説明

感光性有機反射防止膜形成用組成物及びそれを用いたパターン形成方法

【課題】フォトレジストパターン形成の際、同時に感光性有機反射防止膜を形成するための感光性有機反射防止膜用の組成物及びパターン形成方法を提供する。
【解決手段】感光性有機反射防止膜形成用の組成物は、エポキシ基及び酸発生剤(PGA)によって分解が起こる酸分解型熱架橋剤を0.5〜5質量%と、アントラセンを含有するアクリレート単量体またはアントラセンを含有するメタアクリレート単量体を含む共重合体樹脂を10〜22質量%と、光酸発生剤を0.1〜1質量%と、その余の溶媒と、を含む。この感光性有機反射防止膜形成用の組成物で形成した感光性有機反射防止膜は、フォトレジストによりフォトレジストパターンを形成するための現象工程において、同時に現象される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性反射防止膜形成用組成物及びパターン形成方法に関するものであり、より詳細にはフォトレジストパターン形成の際、適用される感光性有機反射防止膜を形成するための感光性有機反射防止膜組成物及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前記半導体装置は高速で動作すると同時に大容量の貯蔵能力が要求される。そのため、半導体装置では、集積度、信頼度及び応答速度などを向上させる方向に製造技術が発展している。従って、半導体装置の集積度向上のための主な技術であるフォトリソグラフィ工程のような微細加工技術では、要求度が厳しくなっていく実情である。
【0003】
半導体装置の製造において、フォトレジストで形成されたフォトレジストパターンがエッチングマスクとして使用される。しかし、フォトレジストパターンを形成するためには、対象膜上にフォトレジスト膜を形成する前に反射防止膜ARCを形成しなけらばならない。
【0004】
この反射防止膜は、フォトリソグラフィ工程では露光工程を実施してフォトレジストをパターニングする場合、下部対象膜の光に対する反射を減少するために適用される。即ち、反射防止膜は、露光の際フォトレジスト膜で入射される入射光と対象膜から反射される反射光の干渉によって発生する定在波効果を防止する作用をする。
【0005】
また、反射防止膜は、先の工程で既に形成されたパターンから起因する段差による反射及び角での乱反射を防止、あるいは顕著に減少させる。従って、フォトレジストパターンを形成する前に反射防止膜を形成することにより、形成しようとする微細回路パターンの線幅(Critical dimension)を正確に設定し、半導体製造工程における条件の許容度を増加させている。
【0006】
上述した特性を有する反射防止膜は、その組成によって無機物系の無機反射防止膜と、有機物系の有機反射防止膜とに区分される。無機反射防止膜は、下部対象膜の段差に対して優れた接合特性を有しているものの、後続工程における除去が容易でなく、形成されるフォトレジストパターンと接合特性が良好でないという問題点を有している。従って、近年では無機反射防止膜の代わりに有機反射防止膜が主に使用されている。
【0007】
反射防止膜が適用されるフォトリソグラフィ工程をみると、まず、エッチング対象膜上に有機反射防止膜組成物をスピンコーティングした後、ベイキング工程を実施して反射防止膜を形成する。続いて、有機反射防止膜上にフォトレジスト膜を形成した後、ソフトベイキング、露光及びハードベイキング及び乾燥工程を順に実施してフォトレジストパターンを形成する。その後、フォトレジストパターンから露出する有機反射防止膜を第1エッチングした後、続いて露出する対象膜を第2エッチングすることでフォトリソグラフィ工程が完了する。
【0008】
このようなフォトリソグラフィ工程において、重要な工程ファクターは、対象膜上に存在する有機反射防止膜を除去するための第1エッチング後にフォトレジストパターンが損失する程度による。
【0009】
有機反射防止膜をエッチングする場合、フォトレジストパターンの上部もエッチングされる。そのため、フォトレジストパターンの厚さも顕著に薄くなる。従って、フォトレジストパターンが一定の選択比を確保するためには有機反射防止膜をエッチングする場合、フォトレジストパターンの損失を最小化する必要がある。
【0010】
しかし、有機反射防止膜は、ArFまたはF2用フォトレジストパターンより高い耐エッチングを有している。そのため、フォトリソグラフィ工程で有機反射防止膜を第1エッチングする場合、その損傷程度も問題となる。即ち、第1エッチング工程が実施されたフォトレジストパターンは、対象膜を第2エッチングするためのエッチングマスクとしての役割を果たしにくい。
【0011】
