説明

抗菌組成物

本発明はメチルグリオキサールと(マヌカハニーの如き)メチルグリオキサールを含有する物質を含有する抗菌組成物を提供する。メチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサールが存在する物質の抗菌活性はメチルグリオキサール含有する物質とシクロデキストリンを混合することにより維持及び/又は高められる。粉末組成物を含むその様な組成物を調整する方法及びその様な組成物を用いる方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗菌組成物に関する。特に本発明はメチルグリオキサール及びシクロデキストリンを含有する抗菌物質に関して、メチルグリオキサールが存在する一種あるいはそれ以上の物質とシクロデキストリンを含有する一種あるいはそれ以上の物質を含有する抗菌組成物に関する。特にメチルグリオキサールを含有する一種あるいはそれ以上の物質としてのマヌカハニーとシクロデキストリンより成る抗菌組成物を特徴とする。
【背景技術】
【0002】
「マヌカハニー」はニュージーランドの至る所に生育するマヌカの低木の茂み(Leptospennum scoparium)からの花蜜を集めるミツバチにより作り出される自然のハチミツである。同種のものは又オーストラリアにも見出され、そこでは「ジェリーブッシュハニー」の様な異なった名前で知られている。それは熱、光、胃酸、酵素等の存在で安定性を示す活性成分を含有する。マヌカハニーは黄色ブドウ球菌、ヘリコバクターピロリ及び大腸菌、その他の生育を阻止すると報告されている(J. Roy. Soc. Med. 1994;87:9-12.)。
【0003】
マヌカハニー中に存在する抗菌成分の同定は困難で、そしてUnique Manuka Factor(UMF)としてあるいは非過酸化物活性(NPA)として言及されてきた。この抗菌活性は、全てのハチミツにおいて報告されている過酸化水素によると信じられている不安定な抗菌活性に加えて、マヌカハニー中に存在する抗菌活性である。最近、メチルグリオキサールが主要なマヌカ特有の抗菌成分であると報告されている(MoI. Nutr. Food Res. 2008 Apr; 52(4) 483-489.)。
メチルグリオキサールは、その抗菌活性より、食品添加物や内服液に使用するための洗浄用水溶性剥離液や工業用殺菌剤等の有効成分の1つとして用いられている(例えば、特開2008-7408号公報及び特開平8-239693号公報参照)。
【0004】
天然に産生されるメチルグリオキサールは牛肉並びにワインの様な酪農製品及び発酵製品中に3から1mg/kgの濃度で、焙煎コーヒー中に23から47mg/kgの濃度でそしてマヌカハニー中に38から761mg/kgの濃度で含有されていると報告されている。
【0005】
それ故、この高い抗菌活性で、マヌカハニーを局所使用により黄色ブドウ球菌により引き起こされる皮膚及び創傷感染の治療の為に、あるいは摂取によりヘリコバクターピロリにより引き起こされる十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃癌その他の治療の為に用いることができると期待されてきている。しかしながら、マヌカハニーが効力を発揮するためには、頻繁の塗布あるいは摂取が必要である。これ等や他の適用の為に、抗菌活性が好ましくは長い期間維持される製品及び組成物を有することが望まれていた。
【0006】
従って、抗菌活性が関係し、又は関わっているさまざまな疾病あるいは疾患の治療での使用に適し、及び抗菌活性を維持しあるいは抗菌活性を増大させることができる微生物菌体数をコントロールするのに適した抗菌組成物が必要とされている。
【0007】
安定な抗菌組成物を含む抗菌組成物を提供するあるいは少なくとも一般の人々に有用な選択肢を提供することが本願の発明の目的である。
【発明の開示】
【0008】
従って、最初の見地から、本発明はメチルグリオキサールとシクロデキストリンよりなる抗菌組成物を提供する。一つの具体例では、抗菌組成物はメチルグリオキサールを包含する一種あるいはそれ以上の物質より成る。
一つの実施形態では、メチルグリオキサールを包含する物質はマヌカハニーである。
【0009】
一つの具体例ではマヌカハニーは約30mg/kgより、約 38mg/kgより、約 40mg/kgより多い、約 50mg/kg、 約 60mg/kg、 約 70mg/kg、 約80mg/kg、 約90mg/kg、 約100mg/kg、 約150mg/kg、約 200mg/kg、 約 250mg/kg、約 300mg/kg、 約 350mg/kg、 約400mg/kg、 約 450mg/kg、約 500mg/kg、約550mg/kg、約600mg/kg、約650mg/kg、 約 700mg/kg、約750mg/kg、約800mg/kg、約 850mg/kg、約 900mg/kg、約 950mg/kg,約1000mg/kgより多い、約1100mg/kgより多い,約1200mg/kgより多い、 約1300mg/kgより多い、 約 1400mg/kgより多い、 約1500mg/kgより多い, 約 1600mg/kgより多い、 約1700mg/kgより多い、 約1800mg/kgより多い、 約1900mg/kgより多い、あるいは約 2000mg/kgのメチルグリオキサール濃度を有する。
【0010】
一つの具体例では、10より、15より、20より、 25、 26、 27、 28、 29、 30より、 31、 32、 33、34よりあるいは35より大きいNPA値を有している。
いくつかのの実施形態では、シクロデキストリンはα-シクロデキストリン、あるいはシクロデキストリンはγ-シクロデキストリン、あるいはシクロデキストリンはα-シクロデキストリンとγ-シクロデキストリンの組合せとして存在する。
【0011】
一つの具体例では、シクロデキストリンが化学的に修飾されたシクロデキストリンである。
一つの具体例では、組成物は約10%から約90%重量のマヌカハニーより成る。
幾つかの具体例では、組成物は約0.003%wt から約0.2 %wtのメチルグルオキサール、 約 0.003%wt から約0.15 %wtのメチルグルオキサール、約 0.006%wt から0.15 %wt のメチルグルオキサール、約0.01 %wt から約0.15 %wt、約0.02%wtから0.15 %wt、 約0.03%wt から約0.15 %wt、 約0.04%wt から約 0.15 %wt、約 0.05%wt から約0.15 %wt、 約0.06%wtから約0.15 %wt、 約0.07%wt から約0.15 %wt、約 0.08%wt から約 0.15 %wt、あるいは約 0.09%wt から0.15 %wtのメチルグリオキサールより成る。
【0012】
一つの具体例では、メチルグリオキサール含量は抗菌組成物当たり0.006%wt から 0.079 %wtの範囲内である。
ある実施形態では組成物は一般消費者向け商品である。
一つの具体例では、組成物は食物、飲料、食品添加物、飲料添加物、健康補助食品、栄養製品、医療用食品、栄養補助食品、薬剤あるいは医薬品である。
幾つかの具体例では、組成物は経口、局所あるいは非経口投与の為に処方設計されても良い。
一つの具体例では、組成物は一種あるいはそれ以上の追加の抗菌材を包含する。
【0013】
一つの具体例では、組成物は医薬品組成物である。
一つの具体例では、組成物は、殺菌剤、洗浄剤及び外科用シート、包帯、被覆材及び同様の物を含めた医療用具あるいは医療用品であるかあるいはそれ中に存在している。
一つの具体例では、組成物洗浄用あるいはスケール除去用の溶液のような工業用溶液を含む工業製品である。
第2番目の側面では、本発明はマヌカハニーとシクロデキストリンより成る抗菌組成物を提供する。
【0014】
他の側面では、現在の本発明はメチルグリオキサールとシクロデキストリンより成る組成物を調整する方法、メチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサールより成る物質あるいは両者を、シクロデキストリンあるいはシクロデキストリンより成る物質あるいは両者と混合することから成る方法を提供する。
一つの具体例では、混合物はメチルグリオキサールとシクロデキストリンあるいはシクロデキストリンを含有する物質あるいは両者の粉末物質から成る。
一つの具体例では、混合物はシクロデキストリンと共に粉末化されたマヌカハニーより作られている。
【0015】
一つの具体例では、凍結乾燥、噴霧乾燥、脱水、その他の様な粉末化に先だってあるいはその途中でマヌカハニーを乾燥する予備的工程を含む。
他の具体例では、凍結乾燥、噴霧乾燥、脱水、その他の様な混合物を乾燥する追加の工程を含む。
一つの具体例では、方法は乾燥された混合物を粉末化する更なる工程を含む。
一つの具体例では、方法は乾燥された混合物を顆粒化するあるいは粉末化された混合物を顆粒化する更なる工程を含む。
一つの具体例では、方法は乾燥された混合物を錠剤化あるいはカプセル化する、あるいは粉末化された混合物を錠剤化あるいはカプセル化する、あるいは顆粒化された混合物を錠剤化あるいはカプセル化する更なる工程を含む。
【0016】
他の側面では、本発明は、メチルグリオキサール及びシクロデキストリンより成る組成物を必要とする患者に投与することにより、微生物疾病あるいは疾患を治療するあるいは予防する方法を提供する。
他の側面では、本発明は、メチルグリオキサール及びシクロデキストリンより成る組成物を、必要とする患者に投与することより成る創傷治癒を促進する方法を提供する。
幾つかの具体例で、組成物は、例えば創傷あるいは周囲の組織に局所的に適用することにより創傷に直接利用されても良いし、あるいは例えば包帯、被覆、外科用備品あるいは同様の物への利用により、間接的に創傷に利用されても良い。
【0017】
更なる側面で、本発明は一種あるいはそれ以上の微生物をコントロールする方法を提供し、その方法は一種あるいはそれ以上の微生物をメチルグリオキサール及びシクロデキストリンよりなる組成物と接触させることよりなるものである。
更なる側面で、本発明は、生物であろうと無生物であろうと、基質上であるいは基質中に存在する一種あるいはそれ以上の細菌を管理する為の方法で、一種あるいはそれ以上の微生物あるいは基質を、メチルグリオキサール及びシクロデキストリンより成る組成物と接触させることよりなる方法である。
【0018】
他の側面では、本発明は微生物による疾病あるいは疾患の治療に於いて使用に適した薬剤の調製にメチルグリオキサール及びシクロデキストリンの使用を提供する。
他の側面では、本発明はそれを必要とする患者の創傷治療促進使用に適した薬剤の調整にメチルグリオキサールとシクロデキストリンの使用を提供する。
一つの具体例で、メチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサールより成る物質及びシクロデキストリンの混合物より成る物質が用いられる。本発明は更に微生物による疾病あるいは疾患の治療の為にメチルグリオキサール及びシクロデキストリンを提供する。
【0019】
本発明はそれを必要とする患者の創傷治療を促進する為にメチルグリオキサールとシクロデキストリンを更に提供する。
【0020】
本明細書で言及されている数値範囲(例えば1から10)は又、その数値範囲内の全ての有理数(例えば1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)そして又その数値範囲内のあらゆる有理数の範囲(例えば2から8、1.5から5.5そして3.1から4.7)についての言及を包含することが意図され、そしてそれ故に、この明細書に明確に開示されている全ての数値範囲の全ての下位範囲がこの明細書に明確に開示されている。
これは具体的に意図されているものの例にすぎず、列挙されている最低値と最高値の間の全ての可能な数値の組合せが、同様に、本願に明確に開示されていると考えられるべきである。
【0021】
この明細書において、特許文献、非特許文献あるいは他の情報源の引用は、一般的に、発明の特徴を議論する為の背景を提供することが目的である。
特に断り書きがない限り、その様な外部文献の引用は、当該文献あるいは情報源が、如何なる司法権に於いても、先行技術であること、あるいは当該技術分野に於ける共通した一般的な常識を構成するものであることを認めたものとして解釈されるべきでない。
【0022】
この発明は、本願明細書中に言及あるいは開示されている、個々の又は集合としての部分、要素及び特徴点から構成されていると大まかに言うこともでき、2つ以上の前記部分、要素及び特徴点のいずれの又は全ての組み合わせでもよい。そして、本明細書中に特定の事項が言及されており、本発明の関連技術分野でその事項と等価であると知られる事項がある場合には、その様な公知の等価事項も個々に明記されているものとして本明細書に組み入れられると考える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】抗菌組成物Aの黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性が示されている(試験結果) ◆対照;■αCD(4.0w/v %);▲ マヌカハニー(3.27w/v %);×抗菌混合物A(マヌカハニー0.82w/v%、αCD1.0w/v%);*抗菌混合物A(マヌカハニー1.64w/v%、αCD2.0w/v%);●抗菌混合物A(マヌカハニー3.27w/v%、αCD4.0w/v%);+抗菌混合物A (マヌカハニー7.14 w/v%, αCD 8, 7w/v%).
