振動ミラー素子
【課題】大型化するのを抑制するとともに、駆動部が未駆動の状態において、ミラー部が固定端に対して傾斜するのを抑制することが可能な振動ミラー素子を提供する。
【解決手段】この振動ミラー素子100は、軸線400回りに揺動可能なA方向光走査部10と、自由端S1と固定端S2とを含み、変形することによってA方向光走査部10を揺動させるための駆動ユニット40と、A方向光走査部10と駆動ユニット40との間に軸線400に沿って延びるように設けられ、A方向光走査部10を揺動可能に支持する回動軸30とを備え、駆動ユニット40の自由端S1は回動軸30に接続されるとともに、駆動ユニット40の固定端S2は駆動ユニット40のA方向光走査部10側(X2側)で、かつ、回動軸30の近傍で固定されている。
【解決手段】この振動ミラー素子100は、軸線400回りに揺動可能なA方向光走査部10と、自由端S1と固定端S2とを含み、変形することによってA方向光走査部10を揺動させるための駆動ユニット40と、A方向光走査部10と駆動ユニット40との間に軸線400に沿って延びるように設けられ、A方向光走査部10を揺動可能に支持する回動軸30とを備え、駆動ユニット40の自由端S1は回動軸30に接続されるとともに、駆動ユニット40の固定端S2は駆動ユニット40のA方向光走査部10側(X2側)で、かつ、回動軸30の近傍で固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、振動ミラー素子に関し、特に、自由端が軸部に接続される駆動部を備える振動ミラー素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自由端が軸部に接続される駆動部を備える振動ミラー素子が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、第1の方向(X方向)に延びる軸線回りに揺動可能なミラー部と、ミラー部に接続され、ミラー部と共に軸線回りに揺動可能な内枠体と、内枠体に接続される軸部と、自由端と固定端とを含むミアンダ形振動子(駆動部)と、外枠体とを備える光学反射素子(振動ミラー素子)が開示されている。上記特許文献1の光学反射素子では、ミアンダ形振動子は、第1の方向と直交する第2の方向(Y方向)に延びる複数の圧電アクチュエータを含んでおり、変形することによってミラー部を揺動させるように構成されている。また、ミアンダ形振動子の自由端は、X方向におけるミラー部側で、かつ、Y方向の一方側において、軸部を介して内枠体と接続されている。また、ミアンダ形振動子の固定端は、X方向におけるミラー部とは反対側で、かつ、Y方向の略中央において、外枠体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−192967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の光学反射素子では、ミアンダ形振動子の固定端はX方向においてミラー部とは反対側で外枠体に固定されているため、固定端がミラー部からX方向(軸線の延びる方向)に遠ざかる分、X方向(軸線の延びる方向)に光学反射素子が大型化しやすいという問題点がある。また、ミアンダ形振動子の自由端はY方向(軸線と直交する方向)の一方側において軸部と接続されている一方、ミアンダ形振動子の固定端はY方向(軸線と直交する方向)の略中央において支持部に固定されているため、自由端と固定端とがY方向(軸線と直交する方向)に離間している。このため、複数の圧電アクチュエータが未駆動の状態で鉛直方向(X方向およびY方向と直交する方向)に凹状または凸状に変形している場合に、自由端と固定端とのY方向の離間に起因して、自由端が固定端に対して傾斜するという不都合がある。したがって、ミアンダ形振動子が未駆動の状態において、自由端に接続されたミラー部が固定端に対して傾斜するという問題点もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、大型化するのを抑制するとともに、駆動部が未駆動の状態において、ミラー部が固定端に対して傾斜するのを抑制することが可能な振動ミラー素子を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による振動ミラー素子は、軸線回りに揺動可能なミラー部と、自由端と固定端とを含み、変形することによってミラー部を揺動させるための駆動部と、ミラー部と駆動部との間に軸線に沿って延びるように設けられ、ミラー部を揺動可能に支持する軸部とを備え、駆動部の自由端は軸部に接続されるとともに、駆動部の固定端は駆動部のミラー部側で、かつ、軸部の近傍で固定されている。
【0008】
この発明の一の局面による振動ミラー素子では、上記のように、駆動部の固定端を駆動部のミラー部側で固定することによって、固定端がミラー部から遠ざかるのが抑制され、ミラー部と駆動部との間やミラー部の周囲などにおいて固定端を固定することができる。これにより、軸線の延びる方向に振動ミラー素子が大型化するのを抑制することができる。また、駆動部の固定端を軸部の近傍で固定することによって、自由端と固定端とが離間するのを抑制することができる。これにより、自由端が固定端に対して傾斜するのを抑制することができるので、駆動部が未駆動の状態において、自由端に接続されたミラー部が固定端に対して傾斜するのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による振動ミラー素子において、好ましくは、固定端を固定するとともに、ミラー部と駆動部との間に配置された固定端支持部分を含む固定部をさらに備え、軸線の延びる方向における固定端支持部分の長さは、軸線の延びる方向における軸部の長さよりも小さい。このように構成すれば、軸線の延びる方向において固定端支持部分の長さが軸部の長さよりも小さいので、固定端支持部分をミラー部と駆動部との間に容易に配置することができる。また、固定端支持部分をミラー部と駆動部との間に配置することによって、軸線の延びる方向に振動ミラー素子が大型化するのを抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による振動ミラー素子において、好ましくは、駆動部は、軸線と直交する方向に延びるように設けられ、変形する第1駆動部および第2駆動部をさらに含み、第1駆動部は、自由端を有し、第2駆動部は、固定端を有し、第1駆動部の自由端の端面と第2駆動部の固定端の端面とは、軸線と直交する方向に互いに対向するように構成されている。このように構成すれば、駆動部の固定端を、自由端に接続される軸部の近傍に容易に配置することができる。また、第1駆動部の自由端の端面と第2駆動部の固定端の端面とを互いに対向するように構成することによって、第1駆動部の位置と第2駆動部の位置とが、軸線の延びる方向において大きくずれるのを抑制することができる。これにより、軸線の延びる方向に振動ミラー素子が大型化するのを抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による振動ミラー素子において、好ましくは、駆動部および軸部の各々は、軸線の延びる方向におけるミラー部の両側に、ミラー部を挟むように一対設けられている。このように、駆動部および軸部がミラー部を挟むように一対設けられている場合においても、一対の駆動部の各々の固定端をミラー部側で固定することによって、軸線の延びる方向に振動ミラー素子が大型化するのを抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による振動ミラー素子において、好ましくは、駆動部は、軸線と直交する方向に延びるように設けられ、変形する第3駆動部および第4駆動部と、第3駆動部と第4駆動部とを接続する接続部分とをさらに含み、接続部分の厚みは、第3駆動部の厚みおよび第4駆動部の厚み以上である。このように構成すれば、接続部分が変形したり傾斜したりするのを抑制することができるので、変形した第3駆動部または第4駆動部における傾斜を略維持した状態で、第4駆動部または第3駆動部を傾斜するように変形させることができる。これにより、第3駆動部における傾斜と第4駆動部における傾斜とを累積させることができるので、駆動部全体をより大きく変形させることができる。この結果、ミラー部をより大きな傾斜で揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による振動ミラー素子の構造を示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による振動ミラー素子の構造を示した平面図である。
【図3】図2の600−600線に沿った振動ミラー素子の拡大断面図である。
【図4】図2の610−610線に沿った振動ミラー素子の拡大断面図である。
【図5】図2の620−620線に沿った振動ミラー素子の拡大断面図である。
【図6】図2の630−630線に沿った振動ミラー素子の拡大断面図である。
【図7】図2の640−640線に沿った振動ミラー素子の拡大断面図である。
【図8】本発明の一実施形態による振動ミラー素子の圧電素子層の拡大断面図である。
【図9】本発明の一実施形態による振動ミラー素子がB1側に傾斜した状態を示した斜視図である。
【図10】図9のC側から見た、本発明の一実施形態による振動ミラー素子がB1側に傾斜した状態を示した側面図である。
【図11】図9のD側から見た、本発明の一実施形態による振動ミラー素子がB1側に傾斜した状態を示した側面図である。0
【図12】本発明の一実施形態による振動ミラー素子がB2側に傾斜した状態を示した斜視図である。
【図13】図2の620−620線に沿った振動ミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図14】図2の620−620線に沿った振動ミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図15】本発明の一実施形態の変形例による振動ミラー素子の構造を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
まず、図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態による振動ミラー素子100の構成について説明する。
【0016】
本発明の一実施形態による振動ミラー素子100は、図1および図2に示すように、後述するミラー11を用いて所定の平面内の一方向(A1方向およびA2方向)に光を走査するためのA方向光走査部10と、ミラー11を用いてA1方向およびA2方向と直交するB1方向およびB2方向に光を走査するためのB方向光走査部20と、A方向光走査部10とB方向光走査部20とを接続する回動軸30および31と、B方向光走査部20を固定するための固定部32および33とを備えている。
【0017】
また、A方向光走査部10は、ミラー11を軸線300回りにA1方向およびA2方向に揺動させるように構成されており、B方向光走査部20は、A方向光走査部10(ミラー11)を軸線400回りにB1方向およびB2方向に揺動させるように構成されている。また、A方向光走査部10、B方向光走査部20、回動軸30および31ならびに固定部32および33は、図1に示すように、共通のSi基板1上に一体的に形成されている。なお、A方向光走査部10は、本発明の「ミラー部」の一例である。
【0018】
また、振動ミラー素子100は、図示しないプロジェクタなどの2次元に光を走査する機器に組み込まれ、A方向光走査部10によりA1方向およびA2方向に光を走査するとともに、B方向光走査部20によりB1方向およびB2方向に光を走査するように構成されている。また、A方向光走査部10は、約30kHzの共振周波数で共振駆動するように構成されている一方、B方向光走査部20は、約60Hzの周波数で非共振駆動するように構成されている。ここで、B方向光走査部20を非共振駆動するように構成することによって、振動ミラー素子100の周囲の温度変化に起因した共振周波数の変化が存在しないので、後述するミラー11を安定的に駆動させることが可能である。
