説明

感光性ペースト組成物およびパターン形成方法

【課題】 感光性ペースト組成物およびパターン形成方法に関する。より詳しくは、フ
ラットパネルディスプレイなどのディスプレイパネル、電子部品の高度実装材料および太
陽電池材料などに用いられる電極などの微細なパターンを有する回路基板の製造において
、高感度かつ高精度のパターンを形成する場合に好適に使用することができる感光性ペー
スト組成物およびパターン形成方法を得る。
【解決手段】 表面の少なくとも一部がケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタニウム酸化物から選ばれる少なくとも1種で被覆されてなるアルミニウム粉末(A)、
ガラス粉末(B)、
アルカリ可溶性樹脂(C)、
多官能(メタ)アクリレート(D)、および
光重合開始剤(E)
を含有することを特徴とする感光性ペースト組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性ペースト組成物およびパターン形成方法に関する。より詳しくは、フ
ラットパネルディスプレイなどのディスプレイパネル、電子部品の高度実装材料および太
陽電池材料などに用いられる電極などの微細なパターンを有する回路基板の製造において
、高感度かつ高精度のパターンを形成する場合に好適に使用することができる感光性ペー
スト組成物およびパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板やディスプレイパネルにおけるパターン形成に対して、高密度化および
高精細化の要求が高まっている。このような要求が高まっているディスプレイパネルの中
でも、特にプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」ともいう)やフィールドエミ
ッションディスプレイ(以下、「FED」ともいう)などのフラットパネルディスプレイ
(以下、「FPD」ともいう)が注目されている。
【0003】
図1は交流型のPDPの断面形状を示す模式図である。図1において、101および1
02は対抗配置されたガラス基板、103および111は隔壁であり、ガラス基板101
、ガラス基板102、背面隔壁103および前面隔壁111によりセルが区画形成されて
いる。104はガラス基板101に固定された透明電極であり、105は透明電極104
の抵抗を下げる目的で該透明電極104上に形成されたバス電極であり、106はガラス
基板102に固定されたアドレス電極である。107はセル内に保持された蛍光体であり
、108は透明電極104およびバス電極105を被覆するようガラス基板101の表面
に形成された誘電体層であり、109はアドレス電極106を被覆するようガラス基板1
02の表面に形成された誘電体層であり、110は例えば酸化マグネシウムよりなる保護
層である。また、カラーFPDにおいては、コントラストの高い画像を得るため、ガラス
基板と誘電体層との間に、カラーフィルター(赤色・緑色・青色)やブラックマトリック
スなどを設けることがある。
【0004】
上述の構成を有するPDPに代表されるFPDにおいては、パネルの大型化および高精
細化が進んでおり、それに伴ってパターン形成技術の向上が要望されている。しかしなが
ら、このようなパネルの大型化および高精細化に伴い、パターン精度の要求が非常に厳し
くなり、従来の工法であるスクリーン印刷法では対応できないという問題がある。そこで
、現在ではフォトリソグラフィー法によるパターン形成が主に用いられている。
【特許文献1】特開2002−313231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記フォトリソグラフィー法によって、例えば電極の製造では、感光性銀ペーストを用
いることにより、スクリーン印刷法では対応できなかった問題である大型および高精細な
パターン形成が可能となった。
【0006】
しかしながら、銀が貴金属であるが故に、高価であり、感光性銀ペーストも高価な導電
性ペーストになっている。また、感光性銀ペーストの欠陥として高温多湿環境下でマイグ
レーションを起こし易く、銀表面が硫化を起こしやすい性質を持っている。また、近年の
コストに対する要求から、安価でかつ高精細、高信頼性なパターン形成が可能な無機粒子含有感光性樹脂材料が要求されている。
【0007】
高価な銀に代わる無機粒子としてはアルミニウムを用いる開発が進められている。しかしながら、アルミニウムは酸やアルカリに対する耐性が低いため電極などの回路形成工程で使用される酸やアルカリに侵されやすい、すなわち耐薬品性が低いという問題がある。このため、アルミニウムを用いて酸やアルカリを使用した工程に耐えうるパターンを形成することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、安価で
、高精細、高信頼性のパターンを形成することができ、かつ耐薬品性が高い感光性ペースト組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、上記感光性ペースト組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、表面にケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタニウム酸化物から選ばれる少なくとも1種を形成したアルミニウム粉末を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の[1]〜[3]に関する。
【0010】
[1] 表面の少なくとも一部がケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタニウム酸化物から選ばれる少なくとも1種で被覆されてなるアルミニウム粉末(A)、ガラス粉末(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)、および光重合開始剤(E)を含有することを特徴とする感光性ペースト組成物。
【0011】
[2]前記アルミニウム粉末(A)において、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタニウム酸化物が厚さ1〜50nmで被覆されてなることを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト組成物。
【0012】
[3]前記[1]または[2]に記載の感光性ペースト組成物からなる感光性ペースト
層を基板上に形成する工程、該ペースト層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程
、該ペースト層を現像処理してパターンを形成する工程、および該パターンを焼成処理す
る工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の感光性ペースト組成物は、安価で、高精細、高信頼性のパターンを形成することができ、
FPDの配線を構成する部材の形成、電子部品の高度実装材料の部材の形成、および太陽
電池の部材の形成に好適に使用することができる。
【0014】
また、本発明の感光性ペースト組成物を用いることにより、上記利点を有するとともに
、耐薬品性の高いパターンを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る感光性ペースト組成物およびパターン形成方法について、詳細に説
明する。
〔感光性ペースト組成物〕
本発明の感光性ペースト組成物は、無機粒子と感光性樹脂とを含む。本発明において、
前記「無機粒子」は、表面の少なくとも一部がケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタニウム酸化物から選ばれる少なくとも1種で被覆されてなるアルミニウム粉末(A)と、ガラス粉末(B)とから構成される。また、前記「感光性樹脂」は、アルカリ可溶性樹脂(C)と、多官能(メタ)アクリレート(D)と、光重合開始剤(E)とから構成される。
【0016】
また、本発明の感光性ペースト組成物には、上記無機粒子および感光性樹脂以外に、任
意成分として、その他の添加剤を配合してもよい。
無機粒子
<表面にシリカ被膜を形成したアルミニウム粉末(A)>
本発明で用いられる表面の少なくとも一部がケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタニウム酸化物から選ばれる少なくとも1種で被覆されてなるアルミニウム粉末(A)(以下、単に「アルミニウム粉末(A)」という)としては、アルミニウム金属や、アルミニウム化合物などの金属粉末が挙げられる。アルミニウム粉末(A)の形状については特に限定されず、球状またはフレーク状の粉末を使用することができる。また、アルミニウム粉末の表面にケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタニウム酸化物から選ばれる少なくとも1種の皮膜を形成する方法としては既知の方法を用いることができる。