従って、有機反射防止膜を除去するためのエッチング工程を実施するとき、フォトレジストパターンの損失を最小化し、除去が容易な新規の有機反射防止膜の開発が必要な実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、フォトレジストパターンの現象工程の際に、除去が容易な感光性有機反射防止膜を形成するための組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、このフォトレジストパターンの現像工程の際に、除去が容易な感光性有機反射防止膜形成用の組成物を用いたパターンの形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記した目的を達成するために、本発明の感光性有機反射防止膜形成用組成物では、エポキシ基及び酸発生剤(PGA)によって分解が起こる酸分解型熱架橋剤を0.5質量%〜5質量%と、アントラセンを含有するアクリレート単量体またはアントラセンを含有するメタアクリレート単量体を含む共重合体樹脂を10質量%〜22質量%と、光酸発生剤を0.1質量%〜1質量%と、その余の溶媒と、を有する。
【0015】
酸分解型熱架橋剤は、下記構造式1で表記される。この構造式1において、Rは炭素数1〜10の炭化水素鎖、またはアルキル鎖である。
【0016】
【化1】

【0017】
また、アクリレート単量体またはメタアクリレート単量体は、下記構造式2で表記される。構造式2において、R1は炭素数1〜20のアルキル鎖であり、R2は水素またはメチル基である。
【0018】
【化2】

【0019】
ここで、アクリレート単量体は、アントラセン作用基を有するアルキルアルコールとアクリル酸とをエステル反応して合成される。メタアクリレート単量体は、アントラセン作用基を有するアルキルアルコールとメタアクリル酸とをエステル反応して合成される。共重合体樹脂は、質量平均分子量が3000〜15000であり、分子量分布の分散度が2.2〜2.6の特性を有する。
【0020】
感光性有機反射防止膜形成用の組成物は、界面活性剤をさらに含む。このとき、この組成物は、酸分解型熱架橋剤を0.5質量%〜3質量%と、共重合体樹脂を10質量%〜18質量%と、光酸発生剤を0.1質量%〜0.5質量%と、界面活性剤を0.01質量%〜0.2質量%と、その余の溶媒を含む。
【0021】
前記した他の目的を達成するために、本発明のパターン形成方法では、まずエッチング対象膜に感光性有機反射防止膜を形成する。この感光性有機反射防止膜用の組成物は、エポキシ基及び酸発生剤PGAによって分解が起こる酸分解型熱架橋剤を0.5質量%〜5質量%と、アントラセンを含有するアクリレート単量体またはアントラセンを含有するメタアクリレート単量体を含む共重合体樹脂を10質量%〜22質量%と、光酸発生剤を0.1質量%〜1質量%と、その余の溶媒をと含む。この感光性有機反射防止膜形成用の組成物を、エッチング対象膜にコーティングして感光性有機反射防止膜を形成する。続いて、感光性有機反射防止膜上にフォトレジスト膜を形成する。続いて、露光工程を実施してフォトレジスト膜及び感光性有機反射防止膜を露光する。露光した結果物に現象液を用いた現象工程を実施して、感光性有機反射防止膜パターン及びフォトレジストパターンを同時に形成する。フォトレジストパターンをエッチングマスクとして適用して露出するエッチング対象膜をエッチングする。その結果、半導体装置のパターンが形成される。
【0022】
上述したような組成を有する感光性有機反射防止膜形成用の組成物は、フォトレジスト現象工程の際に、共に現象される感光性有機反射防止膜を形成することができる。感光性有機反射防止膜は、露光工程を実施するとき光の反射を最小化することができ、現象液を使用したフォトレジスト膜の現象工程を実施するとき、共に現象され感光性有機反射防止膜パターンに形成される。従って、フォトレジストパターン形成工程の後、反射防止膜パターンを形成するための別途のエッチング工程が必要でなく、フォトレジストパターンの損失を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の感光性有機反射防止膜形成用組成物及び前記感光性有機反射防止膜形成用組成物を用いて形成されるパターン形成方法をさらに詳細に説明する。
【0024】
本発明の感光性有機反射防止膜形成用の組成物は、フォトレジストパターンを形成するための現象工程を実施するとき、同時に現象液によって現象可能な有機反射防止膜を形成するための物質である。即ち、フォトリソグラフィ工程によってフォトレジスト膜と同時にパターニングされる反射防止膜を形成するために適用される物質である。
【0025】