【0019】
また、A方向光走査部10は、図1および図2に示すように、ミラー11と、ミラー11と接続され、ねじり変形可能なトーションバー12aおよび12bと、トーションバー12aおよび12bとそれぞれ接続され、傾斜可能なバー13aおよび13bと、バー13aおよび13bと接続される内側駆動部14aおよび14bと、内側駆動部14aおよび14bを固定する固定部15aおよび15bと、固定部15aおよび15bと接続される枠体16とを含む。この枠体16は、図2に示すように、平面的に見て、ミラー11と、トーションバー12aおよび12bと、バー13aおよび13bと、内側駆動部14aおよび14bと、固定部15aおよび15bとを取り囲むように形成されている。
【0020】
また、ミラー11とトーションバー12aおよび12bとは、共振によってバー13aおよび13bの傾斜以上に傾斜されるように構成されている。また、振動ミラー素子100がA1方向およびA2方向に光を走査する際の軸線300およびB1方向およびB2方向に光を走査する際の軸線400は、共にミラー11の中心Rを通るように構成されている。
【0021】
また、図3に示すように、A方向光走査部10の内側駆動部14aおよび14bにおいては、Si基板1の上面上(Z1側)に圧電素子層2が形成されている。これにより、図1に示すように、内側駆動部14aおよび14bは、電圧が印加されることによって、それぞれ、固定部15aおよび15bを固定端として、Z方向に凹形状または凸形状に変形するように構成されている。この内側駆動部14aと内側駆動部14bとを互いに逆方向に変形させることによって、ミラー11を軸線300(図2参照)回りにA1方向またはA2方向に傾斜させることが可能なように構成されている。この変形動作を繰り返すことによって、A方向光走査部10は、ミラー11を軸線300回りに揺動させて光を走査させるように構成されている。なお、圧電素子層2の詳しい内容については後述する。
【0022】
また、図3に示すように、A方向光走査部10の枠体16においては、Si基板1の下面上(Z2側)に、SiO2層3と、Si層4と、マスク層5とがZ1側からZ2側に向かってこの順に設けられている。これにより、枠体16の鉛直方向(Z方向)の厚みW1は、内側駆動部14aおよび14bの鉛直方向の厚みW2よりも大きいとともに、ミラー11、トーションバー12aおよび12b(図1参照)、バー13aおよび13b(図1参照)ならびに固定部15aおよび15b(図1参照)の鉛直方向の厚みW3よりも大きい。
【0023】
また、図2に示すように、回動軸30および31は、共に軸線400上に、軸線400に沿ってX方向に延びるように形成されている。また、回動軸30は、X2側において、A方向光走査部10の枠体16と接続されているとともに、X1側において、B方向光走査部20の後述する駆動ユニット40と接続されている。また、回動軸31は、X1側において、A方向光走査部10の枠体16と接続されているとともに、X2側において、B方向光走査部20の後述する駆動ユニット50と接続されている。すなわち、回動軸30および31は、共に、B方向光走査部20によって、A方向光走査部10(ミラー11)を軸線400回りにB1方向およびB2方向に揺動させる際の軸として形成されている。なお、回動軸30および31は、本発明の「軸部」の一例である。
【0024】
また、B方向光走査部20は、図2に示すように、A方向光走査部10のX1側に形成された駆動ユニット40と、A方向光走査部10のX2側に形成された駆動ユニット50とを含む。すなわち、駆動ユニット40と駆動ユニット50とは、X方向において、A方向光走査部10を挟み込むように配置されている。なお、駆動ユニット40および50は、本発明の「駆動部」の一例である。
【0025】
また、駆動ユニット40は、5つの駆動部分41、42、43、44および45と、4つの連結支持部46、47、48および49とを含んでいる。また、駆動ユニット50は、5つの駆動部分51、52、53、54および55と、4つの連結支持部56、57、58および59とを含んでいる。ここで、駆動部分41、42、43、44および45と、駆動部分51、52、53、54および55とは、電圧が印加されることによって変形するように構成されている一方、連結支持部46、47、48および49と、連結支持部56、57、58および59とは、ほぼ変形しないように構成されている。
【0026】
また、本実施形態では、駆動ユニット40は、固定部32と接続されているとともに、駆動ユニット50は、固定部33と接続されている。また、固定部32は、A方向光走査部10の枠体16と駆動ユニット40との間に配置される支持部分32aと、A方向光走査部10のY1側に配置される本体部32bとを含む。また、固定部33は、A方向光走査部10の枠体16と駆動ユニット50との間に配置される支持部分33aと、A方向光走査部10のY2側に配置される本体部33bとを含む。また、固定部32の本体部32bと固定部33の本体部33bとは、Y方向において、A方向光走査部10を挟み込むように配置されている。なお、支持部分32aおよび33aは、本発明の「固定端支持部分」の一例である。
【0027】
ここで、図2に示すように、A方向光走査部10のX1側に形成された駆動ユニット40とX2側に形成された駆動ユニット50とは、互いに同様の構成を有するとともに、ミラー11の中心Rを中心として、略点対称の関係を有するように構成されている。すなわち、駆動ユニット50の駆動部分51、52、53、54および55ならびに連結支持部56、57、58および59は、ミラー11の中心Rを中心として180度回転されることによって、それぞれ、駆動部分41、42、43、44および45ならびに連結支持部46、47、48および49と略重なるような位置関係に配置されている。
【0028】
また、A方向光走査部10のX1側に形成された回動軸30とX2側に形成された回動軸31とは、互いに同様の構成を有するとともに、ミラー11の中心Rを中心として、略点対称の関係を有するように構成されている。さらに、A方向光走査部10のY1側に形成された固定部32とY2側に形成された固定部33とも、互いに同様の構成を有するとともに、ミラー11の中心Rを中心として、略点対称の関係を有するように構成されている。
【0029】
したがって、これ以降は、駆動ユニット40と、駆動ユニット40に接続される回動軸30および固定部32との構成について説明する。
【0030】
駆動ユニット40の駆動部分41、42、43、44および45は、共に軸線400に直交するY方向に延びるように形成されている。また、連結支持部46、47、48および49は、共に軸線400に沿ったX方向に延びるように形成されている。なお、駆動部分41、42、43、44および45は、本発明の「第3駆動部」および「第4駆動部」の一例である。
【0031】
また、駆動ユニット40は、5つの駆動部分41、42、43、44および45が4つの連結支持部46、47、48および49により各々が接続されることによって、1本の駆動部になるように構成されている。これにより、駆動ユニット40の一方端部となる駆動部分41のY1側の端部が自由端S1になるとともに、駆動ユニット40の他方端部となる駆動部分45のY2側の端部が固定端S2になるように構成されている。なお、駆動部分41は、本発明の「第1駆動部」の一例であり、駆動部分45は、本発明の「第2駆動部」の一例である。
【0032】
駆動ユニット40の具体的な構成としては、図2に示すように、駆動部分41と駆動部分45とは、Y方向から見て略重なるように配置されているとともに、駆動部分41と駆動部分45とは、Y方向に所定の間隔を隔てて形成されている。また、駆動部分41および45のA方向光走査部10とは反対側(X1側)には、駆動部分41および45側(X2側)から順に、X1側に向かって駆動部分42、43および44がX方向に所定の間隔を隔てて形成されている。
【0033】
また、駆動ユニット40のA方向光走査部10側(X2側)に形成された駆動部分41は、駆動ユニット40のY方向の略中央からY2側の端部からまで延びるように形成されている。この駆動部分41は、Y1側の自由端S1において回動軸30のX1側と接続されるとともに、Y2側の端部S3において、連結支持部46のX2側と接続されている。
【0034】
また、駆動部分41および45と駆動部分44とに挟まれた駆動部分42および43は、共に、駆動ユニット40のY1側の端部からY2側の端部近傍まで延びように形成されている。この駆動部分42は、Y2側の端部S4において連結支持部46のX1側と接続されるとともに、Y1側の端部S5において、連結支持部47のX2側と接続されている。また、駆動部分43は、Y1側の端部S6において連結支持部47のX1側と接続されるとともに、Y2側の端部S7において、連結支持部48のX2側と接続されている。
【0035】
また、駆動ユニット40のA方向光走査部10とは反対側(X1側)に形成された駆動部分44は、駆動ユニット40のY1側の端部からY2側の端部まで延びるように形成されている。この駆動部分44は、Y2側の端部S8において連結支持部48のX1側と接続されるとともに、Y1側の端部S9において、連結支持部49のX1側と接続されている。
【0036】
また、駆動ユニット40のA方向光走査部10側(X2側)に形成された駆動部分45は、駆動ユニット40のY1側の端部からY方向の略中央近傍まで延びるように形成されている。また、駆動部分45は、Y1側の端部S10において、連結支持部49のX2側と接続されるとともに、Y2側の固定端S2において、駆動ユニット40のX2側に形成された固定部32の支持部分32aと接続されている。すなわち、駆動ユニット40の固定端S2は、支持部分32aによって、A方向光走査部10側(X2側)で、かつ、Y方向の略中央近傍に位置する回動軸30の近傍で固定されている。
【0037】
ここで、本実施形態では、上記したように、駆動ユニット40の自由端S1と固定端S2とは、共に、駆動ユニット40のA方向光走査部10側(X2側)に形成されている。また、駆動部分41の自由端S1におけるY1側の端面と、駆動部分45の固定端S2におけるY2側の端面とは、Y方向から見て、互いに略重なるように配置されている。すなわち、駆動ユニット40の自由端S1におけるY1側の端面と固定端S2におけるY2側の端面とは、Y方向に互いに対向するように配置されている。
【0038】
また、本実施形態では、図2に示すように、固定部32の支持部分32aにおけるのX方向の長さL1は、回動軸30におけるX方向の長さL2よりも小さくなるように構成されている。具体的には、支持部分32aのA方向光走査部10側(X2側)の側面から固定端S2のX1側までの長さL1は、枠体16と回動軸30との接続部分から自由端S1のX1側までの長さL2よりも小さくなるように構成されている。
【0039】
また、図3〜図7に示すように、駆動部分41〜45においては、A方向光走査部10の内側駆動部14aおよび14bと同様に、Si基板1の上面上(Z1側)に圧電素子層2が形成されている。すなわち、駆動部分41〜45は、電圧が印加されることによって、Z方向に凹形状または凸形状に変形するように構成されている。
【0040】
また、本実施形態では、回動軸30(図3参照)、連結支持部46〜49(図4〜図6参照)ならびに固定部32(図5および図6参照)においては、A方向光走査部10の枠体16と同様に、Si基板1の下面上(Z2側)に、SiO2層3と、Si層4と、マスク層5とがZ1側からZ2側に向かって設けられている。これにより、回動軸30、連結支持部46〜49ならびに固定部32の鉛直方向(Z方向)の鉛直方向の厚みW1は、駆動部分41〜45(自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の部分を除く)の鉛直方向の厚みW2よりも大きい。
【0041】
