説明

振動デバイス、および電子機器

【課題】低周波数化および小型化を図ることができる振動片を用いた振動デバイス、およびその振動デバイスを用いた電子機器を提供すること。
【解決手段】振動デバイスとしての圧電発振器5に用いられている振動片2は、基部27と、基部27からY軸方向に延出する振動腕28と、基部27から振動腕28とは反対側にY軸方向に延出する振動腕29とを有し、振動腕28および振動腕29は、一方の振動腕の基端部と他方の振動腕の途中部とがY軸方向に直交するX軸方向に並んで設けられている。また、振動腕28の先端部には、振動腕28の基端部よりもX軸方向での幅の大きい質量部281が設けられ、振動腕29の先端部には、振動腕29の基端部よりもX軸方向での幅の大きい質量部291が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動片を用いた振動デバイス、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器等の振動デバイスとしては、複数の振動腕を備える音叉型の振動片を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に記載の振動片は、基部と、この基部から互いに平行となるように延出する2つの振動腕とを有する。そして、2つの振動腕をこれらが並ぶ方向(面内方向)に互いに反対側に屈曲振動させる。
【0003】
また、特許文献1に記載の振動片では、振動腕の先端部を幅広にすることにより、振動腕の先端部の質量を大きくしている。これにより、振動腕の長さを短くし、振動腕の長手方向における振動片の寸法を小さくすることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の振動片では、2つの振動腕が互いに平行となるように同方向に延出しているので、前述したように各振動腕の先端部を幅広にすると、2つの振動腕同士の衝突を避けるためにこれらの離間距離を大きくしなければならない。そのため、振動腕の幅方向における振動片の寸法が大きくなり、その結果、振動片の小型化を十分に図ることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−39767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、低周波数化および小型化を図ることができる振動片有する振動デバイスおよびそれを用いた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例の振動デバイスは、振動片と、前記振動片と電気的に接続される駆動回路部と、を備え、前記振動片は、基部と、前記基部から第1の方向に沿って延出する第1の振動腕と、前記基部から前記第1の振動腕とは反対側に前記第1の方向に沿って延出する第2の振動腕とを有し、前記第1の振動腕および前記第2の振動腕は、一方の振動腕の基端部と他方の振動腕の途中部とが前記第1の方向に直交する第2の方向に並んで設けられていることを特徴とする。
【0007】
これにより、第1の振動腕と第2の振動腕との第2の方向にける離間距離を抑えつつ、第1の振動腕および第2の振動腕の先端部をそれぞれ幅広にしても、第1の振動腕と第2の振動腕とが衝突するのを防止することができる。その結果、振動片の第2の方向での寸法を抑えることができる。
また、第1の振動腕および第2の振動腕が互いに第2の方向に並んで設けられているので、振動片の第1の方向での寸法が大型化するのも防止することができる。
また、振動片をその中心あるいは重心付近で支持・固定することができる。そのため、振動片の実装面積が小さく、この点でも、小型化を図ることができる。
このようなことから、本適用例の振動片は、低周波数化および小型化を図ることができる。
さらに、本適用例に記載の振動デバイスは、上記振動片と、上記振動片に電気的に接続された駆動回路部を備えているため、低周波数化および小型化を図ることができる。
【0008】
[適用例2]
本適用例の振動デバイスでは、前記第1の振動腕の先端部には、該第1の振動腕の前記基端部よりも幅の大きい第1の質量部が設けられ、前記第2の振動腕の先端部には、該第2の振動腕の基端部よりも幅の大きい第2の質量部が設けられていることが好ましい。
これにより、第1の振動腕および第2の振動腕の先端部の質量をそれぞれ大きくすることができる。その結果、第1の振動腕および第2の振動腕の長さをそれぞれ抑え、振動片の第1の方向での寸法を抑えることができる。また、第1の振動腕および第2の振動腕の振動周波数をそれぞれ低めることもできる。
【0009】
[適用例3]
本適用例の振動デバイスでは、前記第1の振動腕の先端部には第1の質量部が設けられ、前記第2の振動腕の先端部には第2の質量部が設けられ、前記第1の質量部は、前記第1の振動腕の前記基端部よりも横断面積が大きく、前記第2の質量部は、前記第2の振動腕の前記基端部よりも横断面積が大きいことが好ましい。
これにより、第1の振動腕および第2の質量部の先端部の質量をそれぞれ大きくすることができる。
【0010】
[適用例4]
本適用例の振動デバイスでは、前記第1の質量部および前記第2の質量部は、それぞれ、前記第2の方向を長手とする長手形状をなしていることが好ましい。
これにより、第1の振動腕および第2の振動腕の長さを抑えつつ、第1の質量部および第2の質量部の質量を大きくすることができる。
【0011】
[適用例5]
本適用例の振動デバイスでは、前記第1の質量部および前記第2の質量部は、互いの両端部同士が前記第1の方向に並んで設けられていることが好ましい。
これにより、第1の質量部および第2の質量部の幅をそれぞれ大きくしても、振動片の第2の方向での寸法を抑えることができる。
【0012】
[適用例6]
本適用例の振動デバイスでは、前記基部は、前記第1の方向および前記第2の方向のそれぞれの方向成分を有する方向に延在する長尺状をなし、前記第1の振動腕は、前記基部の一端部から延出し、前記第2の振動腕は、前記基部の他端部から延出していることが好ましい。
