説明

成形金属粒子の製造およびその使用

本発明は、特に水性および/または有機媒体中の分散体の形の成形遷移金属粒子、その製造、ならびにその赤外線(IR)吸収剤、塗料のためのIR硬化剤、導電性配合物における接着剤、抗菌薬としての使用、あるいは有機および/または無機化合物を検出するための使用に関する。さらに、本発明は、前記成形粒子と、熱可塑性または架橋性ポリマーなどの水性および/または有機媒体とを含む分散体、ならびに抗菌性組成物および製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノプレートレットの形、特に水性および/または有機媒体中の分散体の形の成形遷移金属粒子の製造方法、ならびに前記粒子の赤外線(IR)吸収剤、塗料のためのIR硬化剤、導電性配合物における添加剤、印刷インクおよび塗料組成物、抗菌薬としての使用、あるいは有機および/または無機化合物を検出するための使用に関する。さらに、本発明は、前記粒子と、熱可塑性または架橋性ポリマーなどの水性および/または有機媒体とを含む分散体、ならびに抗菌性組成物および製品に関する。
【0002】
金属ナノ粒子またはナノクラスターは、化学的または生物的検出、触媒作用、光学およびデータ記憶の分野の様々な用途に使用されてきた。金および銀ナノ構造体は、サイズおよび形状に依存するそれらの非凡な光学特性により特に興味深い。
【0003】
例えば、US2008/0295646には、コロイド懸濁液の形で単峰性のサイズ分布および所定の厚さを有する金属、特に銀ナノプリズムを製造する熱的方法が記載されている。波長調節を介してエッジ長さが制御された銀ナノプリズムを製造する光化学的方法がWO2004/089813に記載されている。WO2006/099312には、金ナノプリズムの合成が記載されている。様々な有機溶媒に分散させることができるシリカ被覆銀プリズムが、C.Xue et al.,Adv.Mater.19,2007,4071に記載されている。光学ガラス基板上の銀ナノプリズム被膜が、Torres et al.,Microelectronic Engineering 84,2007,1665−1668に記載されている。
【0004】
US2003/0180511には、貴金属型微粒子分散体を製造するための方法であって、貴金属の一次粒子が鎖の形で凝集する分散体にヒドラジン溶液を添加する凝集工程と、過酸化水素溶液を前記分散体に添加してヒドラジンを分解させて除去して、分散体における球状粒子の鎖状凝集体の分散性を安定させる(すなわち、過酸化水素を異なる目的で使用する)安定化工程とを含む方法が記載されている。
【0005】
WO09/056401には、近赤外線(NIR)領域付近の表面プラズモン共鳴によって特徴づけられるナノ成形遷移金属粒子、特にナノプレートレット、およびその製造が記載されている。これらの粒子は、遮熱建築、自動車光沢または農業用フィルム、レーザ溶接、レーザ印刷、セキュリティ印刷および塗料の近赤外線硬化にIR吸収剤として使用される。
【0006】
いくつかの金属イオン、例えば、銀、銅、亜鉛、金、ニッケル、鉄、チタン、パラジウムまたはプラチナは抗菌活性を示すことも既知である。そこから金属イオンが経時的に放出される貯蔵所は金属または金属化合物であり得る。銀の場合、純粋の銀金属が、たいていの液体に比較的難溶性であり、水分と接触すると酸化プロセスを通じてごく少量のAg+を放出するにすぎない。すなわち、金属銀の抗菌効果の持続性が実質的に非常に高い。
【0007】
これまで、プリズム成形金属粒子の製造には、約0.1mM(mmol毎リットル)以下の比較的低濃度の金属塩が必要とされてきた。したがって、成形金属粒子をより大量に、かつよりコスト効率良く製造する必要性が已然として存在する。
【0008】
ここで、成形遷移金属粒子を製造する改善された方法を見いだした。
【0009】
したがって、本発明は、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtからなる群から選択されるナノプレートレットの形の成形遷移金属粒子を製造する方法であって、最初に、
a)遷移金属塩およびポリマー分散剤を含む水性混合物に還元剤を添加する工程と、続いて、
b)得られたコロイド分散体を過酸化物で処理する工程と
を含み、工程a)の水性混合物が、2mmol毎リットルより高い濃度の遷移金属塩を含む方法に関する。
【0010】
好適な態様は、最初に、
a)還元剤の溶液と、遷移金属塩およびポリマー分散剤ならびに場合により添加剤を含む水性混合物とを混合して、球状金属粒子の分散体を形成する工程と、続いて、
b)前記分散体を過酸化物で処理する工程とを含み、前記球状粒子の制御的凝集を誘導してプレートレット成形金属粒子を形成させる方法である。
【0011】
以降、本発明の成形遷移金属粒子を成形粒子と呼ぶ。
【0012】
遷移金属は、好ましくは、Ag、CuまたはAu、より好ましくはAgである。成形粒子を上記遷移金属の2種から作製して、コアシェルまたは合金型粒子を形成することもできる。
【0013】
本発明の工程a)で使用される金属塩は、好ましくは、AgNO3、AgClO4、Ag2SO4、AgCl、AgBr、AgI、AgOH、Ag2O、AgBF4、AgIO3、AgPF6;R1CO2Ag、R1SO3Ag(R1は、非置換もしくは置換C1〜C18アルキル、非置換もしくは置換C5〜C8シクロアルキル、非置換もしくは置換C7〜C18アラルキル、非置換もしくは置換C6〜C18アリールまたは非置換もしくは置換C2〜C18ヘテロアリールである)、ジカルボン酸、トリカルボン酸、ポリカルボン酸、ポリスルホン酸、P含有酸の銀塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される銀(I)塩である。
【0014】
モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸またはポリカルボン酸の銀塩の好適な例としては、酢酸、プロピオン酸、4−シクロヘキシル酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸およびポリアクリル酸の銀塩が挙げられる。
【0015】
スルホン酸またはポリスルホン酸の銀塩の好適な例としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸およびスルホン化ポリスチレンの銀塩が挙げられる。
【0016】
P含有酸の銀塩の好適な例としては、リン酸、メタリン酸、亜リン酸、ピロリン酸、次亜リン酸およびその有機物置換誘導体、フェノール−リン酸塩樹脂、ポリアクリルリン酸塩ならびにホスホン酸塩の銀塩が挙げられる。
【0017】
好適な銀(I)塩は、AgNO3、Ag2O、AgClO4、Ag2SO4、CH3CO2Ag、クエン酸一、二もしくは三銀、CH3SO3Ag、CF3SO3Agであり、AgNO3、CH3CO2AgおよびAg2Oがより好適である。
【0018】
好適な金塩の例は、KAu(CN)2、Aul、AuBr、AuCl、R1CO2Au(R1は、R1CO2Agについて記載されているのと同じ意味を有する)、HAuCl4、AuBr3、AuBr4K、AuBr4Na、AuCl3、AuCl4K、AuCl4Li、AuCl4Naおよびそれらの混合物であり、HAuCl4が好適である。
【0019】
好適な銅塩の例は、Cu(NO32、KCu(CN)2、銅(II)アセチルアセトネート、Cu(R1CO22(R1は、R1CO2Agについて記載されているのと同じ意味を有する)、Cu(ClO42、CuBr、CuBr2、CuCl、CuCl2、Cul、CuSO4およびそれらの混合物である。
【0020】
アルキル、例えば、C1〜C4アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C12アルキル、C1〜C18アルキル、C8〜C24アルキルまたはC1〜C25アルキルは、可能であれば、所定の範囲で直鎖状または分枝状であってもよい。例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ヘキシル、2,2−ジメチルプロピル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、1−メチルヘキシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシルおよびオクタデシルである。アルコキシはアルキル−O−であり、アルキルチオはアルキル−S−である。
【0021】
5〜C8シクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシルおよびジメチルシクロヘキシル、好ましくはシクロヘキシルであり得る。
【0022】
7〜C18アラルキルは、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル(フェネチル)、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシルであってもよく、脂肪族および芳香族炭化水素基の両方が非置換であっても置換されていてもよい。好適な例は、ベンジル、フェネチルおよびα,α−ジメチルベンジルである。
【0023】
1〜C12ハロアルキルは、ハロゲンによって置換されたアルキルを指し、これは、分枝状または非分枝状の基、例えば、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF32、−(CF23CF3および−C(CF33であるペルフルオロアルキル、特にC1〜C4ペルフルオロアルキルなどの過ハロゲン化アルキルを含む。
【0024】
6〜C18アリールは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナトリルまたはフルオレニルであってもよい。好適な例は、フェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチルである。
【0025】
2〜C18ヘテロアリールは、フラニル、ピロリル、チエニル、ピリジルおよびインドリルであってもよい。好適な例は、フラニル、ピロリル、チエニルおよびピリジルである。
【0026】
1〜C18アルコキシは、直鎖状または分枝状アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシまたはtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシおよびオクタデシルオキシであってもよい。「アルキルチオ基」という用語は、エーテル結合の酸素原子が硫黄原子で置き換えられている点を除いて、アルコキシ基と同じ基を指す。
【0027】
少なくとも1つのNR4および/またはO原子によって分断されたC2〜C1000アルコキシは、好ましくは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドまたはポリエチレンイミン単位に基づく直鎖状または分枝状アルコキシ基であってもよい。
【0028】
5〜C11ヘテロシクロアルキルは、少なくとも1個、特に1から3個のヘテロ部分が、通常、O、S、NR10(R10は、HまたはC1〜C8アルキルである)から選択される脂肪族複素環部分、ならびにその不飽和変異体、例えば、ピペリジル、テトラヒドロフラニル、ピペラジルおよびモルホリニルであってもよい。不飽和変異体は、その間に二重結合が形成された2つの隣接する環員上の水素原子を除去することによってこれらの構造体から誘導され得る。
【0029】
アルケニル基、例えば、C8〜C24アルケニルは、可能であれば炭素原子の所定の範囲内で直鎖状であっても分枝状であってもよい。例は、n−オクタ−2−エニル、n−ドデカ−2−エニル、イソドデセニル、オレイル、n−ドデカ−2−エニルまたはn−オクタデカ−4−エニルである。アルケニルという用語は、共役であっても非共役であってもよい1超の二重結合を含む残基をも含み、例えば、それは二重結合を1つ含んでいてもよい。
【0030】
1〜C12アルキレンは、アルキルの任意の末端炭素原子から水素原子を除去することによって以上に定義されているアルキルから誘導され得る。分断されていることが示される場合、1超、特に2超の炭素原子の任意のアルキレン部分が、−O−、−CO−、−COO−、−OCNR8、−NR8−、CR9=CR10−または−C≡C−(R8、R9およびR10は、独立して出現毎に、H、C1〜C12アルキル、C5〜C12シクロアルキルまたはフェニルである)などの基によって分断されていてもよい。それらは、これらのスペーサ基の1種以上によって分断されていてもよく、1つの基は、それぞれの場合において、概して1つの炭素−炭素結合に挿入される。置換されていることが示される場合は、任意のアルキレンがケトン、エステルまたはアミド基によって置換されていてもよい。分断されたアルキレンがさらに置換されている場合、置換基は、一般にヘテロ原子に対するαでない。−O−、−NR8−型の2つ以上の分断基が1つの基に存在する場合、それらは、しばしば同一である。
【0031】
使用可能な上記の基の置換基は、C1〜C8アルキル、OH、SH、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキルチオ、CN、COR、COOR11、CONHR11、CONR1112、NHR11、NR1112、SiR111213またはニトロ基(R11、R12およびR13は、独立して、H、C1〜C12アルキル、C1〜C12ハロアルキル、C5〜C10アリール、C3〜C12シクロアルキル、好ましくはC1〜C6アルキル、フェニル、シクロフェニル、シクロヘキシルから選択される)である。
【0032】
(メタ)アクリルという用語は、アクリルもしくはメタクリル、またはそれらの組合せを指す。アクリル樹脂という用語は、アクリル樹脂もしくはメタクリル樹脂またはそれらの組合せを指す。
【0033】
分散剤は、球状粒子および成形粒子の凝集または凝結を防止する任意のポリマーであってもよい。分散剤は、水性混合物において溶液またはエマルジョンを形成する、重量平均分子量が500から2000000g/モル、好ましくは1500から1000000である非イオン性、陰イオン性または陽イオン性ポリマーであってもよい。一般に、それらのポリマーは極性基を含むことができる。好適なポリマー分散剤は、ポリマー鎖および固定基を含む二成分構造体を有することが多い。これらの特定の組合せが効果をもたらす。
