説明

押圧スイッチ用キートップの照光機構

【課題】容易に透光性を有する材質からなるキートップの上面中央を遮蔽できてその周囲をリング状に照光でき、しかも遮蔽した部分の装飾も容易に所望の装飾とすることができる押圧スイッチ用キートップの照光機構を提供する。
【解決手段】押圧スイッチ21上に押圧スイッチ21を押圧する押圧板60を設置する。押圧板60上に発光素子77を取り付ける。発光素子77の上部を覆う透光性を有するキートップ本体100を取り付ける。キートップ本体100の上面中央に遮蔽部材120を取り付ける。これによって発光素子77から発射される光が遮蔽部材120の周囲のキートップ本体部分100を照光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧スイッチを押圧操作するキートップを効果的に照光するのに用いて好適な押圧スイッチ用キートップの照光機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、押圧スイッチを押圧操作するキートップを効果的に照光する方法として、キートップを透光性の材料で構成すると同時にキートップの内部に設置した発光素子を発光することでキートップをその内部から照光する方法が用いられてきた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方キートップの照光による装飾をさらに効果的な装飾とするため、キートップ上面の外周近傍部分だけをリング状に照光することが求められていた。キートップの上面の外周部分だけをリング状に照光するには、例えばキートップの上面中央部分に不透光性の塗料を塗布してなる遮蔽部を設け、この遮蔽部によってキートップの周囲のみを照光する方法が一般的である。そして近年、キートップのさらなる効果的な装飾を図ることを目的として、前記キートップ中央部分の遮蔽部として塗装や印刷の代わりにスパッタ等による蒸着膜を形成する場合がある。蒸着膜からなる遮蔽部を用いると、高級感のある金属色が得られる。
【0004】
しかしながらスパッタによる蒸着膜は、PMMA樹脂のような透明なキートップの材質によっては材質上の相性からその形成がうまく行えない場合があった。またスパッタによる蒸着以外(例えば印刷等)の方法による遮蔽部であっても、同様に透明なキートップの材質によっては材質上の相性からその形成がうまく行えない場合があった。
【特許文献1】実開平6−62438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、容易に透光性を有する材質からなるキートップの上面中央を遮蔽できてその周囲をリング状に照光でき、しかも遮蔽した部分の装飾も容易に所望の装飾とすることができる押圧スイッチ用キートップの照光機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の発明は、押圧スイッチ上にこの押圧スイッチを押圧する押圧板を設置すると共に、押圧板上に発光素子を取り付け、さらに発光素子の上部を覆う透光性を有するキートップ本体を取り付け、キートップ本体の上面に遮蔽部材を取り付けることで前記発光素子から発射される光によって遮蔽部材に覆われていないキートップ本体部分を照光することを特徴とする押圧スイッチ用キートップの照光機構にある。
【0007】
本願請求項2に記載の発明は、前記遮蔽部材のキートップ本体への取付構造は、キートップ本体に設けた上下に貫通する開口部に前記遮蔽部材に設けた係止部を挿入して取り付ける取付構造であることを特徴とする請求項1に記載の押圧スイッチ用キートップの照光機構にある。
【0008】
本願請求項3に記載の発明は、前記遮蔽部材の表面には、装飾用の蒸着膜が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の押圧スイッチ用キートップの照光機構にある。
【0009】
本願請求項4に記載の発明は、前記押圧板上の前記発光素子を囲む位置に、キートップ内に侵入した静電気をアースするアース板を具備するアース機構を設置したことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の押圧スイッチ用キートップの照光機構にある。
【0010】
本願請求項5に記載の発明は、前記アース機構は、前記アース板と、前記押圧板上の前記発光素子を囲む位置に設置されその表面にアースパターンを設けたアース基板とを具備し、前記アース板の周囲の部分をアース基板のアースパターン上に当接して当接したアース板とアース基板を前記キートップ本体と押圧板との間に挟持する構造であることを特徴とする請求項4に記載の押圧スイッチ用キートップの照光機構にある。
