説明

感光性樹脂組成物

【課題】アルカリ溶解性が良好で、優れた現像性を有し、透明性、耐熱性、耐薬品性に優れる塗膜が得られる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は下記一般式(2)で表される構成単位(a2)を含有する重合体[A]と、不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]とを含有する感光性樹脂組成物である。
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、mは0〜4の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体の製造のフォトレジスト等に用いられる感光性樹脂組成物に関し、詳しくは、アルカリ溶解性が良好で、優れた現像性を有し、透明性、耐熱性、耐薬品性に優れる塗膜が得られるネガ型感光性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体の製造に用いられる微細加工用フォトレジストにはメタパラクレゾールノボラック樹脂が使用され、近年の益々の微細化に伴い、ポリヒドロキシスチレン、脂環式のアクリル樹脂等が使用されている。また、半導体素子のプリント基板への実装や金属配線の形成にはビニルエステル樹脂やアクリル樹脂等が使用されている。
また、最近ではディスプレイ分野を中心に、これらのフォトリソグラフィー技術を使用してパターンを形成し、その後、加熱により硬化させて永久塗膜として使用する方法が、種々検討されている。この場合、永久塗膜としての透明性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性等、様々な特性が要求される。
【0003】
化学増幅型ポジ型フォトレジストに使用される樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシスチレン系の樹脂、アクリル系樹脂、フェノール性水酸基が酸で脱離する保護基で保護されたノボラック樹脂などが提案されている。(例えば特許文献1〜3参照)
フォトレジストの高感度化、高解像度化には、露光に対する光透過性、ドライエッチング時に発生する熱でパターンの型崩れが起こらないための耐熱性、そしてなによりもアルカリ溶解性が必要とされる。しかしながら、これら樹脂は、光透過性、アルカリ溶解性、耐熱性を同時に、かつ十分に満足するものではなかった。
また、これら樹脂を用いた化学増幅型ポジ型フォトレジストは、近年ではエキシマレーザーを使用したフォトリソグラフィーのみならず、従来のg線、i線を使用したフォトリソグラフィーへの適用も検討されており、さらなる高感度化、高解像度化が求められている。
【0004】
本発明者らは、新しいフォトレジスト用の材料としてN−置換アクリルアミド単位を有する重合体を提案した(特許文献4参照)。しかし、この重合体は、光透過性、アルカリ溶解性、耐熱性に優れるものの、エステル系溶媒への溶解性が十分でなく、使用する溶媒種が限定され、また、塗膜の耐熱変色性が十分でなく、透明性を有し永久塗膜としての使用できる材料とすることが求められた。
この重合体の改良として、本発明者らは、さらに、ヒドロキシフェニルメタクリレートの構成単位を有する重合体を提案した(特許文献2参照)。この重合体は、上記重合体に比べて、エステル系溶媒への溶解性が改善され、塗膜の耐熱変色性も改善されているが、アルカリ溶解性が不十分な場合があり、その改良が望まれる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−109959号公報
【特許文献2】特開2004−126605号公報
【特許文献3】特開2004−115724号公報
【特許文献4】特開2003−73424号公報
【特許文献5】特開2006−111802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、こうした現状に鑑み、アルカリ溶解性が良好で、優れた現像性を有し、透明性、耐熱性、耐薬品性に優れる塗膜が得られる感光性樹脂組成物、特にネガ型感光性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、芳香族カルボン酸基を含むアクリルアミド類やアクリレート類を構成単位として有する重合体と、不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物を含む組成物を用いることにより、上記目的が達成できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の感光性樹脂組成物を提供するものである。
1.下記一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は下記一般式(2)で表される構成単位(a2)を含有する重合体[A]と、不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【0009】
【化1】

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、mは0〜4の整数である。)
【0010】
2.さらに、光ラジカル重合開始剤[C]を含有する上記1の感光性樹脂組成物。
3.一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位(a2)を含有する重合体が、共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3)との共重合体である上記1又は2の感光性樹脂組成物。
4.共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3)が、芳香族ビニル化合物、不飽和酸およびそのエステル、不飽和酸無水物、不飽和酸アミド、マレイミド化合物およびオレフィン系化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物である上記3の感光性樹脂組成物。
5.一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位(a2)を含有する重合体が、不飽和エポキシ化合物、不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物および不飽和アルコールから選ばれる少なくとも一種の化合物との共重合体である上記1〜4のいずれかの感光性樹脂組成物。
6.一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位(a2)のカルボキシル基の少なくとも一部が、不飽和エポキシ化合物、不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物および不飽和アルコールから選ばれる少なくとも一種の化合物と反応させることにより変性されたものである上記1〜4のいずれかの感光性樹脂組成物。
7.重合体[A]が、一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位(a2) と不飽和酸又はその無水物が共重合し、該不飽和酸に由来する構成単位の少なくとも一部と、不飽和エポキシ化合物、不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物および不飽和アルコールから選ばれる少なくとも一種の化合物とを反応させることにより変性されたものである上記1〜4のいずれかの感光性樹脂組成物。
8.共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3) の少なくとも一部が、不飽和酸又はその無水物と、不飽和エポキシ化合物、不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物および不飽和アルコールから選ばれる少なくとも一種の化合物との反応生成物である上記3の感光性樹脂組成物。