【0034】
ポリマー分散剤は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリジン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジンおよびそれらのコポリマーまたはブレンドのような高分子電解質、カルボキシレート基、スルホネート基、ホスホネート基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基および/またはアミン基のような極性基で場合により部分的に中性化、四級化および/または変性されたポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコール、ビニルポリマーおよび芳香族ビニルポリマー等に基づくポリマー、ランダムコポリマー、ABブロックコポリマー等および櫛型コポリマー等であってもよい。
【0035】
上記ポリマーは、対応するモノマー、または当該技術分野で既知の任意の他の好適なモノマーから誘導されたコポリマーであってもよい。好適なポリマーは、例えば、WO00/40630、WO01/51534、WO99/03938およびWO01/44332の実施例に記載されている。参考として本明細書で援用されるWO04/045755に開示されているアクリルコポリマーが好適である。
【0036】
例えば、ポリマー分散剤を式(I):
CH2=C(R2)−(C=O)−R3(I)
[式中、
2は、水素またはCH3であり、
3は、NH2、OH、O-(M+)、グリシジル、非置換C1〜C18アルコキシ、少なくとも1つのNR4および/またはO原子によって分断されたC2〜C1000アルコキシ、またはヒドロキシ置換C1〜C18アルコキシ、非置換C1〜C18アルキルアミノ、ジ(C1〜C18アルキル)アミノ、C5〜C11ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ置換C1〜C18アルキルアミノまたはヒドロキシ置換ジ(C1〜C18アルキル)アミノ、−O−CH2−CH2−N(CH32または−O−CH2−CH2−N+H(CH32An-または二環式もしくは三環式炭化水素の残基であり、
4は、HまたはC1〜C18アルキルであり、
An-は、一価の有機酸または無機酸の陰イオンであり、
+は、金属陽イオン、あるいは1つ以上のC1〜C4アルキルによって置換されていてもよいアンモニウムイオンである]のアクリレートから誘導することができる。
【0037】
少なくとも1つのO原子によって分断されたC2〜C1000アルコキシとしてのR3の例は、式:
【化1】

[式中、
5は、C1〜C25アルキル、フェニル、またはC1〜C18アルキルによって置換されたフェニルであり、
6は、H、メチル、エチルまたはプロピルであり、
vは、1から1000の整数である]の基である。
【0038】
これらのモノマーは、例えば、対応するアルコキシル化アルコールまたはフェノールのアシル化によって非イオン性界面活性剤から誘導される。反復単位をC2〜C6アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物から誘導することができる。
【0039】
ポリ(メタ)アクリレートを、式(I)によるモノマーまたはモノマー混合物から製造することができる。他のコモノマーは、以下に記載される任意のアクリレートまたはメタクリレートであってもよい。
【0040】
好適なコモノマーの例は、アルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソホリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、またはスチレンもしくはp−メチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマーであってもよい。
【0041】
また、使用可能なコモノマーは、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ポリエステル、ポリウレタンおよびポリエーテルなどの高分子量(オリゴマー)多価不飽和化合物であってもよい。
【0042】
コモノマーのさらなる例は、アクリル酸ビニル、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールエタン、ジ(メタ)アクリル酸テトラメチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ジ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、トリ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、ペンタ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、オクタ(メタ)アクリル酸トリペンタエリスリトール、ジイタコン酸ペンタエリスリトール、トリスイタコン酸ジペンタエリスリトール、ペンタイタコン酸ジペンタエリスリトール、ヘキサイタコン酸ジペンタエリスリトール、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブタンジオール、ジアクリル酸ネオペンチルグリコール、ジアクリル酸ヘキサメチレングリコール、ジアクリル酸ビスフェノール−A、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)−ジフェニルプロパン、トリアクリル酸ソルビトール、テトラ(メタ)アクリル酸ソルビトール、ペンタエリスリトール変性トリアクリレート、ペンタアクリル酸ソルビトール、ヘキサアクリル酸ソルビトール、(メタ)アクリル酸オリゴエステル、ジおよびトリアクリル酸グリセロール、ジアクリル酸1,4−シクロヘキサン、分子量が200から1500のポリエチレングリコールのビス(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタアクリルアミド、ビス(メタアクリルアミドプロポキシ)エタン、メタアクリル酸β−メタアクリルアミドエチルおよびN−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]−アクリルアミドならびにそれらの混合物であってもよい。
【0043】
好適な市販のポリマー分散剤は、例えば、FEKA(登録商標)4046、4047、4060、4300、4330、4580、4585、8512、Disperbyk(登録商標)161、162、163、164、165、166、168、169、170、2000、2001、2050、2090、2091、2095、2096、2105、2150、味の素ファインテクノのPB(登録商標)711、821、822、823、824、827、LubrizolのSolsperse(登録商標)24000、31845、32500、32550、32600、33500、34750、36000、36600、37500、39000、41090、44000、53095、ALBRITECT(登録商標)CP30(アクリル酸とアクリルホスホネートのコポリマー)およびそれらの組合せである。
【0044】
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アミン官能基を有する(メタ)アクリレート、例えば、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミドまたは2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルおよび/またはポリグリコール(メタ)アクリレートから誘導されたポリマーが好ましい。
【0045】
特に、アミン官能基を有する非イオン性コポリマー分散剤が好適である。例えば、EFKA4300、EFKA4580またはEFKA4585などの分散剤が市販されている。
【0046】
さらなる好適な分散剤は、例えば、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドの縮合生成物、芳香族スルホン酸と非置換もしくは塩素化ビフェニルまたは酸化ビフェニルおよび場合によりホルムアルデヒドとの縮合生成物、(モノ−/ジ−)アルキルナフタレンスルホネート、重合有機スルホン酸もしくはその塩、例えば、重合アルキルナフタレンスルホン酸、重合アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルポリグリコエーテルスルフェート、ポリアルキル化多核アリールスルホネート、アリールスルホン酸とヒドロキシアリールスルホン酸のメチレン結合縮合生成物、ジアルキルスルホコハク酸のナトリウム塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸のナトリウム塩、ポリナフタレンメタンスルホン酸のナトリウム塩、リグノもしくはオキシリグノスルホネートまたは複素環式ポリスルホン酸である。
【0047】
特に好適な分散剤は、スルホン化ポリスチレンのナトリウム塩およびホルムアルデヒドとの縮合生成物である。
【0048】
式:
7−(OCH2CH2xO−L−CO2
[式中、
7は、C8〜C24アルキルまたはC8〜C24アルケニル基であり、
xは、2から8であり、
Lは、−O−、−CO−、−COO−、−OCNR8、−NR8−、−CR9=CR10−もしくは−C≡C−によって分断され、かつ/またはケトン、エステルもしくはアミド基によって置換されていてもよいC1〜C12アルキレン基であり、R8、R9およびR10はH、C1〜C12アルキル、C5〜C12シクロアルキルまたはフェニルであり、
Mは、H、C1〜C4アルキルによって置換されていてもよいアンモニウムイオン、または金属陽イオンである]に対応する他のアルキルエーテルカルボキシレート。
【0049】
さらなるポリマー分散剤は、式:
7−CO−[O−CH(CH3)−CO]y−CO2
[式中、
7は、C8〜C24アルキルまたはC8〜C24アルケニル基であり、
yは3から10であり、
Mは、H、C1〜C4アルキルによって置換されていてもよいアンモニウムイオン、または金属陽イオンである]に対応するアシルラクチレートであってもよい。例はナトリウムココイルラクチレートである。
【0050】
一般式(II):
【化2】

[式中、
Aは、R7−(OCH2CH2x−O−およびアシルラクチレートであり、
AはR7−CO−[O−CH(CH3)−CO]y−であり、
nは1または2である]の有機ホスフェートも、上記アルキルエーテルカルボキシレートから誘導することができる好適なポリマー分散剤である。対応する塩も使用可能である。
【0051】
ポリマー分散剤のさらなる例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルおよびポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルおよびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレートおよびポリエチレングリコールジステアレートなどのポリエチレングリコールジエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸変性ポリエステル、第三級アミン変性ポリウレタン等が挙げられる。
【0052】
好適な分散剤のさらなる例は、例えば、対応するポリエチレングリコール、ポリプロピレンまたはポリブチレングリコール、および無水コハク酸または無水グルタル酸などの環式無水物から誘導されるO−(C8〜C20アルキル)−ポリアルキレングリコールの縮合生成物であってもよい。これらの化合物はナトリウム塩またはカリウム塩等の金属塩として使用することもできる。
【0053】
ポリマー分散剤を単独で、または2つ以上の混合物で使用することができる。
【0054】
好適な還元剤をボランおよびその錯体、金属ボラン酸塩、水素化物、アルミン酸塩、アルデヒド、カルボン酸、ヒドラジン、ハイドロサルファイト、スタンナン、スタネート、シラン、ホスフィン、ホスファイトおよびシロキサンからなる群から選択することができる。
【0055】
ボランおよびその錯体の例は、ジボラン、硫化ボラン錯体、例えばジメチル硫化ボラン、ボランアミン錯体、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアニリン、tert−ブチルアミン、モルホリンまたはピリジンとの錯体、ボランテトラヒドロフラン錯体、メチルオキサザボロリジン、ジイソピノカムフェニルクロロボラン、メトキシジエチルボラン、ジブチルボロントリフレート、ジシクロヘキシルボロントリフレート、ジシクロヘキシルクロロボランである。
【0056】
金属ボロン酸塩の例は、ボロ水素化ナトリウム(NaBH4)、シアノボロ水素化ナトリウム(NaBH3CN)、トリアセトキシボロ水素化ナトリウム(NaHB(OAc)3)、トリ−sec−ブチルボロ水素化ナトリウム、トリ−sec−ブチルボロ水素化カリウム、トリエチルボロ水素化カリウム、トリエチルボロ水素化リチウム、トリ−sec−ブチルボロ水素化リチウム、ボロ水素化ニッケルである。
【0057】
アルミン酸塩の例は、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化リチウムアルミニウムおよびナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム水素化物である。
【0058】
好適な還元剤のさらなる例は、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、置換ヒドラジン、例えば、1,1−ジメチルヒドラジンまたは1,2−ジメチルヒドラジン、ナトリウムハイドロサルファイト、トリブチルスタンナン、水素化トリブチル錫、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル、トリクロロシラン、トリエチルシラン、トリス(トリメチルシリル)シランおよびポリメチルヒドロシロキサンである。
