説明

成形装置、成形型の製造方法、光学素子アレイ板の製造方法、電子素子モジュールの製造方法、電子情報機器

【課題】多数の高精度転写体を形成した転写体集合基板を短時間・高量産性で形成できる成形装置、製造方法を提供する。
【解決手段】転写型としての転写マスタ9のサイズを1パターンと小さくすると共に、光照射装置11を基板保持部4の上方に配置して該光照射装置11から紫外線などの光を斜め下方向に照射し、透明基板の裏面または基板保持部4の基板保持面で光を反射させ、該反射光を転写体材料に照射して光硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状精度がナノメートルオーダであり、外形精度がミクロンオーダであり、高さがミリメートルオーダである形成物を複数作成する成形装置、この成形装置に用いた成形型の製造方法、この成形型を用いて作製した成形金型を用いる光学素子アレイ板の製造方法、この光学素子アレイ板の製造方法により製造され、入射光を集光する複数のレンズまたは、出射光を直進させたり入射光を所定方向に曲げて導いたりする複数の光学機能素子などの光学素子アレイ板と、各レンズにそれぞれ対応して、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子または、各光学機能素子にそれぞれ対応して、出射光を発生させるための発光素子および/または入射光を受光するための受光素子などの電子素子とが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールから一括切断して製造する電子素子モジュールの製造方法、この電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)または、この電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などの電子情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学商品やIT関連部品の開発において、精度の高い形状を作成する技術が求められている。例えば、光学商品分野では、ホログラムレンズやカメラモジュールレンズ、導波路などの光学素子がある。IT関連では、プリズム、レンズ、導波路を組み合わせた光通信モジュールなどがある。
【0003】
その中において、高解像度のCMOSカメラモジュールに使われるカメラモジュールレンズ(以下、単にレンズという)は、ナノメートルオーダーの正確な非球面形状や、ミクロンオーダーの厚さ精度を必要とすると共に、低コストでの製造が要求されている。
【0004】
従来から行われている転写成形方法では、高精度転写マスタと転写ベースの間に樹脂を挟み込んで、押圧しながら光照射により樹脂を硬化させる方法によって成形物を形成していた。転写マスタと転写ベースの間にある樹脂を光によって硬化させる必要があるため、転写マスタまたは転写ベースのいずれ一方は、光を透過させることができる透明材料が用いられている。転写マスタまたは転写ベースを保持する保持機構も、光を通過させる必要があるため、透明材料とする必要がある。このことが特許文献1に記載されている。
【0005】
図12は、特許文献1に記載されている従来の基準格子製造方法および基準格子製造装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
【0006】
図12において、従来の基準格子製造装置100は、表面に所定の微細凹凸形状パターンが形成された基準格子を製造する装置であって、下面に微細凹凸形状パターン101aが加工された平板状転写マスタ101と、平板状転写マスタ101の微細凹凸形状パターン101aに対向する成型用平面102aを有するレプリカベース102と、微細凹凸形状パターン101aが転写された光硬化性樹脂層103に紫外線光を照射するUV光源(紫外線照射部)104とを有している。
【0007】
なお、転写マスタ101は、円柱形状に形成され、レプリカベース102は長方形状に形成されているが、夫々の形状を逆にしてもよいし、または両方とも円柱形状か長方形状としてもよい。
【0008】
転写マスタ101は、例えばアルミニウムなどの金属材料(光不透過性材料)の下面に微細凹凸形状パターン101aが切削加工されている。この微細凹凸形状パターン101aは、例えばシングルポイントダイアモンドバイトと圧電アクチュエータを用いた高速工具サーボ機構が搭載された工作機械による超精密切削加工で製作されている。
【0009】
このレプリカベース102は、ガラスなどの透明な光透過性材料により形成されており、上面に光硬化性樹脂103が塗布される成型用平面102aを有している。この成型用平面102aの上方には、転写マスタ101の微細凹凸形状パターン101aが対向するように、昇降機構(図示せず)により転写マスタ101が昇降可能に支持されている。
【0010】
図示しない樹脂塗布装置により、透明なレプリカベース102の成型用平面102aに液状の光硬化性樹脂が塗布されると、平板状転写マスタ101は降下して、下面側の微細凹凸形状パターン101aが成型用平面102a上に塗布された光硬化性樹脂層103に押圧される。この押圧力によって、光硬化性樹脂層103上に微細凹凸形状パターン101aと同じ精密な微細凹凸形状パターンが均等に転写される。
【0011】
したがって、平板状転写マスタ101の全面積に均等な圧力が作用して微細凹凸形状パターン101aの全面を光硬化性樹脂層103に均等に押圧することが可能になる。
【0012】
このとき、従来の光硬化性樹脂層103は、まだ光硬化しておらず、流動性を有しているため、その上面が微細凹凸形状パターン101aによって押圧されると共に、微細凹凸形状パターン101aの凹凸形状に沿うように移動しながら成型される。これにより、光硬化性樹脂層103の表面には、微細凹凸形状パターン101aと同じ精密な微細凹凸形状パターンが転写される。
【0013】
なお、光硬化性樹脂103としては、主に紫外線照射によって硬化する紫外線硬化樹脂を用いるが、これ以外でも、紫外線以外の光に反応して硬化する樹脂材を用いても良いのは勿論である。
【0014】
また、レプリカベース102の下方には、紫外線を発光するUV光源104が配置されている。よって、レプリカベース102の上面に塗布された光硬化性樹脂は、レプリカベース102の下面側に設けられたUV光源104から発光された紫外線が透明なレプリカベース102を透過して照射されることにより短時間で硬化する性質を有している。
【0015】
このため、この基準格子製造装置100では、これらの平板状転写マスタ101の微細凹凸形状パターン101aとレプリカベース102の成型用平面102aとの間に光硬化性樹脂層103を介在させ、この光硬化性樹脂層103に微細凹凸形状パターン101aを押圧させた状態で、光硬化性樹脂層103の下方側から紫外線を照射して光硬化性樹脂層103を硬化させる。これにより、光硬化性樹脂層103の上面には、微細凹凸形状パターン101aが転写された微細凹凸形状パターンを完成させることができる。
【0016】
所定時間(光硬化性樹脂103の材質や光硬化性樹脂層103の厚さなどによって決まる)が経過すると、光硬化性樹脂層103全体が光硬化しており、UV光源104を消灯させて平板状転写マスタ101を上昇させる。この平板状転写マスタ101は、所定高さの離間位置に上昇すると、光硬化性樹脂層103を平板状転写マスタ101の下面から離型することが可能になる。
【0017】
このように、従来の基準格子製造装置100を用いた製造方法では、平板状転写マスタ101およびレプリカベース102の大きさを自由に設定できるので、基準格子の大きさに拘わりなく、微細凹凸形状パターンを高精度且つ効率良く加工することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2006−64455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来技術に用いられる転写マスタは、高精度の複数のパターン形状を1個ずつ機械加工で形成する手法が記載されている。精度が高ければ高い程、加工に長時間が必要となる。例えば形状精度100nmで3mmサイズの加工を行えば、加工時間10分以上が必要であり、例えば3000個の加工を行えば、加工だけで21日が必要となる。測定と修正を行えば、1つの転写マスタの形成には30日以上の長時間が必要となり、これでは、あまりにも量産性が低く、かつ非常に高価なものとなってしまう。