9.不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]が、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル、および不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド化物から選ばれる少なくとも一種の化合物である上記1〜8のいずれかの感光性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アルカリ溶解性が良好で、優れた現像性を有するネガ型感光性樹脂組成物が得られ、この感光性樹脂組成物を用いて、透明性、耐熱性、耐薬品性に優れる被膜を形成することができる。
従って、本発明の感光性樹脂組成物は、集積回路素子、金属配線、メッキ造形物形成用のフォトレジスト材料および、表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などの電子部品の保護膜や平坦化膜、層間絶縁膜の形成、マイクロレンズ又はマイクロレンズアレイの形成、液晶表示素子の光拡散反射膜、配向制御用突起及びスペーサーの形成、カラーフィルター形成用、光導波路形成用等に好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の感光性樹脂組成物において必須成分として含まれる重合体[A]は、下記一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は下記一般式(2)で表される構成単位(a2)を含有する重合体であり、構成単位(a1)のみからなる重合体であっても良く、構成単位(a2)のみからなる重合体であっても良い。また、重合体[A]は、構成単位(a1)及び構成単位(a2)からなる共重合体であっても良く、さらに、重合体[A]は、構成単位(a1)及び/又は構成単位(a2)が、共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3)との共重合体であっても良い。
【0013】
【化2】

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、mは0〜4の整数である。)
【0014】
ここで、一般式(1)で表される構成単位(a1)に対応するモノマーの具体例としては、4−カルボキシフェニルアクリルアミド、3−カルボキシフェニルアクリルアミド、2−カルボキシフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−3−メチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2−メチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,3−ジメチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,5−ジメチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,6−ジメチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−3,5−ジメチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−3−エチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2−エチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,3−ジエチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,5−ジエチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,6−ジエチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−3,5−ジエチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−3−プロピルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2−プロピルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,3−ジプロピルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,5−ジプロピルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,6−ジプロピルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−3,5−ジプロピルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−3−ブチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2−ブチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,3−ジブチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,5−ジブチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−2,6−ジブチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシ−3,5−ジブチルフェニルアクリルアミド、4−カルボキシフェニルメタクリルアミド、3−カルボキシフェニルメタクリルアミド、2−カルボキシフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−3−メチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2−メチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,3−ジメチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,5−ジメチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,6−ジメチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−3,5−ジメチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−3−エチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2−エチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,3−ジエチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,5−ジエチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,6−ジエチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−3,5−ジエチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−3−プロピルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2−プロピルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,3−ジプロピルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,5−ジプロピルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,6−ジプロピルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−3,5−ジプロピルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−3−ブチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2−ブチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,3−ジブチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,5−ジブチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−2,6−ジブチルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシ−3,5−ジブチルフェニルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0015】
また、一般式(2)で表される構成単位(a2)に対応するモノマーの具体例としては、4−カルボキシフェニルアクリレート、3−カルボキシフェニルアクリレート、2−カルボキシフェニルアクリレート、4−カルボキシ−3−メチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2−メチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,3−ジメチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,5−ジメチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,6−ジメチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−3,5−ジメチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−3−エチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2−エチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,3−ジエチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,5−ジエチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,6−ジエチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−3,5−ジエチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−3−プロピルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2−プロピルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,3−ジプロピルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,5−ジプロピルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,6−ジプロピルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−3,5−ジプロピルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−3−ブチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2−ブチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,3−ジブチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,5−ジブチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−2,6−ジブチルフェニルアクリレート、4−カルボキシ−3,5−ジブチルフェニルアクリレート、4−カルボキシフェニルメタクリレート、3−カルボキシフェニルメタクリレート、2−カルボキシフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−3−メチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2−メチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,3−ジメチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,5−ジメチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,6−ジメチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−3,5−ジメチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−3−エチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2−エチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,3−ジエチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,5−ジエチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,6−ジエチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−3,5−ジエチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−3−プロピルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2−プロピルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,3−ジプロピルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,5−ジプロピルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,6−ジプロピルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−3,5−ジプロピルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−3−ブチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2−ブチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,3−ジブチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,5−ジブチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−2,6−ジブチルフェニルメタクリレート、4−カルボキシ−3,5−ジブチルフェニルメタクリレート等が挙げられる。
【0016】
重合体[A]はこれらのモノマーを単独、或いは2種以上を組み合わせて重合することで得られる。また、重合体[A]は、これらのモノマーと共に、共重合可能な分子中に不飽和二重結合を有する化合物(a3)を組み合わせて共重合体とすることもできる。
