合には、選択されたコンテンツ(コンテンツ画像)を、これらのウェアラブルディスプレイ、デジタルフォトフレームより提示(表示)するための制御を行う。
【0080】
3.スポットとエリア
さて、ユーザに対して適切でタイムリーなコンテンツを提供するためには、GPSセンサ等を用いてユーザの位置を特定し、特定された位置に基づいてコンテンツを選択して提示することが望ましい。
【0081】
ところが、GPSセンサにより得られる位置データ(緯度・経度)は、それ自体は単なるデータにすぎず、ユーザの滞在場所を直接意味する情報ではない。このため、これらの位置データからユーザにとって意味のある場所を抽出する必要がある。
【0082】
例えばユーザの居場所を滞在時間に基づいてカテゴライズするとユーザにとって意味のある場所を抽出できる。図3では、新宿などの街の駅を降りたユーザが、駅の周辺を歩き、各時間帯においてデパートA、クレープ屋B、映画館C、ファミリーレストランD、雑貨屋E、書店Fに滞在した場合を例にヒートマップを示している。GPSセンサ等を用いれば、これらの各滞在場所でのユーザの位置の分布を知ることができ、この分布の大きさや濃度(密度)は滞在場所に応じて異なる。このヒートマップでは、滞在時間が長い場所は濃くなっており、その場所での移動を伴うところは広い範囲に分布するようになっている。
【0083】
図3から明らかなように、例えば新宿などの街においては、街の中にユーザにとって意味の異なる複数の場所(例えばデパートA、クレープ屋B、映画館C等)が存在する。従って、図3の場合に、ユーザの滞在場所は新宿であると特定し、新宿に関連するコンテンツを選択して提示するだけでは、ユーザにとって本当に意味のあるコンテンツを提示できない。即ちユーザがデパートAに滞在している場合には、デパートAの各階のフロア情報やバーゲン情報などを提示すべきであり、ユーザがクレープ屋Bに滞在している場合には、そのクレープ屋Bのお勧めのクレープ情報を提示すべきである。またユーザが映画館Cに滞在する場合には、映画館の上映時間情報や館内情報などを提示すべきである。ところが、ユーザが新宿にいることしか特定できないと、このようなユーザの滞在場所に応じたタイムリーな情報を提供できない。
【0084】
一方、観光地など、特定の場所に長時間滞在せずに散策することを目的に訪れる場所については、狭い領域では、意味のある場所を抽出できない。例えばユーザが高尾山に訪れた場合は、ユーザは高尾山の色々な場所を散策すると考えられるため、ユーザの移動範囲は図3のような狭い範囲にならず、広範な範囲になる。従って、図3のような狭い範囲に絞ってユーザの滞在範囲を特定しようとすると、ユーザが高尾山を訪れているということを抽出できず、高尾山に関連するコンテンツをユーザに提示することができないという課題がある。
【0085】
そこで本実施形態では図4(A)、図4(B)に示すように、ユーザの滞在場所として、エリアとスポットという概念を導入している。図4(A)に示すように、エリアはスポットよりも広い領域であり、図4(B)に示すように、例えば各エリア内に、エリアよりも狭いスポットが存在する。本実施形態では、このようなスポットやエリアを以下に説明する手法により抽出する。
【0086】
例えば、エリアは、所定期間T1内における位置の標準偏差σが第1のしきい値Sth1(数100m〜1000m)以下となる領域である。一方、スポットは、所定期間T2内における位置の標準偏差σが第2のしきい値Sth2(例えば数10m〜100m)以下となる領域である。本実施形態では、ユーザが身に付けているGPSセンサ等の位置検知センサの情報を統計的に処理することで、エリアとスポットを抽出する。即ち所定時間内でのユーザの位置の標準偏差σに基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断する。
【0087】
具体的には、所定期間T1(例えば4時間)での緯度・経度の平均が(Nμ、Eμ)、標準偏差が(Nσ、Eσ)であったとする。この場合に、(Nσ、Eσ)を距離換算して、南北、東西の距離の標準偏差が、各々、Sth1(例えば1km)以下の領域を抽出することによって、図4(A)に示すようなユーザにとって意味のあるエリアの抽出が可能となる。一方、距離のしきい値をSth=Sth2というように小さくして(例えば数10m)、上記と同様の処理を行うことで、図4(B)に示すようなスポットの抽出が可能となる。
【0088】
このように本実施形態では、所定期間T1内でのユーザの位置の標準偏差σが、第1のしきい値Sth1以下であるか否かに基づいて、ユーザがエリア内に滞在しているか否かを判断する。一方、所定期間T2内でのユーザの位置の標準偏差σが、第1のしきい値Sth1よりも小さい第2のしきい値Sth2以下であるか否かに基づいて、ユーザがスポット内に滞在しているか否かを判断することになる。
【0089】
例えば、時刻tにおいて、時刻(t−T1)から時刻tまでのユーザの位置(緯度・経度)に対して統計処理を行って、位置の標準偏差σを求める。そしてその時の標準偏差σが第1のしきい値sth1以下であった場合には、そのユーザは、(t−T1)〜tの時間帯において、エリアに滞在していたと判断できる。同様に、時刻(t−T2)から時刻tまでのユーザの位置に対して統計処理を行って、位置の標準偏差σを求める。そしてその時の標準偏差σが第2のしきい値sth2以下であった場合には、そのユーザは、(t−T2)〜tの時間帯において、スポットに滞在していたと判断できる。なおT1=T2であってもよい。またエリア、スポットの抽出は、一人のユーザについて、その位置を長期間に亘って観測して統計的に処理することで実現してもよいし、多数のユーザの位置を観測して統計的に処理することで実現してもよい。
