説明

感光性樹脂、それを含有する感光性樹脂組成物及びカラーフィルター用着色感光性樹脂組成物

【課題】露光感度が高く、顔料分散性が良好であり、かつ着色感光性樹脂組成物とした時のアルカリ水溶液による現像性が良好である感光性樹脂を提供すること。
【解決手段】(a)グリシジル(メタ)アクリレート2〜95モル%と、(b)ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ノルボルネン等からなる群から選択される少なくとも1種3〜50モル%と、(c)前記(a)及び(b)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物2〜85モル%とをその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合物に含まれるグリシジル基の90〜100%に(d)不飽和一塩基酸を付加させ、前記(d)を付加させた時に生成した水酸基の5〜100%に(e)多塩基酸無水物を付加させ、前記(e)を付加させた時に生成したカルボキシル基の5〜70%に(f)フェニルグリシジルエーテル等の1個のグリシジル基を有しかつ感光基を有さないラジカル重合性化合物を付加させて得られる感光性樹脂である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示板製造用のブラックマトリックス、カラーフィルター、フォトスペーサー、透明保護膜や有機EL素子を用いてカラー表示の可能な有機ELディスプレーに用いるカラーフィルター、更にはインクジェットでカラーフィルターを作製する際に適用可能な感光性樹脂材料として使用することのできる感光性樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源、省エネルギーの観点から印刷、塗料、接着剤の分野において、紫外線あるいは電子線で硬化可能な放射線硬化型樹脂が広く使用されるようになっている。
プリント配線板等の電子機器分野でも部品搭載後の回路板を長期に渡って保護するためにソルダーレジストが使用されている。フォトレジスト法でプリント配線板に使用される材料としては、酸ペンダント型ノボラックエポキシアクリレートが一般的だが、銅メッキとの密着性が十分でなく、多層プリント配線板用として使用した場合には、導体回路間の十分な密着強度が得られないという課題を有する他、可とう性も劣るために割れやすいといった課題を有していた。
これらの課題を解決するために、(メタ)アクリル共重合体を用いた感光性樹脂組成物に無機フィラーを混合する方法が提案されているが(例えば、特許文献1)、酸ペンダント型ノボラックエポキシアクリレートに対して耐熱性が劣るという課題が残っていた。
【0003】
カラー液晶表示装置や固体撮像素子にはカラーフィルターが用いられているが、これらは基板上に赤(R)、緑(G)、青(B)の三色を所定のパターンで作製された着色塗膜と、それらRGBの三色のカラーフィルター間の黒色のブラックマトリックスからなる。通常、ガラス等の透明基板上にブラックマトリックスを形成し、次にR、G、Bのパターンを順次形成して製造される。
【0004】
一般的にカラーフィルターは、染色法、印刷法、顔料分散法、電着法等の製造方法がある。これらの中で、特にアルカリ可溶性樹脂、反応性希釈剤、光重合開始剤、顔料及び溶剤を主体とする光硬化性樹脂組成物を用い、透明基板上に塗布し、露光、現像、後硬化を繰り返すフォトリソグラフ工法で作製される顔料分散法は、耐光性・耐熱性等の耐久性に優れ、ピンホール等の欠陥が少ないため現在主流となっている。
顔料分散法では、上記の利点を有している反面、ブラックマトリクス、R、G、Bのパターンを繰り返し形成することから、塗膜のバインダーとなるアルカリ可溶性樹脂に高い耐熱性を要求する。
【0005】
耐熱性を向上する方法として従来から、側鎖に環状の構造を持った(メタ)アクリル酸エステルを共重合成分とする樹脂組成物(例えば、特許文献2)や、マレイミドを含む単量体を共重合成分とする樹脂組成物(例えば、特許文献3)等が提案されている。
しかし、前者の側鎖に環状の構造を持った(メタ)アクリル酸エステルを共重合成分とする樹脂組成物では、後硬化時に側鎖が熱分解され揮発性成分となることで製造ラインを汚染するという問題があった。また、後者のマレイミドを含む単量体を共重合成分とする樹脂組成物では、分子中に含まれる窒素原子を原因とした黄色から黄褐色の着色を有しており、塗膜の透明性を悪化させる。更に、加熱処理を行う後硬化時に着色が進行するという問題があった。
【0006】
本出願人は、上記の技術的課題を解決すべく、環状かつ架橋構造を有する特定のモノマーと不飽和一塩基酸等の化合物とから調製される樹脂を用いた感光性樹脂組成物を開発した(特許文献4及び5)。
しかしながら、かかる樹脂であっても、感光性樹脂としての性能が不十分な場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−190848号公報
【特許文献2】特開2004−240396号公報
【特許文献3】特開2003−029018号公報
【特許文献4】特開2008−076860号公報
【特許文献5】特開2001−089533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、カラーフィルター等に使用可能な、従来よりも更に優れた性能を有する感光性樹脂、特に露光感度が高く、顔料分散性が良好であり、かつ着色感光性樹脂組成物とした時のアルカリ水溶液による現像性が良好である感光性樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(a)グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレート及びそのラクトン付加物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのエポキシ化物並びにジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのエポキシ化物からなる群から選択される少なくとも1種2〜95モル%と、
(b)下記基
【0010】
【化1】

