説明

情報通知装置、移動装置、情報通知システム、情報通知方法、メッセージ出力方法、情報通知制御プログラム、及び移動装置制御プログラム

【課題】移動装置の位置に従った適切な通知を行うことができる情報通知システムを提供する。
【解決手段】現在位置を示す位置情報を送信する位置情報送信部と、通知情報を受信する通知情報受信部と、通知情報に基づいてメッセージを出力するメッセージ出力部を含む移動装置と、位置情報を受信する位置情報受信部と、位置情報に基づいて移動装置の現在位置に対応する所定の通知情報を生成する演算部と、通知情報を送信する通知情報送信部を含む情報通知装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信した位置情報に基づいて通知を行う情報通知装置、移動装置、情報通知システム、情報通知方法、メッセージ出力方法、情報通知制御プログラム、及び移動装置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、人、自動車、列車などの移動体がある危険な地点に接近しているとき、その移動体にとって、事前に危険地点に接近していることを察知できることが望ましい。
【0003】
例えば、視覚障害者が外出する際には、路上の安全を確認するために、白杖や盲導犬を利用することが多い。ところが、白杖や盲導犬を利用すると、日常生活で最も使用頻度の高い「手」を使う動作が制限されてしまうという問題点がある。また、白杖を使用する場合は、使用者の周囲の半径1m程度以内の情報しか得ることができない。盲導犬を使用する場合には、周囲の環境に合わせた複雑な状況判断は期待できない。さらに、白杖や盲導犬ともに、それらを操作することは使用者にとって大きな負担である。
【0004】
従来、移動体が所定の地点に接近したことを、その移動体に通知する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1記載の道路横断支援装置では、視覚障害者の所持する送信機からの信号を受信し、所定距離範囲に入ったとき、視覚障害者に通知する。
【0005】
使用者が所定の領域内に入っていることを、その使用者に知らせる装置もある(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2の行動管理システムでは、管理装置が、携帯ナビゲーション装置から送信された位置情報に基づいて、携帯ナビゲーション装置が所定地帯に接近乃至進入していることを検知し、携帯ナビゲーション装置に通知する。
【0006】
さらに、列車の接近を検知し警報を発する装置もある(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3記載の列車接近警報装置は、列車から受信した位置情報を用いて、警報装置と列車間の距離を求め、距離が設定値以下になると警報を発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−87092号公報 (第4頁、図1)
【特許文献2】特開平11−241925号公報 (第3−4頁、図1)
【特許文献3】特開平11−59419号公報 (第2頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の各公知技術にはそれぞれ問題がある。特許文献1の道路横断支援装置では、視覚障害者の所持する送信機からの無線信号の受信の有無に基づいて、通知を行っている。一般に、電波、光などの無線信号の到達距離は、周囲の建物、壁等の配置や同じ周波数の電波、光の存在などに大きく影響される。そのため、送信機が接近したことを判定する基準となる距離を正確に定めることができない。例えば、無線信号の到達距離が短い場合は、視覚障害者への警報が遅れる可能性がある。逆に、無線信号の到達距離が長い場合は、危険箇所から十分に離れていて警報が不要であるにもかかわらず警報が発せられる可能性があり、視覚障害者に無用な緊張を強いてしまう。従って、送信機が接近したことを判定する基準となる距離は、極力、正確に定められることが望ましい。
【0009】
さらに、特許文献1の道路横断支援装置は、無線信号の受信の有無のみに基づいて通知を行う。そのため、危険箇所である道路と使用者との間の距離の長短には関係なく、道路横断支援装置と使用者との間の距離によって通知を行う。従って、使用者と道路との位置関係によって変化する、危険度や緊急性を考慮することができない。
【0010】
特許文献2の行動管理システムでは、携帯ナビゲーション装置を携帯する使用者には、所定地帯に接近乃至進入していることのみが通知される。ところが、通知の必要性は、所定地帯の内部の全領域に亘って必ずしも一定であるとは限らない。そのため、使用者がある地帯に接近していても、使用者の存在位置によっては、即時の通知が不要な場合にも通知が行われる可能性がある。例えば、特許文献2の行動管理システムを、使用者が危険箇所を含む所定地帯に接近しないように警報を送る用途に適用した場合、使用者の存在位置が危険箇所からある程度離れているときにも即座に警報が発せられる可能性がある。
【0011】
そこで、確実に通知が必要なときのみに警報が発せられるようにするために、特許文献2の行動管理システムにおいて、警報の発生が必要であると判断する地帯を狭い領域に限定する方法も考えられる。しかし、極端に地帯を限定することは、警報の発生が遅れることにつながるため、好ましくない。
【0012】
特許文献3における警報は、列車接近警報装置の周囲に対して発せられるものであり、列車に対するものではない。従って、列車には警報は届かないため、列車側に危険を通知することはできない。
【0013】
このように、特許文献1、2及び3に記載された技術では、移動体である使用者に、使用者の存在位置に応じた適切な通知を行うことができないという課題がある。
(発明の目的)
本発明は上記のような技術的課題に鑑みて行われたもので、移動装置の位置に従った適切な通知を行うことができる情報通知装置、情報通知システム、情報通知方法、及び情報通知制御プログラムを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、存在位置に従った適切なメッセージを出力することができる移動装置、メッセージ出力方法及び移動装置制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の情報通知装置は、外部の移動装置から、移動装置の現在位置を示す位置情報を受信する位置情報受信部と、位置情報に基づいて、第1の現在位置に対応する所定の通知情報を生成する演算部と、移動装置に通知情報を送信する通知情報送信部を備える。