【0011】
本願請求項6に記載の発明は、前記キートップ本体を挿通する開口を有する操作つまみを設置するとともに、操作つまみを操作することで電機的出力を変化する電気的機能部を設けることで前記押圧スイッチの周囲に別の電子部品を設置することを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5に記載の押圧スイッチ用キートップの照光機構にある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、透光性を有するキートップ本体の上面に遮蔽部材を取り付けたので、容易に透光性を有する材質からなるキートップ本体の上面を遮蔽できて遮蔽部材で覆われていない部分を照光できる。また遮蔽部材は透光性を有するキートップ本体とは別部材なので、遮蔽部材の材質としてこれを装飾するのに好適な材質を自由に選べ、これによって遮蔽した部分の装飾も容易に所望の装飾とすることができる。特に請求項3に記載の発明のように、遮蔽部材への装飾として好適な蒸着膜を容易に用いることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、遮蔽部材のキートップ本体への取り付けが確実に行える。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、発光素子及び発光素子に接続している電気回路への静電気の侵入を防止できる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、アース機構を簡単な構造で容易に構成できる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、操作つまみの開口内に露出するキートップ本体の上面の周囲の部分のみを容易にリング状に照光できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の1実施形態にかかる押圧スイッチ用キートップの照光機構を用いて構成した照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1の概略断面図、図2,図3,図4はその分解斜視図(これらの図面全体で1つの分解斜視図)である。これらの図に示すように照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1は、取付部材(以下「取付板」という)10の上に、スイッチ回路基板20と第1アース基板40とを載置し、その上部中央に照光機構付きの押圧スイッチ用キートップ50を設置し、押圧スイッチ用キートップ50の周囲を囲むように固定部材150を設置し、固定部材150上に連結部材210を介して操作つまみ(以下「揺動つまみ」という)190を取り付け、さらにその周囲にケース230を設置して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0018】
取付板10は金属板や合成樹脂板等からなる硬質板であり、その所定位置に4つの貫通する小孔からなる係合部11,12,13,14を設けている。
【0019】
スイッチ回路基板20は可撓性を有する例えばポリエチレンテレフタレートフイルム(PETフイルム)等の合成樹脂フイルム上に、中央の押圧スイッチ21とこの押圧スイッチ21を等間隔に囲む4つの押圧スイッチ23とを設け、且つ前記取付板10の各係合部11,12,13,14に対向する位置に貫通する4つの小孔からなる挿入部25,26,27,28を設けて構成されている。5つの押圧スイッチ21,23は、何れもスイッチ回路基板20上に形成した図示しない一対のスイッチパターン上に弾性金属板をドーム形状に形成した反転板(可動接点板)21A,23Aを取り付け、その際反転板21A,23Aの外周辺が一方のスイッチパターンに当接し、反転板21A,23Aの中央下面が他方のスイッチパターン上に所定距離離間して配置されるように構成されている。
【0020】
第1アース基板40は可撓性を有するPETフイルム等の合成樹脂フイルムの上面(スイッチ回路基板20に対向する面の裏面)の全面にこの合成樹脂フイルムを覆う金属箔からなるアースパターンを接着や蒸着等によって取り付けて構成されている。そして前記スイッチ回路基板20の各挿入部25,26,27,28に対向する位置に貫通する4つの小孔からなる挿入部41,42,43,44を設け、また前記スイッチ回路基板20の各反転板21A,23Aに対向する位置にも貫通する5つの孔からなる挿通部45を設けて構成されている。各挿通部45の内径は各反転板21A,23Aの外径よりも小さい。