これにより、基部の第2の方向での寸法を抑えつつ、第1の振動腕および第2の振動腕をそれぞれ基部から延出させることができる。
【0013】
[適用例7]
本適用例の振動デバイスでは、前記基部は、本体部と、該本体部の前記第1の方向での一端部から前記第2の方向に沿って延出する第1の接続部と、前記本体部の前記第1の方向での他端部から前記第1の接続部とは反対側に前記第2の方向に沿って延出する第2の接続部とを有し、前記第1の振動腕は、前記第1の接続部から延出し、前記第2の振動腕は、前記第2の接続部から延出していることが好ましい。
これにより、第1の振動腕および第2の振動腕の振動特性に対する基部の形状の影響を抑えることができる。そのため、振動片の振動特性を優れたものとするとともに、振動片の設計が容易となる。
【0014】
[適用例8]
本適用例の振動デバイスでは、前記第1の振動腕および前記第2の振動腕は、それぞれ、前記第2の方向に屈曲振動されることが好ましい。
これにより、振動漏れの少ない振動片を実現することができる。
[適用例9]
本適用例の振動デバイスでは、前記第1の振動腕および前記第2の振動腕は、互いに同方向に屈曲振動されることが好ましい。
これにより、振動漏れをより抑えることができる。
【0015】
[適用例10]
本適用例の振動デバイスでは、前記基部は、前記第3の方向から見たときに、回転対称形状をなしていることが好ましい。
これにより、振動片を重心付近で安定的に支持・固定することができる。
[適用例11]
本適用例の電子機器は、上記適用例に記載の振動デバイスを備えていることを特徴とする。
これにより、低周波数化および小型化を図ることができる振動デバイスを用いることから、小型な電子機器を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
【図2】図1に示す振動デバイスを示す上面図である。
【図3】図2中のA−A線断面図である。
【図4】図2に示す振動片の作用を説明する上面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る振動デバイスを示す上面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る振動デバイスを示す上面図である。
【図7】本発明に係る電子機器の一例としての携帯電話機の概略を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る電子機器の一例としての携帯電話機の回路ブロック図である。
【図9】本発明に係る電子機器の一例としてのパーソナルコンピューターの概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の振動デバイス、およびその振動デバイスを用いた電子機器を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る振動デバイスとしての圧電発振器を示す断面図、図2は、図1に示す圧電発振器に備えられた振動片を示す上面図、図3は、図2中のA−A線断面図、図4は、図2に示す振動片の作用を説明する上面図である。
【0018】
なお、各図1〜4では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示している。また、以下では、X軸に平行な方向(第2の方向)を「X軸方向」、Y軸に平行な方向(第1の方向)をY軸方向、Z軸に平行な方向(第3の方向)をZ軸方向と言う。また、以下の説明では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
図1に示す振動デバイスとしての圧電発振器5は、振動片2と、振動片2と電気的に接続され、少なくとも振動片2を駆動させる機能を有する駆動回路部としての半導体素子50と、振動片2および半導体素子50を収納するパッケージ3と、を有する。
【0019】
以下、圧電発振器5を構成する各部を順次詳細に説明する。
(振動片)
まず、振動片2について説明する。
振動片2は、図1、2に示すように、振動基板21と、この振動基板21上に設けられた接続電極41、42とを有している。また、振動片2は、図3に示すように、振動基板21上に設けられた励振電極群22、23を有している。なお、図1、2、4では、励振電極群22、23の図示を省略している。
振動基板21は、基部27と、2つ(1対)の振動腕28、29とを有している。
振動基板(圧電体基板)21は、圧電体材料で構成されている。
【0020】
例えば、かかる圧電体材料としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。特に、振動基板21を構成する圧電体材料としては水晶が好ましい。水晶で振動基板21を構成すると、振動基板21の振動特性を優れたものとすることができる。また、エッチングにより高い寸法精度で振動基板21を形成することができる。
このような振動基板21において、基部27は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれの方向成分を有する方向に延在する長手形状をなしている。
【0021】
この基部27の上面上には、その長手方向での中央部に、接続電極42が設けられている。一方、基部27の下面上には、その長手方向での中央部に、接続電極41が設けられている。そして、後述するように、基部27の長手方向での中央部が導電性接着剤36を介してパッケージ3のベース基板31に固定されている。なお、基部27は、その長手方向での両端部がベース基板31に固定されていてもよい。
このような基部27は、Z軸方向から見たときに(すなわち平面視したとき)、振動基板21の中心点Pを中心として回転対称形状をなしている。これにより、振動基板21全体を回転対称な形状とすることができる。そのため、前述したように、振動片2を重心付近で安定的に支持・固定することができる。