【0090】
また本実施形態では、複数のエリアの各エリアの広さを可変に設定し、複数のスポットの各スポットの広さを可変に設定している。これは、各エリア毎に上述の第1のしきい値Sth1を可変に設定し、各スポット毎に第2のしきい値Sth2を可変に設定することで実現できる。
【0091】
例えば図5に示すように、各スポット、各エリアによって、スポットやエリアの広さである距離範囲や、平均的な滞在時間に特徴がある。従って、距離範囲や滞在時間を適切に設定することで、スポットやエリアの性質もある程度ジャンル分けすることが可能になる。即ち、意味の領域の粒度(区画)は、場所、ジャンルによって異なるので、このようなジャンル分けは、ユーザの滞在場所に基づくコンテンツ選択のためには有効である。例えば図5において、喫茶店は、距離範囲(スポットの広さ)は10m程度で、滞在時間は30分程度になり、映画館は、距離範囲は同じく10m程度であるが、滞在時間は2時間程度となり、喫茶店よりも長くなる。また雑貨屋は、喫茶店よりも距離範囲が長く、100m程度であり、滞在時間は30分程度であるが、ショッピングモールは滞在時間は長くなり、4時間程度になる。またエリアは、スポットに比べて、距離範囲が長くなる(エリアの広さが広くなる)と共に、滞在時間も比較的長くなる。このように距離範囲(スポット、エリアの広さ)や滞在時間を適切に設定することで、位置データだけでは抽出できないその場所が持つ意味についても、抽出できるようになる。
【0092】
例えば図5において、スポットのしきい値であるSth2を数m〜数10m程度に設定すれば、喫茶店、ファミリーレストラン、映画館、オフィス、自宅、コンビニなどのスポットを抽出できる。一方、しきい値Sth2を数10〜100m程度に設定すれば、雑貨屋、デパート、ショッピングモールなどのスポットを抽出でき、しきい値Sth2を更に大きくすれば遊園地等のアミューズメント施設のスポットを抽出できる。
【0093】
また、エリアのしきい値であるSth1を1km〜10km程度に設定すれば、吉祥寺、渋谷などのエリアを抽出でき、しきい値Sth1を更に大きくすれば、高尾山などの更に大きなエリアを抽出できる。
【0094】
このようにしきい値Sth1、Sth2を可変に設定すれば、各エリアや各スポットの広さを可変に設定できる。これにより、ユーザの位置データからユーザにとって意味のある場所を適正に抽出できるようになる。
【0095】
4.処理例
次に図6、図7のフローチャートを用いて本実施形態の処理例について説明する。
【0096】
まず、行動センサ、状態センサ、環境センサからのセンサ情報を取得する(ステップS1)。そして取得されたセンサ情報や、予定情報や、外部情報等に基づいて、ユーザの滞在場所等のユーザの状況(TPOf)を推定する(ステップS2)。
【0097】
次に、ユーザがスポットに滞在しているか否かを判断する(ステップS3)。そしてスポットに滞在していると判断された場合には、提示候補となるコンテンツの中から、ユーザが滞在しているスポット用のコンテンツを選択する(ステップS4)。そして、選択されたコンテンツを、ウェアラブルディスプレイ等の情報提示部142によりユーザに提示する(ステップS7)。
【0098】
一方、ユーザがスポットに滞在していると判断されなかった場合には、ユーザがエリアに滞在しているか否かを判断する(ステップS5)。即ち、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在しているのかを判断する。そして、エリアに滞在していると判断された場合には、提示候補となるコンテンツの中から、ユーザが滞在しているエリア用のコンテンツを選択する(ステップS6)。そして、選択されたコンテンツを情報提示部142によりユーザに提示する(ステップS7)。
【0099】
図6に示すように、ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には(ステップS3)、スポット用のコンテンツが優先的に選択され(ステップS4)、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合に(ステップS5)、エリア用のコンテンツが選択される(ステップS6)。即ちユーザが滞在するスポットが特定された場合にはそのスポットに関連するコンテンツを選択し、ユーザが滞在するスポットが特定されなかった場合に、初めて、エリアに関連するコンテンツを選択する。
【0100】
図7は、ユーザの滞在場所の特定処理の具体例を示すフローチャートである。
【0101】
まず、GPSセンサ等からの情報に基づいてユーザの位置を特定する(ステップS11)。そして所定期間内でのユーザの位置の標準偏差σを求める(ステップS12)。
【0102】
次に、標準偏差σが、スポット用のしきい値Sth2以下か否かを判断する(ステップS13)。そして標準偏差σがSth2以下である場合には、ユーザはスポットに滞在していると判断する(ステップS14)。一方、標準偏差σがSth2よりも大きい場合には、標準偏差σが、エリア用のしきい値Sth1以下か否かを判断する(ステップS15)。そして標準偏差σがSth1以下である場合には、ユーザはエリアに滞在していると判断する(ステップS16)。
【0103】
5.コンテンツ提示の具体例
