説明

所与の時間における携帯電話の物理的な位置を検出する方法

加入者データベースは、ネットワークにおける全ての携帯電話に関係するRFレベル及びタイミングアドバンス情報を格納する。位置パラメータデータベースに格納される位置データは、異なる物理的な位置を、それらの位置から測定又は推測されるRFレベル/タイミングアドバンスデータに関連付ける。そのとき、加入者データベースは、所与の時間に携帯電話の位置を確立することを目的として、その位置パラメータデータベースに対するその特定の携帯電話のためのRFレベル/タイミングアドバンスデータを一致させることにより解釈される。これにより、携帯電話の位置を生成する。加入者データベースの解釈又は問い合わせは、特定の携帯電話の位置を構築する要望がある場合に起きるが、ネットワークにおける全ての携帯電話に自動化処理を適用する等してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所与の時間における携帯電話の物理的な位置を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信システムにおいて、携帯電話の位置検出や追跡記録する能力は、携帯加入者が広がるにつれ、政府の機関、規制機関及び法的処置機関、重要なビジネスチャンスを持つ者などにとって非常に重要である。
【0003】
データベースは、ある位置にある携帯電話のパラメータをその位置にマッピングするために、当業者に良く知られた技術を用いて利用されうる。例えば、携帯電話の周辺における基地局の通信強度は、携帯電話により携帯電話制御情報の一部として携帯電話ネットワークに向けて送信され、その電話の位置を特定するのに使用されうる。この通信強度は、RF(radio frequency)レベルとして知られている。その方法では、当業者により知られる技術に基づいて、複数の基地局で観察されたRFレベルがこれらレベルが観察されたその位置にマッピングされる。
【0004】
RFレベルデータベース、又はその他の独特のデータベースにおける主要な問題は、データベースの構築にある。その位置を計算するのに使用されるデータベースの保守及び構築には、コストがかかり、多大な時間がかかる。
【0005】
データベースを構築するための技術の1つにドライブテストがある。ドライブテストでは、通話中の電話及びGPS装置を携えた運転手が、時間に対する位置及び装置パラメータ(そのまま又は、基地局(すなわち、BTS)に向けて通信される)に対する位置を記録するソフトウェアシステムを用いて、地理的領域全体を手動でカバーする。データベースを正確に保守するために、そのドライブテストを頻繁又は連続的に繰り返さなくてはならない。これは、労力やコストがかかる。
【0006】
少数の観察から自発的にデータベースを起こすのに、その位置領域の至る場所での装置パラメータの構築に関して一連の仮定を適用する別の技術がある。しかし、初期の正確さは非常に乏しく、また、仮定の精度に非常に依存する。
【0007】
特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されるように、’location fingerprinter’等のRFプロフィールを用いることが知られている。この提案を用いると、データベースは、ドライブテスト及び予測の両方から構築されうる。
【0008】
また、交通監視システムの出力と携帯電話ネットワークの制御情報とを組み合わせて、自動化し費用効率を高くするという方法で、ネットワークの加入者毎に関する位置のデータベースを構築及び保守することが知られている。
【特許文献1】米国特許第6782265号明細書
【特許文献2】米国特許第6449486号明細書
【特許文献3】米国特許第6393294号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願人によるNERO24(登録商標)を参照する。NERO24では、交通監視システム(TMS)は絶え間なく、道路を動いている車両の正確な位置を提供する。車両は、起動状態にある携帯電話を(断続的に)運ぶ。携帯ネットワークにおいて観察される携帯電話制御パラメータは、これらのパラメータを特定の位置(例えば、特定のRF信号レベルパターンは、特定の物理的な位置に一意に関連付けられるであろう)に結び付けているデータベース内に格納される。この格納された情報は、ネットワークにおける携帯電話の携帯電話制御パラメータをデータベースに格納されるパラメータと比較することにより使用されうる。この提案は、多くのコスト及び労力を削減しつつ、加入者の位置を支援するデータベースの構築及び保守を行なうための手段を提供する。そのため、位置を基礎としたサービスの導入の拡大や、コストにより以前は妨げられていた新しいサービスの範囲の進展を可能にする。しかし、NERO24システムは、ネットワークのあらゆる又は全ての起動状態にある携帯電話の位置が常に必要とされる?ことを前提として設計されていた。これにより、以前の実施においては、ネットワークにおける各装置の位置が、定期的且つ自動的に連続又はまとまった位置要求で決められることが要求されていた。しかし、ネットワークにおける全ての携帯電話の位置を正確に見つける処理は、非常に集中的な演算である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、所与の時間における携帯電話の物理的な位置を検出する方法であって、