上述した特性を有する感光性有機反射防止膜形成用の組成物は、必須成分として、エポキシ基及び酸発生剤PGAによって分解が起こる酸分解型熱架橋剤と、アントラセンを含有するアクリレート単量体またはアントラセンを含有するメタアクリレート単量体を含む共重合体樹脂と、光酸発生剤と、溶媒とを含む。
【0026】
酸分解型熱架橋剤は、感光性有機反射防止膜形成用の組成物に含まれている共重合体を架橋反応させるための架橋剤として、エポキシ基及び酸発生剤PGAによって酸分解が起こる特性を有する。
【0027】
具体的に、酸分解型熱架橋剤は、下記構造式1で表記される化合物である。下記構造式1において、Rは炭素数1〜20の炭化水素鎖、アルキル鎖及び芳香族鎖を含む。望ましくは、Rは、炭素数1〜6のアルキル鎖である。
【0028】
【化3】

【0029】
酸分解型熱架橋剤は、感光性有機反射防止膜形成用の組成物に0.5質量%〜5質量%を含まれる。酸分解型熱架橋剤は、望ましくは組成物に0.5質量%〜3質量%含まれ、より望ましくは、0.5質量%〜2質量%含まれる。
【0030】
共重合体樹脂は、アントラセンを含むメタアクリレート単量体またはアントラセンを含むアクリレート単量体と、エチレン性不飽和単量体と、酸分解型保護基を有するスチレン単量体と、を重合して合成された重合体である。この際、共重合体樹脂は、感光性有機反射防止膜形成用の組成物に10質量%〜22質量%含まれる。共重合体樹脂は、望ましくは組成物に10質量%〜18質量%を含まれる。
【0031】
具体的に、共重合体樹脂は、一部に248nm以下の光を吸収するアントラセンを含むアクリレート単量体またはアントラセンを含むメタアクリレート単量体を含む。共重合体樹脂に含まれたアクリレートの単量体またはアクリレート単量体は、下記構造式2で表記される化合物である。
【0032】
【化4】

【0033】
構造式2において、R1は炭素数1〜20のアルキル鎖であり、望ましくは、炭素数1〜5個のアルキル鎖である。R2は、水素原子またはメチル基である。ここで、アクリル酸単量体は、アントラセン作用基を有するアルキルアルコール基とアクリレート酸とをエステル反応させ合成することができる。また、メタアクリレート単量体は、アントラセン作用基を有するアルキルアルコールとメタアクリル酸とをエステル反応させ合成することができる。
【0034】
また、共重合体樹脂は、ヒドロキシ基を有する単量体であるスチレン単量体を含む。スチレン単量体は、架橋剤との熱反応を避け、光分解後フォトレジスト現象液の現象性を向上するための酸分解型保護基を含む。即ち、酸分解型保護基を有するスチレン単量体は、共重合体樹脂を製造するときに用いられる。スチレン単量体は、オルト、メタ、パラの位置に、保護基であるテトラ−ブトキシ基、テトラ−ブトキシカルボニルオキシ基、エトキシ基、またはテトラヒドロピラニルオキシ基などを含んでいる。なお、保護基は、これらの例示した官能基に限定されない。
【0035】
共重合体樹脂は、カルボキシ酸を含む単量体であるエチレン性不飽和単量体を含む。即ち、エチレン性不飽和単量体は、共重合体樹脂を製造するときに用いられる。エチレン性不飽和単量体の例としては、不飽和カルボシ酸、アクリル酸のエステル、メタアクリル酸のエステルなどを挙げることができる。
【0036】
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸及びフマル酸などを挙げることができる。アクリル酸のエステルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジルなどを挙げることができる。
【0037】
また、メタアクリル酸のエステルの例としては、メタアクリル酸、メタアクリルエチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸グリシジルなどを挙げることができる。
【0038】
共重合体樹脂は、下記のような重合反応で製造される。共重合体反応の一例では、共重合体樹脂を製造するために適用される単量体を単量体重量の約1〜5倍の有機溶媒に溶解させ重合用混合物を生成する。有機溶媒の例としてはアセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、及びエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素及びクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ならびにジオキサンなどの環式エステル系溶媒などを挙げることができる。これらは単独で使用することが望ましいが場合によって少なくとも2つ以上を混合して使用してもよい。