【0021】
固定部材150は合成樹脂製であり、略筒状に形成された基部151の外周側面の略180°対向する位置から一対のアーム部171,181を突出して構成されている。基部151の内部は下記する押圧スイッチ用キートップ50を収納するキートップ収納部153となっており、キートップ収納部153の内側壁の略180°対向する位置の下部側の部分には上下に向かう凹状のガイド溝155,155が設けられている。基部151の外周のアーム部171とアーム部181の間の位置にはそれぞれ半径方向外側に向けて突出する舌片部157,157が設けられ、これら舌片部157の上面と前記両アーム部171,181の根元の上面からは小突起状の接続部159が突出している。また両アーム部171,181の根元の下面からは一対の突起状の係止部161(図2ではアーム部171側のもののみ示す)が突出している。また両アーム部171,181の先端部分には上下に円形に貫通する挿通孔163が設けられている。両係止部161は前記取付板10の係合部12,13に対向する位置に設けられ、両挿通孔163は前記取付板10の係合部11,14に対向する位置に設けられている。
【0022】
揺動つまみ190は合成樹脂(例えばABS樹脂)を略円板状に成形して構成されており、その中央に下記する押圧スイッチ用キートップ50のキートップ本体100を挿通する円形の上下に貫通する開口191を設け、その下面の4ヶ所(揺動つまみ190の開口191を中心として同一円周上の等間隔の位置)に略柱状の押圧部193を突設し、その外周下部から半径方向外側に向けてつば部197を突設している。各押圧部193の根元近傍部分の外周には180°対向する位置から外方に向けて突出する略平板状の固定部195が設けられている。
【0023】
連結部材210は可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばPETフイルム)を略リング状に形成して構成されており、内側に向けて等間隔に4つの舌片状の固定部材取付用の舌片部211を突出し、また同様に各舌片部211の間に内側に向けて等間隔に4つの舌片状のつまみ取付用の舌片部213を突出し、これら舌片部211,213にそれぞれ上下に貫通する取付孔215,217を設けている。取付孔215は前記固定部材150の接続部159を挿入する形状に形成され、取付孔217は前記揺動つまみ190の固定部195を含む押圧部193を挿入する形状に形成されている。この揺動つまみ190の少なくとも上面には所望の装飾が施され、この実施形態ではスパッタによる蒸着膜が形成されている。
【0024】
ケース230は合成樹脂製の板部材であり、その所定位置に筒状に上方向に突出してその下面側に電子部品収納部233を形成する突出部231を設けて構成されている。突出部231の上面中央には前記揺動つまみ190を露出する円形の開口235が設けられ、またケース230下面の前記固定部材150の一対の挿通孔163に対向する位置にはこれら挿通孔163に挿入される外径寸法の挿通突起237が突設されている。このケース230の少なくとも上面には所望の装飾が施され、この実施形態ではスパッタによる蒸着膜が形成されている。
【0025】
照光機構付きの押圧スイッチ用キートップ50は、図3に示すように、押圧板60上に発光素子77を取り付けてなる回路基板70と、アース基板(以下「第2アース基板」という)80と、アース板90と、キートップ本体100と、遮蔽部材120とを設置して構成されている。
【0026】
押圧板60は合成樹脂を略円板状に成形して構成されており、その下面中央には下方向に突出する柱状の押圧部61が設けられ、またその外周の180°対向する位置に切り欠き状に凹む一対の取付部63が設けられている。
【0027】
回路基板70は略円形の合成樹脂フイルム(例えばPETフイルム)上に所望の回路パターンを形成して構成されており、その中央にチップ状の発光素子77を取り付け、この発光素子77を透明な封止樹脂79で覆って封止・固定している。発光素子77には回路基板70上に形成した図示しない回路パターンが接続されている。また回路基板70の外径寸法は前記押圧板60の外径寸法と略同一であり、その外周から帯状の引出部71を引き出し、また押圧板60の両取付部63に対向する位置に一対の取付部73を設けている。一方の取付部73は切り欠き状であるが、他方の取付部73は引出部71中に位置するので貫通孔となっている。
【0028】