(a)ネットワークにおける複数の携帯電話に関連する携帯電話制御パラメータから取得される、又はその値であるデータを加入者データベースに格納する工程と、
(b)異なる物理的な位置を携帯電話制御パラメータから取得される、又はその値であるデータに関連付けた位置データを位置パラメータデータベースに格納する工程と、
(c)加入者データベースにおける前記データを、所与の時間における携帯電話の前記位置を確立することを目的として解釈する工程であって、(i)前記携帯電話の位置の応答を生成するために、前記位置パラメータデータベースに実施する問い合わせとして前記データを用い、(ii)前記複数の携帯電話各々に関係する連続又はまとまりの要求の一部ではなく前記特定の携帯電話の位置を確立するための明確な要求がある場合にだけ前記問い合わせを実行する工程と
を含むことを特徴とする方法である。
【0011】
したがって、ネットワークにおける全ての携帯電話の位置を見つける必要はない。代わりに、明確な要求がそのようになされる時にだけ特定の携帯電話の位置を確立する。その結果として、加入者データベースの保守のコストは低くなる。なぜならば、記録は、該当する加入者の位置が問い合わせられなければ、何らかの処理が必要とされないからである。’所与の時間における携帯電話の位置’という表現は、広く解釈されるべきである。すなわち、正確な瞬間における位置を意味するのではなく、最も最近の確実に知られた位置や、おおよその時間における位置や、拡張された期間にわたる位置をもカバーすると解釈されるべきである。確実に知られた位置でもよい。
【0012】
一実施形態では、位置パラメータデータベースへの投入に使用される少なくともいくつかの位置データは、TMS交通監視システムから取得され、道路網における地点を携帯制御パラメータのいくつか又は全ての値に関連付けることを可能にする。少なくともいくつかの位置データは、測定で直接取得される(例えば、制御パラメータはRF信号強度を含むであろう。これらは携帯電話により直接に送信され、折り返される)。更に、道路網におけるいくつか又は全ての道路を越えて広がっていく領域に対する少なくともいくつかの位置データは、計算又は推論により取得される。位置パラメータデータベースは、交通監視システムから報告を受信すると、連続的に又は定期的に更新されうる。
【0013】
加入者データベースに投入されるデータ(すなわち、携帯電話制御パラメータから取得される、又はその値であるデータ)は、携帯電話ネットワークから獲得されうる。加入者データベースのデータは、位置パラメータデータベースにおけるデータに相互に関連付け/一致していなければならないので、位置パラメータデータベースに存在する少なくともいくつかの同じタイプのデータを含む。したがって、加入者データベースにおけるそのデータは、下記の1つ又は複数を含みうる。
・周辺の基地局のRF信号強度
・同一場所に配置された基地局の組からのRF割合
・タイミングアドバンス情報
・通信エラー比率
【0014】
問い合わせにより、検索クエリーにおける特定の携帯電話制御パラメータと位置パラメータデータベースにおける携帯電話制御パラメータとの間で相関関係が最も近いものを見つけるために、一致又は探索処理が開始される。その問い合わせに対する応答は、携帯電話の位置であり、その位置は加入者データベースに格納される。
【0015】
携帯電話自体が、GO(登録商標)個人ナビゲーション装置又はブルートゥース(登録商標)等の近距離範囲の通信を行なうGPS受信機と一体化したサテライトナビゲーション装置の一部であってもよい。GO自体は、GSM又はデータ通信のために内蔵される他の携帯電話のチップセットを有する場合もある。ボイスコールを可能としてもよい。従って、上記の位置パラメータデータベースは、直ちに構築されうる。物理的に異なった位置(GPS固定位置データにより規定される位置)の携帯電話制御パラメータが、位置パラメータデータベースのその後の更新のために、その装置に格納される(格納は、例えば、インターネット通信されるPCと装置が結合することにより、又は携帯電話ワイヤレスネットワークを介して直接送信することによりなされる)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について、添付の図面を参照して説明する。