また、回動軸30の一部である自由端S1(図3参照)、支持部分32a一部である固定端S2(図7参照)および連結支持部46、47、48および49の一部である端部S3〜S10(図4〜図6参照)においては、Si基板1の上面上(Z1側)に圧電素子層2が形成されているとともに、Si基板1の下面上(Z2側)に、SiO2層3と、Si層4と、マスク層5とがZ1側からZ2側に向かって設けられている。これにより、自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の鉛直方向の厚みW4は、駆動部分41〜45(自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の部分を除く)の鉛直方向の厚みW2よりも大きい。なお、連結支持部46、47、48および49は、本発明の「接続部分」の一例である。
【0042】
また、圧電素子層2は、図8に示すように、Si基板1側(Z2側)から、下部電極20と圧電体21と上部電極22とが積層された構造を有している。なお、下部電極20は、TiまたはPtなどからなり、Si基板1の上面の全面に形成されている。これにより、圧電素子層2の下部電極20への配線処理をSi基板1の任意の部分に対して行うことが可能である。なお、下部電極20の鉛直方向の厚みはSi基板1に対して十分に小さいので、図8以外の図面では、Si基板1の上面に形成されている下部電極20の図示を省略している。
【0043】
また、圧電体21は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなり、膜厚方向(Z方向)に分極されることによって、電圧を印加されると伸縮するように構成されている。また、上部電極22は、Al、Cr、Cu、AuまたはPtなどの導電性のある金属材料からなる。
【0044】
また、駆動ユニット40では、駆動部分41〜45は、電圧が印加されることにより変形して駆動するように構成されている。また、駆動部分41、43および45に印加される電圧と駆動部分42および44に印加される電圧とが互いに逆の位相になるように構成されている。
【0045】
ここで、駆動ユニット40の駆動部分45は、図1および図2に示すように、固定端S2と自由端となる端部S10とを有する片持ち梁状の構造を有している。これにより、駆動部分45が駆動する際には、駆動部分45が反るように変形することにより、端部S10をZ方向(図1参照)に変位させて傾斜させるように構成されている。この際、固定端S2は、駆動部分45が駆動する際においても変位しない。これにより、端部S10は、固定端S2に対して傾斜するように構成されている。また、駆動部分45と駆動部分44とを接続する連結支持部49は、略変形しないように構成されているので、端部S10の傾斜を維持した状態で端部S9を支持するように構成されている。
【0046】
また、駆動部分44は、固定端となる端部S9と自由端となる端部S8とを有する片持ち梁状の構造を有している。これにより、端部S8は、端部S9に対して傾斜される。そして、連結支持部48は、端部S8の傾斜を維持した状態で端部S7を支持するように構成されている。
【0047】
また、駆動部分43は、固定端となる端部S7と自由端となる端部S6とを有する片持ち梁状の構造を有している。これにより、端部S7は、端部S6に対して傾斜するように構成されている。そして、連結支持部47は、端部S6の傾斜を維持した状態で端部S5を支持するように構成されている。
【0048】
また、駆動部分42は、固定端となる端部S5と自由端となる端部S4とを有する片持ち梁状の構造を有している。これにより、端部S5は、端部S4に対して傾斜するように構成されている。そして、連結支持部46は、端部S4の傾斜を維持した状態で端部S3を支持するように構成されている。
【0049】
また、駆動部分41は、固定端となる端部S3と自由端S1とを有する片持ち梁状の構造を有している。これにより、自由端S1は、端部S3に対して傾斜するように構成されている。この結果、自由端S1は、駆動部分41〜45の傾斜が累積された状態で、回動軸30およびA方向光走査部10を傾斜させるように構成されている。
【0050】
なお、本実施形態におけるB方向光走査部20においては、駆動ユニット40の駆動部分41、43および45と、駆動ユニット50の駆動部分52および54とには、同じ位相の電圧が印加されるように構成されている。一方、駆動ユニット40の駆動部分42および44と、駆動ユニット50の駆動部分51、53および55とには、同じ位相の電圧が印加されるように構成されている。さらに、駆動部分41、43、45、52および54に印加される電圧と、駆動部分42、44、51、53および55に印加される電圧とは、互いに逆の位相になるように構成されている。この結果、駆動ユニット40と駆動ユニット50とは、互いに逆の駆動をするように構成されている。
【0051】
ここで、駆動ユニット40と駆動ユニット50とは、ミラー11の中心Rを中心として、互いに略点対称の関係を有するように構成されていることによって、駆動ユニット40に接続された回動軸30と、駆動ユニット50に接続された回動軸31とを、共に軸線400回りの同一の方向に傾斜させることが可能である。これにより、回動軸30および31に接続されたA方向光走査部10を軸線400回りにB1方向またはB2方向(図1参照)に回動させることが可能なように構成されている。
【0052】
次に、図1、図2および図9〜図12を参照して、本発明の一実施形態による振動ミラー素子100のB方向光走査部20の駆動動作を説明する。
【0053】
図1および図2に示すような駆動ユニット40および50が非駆動状態であることにより水平に保たれている状態から、図9に示すように、駆動ユニット40の駆動部分41、43および45と、駆動ユニット50の駆動部分52および54とに、圧電素子層2の上面側(Z1側)が下面側(Z2側)よりも収縮されるような電圧を印加する。一方、駆動ユニット40の駆動部分42および44と、駆動ユニット50の駆動部分51、53および55とに、駆動部分41、43、45、52および54に印加された電圧とは逆の位相である圧電素子層2の下面側(Z2側)が上面側(Z1側)よりも収縮されるような電圧を印加する。
【0054】
これにより、図10に示すように、駆動ユニット40において、駆動部分41、43および45は、それぞれ、自由端S1、端部S6および端部S10が、端部S3、端部S7および固定端S2に対して上方(Z1側)に傾斜するように変形される。一方、駆動部分42および44は、それぞれ、端部S4および端部S8が、端部S5および端部S9に対して下方(Z2側)に傾斜される。この結果、自由端S1に接続された回動軸30は、駆動部分41〜45の傾斜が累積された状態で、A方向光走査部10をY1側がY2側よりも上方(Z1側)に位置するように傾斜させる。
【0055】
また、図11に示すように、駆動ユニット50は、駆動ユニット40と逆の駆動をすることによって、回動軸31は、駆動部分51〜55の傾斜が累積された状態で、A方向光走査部10をY1側がY2側よりも上方(Z1側)に位置するように傾斜させる。これらにより、A方向光走査部10は、軸線400回りにB1方向に回動される。
【0056】
また、図1および図2に示すような駆動ユニット40および50が非駆動状態であることにより水平に保たれている状態から、図12に示すように、駆動ユニット40の駆動部分41、43および45と、駆動ユニット50の駆動部分52および54とに、圧電素子層2の下面側(Z2側)が上面側(Z1側)よりも収縮されるような電圧を印加する。一方、駆動ユニット40の駆動部分42および44と、駆動ユニット50の駆動部分51、53および55とに、駆動部分41、43、45、52および54に印加された電圧とは逆の位相である圧電素子層2の上面側(Z1側)が下面側(Z2側)よりも収縮されるような電圧を印加する。
【0057】
これにより、駆動ユニット40が図9および図10の状態とは逆になるように駆動されることによって、回動軸30は、駆動部分41〜45の傾斜が累積された状態で、A方向光走査部10をY1側がY2側よりも下方(Z1側)に位置するように傾斜させる。また、駆動ユニット50は、駆動ユニット40と逆の駆動をすることによって、回動軸31は、駆動部分51〜55の傾斜が累積された状態で、A方向光走査部10をY1側がY2側よりも下方(Z1側)に位置するように傾斜させる。これらにより、A方向光走査部10は、軸線400回りにB2方向に回動される。
【0058】
これら一連の駆動が繰り返されることによって、A方向光走査部10は、駆動ユニット40および50により軸線400回りに揺動される。なお、B方向光走査部20の駆動と同時に、A方向光走査部10を駆動させることによって、ミラー11を軸線400回りに揺動させつつ、軸線300回りに揺動させることが可能である。
【0059】
次に、図8、図13および図14を参照して、本発明の一実施形態による振動ミラー素子100の製造工程について説明する。
【0060】
まず、図13に示すように、Si基板1の下面(Z2側)上にSiO2層3と、Si層4とがこの順に設けられた母基板を準備する。そして、母基板の上面上(Z1側)の全面に、スパッタなどにより下部電極20および圧電体21(図8参照)を順次形成する。そして、内側駆動部14aおよび14b(図3参照)と、駆動部分41(図3参照)、42、43、44、45、51、52、53、54および55(図3参照)とに対応する圧電体21の上面上に、蒸着などにより上部電極22(図8参照)を形成する。このようにして、内側駆動部14aおよび14bと、駆動部分41〜45と、駆動部51〜55とに圧電素子層2(図3〜図7参照)が形成される。
【0061】
そして、内側駆動部14aおよび14bと、駆動部分41〜45と、駆動部51〜55とに対応する位置にフォトリソグラフィによりレジストパターン(図示せず)を形成した後、そのレジストパターンをマスクとしてウェットエッチングなどを行うことにより、内側駆動部14aおよび14bと、駆動部分41〜45と、駆動部51〜55とに対応する位置以外の位置に形成された圧電体21を除去する。その後、母基板(Si層4)の下面上(Z2側)の枠体16、回動軸30および31、連結支持部46〜49、連結支持部56〜59ならびに固定部32および33に対応する位置に、蒸着などによりAl、CrまたはCuなどからなるマスク層5を形成する。
【0062】
そして、振動ミラー素子100に対応する位置にフォトリソグラフィによりレジストパターン(図示せず)を形成した後、そのレジストパターンをマスクとして反応性イオンエッチング(RIE)などにより、振動ミラー素子100に対応する位置以外の位置に形成された下部電極20を除去する。その後、反応性イオンエッチング(RIE)などにより、振動ミラー素子100に対応する位置以外の位置に形成されたSi基板1を除去する。
【0063】
そして、図14に示すように、マスク層5をマスクとして、反応性イオンエッチング(RIE)などにより、枠体16、回動軸30および31、連結支持部46〜49、連結支持部56〜59ならびに固定部32および33に対応する位置以外の位置に形成されたSi層4を除去する。この際、駆動ユニット40の自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10に対応する位置と、駆動ユニット50における自由端、固定端および端部に対応する位置とに形成されたSi層4は除去しない。その後、反応性イオンエッチング(RIE)などにより、振動ミラー素子100に対応する位置以外の位置に形成されたSiO2層3を除去する。これにより、図8に示す振動ミラー素子100が形成される。
【0064】