【0022】
また、本実施形態では、基部27の幅は、後述する各振動腕28、29の幅とほぼ等しくなっている。そのため、2つの振動腕28、29に伴って、基部27の一部(具体的には、本実施形態では基部27の両端部)を振動させることができる。これにより、振動腕28、29を長尺化したのと同様の効果(低周波数化等)を発揮させることができる。なお、基部27の幅は、各振動腕28、29の幅よりも狭くてもよいし、各振動腕28、29の幅よりも広くてもよい。基部27の幅が各振動腕28、29の幅よりも狭い場合、基部27の幅が各振動腕28、29の幅と等しい場合に比し、2つの振動腕28、29に伴う基部27の両端部の振動を大きくすることができる。一方、基部27の幅が各振動腕28、29の幅よりも広い場合、基部27の幅が各振動腕28、29の幅と等しい場合に比し、2つの振動腕28、29に伴う基部27の両端部の振動を抑えることができる。
【0023】
また、基部27のY軸方向での長さは、各振動腕28、29の先端部(質量部281、291)に接触しない程度に設定されていれば、特に限定されないが、本実施形態では、振動腕28または振動腕29のY軸方向での全体の長さから質量部281または質量部291のY軸方向での長さを差し引いた長さとほぼ等しくあるいは若干短く設定される。
また、基部27のX軸方向での長さは、各振動腕28、29が屈曲振動しても基部27に接触しない程度に設定されていれば、特に限定されないが、X軸方向における振動片2の寸法を抑える観点から、できるだけ短くするのが好ましい。また、基部27の長手方向と振動腕28、29の長手方向(Y軸方向)とのなす角度は、45°以下であるのが好ましい。
このような基部27の一端部(図2にて左側の端部)には、振動腕(第1の振動腕)28が接続され、一方、基部27の他端部(図2にて右側の端部)には、振動腕(第2の振動腕)29が接続されている。
【0024】
2つの振動腕28、29は、基部27から互いに反対側にY軸方向に延出して設けられている。より詳細には、振動腕28は基部27から+Y軸方向に延出して設けられている。また振動腕29は、基部27から+Y軸方向と反対の方向である−Y軸方向に延出して設けられている。
また、振動腕28および振動腕29は、一方の振動腕の基端部と他方の振動腕の途中部(先端部と基端部との間の部分)とがX軸方向に並んで設けられている。すなわち、振動腕28の基端部と振動腕29の途中部とがX軸方向に並ぶとともに、振動腕29の基端部と振動腕28の途中部とがX軸方向に並んでいる。
【0025】
このように基部27および振動腕28、29を配置することにより、振動腕28および振動腕29の先端部をそれぞれ幅広にしても、振動腕28と振動腕29とのX軸方向にける離間距離を抑えつつ、振動腕28と振動腕29とが衝突するのを防止することができる。その結果、振動片2のX方向での寸法を抑えることができる。また、振動片2の振動の低周波数化を図ることもできる。
【0026】
また、振動腕28および振動腕29が互いにX軸方向に並んで設けられているので、振動片2のY軸方向での寸法が大型化するのも防止することができる。
この振動腕28、29は、それぞれ、長手形状をなし、その基部27側の端部(基端部)が固定端となり、基部27と反対側の端部(先端部)が自由端となる。
また、振動腕28、29は、互いに同じ幅となるように形成されている。これにより、振動腕28、29を互いに反対方向に(逆相で)振動させたとき、振動漏れを少なくすることができる。
【0027】
また、振動腕28の先端部には、振動腕28の基端部よりもX軸方向での幅の大きい質量部(第1の質量部)281が設けられている。同様に、振動腕29の先端部には、振動腕29の基端部よりもX軸方向での幅の大きい質量部(第2の質量部)291が設けられている。また、質量部281は、振動腕28の基端部よりも横断面積が大きく、質量部291は、振動腕29の基端部よりも横断面が大きい。これにより、振動腕28、29の先端部の質量をそれぞれ大きくすることができる。その結果、振動腕28、29の長さをそれぞれ抑え、振動片2のY軸方向での寸法を抑えることができる。また、振動腕28、29の振動周波数をそれぞれ低めることもできる。
また、質量部281、291は、それぞれ、X軸方向を長手とする長手形状をなしている。これにより、振動腕28、29の長さをそれぞれ抑えつつ、質量部281、291の質量をそれぞれ大きくすることができる。
【0028】
また、図3に示すように、振動腕28の上面(主面)には、Y軸方向に延在する溝282が形成され、振動腕28の下面(主面)には、Y軸方向に延在する溝283が形成されている。これにより、振動腕28の横断面は、H字状をなしている。ここで、振動腕28の上面および下面は、Z軸方向を法線とする面であって、互いに対向している。また、振動腕28の1対の側面は、X軸方向を法線とする面であって、互いに対向している。
【0029】
同様に、振動腕29の上面(主面)には、Y軸方向に延在する溝292が形成され、振動腕29の下面(主面)には、Y軸方向に延在する溝293が形成されている。これにより、振動腕29の横断面は、H字状をなしている。ここで、振動腕29の上面および下面は、Z軸方向を法線とする面であって、互いに対向している。また、振動腕29の1対の側面は、X軸方向を法線とする面であって、互いに対向している。
【0030】
なお、各振動腕28、29の横断面形状は、前述したH字状に限定されず、例えば、矩形をなしていてもよい。
図3に示すように、このような振動腕28上には、励振電極群22が設けられ、また、振動腕29上には、励振電極群23が設けられている。
励振電極群22は、通電により振動腕28を屈曲振動(励振)させる機能を有する。また、励振電極群23は、通電により振動腕29を屈曲振動(励振)させる機能を有する。
【0031】
