説明

成形工具

成形工具(20)であって、この成形工具(20)は、基材(21)と、成形工具(20)の少なくとも作業面(22)に金属ガラスの層(23)とを有し、この成形工具は、
a)押し出しプレスの成形工具、
b)伸線機のダイス、
c)高分子加工装置のロール、
のうちの一つであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形工具と、ワークピース又はダクタイル・コンパウンドの少なくとも一つの表面が少なくとも一回だけ成形工具の表面に接触する、ワークピース又はダクタイル・コンパウンドの表面を変更する方法と、成形工具の外面を構造化する方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
材料加工産業には、多くの種類の成形作業がある。金属工業における成形作業は、例えば、次の加工を含むことができる。
・アルミニウム等の材料に力を加えて、金型の所定形状の開口を通過させることにより、材料の成形を行う加工として定義される、押出し成形加工。押し出された材料は、金型の開口と同じ輪郭を有する細長い部品として現れる。
・単一の金型又は一連の連続型を通して、線材を引っ張り又は引き出し、これによって、線材の直径を減少させる、金属絞り加工である、伸線加工。線材の体積に変化はないので、線材の長さは線材の新しい直径に従って変化する。
【0003】
プラスチック工業における成形作業は、例えば、次の加工を含むことができる。
・カレンダー加工のような高分子加工。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワークピースは、確定した又は未確定の寸法と形状を有する未成形体又は予備成形体である。例えば、金属又はプラスチックの中実のブロックは、ワークピースである。伸線加工では、ワークピースは、例えば、棒材である。高分子加工では、ワークピースは、例えば、プラスチック製のモノフィルムや、プラスチック層を少なくとも一層有する多層フィルムである。
【0005】
ダクタイル・コンパウンドは、固体から半固体状までの状態にある未成形の材料である。高分子加工では、ダクタイル・コンパウンドは、例えば、少なくとも部分的に軟化され、溶融され又は均一な流動性を有する、プラスチックの、又は、少なくともプラスチックの表面層を有する、塊体、シート、板又はフィルムである。
【0006】
本発明において、構造化された表面とは、表面が滑らかであることを意図されていない場合であることとする。殆どの表面が完全には滑らかでないことは勿論であるが、構造化された表面が、ワークピースの表面も滑らかでなくなるように、ワークピースの表面に転写される、意図的な粗さ、模様、隆起、陥没、畝と溝又は彫刻の形態を有する表面として定義されるならば、構造化された表面という用語の意味に包含されるものは容易に理解される。
【0007】
このような形成作業は高分子加工に応用することができる。このような形成作業の間に、成形後に成形工具の成形面に接触していたワークピースの表面の外観は、典型的な例では、この成形工具の成形面の表面の外観と同一になるか又は類似するようになる。成形工具を介して印加される荷重の総量やワークピースの材料の物理的な特性のような種々の要因が変形の程度に影響するため、ワークピースの表面は成形工具の表面の正確な複製にはなり得ない。このような要因を考慮に入れて成形条件を調節することは、ありきたりの業務である。多くの場合、ワークピースの最終的な表面を確実に作るために、成形工具の表面を誇張して形成することができる。
【0008】
特定の利益を得るために、ワークピースの表面を所望通りに変更する場合も多い。ワークピースの表面は、純粋に装飾的な理由によって変更されることも可能である。ワークピースの表面は、また、特定用途の製品の性能がワークピースの表面の特性に強く依存している場合に、この性能を向上させることを目的として、望ましい物理特性を獲得する手段として、変更されることができる。
【0009】
これらの成形工具は、それらの表面に、種々の方法の一つによって用意されたテクスチャード加工の表面を有することができる。これらの知られた方法はEDT(放電加工)テクスチャリング、サンドブラスティング又はショット・ピーニング、メカニカル・ブラッシング、ストラクチャード・クロム・デポジション(Topocromとしても知られている。)等である。これらの方法は、事実上、偶然量を含む確率論的な作業面をもたらし、そして、この成形工程の後、この表面構造はワークピースの表面に実質的に転写される。他の知られた方法は、レーザー・ビーム・テクスチャリング又は電子ビーム・テクスチャリングを含み、これらの方法は、決定論的な確定した構造を形成することができる。決定論的な確定した構造は模様を表わすことになり、又は、具体的なデザインが存在する構造になり、そして、例えば、語句、描画、格子の刻印又は商標の印影を含むことができるであろう。マルチプルパス・エンボシングの場合には、決定論的な構造は干渉効果をもたらすことが可能であるが、これに対して、確率論的な構造は、一般的に、干渉効果をもたらすことはできない。
【0010】