共重合可能な不飽和二重結合を有する化合物(a3)としては、例えば、芳香族ビニル化合物、不飽和酸及びそのエステル、不飽和酸無水物、不飽和酸アミド、マレイミド化合物、各種オレフィン系化合物等が挙げられる。
【0017】
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、t−ブトキシスチレン等のスチレン誘導体の他、イソプロペニルフェノール等のアルケニルフェノール類が挙げられる。
不飽和酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、そのエステルとしてはメチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステル等のアルキルエステル類、メトキシメチルエステル等のアルコキシアルキルエステル類、シクロヘキシルエステル、イソボルニルエステル等の脂環式エステル類、フェニルエステル、ヒドロキシフェニルエステル等の芳香族エステル類が挙げられる。
不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0018】
不飽和酸アミドとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、4−ヒドロキシ-3,5−ジメチルベンジルアクリルアミド、ヒドロキシフェニルアクリルアミド、ヒドロキシフェニルメタクリルアミド等が挙げられる。
マレイミド化合物としては、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等が挙げられる。
オレフィン系化合物としては、例えば、アリル化合物、ブテン、ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0019】
共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3)としては、現像性を高め、目的とする塗膜物性を得るために、上記に限らず、他の共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物をも任意に使用することが出来る。
また、共重合可能な不飽和二重結合を有する化合物(a3)として複数の種類のものを用いて、重合体[A]を4元以上の共重合体とすることが可能である。
【0020】
重合体[A]は上述した構成単位(a1)及び/または構成単位(a2)に対応するモノマー、必要に応じて共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3)を、有機溶媒中、ラジカル重合開始剤を用いて重合することで得られる。有機溶媒は構成単位(a1)や構成単位(a2)に対応するモノマー、必要に応じて共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3)を溶解するものであれば特に限定はされないが、一般的にフォトレジスト用溶媒として用いられるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルが好適である。また、構成単位(a1)や構成単位(a2)に対応するモノマーは、比較的極性溶媒への溶解性が優れるため、メタノール等にモノマーを溶解し、重合後にフォトレジスト溶媒へ置換する方法を行うこともできる。重合体[A]を製造する際に用いられるラジカル重合開始剤には、一般的に使用される有機化酸化物やアゾ化合物等が使用できる。
【0021】
重合体[A]における構成単位(a1)及び/または構成単位(a2)の含有量は、重合する全モノマー成分の合計量を100モル%とした時に、通常10〜70モル%であり、好ましくは20〜60モル%である。構成単位(a1)及び/または構成単位(a2)の含有量を10モル%以上とすることにより好適な現像速度が得られ、70モル%以下とすることにより現像速度が速すぎて現像不良を起こすことがない。また、重合体[A]の構成単位(a1)及び/または構成単位(a2)の含有量を上記範囲とすることにより、現像した後、基材のエッチング処理、若しくはメッキ処理を施し、引き続いて強アルカリ等でレジストを剥離する必要がある場合、剥離不良を起こすことがない。
【0022】
本発明の感光性樹脂組成物を基材のエッチング処理、メッキ処理を目的として使用する際には、重合体[A]は、構成単位(a1)及び/または構成単位(a2)の他に、本発明の感光性樹脂組成物を基材のエッチング処理、メッキ処理を目的として使用する際には、一般式(1)及び/または(2)の他、スチレン等の芳香族ビニル化合物、各種オレフィン系化合物、マレイミド化合物、不飽和酸アミド等を共重合するのが良い。これは、エッチング液やメッキ液への耐性が向上する。
【0023】
また、本発明の感光性樹脂組成物を電子部品の保護膜や平坦化膜、層間絶縁膜等の永久塗膜として使用する際には、構成単位(a1)及び/又は構成単位(a2)の他、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレート等の不飽和エポキシ化合物や不飽和オキセタニル化合物、2−イソシアナートエチルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレート等の不飽和イソシアナート化合物、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,4−ジメタノールシクロヘキシルモノアクリレート等の不飽和アルコール類等を共重合することが好ましい。この共重合体は、パターン形成後に加熱処理することにより構成単位(a1)及び/又は構成単位(a2)におけるカルボン酸と架橋反応することで、より永久塗膜としての塗膜物性が向上する。
【0024】
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、重合体[A]を上記により不飽和二重結合を有する重合体とすることで、感度及び塗膜物性の向上が図れる。
不飽和二重結合の導入方法としては、例えば、一般式(1)及び/または(2)で示される構成単位のカルボン酸の部分に、上記の不飽和エポキシ化合物や不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物、不飽和アルコールとを反応させる方法、或いは、一般式(1)及び/または(2)で示される構成単位とアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸又は無水マレイン酸等の不飽和酸無水物を共重合し、該不飽和酸に由来する構成単位の少なくとも一部と、上記の不飽和エポキシ化合物や不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物、及び不飽和アルコールとを反応させる方法等が挙げられる。また、共重合可能な分子中に不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3) の少なくとも一部が、不飽和酸又はその無水物と、不飽和エポキシ化合物、不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物および不飽和アルコールから選ばれる少なくとも一種の化合物との反応生成物であるものを用いることによっても不飽和二重結合を導入することが可能である。
【0025】
次に、本発明の感光性樹脂組成物において必須成分として含まれる不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]は、少なくとも1個の不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、不飽和酸エステル化合物、不飽和酸アミド化合物、その他の不飽和化合物が挙げられる。
【0026】