を有するモノ(メタ)アクリレート、下記基
【0011】
【化2】

を有するモノ(メタ)アクリレート及び下記一般式(1)
【0012】
【化3】

(式中、x及びyは、それぞれ独立して、水素原子又は直鎖もしくは分岐していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基又はカルボキシル基を示し、R及びRを結ぶ環状構造をとっていてもよい)
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種3〜50モル%と、
(c)前記(a)及び(b)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物2〜85モル%と
をその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合物に含まれるグリシジル基の90〜100%に(d)不飽和一塩基酸を付加させ、前記(d)を付加させた時に生成した水酸基の5〜100%に(e)多塩基酸無水物を付加させ、前記(e)を付加させた時に生成したカルボキシル基の5〜70%に(f)下記一般式(2)
【0013】
【化4】

(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す)
で表される化合物を付加させて得られることを特徴とする感光性樹脂。
本発明において、感光性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は6.0以下であることが好ましい。
【0014】
本発明は、上記感光性樹脂と、光重合性モノマーと、光重合開始剤と、溶剤とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
また、本発明は、上記感光性樹脂と、光重合性モノマーと、光重合開始剤と、溶剤と、顔料及び染料からなる群から選択される少なくとも1種とを含有することを特徴とするカラーフィルター用着色感光性樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カラーフィルター等に使用可能な、従来よりも更に優れた性能を有する感光性樹脂、特に露光感度が高く、顔料分散性が良好であり、かつ着色感光性樹脂組成物としたときのアルカリ水溶液による現像性が良好である感光性樹脂を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の感光性樹脂を詳細に説明する。
本発明の(A)感光性樹脂は、(a)グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレート及びそのラクトン付加物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのエポキシ化物並びにジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのエポキシ化物からなる群から選択される少なくとも1種2〜95モル%と、(b)下記基(以下、トリシクロデカン骨格という)
【0017】
【化5】

を有するモノ(メタ)アクリレート、下記基(以下、ジシクロペンタジエン骨格という)
【0018】
【化6】

を有するモノ(メタ)アクリレート及び下記一般式(1)
【0019】
【化7】

(式中、x及びyは、それぞれ独立して、水素原子又は直鎖もしくは分岐していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基又はカルボキシル基を示し、R及びRを結ぶ環状構造をとっていてもよい)
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種3〜50モル%と、(c)前記(a)及び(b)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物2〜85モル%とをその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合物に含まれるグリシジル基の90〜100%に(d)不飽和一塩基酸を付加させ、前記(d)を付加させた時に生成した水酸基の5〜100%に(e)多塩基酸無水物を付加させ、前記(e)を付加させた時に生成したカルボキシル基の5〜70%に(f)下記一般式(2)
【0020】
【化8】

