説明

感光性樹脂積層体の製造方法及びそれからなる感光性樹脂印刷原版

【課題】
高品質な感光性樹脂版材を得るために優れた厚み精度を有し、且つ気泡を含有しない高品質の感光性樹脂印刷原版を提供すること。
【解決手段】
(1)少なくとも支持体、感光性樹脂層、カバーフィルムを有する感光性樹脂積層体を80℃〜140℃の間で成形する製造方法において、感光性樹脂組成物の樹脂粘度が110℃において300〜700mPa・s以下であり、且つ110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度増加率が15%以下であることを特徴とする感光性樹脂積層体の製造方法。(2)感光性樹脂積層体の成形方法が、カレンダー加工又は熱プレスであることを特徴とする(1)の感光性樹脂積層体。(3)(1)または(2)の感光性樹脂積層体から得られる感光性樹脂印刷版材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂積層体の製造方法およびそれからなる感光性樹脂印刷原版に関するものであり、特に感光性樹脂凸版印刷版材として使用する感光性樹脂積層体の製造方法および感光性樹脂印刷原版に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属またはプラスチック基材上に光重合性の感光性樹脂層を設けた構造を持つ凸版、平版および凹版印刷用の感光性樹脂版材はさまざまな印刷分野で使用されている。これらの版材は、透明部分を持つネガティブまたはポジティブの原図フィルムを感光性樹脂層に密着させた後に、活性光線を照射して原図フィルムの透明部分に対応する感光性樹脂層に光重合を起こし、ついで未重合部分を適当な溶剤で溶出することによって基材上にレリーフ像を形成するものである。光重合反応を利用した感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂積層体は印刷版をはじめとして各種の用途に用いられている。
【0003】
最近、上記の印刷版を得るための感光性樹脂積層体に対する要求性能はより厳しくなり、15μ以内の高い厚み精度や気泡・異物の等欠点が混入していない高品質の感光性樹脂積層体が求められてきた。特に、高品位が要求されるカラー写真印刷においては、厚み精度の不良は網点の色ムラとなって現れ、又気泡が混入した場合には網点の欠損となるために画像再現性が大幅に低下する問題点があった。
【0004】
上記感光性樹脂積層体の製造方法としては、公知の方法が可能である。例えば、感光性樹脂溶液から減圧乾燥・熱プレス方法で得た感光性樹脂シートを支持体上の接着層とカバーフィルムとの間にラミネートする方法(非特許文献1)、支持体の接着層上に流延した感光性樹脂溶液を乾燥炉で溶剤を除去した後にカバーフィルムと加熱下にカレンダー加工する方法(特許文献1)、感光性樹脂溶液から大部分の溶剤を留出した感光性樹脂を加熱下にカバーフィルムと支持体の間に押出してカレンダー加工して感光性樹脂積層体を製造する方法、二軸押出し機中で加熱均一混合されてダイで押出された感光性樹脂組成物を支持体の接着層とカバーフィルムとの間でカレンダー加工する方法(特許文献2)、混合した感光性樹脂組成物を支持体フィルムとカバーフィルムの間でサンドイッチして熱プレスする方法(特許文献3)などがあげられる。
【0005】
しかしながら、上記の感光性樹脂積層体の製造方法では、110℃における樹脂粘度を300〜700Pa・sに設計し、且つ樹脂温度の変動を5℃以内に管理することが可能であれば、高い厚み精度で気泡混入のない感光性樹脂積層体を得ることは可能である。しかしながら、現実の製造工程では厚さ約1000μの感光性樹脂積層体を1メートル以上の成形幅で生産するために全幅方向に対して感光性樹脂の温度変動を5℃以下にコントロールすることは高額な投資が必要であり、現実的ではない。したがって、大規模な設備投資を必要としない、温度に対して樹脂粘度変化率の小さい感光性樹脂組成物が求められていた。
一方、もう一つの課題である気泡混入については、その原因が部分的に感光性樹脂の温度が低下した場合に急激な樹脂粘度が上昇によって、感光性樹脂層に気泡を巻き込むためであり、気泡混入防止の面からも温度に対する樹脂粘度変化率の小さい感光性樹脂組成物が求められていた。
【特許文献1】特開平7−84370
【特許文献2】特開2004−302447
【特許文献3】特開2002−162731
【非特許文献1】感光性樹脂、118頁、印刷学会出版部 1980年3月発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、高品質な感光性樹脂印刷版材を得るために優れた厚み精度を有し、且つ気泡を混入しない高品質の感光性樹脂印刷原版を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(1)少なくとも支持体、感光性樹脂層、カバーフィルムを有する感光性樹脂積層体を80℃〜140℃の間で成型する製造方法において、感光性樹脂組成物の樹脂粘度110℃において300〜700Pa・sあり、且つ110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が15%以下であることを特徴とする感光性樹脂積層体の製造方法(2)感光性樹脂積層体が、カレンダー加工、又は熱プレスで製造することを特徴とする(1)の感光性樹脂積層体(3)(1)または(2)の感光性樹脂積層体から得られる感光性樹脂印刷原版である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の感光性樹脂積層体を用いることにより、厚み精度に優れ、且つ気泡による画像の欠損もないために高品位の印刷性を有する印刷版が得られ、高再現性を要求されるカラー印刷の分野にも使用することが可能となるので、産業界に寄与すること大である。
【0009】