上述した高分子加工に使用される作業ロールにおいては、決定論的な構造は、機械削り作業によって、作業ロールの表面に付与することができるであろうが、これは費用がかかることになるであろうし、このような作業ロールの耐用期間は有限であるから、その後は、これらの作業ロールは修理調整されるか、再度機械加工される必要があり、その作業には費用がかかり、かつ、時間を要する可能性がある。更に、ワークピースの表面に形成される決定論的な構造の圧痕の品質は、成形工具の加工面の摩耗によって、時間の経過とともに低下し、長期間にわたって製造を続けると、最終製品に品質のバラツキを生じる結果になる可能性がある。
【0011】
上述した成形作業の殆どの場合には、結局は、成形作業に使用された工具類を交換し、又は、これらの工具類を修理調整する必要がある。
【0012】
ワークピースに接触する成形工具の表面に保護層を付加することによって、成形工具の寿命が延長されることがよくある。ダイスとパンチを用いる成形作業では、このような保護コーティングは、保護コーティングを形成した後にカッターで工具の輪郭をかたどる工程を行うことなく、その工具の作業面の上に施されるのが通常であり、換言すると、これらの保護コーティングは、その必要な形状が成形工具本体と成形工具それ自体の輪郭とによって規定された形状からそのまま得られるような方法で、適用される。
【0013】
保護コーティングに、決定論的な性質を有する極めて細かく詳細な模様を付与することができる。より小さな表面特徴は面白い効果をもたらす可能性があるから、興味深い。一つの知られた効果は、複雑な回析パターンから画像を作り出すことである。複雑な回析パターンを作り出すために、それらのカット・ラインの幅はサブミクロンであり、それ故、従来の工具を使用する方法によって、成形工具の表面の直上の決定論的な構造の内部に、この水準の解像度を得ることは不可能である。
【0014】
従来技術の表面構造化法は、多くの不利益を伴う。結局は、成形工具は摩滅し、成形工具に費用がかかるか、修理調整が困難である。
【0015】
また、決定論的な構造を形成することは困難であり、時には不可能である。成形工具上のコーティングの内部に、極めて微細な、サブミクロンの、決定論的な構造を形成ことは、特に困難である。更に、成形工具は、一般的に、単一の目的のための専用であり、換言すれば、一種類の形状又は表面構造のみが考慮されている。これらの成形工具は、成形工具の表面を変更するのが容易でかつ簡単であるという意味の柔軟性を提供することはない。
【0016】
本発明の目的は、成形工具の表面を容易に変更することを可能にする、新しい成形工具であって、かつ、ワークピースに転写可能な表面特徴である決定論的な構造及び極めて微細な決定論的な構造を形成することが可能な、新しい成形工具を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、成形工具自身が構造化された表面を有する成形工具を使用して、ワークピースの表面を変更する新しい方法を提供することにある。
【0018】
本発明の更に他の目的は、成形工具の表面を容易にかつ安価に形成することを可能にし、ひいては、容易にかつ安価に修理調整することを可能にし、更に、このような成形工具を整備し、修理調整する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の課題は、独立請求項1の特徴によって解決される。
この成形工具は、金属ガラスによって作られ、又は、少なくとも金属ガラスの層を有し、この成形工具は、
a)押し出しプレスの成形工具、
b)伸線機のダイ、
c)高分子加工装置のロール、
のうちの一つである。
【0020】
第1実施例では、押し出しプレスの前述の工具は、その基材である少なくとも一つの本体と、工具本体に直接に又は間接に適用される、本発明による少なくとも一つの金属ガラスの層とを含む。この金属ガラスの層は、少なくともその作業面に施される。金属ガラスの層を有するこの押し出し工具は、押し出しダイ、金型組立体(ツール・スタック)又はマンドレルのような、ワークピースの形成工程に直接に組み込まれる工具であることができる。金型組立体は、ダイ、ボルスター、バッカー、フィーダー、ダイ・マンドレル又はダイ・キャップを含むことができる。更に、金属ガラスの層を有する前述の押し出し工具は、また、コンテナ(ウォール)、プレス・プランジャー、プレス・ラム又はダミー・ブロックのような、ワークピースの成形工程に間接的に必要とされる工具であることができる。これらの工具の基材は、硬鋳鉄製又は硬鋼製のいずれかであることができる。
【0021】
第2実施例では、上述の押し出し工具は、また、完全に金属ガラスによって作られることができる。このため、この金属ガラスは塊状のバルク材料として使用される。
【発明の効果】
【0022】
金属ガラスで作られたこの工具の作業面は耐摩耗性であり、それ故、耐久性がある。更に、この金属ガラス表面は、摩耗した面を加熱して、その金属ガラス表面を復元することにより、工具に手を加えて補整することをより容易にする。
【0023】
本発明による押し出しプレスは、金属製の異形形材を製造するために使用することが可能であり、特に、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の異形形材を製造するために使用することができる。本発明による押し出し工具を有する押し出しプレスを使用して、プラスチック製の異形材を製造することもできる。
【0024】