具体的には、特開2002−88274号公報に記載された方法などが挙げられる。
アルミニウム粉末(A)の原料となる未処理のアルミニウム粉末を親水性有機溶媒に分散させた状態で、シリコンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド(これらを「アルコキシド化合物」という)などの加水分解性化合物を加水分解・縮合することにより、アルミニウム粉末の少なくとも1部をケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタニウム酸化物から選ばれる少なくとも1種で被覆することができる。
本発明において、アルコキシド化合物はテトラアルコキシド、アルキルトリアルコキシドなどが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などを有するものであることが好ましい。
未処理のアルミニウム粉末とアルコキシド化合物との使用割合は、アルミニウム粉末(A)中のアルミニウム原子に対して、アルミニウム粉末表面の被膜中のケイ素原子、ジルコニウム原子またはチタニウム原子の総量が1〜15重量%となるように用いることが好ましい。
これらのアルコキシド化合物は、加水分解・縮合するこよによりシリカ、ジルコニアおよびチタニアなどの酸化物が生成するが、アルコキシド化合物が有するアルコキシル基および水酸基が被膜を形成するケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物、チタニウム酸化物に残存している場合もある。
【0017】
本発明において、アルミニウム粉末(A)の粒子径は、50重量%粒子径(D50)が好ましくは2.0〜20.0μm、より好ましくは2.0〜15.0μmの範囲にある。アルミニウム粉末(A)の50重量%粒子径が前記範囲にあると、紫外線照射時の光が塗膜の底部まで十分到達し、高精細なパターンを得ることができる。なお、本発明において、平均粒子径はレーザー回折法によって測定される値である。
また、アルミニウム粉末の形状は球状、ディスク状、針状など任意の形状のものを使用することができる。
【0018】
また、本発明において、アルミニウム粉末(A)は、表面にシリカ被膜を形成していないアルミニウム粉末を50重量%以内で含有してもよい。
また、本発明において、アルミニウム粉末(A)は、他の金属粉末(例えば、Pt、Au、Ag、Cu、Sn、Ni、Fe、Zn、W、Moおよびそれらの化合物)を20重量%以内で含有してもよい。
【0019】
上述のアルミニウム粉末(A)を用いることにより、本発明の感光性ペースト組成物から、安価でかつ高精細、高信頼性のパターンを形成することができる。
<ガラス粉末(B)>
本発明で用いられるガラス粉末(B)の種類は、感光性ペースト組成物により形成される焼結体の用途(FPD部材、電子部品の種類)に応じて適宜選択することができる。
【0020】
例えば、FPDを構成する電極を形成する場合には、軟化点が好ましくは350〜70
0℃、より好ましくは400〜620℃の範囲にあるガラス粉末が用いられる。ガラス粉
末の軟化点が前記範囲を下回ると、本発明の感光性ペースト組成物から形成される感光性
ペースト層の焼成工程において、結着樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない段階
でガラス粉末が溶融することがある。このため、形成される電極中に有機物質の一部が残
留し、結果として電極が着色されてその光透過率が低下する傾向がある。一方、ガラス粉
末の軟化点が前記範囲を上回ると、その軟化点以上の高温で焼成する必要があるために、
ガラス基板に歪みなどが発生しやすい。
【0021】
ガラス粉末(B)の好適な具体例としては、
1.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−B23−SiO2系)の混合物、
2.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(ZnO−B23−SiO2系)の混合物、
3.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム(PbO−B23−SiO2
Al23系)の混合物、
4.酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−ZnO−B23−SiO2
)の混合物、
5.酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素(Bi23−B23−SiO2系)の混合物

6.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素(ZnO−P25−SiO2系)の混合物、
7.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化カリウム(ZnO−B23−K2O系)の混合物、
8.酸化リン、酸化ホウ素、酸化アルミニウム(P25−B23−Al23系)の混合物

9.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム(ZnO−P25−SiO2
Al23系)の混合物、
10.酸化亜鉛、酸化リン、酸化チタン(ZnO−P25−TiO2系)の混合物、
11.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム(ZnO−B23−SiO2
2O系)の混合物、
12.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウム(ZnO−B
23−SiO2−K2O−CaO系)の混合物、
13.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化アルミ
ニウム(ZnO−B23−SiO2−K2O−CaO−Al23系)の混合物、
14.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム(B23−SiO2−Al23系)の
混合物、
15.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ナトリウム(B23−SiO2−Na2O系)の混合
物、
などが挙げられる。これらの中では、特に環境を配慮した無鉛ガラス粉末が好ましい。
【0022】
本発明において、ガラス粉末(B)の含有量は、アルミニウム粉末(A)およびガラス
粉末(B)の合計100重量%に対して、10〜30重量%、好ましくは10〜25重量
%、より好ましくは10〜20重量%である。ガラス粉末(B)の含有量が前記範囲にあ
ると、焼成工程においてアルミニウム粉末(A)の酸化を防止することができ、低抵抗な
電極を製造できる。また、前記電極は基板との密着性にも優れる。
【0023】
また、本発明において、アルミニウム粉末(A)およびガラス粉末(B)の含有量の合
計は、アルミニウム粉末(A)、ガラス粉末(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能
(メタ)アクリレート(D)および光重合開始剤(E)の合計100重量%に対して、好
ましくは50〜75重量%、より好ましくは50〜75重量%、さらに好ましくは55〜
70重量%である。アルミニウム粉末(A)およびガラス粉末(B)の含有量の合計が前
記範囲にあると、焼成工程においてアルミニウム粉末(A)の酸化を防止することができ
、低抵抗な電極を製造できる。また、前記電極は基板との密着性にも優れる。
【0024】
ガラス粉末(B)の平均粒子径は、形成しようとするパターンの形状を考慮して適宜選
択されるが、ガラス粉末(B)の50重量%粒子径(D50)が好ましくは0.2〜4.
0μm、より好ましくは0.5〜3.8μmの範囲にある。また、10重量%粒子径(D
10)が0.05〜0.5μm、90重量%粒子径(D90)が10〜20μmであるこ
とが好ましい。ガラス粉末(B)の平均粒子径が前記範囲にあると、紫外線照射時の光が
塗膜の底部まで十分到達し、高精細なパターンを得ることができる。
【0025】
感光性樹脂
<アルカリ可溶性樹脂(C)>
本発明の感光性ペースト組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂(C)は、アルカリ可
溶性であれば特に限定されない。本発明において「アルカリ可溶性」とは、目的とする現
像処理が可能な程度に、アルカリ性の現像液に溶解する性質をいう。
【0026】
上記アルカリ可溶性樹脂(C)としては、以下のアルカリ可溶性官能基含有モノマー(
C1)と(メタ)アクリル酸誘導体(C2)との共重合体が好ましい。
≪アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)≫
上記アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)としては、(メタ)アクリル酸、マレ