(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す)
で表される化合物を付加させて得られるものである。
【0021】
本発明で用いる(a)成分は、グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレート及びそのラクトン付加物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのエポキシ化物並びにジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのエポキシ化物からなる群から選択される少なくとも1種のグリシジル基を有するラジカル重合性化合物である。脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業株式会社製サイクロマー(登録商標)A200、M100)等が挙げられる。上記した(a)は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、原料の入手容易性の点から、グリシジル(メタ)アクリレート及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0022】
本発明で用いる(b)成分は、トリシクロデカン骨格を有するモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン骨格を有するモノ(メタ)アクリレート及び一般式(1)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。トリシクロデカン骨格を有するモノ(メタ)アクリレートの具体例としては、日立化成工業株式会社製の商品名FA−513A(ジシクロペンタニルアクリレート)、商品名FA−513M(ジシクロペンタニルメタクリレート)等が挙げられる。ジシクロペンタジエン骨格を有するモノ(メタ)アクリレートの具体例としては、日立化成工業株式会社製の商品名FA−511A(ジシクロペンテニルアクリレート)、商品名FA−512A(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート)、FA−512M(ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート)等が挙げられる。一般式(1)で表される化合物の具体例としては、ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、ジシクロペンタジエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、トリシクロ[6.2.1.01,8]ウンデカ−9−エン、トリシクロ[6.2.1.01,8]ウンデカ−4−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ−3−エン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,12]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ−3−エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4−エン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]ペンタデカ−3−エン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。上記した化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、耐熱性、密着性及び現像特性の点から、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン及び5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が好ましい。
【0023】
本発明で用いる(c)成分としては、(a)及び(b)と共重合し得るエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物であれば特に限定されない。その具体例としては、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリルレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリルレート、ペンチル(メタ)リレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ロジン(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、5−メチルノルボルニル(メタ)アクリレート、5−エチルノルボルニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパギル(メタ)アクリレート、ピペロニル(メタ)アクリレート、サリチル(メタ)アクリレート、フリル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、ピラニル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート、クレジル(メタ)アクリレート、1,1,1−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロ−n−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロ−イソ−プロピル(メタ)アクリレート、トリフェニルメチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリロールモノ(メタ)アクリレート、ブタントリオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタントリオールモノ(メタ)アクリレート、ナフタレン(メタ)アクリレート、アントラセン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−イソ−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物;スチレン、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド誘導体;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。上記した化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、硬化塗膜の密着性及び耐熱性の点から、ベンジル(メタ)アクリレート、ビニルトルエン及びモノマレイミド類が好ましく、ビニルトルエンが最も好ましい。
【0024】
本発明で用いる(d)成分の具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、1個の水酸基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等)と多塩基酸無水物との反応物が挙げられる。上記した化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0025】
本発明で用いる(e)成分の具体例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。上記した化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、テトラヒドロ無水フタル酸及び無水コハク酸が好ましい。
【0026】
本発明で用いる(f)成分は、上記一般式(2)で表される化合物である。その具体例としては、o、m、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、o、m、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、o、m、p−メチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o、m、p−ノニルフェニルグリシジルエーテル、o、m、p−オクチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。上記した化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
本発明の感光性樹脂(A)を得るために、まず、(a)成分と(b)成分と(c)成分とからなる共重合物を調製する。その共重合比率は(a)成分2〜95モル%、好ましくは20〜80モル%、(b)成分3〜50モル%、好ましくは10〜45モル%、(c)成分2〜85モル%、好ましくは3〜50モル%である。(a)成分の共重合比率により、後述する(d)成分の付加量が決まる。(a)成分を2モル%以上とすることで二重結合量の低下が抑えられ、また、95モル%以下とすることで、(d)成分を付加する時の分子量増大が抑えられる。
【0028】
