説明

意匠部品の取付構造

【課題】本発明は、取り付け・取り外しがともに容易であるとともに、衝撃を与えても外れないこと、高い意匠性を確保できる取付構造を提供すること、などを目的としている。
【解決手段】このため、車両用内装部品等の母材の適所に取付構造部を形成して取り付けられる意匠部品の取付構造であって、部品に一体的に設けられた押し込み(クリップ)と弾性的に可働な引っ掛け爪とを備えた意匠部品の取付構造において、部品(操作パネル)の表層部の背面の一端縁(上端縁)側に押し込み(クリップ)と引っ掛け爪とを近接させて設け、この一端縁(上端縁)側の押し込み(クリップ)を隙間および相対的移動によって弾性的に回動可能とする一方、表層部の背面の他端縁(下端縁)側には押し込み(クリップ)のみを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は意匠部品の取付構造に係り、車両における部品の取付構造に関する。
特に、内装部品であって、周囲に近接して設けられる別部品とともに、美観を与えるように取り付けられる部品(電装品、カバー)の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においては、車両用内装部品等の母材の適所に取付構造部を形成し、この取付構造部に意匠部品が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−21063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の意匠部品の取付構造において、部品を取り付ける場合、スクリュ締めや、クリップを使用した固定方策がよく用いられている。
しかし、上述のスクリュ締めやクリップを使用した固定方策を実施する場合に、以下のような欠点がある。
(1)スクリュ締めの場合
(ア)スクリュ締めは、取付相手部品にしっかり固定することができるが、締め付け座面を確保する必要があるため、外観部品の場合には意匠デザインが制約される。
(イ)取付工数が多くかかる。
(2)クリップを使用した固定方策の場合
(ア)外観上問題なく、取り付けまたは取り外しは容易にできるが、部品面直方向に対する保持力は弱く、衝撃を与えた場合に、部品が外れる可能性がある。
【0005】
この発明は、取り付け・取り外しがともに容易であるとともに、衝撃を与えても外れないこと、高い意匠性を確保できる取付構造を提供すること、などを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、車両用内装部品等の母材の適所に取付構造部を形成して取り付けられる意匠部品の取付構造であって、部品に一体的に設けられた押し込みと弾性的に可働な引っ掛け爪とを備えた意匠部品の取付構造において、部品の表層部の背面の一端縁側に押し込みと引っ掛け爪とを近接させて設け、この一端縁側の押し込みを隙間および相対的移動によって弾性的に回動可能とする一方、表層部の背面の他端縁側には押し込みのみを設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上詳細に説明した如くこの発明によれば、車両用内装部品等の母材の適所に取付構造部を形成して取り付けられる意匠部品の取付構造であって、部品に一体的に設けられた押し込みと弾性的に可働な引っ掛け爪とを備えた意匠部品の取付構造において、部品の表層部の背面の一端縁側に押し込みと引っ掛け爪とを近接させて設け、この一端縁側の押し込みを隙間および相対的移動によって弾性的に回動可能とする一方、表層部の背面の他端縁側には押し込みのみを設ける。
従って、取り付け・取り外しがともに容易とできます。取り外しが容易であるとともに、衝撃を与えても外れない構造とできます。高い意匠性を確保できます。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1はこの発明の実施例を示す図2の矢視I部分の拡大図である。(実施例1)
【図2】図2はインストルメントパネル部分の概略断面図である。(実施例1)
【図3】図3は押し込みとバネ鋼を用いた引っ掛け爪とを備える部品の引っ掛け爪部分の概略斜視図である。(実施例1)
【図4】図4は押し込みとバネ鋼を用いた引っ掛け爪とを備える部品の引っ掛け爪部分の概略側面図である。(実施例1)
【図5】図5はインストルメントパネルに押し込みと引っ掛け爪とを一体的に設けた部品を取り付ける前の引っ掛け爪部分の概略側面図である。(実施例1)
【図6】図6は押し込みと引っ掛け爪とを一体的に設けた部品の引っ掛け爪がインストルメントパネルに押下されている状態の概略側面図である。(実施例1)