イン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コ
ハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−メタクリロイロキシエチルフ
タル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキ
シプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイ
ドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレ
ート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどのカルボキシ
ル基含有モノマー類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(α−ヒドロキシメチル)アクリレー
トなどの水酸基含有モノマー類;
o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフ
ェノール性水酸基含有モノマー類などの、アルカリ可溶性官能基と不飽和結合とを有する
モノマーが挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸、2−メタクリロイロキシ
エチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロ
イルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒ
ドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲ
ンフタレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0027】
アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)を共重合することにより、樹脂にアルカリ
可溶性を付与することができる。上記アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)由来の
構成単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(C)の全構成単位中、通常は5〜90重量%
、好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは15〜70重量%である。
【0028】
≪(メタ)アクリル酸誘導体(C2)≫
上記(メタ)アクリル酸誘導体(C2)としては、上記アルカリ可溶性官能基含有モノ
マー(C1)と共重合可能であるアルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)と異なる(メタ)アクリル酸誘導体であるが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどの、上記アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)以外の(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0029】
また、本発明では、上記(メタ)アクリル酸誘導体(C2)の代わりに、あるいは上記
(メタ)アクリル酸誘導体(C2)に加えて、例えば、スチレン、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどから得られる
ポリマーの一方の鎖末端に、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基などの重合性
不飽和基を有するマクロモノマーなどを用いてもよい。
【0030】
≪ラジカル重合開始剤≫
上記共重合の際、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。ラジカル重合開始剤と
しては、ビニル単量体の重合に用いられるラジカル重合開始剤を用いることができる。例
えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチルニ
トリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス
(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチルー2,2'−アゾビスイソブチレート
、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)などのアゾ化合物;t−ブチルパーオ
キシビバレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、クミルパーオキシ2
−エチルヘキサノエートなどのパーオキシエステル類の有機過酸化物などが挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
上記ラジカル重合開始剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー(マクロモノマ
ーを含む。以下同じ。)100重量部に対して、通常は0.1〜10重量部程度である。
≪連鎖移動剤≫
上記共重合の際、さらに連鎖移動剤を用いることが好ましく、例えば、α−メチルスチレンダイマー、t−ドデシルメルカプタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどが挙げられる。
上記連鎖移動剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー100重量部に対して、
通常は0.1〜10重量部程度である。
【0032】
以上のようにして得られるアルカリ可溶性樹脂(C)の重量平均分子量(以下、「Mw
」ともいう)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう
)により測定したポリスチレン換算値で、好ましくは5000〜100000、より好ま
しくは10000〜80000である。Mwは、上述のモノマー(C1)および(C2)
の共重合割合、組成、連鎖移動剤、重合温度などの条件を適宜選択することにより制御す
ることができる。Mwが前記範囲よりも低いと、現像後の膜荒れが発生しやすくなる。ま
た、Mwが前記範囲を超えると、未露光部の現像液に対する溶解性が低下し、解像度が低
下する場合がある。
【0033】
上記アルカリ可溶性樹脂(C)のガラス転移温度(Tg)は、通常は0〜120℃、好
ましくは10〜100℃である。ガラス転移温度が前記範囲よりも低いと、塗膜にタック
を生じやすく、ハンドリングが困難となる傾向にある。また、ガラス転移温度が前記範囲
を超えると、感光性ペースト層と支持体であるガラス基板などとの密着性が悪くなり、後
述する転写フィルムを用いる場合には、良好に転写できないことがある。なお、前記ガラ
ス転移温度は、上記アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)、(メタ)アクリル酸誘
導体(C2)の量を変更することによって適宜調節することがでる。
【0034】
上記アルカリ可溶性樹脂(C)の酸価は、好ましくは20〜200mgKOH/g、よ
り好ましくは30〜160mgKOH/gである。酸価が前記範囲よりも低いと、露光後
の未露光部分が速やかにアルカリ現像液で除去しにくく、高精細なパターン形成が困難と
なる傾向にある。また、酸価が前記範囲を超えると、露光光によって硬化した部分もアル
カリ現像液に浸食されやすくなり、高精細なパターン形成が困難となる傾向にある。
【0035】
アルカリ可溶性樹脂(C)の含有量は、感光性樹脂100重量%に対して、好ましくは
20〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%である。アルカリ可溶性樹脂(C)
の含有量が前記範囲にあると、感光性ペースト組成物における無機粒子の分散性、および
パターンの現像性に優れる。
【0036】
<多官能(メタ)アクリレート(D)>
多官能(メタ)アクリレート(D)としては、具体的には、アリル化シクロヘキシルジ
(メタ)アクリレート、2,5−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ
)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(
メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リグリセロールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)タクリレート類;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパン(プロピレンオキサイド変性)トリ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパン(エチレンオキサイド変性)トリ(メタ)アクリレート