【0059】
ボロ水素化ナトリウム、硫化物およびアミンとのボラン錯体、ヒドラジンならびにアスコルビン酸が好ましい。
【0060】
好適な過酸化物の例は、H22、C1〜C8アルキル過酸、例えば、過酢酸、アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、ペルオキシジカルボン酸ジイソプロピル、過ネオデカン酸tert−アミル、過ネオデカン酸tert−ブチル、過ピバル酸tert−ブチル、過ピバル酸tert−アミル、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、過酸化ジイソノナノイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジオクタノイル、過酸化ジラウロイル、ビス(2−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、過酸化ジアセチル、過酸化ジベンゾイル、ペル−2−エチルヘキサン酸tert−ブチル、ビス(4−クロロベンゾイル)−ペルオキシド、過イソ酪酸tert−ブチル、過マレイン酸tert−ブチル、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、ペルオキシイソプロピル炭酸tert−ブチル、過イソノナン酸tert−ブチル、2,5−二安息香酸2,5−ジメチルヘキサン、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−アミル、過安息香酸tert−ブチル、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)プロパン、過酸化ジクミル、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ−tert−ブチルペルオキシド、3−tert−ブチルペルオキシ−3−フェニルフタリド、過酸化ジ−tert−アミル、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5−ジメチル−1,2−ジオキソラン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシン−2,5−ジ−tert−ブチルペルオキシドおよび3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル−1,2,4,5−テトラオキサシクロノナンからなる群から選択され、H22が好適である。
【0061】
場合により、本発明の工程a)の混合物はキャッピング剤を含む。キャッピング剤は、存在すれば、一般には50mM、好ましくは0.01から30mMの濃度で使用される。
【0062】
好適なキャッピング剤の例としては、ポリカルボン酸塩、例えば、クエン酸塩、エチレンテトラアミンテトラ酢酸(EDTA)塩、ならびにジエチレントリアミン五酢酸塩、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩およびニトリロ三酢酸塩のようなポリアミノカルボン酸が挙げられる。クエン酸三ナトリウムおよび三カリウムが好適である。
【0063】
あるいは、本発明の方法を、クエン酸三ナトリウムおよび三カリウムなどのキャッピング剤の不在下で実施することができる。好適な実施形態は、カルボン酸またはカルボキシレート含有添加剤、特にポリカルボン酸またはポリカルボキシレート含有添加剤が存在しない方法に関する。この実施形態は、特に、上記キャッピング剤も、カルボン酸基またはカルボキシレート基を有するポリマー分散剤も存在しないことを含む。
【0064】
好適な実施形態において、少なくとも1つのさらなる添加剤、特に水溶性添加剤が発明の方法の工程a)に存在していてもよい。
【0065】
例えば、チオール、二硫化物、多硫化物、キサンテートおよびジチオカルバメート等のS含有添加剤を水溶性添加剤または少なくとも部分的に水溶性の添加剤として添加することができる。1つ以上のS含有添加剤の混合物を使用することもできる。好ましくは、チオールが、場合により別のチオール、二硫化物、キサンテートまたはジチオカルバメートと組み合わせて使用される。
【0066】
好適なチオールの例は、平均分子量が500から10000、好ましくは1000〜6000のポリエチレンまたはポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールから誘導されるチオールであってもよい。好適なチオールは、式:
14−X−SH
[式中、
14はC1〜C25アルキル、特にメチルもしくはエチル、フェニル、またはC1〜C18アルキルによって置換されたフェニルであり、
Xは、平均分子量が約1000から約6000、好ましくは約5000であるポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールである]のチオールである。少なくとも部分的に水溶性の好適なチオールの例は、2−メルカプトエタノール、メルカプトブタノール、メルカプトヘキサノール、3−メルカプトプロピオン酸、11−メルカプトウンデカン酸、システインおよびホモシステイン等である。
【0067】
水溶性または少なくとも部分的に水溶性の二硫化物の例は、シスタミン、二硫化メルカプトエタノール、シクロ−ジチオトレイトールおよびリポ酸等である。
【0068】
水溶性または少なくとも部分的に水溶性のキサンテートの例は、メチルキサントゲン酸カリウム、エチルキサントゲン酸カリウム、ヘキシルキサントゲン酸カリウム、キサンタンゴム、キサントゲン酸セルロース、ポリエチレングリコールキサントゲネートおよびポリプロピレングリコールキサントゲネート等である。
【0069】
水溶性または少なくとも水溶性のジチオカルバメートの例は、ジエチルジチオカルバミン酸塩、ジベンジルジチオカルバミン酸塩、ピペリジンジチオカルバメートおよびポリエチレンイミンジチオカルバメート等である。
【0070】
他の種類の好適な水溶性添加剤はアミンである。好適なアミンの例は、
【化3】

[式中、
15、R16およびR17は、互いに独立して、H、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、フェニル、C1〜C18アルキルによって置換されたフェニル、ポリエチレングリコールの基、ポリプロピレングリコールの基またはポリブチレングリコールの基である]のアミンである。好ましくは、アミンは、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、アリルアミン、ブチルアミンまたはヘキシルアミン、より好ましくはアンモニアである。
【0071】
また、R15、R16およびR17は、互いに独立して、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、エステル、エーテル、ホスフィン、チオール、二硫化物、キサンテート、ジチオカルバメート、スルホン酸および/またはホスホン酸基などの1つ以上の官能基を含むことができ、それらの基は、水溶性を向上させ、かつ/または遷移金属イオンおよび/または原子との錯体の安定性に影響を及ぼすことができる。当該化合物の例は、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、アミノエタノール、ジエタノールアミン、ビス−およびトリス−オキシメチルアミン、グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸およびその塩、1,5−ジアミノ−3−オキソペンタン、シスタミン、システアミン、N,N−ジメチルアミノエタノールキサントゲン酸塩、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびエチレンイミンの高級オリゴマー、ポリエチレンイミンであってもよい。エチレンジアミン、エチレンイミンのオリゴマー、ポリエチレンイミンが好ましく、Mnが11000未満のポリエチレンイミンがより好ましい。
【0072】
さらなる種類の好適な水溶性添加剤は、多価アルコールなどのアルコールである。多価アルコールの例は、ジオール、グリコール、グリセロール、グルシトールまたはイノシトールなどの糖アルコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ポリアルキレングリコールおよびそれらの混合物である。好ましくは、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールまたはトリエチレングリコール、より好ましくはエチレングリコールを使用することができる。さらなる種類の好適な添加剤は、市販のTEGO Foamex 1488、1495、3062、7447、800、8030、805、8050、810、815N、822、825、830、835、840、842、843、845、855、860、883、K3、K7、K8、NおよびSigmaのAntifoam SE−15等の消泡剤である。
【0073】
したがって、好適な態様において、本発明は、工程a)において、チオール、二硫化物、キサンテートまたはジチオカルバメートなどのS含有添加剤、アルコール、アミンおよび消泡剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤が存在する方法に関する。より好ましくは、添加剤は、チオール、キサンテート、ジチオカルバメート、エチレングリコール、アンモニア、ポリエチレンイミンから選択され、消泡剤が存在する。
【0074】
特に、工程a)における水性混合物は、チオールおよびアルコール、特に多価アルコール、またはチオールおよびアミンを含む。
【0075】
消泡剤を、この方法の工程a)およびb)で使用される溶液のいずれか、好ましくは還元剤または遷移金属塩を含む溶液に添加する、あるいは溶液を混合した後に添加することができる。
【0076】
本発明のさらに別の態様において、工程a)およびb)で使用される溶液のいずれかのpHを、硫酸、フッ化水素酸、酢酸、硫酸塩および他の酸塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩の水酸化物ならびに水酸化第四級アンモニウム等、好ましくは硫酸もしくは酢酸または水酸化ナトリウムもしくはカリウムなどの水溶性プロトン酸または塩基を使用して調整することができる。
【0077】
1つの興味深い実施形態は、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtからなる群から選択されるナノプレートレットの形の成形遷移金属粒子を製造する方法であって、最初に、
a)遷移金属塩およびポリマー分散剤を含む水性混合物に還元剤を添加する工程と、続いて、
b)得られたコロイド分散体を過酸化物で処理する工程と
を含む(ただし、過酸化物の添加後に水溶性アミンを添加しない)方法に関する。
【0078】
一般に、本発明の方法は、WO09/056401に記載されている方法を排除する。したがって、Zn、Ag、Cu、Au、Ta、Ni、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Fe、RuおよびTiからなる群から選択されるナノ成形遷移金属粒子を合成し、単離し、有機マトリックスに再分散させるための方法であって、
a)遷移金属塩の水溶液にアクリレートもしくはメタクリレートモノマーまたはオリゴマー、あるいはポリアクリレートもしくはポリメタクリレートおよび還元剤を添加する工程と、
b1)コロイド溶液を過酸化物で処理する工程、または
b2)コロイド溶液をUVまたは可視光に曝露する工程と、
c)水溶性アミンを添加する工程と、
d)ナノ成形遷移金属粒子を単離する、またはナノ成形遷移金属粒子を分散剤とともに液体アクリレートまたはメタクリレートモノマーに再分散する工程と
を含む方法を排除する。
【0079】
本発明の方法において、場合により、工程a)で得られた混合物に、製品粒子の粒径を増大させるために十分な波長の光を十分な時間にわたって照射することができる。混合物をUVまたは可視光に曝露させるときは、250nmから750nmの全波長領域、好ましくは、300から370nmまたは500から700nmなどの選択波長領域があり得る。例えば、約200ミリ秒から100時間の照射時間を選択することができる。約20から100時間の長時間放射が好適である。高強度光源を使用する場合は短い照射時間がより好適であり得る。単色光源を使用し、単色光に曝露することも可能である。レーザまたは水銀ランプなどの光源が好適であり市販されている。分散体を照射するとき、温度は80℃を超えるべきでなく、好ましくは40から70℃に保持されるべきである。しかし、発明の方法を通じて照射を使用しないことが好適である。
【0080】
一般に、該方法は、水中、または水溶性有機溶媒と水との混合物中、好ましくは水中で実施される。好適な有機溶媒は、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールなどのアルコール、テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサン等である。好ましくは、過剰の水を使用する。あるいは、該方法を純粋のアルコールまたはアルコールの混合物中で実施することができる。
【0081】
該方法は、好ましくは、分散剤および場合によりキャッピング剤の存在下で遷移金属塩を水および場合によりアルコールに溶解または分散させることによって実施される。得られた溶液または分散体を20℃未満の温度に保持し、好ましくは5℃以下、例えば約0から5℃まで冷却した後、還元剤の水溶液を徐々に添加する。金属塩の還元が完了すると、所望のスペクトルプロファイルが達成されるまで過酸化物を添加する。この工程を約−10℃から約100℃の温度で実施することができる。好ましくは、過酸化物を20から50℃、より好ましくは20から40℃の温度で添加する。
【0082】