本発明により、高い厚み精度を有し、且つ気泡を含有しない高品質の感光性樹脂積層体を得ることができる。その感光性樹脂積層体を用いて得られる感光性樹脂版材は、厚み精度に優れ、且つ気泡による画像の欠損もないために高品位の印刷性が得られる。つまり、高再現性を要求されるカラー印刷の分野にも使用することが可能となる。しかも、本発明の感光性樹脂積層体の製造は、感光性樹脂の温度変化に対して樹脂粘度変化率が小さいために樹脂温度を制御するための設備投資が少なくて済むという利点も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳述する。
本発明の感光性樹脂は、熱溶融可能な親水性高分子化合物からなる感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。本発明の熱溶融可能な親水性高分子化合物とは、水に溶解および/または分散する高分子化合物をいい、たとえばフィルム状に成形したポリマを水または温水に浸漬し、ブラシ等で擦った時に高分子化合物が全量、又は一部溶解することにより、あるいは高分子化合物が水に膨潤分散するものをいう。
【0011】
このような親水性高分子化合物としては、ポリアミド、ポリエーテルウレア・ウレタン、鹸化率が40%〜60%の部分鹸化ポリ酢酸ビニルなどが挙げられ、熱溶融性の面から親水性ポリアミド及ポリウレア・ウレタンが好ましい。
【0012】
本発明に使用する熱溶融可能な親水性高分子化合物からなる感光性樹脂組成物は、公知の感光性樹脂組成物の使用が可能である。例えば、側鎖にスルホン酸基またはスルホネート基を有するポリアミドを可溶性高分子化合物とする感光性樹脂組成物(特許文献1)、ポリエチレングリコールセグメントを含有する共重合ポリアミドを可溶性高分子化合物とする感光性樹脂組成物(特許文献2)、ポリエチレングリコールセグメントを含有する共重合ポリエステルアミドを可溶性高分子化合物とする感光性樹脂組成物(特許文献3)、塩基性窒素原子を有するポリアミドを可溶性高分子化合物とする感光性樹脂組成物(特許文献4)、塩基性窒素原子を含有するポリエーテルウレア・ウレタンを可溶性高分子化合物とする感光性樹脂組成物(特許文献5)、鹸化率50%以下の低部分鹸化ポリ酢酸ビニルを可溶性高分子化合物とする感光性樹脂組成物(特許文献6)などが挙げられる。またピペラジン骨格を有する親水性高分子化合物においては、この窒素原子をメタクリル酸等で四級化したものが好ましい。
【特許文献1】特開昭48−72250号公報
【特許文献2】特開昭55−74537号公報
【特許文献3】特開昭58−117537号公報
【特許文献4】特開昭50−7605号公報
【特許文献5】特開平04−097154号公報
【特許文献6】特開2002−055337号公報
【0013】
本発明の感光性樹脂組成物の110℃における樹脂粘度が300〜700Pa・sであり、且つ110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が15%以下にする方法としては、まず感光性樹脂組成物の温度に対する樹脂粘度変化率を最適化した上で、110℃における樹脂粘度をさらに最適化する方法などが挙げられる。
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物の110℃における樹脂粘度は、シート成形時の感光性樹脂積層体の厚み精度を向上させるために300〜700Pa・sであることが好ましく、さらに好ましくは400〜700Pa・sである。感光性樹脂組成物の110℃における樹脂粘度が300Pa・s未満では、成形シート端部の厚み低下が大きいために好ましくなく、一方、樹脂粘度が700Pa・sを超えると流動性低下のために中央部の厚みが厚くなり、厚み精度が低下する。
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物の110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率は、カレンダーロール又は熱プレス内での温度変動が大きい場合でも樹脂粘度の変化を小さくするために15%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。感光性樹脂組成物の110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が15%を超えると成形時の幅方向での樹脂粘度の差が大きくなるために厚み変動が大きくなるので好ましくない。又、成形時の幅方向内で樹脂粘度差が大きくなることで溶融した感光性樹脂の流れにムラが発生し、気泡混入が起こりやすくなるために好ましくない。
【0016】
感光性樹脂組成物の温度に対する樹脂粘度変化率を最適化方法としては、可溶性高分子中の結晶性を最適化する方法を取れば良い。具体的には結晶性を乱す嵩高い構造の成分を共重合する方法や第三成分を共重合する方法などが挙げられる。
【0017】
結晶性を最適化する方法としては、親水性ポリアミドの場合には嵩高い構造を有するジアミンやジカルボン酸を構成成分として用いれば良い。嵩高い構造を有するジアミンとしては、1,3 −或は1,4 −ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3 −或は1,4 −アミノシクロヘキサン、ビス(4,4'−アミノシクロヘキシル)メタン、メタ或はパラキシリレンジアミン、メタ或はパラキシフェニレンジアミン、ビス(4,4'−アミノシクロへキシル)メタンなどが挙げられるが、好ましくは1,3 −ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4,4'−アミノシクロへキシル)メタンである。嵩高いジカルボン酸としては、環構造を有するジアミンであれば良く、具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。それらの中で、1,3 −ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4,4'−アミノシクロへキシル)メタン、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を使用するのが好ましい。
【0018】
嵩高い構造を有するジアミン又はジカルボン酸から成る構成成分の含有率は、結晶性を乱す効果が得られれば良く、好ましくは5重量%〜30重量%、さらに好ましくは7重量%〜20重量%である。