【0039】
続いて、重合用混合物に0.01質量%〜3質量%の有機過酸化物またはアゾ化合物などのラジカル重合開始剤を添加した後、窒素ガスが提供される雰囲気で加熱することにより、共重合体樹脂が生成される。有機過酸化物の例としては、テトラ−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、テトラ−ブチルペルオキシピバル酸などを挙げることができ、アゾ化合物の例としては2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリルなどを挙げることができる。
【0040】
一般的に、重合反応は重合温度が50℃〜100℃の時、約1時間〜12時間で重合反応が完了する。しかし、重合反応に適用される単量体または重合開始剤の種類及び形成しようとする共重合体の質量平均分子量などによって、重合時間は異なる。また、重合反応を完了した後、重合混合物は、メタノール及びエタノールなどのような有機溶媒に注入し、析出した共重合体を重合中間生成物と分離した後、減圧下で乾燥させる。
【0041】
共重合体樹脂を形成する際に用いるヒドロキシ基またはカルボン酸を含む単量体は、フォトレジスト用現象液の現象条件に従ってその使用量を調節することができる。しかし、一般的に単量体全体の質量のうち20%〜70%を含むことが望ましい。単量体樹脂の質量平均分子量は一般的に1000〜30000であり、望ましくは、2000〜15000である。
【0042】
光酸発生剤PGAは、光と反応して酸を生成する物質である。光酸発生剤の例としてはジフェニルヨードニウム塩、ヘキサフルオロフォスフェイト、ジフェニルヨードニウム塩ヘキサフルオロヒ酸塩、ジフェニルヨードニウム塩ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ジフェニルパラメトキシフェニルトリプレート、ジフェニルパラトルエニルトリプレート、ジフェニルパライソブチルフェニルトリプレート、ジフェニルパラ−t−ブチルフェニルトリプレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロヒ酸塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩、トリフェニルスルホニウムトリプレート及びジブチルナフチルスルホニウムトリプレートなどを挙げることができる。光酸発生剤は、感光性有機反射防止膜形成用の組成物に0.1質量%〜1質量%含まれており、望ましくは0.1質量%〜0.5質量%含まれている。
【0043】
感光性有機反射防止膜形成用の組成物には、上述した成分との相容性を有する公知の添加剤を追加的にさらに含むことができる。例えば、感光性有機反射防止膜形成用の組成物には界面活性剤をさらに添加してもよい。
【0044】
界面活性剤は、感光性有機反射防止膜形成用の組成物の塗布性を向上させる同時に、形成されたコーティング膜に発生する縞模様が低減される。この際、界面活性剤の添加量は、感光性有機反射防止膜形成用の組成物の0.2質量%以下であることが望ましい。適用される界面活性剤の例としては、市販のスプロン(Surflon)SC−103、SR−100及びEF−361、ならびにフロラド(Fluorad)Fc−431、Fc−135、Fc−98、Fc−430及びFc−176など、フッ素を含有する界面活性剤を挙げることができる。
【0045】
感光性有機反射防止膜形成用の組成物の溶媒は、酸分解型熱架橋剤、共重合体樹脂、光酸発生剤、及び界面活性剤を溶解させ、感光性有機反射防止膜形成用の組成物の粘度を調整するために使用される。
【0046】
溶媒は有機溶媒であり、有機溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン、及び1、1、1−トリメチルアセトンなどのケトン系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール及びプロピレングリコールモノアセテート、これらのモノメチルエテール、モノエチルエテール、モノプロピルエテール、モノブチルエテール及びモノフェニルエテールなどの多価アルコール類及びその誘導体、ジオキサンなどの環状エテール系溶媒、ならびに乳酸エチル、乳酸メチル、エチルアセテート、ブチルアセテート、メチルピルビン酸塩、エチルピルビン酸塩、メチル3−メトキシプロピオネート及びエチル3−メトキシプロピオネートなどのエステル系溶媒などを挙げることができる。これらの有機溶媒は単独で使用することが望ましいが必要に応じて2つ以上を混合して使用してもよい。
【0047】