不飽和酸エステル化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステルなどが挙げられ、これらを単独で、若しくは2種以上を併用してもよい。中でも、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0027】
単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリル酸エステルしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0028】
また、不飽和酸アミド化合物としては例えば、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド化物が挙げられ具体的には、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0029】
不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]としては、上記化合物を1種単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
感光性樹脂組成物中における不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]の含有量は、重合体[A]100質量部に対して、好ましくは30〜80質量部であり、より好ましくは40〜70質量部である。不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]を30質量部以上とすることにより露光時の感度が向上し、80質量部以下とすることにより、感光性樹脂組成物の相溶性、保存安定性が悪化することがない。
【0030】
本発明の感光性樹脂組成物において必須成分として含まれる光ラジカル重合開始剤[C]は、光の照射によりラジカルを発生し、ラジカル重合を開始させるものであれば特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4−メトキシ−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、エチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、フルオレン、アクリドンおよびベンゾイン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、トリアリールイミダゾール二量体、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(p−カルボエトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(p−ブロモフェニル)ビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2'−ビイミダゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、1,4−ジベンゾイルベンゼン、2−ベンゾイルナフタレン、ベンゾイルビフェニル、ベンゾイルジフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、ジベンゾイル等を挙げることができる。
【0031】
これらの光ラジカル重合開始剤[C]として、以下の商品名の市販品を用いても良い。市販品としては、チバスペシャルティケミカルズ社製Irgacure 2959、184、500、651、369、907、819、1800、1700、Darocure 1173、BASF社製Lucurin BDK、TPO、TPO−L、日本化薬製KAYACURE BDMK、BMS、DETX−S、CTX、BP−100、2−EAQ、日本シーベルヘグナー社製Esacure KB1、EB3、KIP150、KIP100、TZT、シンコー技研製S−121、S−124、S−122、S−112、S−113、ダイセルUCB製NK1300、NK1100、NK1200、BZO、Ebecryl P36、シェル化学製Quantacure ITX、BMS、CTX、ABQ、QTX、ダイトーケミックス製ダイトキュア OB、川口薬品製ハイキュア ABP等を挙げることができる。
光ラジカル重合開始剤[C]は1種単独で、また2種以上を併用して用いられる。
【0032】
感光性樹脂組成物中における光ラジカル重合開始剤[C]の含有量は、重合体[A]100質量部に対して、好ましくは10〜40質量部、より好ましくは15〜30質量部である。光ラジカル重合開始剤[C]の含有量を10質量部以上とすることにより、露光時の感度が低下したり、塗膜底部が硬化不良を起こすことがない。また、40質量部以下とすることにより、感光性樹脂組成物の相溶性や保存安定性が悪化することがない。
【0033】
本発明の感光性樹脂組成物は必要に応じて有機溶媒を含有させることができる。有機溶媒は、重合体[A]、不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]及び光ラジカル重合開始剤[C]を溶解させるものであれば特に限定されないが、フォトレジスト用として一般的に使用されるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等を好適に使用することができる。
【0034】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記の重合体[A]、不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]及び光ラジカル重合開始剤[C]を必須成分として含有するが、その他必要に応じて、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、増感剤、増感助剤、充填剤、可塑剤、増粘剤、着色剤、有機溶媒、分散剤、消泡剤、界面活性剤、密着助材、感熱性酸生成化合物、エポキシ樹脂等の重合体[A]と架橋反応し得る化合物を含有することができる。
【0035】
次に本発明の感光性樹脂組成物を用いた塗膜の形成方法について示す。先ず、ガラス基板、シリコンウエハーおよびこれらの表面に各種金属が形成された基板上に、有機溶媒で溶解した本発明の感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して感光性樹脂組成物の塗膜を形成する。組成物溶液の塗布方法としては、特に限定されず、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、スリット塗布法等の適宜の方法が挙げられる。乾燥条件は、各成分の種類、使用割合等によっても異なるが、例えば60〜110℃で、30秒間〜30分間程度である。
【0036】
次に、形成された塗膜に所定のパターンを有するマスクを介して、光を照射した後、現像液を用いて現像処理することでパターニングを行う。このとき用いられる光としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、X線、電子線等を挙げることができ、その光源としては低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、エキシマレーザー発生装置等を挙げることができる。現像処理に用いられる現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−ウンデセ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−ノネ−5−エン等のアルカリ(塩基性化合物)の水溶液を用いることができる。また、上記のアルカリの水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液、または本発明の感光性樹脂組成物を溶解する各種有機溶媒を現像液として使用することができる。さらに、現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用することができる。現像時間は、感光性樹脂組成物の組成によって異なるが、例えば30〜120秒間とすることができる。