【0017】
ここでは、ネットーワークの加入者毎に携帯電話加入者位置のデータベースを構築し、保守し、検索するために、交通監視システムTMS(traffic monitoring system)の出力と、携帯電話ネットワークの制御情報とを組み合わせる方法及び装置の一実施形態について説明する。そのデータベースは、特定の携帯電話機の位置に関する明確な要求に応じて検索されうる。すなわち、この情報を取得する明確な必要性がある場合にだけ計算費用(computational overhead)を負う。
【0018】
交通監視システム(TMS)は、道路上を動く車両に正確な位置を絶え間なく供給する。車両は、起動状態にある携帯電話を(断続的に)運ぶ。携帯ネットワークで観察された携帯電話制御パラメータはデータベースに格納される。データベース(又は機能上同等の構成又は方法のもの、実施形態においてはこれらも’データベース’という用語の範疇とする)は、それら携帯電話を運んでいる車両と、車両に運ばれたそれら携帯電話とを関連付ける。その生成された車両位置情報は、携帯電話加入者の識別子を用いて、格納された携帯制御パラメータに関連付けられる。
【0019】
インデックスとしての機能を果たす携帯電話制御パラメータを含むデータベースが生成され、最新の携帯制御パラメータが与えられた携帯加入者は、このインデックスにより計算及び報告されたそれらの位置を持つことができる。加入者の位置の問い合わせは、動いていること又はTMSにより監視されていることを必要としない。
【0020】
好適な実施形態においては、携帯電話システムそれ自体が交通監視システムへの入力等に用いられる。この実施形態においては、TMSは、どの携帯電話が車両によって運ばれているかを、ネットワークを介してそれらの動きを監視することにより識別する。この場合、電話と車両とを関連付けるデータベースは、完全に絶対的であり、システムは、車両によって運ばれている全ての携帯電話を判断し、全ての携帯電話がTMSの出力に相互に関連付けられうる。
【0021】
別の実施形態においては、TMSは、車両がGPS(global satellite positioning system)受信機及び携帯電話を運ぶシステムであってもよい。GPSシステムは、今では極めて一般的なものである。例えば、トムトムインターナショナルBVからのGO個人ナビゲーション装置は、よく知られている装置である。携帯電話上のGPSから取得したコード化された車両の位置を通信することにより、車両の位置及び携帯電話パラメータは相互に関連付けられ、位置データベースが取得されうる。TMSは、上述したいかなる実施形態を組み合わせてもよい。
【0022】
(携帯電話システム)
携帯電話システムにおいては、加入者は端末(すなわち、携帯電話)を運ぶ。加入者が、コール又はテキストメッセージを開始又は受信する場合、端末と基地局(BTS:base transceiver station)との間で行なわれる無線通信は、現代のよく知られた光景である。電話する側と電話される側との間を通過するコード化されたメッセージが通信されるのと同じように、端末及び基地局は、加入者の動きにつれて、そのコールやそれが基地局間を通過するのを確実かつ効率良く支援するための大量の制御情報をそれら自身の間で通信する。この制御情報は、周辺の基地局の信号強度における情報を含んでもよいし、基地局から遠く離れた端末に基地局のタイムスロットに合わせるために通信を早くさせるべく指示するためのタイミングアドバンス情報を含んでもよいし、通信エラー割合等を含んでもよい。本実施形態ではこれらをまとめて、’携帯電話制御パラメータ’と称する(本実施形態においては’電話パラメータ’と略する)。
【0023】
本実施形態では、携帯電話制御情報のデータベース及びTMS交通監視システムの出力から位置データベースを自動的に構築及び更新する方法を提供する。この方法は、位置データベースの構築及び保守にかかるコストを削減し、結果として得られるデータベースの精度を向上する。このデータベースは、任意の特徴又は携帯電話制御情報のパラメータの組み合わせを位置情報へのキーとして用いるように構築されうる。本実施形態では、データベースについて2つの例を提供する。1つ目は、ゾーン内のサービングセル、タイミングアドバンス及びRFレベルの組み合わせを位置へのキーとして用いる。2つ目は、基地局からの携帯電話の相対的位置を計算するために同一の場所に配置された基地局の組からのRFレベルの割合を用いる。これら相対的位置の組は、携帯電話の位置を生成するのに三角測量される。上記2つの位置データベースの形式は新規ではないが、データベースの構築やクエリの問題は、これまで、位置データベース自身の形式を未解決にしていた。しかし、本実施形態による方法では、確実且つ正確な位置サービスを提供する位置データベースの構築や問い合わせ(query)の具体的な例が存在することが理解される。