本発明による金属ガラスの層を含む伸線機の工具は、既に述べたように、ダイス又は引抜きプレートであることができる。この金属ガラスの層は、この工具の少なくともその作業面に適用される。これらの工具の基材は、硬鋳鉄、硬鋼、ダイヤモンド又はルビーのうちのいずれか一つであることができる。成形工具(ダイ)全体を金属ガラスで作ることも可能である。この金属ガラスは、それ故、塊状のバルク材料として使用される。
【0025】
この機械は、連続伸線機又はシングル−ブロック機であることができる。この連続伸線機は一連のダイスを有し、これにより、ワークピースは、即ち、金属製の棒材は、徐々に小さくなるダイスを通して繰り返し引抜かれることにより、所望の直径と特性になるまで縮径される。
【0026】
金属ガラスで作られたこれらのダイスの作業面は、耐摩耗性を有するため、耐久性がある。更に、その金属ガラスの表面は、摩耗した表面を加熱して、その金属ガラスの表面を再建することによって、その工具に手を加えて補整することををより容易にする。
【0027】
本発明による伸線装置は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、又は、鋼等の金属で作られたワイヤーを製造するために使用することができる。
【0028】
前述の高分子加工はカレンダー加工であることができ、このカレンダー加工において、本発明による金属ガラスで被覆された工具は、滑らかな又は決定論的な、構造化された表面を有するカレンダー装置の一つ又はそれ以上の作業ロールである。
【0029】
この高分子加工は、ロール上で、好ましくはチルドロール上で、薄いフィルム、シート又はプレートを鋳造する加工であることができる。これらのロールにエンボス加工を施すことが可能であり、塊状の材料ガラスの構造は、溶融した又は軟化したポリマー上に転写されて、模様(パターン)又は表面形態(トポグラフィー)を付与する。このポリマーは、エンボス加工が施された後に凝固される。このプラスチック材料は押出し成形されることができる。その主な用途の一つは、単一層又は複数層のフィルムで作られた包装材料である。
【0030】
この高分子加工は、また、シート材料がプラスチック層によって被覆されるコーティング加工であることができる。このような工程において、例えば、包装フィルムのようなシート材料は、プラスチック材料によって被覆される。このシート材料は、単一層のフィルム又は異なる材料で構成された複数層のフィルムであることができる。このコーティングは、押し出しコーティング加工、コーティング・ナイフによるコーティング、ディップ・コーティング、ロール(ロール・コーター)によるコーティング、又は、カレンダー・コーティング加工であることができる。これら全ての加工において、本発明による金属ガラスの層を含む工具は、滑らかな又は決定論的な、構造化された表面を有する、一つ又はそれ以上のロールである。
【0031】
この高分子加工は、また、コーティングされたシート材料、ラミネートされたシート材料、又は、モノフィルムの表面処理加工であることが可能であり、又は、プラスチックで作られた少なくとも一つの表面層を含むシート又はプレートの表面処理加工であることすら可能である。このような表面処理工程は、エンボシング・カレンダ(押型機)に基づくことができる。この場合には、本発明による金属ガラスの層を含む工具は、エンボス加工ローラであることが可能であり、好ましくは、決定論的な、構造化された表面を有するチルドエンボス加工ローラであることができる。
【0032】
金属ガラスで作られたこの又はこれらのロールの作業面は、耐摩耗性であり、それ故、耐久性を有する。更に、その金属ガラス面は、摩耗した表面を加熱し、その金属ガラス面を復元させることにより、その工具に手を加えて補整することをより容易にする。更に、この又はこれらのロールの、場合によっては、構造化されている表面は、他のテンプレートによって容易に変更することができる。これらのロールの本体は、金属によって作ることができる。
【0033】
高分子加工装置で形成されたワークピース又はダクタイル・コンパウンドは、フィルム、シート、プレート又は流動性を有する塊状のバルク材料の形態を採ることができる。これらのフィルム、シート又はプレート材料は、単一のプラスチック層で作ることが可能であり、又は、プラスチックで作られた少なくとも一つの層、好ましくは、少なくとも一つの表面層を含む、複数層組織であることができる。複数層組織の他の材料は、他のプラスチック材料、金属箔、補強ファイバー又はファイバー・ファブリックであることができる。このプラスチック材料は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0034】
成形工程においては、一つよりも多い成形工具が金属ガラスで被覆され、又は、金属ガラスで作られることができる。このような加工装置の工具は、同一の又は異なる金属ガラス材料で被覆され、又は、作られることができる。
【0035】
したがって、本発明の第1の側面は、成形工具であって、この成形工具は、基材と前記成形工具の少なくとも作業面上の金属ガラスの層とを有し、そして、前記金属ガラスの層は、ワークピースの表面に金属ガラスの層の構造化された表面を再生するための構造化された表面を有することを特徴とする。
【0036】
この金属ガラスの層は成形工具の作業面に直接隣接する必要はなく、そして、他の中間層及び機能層が、例えば、熱膨張係数の相違を調整するための弾性層として、合体されることができることは、容易に認識される。
【0037】