本実施形態では、上記のように、駆動ユニット40の固定端S2を、支持部分32aによりA方向光走査部10側(X2側)で固定することによって、固定端S2がA方向光走査部10から遠ざかるのが抑制され、A方向光走査部10と駆動ユニット40との間やA方向光走査部10の周囲などにおいて固定端S2を固定することができる。これにより、軸線400の延びる方向(X方向)に振動ミラー素子100が大型化するのを抑制することができる。また、駆動ユニット40の固定端S2をY方向の略中央近傍に位置する回動軸30の近傍で固定することによって、自由端S1と固定端S2とが離間するのを抑制することができる。これにより、自由端S1が固定端S2に対して傾斜するのを抑制することができるので、駆動ユニット40が未駆動の状態において、自由端S1に接続されたA方向光走査部10が固定端S2に対して傾斜するのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、支持部分32aのX方向における長さL1が、回動軸30のX方向における長さL2よりも小さいことによって、支持部分32aを、A方向光走査部10と駆動ユニット40との間に容易に配置することができる。また、支持部分32aをA方向光走査部10と駆動ユニット40との間に配置することによって、X方向に振動ミラー素子100が大型化するのを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、駆動部分41の自由端S1におけるY1側の端面と、駆動部分45の固定端S2におけるY2側の端面とを、Y方向から見て、互いに略重なるように配置することによって、固定端S2を、駆動ユニット40のA方向光走査部10側(X2側)で、かつ、自由端S1に接続される回動軸30の近傍に容易に配置することができる。また、自由端S1におけるY1側の端面と固定端S2におけるY2側の端面とを互いに対向させることによって、駆動部分41の位置と駆動部分45の位置とが、X方向において大きくずれるのを抑制することができる。これにより、X方向に振動ミラー素子100が大型化するのを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、駆動ユニット40および回動軸30をA方向光走査部10のX1側に形成するとともに、駆動ユニット50および回動軸31をA方向光走査部10のX2側に形成されている場合においても、上記のように駆動ユニット40および50の各々の固定端をA方向光走査部10側(X2側)で固定することによって、X方向に振動ミラー素子100が大型化するのを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、連結支持部46〜49の鉛直方向(Z方向)の厚みW1を、駆動部分41〜45の鉛直方向の厚みW2よりも大きくするとともに、自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の鉛直方向の厚みW4を、駆動部分41〜45の鉛直方向の厚みW2よりも大きくすることによって、連結支持部46〜49が変形したり傾斜したりするのを抑制することができるので、変形した駆動部分42〜45における傾斜を略維持した状態で、接続された駆動部分41〜44をそれぞれ傾斜するように変形させることができる。これにより、駆動部分41〜45における傾斜を累積させることができるので、駆動ユニット40全体をより大きく変形させることができる。この結果、A方向光走査部10をより大きな傾斜で揺動させることができる。また、連結支持部46〜49の鉛直方向(Z方向)の厚みW1を大きくすることによって、連結支持部46〜49の合成を維持しつつ、連結支持部46〜49における軸線400と直交する方向(Y方向)の長さを小さくすることができる。これにより、駆動部分41〜45をよりY方向に長くすることができるので、各々の駆動部分41〜45における駆動力を大きくすることができる。この結果、A方向光走査部10をより傾斜させることができる。
【0069】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0070】
たとえば、上記実施形態では、互いに同様の構成を有する駆動ユニット40と駆動ユニット50とが、ミラー11の中心Rを中心として、略点対称の関係を有するように構成するとともに、固定部32と固定部33とが、互いに同様の構成を有するミラー11の中心Rを中心として、略点対称の関係を有するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0071】
たとえば、図15に示す本実施形態の変形例における振動ミラー素子200のように、互いに同様の構成を有する駆動ユニット40と駆動ユニット250とを、ミラー11の中心Rを通りY方向に延びる対称軸500を境に線対称の関係を有するように構成してもよい。その際、駆動ユニット40の固定端S2と駆動ユニット250の固定端S22とを固定する固定部232をA方向光走査部10のY方向における一方側(Y1側)に設けてもよい。これにより、A方向光走査部10のY2側に別途固定部を設ける必要がない。具体的な構成としては、振動ミラー素子200のY1側に形成された固定部232は、対称軸500を境に線対称の関係を有するように構成されているとともに、Y1側に形成された本体部232bのX方向の両端部に、それぞれ、支持部分232aおよび232cが設けられている。駆動ユニット40側(X1側)に形成された支持部分232aは、回動軸30の近傍で駆動ユニット40の固定端S2を固定するように構成されている。また、駆動ユニット250側(X2側)に形成された支持部分232cは、回動軸31の近傍で駆動ユニット250の固定端S22を固定するように構成されている。これにより、X方向に振動ミラー素子200が大型化するのを抑制することが可能であるとともに、駆動ユニット40および250が未駆動の状態において、A方向光走査部10が固定端S2およびS22に対して傾斜するのを抑制することが可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、駆動ユニット40(50)と、回転軸30(31)と、固定部32(33)とを、それぞれ、A方向光走査部10を挟み込むように一対ずつ形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動ユニットと回転軸と固定部とを1つずつ形成してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、駆動部分41の自由端S1におけるY1側の端面と、駆動部分45の固定端S2におけるY2側の端面とを、Y方向から見て、互いに略重なるように配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、自由端における端面の一部と、固定端における端面の一部とを、Y方向から見て、互いに略重なるように配置してもよい。すなわち、自由端における端面と固定端における端面とが、Y方向から見て、互いに対向していればよい。
【0074】
また、上記実施形態では、圧電体21がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、圧電体は、PZT以外の鉛、チタンおよびジルコニウムを主成分とした酸化物からなる圧電材料や、他の圧電材料により形成されていてもよい。具体的には、圧電体は、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛((Pb、La)(Zr、Ti)O3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)などの圧電材料により形成されていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、駆動ユニット40を、5つの駆動部分41、42、43、44および45が4つの連結支持部46、47、48および49により各々が接続されることによって、1本の駆動部になるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動ユニットは、自由端と固定端とが共に駆動ユニットのA方向光走査部側に形成されていればよく、たとえば、駆動ユニットは、3つの駆動部分が2つの連結支持部により各々が接続されることによって構成されていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、連結支持部46〜49の鉛直方向(Z方向)の厚みW1を、駆動部分41〜45(自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の部分を除く)の鉛直方向の厚みW2よりも大きくするとともに、自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の鉛直方向の厚みW4を、駆動部分41〜45(自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の部分を除く)の鉛直方向の厚みW2よりも大きくした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動部分の鉛直方向の厚みを、端部の鉛直方向の厚みと略等しくしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、内側駆動部14aおよび14bと駆動部分41〜45と、駆動部51〜55とが、下部電極20と圧電体21と上部電極22とが積層された構造を有する圧電素子層2を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、内側駆動部および駆動部分は、圧電素子以外の駆動装置によって駆動するように構成されてもよい。たとえば、電極に挟まれたエラストマからなる駆動装置としてもよい。この際、電極間に電圧を印加することにより、電極同士が引き合うことによって、エラストマが圧縮されて駆動装置が変形するように構成される。
【0078】
また、上記実施形態では、振動ミラー素子100が、A方向光走査部10とB方向光走査部20とを含むことによって、2次元に光を走査するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、A方向光走査部をミラーのみからなり、内側駆動部を有さない構成にすることによって、振動ミラー素子を1次元にのみ光を走査するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 A方向光走査部(ミラー部)
30、31 回動軸(軸部)
32、33、232 固定部
32a、33a、232a、232c 支持部分(固定端支持部分)
40、50、250 駆動ユニット(駆動部)
41 駆動部分(第1駆動部、第3駆動部、第4駆動部)
42、43、44 駆動部分(第3駆動部、第4駆動部)
45 駆動部分(第2駆動部、第3駆動部、第4駆動部)
46、47、48、49 連結支持部(接続部分)
S1 自由端
S2、S22 固定端
400 軸線
【技術分野】
【0001】