【0020】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、高精度の多数の転写体を形成した転写体集合基板を短時間で形成することができる量産性が高い成形装置、この成形装置に用いた成形型の製造方法、この成形型を用いて作製した成形金型を用いる光学素子アレイ板の製造方法、この光学素子アレイ板の製造方法により製造され光学素子アレイ板と電子素子とが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールから一括切断して製造する電子素子モジュールの製造方法、この電子素子モジュールの製造方法で製造された電子素子モジュールを、画像入力デバイスとして撮像部に用いた電子情報機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の成形装置は、複数の転写体を特定波長から見て透明な基板上に順次形成する成形装置において、 該基板を保持可能とする基板保持部と、該基板上に転写体材料を所定量供給するディスペンス装置と、転写型により該転写体材料を押圧して該転写体材料に転写形状を転写する転写装置と、該転写体材料を押圧した状態で転写体材料硬化用の光を照射するための光照射装置と、該基板を保持した基板保持部を、ディスペンス位置と転写・材料硬化位置間で搬送する搬送装置とを有し、該光照射装置からの光を該透明な基板に照射し、該透明な基板の裏面または該基板保持部の基板保持面で反射した反射光を該転写体材料に照射して該転写体材料を光硬化させるものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0022】
また、好ましくは、本発明の成形装置における転写型および前記基板保持部は、金属材料または光を通さないかまたは反射する材料により構成されている。
【0023】
さらに、好ましくは、本発明の成形装置における転写型は、1パターンまたは、前記基板上に設けられる転写体の数を割り切ることができる数の複数パターンが転写形状パターンとして端面に形成されている。
【0024】
さらに、好ましくは、本発明の成形装置における転写形状パターンの表面には、離形用の保護膜が形成されている。
【0025】
さらに、好ましくは、本発明の成形装置におけるディスペンス装置に装着されたディスペンサおよび/または前記転写装置に装着された転写型と、前記基板保持部上の基板とを接近または離間させる駆動装置を有している。
【0026】
さらに、好ましくは、本発明の成形装置におけるディスペンス装置は、前記転写体材料を所定量供給するディスペンサを保持し、該ディスペンサの供給口およびその周辺を前記転写体材料硬化用の光から遮光する遮光部材を更に有している。
【0027】
さらに、好ましくは、本発明の成形装置における光照射装置は、一または複数設けられ、該複数の光照射装置は、前記基板の上方位置に、光硬化させる転写体材料を中心に平面視で取り囲むように等間隔に配設されている。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明の成形装置における光照射装置は、光照射する斜め下方向を調節可能に取り付けられている。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明の成形装置における基板の表面には、該基板の位置を確認するための一または複数の位置認識マークが設けられており、該位置認識マークが検出されて該基板の位置および該基板上の位置を認識する位置認識手段を更に有する。
【0030】
さらに、好ましくは、本発明の成形装置において、前記基板を前記基板保持部上の所定位置に基板搬送手段により搬送し、該基板を該基板保持部上に固定した後に、位置認識手段により該基板の位置を認識し、前記搬送装置により該基板保持部を該基板と共に移動させた第1位置において前記ディスペンス装置により前記転写体材料を該基板上にディスペンスする処理を実行し、該搬送装置により該基板保持部を該基板と共に移動させた第2位置において前記転写型の転写形状により該ディスペンスした転写体材料を押圧する処理を実行し、該転写型による押圧状態で該転写体材料に、前記光照射装置からの光を反射させた反射光を該転写体材料に照射して該転写体材料を光硬化させる処理を実行し、硬化した転写体から該転写型を離間させて該基板上に該転写体を形成する処理を実行し、該第1位置以降の各処理を繰り返して、該基板上に複数の転写体を形成するように制御する制御手段を更に有する。
【0031】
本発明の成形型の製造方法は、本発明の上記成形装置を用いて、端面に転写形状が形成された転写型と透明な基板の間に転写体材料を注入するディスペンス工程と、該転写型の転写形状により該転写体材料を押圧して該転写形状を該転写体材料に転写する転写工程と、該転写型の該転写体材料への押圧状態で、光照射装置からの転写体材料硬化用の光を該基板の裏面または、該基板が保持される基板保持部の基板保持面で反射させた反射光を該転写体材料に照射して該転写体材料を硬化させる光硬化工程と、硬化した転写体を該転写型から離形させる離形工程とを有し、これらの各工程を複数回繰り返して該基板上に複数の転写体を形成した成形型となる転写体集合基板を形成するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0032】
また、好ましくは、本発明の成形型の製造方法において、転写体集合基板の複数の転写体側の全面に金属膜をコーティングする金属膜コーティング工程を更に有する。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の成形型の製造方法における光照射装置は、光硬化させる転写体材料を中心に平面視で取り囲むように等間隔に複数配設され、複数の方向からの反射光により中心部の該転写体材料を満遍なく光照射して該転写体材料を光硬化させる。
【0034】
本発明の光学素子アレイ板の製造方法は、本発明の上記成形型の製造方法により製造された成形型を一方成形型と他方成形型として用いて該一方成形型と該他方成形型で樹脂材料を挟み込んで成形する光学素子アレイ板の製造方法において、該他方成形型の成形面に該樹脂材料を供給する樹脂材料供給工程と、該樹脂材料を所定間隔空けて該一方成形型と該他方成形型で挟み込む樹脂成形工程と、該樹脂材料を成形された状態で硬化させる樹脂材料硬化工程と、該一方成形型と該他方成形型を離間して硬化した樹脂成形物を取り出す樹脂成形物取り出し工程とを有し、該樹脂成形物として、複数の光学素子がマトリクス状に配列された光学素子アレイ板を製造するのものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0035】
本発明の電子素子モジュールの製造方法は、本発明の上記光学素子アレイ板の製造方法による一または複数種類の光学素子アレイ板の製造工程と、複数の電子素子が形成された電子素子ウエハに透明カバー部材を貼り合わせ、該一または複数種類の光学素子アレイ板を、アライメントを取って、各電子素子の中心と各光学素子の中心とがそれぞれ対応するように該透明カバー部材上に貼り合わせる電子素子ウエハモジュールの製造工程と、該電子素子ウエハモジュールとして積層された一体化物を、ブレード、ワイヤおよびレーザ照射のうちの少なくともいずれかによって一括切断してチップ状の個片化された電子素子モジュールを製造する一括切断工程とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0036】
また、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法における電子素子は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子である。
【0037】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子モジュールの製造方法における電子素子は、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子のうちの少なくともいずれかを有している。
【0038】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールをセンサモジュールとして撮像部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0039】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0040】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0041】
本発明においては、光照射装置からの光を透明な基板に照射し、透明な基板の裏面または基板保持部の基板保持面で反射した反射光を転写体材料に照射して転写体材料を光硬化させている。
【0042】
このように、転写型が1パターンや数パターンとサイズが小さいので、光照射装置から硬化用の光を転写体材料に照射する際に、光照射装置を基板保持部の上方に配置し、転写型も基板保持部も光を透過しない金属材料で構成しても、光照射装置を基板保持部の上方に配置し、光照射装置から斜め下方向に光照射して転写体材料にその反射光を照射することが可能となる。このように、転写型も基板保持部も光を透過しない熱伝導性もよく加工精度が高く剛性の有る金属材料で構成することが可能となって転写体材料に対して高精度な転写が可能となる。転写型は、1パターンや数パターンまたは、基板上に設けられる転写体の数を割り切ることができる数の複数パターンが転写形状パターンとして端面に形成されているので、基板上に設けられる転写体の数だけ全て高精度に形成する従来の高精度金型に比べて、転写型が最小の1パターンとして、それを1個1個転写して多数の転写体を形成する時間を全て合計しても大幅にその製造時間が短くなって、高精度の多数の転写体を形成した転写体集合基板を短時間で量産性高く形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0043】