金属ガラスは多成分系の金属の合金であり、溶融状態から十分に速い速度で冷却されると、好ましくは、固化したときにアモルファス状態を維持する。金属ガラスは、冷却後に固化すると、僅かに又は部分的に結晶化させることもできる。これらの材料は、鋼の強度の二倍の強度になることも可能であり、より大きな耐摩耗性と耐食性と有し、そして、鋼よりも高い弾性値を有する。
【0038】
ここに記載された目的に適当な金属ガラスは、例えば、一般的な合金系の、Au−Pb−Sb、Pd−Ni−P、La−Al−Ni、La−Al−Cu、La−Al−Ni−Cu、Mg−Cu−Y、Zr−Al−Ni−Cu、Zr−Ti−Cu−Ni−Al、Zr−Ti−Cu−Ni−Be、Zr−Ti−Nb−Cu−Ni−Be、Pd−Cu−Ni−P、Ni−Nb−Ta、Al−Co−Zr、Al−Ni−Ce−B、Al−Ni−Y−Co−Bの群から選択されたいずれか一つであることができる。
【0039】
これらの合金系は、それらのアモルファス状態を維持したまま、他の金属ガラスよりも低速で冷却されることが可能であるから、特に有用である。使用可能な一つの特定の合金は、重量パーセントで、Zr56.2、Ti13.8、Nb5、Cu7、Ni5.5、Be12.5を含む合金である。これらの合金は、金属ガラスの厚さがほぼ0.01から10mmまでの程度であるように、冷却されることができる。これは、本発明において重要である。その理由は、ガラス・コーティングが基材上に存在し、かつ、結合されたサーマル・マスは、極めて速い冷却速度が必ずしも可能ではないことを意味しているからである。多くの状況において、基材自体は、単独で又は他の冷却手段と組み合わせて、効果的なヒート・シンクとして使用可能である。
【0040】
極めて微細な決定論的な構造を作るということが意図された場合に、金属ガラスの層の厚さは極めて大きい必要はない。例えば、それは、厚さが0.001mmと2mmの間にある薄層であることが可能であろう。必要な表面構造がより顕著な特徴を含む場合には、その金属ガラスの層は、そのとき、より厚くなることが好ましく、0.5mmと30mmの間の厚さになることが好ましい。多くの用途には、極めて過剰なガラスがある必要はない。それは単なる材料の無駄になるであろうからである。しかし、使用されるガラス量は、その表面の内部に所望の構造を形成するために十分な量である必要がある。金属ガラスの厚さの下限値は、例えば、0.001mmであり、好ましくは、0.5mmである。金属ガラスの厚さの上限値は、意図された応用が何であるかによって定まるが、例えば、30mmよりも大きくはなく、好ましくは20mmであり、より好ましくは8mmであり、そしてより一層好ましくは5mmである。
【0041】
この基材は、以前に述べた成形方法のいずれにも使用可能な従来の成形工具に特有の如何なる適当な形状をも有することができるであろう。また、金属ガラスが沈積(デポジット)される表面の形状が特定の種類のものでなければならないというような、特殊な必要性は存在しない。金属ガラスの層は、成形工具の全体に沈積される必要はなく、この明細書中で作業面として言及され、成形され又は変更される、ワークピースに接触する面にのみ沈積されれば良い。換言すると、この作業面とは、ワークピースに荷重を印加する、成形工具の面をいう。この作業面は、ほぼ平面か又は特定の輪郭形状に形成され得る(その形状表面が少なくとも二つの寸法に変化するという意味では)。あるいは、その作業面の形状は、高分子加工装置用の作業ロールに関する事例にあるように、少なくとも円筒の表面の扇形部分であることができる。後者の事例では、その基材自体は、少なくとも部分的に円筒形であることが可能であり、又は、それは完全な円筒であることができるであろう。
【0042】
本発明の特別の利点は、金属ガラスの層の構造化された表面に、極めて微細な決定論的な構造を付与することができることである。本発明の好ましい実施例では、この構造化された表面は確定的でなければならず、そして、本発明のより好ましい実施例では、この確定的な構造化された表面は、サブミクロンの寸法の特徴を含む。
【0043】
本発明の第2の側面は、ワークピースの表面を変更するための方法であり、この方法は、このワークピースの少なくとも一つの面が、少なくとも一回は、成形工具の構造化された表面に接触する方法であって、この成形工具は、基材と、その成形工具の少なくとも作業面上の金属ガラスの層とから成り、この金属ガラスの層は構造化された表面を有し、これによって、この金属ガラスの層の構造化された表面は、ワークピースの表面に複製されることを特徴とする。
【0044】
この金属ガラスの層の組成と厚さの点から見た性質は、成形工具に関して前述した金属ガラスの層の性質と一般的には同じである。同様に、この構造化された表面は、事実上、偶然量を含む確率論的であることができるが、この構造化された表面は、決定論的であることが好ましく、そして、サブミクロンの寸法の特徴を含むことがより一層好ましい。
【0045】
しばしば、この種類の成形作業は、多くの繰り返し動作によって行われるから、本発明の他の実施例は、この方法がワークピースと成形工具の間の多数の接触を包含することにある。成形工具の表面からワークピースへの構造的な特徴の転写が完全に行われることはめったにないので、所望の最終的な表面をワークピースに生成するには、一回以上の押圧が必要とされる可能性があるので、これは、多くの場合、望ましいことである。
【0046】