この溶媒は、基板上に形成しようとする感光性有機反射防止膜の厚さ及びその目標とする粘度によって使用量が異なる。そのため、感光性有機反射防止膜を厚く形成するためには、感光性有機反射防止膜形成用の組成物の粘度を相対的に増加させる必要があり、溶媒の使用量は低減される。一方、基板上に感光性有機反射防止膜を薄く形成するためには感光性有機反射防止膜形成用の組成物の粘度を相対的に減少させる必要があり、溶媒の使用量が増加される。
【0048】
(パターン形成方法)
以下、図1から図5を用いて、上述した本発明の実施例による感光性有機反射防止膜形成用の組成物を用いたパターン形成方法を説明する。
【0049】
図1に示すように、エッチング対象物を備える。エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102などである。以下では、エッチング対象物として、薄膜102を用いる場合について説明する。薄膜102は、残留する汚染物などを除去するために表面が洗浄される。薄膜102の例としては、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜またはシリコン酸化膜であることが望ましい。
【0050】
続いて、洗浄された薄膜102の表面上に、上述の感光性有機反射防止膜形成用の組成物がコーティングされる。感光性有機反射防止膜形成用の組成物は、上述のようにエポキシ基及び酸発生剤(PGA)によって分解が起こる酸分解型熱架橋剤を0.5質量%〜5質量%と、アントラセンを含有するアクリル酸単量体またはアントラセンを含有するメタアクリル酸単量体を含む共重合体を10質量%〜22質量%と、光酸発生剤を0.1質量%〜1質量%と、その余の溶媒を含む。感光性有機反射防止膜形成用の組成物は、スピンコーティング方式により薄膜102の表面上にコーティングされる。感光性有機反射防止膜形成用の組成物は、界面活性剤をさらに含むことが望ましい。
【0051】
組成物のコーティングを実施した後、乾燥及びベイキング工程を実施して薄膜上に感光性有機反射防止膜104を形成する。ベイキング処理は、100℃〜150℃で実施し、特に100℃〜130℃で実施することが望ましい。より、具体的な感光性有機反射防止膜形成用の組成物についての説明は詳細に上述したので重複説明は省略する。
【0052】
図2に示すように、感光性有機反射防止膜104上に、フォトレジストがコーティングされ、フォトレジスト膜106が形成される。
【0053】
フォトレジストの例としては、i)ナフトキノンジアゾ化合物及びノボラック樹脂を含有する陽化型フォトレジスト、ii)露光によって酸を解離可能な酸発生剤、酸の存在下で分解してアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する化合物、及びアルカリ可溶性樹脂を含有する化学増幅型の陽化型フォトレジスト、iii)酸発生剤及び酸の存在下で分解してアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する樹脂を付与可能な官能基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有する化学増大型陽化型フォトレジストなどを挙げることができる。
【0054】
続いて、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベイキング工程を実施する。第1ベイキング工程は、約90℃〜120℃の温度で実施する。第1ベイキング工程を実施することで感光性有機反射防止膜104に対してフォトレジスト膜106の接着性が向上される。
【0055】
図3に示すように、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。
フォトレジスト膜を露光するための露光工程の一例を説明する。露光装置のマスクステージ上に、所定のパターンが形成された露光マスクを位置させ、フォトレジスト膜106上に露光マスク110を整列させる。続いて、マスク110に光を照射することで基板100に形成されたフォトレジスト膜106の所定部位は、露光マスクを透過した光と選択的に反応する。露光工程で使用することができる光の例としては248nm波長を有するKrFレーザー、193nm波長を有するArFレーザーなどを挙げることができる。この際、フォトレジスト膜106下部に存在する感光性有機反射防止膜104では露光反応が起こる。
【0056】
露光された部位のフォトレジスト膜106bは、非露光部位のフォトレジスト膜106aに比べて相対的に物性が変化する。従って、露光されたフォトレジスト膜106bと、非露光のフォトレジスト膜106aとは、所定の溶媒(現像液)に対し互いに異なる溶解度を有する。感光性有機反射防止膜104は、同様に露光部位104bと非露光部位104aとを含む。