【0024】
任意の選択された位置データベース技術では、適切な携帯電話制御パラメータが捉えられ、TMS(交通監視システム、後述する)より出力された、動いている車両の位置とが相互に関連付けられる。その結果として、位置データデースには、道路網における全ての位置について位置マッピングを示すデータが投入される。道路網がたいしてまばらでない場所では、これにより、携帯装置の位置を2、3百メートルの範囲内に特定するのに十分な密度の初期投入が、位置データベースに提供されることになる。明確な正確さは、選ばれた位置データベースの技術に依存するのと同様に、交通監視システム及び道路網に依存する。
【0025】
特定の位置に関する電話パラメータが発見されている場所では、拡大領域のためのパラメータは既知となるか、又は計算される。これは、例えば、割合データベース(下記参照)で使用される位置パラメータに依存する。割合データベースにおける割合は、任意の基地局からの半径上の全ての地点で同じになる。そのようにデータベースからそのような地点で与えられた割合(TMS及び電話パラメータを経由)は、全ての半径ラインのためにコード化する。RFレベルデータベースでは、TMSにより直接観察及び固定されている信号強度の場所以外の地点での信号強度を推定するために、その信号源からの距離につれて信号を減衰する比率の知識を適用することにより一定の補間が実行されうる。例えば、欧州委員会、デジタル移動無線トワーズフューチャージェネレーションシステム(Digiatal Mobile Radio Towards Future Generation System)1996を参照のこと。
【0026】
多くの場合、これら手段は、全ての地理的領域に渡るそのパラメータの有効な推定を用いて、十分に位置データベースを実現でき、それゆえに、高い質の位置サービスを提供する。TMSが、領域内の道路に沿って運転される車両で操作されるGPSに基づくナビゲーションを含むのであれば、位置データベースの品質は大きく向上されうる。これらの装置は、その装置自体(装置が携帯電話に組み込まれるGPSナビゲーション装置である場合)、又はその装置(例えば、ブルートゥース等のピコネットワークを介して接続される)で動作する携帯電話により、異なる位置を関連付ける極めて正確なデータを提供できる。GPSに基づくナビゲーション装置は、一層一般的になる。GPSナビゲーション装置から直接(データを送る能力がある場合)、又は接続される携帯電話を介してGPSが取得した位置データが送信されるにつれて、位置データベース自体が、GPSが取得した位置データと結合した携帯パラメータデータを含むことにより一層正確に構築される場合、GPS装置に何ら関係付けられない携帯電話の位置も、一層正確に決定されうる。
【0027】
図1は、典型的な一実施形態に係わる情報の流れの概要を示す概要図である。加入者15が所有する携帯電話1は、車両2内で起動状態(すなわち、スイッチが入っている、しかし通話中である必要はない)にある。携帯電話1は、制御パラメータ3(RF信号強度、タイミングアドバンス、送信エラー割合等)の連続的なストリームを携帯電話システム4とやりとりする。これらパラメータ又はこれらパラメータから導出されたデータが捉えられ、電話/車両相互関係データベース9(潜在的であってもよい)に向けて電話パラメータ6として送信される。TMS7は、電話/車両相互関係データベース9に向けて車両位置情報を送る。また、電話パラメータ6は、位置パラメータデータベース12、13に投入するために送信される。位置パラメータデータベース12、13は更に、車両位置情報8を受信する。したがって、位置パラメータデータベース12、13は、物理的に異なった位置を、物理的な位置がそれぞれ異なった電話パラメータに関連付けるデータで自動的に満たされる。携帯電話1は、GPS装置と一体化されるか、又はすぐ近くの装置から位置固定データを獲得できる場合、その位置固定データ16を位置パラメータデータベース12、13に送ることができる。
【0028】
位置パラメータデータベース12、13は構築されると、問い合わせを受け付けることが可能となる。これは、ネットワークにおける全ての携帯電話の電話パラメータ5を絶え間なく監視し、加入者データベースにこれら全てを絶え間なく送ることによりなされる。特定の携帯電話の位置を見つける明確な要求があるまで加入者データベースは処理を行なわない。
【0029】
(交通監視システム)
既に述べたように、TMS交通監視システム7は、起動状態にある携帯電話1を運んでいる車両2の車両位置情報を絶え間なく供給する。位置情報8及び電話パラメータ6は、位置データベースを生成するために、相互に関連付けられる。どのような形式のTMSも本構成に使用可能であるが、それ自体が携帯電話情報の基づくものを用いることが特に好都合である。このように、監視システム7の物理的な複雑さは軽減され、多くのソフトウェア基盤が共有されうる。