【0016】
本発明の移動装置は、現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、 位置情報を外部に送信する位置情報送信部と、外部から受信した、位置情報に基づいて生成された通知情報を受信する通知情報受信部と通知情報に基づいて所定のメッセージを出力するメッセージ出力部を備える。
【0017】
本発明の情報通知システムは、現在位置を示す位置情報を送信する位置情報送信部と、通知情報を受信する通知情報受信部と、通知情報に基づいてメッセージを出力するメッセージ出力部を含む移動装置と、位置情報を受信する位置情報受信部と、位置情報に基づいて第1の現在位置に対応する所定の通知情報を生成する演算部と、通知情報を送信する通知情報送信部を含む情報通知装置を備える。
【0018】
本発明の情報通知方法は、移動装置の現在位置を示す位置情報を受信するステップと、位置情報に基づいて第1の現在位置に対応する所定の通知情報を生成するステップと、移動装置に通知情報を送信するステップを備える。
【0019】
本発明のメッセージ出力方法は、現在位置を示す位置情報を取得するステップと、位置情報を外部に送信するステップと、外部から受信した、位置情報に基づいて生成された通知情報を受信するステップと、通知情報に基づいて所定のメッセージを出力するステップを備える。
【0020】
本発明の情報通知制御プログラムは、位置情報受信部と通知情報送信部を備える情報通知装置に備えられたコンピュータを、位置情報受信部を用いて、外部の移動装置から移動装置の現在位置を示す位置情報を受信する受信手段と、 位置情報に基づいて第1の現在位置に対応する所定の通知情報を生成する演算手段と、通知情報送信部を用いて通知情報を送信する送信手段として機能させる。
【0021】
本発明の移動装置制御プログラムは、位置情報取得部と位置情報送信部と通知情報受信部とメッセージ出力部を備える情報通知装置に備えられたコンピュータを、位置情報取得部を用いて現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、位置情報を外部に送信する位置情報送信手段部と、外部から受信した、位置情報に基づいて生成された通知情報を受信する通知情報受信手段と、通知情報に基づいて所定のメッセージを出力するメッセージ出力手段として機能させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の情報通知装置、情報通知システム、情報通知方法、及び情報通知制御プログラムは、移動装置からの位置情報に基づいて通知情報を生成し、送信する。従って、移動装置の存在位置に応じた適切な通知を行うことができるという効果がある。
【0023】
また、本発明の移動装置、メッセージ出力方法及び移動装置制御プログラムは、位置情報を送信し、その位置情報に基づいて生成された通知情報を受信し、所定のメッセージを出力する。従って、移動装置の存在位置に応じた適切なメッセージを出力することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態の情報通知システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の移動端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の情報通知装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の概念を示す模式図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の動作の概要を示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の動作を説明するための平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の動作の変形例を説明するための平面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の端末の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態の情報通知装置の演算部の処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態の動作を説明するための平面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の情報通知装置の演算部の処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態の動作を説明するための平面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態の情報通知装置の演算部の処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第4の実施形態の動作を説明するための平面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態における、移動可能な情報通知装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第5の実施形態の動作を説明するための平面図である。
【図17】本発明の第6の実施形態の情報通知システムの構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第6の実施形態の端末の処理を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第6の実施形態の情報通知装置の演算部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。 図1は、本発明の第1の実施形態の情報通知システムの構成を示すブロック図である。図2は、本発明の第1の実施形態の移動端末の構成を示すブロック図である。図3は、本発明の第1の実施形態の情報通知装置の構成を示すブロック図である。