、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒ
ドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタン(メ
タ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレート類;
上記化合物中の芳香環の水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモ
ノマーなどが挙げられる。多官能(メタ)アクリレート(D)は、1種単独で用いても、
2種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明の感光性ペースト組成物において、多官能(メタ)アクリレート(D)の含有量
は、露光光に対する感度の点から、感光性樹脂100重量%に対して、通常は10重量%
以上、好ましくは15〜60重量%の範囲にある。多官能(メタ)アクリレート(D)の
含有量が前記範囲を超えると、例えば焼成後のディスプレイパネル用部材の形状が劣化す
ることがある。
【0038】
また、本発明の目的を損なわない範囲で、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチル
スチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン
、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒド
ロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラ
セン、ビニルカルバゾール、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニ
ル−2−ピロリドンなどを配合してもよい。
【0039】
<光重合開始剤(E)>
光重合開始剤(E)としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチ
ル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)
ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェ
ニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2
,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−
メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2
−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン
、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロー4−プロピルチオキサントン、2,4
−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセ
タール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラ
キノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアント
ラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4
−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキ
サノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−
フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニ
ル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−
プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エト
キシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチ
ル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン
、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1
、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2'−ジメト
キシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−
2,4,4−トリメチルーペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベ
ンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイ
ル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンス
ルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリ
ル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン
、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、
エオシンやメチレンブルーなどの光還元性の色素と、アスコルビン酸やトリエタノール
アミンなどの還元剤との組み合わせ、
2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−
ジメチルアミニベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザ
ル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン
、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン
、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンイン
ダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3
−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエ
チルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリ
ン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N
−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸
イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテ
トラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられる
。光重合開始剤(E)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明の感光性ペースト組成物において、光重合開始剤(E)の含有量は、多官能(メ
タ)アクリレート(D)100重量部に対して、通常は1〜50重量部、好ましくは2〜
40重量部である。光重合開始剤(E)の含有量が前記範囲を超えると、例えば焼成後の
ディスプレイパネル用部材の形状が劣化することがある。
【0041】
その他の添加剤
本発明の感光性ペースト組成物には、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、有機溶
剤、密着助剤、溶解促進剤、増感助剤、可塑剤、増粘剤、分散剤、有機成分・無機粒子の
沈降防止剤、レベリング剤などの添加剤を配合してもよい。
【0042】
≪紫外線吸収剤≫
本発明の感光性ペースト組成物には、紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収効果
の高い化合物を添加することによって、高アスペクト比、高精細、高解像度のパターンが
得られる。紫外線吸収剤としては、有機系染料および無機顔料を用いることができ、中で
も350〜450nmの波長範囲で高い紫外線吸収係数を有する有機系染料および無機顔
料が好ましく用いられる。
【0043】
具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、
アミノケトン系染料、アントラキノン系染料、ベンゾフェノン系染料、ジフェニルシアノ
アクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料などの有機系染料;
酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの無機顔料が挙げられる。これらの中では、例
えば本発明の感光性ペースト組成物から絶縁膜を形成する場合、有機系染料は、焼成後の
絶縁膜中に残存しないため絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましいが、FPDの信
頼性の観点から、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの無機顔料がより好ましい。
【0044】
上記無機顔料は、ガラス粉末(B)100重量部に対して、好ましくは0.001〜5
重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の範囲となる量で添加することができる。無
機顔料の添加量が前記範囲未満では紫外線吸収剤の添加効果が減少し、前記範囲を超える
と紫外線吸収剤の効果が大きく膜の下部まで光が届かなくなり、パターンを形成できなく
なることや成膜強度が保てないことがある。
【0045】
≪重合禁止剤≫
本発明の感光性ペースト組成物には、保存時の熱安定性を向上させるために、重合禁止
剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノ
エステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコ
ール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、
クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤は、前記組成物中に、好まし
くは0.001〜20重量%の範囲となる量で添加することができる。
【0046】
≪酸化防止剤≫
本発明の感光性ペースト組成物には、保存時における感光性樹脂の酸化を防止するため
に、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチ
ル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェ
ノール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2
−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフ
ェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブ
チリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニ
ルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤は、前記組成物中に、好ましくは0.00
1〜20重量%の範囲となる量で添加することができる。
【0047】
≪有機溶剤≫
本発明の感光性ペースト組成物には、該組成物の粘度を調整するために、有機溶剤を添
加してもよい。有機溶剤としては、例えば、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、
ジヒドロターピネニルアセテート、リモネン、カルベオール、カルビニルアセテート、シ
トロネロール、テキサノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メトキシプロピルアセテート、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などが挙げられる。有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0048】
≪密着助剤≫
本発明の感光性ペースト組成物には、該組成物から形成される感光性ペースト層とガラ
ス基板などの支持体との密着性を向上させるために、密着助剤を添加してもよい。密着助
剤としては、シラン化合物が好適に用いられる。
【0049】
シラン化合物の具体例としては、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジ
メチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチル
メトキシシラン、n−イコサンジメチルメトキシシラン、n−プロピルジエチルメトキシ
シラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−
ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシラン、n−ブチ
ルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシル
ジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシラン、n−プロピルジメ
チルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシ
シラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジメチルエトキシシラ
ン、n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デ
シルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサン
ジエチルエトキシシラン、n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピル
エトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピル
エトキシシラン、n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキ
シシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシ
シラン、n−イコサンジメチルプロポキシシラン、n−プロピルジエチルプロポキシシラ
ン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−
ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチルプロポキシシラン、n−
ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキ
サデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシラン、n−
プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチ
ルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメチルジ
メトキシシラン、n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシ
ラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、
n−イコサンエチルジメトキシシラン、n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシ
ルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサ
ンプロピルジメトキシシラン、n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチル
ジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエト
キシシラン、n−イコサンメチルジエトキシシラン、n−プロピルエチルジエトキシシラ
ン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキ
サデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシシラン、n−ブチルプ
ロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロ
ピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシラン、n−プロピルメチルジ
プロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキ
シシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−イコサンメチルジプロポキ
シシラン、n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラ
ン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン
、n−イコサンエチルジプロポキシシラン、n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n
−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、
n−イコサンプロピルジプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチ
ルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシ
シラン、n−イコサントリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチ
ルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシ
シラン、n−イコサントリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブ
チルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプ
ロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,
3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N
'−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどが挙げられる
。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0050】
密着助剤は、アルカリ可溶性樹脂(C)100重量部に対して、好ましくは0.05〜
15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部の範囲となる量で添加することができる

【0051】
≪溶解促進剤≫
本発明の感光性ペースト組成物は、後述する現像液への十分な溶解性を発現させる目的
で、溶解促進剤を含有することが好ましい。溶解促進剤としては、界面活性剤が好ましく
用いられる。前記界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面
活性剤、ノニオン系界面活性剤、脂肪酸などが挙げられる。
【0052】
上記フッ素系界面活性剤としては、例えば、BM CHIMIE社製「BM−1000
」、「BM−1100」、大日本インキ化学工業(株)社製「メガファックF142D」
、「同F172」、「同F173」、「同F183」、住友スリーエム(株)社製「フロ
ラードFC−135」、「同FC−170C」、「同FC−430」、「同FC−431
」、旭硝子(株)社製「サーフロンS−112」、「同S−113」、「同S−131」
、「同S−141」、「同S−145」、「同S−382」、「同SC−101」、「同
SC−102」、「同SC−103」、「同SC−104」、「同SC−105」、「同
SC−106」などの市販品が挙げられる。
【0053】
上記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(
株)社製「SH−28PA」、「SH−190」、「SH−193」、「SZ−6032
」、「SF−8428」、「DC−57」、「DC−190」、信越化学工業(株)社製
「KP341」、新秋田化成(株)社製「エフトップEF301」、「同EF303」、
「同EF352」などの市販品が挙げられる。
【0054】
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、
ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポ
リオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレー
ト、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類
などが挙げられる。
【0055】
上記ノニオン系界面活性剤の市販品としては、例えば、花王(株)社製「エマルゲンA
−60」、「A−90」、「A−550」、「B−66」、「PP−99」、共栄社化学
(株)社製「(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57」、「同No.90」、「フローレンAC−326HF」、「フローレンAC−903HF」、「フローレンAC−1180HF」などが挙げられる。
【0056】
上記脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ぺラルゴ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、マ
ルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデ
カン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセレン酸、ネルボン酸、セロチ
ン酸、モンタン酸、メリシン酸が挙げられる。
【0057】
上記界面活性剤の中では、現像時に未露光部の感光性ペースト層の除去が容易であるこ
とから、ノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアリールエーテル類がよ
り好ましく、特に下記式(1)で表される化合物が好ましい。
【0058】
【化1】

上記式(1)中、R1は炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基であり、pは1
〜5の整数であり、sは1〜5の整数、好ましくは2であり、tは1〜100の整数、好
ましくは10〜20の整数である。
【0059】
本発明の感光性ペースト組成物における溶解促進剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(
C)100重量部に対して、好ましくは0.001〜20重量部、より好ましくは0.0
1〜15重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部である。溶解促進剤の含有量が前記
範囲にあることにより、現像液への溶解性に優れた組成物が得られる。
【0060】
<感光性ペースト組成物の調製>
本発明の感光性ペースト組成物は、必須成分としてアルミニウム粉末(A)、ガラス粉
末(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)および光重合
開始剤(E)、任意成分として有機溶剤などの上述の各種成分を所定の組成比となるよう
に調合した後、3本ロールや混練機で均質に混合分散して調製される。
【0061】
上記組成物の粘度は、無機粒子、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添
加量によって適宜調整することができるが、その範囲は通常は100〜500000cp
s(センチ・ポイズ)である。
【0062】
〔パターン形成方法〕
本発明のパターン形成方法は、上記感光性ペースト組成物からなる感光性ペースト層を
基板上に形成する工程(感光性ペースト層形成工程)、該ペースト層を露光処理してパタ
ーンの潜像を形成する工程(露光工程)、該ペースト層を現像処理してパターンを形成す
る工程(現像工程)、および該パターンを焼成処理する工程(焼成工程)を含むことを特
徴とする。
【0063】
<感光性ペースト層形成工程>
本工程では、上記感光性ペースト組成物からなる感光性ペースト層を基板上に形成する
。感光性ペースト層の形成方法としては、例えば、(i)上記感光性ペースト組成物を基
板上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて形成する方法、(ii)上記感光性ペー
スト組成物を支持フィルム上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて得られる感光
性ペースト層を有する転写フィルムを用いて、基板上に該ペースト層を転写する方法など
が挙げられる。
【0064】
(i)上記感光性ペースト組成物を基板上に塗布する方法としては、膜厚が大きく(例
えば20μm以上)、かつ均一性に優れた塗膜を効率よく形成することができる方法であ
れば特に限定されない。例えば、ナイフコータによる塗布方法、ロールコータによる塗布
方法、ドクターブレードによる塗布方法、カーテンコータによる塗布方法、ダイコータに
よる塗布方法、ワイヤーコータによる塗布方法、スクリーン印刷装置によるスクリーン印
刷法などが挙げられる。
【0065】
塗膜の乾燥条件は、乾燥後における有機溶剤の残存割合が2重量%以内となるように適
宜調整すればよく、例えば、50〜150℃の乾燥温度で0.5〜60分間程度である。