以上により、本発明によれば、転写型が1パターンや数パターンとサイズが小さいので、光照射装置から硬化用の光を転写体材料に照射する際に、光照射装置を基板保持部の上方に配置し、転写型も基板保持部も光を透過しない金属材料で構成しても、光照射装置を基板保持部の上方に配置し、光照射装置から斜め下方向に光照射して転写体材料にその反射光を照射することができるため、転写型も基板保持部も光を透過しない熱伝導性もよく加工精度が高く剛性の有る金属材料で構成することができて、基板上に設けられる転写体の数だけ全て高精度に形成する従来の高精度金型に比べて、転写パターンを各転写体材料に1個1個転写して多数の転写体を形成する時間を全て合計しても大幅にその製造時間が短くなって、高精度の多数の転写体を形成した転写体集合基板を短時間で量産性高く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態1における成形装置の要部構成例を模式的に示す要部縦断面図である。
【図2】図1の樹脂ディスペンス装置を用いて基板上の所定位置に適量の樹脂材料をディスペンスする状態を模式的に示す要部縦断面図である。
【図3】図1の転写マスタによる転写後に光照射装置を用いて樹脂転写体材料を光硬化させる状態を模式的に示す要部縦断面図である。
【図4】図1の遮光板の遮光機能を説明するための要部縦断面図である。
【図5】図1の転写マスタによる転写状態を拡大して模式的に示す要部縦断面図である。
【図6】図1の光照射装置による光硬化処理を模式的に示す平面図である。
【図7】図1の転写マスタと樹脂転写体との離形処理を模式的に示す要部縦断面図である。
【図8】本発明の実施形態1における成形装置の別の要部構成例を模式的に示す要部縦断面図である。
【図9】本発明の実施形態2における成形装置の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。
【図10】本発明の実施形態3に係るセンサモジュールの要部構成例を示す縦断面図である。
【図11】本発明の実施形態4として、本発明の実施形態3のセンサモジュールを撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【図12】特許文献1に記載されている従来の基準格子製造方法及び基準格子製造装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に、本発明の成形装置を用いた成形型の製造方法の実施形態1、この成形型の製造方法により製造された成形型または、これを成形元型として用いて作製した成形型を用いる光学素子アレイ板の製造方法の実施形態2、この光学素子アレイ板の製造方法により製造された光学素子アレイ板を用いてモジュール化された電子素子ウエハモジュールを個片化する電子素子モジュールの製造方法の実施形態3、この電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールとしてのセンサモジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の実施形態4について、順次図面を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における成形装置の要部構成例を模式的に示す縦断面図であり、図2は、図1の樹脂ディスペンス装置を用いて基板上の所定位置に適量の樹脂材料をディスペンスする状態を模式的に示す要部縦断面図であり、図3は、図1の転写マスタによる転写後に光照射装置を用いて樹脂転写体材料を光硬化させる状態を模式的に示す要部縦断面図である。
【0047】
図1〜図3に示すように、本実施形態1の成形装置1は、高精度な複数の樹脂転写体2を配置する成形型としての転写体集合基板となる透明ガラス板などの透明な基板3を保持する基板保持部4と、この基板保持部4を基板3と共にX方向に移動制御するX方向基板保持機構駆動装置5と、この基板保持機構駆動装置5を基板保持部4および基板3と共に、X方向に直交するY方向に移動制御するY方向基板保持機構駆動装置6と、樹脂転写体2となる適量の樹脂材料2a(転写体材料)を基板3上の所定位置に樹脂ディスペンサ7から吐出可能とする樹脂ディスペンス装置8と、転写型としての転写金型である転写マスタ9の下端面形状を樹脂転写体2の上面形状として転写するための転写装置10と、樹脂転写体2としてその樹脂材料2aを光硬化するための光を照射する光照射装置11と、図示しない基板搬送手段の他、これらの基板保持部4および各装置を順次制御して駆動させる制御手段(図示せず)とを有している。
【0048】
本実施形態1の成形装置1を用いた成形型としての転写体集合基板(硬化物集合体基板)の製造方法は、下端面側に転写形状として1パターンが形成された転写マスタ9を用いて1つの樹脂転写体2を形成する動作を複数回繰り返して実施することにより、高精度で複数の樹脂転写体2を順次形成すると共に高精度短時間転写(高量産性)を実現することが可能となる。
【0049】
基板保持部4は、光を透過しない熱伝導性がよく加工性に優れ剛性の有る金属製であり、高精度に平坦な基板保持面に吸引口が所定間隔毎に形成されており、吸引口からの吸引により透明ガラス基板などの基板3の裏面を基板保持面に吸着して保持すると共に、吸引口からの吸引解除により、基板保持面から、複数の樹脂転写体2が配置された基板3(成形型としての転写体集合基板)を脱着することができる。
【0050】
X方向基板保持機構駆動装置5およびY方向基板保持機構駆動装置6は、基板保持部4を搭載した基板3を、基板搭載位置から樹脂ディスペンス7の下方の所定ディスペンス位置(第1位置)に移動させ、さらに、転写マスタ9の下方の所定転写位置(第2位置)に移動制御する。これらのディスペンス位置(第1位置)および転写位置(第2位置)に対して、高精度位置検出機構と高精度移動精度を持つ搬送機構とにより移動制御が為されて、複数の樹脂転写体2を高精度に順次ディスペンスおよび転写することができる。ディスペンス位置(第1位置)でのディスペンス時間は1秒以下であり、転写位置(第2位置)での1つの転写時間および光硬化時間は、数十秒程度(例えば10秒〜60秒)であり、これらのディスペンス時間および転写時間は非常に短い。これによって、高量産性が確保される。
【0051】
これらのX方向基板保持機構駆動装置5およびY方向基板保持機構駆動装置6により、基板3を保持した基板保持部4を、ディスペンス位置と転写・材料硬化位置間で搬送する搬送装置を構成している。
【0052】
なお、これらのX方向基板保持機構駆動装置5およびY方向基板保持機構駆動装置6の他に、図示していないが、高さ方向の位置調整のために、X方向およびY方向に直交するZ方向(上下方向)に基板保持部4を移動制御可能とするZ方向基板保持機構駆動装置を有していてもよく、これらによって高精度X,Y,Z位置移動機構を構成するようにしてもよい。
【0053】
樹脂ディスペンス装置8は、樹脂材料2aを吐出制御可能とする樹脂ディスペンサ7と、この樹脂ディスペンサ7を所定位置に固定して、基板3上の所定位置への樹脂材料2aのディスペンス時に、樹脂ディスペンサ7を上下動させる樹脂ディスペンサ上下駆動装置8aと、図4に示すように、吐出口7aの詰まりを防止するために、樹脂ディスペンサ7の吐出口7a(供給口)およびその周りを覆って、ディスペンス待機時に、その吐出口7a(供給口)およびその周りを樹脂材料硬化用の光から遮光する筒状の遮光部材としての遮光板8bとを有している。
【0054】
この樹脂ディスペンサ上下駆動装置8aは、シリンダー、ボールねじ機構およびリニアモータなどの各種駆動機構(ここではシリンダーを示している)により構成されて樹脂ディスペンサ7を上下動させるものである。遮光板8bは、樹脂ディスペンサ7の先端部(吐出口7a)に樹脂硬化用の光が入り込むことによって先端部(吐出口7a)に付着した樹脂材料が光硬化することによるディスペンス障害(吐出口7aの詰まり)を防止している。
【0055】
この樹脂ディスペンサ上下駆動装置8aにより、ディスペンス装置8に装着されたディスペンサ7と基板保持部4上の基板3とを接近または離間させる駆動装置を構成することができる。
【0056】