第2アース基板80は前記回路基板70と略同一外形寸法形状(円形)であって、可撓性を有する例えばPETフイルム等の合成樹脂フイルムの上面(回路基板70に対向する面の裏面)の全面にこの合成樹脂フイルムを覆う金属箔からなるアースパターンを接着や蒸着等によって取り付けて構成されている。そして前記回路基板70の各取付部73に対向する位置にこれらと同一形状の切り欠き及び貫通孔からなる一対の挿通部83を設け、また前記封止樹脂79に対向する位置に封止樹脂79(即ち発光素子77)を貫通する円形の開口87を設け、また回路基板70の引出部71に対向する位置にこれと略同一形状の帯状の引出部81を設けて構成されている。なおこの実施形態では図示はしないが、引出部71は前記第1アース基板40に連結され、両者は1枚の基板となっている。
【0029】
アース板90は金属板を略円形のリング状に形成した本体部91の外周の180°対向する位置から舌片状の当接部93を突出し、その根元部分で下方向に90°折り曲げた後に反対方向に90°折り曲げることによってその下面を当接面95として構成されている。アース板90の中央の開口96は円形である。
【0030】
キートップ本体100は透光性を有する合成樹脂(例えばPMMA樹脂)によって形成されており、略円筒状の側壁部101の上部を上面103で覆う形状に構成されている。側壁部101の下部外周の180°対向する位置からは半径方向外方に向けて舌片状のガイド突起105が突設されており、また上面103の中央には円形に凹む遮蔽部材収納部107が設けられている。上面103の遮蔽部材収納部107の底面には一対の円形の上面103を上下に貫通する開口部109が設けられている。また側壁部101の下端面の180°対向する位置からは一対の小突起状の取付固定部111(図3では手前側の一方のみ示す)が突設されている。両取付固定部111は前記押圧板60の両取付部63に対向する位置に設けられている。
【0031】
遮蔽部材120は不透光性の合成樹脂(例えばABS樹脂)を略円板状に成形して構成されており、その下面からは一対の円柱状の係止部121(図3では手前側の一方のみ示す)を突出している。各係止部121は前記キートップ本体100の開口部109に対向する位置にこれら開口部109に挿入される外径寸法で設けられている。そしてこの遮蔽部材120の少なくとも上面には、スパッタによって金属の蒸着膜が形成されている。蒸着膜の材質としてこの実施形態ではアルミニウム(Al)を用いているが、錫(Sn)等、他の各種蒸着材料を用いても良い(他の部材に形成する蒸着膜についても同様)。この実施形態において遮蔽部材120としてABS樹脂を用いたのは、蒸着膜の形成が容易だからである。なお前述のようにキートップ本体100を構成するPMMA樹脂表面への蒸着膜の形成は両者の相性から容易に行えない。
【0032】
ここでまず押圧スイッチ用キートップ50の組み立て方法を説明すると、まず前記キートップ本体100の遮蔽部材収納部107内に遮蔽部材120を収納し、その際遮蔽部材120の一対の係止部121をそれぞれキートップ本体100の開口部109に挿入し、係止部121の先端を熱カシメによって潰して両者を一体化する。次にキートップ本体100の下面にアース板90と第2アース基板80と回路基板70と押圧板60を設置し、その際キートップ本体100の一対の取付固定部111を第2アース基板80の各挿通部83と、回路基板70の各取付部73と、押圧板60の各取付部63に挿入し、その先端を押圧板60の下面で熱カシメしてこれら各部材を一体化する。このときアース板90の周囲の部分である両当接部93は第2アース基板80上面のアースパターンに当接し、当接したアース板90と第2アース基板80の上下がキートップ本体100と押圧板60との間に挟持される構造となる。またキートップ本体100のガイド突起105の真下にアース板90の当接部93が一致して位置している。
【0033】
次に固定部材150と揺動つまみ190間を連結部材210によって連結する。即ち連結部材210を固定部材150上に配置し、その際固定部材150の各接続部159を連結部材210の各取付孔215に挿入し、連結部材210の上面側に突出する各接続部159の部分を熱カシメして両者を一体に固定する。次に揺動つまみ190の下面に前記固定部材150を取り付けた連結部材210を配置し、その際連結部材210の各取付部217に揺動つまみ190の各押圧部193を挿入し、連結部材210の下面側に突出する各固定部195の部分を熱カシメして両者を一体に固定する。これによって揺動つまみ190は固定部材150に揺動自在に取り付けられる。
【0034】