【0019】
ポリエーテルウレア・ウレタンにおいて結晶性を最適化する方法としては、分岐した構造や嵩高い構造のジアミンを構成成分として用いれば良い。具体的な分岐構造を有するジアミンとしては、2−メチルペンタメチレンジアミン、2−メチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4− 或は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。一方、嵩高い構造を有するジアミンとしては、1,3 −或は1,4 −ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3 −或は1,4−アミノシクロヘキサン、ビス(4,4'−アミノシクロヘキシル)メタン、メタ或はパラキシリレンジアミン、メタ或はパラキシフェニレンジアミン、ビス(4,4'−アミノフェニル)メタンなどが挙げられる。それらの中で、好ましいジアミンとしては2−メチルペンタメチレンジアミン、1,3 −ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4,4'−アミノシクロヘキシル)メタンである。
【0020】
本発明において、110℃における樹脂粘度を最適な粘度にする方法としては、主要成分である可溶性高分子化合物の重合度を最適化する方法や使用する光重合性化合物を粘度より選定する方法などが考えられるが、その中でも可溶性高分子化合物の重合度を最適化する方法が好ましい。可溶性高分子化合物の重合度を最適化する方法としては、公知の方法より製造でき、例えば親水性ナイロンであれば一官能のアミン又はカルボン酸を末端封鎖として添加する方法やジアミン成分又はジカルボン酸成分を当モルよりも過剰にすることによって重合度をコントロールすることが可能である。又、ポリエーテルエステルアミドの場合には、ジアミン、ジカルボン酸又はポリエーテルを当モルよりも過剰にすることで重合度をコントロールできる。一方、ポリエーテルウレア・ウレタンの場合にもジイソシアネート化合物と反応させるジアミン量を当モルよりも過剰にすることで同様に重合度をコントロールすることが可能である。
【0021】
本発明の親水性高分子化合物は、公知の製造方法で製造することができる。例えば、親水性ポリアミドの場合は通常の溶融重縮合方法でポリマー合成することが可能であり、又、ポリエーテルウレア・ウレタンは有機用溶剤中で攪拌下にジアミンの溶液に有機ジイソシアネート化合物を添加して反応させる方法で製造することが可能である。一方、ポリエーテルエステルアミドの場合には2段階重合方法で重合すればよく、一段目ではアミド化反応を行い、その後に減圧下で重合することで重合反応を進めることが可能である。
【0022】
本発明の感光性樹脂積層体は、公知のシート成形方式によって製造することが可能である。具体的な成形方式としては、カレンダー加工、又は熱プレスで製造することができるが、その中でもカレンダー処理による成形方式が連続生産可能で厚い感光性樹脂積層体の製造も可能であることから好ましい。カレンダー加工による製造方法では、溶融状態で吐出した感光性樹脂組成物をカバーフィルムとベースフィルム供給した二本のロール間に供給し、カレンダー加工することで感光性樹脂積層体を製造することができる。
【0023】
本発明は、感光層上にカバーフィルムを積層する。当該カバーフィルムには、フィルム状のプラスチック、例えば、厚さ125μmのポリエステルフィルムに、粘着性のない透明で現像液に分散または溶解可能な高分子の厚さ1〜3μmの被膜が形成されたものが用いられる。この薄い被膜を有するフィルムを、当該被膜が感光層上に接するように、感光性樹脂原版に積層することによって、感光層の表面粘着性が強い場合であっても、露光操作前に、当該プラスチックフィルムを感光性樹脂原版から容易に剥離することができる。
【0024】
本発明に用いる支持体としては、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属板、金属蒸着したフィルムなどが挙げられる。支持体の厚みは感光樹脂層厚みが300μ未満にならない限り、用途に応じて適宜に選ぶことができる。
【0025】
本発明は必要により支持体と感光性樹脂層との間に接着層を設けてもよい。接着層に使用する接着剤としては、公知の接着剤を使用することが可能である。具体的には可溶なポリエステルを多価イソシアネートで硬化させたポリエステルウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤などがあげられる。その中でもポリエステルウレタン系接着剤は感光性樹脂との接着に優れるために好ましく、ポリエステルウレタン系接着剤の中でも特にポリエステルとイソシアヌレート型多価イソシアネートからなる接着剤がより望ましい。
接着層組成物には、他の少量成分を添加することができる。添加物としては、可塑剤、染料、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、界面活性剤、光重合性ビニルモノマーなどがあげられる。
【実施例】
【0026】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。なお実施例における評価は以下の方法により測定した値である。
【0027】
(1)感光性樹脂粘度:感光性樹脂粘度の測定は、B型粘度計(東機産業株式会社製 BH型粘度計)で測定した。測定する感光性樹脂組成物は大部分の溶剤を除去した溶融状態の感光性樹脂組成物をフラスコ状のガラス容器に取り、デジタル温度計で樹脂温度を測定しながら粘度を測定する。フラスコ状のガラス容器に入れた感光性樹脂はマントルヒーターで加熱下に設定温度を上下し、目的とした温度での樹脂粘度を測定した。
(2)厚み測定: 感光性樹脂を溶融状態で積層した感光性樹脂積層体を24時間放置して固形化させた後に感光性樹脂積層体の成型幅方向の厚みを測定した。厚み測定はダイヤルゲージ(株式会社テクロック製 TM−1201)を使ってn=5で測定し、その平均値を測定値とした。
(3)気泡混入有無判定方法:感光性樹脂積層体を成形した後に24時間放置して固形化し、その感光性樹脂積層体をライトテーブルに乗せて目視判定で気泡有無を確認する。