更に、成形工具からワークピースへの転写は、ワークピースの厚さが殆ど又は全く減少しないほどの、極めて低い荷重の下で行うことができる。これは、エンボス動作において特に有用である。
【0047】
好ましい実施例は、この方法をプラスチック材料の加工に使用することを包含し、この方法では、成形工具は高分子加工装置の作業ロールである。
【0048】
本発明の更に他の側面は、成形工具の外面を構造化する方法であり、この成形工具は基材と金属ガラスの層とを有し、
(a)少なくとも金属ガラスの層の外面を、そのガラス転移温度よりも高い温度まで加熱する工程と、
(b)テンプレートの構造化された表面が、金属ガラスの層の外面に複製され、金属ガラスの層の上に構造化された外面が形成されるように、金属ガラスの層の外面をテンプレートの構造化された表面に、所定期間、圧力下で、接触させる工程と、
(c)金属ガラスの層の至るところでアモルファス構造又はほぼアモルファス構造を維持するのに十分な冷却速度で、少なくとも金属ガラスの層の構造化された外面を冷却する工程と、
(d)成形工具とテンプレートを分離させ、テンプレートの構造化された表面の特徴を金属ガラスの層の構造化された外面の内部に保持する工程と、
を有することを特徴とする。
【0049】
金属ガラスの表面が軟化するまで金属ガラスの表面を加熱することが可能であり、次いで、テンプレート表面に金属ガラスの表面に望ましい構造又は模様を有するテンプレートに、金属ガラスの表面を押圧することが可能であることが、驚きをもって発見されている。このテンプレートに接触した後、少なくとも金属ガラスの層の外面が冷却され、かつ、テンプレートから分離される。言うまでもなく、金属ガラスの層のバルク自体も、ある程度まで冷えることになり、このバルクは外面の冷却速度と正に同等の速度で冷えることができる。この冷却速度は、金属ガラス全体がアモルファス状態に維持されるのに十分な速度である。金属ガラスの表面に複写されているテンプレートの表面構造は、冷却後、金属ガラスの外面に維持される。テンプレートの表面構造が大きな圧痕又はへこみを有する場合には、その結果として、金属ガラスの層のバルクのいくらかも、又、変形され、金属ガラスの層は全体として同一の外形を見せることになる。このようにして形成された金属ガラスの層を有する成形工具は、その後、選択されたワークピースの表面を変更するために使用される。
【0050】
テンプレートは、銅、アルミニウム又は鋼のような従来の材料から作ることができるであろうが、好ましくは、必然的に伴う高温及び高圧に耐えることができる材料から作られる。それ故、鋼又はニッケルのテンプレートが好ましい。問題の比較的高い温度において金属ガラスからテンプレートを解放するのを容易にするために、軟化した金属ガラスにテンプレートを接触させる前に、テンプレートの表面に離型剤を塗布することができる。
【0051】
テンプレートに接触後、金属ガラスは、金属ガラスがガラス繊維温度よりも低い温度でそのアモルファス構造を確実に維持するのに十分に速い速度で、冷却される必要がある。これに必要な冷却速度は、使用される金属ガラスに依存するが、通常は毎秒10℃よりも高速であり、好ましくは毎秒100℃よりも高速であり、より好ましくは毎秒200℃よりも高速である。幾つかの状況においては、例えば、金属ガラスが大きな臨界鋳造厚さを有する場合には、又は、金属ガラスの厚さが小さい場合には、効果的な冷却は、例えば空気のような強制ガスを使用することによって、達成可能であるが、しかし、他の状況においては、より高い冷却速度をもたらすために、例えば、水又は水の噴霧のような流体手段を使用する必要がある場合もある。その他の冷却手段は、金属のような、好ましくは銅等の高い熱伝導率を有する固体材料である。
【0052】
本発明は、以下の実施例を参照して、説明される。
【実施例】
【0053】
図1において、押型機1は連続的なシート材料7を軟化させ、又は、少なくともその表面を軟化させるために、赤外線ヒーター2を含む。このシート材料7はプラスチックシートであることが可能であり、又は、プラスチック以外の一つ又はそれ以上の材料から作られたシートであって、プラスチック材料によって、特に、熱可塑性プラスチック材料によって被覆された、シートであることができる。シート材料は、例えば、金属、強化ファイバー又はファイバー・ファブリックを含むことができる。次いで、このシート材料の軟化した又は溶融したプラスチック表面は、金属ガラスで被覆され、冷却されたエンボシング・ロール4によって型押しされる。エンボシング・ロール4は第2ロール3と互いに作用し、第2ロール3は、これらのロール空隙を通過するシート材料7に逆圧を生じさせる。更に、このカレンダー装置1は、逆圧ロール3を冷却する冷却ロール5と、シート材料を冷却する冷却ロール6とを有する。
【0054】
