説明

成膜装置および成膜方法、発光素子の作製方法

【課題】欠陥の少ない膜を形成することができる成膜方法を提供する。また、均質な膜を形成することができる成膜方法を提供する。また、低電圧駆動が可能な発光素子の作製方法を提供する。また、発光効率の高い発光素子の作製方法を提供する。
【解決手段】基板の表面の少なくとも一部を露出させるように基板保持手段に基板を固定し、蒸着材料が充填された蒸発源から蒸着材料を気化させ、気化している蒸着材料に対しレーザビームを照射し、基板の表面に蒸着材料を堆積させることにより、欠陥が少なく、均質な膜を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜の成膜方法及び成膜装置に関する。また、発光素子の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ、携帯電話、デジタルカメラ等における表示装置は、平面的で薄型の表示装置が求められており、この要求を満たすための表示装置として、自発光型である発光素子を利用した表示装置が注目されている。自発光型の発光素子の一つとして、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence)を利用する発光素子があり、この発光素子は、発光材料を一対の電極で挟み、電圧を印加することにより、発光材料からの発光を得ることができるものである。
【0003】
このような自発光型の発光素子は、液晶ディスプレイに比べ画素の視認性が高く、バックライトが不要である等の利点があり、フラットパネルディスプレイ素子として好適であると考えられている。また、このような発光素子は、薄型軽量に作製できることも大きな利点である。また、非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
【0004】
さらに、このような自発光型の発光素子は膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を形成することにより、面発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0006】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、蛍光材料の薄膜からなる発光層を有している点に違いがある。しかし、そのメカニズムは共通しており、高電界で加速された電子による母体材料又は発光中心の衝突励起により発光が得られる。このような理由のため、一般的な無機EL素子で発光を得るためには高い電界が必要であり、発光素子に数百Vの電圧を印加する必要がある。例えば、近年フルカラーディスプレイに必要とされる高輝度の青色発光の無機EL素子が開発されたが、100〜200Vの駆動電圧が必要である(例えば、非特許文献1)。そのため、無機EL素子は消費電力が大きく、中小型サイズのディスプレイ、例えば、携帯電話等のディスプレイには採用することが難しかった。
【0007】
無機EL素子を作製する方法として、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法(EB蒸着法)等が挙げられる。これらの方法により無機EL素子を作製した場合、一度蒸発する過程を経るため、蒸発する前の材料の組成とは異なる状態で蒸発し、膜となる際に再度結合すると考えられる。よって、成膜された膜内には、未結合手が多数存在すると考えられる。未結合手が多数存在すると、無機EL素子内のキャリアがトラップされ、駆動電圧が上昇する、発光効率が低下するという問題がある。
【非特許文献1】ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics)、1999年、Vol.38、p.L1291
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、欠陥の少ない膜を形成することができる成膜方法を提供することを課題とする。また、均質な膜を形成することができる成膜方法を提供することを課題とする。
【0009】
また、本発明は、欠陥の少ない膜を形成することができる成膜装置を提供することを課題とする。また、均質な膜を形成することができる成膜装置を提供することを課題とする。
【0010】
また、本発明は、低電圧駆動が可能な発光素子の作製方法を提供することを課題とする。また、発光効率の高い発光素子の作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、蒸着法により膜を形成する際に、気化している物質にレーザビームまたはランプ光を照射しながら該物質を成膜することにより、課題を解決することができることを見出した。
【0012】
よって、本発明の一は、蒸着材料が充填された蒸発源と、基板の表面の少なくとも一部を露出させ保持する基板保持手段とを内部に備えた成膜室と、レーザビームを照射するレーザ照射手段とを有し、レーザ照射手段は、前記基板の露出された表面を照射するように設けられていることを特徴とする成膜装置である。
【0013】
また、本発明の一は、蒸着材料が充填された蒸発源と、基板の表面の少なくとも一部を露出させ保持する基板保持手段とを内部に備えた成膜室と、レーザビームを照射するレーザ照射手段とを有し、レーザ照射手段は、基板の露出された表面に対し略垂直にレーザビームが入射するように設けられていることを特徴とする成膜装置である。
【0014】
また、本発明の一は、蒸着材料が充填された蒸発源と、基板の表面の少なくとも一部を露出させ保持する基板保持手段とを内部に備えた成膜室と、レーザビームを照射するレーザ照射手段とを有し、レーザ照射手段は、基板と蒸発源との間にレーザビームを照射するように設けられ、かつ、基板の露出された表面に対し略平行にレーザビームを照射するように設けられていることを特徴とする成膜装置である。
【0015】
上記構成において、レーザビームは、線状のレーザビームであることが好ましい。線状のレーザビームであることにより、レーザビームをスキャンするもしくは基板をスキャンすることにより、広い面積の基板を処理することができる。
【0016】
上記構成において、成膜室は光導入窓を有し、レーザ照射手段は、光導入窓を通して成膜室内にレーザビームを照射するように設けられていることを好ましい。つまり、成膜室にはレーザビームを透過する光導入窓を設置し、またレーザビーム照射手段は成膜室の外に設置し、レーザビームが光導入窓を透過して成膜室内を照射するような構成が好ましい。このような構成とすることで、成膜室の構成が複雑になることがなく、従来用いられている成膜室をそのまま転用できるというメリットがある。
【0017】
上記構成において、レーザビームの波長は、蒸着材料が吸収できる波長であることを特徴とする。蒸着する材料が複数である場合(すなわち共蒸着である場合)には、レーザビームの波長はその複数の蒸着材料のいずれかに吸収される波長であればよい。
【0018】
また、レーザ照射手段のレーザ光源として、具体的には、Arレーザ、Krレーザ、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、GdVOレーザ、KGWレーザ、KYWレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、Yレーザ、YVOレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、XeClエキシマレーザ、XeFエキシマレーザ等を挙げることができる。
【0019】
また、上述した本発明の成膜装置において、光導入窓以外の窓を成膜室に設ける場合は、窓の外側にレーザビームを吸収する受光板を設けると、安全性が高まるため好ましい。
【0020】
また、本発明の一は、蒸着材料が充填された蒸発源と、基板の表面の少なくとも一部を露出させ保持する基板保持手段と、を内部に備えた成膜室と、ランプ光を照射するランプ光源と、を有し、ランプ光源は、基板の露出された表面を照射するように設けられていることを特徴とする成膜装置である。
【0021】
上記構成において、ランプ光源の波長は、蒸着材料に吸収される波長であることが好ましい。また、ランプ光源としては、具体的には、水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等を挙げることができる。
【0022】
なお、本発明の成膜方法は、複数の蒸着材料を同時に気化させ、それら複数の蒸着材料が混合された膜を形成する共蒸着時において特に有効であるため、本発明の成膜装置においては、蒸発源が複数設けられていてもよい。
【0023】
また、蒸発源に充填されている蒸着材料を気化する方法としては、蒸着材料に対して電子ビームを照射する方法、蒸着材料を加熱する方法等を用いることができる。よって、上述した成膜装置において、蒸発源に充填されている蒸着材料に対して電子ビームを照射する電子ビーム照射手段、または蒸発源に充填されている蒸着材料を加熱する加熱手段が設けられていることが好ましい。
【0024】
また、本発明の一は、基板の表面の少なくとも一部を露出させるように基板保持手段に基板を固定し、蒸着材料が充填された蒸発源から蒸着材料を気化させ、気化している蒸着材料に対しレーザビームを照射し、基板の表面に前記蒸着材料を堆積させる成膜方法である。
【0025】
また、本発明の一は、基板の表面の少なくとも一部を露出させるように基板保持手段に基板を固定し、蒸着材料が充填された蒸発源から蒸着材料を気化させ、基板の露出された表面に対し略垂直にレーザビームを照射することで、気化している蒸着材料にレーザビームを照射し、基板の表面に蒸着材料を堆積させる成膜方法である。
【0026】
また、本発明の一は、基板の表面の少なくとも一部を露出させるように基板保持手段に基板を固定し、蒸着材料が充填された蒸発源から蒸着材料を気化させ、基板と蒸発源との間にレーザビームを照射するようにし、かつ、基板の露出された表面に対し略平行にレーザビームを照射することで、気化している蒸着材料にレーザビームを照射し、基板の表面に前記蒸着材料を堆積させる成膜方法である。
【0027】
上記構成において、レーザビームの波長は、蒸着材料に吸収される波長であることが好ましい。
【0028】
また、本発明の一は、基板の表面の少なくとも一部を露出させるように基板保持手段に基板を固定し、蒸着材料が充填された蒸発源から蒸着材料を気化させ、気化している蒸着材料に対しランプ光を照射し、基板の表面に蒸着材料を堆積させる成膜方法である。
【0029】
上記構成において、ランプ光の波長は、蒸着材料に吸収される波長であることが好ましい。
【0030】
なお、本発明の成膜方法は、複数の蒸着材料を同時に気化させ、それら複数の蒸着材料が混合された膜を形成する共蒸着時において特に有効である。
【0031】
また、蒸発源に充填されている蒸着材料を気化する方法としては、蒸着材料に対して電子ビームを照射する方法、蒸着材料を加熱する方法等を用いることができる。
【0032】
また、上記の成膜方法は、発光素子を作製する際に用いることができる。よって、第1の電極を形成し、上記の成膜方法を用いて発光層を形成し、第2の電極を形成することで発光素子を作製することができる。なお、第1の電極を形成した後に、第1の絶縁層を形成する工程を追加してもよい。また、発光層を形成した後に、第2の絶縁層を形成する工程を追加してもよい。
【0033】
また、本発明の一は、基板上に第1の電極を形成し、第1の電極上に蒸着膜を形成し、蒸着膜にレーザビームを照射した後、蒸着膜上に第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法である。
【0034】
また、本発明の一は、基板上に第1の電極を形成し、第1の電極上に蒸着膜を形成し、蒸着膜を加熱すると共にレーザビームを照射した後、蒸着膜上に第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法である。
【0035】
なお、上記発明の一において、第2の電極を形成した後、第2の電極に再びレーザビームを照射してもよい。
【0036】
また、蒸着膜の表面からレーザビームを照射してもよい。また、基板側から蒸着膜にレーザビームを照射してもよい。
【0037】
また、本発明の一は、基板上に第1の電極を形成し、第1の電極上に蒸着膜を形成し、蒸着膜上に第2の電極を形成した後、第2の電極にレーザビームを照射することを特徴とする発光素子の作製方法である。
【0038】
なお、上記発明の一において、蒸着膜は発光材料を含む。
【0039】
また、本発明の一は、基板上に第1の電極を形成し、第1の電極上に絶縁層を形成し、絶縁層上に蒸着法により発光層を形成し、発光層にレーザビームを照射した後、発光層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法である。