【0057】
続いて、基板100に第2ベイキング工程を実施する。第2ベイキング工程は約90℃〜150℃の温度で実施される。第2ベイキング工程を実施することにより、露光された領域のフォトレジスト膜106b及び有機反射防止膜の露光部位104bは特定の溶媒に溶解され易い状態になる。
【0058】
図4に示すように、現象液を用いて露光された領域に該当するフォトレジスト膜106b及び感光性有機反射防止膜の露光部位104bを溶解し、除去する。これにより、フォトレジストパターン108及び感光性反射防止膜パターン112が同時に形成される。具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetra-methyl ammonium hydroxide:TAMH)などの現象液を使用して、露光された領域に該当するフォトレジスト膜及び有機反射防止膜を順に溶解する。そして、溶解したフォトレジスト膜及び有機反射防止膜を除去することにより、フォトレジストパターン108及び有機反射防止膜パターン112が完成する。
従って、フォトレジストパターン108の形成工程より後に、反射防止膜パターン112を形成するための別途のエッチング工程が必要とされず、フォトレジストパターン108の損失を防止することができる。
【0059】
図5に示すように、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして露出する薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜102は薄膜パターン114として形成される。
【0060】
以下、酸分解型熱架橋剤及び共重合体樹脂の合成例、ならびに感光性有機反射防止膜用の組成物の製造例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、下記合成例及び製造例によって本発明の技術的思想が限定されるのではない。
【0061】
(酸分解型熱架橋剤の合成例)
4−ヒドロキシフタル酸182g(1モル)とアリールアミン266g(2モル)とを、トルエン2000gに攪拌下で溶解させ、130℃で加熱し、第1反応混合物を得た。第1反応混合物を濾過した後、溶媒を除去し、その残留物をメタノールを用いて繰り返し再結晶することにより、約160gのイミド化合物を得た。このイミド化合物は、下記構造式3で表記される。
【0062】
【化5】

【0063】
続いて、上記により得られたイミド化合物約230g(1モル)と、トリエチルアミン約202g(2モル)とを、溶媒であるTHF2500gに撹拌溶解する。そして溶解した結果物に、トリホスゲン49.5g(0.17モル)を溶解したテトラヒドロフラン250gを、約0℃で30分間かけて滴下して反応させ、第2反応混合物を得た。第2反応混合物を、0℃で30分、及び常温で3時間攪拌した後、溶媒を除去する。そして、得られた結果物を、二塩化メタンに溶解して、塩化アンモニウム溶液及び蒸留水を用いて洗浄する。洗浄した結果物を、メタノールで繰り返し再結晶し、下記構造式4で表記される化合物を得た。
【0064】
【化6】

【0065】
続いて、構造式4に示す化合物432g(1モル)と、3−クロロベルオキシ安息香酸688g(4モル)とを、クロロホルム2000gに攪拌下に溶解し、得られた溶液を約12時間還流して溶媒を蒸発させる。そして、得られた結果物をジクロロメタンに溶解した後、炭酸水素ナトリウム水溶液及び蒸留水で洗浄し、メタノールで繰り返し再結晶する。その結果、構造式1で表記される酸分解型熱架橋剤が得られる。
【0066】
(共重合体樹脂の合成例)
9−アントラセンメタノール208g(1モル)と、ジシクロヘキシルカルボイミド309g(1.5モル)と、メタクリル酸86g(1モル)とを、テトラヒドロフラン2000gに攪拌下で溶解させ、0℃で4−ジメチルアミノピリジン183g(1.5モル)をゆくっり注入して反応混合物を生成する。得られた反応混合物を、常温で6時間攪拌し、濾過した後、溶媒を除去する。そして、残留物をメタノールを用いて繰り返し再結晶することにより、約163gのアントラセンメタアクリレート単量体を生成物として得た。続いて、得られたアントラセンメタクリレート単量体82gと、p−テトラ−ブトキシスチレン34gと、メタクリル酸43gとを、プロピレングリコールモノメチルエテールアセテート380gに溶解させ重合混合物を得た。得られた重合混合物を、約60℃で2時間、窒素ガス雰囲気で加熱して単量体化合物の共重合反応を実施した。そして、重合していない単量体化合物を分離するために、共重合を実施した結果物に、n−ヘキサン1リットルを注入し、沈殿した共重合体樹脂約120gを得た。得られた共重合体の重量平均分子量は5600であり、分子量分布の分散度は2.4であった。