転写マスタ9は、1パターンのみ(基板3上に設けられる転写体の数よりも少ない複数パターンでもよいが、ここでは1パターンとして説明する)が精密加工によりその端面形状パターンとして形成されている。この転写マスタ9の端面形状パターンの加工時間は10分程度である。この転写マスタ9の端面形状パターン側には、図5に示すように離形用の保護膜としての薄い皮膜9aが形成されている。この薄い皮膜9aによって、樹脂転写体2の樹脂材料の硬化後、転写マスタ9と樹脂転写体2との離形性を向上させると共に、転写マスタ9の端面上を保護して端面形状パターンの劣化を防止している。これによって、転写マスタ9の端面形状パターンの形状精度が高精度により長く維持され得る。
【0057】
転写装置10は、転写マスタ9を最適位置に保持する保持機構を持つ転写マスタ保持部10aと、転写マスタ保持部10aを転写マスタ9と共に上下に移動させる転写マスタ上下駆動装置10bとを有している。この転写マスタ上下駆動装置10bは、シリンダー、ボールねじ機構およびリニアモータなどの各種駆動機構(ここではボールねじ機構を示している)により構成されて転写マスタ9をを上下動させるものである。この転写マスタ9の転写マスタ上下駆動装置10bによる移動距離の精度は樹脂転写体2の厚み精度に影響する。
【0058】
この転写マスタ上下駆動装置10bにより、転写装置10に装着された転写マスタ9と基板保持部4上の基板3とを接近または離間させる駆動装置を構成している。
【0059】
光照射装置11は、一または複数(ここでは4つ)設けられ、4つの光照射装置11は、基板3の上方位置に、光硬化させる転写体材料である樹脂材料2aを中心に平面視で取り囲むように等間隔に配設されている。
【0060】
光照射装置11は、紫外線などの樹脂硬化用の光を透明な基板3に照射し、光は透明な基板3を透過して基板保持部4の基板保持面で反射した反射光となって転写体材料である樹脂材料2aに照射して転写体材料2aを光硬化させるようになっている。
【0061】
光照射装置11は、光照射方向および光照射角度を調節可能な光照射機構を有し、ここでは、複数、図6に示すように例えば4つの光照射装置11が平面視で等間隔に配設されている。4つの光照射装置11からの出射光(1次光11a)はそれぞれ、周りから中央部の樹脂転写体2となる樹脂材料に直に照射せず、その出射光(1次光11a)を最適に反射する基板保持部4の表面(金属鏡面)からの反射光(2次光11b)を樹脂転写体2となる樹脂材料に照射して光硬化させるようになっている。
【0062】
即ち、基板3上の所定位置に適量ディスペンスされた樹脂材料2a上を、転写マスタ9の端面形状パターンで押圧し、その押圧された樹脂転写体2に光を下方から照射し、その樹脂転写体2の樹脂材料を光硬化させるが、その樹脂転写体2への照射光としては、光照射装置11から出射される1次光11aが透明な基板3を透過し、基板3を保持している基板保持部4の保持体表面(金属鏡面)で反射した2次光11bが用いられる。これによって、基板保持部4は金属製で剛性が高く、表面が平坦で、熱伝導の良い金属材料を用いることができ、基板3の平坦性、均熱性を維持確保することができ、これによって、高精度転写をも可能にしている。
【0063】
この場合の2次光11bの強度および分散(光の均一化)を、基板保持部4の保持体表面状態により調整可能であると共に、光照射装置11の位置調整(上下に首を振る位置の調整)により、最適な転写形状を得る光照射状態を形成することが可能となり、これによっても、高精度形状転写を可能としている。
【0064】
制御手段は、ここでは図示していないが、基板3を基板保持部4上の所定位置に、図示しない基板搬送手段により搬送し、基板3を基板保持部4上に所定位置に吸引により固定した後に、画像入力カメラを持つ位置認識手段により基板3の位置を認識し、搬送装置により基板保持部4を基板3と共に移動させた第1位置(ディスペンス位置)において、ディスペンス装置8により樹脂材料2aを基板3上の所定位置にディスペンスするディスペンス処理を実行し、次に、搬送装置により基板保持部4を基板3と共に移動させた第2位置(転写・樹脂硬化位置)において、転写マスタ9の転写形状によりディスペンスした転写体材料上(樹脂材料2a上)を押圧する処理を実行し、さらに、その転写マスタ9による押圧状態で樹脂材料2aに、光照射装置11からの光を4方向から照射し、基板保持部4の基板保持で反射させた反射光を樹脂材料2aに満遍なく照射して樹脂材料2aを光硬化させる処理を実行し、続いて、その硬化した樹脂転写体2から転写マスタ9を上方向に移動して離間させ、透明な基板3上に樹脂転写体2を形成する処理を実行し、以上の第1位置およびその以降の第2位置の各処理を複数回繰り返して、基板3上に複数の樹脂転写体2を形成するように制御している。
【0065】
以下、上記成形装置1を用いた成形型(または成形元型としても成形型に含む)としての転写体集合基板の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0066】
まず、転写体金型である転写マスタ9を転写マスタ保持部10aの所定位置に装着固定する。このとき、転写マスタ9の型表面(端面形状パターン)は、図5に示すように薄い樹脂9aで覆われて保護されており、転写マスタ9の端面形状パターンとは反対側の装着端面(転写マスタ基準面10c)と保持機構装着面10c’とは平行に加工されており、保持機構装着面10c’に転写マスタ基準面10cが密着するように装着される。転写マスタ保持部10aは、角度調節機構を有しており、転写マスタ基準面10cが保持機構装着面10c’と平行になるように装着される。
【0067】
次に、基板保持部4上の所定位置に基板3を吸着させて保持する。この基板3は、平坦度が1μm以下の高平坦基板であり、基板3の表面には、基板3の位置を確認するための一または複数の正方形状や十字形状などの位置認識マーク2bが設けられており、この位置認識マーク2bは図示しない位置確認カメラを有する位置認識手段により検出されて基板3の位置が正確に確認される。さらに、この位置認識マーク2bに基づいて基板3上の位置も正確に確認される。
【0068】
続いて、基板保持部4に保持された基板3の位置を、樹脂ディスペンサ7下の第1位置(所定のディスペンス位置)に移動させた後に、樹脂ディスペンサ7から適量の樹脂材料2aを基板3上の第1位置(所定のディスペンス位置)に吐出制御する。この基板3上の第1位置(所定のディスペンス位置)は、位置認識マーク2bを位置確認カメラにより検出した基準位置に基づいて、X方向基板保持機構駆動装置5およびY方向基板保持機構駆動装置6により精密に移動制御し、目標位置(第1位置)に±0.1μmの精度で移動制御する。その基板保持部4および基板3を樹脂ディスペンサ7下の第1位置(所定のディスペンス位置)に移動完了後、樹脂ディスペンサ上下駆動装置8aにより基板3側の下方に樹脂ディスペンサ7を下降制御して、基板3上の第1位置(所定のディスペンス位置)にゆっくりと適量の樹脂を吐出制御する。
【0069】
その後、転写マスタ上下駆動装置10bにより転写マスタ保持部10aを転写マスタ9と共に基板3側に下降して、転写マスタ9の端面形状パターンにより樹脂材料2a上を押圧する。この場合の転写マスタ9の転写マスタ上下駆動装置10bによる下降距離の精度は、樹脂転写体2の厚み精度に影響するため、転写マスタ上下駆動装置10bにより精密に移動距離がコントロールされる。
【0070】
さらに、転写マスタ9の端面形状パターン(金型)が樹脂材料2a上を押圧した状態で、光照射装置11から光(樹脂硬化用の光として紫外線光)が照射されて透明な基板3を透過し、その透過した光は基板保持部4の基板保持面で下から上側に反射して、樹脂材料2aを押圧している転写マスタ9がある上側を避けて、樹脂材料2aを下側から光照射(2次光11b)して効率よく光硬化させる。基板保持部4の反射表面は、光の強度が最適となるように表面の凹凸が制御される。さらに、紫外線光などの樹脂硬化用の光は、4方向からそれぞれ照射され、中央部分の金型である転写マスタ9に対して最適な位置になるように傾斜方向(首を縦に振るように調整)が、樹脂材料2aに満遍なく下方向から均一に当たるように調整される。これによって、均一な樹脂硬化を可能とし、精密な形状が転写された樹脂転写体2を形成することができる。
【0071】
ここで、樹脂硬化に1次光11aを使う場合、樹脂材料2aは基板保持部4と転写マスタ9とで挟まれているため、いずれか一方、例えば基板保持部4が透明体(例えば透明ガラス体)とする必要がある。ところが、基板保持部4に透明体を用いる場合には、用いる材料によって、例えばガラスなど加工精度や温度コントロールなどに問題があり、転写精度が悪くなるという問題が生じるが、本実施形態1では、基板保持部4の保持体は、金属を用いることが可能であり、問題とはならない。また、光は、金型に対し下方向から照射する必要があるが、基板保持部4は保持機構があるため、精密な下方からの光照射方向の制御が難しい。本実施形態1では、上側に各光照射装置11があり、その配置位置や光照射方向制御が容易であるため、そのような問題は発生しない。
【0072】