該方法を、分散剤および場合により上記添加剤の少なくとも1種の存在下で遷移金属塩を、2mM超の濃度で水に溶解または分散させ、還元剤および場合により上記水溶性添加剤の少なくとも1種を水に溶解または分散させることによって実施することもできる。場合により第1または第2の混合物に含まれる添加剤は、同一であっても異なっていてもよい。得られた溶液または分散体を20℃未満の温度に保持し、好ましくは5℃以下、例えば約0から5℃まで冷却する。これらの2つの溶液または分散体を、一方の溶液を他方に連続的に、あるいは1回または複数回で添加する、あるいは好ましくは、得られた球状粒子の分散体を回収するための追加的な流出口、例えば任意の形の三方コネクタを有する混合チャンバに両方の溶液または分散体を同時に送り込むことによって混合することができる。金属塩の還元が完了すると、反応混合物の所望のスペクトルプロファイルが達成されるまで、過酸化物、好ましくはその水溶液を連続的に、あるいは1回または複数回で球状粒子の分散体に添加する。特に、ヒドラジン等のさらなる還元剤を、過酸化物の添加前に添加しない。過酸化物添加工程を約0℃から約100℃の温度で実施することができる。好ましくは、過酸化物を10から80℃、より好ましくは20から70℃の温度で添加する。得られたプレートレット成形金属粒子を当該技術分野で既知の任意の手段、例えば、遠心および/または適切な表面改質剤を使用する可逆凝集、および/または有機溶媒への移相によって単離する。
【0083】
「所望のスペクトルプロファイル」という用語は、混合物の吸収極大値が450、好ましくは500から2000nmにあることを意味する。UV−VIS−NIR吸収を測定することによって反応を観察することができる。
【0084】
工程a)の典型的な反応時間は、約1分間から約10時間、好ましくは5分間から約4時間の範囲であってもよい。工程b)の典型的な反応時間は、約5分間から約24時間の範囲であってもよい。反応は、典型的には通常の圧力下、通常の雰囲気下、および場合により光の不在下で行われる。しかし、場合によっては、不活性気体雰囲気を使用するのが有利であり得る。好適な気体は、アルゴンまたは窒素である。
【0085】
成分の濃度は特に重要でない。工程a)の最終混合物(すなわち、還元剤の添加後の球状金属粒子の分散体)における(イオンおよび無電荷原子の両方を含む)遷移金属の全濃度は、例えば、少なくとも0.5mMであり、好ましくは2mM超、約500mMまで、より好ましくは2.5mMから300mM、最も好ましくは3mMから200mM、特に5から200mMであってもよい。特に、50から200mMの濃度が好適である。
【0086】
概して、ポリマー分散体は、工程a)の混合物の全質量に基づいて約0.001から約20質量%、好ましくは0.005から15質量%、より好ましくは0.01から10質量%の濃度で工程a)の最終混合物に存在する。すなわち、濃度は、還元剤を添加した後に得られる混合物を指す。
【0087】
硫黄含有添加剤、特にチオール、キサンテートまたはジチオカルバメートが工程a)の混合物に存在する場合は、特にチオール、キサンテートまたはジチオカルバメート基の形のS含有基と、遷移金属塩とのモル比は0.0001:1から2:1、好ましくは0.001:1から1:1、より好ましくは0.005:1から1:2の範囲で変化し得る。
【0088】
アルコールのヒドロキシル基と遷移金属塩とのモル比は、0.0001:1から1000:1、好ましくは0.001:1から100:1、より好ましくは0.01:1から50:1の範囲で変化し得る。
【0089】
アミンのアミノ基と遷移金属塩とのモル比は、0.0001:1から100:1、好ましくは0.001:1から10:1、より好ましくは0.005:1から5:1の範囲で変化し得る。
【0090】
工程a)およびb)で使用される溶液のいずれかのpHを約1から13、好ましくは約2から12、より好ましくは3から11の範囲で場合により調整することができる。
【0091】
消泡剤が存在すれば、その量は、通常、例えばポリマー分散剤および遷移金属塩などの他の成分の濃度に応じて異なる。それは、過酸化物添加前の反応混合物の全重量に基づいて0.00001質量%から5質量%、好ましくは0.0001質量%から3質量%、より好ましくは0.001質量%から2質量%の範囲であってもよい。
【0092】
典型的には、還元剤を工程a)において100当量までの、遷移金属塩に対応する当量以上で使用することができる。概して、還元剤と遷移金属塩とのモル比は、約0.2:1から20:1、好ましくは0.25:1から4:1である。
【0093】
過酸化物と還元剤とのモル比は、概して、1:1から100000:1、好ましくは10:1から10000:1であってもよい。
【0094】
有利には、過酸化物を、工程a)で得られた混合物に1回で添加しない。すなわち、添加を、特に水溶液の形で例えば滴下または注入により徐々に、または段階的に実施する。典型的には、過酸化物溶液の濃度を、過酸化物溶液の全質量に基づいて0.05質量%から70質量%の範囲にすることができる。
【0095】
それらの工程を所定の順序で実施すること、すなわち過酸化物を還元剤の添加後、好ましくは反応混合物の吸収スペクトルの変化、または当該技術分野で既知の任意の方法による遷移金属イオンの濃度の測定によって確認することができる反応の完了後に添加することがさらに重要である。この手順により、先行技術と比較して、遷移金属塩の出発濃度を実質的により高くすることが可能になる。
【0096】
発明の方法は、最初に工程a)で球状遷移金属粒子を調製し、続いてそれらを工程b)でプレートレットの形の成形粒子に変換する。「続いて」という用語は、工程b)が工程a)の直後であること、すなわち工程a)と工程b)の間に処理工程等が存在しないことを意味する。特に、過酸化物の添加前にヒドラジンを添加しない。この方法で得られた成形遷移金属粒子は、典型的には、三角柱、平頭三角柱、六角柱またはそれらの混合物の形である。すなわち、それらは規則的な球形と異なる。あるいは、処理パラメータおよび条件を、様々なエッジ長さを有する不規則な形の輪郭または多角形のナノプレートレットを得るように選択することができる。
【0097】
例えば、成形遷移金属粒子の最長の寸法は、約15nmから約3000nm、好ましくは15nmから1000nmの範囲で変化し得る。成形粒子の厚さは、約2から約100nm、好ましくは2から30nmの範囲で変化し得る。
【0098】
好ましくは、成形遷移金属粒子は、特にエッジ長さの最長寸法が15nmから3000nm、好ましくは15から1000nm、より好ましくは30nmから700、最も好ましくは30から600nm、特に40nmから500nmであり、厚さが2nmから100nm、好ましくは2から50nm、より好ましくは2から30nm、特に4から20nmであるプレートレットの形である。より好ましくは、成形粒子は、三角柱および/または六角柱の形である。
【0099】
発明の成形粒子は、有利には単結晶性である。
【0100】
望ましい場合、工程b)によって得られた成形粒子を濾過、遠心、可逆的または不可逆的凝集、有機溶媒による移相、およびそれらの組合せ等の既知の方法によって単離することができる。成形粒子を湿性糊または水中分散体として単離した後に得ることができる。前記粒子の最終調製物における遷移金属含有量は、調製物の全質量に基づいて約99質量%まで、好ましくは5から99質量%、より好ましくは10〜95質量%であってもよい。
【0101】
本発明の好適な態様は、水を少なくとも部分的に、実質的に有機媒体またはマトリックスに取り替える工程c)をさらに含む方法に関する。特に、水を完全に除去する。
【0102】
好ましくは、有機媒体またはマトリックスは、好適な有機溶媒、液体モノマーもしくはオリゴマー、またはポリマー、油中水エマルジョン(w/o)、水中油(o/w)エマルジョンあるいはそれらの組合せであってもよい。
【0103】
場合により、水を除去する前に、工程c)でさらなる分散剤および/または表面改質剤を添加することができる。分散剤および/または表面改質剤は、工程a)で使用したものと同じであってもそうでなくてもよいが、通常は同じである。概して、工程a)での使用量の約10質量%から100倍までの量を採用することができる。
【0104】
有機媒体またはマトリックスは、好適な有機溶媒を含む、または好適な有機溶媒であってもよい。すなわち、水を部分的または完全に有機溶媒に取り替えて成形粒子を分散させる。有機溶媒の例は、C1〜C4アルカノール、C2〜C4オリオール、C3〜C6ケトン、C4〜C8エーテル、C1〜C8エステル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールまたはそれらの混合物であり、C1〜C4アルカノールおよびC1〜C4ポリオールは、C1〜C4アルコキシで置換されていてもよい。C1〜C4アルカノールの例は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノールである。そのC1〜C4アルコキシ誘導体の例は、2−エトキシエタノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールである。C2〜C4ポリオールの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびグリセロールである。C3〜C6ケトンの例は、アセトンおよびメチルエチルケトンである。C4〜C8エーテルの例は、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびジエチレングリコールジエチルエーテルである。C1〜C8エステルの例は、酢酸エチル、酢酸ブチル、n−プロピオン酸n−プロピル、n−ヘキサン酸n−ヘキシルである。
【0105】
有機媒体は、成形粒子の存在下で重合することができる1つ以上の液体モノマーおよび/またはオリゴマーを含むこともできる。好適なモノマーの例としては、任意のエチレン性不飽和モノマー、例えば、ポリマー分散体のモノマー成分として以上に挙げられている(メタ)アクリレート、ジまたはトリ(メタ)アクリレートなどのアクリルモノマー、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチルなどのエポキシ置換(メタ)アクリレート、分子量が200から1500のポリエチレングリコールの(メタ)アクリレートまたはジ(メタ)アクリレート、分子量が200から1500のエポキシ置換ポリエチレングリコール、またはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、ポリクロロスチレン、フルオロスチレン、ブロモスチレン、エトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メチル−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなどのビニル芳香族化合物が挙げられる。メタクリル酸メチルが特に好適である。
【0106】
有機媒体は、高分子量有機材料または塗料組成物に使用される熱可塑性または架橋性ポリマーを含むこともできる。
【0107】
有機媒体は、家庭用および個人用手入れ組成物または製品、特に以下に記載される化粧組成物に好適に使用される油中水または水中油エマルジョンを含むこともできる。
【0108】
したがって、本発明は、また、特に水性および/または有機媒体中の前記成形遷移金属粒子の分散体の形で、以上に記載されているように製造される成形遷移金属粒子に関する。さらなる用途に応じて、分散体における前記粒子の含有量は、分散体の全質量に基づいて約95質量%まで、好ましくは0.0001から90質量%、より好ましくは1〜70質量%であってもよい。
【0109】
本発明の成形粒子を、NIR吸収、導電性および/または抗菌特性に応じたいくつかの応用分野に使用することができる。
【0110】
したがって、本発明のさらなる態様は、実質的に、
a)以上に記載されているように製造された成形遷移金属粒子と、
b)熱可塑性または架橋性ポリマーと
からなる組成物に関する。
【0111】
「実質的に〜からなる」という用語は、両成分が、成分a)およびb)の全質量に基づいて少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%を占めることを意味する。
【0112】
熱可塑性または架橋性ポリマーは、好ましくは透明または半透明である。これらの材料を透過する光の量、すなわち透明度または半透明度は、主として、粒子塗布量、使用するさらなる添加剤、ポリマーマトリックスの曇り度および材料の厚さなどの周知のパラメータに依存する。これらの材料は、通常、可視領域(400〜750nm)の各部分で少なくとも60%の半透明度である。好適な材料は、良好な透明性を有し、特に、厚さが10mm未満(例えば0.01から5mm)の明澄透明シートおよびフィルム、またはすべての可能な寸法の厚いシートから選択される。
【0113】
好適な材料は、以下の有利な特性の1種以上を有する。
−60%未満の全太陽放射線透過率(340〜1800nm)、
−低い曇り度値、および
−60%超の全可視光透過率(400〜750nm)。
【0114】
多種多様なポリマーを使用することができる。プラスチック樹脂の例としては、ポリカーボネート(PC)またはポリカーボネート上のコーティング層もしくは共押出層、ポリエステル、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリマー、ビニル芳香族モノマーから誘導される芳香族ホモポリマーおよびコポリマーならびにそれらのグラフトコポリマー、ブレンド、アロイおよびコポリマーを含むアクリル樹脂およびポリ酢酸ビニルが挙げられる。
【0115】
本発明の範囲内で有用なポリマーとしては、以下のポリマーが挙げられる。
【0116】
1.モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタ−1−エン、ポリ−4−メチルペンタ−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレンまたはポリブタジエン、ならびにシクロオレフィン、例えばシクロペンテンまたはノルボルネンのポリマー、(場合により架橋することができる)ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度および高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度および超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)および(ULDPE)。