【図7】図7は押し込みと引っ掛け爪とを一体的に設けた部品の引っ掛け爪がインストルメントパネルに引っ掛かって取り付けた状態の概略側面図である。(実施例1)
【図8】図8は押し込みと引っ掛け爪とを一体的に設けた部品の引っ掛け爪がインストルメントパネルに引っ掛かって取り付けた状態で部品に取り外し方向の力が作用した際の概略側面図である。(実施例1)
【図9】図9は押し込みと引っ掛け爪とを一体的に設けた部品のインストルメントパネルからの取り外し状態を説明した概略側面図である。(実施例1)
【図10】図10は押し込みと引っ掛け爪とを一体的に設けた部品の引っ掛け爪をインストルメントパネルからの取り外した状態の要部拡大側面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0010】
図1〜図10はこの発明の実施例を示すものである。
図1及び図4において、1はインストルメントパネル(「意匠面」ともいう。)である。
このインストルメントパネル1は、図4に示す如く、車両(図示せず)のエンジンルーム2と車室3とを区画するために、エンジンルーム2のサポートメンバ4よりも車両後方、かつ車室3の前側に配設される。
そして、前記インストルメントパネル1の中央表面部位において、上部にはナビゲーション装置やAV機器(化粧パネル付き、またはカバー付き)の電装部品5が備えられている。
また、インストルメントパネル1の中央表面部位の下部には第1の小物入れ6が備えられている。
このとき、前記電装部品5と小物入れ6との間の中間部位には、部品、例えばエアコン用操作パネル7が備えられている。
つまり、前記インストルメントパネル1の幅方向の中央部であって、その上部に位置して配設される図示しない空気調和装置(「エアコン」ともいう。)の前記エアコン用操作パネル7の取付構造です。
このエアコン用操作パネル7の取付位置は、乗員の視線に近く、外観(「意匠性」とも換言できる。)が要求されます。
そして、このエアコン用操作パネル7では、要求されるいくつかの設計条件によって制約を受けています。
(1)エアコン用操作パネル7の背面で取り付ける。
これは、エアコン用操作パネル7の取付構造の固定する部分を表面に露出させず、外観を損ねないようにするためです。
(2)固定部分を含む周縁部を寸法的に小さくする。
これは、エアコン用操作パネル7としての機能は操作性、視認性が優先されるので、主体装置を大きく採り、固定部分を含む周縁部を大きくしないようにするためです。
(3)別の部品(後述の「他部品」に該当します。)と近接させて配置する。
これは、AV機器やナビゲーション装置のモニタ類といった別の部品と、それを覆うカバーの僅かな幅の周縁にて、つき合わせるように配設するためです。
(4)前記インストルメントパネル1の表面が湾曲しており、インストルメントパネル1の内部空間が表面積に対して小さくなっている。
これは、エアコン用操作パネル7の表面付近よりも内部奥の方が、他部品と干渉を起こす可能性が高いためです。
【0011】
そして、前記インストルメントパネル1の中央表面部位の下部に位置する第1の小物入れ6の近傍には、図4に示す如く、シフトレバー8が配設され、このシフトレバー8から車両後方にセンタコンソール9が延びる。
このとき、センタコンソール9は、前記車室3において運転席(図示せず)と助手席(図示せず)の間を仕切っており、センタコンソール9の車両後部はひじ掛け兼用リッド10を備える第2の小物入れ11まで延びている。
【0012】
前記インストルメントパネル1の中央表面部位において、図1及び図4に示す如く、車両用内装部品等の母材、例えばインストルメントパネル1の適所に取付構造部12を形成し、この取付構造部12に意匠部品、例えば前記エアコン用操作パネル7を取り付ける。
このとき、前記取付構造部12は、図1及び図4に示す如く、前記エアコン用操作パネル7の上部を取り付ける第1取付構造部13と、前記エアコン用操作パネル7の下部を取り付ける第2取付構造部14とからなる。
また、前記意匠部品、例えば前記エアコン用操作パネル7には、図1及び図4に示す如く、一体的に設けられた押し込み(「クリップ」ともいう。)15と、弾性的に可働な引っ掛け爪16とを備えている。
なお、この引っ掛け爪16は、図2及び図3に示す如く、弾性的に可働とするために、バネ鋼などの金属バネを用いて形成される。