【図2】抗菌組成物Aの黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性が示されている(試験結果)◆対照;■αCD(4.0w/v %);▲マヌカハニー(3.27w/v %);×抗菌混合物A(マヌカハニー3.27w/v%、αCD4.0w/v%);* 抗菌混合物A (マヌカハニー7.14 w/v%, αCD 8, 7w/v%).
【図3】抗菌組成物Bの黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性が示されている(試験結果)◆対照;■γCD(4.0w/v %);▲マヌカハニー(3.27w/v %);><抗菌混合物B(マヌカハニー0.82%、γCD1.0w/v%);*抗菌混合物B(マヌカハニー1.64%、γCD2.0w/v%);●抗菌混合物B(マヌカハニー3.27%、γCD4.0w/v%)。
【図4】抗菌組成物A及び抗菌組成物溶液E及びFの黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性が示されている(試験結果)◆対照;■マヌカハニー(7.14w.v%);▲MGO ハニー粉末(7.14w/v%);×抗菌活性混合物A(マヌカハニー7.14w/v%、α-CD8.7w/v%);*抗菌活性混合物A(マヌカハニー3.27w/v%、α-CD4.0w/v%);●抗菌混合物溶液E(MGOハニー7.14w/v%、α-CD8.7w/v%);+抗菌混合物溶液F(MGOハニー7.14w/v%、α-CD8.7w/v%)。
【図5】抗菌組成物A及び抗菌組成物溶液C及びDの黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性が示されている(試験結果)◆対照;■マヌカハニー(7.14w/v%);▲抗菌混合物A(マヌカハニー7.14%、αCD8.7w/v%);×抗菌混合物(マヌカハニー3.27%、αCD4.0w/v%)+αCD4.0 w/v%;●抗菌混合物溶液C(マヌカハニー3.27w/v%、αCD4.0w/v%)+αCD4.0w/v%)+マヌカハニー3.27w/v%.
【発明の詳細な説明】
【0024】
本発明は、例えば、メチルグリオキサールより成る物質とシクロデキストリンより成る物質を混合し、そして粉末化して混ぜ合わせることにより、元の物質の抗菌活性が少なくとも保たれるあるいは高められることの発見に基づいている。
【0025】
このようにして、この発明の抗菌組成物は元のメチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサールを含有する物質の抗菌活性を維持するあるいは高める。
従って、抗菌活性組成物が哺乳類の患者への投与に適するよう製剤化され、例えばそれらが人体に対し安全な物質より成るならば、それらは医薬品組成物、薬剤及び類似物のみならず、飲料、食物及び類似物のような抗菌活性を有する一般消費者向け商品を製造するのに使用し得る。
【0026】
メチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサール含有物質の抗菌活性が本発明の組成物で一定の継続期間維持されるので、組成物の投与の用量あるいは頻度を減少し得るかあるいは効率が高められるかあるいは両方である。
そして更に本発明の他の具体例は、例えば組成物が工業的に使用可能なあるいは受け入れられる物質よりなる場合、工業的使用の為に製剤化された抗菌組成物を提供する。
【0027】
その様な組成物は、工業に於ける冷却水あるいは洗浄水用の殺菌剤の如き工業製品として、あるいは当業者に知られた様々な工業プロセスで使用できる。
本発明の「抗菌組成物」あるいは「抗菌活性を有する組成物」(ここに於いては殆ど同じ意味で使用される)の表現は、抗菌組成物がメチルグリオキサールとシクロデキストリンを含有する抗菌組成物あるいはメチルグリオキサールを含有する物質とシクロデキストリンを含有する抗菌組成物である限り、如何なる種類の組成物も意図する。
【0028】
メチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサールを含有する物質の元の抗菌活性を維持あるいは高める組成物が特に意図されている。用語の「及び/又は」は「及び」あるいは「又は」を意味し得る。
【0029】
本明細書中で用いられる「含有している」は「少なくとも一部がそれを包含している」ことを意味する。その用語を含むこの明細書中の記述を解釈する時、各々の記述中でその用語により始められる特徴は、全てが存在する必要があるが他の特徴も又存在し得る。
【0030】
「包含する」及び「包含されている」の如き関連した用語は同様に解釈される。
本明細書中で用いられている「コントロール」あるいは「コントロールする」の用語は一般的に微生物感染を予防する、減ずるあるいは根絶するあるいはその様な感染の割合及び程度を阻害する、体あるいは組織、表面、液体、患者、その他の内あるいは上に存在する細菌の数を減ずることを含む、そこでは感染あるいは数のその様な予防あるいは減少が処理されない感染あるいは数に関して統計的に有意である。
【0031】
治療処置が又意図される。好ましくはその様なコントロールが細菌数の殺菌率向上により成し遂げられる。効果的な量は治療的効果を与えるに必要な量である。
動物とヒトに対する投与量の相互関係(体表面積の平方メートル当たりのミリグラム数に基づいて)はFreireich等により述べられている(1996)。
体表面積は被験者の身長と体重からほぼ決定出来る(例えばScientific Tables, Geigy Pharmaceuticals, Ardley, New York, 1970, 537を参照)。
効果的投与量は又、当業者によって認められている如く、投与ルート、賦型剤の使用及び同様のことによって変化する。
【0032】
本発明で用いられる医療用具は、それに制限されないが例えば人あるいは動物宿主の中へあるいはその上へ一時的にあるいは恒久的に埋め込まれる如何なる器具も含み、例えばステント、バルーン、人工装具の心臓バルブ、弁形成リング、グラフト、シャント、シリコンあるいはポリウレタンインサートを有するソーイングリング、ポリエステル繊維エンケースメント、ステント、メディカルリード、オルソペディックプレート、カテーテル、ペースメーカー、縫い合わせ線、そして/又は前述の医療用具のいずれかの一つあるいはそれより多い物は、例えばシース、エンケースメント、レイヤーあるいはコーティングを含む如何なるタイプの繊維オーバーレイヤーを含むことが出来、その繊維オーバーレイヤーは体の組織あるいは血液の如き体液と接触する。
【0033】
あるいは、繊維オーバーレイヤーを含む医療用具の代わりに、医療用具は、血管内の目標とする場所、管腔内の目標とする場所、固体組織内の目標とする場所及び同様の場所を含む目標とする場所に置かれるあるいはインプラントされ得るメッシュ、コイル、ワイヤ、インフレータブルバルーン、ビーズ、シートあるいは如何なる他の構造物も含んでも良い。
【0034】
外科創傷のような創傷でのインプランテーションが特に意図されている。
「医療用品」及びここに用いられる文法的に同等な物は、これに限らないが例えば医療活動で一般的に使用される如何なる消耗品も含み、例えば殺菌剤、消毒剤、洗浄剤、溶液、被覆材、包帯及び同等の物である。
【0035】
本明細書では、「微生物による疾病あるいは疾患」は一種あるいはそれ以上の細菌により引き起こされるあるいは悪化される疾病あるいは疾患を意味し、一つあるいはそれより多い症状が一種あるいはそれ以上の細菌により引き起こされるあるいは悪化される疾病あるいは疾患を含む。
【0036】
本明細書で、「マヌカハニー」は、flora oiljeptospennum spp、特にマヌカの低木の茂み(Leptospennum scoparium)の花蜜からミツバチにより作り出されるハチミツを意味する。
【0037】
他のハチミツでメチルグリオキサール濃度が約15mg/kg以上、好ましくは約30mg/kg以上、より好ましくは約60mg/kgを含有すれば、本発明と同様に使用に適していると考えられる。
これはLeptospennum種及び他の種の両者からミツバチにより集められた花蜜から作られたハチミツでもよいか、あるいは望まれるようなメチルグリオキサール含量を供給する種からのハチミツでもよい。
あるいはメチルグリオキサールを加えられたハチミツ(マヌカであろうとあるいはそうでないものであろうと)が意図される。
【0038】
本発明の組成物あるいは本発明の組成物の成分のような抗菌活性を有する化学物質については、「抗菌活性を有する」との語句及び文法的に同等なもの及びその派生語が用いられる時、その化学物質が依然として有用な抗菌活性を有するということを意味する。
【0039】
好ましくは、保持される活性は最初の活性の少なくとも約35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 99 あるいは100%でありそして有用な範囲はこれ等の値の間から選択されても良い(例えば、約35から約 100%、約 50から約 100%、約60から約 100%、約70 から約100%、約80 から約100%、そして約 90 から約100%)。
【0040】
例えば、現在の発明で有用である為に、組成物は抗菌活性を保持すべきであり、即ち、少なくとも最初の抗菌剤、例えばメチルグリオキサールを含有する物質の約35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 99あるいは 100%の抗菌活性を保持すべきである。
同様に、発明の好ましい組成物はそれらが包含する抗菌剤の有用な抗菌活性の維持を支えることができて、そして抗菌活性を、理想的にはここに考えられる方法を用いて適用される迄保持できるといえる。
発明の組成物あるいは発明の組成物の成分に関して「抗菌活性を増大させるとの語句及び文法的に同等な語句及びその派生語が用いられる時、組成物中に存在する時、抗菌物質の同等量あるいは濃度が、組成物が存在しない場合(分離された抗菌剤の如く)の抗菌剤の抗菌活性に比較してそれを増大させたことを意味する。
【0041】
好ましくは、高められた活性は最初の活性の少なくとも約105, 110, 115, 120, 125, 130, 135, 140, 145, 150, 155, 160, 165, 170, 175, 180, 185, 190, 195, 200%,あるいはそれ以上であり、そして有効な範囲はこれ等の値のいずれかから選ぶことができる(例えば、約35から約 100%、約50から約 100%、約60から約 100%、約70 から約100%、約 80 から約100%そして約 90から約 100%)。
ある具体例では、発明の組成物は高められた抗菌活性を示すことができ、即ち、最初の抗菌物質、例えばメチルグリオキサール存在より成る物質の抗菌活性の少なくとも約105, 110, 115, 120, 125, 130, 135, 140, 145, 150, 155, 160, 165, 170, 175, 180, 185, 190, 195, 200%あるいはそれ以上を示すことよができる。
【0042】
同様に発明の好ましい組成物はそれらが包含する抗菌剤の高められた抗菌活性の維持を担保できるそして、好ましくはここに考慮された方法を用いて適用される迄高められた抗菌活性を保持できるといえる。
高められた活性(活性の高められた維持を含む)は発明の組成物の種々の構成成分による相乗効果から生じる可能性もある。
ここ用いられている如く、「安定」との用語が発明の組成物に関連して用いられた時に、抗菌活性を好ましくは2時間以上、3時間以上、6時間、 9 時間、12 時間、15 時間、18 時間、20時間、1日以上、好ましくは約2日、約3日、約4日、好ましくは約5日、より好ましくは約6日以上、 好ましくは1週間、2週間、3週間、1カ月あるいはそれより長く担保することができる組成物を意味する。
【0043】
ある具体例に於いては、安定な組成物は抗菌物質単独でなすより長い期間抗菌活性を有する組成物を含む。