【0117】
2.1)に挙げられているポリマーの混合物、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)および異なる種類のポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0118】
3.モノオレフィンおよびジオレフィン同士のコポリマーまたはそれらと他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびそれらと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブタ−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、COCのようなエチレン/ノルボルネン)、1−オレフィンがin−situ生成されるエチレン/1−オレフィンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アクリル酸アルキルコポリマー、エチレン/メタクリル酸アルキルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマーまたはエチレン/アクリル酸コポリマーおよびそれらの塩(アイオノマー)、ならびにエチレンとプロピレンおよびヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデン−ノルボルネンなどのジエンとのターポリマー、ならびに当該コポリマー同士の混合物およびそれらと上記1)に挙げられているポリマーとの混合物、例えば、ポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAAおよび交互またはランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー、ならびにそれらと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0119】
4.スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンのすべての異性体、特にp−ビニルトルエン、エチルスチレンのすべての異性体、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンおよびビニルアントラセン、ならびにそれらの混合物を含むビニル芳香族モノマーから誘導される芳香族ホモポリマーおよびコポリマー。ホモポリマーおよびコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチックまたはアタクチックを含む任意の立体構造体を有することができる。アタクチックポリマーが好適である。ステレオブロックポリマーも含まれる。
【0120】
5.エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、無水マレイン酸、マレイミド、酢酸ビニルおよび塩化ビニルまたはアクリル誘導体およびそれらの混合物、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル(SAN)、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/メタクリル酸アルキル、スチレン/ブタジエン/アクリル酸アルキル、スチレン/ブタジエン/メタクリル酸アルキル、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/メタクリレートから選択される前記ビニル芳香族モノマーおよびコモノマー、高衝撃強度のスチレンコポリマーと別のポリマーとの混合物、例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー、ならびにスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンまたはスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンなどのスチレンのブロックコポリマー。
【0121】
6.スチレンまたはα−メチルスチレンなどのビニル芳香族モノマーのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエン上スチレン、ポリブタジエン−スチレンまたはポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマー上スチレン、ポリブタジエン上スチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル)、ポリブタジエン上スチレン、アクリロニトリルおよびメタクリル酸メチル、ポリブタジエン上スチレンおよび無水マレイン酸、ポリブタジエン上スチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸またはマレイミド、ポリブタジエン上スチレンおよびマレイミド、ポリブタジエン上スチレンおよびアクリル酸またはメタクリル酸アルキル、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー上スチレンおよびアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレートまたはポリアルキルメタクリレート上スチレンおよびアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上スチレンおよびアクリロニトリル、ならびにそれらと4)に挙げられているコポリマーとの混合物、例えば、ABS、MBS、ASAまたはAESポリマーとして既知のコポリマー混合物。
【0122】
7.ハロゲン含有ポリマー、例えば、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化および臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化またはスルホ塩素化ポリエチレン、エチレンおよび塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモポリマーおよびコポリマー、特に、ハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ならびにそれらのコポリマー、例えば、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、または塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマー。
【0123】
8.α,β−不飽和酸およびその誘導体から誘導されるポリマー、例えば、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、アクリル酸ブチルで衝撃性が改良されたポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリル。
【0124】
9.8)に挙げられているモノマー同士のコポリマー、またはそれらと他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えば、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸アルキルコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸アルコキシアルキルまたはアクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリマー、あるいはアクリロニトリル/メタクリル酸アルキル/ブタジエンターポリマー。
【0125】
10.不飽和アルコールおよびアミンまたはそれらのアシル誘導体またはアセタールから誘導されるポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリフタル酸アリルまたはポリアリルメラミン、ならびにそれらと上記1)に挙げられているオレフィンとのコポリマー。
【0126】
11.ジカルボン酸およびジオール、および/またはヒドロキシカルボン酸または対応するラクトンから誘導されるポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)およびポリヒドロキシベンゾエート、ならびにヒドロキシル末端ポリエーテルから誘導されるブロックコポリエーテル、ならびにポリカーボネートまたはMBSで変性されたポリエステル。
【0127】
12.ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネート。
【0128】
13.ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレンおよびそれらの誘導体などの導電性ポリマー。
【0129】
成形粒子をポリマーマトリックスに導入すると、高度に透明なプラスチック製品が得られる。それらは、(例えば透明光沢剤またはフィルムでは)無色であるか、あるいは例えば好適な濾光または日除けが所望される用途では、例えば顔料または顔料の混合物の添加によって着色され得る。これらの成形粒子は、高度な装填を可能にし、高度な遮熱ならびに高度な抗菌活性をもたらす。
【0130】
成形粒子の量は、ポリマー組成物の全質量に基づいて、好ましくは0.0001から90質量%、より好ましくは0.0003から70質量%、最も好ましくは0.0003から10質量%、特に0.0003から5質量%である。銀の場合、量は、ポリマー組成物の全質量に基づいて、典型的には0.0005から70質量%、好ましくは0.005から10質量%である。
【0131】
当該組成物を、プラスチックフィルム、繊維、または成形粒子を含む製品に使用することもできる。
【0132】
当該成形粒子を、ガラスなどの透明基板、以上に挙げられているポリマーの1つ、不透明基板、例えば紙に塗布される硬化性/架橋性塗料組成物に導入することもできる。硬化性/架橋性塗料の例を以下に示す。
【0133】
1.一方ではアルデヒドから、他方ではフェノール、尿素およびメラミンから誘導される架橋ポリマー、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
【0134】
2.飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールおよび架橋剤としてのビニル化合物とのコポリエステルから誘導される不飽和ポリエステル樹脂、ならびに低可燃性のそれらのハロゲン含有変性体。
【0135】
3.置換アクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレート。
【0136】
4.メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネートまたはエポキシ樹脂で架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリレート樹脂。
【0137】
5.脂肪族、脂環式、複素環式または芳香族グリシジル化合物から誘導される架橋エポキシ樹脂、例えば、促進剤を用いて、または用いずに無水物またはアミンなどの通常の硬化剤で架橋されるビスフェノールAおよびビスフェノールFのジグリシジルエーテルの製品。
【0138】
概して、熱可塑性ポリマーが好適である。好ましくは、熱可塑性または架橋性ポリマーは、ポリカーボネート、ポリカーボネート上のコーティング層または共押出層、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET、PET−G)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、透明ABS、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ならびにブレンド、アロイおよびそれらのコポリマーである。これらのポリマーの中でも、ポリアクリレート、特にポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびポリビニルアセタール、特にポリビニルブチラールが最も好適である。
【0139】
上記組成物は、さらなる成分として、抗酸化剤、難燃剤、清澄剤、UV吸収剤および/または立体阻害アミン、顔料およびNIR吸収剤、例えば、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、LaB6、WOx、ドープWYOx、ZnOまたはドープZnYO、シアニン、フタロシアニン、ルモゲン788または他のクアテリレン、ジチオレンおよび他の金属錯体を含むことができる。
【0140】
また、さらなる抗菌薬、例えば、ジクロサンまたはトリクロサンなどのジまたはトリハロゲノ−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,5−ジメチル−テトラヒドロ−1,3,5−2H−チオジアジン−2−チオン、ビス−トリブチルチンオキサイド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−ブチル−ベンズイソチアゾリン、10.10’−オキシビスフェノキシアルシン、亜鉛−2−ピリジンチオール−1−オキシド、2−メチルチオ−4−シクロプロピルアミノ−6−(α,β−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−シクロプロピルアミノ−6−tert−ブチルアミノ−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(α,β−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、IPBC、カルベンダジムまたはチアベンダゾールが組成物に存在してもよい。