図8、図9にエリアやスポットに基づく提示コンテンツの具体例を示す。図8、図9では、センサ情報等に基づいてユーザ状況(イベント)が判断されて、ユーザがエリアやスポットに滞在しているか否かが判断される。そしてエリア用又はスポット用のコンテンツが選択される。
【0104】
図8は、ユーザがA街の自宅から吉祥寺に出かけた場合に提示されるコンテンツの例である。例えばユーザがA街のエリアの自宅のスポットに居ると判断された場合には、自宅用のコンテンツである天気予報が例えばウェアラブルディスプレイに表示される。そしてユーザが外出し、A街内の自宅以外の場所に居ると判断された場合には、A街に関連するローカルニュースのコンテンツが表示される。
【0105】
次にユーザがA駅のスポットの近傍に移動すると、A駅に対応する電車時刻表がウェアラブルディスプレイに表示される。そしてユーザがA駅に到着すると、A駅に関連づけられたコンテンツである乗換案内が表示される。このように各スポットにおいては各スポットに関連するコンテンツが提示される。
【0106】
次にユーザが電車でD街のエリアの方に移動すると、D街の名所やお勧めのスポットについてのコンテンツが表示される。そしてユーザがD駅のスポットに近づいて到着すると、有名ケーキ店等の「エキナカ」の紹介などのD駅ガイドが表示される。
【0107】
次に、ユーザが吉祥寺のエリアの方に移動すると、吉祥寺のお勧めスポットなどが表示される。そして吉祥駅のスポットの近傍では吉祥寺駅ガイドが表示され、吉祥寺駅に着くと、お勧めスポットや食事案内などの散策準備情報が表示される。
【0108】
次にユーザが吉祥寺駅のスポットから離れると、吉祥寺の地図やお勧めスポットが表示される。そして吉祥寺エリア内のG書店のスポットの近傍では、G書店案内(催し物、売れ筋の本の紹介等)が表示され、Eデパートのスポットの近傍ではEデパート案内(催し物、バーゲン等)が表示される。そしてEデパートに到着すると、Eデパートのフロア案内等が表示される。以上のようにして各エリアや各スポットに対応したコンテンツが表示される。
【0109】
図9は、ユーザがA街の自宅から高尾山に出かけた場合に提示されるコンテンツの例である。
【0110】
図9に示すように、自宅では、今日の天気を確認するための天気予報が表示され、自宅を離れると季節の花などを知らせるコンテンツが表示される。コンビニに立ち寄ると、コンビニで販売されているヘルシー飲料の広告が表示され、A駅、B駅ではそれぞれに関連するコンテンツが表示される。
【0111】
高尾山口駅のスポットに近づくと、高尾山口駅のガイドが表示され、高尾山口駅に到着すると、弁当購入・トイレ・コース紹介等の登山の準備情報を知らせるコンテンツが表示される。高尾山口駅を離れて登山を開始すると、高尾山エリアに関連するコンテンツである登山コースガイドが表示される。
【0112】
次にユーザが見晴台付近に近づくと、見晴台の案内が表示され、見晴台に到着すると、見晴台から見える景色のガイドが表示される。そして見晴台から離れて、スポットが無い場所では、季節の花や野鳥などの高尾山エリアに関連するコンテンツが表示される。
【0113】
次に薬王院や売店では、それぞれに対応するコンテンツが表示され、山頂の近傍では、ユーザを励ましたり、山頂までの残り距離等を表示する。そして山頂では、山頂・景色のガイドや、登山の運動量・所要時間等の振り返り情報が表示される。また下山に関する情報も表示される。
【0114】
以上のように図8、図9では、ユーザがエリア内のスポットに滞在している場合にはスポット用のコンテンツが提示され、エリア内のスポット以外の場所に滞在している場合にはエリア用のコンテンツが提示される。
【0115】
またスポットの近傍では、例えばスポットに対する興味等を喚起する情報が提示され、スポット内では、例えばスポット内での活動を支援する情報が提示される。そして、これらのいずれでもない場合には、エリア(地図)に関連する情報であって、ユーザが興味を持ちそうな情報が提示される。なお図8、図9は、各タイミング(時刻)において提示されるコンテンツの一例を示すものであり、他のコンテンツについても適宜提示されることになる。
【0116】
6.日常度に基づくコンテンツ選択
以上では、ユーザが滞在するエリア又はスポットに基づいて直接にコンテンツを選択する例を説明したが、ユーザが滞在するエリア又はスポットに基づいて日常度を評価し、日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択してもよい。図10にこの場合の処理例のフローチャートを示す。
【0117】
まず、行動センサ等からのセンサ情報を取得して、滞在場所等のユーザの状況を推定する(ステップS21、S22)。そしてユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、そのスポットについてのユーザの日常度を評価する(ステップS23、S24)。即ち過去の滞在履歴等からそのスポットにユーザが滞在することについての日常度を求める。そして、スポットについての日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択し、選択されたコンテンツを情報提示部142により提示する(ステップS25、S29)。
【0118】
一方、ユーザがスポットに滞在していない場合には、エリアに滞在しているか否かを判断する(ステップS26)。そしてエリアに滞在していると判断された場合には、そのエリアについてのユーザの日常度を評価する(ステップS27)。即ち過去の滞在履歴等からそのエリアにユーザが滞在することについての日常度を求める。そして、エリアについての日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択し、選択されたコンテンツを情報提示部142により提示する(ステップS28、S29)。