【0026】
本発明の第1の実施形態の情報通知システムは、移動端末1と情報通知装置2を含む。第1の実施形態では、移動端末1は文字通り移動可能であり、情報通知装置2は、所定の場所、例えば、危険地点の付近に固定されているものとする。なお、第1の実施形態の移動端末1及び情報通知装置2は、本発明に必須の構成のみを備えている。以下に、移動端末1、情報通知装置2のそれぞれについて、内部の構成及び機能について説明する。
【0027】
移動端末1は、位置情報取得部11、位置情報送信部12、通知情報受信部13、メッセージ出力部14を備える。
【0028】
位置情報取得部11は、移動端末1の現在位置を測定し、位置情報(以降、「端末位置情報」という。)を出力する。現在位置を測定する方法には、各種の方法がある。例えば、一般に用いられているGPS(Global Positioning System)を用いる方法がある。GPSを用いる位置情報の測定方法は周知であるので説明は省略する。
【0029】
あるいは、固定された位置情報発信器からの信号を用いて位置情報を取得する方法もある(例えば、特開2005−175656号公報参照。)移動端末1が、地下等、衛星からの電波を受信することができない環境に存在するときは、GPSを用いた位置測定は不可能である。そのような場合には、上記のような、固定された位置情報発信器からの信号を用いる方法を適用することができる。この方法を用いる場合、位置情報の正確さや精度を向上させるには、位置情報発信器の設置間隔を短くすればよい。
【0030】
「位置情報」とは、例えば、緯度と経度の組み合わせ等、移動端末1の位置を特定することができる、所定の座標情報である。位置情報は、2次元の情報には限定されず、1次元や3次元の情報でもよい。位置情報の次元は、移動端末1の可動範囲及び実用上の必要性を考慮して、適切に選択すればよい。第1の実施形態では、位置情報は2次元の情報であるものとする。
【0031】
位置情報送信部12は、位置情報取得部11から端末位置情報を受け取り、情報通知装置2へ位置情報信号15を送信する。移動端末1は可動性を持つので、位置情報信号15は、電波、光等、無線信号であることが望ましい。
【0032】
通知情報受信部13は、情報通知装置2からの通知情報信号24を受信すると、通知情報信号24に含まれる通知情報をメッセージ出力部14へ引き渡す。
【0033】
メッセージ出力部14は、通知情報に基づいて所定のメッセージを出力する。このときのメッセージには、例えば、音声出力、画面表示、バイブレータ等を用いた移動端末1自体の振動等がある。
【0034】
情報通知装置2は、位置情報受信部21、演算部22、通知情報送信部23を備える。位置情報受信部21は、移動端末1から位置情報信号15を受信し、位置情報信号15に含まれる端末位置情報を演算部22へ引き渡す。
【0035】
演算部22は、端末位置情報に基づいて、端末へ送信するための通知情報を生成する。通知情報は、移動端末1において発生するべきメッセージの種類、あるいは危険度等を含む。
【0036】
なお、演算部22による処理を簡単にするために、演算部22に、予め位置情報に対応付けて、通知情報の内容が設定しておいてもよい。この場合、演算部22は、受け取った端末位置情報に基づいて通知情報を選択し、移動端末1へ送信する。演算部22に、予め位置情報に対応付けて、通知の必要性を設定しておいてもよい。この場合、演算部22は、端末位置情報に基づいて通知の必要性を判断し、通知が必要な場合には通知情報を生成又は選択し、移動端末1へ送信する。
【0037】
なお、演算部22に、予め情報通知装置2の位置情報を設定しておき、情報通知装置2の位置情報と移動端末1位置情報との差から距離を計算し、距離に基づいて通知情報を送信してもよい。すなわち、距離に基づいてメッセージの種類、あるいは危険度を選択し、通知情報として送信してもよい。
【0038】
あるいは、通知情報に、情報通知装置2と移動端末1との間の距離をそのまま含ませてもよい。この場合は、移動端末1において、距離に基づいてメッセージの種類、あるいは危険度を選択し、メッセージの出力を行う。
【0039】
通知情報送信部23は、演算部22から受け取った通知情報を通知情報信号24として、移動端末1へ送信する。
【0040】
次に、第1の実施形態の情報通知システムの動作を説明する。図4は、本発明の第1の実施形態の概念を示す模式図である。
【0041】
移動端末1は、現在位置を示す端末位置情報を含む位置情報信号15を情報通知装置2へ送信する。情報通知装置2は、受信した端末位置情報に基づいて、移動端末1に所定の通知を行う。図4の場合では、通路3に階段31がある。そこで、移動端末1が階段31に接近すると、情報通知装置2は移動端末1に、階段に接近していることの通知を行う。移動端末1が階段31に接近しているか否かの判断は、上記の演算部22が行う。すなわち、演算部22は、端末位置情報に基づいて通知情報を生成する。そして、通知情報が通知情報送信部23から送信される。
【0042】
あるいは、上述のように、情報通知装置2の位置情報と移動端末1位置情報との間の距離に基づいて通知情報を送信してもよい。すなわち、移動端末1の位置情報を受信した情報通知装置2は、移動端末1の位置情報と情報通知装置2の位置情報から、移動端末1と情報通知装置2との間の距離を算出する。算出した距離が基準値よりも小さければ、情報通知装置2は移動端末1へ通知情報を送信する。通知情報を受け取った移動端末1は、ユーザに対して所定のメッセージを出力する。
【0043】
このとき、図4のように、情報通知装置2が階段31の直近に設置されている場合には、情報通知装置2の位置情報は階段31の位置情報と同じであるとみなして、距離の判断を行ってもよい。情報通知装置2が階段31から離れて設置されている場合には、情報通知装置2に階段31の位置情報を設定しておけばよい。
【0044】
図5は、本発明の第1の実施形態の動作の概要を示す平面図である。通知可能領域4は、通知情報信号24の到達範囲によって定まる所定の領域である。移動端末1からの位置情報信号15は、通知可能領域4の全域で情報通知装置2に到達可能であることが望ましい。
【0045】