上記のようにして形成された感光性ペースト層の厚みは、通常は3〜300μm、好ま
しくは5〜200μmである。なお、上記組成物の塗布をn回繰り返すことで、n層(n
は2以上の整数を示す)の感光性ペースト層を有する積層体を形成してもよい。
【0066】
(ii)上記感光性ペースト層を有する転写フィルムを用いた転写工程の一例を以下に示
す。基板の表面に感光性ペースト層の表面が当接するように転写フィルムを重ね合わせ、
該転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着した後、該ペースト層から支持フィルムを
剥離除去する。これにより、基板の表面に感光性ペースト層が転写されて密着した状態と
なる。
【0067】
上記支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィ
ルムであることが好ましい。支持フィルムを形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ
イミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹
脂、ナイロン、セルロースなどが挙げられる。
【0068】
転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度が10〜200℃、加熱ローラによ
るロール圧が0.5〜10kg/cm2、加熱ローラの移動速度が0.1〜10m/分で
ある。また、上記基板は予熱されていてもよく、予熱温度は、例えば40〜140℃であ
る。
【0069】
本発明で用いられる基板材料としては、例えば、ガラス、シリコーン、ポリカーボネー
ト、ポリエステル、芳香族アミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの絶縁性材料から
なる板状部材が挙げられる。これらの中では、耐熱性を有するガラス基板を用いることが
好ましい。
【0070】
<露光工程>
上記感光性ペースト層形成工程により基板上に感光性ペースト層を形成した後、露光装
置を用いて露光を行う。具体的には、感光性ペースト層の表面に、露光用マスクを介して
、紫外線などの放射線を選択的に照射して、該ペースト層にパターンの潜像を形成する。
【0071】
露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露
光する方法を採用することができる。前記フォトマスクの露光パターンは、目的によって
異なるが、例えば10〜500μm幅のストライプまたは格子である。
【0072】
また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザー
などで直接描画する方法を用いてもよい。
露光装置としては、平行光露光機、散乱光露光機、ステッパー露光機、プロキシミティ
露光機などを用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの
基板上に感光性ペースト層を形成した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さ
な露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0073】
露光の際に使用される活性光源は、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X
線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中では紫外線が好ましく、その光源として
は、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが使用できる
。これらの中では超高圧水銀灯が好適である。
【0074】
露光条件は、塗布厚みによって異なるが、1〜100mW/cm2の出力の超高圧水銀
灯を用いて0.05〜1分間露光を行う。この場合、波長フィルターを用いて露光光の波
長領域を狭くすることによって、光の散乱を抑制し、パターン形成性を向上させることが
できる。具体的には、i線(365nm)の光をカットするフィルター、あるいは、i線
およびh線(405nm)の光をカットするフィルターを用いて、パターン形成性を向上
させることができる。
【0075】
<現像工程>
上記露光後、感光部分と非感光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、感光性ペー
スト層を現像して該ペースト層のパターンを形成する。現像方法(例えば、浸漬法、揺動
法、シャワー法、スプレー法、パドル法、ブラシ法など)および現像処理条件(例えば、
現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度など)などは、感光性ペースト層の種類
に応じて適宜選択、設定すればよい。
【0076】
現像工程で用いられる現像液としては、感光性ペースト層中の感光性樹脂を溶解可能な
有機溶媒が使用できる。また、前記有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加し
てもよい。感光性ペースト層中にカルボキシル基などの酸性基を持つ化合物が存在する場
合、アルカリ水溶液で現像できる。
【0077】
本発明においては、感光性ペースト層に無機粒子が含まれているが、無機粒子はアルカ
リ可溶性樹脂(C)により均一に分散されているため、該樹脂(C)を現像液で溶解させ
て洗浄することにより、無機粒子も同時に除去される。
【0078】
上記アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リ
ン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水
素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸水素リチウム
、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア水溶液、テトラメ
チルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド
、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチル
アミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0079】
上記アルカリ水溶液の濃度は、通常は0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜
5重量%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎ
ると、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあることから好ましく
ない。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0080】
上記アルカリ水溶液には、上述のノニオン系界面活性剤や有機溶剤などの添加剤が含有
されていてもよい。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常は水洗処
理が施される。
【0081】
<焼成工程>
上記現像後の感光性ペースト層残留部(該ペースト層のパターン)に含まれる有機物質
を焼失させるために、焼成炉にて該ペースト層のパターンを焼成処理する。
【0082】
焼成雰囲気は、感光性ペースト組成物や基板の種類によって異なるが、空気、オゾン、
窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の
連続型焼成炉を用いることができる。
【0083】
焼成処理条件は、パターン中の有機物質が焼失されることが必要であるため、通常は焼
成温度が300〜1000℃、焼成時間が10〜90分間である。例えば、ガラス基板上
にパターン形成する場合は、350〜600℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行
う。
【0084】
<加熱工程>
上記感光性ペースト層形成、露光、現像、焼成の各工程中に、乾燥または予備反応の目
的で、50〜300℃の加熱工程を導入してもよい。
【0085】
〔FPD用部材などの製造方法〕
上記工程を含む本発明のパターン形成方法により、電極などのFPD用部材、電子部品
の回路パターンおよび太陽電池部材の配線パターンなどを形成することができる。このよ
うな本発明のFPD用部材の製造方法は、PDPの製造方法に適している。
【実施例】
【0086】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
まず、物性の測定方法および評価方法について説明する。
【0087】