さらに、樹脂ディスペンサ7の先端部内には、樹脂材料2aである光硬化樹脂が充填されているが、光が照射されると先端部(吐出口7a)に付着した光硬化樹脂が硬化してしまい、吐出口7aが、硬化した光硬化樹脂で詰まって樹脂材料2aを投与できなくなるという問題がある。このため、本実施形態1では、樹脂ディスペンサ7の先端部に光が当たらないようにするために、樹脂ディスペンサ7の先端部の周りを覆うように筒状の遮光板8bが設置されている。この筒状の遮光板8bによって、樹脂ディスペンサ7の吐出口7aが詰まって光硬化樹脂が投与できないというトラブルは回避される。
【0073】
さらに、図7に示すように、転写マスタ上下駆動装置10bにより転写マスタ保持部10aを転写マスタ9と共に基板3側とは反対側(上方向)に移動制御して、金型である転写マスタ9を樹脂転写体2から離間させる。第2位置である転写位置での転写および光硬化処理以降、以上の同じ工程を繰り返すことにより、基板3の全面に正確な転写形状(転写マスタ9の端面形状パターン)を複数有する成形型(または成形元型)としての高精度な転写体集合基板を高量産性にて作製することができる。
【0074】
要するに、本実施形態1の成形型としての転写体集合基板の製造方法は、本実施形態1の成形装置1を用いて、端面に転写形状が形成された転写マスタ9と透明な基板3の間に転写体材料である樹脂材料2aを注入するディスペンス工程と、転写マスタ9の転写形状により樹脂材料2a上を押圧してその転写形状を樹脂材料2aに転写する転写工程と、転写マスタ9の樹脂材料2aへの押圧状態で、光照射装置11からの樹脂材料硬化用の光を、基板3が保持される基板保持部4の基板保持面で反射させた反射光を樹脂材料2aに照射して樹脂材料2aを光硬化させる光硬化工程と、光硬化した樹脂転写体2を転写マスタ9から離形させる離形工程とを有し、これらの各工程を複数回繰り返して透明な基板3上に複数の樹脂転写体2を形成した成形型となる転写体集合基板を形成するものである。
【0075】
以上のように、本実施形態1によれば、本実施形態1の成形装置1により、下端面側に1パターンが形成された転写マスタ9を用いて1つの樹脂転写体2を形成する動作を複数回繰り返して実施するため、基板3上に高精度の複数の樹脂転写体2を配置した転写体集合基板を短時間で高量産性にて安価に形成することができる。
【0076】
即ち、転写型としての転写マスタ9が1パターン(数パターンでもよい)とサイズが小さいので、光照射装置11から硬化用の光を転写体材料である樹脂材料2aに照射する際に、光照射装置11を基板保持部4の上方に配置し、転写マスタ9も基板保持部4も光を透過しない金属材料で構成しても、光照射装置11を基板保持部4の上方に配置し、光照射装置11から斜め下方向に紫外線などの光を照射して樹脂材料2aにその反射光(2次光)を照射することができるため、転写マスタ9も基板保持部4も光を透過しない熱伝導性もよく加工精度が高く剛性の有る金属材料で構成することができて、基板3上に設けられる樹脂転写体2の数だけ全て高精度に形成する従来の高精度金型に比べて、転写パターンを各転写体材料である樹脂材料2aに1個1個転写して多数の樹脂転写体2を形成する時間を全て合計しても大幅にその製造時間が短くなって、高精度の多数の樹脂転写体2を形成した転写体集合基板を短時間で量産性高く形成することができる。
【0077】
なお、本実施形態1では、転写体金型である転写マスタ9は転写マスタ駆動装置10により上下に移動し、転写マスタ9の端面形状パターンにより樹脂材料2a上を押圧したり、転写マスタ9を樹脂材料2a上から離間させたりするが、これに限らず、図8に示すように、成形装置1Aにおいて、基板保持部4に具備した上下駆動装置4aにより、基板保持部4と共に基板3を上昇させて、基板3上の樹脂材料2aの表面側を、固定部10dに固定された転写マスタ駆動装置10Aに装着した転写マスタ9の端面形状パターンに対して下方から押圧することも可能である。
【0078】
なお、本実施形態1では、基板保持部4の基板保持表面を金属鏡面または乱反射面として樹脂硬化用の光の反射面としたが、基板3の裏面に金属膜や反射膜(鏡面または乱反射面)をコーティングし、これを樹脂硬化用の光の反射面とすることもできる。
【0079】
なお、本実施形態1では、転写型として転写マスタ9の端面形状パターンは、1パターンで構成したが、これに限らず、2パターンまたは3パターンの数パターンであってもよく、さらには、基板3上に設けられる転写体の数(例えば3000)を割り切ることができる数の複数パターンが転写形状パターンとして端面に形成されていてもよい。
【0080】
なお、本実施形態1では、転写マスタ9および基板保持部4は、高精度平坦面を形成するために、光は通さないが、熱伝導性がよく加工性に優れ剛性の有る金属材料で構成したが、これに限らず、光を通さない金属材料以外の他の樹脂材料や合金材料などの材料であってもよい。
【0081】
(実施形態2)
上記実施形態1では、本発明の成形装置1または1Aを用いた成形型(または成形元型)としての転写体集合基板の製造方法について詳細に説明したが、本実施形態2では、この転写体集合基板の製造方法により製造された高精度で高量産性の転写体集合基板を用いて作製した成形型を用いた光学素子アレイ板の製造方法について詳細に説明する。
【0082】
上記実施形態1の転写体集合基板の製造方法により製造された高精度で高量産性の転写体集合基板を成形型としてそのまま用いるかまたは、転写体集合基板の全面にスパッタまたは蒸着により金属膜をコーティングしたコーティング基板を成形型として用いて、例えば図9に示すような成形型21または23を作製することができる。この成形型23のような平面視円形でその外周側に円環鍔状の平坦面が形成された皿状の成形型を製造する場合、前述した基板3は、平面視円形でその外周側に円環鍔状の平坦面が形成された皿状の形状をしたものを用いる必要がある。
【0083】
図9に示す成形装置および成形型21および23を用いて本実施形態2の光学素子アレイ板を製造することができる。
【0084】
図9において、本実施形態2の成形装置20は、表面に転写用の凹凸形状を含む上側成形面21aが形成された一方成形型としての上側成形型21を保持可能とする一方保持機構部としての上側保持機構22と、表面に転写用の凹凸形状を含む下側成形面23aおよびこの外周部に円環鍔状の平坦面23bが形成された一方成形型としての下側成形型23を保持する他方保持機構部としての下側保持機構24と、下側保持機構24を下側成形型23と共にX方向およびY方向に移動可能とする前後および左右移動装置25と、上側成形型21と下側成形型23のXY位置関係を位置検出部26a,26bで検出した検出結果に基づいて、下側成形型移動装置25によりX方向およびY方向に移動させて、上側成形型21と下側成形型23の位置を合わせる第1移動機構部としての前後および左右位置合わせ装置(図示せず)と、下側成形型23の下側成形面23aに所定量の樹脂材料を供給する樹脂材料供給装置であるディスペンス装置27と、下側保持機構24を下側成形型23と共にZ方向に移動させて、上側成形型21と下側成形型23との間に、成形物の所定厚さに応じた必要なスペースを形成するための第2移動機構部としての上下移動装置28と、上側成形型21および下側成形型23、それらの間の樹脂材料を加熱するための加熱手段29と、上側成形型21および下側成形型23、それらの間の樹脂材料を冷却するための冷却手段30と、下側成形型23の下側成形面23aと平行な鍔状の平坦面23bを押圧部31aにより上から押圧する押圧機構部31と、成形した成形物を下側成形型23上から装置外部に取り出す樹脂成形物取り出し機構部としての樹脂成形物取り出し装置(図示せず)とを有している。
【0085】
下側成形型23は、中央部分の下側成形面23aの外周部から平坦面23b側に外周斜め上に外周部が拡がるように、下側成形面23aから所定角度をなす側壁23cを介して円環鍔状の平坦面23bに連設されている。樹脂成形物の下側成形型23からの離形を容易にするために、この円環鍔状の平坦面23bを上から押圧部31aにより押圧すると、下側成形面23aの外周が拡径するようになっている。即ち、下側成形型23は、中央部分の下側成形面23aの外周から所定角度を有して上側に開いた側壁23cと、これに連設する下側成形面23aと平行な平坦面23bとが下側成形面23aと同じ材質のニッケルで一体形成されている。
【0086】
以下、上記成形物を光学素子アレイ板としてのレンズアレイ板に適用した場合に、上記構成の本実施形態2の成形装置20を用いたレンズアレイ板の製造方法について詳細に説明する。
【0087】
本実施形態2の成形装置20を用いた光学素子アレイ板の製造方法は、上記実施形態1の成形型の製造方法により製造された成形型を一方成形型と他方成形型として用いて一方成形型と他方成形型で樹脂材料を挟み込んで成形する光学素子アレイ板の製造方法において、他方成形型の成形面に樹脂材料を供給する樹脂材料供給工程と、樹脂材料を所定間隔空けて一方成形型と他方成形型で挟み込む樹脂成形工程と、その樹脂材料を成形された状態で硬化させる樹脂材料硬化工程と、一方成形型と他方成形型を離間して硬化した樹脂成形物を取り出す樹脂成形物取り出し工程とを有し、この樹脂成形物として、複数の光学素子がマトリクス状に配列された光学素子アレイ板を製造する。本実施形態2の光学素子アレイ板の製造方法について、以下、詳細に説明する。