「経口投与」の用語は経口、口腔、腸及び胃内投与を含む。
「非経口投与」の用語は局所(真皮、表皮あるいは粘膜表面を含む)、皮下、静脈内、腹腔、筋肉内及び腫瘍内(腫瘍への如何なる直接の投与も含む)投与を含むがそれに限られない。
【0044】
「医薬品として認可されるキャリアー」は発明の組成物の成分として患者に投与し得る賦型剤、稀釈剤あるいは補助剤を含むキャリアーを意味するがそれに限られない。
好ましいキャリアーは組成物の活性を減じずそして効果的な量のメチルグリオキサールを与えるに充分な用量で投与された時あるいは他の抗菌剤を投与された時毒性が無いことが必要である。
【0045】
「創傷治療を促進する」の用語及びそれに文法的に同等な用語は現在の発明の方法と組成物に関連して用いられた時、発明の組成物が無い場合に観察されるあるいは観察されたより、発明の組成物の存在に於いて改善された創傷治療を意図する。
【0046】
例えば、難治性の創傷―即ち、処置あるいは治療に抵抗する創傷は現在の発明の組成物を適用した後に改善された治療を示す。
創傷治療は統計的に有意な程度に改善されているのが好ましい。
名詞は、単数あるいは複数あるいは両者を意図する。
【0047】
「患者」の用語は動物、好ましくは哺乳類、より好ましくは哺乳類の仲間の動物あるいはヒトを参照することが意図されている。
好ましい愛玩動物としては猫、犬及び馬を含む。他の哺乳類の対象は馬、豚、羊、山羊、牝牛、鹿あるいは家禽類を含む家畜あるいは猿、ラットあるいはマウスを含む試験用動物を含む。
【0048】
「治療」の用語及びその派生語はその最も広い可能な文脈で解釈されるべきである。その用語は患者が完全な回復迄治療されると意味すると解釈されるべきではない。
【0049】
従って、「治療」は患者の疾病の進捗あるいは症状を実質的に静止したレベルに保ち、被験者の回復、改善速度を速めそして/あるいは特定の条件の症候あるいは重症度の発症を防ぎあるいは被験者の生活の質を改善することを広く含む。
【0050】
「治療」の用語は又、傷つきやすい個人に対して良い健康の維持そして疾病の予防の為の活力の構築を広く含む。ここに用いられている如く、「NPA値」は全体のあるいは篩過されたハチミツあるいはその一部に対して寒天プート拡散検定で相当するフェノールに比較して測定された抗菌活性の測定を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
発明の方法と組成物は微生物による疾病あるいは疾患の治療において創傷治療を促進しそして微生物感染を管理する為に用いることができる。
【0052】
一つの具体例では、微生物による疾病あるいは疾患は細菌の疾病あるいは疾患である。一つの具体例では微生物感染は細菌感染である。
一つの具体例で、微生物による疾病あるいは疾患は真菌による疾病あるいは疾患である。他の具体例では、微生物による疾病は酵母による疾病あるいは疾患である。一つの具体例では、微生物感染は真菌感染である。一つの具体例では微生物感染は酵母感染である。
【0053】
一つの具体例では、微生物による疾病は皮膚、肺、口腔、胃腸管、眼、耳、膿瘻、腎臓、粘膜表面あるいは尿道の微生物感染である。一つの具体例では、微生物による疾病あるいは疾患は乾癬、ニキビ、潰瘍、創傷感染あるいは難治性の創傷、火傷、皮膚炎、水虫及び湿疹の様な皮膚の疾病あるいは疾患あるいは組織の疾病あるいは疾患である。
例えば、微生物による疾病あるいは疾患は次の細菌のいずれかの一つあるいはそれより多い細菌の感染を含む創傷の細菌感染の様な細菌感染である:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む黄色ブドウ球菌、大腸菌あるいは緑膿菌。
【0054】
一つの具体例では、微生物による疾病あるいは疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD、又慢性閉塞性呼吸器疾患(CORD)とも言われている)、肺炎あるいは肺気腫の様な肺の疾病あるいは疾患である。
例えば、微生物による疾病あるいは疾患はヒト型結核菌あるいはパラ結核菌の細菌感染である。
【0055】
一つの具体例で、微生物による疾病あるいは疾患は虫歯、歯肉炎、潰瘍の様な口腔の疾病あるいは疾患である。
例えば、微生物による疾病あるいは疾患はいずれかの一つあるいはそれより多い次の細菌の感染である:Streptococcus salivarius, S. mitis, S. mutans, S. rattus, S. cricetus, S. sob[eta]nus, S. ferus, S. macacae, あるいは S. downei, Lactobacillus caseii を含むLactobacillus spp.
【0056】
一つの具体例で、微生物による疾病あるいは疾患は、胃腸炎、消化性潰瘍を含む潰瘍、慢性の胃炎及び十二指腸炎の如き、胃腸の疾病あるいは疾患である。
例えば、微生物による疾病あるいは疾患はいずれかの一つあるいはそれより多い次の細菌の感染である:Helicobacter spp., including H acinonychis, H anseris, H aurati, H bills, H bi^[zeta]o^eronii, H brantae, H canadensis, H canls, H. cholecystus, H. clnaedl, H cynogastricus, H fells, H fennelllae, H ganmanl, H. hepatlcus, H. mesocricetorum, H. marmotae, H. muridarum, H. mustelae, H. pametensls, H. pullorum, H. pylori, H. rapplnl, H. rodentlum, H. salomonls, H. trogontum, H. typhlonlus, H. winghamensis, Campylobacter spp., including C coli, C concisus, C curvus, C fetus, C gracilis, C helveticus, C hominis, C hyointestinalis, C insulaenigrae, C jejuni, C lanienae, C lari, C mucosalis, C. rectus, C showae, C sputorum, C. upsaliensis.
【0057】
一つの具体例では、微生物による疾病あるいは疾患は、眼瞼炎、結膜炎、真菌性角膜炎を含む角膜炎の如き眼の疾病あるいは疾患である。
例えば、微生物による疾病あるいは疾患はいずれかの一つあるいはそれより多い次の細菌の感染である:Staphylococcus spp., Aspergillus fumigates, Fusarium spp. and Candida spp。
【0058】
一つの具体例では、微生物による疾病あるいは疾患は、外耳炎、中耳炎、急性副鼻腔炎を含む鼻腔炎、慢性鼻腔炎及び抗生物質難治性の鼻腔炎の如き、耳あるいは副鼻腔疾患である。
例えば、微生物による疾病あるいは疾患は、いずれかの一つあるいはそれより多い次の細菌の感染を含む、耳あるいは副鼻腔微生物感染である:Staphylococcus aureusを含むStaphylococcus spp.、Aspergillus fumigatesを含むAspergillus spp.、Streptococcus pneumoniaを含むStreptococcus spp.、Haemophilus influenza、Moraxella catarrhalis、Mycobacterium tuberculosis及びCandida albicansを含むCandida spp.。
【0059】
幾つかの具体例に於いては、微生物による疾病あるいは疾患は、あるいは微生物による感染はいずれかの一つあるいはそれより多い次の微生物による:Aspergillus flavus、Aspergillus fumigatusを含むAspergillus spp.、bacillus subtilis、 bacillus cereusを含むbacillus spp.、Boretella pertussisを含む Boretella spp.、Candida albicansを含むCandida spp.、Chlamydophila pneumoniaeを含むChlamydophila spp.、Escherichia coliを含むEscherichia spp.、Haemophilus influenzaeを含むHaemophilus spp.、Helicobacter pyloriを含むHelicobacter spp.、Klebsiella pneumoniaeを含むKlebsiella spp.、Usteria monocytogenesを含むUsteria spp.、Micrococcus fiavusを含むMicrococcus spp.、Moraxella catarrhalisを含むMoraxella spp.、Mycobacteria tuberculosisを含むMycobacteria spp.、Mycobacteria paratuberculosis、Mycoplasma pneumoniaeを含むMycoplasma spp.、Pasteurella multocidaを含むPasteurella spp.、Penicillium chrysogenumを含むPenicillium spp.、Proteus mirabilis及びProteus vulgarisを含むProteus spp.、Pseudomonas aeruginosa/ pyocyaneaを含むPseudomonas spp.、Salmonella typhiを含むSalmonella spp.、Sarcinalutea spp.、Serratia marcescensを含むSerratia spp.、Shigella boydii, Shigella fiexneri及びShigella sonneiを含むShigella spp.、Staphylococcus albusそしてmethicillin-resistant Staphylococcus aureusを含むStaphylococcus aureusを含むStaphylococcus spp.、Group B Streptococci, Streptococcus faecalis, Streptococcus pneumoniae,及びStreptococcus pyogenesを含むStreptococcus spp.及びVibrio choleraeを含むVibrio spp.。
【0060】
幾つかの具体例に於いて、微生物による疾病あるいは疾患あるいは真菌の感染はいずれかの一つあるいはそれより多い次の真菌による:Candida albicansを含むCandida spp.、Candida utilis、 Aspergillus spp.、 Penicilliium spp.。
【0061】
潰瘍、混合原因の下肢潰瘍、糖尿病性足潰瘍、床擦れ、未治癒のグラフトドナーサイト、膿瘍、腫れ物、毛巣嚢胞、下肢手術からの創傷を含む感染創傷、壊死性の筋膜炎、新生児の術後の創傷感染、及びフルニエ壊疽を含む壊疽より成るグループから選択される。
【0062】
一つの具体例に於いて、発明組成物の投与は細菌あるいは真菌感染の微生物感染を5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 96, 97, 98, 99, あるいは100%減ずる。
【0063】
創傷治療を促進することに関係する一つの具体例に於いて、創傷は火傷、静脈下肢潰瘍、混合原因の下肢潰瘍、糖尿病性足潰瘍、床擦れ、未治癒のグラフトドナーサイト、膿瘍、腫れ物、毛巣嚢胞、下肢手術からの創傷を含む感染創傷、壊死性の筋膜炎、新生児の術後の創傷感染、及びフルニエ壊疽を含む壊疽より成るグループから選択される。
【0064】