【0067】
(反射防止膜形成用組成物の製造例)
酸分解型熱架橋剤の合成例で得られた酸分解型熱架橋剤を1質量%と、光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェイト光分解型酸を0.3質量%と、共重合体樹脂の合成例で得られた共重合体樹脂を14重量%と、をプロピレングリコールモノメチルエテールアセテート約84.6質量%に溶解した後、その溶液にフッ素含有界面活性剤(Fc−430、住友3M社製品)を約0.1質量%添加した。この後、孔の直径が約0.2μmであるメンブレインフィルタを用いて濾過し、溶液状態の感光性有機反射防止膜形成用組成物を製造した。
【0068】
(感光性有機反射防止膜用の組成物の評価)
2000rpm〜3000rpmで回転するスピナー上に設置した基板上に、上述の方法で得られた感光性有機反射防止膜形成用の組成物をそれぞれスピンコーティングし、基板上にそれぞれ約0.4μmの厚さのコーティング膜を形成した。続いて、形成されたコーティング膜を30℃で60秒間乾燥させた後、窒素雰囲気のオーブンにより約180℃で60秒間ベイキング処理し、約0.2μm厚さの感光性有機反射防止膜を形成した。感光性有機反射防止膜が形成された基板上に、それぞれ酸発生剤及びポリヒドロキシスチレン系樹脂を含有する陽化型の化学増幅型フォトレジスト組成物をスピンコーティングした後、約90℃で90秒間乾燥し、約0.7μm厚さのフォトレジスト膜を形成した。さらに、フォトレジスト膜を露光マスクが介在された露光装置を用いて約248μmの光源で露光した。その後、約110℃で90秒間ベイキング処理をした後、約2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシ水溶液で現象処理し、フォトレジストパターンを形成した。この際、感光性有機反射防止膜は、現象溶液に溶解されフォトレジストパターンと実質的に同一の形状を有する反射防止膜パターンに形成された。
【0069】
(産業上の利用可能性)
上述したように、本発明の感光性有機反射防止膜形成用の組成物は、エポキシ基と酸発生剤によって分解が起こる酸分解型熱架橋剤と、アントラセンを含有するメタアクリレート単量体を含む共重合体と、光酸発生剤と、溶媒とを含む組成を有している。これにより、フォトレジスト現象工程の際、感光性有機反射防止膜は、フォトレジストと同時に現象することができる。
【0070】
感光性有機反射防止膜は、露光工程を実施するとき、光の反射を最小化することができ、現象液を使用したフォトレジスト膜の現象工程を実施するときフォトレジストと同時に現象され、感光性有機反射防止膜パターンに形成される。
【0071】
従って、フォトレジストパターン形成工程の後に、反射防止膜パターンを形成するために別のエッチング工程が必要でなく、フォトレジストパターンの損失を予め防止することができる。
【0072】
以上、本発明の実施例によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば本発明の思想と精神を離脱することなく、本発明を修正または変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による感光性有機反射防止膜の組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図2】本発明による感光性有機反射防止膜の組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3】本発明による感光性有機反射防止膜の組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図4】本発明による感光性有機反射防止膜の組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図5】本発明による感光性有機反射防止膜の組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0074】
100:基板、102:薄膜、104:感光性有機反射防止膜、106:フォトレジスト膜、108:フォトレジストパターン、110:マスク、112:感光性有機反射防止膜パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ基及び酸発生剤(PGA)によって分解が起こる酸分解型熱架橋剤を0.5質量%〜5質量%と、