(4)画像再現性評価:感光層厚みが685μの感光性樹脂凸版原版に、画像として網点200線−1%〜95%、最小独立点直径50μm〜600μm、最小独立線幅が10μm〜150μm、600μ〜100μ幅の白抜けスリット、ベタ画像、スラップガイドを含む検査ネガを用い、200μmスリット幅の白抜け深度が少なくとも30μm以上となる最大露光時間を最適露光時間として、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW-A2-PD型)で30℃の水道水を現像液にして行い、レリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した。画像再現性の評価は10倍のルーペを使い、肉眼で判定した。
【0028】
実施例1
ε−カプロラクタム50.0部、N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンアジペート40.部、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンアジペート10.0部、水100部を反応器に加え、充分な窒素置換を行った後に、密閉して徐々に加熱し、内圧が10kg/cm2 に達した時点から反応器内の水を徐々に留出させて約1時間で常圧に戻し、その後1.0時間常圧で反応させた。得られた重合体は融点137℃、比粘度1.96の嵩高いジアミン成分を有する3元共重合のポリアミド−1を得た。
【0029】
ポリアミド−1を55.0部、N−メチルトルエンスルホン酸アミドを7.7部、1,4−ナフトキノンを0.02部、メタノール50.0部と水10部を攪拌機付き加熱溶解釜中で60℃、2時間混合してポリマーを完全に溶解してから、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルのアクリル酸付加物を30.1部、メタクリル酸を3.1部、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.1部、亜硫酸アンモニウム0.3部とベンジルジメチルケタール1.0部を混ぜて30分間溶解した。次に徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃になるまで濃縮した。この段階で、濃縮した感光性樹脂を取り出し、その粘度を測定した結果は110℃における樹脂粘度が380Pa・s、110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が11.4%であった。得られた感光性樹脂は110℃における樹脂粘度が最適であり、且つ感光性樹脂温度変化に対する樹脂粘度変化率の小さい感光性樹脂積層体の製造に適した感光性樹脂組成物の粘度であった。
【0030】
支持体用接着層としてデヒドロチオ-p-トルイジン0.8重量部及びビスデヒドロチオ−p−トルイジン0.6重量部、バイロン30SS(東洋紡績(株)製品、固形分濃度30%100重量部、U−CAT SA102 0.2重量部を加えて接着層用コート液組成物を調合し、この接着層用コート液組成物を厚み15μmの被膜でコートした厚み250μmの支持体用ポリエステルフイルムを得た。
【0031】
次にカバーフィルムとして、厚み125μのポリエステルフィルムに厚み2μmとなるようにポリビニルアルコール(AH−24、日本合成化学(株)製)の被膜をコートしたカバーフィルム用ポリエステルフイルムを得た。
【0032】
上記の感光性樹脂組成物を110℃に加熱した状態で押出し機を用いて110℃に加熱した二本のカレンダーロールの間に吐出し、2μmのポリビニルアルコール(AH−24、日本合成化学(株)製)の被膜をコートした厚み125μmのカバーフィルム用ポリエステルフイルムと接着層をコートした250μmの支持体用ポリエステルフイルムとの間でカレンダー処理して、全厚み1080μmで幅1100mmのシート状の積層体を成形した。この時、カレンダーロール上の樹脂温度は中央部で109℃、端部(成形樹脂の端部より3cm内側)で102℃であり、温度差が7℃の条件下でカレンダー処理した。この生版シートは30℃で24時間保存することで堅い板状に固化することが出来た。
【0033】
次に生版を7日間以上保管した後に、ダイヤルゲージを用いて厚みの測定を行った。感光性樹脂積層体の幅方向の厚み測定は、成形シートを100mm幅にカットした後に、1cm間隔で測定した。その結果は、1100mm成形幅内における厚み変動(R)が12μであり、非常に厚み精度に優れた感光性樹脂積層体のシートであった。又、気泡混入有無の判定は幅が1100mmで長さが1200mmのシートをライトテーブルに乗せて気泡購入有無の評価を行ったが、気泡混入は全く見られず、欠陥のない優れた感光性樹脂印刷原版であった。
【0034】
さらに、125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、超高圧水銀灯で40秒間露光した。次にブラシ式ウォッシャー(100μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、23℃で2分間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に60℃で5分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは17段、画像部は150線2%網点、200μm独立点、30μm細線が再現され、気泡混入による画像欠損の発生はなく、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得られた。
【0035】
実施例2
実施例1と同様にして得られた感光性樹脂組成物を110℃に加熱した状態でギャーポンプを用いて110℃に加熱した熱プレス機に吐出し、熱プレスすることにより成形幅が1000mm×1000mmの感光性樹脂積層体シートを得た。熱プレス機成形の場合、樹脂温度を測定できなかったために、熱プレス機の表面温度を測定した後に熱プレス成形した。なお、熱プレス機の中心部の表面温度は111℃、端部は103℃であり、中心部と端部との差は8℃であった。このシートは30℃で24時間保存することで堅い板状に固化することが出来た。
