説明

投影装置

【課題】投影装置単体で投射光量を自動で調整することができる投影装置を提供する。
【解決手段】制御部70は、メモリ73内に記憶された投影輝度設定値を読み出して、撮像素子制御部及び撮像信号処理部55が処理した実際の輝度値と比較する。制御部70が、実際の輝度値が投影輝度設定値以上であると判断した場合、照明光源制御部15が、照明光源10への供給電流を−10%減少させる。これにより、照明光源10の照明光の強度が低下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を投影する投影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の投影装置における問題点として、画像が投影されるスクリーンの状態により、投影画像の画質が変化するということである。より具体的には、例えば銀幕などスクリーンの反射率が高い場合には、投影光の照度が高いと、スクリーン上の投影画像を鑑賞する者が見にくくなり、或いはスクリーン自体に変化がなくても外光が変化することにより、スクリーン上の投影画像を鑑賞する者が見にくくなる恐れがある。
【0003】
これに対し、特許文献1には、スクリーンの近傍に設けたセンサを用いて投射光の光量を検出し、センサの出力に応じて作業者が投射光量を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−199929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、別途センサをスクリーン近傍に設けなくてはならず、またセンサの出力を見ながら作業者が手動で投射光量を調整するため、調整に手間取るという問題がある。さらに、投影装置本体の向きが変わったり、スクリーンの位置が変わるなどして、投影装置とスクリーンとの相対的な位置関係に変化が生じた場合に、新たに投影される投影面の材質によっては反射率が顕著に変化して投影画像が見にくくなってしまうという問題が生じる。又、位置関係が変化しなくても、スクリーンの材質は、ホワイトタイプやマットタイプなどが用意され、反射率は高いものから低いものまで様々なものがある。しかし従来の方法、つまりスクリーン近傍にセンサを設ける方法では、本問題の解決には至らない。投影装置とスクリーンとの相対的な位置関係が変化した場合には、センサが設けられていない方向へ画像が投影されるとセンサによる検出ができなくなるし、あらゆる方向でのセンサ検出を可能とすることは無駄に装置が大型化、複雑化しコストアップにもつながる。一方、スクリーンの材質が異なる場合、少なくとも、検出側において、スクリーンのタイプが識別できないと適切な光量が調整行えないし、仮に識別できたとしても、そもそも多種あるスクリーンのタイプのデータを予め備えて個別の補正することは処理が煩雑となる。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、投影装置単体で投射光量を自動で調整することができる投影装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の投影装置は、
照明光源と、
前記照明光源から照射される光の照度を制御する照明制御部と、
前記照明光源からの光を画像信号に基づいて変調して反射させる反射型液晶素子と、
所定の偏光方向の光を反射させる偏光ビームスプリッタと、
光軸方向に移動可能となされ、前記反射型液晶素子により反射させられた変調光を投影する投影光学系と、
前記投影光学系を介して投影された投影画像を受光する撮像素子と、
基準光量を記憶したメモリとを有し、
前記照明制御部は、所定のタイミングで、前記照明光源から前記基準光量の照明光を実際の投影面に照射し、前記実際の投影面を撮像した前記撮像素子から得られた画像信号から求まる実光量と、前記基準光量とを比較して、その比較結果に基づき前記照明光源の照射光量の調整を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記投影光学系を介して投影された投影画像を受光する撮像素子を備えているので、前記照明制御部は、所定のタイミングで、前記照明光源から前記基準光量の照明光を実際の投影面に照射し、前記実際の投影面を撮像した前記撮像素子から得られた画像信号から求まる実光量と、前記基準光量とを比較して、その比較結果に基づき前記照明光源の照射光量の調整を行うことができ、これによりスクリーンの状態に関わらず、適切な投影画像を鑑賞できる。