【0040】
また、本発明の一は、基板上に第1の電極を形成し、第1の電極上に蒸着法により発光層を形成し、発光層にレーザビームを照射した後、発光層上に絶縁層を形成し、絶縁層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法である。
【0041】
また、本発明の一は、基板上に第1の電極を形成し、第1の電極上に第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に蒸着法により発光層を形成し、発光層にレーザビームを照射した後、発光層上に第2の絶縁層を形成し、2の絶縁層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法である。
【0042】
なお、発光層を加熱すると共に、発光層にレーザビームを照射してもよい。
【0043】
また、第2の電極を形成した後、第2の電極にレーザビームを照射してもよい。
【0044】
また、発光層の表面からレーザビームを照射してもよい。また、基板側から発光層にレーザビームを照射してもよい。
【0045】
また、レーザビームの波長は、発光層の蒸着材料が吸収できる波長であることが好ましい。
【0046】
また、発光層または蒸着膜を形成する方法としては、蒸着材料に電子ビームを照射して蒸着材料を気化させて堆積する方法、蒸着材料を加熱して気化させて堆積する方法等を用いることができる。
【発明の効果】
【0047】
蒸着法により膜を形成する際に、気化している物質にレーザビームまたはランプ光を照射しながら該物質を成膜する手段を設けることで、蒸着材料の未結合手を再結合させることができ、歪みや欠陥の少ない膜を形成することができる成膜装置とすることができる。
【0048】
蒸着法により膜を形成する際に、基板の被成膜面にレーザビームまたはランプ光を照射する手段を設けることで、蒸着材料の未結合手を再結合させることができ、薄膜の形成表面の未結合手を低減することができ、歪みや欠陥の少ない膜を形成することができる成膜装置とすることができる。
【0049】
また本発明を実施することにより、歪みや欠陥の少ない膜を形成することができる成膜装置が得られる。また、均質な膜を形成することができる成膜装置が得られる。
【0050】
さらに、本発明の成膜方法や成膜装置を発光素子の作製に適用することで、低駆動電圧の発光素子を得ることができる。また、発光効率の高い発光素子を得ることができる。
【0051】
また、第1の電極上の蒸着膜にレーザビームを照射することにより、歪みや欠陥の少ない発光層を有する発光素子を作製することができる。また、均質な膜を有する発光素子を作製することができる。
【0052】
また、本発明の発光素子の作製方法を用いることにより、低駆動電圧の発光素子を得ることができる。また、発光効率の高い発光素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更しうることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0054】
なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を範疇に含む。また、発光素子が形成されたパネルにコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光装置にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0055】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の成膜装置の一態様について図1および図2を用いて説明する。本実施の形態で示す成膜方法および成膜装置は、レーザ光などの光を基板の被成膜面と平行な方向に照射するものである。なお、図1は該成膜装置の構成を説明する側面図、図2は同平面図であり、以下の説明では両図を参照する。
【0056】
本実施形態で用いる成膜装置は、成膜時の温度を上げることなく、緻密な薄膜、歪みや欠陥の少ない均質な薄膜を形成することを目的として構成されている。よって、蒸発温度や耐熱温度の低い有機薄膜を堆積するのにも適した成膜装置である。
【0057】
図1及び図2において示す成膜装置は、真空排気系に接続される成膜室10を備えている。成膜室10には、基板ステージ12、蒸発源16、真空排気系に接続する排気口18などが備えられている。基板ステージ12には基板やシャドーマスクが固定されるが、それらを固定する保持手段が付加されていても良い。保持手段は、基板30を固定する基板チャック31、被膜を形成する領域に開口部を形成したシャドーマスク32を固定するマスクチャック33などである。すなわち保持手段は、基板30の一表面若しくは少なくともその一部を蒸発源に対して露出させ保持するように構成されている。基板チャック31、マスクチャック33は先端のツメにより、基板30やシャドーマスク32の端部を機械的に保持するものである。保持手段の他の構成としては、電磁的作用により基板30やシャドーマスク32を保持するものを適用しても良い。
【0058】
基板ステージ12の保持手段により、薄膜を堆積する基板30は、概略平面状態を保って保持され、蒸発源16と対向配置される。成膜室10には、この基板30と略平行にレーザビームを入射させる光導入窓14aが備えられている。すなわち、薄膜の堆積表面に入射しないように、成膜室10の中にレーザビームを導入する光導入窓14aが備えられている。
【0059】
成膜室10の中に導入するレーザビームは、蒸発源16から蒸発若しくは昇華してくる蒸着材料に作用させるために利用する。本実施の形態に示す成膜装置は、レーザビームの照射方向と蒸着材料の飛散方向とが交差するように蒸発源16と光導入窓14aを配置する。勿論、光導入窓14aの配置は前述の関係を保つために一義的に決められるものではなく、レーザビームに対する反射板などを利用して任意に配置することができる。
【0060】
レーザビームの波長は、蒸着材料に吸収される波長であることが好ましい。気化している蒸着材料はレーザビームを吸収し、エネルギーを得た状態となる。このとき、レーザビームは均質、高密度なエネルギーを有するため、レーザビームが照射された気化している蒸着材料は、十分なエネルギーを得ることができる。その結果、気化している蒸着材料が基板上でエネルギーを失って凍結される(固化する)過程において、エネルギーの失い方も均一となり、間隙の少ない緻密な膜が形成される。
【0061】
また、蒸着材料は高いエネルギーを得ることにより、蒸着の際に生じた未結合手を再結合させることができ、歪みや欠陥の少ない均質な膜が形成できる。
【0062】
この時、気化している蒸着材料が励起状態のまま(すなわち高いエネルギーを有する状態のまま)基板上に達すると、より緻密な膜が形成できるため好ましい。また、より歪みや欠陥の少ない膜が形成できるため好ましい。よって、基板とレーザビームとの距離は近い方が好ましい。例えば、0.01mm以上10mm以下が好ましい。
【0063】
蒸着材料の飛散方向と交差するようにレーザビームを成膜室10に導入するため、レーザビームのビーム形状は、図2で示すように、基板30の薄膜堆積表面と平行な方向に広がっていることが好ましい。すなわち、蒸発源16と基板ステージ12との間に、基板30の一表面と略平行に光を照射する。このレーザビーム照射手段は、光源22、光学系23を含んでいる。光源22としてはレーザ発振器を用いることが好ましい。また、成膜室10に備えられる光導入窓14aも付加的な要素として組み合わされている。そのために、光源22から放射される光を整形する光学系23を設けることが好ましい。光学系23は、光源22と光導入窓14aの間に設けるが、成膜室10内に設けても良い。
【0064】
光学系23の構成は、一例として、レーザ光源22側からビームエキスパンダ24、ビームホモジナイザ26を組み合わせたものを適用することができる。ビームエキスパンダ24は、凹シリンドリカルレンズ36(若しくは凹レンズ)と凸シリンドリカルレンズ38(若しくは凸レンズ)を組み合わせたものであり、これにより、レーザ光源22から放射されるレーザビームのビーム幅を広げることができる。好ましくは、線状のレーザビームであることが好ましい。線状のレーザビームであることにより、レーザビームをスキャンするもしくは基板をスキャンすることにより、広い面積の基板を処理することができる。また、ビームホモジナイザ26は、例えばTEM00モードで発振してガウス分布を持つレーザビームのエネルギー密度分布を均一化するためのものである。そのため、ビームホモジナイザ26としては、凸シリンドリカルレンズアレイ40と凹シリンドリカルレンズアレイ42を組み合わせたものを適用することができる。それにより、基板30の薄膜堆積表面と平行な方向のレーザビームのエネルギー密度分布を均一化することができる。
【0065】
レーザ光源22としては、蒸着材料が吸収する波長のものが好ましく、紫外光、可視光、又は赤外光を発振することが可能なレーザ発振器を用いることができる。例えば、YVOレーザの基本波(1.06μm)、第2高調波(532nm)、第3高調波(355nm)、炭酸ガスレーザの基本波(10.6μm)などを適用することができる。気体レーザとしては、Arレーザ、Krレーザ、COレーザなどを適用することができる。固体レーザとしては、YAGレーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、GdVOレーザ、KGWレーザ、KYWレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、Yレーザ、YVOレーザなどを適用することができる。また、YAGレーザ、Yレーザ、GdVOレーザ、YVOレーザなどはセラミックスレーザとも呼ばれる。金属蒸気レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ等が挙げられる。その他のレーザとしては紫外線レーザを適用することもできる。紫外線レーザの代表例としてはエキシマレーザであり、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArF(193nm)、XeCl(308nm)、XeF(351nm)などがある。エキシマレーザは高出力であるので、高エネルギーのビームが得られる。よって、蒸着材料に対して有効に作用させることができる。
【0066】
また、連続的にエネルギーを供給することができる点で連続発振レーザをレーザ光源22として用いることが好ましいが、繰り返し周波数が10MHz以上のパルスレーザを用いることも可能である。蒸発分子が励起してから基底状態に戻るまでの時間よりもレーザのパルス間隔が短ければ、薄膜の堆積表面に連続して励起分子のフラックスを与えることができる。
【0067】
成膜室10に入射したレーザビームは受光板28に照射されるようにしている。受光板28は必須ではないが、光吸収体を用いてレーザビームの散乱を防止するようにしても良い。また、受光板28として光反射体を用い、レーザビームを成膜室10に再入射させても良い。その他に、光センサを設けてレーザビーム強度を検知し、レーザ光源22の出力を制御するようにしても良い。
【0068】
また、図1と図2において光導入窓14aと同等なものを複数個成膜室10に設け、複数本のレーザビームを導入して成膜を行うようにしても良い。
【0069】
蒸発源16は、Tiなどの金属製のボート、セラミックス製の坩堝などを用いた抵抗加熱方式、電子ビーム加熱方式などを適用することができる。またクヌーセンセルを適用して分子ビームを制御するようにしても良い。
【0070】
複数の蒸着材料を用いて共蒸着する場合には、蒸発源16を複数個設ければ良い。蒸発源16と基板ステージ12の間にはシャッタ20を設け、蒸着材料が基板30に飛着するタイミングを制御できるようにしても良い。成膜時における成膜室10の圧力は蒸着が可能な圧力範囲であれば良く、減圧下に限定されない。好ましくは0.1Paから0.001Pa程度とすれば良い。
【0071】
また、基板30に均一性良く薄膜を形成するために基板30若しくは蒸発源16、または基板30と蒸発源16の双方を移動可能に配置して、例えばラスタースキャンをするように成膜を行っても良い。このような構成にすることで、フラットパネルディスプレイのマザーガラスとして、第6世代の1500mm×1800mm、第7世代の1870mm×2200mm、第8世代の2160mm×2400mmの外寸を持つガラス基板でも容易に成膜を行うことができる。
【0072】