【0119】
例えば、ユーザが滞在しているスポット又はエリアが、ユーザにとって日常度が高い場合には、ユーザを非日常に誘導するために、ユーザにとって親密度が低いコンテンツを選択して提示する。一方、そのスポット又はエリアがユーザにとって日常度が低い場合には、ユーザを安心させたり支援するために、ユーザにとって親密度が高いコンテンツを選択して提示する。
【0120】
例えば、ユーザが平日の昼間に会社のスポットに滞在していることが特定されたとする。このようなスポットに居る状況はいつもの状況であり、ユーザの日常度は高いと評価される。従って、ユーザを非日常に誘導するようなコンテンツを提示する。具体的には、このようなユーザに昼食案内のコンテンツを提示する場合には、普段はあまり行かない店や入ったことがない店の案内情報などを提示する。
【0121】
また例えば、ユーザが休日の昼間に、初めて訪れる外国の観光地のエリアに滞在していることが特定されたとする。このようなエリアに居る状況は普段とは異なる状況であり、ユーザの日常度は低いと評価され、非日常であると評価される。従って、ユーザを安心させたり支援するためのコンテンツを提示する。具体的には、このようなユーザに昼食案内のコンテンツを提示する場合には、日本で普段行っているファーストフード店やチェーン店の案内情報などを提示する。
【0122】
なお、日常度を評価する場合には、5W1H(Who、What、When、Where、Why、How)のそれぞれについて評価することが望ましい。例えば、平日にユーザが会社に居れば、日常度が高いと評価されるが、休日にユーザが会社に居る場合には、逆に日常度が低いと評価される。即ち、場所が同じでも時間や日にちが異なれば、日常度の評価結果も異なったものになる。従って、日常度を評価する際には、ユーザの滞在場所のみならず、滞在場所と滞在時間帯との組み合わせに対して評価することで、日常度の評価処理を適正なものにすることができる。
【0123】
またユーザがエリア内のスポットに滞在している場合には、エリアに対する日常度とスポットに対する日常度の両方を評価し、エリアに対する日常度に基づきコンテンツを選択すると共に、スポットに対する日常度に基づきコンテンツを選択する。一方、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在している場合には、エリアに対するユーザの日常度のみを評価し、エリアに対する日常度に基づきコンテンツを選択する。
【0124】
例えば図11において、ユーザは、新宿エリア内にあるデパートH1のスポットに滞在していることが特定されている。この場合には、デパートH1のスポットに滞在していることについての日常度と、新宿エリアに滞在していることについての日常度の両方が評価される。
【0125】
そして図11の場合には、デパートH1のスポットに対する日常度に基づきコンテンツを選択すると共に、新宿エリアに対する日常度に基づきコンテンツを選択する。
【0126】
例えばデパートH1が、ユーザが初めて訪れたスポットであり、ユーザにとって日常度が低いスポットであったとする。この場合には、非日常的な状況にあるユーザを支援するために、図12(A)に示すようなデパートの売り場の案内情報を提示する。このようにすれば、ユーザは、初めて訪れたデパートであっても、自身が所望する商品の売り場を容易に探し出すことができる。
【0127】
一方、デパートH1が、ユーザがいつも訪れるスポットであり、ユーザにとって日常度が高いスポットであったとする。この場合には、ユーザを非日常に導くために、そのデパートでの穴場情報や特売情報などを提示する。
【0128】
また新宿のエリアが、ユーザが普段訪れるエリアであり、ユーザにとって日常度が高いエリアだったとする。この場合には、ユーザを非日常に導くようなコンテンツを提示する。具体的には図12(B)に示すように、デパートH1からの帰り道に訪れる店として、いつもとは違ったカテゴリの店(ユーザにとって新鮮度が高い店)を案内する旨の表示を行う。このようにすれば、ともすると何も考えずに何となく行動している日常に変化を与えるきっかけを作り、ユーザーがこれを受け入れて新しい体験をすることで、新たな気づきや発見・感動が生まれることを期待できる。
【0129】
一方、新宿のエリアが、ユーザが初めて訪れるエリアであり、ユーザにとって日常度が低いエリアだったとする。この場合には、例えばデパートHから新宿駅までの帰り道の案内情報を表示する。このようにすれば、日常的ではなく不安な状況にあるユーザに対して、安心感等を与えることが可能になる。
【0130】
また、例えばユーザが新宿エリア内には居るが、新宿エリア内のスポットA1、B1、C1、D1、E1、F1、G1のいずれにも滞在していなかったとする。この場合には、新宿の道案内や名所案内などの新宿エリアに関連するコンテンツを選択して表示する。
【0131】
このように、スポット又はエリア毎に別個にユーザの日常度を評価して、コンテンツを選択するようにすれば、各スポット毎又は各エリア毎の日常度に応じた適切なコンテンツを選択してユーザに提示することが可能になり、ユーザにとって利便性が高いコンテンツ提示システムを提供できる。
【0132】
なお、以上では、スポット又はエリアに対するユーザの日常度に基づいて、コンテンツを選択する手法について説明したが、本実施形態の手法はこれに限定されない。例えばスポット又はエリアについて求められた日常度を、コンテンツ選択以外の他の用途に使用することも可能である。例えばスポット又はエリアについて求められたコンテンツを、メディア情報などの他の情報に関連づけて情報記憶部に記録するようにしてもよい。