このような励振電極群22は、前述した振動腕28の上面(より具体的には溝282の壁面)上に設けられた励振電極221と、振動腕28の下面(より具体的には溝283の壁面)上に設けられた励振電極222と、振動腕28の一方の側面上に設けられた励振電極223と、振動腕28の他方の側面上に設けられた励振電極224とで構成されている。
励振電極221、222、223、224は、それぞれ、前述した溝282、283に沿って延在している。
【0032】
同様に、励振電極群23は、前述した振動腕29の上面(より具体的には溝292の壁面)上に設けられた励振電極231と、振動腕29の下面(より具体的には溝293の壁面)上に設けられた励振電極232と、振動腕29の一方の側面上に設けられた励振電極233と、振動腕29の他方の側面上に設けられた励振電極234とで構成されている。
励振電極231、232、233、234は、それぞれ、前述した溝292、293に沿って延在している。
このような励振電極221、222、233、234は、図示しない配線を介して後述する接続電極41に電気的に接続されている。また、励振電極223、224、231、232は、図示しない配線を介して後述する接続電極42に電気的に接続されている。
【0033】
このような構成の振動片2においては、接続電極41と接続電極42との間に電圧が印加されると、励振電極221、222、233、234と、励振電極223、224、231、232が逆極性となるようにして、振動腕28、29にそれぞれX軸方向成分を含む方向の電圧が印加される。そして、圧電材料の逆圧電効果により、ある一定の周波数(共鳴周波数)で各振動腕28、29を屈曲振動させることができる。
このとき、振動腕28、29は、互いに反対側にX軸方向に屈曲振動される。これにより、振動漏れの少ない振動片2を実現することができる。
【0034】
また、図4に示すように、振動腕28および振動腕29は、互いに同方向に屈曲振動される。すなわち、振動腕28、29は、図4(a)に示すように、振動腕28の先端部が振動腕29から離間する方向に屈曲するとともに、振動腕29の先端部が振動腕28に接近する方向に屈曲する第1の状態と、図4(b)に示すように、振動腕28の先端部が振動腕29に接近する方向に屈曲するとともに、振動腕29の先端部が振動腕28から離間する方向に屈曲する第2の状態とを交互に繰り返すように、屈曲振動する。これにより、各振動腕28、29の屈曲振動に伴って基部27に生じる振動(漏れ振動)を互いに相殺させることができる。そのため、振動漏れをより抑えることができる。特に、各振動腕28、29の屈曲振動に伴って基部27全体が所定の軸を中心として周期的に往復回動する振動(回転振動)を抑えることができる。
【0035】
また、各振動腕28、29が屈曲振動すると、接続電極41、42間には、圧電材料の圧電効果により、ある一定の周波数で電圧が発生する。これらの性質を利用して、振動片2は、共鳴周波数で振動する電気信号を発生させることができる。
このような励振電極群22、23、接続電極41、42および配線(図示せず)は、それぞれ、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、金、金合金、クロム、クロム合金、金等の導電性に優れた金属材料により形成することができる。
また、これらの電極等の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理成膜法、CVD等の化学蒸着法、インクジェット法等の各種塗布法等が挙げられる。
【0036】
(パッケージ)
次に、振動片2および半導体素子50を収容・固定するパッケージ3について説明する。
パッケージ3は、図1に示すように、凹部55が形成された板状のベース基板31と、枠状の枠部材32と、板状の蓋部材33とを有している。ベース基板31、枠部材32および蓋部材33は、下側から上側へこの順で積層されており、ベース基板31と枠部材32、および、枠部材32と蓋部材33は、それぞれ、接着剤あるいはろう材等により接合されている。そして、パッケージ3は、ベース基板31、枠部材32および蓋部材33で画成された内部空間Sに、振動片2と半導体素子50とを収納している。なお、パッケージ3内には、振動片2および半導体素子50の他、振動片2を駆動に係る電子部品等を収納することもできる。
【0037】
ベース基板31の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス材料、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
また、枠部材32および蓋部材33の構成材料としては、例えば、ベース基板31と同様の構成材料、Al、Cuのような各種金属材料、各種ガラス材料等を用いることができる。特に、蓋部材33の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた場合、振動片2に予め金属被覆部(図示せず)を形成しておくと、振動片2をパッケージ3内に収容した後であっても、蓋部材33を介して前記金属被覆部にレーザーを照射し、前記金属被覆部を除去して振動片2の質量を減少させることにより(質量削減方式により)、振動片2の周波数調整を行うことができる。
【0038】
また、ベース基板31の上面には、一対の電極35a、35bが内部空間Sに露出するように形成されている。この電極35aの上には、導電性粒子を含有するエポキシ系、ポリイミド系等の導電性接着剤36が塗布されて(盛られて)おり、さらに、この導電性接着剤36上に、前述した振動片2が載置されている。これにより、振動片2(基部27)が電極35a(ベース基板31)に確実に固定される。
【0039】
なお、この固定は、導電性接着剤36が振動片2の接続電極41に接触するように、振動片2を導電性接着剤36上に載置して行う。これにより、導電性接着剤36を介して、振動片2がベース基板31に固定されるとともに、接続電極41と電極35aが導電性接着剤36を介して電気的に接続される。