この引っ掛け爪16の形状においては、図2及び図3に示す如く、前記エアコン用操作パネル7への取付部位は、エアコン用操作パネル7への取付時に引っ掛け爪16の脱落を困難として取付安定性を向上させるために、固定部位の先端が上方から下方に向かって湾曲する形状とする一方、前記インストルメントパネル1への取付部位は、前記取付構造部12の第1取付構造部13との係合時に引っ掛け爪16による堅固な係合状態を実現してインストルメントパネル1の脱落を防止するために、係合部位の先端が下方か上方に向かって湾曲する形状の湾曲引っ掛け爪部16kとしている。
そして、前記エアコン用操作パネル7に一体的に設けられる押し込み15は、上部の第1横向き押し込み15aと下部の第2縦向き押し込み15bとからなる。図示しないが、それぞれ、同等高さに左右一対も受ける。
このとき、前記エアコン用操作パネル7の重心Gは、図1に示す如く、エアコン用操作パネル7の縦方向寸法の中心部位よりも下方に位置している。
つまり、前記エアコン用操作パネル7の重心Gは、引っ掛け爪16より低い位置であるため、車両に減速するような加速度が加わる場合には、相対的に前方に移動するように力が加わることになるので、取り外しする際に必要となる回動方向とは逆方向のモーメントが加わり、外れ難くなる。
また、前記エアコン用操作パネル7の取付姿勢は傾斜しており、静的にみても、重心Gには、取り外しする際に必要となる回動方向とは逆方向のモーメントが加わるように設けている。
更に、前記エアコン用操作パネル7に一体的に設けられる押し込み15、つまり第1横向き押し込み15a及び第2縦向き押し込み15bによって、前記取付構造部12の第1取付構造部13に、図1に示す如く、第1横向き押し込み15aを係合させる第1横向き押し込み受け部である第1係合穴部13aが形成されるとともに、前記第2取付構造部14には第2縦向き押し込み15bを係合させる第2縦向き押し込み受け部である第2係合穴部13bが形成される。
【0013】
また、部品、例えば前記エアコン用操作パネル7の表層部7fの背面7bの一端縁、つまり上端縁側に前記押し込み15と引っ掛け爪16とを近接させて設け、この一端縁たる上端縁側の押し込み15を隙間Sおよび相対的移動によって弾性的に回動可能とする一方、表層部7fの背面7bの他端縁、つまり下端縁側には押し込み15のみを設ける。
詳述すれば、前記エアコン用操作パネル7の表層部7fの背面7bの一端縁、つまり上端縁側においては、前記押し込み15の前記第1横向き押し込み15aを設けるとともに、この第1横向き押し込み15aの下部に前記引っ掛け爪16を近接させて設ける。
このとき、前記押し込み15の第1横向き押し込み15aは、隙間Sおよび相対的移動によって弾性的に回動可能とするものである。
追記すれば、前記エアコン用操作パネル7の表層部7fの背面7bの一端縁、つまり上端縁側に形成される前記第1横向き押し込み15aは、前記インストルメントパネル1の対応面に設けた第1横向き押し込み受け部である第1係合穴部13aと係合する際に、バネ鋼などの金属バネの弾性力(「バネ性」ともいう。)により保持されるとともに、金属バネのたわみ変形によって少しの回動を可能としている。
このとき、前記第1横向き押し込み15aの基部が横幅方向の面となっているので、エアコン用操作パネル7の下端を引き上げるようにして回動させた際に、上端側の第1横向き押し込み15aが擬似的なヒンジとして機能することになる。
一方、前記エアコン用操作パネル7の表層部7fの背面7bの他端縁、つまり下端縁側においては、前記押し込み15の前記第2縦向き押し込み15bのみを設けるものである。
つまり、前記エアコン用操作パネル7の表層部7fの背面7bの他端縁、つまり下端縁には、第2縦向き押し込み15bのみを設けてあり、この第2縦向き押し込み15bの基部がほぼ鉛直方向の面となっている。
そして、前記押し込み15において、上端縁側の前記第1横向き押し込み15aと下端縁の前記第2縦向き押し込み15bとでは、指向する方向が互いに交差するように異なっている。
従って、部品、例えば前記エアコン用操作パネル7の取り付け・取り外しがともに容易とすることができます。
しかも、取り外しが容易であるにも関わらず、衝撃を与えても外れない構造とすることができます。
そして、前記エアコン用操作パネル7部分において、高い意匠性を確保できます。
【0014】
更に詳述すると、前記エアコン用操作パネル7に一体的に設けられる押し込み15において、上部の第1横向き押し込み15aには、それに対して前記インストルメントパネル1内部奥となる位置に前記引っ掛け爪16を設けている。
この引っ掛け爪16は、第1横向き押し込み15aの挿し込み方向に延出しており、引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kは折れ曲がり、一端縁または他部品に近づく(あるいは、他端縁からは離反する)ように指向している。