【0141】
有用なさらなる添加剤を以下に挙げられる材料、またはそれらの混合物から選択することができる。
【0142】
1.抗酸化剤
1.1.アルキル化モノフェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、
1.2.アルキルチオメチルフェノール、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、
1.3.ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、
1.4.トコフェロール、例えば、α−トコフェロール、
1.5.ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、
1.6.アルキリデンビスフェノール、例えば、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、
1.7.O−、N−およびS−ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、
1.8.ヒドロキシベンジル化マロネート、例えば、ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、
1.9.芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、
1.10.トリアジン化合物、例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−4−ブチル−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、
1.11.ベンジルホスホネート、例えば、ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、
1.12.アシルアミノフェノール、例えば、4−ヒドロキシラウラニリド、
1.13.β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル
1.14.β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル
1.15.β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル
1.16.3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価または多価アルコールとのエステル
1.17.β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、
1.18.アスコルビン酸(ビタミンC)、
1.19.アミン系抗酸化剤、例えば、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン。
【0143】
2.UV吸収剤および光安定剤
2.1.2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、
2.2.2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば、4−ヒドロキシ誘導体、
2.3.置換および非置換安息香酸のエステル、例えば、サリチル酸4−tert−ブチル−フェニル、
2.4.アクリル酸、例えば、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチル、
2.5.ニッケル化合物、例えば、2,2’−チオ−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル化合物、
2.6.立体阻害アミン、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、
2.7.オキサミド、例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、
2.8.2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル[または−4−ドデシル/トリデシルオキシフェニル])−1,3,5−トリアジン。
【0144】
3.金属不活性剤、例えば、N,N’−ジフェニルオキサミド。
【0145】
4.ホスファイトおよびホスホナイト、例えば、亜リン酸トリフェニル。
【0146】
5.ヒドロキシルアミン、例えば、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン。
【0147】
6.ニトロン、例えば、N−ベンジル−アルファ−フェニルニトロン。
【0148】
7.チオ共力剤、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル。
【0149】
8.過酸化物捕集剤、例えば、β−チオプロピオン酸のエステル。
【0150】
10.塩基性補助安定剤、例えば、メラミン。
【0151】
11.核剤、例えば、タルカム、金属酸化物などの無機物質。
【0152】
12.充填剤および補強剤、例えば、炭酸カルシウム、珪酸塩。
【0153】
13.他の添加剤、例えば、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、顔料、流動添加剤、触媒、流動調節剤、蛍光増白剤、防炎剤、帯電防止剤および発泡剤。
【0154】
14.ベンゾフラノンおよびインドリノン、例えば、US4,325,863、US4,338,244、US5,175,312、US5,216,052、US5,252,643、DE−A−4316611、DE−A−4316622、DE−A−4316876、EP−A−0589839、EP−A−0591102、EP−A−1291384に開示されているベンゾフラノンおよびインドリノン。
【0155】
有用な安定剤および添加剤の詳細については、参考として本明細書で援用されるUS2006/252857のパラグラフ[0132]から[0174]のリストを参照されたい。
【0156】
これらのさらなる添加剤の1種以上が、組成物の全質量に基づいて、通常は0.01から約20質量%、しばしば約0.1から10質量%、好ましくは0.1から5.0質量%の量で含まれる。重要なのは、例えば、抗酸化剤(例えば、以上に挙げられているフェノール抗酸化剤および/またはホスファイト(ホスホナイト))、そして多くの分野では難燃剤である。特にポリオレフィン組成物において透明性を向上させるために清澄剤/核剤を添加することができる。当該成形粒子とUV吸収剤および/または立体阻害アミン(HALS)などの光安定剤との組合せが特に好適である。
【0157】
本発明の別の実施形態において、成形粒子に加えて、それぞれ周期表の第IIIおよびIV主族に属する原子の1種以上がドープされた亜鉛の酸化物および/または周期表の第III、IV、V、VI族の遷移金属の窒化物、あるいはドープされていない窒化バナジウムまたは窒化スカンジウムからなる、厚さが200nm未満の固体のナノスケール粒子がさらなる成分として組成物に存在してもよい。
【0158】
特に、窒化物は、スカンジウム、イットリウム、ランタニドを含むランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、モリブデンおよびウォルフルムの窒化物から選択され、ドーピング元素は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、炭素、珪素、ゲルマニウム、錫および鉛から選択される。
【0159】
本発明に有用な粒子の好適な例は、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GaZO)、アルミニウムドープ窒化チタン(AlTiN)、インジウムドープ窒化チタン(InTiN)、ガリウムドープ窒化チタン(GaTiN)、アルミニウムドープ窒化バナジウム(AlVN)、インジウムドープ窒化バナジウム(InVN)、ガリウムドープ窒化バナジウム(GaVN)、窒化バナジウム(VN)、アルミニウムドープ窒化スカンジウム(ALScN)、インジウムドープ窒化スカンジウム(InScN)、ガリウムドープ窒化スカンジウム(GaScN)および窒化スカンジウム(ScN)である。
【0160】
通常の酸化亜鉛は、NIR領域で吸収を示さない。ドーピングは、非導電性材料を、NIR領域で吸収を示す導電性材料に変換する。
【0161】
ドーピング量に関して、当該酸化物および窒化物を式:
aZnbc (II)
ade (III)
[式中、
Xは、周期表の第IIIおよび/またはIV主族に属する元素の1種以上であり、
Yは、第III、IV、Vおよび/またはVI族に属する遷移金属であり(これらの族に属する元素の詳細については上記を参照されたい)、
指数a〜eは、成分の存在量をしめし、
式(II)は、a<b<cの条件に従い、
式(III)は、a<d≦eの条件に従う]によって表すことができる。例えばZnOまたはTiNにおけるAl、Gaおよび/またはInのドーピング量は、しばしば最終粒子材料の0.01から約20質量%、特に0.1から10質量%の範囲である。ナノ粒子は、固体であり、結晶質であることが多いが、必ずしもそうではない。それらを当該技術分野で既知の方法により、例えば、スパッタリング、熱蒸着法、化学蒸着(CVD)法、噴霧熱分解法およびゾルゲル法を用いて製造することができる。それらの材料は、しばしば市販されている。
【0162】
好適な材料は、Al、Ga、Inがドープされた酸化亜鉛、Alがドープされた窒化チタン、窒化バナジウムまたは特に窒化スカンジウム、あるいはAl、Ga、Inがドープされた窒化バナジウムまたは特に窒化スカンジウムである。Gaまたは特にAlがドーピング元素として特に重要である。
【0163】
以下の材料、すなわちATO(アンチモンがドープされた酸化錫)、ITO(インジウムがドープされた酸化錫)、AZO(アルミニウムがドープされた酸化亜鉛)、IZO(インジウムがドープされた酸化亜鉛)、GaZO(ガリウムがドープされた酸化亜鉛)、LaB6およびドープ酸化タングステン(YWOx)も特に興味深い。
【0164】
当該ドープ酸化物およびIR遮蔽用途におけるそれらの使用については、例えば、US2003/0122114およびUS7,074,351に記載されている。
【0165】
これらの材料の1種以上を使用することができる。
【0166】
本発明の範囲内でさらなる成分として使用される酸化物または窒化物のナノ粒子は、反射材としてではなく吸収剤として光と相互作用することが分かる(散乱が存在するが、わずかな影響しか与えない)。
【0167】
上記のポリマーおよび成形粒子を含む本発明のプラスチック材料、特にフィルムを、有利には、建築光沢、建造および建設における光沢、自動車光沢、交通輸送車両用光沢、農業用フィルムおよび構造物などの技術的応用分野にも使用することができる。それらの材料は、ソリッド板、単層板、二層板、多層板、平板、波形板、フィルム、延伸または一軸もしくは二軸延伸フィルム、積層フィルム、キャップストックフィルムであってもよい。
【0168】
具体的な応用分野としては、冬園および縁側建築物、建物正面、天窓、プールカバーおよび囲い、屋根構造物、アーチ形天井、歩道、避難所、看板、内装および外装設計要素、日除け、側窓、後部窓、パノラマ屋根、温室が挙げられる。
【0169】
主たる用途は、遮熱、光管理、熱管理、エネルギー管理、太陽光制御であり、レーザ溶接、セキュリティ機能、標識、トレーサ、伝熱および塗料のNIR硬化も重要である。
【0170】
本発明の成形粒子および任意のさらなる添加剤をポリマー材料に個々に添加、または混合することができる。必要に応じて、例えば、添加剤の個々の成分を、乾式混合、圧密化または溶融により、ポリマーへの導入前に混合することができる。
【0171】
別の態様において、本発明は、成形金属/ポリマーナノ複合体の固形ペーストを提供する。
【0172】
本発明の成形粒子および任意さらなる添加剤のポリマーへの導入は、粉末の形の乾式混合、または不活性溶媒、水もしくは油、例えば鉱油もしくはシリコーン油の溶液、分散体もしくは懸濁液の形の湿式混合など既知の方法によって実施される。成形粒子および任意のさらなる添加剤を、例えば、成形の前もしくは後に、あるいは後に溶媒を蒸発させて、または蒸発させることなく、溶解もしくは分散添加剤または添加剤混合物をポリマー材料に加えることによって導入することができる。それらを、例えば、乾燥混合物もしくは粉末として、または溶液もしくは分散体もしくは懸濁液または溶融物として加工装置(例えば、押出機、内部ミキサー等)にそのまま加えることができる。
【0173】
場合によりさらなる添加剤を含む、または添加剤ブレンドとしての成形粒子の熱可塑性ポリマーへの添加を、ポリマーを溶融して添加剤と混合するあらゆる通常の混合装置で実施することができる。好適な装置は、当業者に既知である。それらは、主としてミキサー、混練機および押出機である。該方法は、好ましくは、加工時に添加剤を導入することによって押出機にて実施される。
【0174】
特に好適な加工装置は、一軸スクリュー押出機、反転および共回転二軸スクリュー押出機、遊星歯車押出機、リング押出機または共混練機である。真空にすることができる少なくとも1つの排気室を備えた加工機を使用することも可能である。
【0175】
好適な押出機および混練機は、例えば、Handbuch der Kunststoffextrusion,vol.1 Grundlagen,Editors F.Hensen,W.Knappe,H.Potente,1989,pp.3−7,ISBN:3−446−14339−4(Vol.2 Extrusionsanlagen 1986,ISBN 3−446−14329−7)に記載されている。例えば、スクリュー長さは、1〜60スクリュー直径、好ましくは20〜48スクリュー直径である。スクリューの回転速度は、好ましくは毎分1〜800回転(rpm)、より好ましくは25〜400rpmである。
【0176】