【0037】
次に、パターニングされた薄膜に対して、例えば流水洗浄によるリンス処理を行うことが好ましい。さらに、塗膜のレジストとしての性能が向上させるために、光を全面に照射することが好ましい。
この感光性樹脂組成物を基材のエッチング用、或いはメッキ用として用いる際は、それらの処理を行った後、塩基性の強い剥離液や有機溶媒にて、レジストを除去する。
また、この感光性樹脂組成物を、パターニングされた永久塗膜用として用いる際は、次に、ホットプレート、オーブン等により加熱処理(ポストベーク処理)することにより、硬化処理を行うことができる。この硬化処理における焼成温度は、例えば120〜250℃である。加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えばホットプレート上で加熱処理を行う場合には5〜30分間、オーブン中で加熱処理を行う場合には30〜90分間とすることができる。
【0038】
このようにして、目的とする集積回路素子、金属配線、メッキ造形物形成用のフォトレジスト材料、また、表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などの電子部品の保護膜や平坦化膜、層間絶縁膜の形成、マイクロレンズ又はマイクロレンズアレイの形成、液晶表示素子の光拡散反射膜、配向制御用突起及びスペーサーの形成、カラーフィルター形成用、光導波路形成用等の各用途に対応するパターン状薄膜を基板の表面上に形成することができ、形成された塗膜は、透明性、耐熱性、耐薬品性に優れる被膜となる。
【実施例】
【0039】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、以下の合成例及び比較合成例で得られた重合体[A]の質量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定、および以下の実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物の性能評価を次のように行った。
【0040】
(1)重合体[A]の質量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定
ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記条件にて測定し、ポリスチレン換算による重合体[A]の質量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
カラム:ショーデックス KF−801+KF−802+KF−802+KF−803
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折計(ショーデックス RI−101)
流速:1ml/min
【0041】
(2)感光性樹脂組成物の性能評価
[現像性]
感光性樹脂組成物の溶液をガラス基板上に、膜厚3μmとなるように塗布し、80℃のオーブンで30分間乾燥した。乾燥した塗膜にパターンマスクを介して超高圧水銀灯で1000mJ/cm2の紫外線を照射し、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液にて1分間浸漬して現像し、純水でリンスを行った。パターンが転写されたものを○、凹凸が完全ではないが、転写されたものを△、パターンが転写されなかったものを×とした。
【0042】
[耐薬品性]
感光性樹脂組成物の溶液をガラス基板上に、膜厚3μmとなるように塗布し、80℃のオーブンで30分間乾燥した。乾燥した塗膜にパターンマスクを介さずに全面露光を行った。紫外線により硬化した塗膜上に98質量%濃硫酸を1滴落とし、1分後に、純水でリンスを行った。その際の塗膜の状態を目視で観察し、塗膜に変化の起こらなかったものを○、塗膜表面が侵食されたものを×とした。
【0043】
[透明性]
感光性樹脂組成物の溶液をガラス基板上に、膜厚3μmとなるように塗布し、80℃のオーブンで30分間乾燥した。乾燥した塗膜にパターンマスクを介さずに全面露光し、200℃のオーブンで30分間加熱硬化させた。得られた硬化塗膜付きの基板について分光光度計を使用して、波長400〜800nmの光線の最低透過率を、ガラス基板をブランクとして測定した。最低透過率が98%以上のものを○、最低透過率が98%未満のものを×とした。
【0044】
[耐熱性]
上記方法により、感光性樹脂組成物を200℃で、30分間加熱硬化させた後、再び230℃で2時間加熱処理し、膜厚測定を行った。200℃、30分間加熱硬化後、膜厚に対して、230℃、2時間で再加熱後の膜厚変化を膜厚減少率で算出した。再加熱後の膜厚減少率が3%未満のものを○、3%以上のものを×とした。
【0045】
合成例1〔共重合体[A−1]の製造〕
還流冷却器、攪拌機を備えたフラスコに、p−カルボキシフェニルメタクリルアミド56.8質量部、スチレン43.2質量部、乳酸エチル150質量部、メタノール150質量部、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)12.0質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら液温を70℃に上昇させ、70℃で28時間反応した。ゲルパーミッションクロマトグラフィーによりモノマーの消失を確認し、120℃減圧下でメタノール及び乳酸エチルを蒸留により取り除き、乳酸エチルにより固形分濃度を30質量%に調整し、下記式で表される共重合体[A−1]を含む重合体溶液を得た。得られた共重合体[A−1]のポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は10,600、分子量分布(Mw/Mn)は4.0であった。
【0046】
【化3】

【0047】
合成例2〔共重合体[A−2]の製造〕
還流冷却器、攪拌機を備えたフラスコに、p−カルボキシフェニルメタクリレート56.9質量部、スチレン43.1質量部、乳酸エチル150質量部、メタノール150質量部、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)12.0質量部を仕込み、合成例1と同様に反応を行い、下記式で表される共重合体[A−2]を含む重合体溶液を得た。得られた共重合体[A−2]のポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は10,500、分子量分布(Mw/Mn)は3.9であった。
【0048】
【化4】

【0049】
合成例3〔共重合体[A−3]の製造〕
還流冷却器、攪拌機を備えたフラスコに、p−カルボキシフェニルメタクリルアミド82.1質量部、スチレン17.9質量部、乳酸エチル150質量部、メタノール150質量部、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)12.0質量部を仕込み、合成例1と同様に反応を行った。引き続き、グリシジルメタクリレート12.2質量部、トリエチルアミン1.0質量部、ヒドロキノン0.02質量部を添加し、80℃で4時間反応させ、下記式で表される共重合体[A−3]を含む溶液を得た。
共重合体[A−3]のポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は13,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.3であった。
【0050】
【化5】

【0051】
合成例4〔共重合体[A−4]の製造〕
還流冷却器、攪拌機を備えたフラスコに、p−カルボキシフェニルメタクリルアミド67.9重量部、メタクリル酸11.4重量部、スチレン20.7重量部、乳酸エチル150重量部、メタノール150重量部、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)12.0重量部を仕込み、合成例1と同様に反応を行った。引き続き、グリシジルメタクリレート14.1重量部、トリエチルアミン1.0重量部、ヒドロキノン0.02重量部を添加し、80℃で4時間反応させ、分子中に不飽和二重結合を有する共重合体[A−4]を含む重合体溶液を得た。