このように、本実施の形態に係る成膜装置を用いることにより、レーザビームを蒸発分子に照射して成膜を行うことができる。レーザビームを気化している蒸着材料に照射して成膜を行うことにより、気化している蒸着材料に高いエネルギーを与えることができ、蒸着材料の未結合手を再結合させることができる。よって、未結合手が低減された、歪みや欠陥の少ない膜を形成することができる。また緻密な膜を形成することができる。また、気化している蒸着材料が高いエネルギーを有する状態のまま基板上に達すると、より歪みや欠陥の少ない均質な膜、若しくは結晶性の良い膜が形成できるため好ましい。また、より緻密な膜が形成できるため好ましい。なお、本実施の形態では光源22としてレーザ発振器を適用する場合を中心に説明したが、水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプなどランプ光源を適用することもできる。
【0073】
(実施の形態2)
本実施の形態では、レーザ光などの光を基板の被成膜面に照射可能な成膜装置の構成について、図3と図4を用いて説明する。なお、図3は該成膜装置の構成を説明する側面図、図4は同平面図であり、本実施の形態の説明では両図を参照する。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同じ要素を指すものについては同じ符号を用い、その場合における繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0074】
本実施の形態に係る成膜装置は、成膜時の温度を高温に上げることなく良質な薄膜を堆積することを目的として構成されている。よって蒸発温度や耐熱温度の低い有機薄膜を堆積するのにも適した成膜装置である。
【0075】
図3及び図4において示す成膜装置は、真空排気系に接続される成膜室10を備えている。成膜室10には、基板ステージ12、蒸発源16、真空排気系に接続する排気口18などが備えられている。これらの構成は実施の形態1と同様である。
【0076】
薄膜を堆積する基板30は、基板ステージ12の保持手段により概略平面状態を保って保持され、蒸発源16と対向配置される。この基板30にレーザビームを照射するために、光源22、光学系23、光導入窓14及び偏向手段が設けられている。偏向手段はレーザビームの光軸を偏向するために用いるものであり、図3ではミラー44とミラー46が例示されている。すなわち、光源22から放射されるレーザビームは、光学系23で整形され、光導入窓14から成膜室10内に導入される。その際に、ミラー44とミラー46を用いて基板30にレーザビームが照射されるように光路を調節している。この時、ミラー44とミラー46の一方若しくは双方の角度を調節することにより、例えば光学系23で矩形に整形されたレーザビームを基板30の成膜面に対し走査して、全面に照射することができる。好ましくは、線状のレーザビームであることが好ましい。線状のレーザビームであることにより、レーザビームをスキャンするもしくは基板をスキャンすることにより、広い面積の基板を処理することができる。
【0077】
また、図3と図4において示す光導入窓14と同等なものを複数個成膜室10に設け、複数本のレーザビームを導入して成膜を行うようにしても良い。
【0078】
成膜室10の中に導入するレーザビームは、基板30の成膜面に照射して、膜形成時の表面反応を促進させるように利用する。図3では、光学系23を用いてレーザビームを整形しているが、基板30に必要なエネルギーを供給できるのであれば、光学系23を省略することもできる。また、レーザビーム照射手段の代わりにランプ光源48を用いてもよい。図5にランプ光源を有する成膜装置の側面図を示す。図5に示される成膜装置は、ランプ光源48からの光が成膜室10内の基板30に照射される構成を示している。ランプ光源48としては、水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプなどを適用することができる。なお、ランプ光源48は、発光材料が吸収する波長を放射するランプを用いることが好ましい。
【0079】
このように、本実施形態の成膜装置によれば、レーザビームを気化している蒸着材料および基板表面に照射して成膜を行うことにより、気化している蒸着材料に高いエネルギーを与えることができ、蒸着材料の未結合手を再結合させることができる。よって、未結合手が低減された、歪みや欠陥の少ない膜を形成することができる。また緻密な膜を形成することができる。また、気化している蒸着材料が高いエネルギーを有する状態のまま基板上に達することができるため、より歪みや欠陥の少ない均質な膜、若しくは結晶性の良い膜を形成することができる。また、より緻密な膜を形成することができる。また、薄膜の形成表面の未結合手を低減することができ、歪みや欠陥の少ない膜を形成することができる。
【0080】
本実施の形態では、実施の形態1で示した構成とは異なり、蒸着材料の飛散方向と略平行にレーザビームを成膜室に導入する。すなわち、基板の表面に対して略垂直にレーザビームが照射される。よって、基板上に成膜された薄膜に対してもレーザビームが照射される構成となっている。
【0081】
本実施の形態で示す成膜装置は、基板上に成膜された膜に対してもレーザビームが照射することができるため、高いエネルギーを得た分子がそのエネルギーを保ったまま、基板上にたどりつくことができる。よって、より緻密で、より歪みや欠陥の少ない、均質な膜を成膜することができる。また、成膜された膜の膜質を改善することもできる。なお、同様の効果を得ることができるならば、レーザビームの角度が基板に対して垂直からずれていても構わない。
【0082】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の発光素子に用いる発光材料およびその形成方法について説明する。本発明で用いる発光材料としては、母体材料及び発光中心となる少なくとも1種類以上の不純物元素で構成される材料を挙げることができる。なお、これら不純物元素は母体材料を構成する元素を含まない。
【0083】
発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa)、等の3元系の混晶であってもよい。
【0084】
金属イオンの内殻電子遷移を利用した発光中心として、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などを用いることができる。なお、電荷補償として、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。
【0085】
また、ドナー−アクセプター再結合を利用した、発光中心として、第一の不純物元素及び第二の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。
【0086】
第一の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ケイ素(Si)等を用いることができる。
【0087】
第二の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等を用いることができる。
【0088】
本発明に係る発光材料は固相反応、すなわち、母体材料及び不純物元素を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱して反応させる方法により、母体材料に不純物元素を含有させる。例えば、母体材料と、第一の不純物元素又は第一の不純物元素を含む化合物と、第二の不純物元素又は第二の不純物元素を含む化合物をそれぞれ秤量し、乳鉢で混合した後、電気炉で加熱、焼成を行う。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固体反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
【0089】
また、固相反応を利用する場合の不純物元素として、第一の不純物元素と第二の不純物元素で構成される化合物を組み合わせて用いてもよい。この場合、不純物元素が拡散されやすく、固相反応が進みやすくなるため、均一な発光材料を得ることができる。さらに、余分な不純物元素が入らないため、純度の高い発光材料が得ることができる。第一の不純物元素と第二の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、フッ化銅(CuF)、塩化銅(CuCl)、ヨウ化銅(CuI)、臭化銅(CuBr)、窒化銅(CuN)、リン化銅(CuP)、フッ化銀(AgF)、塩化銀(AgCl)、ヨウ化銀(AgI)、臭化銀(AgBr)、塩化金(AuCl)、臭化金(AuBr)、塩化白金(PtCl)等を用いることができる。
【0090】
また、第二の不純物元素の代わりに第三の不純物元素を含んだ発光材料を用いてもよい。
【0091】
第三の不純物元素は、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等を用いることができる。
【0092】
これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01〜10mol%であればよく、好ましくは0.1〜5mol%の範囲である。
【0093】
また、高い電気導電性を有する発光材料としては、母体材料として、上述した材料を用い、上述した第一の不純物元素及び第二の不純物元素及び第三の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01〜10mol%であればよく、好ましくは0.1〜5mol%の範囲である。
【0094】
第二の不純物元素と第三の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、フッ化リチウム(LiF)、塩化リチウム(LiCl)、ヨウ化リチウム(LiI)、臭化銅(LiBr)、塩化ナトリウム(NaCl)等のハロゲン化アルカリ、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等を用いることができる。
【0095】
母体材料として、上述した材料を用い、上述した第一の不純物元素及び第二の不純物元素及び第三の不純物元素を含む発光材料を用いた発光層は、高電界により加速されたホットエレクトロンを必要とすることなく、発光することが可能である。つまり、発光素子に高電圧を印加する必要がなくなるため、低駆動電圧で動作可能な発光素子を得ることができる。また、低駆動電圧で発光可能なため、消費電力も低減された発光素子を得ることができる。
【0096】
また、上記の発光材料に対して、さらに、不純物元素を添加することにより、発光材料の結晶系を制御することができる。結晶系を制御できる不純物としては、立方晶系のものとして、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、InSb、Si,Ge等を挙げることができる。また、六方晶系のものとして、GaN、InNを挙げることができる。他にもAlP、AlN、AlSb等を挙げることができる。発光材料の結晶系を制御することにより、発光効率を向上させることができる。
【0097】
なお、本発明において、発光材料は、固相反応に限らず、母体材料に不純物元素を含有させる手法を適宜用いることができる。
【0098】
上記の発光材料は、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム(EB)蒸着法等により、成膜され、発光素子の発光層として用いることができる。これらの発光材料を成膜する際には、レーザビームまたはランプ光を照射しながら蒸着する。具体的には、実施の形態1または実施の形態2に示す成膜装置および成膜方法を用いることができる。実施の形態1または実施の形態2に示す成膜装置および成膜方法を用いることにより、蒸着の際に生じた未結合手を再結合させ、歪みや欠陥の少ない、緻密な膜質の膜を得ることができる。特に、実施の形態2に示すように蒸着方向と略平行にレーザビームやランプ光を照射することにより、成膜された膜の膜質を改善し、より歪みや欠陥の少ない、均質な膜を形成することができる。そのため、発光層のキャリアが未結合手にトラップされることを抑制することができる。よって、発光中心の衝突励起確率が向上し、発光効率を向上させることが可能となる。また、発光層のキャリアが未結合手にトラップされることを抑制することができるため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。
【0099】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の発光素子の作製方法の一態様ついて図6を用いて説明する。
【0100】