【0009】
請求項2に記載の投影装置は、請求項1に記載の発明において、前記撮像素子から得られた画像信号から求まる実光量が、前記基準光量より大きいときは、前記照明制御部は、前記照明光源の照射光量を減少させることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の投影装置は、請求項1又は2に記載の発明において、前記撮像素子から得られた画像信号から求まる実光量が、前記基準光量より小さいときは、前記照明制御部は、前記照明光源の照射光量を増大させることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の投影装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記所定のタイミングとは、前記投影装置のパワーオン後、投影用の画像を表示する前であることを特徴とする。投影用の画像を表示する前に、前記照明光源から照射される光を自動的に調整することにより、常に見やすい投影画像を提供できる。
【0012】
請求項5に記載の投影装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記所定のタイミングとは、所定の操作キー部の操作時であることを特徴とする。これにより画像が投影された後、ユーザーの要求に応じて、前記照明光源から照射される光を自動的に調整することにより、見やすい投影画像を提供できる。
【0013】
請求項6に記載の投影装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記所定のタイミングとは、所定の投影時間経過時であることを特徴とする。長時間の投影により、窓から差し込む太陽光などが変化した場合など、前記照明光源から照射される光を自動的に調整することにより、見やすい投影画像を提供できる。
【0014】
請求項7に記載の投影装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記所定のタイミングとは、加速度センサの加速度感知時であることを特徴とする。前記投影装置に加速度センサを設けると、その検出により前記投影装置を動かしたことがわかる。前記移動装置を移動させた場合、スクリーンの状態が変化する可能性が高いので、前記照明光源から照射される光を自動的に調整することにより、見やすい投影画像を提供できる。
【0015】
請求項8に記載の投影装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記撮像素子は、前記反射型液晶素子と共役の位置に配置され、前記投影された画像を前記投影光学系及び前記偏光ビームスプリッタを介して撮像することを特徴とする。これにより前記投影光学系を撮像光学系として共有でき、投影装置の小型化を図れる。尚、かかる構成では、画像投影前に、ピント合わせのため投影光学系を合焦位置に移動させることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、投影装置単体で投射光量を自動で調整することができる投影装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る投影装置の主要構成部材の配置構成の一例を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る投影装置の制御の関係を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る投影装置の動作概略を示すフローチャートである。
【図4】投影面60を分割した状態を示す図であるが、投影面中の実線は仮想線である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1は、本実施の形態に係る投影装置1の主要構成部材の配置構成の一例を示す模式図である。なお、光学系及び主要構成部材を保持する保持部材や筐体及び電源等については省略してある。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る投影装置1は、照明光源10、集光光学系11、偏光変換素子12、偏光ビームスプリッタPBS、反射型液晶素子20、λ/4波長板41、投影光学系30、アクチュエータ31、光学系位置検知部32、撮像素子50で構成されている。60は投影面である。
【0020】