一つの具体例に於いて、発明の組成物の投与は創傷治療を(未治療の創傷に対して)5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 96, 97, 98, 99, あるいは100%促進する。
【0065】
<メチルグリオキサール及びメチルグリオキサールを含有する物質>
メチルグリオキサール(CAS番号78-98-8)は又ピルブアルデヒドあるいは2-オキソ-プロパナルと呼ばれているが、ピルビン酸のアルデヒド型である。メチルグリオキサールは有機体中で幾つかの起源から形成されると報告されている:3−アミノアセトンから液体過酸化によりそして解糖の間でグリセルアルデヒドリン酸エステル及びジヒドロキシアセトンリン酸エステルからの非酵素的脱リン酸化から得られる。
【0066】
この発明の抗菌組成物中に含有されるメチルグリオキサール及びメチルグリオキサール含有物質は、例えばナカライテスク株式会社のメチルグリオキサールとしてのメチルグリオキサール(水溶液)、酪農製品、ビール、ワイン、焙煎コーヒー及びマヌカハニーの様な発酵製品に於いてメチルグリオキサールを含有する典型的な物質として市販されている。もう一方でメチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサールを含有する物質は独立に調整され得る。
【0067】
本発明での使用の為のメチルグリオキサールの好まれる出所は600μg/gから 800μg/gのメチルグリオキサールを含有するメチルグリオキサール550マヌカハニー(Manuka Health New Zealand Ltd)及びデキストリンを50%wt混合したメチルグリオキサールハニー粉末がある。
【0068】
当業者はここの教示を考慮して、他の起源が適切であるかもしれないことを理解するであろう。
マヌカハニーは一般的には液体あるいはクリームの形でニュージーランド及び他の地域で多数の数の出所から利用可能である。
好まれる出所は生成されたハチミツが貯蔵されているミツバチの巣から得られるもので、例えばメチルグリオキサール含量が評価される。当業者は現在の発明での使用の為に、バイオ活性成分を保ちながら例えばシクロデキストリンとの混合物に適した形態にマヌカハニーを加工しても良い。
【0069】
一般的に、マヌカハニーあるいはその抽出物は加工し細粒形態にされる。活性マヌカハニーあるいはその抽出物を円錐型に調整する幾つかの方法が知られている。
例えば、PCT国際出願WO 05/120250は凍結乾燥法を公開している。フラクションは例えば、分子篩あるいは逆相を用いてのクロマトグラフィー(HPLCの如き)により調整される。その様なプロセスで使用される代表的な溶媒は水である。
【0070】
一つの具体例では、マヌカハニーは如何なる追加の化合物無しで粉末化される。
代わりの具体例では、粉末マヌカハニーはマヌカハニーの特性を高める他の化合物、例えば、製剤化あるいは投与の容易さを高めるあるいは抗菌活性を高めるあるいはマヌカハニー中に存在する一つあるいはそれより多い抗菌活性物質の安定性を高める化合物である。
【0071】
追加の化合物の一つの例はマヌカハニーの治療価値を改善するものである。例えば、マンニトールを組み入れると利尿特性を高め得る。代わりにあるいは追加として、賦型剤そして/あるいは推進剤の様な他の化合物を組成物の投与性、製造性あるいは配送特性を改善する為に添加し得る。
【0072】
特に考慮される実施形態に於いて、マヌカハニーあるいは追加の化合物を有するマヌカハニーは生成する組成物の医薬品輸送特性を最適化する為に更に加工しうる。例えば、マヌカハニー粉末は組成物の他の成分と直ちに混合可能とするあるいは患者に投与を容易にする粒子サイズ分布を得る為に小さくし得る。
【0073】
一つの具体例に於いては、追加の化合物は粉末化プロセスを改善する為に粉末化に先だって添加される。マヌカハニーを粉末化する典型的なプロセスは、天然にマヌカハニー中に存在する細菌、原虫、酵母、菌類及び他の有機体を殺す為に最初にハニーを加熱することにより行われる。ハニーはそれから技術的に良く知られている方法で粉末化される。一旦粉末化されると、生成したマヌカハニー粉末は混合の為に保管されるか直接混合される。発明のある具体例においては、マヌカハニーの様なメチルグリオキサールより成る物質は乾燥あるいは粉末化に先だって一種類あるいはそれより多い種類のシクロデキストリンと混合される。その様な混合法と生ずる混合物の例がここに示されている。
【0074】
<シクロデキストリン及びシクロデキストリンより成る物質>
シクロデキストリンはドーナッツ型を形成するグルコピラノース環単位より成る環状分子である。シクロデキストリン分子の内部は疎水性で外部は親水性でシクロデキストリン分子を水溶性にしている。溶解度の程度はシクロデキストリン外側の水酸基の置換により変え得る。
【0075】
同様に、最も一般的には内部の疎水性の性質は空洞内の比較的疎水性のゲストの収容を許すが、内部の疎水性は置換により変え得る。
一つの分子を他の分子中に収容することは包接として知られておりそして生ずる生成物は包接化合物と言われている。シクロデキストリンは分子を構成するグルコースの数で典型的に分類され、そこではαシクロデキストリンは6つのグルコースからなり、βシクロデキストリンは7つのグルコースからそしてγシクロデキストリンは8つのグルコースから成り立っている。32個からなる1,4-アンヒドログルコピラノシドを含む非常に特徴の有るシクロデキストリンを含むより大きなシクロデキストリンが記述されている。
【0076】
シクロデキストリンは、例えばその一つあるいはそれ以上の物理化学的特性を変える為に、例えば化学的修飾により都合よく誘導体を作成できる。
シクロデキストリン誘導体の例はメチルシクロデキストリン、スルフォブチルシクロデキストリン、マルトシルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン及びそれらの塩である。当業者は幾つかのシクロデキストリンの誘導体が特別な目的に適しているかもしれない、例えば、あるシクロデキストリンの誘導体が人の患者への投与に適さないかもしれないが工業的使用及び応用を目的に現在の発明の組成物で使用することには適していることを認識するであろう。ある具体例では、化学的に修飾されたシクロデキストリンは特にその様な工業的使用及び応用に意図されている。
【0077】
本発明の抗菌組成物中に含有されるシクロデキストリンは商業的に利用出来るしあるいは当業者に良く知られた方法で別途に調製できる。
【0078】
患者に投与される為の抗菌組成物中に用いられるシクロデキストリン、例えば、発明の飲料、食物あるいは医薬品製造の為のシクロデキストリンはヒトの体に安全で有るべきでありそして好ましくは医薬品として使用可能なシクロデキストリンであることは当業者には明らかであろう。
【0079】
好ましくはα-あるいはγ-シクロデキストリンあるいはその組み合わせが用いられる。αシクロデキストリンが用いられる具体例に於いて、抗菌活性は例中でここに紹介されている如く、特に高められる。γシクロデキストリンが用いられている実施形態に於いて、抗菌活性の向上はαシクロデキストリンより余りはっきりしていない可能性がある。
【0080】
しかしながら、γシクロデキストリンより成る組成物は高められた食感あるいは美味しさを与えることができる、例えばγシクロデキストリンとマヌカハニーよりなる組成物はマヌカハニーの甘さを強く維持する強い傾向を示す。
これはγシクロデキストリンが、美味しさ及び特に甘さが重要である飲料及び食物の様な組成物での使用に好まれ得ることを意味する。工業に於ける冷却水あるいは洗浄水用の殺菌剤としての様な工業製品に対する抗菌組成物の場合に、化学的に修飾されたシクロデキストリンが使用し得る。
【0081】
現在の発明で使用に適したシクロデキストリンは市販されているかあるいは澱粉から酵素変換の様な技術的に良く知られている方法で別途に調製し得る。好ましくはαシクロデキストリンとして食品用カバマックスW6(シクロケム株式会社)及びγシクロデキストリンとして食品用カバマックスW8(シクロケム株式会社)が使用される。
【0082】
<本発明の組成物>
現在の発明の典型的な抗菌組成物はメチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサール含有物質をシクロデキストリンと混合しそれから水を加えそして組成物を均一にした後噴霧乾燥された粉末を含む。
【0083】
現在の発明の他の典型的な抗菌組成物は、例えばメチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサール含有物質及びシクロデキストリンが水、培地、その他に混合されそしてそれから溶解された溶液、メチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサール含有物質及びシクロデキストリンがそれぞれ水、培地、その他に溶解されそしてそれから混合され、例えば練合された溶液、そして更にここに記述されている如く調製された粉末がシクロデキストリン及び/あるいはメチルグリオキサールと混合され、それから水、培地、その他に添加されそして更に混合され、例えば練合された溶液を含む溶液を含有する。
【0084】
ある具体例では、上記に記述された如く粉末として調製された抗菌組成物は、例えばそれらは上記に記述された如く調製された抗菌組成物の溶液の抗菌活性よりより強い抗菌活性を保つあるいはより長い期間抗菌活性を保ち得る物を選択しても良い。
【0085】
シクロデキストリンの含量は予想される抗菌活性が実現される限り、メチルグリオキサールの約0.003 %wtから約0.015%wtあるいはメチルグリオキサールの約0.006 %wtから0.079 %wt、メチルグリオキサール含有物質の10.0から99.0 %wt、即ち、マヌカハニー及びシクロデキストリンの1.0から90.0%wtの間でどの様なレベルでも使用できる。
【0086】
含量は水、培地、その他で溶解あるいは媒体で稀釈することにより調製し得る。
例えば、下記に例として調製された抗菌組成物Aはマヌカハニーをメチルグリオキサール含有物質として使用し、そしてその濃度は例えば水で調製されている。
培地はマヌカハニーの濃度が7.14% w/vとなるようそしてαシクロデキストリンの濃度が8.37%w/vとなるよう調製された溶液は埴菌された黄色ブドウ球菌の生育を96時間の培養より長く阻止しそして微生物生長防止に非常に適した濃度であることが見出されている。
【0087】
抗菌組成物Bの場合には、マヌカハニーは水中で意図された濃度に溶解されたメチルグリオキサール含有物質として用いられている。マヌカハニーの濃度が3.27% w/vでγシクロデキストリンの濃度が4.0%w/vであるように調製された溶液は埴菌された黄色ブドウ球菌の成長をマヌカハニーのみの3.27%w/vの濃度よりより強く阻止した。これは濃度が好ましいレベルに調製されたことを意味する。
【0088】
一般に知られている他の抗菌物質は組成物が置かれる応用状況により、この発明の抗菌組成物と組合せが可能である。
如何なる理論にも拘束されることを欲することなく、出願人は現在の発明の典型的組成物で観察された高められた抗菌活性はメチルグリオキサール、特にマヌカハニーとして存在する時、及びシクロデキストリン、特にαシクロデキストリン、そして比較すると少ない程度にγシクロデキストリンとの間に少なくとも一部は相乗作用によるかもしれない。
【0089】
又如何なる理論にも拘束されることを欲することなく、観察された高められた抗菌活性を成し遂げることに於いて、マヌカハニー中に存在するポリフェノールの様な代表的組成物以外の他の成分の役割が有るかもしれないことを本発明者らは確認している。
【0090】
患者への投与に適した組成物は食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、栄養補助食品、栄養剤製品、医療用食品、栄養補給食品、医療用品、医療用具、薬剤あるいは医薬品として加工され得る。適切な加工物はこの出願の技術と指導に関して、熟練された作業者により調製され得る。
【0091】