【0036】
次に生版を7日間以上保管した後に、ダイヤルゲージを用いて厚みの測定を行った。感光性樹脂積層体の幅方向の厚み測定は、成形シートを100mm幅にカットした後に、1cm間隔で測定した。その結果は、1000mm幅内における厚み変動(R)が14μであり、非常に厚み精度に優れた感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定は幅が1000mmで長さが1000mmのシートをライトテーブルに乗せて気泡購入有無の評価を行ったが、気泡混入は全く見られず、欠陥のない優れた感光性樹脂印刷原版であった。
【0037】
さらに、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレイスケールは17段、画像部は150線2%網点、100μm独立点、30μm細線が再現され、気泡混入による画像欠損の発生はなく、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得られた。
【0038】
実施例3
実施例1のポリアミドの重合において、常圧に戻した後の重合時間を1.0時間から2時間に延長して常圧で反応させたこと以外には実施例1と同様にしてポリアミド−2を得た。得られたポリアミドは、融点135℃、比粘度2.12の塩基性窒素原子を有する3元共重合のポリアミドであった。
実施例1と同様にして得られた感光性樹脂組成物を濃縮した後に取り出し、その粘度を測定した結果は110℃における樹脂粘度が680Pa・s、110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が14.5%であった。得られた感光性樹脂は110℃における樹脂粘度が最適であり、且つ感光性樹脂温度変化に対する樹脂粘度変化率の小さい感光性樹脂積層体の製造に適した感光性樹脂組成物の粘度であった。
【0039】
実施例1と同様にして得られた感光性樹脂組成物を110℃に加熱した状態でギャーポンプを用いて110℃に加熱した熱プレス機に吐出し、熱プレスすることにより成形幅が1100mmで長さが1200mmの感光性樹脂積層体シートを得た。熱プレス機成形の場合、樹脂温度を測定できなかったために、熱プレス機の表面温度を測定した後に熱プレス成形した。なお、熱プレス機の中心部の表面温度は109℃、端部は102℃であり、中心部と端部との差は7℃であった。このシートは30℃で24時間保存することで堅い板状に固化することが出来た。
【0040】
次に生版を7日間以上保管した後に、ダイヤルゲージを用いて厚みの測定を行った。感光性樹脂積層体の幅方向の厚み測定は、成形シートを100mm幅にカットした後に、1cm間隔で測定した。その結果は、1100mm成形幅内における厚み変動(R)が15μであり、非常に厚み精度に優れた感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定は幅が1100mmで長さが1200mmのシートをライトテーブルに乗せて気泡購入有無の評価を行ったが、気泡混入は全く見られず、欠陥のない優れた感光性樹脂印刷原版であった。
次に、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレイスケールは16段、画像部は150線2%網点、200μm独立点、30μm細線が再現され、気泡混入による画像欠損の発生はなく、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得られた。
【0041】
実施例4
ε−カプロラクタム53.0部、N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンアジペート40.0部、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンアジペート7.0部と水100部を反応器に加え、実施例1と同様にしてポリアミド−3を得た。得られたポリアミドは、融点141℃、比粘度1.98の嵩高いジアミン成分を共重合した3元共重合のポリアミド−3を得た。
実施例1と同様に感光性樹脂組成物溶液を作成し、釜内の温度が110℃になるまで濃縮した。得られた感光性樹脂組成物を濃縮した後に取り出し、その粘度を測定した結果は110℃における樹脂粘度が302Pa・s、110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が14.1%であった。得られた感光性樹脂は110℃における樹脂粘度が最適であり、且つ感光性樹脂温度変化に対する樹脂粘度変化率の小さい感光性樹脂積層体の製造に適した感光性樹脂組成物の粘度であった。
【0042】
次に、上記感光性樹脂を用いて、実施例1と同様にしてカレンダー処理してシート状の生版を得た。この時のカレンダーロール上の樹脂温度は中央部で110℃、端部(成形樹脂の端部より3cm内側)で103℃であり、温度差が7℃であった。
【0043】
実施例1と同様に生版の厚み精度を測定した結果は、1100mm成形幅内における厚み変動(R)が16μであり、非常に厚み精度に優れた感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定では、気泡混入は全く見られず、欠陥のない優れた感光性樹脂印刷原版であった。
次に、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレイスケールは16段、画像部は150線2%網点、200μm独立点、30μm細線が再現され、気泡混入による画像欠損の発生はなく、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得られた。
【0044】
実施例5
ε−カプロラクタム50.0部、N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンアジペート35.部、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンアジペート15.0部を原料に、他は実施例1と同様の操作でポリアミド−4を合成した。得られた重合体は融点137℃、比粘度1.96の嵩高いジアミン成分を有する3元共重合のポリアミド−4を得た。