照明光源10は、例えば三色LED(例えば、赤色LED、青色LED、緑色LED、但し、白色LEDの出射光を三色に分解しても良い)が用いられる。尚、初期状態では、赤色LED、青色LED、緑色LEDは略1:1:1の光量比で発光するものとする。集光光学系11は、照明光源10から射出される光を略平行光に変換するものである。
【0021】
偏光変換素子12は、入射した光の光量を低下させずに特定の偏光に変換する光学素子である。例えば、図示のようにP偏光を透過する偏光分離膜12Pと、偏光分離膜12Pを透過したP偏光をS偏光に変換するλ/2波長板12aと、偏光分離膜12Pで反射したS偏光を、再度反射させて出射させるよう構成されたものである。
【0022】
偏光ビームスプリッタPBSは、所定の方向に直線偏光した光を反射させる反射面Rが斜面に形成された直角プリズムを貼り合わせたものである。これにより、偏光変換素子12を通過してきた所定の方向に直線偏光した光を反射させる。
【0023】
反射型液晶素子20は、LCOS(Liquid crystal on silicon)とも称されるマイクロディスプレイであり、シリコンチップの表面に直接液晶が載せられているものである。この反射型液晶素子20は、液晶層に対し駆動制御部から画像信号に応じた電圧が画素毎に印加され、液晶分子の配列を変化させること変調し、所望の画像を表示するものである。尚、反射型液晶素子20は、反転画像を表示し、短時間で赤色LED、青色LED、緑色LEDの出射光を順次切り換えながら、反射型液晶素子20に入射させることで、反転画像に対応した各色画像を時間軸上でずらせて反射させ、これによりスクリーン上でカラー画像を形成するものである。よって、赤色LED、青色LED、緑色LEDの駆動電流やデューティ比を変化させることで発光量又は発光時間を個々に調整すれば、色バランスを任意に変更できる(特開2007−79402号公報参照)。
【0024】
投影光学系30は、照明光源10で照明され、反射型液晶素子20から反射された画像を投影面60に結像させる機能と、投影面60に投影された画像を撮像素子上に結像させる。アクチュエータ31は、例えば、圧電素子、静電アクチュエータ等であり、投影光学系30を、ピントを合わせるために光軸方向に移動させるものである。光学系位置検知部32は、アクチュエータ31により移動させられた投影光学系30の位置を検出するものであり、アクチュエータ31の駆動と投影光学系30の移動量が1対1に対応する場合には省略してもよい。
【0025】
撮像素子50は、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の固体撮像素子である。この撮像素子50の撮像面は、反射型液晶素子20の画像表示面と、光学的に共役に位置に配置されている。
【0026】
以下、図1に示す投影装置1の作用を簡単に説明する。なお、以下の説明では、偏光変換素子12は上述のようにS偏光を出射するよう構成され、偏光ビームスプリッタPBSの反射面RはS偏光を反射するよう構成された例で説明する。
【0027】
照明光源10から射出された光束は、偏光変換素子12によりS偏光の光が透過され、偏光ビームスプリッタPBSに入射し、反射面Rで反射型液晶素子20の方向に反射させられ、反射型液晶素子20を照明する。
【0028】
反射型液晶素子20に入射した光は反射型液晶素子20で反射され、偏光ビームスプリッタPBSに再度入射する。反射型液晶素子20を構成する不図示の液晶層は、電圧が印加されると位相板として機能する。従って、反射型液晶素子20から射出する光のうち、電圧が印加された画素領域を透過した光はS偏光からP偏光に変換される。一方、反射型液晶素子20から射出する光のうち、電圧が印加されていない画素領域を透過した光はS偏光のままとなる。
【0029】
反射型液晶素子20で反射された光のうちP偏光の光は、偏光ビームスプリッタPBSに再度入射後、反射面Rを透過し投影光学系30によって投影面60に投影される。投影光学系30の前方にはλ/4波長板41が配置されており、P偏光の光は円偏光に変換されて投影される。なお、λ/4波長板41は偏光ビームスプリッタPBSと投影光学系30の間に配置されていてもよい。
【0030】
さらに、投影面60に投影された画像の反射光は、λ/4波長板41によりS偏光の光にされて投影光学系30を逆に通過した後、偏光ビームスプリッタPBSに入射し、反射面Rにより反射されて撮像素子50上にも画像が結像される。
【0031】