共重合体[A−4]のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は9,800、分子量分布(Mw/Mn)は3.7であった。
【0052】
【化6】

【0053】
合成例5〔共重合体[A−5]の製造〕
還流冷却器、攪拌機を備えたフラスコに、p−カルボキシフェニルメタクリレート55.5質量部、グリシジルメタクリレート38.3質量部、スチレン6.2質量部、乳酸エチル150質量部、メタノール150質量部、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)12.0質量部を仕込み、合成例1と同様に反応を行い、下記式で表される共重合体[A−5]を含む重合体溶液を得た。
共重合体[A−5]のポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は13,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.3であった。
【0054】
【化7】

【0055】
比較合成例1〔共重合体[A−6]の製造〕
還流冷却器、攪拌機を備えたフラスコに、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート53.3質量部、スチレン46.7質量部、乳酸エチル150質量部、メタノール150質量部、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)12.0質量部を仕込み、合成例1と同様に反応を行い、下記式で表される共重合体[A−6]を含む重合体溶液を得た。
共重合体[A−6]のポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は9,200、分子量分布(Mw/Mn)は3.6であった。
【0056】
【化8】

【0057】
比較合成例2〔共重合体[A−7]の製造〕
還流冷却器、攪拌機を備えたフラスコに、p−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド79.9質量部、スチレン20.1質量部、乳酸エチル150質量部、メタノール150質量部、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)12.0質量部を仕込み、合成例1と同様に反応を行った。引き続き、グリシジルメタクリレート13.7質量部、トリエチルアミン1.0質量部、ヒドロキノン0.02質量部を添加し、80℃で4時間反応させ、下記式で表される共重合体[A−7]を含む重合体溶液を得た。
共重合体[A−7]のポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は10,800、分子量分布(Mw/Mn)は3.9であった。
【0058】
【化9】

【0059】
実施例1
重合体[A]として合成例1で得られた共重合体[A−1](固形分濃度:30質量%)100質量部、不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]としてトリメチロールプロパントリアクリレート17.0質量部、光ラジカル重合開始剤[C]としてイルガキュア907〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製〕7.0質量部、および溶媒として乳酸エチル146質量部を混合溶解し、0.2μmのメンブランフィルターで濾過を行い、感光性樹脂組成物の溶液を調製した。感光性樹脂組成物の性能評価結果を第1表に示す。
【0060】
実施例2〜5、比較例1〜2
重合体[A]として合成例2〜5及び比較合成例1〜2で得られた共重合体[A−2]〜[A−7]を用いた以外は実施例1と同様として感光性樹脂組成物の溶液を調製した。感光性樹脂組成物の性能評価結果を第1表に示す。
【0061】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は下記一般式(2)で表される構成単位(a2)を含有する重合体[A]と、不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、mは0〜4の整数である。)
【請求項2】
さらに、光ラジカル重合開始剤[C]を含有する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位(a2)を含有する重合体が、共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3)との共重合体である請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3)が、芳香族ビニル化合物、不飽和酸およびそのエステル、不飽和酸無水物、不飽和酸アミド、マレイミド化合物およびオレフィン系化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位(a2)を含有する重合体が、不飽和エポキシ化合物、不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物および不飽和アルコールから選ばれる少なくとも一種の化合物との共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位(a2)のカルボキシル基の少なくとも一部が、不飽和エポキシ化合物、不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物および不飽和アルコールから選ばれる少なくとも一種の化合物と反応させることにより変性されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
重合体[A]が、一般式(1)で表される構成単位(a1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位(a2) と不飽和酸又はその無水物が共重合し、該不飽和酸に由来する構成単位の少なくとも一部と、不飽和エポキシ化合物、不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物および不飽和アルコールから選ばれる少なくとも一種の化合物とを反応させることにより変性されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
共重合可能な不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物(a3) の少なくとも一部が、不飽和酸又はその無水物と、不飽和エポキシ化合物、不飽和オキセタニル化合物、不飽和イソシアナート化合物および不飽和アルコールから選ばれる少なくとも一種の化合物との反応生成物である請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物[B]が、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル、および不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド化物から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−250191(P2008−250191A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94204(P2007−94204)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000187068)昭和高分子株式会社 (224)
【Fターム(参考)】