実施例1と同様にして得られた感光性樹脂組成物を濃縮した後に取り出し、その粘度を測定した結果は110℃における樹脂粘度が364Pa・s、110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が11.2%であった。得られた感光性樹脂は110℃における樹脂粘度が最適であり、且つ感光性樹脂温度変化に対する樹脂粘度変化率の小さい感光性樹脂積層体の製造に適した感光性樹脂組成物の粘度であった。
【0045】
次に、上記感光性樹脂を用いて、実施例1と同様にしてカレンダー処理してシート状の生版を得た。この時のカレンダーロール上の樹脂温度は中央部で109℃、端部(成形樹脂の端部より3cm内側)で102℃であり、温度差が7℃であった
【0046】
実施例1と同様に生版の厚み精度を測定した結果は、1100mm成形幅内における厚み変動(R)が11μであり、非常に厚み精度に優れた感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定では、気泡混入は全く見られず、欠陥のない優れた感光性樹脂印刷原版であった。
次に、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレイスケールは16段、画像部は150線2%網点、200μm独立点、30μm細線が再現され、気泡混入による画像欠損の発生はなく、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得られた。
【0047】
実施例6
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン80部と2−メチルペンタメチレンジアミン20部をメタノール1000部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコール(平均分子量600)600 部とヘキサメチレンジイソシアネート369部を反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー455部を、撹拌下徐々に添加した。得られた付加重合体は、比粘度が1.79のポリエーテルウレアウレタンポリマーであった。
【0048】
このようにして得られたポリマー55.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸3.6部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)32.5部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で、濃縮した感光性樹脂を取り出し、その粘度を測定した結果は110℃における樹脂粘度が410Pa・s、110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が12.5%であった。得られた感光性樹脂は110℃における樹脂粘度が最適であり、且つ感光性樹脂温度変化に対する樹脂粘度変化率の小さい感光性樹脂積層体の製造に適した感光性樹脂組成物の粘度であった。
【0049】
次に、上記感光性樹脂を用いて、実施例1と同様にしてカレンダー処理してシート状の生版を得た。この時のカレンダーロール上の樹脂温度は中央部で111℃、端部(成形樹脂の端部より3cm内側)で103℃であり、温度差が8℃であった。
【0050】
実施例1と同様に生版の厚み精度を測定した結果は、1100mm成形幅内における厚み変動(R)が13μであり、非常に厚み精度に優れた感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定では、気泡混入は全く見られず、欠陥のない優れた感光性樹脂印刷原版であった。
次に、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレイスケールは17段、画像部は150線2%網点、100μm独立点、30μm細線が再現され、気泡混入による画像欠損の発生はなく、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得られた。
【0051】
実施例7
数平均分子量600のポリオキシエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω−ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル塩60重量部、ε−カプロラクタム25重量部、およびビス(4,4'−アミノシクロヘキシル)メタンとアジピン酸との当モル塩15重量部を通常の条件で溶融重合して主鎖にシクロヘキサン環を導入したPEG含有共重合ポリアミドを得た。得られたPEG含有共重合ポリアミドは、融点152℃、比粘度2.11の重合体であった。
【0052】
このようにして得られたポリマー55.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)36.4部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で、濃縮した感光性樹脂を取り出し、その粘度を測定した結果は110℃における樹脂粘度が360Pa・s、110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が13.3%であった。得られた感光性樹脂は110℃における樹脂粘度が最適であり、且つ感光性樹脂温度変化に対する樹脂粘度変化率の小さい感光性樹脂積層体の製造に適した感光性樹脂組成物の粘度であった。
【0053】
次に、上記感光性樹脂を用いて、実施例1と同様にしてカレンダー処理をしてシート状の生版を得た。この時のカレンダーロール上の樹脂温度は中央部で110℃、端部(成形樹脂の端部より3cm内側)で103℃であり、温度差が7℃であった。
【0054】