この発明は、振動ミラー素子に関し、特に、自由端が軸部に接続される駆動部を備える振動ミラー素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自由端が軸部に接続される駆動部を備える振動ミラー素子が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、第1の方向(X方向)に延びる軸線回りに揺動可能なミラー部と、ミラー部に接続され、ミラー部と共に軸線回りに揺動可能な内枠体と、内枠体に接続される軸部と、自由端と固定端とを含むミアンダ形振動子(駆動部)と、外枠体とを備える光学反射素子(振動ミラー素子)が開示されている。上記特許文献1の光学反射素子では、ミアンダ形振動子は、第1の方向と直交する第2の方向(Y方向)に延びる複数の圧電アクチュエータを含んでおり、変形することによってミラー部を揺動させるように構成されている。また、ミアンダ形振動子の自由端は、X方向におけるミラー部側で、かつ、Y方向の一方側において、軸部を介して内枠体と接続されている。また、ミアンダ形振動子の固定端は、X方向におけるミラー部とは反対側で、かつ、Y方向の略中央において、外枠体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−192967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の光学反射素子では、ミアンダ形振動子の固定端はX方向においてミラー部とは反対側で外枠体に固定されているため、固定端がミラー部からX方向(軸線の延びる方向)に遠ざかる分、X方向(軸線の延びる方向)に光学反射素子が大型化しやすいという問題点がある。また、ミアンダ形振動子の自由端はY方向(軸線と直交する方向)の一方側において軸部と接続されている一方、ミアンダ形振動子の固定端はY方向(軸線と直交する方向)の略中央において支持部に固定されているため、自由端と固定端とがY方向(軸線と直交する方向)に離間している。このため、複数の圧電アクチュエータが未駆動の状態で鉛直方向(X方向およびY方向と直交する方向)に凹状または凸状に変形している場合に、自由端と固定端とのY方向の離間に起因して、自由端が固定端に対して傾斜するという不都合がある。したがって、ミアンダ形振動子が未駆動の状態において、自由端に接続されたミラー部が固定端に対して傾斜するという問題点もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、大型化するのを抑制するとともに、駆動部が未駆動の状態において、ミラー部が固定端に対して傾斜するのを抑制することが可能な振動ミラー素子を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による振動ミラー素子は、軸線回りに揺動可能なミラー部と、自由端と固定端とを含み、変形することによってミラー部を揺動させるための駆動部と、ミラー部と駆動部との間に軸線に沿って延びるように設けられ、ミラー部を揺動可能に支持する軸部とを備え、駆動部の自由端は軸部に接続されるとともに、駆動部の固定端は駆動部のミラー部側で、かつ、軸部の近傍で固定されている。
【0008】
この発明の一の局面による振動ミラー素子では、上記のように、駆動部の固定端を駆動部のミラー部側で固定することによって、固定端がミラー部から遠ざかるのが抑制され、ミラー部と駆動部との間やミラー部の周囲などにおいて固定端を固定することができる。これにより、軸線の延びる方向に振動ミラー素子が大型化するのを抑制することができる。また、駆動部の固定端を軸部の近傍で固定することによって、自由端と固定端とが離間するのを抑制することができる。これにより、自由端が固定端に対して傾斜するのを抑制することができるので、駆動部が未駆動の状態において、自由端に接続されたミラー部が固定端に対して傾斜するのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による振動ミラー素子において、好ましくは、固定端を固定するとともに、ミラー部と駆動部との間に配置された固定端支持部分を含む固定部をさらに備え、軸線の延びる方向における固定端支持部分の長さは、軸線の延びる方向における軸部の長さよりも小さい。このように構成すれば、軸線の延びる方向において固定端支持部分の長さが軸部の長さよりも小さいので、固定端支持部分をミラー部と駆動部との間に容易に配置することができる。また、固定端支持部分をミラー部と駆動部との間に配置することによって、軸線の延びる方向に振動ミラー素子が大型化するのを抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による振動ミラー素子において、好ましくは、駆動部は、軸線と直交する方向に延びるように設けられ、変形する第1駆動部および第2駆動部をさらに含み、第1駆動部は、自由端を有し、第2駆動部は、固定端を有し、第1駆動部の自由端の端面と第2駆動部の固定端の端面とは、軸線と直交する方向に互いに対向するように構成されている。このように構成すれば、駆動部の固定端を、自由端に接続される軸部の近傍に容易に配置することができる。また、第1駆動部の自由端の端面と第2駆動部の固定端の端面とを互いに対向するように構成することによって、第1駆動部の位置と第2駆動部の位置とが、軸線の延びる方向において大きくずれるのを抑制することができる。これにより、軸線の延びる方向に振動ミラー素子が大型化するのを抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による振動ミラー素子において、好ましくは、駆動部および軸部の各々は、軸線の延びる方向におけるミラー部の両側に、ミラー部を挟むように一対設けられている。このように、駆動部および軸部がミラー部を挟むように一対設けられている場合においても、一対の駆動部の各々の固定端をミラー部側で固定することによって、軸線の延びる方向に振動ミラー素子が大型化するのを抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による振動ミラー素子において、好ましくは、駆動部は、軸線と直交する方向に延びるように設けられ、変形する第3駆動部および第4駆動部と、第3駆動部と第4駆動部とを接続する接続部分とをさらに含み、接続部分の厚みは、第3駆動部の厚みおよび第4駆動部の厚み以上である。このように構成すれば、接続部分が変形したり傾斜したりするのを抑制することができるので、変形した第3駆動部または第4駆動部における傾斜を略維持した状態で、第4駆動部または第3駆動部を傾斜するように変形させることができる。これにより、第3駆動部における傾斜と第4駆動部における傾斜とを累積させることができるので、駆動部全体をより大きく変形させることができる。この結果、ミラー部をより大きな傾斜で揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による振動ミラー素子の構造を示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による振動ミラー素子の構造を示した平面図である。
【図3】図2の600−600線に沿った振動ミラー素子の拡大断面図である。
【図4】図2の610−610線に沿った振動ミラー素子の拡大断面図である。
【図5】図2の620−620線に沿った振動ミラー素子の拡大断面図である。
【図6】図2の630−630線に沿った振動ミラー素子の拡大断面図である。
【図7】図2の640−640線に沿った振動ミラー素子の拡大断面図である。
【図8】本発明の一実施形態による振動ミラー素子の圧電素子層の拡大断面図である。
【図9】本発明の一実施形態による振動ミラー素子がB1側に傾斜した状態を示した斜視図である。
【図10】図9のC側から見た、本発明の一実施形態による振動ミラー素子がB1側に傾斜した状態を示した側面図である。
【図11】図9のD側から見た、本発明の一実施形態による振動ミラー素子がB1側に傾斜した状態を示した側面図である。0
【図12】本発明の一実施形態による振動ミラー素子がB2側に傾斜した状態を示した斜視図である。
【図13】図2の620−620線に沿った振動ミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図14】図2の620−620線に沿った振動ミラー素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図15】本発明の一実施形態の変形例による振動ミラー素子の構造を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
まず、図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態による振動ミラー素子100の構成について説明する。
【0016】
本発明の一実施形態による振動ミラー素子100は、図1および図2に示すように、後述するミラー11を用いて所定の平面内の一方向(A1方向およびA2方向)に光を走査するためのA方向光走査部10と、ミラー11を用いてA1方向およびA2方向と直交するB1方向およびB2方向に光を走査するためのB方向光走査部20と、A方向光走査部10とB方向光走査部20とを接続する回動軸30および31と、B方向光走査部20を固定するための固定部32および33とを備えている。
【0017】
また、A方向光走査部10は、ミラー11を軸線300回りにA1方向およびA2方向に揺動させるように構成されており、B方向光走査部20は、A方向光走査部10(ミラー11)を軸線400回りにB1方向およびB2方向に揺動させるように構成されている。また、A方向光走査部10、B方向光走査部20、回動軸30および31ならびに固定部32および33は、図1に示すように、共通のSi基板1上に一体的に形成されている。なお、A方向光走査部10は、本発明の「ミラー部」の一例である。
【0018】
また、振動ミラー素子100は、図示しないプロジェクタなどの2次元に光を走査する機器に組み込まれ、A方向光走査部10によりA1方向およびA2方向に光を走査するとともに、B方向光走査部20によりB1方向およびB2方向に光を走査するように構成されている。また、A方向光走査部10は、約30kHzの共振周波数で共振駆動するように構成されている一方、B方向光走査部20は、約60Hzの周波数で非共振駆動するように構成されている。ここで、B方向光走査部20を非共振駆動するように構成することによって、振動ミラー素子100の周囲の温度変化に起因した共振周波数の変化が存在しないので、後述するミラー11を安定的に駆動させることが可能である。
【0019】
また、A方向光走査部10は、図1および図2に示すように、ミラー11と、ミラー11と接続され、ねじり変形可能なトーションバー12aおよび12bと、トーションバー12aおよび12bとそれぞれ接続され、傾斜可能なバー13aおよび13bと、バー13aおよび13bと接続される内側駆動部14aおよび14bと、内側駆動部14aおよび14bを固定する固定部15aおよび15bと、固定部15aおよび15bと接続される枠体16とを含む。この枠体16は、図2に示すように、平面的に見て、ミラー11と、トーションバー12aおよび12bと、バー13aおよび13bと、内側駆動部14aおよび14bと、固定部15aおよび15bとを取り囲むように形成されている。
【0020】
また、ミラー11とトーションバー12aおよび12bとは、共振によってバー13aおよび13bの傾斜以上に傾斜されるように構成されている。また、振動ミラー素子100がA1方向およびA2方向に光を走査する際の軸線300およびB1方向およびB2方向に光を走査する際の軸線400は、共にミラー11の中心Rを通るように構成されている。
【0021】
また、図3に示すように、A方向光走査部10の内側駆動部14aおよび14bにおいては、Si基板1の上面上(Z1側)に圧電素子層2が形成されている。これにより、図1に示すように、内側駆動部14aおよび14bは、電圧が印加されることによって、それぞれ、固定部15aおよび15bを固定端として、Z方向に凹形状または凸形状に変形するように構成されている。この内側駆動部14aと内側駆動部14bとを互いに逆方向に変形させることによって、ミラー11を軸線300(図2参照)回りにA1方向またはA2方向に傾斜させることが可能なように構成されている。この変形動作を繰り返すことによって、A方向光走査部10は、ミラー11を軸線300回りに揺動させて光を走査させるように構成されている。なお、圧電素子層2の詳しい内容については後述する。
【0022】
また、図3に示すように、A方向光走査部10の枠体16においては、Si基板1の下面上(Z2側)に、SiO2層3と、Si層4と、マスク層5とがZ1側からZ2側に向かってこの順に設けられている。これにより、枠体16の鉛直方向(Z方向)の厚みW1は、内側駆動部14aおよび14bの鉛直方向の厚みW2よりも大きいとともに、ミラー11、トーションバー12aおよび12b(図1参照)、バー13aおよび13b(図1参照)ならびに固定部15aおよび15b(図1参照)の鉛直方向の厚みW3よりも大きい。
【0023】