ただし、位置情報信号15は、必ずしも移動端末1から情報通知装置1へ直接到達する必要はない。同様に、通知情報信号24も、必ずしも情報通知装置1から移動端末1へ直接到達する必要はない。位置情報信号15又は通知情報信号24は、直接送信先に到達させることができなくでも、適当な無線通信システムを経由させて伝達させてもよい。例えば、移動端末1、情報通知装置2ともに、携帯電話システム、あるいは無線LAN(Local Area Network)等の無線通信システムにおける端末であってもよい。この場合は、移動端末1と情報通知装置2との間の信号、すなわち、位置情報信号15又は通知情報信号24は、基地局を経由して伝達することができる。このとき、必要に応じて有線回線を併用してもよい。あるいは、移動端末1、情報通知装置2を、それぞれ無線通信システムにおける端末、基地局として動作させてもよい。この場合は、位置情報信号15、通知情報信号24は移動端末1と情報通知装置2との間で、直接伝達することができる。
【0046】
通知可能領域4は、通知領域5−1、5−2、5−3を含む。このように、通知可能領域4は、複数の通知領域を含んでもよい。さらに、通知領域の形状も任意であり、通知領域5−1、5−2、5−3がどのような形状で、どのように配置されていたとしても差し支えない。通知領域5−1、5−2、5−3が、どのような形状、配置を持っていたとしても、情報通知装置2の演算部22内に、位置情報自体、あるいは位置情報の範囲に対応付けて、通知の必要性及び通知が必要な場合の通知内容を予め設定しておけばよい。
【0047】
移動端末1−1、1−2、1−3が移動し、通知領域5−1、5−2、5−3のいずれかに進入すると、情報通知装置2は進入した移動端末に通知を行う。通知情報を送信する先の移動端末を特定するためには、通知情報に移動端末を特定する識別情報を含ませればよい。
【0048】
図6は、本発明の第1の実施形態の動作を説明するための平面図である。図7は、本発明の第1の実施形態の動作の変形例を説明するための平面図である。通知領域5内には、危険領域6がある。危険領域6の周囲と通知領域5の周囲との距離は一定あっても一定でなくてもよい。通知領域5内に進入した移動端末1−1、1−2、1−3、1−4には、危険領域6に近づかないように、情報通知装置2が通知を行う。通知の内容は、例えば、「すぐ近くに危険な箇所があります。注意してください。」等の音声メッセージあるいは画面表示である。振動によってメッセージの種類を表現するには、危険度によって振動パターンや振動の強度を定めておけばよい。なお、通知領域5外の移動端末1−5、1−6には、通知は行われない。
【0049】
図7のように、通知領域5は、危険領域6からの距離等に基づいて危険度を区分し、通知領域5−1、5−2のように複数の領域に分割してもよい。この場合、外側の通知領域5−2内に存在する移動端末1−5と、内側の通知領域5−1内に存在する移動端末1−1、1−2、1−3、1−4には、異なった通知を行う。例えば、移動端末1−5には「危険領域に近づいています。注意してください。」等のメッセージを出力させるように通知を行う。そして、移動端末1−1、1−2、1−3、1−4には「すぐ近くに危険な箇所があります。十分に注意してください。」等の音声あるいは画面表示によるメッセージを出力させるように通知を行う。振動によってメッセージを出力する場合には、危険度に応じて、振動パターンや振動の強度を定めておけばよい。
【0050】
移動端末1は、通知情報に含まれる情報によって、出力するメッセージの種類を選択する。通知情報に上記のようなメッセージの種類が含まれるときは、移動端末1は、通知情報で指定された種類のメッセージを出力すればよい。通知情報に危険度が含まれるときは、移動端末1は通知された危険度に応じてメッセージを出力すればよい。通知情報に情報通知装置2あるいは危険地帯との間の距離が含まれるときは、移動端末1は、通知された距離に応じてメッセージを出力すればよい。
【0051】
移動端末1は、CPU(Central Processing Unit)を用いたプログラム処理によって全体を制御することができる。情報通知装置2では、演算部22を、CPUを用いたプログラム処理によって実現することができる。図8は、本発明の第1の実施形態の端末の処理を示すフローチャートである。図9は、本発明の第1の実施形態の情報通知装置の演算部の処理を示すフローチャートである。
【0052】
まず始めに、移動端末1をCPU(図示なし)を用いて制御するときの処理内容を説明する。CPUは始めに位置情報取得部11から取得した端末位置情報を情報通知装置2へ送信する(ステップS11)。具体的には、位置情報送信部12へ端末位置情報を引き渡し、送信の指示を行う。次に、CPUは、通知情報受信部13から通知情報を受け取る(ステップS12)。そして、CPUは、通知情報に基づいたメッセージの出力をメッセージ出力部14に指示する(ステップS13)。
【0053】
次に、情報通知装置2の演算部22をCPU(図示なし)を用いて制御するときの処理内容を説明する。CPUは始めに位置情報受信部21から端末位置情報を受け取る(ステップS21)。次に、CPUは、通知情報に基づいて通知情報を生成し、通知情報送信部23に引き渡す(ステップS22)。そして、CPUは、通知情報送信部23に通知情報の送信を指示する(ステップS23)。
(第1の実施形態の効果)
以上のように、第1の実施形態の情報通知システムでは、移動端末は位置情報を情報通知装置に送信する。情報通知装置は、受信した位置情報に基づいて通知情報を生成し、移動端末に送信する。通知を受けた移動端末は、通知情報に基づいてメッセージの出力を行う。従って、移動端末は、現在の位置に応じた適切な通知、例えば危険箇所への接近の通知を受けることができるという効果がある。
【0054】
さらに、移動端末は位置情報を送信し、受信した通知情報に基づいてメッセージを出力するのみでよく、複雑な処理を行う必要がないという効果もある。
(第2の実施形態)
第1の実施形態の情報通知システムでは、移動端末の位置に基づいて、通知が行われた。第2の実施形態の情報通知システムでは、移動端末の位置及び移動方向に基づいて、通知が行われる。
【0055】
図10は、本発明の第2の実施形態の動作を説明するための平面図である。移動端末1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6は、それぞれ異なる位置に存在し、異なる方向へ移動している。図10において、移動端末1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6に付随する矢印は移動方向を示す。