実施例1と同様に生版の厚み精度を測定した結果は、1100mm成形幅内における厚み変動(R)が14μであり、非常に厚み精度に優れた感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定では、気泡混入は全く見られず、欠陥のない優れた感光性樹脂印刷原版であった。
次に、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレイスケールは17段、画像部は150線2%網点、200μm独立点、30μm細線が再現され、気泡混入による画像欠損の発生はなく、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得られた。
【0055】
実施例8
実施例1と同様にして濃縮して得られた感光性樹脂組成物を加熱した配管を通すことで感光性樹脂組成物の温度を120℃まで加熱し、実施例1と同様にしてカレンダー処理を行い、感光性樹脂積層体の生版シートを得た。この時のカレンダーロール上の樹脂温度は中央部で119℃、端部では111℃であり、温度差が8℃であった。
【0056】
実施例1と同様にして生版の厚み精度を測定した結果は、1100mm成形幅内における厚み変動(R)は14μであり、非常に厚み精度に優れた感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定では、気泡混入は全く見られず、画像欠陥のない優れた感光性樹脂印刷原版であった。
次に、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレースケールは16段、画像部は150線2%網点、200μ独立点、30μ細線が再現され、気泡混入による画像欠損がなく、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得られた。
【0057】
実施例9
実施例1と同様にして濃縮して得られた感光性樹脂組成物を100℃の配管を通すことで感光性樹脂組成物の温度を101℃まで加熱し、実施例1と同様にしてカレンダー処理を行い、感光性樹脂積層体の生版シートを得た。この時のカレンダーロール上の樹脂温度は中央部で100℃、端部では94℃であり、温度差が6℃であった。
【0058】
実施例1と同様にして生版の厚み精度を測定した結果は、1100mm成形幅内における厚み変動(R)は11μであり、非常に厚み精度に優れた感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定では、気泡混入は全く見られず、画像欠陥のない優れた感光性樹脂印刷原版であった。
次に、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレースケールは16段、画像部は150線2%網点、200μ独立点、30μ細線が再現され、気泡混入による画像欠損がなく、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得られた。
【0059】
比較例1
実施例1の三級窒素原子含有ポリアミドにおいて、嵩高いジアミンの使用せずに、ε−カプロラクタム52.5部、N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンアジペート47.5部を原料として実施例1と同様の操作でポリアミド−5を合成した。得られた重合体は融点148℃、比粘度2.05の嵩高い構造を有しないポリアミドであった。ポリアミド−5を用いて実施例1と同様に感光性樹脂組成物溶液を作成し、釜内の温度が110℃になるまで濃縮した。この段階で、濃縮した感光性樹脂を取り出し、その粘度を測定した結果は110℃における樹脂粘度が382Pa・s、110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が18.1%であった。得られた感光性樹脂は110℃における樹脂粘度は最適であったが、感光性樹脂温度変化に対する樹脂粘度変化率の大きい感光性樹脂積層体の製造に適さないものであった。
【0060】
次に、上記感光性樹脂を用いて、実施例1と同様にしてカレンダー処理してシート状の生版を得た。この時のカレンダーロール上の樹脂温度は中央部で111℃、端部(成形樹脂の端部より3cm内側)で104℃であり、温度差が7℃であった。
【0061】
実施例1と同様に生版の厚み精度を測定した結果は、1100mm幅内における厚み変動(R)が20μであり、厚み精度に劣る感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定では、気泡混入が見られ、欠陥を有する感光性樹脂印刷原版であった。
次に、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレイスケール16段、画像部は150線2%網点、200μm独立点、30μm細線の再現において、気泡混入による画像欠損が網点及び細線で見られ、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得ることはできなかった。
【0062】
比較例2
ε−カプロラクタム52.5部、N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンアジペート42.5部と1,6−ヘキサメチレンジアミンアジペート7.5部を原料に、他は実施例1と同様の操作にして嵩高い構造を含まないポリアミド−4を合成した。得られた重合体は融点148℃、比粘度1.99の透明淡黄色であった。このポリアミド−4を用いて実施例1と同様に感光性樹脂組成物溶液を作成し、釜内の温度が110℃になるまで濃縮した。この段階で、濃縮した感光性樹脂を取り出し、その粘度を測定した結果は110℃における樹脂粘度が360Pa・s、110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が19.4%であった。得られた感光性樹脂は110℃における樹脂粘度は最適であったが、感光性樹脂温度変化に対する樹脂粘度変化率の大きい感光性樹脂積層体の製造に適さないものであった。
【0063】