この引っ掛け爪16は、板金製であり、挿し込み方向とは交差する方向に少しの可撓性(「弾性」ともいう。)を有している。
更に、前記引っ掛け爪16は、奥行き方向となる延出方向の寸法を大きく採っているため、上部の第1横向き押し込み15aをヒンジ(支点)とし、下部の第2縦向き押し込み15bを力点として回動させる時に、引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kを、レバー比の関係で大きく動かすことができるので、前記インストルメントパネル1内部の構造部(係合受部)から外れた状態にすることができる。
この結果、前記エアコン用操作パネル7は、異なる角度で取り付け、取り外し(着脱)の作用が得られる構造によって、取り付け状態で確実に保持することと、容易な取り付け、取り外しを可能とすることとを、両立できる。
また、ボルトなどを不要とすることができる。
そして、取り外しは、手順を踏んで、回動によって姿勢を変えることによって、引き抜き方向の荷重を加えるだけで行うことができます。
すなわち、前記エアコン用操作パネル7は、取り付け時は、上部の第1横向き押し込み15a及び下部の第2縦向き押し込み15bがほぼ同時に係合するように正対して差し込む。
これは、上方の他部品、例えば前記電装部品5との並び方向に対して垂直に嵌め込むことになり、隙間Sを限りなく小さくしても干渉を起こし難くすることになる。
取り外し時は、前記引っ掛け爪16から離れた下部の第2縦向き押し込み15bを先に外し、回動させて引っ掛け爪16の湾曲引っ掛け爪部16kの引っ掛かりを外してから、傾斜させた状態で取り外す。
上方の他部品、例えば前記電装部品5との隣接配置を可能とできる。 これらにより、意匠デザイン性の確保ができます。
【0015】
また、部品、例えば前記エアコン用操作パネル7の上部に他部品、例えば前記電装部品5を隣接させて設け、エアコン用操作パネル7の表層部7fの背面7bの一端縁、つまり上端縁側の外形を直線形状とし、他部品、例えば前記電装部品5との見切り線17とする。
このとき、見切り線17とは、部品同士の外形線が付き合わされて形成される境界線のことです。
従って、部品、例えば前記エアコン用操作パネル7と他部品、例えば前記電装部品5との近接配置を可能とすることができ、美観を得ることができます。
【0016】
次に作用を説明する。
【0017】
前記エアコン用操作パネル7を前記インストルメントパネル1に取り付ける際には、意匠面であるインストルメントパネル1の中央表面部位において、図1に示す如く、車室3側から嵌込方向Xに沿って取り付ける。
このとき、嵌込方向Xは、図1に示す如く、前記インストルメントパネル1に対して直交する方向となり、インストルメントパネル1の表面が上方に向かうに従って車両前側に緩く湾曲しているため、前記嵌込方向Xは、車両前側に向かって少しだけ斜め下方向に指向している。
そして、前記エアコン用操作パネル7は、前記インストルメントパネル1の上部に位置する前記電装部品5と下部に位置する前記第1の小物入れ6との間に取り付けられる。
このとき、他部品、例えば前記電装部品5との見切り線17を利用して、同時に前記エアコン用操作パネル7の上部の前記第1横向き押し込み15aを前記第1横向き押し込み受け部である第1係合穴部13aに係合させるとともに、エアコン用操作パネル7の下部の前記第2縦向き押し込み15bを前記第2縦向き押し込み受け部である第2係合穴部13bに係合させる。
これらの第1横向き押し込み15a及び第2縦向き押し込み15bの係合作業を開始させた際には、図5に示す如く、前記エアコン用操作パネル7の上部に設けた前記引っ掛け爪16が前記インストルメントパネル1の前記取付構造部12の第1取付構造部13に接近する。
そして、前記引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kが前記取付構造部12の第1取付構造部13に接触すると、図6に示す如く、引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kが第1取付構造部13によって押されて下方向Mに下がる。
前記エアコン用操作パネル7を前記インストルメントパネル1側に押し込むと、図7に示す如く、引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kが第1取付構造部13を通過し、引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kが弾性力によって回動して上方向Nに戻り、第1取付構造部13の後部に引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kが引っ掛かる。