【0133】
例えばデジタルカメラなどによる撮影時に、撮影場所であるスポット又はエリアについてのユーザの日常度を求め、求められた日常度を、メディア情報である撮影画像に関連づけて記録する。このようにすれば、その撮影画像の再生時にその撮影画像に関連づけられた日常度に基づいて撮影画像の検索を行ったり、日常度に基づいて撮影画像の削除を行ったり整理を行うことなどが可能になる。例えば日常度が低いスポット又はエリアでの撮影画像を優先的に再生したり、日常度が高いスポット又はエリアでの撮影画像を削除したり、外部のメディア情報記憶部に転送して整理することなどが可能になる。
【0134】
そして本実施形態では、エリアについての日常度の評価とスポットについての日常度の評価を分けて行う手法を採用しているため、より適正な日常度の評価処理を実現できるという利点がある。
【0135】
例えば、ユーザの勤務先のビルがある新宿では、エリアのように広い区画の領域で日常度を判断すると、ユーザが勤務先のビルにいるのか、勤務先近くのホテルにいるのかを区別することができない。即ち、エリアの中に意味の異なる場所が複数混在してしまい、日常度の評価が不正確になるおそれがある。
【0136】
一方、観光地エリアなど、特定の場所に長時間滞在せずに散策することを目的に訪れる場所については、スポットのような狭い領域では、意味のある場所が抽出できず日常度が評価できなくなるおそれがある。
【0137】
この点、本実施形態では、ユーザがエリアに滞在しているのか、エリア内のスポットに滞在しているのかを判断し、エリアに滞在している場合には、エリアについてのユーザの日常度を求め、スポットに滞在している場合には、スポットについての日常度を求めている。従って、ユーザにとって意味の異なる領域をエリアよりも狭いスポットとして切り出し日常度を評価できるため、より正確で適正な日常度の評価処理を実現できる。またスポットのような狭い領域では意味のある場所を抽出できない場合にも、ユーザにとって意味の異なる領域をスポットよりも広いエリアとして切り出し、日常度を評価できるようになる。
【0138】
なお、日常度の評価処理については種々の処理が考えられる。例えばエリアやスポットなどの滞在場所でのユーザの日常度を、その滞在場所におけるユーザの存在確率に基づき評価してもよい。
【0139】
例えば図13において、自宅については、平日の昼でのユーザの存在確率は低いが、平日の朝晩の存在確率は高い。また、休日の昼では、ある程度、存在確率が高くなり、休日の朝晩では更に存在確率が高くなる。
【0140】
一方、勤務先であるオフィスについては、平日の昼は存在確率が高いが、平日の朝晩は存在確率が小さい。また休日のオフィスについては、昼及び朝晩の両方において存在確率が低い。
【0141】
図14(A)に示すように、図13で得られた存在確率は、日常度N(日常度の算出ベースとなる値)に割り当てることができる。このような存在確率に対して、更に状況や感情などを加味して、日常度を算出してもよい。
【0142】
また例えば、各エリア、各スポットにおける滞在時間の割合を、その場所の平均的な滞在時間で正規化して、その場所に対するユーザーの日常度を評価することもできる。こうすれば、もともと滞在時間の短いコンビニエンスストアのような場所の日常度が、低く算出されてしまう事態を防止できる。
【0143】
或いは図14(B)に示すように、滞在時間による存在確率ではなく、単に、所定期間中(例えば1〜3ヶ月)に、そのスポット・エリアにユーザが存在した回数(進入回数)に基づいて、存在確率を定義して、日常度Nを算出してもよい。
【0144】
なお日常度情報記憶部124(日常度データベース)は、図13及び図14(A)の組み合わせや、図13及び図14(B)の組み合わせで実現できる。例えば日常度情報記憶部124では、図13のエリアやスポットなどのユーザの滞在場所に関連づけて、図14(A)、図14(B)のように日常度を記憶する。或いは、エリアやスポットなどのユーザの滞在場所、及び平日昼、平日朝晩、休日昼、休日朝晩などの滞在時間帯に関連づけて日常度を記憶することになる。ユーザのエリア、スポットなどの滞在場所が特定されたり、これに加えて平日昼、平日朝晩等の滞在時間帯が特定されると、図13、図14(A)或いは図13及び図14(B)の組み合わせで実現される日常度情報記憶部124から日常度を読み出すことで、ユーザの日常度を評価できるようになる。
【0145】
7.スポットとエリアの詳細
次にスポット、エリアの意味合い等について更に詳細に説明する。例えば図15には、高尾山、D街、E街、F街、G街、吉祥寺などのエリアと、これらのエリア内のスポットが示されている。ここで、従来は、ある程度の広さをもった同じ意味をもつ場所を“点”で扱っていた。例えば、図15の高尾山という場所には、位置データとして高尾山の山頂の緯度経度を関連づけていたため、高尾山に行楽で行く人達が散策する領域全体を高尾山というように扱うことはできなかった。従って、ユーザが高尾山に近付いたときに高尾山の案内を提示しようとしても、高尾山の位置として設定された山頂から所定の距離にユーザが近付いたタイミングで提示するという手法しか採用できなかった。
【0146】
この場合、適切な所定の距離は、例えば高尾山ならば5kmであるかもしれないが、渋谷のデパートなら100mなどと、まちまちになる。また、散策エリアも必ずしも円形ではなく、高尾山ならば登山道に沿った形で分布するため、一律に山頂から5kmとしてしまうと不都合が生じる。