そして固定部材150と連結部材210を取り付けた揺動つまみ190をケース230の下面側から電子部品収納部233内に収納し、揺動つまみ190の上部を開口235から突出する。同時にケース230の下面から突出する各挿通突起237を固定部材150の各挿通孔163に挿入して貫通する。次に固定部材150の下面側からそのキートップ収納部153内に前記組み立てた押圧スイッチ用キートップ50を挿入し、その際キートップ本体100の一対のガイド突起105をキートップ収納部153内の一対のガイド溝155に上下動自在に挿入する。そして第1アース基板40とスイッチ回路基板20とを載置した取付板10を、前記ケース230の下面に配置し、その際前記固定部材150の各挿通孔163を貫通した前記ケース230の各挿通突起237と、固定部材150の各係止部161とを、それぞれ第1アース基板40の各挿入部41,42,43,44とスイッチ回路基板20の各挿入部25,26,27,28と取付板10の各係合部11,12,13,14に挿入し、取付板10の下面に突出した前記ケース230の各挿通突起237の先端を熱カシメによって固定する。
【0035】
これによって図1に示す照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1が完成する。この照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1における押圧スイッチ用キートップ50の照光機構は図1に示すように、中央の押圧スイッチ21上にこの押圧スイッチ21を押圧する押圧板60を設置すると共に、押圧板60上に発光素子77を取り付け、さらに発光素子77の上部を覆う透光性を有するキートップ本体100を取り付け、キートップ本体100の上面中央に遮蔽部材120を取り付けることで構成されている。ここで遮蔽部材120のキートップ本体100への取り付けは、キートップ本体100の上面103に設けた上下に貫通する開口部109に遮蔽部材120に設けた係止部121を挿入して取り付けることによって行われている。また押圧板60上の発光素子77を囲む位置(具体的には発光素子77を囲む周囲の上方の位置)には、キートップ本体100内に侵入してくる静電気をアースするアース板90が設置され、さらに具体的にアース機構は、アース板90の他に、前記押圧板60上の前記発光素子77を囲む位置(具体的には発光素子77を囲む周囲の略同一平面位置)に設置されその表面にアースパターンを設けたアース基板80を具備して構成されている。またこの照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1は、前記キートップ本体100を挿通する開口191を有する揺動つまみ190を設置するとともに、揺動つまみ190を操作(揺動)することで電気的出力(オンオフ出力)を変化する電気的機能部(押圧部193と押圧スイッチ23とで構成される)を設けることで中央の押圧スイッチ21(又は押圧スイッチ21に押圧スイッチ用キートップ50を含めた照光型押圧式電子部品)の周囲に別の電子部品(揺動式電子部品)を設置して構成されている。
【0036】
以上のように構成された照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1において、押圧スイッチ用キートップ50の上面(即ち遮蔽部材120の上面)を押圧すれば、押圧スイッチ用キートップ50全体が下降し、押圧板60に設けた押圧部61が押圧スイッチ21を押圧してその反転板23Aを反転してこれをオンする。前記押圧スイッチ用キートップ50への押圧を解除すれば、反転板23Aは元の形状に自動復帰し、押圧スイッチ21はオフする。一方揺動つまみ190は固定部材150に対して連結部材210を介して各方向に揺動自在に支持されているので、揺動つまみ190上面の所定部分を押圧すると、押圧した部分の真下の押圧部193がこれに対向する何れかの押圧スイッチ23を押圧してその反転板23Aを反転してオンする。前記揺動つまみ190への押圧を解除すれば、反転板23Aは元の形状に自動復帰し、押圧スイッチ23はオフする。
【0037】
一方発光素子77を発光すれば、その光はアース板90に設けた開口96を通してキートップ本体100内に照射され、遮蔽部材120によって覆われていない遮蔽部材120の周囲のキートップ本体100の上面103部分からその上方に向けて放射され、このキートップ本体100をリング状に明るく照らし出す。
【0038】