【0088】
図9に示すように、まず、上側成形型21および下側成形型23が、図示しない搬送装置により上側保持機構22および下側保持機構24の温度コントロール可能な各ヒーターブロック上の所定位置にそれぞれ搬送された後、上側成形型21を上側保持機構22のヒーターブロック上の所定位置に真空吸着により保持すると共に、下側成形型23を下側保持機構24のヒーターブロック上の所定位置に真空吸着により保持する。
【0089】
次に、前後および左右移動装置25により下側保持機構24を下側成形型23と共にディスペンス装置27の吐出口の下方位置に移動させ、ディスペンス装置27の吐出口から、下側成形型23の中央部分の下側成形面23a上に所定量の樹脂材料を供給する。ディスペンス装置27(ディスペンサ)は、設定により任意の量の樹脂材料を供給可能である。
【0090】
その後、前後および左右移動装置25により下側保持機構24を下側成形型23と共に成形ポジションまで移動させる。
【0091】
続いて、下側成形型23を、上下移動装置28によって下側保持機構24と共に所定量だけ上昇させて、樹脂材料を下側成形型23と上側成形型21によって正確な間隔で挟み込んで所定形状に成形する位置に移動させる。この上下移動装置28は、上下移動の位置精度が0.05μm程度である。これにより、任意の厚さの成形物として、複数のレンズがマトリクス状に配列されたウエハレベルのレンズアレイ板を成形することができる。さらに、上下ヒーターブロックを加熱手段29によって同時に昇温させて、上側成形型21と下側成形型23を介して、ウエハレベルのレンズアレイ板を構成する樹脂材料が熱硬化させる。
【0092】
その後、上側のヒーターブロックの温度を僅かだけ、冷却手段30を作動させて降温制御する。上側のヒーターブロックから上側保持機構22を介して上側成形型21が、例えば摂氏−5度分(摂氏−3〜−10度程度)だけ降温を始めると、樹脂成形品のレンズアレイ板と上側成形型21との熱収縮の違いにより、上側成形型21から樹脂成形品の離型が始まる。このとき、温度が下がり過ぎると、熱収縮の違いにより、樹脂成形品は、上側成形型21との間に噛み込みが発生してしまい、これによって上側成形型21に破壊が発生する。このため、このような破壊が発生する前に、下側成形型23を下方に移動させて、樹脂成形品と上側成形型2を完全に離型させてしまう。
【0093】
次に、押圧機構部31によって押圧部31aをスピンドル駆動部により下方に移動させ、下側成形型23の周辺上部の平坦面23bを上から押圧して、円形の下側成形型23(上側成形型21も円形である)において、下側成形型23の斜め方向に立設された側壁23cを外側に広げる。この場合、押圧部31aによって平坦面23bが押圧されて、平坦面23bが上から下に移動するが、平坦面23bに隣接する下側成形型23の内面垂直部は周辺水平方向に移動する。このため、樹脂成形品のレンズアレイ板の外周側と接触する内面垂直部は外側に広がる。これによって、降温時の瞬間的な下側成形型23の収縮が発生しても、下側成形型23が成形品を周辺から圧縮することが回避されて、成形品の破壊が防止される。
【0094】
その後、冷却手段30を作動させて下側のヒーターブロックも降温処理する。このとき、樹脂成形品の周辺は、レンズアレイ板の外周側から離型が開始する。上述のように、下側成形型23の外周部は、大きく広がっているため、下側成形型23が収縮しても、樹脂成形品に破損は発生せず、レンズアレイ板の外周側(樹脂成形品の周辺)から離型する。
【0095】
続いて、押圧機構部31によって押圧部31aを上方に移動させて戻し、押圧機構部31による平坦面23bへの押圧を解除し、図示しない成形物搬送機構で樹脂成形品のレンズアレイ板を真空吸着により保持しながら、冷却手段30により下側のヒーターブロックを降温制御して、樹脂成形品のレンズアレイ板を下側成形型23から完全に離型させると共に、図示しない成形物搬送機構により樹脂成形品を外部に取り出す。これによって、樹脂成形品として、精度よく成形されたレンズアレイ板を歩留まりよく製造することができる。
【0096】
なお、本実施形態2では、樹脂成形品を熱により硬化させたが、これに限らず、紫外線などの光により樹脂成形品を硬化させてもよい。
【0097】
(実施形態3)
上記実施形態2では、本発明の成形装置20を用いたレンズアレイ板の製造方法について詳細に説明したが、本実施形態3では、上記実施形態2のレンズアレイ板の製造方法により製造されたレンズアレイ板を用いたセンサウエハモジュールから個片化されたセンサモジュールおよびその製造方法について詳細に説明する。
【0098】
図10は、本発明の実施形態3に係るセンサモジュールの要部構成例を示す縦断面図である。
【0099】
図10において、本実施形態3のセンサモジュール80は、ウエハチップ表面に、画素に対応した光電変換部(フォトダイオード)である受光部からなる撮像素子81aが電子素子として設けられ、貫通孔81bが表面と裏面間に設けられて導通した貫通ウエハ81と、この貫通ウエハ81の撮像素子81aの周囲上に形成された樹脂接着層82と、この樹脂接着層82上を覆うカバーガラスとしてのガラス板83と、このガラス板83上に設けられ、撮像素子81aに入射光を集光させるための光学素子としての複数のレンズ板841〜843が積層されたレンズ板84と、これらのレンズ板841〜843を接着して固定するためのレンズ接着層851および852と、各レンズ板841〜843のうちの最上位置のレンズ板841の中央部を円形の光取入口として開口すると共に、それ以外の表面部分および、各レンズ板841〜843およびガラス板83の側面部分を遮光する遮光部材86とを有しており、貫通ウエハ81上に、ガラス板83およびレンズ板84がこの順に互いにアライメントをとって樹脂接着層82およびレンズ接着層851および852などにより上下に貼り合わされている。この本実施形態2のセンサモジュール80は、貼り合わされたウエハレベルのセンサウエハモジュールを一括切断して個片化した後にこれに遮光部材86を上側から装着することにより個々に一括して製造されている。
【0100】
センサウエハモジュールは、切断前の複数の貫通ウエハ1が設けられたセンサウエハの各表面側には、複数の撮像素子81a(撮像素子毎に複数の画素を構成する複数の受光部が設けられている)がマトリクス状に配列されており、センサウエハの厚さが100〜200μmであり、その裏面から表面のパッド下に貫通する複数の貫通穴81bが明けられている。この貫通穴81bの側壁と裏面側は絶縁膜で覆われており、パッドにコンタクトを持つ配線層が貫通穴81bを介して裏面まで形成されている。この配線層上および裏面にはソルダーレジストが形成され、配線層上に半田ボール81cが形成される部分はソルダーレジストが窓明けされて半田ボール81cが外部に露出して形成されている。
【0101】
レンズ板84は、上記実施形態1のレンズアレイ板の製造方法により製造されたレンズアレイ板13を貼り合わせた後に一括切断した透明樹脂レンズ板であり、例えばレンズ板841において、レンズ機能を有するレンズ領域の中央部分と、スペーサ機能を有するスペーサ部としての周囲部分とで構成され、全体は同じ種類の樹脂材料で形成されている。
【0102】
光学素子としての複数枚のレンズ板84は、収差補正レンズ843、拡散レンズ842および集光レンズ841であり(1枚の場合は集光レンズ)、レンズ板84は、中央部分にレンズ領域が設けられ、そのレンズ領域の外周側に所定厚さを持つスペーサ部である周囲部分が設けられているが、それらのレンズ板84の各外周側にそれぞれ設けられた所定厚さを持つ各スペーサ部が下からこの順に積層されて配置されている。
【0103】
ここで、本実施形態3のセンサモジュール80の製造方法について説明する。
【0104】
レンズ領域の外周側にスペーサ部(コバ)を有する複数のレンズがアレイ状につながってできた上記実施形態2のシート状のウエハレベルのレンズアレイ板の製造から、チップ毎のセンサモジュール80を製造する場合について、次の(1)〜(4)に工程を分けて詳細に説明する。
(1)レンズウエハモジュールの製造工程
まず、前述したが、上側成形型21と下側成形型23を対向させて配置する成形型配置工程と、下側成形型23の成形面23a上に樹脂材料を供給する樹脂材料供給工程と、この樹脂材料を上側成形型21と下側成形型23とで挟み込んで所定のレンズ形状に成形する成形工程と、上側成形型21と下側成形型23に熱を加えて樹脂材料を熱硬化させる樹脂材料硬化工程と、上側成形型21の温度を僅かだけ降温して、上側成形型21と、硬化した樹脂材料とを離型させる上型離型工程と、下側成形型23の平坦面23bを押圧する平坦面押圧工程と、下側成形型23の温度を降温処理し、下側成形型23と、硬化した樹脂成形物とを離型させる下型離型工程と、この押圧を除き、離型した樹脂成形物を取り出す成形物取り出し工程とによって、上記実施形態2の各樹脂成形物として、切断後に上記レンズ板841〜843となる3種類のレンズアレイ板をそれぞれ製造することができる。