次いで、(a)成分と(b)成分と(c)成分とからなる共重合物に付加する(d)成分の量は、得られた共重合物に含まれるグリシジル基に対して90〜100%、好ましくは95〜100%である。(d)成分の付加量が90%未満では残存するグリシジル基の影響により、(d)成分付加時に高分子量化やゲル化を生じやすく、また100%を超えると未反応の(d)成分が多くなり、ポストベーク時のアウトガスの原因となり好ましくない。
【0029】
また、(e)成分の付加量は、(d)成分を付加させた時に生成した水酸基に対して5〜100%、好ましくは10〜90%、最も好ましくは15〜80%である。また、(f)成分の付加量は、(e)成分の付加させた時に生成したカルボキシル基に対して5〜70%、好ましくは10〜50%、最も好ましくは15〜40%である。(e)成分及び(f)成分の付加量を上記範囲とすることにより、感光性樹脂(A)の酸価(JIS K6901)を好ましい範囲である20〜180KOHmg/gにコントロールすることができる。なお、本発明における感光性樹脂(A)の酸価は、感光性樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数であり、JIS K6901:1999、5.3の酸価に記載の方法に従って測定されるものである。
【0030】
本発明の感光性樹脂(A)の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で3,000〜50,000であり、好ましくは5,000〜30,000である。重量平均分子量が3,000以上であれば耐熱性の低下を防止することができ、また重量平均分子量が50,000以下であれば現像性の低下を防止することができる。更に、本発明の感光性樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)を、好ましくは1.0〜6.0、最も好ましくは1.0〜5.5の範囲とすることにより、現像速度及びパターンの直線性を向上させることができると共に、現像残渣が極めて残り難くなるという効果を奏する。
【0031】
なお、本発明における感光性樹脂(A)の分子量の値は、ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記条件にて測定し、ポリスチレン換算にて算出されるものである。GPCの立ち上がり時間から21分までを計算範囲として、重量平均分子量及び分子量分布を計算する。
カラム:ショーデックス LF−804+LF−804
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折計(ショーデックス RI−101)
流速:1mL/min
【0032】
感光性樹脂(A)を得るためのラジカル共重合反応は特に制限されず、従来から行われている通常のラジカル重合法を適用することができる。
例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAcと略記することがある)のようなグリコールエーテル系の溶剤、トルエンやキシレンのような炭化水素系や酢酸エチルのような官能基を有していない有機溶剤中に、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を所望の比率で溶解し、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートのような重合開始剤を混合して還流状態で50〜130℃程度で、1〜20時間程度重合させることにより、(a)成分と(b)成分と(c)成分とからなる共重合物の有機溶剤溶液が得られる。重合開始剤の使用量は(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計量100質量部に対して、通常、0.5〜20質量部程度、好ましくは、1.0〜15質量部である。
有機溶剤を使用せずに(a)成分、(b)成分及び(c)成分と重合開始剤だけで塊状重合を行ってもよい。
【0033】
有機溶剤の使用量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計量100質量部に対して、通常、30〜1,000質量部程度、好ましくは50〜800質量部である。有機溶剤の使用量を30質量部以上とすることにより、異常な重合反応を防ぎ、安定した重合反応を進行させることができ、樹脂が着色したりゲル化するのを防ぐことができる。一方、有機溶剤の使用量を1000質量部以下とすることにより、連鎖移動作用により共重合物の分子量が低下するのを防ぎ、かつ最終的に得られる感光性樹脂の固形分濃度を適切な範囲にコントロールすることができる。
本発明の感光性樹脂は、後述する光重合性モノマー、光重合開始剤や溶剤を混合した感光性樹脂組成物とし、主にレジスト等の電子材料として用いられる。そのため、感光性樹脂(A)を上記のようなラジカル共重合で製造する際、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエステル系の溶剤が好ましく用いられる。
【0034】
以上のようにして得られた感光性樹脂(A)に、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)及び溶剤(D)を添加することにより、感光性樹脂組成物が得られる。また、この感光性樹脂組成物に、顔料及び染料からなる群から選択される少なくとも1種を添加することにより、カラーフィルター用の着色感光性樹脂組成物とすることもできる。
【0035】
本発明で使用できる光重合性モノマー(B)としては、感光性樹脂と反応可能なものであれば特に制限はされない。その具体例として、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のポリカルボン酸モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;トリアリルシアヌレート等が挙げられる。上記した化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合性モノマー(B)の添加量は、感光性樹脂100質量部に対して、通常、10〜200質量部、好ましくは20〜150質量部である。上記範囲にすることにより、光硬化性を適正な範囲に保つことができ、また、粘度を調整することもできる。
【0036】
本発明の感光性樹脂組成物を紫外線等の活性エネルギー線を用いて光硬化させる場合、感光性樹脂組成物に光重合開始剤(C)を添加する。光重合開始剤(C)の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノンー1;アシルホスフィンオキサイド類及びキサントン類等が挙げられる。上記した化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤(C)の添加量は、感光性樹脂組成物中の固形分100質量部に対して、通常、0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部、最も好ましくは1〜10質量部である。上記範囲にすることにより、光硬化性を適正な範囲に保つことができる。
【0037】
本発明で使用できる溶剤(D)としては、感光性樹脂(A)及び光重合性モノマー(B)と反応しない不活性な溶剤であれば制限なく使用することができる。その具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート等が挙げられる。上記した化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、ラジカル重合反応において好ましく使用されるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
溶剤(D)の添加量は、感光性樹脂(A)100質量部に対して、通常、30〜1000質量部、好ましくは50〜800質量部である。上記範囲とすることにより、粘度を適度に保つことができる。
【0038】
顔料(E)の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214等の黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等の橙色顔料;C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265等の赤色顔料;C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等の青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、36等の緑色顔料;C.I.ピグメントブラウン23、25等の茶色顔料;C.I.ピグメントブラック1、7、カーボンブラック、チタンブラック、酸化鉄等の黒色顔料等が挙げられる。これらの顔料は、目的とする画素の色に応じてそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
また、顔料の分散性を向上させるために、着色感光性樹脂組成物に公知の分散剤を添加してもよい。分散剤としては、経時の分散安定性に優れるという点から、高分子分散剤が好ましい。高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性エステル系分散剤等を挙げることができる。このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成株式会社製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)等が挙げられる。