また、図2に示すように、回動軸30および31は、共に軸線400上に、軸線400に沿ってX方向に延びるように形成されている。また、回動軸30は、X2側において、A方向光走査部10の枠体16と接続されているとともに、X1側において、B方向光走査部20の後述する駆動ユニット40と接続されている。また、回動軸31は、X1側において、A方向光走査部10の枠体16と接続されているとともに、X2側において、B方向光走査部20の後述する駆動ユニット50と接続されている。すなわち、回動軸30および31は、共に、B方向光走査部20によって、A方向光走査部10(ミラー11)を軸線400回りにB1方向およびB2方向に揺動させる際の軸として形成されている。なお、回動軸30および31は、本発明の「軸部」の一例である。
【0024】
また、B方向光走査部20は、図2に示すように、A方向光走査部10のX1側に形成された駆動ユニット40と、A方向光走査部10のX2側に形成された駆動ユニット50とを含む。すなわち、駆動ユニット40と駆動ユニット50とは、X方向において、A方向光走査部10を挟み込むように配置されている。なお、駆動ユニット40および50は、本発明の「駆動部」の一例である。
【0025】
また、駆動ユニット40は、5つの駆動部分41、42、43、44および45と、4つの連結支持部46、47、48および49とを含んでいる。また、駆動ユニット50は、5つの駆動部分51、52、53、54および55と、4つの連結支持部56、57、58および59とを含んでいる。ここで、駆動部分41、42、43、44および45と、駆動部分51、52、53、54および55とは、電圧が印加されることによって変形するように構成されている一方、連結支持部46、47、48および49と、連結支持部56、57、58および59とは、ほぼ変形しないように構成されている。
【0026】
また、本実施形態では、駆動ユニット40は、固定部32と接続されているとともに、駆動ユニット50は、固定部33と接続されている。また、固定部32は、A方向光走査部10の枠体16と駆動ユニット40との間に配置される支持部分32aと、A方向光走査部10のY1側に配置される本体部32bとを含む。また、固定部33は、A方向光走査部10の枠体16と駆動ユニット50との間に配置される支持部分33aと、A方向光走査部10のY2側に配置される本体部33bとを含む。また、固定部32の本体部32bと固定部33の本体部33bとは、Y方向において、A方向光走査部10を挟み込むように配置されている。なお、支持部分32aおよび33aは、本発明の「固定端支持部分」の一例である。
【0027】
ここで、図2に示すように、A方向光走査部10のX1側に形成された駆動ユニット40とX2側に形成された駆動ユニット50とは、互いに同様の構成を有するとともに、ミラー11の中心Rを中心として、略点対称の関係を有するように構成されている。すなわち、駆動ユニット50の駆動部分51、52、53、54および55ならびに連結支持部56、57、58および59は、ミラー11の中心Rを中心として180度回転されることによって、それぞれ、駆動部分41、42、43、44および45ならびに連結支持部46、47、48および49と略重なるような位置関係に配置されている。
【0028】
また、A方向光走査部10のX1側に形成された回動軸30とX2側に形成された回動軸31とは、互いに同様の構成を有するとともに、ミラー11の中心Rを中心として、略点対称の関係を有するように構成されている。さらに、A方向光走査部10のY1側に形成された固定部32とY2側に形成された固定部33とも、互いに同様の構成を有するとともに、ミラー11の中心Rを中心として、略点対称の関係を有するように構成されている。
【0029】
したがって、これ以降は、駆動ユニット40と、駆動ユニット40に接続される回動軸30および固定部32との構成について説明する。
【0030】
駆動ユニット40の駆動部分41、42、43、44および45は、共に軸線400に直交するY方向に延びるように形成されている。また、連結支持部46、47、48および49は、共に軸線400に沿ったX方向に延びるように形成されている。なお、駆動部分41、42、43、44および45は、本発明の「第3駆動部」および「第4駆動部」の一例である。
【0031】
また、駆動ユニット40は、5つの駆動部分41、42、43、44および45が4つの連結支持部46、47、48および49により各々が接続されることによって、1本の駆動部になるように構成されている。これにより、駆動ユニット40の一方端部となる駆動部分41のY1側の端部が自由端S1になるとともに、駆動ユニット40の他方端部となる駆動部分45のY2側の端部が固定端S2になるように構成されている。なお、駆動部分41は、本発明の「第1駆動部」の一例であり、駆動部分45は、本発明の「第2駆動部」の一例である。
【0032】
駆動ユニット40の具体的な構成としては、図2に示すように、駆動部分41と駆動部分45とは、Y方向から見て略重なるように配置されているとともに、駆動部分41と駆動部分45とは、Y方向に所定の間隔を隔てて形成されている。また、駆動部分41および45のA方向光走査部10とは反対側(X1側)には、駆動部分41および45側(X2側)から順に、X1側に向かって駆動部分42、43および44がX方向に所定の間隔を隔てて形成されている。
【0033】
また、駆動ユニット40のA方向光走査部10側(X2側)に形成された駆動部分41は、駆動ユニット40のY方向の略中央からY2側の端部からまで延びるように形成されている。この駆動部分41は、Y1側の自由端S1において回動軸30のX1側と接続されるとともに、Y2側の端部S3において、連結支持部46のX2側と接続されている。
【0034】
また、駆動部分41および45と駆動部分44とに挟まれた駆動部分42および43は、共に、駆動ユニット40のY1側の端部からY2側の端部近傍まで延びように形成されている。この駆動部分42は、Y2側の端部S4において連結支持部46のX1側と接続されるとともに、Y1側の端部S5において、連結支持部47のX2側と接続されている。また、駆動部分43は、Y1側の端部S6において連結支持部47のX1側と接続されるとともに、Y2側の端部S7において、連結支持部48のX2側と接続されている。
【0035】
また、駆動ユニット40のA方向光走査部10とは反対側(X1側)に形成された駆動部分44は、駆動ユニット40のY1側の端部からY2側の端部まで延びるように形成されている。この駆動部分44は、Y2側の端部S8において連結支持部48のX1側と接続されるとともに、Y1側の端部S9において、連結支持部49のX1側と接続されている。
【0036】
また、駆動ユニット40のA方向光走査部10側(X2側)に形成された駆動部分45は、駆動ユニット40のY1側の端部からY方向の略中央近傍まで延びるように形成されている。また、駆動部分45は、Y1側の端部S10において、連結支持部49のX2側と接続されるとともに、Y2側の固定端S2において、駆動ユニット40のX2側に形成された固定部32の支持部分32aと接続されている。すなわち、駆動ユニット40の固定端S2は、支持部分32aによって、A方向光走査部10側(X2側)で、かつ、Y方向の略中央近傍に位置する回動軸30の近傍で固定されている。
【0037】
ここで、本実施形態では、上記したように、駆動ユニット40の自由端S1と固定端S2とは、共に、駆動ユニット40のA方向光走査部10側(X2側)に形成されている。また、駆動部分41の自由端S1におけるY1側の端面と、駆動部分45の固定端S2におけるY2側の端面とは、Y方向から見て、互いに略重なるように配置されている。すなわち、駆動ユニット40の自由端S1におけるY1側の端面と固定端S2におけるY2側の端面とは、Y方向に互いに対向するように配置されている。
【0038】
また、本実施形態では、図2に示すように、固定部32の支持部分32aにおけるのX方向の長さL1は、回動軸30におけるX方向の長さL2よりも小さくなるように構成されている。具体的には、支持部分32aのA方向光走査部10側(X2側)の側面から固定端S2のX1側までの長さL1は、枠体16と回動軸30との接続部分から自由端S1のX1側までの長さL2よりも小さくなるように構成されている。
【0039】
また、図3〜図7に示すように、駆動部分41〜45においては、A方向光走査部10の内側駆動部14aおよび14bと同様に、Si基板1の上面上(Z1側)に圧電素子層2が形成されている。すなわち、駆動部分41〜45は、電圧が印加されることによって、Z方向に凹形状または凸形状に変形するように構成されている。
【0040】
また、本実施形態では、回動軸30(図3参照)、連結支持部46〜49(図4〜図6参照)ならびに固定部32(図5および図6参照)においては、A方向光走査部10の枠体16と同様に、Si基板1の下面上(Z2側)に、SiO2層3と、Si層4と、マスク層5とがZ1側からZ2側に向かって設けられている。これにより、回動軸30、連結支持部46〜49ならびに固定部32の鉛直方向(Z方向)の鉛直方向の厚みW1は、駆動部分41〜45(自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の部分を除く)の鉛直方向の厚みW2よりも大きい。
【0041】
また、回動軸30の一部である自由端S1(図3参照)、支持部分32a一部である固定端S2(図7参照)および連結支持部46、47、48および49の一部である端部S3〜S10(図4〜図6参照)においては、Si基板1の上面上(Z1側)に圧電素子層2が形成されているとともに、Si基板1の下面上(Z2側)に、SiO2層3と、Si層4と、マスク層5とがZ1側からZ2側に向かって設けられている。これにより、自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の鉛直方向の厚みW4は、駆動部分41〜45(自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の部分を除く)の鉛直方向の厚みW2よりも大きい。なお、連結支持部46、47、48および49は、本発明の「接続部分」の一例である。
【0042】
また、圧電素子層2は、図8に示すように、Si基板1側(Z2側)から、下部電極20と圧電体21と上部電極22とが積層された構造を有している。なお、下部電極20は、TiまたはPtなどからなり、Si基板1の上面の全面に形成されている。これにより、圧電素子層2の下部電極20への配線処理をSi基板1の任意の部分に対して行うことが可能である。なお、下部電極20の鉛直方向の厚みはSi基板1に対して十分に小さいので、図8以外の図面では、Si基板1の上面に形成されている下部電極20の図示を省略している。
【0043】
また、圧電体21は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなり、膜厚方向(Z方向)に分極されることによって、電圧を印加されると伸縮するように構成されている。また、上部電極22は、Al、Cr、Cu、AuまたはPtなどの導電性のある金属材料からなる。
【0044】
また、駆動ユニット40では、駆動部分41〜45は、電圧が印加されることにより変形して駆動するように構成されている。また、駆動部分41、43および45に印加される電圧と駆動部分42および44に印加される電圧とが互いに逆の位相になるように構成されている。
【0045】
ここで、駆動ユニット40の駆動部分45は、図1および図2に示すように、固定端S2と自由端となる端部S10とを有する片持ち梁状の構造を有している。これにより、駆動部分45が駆動する際には、駆動部分45が反るように変形することにより、端部S10をZ方向(図1参照)に変位させて傾斜させるように構成されている。この際、固定端S2は、駆動部分45が駆動する際においても変位しない。これにより、端部S10は、固定端S2に対して傾斜するように構成されている。また、駆動部分45と駆動部分44とを接続する連結支持部49は、略変形しないように構成されているので、端部S10の傾斜を維持した状態で端部S9を支持するように構成されている。
【0046】