【0105】
これらの3種類のレンズアレイ板をそれぞれアライメントを取って、そのコバ部を貼り合わせてレンズウエハモジュールを製造することができる。
(2)センサウエハモジュールの製造工程
複数の貫通ウエハ81が形成されたセンサウエハに、樹脂接着層82を介してガラス板83を貼り合わせたものに、複数のレンズがマトリクス状に形成されたレンズウエハモジュールを、アライメントを取って、各撮像素子81aの中心と各レンズの中心とがそれぞれ対応するようにガラス板83上に貼り合わせる。これによって、ウエハレベルの電子素子ウエハモジュールとしてのセンサウエハモジュールを作製することができる。
【0106】
このとき、接着樹脂層82はガラス板83上の所定位置にスクリーン印刷して先に付けて置く。また、合体レンズのレンズウエハモジュールのガラス板83上へのXY方向の位置決めは、その合体レンズをガラス板83上に搬送する搬送機が所定のアライメントマークを基準にして正確に位置決めしてガラス板83上に搭載する。
(3)センサモジュール80の製造工程
ウエハレベルのセンサウエハモジュールとして積層して一体化した複数の貫通ウエハ81を構成するシリコン、ガラス板83のガラス材料およびレンズモジュールのレンズ樹脂材料をワイヤまたはレーザ照射によって一括切断したものに、遮光部材86を上側から装着してセンサモジュール80を製造することができる。即ち、一括切断工程で一括切断して個片化されたチップモジュールに遮光部材86を上側から装着するかまたはチップモジュールの側面に遮光部材を配置する遮光工程をさらに有する。
【0107】
以上により、本実施形態3の電子素子モジュールとしてのセンサモジュール80の製造方法は、上記実施形態2の光学素子アレイ板の製造方法による複数種類の光学素子アレイ板の製造工程と、複数の電子素子が形成された電子素子ウエハに透明カバー部材を貼り合わせ、一または複数種類の光学素子アレイ板を、アライメントを取って、各電子素子の中心と各光学素子の中心とがそれぞれ対応するように該透明カバー部材上に貼り合わせる電子素子ウエハモジュールの製造工程と、電子素子ウエハモジュールとして積層された一体化物を、ブレード、ワイヤおよびレーザ照射のうちの少なくともいずれかによって一括切断してチップ状の個片化された電子素子モジュールを製造する一括切断工程とを有している。
【0108】
なお、この場合の電子素子は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子であるが、これに限らず、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子のうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
【0109】
(実施形態4)
図11は、本発明の実施形態4として、本発明の実施形態3のセンサモジュール80を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0110】
図11において、本実施形態4の電子情報機器90は、上記実施形態3で製造したセンサモジュール80からの撮像信号を所定の信号処理してカラー画像信号を得る固体撮像装置91と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部92と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示手段93と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信手段94と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を印刷用に所定の印刷信号処理をした後に印刷処理可能とするプリンタなどの画像出力手段95とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置91の他に、メモリ部92と、表示手段93と、通信手段94と、プリンタなどの画像出力手段95とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
【0111】
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
【0112】
したがって、本実施形態3によれば、この固体撮像装置91からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力手段95により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部92に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
【0113】
なお、上記実施形態3の電子情報機器90に限らず、本発明の電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などの電子情報機器であってもよい。この場合のピックアップ装置の光学素子としては、出射光を直進させて出射させると共に、入射光を曲げて所定方向に入射させる光学機能素子(例えばホログラム光学素子)である。また、ピックアップ装置の電子素子としては、出射光を発生させるための発光素子(例えば半導体レーザ素子またはレーザチップ)および/または入射光を受光するための受光素子(例えばフォトIC)を有している。
【0114】
なお、上記実施形態1では、特に詳細には説明しなかったが、複数の樹脂転写体2を透明な基板3上に順次形成する成形装置1において、基板3を保持可能とする基板保持部4と、基板3上に樹脂材料2aを所定量供給するディスペンス装置8と、転写マスタ9により樹脂材料2a上を押圧して樹脂材料2aに転写形状を転写する転写装置10と、樹脂材料2aを押圧した状態で樹脂材料硬化用の光を照射するための光照射装置11と、基板3を保持した基板保持部4を、ディスペンス位置と転写・材料硬化位置間で搬送する搬送装置とを有して、光照射装置11からの光を透明な基板3に照射し、透明な基板3の裏面または基板保持部4の基板保持面で反射した反射光を樹脂材料2aに照射して樹脂材料2aを光硬化させて硬化物を得る成形装置1を用いれば、多数の高精度転写体を形成した転写体集合基板を短時間・高量産性で形成することができる本発明の目的を達成することができる。
【0115】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜4を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜4に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜4の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、形状精度がナノメートルオーダであり、外形精度がミクロンオーダであり、高さがミリメートルオーダである形成物を複数作成する成形装置、この成形装置に用いた成形型の製造方法、この成形型(または成形元型)を用いた光学素子アレイ板の製造方法、この光学素子アレイ板の製造方法により製造され、入射光を集光する複数のレンズまたは、出射光を直進させたり入射光を所定方向に曲げて導いたりする複数の光学機能素子などの光学素子アレイ板と、各レンズにそれぞれ対応して、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子または、各光学機能素子にそれぞれ対応して、出射光を発生させるための発光素子および/または入射光を受光するための受光素子などの電子素子とが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールから一括切断して製造する電子素子モジュールの製造方法、この電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)または、この電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などの電子情報機器の分野において、転写型が1パターンや数パターンとサイズが小さいので、光照射装置から硬化用の光を転写体材料に照射する際に、光照射装置を基板保持部の上方に配置し、転写型も基板保持部も光を透過しない金属材料で構成しても、光照射装置を基板保持部の上方に配置し、光照射装置から斜め下方向に光照射して転写体材料にその反射光を照射することができるため、転写型も基板保持部も光を透過しない熱伝導性もよく加工精度が高く剛性の有る金属材料で構成することができて、基板上に設けられる転写体の数だけ全て高精度に形成する従来の高精度金型に比べて、転写パターンを各転写体材料に1個1個転写して多数の転写体を形成する時間を全て合計しても大幅にその製造時間が短くなって、高精度の多数の転写体を形成した転写体集合基板を短時間で量産性高く形成することができる。また、本発明の成形方法は、精度を要求されるパターンを成形することが可能であり、導波路、データディスク基板、配線などの用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0117】