最大スループットは、スクリュー直径、回転速度および駆動力に左右される。本発明の方法を、記載のパラメータを変更するか、または用量を分配する計量装置を採用することによって最大スループットより低いレベルで実施することもできる。
【0177】
複数の成分を添加する場合は、これらを個々に予め混合するか、または添加することができる。
【0178】
成形粒子および任意のさらなる添加剤を、すべての成分をともに、ポリマー組成物の質量に基づいて例えば約1質量%から約95質量%、好ましくは1質量%から約90質量%、より好ましくは2質量%から約80質量%の濃度で含むマスターバッチ(「濃縮物」)の形でポリマーに添加することもできる。遷移金属含有量は、ポリマー組成物の質量に基づいて約8質量ppmから80質量%である。ポリマーは、添加剤が最終的に添加されたポリマーと同一の構造であるとは限らない。当該処理において、ポリマーを粉末、顆粒、溶液、懸濁液の形、または格子の形で使用することができる。
【0179】
導入を成形処理の前または最中に、あるいは後に溶媒を蒸発させて、または蒸発させることなく溶解または分散成形金属粒子をポリマーに加えることによって行うことができる。成形金属粒子および任意のさらなる添加剤を、対応するモノマーの重合の前、最中もしくは直後に、または架橋の前に添加することもできる。この文脈において、成形粒子をそのまま、あるいは(例えば蝋、油またはポリマーで)カプセル化した形で添加することができる。
【0180】
本明細書に記載の本発明の成形粒子を含む材料を、成形品、回転成形品、射出成形品、ブロー成形品、フィルム、テープ、表面被膜、織布および不織布等の製造に使用することができる。
【0181】
本発明のさらに別の主題は、上記の方法により製造された成形遷移金属粒子の遮熱建築もしくは自動車光沢または農業用フィルム、レーザ溶接、レーザ印刷またはセキュリティ印刷におけるIR、特にNIR、吸収剤としての使用である。
【0182】
さらに、本発明の成形粒子を塗料のNIRもしくはIR吸収硬化剤、導電性配合物、例えば、特に低焼結導電性インクの成分として導電性インク、印刷インク、塗料組成物における添加剤として、あるいは有機および/または無機化合物を検出するために使用することができる。
【0183】
したがって、本発明は、上記のように製造された成形遷移金属粒子を含む印刷インクまたは塗料組成物に関する。
【0184】
本発明の成形粒子を、微生物の発生および増殖を抑制すべきあらゆる分野に使用することができる。
【0185】
したがって、本発明のさらなる態様は、前記成形粒子を抗菌に有効な量で含む抗微生物品または組成物に関する。
【0186】
本発明のプラスチックフィルム、繊維および製品は、有利には、表面上において長期的な衛生作用を必要とする用途、例えば、医療器具、手すり、ドアハンドル、移動電話、キーボード等に採用される。本発明の成形粒子は、プラスチックを処理すること、特にプラスチックに抗菌特性を付与すること、またはプラスチックを保護することにも好適である。本発明の抗菌性プラスチックフィルム、繊維および製品は、例えば、病院、家庭、公共施設、換気システム、空気清浄システムおよび空調システムならびに廃棄物処理システムに使用される。本発明の成形粒子が導入されていてもよい、屋外の気候に曝されるプラスチック製品は、例えば、ゴミ容器、スイミングプール設備、屋外スィングセット、滑走台、運動場設備、水槽、屋外家具等および競技場の座席である。
【0187】
したがって、本発明の成形粒子は、皮膚、粘膜および髪の脱臭などの消毒および全般的な抗菌処理、好ましくは手および傷部の消毒に有用である。
【0188】
本発明の成形粒子を抗菌剤として、
−皮膚および髪の手入れのための化粧品組成物、例えば、ローション、クリーム、オイル、ジェル、パウダー、ワイプ(wipe)、スプレー、スティックおよびロールオンのような脱臭剤、シャワージェルのような磨き粉、入浴剤、(合成界面活性剤ならびに飽和および/または不飽和脂肪酸の塩に基づく)液体石鹸および固体石鹸、水性またはアルコール性溶液、例えば皮膚用洗浄液、湿性洗浄布、手の消毒剤、シャンプー、リンス等、
−例えばゲル、ペースト、クリームまたは水性製剤(洗口液)の形の口腔衛生組成物、
−硬質面洗浄剤、例えば、消毒スプレー、液またはパウダー、食器または洗濯洗剤(液体または固体)、床ワックス、ガラス洗浄剤等、ならびに
−工業および医療用途(例えば、機器、医療器具、手袋、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース、コンタクトレンズ保存液、コンタクトレンズ洗浄液)を含むが、それらに限定されない個人および家庭用手入れ用途、または工業および医療用途の様々な製品形態または組成物に利用することができる。
【0189】
したがって、本発明のさらなる態様は、抗菌に有効な量の特に上記の成形遷移金属粒子と、化粧品として許容可能な担体および補助剤からなる群から選択される1つ以上の成分とを含む抗菌性化粧組成物である。
【0190】
本発明の化粧品組成物は、組成物の全質量に基づいて、通常は0.0001から15質量%、好ましくは0.0003から2質量%である抗菌に有効な量の成形粒子を含むことができる。銀、金、銅、亜鉛粒子およびそれらの組合せが好適である。
【0191】
それは、化粧品組成物の形態に応じて、本発明の成形粒子に加えて、化粧品として許容可能な担体および補助剤、例えば、金属イオン封鎖剤、着色剤、香油、増粘剤または凝固剤(軟度調整剤)、軟化剤、UV吸収剤、皮膚保護剤、抗酸化剤、機械特性を向上させる添加剤、例えば、ジカルボン酸および/またはC14〜C22脂肪酸のアルミニウム、亜鉛、カルシウムまたはマグネシウム塩、ならびに場合により防腐剤としての1つ以上のさらなる成分を含む。また、本発明の化粧品組成物は、以上に挙げられている1つ以上のさらなる抗菌剤を含むことができる。
【0192】
本発明による個人手入れ製剤は、油中水もしくは水中油エマルジョン、アルコールもしくはアルコール含有製剤、イオン性もしくは非イオン性両親媒性脂質の有孔質分散体、ゲル、固体スティック、エアロゾル製剤、または石鹸もしくは皮膚洗剤などの界面活性剤系製剤の形であってもよい。
【0193】
油中水または水中油エマルジョンとして、化粧品として許容可能な補助剤は、好ましくは5から50%の油相、5から20%の乳化剤、30から90%の水を含む。油相は、化粧品組成物に好適な任意の油、例えば、1つ以上の炭化水素油、蝋、天然油、シリコーン油、脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールを含むことができる。個人手入れ製剤に有用である好適なアルコールは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロールおよびソルビトールである。
【0194】
従来使用可能な乳化剤、例えば、1つ以上の自然誘導体のエトキシル化エステル、例えば水素化ヒマシ油のポリエトキシル化エステル、またはシリコーン油乳化剤、例えばシリコーンポリオール、場合によりエトキシル化された脂肪酸石鹸、エトキシル化脂肪アルコール、場合によりエトキシル化されたソルビタンエステル、エトキシル化脂肪酸、またはエトキシル化グリセリドを本発明の化粧品組成物に使用することができる。
【0195】
成形粒子と補助剤とを通常の方法によって物理的に混合すること、例えば単純に個々の成分を一緒に撹拌することによって、化粧品組成物を製造することができる。粒子を最終組成物の1つ以上の成分中の分散体として化粧品組成物に好適に導入することができる。
【0196】
本発明の成形粒子を含む様々な製剤の例を以下に示す。明らかに、これらは、単純な基本的製剤にすぎず、様々な濃度の当該成形粒子が容易に導入される多種多様な類似の製剤が当該技術分野で既知である。
【0197】
抗菌性石鹸は、例えば、以下の組成、すなわち0.0003から5質量%の成形粒子、0.3から1質量%の二酸化チタン、1から10質量%のステアリン酸、100%からそれらを差し引いた量の石鹸ベース、例えば、獣脂脂肪酸ヤシ油脂肪酸のナトリウム塩またはグリセロールを有する。
【0198】
脱臭剤は、例えば、以下の組成、すなわち0.0003から5質量%の成形粒子、60質量%のエタノール、0.3質量%の香油および100%からそれらを差し引いた量の水を有する。
【0199】
本発明のさらなる態様は、プラスチック、塗料、家庭または個人手入れ製品および組成物、例えば化粧品組成物を微生物の作用から保護する方法であって、有効量の本発明の成形粒子をプラスチック組成物、塗料組成物、家庭または個人手入れ組成物に添加することを含む方法に関する。
【0200】
本発明の成形粒子は、織物繊維材料を処理、特に保護するのにも好適である。当該材料は、例えば、絹、羊毛、ポリアミドまたはポリウレタンの無染色および染色または印刷繊維材料、ならびに特にすべての種類のセルロース系繊維材料である。当該繊維材料は、例えば、木綿、亜麻、黄麻および麻などの天然セルロース繊維、ならびにセルロースおよび再生セルロースである。
【0201】
紙、例えば衛生用途に使用される紙に、当該成形粒子を使用して抗菌特性を付与することもできる。
【0202】
不織布、例えばおむつ、衛生タオル、パンティーライナー、ならびに衛生および家庭用途の布に、本発明に従って抗菌特性を付与することもできる。
【0203】
したがって、本発明の一態様は、上記のように製造された成形遷移金属粒子を含む抗菌製品であって、個人用手入れ製品、例えば皮膚および髪の手入れのための化粧品組成物、例えばローション、クリーム、オイル、ジェル、パウダー、ワイプ、脱臭剤、洗浄剤、入浴剤、液体石鹸および固体石鹸、水性および/またはアルコール性洗浄液、湿性洗浄布、手の消毒剤、シャンプー、リンス、および例えば口腔衛生用製品、例えば歯磨き粉もしくは洗口液、家庭用手入れ製品、例えば硬質面洗浄剤、食器洗剤、洗濯洗剤、ガラス洗浄剤および床ワックス、ならびに工業および医療用製品、例えば医療器具および医療用手袋、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース、コンタクトレンズ保存液、コンタクトレンズ洗浄液、織物製品、繊維材料、紙材料、紙被覆剤、接着剤、塗料およびペイントからなる群から選択される抗菌製品に関する。
【0204】
本発明の1つのさらなる態様は、プレートレット成形遷移金属粒子、特に角柱成形プレートレット、ならびに化粧品として許容可能な担体および/または補助剤を抗菌に有効な量で含む抗菌性化粧品組成物に関する。
【0205】
さらに、本発明は、化粧品組成物におけるIR吸収剤および/または抗菌剤としてのプレートレット成形、特に三角柱および/または六角柱成形遷移金属粒子の使用に関する。
【0206】
好ましくは、プレートレット成形遷移金属粒子は、特に以上に記載されているように製造された成形銀粒子である。
【0207】
当該方法は、好適な工業規模での成形遷移金属粒子の製造を提供する。使用される金属塩の出発濃度は、先行技術に記載されている濃度より実質的に高いため、廃棄物の量が実質的に少なくなる。
【0208】
工程a)における50mM以上、さらには500mMまでの高い遷移金属塩濃度を達成することができるとともに、高濃度の成形粒子の分散体およびペーストを凝集させずに製造することができる。達成可能な濃度は、分散体の全質量に基づいて少なくとも20質量%、好ましくは97質量%までであり得る。加えて、分散体における成形粒子の単分散度を向上させ、分散体のスペクトルプロファイルを効果的に制御することができる。得られるプレートレットの取扱いおよび単離を大いに改善することができる。900nm以上、好ましくは1000nm以上の吸収極大を有するプレートレットを製造することができる。
【0209】
別の利点は、成形金属粒子を、実質的に凝結および凝集させることなく、様々な有機材料に容易かつ均一に分散させることができ、ポリマー材料の透明性についての望ましくない欠点を回避できることである。さらに、成形粒子を材料に導入するためのエネルギーの使用が少なくなる。メタクリル酸メチルにおける均一な分散体を得ることができるため、最終製品の製造に向けてモノマーをPMMAにラジカル重合するために分散体をそのまま使用することができる。
【0210】
得られるプラスチック製品または塗料は、透明性が高く、製品は、ほぼ無色であるか、または当該製品に対して許容可能なわずかな青色である。
【0211】
本発明の方法は、任意の有機物への分散中にそれらの特殊な形態を保持し、それらの光学特性を維持する成形粒子を提供する。
【0212】
成形粒子は、強いIR吸収特性、特に強いNIR吸収特性を示す。
【0213】
本発明の成形遷移金属粒子を含むプラスチック製品、フィルムおよび繊維は、表面において長期間の高い抗菌活性を示す。
【0214】
該方法について以上に示されている定義および傾向は、本発明の他の態様にも等しく当てはまる。
【0215】
図1は、成形銀粒子を製造する方法を概略的に示す。図2a〜cは、成形銀粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像の例を示す。図2aは、実施例1に従って製造された粒子を示し、図2bは、実施例13に従って製造された粒子を示し、図2cは、実施例14に従って製造された粒子を示し、図2dは、実施例17に従って製造された粒子を示す。図3は、成形銀粒子の吸収スペクトルを示す。その図は、成形銀粒子をメタクリル酸メチルに分散させた後の光学特性の回復を示す。
【0216】
以下の例は、例示のみを目的としており、いかなる場合も本発明を限定するものと見なされるべきでない。指定する場合を除いて、明細書または特許請求の範囲に記載されている部および百分率は、質量部および質量百分率であり、室温は、20〜25℃の範囲の温度を指す。
【図面の簡単な説明】
【0217】
【図1】成形銀粒子を製造する方法を概略的に示す。
【図2a】実施例1に従って製造された成形銀粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像の例を示す。
【図2b】実施例13に従って製造された成形銀粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像の例を示す。
【図2c】実施例14に従って製造された成形銀粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)画像の例を示す。