【0056】
このような場合、それぞれの移動端末と危険領域6との位置関係、移動方向によって、危険度や通知の必要性は異なる。例えば、移動端末1−1は、危険領域6から離れているが、移動方向が危険領域の方向である。従って、危険度及び通知の必要性は高い。移動端末1−3は、危険領域6に近く、移動方向も危険領域の方向である。従って、危険度及び通知の必要性は非常に高い。移動端末1−2、1−4は、危険領域6に近いが、移動方向が危険領域の方向ではない。従って、危険度及び通知の必要性は低い。通知領域5の外部に存在する移動端末については、危険度及び通知の必要性はないと判断される。従って、移動端末1−5、1−6へは通知は行われない。
【0057】
以上のような状況に対応するために、移動端末に発生させるメッセージは、移動端末の位置及び移動方向に応じて選択される。移動端末の位置及び移動方向と、それらの組み合わせに対応するメッセージの例を以下に示す。
【0058】
1)危険箇所に近く、移動方向が危険箇所の方向である場合(移動端末1−3)
「危険箇所が目前です。すぐに停止してください。」、あるいは「危険箇所が目前です。移動方向を変えてください。」との音声出力、画面表示、あるいは最大強度の振動
2)危険箇所には遠いが、移動方向が危険箇所の方向である場合(移動端末1−1)
「危険箇所に向かっています。注意してください。」、あるいは「前方に危険箇所があります。移動方向を変えてください。」との音声出力、画面表示、あるいは、中強度の振動
3)危険箇所に近いが、移動方向は危険箇所の方向ではない場合(移動端末1−2、1−4)
「近くに危険箇所があります。方向を変えないでください。」、あるいは「前方右側(左側)に危険箇所があります。移動方向を右(左)に変えないでください。」との音声出力、画面表示、あるいは、低強度の振動
その他の場合も、移動端末の位置、移動方向及び移動速度と、それらの組み合わせに対応するメッセージは、実用面を考慮して適切に設定すればよい。
【0059】
図11は、本発明の第2の実施形態の情報通知装置の演算部の処理を示すフローチャートである。
【0060】
情報通知装置2の演算部22のCPU(図示なし)は、始めに位置情報受信部21から端末位置情報を受け取り、端末位置情報Xを保存する(ステップS24)。再度CPUは、位置情報受信部21から端末位置情報を受け取り、新たに受信した端末位置情報Yを保存する(ステップS25)。次に、Y−Xを計算し、移動端末1の移動方向を判断する(ステップS26)。異なる時刻に受信した端末位置情報X、Yが保存されているので、X、Yの時間的変化から移動端末1の移動方向は容易に判断することができる。CPUは、移動端末1の位置及び移動方向に基づいて通知の必要性を判断し、通知が必要な場合に通知内容を選択し、通知情報を通知情報送信部23に引き渡す(ステップS27)。そして、CPUは、通知情報送信部23に通知情報の送信を指示する(ステップS23)。
【0061】
なお、第2の実施形態では、移動端末の位置及び移動方向に基づいて通知が行われるが、移動方向のみに基づいて通知を行ってもよい。例えば、移動端末が視力障害者、子供、老人等によって保持されるような場合には、十分な安全の確保のために、危険箇所に一切近づけないように移動方向を厳しく制限してもよい。例えばこのような目的の場合、移動方向のみに基づく通知を行うことが有効である。
【0062】
以上のように、第2の情報通知システムは、移動端末の位置及び移動方向に応じた通知を移動端末に行う。そのため、移動端末の位置及び移動方向によって変化する、危険性や通知の必要性に応じた通知を行うことができるという効果がある。
(第3の実施形態)
第2の実施形態の情報通知システムでは、移動端末の位置及び移動方向に基づいて、通知が行われた。第3の実施形態の情報通知システムでは、さらに移動端末の移動速度にも基づいて、通知が行われる。
【0063】
図12は、本発明の第3の実施形態の動作を説明するための平面図である。移動端末1−1、1−2、1−3、1−4、1−5は、それぞれ異なる位置に存在し、異なる方向へ異なる速度で移動している。図12において、移動端末1−1、1−2、1−3、1−4、1−5に付随する矢印は移動方向を示し、矢印の長さは移動速度の大きさを示す。
【0064】
このような場合、それぞれの移動端末と危険領域6との位置関係、移動方向、移動速度によって、危険度や通知の必要性は異なる。例えば、移動端末1−1は、危険領域6から離れているが、移動方向が危険領域の方向であり、移動速度も大きい。従って、危険度及び通知の必要性は高い。移動端末1−4は、危険領域6に近く、移動方向が危険領域の方向であり、移動速度も大きい。従って、危険度及び通知の必要性は非常に高い。移動端末1−3は、危険領域6に近く、移動速度も大きいが、移動方向が危険領域の方向ではない。従って、危険度及び通知の必要性は低い。移動端末1−2は、危険領域6に近く、移動方向も危険領域の方向であるが、移動速度が小さい。従って、危険度及び通知の必要性はやや低い。
【0065】
以上のような状況に対応するために、移動端末に発生させるメッセージは、移動端末の位置、移動方向及び移動速度に応じて選択される。移動端末の位置、移動方向及び移動速度と、それらの組み合わせに対応するメッセージの例を以下に示す。
【0066】
1)危険箇所に近く、移動方向が危険箇所の方向であり、移動速度が速い場合(移動端末1−4)
「危険箇所が目前です。直ちに速度を落とすか、停止するか、進行方向を変えてください。」との音声出力、画面表示、あるいは最大強度の振動
2)危険箇所には遠いが、移動方向が危険箇所の方向であり、接近速度が速い場合(移動端末1−1)
「急速に危険箇所に接近しています。速度を落としてください。」との音声出力、画面表示、あるいは中強度の振動
3)危険箇所に近く、移動方向も危険箇所の方向であるが、移動速度は遅い場合(移動端末1−2)
「このまま直進するとまもなく危険箇所に到達します。進行方向を左に変えてください。」との音声出力、画面表示、あるいは低強度の振動
4)移動方向が危険箇所の方向ではない場合(移動端末1−3、1−5)
「近くに危険箇所があります。方向を変えないでください。」との音声出力、画面表示、あるいは最低強度の振動