図2において、成形工具20は、例えば、図1の下に記載されたように、高分子加工装置の円筒形作業ロールの形態を採る。成形工具20は、円筒形基材21と、作業面22上の金属ガラスの層23とを有する。この実施例において、円筒形成形工具は回転するように作られ、そして、少なくとも金属ガラスの層23の外部表面27aは、適当なヒーター24によって、金属ガラスのガラス転移温度よりも高い温度まで加熱される。このガラス転移温度よりも高い温度では、この金属ガラスは、又は、少なくともその外部表面は、変更されるのに十分な程度まで軟化されている。次いで、この金属ガラスの層の外部表面は、テンプレート25に接触させられる。この実施例では、テンプレートはニッケル・シムであって、このニッケルシムは、その少なくとも一方の面に、事実上、偶然量を含む確率論的な、又は、決定論的な確定した、構造化された表面26を有する。テンプレートの構造化された表面26は、金属ガラスの層の軟化した外面に接触し、そして、圧力が駆動ロール28a、28bを用いて印加される。接触後に、金属ガラスの層の外面は変更され、そして、金属ガラスの層の構造化された外面27bに変換される。このようにして新たに構造化された金属ガラスの層の外面を保存するために、少なくとも金属ガラスの層の構造化された外面は、この金属ガラスの層の全体にアモルファス構造を維持するために十分な速度で、冷却される。作用面側と外面側とから金属ガラスの層を冷却することは、同様に、可能である。この方法は連続系であることが可能であり、ここに記載された表面変更方法が何回も繰り返し可能であることは、本発明の範囲内である。もしも、これが本実施例に適用される場合には、金属ガラスの層の構造化された外面27bは、更に回転して、前と同じように加熱され、そして、テンプレートと接触することによって2回又は3回と構造化されることができる。このようにして、金属ガラスの層の最初に構造化された表面が所期の目的に適当でないと思われる場合には、この表面は更に改良されかつ磨きをかけられる。
【0055】
他の実施例では、テンプレートは、連続ループの最初の部分に戻る他の一連のロール(図示せず。)を回って供給されることができる。このような場合には、テンプレートの長さは、特に、形成される構造が決定論的である場合には、基材の円筒形作業ロールの直径に対応するように、注意深く制御されることができる。円筒形作業ロールの直径は重要ではない。成形工具とテンプレートはB点の領域で分離される。幾つかの状況下では、例えば、ガラス転移温度が高く、金属ガラスとテンプレートが固着する危険性があるときには、分離を容易にするために、適当な離型剤がテンプレートの構造化された表面に塗布される。
【0056】
標準的なヒーターは、赤外線ヒーターのように伝導と対流によって加熱する誘導加熱器であろうが、このヒーターには、例えば、コンタクト・ヒーター、火炎ヒーター、ジュール効果ヒーター又はその他の適当な加熱装置も含まれる。
【0057】
金属ガラスの層の構造化された表面と金属ガラスの層自体の冷却は、テンプレートと成形工具が接触している状態で、即ち、この実施例ではテンプレートと成形工具が分離される前に、開始することができる。この冷却は、ヒート・シンクとして機能する基材自体の塊体(バルク)によって行うことが可能であり、この冷却は、基材に組み込まれた冷却システムを使用することによって改善可能である。円筒形作業ロールが給水系統のような冷却流体を含むことは一般的なことであり、この冷却流体は、必要とされる急速冷却を支援するように使用されることができる。冷却は、例えば、空冷のように、Bという印が付けられた領域付近の出口側に適用される強制ガスによって、更に、増進可能である。
【0058】
次に、図2に示された方法によって構造化された表面を有する成形工具は、図1に示したようなラミネートやフィルムや包装のような、ワークピースやダクタイル・コンパウンドの構造を変更するために、高分子加工又はプラスチック・コーティング工程に使用することができる。
【0059】
図3は、金属製異形材32a、32bを製造するための押し出しプレスの金型組立体31を示す。この金型の作業面は、金属ガラスの層によって被覆され、この金属ガラスの層は耐摩耗性であり、かつ、この金属ガラスの層を単に再構築することによって摩滅した金型を再生することを容易にする。
【0060】
図4は、線材42と、第1及び第2の金型45a、bと、引張りブロック43と、滑車及び速度制御装置44と、仕上げ引張りブロック46とを有する、伸線機41を示す。金型45a、bの作業面は金属ガラスの層で被覆され、この金属ガラスの層は耐摩耗性であり、かつ、この金属ガラスの層を単に再構築することによって摩滅した金型を再生することを容易にする。
【0061】
図5は、太い部分48と、金型を通過した後の細い部分49とを有する、ワイヤー47を含む、ワイヤーの縮径加工の拡大図を示す。
【0062】
本発明による工具と方法は、様々な利点を提供する。これらの工具と方法は、一の製造プラントから他の製造プラントにより高い再現精度を可能にする。例えば、ほぼ同一の工具を製造するために同一のテンプレートを使用することができるから、二つの類似する成形工具を異なる場所で作ることができる。このテンプレートは一の製造プラントから他の製造プラントに移動することが可能であり、そして、その成形工具の作業面は、異なる場所で、全く同じ方法で、構造化することができる。これは、製造されるワークピースの最終形態に一貫性を保証することになる。更に、本当に最初に構造化された成形工具を母型工具として使用することが可能であり、そして、この成形工具は、他の場所で使用される数多くのテンプレートを製造するために使用することが可能であり、また、一つの製造設備から他の製造設備に製造の一貫性を実現させる。
【0063】
記述された方法は、極めて小さくかつ決定論的な表面の特徴を創作を、単純でかつ効果的な方法で可能にする。この方法は、多くの形成産業において広範な利益を有することになり、かつ、いくつかの後続する加工工程を除去する可能性を有することになる。例えば、形成作業がワークピースのマーキングも可能にする場合には、後続する工程が他の方法を使用して行うマーキング工程又は印刷工程は、免除されることができる。これは、使用者に、彼らの生産した製品をより容易にかつ明確に他から区別するための手段を提供する。