一つの具体例に於いて、本発明は、食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、栄養補助食品、栄養剤製品、医療用食品、栄養補給食品、医療用具、医療用品、薬剤あるいは医薬品の製造に於いて、メチルグリオキサールを随意に少なくとも一つの抗菌剤と一緒に使用することに関連する。一つ具体例に於いて、組成物は経口投与用に加工される。
【0092】
他の具体例に於いて、組成物は、局所を含む非経口投与用に加工される。好ましくは、組成物は微生物の成長を阻止し、微生物による疾病あるいは疾患を治療あるいは防止し、あるいは上記に述べられた一つあるいはそれより多い他の使用の為である。
【0093】
一つの実施例に於いて、組成物は粉末、錠剤、カプレット、丸剤、ハードあるいはソフトカプセルあるいはトローチ剤の形である。
一つ具体例に於いて、組成物はカシェー、調剤可能な粉末、顆粒、懸濁物、エリキシル剤、液剤、ドリンクあるいは、食品あるいは例えば水あるいはフルーツジュースを含む飲料に加え得る如何なる他の形態でもある。一つの具体例では、組成物は経腸製品、即ち固型経腸製品あるいは液体経腸製品である。
一つの具体例では、組成物はクリーム、軟膏、ペースト、眼点滴剤あるいは耳点滴剤を含む点滴剤溶液、吸入剤あるいは吸入組成物、被覆剤、充填剤あるいはスプレーの形である。
【0094】
一つの具体例で、組成物は更に、保管の間であるいは投与後に組成物の分解を防ぐあるいは減少させる一種あるいはそれ以上の構成物質(抗酸化剤の如き)より成る。
一つの具体例においては、ここに有用な組成物は一種あるいはそれ以上のシクロデキストリンを含有できる如何なる一般消費者用食品も含む。
【0095】
組成物が少なくとも一種の追加の抗菌剤としてタンパク性の因子より成る時、一般消費者用食品は蛋白質を含有することのできるものである。
適切な一般消費者用食品の例は焼き菓子、粉末、液体、菓子製品、還元果物製品、スナックバー、フードバー、ミューズリーバー、スプレッド、ソース、ディップ、アイスクリーム、ヨーグルト及びチーズを含む酪農製品、(ミルクシェーク及びヨーグルト飲料を含むミルク飲料のような)酪農及び非酪農ベースの飲料、ミルク粉末、酪農及び非酪農ベースのスポーツあるいは栄養サプリメントを含むスポーツあるいは栄養サプリメント、蛋白質スプリンクルの様な食品添加物及び毎日摂取サプリメント錠剤を含む栄養補助食品を含む。
【0096】
この実施形態の内で、ここに有用な組成物は又粉末あるいは液体形の小児用処方である。ここに有用な適切な栄養補給組成物は類似の形態で供給され得る。特に考慮されるのはミルク蛋白質、ホエイ蛋白質、初乳、ミルク脂肪、あるいはミルクの幾つかのフラクションの様な一種あるいはそれ以上のミルク製品あるいはミルク組成物、あるいはミルク脂肪フラクション、ミルク蛋白質フラクション、ホエイ蛋白質フラクション、初乳フラクションあるいは同様の物の様な一種あるいはそれ以上のミルク製品あるいは組成物を追加して成る組成物である。
【0097】
ここに有用な組成物は、calcium, zinc, magnesium, selenium, vitamin C, vitamin D, vitamin E, vitamin K2, complex carbohydrates, edible あるいはpalm, olive, soybean, canola, corn, sunflower, safflower, peanut, grape seed, sesame, nut, almond, cashew, hazelnut, macadamia, pecan, pistachio, 及びwalnutを含む調理油, 並びにacai, amaranth, apricot, argan, artichoke, avocado, babassu, ben, blackcurrant seed, borage seed, borneo tallow nut, bottle gourd, buffalo gourd, carob pod (algaroba), cohune, coriander seed, evening primrose, false flax, hemp, kapok seed, lallemantia, meadowfoam seed, mustard, okra seed (hibiscus seed), perilla seed, pequi, pine nut, poppyseed, prune kernel, pumpkin seed, quinoa, ramtil, rice bran, tea (camellia), thistle, watermelon seed, あるいはwheat germ oil, あるいはそれらの組合せを含む他の食用品
【0098】
ここに有用な組成物は経口あるいは非経口(局所、皮下、筋肉内及び静脈内を含む)投与を含むがそれに限られない如何なる選択されたルートによって患者への投与に対して許されるよう製剤化されることができる。当業者は患者への投与ルートは組成物が投与される目的を一般的に考慮して用いられる。例えば、発明の医薬品組成物が微生物による疾病あるいは疾患を治療する為に投与される場所、投与のルートが一般的に微生物による疾病あるいは疾患の性質を考慮して選択されることを充分理解している。
【0099】
従って黄色ブドウ球菌により引き起こされるあるいは悪化される皮膚感染の治療に対する典型的組成物は局所的処方の為に製剤化される。
一般に、経口投与の為に食糧(例えば食品、食品添加物あるいは栄養補助食品)、ここに有用な栄養補助あるいは医薬品組成物は知られている製剤化技術に従って熟練の作業者により製剤化される。
【0100】
このようにして、発明により有用な医薬品組成物は意図された投与ルート及び標準の医薬品基準に関して選択された適切な医薬品として受け入れられるキャリアー(賦型剤、稀釈剤、助剤、そしてそれらの組合せ)で製剤化され得る。
【0101】
好まれる投与ルートが経口で有るのに対して、投与の如何なる方式も、異なった薬剤に対する異なったルートを含む、多重ルートによる投与を含み、発明の如何なる組成物に対しても適切であり得ることは理解されるべきである。それ故、発明の如何なる組成物の吸入(鼻からあるいは口からの吸入)及び膣の及び直腸の投与は又意図されるべきである。
【0102】
発明の如何なる組成物の髄内の、硬膜外の、関節内のそして胸膜内の投与が又意図されている。発明の組成物の投与は、第2番目の投与ルートによる一つあるいはそれより多い他の抗菌剤を含めて、一つあるいはそれより多い他の抗菌剤を含めて、一つあるいはそれより多い他の薬剤の別個の、同時のあるいは逐次の投与により成し遂げられる第1の投与ルートにより、随意に少なくとも一つの追加の抗菌因子と共に、発明の組成物の投与が又意図される;例えば、少なくとも一つの追加の抗菌剤の局所投与に付随される発明の組成物の経口投与。
【0103】
発明の組成物は投与形態として製剤化され得る。ここに有用な投与形態は粉末、液体錠剤あるいはカプセルとして経口投与される。適切な投与形態は乳化、抗酸化、風味付けあるいは着色剤を含めて追加の薬剤を含有あるいは腸溶用コーティングを有することができる。
【0104】
適切な腸溶コーティングが知られている。活性成分を取り巻く腸溶性コーティングは胃の中での活性成分の放出を防ぐが、投与形態が胃を離れた後に放出される。ここに有用な投与形態は活性化合物の直ちに、遅れた、修正された、徐放の、パルス状の、あるいは制御された放出に適用され得る。適切な製剤化は乳化、抗酸化、風味付けあるいは着色剤を含めて、必要とされる追加の薬剤を含有しても良い。
【0105】
カプセルはゼラチンあるいはセルロースの様な如何なる標準の医薬品用に認可されている物質を含有できる。錠剤は固体キャリアーあるいは潤滑剤と共に活性成分の混合物を押し固めることにより従来の方法により製剤化できる。固体キャリアーの例は澱粉及び糖ベントナイトを含む。活性成分はバインダー、即ち、ラクトースあるいはマンニトールのような結合剤、良く使用される充填剤及び錠剤化剤を含有するハードシェル錠あるいはカプセルの形でまた投与され得る。
【0106】
医薬品の組成物は又非経口ルートで投与され得る。非経口投与形態の例は水溶液、等張生理食塩水あるいは活性成分の5%グルコース、あるいは他の良く知られている医薬品として認可されている賦型剤を含む。技術に詳しい人々に良く知られている可溶化剤は抗菌剤の配送の為の医薬品の賦形剤として用いられ得る。
【0107】
注射用投与形態は液体溶液あるいは懸濁液として製剤化され得る。注射に先だって液体の溶液あるいは液体の懸濁液に適した固体形態が又調製され得る。投与形態は又乳化され得る。メチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサール含有の物質及びシクロデキストリンあるいはシクロデキストリン含有の物質はそして存在する時少なくとも一つ以上の追加の抗菌ファクターは、例えば水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールあるいは同様のもの及びそれらの組み合わせの様なキャリアーと混合され得る。
【0108】
徐放製剤はメチルグリオキサール及びシクロデキストリンを組み込んで調製し得る。
徐放製剤の適切な例はメチルグリオキサール及びシクロデキストリンを、そして存在する時には少なくとも一つの追加の抗菌剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含む。
【0109】
マトリックス基質は成型された物質の形、例えばフィルムあるいはマイクロカプセルである。徐放マトリックスの例はポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2-ハイドロオキシエチル-メタアクリレート)あるいはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(US 3,773,919参照)、L-グルタミン酸及びエチル-グルタメートの共重合体、非分解性のエチレン-ビニルアセテート及びLUPRON DEPOT(TM)(乳酸-グリコール酸共重合体及び酢酸ロイプロイドより成る注射可能な分解性の乳酸-グリコール酸共重合体及び酢酸ロイプロリドより成る注射可能なミクロスフェア)の様な分解性の乳酸―グリコール酸共重合体を含む。
【0110】
メチルグリオキサール及びシクロデキストリン及び存在する時は少なくとも一つ以上の追加の抗菌剤より成る局所製剤は、ローション、クリーム、軟膏、ペーストあるいはその様な塗布の為に既知のキャリアーを用いた軟膏として調製され得る。
【0111】
その様な製剤は直接投与出来る、例えば直接創傷に塗布される、手術場所、その他にスプレーされる、あるいは包帯あるいは被覆に浸潤させることによりあるいは手術器具、被覆及び同様の物にスプレーする様にして、直接に使用され得る。
【0112】
現在の発明は又メチルグリオキサール及びシクロデキストリン、随意には少なくとも一つ以上の追加の抗菌剤と一緒に用いる、非経口単位投与形態に関係している。
【0113】