本実施の形態で示す発光素子は、基板100の上に、第1の電極101と及び第2の電極105と、電極に接する第1の絶縁層102と及び第2の絶縁層104と、第1の絶縁層102と第2の絶縁層104との間に発光層103を有する素子構成である。本実施の形態で示す発光素子は、第1の電極101と、第2の電極105の間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0101】
基板100は発光素子の支持体として用いられる。基板100としては、例えば、ガラス、プラスチック、セラミックス、絶縁層が表面に形成された金属基板などを適宜用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでも用いることができる。
【0102】
基板100上に第1の電極を形成する。第1の電極101としては、種々の金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリングにより成膜される。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。この他、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等用いることができる。なお、第1の電極101または第2の電極105を、透光性を有する電極とする場合、可視光の透過率の低い材料であっても、1nm〜50nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さで成膜することで、透光性の電極として用いることができる。なお、スパッタリング以外にも、真空蒸着、CVD、ゾル−ゲル法を用いて電極を作製することもできる。
【0103】
次に、第1の電極101上に第1の絶縁層102を形成する。第1の絶縁層102としては、特に限定されることはないが、絶縁耐性が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化イットリウム(Y)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、窒化シリコン(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。なお、本実施の形態の発光素子は、必ずしもホットエレクトロンを必要とはしないため、薄膜にすることもでき、駆動電圧を低下できる長所を有する。好ましくは、500nm以下の膜厚、より好ましくは100nm以下の膜厚であることが好ましい。
【0104】
次に、第1の絶縁層102上に発光層103を形成する。発光層103は、実施の形態3で示した発光材料を含む層であり、実施の形態1または実施の形態2に示した成膜装置および成膜方法を用いて形成することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。
【0105】
次に、第2の絶縁層104を形成する。第2の絶縁層104としては、特に限定されることはないが、絶縁耐性が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化イットリウム(Y)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、窒化シリコン(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。なお、本実施の形態の発光素子は、必ずしもホットエレクトロンを必要とはしないため、薄膜にすることもでき、駆動電圧を低下できる長所を有する。好ましくは、500nm以下の膜厚、より好ましくは100nm以下の膜厚であることが好ましい。
【0106】
次に、第2の電極105を形成する。第2の電極105としては、種々の金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリングにより成膜される。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。この他、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等用いることができる。なお、第1の電極101または第2の電極105を、透光性を有する電極とする場合、可視光の透過率の低い材料であっても、1nm〜50nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さで成膜することで、透光性の電極として用いることができる。なお、スパッタリング以外にも、真空蒸着、CVD、ゾル−ゲル法を用いて電極を作製することもできる。
【0107】
ただし、発光は、第1の電極101もしくは第2の電極105を通って外部に取り出されるため、第1の電極101および第2の電極105のうち、少なくとも一方は透光性を有する電極である必要がある。
【0108】
なお、図示しないが、発光層と絶縁層の間にバッファー層を設けても良い。このバッファー層はキャリアの注入を容易にする役割や、両層の混合を抑制する役割をもつ。バッファー層としては、特に限定されることはないが、例えば、発光層の母体材料であるZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、SrS、BaS等、又はCuS、CuS、又はハロゲン化アルカリであるLiF、CaF、BaF、MgF等を用いることができる。
【0109】
本発明の発光素子は、歪みや欠陥の少ない発光層を有している。よって、発光効率が高く、駆動電圧の低減された発光素子を得ることができる。また、発光効率が高く、駆動電圧が低減されているため、消費電力も低減された発光素子を得ることができる。
【0110】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0111】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の発光素子の作製方法の一態様ついて図7を用いて説明する。
【0112】
本実施の形態で示す発光素子は、基板200の上に、第1の電極201及び第2の電極204と、第2の電極204に接する絶縁層203と、第1の電極201と絶縁層203との間に発光層202を有する素子構成である。本実施の形態で示す発光素子は、第1の電極201と、第2の電極204の間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0113】
基板200は発光素子の支持体として用いられる。基板200としては、例えば、ガラス、プラスチック、セラミックス、絶縁層が表面に形成された金属基板などを適宜用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでも用いることができる。
【0114】
基板200上に第1の電極201を形成する。第1の電極201としては、種々の金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリングにより成膜される。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。この他、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等を用いることができる。なお、第1の電極201または第2の電極204を、透光性を有する電極とする場合、可視光の透過率の低い材料であっても、1nm〜50nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さで成膜することで、透光性の電極として用いることができる。なお、スパッタリング以外にも、真空蒸着、CVD、ゾル−ゲル法を用いて電極を作製することもできる。
【0115】
次に、発光層202を形成する。発光層202は、実施の形態3で示した発光材料を含む層であり、実施の形態1または実施の形態2に示した成膜装置および成膜方法を用いて形成することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。
【0116】
次に、絶縁層203を形成する。絶縁層203は、特に限定されることはないが、絶縁耐性が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化イットリウム(Y)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、窒化シリコン(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。なお、本実施の形態の発光素子は、必ずしもホットエレクトロンを必要とはしないため、薄膜にすることもでき、駆動電圧を低下できる長所を有する。好ましくは、500nm以下の膜厚、より好ましくは100nm以下の膜厚であることが好ましい。
【0117】
次に、第2の電極204を形成する。第2の電極204としては、種々の金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリングにより成膜される。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。この他、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等を用いることができる。なお、第1の電極201または第2の電極204を、透光性を有する電極とする場合、可視光の透過率の低い材料であっても、1nm〜50nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さで成膜することで、透光性の電極として用いることができる。なお、スパッタリング以外にも、真空蒸着、CVD、ゾル−ゲル法を用いて電極を作製することもできる。
【0118】
ただし、発光は、第1の電極201もしくは第2の電極204を通って外部に取り出されるため、第1の電極201および第2の電極204のうち、少なくとも一方は透光性を有する電極である必要がある。
【0119】
なお、図示しないが、発光層と絶縁層、又は発光層と電極の間にバッファー層を設けても良い。このバッファー層はキャリアの注入を容易にする役割や、両層の混合を抑制する役割をもつ。バッファー層としては、特に限定されることはないが、例えば、発光層の母体材料であるZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、SrS、BaS等、又はCuS、CuS、又はハロゲン化アルカリ金属であるLiF、CaF、BaF、MgF等を用いることができる。
【0120】
また、図7では第2の電極204に接するように絶縁層203が設けられているが、絶縁層と発光層の順番を逆にして、第1の電極201に接するように絶縁層203を設けてもよい。
【0121】
本発明の発光素子は、歪みや欠陥の少ない発光層を有している。よって、発光効率が高く、駆動電圧の低減された発光素子を得ることができる。また、発光効率が高く、駆動電圧が低減されているため、消費電力も低減された発光素子を得ることができる。
【0122】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態4〜実施の形態5で示した方法とは異なる方法により、発光素子を作製する方法について図12、図16、及び図17を用いて説明する。
【0123】
図12(A)に示すように、基板1100上に第1の電極1101を形成し、第1の電極1101上に第1の絶縁層1102を形成し、第1の絶縁層1102上に発光層1103を形成する。
【0124】
基板1100は発光素子の支持体として用いられる。基板1100としては、実施の形態4で列挙した基板100を適宜用いることができる。
【0125】
基板1100上に第1の電極1101を形成する。第1の電極1101としては、実施の形態4の第1の電極101と同様の材料及び作製方法を用いて形成することができる。
【0126】
次に、第1の絶縁層1102を形成する。第1の絶縁層1102は、実施の形態4の第1の絶縁層102と同様の材料及び作製方法を用いて形成することができる。
【0127】
発光層1103の形成方法としては、実施の形態3で示した発光材料を抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)により堆積して形成することができる。また、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子エピタキシ法(ALE)等を用いて上記発光材料で形成される層を形成することができる。また、上記発光材料が分散された組成物をインクジェット法、スピンコート法、印刷法等を用いて塗布した後、焼成して形成することができる。発光層1103の膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。