【0030】
交通上を動いている携帯装置は、それらの位置を計算するのに、静止している携帯装置より2つの利点を持つ。それらは道路網に制限され、それらはセル及びタイミングアドバンス区域を定期的に行き来する。高機能の交通モデルのアプリケーションでは、携帯の通話期間の間、特定の地理的位置のため、道路網における車両の配置を正確に生成する処理が行なわれる。この情報は、米国特許第6650948号明細書に記載されるように、道路ネットワークの交通状態の監視に使用される。米国特許第6650948号明細書に記載される内容を引用することによって、その内容をここに合体する。また、携帯装置は、GPSサテライトナビゲーションシステムが一体的に組み込まれていたり、また近距離範囲のワイヤレスネットワークにより通信できたりする。更に、携帯装置は、正確な配置の生成に使用され、そのデータを遠隔サーバに返すことができる。
【0031】
本実施形態の目的のために、当該加入者の追跡を中断したとき、又は提供するための十分に役立つ情報がある場合には定期的に、交通監視システム7は、追跡された各携帯加入者15に関する位置関連情報9を発行する。この情報は、携帯加入者15の一連の固定位置、及び各位置における時間を含む。道路セグメントに沿った補間により、そのシステムは、秒毎の頻度で固定値を生成することができ、位置データベースのための極めて正確な位置情報を処理に与える。
【0032】
その場合、例えば、交差点の後、2つに道路が徐々に分離していくような、車両のルートについて疑いが生じる場所では、交通監視システム7は、車両が選びそうなルートという観点から、可能な各ルート上の固定値に確率を付与する。位置データベース10は、そのような最適な方法でこれらの確率を自由に解釈する。或いは、位置データベース10は、位置を補間し、パラメータをその位置で格納するようにしてもよい。或いは、可能性のある両方の位置を格納し、自身で確率を付与してもよい。或いは、他の異なるアルゴリズムを適用してもよい。
【0033】
(携帯加入者位置データベース)
携帯加入者位置データベース10は、位置問い合わせサービスがなされるデータベースである。加入者データベース11、多数の位置パラメータデータベース12、13から構成される。これらのうち後者は、データベース管理者により制御される。位置データベースは、車両の位置についてのTMSからの報告を受信し、これら車両の位置を車両により運ばれる携帯電話の電話パラメータに関連付けることで、継続的に更新される。
【0034】
・加入者データベース
加入者データベース11は、加入者とネットワークとの間を経由した制御情報3から取得した携帯加入者パラメータの加工していないレコードを含む。これらのレコードは、全ての加入者のために保持され、要求されれば、加入者の位置に関する問い合わせを満足させるために必要とされる情報を提供する。
【0035】
加入者データデータベースの保守にかかるコストは低い。それは、レコードが該当の加入者の位置が問い合わせされるまで、いかなる処理も行なわれないためである。
【0036】
・位置パラメータデータベース
位置パラメータデータベース(LPDB)12、13は、位置データベースに関連する地理的領域に関する特定の位置パラメータを記録する。位置データベースは、1又は複数のLPDBを含んでもよい。位置データベース10を保守するためのLPDBの選択は、領域の地理的パラメータ、各位置を問い合わせるために利用できるコンピュータ処理能力、ネットワーク接続形態及び利用できる形態電話ネットワークの制御情報、等に少なくとも依存する。同一場所に配置されるシステムは、LPDBで使用される座標系や、LPDB内の適切な携帯電話制御パラメータのエンコーディングは、当該LPDBに独自のものである。
【0037】
本実施形態においては、LPDBのいくつかの例を記載する。
【0038】
(RFレベルLPDB)
GSM携帯電話に関する制御情報は、サービスを提供する、周辺の6個までの基地局に関して、電話で観察された信号強度を含む。信号強度は、基地局からの距離に応じて変化し、領域の接続形態、建物の存在やその他多くの要素で変わる。
【0039】
RFレベルLPDBでは、地理的領域はバケットと呼ばれる小さな四角形の一定サイズに細分される。バケット各々に対して、バケット内における車両の携帯電話と見なされるとすぐに、観察された信号強度の値がレコードに保持される。バケット内における信号強度の合成プロフィールが組み立てられる。
【0040】
位置問い合わせにおいては、位置の問い合わせをしている加入者の電話に関して最後の記録された信号強度プロフィールに最もよく一致するバケットが、当該加入者が位置するバケットとして返答される。
【0041】