幾つかの具体例で、少なくとも一つ追加する抗菌剤は次のような抗生物質が挙げられる;amikacin, gentamicin, kanamycin, neomycin, netilmicin, streptomycin, tobramicin, あるいはparomomycinのような aminoglycoside,; geldanamycin,あるいは herbimycin のようなansamycin; loracarbef のようなcarbacephem,; ertapenem, doripenem, imipenem/cilastatin,あるいは meropenem のようなcarbapenem,; cefadroxil, cefazolin, cefalotin あるいはcefalothin, or cefalexin のようなcephalosporin (第一世代); cefaclor, cefamandole, cefoxitin, cefprozil, or cefuroxime のようなcephalosporin (第二世代); cefixime, cefdinir, cefditoren, cefoperazone, cefotaxime, cefpodoxime, ceftazidime, ceftibuten, ceftizoxime, or ceftriaxoneのような cephalosporin (第三世代),; cefepime のようなcephalosporin (第四世代); ceftobiprole のようなcephalosporin (第五世代); teicoplanin, あるいはvancomycin のようなglycopeptide; azithromycin, clarithromycin, dirithromycin, erythromycin, roxithromycin, troleandomycin, telithromycin, あるいはspectinomycin のようなmacrolide; aztreonam のようなmonobactams; amoxicillin, ampicillin, azlocillin, carbenicillin, cloxacillin, dicloxacillin, flucloxacillin, mezlocillin, meticillin, nafcillin, oxacillin, penicillin, piperacillin, あるいはticarcillin のようなpenicillin; bacitracin, colistin, あるいはpolymyxin b のようなpolypeptide; ciprofloxacin, enoxacin, gatifloxacin, levofloxacin, lomefloxacin, moxifloxacin, norfloxacin, あるいは ofloxacin のようなquinolone; mafenide, sulfonamidochrysoidine (archaic), sulfacetamide, sulfadiazine, sulfamethizole, sulfanilimide (archaic), sulfasalazine, sulfisoxazole, trimethoprim, あるいはtrimethoprim-sulfamethoxazole (co-trimoxazole) (tmp-smx)のようなsulfonamide; demeclocycline, doxycycline, minocycline, oxytetracycline, tetracycline のようなtetracycline; arsphenamine, chloramphenicol, clindamycin, lincomycin, ethambutol, fosfomycin, fusidic acid, furazolidone, isoniazid, linezolid, metronidazole, mupirocin, nitrofurantoin, platensimycin, pyrazinamide, quinupristin/dalfopristin, rifampicin (rifampin in US), thiamphenicol, tinidazole, dapsone, clofazimineのような他の類; あるいは daptomycin のようなcyclic lipopeptides, tigecycline のようなglycylcycline, あるいは linezolid のような oxazolidinone。
【0114】
他の具体例において、少なくとも一つの追加する抗菌剤としては次の様な抗真菌剤が挙げられる:natamycin, rimocidin, filipin, nystatin, amphotericin B, candicinの如きpolyene antifungal; miconazole, ketoconazole, clotrimazole, econazole, bifonazole, butoconazole, fenticonazole, isoconazole, oxiconazole, sertaconazole, sulconazoleあるいはtioconazoleの如きimidazole; fluconazole, itraconazole, isavuconazole, ravuconazole, posaconazole, voriconazole,あるいは terconazoleの如きtriazole; abafungin; allylaminesの如きthiazoles, terbinafine, amorolfine, naftifine, or butenafineの如きallylamine; anidulafungin, caspofungin, or micafunginの如きechinocandin;benzoic acid, ciclopirox, tolnaftate, undecylenic acid, flucytosine あるいは5-fluorocytosine, griseofulvin, haloprogin, 及びsodium bicarbonateの如きbenzoic acid のような他の抗真菌剤, ciclopirox, tolnaftate, undecylenic acid, flucytosine あるいは5-fluorocytosine, griseofulvin, haloprogin, 及び)sodium bicarbonate;あるいは allicin, tea tree oil, citronella oil, iodine, lemon grass, olive leaf, orange oil, palmarosa oil, patchouli, lemon myrtle, neem seed oil, coconut oil, zinc, あるいは seleniumの如き代替品。
【0115】
あるいは、薬剤はここに述べられたいずれかの物から選択される。発明に従って有用である組成物の効能はインビトロ及びインビボで評価され得る。例えば下記の例を参照のこと。要約すると、一つの具体例で、組成物はその能力、例えばインビトロでの微生物の生育を阻止する能力で試験され得る。
【0116】
インビボ研究に対しては、組成物は動物(例えばマウス)に給餌されるあるいは注射されそして微生物の増殖コロニー形成、感染、あるいは微生物の疾病あるいは疾患の一つあるいはそれより多い症状への効果がそれから評価される。
同様に創傷治療を促進する組成物の能力が創傷治療のインビトロモデルを用いてあるいはインビボで評価され得る。その結果に基づいて、適切な投与範囲、頻度及び投与ルートを決定し得る。
【0117】
ここに有用な組成物は単独であるいは一つあるいはより多くの他の抗菌剤あるいは一つあるいはそれより多い追加の治療剤との組み合わせで使用し得る。
抗菌剤あるいは追加の治療剤は食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、食品成分、飲料成分、栄養補助食品、栄養製品、医療用食品、栄養補給食品、医療用具、医療用品、薬剤あるいは医薬品であるかそれらを包含し得る。
【0118】
抗菌剤あるいは追加の治療剤は一つあるいはそれより多い微生物による疾病あるいは疾患あるいは一つあるいはそれより多い微生物による疾病あるいは疾患の症状を軽減することに、あるいはさもなければそれを投与された患者に恩恵を与えることに望ましくは効果が有る。好ましい治療剤は治療用食料因子、免疫原性のあるいは免疫賦活、創傷治療剤及び同様の物を含む。
【0119】
上記に挙げられた追加の抗菌あるいは治療剤(食品に基づくものと医薬品のいずれも)はそれらが別個に、同時にあるいは順次ここに有用な組成物と共に投与される発明による方法で又使用されても良いことは理解されるべきである。
正しく理解されるごとく、投与される組成物の投与量、投与の期間、そして一般的投与体制は患者の症状の重要度、治療される疾患のタイプ、選択された投与のやり方そして患者の年齢、性別そして/あるいは一般的な健康状態の様な変動因子により患者間で異なるかもしれない。
【0120】
しかしながら、一般的な例として、投与当たりあるいは一日当たり、ここに有効な組成物の約1 mgから5000 mg/体重 kgが投与される、ここに有効な組成物の約1 mgから4000 mg/体重 kgが投与される、ここに有効な組成物の約1 mgから3000 mg/体重 kgが投与される、ここに有効な組成物の約1 mgから2000 mg/体重 kgが投与される、ここに有効な組成物の約1 mgから1000 mg/体重 kgが投与され、好ましくは1日当たり、約50から約1000mg/kgである。
【0121】
一つの具体例に於いて、投与はここに有用な組成物の体重1kg当たり約0.05mgから250mgである。いくつかの具体例に於いては、
1回投与当たりあるいは1日当たり、配送する為に、十分な組成物が投与される。
体重1kg当たりメチルグリオキサールの約0.001mgから約5mg、
体重1kg当たりメチルグリオキサールの約0.001mgから約4mg、
体重1kg当たりメチルグリオキサールの約0.001mgから約3mg、
体重1kg当たりメチルグリオキサールの約0.001mgから約2mg、
体重1kg当たりメチルグリオキサールの約0.001mgから約1mg、
体重1kg当たりメチルグリオキサールの約0.001mgから約0.5mg、
体重1kg当たりメチルグリオキサールの約0.001mgから約0.01 mg
【0122】
あるいは体重1kg当たりメチルグリオキサールの約0.001mgから約0.005mg
投与は単独の毎日の投与のような単独投与あるいは適切であるならば多数別々の分割投与を含むことは理解されるべきである。通常の技術を有する人が過度の実験無しで可能であり、公開されている技術に基づいて、効果的な投与形態(投与の量と時期を含めて)を決定できることは明確である。
【0123】
現在の発明はまたメチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサールより成る物質とシクロデキストリンの組み合わせより基本的に成るあるいは成る、食物の、栄養補助のあるいは経口医薬品の組成物に関連する。好ましくはその組成物は基本的に、約0.1から99重量%のメチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサールより成る物質及び、約0.1から99重量%のシクロデキストリンより成る。より好ましくは約0.5から10重量%のメチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサールより成る物質及び、約10から99重量%のシクロデキストリンより成る。最も好ましくは約1重量%のメチルグリオキサール及び、約20重量%のシクロデキストリンより成る。
【0124】
一つの具体例では、発明の組成物はマヌカハニーあるいはマヌカハニーフラクションより成る。一つの具体例では、組成物は少なくとも約1, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95あるいは 99%重量のマヌカハニーあるいはマヌカハニーフラクションより成り、そして有効な範囲はこれらの値から選択し得る(たとえば重量で約1%から約99%、重量で約5%から約99%、重量で約10%から約99%、重量で約15%から約99%、重量で約20%から約99%、重量で約25%から約99%、重量で約30%から約99%、重量で約35%から約99%、重量で約40%から約99%、重量で約45%から約99%、重量で約50%から約99%、重量で約55%から約99%、重量で約60%から約99%、重量で約65%から約99%、重量で約70%から約99%、重量で約75%から約99%、重量で約80%から約99%、重量で約85%から約99%、重量で約90%から約99%、あるいは重量で約95%から約99%)。
【0125】