【0039】
染料(F)としては、有機溶剤やアルカリ現像液に対する溶解性、感光性樹脂組成物中の他の成分との相互作用、耐熱性等からカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料、酸性染料の窒素化合物との塩、酸性染料のスルホンアミド体等が使用される。使用できる染料の具体例としては、acid alizarin violet N;acid black1,2,24,48;acid blue1,7,9,25,29,40,45,62,70,74,80,83,90,92,112,113,120,129,147;acid chrome violet K;acid Fuchsin;acid green1,3,5,25,27,50;acid orange6,7,8,10,12,50,51,52,56,63,74,95;acid red1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,69,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,145,150,151,158,176,183,198,211,215,216,217,249,252,257,260,266,274;acid violet 6B,7,9,17,19;acid yellow1,3,9,11,17,23,25,29,34,36,42,54,72,73,76,79,98,99,111,112,114,116; food yellow3及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの中でも、アゾ系、キサンテン系、アンスラキノン系もしくはフタロシアニン系の酸性染料が好ましい。これらの染料は、目的とする画素の色に応じてそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0040】
更に、本発明の感光性樹脂組成物又はカラーフィルター用着色感光性樹脂組成物には、必要に応じて、公知の消泡剤、カップリング剤、レベリング剤等を添加することができる。
【0041】
本発明の感光性樹脂組成物又はカラーフィルター用着色感光性樹脂組成物は、例えば、プリント配線基板上に、スクリーン印刷法、ロールコーター法、カーテンコーター法、スプレーコーター法、スピンコート法等で塗布され、必要部分を光硬化させた後、その未硬化(未露光)部分をアルカリ水溶液で洗い流すことにより現像が行われる。
【0042】
現像に使用されるアルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム等の水溶液、アミン系では、アミノフェノール系化合物も有用であるが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用され、その代表例として3−メチル−4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メトキシエチルアニリン及びこれらの硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩の水溶液が挙げられる。
【0043】
光照射して塗布面を硬化させる際に用いられる光源としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタハライドランプ等が用いられる。
【0044】
本発明の感光性樹脂組成物及びカラーフィルター用着色感光性樹脂組成物は、露光感度が高く、かつアルカリ水溶液による現像性が良好であると共に、現像後の硬化塗膜は、電気特性、機械特性、耐熱性、耐薬品性等に優れるので、プリント配線基板製造用ソルダーレジスト、無電解メッキレジスト、ビルドアップ法プリント配線基板の絶縁層あるいは広範囲の印刷版、液晶表示材料用、プラズマディスプレイ用、有機ELディスプレイ用の感光性材料として極めて有用である。
【0045】
更に、本発明の感光性樹脂組成物又はカラーフィルター用着色感光性樹脂組成物に、公知のエポキシ樹脂、硬化促進剤を配合することにより、熱硬化も可能となるので、熱硬化性のインクジェット法にも適用可能である。
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
(合成例1)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート323.5質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成工業株式会社製FA−513M)6.6質量部、2−エチルヘキシルアクリレート77.3質量部及びグリシジルメタクリレート78.1質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製パーブチル(登録商標)O)19.4質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸38.4質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、無水コハク酸24.0質量部を添加し、115℃で2時間反応させ、更にフェニルグリシジルエーテル15.0質量部を添加し、120℃で1時間反応させることにより、固形分酸価45.1KOHmg/g、樹脂固形分38.0質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0048】
(合成例2)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート349.3質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成工業株式会社製FA−513M)66.0質量部、ビニルトルエン11.8質量部及びグリシジルメタクリレート85.2質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製パーブチル(登録商標)O)19.6質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸41.9質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、無水コハク酸40.0質量部を添加し、115℃で2時間反応させ、更にフェニルグリシジルエーテル15.0質量部を添加し、120℃で1時間反応させることにより、固形分酸価65.1KOHmg/g、樹脂固形分38.1質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0049】
(合成例3)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート359.1質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成工業株式会社製FA−513M)6.6質量部、n−ブチルアクリレート25.6質量部、グリシジルメタクリレート109.3質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製パーブチル(登録商標)O)17.0質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸53.8質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、無水コハク酸60.0質量部を添加し、115℃で2時間反応させ、更にフェニルグリシジルエーテル15.0質量部を添加し、120℃で1時間反応させることにより、固形分酸価101.1KOHmg/g、樹脂固形分38.5質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0050】
(合成例4)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート359.1質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し90℃に昇温した。次に、ノルボルネン2.8質量部、2−エチルヘキシルアクリレート77.3質量部及びグリシジルメタクリレート78.1質量部からなるモノマー混合物にアゾビスイソブチロニトリル19.0質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸38.4質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸45.6質量部を添加し、115℃で2時間反応させ、更にフェニルグリシジルエーテル15.0質量部を添加し、120℃で1時間反応させることにより、固形分酸価40.5KOHmg/g、樹脂固形分38.5質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0051】