〔重量平均分子量(Mw)および重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)(以下、Mw/Mnと呼称する。)の測定方法〕
MwおよびMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)により測定したポリスチレン換算の値である。なお、GPC測定は、GPCカラムとして東ソー株式会社製「TSKguardcolumn SuperHZM−M」を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒、測定温度40℃の条件で行った。
【0088】
〔電気抵抗測定の評価方法〕
体積抵抗[μΩ・cm]は焼成後のパネルの試験片(150mm×150mm×1.8mm)の上に焼成後膜厚10μmの塗膜を作製し、NPS社製の「Resistivity Proccessor ModelΣ−5」を用いて評価した。
【0089】
〔焼成後のパターンの評価方法〕
焼成後のパネルを切断してパネルの試験片(10mm×10mm×1.8mm)を作製し、パターン切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S4200」)で観察してパターンの高さ(膜厚)を計測した。
【0090】
〔耐酸性の評価方法〕
焼成後のパネルを切断してパネルの試験片(100mm×50mm×1.8mm)を作製し、試験片を45℃の硝酸3wt%水溶液中に3分間浸漬した。浸漬後、超純水で洗浄し乾燥を行い、塗膜部分を電気抵抗測定の評価方法と同様の方法で、パターン部分を上記焼成後のパターンの評価方法と同様の方法で評価した。
【0091】
〔耐アルカリ酸性の評価方法〕
焼成後のパネルを切断してパネルの試験片(100mm×50mm×1.8mm)を作製し、試験片を45℃の水酸化ナトリウム7wt%水溶液中に3分間浸漬した。浸漬後、超純水で洗浄し乾燥を行い、塗膜部分を電気抵抗測定の評価方法と同様の方法で、パターン部分を上記焼成後のパターンの評価方法と同様の方法で評価した。
【0092】
〔合成例〕
n−ブチルメタクリレート40部、2−エチルヘキシルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、メタクリル酸15部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)(堺化学工業(株)製)5部を攪拌機付きオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下において、ターピネオール150部中で均一になるまで攪拌した。
【0093】
次に、80℃で4時間重合させ、さらに100℃で1時間重合反応を継続させた後、室温まで冷却してSH基を有するアルカリ可溶性樹脂(C1)を得た。前記アルカリ可溶性樹脂(C1)の重合率は98%であり、アルカリ可溶性樹脂(C1)の重量平均分子量は21000(Mw/Mn 1.9)であった。
【0094】
[実施例1〜6]
表3に示す各成分を混合し、感光性樹脂成分を作製した。次いで感光性樹脂成分と表1に示す表面にシリカ被膜を形成したアルミニウム粉末及び表2に示すB−SiO系ガラス粉末(不定形、軟化点500℃)を表4に示す組成で混合し混練機で混練して感光性アルミペースト組成物(以下「感光性ペースト」ともいう。)を調製した。
上記感光性ペーストを325メッシュのスクリーンを用いてパネルの試験片(150mm×150mm×1.8mm)上に100mm角の大きさにベタに印刷し、100℃で10分間保持して乾燥した。
次に、ネガ型クロムマスク(パターン幅50μm、パターン間隔100μm)を用いて、上面から25mJ/cm出力の超高圧水銀灯により、無機粒子含有感光性樹脂層を紫外線露光した。露光量は1000mJ/cmであった。
次に、露光後の感光性ペースト層に、23℃に保持した炭酸ナトリウムの0.5%水溶液を、シャワーで60秒間かけることにより現像した。その後、シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していないスペース部分を除去してパネル用ガラス基板上に格子状の感光性ペーストパターンを形成した。次に、得られた感光性ペーストパターンを580℃で30分間焼成して電極パターンを形成した。この焼成後のパターンを上記評価方法により評価した。
さらに、これらのパターンを上記評価方法により、耐酸性及び耐アルカリ性を評価した。結果を表5に示す。実施例1〜6のいずれにおいても、硝酸水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液浸漬後の膜厚及び抵抗値は浸漬前と変化はみとめられなかった。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【0099】
【表5】


TMP:トリメチロールプロパン(プロピオンオキサイド変性)トリアクリレート
MTPMP:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン
DMMPB:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1
DETX:2,4−ジエチルチオキサントン
BHHD:1,7-ビス(4−ヒドロキシフェノール)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン
TNOL:ターピネオール
【0100】
[比較例1〜6]
比較例1〜6は表6に示す表面にシリカ被膜を形成していないアルミニウム粉末及び表2に示すB−SiO系ガラス粉末(不定形、軟化点500℃)、および表7に示す感光性樹脂成分を作製した後に、表7の組成で混練機で混練して感光性アルミペースト組成物(以下「感光性ペースト」ともいう。)を調製し、実施例1と同様の評価を行った。比較例1〜6においての現像後のパターンは、実施例1と同様の形状が得られた。耐酸性及び耐アルカリ性の評価結果を表5に示す。比較例1〜6のいずれにおいても、硝酸水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液浸漬後の膜厚及び抵抗値は浸漬前から大幅に減少した。また抵抗値は大きく上昇し、水酸化ナトリウム水溶液浸漬後に関しては、比較例1〜6のいずれについても抵抗値が高く測定が出来なかった。
【0101】
【表6】

【0102】
【表7】

【0103】
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】交流型プラズマディスプレイパネルの断面形状を示す模式図である。
【図2】一般的なフィールドエミッションディスプレイの断面形状を示す模式図である。
【符号の説明】
【0105】
101 ガラス基板
102 ガラス基板
103 背面隔壁
104 透明電極
105 バス電極
106 アドレス電極
107 蛍光体
108 誘電体層
109 誘電体層
110 保護層
111 前面隔壁
201 ガラス基板
202 ガラス基板
203 絶縁層
204 透明電極
205 エミッタ
206 カソード電極
207 蛍光体
208 ゲート
209 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の少なくとも一部がケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタニウム酸化物から選ばれる少なくとも1種で被覆されてなるアルミニウム粉末(A)、
ガラス粉末(B)、
アルカリ可溶性樹脂(C)、
多官能(メタ)アクリレート(D)、および
光重合開始剤(E)
を含有することを特徴とする感光性ペースト組成物。
【請求項2】
前記アルミニウム粉末(A)において、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物およびチタニウム酸化物が厚さ1〜50nmで被覆されてなることを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項3】
プラズマディスプレイの電極形成用であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性ペースト組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の感光性ペースト組成物からなる感光性ペースト層を基板上に形成する工程、
該ペースト層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
該ペースト層を現像処理してパターンを形成する工程、および
該パターンを焼成処理する工程
を含むことを特徴とするパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−145545(P2010−145545A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320246(P2008−320246)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】