【0064】
本発明による工具と方法は、成形工具の寿命をより長くすることを容易にする。その金属ガラスの層の特性は、工具寿命を長くするために十分に相応しいものである。高強度及び高靭性と結合されたそれらの高い弾性ひずみの限界は、金属ガラスの層が、金属ガラスの降伏強度からかけ離れた形成作業中に、依然として完全に弾性範囲内にあることを意味する。この結果、金属ガラスの層の構造化された表面は、他の成形工具の保護層よりも遥かに長期間にわたって、その一体性を保持する。
【0065】
更に、金属ガラスの表面層を再加熱し、金属ガラスの表面層を以前に形成したのと全く同じ方法でその構造を修理調整することにより、その成形工具とその作業面の寿命を更に延長することが可能であり、そして、その表面構造の品質の劣化を容易に修正することができる。
【0066】
更に、同一の検査及び修理調整工程は、製造者に、最小限の労力で、その作業面の構造を変化させることを可能にあする。これは、設計及び生産計画により一層の柔軟性を与える。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】押型機(エンボシング・カレンダー)の概略図である。
【図2】高分子加工装置の作業ロールに接続した場合に、金属ガラスの層の外面を構造化する方法の一つを示す概略図である。
【図3】押し出しプレスの金型組立体を示す図である。
【図4】伸線機を示す図である。
【図5】ワイヤーの縮径部分の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形工具(20)であって、前記成形工具は、工具本体(21)と、金属ガラスの少なくとも層(23)とを有し、前記金属ガラスの層(23)は、前記成形工具(20)の少なくとも作業面(22)を覆い、前記成形工具は、
a)押し出しプレスの成形工具、
b)伸線機のダイ、
c)高分子加工装置のロール、
のうちの一つであることを特徴とする、成形工具(20)。
【請求項2】
請求項1に記載された成形工具において、前記金属ガラスの層は、滑らかな表面を有することを特徴とする、前記成形工具。
【請求項3】
請求項1に記載された成形工具において、前記金属ガラスの層(23)は、ワークピース又はダクタイル・コンパウンドの表面に前記金属ガラスの層の構造化された表面(27b)を再生するために、構造化された表面(27b)を有することを特徴とする、前記成形工具。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載された成形工具において、前記成形工具の前記作業面と、前記金属ガラスの層との間に、少なくとも一つの他の機能層が存在することを特徴とする、前記成形工具。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載された成形工具において、前記金属ガラスの層の厚さの下限値は1μmであり、好ましくは10μmであり、最も好ましくは500μmであり、かつ、前記金属ガラスの層の厚さの上限値は30mmであり、好ましくは10mmであり、最も好ましくは5mmであることを特徴とする、前記成形工具。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載された成形工具において、前記基材の前記作業面は、実質上、平面であることを特徴とする、前記成形工具。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載された成形工具において、前記金属ガラスの前記構造化された表面は、確定的であることを特徴とする、前記成形工具。
【請求項8】
請求項7に記載された成形工具において、前記確定的な構造は、1μmよりも小さい寸法を有する形態を含むことを特徴とする、前記成形工具。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載された成形工具において、前記金属ガラスの層の組成は、Au−Pb−Sb、Pd−Ni−P、La−Al−Ni、La−Al−Cu、La−Al−Ni−Cu、Mg−Cu−Y、Zr−Al−Ni−Cu、Zr−Ti−Cu−Ni−Al、Zr−Ti−Cu−Ni−Be、Zr−Ti−Nb−Cu−Ni−Be、Pd−Cu−Ni−P、Ni−Nb−Ta、Al−Co−Zr、Al−Ni−Ce−B、Al−Ni−Y−Co−Bの合金系からなる群から選択された合金であることを特徴とする、前記成形工具。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載された成形工具において、押し出しプレスの前記成形工具は、押し出しダイ、金型組立体(ツール・スタック)又はマンドレルのうちの一つであることを特徴とする、前記成形工具。
【請求項11】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載された成形工具において、高分子加工装置の前記成形工具は、一つ又はそれ以上のロールであって、特に、エンボシング・ロールであることを特徴とする、前記成形工具。