【0147】
そこで本実施形態では、その場所を訪れる多くのユーザ(利用者)の滞在時間と分布から、その場所をまとまった一つの領域として扱う手法を採用している。更に、この領域をエリアとスポットという階層にわけて、特定の目的で訪れる領域をスポットとし、より上位の目的で訪れる街や観光地といった広い領域をエリアとすることで、ユーザへの適切なレコメンド情報等の提示を可能にしている。
【0148】
具体的には、スポットは、買い物をする、映画を見る、など特定の目的のために、ある程度の時間滞在することになる比較的狭い領域である。スポットの具体例としては、例えば喫茶店、デパート、映画館、清水寺などがある。
【0149】
一方、エリアは、例えば街や観光地などの、ある目的に合った複数のスポットを包含する領域であり、ユーザが、それらのスポットを尋ね歩くために移動しながらある程度の時間その領域内に存在することになる比較的広い領域である。あるいは、例えば行楽地などの、特定のスポットを包含せずに、散策自体を目的に移動しながらある程度の時間その領域内に存在することになる比較的広い領域である。エリアの具体例としては、例えば吉祥寺、渋谷、京都、高尾山などがある。
【0150】
本実施形態では、ユーザが現在滞在する場所の属性を、エリアとスポットの両方の属性で記述し、それぞれの属性に合わせて適切なコンテンツを提示する。例えば、ユーザが滞在するエリアが渋谷であり、スポットがデパートLであれば、渋谷に関連するコンテンツと、デパートLに関連するコンテンツが、ユーザへの提示コンテンツ候補となる。そして、ユーザに対して昼食の案内を行う場合には、ユーザの好みに合ったデパートL内のレストランや、渋谷で評判のレストランなどを勧めるコンテンツを提示する。
【0151】
例えば、街の散策中に、ユーザがスポットとスポットの隙間を移動中であれば、エリアの属性しか記述できないので、そのときにはエリアに関連するコンテンツのみが提示コンテンツ候補となる。一方、スポットではあるがエリアではないような場所であれば、スポットに関連するコンテンツのみが提示コンテンツ候補となる。
【0152】
なお、スポットについての詳細情報(例えばデパートの売り場案内等)は、ユーザがスポットに入ってから提示すればよいが、スポットについてのレコメンド情報(例えばデパートのバーゲン案内等)は、ユーザがスポットの近傍でスポットに向かっているときに提示することが好ましい。エリアについても同様である。
【0153】
例えば図16(A)、図16(B)では、喫茶店Iというスポットを含む所定の領域(図では所定半径の円内)にユーザが入ると、図16(C)に示すように、喫茶店Iについてのレコメンド情報が提示される。そして、このレコメンド情報を見たユーザが喫茶店Iに立ち寄ると、喫茶店Iの詳細情報が提示される。
【0154】
8.変形例
図17に本実施形態の変形例の構成を示す。図17のシステムでは、サーバ200(外部サーバ、ホームサーバ等)が設けられている。携帯型電子機器100とサーバ200は、例えばインターネット、無線LAN等で通信接続される。
【0155】
そして図17では、センサ情報の取得処理、ユーザ状況の推定処理、日常度の評価処理、コンテンツの選択処理は、主に、ユーザが所持する携帯型電子機器100において実行される。またコンテンツをダウンロードしたり転送する処理等は、主に、サーバ200の処理部202の転送部216により実行される。
【0156】
また、コンテンツは、ウェアラブルディスプレイ140や、デジタルフォトフレーム300のディスプレイ340を用いてユーザに提示される。
【0157】
例えばユーザが携帯型電子機器100を持ち歩いて外出している場合には、携帯型電子機器100の表示制御部119の表示制御により、ウェアラブルディスプレイ140にコンテンツの画像が表示される。
【0158】
一方、ユーザが家に帰って、ウェアラブルディスプレイ140を取り外した場合には、デジタルフォトフレーム300の表示制御部318の表示制御により、ディスプレイ340にコンテンツの画像が表示される。例えば携帯型電子機器100のコンテンツ選択部112により選択されたコンテンツの情報が、例えばホームサーバ等のサーバ200を介してデジタルフォトフレーム300に転送される。そして、デジタルフォトフレーム300の表示制御部318は、転送されたコンテンツ情報に基づいて、コンテンツの画像をディスプレイ340に表示する制御を行う。
【0159】
なお、センサ情報の取得処理、ユーザ状況の推定処理、日常度の評価処理、コンテンツの選択処理の一部又は全部を、サーバ200において実行したり、これらの処理の一部をデジタルフォトフレーム300において実行するようにしてもよい。
【0160】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(センサ、ディスプレイ等)と共に記載された用語(ウェアラブルセンサ、ウェアラブルディスプレイ等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また情報提示システム(情報処理システム)の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】センサ情報の取得手法の説明図。
【図2】本実施形態の情報提示システムの構成例。
【図3】ユーザの滞在場所における位置の分布についての説明図。
【図4】図4(A)、図4(B)はエリア、スポットの説明図。
【図5】各スポット・各エリアについての滞在時間、距離範囲の特徴を示す図。