なお、照明光源10の光量が充分あるときは、偏光変換素子12を省略し、偏光ビームスプリッタPBSと撮像素子50の間にS偏光の光のみを透過させる偏光フィルタを配置した構成でもよい。又、光利用効率の向上や省電化を考慮すると、図1に示す構成が好ましい。また、照明光源10、偏光変換素子12については、照明光源側にλ/4波長板と反射面とを配置し、偏光変換素子を反射型偏光フィルムとして、反射型偏光フィルムを通過しないP偏光をリサイクルしてS偏光に変換して通過させるよう構成したものでもよい。
【0032】
図2は、本実施の形態に係る投影装置1の制御の関係を示すブロック図である。図2に示すように、投影装置1は各部を統括的に制御する制御部(CPU)70を有している。制御部70は、所定の動作プログラムを格納したメモリ(ROM)73から、動作プログラムを読み出し、制御部70内の作業領域に展開して各部の制御を行う。
【0033】
制御部70は、照明光源制御部15を介して照明光源10の光量等を制御する。制御部70と照明光源制御部15とで照明制御部を構成する。更に、制御部70は、反射型液晶素子駆動制御部25を介して反射型液晶素子20に画像信号に応じた電圧を画素毎に印加し画像を表示させ、また光学系位置検知部32からの情報を加味しつつ、アクチュエータ駆動制御部35を介しアクチュエータ31を駆動制御し、投影光学系30を光軸方向に移動させる。
【0034】
撮像素子制御部及び撮像信号処理部55では、制御部70からの信号に基づいて、撮像素子50の駆動及び撮像素子50で得られた画像に関するデータから投影像のピント状態の検出演算をおこなう。
【0035】
更に、制御部70にはユーザ操作のための操作キー部72が接続されており、該操作キー部72からの入力により動作の切り替え動作(後述する光量調整操作を含む)が行われる。また、外部インタフェース74は、外部機器との画像データの入出力に用いられる。
【0036】
リモコン制御部及び通信部75は、リモコン76との通信及びリモコン76からの入力を制御部70に伝達する。本願のような小型の投影装置は、小型のモバイル機器に搭載される場合が多いと考えられる。小型のモバイル機器では、操作キーで入力する際に、機器自体が振動する可能性が高く、振動すると投影像が大きく揺れるため、リモコン制御部及び通信部75とリモコン76を備えて、投影装置1の本体に触れずに操作できるよう構成されていることが好ましい。
【0037】
また、投影する画像データはフラッシュメモリ78に格納され、制御部70の信号に基づき、選択された画像データを送出する。
【0038】
加速度センサ77は、投影装置1が移動させられた動きを検知し制御部70に加速度データを送出する。なお、80は電池であり、電源回路81を介して各部へ電力が供給される。
【0039】
図3は、本実施の形態に係る投影装置1の動作概略を示すフローチャートである。以下、フローに従い説明する。
【0040】
まず、操作キー部72のパワースイッチをオンにすると、不図示のタイマがカウントを開始し、更にステップS101にて、システムの初期化が行われる。システムの初期化とは、例えば、各部の通電及び動作可能状態(故障の有無)の確認及び、投影光学系30を最適なピント位置に移動させるものである。
【0041】
次いで、ステップS102にて、メモリ73から投影輝度設定値(照明光源10の各色LEDの基準駆動電流及び基準デューティ比、但し色バランスは略1:1:1とし、以下同様)及び基準光量を読み出す。かかる投影輝度設定値は、工場出荷時に記憶された既定値(基準白色スクリーンに対して投影された画像が最も見やすい値)であるが、ユーザーが任意に変更しても良い。また、基準光量とは、照明光源10の投影輝度設定値で光量調整用画像(白一色)を基準白色スクリーンに投影し、かかる基準白色スクリーンを撮像素子50により撮像して得られた画像信号から求まる光量であり、個々の投影装置1毎に記憶されているものとする。
【0042】
更に、ステップS103にて、照明光源制御部15は、基準駆動電流及び基準デューティ比で照明光源10を発光させ、またステップS104で、反射型液晶素子20に光量調整用画像(白一色)を表示させるので、光量調整用画像が実際の投影面60に投影されることとなる。
【0043】
このとき、ステップS105で、撮像素子50が投影面60に投影された画像を撮像し、撮像信号に変換して出力する。かかる撮像信号を、撮像素子制御部及び撮像信号処理部55が処理して、実際の受光量(実光量:ここでは輝度値)を出力する。
【0044】