また、駆動部分44は、固定端となる端部S9と自由端となる端部S8とを有する片持ち梁状の構造を有している。これにより、端部S8は、端部S9に対して傾斜される。そして、連結支持部48は、端部S8の傾斜を維持した状態で端部S7を支持するように構成されている。
【0047】
また、駆動部分43は、固定端となる端部S7と自由端となる端部S6とを有する片持ち梁状の構造を有している。これにより、端部S7は、端部S6に対して傾斜するように構成されている。そして、連結支持部47は、端部S6の傾斜を維持した状態で端部S5を支持するように構成されている。
【0048】
また、駆動部分42は、固定端となる端部S5と自由端となる端部S4とを有する片持ち梁状の構造を有している。これにより、端部S5は、端部S4に対して傾斜するように構成されている。そして、連結支持部46は、端部S4の傾斜を維持した状態で端部S3を支持するように構成されている。
【0049】
また、駆動部分41は、固定端となる端部S3と自由端S1とを有する片持ち梁状の構造を有している。これにより、自由端S1は、端部S3に対して傾斜するように構成されている。この結果、自由端S1は、駆動部分41〜45の傾斜が累積された状態で、回動軸30およびA方向光走査部10を傾斜させるように構成されている。
【0050】
なお、本実施形態におけるB方向光走査部20においては、駆動ユニット40の駆動部分41、43および45と、駆動ユニット50の駆動部分52および54とには、同じ位相の電圧が印加されるように構成されている。一方、駆動ユニット40の駆動部分42および44と、駆動ユニット50の駆動部分51、53および55とには、同じ位相の電圧が印加されるように構成されている。さらに、駆動部分41、43、45、52および54に印加される電圧と、駆動部分42、44、51、53および55に印加される電圧とは、互いに逆の位相になるように構成されている。この結果、駆動ユニット40と駆動ユニット50とは、互いに逆の駆動をするように構成されている。
【0051】
ここで、駆動ユニット40と駆動ユニット50とは、ミラー11の中心Rを中心として、互いに略点対称の関係を有するように構成されていることによって、駆動ユニット40に接続された回動軸30と、駆動ユニット50に接続された回動軸31とを、共に軸線400回りの同一の方向に傾斜させることが可能である。これにより、回動軸30および31に接続されたA方向光走査部10を軸線400回りにB1方向またはB2方向(図1参照)に回動させることが可能なように構成されている。
【0052】
次に、図1、図2および図9〜図12を参照して、本発明の一実施形態による振動ミラー素子100のB方向光走査部20の駆動動作を説明する。
【0053】
図1および図2に示すような駆動ユニット40および50が非駆動状態であることにより水平に保たれている状態から、図9に示すように、駆動ユニット40の駆動部分41、43および45と、駆動ユニット50の駆動部分52および54とに、圧電素子層2の上面側(Z1側)が下面側(Z2側)よりも収縮されるような電圧を印加する。一方、駆動ユニット40の駆動部分42および44と、駆動ユニット50の駆動部分51、53および55とに、駆動部分41、43、45、52および54に印加された電圧とは逆の位相である圧電素子層2の下面側(Z2側)が上面側(Z1側)よりも収縮されるような電圧を印加する。
【0054】
これにより、図10に示すように、駆動ユニット40において、駆動部分41、43および45は、それぞれ、自由端S1、端部S6および端部S10が、端部S3、端部S7および固定端S2に対して上方(Z1側)に傾斜するように変形される。一方、駆動部分42および44は、それぞれ、端部S4および端部S8が、端部S5および端部S9に対して下方(Z2側)に傾斜される。この結果、自由端S1に接続された回動軸30は、駆動部分41〜45の傾斜が累積された状態で、A方向光走査部10をY1側がY2側よりも上方(Z1側)に位置するように傾斜させる。
【0055】
また、図11に示すように、駆動ユニット50は、駆動ユニット40と逆の駆動をすることによって、回動軸31は、駆動部分51〜55の傾斜が累積された状態で、A方向光走査部10をY1側がY2側よりも上方(Z1側)に位置するように傾斜させる。これらにより、A方向光走査部10は、軸線400回りにB1方向に回動される。
【0056】
また、図1および図2に示すような駆動ユニット40および50が非駆動状態であることにより水平に保たれている状態から、図12に示すように、駆動ユニット40の駆動部分41、43および45と、駆動ユニット50の駆動部分52および54とに、圧電素子層2の下面側(Z2側)が上面側(Z1側)よりも収縮されるような電圧を印加する。一方、駆動ユニット40の駆動部分42および44と、駆動ユニット50の駆動部分51、53および55とに、駆動部分41、43、45、52および54に印加された電圧とは逆の位相である圧電素子層2の上面側(Z1側)が下面側(Z2側)よりも収縮されるような電圧を印加する。
【0057】
これにより、駆動ユニット40が図9および図10の状態とは逆になるように駆動されることによって、回動軸30は、駆動部分41〜45の傾斜が累積された状態で、A方向光走査部10をY1側がY2側よりも下方(Z1側)に位置するように傾斜させる。また、駆動ユニット50は、駆動ユニット40と逆の駆動をすることによって、回動軸31は、駆動部分51〜55の傾斜が累積された状態で、A方向光走査部10をY1側がY2側よりも下方(Z1側)に位置するように傾斜させる。これらにより、A方向光走査部10は、軸線400回りにB2方向に回動される。
【0058】
これら一連の駆動が繰り返されることによって、A方向光走査部10は、駆動ユニット40および50により軸線400回りに揺動される。なお、B方向光走査部20の駆動と同時に、A方向光走査部10を駆動させることによって、ミラー11を軸線400回りに揺動させつつ、軸線300回りに揺動させることが可能である。
【0059】
次に、図8、図13および図14を参照して、本発明の一実施形態による振動ミラー素子100の製造工程について説明する。
【0060】
まず、図13に示すように、Si基板1の下面(Z2側)上にSiO2層3と、Si層4とがこの順に設けられた母基板を準備する。そして、母基板の上面上(Z1側)の全面に、スパッタなどにより下部電極20および圧電体21(図8参照)を順次形成する。そして、内側駆動部14aおよび14b(図3参照)と、駆動部分41(図3参照)、42、43、44、45、51、52、53、54および55(図3参照)とに対応する圧電体21の上面上に、蒸着などにより上部電極22(図8参照)を形成する。このようにして、内側駆動部14aおよび14bと、駆動部分41〜45と、駆動部51〜55とに圧電素子層2(図3〜図7参照)が形成される。
【0061】
そして、内側駆動部14aおよび14bと、駆動部分41〜45と、駆動部51〜55とに対応する位置にフォトリソグラフィによりレジストパターン(図示せず)を形成した後、そのレジストパターンをマスクとしてウェットエッチングなどを行うことにより、内側駆動部14aおよび14bと、駆動部分41〜45と、駆動部51〜55とに対応する位置以外の位置に形成された圧電体21を除去する。その後、母基板(Si層4)の下面上(Z2側)の枠体16、回動軸30および31、連結支持部46〜49、連結支持部56〜59ならびに固定部32および33に対応する位置に、蒸着などによりAl、CrまたはCuなどからなるマスク層5を形成する。
【0062】
そして、振動ミラー素子100に対応する位置にフォトリソグラフィによりレジストパターン(図示せず)を形成した後、そのレジストパターンをマスクとして反応性イオンエッチング(RIE)などにより、振動ミラー素子100に対応する位置以外の位置に形成された下部電極20を除去する。その後、反応性イオンエッチング(RIE)などにより、振動ミラー素子100に対応する位置以外の位置に形成されたSi基板1を除去する。
【0063】
そして、図14に示すように、マスク層5をマスクとして、反応性イオンエッチング(RIE)などにより、枠体16、回動軸30および31、連結支持部46〜49、連結支持部56〜59ならびに固定部32および33に対応する位置以外の位置に形成されたSi層4を除去する。この際、駆動ユニット40の自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10に対応する位置と、駆動ユニット50における自由端、固定端および端部に対応する位置とに形成されたSi層4は除去しない。その後、反応性イオンエッチング(RIE)などにより、振動ミラー素子100に対応する位置以外の位置に形成されたSiO2層3を除去する。これにより、図8に示す振動ミラー素子100が形成される。
【0064】
本実施形態では、上記のように、駆動ユニット40の固定端S2を、支持部分32aによりA方向光走査部10側(X2側)で固定することによって、固定端S2がA方向光走査部10から遠ざかるのが抑制され、A方向光走査部10と駆動ユニット40との間やA方向光走査部10の周囲などにおいて固定端S2を固定することができる。これにより、軸線400の延びる方向(X方向)に振動ミラー素子100が大型化するのを抑制することができる。また、駆動ユニット40の固定端S2をY方向の略中央近傍に位置する回動軸30の近傍で固定することによって、自由端S1と固定端S2とが離間するのを抑制することができる。これにより、自由端S1が固定端S2に対して傾斜するのを抑制することができるので、駆動ユニット40が未駆動の状態において、自由端S1に接続されたA方向光走査部10が固定端S2に対して傾斜するのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、支持部分32aのX方向における長さL1が、回動軸30のX方向における長さL2よりも小さいことによって、支持部分32aを、A方向光走査部10と駆動ユニット40との間に容易に配置することができる。また、支持部分32aをA方向光走査部10と駆動ユニット40との間に配置することによって、X方向に振動ミラー素子100が大型化するのを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、駆動部分41の自由端S1におけるY1側の端面と、駆動部分45の固定端S2におけるY2側の端面とを、Y方向から見て、互いに略重なるように配置することによって、固定端S2を、駆動ユニット40のA方向光走査部10側(X2側)で、かつ、自由端S1に接続される回動軸30の近傍に容易に配置することができる。また、自由端S1におけるY1側の端面と固定端S2におけるY2側の端面とを互いに対向させることによって、駆動部分41の位置と駆動部分45の位置とが、X方向において大きくずれるのを抑制することができる。これにより、X方向に振動ミラー素子100が大型化するのを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、駆動ユニット40および回動軸30をA方向光走査部10のX1側に形成するとともに、駆動ユニット50および回動軸31をA方向光走査部10のX2側に形成されている場合においても、上記のように駆動ユニット40および50の各々の固定端をA方向光走査部10側(X2側)で固定することによって、X方向に振動ミラー素子100が大型化するのを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、連結支持部46〜49の鉛直方向(Z方向)の厚みW1を、駆動部分41〜45の鉛直方向の厚みW2よりも大きくするとともに、自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の鉛直方向の厚みW4を、駆動部分41〜45の鉛直方向の厚みW2よりも大きくすることによって、連結支持部46〜49が変形したり傾斜したりするのを抑制することができるので、変形した駆動部分42〜45における傾斜を略維持した状態で、接続された駆動部分41〜44をそれぞれ傾斜するように変形させることができる。これにより、駆動部分41〜45における傾斜を累積させることができるので、駆動ユニット40全体をより大きく変形させることができる。この結果、A方向光走査部10をより大きな傾斜で揺動させることができる。また、連結支持部46〜49の鉛直方向(Z方向)の厚みW1を大きくすることによって、連結支持部46〜49の合成を維持しつつ、連結支持部46〜49における軸線400と直交する方向(Y方向)の長さを小さくすることができる。これにより、駆動部分41〜45をよりY方向に長くすることができるので、各々の駆動部分41〜45における駆動力を大きくすることができる。この結果、A方向光走査部10をより傾斜させることができる。