【0128】
なお、図示しないが、発光層と絶縁層の間にバッファー層を設けても良い。このバッファー層はキャリアの注入を容易にし、かつ両層の混合を抑制する役割をもつ。バッファー層としては、特に限定されることはないが、例えば、発光層の母体材料であるZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、SrS、BaS等、又はCuS、CuS、又はハロゲン化アルカリであるLiF、CaF、BaF、MgF等を用いることができる。
【0129】
ここでは、図16に示すような成膜装置を用いて、基板1100上に第1の電極1101を形成し、第1の電極1101上に第1の絶縁層1102を形成し、第1の絶縁層1102上に発光層1103を形成する。
【0130】
以下に、図16に示す成膜装置の構成について説明する。なお、図16は該成膜装置の構成を説明する断面図である。
【0131】
図16に示す成膜装置は、真空排気系に接続される成膜室2010を備えている。成膜室2010には、基板ステージ2012、蒸発源2016、真空排気系に接続する排気口2018などが備えられている。基板ステージ2012には基板やシャドーマスクが固定されるが、それらを固定する保持手段が付加されていても良い。保持手段は、基板1100を固定する基板チャック2031、被膜を形成する領域に開口部を形成したシャドーマスク2032を固定するマスクチャック2033などである。すなわち保持手段は、基板1100の一表面若しくは少なくともその一部を蒸発源に対して露出させ保持するように構成されている。基板チャック2031、マスクチャック2033は先端のツメにより、基板1100やシャドーマスク2032の端部を機械的に保持するものである。保持手段の他の構成としては、電磁的作用により基板1100やシャドーマスク2032を保持するものを適用しても良い。
【0132】
蒸着膜を形成する基板1100は、基板ステージ2012の保持手段により概略平面状態を保って保持され、蒸発源2016と対向配置される。
【0133】
蒸発源2016は、Tiなどの金属製のボート、セラミックス製の坩堝などを用いた抵抗加熱方式、電子ビーム加熱方式などを適用することができる。またクヌーセンセルを適用して分子ビームを制御するようにしても良い。その他の構成として、レーザビームを蒸着材料に照射して気化させる蒸発源を適用しても良い。また、蒸発源を矩形にして、そこに線状に整形したレーザビームを照射して加熱するようにしても良い。
【0134】
複数の蒸着材料を用いて共蒸着する場合には、蒸発源2016を複数個設ければ良い。蒸発源2016と基板ステージ2012の間にはシャッタ2020を設け、蒸着材料が基板1100に飛着するタイミングを制御できるようにしても良い。成膜時における成膜室2010の圧力は蒸着が可能な圧力範囲であれば良く、減圧下に限定されない。好ましくは0.1Paから0.001Pa程度とすれば良い。
【0135】
また、基板1100に均一性良く薄膜を形成するために基板1100若しくは蒸発源2016、または基板1100と蒸発源2016の双方を移動可能に配置して、例えばラスタースキャンをするように成膜を行っても良い。このような構成にすることで、フラットパネルディスプレイのマザーガラスとして、第6世代の1500mm×1800mm、第7世代の1870mm×2200mm、第8世代の2160mm×2400mmの外寸を持つガラス基板でも容易に成膜を行うことができる。
【0136】
上記成膜装置の蒸発源2016に、第1の電極1101、第1の絶縁層1102、発光層1103を形成する蒸着材料がそれぞれ充填された金属製のボートまたは坩堝を設置する。次に、基板1100上に第1の電極1101の蒸着材料を蒸着する。次に、第1の電極1101上に第1の絶縁層1102の蒸着材料を蒸着する。次に、第1の絶縁層1102上に発光層1103の蒸着材料を蒸着する。
【0137】
次に、図12(B)及び図17に示すように、基板1100上に形成された第1の電極、第1の絶縁層、及び発光層に、レーザビーム照射手段から射出されたレーザビーム1106を照射する。なお、図17において領域1124aは、レーザビームが第1の電極、第1の絶縁層、及び発光層のいずれかに照射された領域を示し、領域1124bはレーザビームが第1の電極、第1の絶縁層、及び発光層に照射されていない領域を示す。
【0138】
本実施の形態で用いることが可能なレーザビーム照射手段について、図17を用いて説明する。レーザビーム照射手段は、移動台1201、光源1123、光学系1125、及び偏向手段1126が設けられている。偏向手段1126はレーザビームの光軸を偏向するために用いるものであり、図17ではミラーが例示されている。すなわち、光源1123から放射されるレーザビームは、光学系1125で整形され、基板1100上に導入される。その際に、偏向手段1126を用いて基板1100にレーザビームが照射されるように光路を調節している。この時、偏向手段1126の角度を調節することにより、例えば光学系1125で矩形に整形されたレーザビームを基板1100の成膜面に対し走査して、全面に照射することができる。また、偏向手段1126を固定し、移動台1201を矢印1131a、1131b、1132a、1132bのいずれかの方向に移動して、成膜面にレーザビームを照射することができる。
【0139】
光源1123としてはレーザ発振器を用いることが好ましい。また、光源1123から放射される光を整形するために、光学系1125を設けることが好ましい。光学系1125は、光源1123と基板1100の間に設ける。
【0140】
光学系1125の構成は、一例として、光源1123側からビームエキスパンダ、ビームホモジナイザを組み合わせたものを適用することができる。ビームエキスパンダは、凹シリンドリカルレンズ(若しくは凹レンズ)と凸シリンドリカルレンズ(若しくは凸レンズ)を組み合わせたものであり、これにより、光源1123から放射されるレーザビームのビーム幅を広げることができる。また、ビームホモジナイザは、例えばTEM00モードで発振してガウス分布を持つレーザビームのエネルギー密度分布を均一化するためのものである。そのため、ビームホモジナイザとしては、凸シリンドリカルレンズアレイと凹シリンドリカルレンズアレイを組み合わせたものを適用することができる。それにより、基板1100の薄膜堆積表面と平行な方向のレーザビームのエネルギー密度分布を均一化することができる。
【0141】
光源1123として適用するレーザ発振器としては、蒸着材料が吸収することが可能な波長の光を放射可能なものが好ましく、気体レーザ、固体レーザなどを適用することができる。例えば、YVOレーザの基本波(1.06μm)、第2高調波(532nm)、第3高調波(355nm)、炭酸ガスレーザの基本波(10.6μm)などを適用することができる。気体レーザとしては、Arレーザ、Krレーザ、COレーザなどを適用することができる。固体レーザとしては、YAGレーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、GdVOレーザ、KGWレーザ、KYWレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、Yレーザ、YVOレーザなどを適用することができる。また、YAGレーザ、Yレーザ、GdVOレーザ、YVOレーザなどはセラミックスレーザとも呼ばれる。金属蒸気レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ等が挙げられる。その他のレーザとしては紫外線レーザを適用することもできる。紫外線レーザの代表例としてはエキシマレーザであり、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArF(193nm)、XeCl(308nm)、XeF(351nm)などがある。エキシマレーザは高エネルギーで高出力が得られるので、蒸着材料に対して有効に作用させることができる。
【0142】
また、レーザビームは連続的にエネルギーを供給することができる点で連続発振レーザを光源1123として用いることが好ましいが、繰り返し周波数が10MHz以上のパルスレーザを用いることも可能である。蒸発分子が励起してから基底状態に戻るまでの時間よりもレーザのパルス間隔が短ければ、薄膜の堆積表面に連続して励起分子のフラックスを与えることができる。
【0143】
レーザビーム照射手段のいずれかに光センサを設けてレーザビーム強度を検知し、光源1123の出力を制御するようにしても良い。
【0144】
また、光源1123、光学系1125、及び偏向手段1126と同等なものを複数設け、複数本のレーザビームを基板1100に同時に同じ領域に照射してもよい。また、複数本のレーザビームを基板1100に別々に同じ領域に照射してもよい。
【0145】
このように、本実施の形態の成膜装置及びレーザ照射手段を用いて発光層にレーザビームを照射することより、緻密な薄膜、歪みや欠陥の少ない均質な薄膜、若しくは結晶性の良い薄膜からなる発光層を形成することができる。具体的には、蒸着の際に生じた未結合手を再結合させ、歪みや欠陥の少ない、緻密な膜質の膜を得ることができる。そのため、発光層のキャリアが未結合手にトラップされることを抑制することができる。よって、発光中心の衝突励起確率が向上し、発光効率を向上させることが可能となる。また、発光層のキャリアが未結合手にトラップされることを抑制することができるため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。
【0146】
次に、図12(C)に示すように、発光層1103上に、第2の絶縁層1104及び第2の電極1105を形成する。第2の絶縁層1104は、第1の絶縁層1102と同様の材料及び形成方法を用いて形成することができる。また、第2の電極1105としては、第1の電極1101同様の材料及び形成方法を用いて形成ができる。
【0147】
ここでは、図16に示すような成膜装置に基板1100を再度設置して、第2の絶縁層1104の蒸着材料を蒸着して発光層1103上に第2の絶縁層1104を形成した後、第2の電極1105の蒸着材料を蒸着して第2の絶縁層1104上に第2の電極1105を形成する。なお、発光素子の発光は、第1の電極1101もしくは第2の電極1105を通って外部に取り出されるため、第1の電極1101および第2の電極1105のうち、少なくとも一方は透光性を有する材料で形成されている必要がある。
【0148】
なお、図12(B)において、基板1100上に第1の電極1101、第1の絶縁層1102、発光層1103、及び第2の絶縁層1104を順に形成した後、レーザビーム1106を照射してもよい。この後、第2の絶縁層1104上に第2の電極1105を形成する。
【0149】
さらには、基板1100上に第1の電極1101、第1の絶縁層1102、発光層1103、第2の絶縁層1104、及び第2の電極1105を順に形成した後、レーザビーム1106を照射してもよい。この場合、第2の電極1105は透光性を有することが好ましい。
【0150】
さらには、本実施の形態では、図12(B)において、レーザビームを第2の絶縁層1104側から照射したが、この工程の代わりに、基板1100を介して第1の電極1101、第1の絶縁層1102、発光層1103にレーザビーム1106を照射してもよい。なお、この場合、基板1100及び第1の電極1101は透光性を有することが好ましい。基板1100を介して第1の絶縁層1102、発光層1103にレーザビーム1106を照射することで、レーザビームのエネルギーによりこれらの層のいずれかが剥れることを防止することができる。
【0151】
さらには、第1の電極1101、第1の絶縁層1102、発光層1103、第2の絶縁層1104、及び第2の電極1105のいずれか、好ましく発光層1103に複数回レーザビームを照射してもよい。複数回レーザビームを照射することにより、より緻密な薄膜、より歪みや欠陥の少ない均質な薄膜、若しくはより結晶性の良い薄膜を形成することができる。
【0152】
以上の工程により、緻密な薄膜、歪みや欠陥の少ない均質な薄膜、若しくは結晶性の良い薄膜を有する発光素子を作製することができる。また、発光効率の高い発光素子を作製することができる。
【0153】
(実施の形態7)
本実施の形態では、レーザビーム照射手段を有する成膜装置を用いて、発光素子を作製する工程について、図13、図3、及び図4を用いて説明する。なお図3は成膜装置の構成を説明する側面図、図4は同平面図であり、本実施の形態の説明では両図を参照する。
【0154】
本実施の形態で示す発光素子の作製工程は、実施の形態3で示した成膜装置を用いる。実施の形態3で示した成膜装置は、実施の形態6で示した成膜装置にレーザビーム照射手段を有する。
【0155】