この導電性接着剤36は、Z軸方向から見たときに、振動片2の重心付近に位置している。これにより、振動片2をY軸方向における一部分にてパッケージ3に対して固定する場合であっても、振動片2をパッケージ3に対して安定的に固定することができる。
【0040】
また、電極35bは、例えばワイヤーボンディング技術により形成された金属ワイヤー(ボンディングワイヤー)37を介して、前述した接続電極42に電気的に接続されている。
【0041】
また、ベース基板31には、周囲を壁面が形成され凹部底面53を有する凹部55が設けられている。凹部底面53には、複数のリード電極51が形成されている。半導体素子50は、金属バンプ52を介して複数のリード電極51と接続されている。なお、半導体素子50とリード電極51とを例えばワイヤーボンディング技術により形成された金属ワイヤー(ボンディングワイヤー)を介して電気的に接続してもよい。
また、リード電極51とマウント電極35a、35bとは、図示しない回路配線で電気的に接続されている。
また、ベース基板31の下面には、4つの外部端子34a、34b、34c、34dが設けられている。
【0042】
これら4つの外部端子34a、34b、34c、34dは、それぞれ、ベース基板31に形成されたビアホールに設けられた導体ポスト(図示せず)を介して図示しない回路配線に電気的に接続されたホット端子である。なお、外部端子34a〜34dのうちのいずれかが、パッケージ3を実装用基板に実装するときに、接合強度を高めたり、パッケージ3と実装用基板との間の距離を均一化したりするためのダミー端子として用いられる場合もある。
このような電極35a、35b、リード電極51、および外部端子34a〜34dは、それぞれ、例えば、タングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことで形成することができる。
【0043】
なお、電極35aと接続電極41とを例えばワイヤーボンディング技術により形成された金属ワイヤー(ボンディングワイヤー)を介して電気的に接続してもよい。この場合、導電性接着剤36に代えて、導電性を有しない接着剤を介して、振動片2をベース基板31に対して固定することができる。また、パッケージ3内部に電子部品を収納した場合、ベース基板31の下面には、必要に応じて、電子部品の特性検査や、電子部品内の各種情報(例えば、振動デバイスの温度補償情報)の書き換え(調整)を行うための書込端子が形成されていてもよい。
【0044】
以上説明したような第1実施形態によれば、2つの振動腕28、29が基部27から互い反対側に延出し、一方の振動腕の基端部と他方の振動腕の途中部とがX軸方向に並んでいるので、振動腕28および振動腕29の先端部をそれぞれ幅広にしても、振動腕28と振動腕29とのX軸方向にける離間距離を抑えつつ、振動腕28と振動腕29とが衝突するのを防止することができる。その結果、振動片2のX方向での寸法を抑えることができる。
【0045】
また、振動腕28および振動腕29が互いにX軸方向に並んで設けられているので、振動片2のY軸方向での寸法が大型化するのも防止することができる。
また、振動片2をその中心あるいは重心付近で支持・固定することができる。そのため、振動片2の実装面積が小さく、この点でも、小型化を図ることができる。
また、このような振動片2をパッケージ3内に収納した振動デバイスとしての圧電発振器5についても、低周波数化および小型化を図ることができる。
【0046】
<第2実施形態>
次に、本発明の振動デバイスとしての圧電発振器の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る振動デバイスとしての圧電発振器を示す上面図である。
以下、第2実施形態の圧電発振器について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態の振動デバイスは、振動片の基部の構成が異なる以外は、第1実施形態とほぼ同様である。なお、図5では、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0047】
本実施形態の振動デバイスとしての圧電発振器1Aは、図5に示すように、パッケージ3内に収納された振動片2Aを有する。
振動片2Aは、振動基板21Aを有し、この振動基板21A上には、図示しないが、励振電極群および接続電極が設けられている。
振動基板21Aは、基部27Aと、2つ(1対)の振動腕28、29とを有している。
基部27Aは、本体部271と、1対の接続部272、273とで構成されている。
【0048】
本体部271は、Y軸方向に延在する長手形状をなしている。この本体部271の長手方向での中央部には、その下面上に、1対の接続電極(図示せず)が設けられている。そして、本体部271の長手方向での中央部が1対の導電性接着剤36a、36bを介してパッケージ3のベース基板31に固定されている。なお、本体部271は、その長手方向での両端部がベース基板31に固定されていてもよい。
【0049】
ここで、ベース基板31の上面には、一対の電極35a、35bが内部空間Sに露出するように形成されている。この電極35a、35bの上には、導電性粒子を含有するエポキシ系、ポリイミド系等の導電性接着剤36a、36bが塗布されて(盛られて)おり、さらに、この導電性接着剤36a、36b上に、前述した振動片2が載置されている。
なお、この固定は、導電性接着剤36a、36bが振動片2Aの1対の接続電極に接触するように、振動片2を導電性接着剤36a、36b上に載置して行う。
【0050】