次に、上記感光性樹脂を用いて、実施例1と同様にしてカレンダー処理してシート状の生版を得た。この時のカレンダーロール上の樹脂温度は中央部で110℃、端部(成形樹脂の端部より3cm内側)で103℃であり、温度差が7℃であった。
【0064】
実施例1と同様に生版の厚み精度を測定した結果は、1100mm幅内における厚み変動(R)が23μであり、厚み精度に劣る感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定では、気泡混入が見られ、欠陥を有する感光性樹脂印刷原版であった。
次に、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレイスケール16段、画像部は150線2%網点、200μm独立点、30μm細線の再現において、気泡混入による画像欠損が網点及び細線で見られ、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得ることはできなかった。
【0065】
比較例3
実施例1と同じ塩基性窒素含有ポリアミドとしてε−カプロラクタム53.0部、N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンアジペート40.0部、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンアジペート7.0部、粘度調整剤として1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン0.5部を共重合し、実施例1と同様の操作でポリアミド−5を合成した。得られた重合体は融点142℃、比粘度1.88のポリアミドであった。
【0066】
このようにして得られたポリマーを用いて実施例1と同様にして、メタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で、濃縮した感光性樹脂を取り出し、その粘度を測定した結果は110℃における樹脂粘度が270Pa・s、110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が14.6%であった。得られた感光性樹脂は、感光性樹脂温度変化に対する樹脂粘度変化率は小さいものであったが、110℃における樹脂粘度が不足しており、感光性樹脂積層体の製造に適した感光性樹脂組成物の粘度ではなかった。
【0067】
次に、上記感光性樹脂を用いて、実施例1と同様にしてカレンダー処理してシート状の生版を得た。この時のカレンダーロール上の樹脂温度は中央部で109℃、端部(成形樹脂の端部より3cm内側)で102℃であり、温度差が7℃であった。
【0068】
実施例1と同様に生版の厚み精度を測定した結果は、1100mm幅内における厚み変動(R)が23μであり、厚み精度に劣る感光性樹脂積層体の生版シート(印刷原版)であった。
一方、気泡混入有無の判定では、気泡混入は全く見られない感光性樹脂印刷原版であり、画像欠損のないレリーフが得られていた。
【0069】
比較例4
実施例1のポリアミドの重合において、常圧に戻した後の重合時間を1.0時間から3.0時間に延長して常圧で反応させたこと以外には実施例1と同様にしてポリアミド−2を得た。得られたポリアミドは、融点135℃、比粘度2.35の塩基性窒素原子を有する3元共重合のポリアミドであった。
次に実施例1と同様にして得られた感光性樹脂組成物を濃縮した後に取り出し、その粘度を測定した結果は110℃における樹脂粘度が750Pa・s、110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度変化率が17.3%であった。得られた感光性樹脂は110℃における樹脂粘度が高すぎ、且つ感光性樹脂温度変化に対する樹脂粘度変化率の大きい感光性樹脂積層体の製造に適さない感光性樹脂組成物の粘度であった。
【0070】
次に、上記感光性樹脂を用いて、実施例1と同様にしてカレンダー処理してシート状の生版を得た。この時のカレンダーロール上の樹脂温度は中央部で111℃、端部は105℃であり、中心部と端部との差は6℃であった。このシートは30℃で24時間保存することで堅い板状に固化することが出来た。
【0071】
次に実施例1と同様に生版の厚み精度を測定した結果は、1100mm幅内における厚み変動(R)が26μであり、厚み精度の悪い感光性樹脂積層体の生版シートであった。又、気泡混入有無の判定では、気泡混入が見られ、欠陥を有する感光性樹脂印刷原版であった。
次に、実施例1と同様にして画像再現性評価を行った結果は、グレイスケール16段、画像部は150線2%網点、200μm独立点、30μm細線の再現において、気泡混入による画像欠損が網点及び細線で見られ、ネガフィルムを忠実に再現したレリーフが得ることはできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
厚み精度に優れ、気泡混入による欠点のない感光性樹脂組成物印刷原版が得られることから、高品質印刷用感光性樹脂版材として有利に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも支持体、感光性樹脂層、カバーフィルムを有する感光性樹脂積層体を80℃〜140℃の間で成形する製造方法において、感光性樹脂組成物の樹脂粘度が110℃において300〜700mPa・sであり、且つ110℃から90℃への樹脂温度変化に対する1℃当たりの樹脂粘度増加率が15%以下であることを特徴とする感光性樹脂積層体の製造方法。
【請求項2】
感光性樹脂積層体の成形方法が、カレンダー加工、又は熱プレスであることを特徴とする請求項1の感光性樹脂積層体。
【請求項3】
請求項1または請求項2の感光性樹脂積層体から得られる感光性印刷原版。









































【公開番号】特開2008−58590(P2008−58590A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235302(P2006−235302)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】