図3および図4に示すように、レーザビーム照射手段としては、光源22、光学系23、光導入窓14及び偏向手段が設けられている。ここでは、偏向手段としてミラー44とミラー46が例示されている。すなわち、光源22から放射されるレーザビームは、光学系23で整形され、光導入窓14から成膜室10内に導入される。その際に、ミラー44とミラー46を用いて基板30にレーザビームが照射されるように光路を調節している。この時、ミラー44とミラー46の一方若しくは双方の角度を調節することにより、例えば光学系23で矩形に整形されたレーザビームを基板30の成膜面に対し走査して、全面に照射することができる。
【0156】
光源22として適用するレーザ発振器としては、実施の形態6で示す光源1123と同様の構成を適宜用いることができる。
【0157】
また、図3及び図4において示す光導入窓14と同等なものを複数個成膜室10に設け、複数本のレーザビームを基板に導入しても良い。
【0158】
本実施の形態における発光素子は、図13(A)に示すように、図3及び4に示すような成膜装置を用いて、実施の形態6と同様に、基板1100上に第1の電極1101の蒸着材料を蒸着し、第1の電極1101上に第1の絶縁層1102の蒸着材料を蒸着し、第1の絶縁層1102上に発光層1103の蒸着材料を蒸着する。
【0159】
次に、成膜装置のシャッタ2020を閉じた後、図13(B)に示すように、レーザビーム照射手段を用いて基板上に形成された第1の電極1101、第1の絶縁層1102、及び発光層1103のいずれか、好ましくは発光層1103に、レーザ発振器から射出されたレーザビーム1106を照射する。
【0160】
次に、図13(C)に示すように、レーザビームの発振を停止した後、成膜装置のシャッタ2020を開いて、発光層1103上に、第2の絶縁層1104及び第2の電極1105の蒸着材料を順に蒸着する。
【0161】
なお、図3では、光学系23を用いてレーザビームを整形しているが、基板30に必要なエネルギーを供給できるのであれば、光学系23を省略することもできる。また、レーザビーム照射手段の代わりにランプ光源48を用いてもよい。例えば、図5に示す成膜装置を用いてもよい。図5に示される成膜装置は、ランプ光源48からの光が成膜室10内の基板30に照射される構成を示している。
【0162】
なお、図13(B)の代わりに、基板1100上に第1の電極1101、第1の絶縁層1102、発光層1103、及び第2の絶縁層1104を順に形成した後、レーザビーム1106を照射してもよい。この後、第2の絶縁層1104上に第2の電極1105を形成する。
【0163】
さらには、基板1100上に第1の電極1101、第1の絶縁層1102、発光層1103、第2の絶縁層1104、及び第2の電極1105を順に形成した後、レーザビーム1106を照射してもよい。この場合、第2の電極1105は透光性を有することが好ましい。
【0164】
さらには、偏向手段の配置を変更し、基板ステージ12に基板30の一部が露出する開口部を設けることで、基板30側から第1の電極1101、第1の絶縁層1102、発光層1103、第2の絶縁層1104、及び第2の電極1105にレーザビームを照射してもよい。
【0165】
以上の工程により、緻密な薄膜、歪みや欠陥の少ない均質な薄膜、若しくは結晶性の良い薄膜を有する発光素子を作製することができる。また、発光効率の高い発光素子を作製することができる。
【0166】
(実施の形態8)
本実施の形態は、実施の形態6で示すレーザビーム照射手段において、所定の領域に選択的にレーザビームを照射することが可能な装置(以下、レーザビーム照射システムと示す。)を用いて、基板上に形成された第1の電極1101、第1の絶縁層1102、及び発光層1103に、レーザ発振器から射出されたレーザビーム1106を照射する例について、図14及び図18を用いて説明する。
【0167】
レーザビーム照射システムについて、図18を用いて説明する。
【0168】
レーザビーム照射システム1001は、レーザビームを照射する際の各種制御を実行するコンピュータ1002と、レーザビームを出力するレーザ発振器1003と、電源1004と、レーザビームを減衰させるための光学系1005と、レーザビームの強度を変調するための音響光学変調器1006と、レーザビームの断面を縮小するためのレンズや光路を変更するためのミラー等で構成される光学系1007と、X軸ステージ及びY軸ステージを有する移動機構1009と、コンピュータ1002から出力される制御データを変換するD/A変換部1010と、D/A変換部から出力されるアナログ電圧に応じて、音響光学変調器1006を制御するドライバ1011と、移動機構1009を駆動するための信号を出力するドライバ1012と、被照射物上にレーザビームの焦点を合わせるためのオートフォーカス機構1013とを有する(図18参照)。レーザ発振器1003には、図17に示すレーザビーム照射手段の光源1123に示す発振器を適宜用いることができる。
【0169】
次に、上記構成を有するレーザビーム照射システム1001の動作について説明する。まず、基板1014が移動機構1009に装着されると、コンピュータ1002は図外のカメラによって、レーザビームを照射する発光素子の位置を検出する。次いで、コンピュータ1002は、検出した位置データに基づいて、移動機構1009を移動させるための移動データを生成する。続いて、コンピュータ1002が、ドライバ1011を介して音響光学変調器1006の出力光量を制御することにより、レーザ発振器1003から出力されたレーザビームは、光学系1005によって減衰された後、音響光学変調器1006によって所定の光量になるように光量が制御される。一方、音響光学変調器1006から出力されたレーザビームは、光学系1007で光路及びビームスポット形状を変化させ、レンズで集光した後、基板1014上に該レーザビーム1106を照射する。このとき、コンピュータ1002が生成した移動データに従い、移動機構1009をX方向及びY方向に移動制御する。この結果、所定の場所にレーザビームが照射される。なお、上記の記載によると、移動機構1009を移動させてレーザビームの照射を行う例を示しているが、光学系1007を調整することによってレーザビームをX方向およびY方向に移動させてもよい。
【0170】
上記のレーザビーム照射システムを用いることで、基板上に形成される画素部や、画素部内の各画素に設けられる発光素子に選択的にレーザビームを照射することができる。
【0171】
ここでは、複数の発光パネルが形成された基板において、レーザビーム照射システムを用いて画素部に選択的にレーザビームを照射する形態について図14を用いて説明する。
【0172】
移動機構1009に基板301が設置される。基板301には複数の発光パネル302が形成される。発光パネル302には、駆動回路303、304、画素部305が形成される。
【0173】
駆動回路303、304は、画素部に形成される発光素子の駆動を制御する回路である。駆動回路303、304は、薄膜トランジスタ、ダイオード、抵抗等の半導体素子で構成される。なお、駆動回路303、304に形成される薄膜トランジスタは、結晶性半導体膜で形成される半導体層で形成されることが好ましい。また、薄膜トランジスタの半導体層に接続する配線は、アルミニウム、チタン等の低抵抗材料で形成されることが好ましい。このような薄膜トランジスタは、電界効果移動度が高いため、高速動作が可能である。また、このような薄膜トランジスタを用いた駆動回路を有する発光パネルは、高精細な表示が可能である。
【0174】
一方、画素部305の発光素子は、駆動回路の半導体素子が形成された後に、形成される。このため、発光素子の作製工程において、レーザビームを基板全面に照射すると、薄膜トランジスタの配線にもレーザビームが照射される。アルミニウム、チタン等の低抵抗材料は、融点が比較的低いため、レーザビームが照射されることにより、配線が溶融してしまう。この結果、発光パネルの歩留まりが低下するという問題が生じる。
【0175】
しかしながらレーザビーム照射システムを用いることで、画素部に形成される発光素子に選択的にレーザビームを照射することが可能であり、発光素子の発光層にレーザビームを照射することができるため、歩留まりを向上させることが可能である。
【0176】
なお、図14において、領域306はレーザビームが選択的に照射され、緻密な薄膜、歪みや欠陥の少ない均質な薄膜、若しくは結晶性の良い薄膜を有する発光素子が形成された画素部の領域を示す。一方、領域307は、レーザビームが照射されていない領域を示す。
【0177】
以上のように、発光素子を形成する工程で、発光素子を構成する第1の電極、第1の絶縁層、発光層、第2の絶縁層、第2の電極のいずれか、好ましくは発光層にレーザビームを照射する場合、レーザビーム照射システムを用いることで、選択的にレーザビームを照射することができる。このため、薄膜トランジスタで構成させる駆動回路、及び発光効率の高い発光素子で構成される画素部を有する発光パネルの歩留まりを向上させることが可能である。
【0178】
(実施の形態9)
実施の形態6〜実施の形態8において、基板上に形成された第1の電極1101、第1の絶縁層1102、発光層1103、第2の絶縁層1104、第2の電極1105のいずれか、好ましくは発光層を加熱手段により加熱しながら、レーザ発振器から射出されたレーザビーム1106を照射する形態について図15を用いて説明する。
【0179】
図15(A)に示すように、実施の形態6と同様に、基板上に第1の電極1101、第1の絶縁層1102、及び発光層1103を順に形成する。
【0180】
次に、図15(B)に示すように、加熱手段を用いて基板を加熱しながら、基板上に形成された第1の電極1101、第1の絶縁層1102、及び発光層1103のいずれか、好ましくは発光層1103にレーザビーム1106を照射する。このときの加熱温度は50〜600℃が好ましい。加熱手段を用いて加熱しながらレーザビームを第1の電極1101、第1の絶縁層1102、及び発光層1103に照射することで、より緻密な薄膜、歪みや欠陥の少ない均質な薄膜、若しくは結晶性の良い薄膜を形成することが可能である。ここでは、加熱手段としてランプ光源1107を用いる。
【0181】
ランプ光源1107としては、実施の形態7で示すランプ光源48を適用することができる。
【0182】
この後、図15(C)に示すように、実施の形態6と同様に、発光層1103上に、第2の絶縁層1104及び第2の電極1105を順に形成する。
【0183】
なお、実施の形態7に示す成膜装置にさらにランプを設けてもよい。このような成膜装置を用いることで、ランプ光源1107を用いて基板を加熱しながら、基板上に形成された第1の電極1101、第1の絶縁層1102、及び発光層1103にレーザビーム1106を照射する。
【0184】
なお、図15(B)においては、発光層1103が形成される側にランプを設けると共に、レーザビームを照射する形態を示したがこれに限定されない。例えば、基板側にランプを設け、基板側から加熱する共に、発光層側からレーザビームを照射してもよい。また、発光層側にランプを設け、発光層側から加熱する共に、基板側からレーザビームを照射してもよい。なお、この場合、基板は透光性を有する基板であることが好ましい。さらには、基板側にランプを設けると共に、基板側からレーザビームを照射してもよい。
【0185】
さらには、加熱手段として、ランプ光源の代わりに、ヒーターを用いてもよい。さらには、電気炉内に基板1100を設けて、電気炉で加熱しつつレーザビームを照射してもよい。
【0186】
以上の工程により、緻密な薄膜、歪みや欠陥の少ない均質な薄膜、若しくは結晶性の良い薄膜を有する発光素子を作製することができる。また、発光効率の高い発光素子を作製することができる。
【0187】
(実施の形態10)
本実施の形態では、実施の形態6〜実施の形態9と異なる構造の発光素子の作製方法の一態様ついて図7を用いて説明する。図7に示す発光素子において、本発明の発光素子の作製方法を適用することが可能である。
【0188】
基板200上に第1の電極201を形成する。第1の電極201としては、実施の形態4の第1の電極101と同様の作製方法を用いて形成することができる。
【0189】
次に、発光層202を形成する。発光層202は、実施の形態3や実施の形態6に示したものと同様な材料及び作製方法を用いて形成することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。
【0190】
発光層202を形成した後、実施の形態6〜実施の形態8に示すように、発光層202にレーザビームを照射する。または、実施の形態9に示すように、加熱しながらレーザビームを発光層202に照射する。
【0191】
次に、絶縁層203を形成する。実施の形態4で列挙した第2の絶縁層104と同様の材料及び作製方法を用いて形成することができる。