ところで押圧スイッチ用キートップ50又は揺動つまみ190の上面に帯電した指等が接近又は接触した場合、その静電気は遮蔽部材120とキートップ本体100の上面103の間及び係止部121と開口部109の間の僅かな隙間を通ってキートップ本体100内部の発光素子77が収納されている空間内に到達する。しかしながらこの静電気は、発光素子77よりも上方に位置するアース板90に放電され、アース基板80のアースパターンを介して外部に導出されてアースされる。従って前記静電気が発光素子77及びこれに接続している回路基板70上の回路パターンに入射する恐れはない。なお揺動つまみ190の開口191とキートップ本体100の間の隙間からキートップ本体100の外周面に沿って回路基板70の外周部分に入射しようとする静電気は、回路基板70の外周上面に囲むように設置されているアース基板80のアースパターンに直接入射し、従ってこの静電気も回路基板70の回路パターンに入射することはない。また揺動つまみ190の開口191とキートップ本体100の間の隙間や、ケース230の開口235と揺動つまみ190の間の隙間から侵入してスイッチ回路基板20に向かう静電気は、スイッチ回路基板20上を覆うアース基板40のアースパターンによってアースされるので、スイッチ回路基板20上の回路パターンにも静電気が入射することはない。
【0039】
上記実施形態においてキートップ本体100とは別部品としてその上面中央を覆う遮蔽部材120を取り付けたのは、前述のように透明なキートップ本体100の材質(例えばPMMA樹脂)に直接スパッタによる蒸着を行うことが材質の性質上うまく行えないからであり、このため蒸着が容易に行える材質(例えばABS樹脂)の遮蔽部材120を別途取り付けたのである。そしてこの実施形態では遮蔽部材120のキートップ本体100への取り付けを確実にするため、キートップ本体100の上面103に設けた上下に貫通する開口部109に遮蔽部材120に設けた係止部121を挿入して取り付ける構造としている。このような構造とすることで開口部109の隙間から前述のように静電気が侵入する恐れが生じるが、この不都合を解消するためにアース機構を設けている。なお前記開口部109に隙間が生じないようにするには、二材成形、即ち遮蔽部材120を成形した金型の一部を変更して遮蔽部材120を内蔵する金型内にキートップ本体100を成形する方法を用いれば良い。このように構成すれば、キートップ本体100と遮蔽部材120の間はぴったり密着して隙間は生じず、両者の間から静電気が侵入することはない。しかしながら二材成形を用いると、二材成形を行ってキートップ本体100と遮蔽部材120とを一体に成形した後に別途遮蔽部材120の表面のみにスパッタによる蒸着工程を行わなければならず、上記実施形態のように予め成形した単独の遮蔽部材120の表面にスパッタ蒸着を行ったものをキートップ本体100に機械的に取り付ける工程に比べて全体の製造工程が煩雑になってしまう。また二材成形用に用いる金型は高価である。これらのことから上記実施形態では二材成形を用いず、遮蔽部材120をキートップ本体100に機械的に取り付けることとし、その代りに開口部109の隙間からキートップ本体100内に侵入してくる静電気をアース板90等によって構成されるアース機構で除去するように構成したのである。なお上記実施形態ではキートップ本体100に設けた開口部109に遮蔽部材120に設けた係止部121を熱カシメによって取り付ける取付構造を示したが、例えば係止部121に弾性を持たせると共にその先端に爪を設けてキートップ本体100の開口部109内に挿入した係止部121の先端の爪を開口部109の下側の面に係止するいわゆるスナップイン係合による取付構造等、他の種々の取付構造を用いても良い。
【0040】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態ではアース板90のリング状の平板からなる本体部91を、押圧板60上の発光素子77よりも所定寸法上方に設置して発光素子77をリング状に囲むようにしているが、アース板90の形状は種々の変形が可能であり、例えばリング状の平板からなる本体部91の外周辺を下方向に筒状に伸ばして側壁部を設けてもよい。要はキートップ本体100内に侵入してくる静電気を入射してアースする形状・構造のアース板90であればよい。また上記実施形態においては、押圧スイッチ用キートップ50を用いて構成される照光型押圧式電子部品の周囲に別の電子部品である揺動式電子部品を設置した照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1を例に説明したが、揺動式電子部品の部分を省略して照光型押圧式電子部品を単独のものとして構成しても良い。また上記実施形態では遮蔽部材120の上面にスパッタによる蒸着膜を形成したが、他の製法による蒸着膜でもよく、また蒸着以外の各種塗布手段や印刷手段等による各種塗布膜や印刷膜等を形成してもよく、さらには蒸着膜等を設けず遮蔽部材120自体の材質の色彩をそのまま上面に露出しても良い。