一つの具体例で、発明の組成はシクロデキストリン、好ましくはαシクロデキストリン、γシクロデキストリンあるいはαシクロデキストリン並びにγシクロデキストリンの両者より成る。一つの具体例では、組成物は少なくとも重量でシクロデキストリン約1, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95 あるいは99%より成りそして有用な範囲はそれらの値から選択できる(例えば、重量で約1%から約99%、重量で約5%から約99%、重量で約10%から約99%、重量で約15%から約99%、重量で約20%から約99%、重量で約25%から約99%、重量で約30%から約99%、重量で約35%から約99%、重量で約40%から約99%、重量で約45%から約99%、重量で約50%から約99%、重量で約55%から約99%、重量で約60%から約99%、重量で約65%から約99%、重量で約70%から約99%、重量で約75%から約99%、重量で約80%から約99%、重量で約85%から約99%、重量で約90%から約99%、あるいは重量で約95%から約99%)。
【0126】
他の抗菌剤あるいは治療剤と一緒に用いられた時、ここに有用な組成物と他の抗菌剤あるいは治療剤の投与は同時かあるいは順次であっても良い。同時の投与は全ての成分より成る単一の投与形態の投与あるいは別々の投与形態の実質上同時の投与を含む。順次投与は、好ましくはここに有用な組成物および他の抗菌剤が与えられる間の期間に重なりがあるような、異なったスケジュールに従っての投与を含む。
【0127】
その上、発明による組成物は特別な場合における患者に利益をもたらし得る追加の活性成分で製剤化され得ることが考慮される。
例えば、疾病プロセスの同一のあるいは異なった様相を標的にする治療薬が使用され得る。従って、この発明の抗菌組成物より成る食品あるいは飲料は一般的な食品および健康食品に使用し得る。
【0128】
本発明の抗菌組成物はマヌカハニーの甘さを保つので、それらはそのままあるいはハニーのような粉末の形で食べられることができるか、あるいは例えばそれらをパンあるいはクラッカー上に塗布することによるスプレッドとして、あるいはヨーグルトと混合して食べられることを含めて、ハニーと同じように用いられるあるいは消費され、あるいは例えば肉用の保存剤あるいはマリネードとして、保存剤あるいはマリネードとして使用され得る。
【0129】
それらはケーキ、ビスケット、クッキー、チョコレート、甘味物、および他のドロップおよびチューインガムを含む菓子に使用し得る。
【0130】
発明の組成物は水にドリンクとして添加しても良いし、ミルク、茶、コーヒー、ココア、その他の様な甘味剤としてそしてフルーツジュース、飲料、スポーツドリンク、その他の為の成分あるいは原材料として使用し得る。
【0131】
この発明の抗菌組成物を含む医薬品は、黄色ブドウ球菌により引き起こされるような皮膚感染を含む微生物による疾病あるいは状態の治療の為の薬及びヘリコバクターピロリにより引き起こされる十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃癌等々の如き他の状態の予防あるいは治療の為の薬の例を供給する。
本発明の典型的な薬は、抗菌組成物が人体に安全である限り、経皮的にあるいは経口で投与され得る。
【0132】
本発明の組成物は医療用具あるいは医療用品内部あるいはその上部に取り入れられ得る。本発明は、外傷、手術創傷、及び同様のものの治療に使用される医療用具あるいは医療用品を意図しているがそれに限定されず、多数の分野に応用される。
【0133】
組織移植として意図されている典型的な医療用具は、例えば近距離照射療法線源、塞栓物質、腫瘍ベッド移植、間節内移植、癒着を最小にする材料、そして同様の物を含むがそれに限られない。典型的なステントは、例えばバルーンで拡大されるステント及び自身で拡大するステントの両者を含む血管内ステントを含むがそれに限定されない。
バルーンで拡大されるステントはコーディスを含めて多数の商業的供給者から入手可能である。自身で拡大するステントは典型的には、記憶形状合金より成りそしてインステントのような供給者から入手できる。
【0134】
ステントの場合には、バルーンが拡大するステントは典型的にはステンレススチールの枠組みから出来ており、自身で拡大するステントの場合には、ニッケル/チタン合金から出来ている。典型的なバルーンは、例えばインフレータブル及び自己インフレータブルバルーンカテーテルを含むブルバルーンカテーテルを含むが、それに限られない。拡大できるバルーンは、一般的にポリエチレンテレフタレートより成る、調剤不可なバルーンであるかもしれないし、一般的にラテックスあるいはシリコンラバーより成る伸縮するバルーンであるかもしれない。
【0135】
本発明の抗菌組成物を含む医療用品は医療用具あるいは設備用に用いられる殺菌剤あるいは消毒剤の例を与える。典型的な医療用品は包材、消毒剤、包帯、洗浄剤及び同様の物を含む。
【0136】
医療用具あるいは医療用品は良く知られている方法により本発明の組成物で被覆されるあるいは合浸され得る。医療用具の表面を本発明の組成物で被覆する一つの典型的な方法は表面が特定の発明の組成物で被覆されるように発明の組成物で表面を接触させることよりなる。
【0137】
人工的表面のコーティングは当業者に良く知られている標準の方法を用いて成し遂げられ得る。例えば、表面を発明の組成物でコーティングすることは人工的表面を発明の組成物を含有する溶液中で、人工的表面をそれ自身によりあるいは器具内で浸漬することにより成し遂げられる。発明の典型的抗菌組成物及びその様な組成物を調製する方法は現在次の例を参照して述べられている。
【実施例1】
【0138】
1.材料
1)マヌカハニー:Manuaka honey MGO(TM)550(Manuka Health New Zealand Ltd.)
2)メチルグリオキサールハニー粉末(Manuka Health New Zealand Ltd.)
3)α-シクロデキストリン:CAVAMAX W6 Food (シクロケム株式会社)
4)γ-シクロデキストリン:CAVAMAX W8 Food (シクロケム株式会社)
2.抗菌組成物の製造法
<マヌカハニー含有抗菌組成物>
【0139】
例1−抗菌組成物A(粉末組成物を含有するα-シクロデキストリン)
マヌカハニーがα-シクロデキストリンと45.0%wt/ 55.0%wtの比で混合され、粉末にされた。
60.0gのマヌカハニーと61.3gのα-シクロデキストリンが1Lのビーカーに加えられ、それに128.7mlの水が添加されそしてその組成物が6000rpmで5分間均一化された。その後、水が、固形物含量が20.0%wtになるよう加えられた。
生成した懸濁液が、抗菌組成物Aの粉末を得る為にスプレードライされた(乾燥ガス温度:160℃)
例2−抗菌組成物B(粉末組成物を含有するγ-シクロデキストリン)
マヌカハニーは45.0%wt/ 55.0%wtの比でγシクロデキストリンと混合されそして上記に例1として述べられている抗菌組成物Aの方法と同一の方法で粉末(抗菌組成物Bとして)にされた。
例3−抗菌組成物溶液C(α―シクロデキストリン含有溶液)
14.5454gの抗菌組成物A及び8.0gのαシクロデキストリンが水に溶解されて100mLとし抗菌組成物溶液Cが作製された。抗菌組成溶液C(抗菌組成物Aから)に含まれるマヌカハニー含量は6.55%w/vであった。
抗菌組成物Aに由来するαシクロデキストリンは8.0%w/vで別途に加えられたαシクロデキストリンは8.0%w/vであった。このようにして、全αシクロデキストリンは16.0 %w/vであった。
例4−抗菌組成物溶液D(αシクロデキストリン−より濃いハニー含量)
14.5454gの抗菌組成物A及び6.54gのマヌカハニーが水に溶解されて100mLとし抗菌組成物溶液Dが作製された。
抗菌組成物溶液D(抗菌組成物Aから)中のαシクロデキストリン含量は8.0%w/vだった。抗菌組成物Aに由来するマヌカハニーは6.55%w/vで別途に加えられたマヌカハニーは6.55%w/vであった。全マヌカハニー含量は13.10%w/vであった。
例5−抗菌組成物溶液E
14.29gのマヌカハニーと17.4gのαシクロデキストリンが水に溶解されて100mLとし抗菌組成物溶液Eが作製され、その中ではマヌカハニーとαシクロデキストリンの比が重量で45%対55%であった。
【0140】
例6−抗菌組成物溶液F
14.29gのマヌカハニーと17.4gのαシクロデキストリンが水に溶解されて100mLとし抗菌組成物溶液Fが作製された。マヌカハニー含量は14.29% w/vそしてαシクロデキストリン含量は17.4%w/vであった。
例7-組成物AからFm、までの抗菌活性
組成物AからFは上記例1から6に記述されている如く調製された。
使用された試薬は次の如くであった。
(1)ハートインフュージョンブイヨン(栄研化学株式会社)、バクト(TM) ハートインフュージョンブイヨン(ビーフハートインフュージョン(500gから)-10.0g、トリプトース-10.0g、食塩-5.0g/L)は製造者の指示に従って調製された。
(2)メチシリン感受性黄色ブドウ球菌-MAAA、菌株IFO12732(神戸学院大学より受理)がハートインフュージョンブイヨン(100ml当たり、ビーフハートインフュージョン50g、ペプトン1g、及び食塩0.5g)中、37℃で約15時間、OD600が略0.7に達する迄培養された。培養液は25倍稀釈されそして測定に使用された。
(3)例1から6の組成物AからFを用いて調製されたサンプル。
例1及び2に示された如く製造された抗菌組成物A及びBはそれぞれ、濃度が29.09% w/v(マヌカハニーとαシクロデキストリンの濃度がそれぞれ13.1% w/v及び15.9% w/vであった)に成るように100mlの水に溶解されそして0.45μメーターのフィルターで殺菌された。
ろ過液は水で希釈された(1:2.1:4及び1:8)。
稀釈後各々のろ過液はハートインフュージョンブイヨンに(1:1)の比率で加えられた。
【0141】
このようにして、ハートインフュージョンブイヨン中のマヌカハニーとαシクロデキストリンあるいはγシクロデキストリンの最終濃度は次の如くになった:
2倍(1:2)稀釈:マヌカハニー(3.27% w/v)、αシクロデキストリンあるいはγシクロデキストリン(4.0% w/v)
4倍(1:4)稀釈:マヌカハニー(1.64% w/v)、αシクロデキストリンあるいはγシクロデキストリン(2.0% w/v)
8倍(1:8)稀釈:マヌカハニー(0.82% w/v)、αシクロデキストリンあるいはγシクロデキストリン(1.0% w/v)
抗菌組成物A(例1)は濃度が31.75% w/v(マヌカハニーとαシクロデキストリンの濃度がそれぞれ7.14% w/v及び8.7% w/vであった)に成るように水に溶解されそして0.45μメーターのフィルターで殺菌された。
ろ過液は ハートインフュージョンブイヨンに(1:1)の比率で添加された。
抗菌組成物C,D,及びE(それぞれ例3から5)は各々0.45ミクロンのフィルターでろ過殺菌された。各々のろ液はハートインフュージョンブイヨンに(1:1)の比率で添加された。
【0142】
参照サンプル
(a)マヌカハニー水溶液
14.29% w/vのマヌカハニー水溶液がマヌカハニーMGO550(TM) (株式会社コサナ)を水で溶解して調製された。
(b)シクロデキストリン水溶液
8% w/vのシクロデキストリン水溶液がCAVAMAXC W6 Foodか あるいはCAVAMAX W8 Foodを水に溶解して調製された。
(C)メチルグリオキサールマヌカハニー粉末水溶液
14.29% w/vのマヌカハニー粉末水溶液がメチルグリオキサールマヌカハニー粉末(Manuka Health Co., Ltd.)を水で溶解して調製された。
上記aからcの溶液は各々0.45ミクロンのフィルターでろ過殺菌されそして各々のろ液はハートインフュージョンブイヨンに(1:1)の比率で添加された。
【0143】
抗菌活性の測定
5gのハートインフュージョンブイヨンと10OmLの水が20OmLの三角フラスコに加えられそしてオートクレーブで、120℃で20分間殺菌された。殺菌された培地の2mlに上記の如く調製されたサンプルあるいは参照サンプルが加えられた。2mlの蒸留水がマヌカハニー水溶液の代わりにコントロールとして加えられた。