【0192】
次に、第2の電極204を形成する。実施の形態4で列挙した第2の電極105と同様の材料及び作製方法を用いて形成することができる。
【0193】
本実施の形態においても、発光は、第1の電極201もしくは第2の電極204を通って外部に取り出されるため、第1の電極201および第2の電極204のうち、少なくとも一方は透光性を有する電極である必要がある。
【0194】
なお、図7において、基板200上に第1の電極201、発光層202、絶縁層203を順に形成した後、レーザビームを照射してもよい。この後、絶縁層203上に第2の電極204を形成する。
【0195】
さらには、基板200上に第1の電極201、発光層202、絶縁層203、第2の電極204を順に形成した後、レーザビームを照射してもよい。この場合、第2の電極204は透光性を有することが好ましい。
【0196】
また、図示しないが、発光層と絶縁層、又は発光層と電極の間にバッファー層を設けても良い。このバッファー層はキャリアの注入を容易にすると共に、両層の混合を抑制する役割をもつ。バッファー層としては、特に限定されることはないが、例えば、発光層の母体材料であるZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、SrS、BaS等、又はCuS、CuS、又はハロゲン化アルカリであるLiF、CaF、BaF、MgF等を用いることができる。
【0197】
また、図7では第2の電極204に接するように絶縁層203が設けられているが、絶縁層と発光層の順番を逆にして、第1の電極201に接するように絶縁層203を設けてもよい。
【0198】
本発明の発光素子は、歪みや欠陥の少ない発光層を有している。よって、発光効率が高く、駆動電圧の低減された発光素子を得ることができる。また、発光効率が高く、駆動電圧が低減されているため、消費電力も低減された発光素子を得ることができる。
【0199】
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明を適用して作製した発光素子を有する発光装置について図8を用いて説明する。
【0200】
本実施の形態で示す発光装置は、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置である。図8には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。
【0201】
図8において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光材料を含む層955が設けられている。発光材料を含む層955は実施の形態3で示した発光層を有している。
【0202】
電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明を適用して作製した発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
【0203】
また、本実施の形態で示す発光装置は、高耐電圧の駆動回路が不要であるため、発光装置の作製コストを低減することができる。また、発光装置の軽量化、駆動回路部分の小型化が可能である。
【0204】
なお、本実施の形態で示す発光装置は、実施の形態4に示した発光素子の構成を適用することも可能であるし、実施の形態5に示した発光素子の構成を適用することも可能である。つまり、実施の形態1乃至実施の形態10により作製される発光素子を適用することが可能である。また、直流駆動で動作する発光装置を作製することも可能であるし、交流駆動で動作する発光装置を作製することも可能である。
【0205】
(実施の形態12)
本実施の形態では、本発明を適用して作製した発光素子を有する発光装置について説明する。
【0206】
本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明する。本実施の形態では、画素部に本発明を適用して作製した発光素子を有する発光装置について図9を用いて説明する。なお、図9(A)は、発光装置を示す上面図、図9(B)は図9(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0207】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0208】
次に、断面構造について図9(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0209】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし、逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。非晶質半導体膜を用いてもよいし、結晶性半導体膜を用いてもよい。また、半導体材料についても特に限定されず、無機化合物を用いてもよいし、有機化合物を用いてもよい。
【0210】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0211】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0212】
第1の電極613上には、発光材料を含む層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。第1の電極613および第2の電極617の少なくとも一方は透光性を有しており、発光材料を含む層616からの発光を外部へ取り出すことが可能である。
【0213】
発光材料を含む層616は、実施の形態3で示した発光層を有している。
【0214】
発光素子618は実施の形態1乃至実施の形態10を適宜用いて形成する。
【0215】
具体的には、第1の電極613、発光材料を含む層616、第2の電極617の形成方法としては、種々の方法を用いることができる。具体的には、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。また、インクジェット法、スピンコート法等を用いることができる。また、各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。なお、発光材料を含む層616に含まれる発光層は、実施の形態1〜2で示した成膜装置および成膜方法を用いることが好ましい。
【0216】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
【0217】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0218】
以上のようにして、本発明を適用して作製した発光素子を有する発光装置を得ることができる。
【0219】
本実施の形態で示す発光装置は、実施の形態4または実施の形態5で示した発光素子を有する。実施の形態4または実施の形態5で示した発光素子は、低駆動電圧で動作が可能である。また、高い発光効率を実現することができる。よって、消費電力を低減された発光装置を得ることができる。
【0220】
また、本実施の形態で示す発光装置は、実施の形態1乃至実施の形態10で示した作製方法により形成した発光素子を有する。実施の形態1乃至実施の形態10で示した作製方法により形成した発光素子は、低駆動電圧で動作が可能である。また、高い発光効率を実現することができる。よって、消費電力を低減された発光装置を得ることができる。
【0221】
また、本実施の形態で示す発光装置は、高耐電圧の駆動回路が不要であるため、発光装置の作製コストを低減することができる。また、発光装置の軽量化、駆動回路部分の小型化が可能である。
【0222】
(実施の形態13)
本実施の形態では、実施の形態11または実施の形態12に示す発光装置をその一部に含む本実施の形態で示す電子機器について説明する。本実施の形態で示す電子機器は、実施の形態4または実施の形態5で示した発光素子を有する。つまり、実施の形態1乃至実施の形態10で示した作製方法により形成した発光素子を有する。よって、駆動電圧の低減された発光素子を有するため、消費電極の低減された電子機器を提供することが可能である。
【0223】
本発明を適用して作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図10に示す。
【0224】
図10(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態4〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
【0225】
図10(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態4〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。また、持ち運ぶことも可能となり、持ち運ぶときの外部からの衝撃にも強い表示部を有しているコンピュータを提供することができる。
【0226】
図10(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態4〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの外部からの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0227】
図10(D)はカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態4〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、外部からの衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの外部からの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0228】
以上の様に、本発明を適用して作製した発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明を適用することにより、低消費電力で、信頼性の高い表示部を有する電子機器を作製することが可能となる。
【0229】
また、本発明を適用した発光装置は、発光効率の高い発光素子を有しており、照明装置として用いることもできる。本発明を適用した発光素子を照明装置として用いる一態様を、図11を用いて説明する。
【0230】
図11は、本発明を適用した発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図11に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
【0231】
本発明を適用した発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、本発明を適用した発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0232】
【図1】本発明の成膜装置を説明する図。
【図2】本発明の成膜装置を説明する図。
【図3】本発明の成膜装置を説明する図。
【図4】本発明の成膜装置を説明する図。
【図5】本発明の成膜装置を説明する図。
【図6】発光素子を説明する図。
【図7】発光素子を説明する図。
【図8】発光装置を説明する図。
【図9】発光装置を説明する図。
【図10】電子機器を説明する図。
【図11】電子機器を説明する図。
【図12】本発明の発光素子の作製工程を説明する断面図である。
【図13】本発明の発光素子の作製工程を説明する断面図である。
【図14】本発明の発光素子の作製工程を説明する斜視図である。
【図15】本発明の発光素子の作製工程を説明する断面図である。
【図16】本発明に適用することが可能な成膜装置を説明する断面図である。
【図17】本発明に適用することが可能なレーザビーム照射手段を説明する斜視図である。
【図18】本発明に適用することが可能なレーザビーム照射システムの図である。
【符号の説明】
【0233】
10 成膜室
12 基板ステージ
14 光導入窓
14a 光導入窓
16 蒸発源
18 排気口
20 シャッタ
22 光源
23 光学系
24 ビームエキスパンダ
26 ビームホモジナイザ
28 受光板
30 基板
31 基板チャック
32 シャドーマスク
33 マスクチャック
36 凹シリンドリカルレンズ
38 凸シリンドリカルレンズ
40 凸シリンドリカルレンズアレイ
42 凹シリンドリカルレンズアレイ
44 ミラー
46 ミラー
48 ランプ光源
100 基板
101 第1の電極
102 第1の絶縁層