(合成例5)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート324.3質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し90℃に昇温した。次に、ノルボルネン9.4質量部、ビニルトルエン35.4質量部及びグリシジルメタクリレート85.2質量部からなるモノマー混合物にアゾビスイソブチロニトリル32.5質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸41.9質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、無水コハク酸40.0質量部を添加し、115℃で2時間反応させ、更にフェニルグリシジルエーテル15.0質量部を添加し、120℃で1時間反応させることにより、固形分酸価70.4KOHmg/g、樹脂固形分38.4質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0052】
(合成例6)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート382.1質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し90℃に昇温した。次に、ノルボルネン6.6質量部、n−ブチルアクリレート25.6質量部及びグリシジルメタクリレート109.3質量部からなるモノマー混合物にアゾビスイソブチロニトリル32.4質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸53.4質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、無水コハク酸60.0質量部を添加し、115℃で2時間反応させ、更にフェニルグリシジルエーテル15.0質量部を添加し、120℃で1時間反応させることにより、固形分酸価95.0KOHmg/g、樹脂固形分38.6質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0053】
(合成例7)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート370.9質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し90℃に昇温した。次に、ノルボルネン6.6質量部、n−ブチルアクリレート25.6質量部及びグリシジルメタクリレート109.3質量部からなるモノマー混合物にアゾビスイソブチロニトリル32.4質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸53.4質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、無水コハク酸60.0質量部を添加し、115℃で2時間反応させ、更にフェニルグリシジルエーテル6.0質量部を添加し、120℃で1時間反応させることにより、固形分酸価110.0KOHmg/g、樹脂固形分38.0質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0054】
(比較合成例1)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート296.7質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成工業株式会社製FA−513M)6.6質量部、2−エチルヘキシルアクリレート77.3質量部及びグリシジルメタクリレート78.1質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製パーブチル(登録商標)O)13.0質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸38.4質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、無水コハク酸24.0質量部を添加し、115℃で2時間反応させることにより、固形分酸価61.1KOHmg/g、樹脂固形分37.9質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0055】
(比較合成例2)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート386.8質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成工業株式会社製FA−513M)66.0質量部、ビニルトルエン11.8質量部及びグリシジルメタクリレート85.2質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製パーブチル(登録商標)O)19.6質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸41.9質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、無水コハク酸40.0質量部を添加し、115℃で2時間反応させ、更にフェニルグリシジルエーテル45.0質量部を添加し、120℃で1時間反応させることにより、固形分酸価21.6KOHmg/g、樹脂固形分39.1質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0056】
(比較合成例3)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート363.9質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し90℃に昇温した。次に、2−エチルヘキシルアクリレート77.3質量部及びグリシジルメタクリレート82.4質量部からなるモノマー混合物にアゾビスイソブチロニトリル30.3質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸40.5質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸45.6質量部を添加し、115℃で2時間反応させ、更にフェニルグリシジルエーテル15.0質量部を添加し、120℃で1時間反応させることにより、固形分酸価55.8KOHmg/g、樹脂固形分38.5質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0057】
(比較合成例4)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート340.3質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し90℃に昇温した。次に、ノルボルネン2.8質量部、2−エチルヘキシルアクリレート77.3質量部及びグリシジルメタクリレート78.1質量部からなるモノマー混合物にアゾビスイソブチロニトリル30.0質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、更に120℃で2時間攪拌し、共重合物の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸38.4質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部及びメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合物の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸45.6質量部を添加し、115℃で2時間反応させることにより、固形分酸価66.6KOHmg/g、樹脂固形分37.8質量%の感光性樹脂溶液を得た。使用したモノマーの配合割合、得られた感光性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
[実施例1〜14及び比較例1〜8]
合成例1〜7及び比較合成例1〜4から得られた樹脂を用いて、下記に示す各成分を配合し、各種の光硬化型樹脂組成物(透明レジスト及びカラーレジスト)を得た。
【0060】
<透明レジスト硬化塗膜の作製>
各感光性樹脂の溶液の固形分100重量部に、ペンタエリスリトールテトラアクリレート30重量部、光重合開始剤としての2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン4重量部を添加して調製した樹脂組成物を、アプリケーターでガラス基板上に湿潤時の厚み10μmで塗布し、100℃の温風乾燥器中で低沸点物を揮発させた後、オーク製作所株式会社製超高圧水銀灯を用い、必要に応じてマスクを通して50mJ/cmで露光し、厚み2μmの硬化塗膜を得た後、アルカリ現像を行った。
【0061】
(1)密着性の評価
硬化塗膜をJIS K5400に準じて碁盤目試験を行い、100個の碁盤目の剥離状態を目視観察して以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
○:剥離が全く認められないもの。
△:全体の10%未満に剥離が認められるもの。
×:全体の10%以上に剥離が認められるもの。
【0062】
【表2】