図2は、異なった位置及び時間(s1,t1)、(s2,t2)における2つの車両の現在の位置の概要を示す図である(t1がt2と同じであってもよい)。図3は、車両各々(密な斜線で網掛けされたバケット)の位置及びすぐ近くのバケットの位置でのRFレベルの概要を示す図である。車両位置各々のために周辺の基地局(基地局1〜基地局7)7つ全ての信号強度が示される。バケットが持つ信号強度は、直接測られるものもあれば(疎な斜線で網掛けされたバケット)、補間されるものもある(縦線で網掛けされたバケット)もある。
【0042】
(LPDBの組み合わせ割合)
モバイルネットワークでは、単一の敷地で同一の場所に3つの基地局が配置されることが一般に行なわれている。これらの基地局は、囲まれた領域の120度セクタに各々の指向性を提供する。そして、いかなる対の基地局から携帯電話により観察されるRF信号強度の割合は、基地局からの距離で一定となり、基地局からの電話の相対的位置に強く依存する。その結果として、2対の同一場所に配置された基地局が電話から可視であれば、それの位置は正確に三角測量される。この機構は、Schreiner M.,Nikolai D.,A New Network−based Positioning Method for Location Services,2003、Proceedings 5th European Personal Mobile Communications Conference,pages162−168に記載されている。
【0043】
この場合、LPDBは、同一場所に配置された全ての基地局の対に関しての相対的位置に対するRFレベルの機能のコードから構成される。特定の位置で車両が観察されるときはいつでも、可視の、同一場所に配置された基地局の対から相対的位置が計算され、それらの信号強度の割合は、基地局の対に関する機能値の構築又は更新のために記録される。
【0044】
位置問い合わせ割合では、携帯電話により観察された最新のRFレベルに関して計算される。相対的位置は、LPDBにおける機能を用いて調べられ、2つの相対的位置は、携帯電話の位置、したがって加入者の位置を取得するために三角測量される。
【0045】
・位置問い合わせ
最後に、任意の携帯加入者の位置を携帯電話1を用いて発見するのに、上記のように構築された位置データベース10がどのように利用されるかを説明する。これまでは、主な演算処理コストは回避されてきたが、ここだけ、特定の加入者15の位置を演算処理するコストを受け入れる必要がある。それは、明確に要求されるからである。典型的には、LCDBにおけるパラメータの一致は、コストのかかる、不正確なマッチングや探索の少なくとも1つの計算を含む。図4は、問い合わせの流れを示す。この処理は、特定の加入者に関する明確な位置問い合わせにより開始される。以前のシステムとは違って、全ての加入者の問い合わせは自動的に行なわれない。これにより、加入者データベースを生成する計算のオーバーヘッドを安くできる。位置問い合わせ41が位置データベース10に送られると、位置データベース10は、全ての加入者の判断されている位置を捉える。位置データベース10は、その時間(典型的には、最も最近の記録)のその特定の加入者(すなわち、より厳密には加入者の携帯電話)の制御パラメータ(例えば、RFレベル、タイミングアドバンス等)の報告を要求するために、指示42を加入者データベース11に送る。その情報43が返される。そして、その情報は、位置パラメータデータベース12に問い合わせ44として送られ、位置パラメータデータベース12は、最も一致するのを探す。最も一致するのは、一意の位置に結び付けられる。そのとき、その位置は、位置データベース10から返っている。位置データベース10は、次に、探しているサービスがなんであろうと所与の時間に順々に加入者の位置46を提供する。サービスに返される位置は、典型的にはその加入者の既知の最新の確実な位置であるため、システムにおけるいくらかの待ち時間は必ずあるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】位置データベース構成における情報の流れの概略を示す図である。
【図2】交通監視システム(TMS)における車両の現在の位置を示す概略図である。
【図3】TMSにより車両1及び車両2が位置合わせされている場合に構築中の位置データベースの概略を示す図である。
【図4】加入者の位置の問い合わせに係わる流れを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の時間における携帯電話の物理的な位置を検出する方法であって、
(a)ネットワークにおける複数の携帯電話に関連する携帯電話制御パラメータから取得される、又はその値であるデータを加入者データベースに格納する工程と、
(b)異なる物理的な位置を携帯電話制御パラメータから取得される、又はその値であるデータに関連付けた位置データを位置パラメータデータベースに格納する工程と、