【請求項12】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載された成形工具において、前記高分子加工は、カレンダー加工、シート材料がプラスチック層で被覆されるコーティング加工、エンボシング・カレンダー加工のようなプラスチック表面処理加工のうちの一つであることを特徴とする、前記成形工具。
【請求項13】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載された成形工具において、前記押し出しプレス又は前記伸線機のダイは、全体がバルク金属ガラスによって作られていることを特徴とする、前記成形工具。
【請求項14】
ワークピースの表面を変更するための方法であって、前記ワークピースの少なくとも一つの表面が成形工具の構造化された表面に少なくとも一回は接触する、前記方法において、前記成形工具は、基材と、前記成形工具の少なくとも作業面上の金属ガラスの層とを有し、前記金属ガラスの層は構造化された表面を有し、これにより、前記金属ガラスの層の前記構造化された表面が、前記ワークピースの表面に再生されることを特徴とする、ワークピースの表面を変更する方法。
【請求項15】
請求項14に記載された方法において、前記ワークピースと前記成形工具との間に複数回の接触があること、好ましくは、二回、三回又は四回の接触があることを特徴とする、前記方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載された方法において、前記成形工具は、押し出しプレスの成形工具、伸線機のダイ及び高分子加工装置のロールのうちの一つであることを特徴とする、前記方法。
【請求項17】
請求項14又は15に記載された方法において、成形中に印加される圧力は、本質的に前記ワークピースの厚さを減少させないことを特徴とする、前記方法。
【請求項18】
成形工具(20)の外面(27a)を構造化するための方法において、前記成形工具(20)は、基材(21)と金属ガラスの層(23)を有し、又は、全体が金属ガラスによって作られ、前記方法は、
(a)少なくとも前記金属ガラスの層の外面(27a)を、そのガラス転移温度よりも高い温度まで加熱する工程と、
(b)テンプレート(25)の形成された表面(26)が、前記金属ガラスの層(23)の前記構造化された外面(27b)に再生されるように、前記金属ガラスの層(23)の外面(27a)を、テンプレート(25)の構造化された表面(26)に、所定期間、加圧下で、接触させる工程と、
(c)前記金属ガラスの層(23)の全体をアモルファス構造に保つのに十分な速度で、前記金属ガラスの層(23)の少なくとも前記構造化された外面(27b)を冷却する工程と、
(d)前記成形工具(20)と前記テンプレート(25)が分離され、前記テンプレート(25)の前記構造化された表面(26)の形態が、前記金属ガラスの層(23)の前記構造化された外面(27b)の中に維持される工程と、
を有することを特徴とする、成形工具(20)の外面(27a)を構造化するための方法。
【請求項19】
請求項18に記載された方法において、前記工程(a)乃至(d)が少なくとも一回は繰り返されることを特徴とする、前記方法。
【請求項20】
請求項18又は19に記載された方法において、前記加熱工程は、誘導加熱器を使用して行われることを特徴とする、前記方法。
【請求項21】
請求項18又は19に記載された方法において、前記加熱工程は、赤外線ヒーターを使用して行われることを特徴とする、前記方法。
【請求項22】
請求項18乃至21のうちのいずれか一項に記載された方法において、前記金属ガラスの層の冷却は、前記基材の内部の冷却系によって補助されることを特徴とする、前記方法。
【請求項23】
請求項18乃至22のうちのいずれか一項に記載された方法において、前記テンプレートはニッケル・シムであることを特徴とする、前記方法。
【請求項24】
請求項18乃至23のうちのいずれか一項に記載された方法において、前記成形工具は、押し出しプレスの成形工具、伸線機のダイ及び高分子加工装置のロールのうちの一つであることを特徴とする、前記方法。
【請求項25】
請求項18乃至24のうちのいずれか一項に記載された方法において、前記テンプレートの前記形成された表面に離型剤が施されいることを特徴とする、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−506895(P2009−506895A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529474(P2008−529474)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009629
【国際公開番号】WO2007/028410
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(504313044)アルカン テヒノロギー ウント メーニッジメント リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】ALCAN TECHNOLOGY & MANAGEMENT LTD.
【住所又は居所原語表記】Badische Bahnhofstrasse 16, CH−8212 Neuhausen am Rheinfall, Switzerland
【Fターム(参考)】