【図6】コンテンツ選択処理を説明するためのフローチャート。
【図7】ユーザの滞在場所の特定処理を説明するためのフローチャート。
【図8】コンテンツ提示の具体例の説明図。
【図9】コンテンツ提示の具体例の説明図。
【図10】日常度に基づくコンテンツ選択処理を説明するためのフローチャート。
【図11】日常度に基づくコンテンツ選択処理の説明図。
【図12】図12(A)、図12(B)は日常度に基づくコンテンツ選択処理により提示されるコンテンツの例
【図13】滞在場所の存在確率についての説明図。
【図14】図14(A)、図14(B)は存在確率や存在回数に基づく日常度の算出手法の説明図。
【図15】エリア、スポットについての説明図。
【図16】図16(A)〜図16(C)はスポットのレコメンド情報等の提示手法の説明図。
【図17】本実施形態の変形例。
【符号の説明】
【0162】
100 携帯型電子機器、102 処理部、104 センサ情報取得部、
106 状況推定部、108 エリア・スポット設定部、110 日常度評価部、
112 コンテンツ選択部、118 提示制御部、120 記憶部、
122 コンテンツ情報記憶部、123 エリア・スポット情報記憶部、
124 日常度情報記憶部、126 予定情報記憶部、130 情報記憶媒体、
138 通信部、140 ウェアラブルディスプレイ、142 情報提示部、
150 ウェアラブルセンサ、200 サーバ、202 処理部、216 転送部、
220 記憶部、222 コンテンツ情報記憶部、238 通信部、
300 デジタルフォトフレーム、302 処理部、318 表示制御部、
320 記憶部、322 コンテンツ情報記憶部、340 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの状況を推定する状況推定部と、
ユーザへの提示候補となるコンテンツの中から、ユーザの滞在場所に対応するコンテンツを選択するコンテンツ選択部と、
選択されたコンテンツを、情報提示部によりユーザに提示するための制御を行う提示制御部とを含み、
前記状況推定部は、
ユーザがエリアに滞在しているのか、エリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断し、
前記コンテンツ選択部は、
ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリア用のコンテンツを選択し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポット用のコンテンツを選択することを特徴とする情報提示システム。
【請求項2】
請求項1において、
複数のエリアの各エリアの広さを可変に設定し、複数のスポットの各スポットの広さを可変に設定するエリア・スポット設定部を含むことを特徴とする情報提示システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記状況推定部は、
所定時間内でのユーザの位置の標準偏差に基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断することを特徴とする情報提示システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記状況推定部は、
所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、所定の第1のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがエリアに滞在しているか否かを判断し、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、前記第1のしきい値よりも小さい所定の第2のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがスポットに滞在しているか否かを判断することを特徴とする情報提示システム。
【請求項5】
請求項4において、
複数のエリアの各エリア毎に前記第1のしきい値を可変に設定し、複数のスポットの各スポット毎に前記第2のしきい値を可変に設定するエリア・スポット設定部を含むことを特徴とする情報提示システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記状況推定部は、
ユーザの行動を計測する行動センサ、ユーザの状態を計測する状態センサ及びユーザの環境を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断することを特徴とする情報提示システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記コンテンツ選択部は、
ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合に、スポット用のコンテンツ又はエリア用のコンテンツを選択することを特徴とする情報提示システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記コンテンツ選択部は、
ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、スポット用のコンテンツを優先的に選択し、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、エリア用のコンテンツを選択することを特徴とする情報提示システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部を含み、