上記の如く調製された25倍稀釈の菌株溶液50マイクロリッターが各々の試験管に加えられそして37℃で振盪しながら培養された。吸光度が610nmで測定されそして培養時間と細菌数の変化が測定された。
【0144】
結果
図1に示されている如く、7.14% w/vのマヌカハニー及び8.7%w/vのαシクロデキストリンを含有する抗菌組成物A及び3.27%のマヌカハニー及び4.0%w/vのαシクロデキストリンを含有する組成物はマヌカハニー単独あるいはαシクロデキストリン単独より高い抗菌活性を示した。
1.64% w/vのマヌカハニー及び2.0%w/vのαシクロデキストリンを含有する抗菌組成物A及び0.82% w/vのマヌカハニー及び2.0%w/vのαシクロデキストリンを含有する組成物はマヌカハニー単独の参照サンプルより最終マヌカハニー濃度でより低い。これにも拘わらず、各々はマヌカハニー単独の参照サンプルに相当する同等の抗菌活性を示した。
【0145】
図2は7.14% w/vのマヌカハニー及び8.7%w/vのαシクロデキストリンを含有する抗菌組成物Aの高い抗菌活性はほぼ100時間保たれた。図2は又3.27% w/vのマヌカハニー及び4.0%w/vのαシクロデキストリンを含有する抗菌組成物Aの抗菌活性はマヌカハニーよりさらに長く保たれたことを示している。
この如く、図1及び2は抗菌組成物A(マヌカハニーとαシクロデキストリンを含有する)が同一のマヌカハニー濃度でマヌカハニー単独より高い抗菌活性を示したことを示している。マヌカハニーに相当する抗菌活性がαシクロデキストリンより成るこれ等の組成物中のより低いマヌカハニー濃度で得られた。
【0146】
図-3は3.27% w /vのマヌカハニーと4.0% w/vのγシクロデキストリンを含有するよう稀釈された抗菌組成物Bはマヌカハニー単独のより高い抗菌活性を示したことを示している。
図3は又1.64% w /vのマヌカハニーと2.0% w/vのγシクロデキストリンを含有するよう稀釈され、あるいは0.82% w /vのマヌカハニーと2.0% w/vのγシクロデキストリンを含有する抗菌組成物Bはより低いマヌカハニー濃度でのマヌカハニー参照サンプルに相当する抗菌活性を示した。
図3の結果から、マヌカハニーとγシクロデキストリンより成る抗菌組成物Bの抗菌活性の向上は濃度に依存するように見える。
【0147】
図-4に示されている如く、マヌカハニーとαシクロデキシトリンが抗菌組成物A(マヌカハニー7.14%w/v及びαシクロデキストリン8.7w/v%)と同じ濃度で培地に加えられた抗菌組成物Eは高い抗菌活性を示した。
しかしながら、抗菌組成物溶液Eの抗菌活性は28時間より多い後に減少した。
これは、前もって粉砕された抗菌組成物Aがより長く継続する抗菌活性の向上を保持していたことを示唆している。
また、7.14%w/vのメチルグリオキサール及び8.7%w/vのαシクロデキストリンを含有する抗菌組成物溶液Fは、その活性が同じ濃度のマヌカハニーとαシクロデキストリンを含有する抗菌組成物Aの活性より低かったが、高い抗菌活性を有することが示された。
【0148】
図-5に示されているごとく、7.14% w/vのマヌカハニー及び8.7%w/vのαシクロデキストリンを含有する抗菌組成物Aの抗菌活性はほぼ60時間継続した。更に追加のαシクロデキストリンと一緒に抗菌組成物Aと同様の方法で製造された抗菌組成物Cは高い抗菌活性を示した。
また、追加のマヌカハニーと一緒に抗菌組成物Aと同様の方法で製造された抗菌組成物Dは又高い抗菌活性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0149】
メチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサール存在物質を含有するこの発明の抗菌組成物は存在する元の抗菌活性を維持するあるいは高め、そして食品、飲料、医療用具、医療用品、医薬品、機能性食品、薬品を含む消費者商品で、あるいは工業製品での材料でのごとき、抗菌活性が必要とされるいくつかの応用品で使用し得る。そのような組成物を調製する方法及びそのような組成物を、例えば微生物による疾病の治療であるいは創傷治療の促進で使用する方法は医療及び工業分野で応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチルグリオキサール及びシクロデキストリンより成る抗菌組成物。
【請求項2】
メチルグリオキサールがメチルグリオキサールを含有する一つあるいはそれ以上の物質より成る請求項1による抗菌組成物
【請求項3】
メチルグリオキサールより成る物質がマヌカハニーである請求項1あるいは2による抗菌組成物。
【請求項4】
マヌカハニーが約30mg/kgより多い, 約38mg/kgより多い, 約40mg/kgより多い, 約50mg/kg,約 60mg/kg,約 70mg/kg, 約 80mg/kg,約 90mg/kg, 約 100mg/kg, 約 150mg/kg, 約 200mg/kg, 約250mg/kg, 約300mg/kg, 約350mg/kg, 約400mg/kg, 約450mg/kg, 約500mg/kg, 約550mg/kg, 約600mg/kg, 約650mg/kg, 約700mg/kg,約 750mg/kg, 約800mg/kg, 約850mg/kg, 約 900mg/kg, 約950mg/kg, 約1000mg/kgより多い, 約1100mg/kgより多い, 約1200mg/kgより多い, 約1300mg/kgより多い, 約1400mg/kgより多い,約 1500mg/kgより多い, 約 1600mg/kgより多い, 約1700mg/kgより多い, 約 1800mg/kgより多い, 約 1900mg/kgより多い, 約1400mg/kgより多い,約 1500mg/kgより多い, 約 1600mg/kgより多い, 約1700mg/kgより多い, 約 1800mg/kgより多い, 約 1900mg/kgより多い, あるいは約2000mg/kgのメチルグリオキサール濃度を有する請求項3による抗菌組成物。
【請求項5】
マヌカハニーのNPA値が10より大きい、15より大きい、20より大きい、25より大きい、26、27、28、29、30、31より大きい32、33,34、あるいは35より大きい請求項3による抗菌組成物。
【請求項6】
シクロデキストリンがαシクロデキストリンである請求項1から5のいずれかによる抗菌組成物。
【請求項7】
シクロデキストリンがγシクロデキストリンである請求項1から5のいずれかによる抗菌組成物。
【請求項8】
シクロデキストリンがαシクロデキストリンとγシクロデキストリンの組み合わせである請求項1から5のいずれかによる抗菌組成物。
【請求項9】
マヌカハニー含量が約10.0% wtから約99.0% wtの範囲内である請求項1から8のいずれかによる抗菌組成物。
【請求項10】
抗菌組成物のメチルグリオキサール含量が約0.003%から約0.15%の範囲内にある請求項1から9のいずれかによる抗菌組成物。
【請求項11】
組成物が消費者製品である請求項1から10のいずれかによる抗菌組成物。
【請求項12】
組成物が食物、飲料、食品添加物、飲料添加物、栄養補助食品、栄養食品、医療用食品、医療用具、医療用品、栄養補助食品、薬剤あるいは医薬品である請求項1から11のいずれかの一つによる抗菌組成物。
【請求項13】
組成物が医薬品組成物である請求項12による抗菌組成物。
【請求項14】
組成物が経口、局所あるいは非経口投与の為に製剤化されている請求項13による抗菌組成物。
【請求項15】
組成物が工業製品である請求項1から11のいずれかによる抗菌組成物。
【請求項16】
組成物が一つあるいはそれより多くを追加した抗菌剤より成る請求項1から15のいずれかの一つによる抗菌組成物。
【請求項17】
メチルグリオコサールとシクロデキストリンより成る組成物を調製する方法、即ち、メチルグリオキサールあるいはメチルグリオキサールより成る物質あるいはメチルグリオキサールとメチルグリオキサールの両者より成る物質を、シクロデキストリンあるいはシクロデキストリンを含む物質あるいはシクロデキストリンとシクロデキストリンを含む物質とを混合することよりなる方法。
【請求項18】
メチルグリオキサールが存在する粉末物質をシクロデキストリンあるいはシクロデキストリンよりなる物質との混合した物である請求項17による方法。
【請求項19】
粉末化マヌカハニーとシクロデキスオリンの混合した物である請求項18による方法。
【請求項20】
方法が粉末化に先立ってあるいはその間にマヌカハニーの予備的乾燥段階より成る請求項19による方法。
【請求項21】
方法が混合物を乾燥する追加の段階より成る請求項17から20のいずれかに記載される方法。
【請求項22】
方法が乾燥された混合物の更なる段階より成る請求項21による方法。
【請求項23】
微生物による疾病あるいは疾患を治療するあるいは防止する方法、即ちメチルグリオキサール及びシクロデキストリンより成る組成物を、それを必要とする患者に投与することにより成る方法。
【請求項24】
組成物が請求項1から16のいずれかに記載される組成物である請求項23による方法。
【請求項25】
創傷治療を促進する方法、即ちメチルグリオキサールとシクロデキストリンより成る組成物を、それを必要とする患者に投与することより成る方法。
【請求項26】
組成物が請求項1から16のいずれかに記載される組成物である請求項25による方法。
【請求項27】
組成物が直接創傷に塗布される請求項25あるいは26による方法。
【請求項28】
組成物が包帯、被覆材、溶液あるいは外科手術用備品に適用することを含む、創傷に間接的に利用される請求項25あるいは26による方法。
【請求項29】
一つあるいはそれより多い病原菌を管理する方法で、メチルグリオキサール及びシクロデキストリンよりなる組成物で一つあるいはそれより多い病原菌と接触させることより成る方法。
【請求項30】
組成物が請求項1から16のいずれかに記載される組成部である請求項29による方法。
【請求項31】
微生物による疾病あるいは疾患の治療の使用に適した薬剤の調製にメチルグリオキサールとシクロデキストリンの使用。
【請求項32】
それを必要とする患者の創傷治療を促進することに使用するに適した薬剤の調製にメチルグリオキサールとシクロデキストリンの使用。
【請求項33】
メチルグリオキサールの混合物あるいはメチルグリオキサールとシクロデキストリンより成る物質の請求項32による使用。
【請求項34】
微生物による疾病あるいは疾患の治療の為のメチルグリオキサール及びシクロデキストリンより成る組成物。
【請求項35】
それを必要とする患者に創傷治療を促進する為にメチルグリオキサールとシクロデキストリンより成る組成物。
【請求項36】
微生物による感染を制御する為にメチルグリオキサールとシクロデキストリンより成る組成物。
【請求項37】
微生物による疾病あるいは疾患の治療の為にマヌカハニーとシクロデキストリンより成る組成物。
【請求項38】
それを必要とする患者の創傷治療を促進する為にマヌカハニーとシクロデキストリンよりなる組成物。
【請求項39】
微生物による感染を管理する為にマヌカハニーとシクロデキストリンより成る組成物。
【請求項40】
マヌカハニーとシクロデキストリンより成る抗菌組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−505202(P2012−505202A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530624(P2011−530624)
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054458
【国際公開番号】WO2010/044042
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(503065302)株式会社シクロケム (22)
【Fターム(参考)】