その他の場合も、移動端末の位置、移動方向及び移動速度と、それらの組み合わせに対応するメッセージは、実用面を考慮して適切に設定すればよい。
【0067】
図13は、本発明の第3の実施形態の情報通知装置の演算部の処理を示すフローチャートである。
【0068】
情報通知装置2の演算部22のCPU(図示なし)は、始めに位置情報受信部21から端末位置情報を受け取り、端末位置情報Xと端末位置情報を受信した時刻t1を保存する(ステップS28)。再度CPUは、位置情報受信部21から端末位置情報を受け取り、新たに受信した端末位置情報Yと端末位置情報を受信した時刻t2を保存する(ステップS29)。次に、Y−X及びt2−t1を計算し、移動端末1の移動方向及び移動速度を判断する(ステップS30)。異なる時刻t1、t2に受信した端末位置情報X、Yが保存されているので、X、Yの時間的変化から移動端末1の移動方向、移動速度は容易に判断することができる。CPUは、移動端末1の位置及び移動方向、移動速度に基づいて通知の必要性を判断し、通知が必要な場合に通知内容を選択し、通知情報を通知情報送信部23に引き渡す(ステップS31)。そして、CPUは、通知情報送信部23に通知情報の送信を指示する(ステップS23)。
【0069】
なお、第3の実施形態では、移動端末の位置、移動方向及び移動速度に基づいて通知が行われるが、移動速度のみに基づいて通知を行ってもよい。例えば、道路や線路のように、移動方向が1次元に制限されているような場合には、最優先で移動端末の速度、すなわち移動端末を保持する移動体の速度を低下させるために、移動速度のみに基づく通知を行ってもよい。
【0070】
以上のように、第3の情報通知システムは、移動端末の位置、移動方向及び移動速度に応じた通知を移動端末に行う。そのため、移動端末の位置、移動方向及び移動速度によって変化する、危険性や通知の必要性に応じた通知を行うことができるという効果がある。
(第4の実施形態)
第1乃至第3の実施形態では、情報通知装置2からの通知は、移動端末1を危険領域6に近づけないための通知を想定していた。しかし、逆に、情報通知装置2からの通知によって、移動端末1を所定の目的地点へ誘導するような応用も可能である。
【0071】
図14は、本発明の第4の実施形態の動作を説明するための平面図である。移動端末1−1、1−2、1−3は、それぞれ異なる位置に存在する。そこで、移動端末1−1、1−2、1−3のそれぞれへ情報通知装置2から通知情報を送信することによって、移動端末1−1、1−2、1−3を誘導することができる。
【0072】
目的地点Aは、必ずしも情報通知装置2が設置されている地点である必要はなく、通知情報信号24が到達可能な通知可能領域4内の任意の位置でよい。ただし、通知可能領域4の周辺部では、通知情報信号24が届かない領域に近いため、誘導の効率を考慮し、目的地点Aの位置に合わせて情報通知装置2の設置位置を決定することが望ましい。
【0073】
移動端末1の誘導を行う場合、情報通知装置2は、移動端末1への通知情報に、以下のような情報を含ませればよい。
【0074】
1)移動端末1から見た目的地点の方向
2)移動端末1が進むべき方向
3)移動端末1と目的地点との間の距離
誘導のためには、1)あるいは2)のいずれかの情報を含ませればよい。誘導を効率的に行うためには、2)の情報の通知が好ましい。2)の情報を通知するためには、情報処理装置2内に、周辺の道路の配置を含む地図情報を備えることが望ましい。3)の情報は、必須ではないが、移動端末1の使用者にとって、目的地点までの距離は有益な情報なので、送信することが望ましい。
【0075】
ところで、第1乃至第3の実施形態では、情報通知装置2は所定の位置に固定されていることを想定している。しかし、情報通知装置2も移動可能であってもよい。この場合、移動端末1が情報通知装置2からの通知情報を頼りに、移動する情報通知装置2に追いつくように案内をすることができる。この使用形態は、目的地への出発時刻が、移動端末1と情報通知装置2とでずれたような場合に、先行する情報通知装置2を移動端末1が追跡し、最終的に両者が同じ目的地へ到達するような場合に有効である。
【0076】
図15は、本発明の第4の実施形態において、情報通知装置2を移動可能としたときの、情報通知システムの構成を示すブロック図である。このように、情報通知装置2にも位置情報取得部25を備える必要がある。そして、演算部22は、移動端末1の位置情報と情報通知装置2の位置情報を用いて、移動端末1から見た情報通知装置2の方向や距離を算出し、移動端末1を誘導するための通知情報を生成する。
【0077】
以上のように、第4の実施形態の情報通知システムでは、情報通知装置が移動端末の位置情報に基づいて、目的地点の方向、進むべき方向などの通知情報を送信する。そのため、移動端末を効率的に目的地点に誘導することができる。
(第5の実施形態)
第4の実施形態で示したように、情報通知装置2は移動可能であってもよい。この場合、第4の実施形態のように、移動端末1を誘導するのではなく、逃げる情報通知装置2を追いかけるような、一種の「鬼ごっこ」のようなゲームに使用することもできる。本発明の第5の実施形態の情報通知システムにおける情報通知装置2の構成は、図15に示したものと同じである。
【0078】
図16は、本発明の第5の実施形態の動作を説明するための平面図である。始めに情報通知装置2は位置Aに位置し、移動端末1−1、1−2はそれぞれ位置B、Cに位置する。情報通知装置2は、常に、あるいは間欠的に移動端末1−1、1−2に所定の通知を行う。このときの通知内容は後述する。ここで、情報通知装置2が位置Bへ移動すると、移動端末1−1、1−2は、情報通知装置2からの通知情報に基づいて情報通信装置2を追跡し、それぞれ位置B’、C’に移動する。
【0079】
情報通知装置2は、移動端末1への通知情報に、以下のような情報を含ませればよい。
【0080】
1)移動端末1から見た情報通知装置2の方向
2)移動端末1と情報通知装置2との間の距離
ゲーム性を高めるには、1)、2)のいずれか一方のみを通知すればよい。さらに、移動端末1と情報通知装置2との間の距離が所定の距離以下に近づいたときには、一切通知を行わないようにしてもよい。
【0081】
以上のように、第5の実施形態の情報通知システムでは、情報通知装置が移動端末の位置情報に基づいて、情報通知装置の方向、移動端末と情報通知装置間の距離などの通知情報を送信する。そのため、第5の実施形態の情報通知システムは、移動端末が情報通知装置を追いかけるようなゲームなどに応用することができる。