アントラセンを含有するアクリレート単量体またはアントラセンを含有するメタアクリレート単量体を含む共重合体樹脂を10質量%〜22質量%と、
光酸発生剤0.1を質量%〜1質量%と、
その余の溶媒と、
を含むことを特徴とする感光性有機反射防止膜形成用組成物。
【請求項2】
前記酸分解型熱架橋剤は、下記構造式1で表記されることを特徴とする請求項1記載の感光性有機反射防止膜形成用組成物。
【化1】

(前記構造式1において、Rは炭素数1〜20の炭化水素鎖またはアルキル鎖である。)
【請求項3】
前記アクリレート単量体またはメタアクリレート単量体は、下記構造式2で表記されることを特徴とする請求項1記載の感光性有機反射防止膜形成用組成物。
【化2】

(前記構造式2において、R1は炭素数1〜20のアルキル鎖であり、前記R2は水素またはメチル基である。)
【請求項4】
前記アクリレート単量体は、アントラセン作用基を有するアルキルアルコールとアクリル酸とのエステル反応により生成され、前記メタアクリレート単量体は、アントラセン作用基を有するアルキルアルコールとメタアクリル酸とのエステル反応により生成されることを特徴とする請求項1記載の感光性有機反射防止膜形成用組成物。
【請求項5】
前記共重合体樹脂は、エチレン性不飽和単量体、酸分解型保護基を有するスチレン単量体及びアントラセンを含むメタアクリレート単量体を重合して形成された重合体であることを特徴とする請求項1記載の感光性有機反射防止膜形成用組成物。
【請求項6】
前記共重合体樹脂は質量平均分子量が3000〜15000であり、分子量分布の分散度が2.2〜2.6であることを特徴とする請求項1記載の感光性有機反射防止膜形成用組成物。
【請求項7】
界面活性剤をさらに含み、
前記酸分解型熱架橋剤を0.5質量%〜3質量%と、
前記共重合体樹脂を10質量%〜18質量%と、
前記光酸発生剤を0.1質量%〜0.5質量%%と、
前記界面活性剤を0.01質量%〜0.2質量%と、
その余の溶媒を含むことを特徴とする請求項1記載の感光性有機反射防止膜形成用組成物。
【請求項8】
エッチング対象膜に、エポキシ基及び酸発生剤PGAによって分解が起こる酸分解型熱架橋剤を0.5質量%〜5質量%と、アントラセンを含有するアクリレート単量体またはアントラセンを含有するメタアクリレート単量体を含む共重合体樹脂を10質量%〜22質量%と、光酸発生剤を0.1質量%〜1質量%と、その余の溶媒と、を含む感光性有機反射防止膜形成用組成物をコーティングして感光性有機反射防止膜を形成する段階と、
前記感光性有機反射防止膜上にフォトレジスト膜を形成する段階と、
露光工程を実施して前記フォトレジスト膜及び前記感光性有機反射防止膜を同時に露光する段階と、
露光が行われた結果物に現象液を用いた現象工程を実施して、感光性有機反射防止膜パターン及びフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして露出するエッチング対象膜をエッチングしてパターンを形成する段階と、
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
前記共重合体樹脂は、エチレン性不飽和単量体、酸分解型保護基を有するスチレン単量体及びアントラセンを含むメタアクリレート単量体を重合して形成された重合体であることを特徴とする請求項8記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記共重合体樹脂は、質量平均分子量が3000〜15000であり、分子量分布の分散度が2.2〜2.6であることを特徴とする請求項8記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記感光性有機反射防止膜形成用組成物は、界面活性剤をさらに含み、
前記感光性有機反射防止膜形成用素子物は、
前記酸分解型熱架橋剤0.5を質量%〜3質量%と、
前記共重合体樹脂10を質量%〜18質量%と、
前記光酸発生剤0.1を質量%〜0.5質量%と、
前記界面活性剤0.01を質量%〜0.2質量%と、
その余の溶媒と、
を含むことを特徴とする請求項8記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−140525(P2007−140525A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309035(P2006−309035)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【出願人】(505150235)財団法人ソウル大学産学協力財団 (5)
【Fターム(参考)】