1、1A 成形装置
2 樹脂転写体
2a 樹脂材料
2b 位置認識マーク
3 基板
4 基板保持部
5 X方向基板保持機構駆動装置
6 Y方向基板保持機構駆動装置
7 樹脂ディスペンサ
7a 吐出口
8 樹脂ディスペンス装置
8a 樹脂ディスペンサ上下駆動装置
8b 遮光板
9 転写マスタ(転写金型)
9a 薄い皮膜
10 転写装置
10a 転写マスタ保持部
10b 転写マスタ上下駆動装置
10c 転写マスタ基準面
10c’ 保持機構装着面
10d 固定部
11 光照射装置
11a 1次光
11b 2次光
20 成形装置
80 センサモジュール
81 貫通ウエハ
81a 撮像素子
81b 貫通孔
81c 半田ボール
82 樹脂接着層
83 ガラス板
84、841〜843 レンズ板
851、852 レンズ接着層
86 遮光部材
90 電子情報機器
91 固体撮像装置
92 メモリ部
93 表示手段
94 通信手段
95 画像出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の転写体を透明な基板上に順次形成する成形装置において、
該基板を保持可能とする基板保持部と、
該基板上に転写体材料を所定量供給するディスペンス装置と、
転写型により該転写体材料を押圧して該転写体材料に転写形状を転写する転写装置と、
該転写体材料を押圧した状態で転写体材料硬化用の光を照射するための光照射装置と、
該基板を保持した基板保持部を、ディスペンス位置と転写・材料硬化位置間で搬送する搬送装置とを有し、
該光照射装置からの光を該透明な基板に照射し、該透明な基板の裏面または該基板保持部の基板保持面で反射した反射光を該転写体材料に照射して該転写体材料を光硬化させる成形装置。
【請求項2】
前記転写型および前記基板保持部は、金属材料または光を反射する材料により構成されている請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記転写型は、1パターンまたは、前記基板上に設けられる転写体の数を割り切ることができる数の複数パターンが転写形状パターンとして端面に形成されている請求項1または2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記転写形状パターンの表面には、離形用の保護膜が形成されている請求項3記載の成形装置。
【請求項5】
前記ディスペンス装置に装着されたディスペンサおよび/または前記転写装置に装着された転写型と、前記基板保持部上の基板とを接近または離間させる駆動装置を有している請求項1に記載の成形装置。
【請求項6】
前記ディスペンス装置は、前記転写体材料を所定量供給するディスペンサを保持し、該ディスペンサの供給口およびその周辺を前記転写体材料硬化用の光から遮光する遮光部材を更に有している請求項1に記載の成形装置。
【請求項7】
前記光照射装置は、一または複数設けられ、該複数の光照射装置は、前記基板の上方位置に、光硬化させる転写体材料を中心に平面視で取り囲むように等間隔に配設されている請求項1に記載の成形装置。
【請求項8】
前記光照射装置は、光照射する斜め下方向を調節可能に取り付けられている請求項1または7に記載の成形装置。
【請求項9】
前記基板の表面には、該基板の位置を確認するための一または複数の位置認識マークが設けられており、該位置認識マークが検出されて該基板の位置および該基板上の位置を認識する位置認識手段を更に有する請求項1に記載の成形装置。
【請求項10】
前記基板を前記基板保持部上の所定位置に基板搬送手段により搬送し、該基板を該基板保持部上に固定した後に、位置認識手段により該基板の位置を認識し、前記搬送装置により該基板保持部を該基板と共に移動させた第1位置において前記ディスペンス装置により前記転写体材料を該基板上にディスペンスする処理を実行し、該搬送装置により該基板保持部を該基板と共に移動させた第2位置において前記転写型の転写形状により該ディスペンスした転写体材料を押圧する処理を実行し、該転写型による押圧状態で該転写体材料に、前記光照射装置からの光を反射させた反射光を該転写体材料に照射して該転写体材料を光硬化させる処理を実行し、硬化した転写体から該転写型を離間させて該基板上に該転写体を形成する処理を実行し、該第1位置以降の各処理を繰り返して、該基板上に複数の転写体を形成するように制御する制御手段を更に有する請求項1に記載の成形装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の成形装置を用いて、
端面に転写形状が形成された転写型と透明な基板の間に転写体材料を注入するディスペンス工程と、
該転写型の転写形状により該転写体材料を押圧して該転写形状を該転写体材料に転写する転写工程と、
該転写型の該転写体材料への押圧状態で、光照射装置からの転写体材料硬化用の光を該基板の裏面または、該基板が保持される基板保持部の基板保持面で反射させた反射光を該転写体材料に照射して該転写体材料を硬化させる光硬化工程と、
硬化した転写体を該転写型から離形させる離形工程とを有し、
これらの各工程を複数回繰り返して該基板上に複数の転写体を形成した成形型となる転写体集合基板を形成する成形型の製造方法。
【請求項12】
前記転写体集合基板の複数の転写体側の全面に金属膜をコーティングする金属膜コーティング工程を更に有する請求項11に記載の成形型の製造方法。
【請求項13】
前記光照射装置は、光硬化させる転写体材料を中心に平面視で取り囲むように等間隔に複数配設され、複数の方向からの反射光により中心部の該転写体材料を満遍なく光照射して該転写体材料を光硬化させる請求項11に記載の成形型の製造方法。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかに記載の成形型の製造方法により製造された成形型を一方成形型と他方成形型として用いて該一方成形型と該他方成形型で樹脂材料を挟み込んで成形する光学素子アレイ板の製造方法において、
該他方成形型の成形面に該樹脂材料を供給する樹脂材料供給工程と、
該樹脂材料を所定間隔空けて該一方成形型と該他方成形型で挟み込む樹脂成形工程と、
該樹脂材料を成形された状態で硬化させる樹脂材料硬化工程と、
該一方成形型と該他方成形型を離間して硬化した樹脂成形物を取り出す樹脂成形物取り出し工程とを有し、
該樹脂成形物として、複数の光学素子がマトリクス状に配列された光学素子アレイ板を製造する光学素子アレイ板の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の光学素子アレイ板の製造方法による一または複数種類の光学素子アレイ板の製造工程と、
複数の電子素子が形成された電子素子ウエハに透明カバー部材を貼り合わせ、該一または複数種類の光学素子アレイ板を、アライメントを取って、各電子素子の中心と各光学素子の中心とがそれぞれ対応するように該透明カバー部材上に貼り合わせる電子素子ウエハモジュールの製造工程と、
該電子素子ウエハモジュールとして積層された一体化物を、ブレード、ワイヤおよびレーザ照射のうちの少なくともいずれかによって一括切断してチップ状の個片化された電子素子モジュールを製造する一括切断工程とを有する電子素子モジュールの製造方法。
【請求項16】
前記電子素子は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子である請求項15に記載の電子素子モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記電子素子は、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子のうちの少なくともいずれかを有している請求項15に記載の電子素子モジュールの製造方法。
【請求項18】
請求項16に記載の電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールをセンサモジュールとして撮像部に用いた電子情報機器。
【請求項19】
請求項17に記載の電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールを情報記録再生部に用いた電子情報機器。

【図6】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−194760(P2010−194760A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39899(P2009−39899)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】