(第6の実施形態)
移動端末1が情報通知装置2からの通知情報を受ける必要がない領域に存在するときは、移動端末1は位置情報を送信する必要がない。そこで、必要なときのみ、位置情報を送信するようにすれば、移動端末1の消費電力を削減することができる。第6の実施形態の情報通知システムでは、情報通知装置から所定の要求信号を受信したときのみ、移動端末が位置情報を送信する。
【0082】
図17は、本発明の第6の実施形態の情報通知システムの構成を示すブロック図である。図18は、本発明の第6の実施形態の端末の処理を示すフローチャートである。図19は、本発明の第6の実施形態の情報通知装置の演算部の処理を示すフローチャートである。
【0083】
第6の実施形態の情報通知システムは、移動端末10と情報通知装置20を含む。移動端末10は、第1乃至第5の実施形態の移動端末1の構成要素に加え、さらに要求信号受信部16を備える。情報通知装置20は、第1乃至第5の実施形態の情報通知装置2の構成要素に加え、さらに要求信号送信部26を備える。
【0084】
要求信号送信部26は、移動端末10に位置情報の送信を要求するために、要求信号27を送信する。要求信号送信部26は、要求信号27を絶えず送信し続けてもよい。あるいは、所定の間隔で送信してもよい。ただし、要求信号27の送信の時間間隔を極端に長くすると、情報通知装置20による移動端末10の現在位置情報の受信が遅れる。そのため、移動端末10への通知情報信号24の送信が遅れるという事態を引き起こす可能性がある。従って、要求信号27の送信の時間間隔は、実用面を考慮して、適切な長さに設定することが望ましい。
【0085】
要求信号27は、移動端末10を含む複数の移動端末が受信できるような信号でよい。あるいは、要求信号27は、移動端末10を指定する識別情報を含んでもよい。その場合、移動端末10の、位置、情報通知装置20との間の距離、移動方向、移動速度等に基づいて、要求信号27の送信時間間隔を制御することができる。この制御によって、移動端末10の消費電力をさらに効率よく削減することができる。例えば、目的地の近くや道路が複雑な地域になると、位置情報の送信間隔を狭めたりすることができる。あるいは、速度が高いときに位置情報の送信間隔を狭めることも有効である。
【0086】
通知情報送信部23は、要求信号送信部26を兼ねてもよい。このとき、要求信号27は、通知情報信号24と同じ信号強度で送信すればよい。この場合、移動端末10は、通知情報信号24によって必要な通知を受けることができる領域内に存在するときは、必ず位置情報を送信することになる。従って、情報通知装置20は、受信した位置情報に従って必要と判断したときは、確実に移動端末10に通知情報を送信することができる。
【0087】
移動端末10は、要求信号27を受信すると、位置情報取得部11に現在情報の測定を指示する。位置情報取得部11は、現在位置の測定が完了すると、位置情報送信部12に位置情報を送信する。位置情報送信部12は、位置情報を位置情報信号15として送信する。
【0088】
なお、移動端末10は、上記のように、要求信号27を受信するごとに位置情報を送信してもよい。あるいは、一度要求信号を受信すると、それ以降、所定の期間、送信を継続してもよい。当然ながら、移動端末10は、絶えず信号を送信する必要はなく、移動端末1の移動速度を考慮した所定の間隔で送信すればよい。
【0089】
一方、移動端末10は、所定の期間、要求信号27を受信しなくなったときは、位置情報信号15の送信を中止してもよい。
【0090】
ところで、位置情報信号15は、要求信号27を受信したとき等、必要なときのみに送信すればよい。従って、位置の測定自体は、位置情報信号15の送信とは独立して行うことができる。すなわち、位置の測定を常に行っていてもよいし、あるいは位置情報信号25の送信以外の目的のために行ってもよい。この場合、位置測定に必要な消費電力と位置情報信号25の送信に必要な消費電力のうちの、後者のみが削減できる。
【0091】
以上のように、第6の実施形態の情報通知システムでは、移動端末は、必要なときのみ位置情報を送信する。そのため、位置情報を送信するために必要な消費電力と、場合によっては位置測定に必要な消費電力も削減することができるという効果がある。移動端末は通常電池によって駆動されるため、消費電力の削減の実用上の効果は非常に大きい。
【0092】
なお、第1乃至第6の実施形態は、各々他の実施形態と組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の情報通知システムは、実施形態で説明した危険箇所等、所定の地点への接近を防ぐために通知を行う用途にも適用できる。逆に、所定の地点に移動端末を誘導するシステム、あるいは移動する情報通知装置を追いかけるようなシステムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
15 位置情報信号
24 通知情報信号
3 通路
31 階段
4 通知可能領域
5、5−1、5−2 通知領域
6 危険領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の移動装置から、前記移動装置の第1の現在位置を示す第1の位置情報を受信する第1の位置情報受信部と、
前記第1の位置情報に基づいて、前記第1の現在位置に対応する所定の通知情報を生成する演算部と、
前記移動装置に前記通知情報を送信する通知情報送信部
を備えることを特徴とする情報通知装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記第1の位置情報に基づいて前記移動装置と所定の地点との間の距離を算出し、前記距離に基づいて前記通知情報を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の情報通知装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、前記第1の位置情報に基づいて、前記移動装置の移動方向を算出し、前記移動方向に基づいて前記通知情報を生成する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報通知装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記第1の位置情報に基づいて前記移動装置の移動速度を算出し、前記移動速度に基づいて前記通知情報を生成する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報通知装置。