これにより、前記第1横向き押し込み15a及び第2縦向き押し込み15bの係合作業と引っ掛け爪16の引っ掛け作業とが終了した後には、部品、例えば前記エアコン用操作パネル7と他部品、例えば前記電装部品5とを近接配置することができ、美観を得ることができる。
また、図8に示す如く、エアコン用操作パネル7を前記嵌込方向Xと逆方向となる取り外し方向Yに移動させるようとしても、前記引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kが第1取付構造部13の後部に引っ掛かっているため、エアコン用操作パネル7が取り外されるのを防止することができる。
【0018】
前記エアコン用操作パネル7を前記インストルメントパネル1から取り外す際には、図1及び図9に示す如く、エアコン用操作パネル7の上端を中心として回動させるように、つまり取り外し回動方向Zにエアコン用操作パネル7の下端を引き出す。
このとき、エアコン用操作パネル7の上端側に設けた第1横向き押し込み15aを擬似的なヒンジとして機能させる。
さすれば、エアコン用操作パネル7の下端の回動動作によって、図9に示す如く、前記引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kが第1取付構造部13の後部に引っ掛かっている状態を解除する方向、つまり引っ掛け爪16の先端が下方向Mに下がることとなり、図10に示す如く、引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kによる第1取付構造部13の後部への引っ掛かりが解除される。
そして、引っ掛け爪16の先端の湾曲引っ掛け爪部16kによる第1取付構造部13の後部への引っ掛かりを解除した後には、図1に示す如く、前記エアコン用操作パネル7を姿勢を維持したままで取り外し方向Yに引き抜き、前記インストルメントパネル1から取り外す。
これにより、前記エアコン用操作パネル7を前記インストルメントパネル1から取り外す際に、エアコン用操作パネル7の上端を中心として回動させるように、つまり取り外し回動方向Zにエアコン用操作パネル7の下端を引き出す操作の追加によって、前記インストルメントパネル1からエアコン用操作パネル7を容易に取り外すことができる。
また、上記の回動動作をエアコン用操作パネル7に加えない限り、エアコン用操作パネル7を取り外すことができないため、堅固な取付状態を維持することが可能となり、信頼性の向上に寄与し得る。
【符号の説明】
【0019】
1 インストルメントパネル(「意匠面」ともいう。)
2 エンジンルーム
3 車室
4 サポートメンバ
5 電装部品
6 小物入れ
7 エアコン用操作パネル
7f 表層部
7b 背面
8 シフトレバー
9 センタコンソール
10 ひじ掛け兼用リッド
11 第2の小物入れ
12 取付構造部
13 第1取付構造部
13a 第1横向き押し込み受け部である第1係合穴部
13b 第2縦向き押し込み受け部である第2係合穴部
14 第2取付構造部
15 押し込み(「クリップ」ともいう。)
15a 上部の第1横向き押し込み
15b 下部の第2縦向き押し込み
16 引っ掛け爪
16k 湾曲引っ掛け爪部
17 見切り線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用内装部品等の母材の適所に取付構造部を形成して取り付けられる意匠部品の取付構造であって、部品に一体的に設けられた押し込みと弾性的に可働な引っ掛け爪とを備えた意匠部品の取付構造において、部品の表層部の背面の一端縁側に押し込みと引っ掛け爪とを近接させて設け、この一端縁側の押し込みを隙間および相対的移動によって弾性的に回動可能とする一方、表層部の背面の他端縁側には押し込みのみを設けることを特徴とする意匠部品の取付構造。
【請求項2】
部品に他部品を隣接させて設け、部品の表層部の背面の一端縁側の外形を直線形状とし、他部品との見切り線とすることを特徴とする請求項1に記載の意匠部品の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−33041(P2011−33041A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176666(P2009−176666)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】