また、本実施形態では、本体部271の幅は、各振動腕28、29の幅とほぼ等しくなっている。そのため、2つの振動腕28、29に伴って、本体部271の一部(具体的には、本実施形態では本体部271の両端部)を振動させることができる。これにより、振動腕28、29を長尺化したのと同様の効果(低周波数化等)を発揮させることができる。なお、本体部271の幅は、各振動腕28、29の幅よりも狭くてもよいし、各振動腕28、29の幅よりも広くてもよい。本体部271の幅が各振動腕28、29の幅よりも狭い場合、本体部271の幅が各振動腕28、29の幅と等しい場合に比し、2つの振動腕28、29に伴う本体部271の両端部の振動を大きくすることができる。一方、本体部271の幅が各振動腕28、29の幅よりも広い場合、本体部271の幅が各振動腕28、29の幅と等しい場合に比し、2つの振動腕28、29に伴う本体部271の両端部の振動を抑えることができる。
【0051】
また、本体部271のY軸方向での長さは、各振動腕28、29の先端部(質量部281、291)に接触しない程度に設定されていれば、特に限定されないが、本実施形態では、振動腕28または振動腕29のY軸方向での全体の長さから質量部281または質量部291のY軸方向での長さを差し引いた長さとほぼ等しくあるいは若干短く設定される。
【0052】
このような本体部271の一端部(図5にて上側の端部)には、接続部(第1の接続部)272が接続され、一方、本体部271の一端部(図5にて下側の端部)には、接続部(第2の接続部)272が接続されている。
接続部272は、本体部271の前記一端部からX軸方向(図5にて左側)に延出している。一方、接続部273は、本体部271の前記他端部からX軸方向(図5にて右側)に延出している。
【0053】
また、本実施形態では、各接続部272、273の幅は、各振動腕28、29の幅とほぼ等しくなっている。そのため、2つの振動腕28、29に伴って、各接続部272、273を振動させることができる。これにより、振動腕28、29を長尺化したのと同様の効果(低周波数化等)を発揮させることができる。なお、各接続部272、273の幅は、各振動腕28、29の幅よりも狭くてもよいし、各振動腕28、29の幅よりも広くてもよい。各接続部272、273の幅が各振動腕28、29の幅よりも狭い場合、各接続部272、273の幅が各振動腕28、29の幅と等しい場合に比し、2つの振動腕28、29に伴う各接続部272、273の振動を大きくすることができる。一方、各接続部272、273の幅が各振動腕28、29の幅よりも広い場合、各接続部272、273の幅が各振動腕28、29の幅と等しい場合に比し、2つの振動腕28、29に伴う各接続部272、273の振動を抑えることができる。
【0054】
また、各接続部272、273のX軸方向での長さは、各振動腕28、29が屈曲振動しても本体部271に接触しない程度に設定されていれば、特に限定されないが、X軸方向における振動片2Aの寸法を抑える観点から、できるだけ短くするのが好ましい。
このような基部27Aの接続部272には、振動腕28が接続され、一方、接続部273には、振動腕29が接続されている。
ここで、振動腕28は、接続部272から上側にY軸方向に延出し、一方、振動腕29は、接続部273から下側にY軸方向に延出している。これにより、1対の振動腕28、29が前述した本体部271を介して対向している。また、1対の振動腕28、29および本体部271は、互いに平行となるように配置されている。
【0055】
このような振動片2Aによれば、本体部271のY軸方向での一端部からX軸方向に延出する接続部272から振動腕28が延出するとともに、本体部271のY軸方向での他端部から接続部272とは反対側にX軸方向に延出する接続部273から振動腕29が延出しているので、振動腕28、29の振動特性に対する基部27Aの形状の影響を抑えることができる。そのため、振動片2Aの振動特性を優れたものとするとともに、振動片2Aの設計が容易となる。言い換えると、基部27Aは、Y軸方向に延在する部分とX軸方向に延在する部分とで構成されているので、その形状が振動腕28、29の振動特性に対して与える影響が少なく、また、その影響があったとしても、容易に推測することができる。
以上説明したような第2実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0056】
<第3実施形態>
次に、本発明の振動デバイスとしての圧電発振器の第3実施形態について説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る振動デバイスとしての圧電発振器を示す上面図である。
以下、第3実施形態の圧電発振器について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態の圧電発振器は、基部の構成および各振動腕の先端部の形状が異なる以外は、第1実施形態とほぼ同様である。また、第3実施形態の振動デバイスは、各振動腕の先端部の形状が異なる以外は、第2実施形態とほぼ同様である。なお、図6では、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0057】
本実施形態の振動デバイスとしての圧電発振器1Bは、図6に示すように、パッケージ3内に収納された振動片2Bを有する。
振動片2Bは、振動基板21Bを有し、この振動基板21B上には、図示しないが、励振電極群および接続電極が設けられている。
振動基板21Bは、基部27Aと、2つ(1対)の振動腕28B、29Bとを有している。
基部27Aは、前述した第2実施形態の基部27Aと同様、本体部271と、1対の接続部272、273とで構成されている。
このような基部27Aの接続部272には、振動腕28Bが接続され、一方、接続部273には、振動腕29Bが接続されている。
【0058】
また、振動腕28Bの先端部には、振動腕28Bの基端部よりもX軸方向での幅の大きい質量部(第1の質量部)281Bが設けられている。同様に、振動腕29Bの先端部には、振動腕29Bの基端部よりもX軸方向での幅の大きい質量部(第2の質量部)291Bが設けられている。また、質量部281Bは、振動腕28Bの基端部よりも横断面積が大きく、質量部291Bは、振動腕29Bの基端部よりも横断面が大きい。これにより、振動腕28B、29Bの先端部の質量をそれぞれ大きくすることができる。その結果、振動腕28B、29Bの長さをそれぞれ抑え、振動片2BのY軸方向での寸法を抑えることができる。また、振動腕28B、29Bの振動周波数をそれぞれ低めることもできる。