(c)加入者データベースにおける前記データを、所与の時間における携帯電話の前記位置を確立することを目的として解釈する工程であって、(i)前記携帯電話の位置の応答を生成するために、前記位置パラメータデータベースに実施する問い合わせとして前記データを用い、(ii)前記複数の携帯電話各々に関係する連続又はまとまりの要求の一部ではなく前記特定の携帯電話の位置を確立するための明確な要求がある場合にだけ前記問い合わせを実行する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記位置データの少なくともいくつかは、道路網における位置を前記携帯電話制御パラメータのいくつか又は全ての値に関連付け可能とする交通監視システムから取得される
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記位置データの少なくともいくつかは、測定から直接取得される
ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくともいくつかの位置データは、前記道路網におけるいくつか又は全ての道路を越えて広がっていく領域のために計算又は推論されたものである
ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記携帯電話制御パラメータから取得される、又はその値である前記データは、携帯電話ネットワークから獲得される
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記携帯電話制御パラメータから取得される、又はその値である前記データは、周辺の基地局のRF信号強度を含む
ことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記携帯電話制御パラメータから取得される、又はその値である前記データは、同一場所に配置された基地局の組からのRFレベルを含む
ことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記携帯電話制御パラメータから取得される、又はその値である前記データは、タイミングアドバンス情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記携帯電話制御パラメータから取得される、又はその値である前記データは、通信エラー比率を含む
ことを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記位置パラメータデータベースは、前記交通監視システムから報告を受信すると、連続的に又は定期的に更新される
ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項11】
前記問い合わせにより、前記問い合わせで指定される前記携帯電話制御パラメータと前記位置パラメータデータベースにおける前記携帯電話制御パラメータの間で最も近い相関関係のあるデータを見つけるための一致又は探索処理を開始する
ことを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記問い合わせに対する応答は、前記携帯電話の位置であり、前記位置は前記加入者データベースに格納される
ことを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記交通監視システムは、携帯電話に一体的に組み込まれたナビゲーション装置を有効にするGPSを含む
ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項14】
前記交通監視システムは、短距離ワイヤレスネットワークを介して携帯電話と通信するナビゲーション装置を有効にするGPSを含む
ことを特徴とする請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−505466(P2009−505466A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525639(P2008−525639)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002983
【国際公開番号】WO2007/017691
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508023271)アプライド ジェネリクス リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED GENERICS LTD
【住所又は居所原語表記】Pentlands Science Park, Penicuik, Midlothian EH26 0PZ, United Kingdam
【Fターム(参考)】