続くステップS106で、制御部70は、照明光量が最大(即ち駆動電流及びデューティ比が調整幅の最大)か否か判断すると共に、メモリ73内に記憶された投影輝度設定値に対応する基準光量を読み出して、撮像素子制御部及び撮像信号処理部55が処理した実際の受光量と等しいか否か(即ち撮像素子50から得られた画像信号の値が所定範囲か否か)を判断する。尚、「等しい」とは、両者の差が±2%以内である場合をいう。
【0045】
制御部70が、投影光量が最大でなく、且つ実際の受光量が基準光量と等しくないと判断した場合、ステップS107で、更に実際の受光量と基準光量との大小差を判別し、実際の受光量が大きいと判断すれば、ステップS108で、制御部70は、照明光源制御部15を介して、照明光源10へ供給する駆動電流(或いはデューティ比)を−1%と減少させる。これにより、照明光源10の照明光の強度が低下する。一方、実際の受光量が小さいと判断すれば、ステップS109で、制御部70は、照明光源制御部15を介して、照明光源10へ供給する駆動電流(或いはデューティ比)を+1%と増大させる。これにより、照明光源10の照明光の強度が増大する。
【0046】
その後、フローはステップS105に戻り、同様にして、撮像素子50の撮像により新たな受光量を得るので、更にステップS106で、制御部70が投影光量が最大か否か判断すると共に、実際の受光量と基準受光量とを比較する。
【0047】
以上を繰り返して、制御部70が、実際の受光量が基準光量と等しくなったか、或いは投影光量が最大となりもはや調整ができなくなったと判断した場合、ステップS110で、反射型液晶素子20は、光量調整用画像表示を消去し、フラッシュメモリ78から選択して読み出した投影用画像の表示に切り替える。これにより、投影面60には、最初の投影から適切な輝度の投影画像が得られる。
【0048】
その後、ステップS111で、操作キー部72のパワースイッチがオフの場合には、制御部70が投影を終了するが、そうでなければ、ステップS112へと進み、操作キー部72の調整スイッチがオンになっていないか判断する。条件によっては、投影画像を鑑賞中に見にくくなる場合もあり、かかる場合、ユーザーが操作キー部72の調整スイッチをオンすることで、照明光量の自動調整が行われるのである。
【0049】
より具体的には、制御部70が、操作キー部72の調整スイッチがオンになっていると判断すれば、フローはステップS104に戻り、反射型液晶素子20に光量調整用画像(白一色)を表示させた後、ステップS105〜S109の動作を行って、照明光量の自動調整を行い、ステップS110で再び画像を投影する。制御部70が、操作キー部72の調整スイッチがオンになっていないと判断すれば、フローはステップS113へと進む。
【0050】
ステップS113では、制御部70が、加速度センサ77から閾値より大きな信号(投影装置にあるレベル以上の動きや振動や衝撃が生じた場合に検知)を入力したか否か判断する。例えば画像投影中に、ユーザーが投影装置を移動させた場合、加速度センサ77から閾値より大きな信号が入力されるが、このとき入力投影面60の位置が変わったものと推定できる。投影面60の位置が変わると、反射率も大きく変わる恐れがあり、場合によっては投影画像を見にくくなる場合もある。そこで、このような場合には、制御部70が照明光量の自動調整を行うのである。
【0051】
より具体的には、制御部70が、加速度センサ77から閾値より大きな信号を入力したと判断すれば、フローはステップS104に戻り、反射型液晶素子20に光量調整用画像(白一色)を表示させた後、ステップS105〜S109の動作を行って、照明光量の自動調整を行い、ステップS110で再び画像を投影する。制御部70が、加速度センサ77から閾値より大きな信号を入力しないと判断すれば、フローはステップS114へと進む。
【0052】
ステップS114では、制御部70が、不図示のタイマのカウント値に基づき、パワーオンから所定時間が経過したか否か判断する。例えば、画像投影中に投影画像の自然な色合いを重視してスクリーンを反射率の低いホワイトタイプ(拡散型)から、外光に強い反射率の高いパールタイプ(反射型)又はビーズタイプ(回帰型)のスクリーンに(或いは、その逆へ)変化させたことより、投影画像を見にくくなる場合もある。そこで、このような場合には、制御部70が照明光量の自動調整を行うのである。
【0053】
より具体的には、制御部70が、パワーオンから所定時間が経過したと判断すれば、フローはステップS104に戻り、反射型液晶素子20に光量調整用画像(白一色)を表示させた後、ステップS105〜S109の動作を行って、照明光量の自動調整を行い、ステップS110で再び画像を投影する。尚、タイマのカウント値は、照明光量の自動調整を行った時点でリセットされる。制御部70が、パワーオン(又は先の自動調整)から所定時間が経過しないと判断すれば、フローはステップS110へと戻る。