また、質量部281B、291Bは、それぞれ、X軸方向を長手とする長手形状をなしている。これにより、振動腕28B、29Bの長さをそれぞれ抑えつつ、質量部281B、291Bの質量をそれぞれ大きくすることができる。
【0059】
特に、本実施形態では、1対の質量部281B、291Bは、互いの両端部同士がY軸方向に並んで設けられている。言い換えると、図6に示すように、質量部281Bは、振動腕28Bの右側側面(振動腕29側の側面)から突出するように形成され、一方、質量部291Bは、振動腕29Bの左側側面(振動腕28側の側面)から突出するように形成されている。そして、質量部281Bは、振動腕28Bの左側側面(振動腕29とは反対側の側面)からは突出しないように形成され、また、質量部291Bは、振動腕29Bの右側側面(振動腕28とは反対側の側面)から突出しないように形成されている。これにより、質量部281B、291Bの幅をそれぞれ大きくしても、振動片2BのX軸方向での寸法を抑えることができる。
【0060】
なお、質量部281Bは、振動腕28Bの左側側面(振動腕29とは反対側の側面)からは突出するように形成されていてもよく、また、質量部291Bは、振動腕29Bの右側側面(振動腕28とは反対側の側面)から突出するように形成されていてもよい。この場合、振動片2BのX軸方向での寸法を抑える観点から、質量部281Bは、振動腕28Bの左側側面からの突出量が右側側面からの突出量よりも小さくなるように形成されているのが好ましく、また、質量部291Bは、振動腕29Bの右側側面からの突出量が左側側面からの突出量よりも小さくなるように形成されているのが好ましい。
以上説明したような第3実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、振動デバイスの一例として同一パッケージ内に振動片と駆動回路部とが収納された圧電発振器を用いて説明したが、振動片と駆動回路部とが異なるパッケージに収納されていてもよい。
以上説明したような各実施形態の振動デバイスは、各種の電子機器に適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
《電子機器》
上記で説明した各実施形態の振動デバイスは、各種の電子機器に適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。なお、本電子機器には、上記実施形態で説明した圧電発振器に代えて圧電振動子を用いることができるが、圧電振動子を用いる場合、振動片と電気的に接続された図示しない駆動回路部が設けられる。
【0062】
図7、および8は、本発明の電子機器の一例としての携帯電話機を示す。図7は、携帯電話機の外観の概略を示す斜視図であり、図8は、携帯電話機の回路を説明する回路ブロック図である。
この携帯電話機300は、上述の振動片2,2A,2B(以下、振動片2を代表例として説明する)または、振動片2を用いた圧電発振器5,1A,1B(以下、圧電発振器5を代表例として説明する)を使用することができる。本例では、振動片2を用いた例で説明する。また、振動片2の構成、作用については、同一符号を用いるなどして、その説明を省略する。
図7に示すように携帯電話機300は、表示部であるLCD(Liquid Crystal Display)301、数字等の入力部であるキー302、マイクロフォン303、スピーカー311、図示しない回路などが設けられている。
図8に示すように、携帯電話機300で送信する場合は、使用者が、自己の声をマイクロフォン303に入力すると、信号はパルス幅変調・符号化ブロック304と変調器/復調器ブロック305を経てトランスミッター306、アンテナスイッチ307を開始アンテナ308から送信されることになる。
【0063】
一方、他人の電話機から送信された信号は、アンテナ308で受信され、アンテナスイッチ307、受信フィルター309を経て、レシーバー310から変調器/復調器ブロック305に入力される。そして、変調又は復調された信号がパルス幅変調・符号化ブロック304を経てスピーカー311に声として出力されるようになっている。
このうち、アンテナスイッチ307や変調器/復調器ブロック305等を制御するためのコントローラー312が設けられている。
このコントローラー312は、上述の他に表示部であるLCD301や数字等の入力部であるキー302、更にはRAM313やROM314等も制御するため、高精度であることが求められる。また、携帯電話機300の小型化の要請もある。
このような要請に合致するものとして上述の振動片2が用いられている。
なお、携帯電話機300は、他の構成ブロックとして、温度補償型水晶発振器315、レシーバー用シンセサイザー316、トランスミッター用シンセサイザー317などを有しているが説明を省略する。
【0064】
この携帯電話機300に用いられている上記振動片2は、前述のように低周波数帯であっても小型化を図ることができる。
さらに、このような小型化の可能な振動片2をパッケージ3内に収納した圧電発振器5についても、低周波数化および小型化を図ることができる。
従って、振動片2、あるいは圧電発振器5を用いている電子機器(携帯電話機300)は、その実装領域を縮小することが可能となり、小型化を図ることが可能となる。
【0065】
本発明の振動片2を備える電子機器としては、図9に示すパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)400も挙げられる。パーソナルコンピューター400は、表示部401、入力キー部402などを備えており、その電気的制御の基準クロックとして上述の振動片2を用いた圧電発振器5が用いられている。