また他の電子部品は揺動式電子部品に限られず、回転式電子部品等、他の各種電子部品でも良い。回転式電子部品の場合、押圧スイッチ用キートップ50の周囲に回動自在に操作つまみを設置し、また操作つまみの回動によってその電気的出力を変化する電気的機能部(例えば摺動子と摺接パターンからなる)を設置する。また上記実施形態では、遮蔽部材120を円形としたが、多角形状や十字形状等、他のどのような形状でも良い。要はキートップ本体の上面に取り付けられ、発光素子から発射される光によって遮蔽部材に覆われていないキートップ本体部分を照光することができる形状であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1の概略断面図である。
【図2】照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1の分解斜視図(その一部)である。
【図3】照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1の分解斜視図(その一部)である。
【図4】照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品1の分解斜視図(その一部)である。
【符号の説明】
【0042】
1 照光型押圧式電子部品付き揺動式電子部品
10 取付板
20 スイッチ回路基板
21 押圧スイッチ
23 押圧スイッチ
40 第1アース基板
50 押圧スイッチ用キートップ
60 押圧板
61 押圧部
70 回路基板
77 発光素子
80 第2アース基板(アース機構)
90 アース板(アース機構)
93 当接部
100 キートップ本体
103 上面
109 開口部
120 遮蔽部材
121 係止部
150 固定部材
190 揺動つまみ(操作つまみ)
191 開口
193 押圧部
210 連結部材
230 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧スイッチ上にこの押圧スイッチを押圧する押圧板を設置すると共に、押圧板上に発光素子を取り付け、さらに発光素子の上部を覆う透光性を有するキートップ本体を取り付け、キートップ本体の上面に遮蔽部材を取り付けることで前記発光素子から発射される光によって遮蔽部材に覆われていないキートップ本体部分を照光することを特徴とする押圧スイッチ用キートップの照光機構。
【請求項2】
前記遮蔽部材のキートップ本体への取付構造は、キートップ本体に設けた上下に貫通する開口部に前記遮蔽部材に設けた係止部を挿入して取り付ける取付構造であることを特徴とする請求項1に記載の押圧スイッチ用キートップの照光機構。
【請求項3】
前記遮蔽部材の表面には、装飾用の蒸着膜が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の押圧スイッチ用キートップの照光機構。
【請求項4】
前記押圧板上の前記発光素子を囲む位置に、キートップ内に侵入した静電気をアースするアース板を具備するアース機構を設置したことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の押圧スイッチ用キートップの照光機構。
【請求項5】
前記アース機構は、前記アース板と、前記押圧板上の前記発光素子を囲む位置に設置されその表面にアースパターンを設けたアース基板とを具備し、前記アース板の周囲の部分をアース基板のアースパターン上に当接して当接したアース板とアース基板を前記キートップ本体と押圧板との間に挟持する構造であることを特徴とする請求項4に記載の押圧スイッチ用キートップの照光機構。
【請求項6】
前記キートップ本体を挿通する開口を有する操作つまみを設置するとともに、操作つまみを操作することで電機的出力を変化する電気的機能部を設けることで前記押圧スイッチの周囲に別の電子部品を設置することを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5に記載の押圧スイッチ用キートップの照光機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−141503(P2007−141503A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330031(P2005−330031)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】