【0054】
尚、撮像素子50は、実際の受光量を得るために、必ずしも投影面60の全体を撮像する必要はない。例えば、図4に示すように投影面60を5分割した場合、中央の投影領域60aの調整用画像を撮像しても良い。或いは、中央の投影領域60aの撮像信号と、周囲の投影領域60b〜60eの画像信号とを重み付けして用いても良い。更には、いずれの投影領域からの画像信号を用いるか、操作キー部72を介してユーザーが選択できるようにしても良い。投影面60の分割数、形状は任意である。
【符号の説明】
【0055】
1 投影装置
10 照明光源
11 集光光学系
12 偏光変換素子
15 照明光源制御部
20 反射型液晶素子
41 λ/4波長板
25 反射型液晶素子駆動制御部
30 投影光学系
31 アクチュエータ
32 光学系位置検知部
35 アクチュエータ駆動制御部
60 投影面
70 制御部(CPU)
72 操作キー部
73 メモリ
74 外部インタフェース
75 リモコン制御部及び通信部
76 リモコン
77 加速度センサ
78 フラッシュメモリ
80 電池
81 電源回路
PBS 偏光ビームスプリッタ
R 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光源と、
前記照明光源から照射される光の照度を制御する照明制御部と、
前記照明光源からの光を画像信号に基づいて変調して反射させる反射型液晶素子と、
所定の偏光方向の光を反射させる偏光ビームスプリッタと、
光軸方向に移動可能となされ、前記反射型液晶素子により反射させられた変調光を投影する投影光学系と、
前記投影光学系を介して投影された投影画像を受光する撮像素子と、
基準光量を記憶したメモリとを有し、
前記照明制御部は、所定のタイミングで、前記照明光源から前記基準光量の照明光を実際の投影面に照射し、前記実際の投影面を撮像した前記撮像素子から得られた画像信号から求まる実光量と、前記基準光量とを比較して、その比較結果に基づき前記照明光源の照射光量の調整を行うことを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記撮像素子から得られた画像信号から求まる実光量が、前記基準光量より大きいときは、前記照明制御部は、前記照明光源の照射光量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記撮像素子から得られた画像信号から求まる実光量が、前記基準光量より小さいときは、前記照明制御部は、前記照明光源の照射光量を増大させることを特徴とする請求項1又は2に記載の投影装置。
【請求項4】
前記所定のタイミングとは、前記投影装置のパワーオン後、投影用の画像を表示する前であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の投影装置。
【請求項5】
前記所定のタイミングとは、所定の操作キー部の操作時であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の投影装置。
【請求項6】
前記所定のタイミングとは、所定の投影時間経過時であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の投影装置。
【請求項7】
前記所定のタイミングとは、加速度センサの加速度感知時であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の投影装置。
【請求項8】
前記撮像素子は、前記反射型液晶素子と共役の位置に配置され、前記投影された画像を前記投影光学系及び前記偏光ビームスプリッタを介して撮像することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の投影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−68361(P2012−68361A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211985(P2010−211985)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】