【0063】
<カラーレジスト(顔料タイプ)の調製>
(緑色顔料分散液の調製)
直径0.5mmのジルコニアビーズ180質量部が充填されたSUS容器に、C.Iピグメントグリーン36を10.00質量部、溶剤(PGMAc)を33.75質量部、分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk−161)を6.25質量部投入し、ペイントシェーカーで3時間分散させて、緑色顔料分散液を得た。
【0064】
上記で得られた緑色顔料分散液を用いて、下記表3に示す配合割合でカラーレジスト(顔料タイプ)を調製した。
【0065】
【表3】

【0066】
<カラーレジスト(染料タイプ)の調製>
染料「Acid Green3」を用いて、下記表4に示す配合割合でカラーレジスト(染料タイプ)を調製した。
【0067】
【表4】

【0068】
<カラーレジスト硬化塗膜の作製>
5cm角ガラス基板(無アルカリガラス)上に乾燥時膜厚2.2μmとなるようにカラーレジストをスピンコートし、80℃で3分プリベーク後、塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置して150mJ/cm2で露光した。次いで、0.1質量%炭酸ナトリウム水溶液で0.3MPaの水圧でスプレー現像を行った後、230℃で30分ポストベークを行い、カラーレジスト硬化塗膜を得た。
【0069】
(2)アルカリ現像性の評価
マスクを通して露光した硬化塗膜を23℃で0.1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像し、パターンが完全に見えたときの時間及び現像後の残渣の有無を目視にて評価した。結果を表5及び6に示す。
【0070】
(3)現像形態
ネガ型のレジストの現像工程においては、レジスト層の硬化していない未露光部分がアルカリ現像液により溶解し基板上から離脱していくが、その現像形態としては、離脱していく部分が主に大きな塊となって剥がれる剥離型と、染料が水に溶けていくように徐々に溶解、拡散する溶解型とがある。前者の剥離型は固液分の塊が異物となって系内に残留し、他の色の画素を汚染しやすいので好まれない現像形態であり、後者の溶解型が望まれる現像形態である。結果を表5及び6に示す。
×:剥離型
○:溶解型
【0071】
(4)感度の評価
マスクを通して露光した硬化塗膜を23℃で0.1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像を30秒間行い、アルカリ現像前後の膜減り量を測定した。膜減り量が少ないほど感度が良好として評価した。結果を表5及び6に示す。
○:0.20μm未満
×:0.20μm以上
【0072】
(5)耐溶剤性の評価
カラーレジスト硬化塗膜作製において、フォトマスクを使用せずに全面露光すること以外は(7)感度の評価と同様にして硬化塗膜を作製した。次いで、蓋のできる容量500mlのガラス瓶にn−メチル2−ピロリドンを200ml入れ、その中に硬化塗膜を浸漬し23℃で60分後の色変化を色差計にて比較した。結果を表5及び6に示す。
○:ΔE*abが0.3未満
×:ΔE*abが0.3以上
【0073】
(6)粘度変化率
顔料分散安定性の目安として、カラーレジスト(顔料タイプ)の粘度変化を測定した。顔料分散安定性が悪い場合、粘度の上昇があり好ましくない。以下、具体的に説明する。
光重合開始剤1及び光重合開始剤2を除いたカラーレジスト(顔料タイプ)を調製した直後、及び23℃の恒温槽に7日間静置した後の粘度を測定(東機産業株式会社製E型粘度計、ローター1°34’×R24、23℃、20rpm)した。顔料分散安定性が良好である目安として、7日後の粘度変化が初期粘度に対して10%以下、好ましくは5%以下である。結果を表5に示す。
○:5%以下
△:5%より大きく10%以下
×:10%より大きい
【0074】
なお、透明レジストは(1)の項目、顔料を使用したカラーレジストは(2)〜(6)の項目、染料を使用したカラーレジストは(2)〜(5)の項目を評価した。
【0075】
【表5】