【0069】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0070】
たとえば、上記実施形態では、互いに同様の構成を有する駆動ユニット40と駆動ユニット50とが、ミラー11の中心Rを中心として、略点対称の関係を有するように構成するとともに、固定部32と固定部33とが、互いに同様の構成を有するミラー11の中心Rを中心として、略点対称の関係を有するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。
【0071】
たとえば、図15に示す本実施形態の変形例における振動ミラー素子200のように、互いに同様の構成を有する駆動ユニット40と駆動ユニット250とを、ミラー11の中心Rを通りY方向に延びる対称軸500を境に線対称の関係を有するように構成してもよい。その際、駆動ユニット40の固定端S2と駆動ユニット250の固定端S22とを固定する固定部232をA方向光走査部10のY方向における一方側(Y1側)に設けてもよい。これにより、A方向光走査部10のY2側に別途固定部を設ける必要がない。具体的な構成としては、振動ミラー素子200のY1側に形成された固定部232は、対称軸500を境に線対称の関係を有するように構成されているとともに、Y1側に形成された本体部232bのX方向の両端部に、それぞれ、支持部分232aおよび232cが設けられている。駆動ユニット40側(X1側)に形成された支持部分232aは、回動軸30の近傍で駆動ユニット40の固定端S2を固定するように構成されている。また、駆動ユニット250側(X2側)に形成された支持部分232cは、回動軸31の近傍で駆動ユニット250の固定端S22を固定するように構成されている。これにより、X方向に振動ミラー素子200が大型化するのを抑制することが可能であるとともに、駆動ユニット40および250が未駆動の状態において、A方向光走査部10が固定端S2およびS22に対して傾斜するのを抑制することが可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、駆動ユニット40(50)と、回転軸30(31)と、固定部32(33)とを、それぞれ、A方向光走査部10を挟み込むように一対ずつ形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動ユニットと回転軸と固定部とを1つずつ形成してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、駆動部分41の自由端S1におけるY1側の端面と、駆動部分45の固定端S2におけるY2側の端面とを、Y方向から見て、互いに略重なるように配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、自由端における端面の一部と、固定端における端面の一部とを、Y方向から見て、互いに略重なるように配置してもよい。すなわち、自由端における端面と固定端における端面とが、Y方向から見て、互いに対向していればよい。
【0074】
また、上記実施形態では、圧電体21がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、圧電体は、PZT以外の鉛、チタンおよびジルコニウムを主成分とした酸化物からなる圧電材料や、他の圧電材料により形成されていてもよい。具体的には、圧電体は、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛((Pb、La)(Zr、Ti)O3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)などの圧電材料により形成されていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、駆動ユニット40を、5つの駆動部分41、42、43、44および45が4つの連結支持部46、47、48および49により各々が接続されることによって、1本の駆動部になるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動ユニットは、自由端と固定端とが共に駆動ユニットのA方向光走査部側に形成されていればよく、たとえば、駆動ユニットは、3つの駆動部分が2つの連結支持部により各々が接続されることによって構成されていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、連結支持部46〜49の鉛直方向(Z方向)の厚みW1を、駆動部分41〜45(自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の部分を除く)の鉛直方向の厚みW2よりも大きくするとともに、自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の鉛直方向の厚みW4を、駆動部分41〜45(自由端S1、固定端S2および端部S3〜S10の部分を除く)の鉛直方向の厚みW2よりも大きくした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動部分の鉛直方向の厚みを、端部の鉛直方向の厚みと略等しくしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、内側駆動部14aおよび14bと駆動部分41〜45と、駆動部51〜55とが、下部電極20と圧電体21と上部電極22とが積層された構造を有する圧電素子層2を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、内側駆動部および駆動部分は、圧電素子以外の駆動装置によって駆動するように構成されてもよい。たとえば、電極に挟まれたエラストマからなる駆動装置としてもよい。この際、電極間に電圧を印加することにより、電極同士が引き合うことによって、エラストマが圧縮されて駆動装置が変形するように構成される。
【0078】
また、上記実施形態では、振動ミラー素子100が、A方向光走査部10とB方向光走査部20とを含むことによって、2次元に光を走査するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、A方向光走査部をミラーのみからなり、内側駆動部を有さない構成にすることによって、振動ミラー素子を1次元にのみ光を走査するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 A方向光走査部(ミラー部)
30、31 回動軸(軸部)
32、33、232 固定部
32a、33a、232a、232c 支持部分(固定端支持部分)
40、50、250 駆動ユニット(駆動部)
41 駆動部分(第1駆動部、第3駆動部、第4駆動部)
42、43、44 駆動部分(第3駆動部、第4駆動部)
45 駆動部分(第2駆動部、第3駆動部、第4駆動部)
46、47、48、49 連結支持部(接続部分)
S1 自由端
S2、S22 固定端
400 軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに揺動可能なミラー部と、
自由端と固定端とを含み、変形することによって前記ミラー部を揺動させるための駆動部と、
前記ミラー部と前記駆動部との間に前記軸線に沿って延びるように設けられ、前記ミラー部を揺動可能に支持する軸部とを備え、
前記駆動部の自由端は前記軸部に接続されるとともに、前記駆動部の固定端は前記駆動部のミラー部側で、かつ、前記軸部の近傍で固定されている、振動ミラー素子。
【請求項2】
前記固定端を固定するとともに、前記ミラー部と前記駆動部との間に配置された固定端支持部分を含む固定部をさらに備え、
前記軸線の延びる方向における前記固定端支持部分の長さは、前記軸線の延びる方向における前記軸部の長さよりも小さい、請求項1に記載の振動ミラー素子。
【請求項3】
前記駆動部は、前記軸線と直交する方向に延びるように設けられ、変形する第1駆動部および第2駆動部をさらに含み、
前記第1駆動部は、前記自由端を有し、前記第2駆動部は、前記固定端を有し、
前記第1駆動部の自由端の端面と前記第2駆動部の固定端の端面とは、前記軸線と直交する方向に互いに対向するように構成されている、請求項1または2に記載の振動ミラー素子。
【請求項4】
前記駆動部および前記軸部の各々は、前記軸線の延びる方向における前記ミラー部の両側に、前記ミラー部を挟むように一対設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動ミラー素子。
【請求項5】
前記駆動部は、前記軸線と直交する方向に延びるように設けられ、変形する第3駆動部および第4駆動部と、前記第3駆動部と前記第4駆動部とを接続する接続部分をさらに含み、
前記接続部分の厚みは、前記第3駆動部の厚みおよび前記第4駆動部の厚み以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の振動ミラー素子。
【請求項1】
軸線回りに揺動可能なミラー部と、
自由端と固定端とを含み、変形することによって前記ミラー部を揺動させるための駆動部と、
前記ミラー部と前記駆動部との間に前記軸線に沿って延びるように設けられ、前記ミラー部を揺動可能に支持する軸部とを備え、
前記駆動部の自由端は前記軸部に接続されるとともに、前記駆動部の固定端は前記駆動部のミラー部側で、かつ、前記軸部の近傍で固定されている、振動ミラー素子。
【請求項2】
前記固定端を固定するとともに、前記ミラー部と前記駆動部との間に配置された固定端支持部分を含む固定部をさらに備え、
前記軸線の延びる方向における前記固定端支持部分の長さは、前記軸線の延びる方向における前記軸部の長さよりも小さい、請求項1に記載の振動ミラー素子。
【請求項3】
前記駆動部は、前記軸線と直交する方向に延びるように設けられ、変形する第1駆動部および第2駆動部をさらに含み、
前記第1駆動部は、前記自由端を有し、前記第2駆動部は、前記固定端を有し、
前記第1駆動部の自由端の端面と前記第2駆動部の固定端の端面とは、前記軸線と直交する方向に互いに対向するように構成されている、請求項1または2に記載の振動ミラー素子。
【請求項4】
前記駆動部および前記軸部の各々は、前記軸線の延びる方向における前記ミラー部の両側に、前記ミラー部を挟むように一対設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動ミラー素子。
【請求項5】
前記駆動部は、前記軸線と直交する方向に延びるように設けられ、変形する第3駆動部および第4駆動部と、前記第3駆動部と前記第4駆動部とを接続する接続部分をさらに含み、
前記接続部分の厚みは、前記第3駆動部の厚みおよび前記第4駆動部の厚み以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の振動ミラー素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−32679(P2012−32679A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173265(P2010−173265)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]