また、本発明の圧電発振器5を備える電子機器としては、前述に加え、例えばディジタルスチールカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等が挙げられる。
【0066】
以上、本発明の振動片および振動デバイスを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
例えば、前述した実施形態では、振動片が2つの振動腕を有する場合を例に説明したが、これに限定されず、振動腕の数は、3以上であってもよい。
【0067】
また、前述した実施形態では、各振動腕が圧電体材料で構成され、各振動腕上に設けた励振電極に通電することにより各振動腕を励振させる構成を例に説明したが、これに限定されず、例えば、各振動腕上に、電極層、圧電体層、電極層をこの順で積層してなる圧電素子を設け、その圧電素子の伸縮により振動腕を振動させる構成であってもよい。
また、本発明の振動デバイスは、水晶発振器(SPXO)、電圧制御水晶発振器(VCXO)、温度補償水晶発振器(TCXO)、恒温槽付水晶発振器(OCXO)等の圧電発振器の他、ジャイロセンサー等に適用される。
【符号の説明】
【0068】
1A‥振動デバイスとしての圧電発振器 1B‥振動デバイスとしての圧電発振器 2‥振動片 2A‥振動片 2B‥振動片 3‥パッケージ 5‥ 振動デバイスとしての圧電発振器 21‥振動基板 21A‥振動基板 21B‥振動基板 22‥励振電極群 23‥励振電極群 27‥基部 27A‥基部 28‥振動腕 28B‥振動腕 29‥振動腕 29B‥振動腕 31‥ベース基板 32‥枠部材 33‥蓋部材 34a‥外部端子 34c‥外部端子 35a‥電極 35b‥電極 36‥導電性接着剤 36a‥導電性接着剤 36b‥導電性接着剤 41‥接続電極 42‥接続電極 50‥駆動回路部としての半導体素子 51‥接続電極 52‥金属バンプ 53‥凹部底面 55‥凹部 221‥励振電極 222‥励振電極 223‥励振電極 224‥励振電極 231‥励振電極 232‥励振電極 233‥励振電極 234‥励振電極 271‥本体部 272‥接続部 273‥接続部 281‥質量部 281B‥質量部 282‥溝 283‥溝 291‥質量部 291B‥質量部 292‥溝 293‥溝 300‥電子機器としての携帯電話機 400‥電子機器としてのパーソナルコンピューター S‥内部空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動片と、前記振動片と電気的に接続される駆動回路部と、を備え、
前記振動片は、
基部と、
前記基部から第1の方向に沿って延出する第1の振動腕と、
前記基部から前記第1の振動腕とは反対側に前記第1の方向に沿って延出する第2の振動腕とを有し、
前記第1の振動腕および前記第2の振動腕は、一方の振動腕の基端部と他方の振動腕の途中部とが前記第1の方向に直交する第2の方向に並んで設けられていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
前記第1の振動腕の先端部には、該第1の振動腕の前記基端部よりも幅の大きい第1の質量部が設けられ、前記第2の振動腕の先端部には、該第2の振動腕の基端部よりも幅の大きい第2の質量部が設けられている請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記第1の振動腕の先端部には第1の質量部が設けられ、前記第2の振動腕の先端部には第2の質量部が設けられ、
前記第1の質量部は、前記第1の振動腕の前記基端部よりも横断面積が大きく、前記第2の質量部は、前記第2の振動腕の前記基端部よりも横断面積が大きい請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記第1の質量部および前記第2の質量部は、それぞれ、前記第2の方向を長手とする長手形状をなしている請求項2または3に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記第1の質量部および前記第2の質量部は、互いの両端部同士が前記第1の方向に並んで設けられている請求項4に記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記基部は、前記第1の方向および前記第2の方向のそれぞれの方向成分を有する方向に延在する長尺状をなし、
前記第1の振動腕は、前記基部の一端部から延出し、
前記第2の振動腕は、前記基部の他端部から延出している請求項1ないし5のいずれかに記載の振動デバイス。
【請求項7】
前記基部は、本体部と、該本体部の前記第1の方向での一端部から前記第2の方向に沿って延出する第1の接続部と、前記本体部の前記第1の方向での他端部から前記第1の接続部とは反対側に前記第2の方向に沿って延出する第2の接続部とを有し、
前記第1の振動腕は、前記第1の接続部から延出し、
前記第2の振動腕は、前記第2の接続部から延出している請求項1ないし5のいずれかに記載の振動デバイス。
【請求項8】
前記第1の振動腕および前記第2の振動腕は、それぞれ、前記第2の方向に屈曲振動される請求項1ないし7のいずれかに記載の振動デバイス。
【請求項9】
前記第1の振動腕および前記第2の振動腕は、互いに同方向に屈曲振動される請求項8に記載の振動デバイス。
【請求項10】
前記基部は、前記第3の方向から見たときに、回転対称形状をなしている請求項1ないし9のいずれかに記載の振動デバイス。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の振動デバイスを備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−147349(P2012−147349A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5564(P2011−5564)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】