103 発光層
104 第2の絶縁層
105 第2の電極
106 レーザビーム
200 基板
201 第1の電極
202 発光層
203 絶縁層
204 第2の電極
301 基板
302 発光パネル
303 駆動回路
305 画素部
306 領域
307 領域
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 発光材料を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光材料を含む層
956 電極
1001 レーザビーム照射システム
1002 コンピュータ
1003 レーザ発振器
1004 電源
1005 光学系
1006 音響光学変調器
1007 光学系
1009 移動機構
1010 D/A変換部
1011 ドライバ
1012 ドライバ
1013 オートフォーカス機構
1014 基板
1100 基板
1101 第1の電極
1102 第1の絶縁層
1103 発光層
1104 第2の絶縁層
1105 第2の電極
1106 レーザビーム
1107 ランプ光源
1201 移動台
1123 光源
1124a 領域
1124b 領域
1125 光学系
1126 偏向手段
2010 成膜室
2012 基板ステージ
2016 蒸発源
2018 排気口
2020 シャッタ
2031 基板チャック
2032 シャドーマスク
2033 マスクチャック
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングマウス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着材料が充填された蒸発源と、
基板の表面の少なくとも一部を露出させ保持する基板保持手段と、
を内部に備えた成膜室と、
レーザビームを照射するレーザ照射手段と、
を有し、
前記レーザ照射手段は、前記基板の露出された表面を照射するように設けられていることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
蒸着材料が充填された蒸発源と、
基板の表面の少なくとも一部を露出させ保持する基板保持手段と、
を内部に備えた成膜室と、
レーザビームを照射するレーザ照射手段と、
を有し、
前記レーザ照射手段は、前記基板の露出された表面に対し略垂直にレーザビームが入射するように設けられていることを特徴とする成膜装置。
【請求項3】
蒸着材料が充填された蒸発源と、
基板の表面の少なくとも一部を露出させ保持する基板保持手段と、
を内部に備えた成膜室と、
レーザビームを照射するレーザ照射手段と、
を有し、
前記レーザ照射手段は、前記基板と前記蒸発源との間にレーザビームを照射するように設けられ、かつ、前記基板の露出された表面に対し略平行にレーザビームを照射するように設けられていることを特徴とする成膜装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記成膜室は光導入窓を有し、
前記レーザ照射手段は、前記光導入窓を通して前記成膜室内に前記レーザビームを照射するように設けられていることを特徴とする成膜装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記レーザビームの波長は、前記蒸着材料に吸収される波長であることを特徴とする成膜装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記レーザ照射手段のレーザ光源として、Arレーザ、Krレーザ、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、GdVOレーザ、KGWレーザ、KYWレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、Yレーザ、YVOレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、XeClエキシマレーザ、XeFエキシマレーザから選ばれるいずれか一のレーザ発振器が適用されていることを特徴とする成膜装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記レーザビームを吸収する受光板が設けられていることを特徴とする成膜装置。
【請求項8】
蒸着材料が充填された蒸発源と、
基板の表面の少なくとも一部を露出させ保持する基板保持手段と、
を内部に備えた成膜室と、
ランプ光を照射するランプ光源と、
を有し、
前記ランプ光源は、前記基板の露出された表面を照射するように設けられていることを特徴とする成膜装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記ランプ光の波長は、前記蒸着材料に吸収される波長であることを特徴とする成膜装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9において、前記ランプ光源は、水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプのいずれかの一のランプ光源が適用されていることを特徴とする成膜装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項において、
前記蒸発源が複数設けられていることを特徴とする成膜装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項において、
前記蒸発源に充填されている蒸着材料に対して電子ビームを照射する電子ビーム照射手段が設けられている成膜装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項において、
前記蒸発源に充填されている蒸着材料を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする成膜装置。
【請求項14】
基板の表面の少なくとも一部を露出させるように基板保持手段に基板を固定し、
蒸着材料が充填された蒸発源から蒸着材料を気化させ、
気化している蒸着材料に対しレーザビームを照射し、
前記基板の表面に前記蒸着材料を堆積させる成膜方法。
【請求項15】
基板の表面の少なくとも一部を露出させるように基板保持手段に基板を固定し、
蒸着材料が充填された蒸発源から蒸着材料を気化させ、
前記基板の露出された表面に対し略垂直にレーザビームを照射することで、気化している蒸着材料にレーザビームを照射し、
前記基板の表面に前記蒸着材料を堆積させる成膜方法。
【請求項16】
基板の表面の少なくとも一部を露出させるように基板保持手段に基板を固定し、
蒸着材料が充填された蒸発源から蒸着材料を気化させ、
前記基板と前記蒸発源との間にレーザビームを照射するようにし、かつ、前記基板の露出された表面に対し略平行にレーザビームを照射することで、気化している蒸着材料にレーザビームを照射し、
前記基板の表面に前記蒸着材料を堆積させる成膜方法。
【請求項17】
請求項14乃至請求項16のいずれか一項において、
前記レーザビームの波長は、前記蒸着材料に吸収される波長であることを特徴とする成膜方法。
【請求項18】
基板の表面の少なくとも一部を露出させるように基板保持手段に基板を固定し、
蒸着材料が充填された蒸発源から蒸着材料を気化させ、
気化している蒸着材料に対しランプ光を照射し、
前記基板の表面に前記蒸着材料を堆積させる成膜方法。
【請求項19】
請求項18において、
前記ランプ光の波長は、前記蒸着材料に吸収される波長であることを特徴とする成膜方法。
【請求項20】
請求項14乃至請求項19のいずれか一項において、
前記蒸発源に充填されている蒸着材料に対して電子ビームを照射することにより、前記蒸着材料を気化させることを特徴とする成膜方法。
【請求項21】
請求項14乃至請求項19のいずれか一項において、
前記蒸発源に充填されている蒸着材料を加熱することにより、前記蒸着材料を気化させることを特徴とする成膜方法。
【請求項22】
第1の電極を形成し、
請求項14乃至請求項21のいずれか一項に記載の成膜方法を用いて発光層を形成し、
第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項23】
請求項22において、前記第1の電極を形成した後、第1の絶縁層を形成することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項24】
請求項22または23において、前記発光層を形成した後、第2の絶縁層を形成することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項25】
基板上に第1の電極を形成し、第1の電極上に蒸着膜を形成し、前記蒸着膜にレーザビームを照射した後、前記蒸着膜上に第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項26】
基板上に第1の電極を形成し、第1の電極上に蒸着膜を形成し、前記蒸着膜を加熱すると共に、レーザビームを照射した後、前記蒸着膜上に第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項27】
請求項25または請求項26において、前記第2の電極を形成した後、前記第2の電極にレーザビームを照射することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項28】
請求項25乃至請求項27のいずれか一項において、前記蒸着膜の表面から前記レーザビームを照射することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項29】
請求項25乃至請求項27のいずれか一項において、前記基板側から前記蒸着膜に前記レーザビームを照射することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項30】
基板上に第1の電極を形成し、第1の電極上に蒸着膜を形成し、前記蒸着膜上に第2の電極を形成した後、前記第2の電極にレーザビームを照射することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項31】
請求項25乃至請求項30のいずれか一項において、前記蒸着膜は発光材料を含むことを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項32】
基板上に第1の電極を形成し、前記第1の電極上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に蒸着法により発光層を形成し、前記発光層にレーザビームを照射した後、前記発光層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項33】
基板上に第1の電極を形成し、前記第1の電極上に蒸着法により発光層を形成し、前記発光層にレーザビームを照射した後、前記発光層上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項34】
基板上に第1の電極を形成し、前記第1の電極上に第1の絶縁層を形成し、前記第1の絶縁層上に蒸着法により発光層を形成し、前記発光層にレーザビームを照射した後、前記発光層上に第2の絶縁層を形成し、前記2の絶縁層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項35】
請求項32乃至請求項34のいずれか一項において、前記発光層にレーザビームを照射すると共に、前記発光層を加熱することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項36】
請求項32乃至請求項35のいずれか一項において、前記第2の電極を形成した後、前記第2の電極にレーザビームを照射することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項37】
請求項32乃至請求項36のいずれか一項において、前記発光層の表面から前記レーザビームを照射することを特徴とする発光素子の作製方法。
【請求項38】
請求項32乃至請求項34のいずれか一項において、前記基板側から前記発光層に前記レーザビームを照射することを特徴とする発光素子の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−239098(P2007−239098A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28829(P2007−28829)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】