前記コンテンツ選択部は、
ユーザの滞在場所に対するユーザの日常度の評価結果に基づいて、コンテンツを選択することを特徴とする情報提示システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記日常度評価部は、
ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を評価し、
前記コンテンツ選択部は、
ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択することを特徴とする情報提示システム。
【請求項11】
請求項10において、
ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、
前記日常度評価部が、エリアに対するユーザの日常度とスポットに対するユーザの日常度の両方を評価し、前記コンテンツ選択部が、エリアに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択すると共に、スポットに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択し、
ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、
前記日常度評価部が、エリアに対するユーザの日常度を評価し、前記コンテンツ選択部が、エリアに対するユーザの日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択することを特徴とする情報提示システム。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかにおいて、
ユーザの滞在場所であるエリア又はスポットに日常度を関連づけて記憶する日常度情報記憶部を含み、
前記日常度評価部は、
ユーザが滞在するエリア又はスポットに関連づけられた日常度を前記日常度情報記憶部から読み出して、ユーザの日常度を評価することを特徴とする情報提示システム。
【請求項13】
ユーザの状況を推定する状況推定部と、
ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部を含み、
前記状況推定部は、
ユーザがエリアに滞在しているのか、エリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断し、
前記日常度評価部は、
ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を評価することを特徴とする情報処理システム。
【請求項14】
請求項13において、
前記状況推定部は、
所定時間内でのユーザの位置の標準偏差に基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断することを特徴とする情報処理システム。
【請求項15】
請求項13又は14において、
前記日常度評価部は、
ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度とスポットに対するユーザの日常度の両方を評価し、
ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価することを特徴とする情報処理システム。
【請求項16】
ユーザの状況を推定する状況推定部と、
ユーザへの提示候補となるコンテンツの中から、ユーザの滞在場所に対応するコンテンツを選択するコンテンツ選択部と、
選択されたコンテンツを、情報提示部によりユーザに提示するための制御を行う提示制御部として、
コンピュータを機能させ、
前記状況推定部は、
ユーザがエリアに滞在しているのか、エリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断し、
前記コンテンツ選択部は、
ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリア用のコンテンツを選択し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポット用のコンテンツを選択することを特徴とするプログラム。
【請求項17】
ユーザの状況を推定する状況推定部と、
ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部として、
コンピュータを機能させ、
前記状況推定部は、
ユーザがエリアに滞在しているのか、エリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断し、
前記日常度評価部は、
ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を評価することを特徴とするプログラム。
【請求項18】
コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項16又は17に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−72828(P2010−72828A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238123(P2008−238123)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】