【0076】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレート及びそのラクトン付加物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのエポキシ化物並びにジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのエポキシ化物からなる群から選択される少なくとも1種2〜95モル%と、
(b)下記基
【化1】

を有するモノ(メタ)アクリレート、下記基
【化2】

を有するモノ(メタ)アクリレート及び下記一般式(1)
【化3】

(式中、x及びyは、それぞれ独立して、水素原子又は直鎖もしくは分岐していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基又はカルボキシル基を示し、R及びRを結ぶ環状構造をとっていてもよい)
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種3〜50モル%と、
(c)前記(a)及び(b)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物2〜85モル%と
をその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合物に含まれるグリシジル基の90〜100%に(d)不飽和一塩基酸を付加させ、前記(d)を付加させた時に生成した水酸基の5〜100%に(e)多塩基酸無水物を付加させ、前記(e)を付加させた時に生成したカルボキシル基の5〜70%に(f)下記一般式(2)
【化4】

(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す)
で表される化合物を付加させて得られることを特徴とする感光性樹脂。
【請求項2】
前記感光性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が6.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の感光性樹脂と、光重合性モノマーと、光重合開始剤と、溶剤とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の感光性樹脂と、光重合性モノマーと、光重合開始剤と、溶剤と、顔料及び染料からなる群から選択される少なくとも1種とを含有することを特徴とするカラーフィルター用着色感光性樹脂組成物。

【公開番号】特開2011−236362(P2011−236362A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110316(P2010−110316)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】