【図2d】実施例17に従って製造された粒子を示す。
【図3】成形銀粒子の吸収スペクトルを示す。
【0218】
実施例
実施例1から16の一般的な調製手順
能率的撹拌棒を備えた丸底フラスコにおいて、脱イオン水、場合によりキャッピング剤、分散剤および遷移金属塩は、周囲雰囲気下で混合し、混合物を0℃まで冷却する。還元剤の水溶液を添加し、得られた遷移金属粒子の分散体を0℃で1時間撹拌した後、20℃で1時間撹拌する。所望のスペクトルプロファイルに達するまで過酸化物の水溶液を徐々に添加する。
【0219】
実施例1
能率的撹拌棒を備えた250mlの丸底フラスコ内の79mlの脱イオン水に1gのEFKA4580(40質量%水溶液)を溶解させる。340mg(2mmol)のAgNO3を添加し、得られた溶液を0℃まで冷却し、新たに調製した20mlのNaBH4(200mM)の氷冷水溶液を、激しく撹拌しながら1回で添加する。得られた褐色分散体を0℃で1時間撹拌し、5分(min)以内で20℃まで加温し、この温度で1時間撹拌する。20mlのH22(50%w/w水溶液)を0.1ml/分の量で添加して、濃青色の銀プレートレットの分散体を得る。
【0220】
実施例2から16を実施例1の手順ならびに第1表および第2表に記載される条件に従って実施する。第1表の各濃度は、過酸化物の添加前の単一成分の濃度を指す。
【0221】
【表1】

【0222】
【表2】

【0223】
実施例17
WO2004/045755の実施例2に従って調製したコポリマー(40w/w水中分散体)20g、エチレングリコール20gおよびMPEG−5000−チオール6gを、能率的撹拌機を備えた10lの調温器付き反応器内の1950mlの脱イオン水に溶解させる。−1℃まで冷却した後、10.2g(60mmol)のAgNO3を添加し、得られた溶液を15分間静かに撹拌する。4.54g(120mmol)のNaBH4を個別の容器中1lの脱イオン水に溶解させ、0℃まで冷却する。この溶液を、(500rpmで)激しく撹拌しながら、上記AgNO3の溶液に1回で添加する。反応混合物を0℃で5分間(500rpmで)激しく撹拌し、次いで1時間静かに撹拌しながら20℃まで加温する。150mlのH22(50%w/w水溶液)を(350rpmで)激しく撹拌しながら3ml/分の量で混合物に添加して、濃青色の銀プレートレットの分散体を得る。
【0224】
体積が200mlになるまで水を蒸発させ、残留する分散体を8000Gで30分間遠心する。上澄みをデカントする。沈殿を脱イオン水(2×40ml)で濯ぎ、超音波処理下で200mlの1,4−ジオキサンに再分散させる。分散体を8000Gで遠心し、上澄みを廃棄し、沈殿を所望の溶媒に再分散させて、6.3gの銀プレートレットの分散体を得る。
【0225】
実施例18
2つの溶液を調製する。
溶液A:WO2004/045755の実施例2に従って調製したコポリマー(40w/w水中分散体)7gおよびMPEG−5000−チオール1.2gを20mlの脱イオン水に溶解させ、0℃まで冷却する。次いで、23mlの脱イオン水中2.04g(12mmol)のAgNO3の溶液を撹拌しながら添加し、得られた混合物を0℃まで冷却する。
【0226】
溶液B:0.908g(24mmol)のNaBH4および0.07ml(約1.15mmol)の28%w/wアンモニア水溶液を49mlの脱イオン水に溶解させ、0℃まで冷却する。
【0227】
合成:溶液AおよびBを等しい流量(30ml/分)で三方コネクタ(導入口の内径1mm)に送り込む。得られた球状Ag粒子の分散体をコネクタの第3の排出口(内径3mm)から、0℃に予備冷却され、0.05mlのTEGO Foamex1488消泡剤を含む1lフラスコに連続的に流入させ、この温度で10分間撹拌する。次いで、混合物を45℃に加熱し、激しく撹拌しながら0.6ml/分の量にて20mlのH22(50w/w%水溶液)で処理して、濃青色の銀プレートレットの分散体を得る。分散体を8000Gで30分間遠心した後、上澄みをデカントし、沈殿を脱イオン水(2×40mL)で濯ぐ。沈殿を超音波処理下で200mlの1,4−ジオキサンに再分散させる。分散体を8000Gで遠心し、上澄みを廃棄し、沈殿を所望の溶媒に再分散させて、1.23gの銀プレートレットを得る。
【0228】
実施例19
2つの溶液を調製する。
溶液A:WO2004/045755の実施例2に従って調製したコポリマー(40w/w水中分散体)12gおよびMPEG−5000−チオール1.0gを15mlの脱イオン水に溶解させ、0℃まで冷却する。次いで、22mlの脱イオン水中3.4g(20mmol)のAgNO3の溶液を撹拌しながら添加し、得られた混合物を0℃まで冷却する。
【0229】
溶液B:1.51g(40mmol)のNaBH4および0.25ml(約1.98mmol)の7.9Mジエチルアミン水溶液を49mlの脱イオン水に溶解させ、0℃まで冷却する。
【0230】
合成:溶液AおよびBを等しい流量(30ml/分)で三方コネクタ(導入口の内径1mm)に送り込む。得られた球状Ag粒子の分散体をコネクタの第3の排出口(内径3mm)から、0℃に予備冷却され、0.1mlのTEGO Foamex1488消泡剤を含む1lフラスコに連続的に流入させ、この温度で10分間撹拌する。次いで、混合物を50℃に加熱し、激しく撹拌しながら1.0ml/分の量にて25mlのH22(50w/w%水溶液)で処理して、濃青色の銀プレートレットの分散体を得る。分散体を8000Gで30分間遠心した後、上澄みをデカントし、沈殿を脱イオン水(2×40mL)で濯ぐ。沈殿を超音波処理下で200mlの1,4−ジオキサンに再分散させる。分散体を8000Gで遠心し、上澄みを廃棄し、沈殿を所望の溶媒に再分散させて、2.08gの銀プレートレットを得る。
【0231】
実施例20:好適な分散体(式(III)の化合物)の合成
【化4】

11.6g(15mmol)のO−(トリデシル)ポリエチレングリコール(Mn約780)と1.5g(15mmol)の無水コハク酸との混合物を80℃で48時間撹拌し、無色の粘性油として式(III)の化合物を得る。
【0232】
実施例21
4gのEFKA4580を実施例1で得られた分散体に添加した後、60mlのジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)を添加する。水を蒸発によって除去し、7.7mg/gの銀濃度を有する28gのジグリム中銀プレートレット分散体を得る。
【0233】
実施例22
実施例18で得られた分散体2gを98gのメタクリル酸メチルに混入し、100mgのアゾビスイソブチロニトリル(0.1%w/w)を添加し、混合物を、粒子凝集を防止するために連続的な音波処理下で70℃にて重合する。銀/ポリメチルメタクリレート複合体材料を得る。
【0234】
実施例23
10gのポリカーボネート(Makrolon(登録商標)を80mlの煮沸トルエンに溶解させる。実施例18で得られた分散体2gを添加し、混合物を周囲温度(20〜25℃)まで急速冷却する。トルエンを蒸発によって除去して、銀/ポリカーボネート複合材料を得る。
【0235】
実施例24
2gのポリビニルブチラール(Mn170000〜250000)を16gのエタノールに溶解させた後、実施例18で得られた分散体2gを添加して、銀/ポリビニルブチラール複合材料の粘性溶液を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtからなる群から選択されるナノプレートレットの形の成形遷移金属粒子を製造する方法であって、最初に、
a)遷移金属塩およびポリマー分散剤を含む水性混合物に還元剤を添加する工程と、続いて、
b)得られたコロイド分散体を過酸化物で処理する工程と
を含み、工程a)の水性混合物が、2mmol毎リットルより高い濃度の遷移金属塩を含む方法。
【請求項2】
工程a)において、チオール、二硫化物、キサンテート、ジチオカルバメート、アルコール、アミンおよび消泡剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤が存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遷移金属塩が、特に、AgNO3、AgClO4、Ag2SO4、AgCl、AgBr、AgI、AgOH、Ag2O、AgBF4、AgIO3、AgPF6;R1CO2Ag、R1SO3Ag(R1は、非置換もしくは置換C1〜C18アルキル、非置換もしくは置換C5〜C8シクロアルキル、非置換もしくは置換C7〜C18アラルキル、非置換もしくは置換C6〜C18アリールまたは非置換もしくは置換C2〜C18ヘテロアリールである)、ジカルボン酸、トリカルボン酸、ポリカルボン酸、ポリスルホン酸、P含有酸の銀塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される銀(I)塩である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記分散剤が、極性基を含むポリマーであり、そのポリマーは非イオン性またはイオン性である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記分散剤が、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリジン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジンおよびそれらのコポリマーまたはブレンド;ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリアルキレングリコール、ビニルポリマー、芳香族ビニルポリマーに基づくポリマー、ランダムコポリマー、ABブロックコポリマー、櫛型コポリマーからなる群から選択され、それらのポリマーまたはコポリマーは、カルボキシレート基、スルホネート基、ホスホネート基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基および/またはアミン基またはそれらのブレンドから選択される極性基で場合により部分的に中性化、四級化および/または変性されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記分散剤が、組成物の全質量に基づいて0.001から10質量%の濃度で工程a)の混合物に存在する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記還元剤が、ボランおよびその錯体、金属ボラン酸塩、水素化物、アルミン酸塩、アルデヒド、カルボン酸、ヒドラジン、ハイドロサルファイト、スタンナン、スタネート、シラン、ホスフィン、ホスファイトおよびシロキサンからなる群から選択される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
添加剤を含むカルボン酸の不在下で実施される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
水を少なくとも部分的に有機媒体に取り替える工程c)をさらに含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記有機媒体が、有機溶媒、モノマー、オリゴマー、ポリマー、エマルジョンまたはそれらの組合せを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記成形遷移金属粒子が、15から1000nmのエッジ長さの最長寸法および2から100nmの厚さを有するプレートレットの形である、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
特に、水性および/または有機媒体中、粒子の分散体の形である請求項1から11の方法により製造された成形遷移金属粒子。
【請求項13】
a)請求項1から11の方法により製造された成形遷移金属粒子と、
b)熱可塑性ポリマーまたは架橋性ポリマーと
から実質的になる分散体。
【請求項14】
請求項1から11の方法により製造された成形遷移金属粒子を含む抗菌製品であって、
個人用手入れ製品、
例えば皮膚および髪の手入れのための化粧品組成物、例えばローション、クリーム、オイル、ジェル、パウダー、ワイプ、脱臭剤、洗浄剤、入浴剤、液体石鹸および固体石鹸、水性および/またはアルコール性洗浄液、湿性洗浄布、手の消毒剤、シャンプー、リンス、および
例えば口腔衛生用製品、例えば歯磨き粉もしくは洗口液、
家庭用手入れ製品、例えば硬質面洗浄剤、食器洗剤、洗濯洗剤、ガラス洗浄剤および床ワックス、ならびに
工業および医療用製品、例えば医療器具、医療用手袋、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース、コンタクトレンズ保存液、コンタクトレンズ洗浄液、
織物製品、繊維材料、紙材料、紙被覆剤、接着剤、塗料およびペイント
からなる群から選択される抗菌製品。
【請求項15】
請求項1から11の方法により製造された成形遷移金属粒子の遮熱建築または自動車光沢または農業用フィルム、レーザ溶接、レーザ印刷、セキュリティ印刷における近赤外線吸収剤としての使用、近赤外線吸収硬化剤としての使用、導電性配合物または印刷インクまたは塗料組成物における添加剤としての使用、抗菌剤としての使用、または有機および/または無機化合物を検出するための使用。
【請求項16】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法により製造された成形遷移金属粒子を含む印刷インクまたは塗料組成物。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−521491(P2012−521491A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501247(P2012−501247)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053473
【国際公開番号】WO2010/108837
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】