【請求項5】
前記通知情報は、前記移動端末から見た所定の目的地点の方向を示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報通知装置。
【請求項6】
前記通知情報は、前記移動端末と所定の目的地点との間の距離を示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報通知装置。
【請求項7】
前記通知情報は、前記移動端末に移動方向を指示する情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報通知装置。
【請求項8】
前記所定の地点は、前記情報通知装置の現在位置である
ことを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の情報通知装置。
【請求項9】
前記情報通知装置は、前記情報通知装置の現在位置を示す第2の位置情報を取得する第2の位置情報取得部を備え、
前記演算部は、前記第1の位置情報及び前記第2の位置情報に基づいて、前記通知情報を生成する
ことを特徴とする請求項8記載の情報通知装置。
【請求項10】
前記移動装置に前記第1の位置情報の送信を要求する要求信号を送信する要求信号送信部
を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の情報通知装置。
【請求項11】
前記通知情報は、前記移動装置に所定のメッセージを出力させるための情報である
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の情報通知装置。
【請求項12】
前記メッセージは、前記通知情報に従った音声出力を前記移動装置に行わせるための情報である
ことを特徴とする請求項11記載の情報通知装置。
【請求項13】
前記メッセージは、前記通知情報に従った画面表示を前記移動装置に行わせるための情報である
ことを特徴とする請求項11記載の情報通知装置。
【請求項14】
前記メッセージは、前記通知情報に従った強度又はパターンによる振動を前記移動装置に発生させるための情報である
ことを特徴とする請求項11記載の情報通知装置。
【請求項15】
現在位置を示す第1の位置情報を取得する第1の位置情報取得部と、
前記第1の位置情報を外部に送信する位置情報送信部と、
外部から受信した、前記第1の位置情報に基づいて生成された通知情報を受信する通知情報受信部と、
前記通知情報に基づいて所定のメッセージを出力するメッセージ出力部
を備えることを特徴とする移動装置。
【請求項16】
前記情報通知装置からの、前記第1の位置情報の送信を要求する要求信号を受信する要求信号受信部を備え、
前記位置情報送信部は、前記要求信号に従って、前記第1の位置情報を送信する
ことを特徴とする請求項15記載の移動装置。
【請求項17】
前記第1の位置情報取得部は、前記要求信号に従って、前記第1の位置情報を取得し、
前記位置情報送信部は、前記取得した第1の位置情報を送信する
ことを特徴とする請求項16記載の移動装置。
【請求項18】
現在位置を示す第1の位置情報を送信する第1の位置情報送信部と、通知情報を受信する通知情報受信部と、前記通知情報に基づいてメッセージを出力するメッセージ出力部を含む移動装置と、
前記第1の位置情報を受信する位置情報受信部と、前記第1の位置情報に基づいて前記第1の現在位置に対応する所定の通知情報を生成する演算部と、前記通知情報を送信する通知情報送信部を含む情報通知装置
を備えることを特徴とする情報通知システム。
【請求項19】
移動装置の現在位置を示す第1の位置情報を受信するステップと、
前記第1の位置情報に基づいて、前記第1の現在位置に対応する所定の通知情報を生成するステップと、
前記移動装置に通知情報を送信するステップ
を備えることを特徴とする情報通知方法。
【請求項20】
現在位置を示す第1の位置情報を取得するステップと、
前記第1の位置情報を外部に送信するステップと、
外部から受信した、前記第1の位置情報に基づいて生成された通知情報を受信するステップと、
通知情報に基づいて所定のメッセージを出力するステップ
を備えることを特徴とするメッセージ出力方法。
【請求項21】
位置情報受信部と通知情報送信部を備える情報通知装置に備えられたコンピュータを、
前記位置情報受信部を用いて、外部の移動装置から前記移動装置の現在位置を示す第1の位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記第1の位置情報に基づいて、前記第1の現在位置に対応する所定の通知情報を生成する演算手段と、
前記通知情報送信部を用いて通知情報を送信する通知情報送信手段
として機能させるための情報通知制御プログラム。
【請求項22】
第1の位置情報取得部と位置情報送信部と通知情報受信部とメッセージ出力部を備える移動装置に備えられたコンピュータを、
前記第1の位置情報取得部を用いて現在位置を示す第1の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記第1の位置情報を外部に送信する位置情報送信手段部と、
外部から受信した、前記第1の位置情報に基づいて生成された通知情報を受信する通知情報受信手段と、
通知情報に基づいて所定のメッセージを出力するメッセージ出力手段
として機能させるための移動装置制御プログラム。
【請求項23】
請求項21記載の情報通知制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項24】
請求項22記載の移動装置制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−205096(P2010−205096A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51517(P2009−51517)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】