説明

排ガスの除害装置及びその除害方法、電子デバイスの製造システム

【課題】 有害成分を含む排ガスを処理しないときの消費電力を小さくすることができるようにした排ガスの除害装置及びその除害方法、電子デバイスの製造システムを提供する。
【解決手段】 半導体処理装置から排出された排ガスを反応筒51内に導入して当該排ガス中に含まれるCF等の有害成分を無害化する除害装置であって、反応筒51内を加熱するハロゲンランプ52を有する。反応筒51内の温度を常時高温に維持する必要がなく、有害成分を含む排ガスを処理しないときの除害装置50の消費電力を小さくすることができる。除害処理コストを低減することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスの除害装置及びその除害方法、電子デバイスの製造システムに関し、特に、電子デバイス等の製造装置から排出される排ガス中の有害成分を無害化(即ち、除害処理)する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PFC(パーフロロカーボン化合物)ガスは地球温暖化との関係が指摘されており、その排出量の削減が強く求められている。半導体装置やLCD(liquid crystal display)の製造工程では、一般に、SF(六フッ化硫黄)や、PFCガスがプロセスガスとして用いられている。プロセスガスとは、例えば、製膜用の原料ガスや、薄膜エッチング用のエッチングガス等のことであり、半導体ウエーハにIC回路を形成する上で必要なガスのことである。
【0003】
半導体装置やLCDの製造工程では、このようなPFCガスの外界への排出量を少なくとも規制値以下とする目的で、半導体処理装置に繋がる排気ラインに除害装置が設けられている。除害装置としては、常温での処理が困難な有害な成分を無害化するため、排ガスを加熱して有害成分を熱分解する加熱ヒータ式の除害装置(例えば、特許文献1参照。)等が知られている。
【0004】
図7は従来例に係る除害装置90の構成例を示す概念図である。図7に示すように、この除害装置90は、排ガス処理用の反応筒と、この反応筒91を外側から囲むヒータ92とを有する。ヒータ92は、除害装置90のメンテナンス時以外は常時オン状態となっており、反応筒91の内部を400〜800[℃]程度の高温に維持し続けるようになっている。半導体処理装置から排出された排ガスは、ガス排出管92を通って、この高温状態にある反応筒91内に導入される。そして、この反応筒91内で熱分解され、その後、外界へ排気される。
【特許文献1】特開2000−70662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例に係る除害装置90によれば、ヒータ92は常時オン状態となっており、反応筒91の内部を400〜800[℃]程度の高温に維持し続けていた。これは、ヒータ92の昇降温には時間がかかり、ヒータ92を一旦オフしてしまうと、その復旧(即ち、再び高温に戻す)に多くの時間がかかるためであった。
図8は、ヒータ92の昇温特性を示す図である。図8の横軸は経過時間を示し、縦軸はヒータ92の温度を示している。図8に示すように、ヒータ92を室温から例えば800℃まで昇温させるには、少なくとも30分から1時間程度を要してしまう。
【0006】
しかしながら、半導体処理装置は、その処理方式が枚葉式の場合もバッチ式の場合も、そのチャンバ内にSFや、PFCガス等の有害なガスを常時流し続けるわけではない。これらの半導体処理装置には、N等の無害なガスをそのチャンバ内に流してパージするような待機時間が存在する。また、図7に示した除害装置90は、通常、半導体処理装置1台又は2,3台につき、1台がその後段に配置されている。従って、反応筒91には、半導体処理装置の製品処理に連動して、有害ガスと無害ガスとが交互に、例えば数分間隔で流れてくる。
【0007】
従来の除害装置90では、その反応筒91に無害ガスが流れてくるときもヒータ92はオン状態にあり、その反応筒91内の温度は高温度に維持されているので、消費電力が大きいという問題があった。
そこで、この発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、有害成分を含む排ガスを処理しないときの消費電力を小さくすることができるようにした排ガスの除害装置及びその除害方法、電子デバイスの製造システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の排ガスの除害装置は、所定の製造装置から排出された排ガスを排ガス処理室内に導入して当該排ガス中の有害成分を無害化する除害装置であって、前記排ガス処理室内を加熱する加熱ランプを有することを特徴とするものである。
ここで、所定の製造装置とは、例えば半導体装置やLCD等を製造するための製造装置である。また、排ガスとは、例えば、SFや、PFCガスなど地球環境等に有害な成分を含む排気ガスのことである。PFCガスとしては、例えば、C(六フッ化エタン)、NF(三フッ化窒素)、CF(四フッ化メタン)、CHF(三フッ化メタン)等が挙げられる。さらに、加熱ランプとは、例えばハロゲンランプのことである。ハロゲンランプは、ヒータと比べて、昇降温速度が大きいという特徴がある。
【0009】
図6は、ハロゲンランプの昇温特性を示す図である。図6の横軸は経過時間を示し、縦軸はハロゲンランプの温度を示している。図6に示すように、ハロゲンランプの場合、室温から例えば1200℃まで昇温するのに要する時間は、僅か0.1分程度である。図8と比較して分かるように、ハロゲンランプの昇温速度は、ヒータと比べて、極めて大きい。
【0010】
発明1の排ガスの除害装置によれば、所定の製造装置で実行される処理に基づいて加熱ランプをフィードフォワード制御することができ、排ガス処理室内の温度を排ガスが流れてくるタイミングに遅滞なく追従させることが可能である。
従って、従来方式と比べて、排ガス処理室内の温度を常時高温に維持する必要がなく、有害成分を含む排ガスを処理しないときの除害装置の消費電力を小さくすることができる。これにより、除害処理コストを低減することが可能である。
【0011】
〔発明2〕 発明2の排ガスの除害装置は、発明1の排ガスの除害装置において、前記製造装置で実行される処理に基づいて前記加熱ランプをフィードフォワード制御する制御部を有することを特徴とするものである。
【0012】
ここで、所定の製造装置には、当該製造装置に有害成分を含む処理ガスを供給するガス供給管が取り付けられている。制御部による加熱ランプのフィードフォワード制御は、例えば、このガス供給管に取り付けられたバルブの開閉信号に基づいて行う。
発明2の排ガスの除害装置によれば、例えば、排ガス処理室内に排ガスが流れてくるときには、制御部は加熱ランプをオンさせ、排ガス処理室内の温度を例えば400〜1200℃程度まで速やかに昇温させることが可能である。また、排ガス処理室内に排ガスが流れてこなくなったときには、制御部は加熱ランプをオフさせて、排ガス処理室内を速やかに降温させることが可能である。
【0013】
〔発明3〕 発明3の排ガスの除害装置は、発明2の排ガスの除害装置において、前記排ガス処理室の出口側に設けられて当該排ガス処理室内で熱処理された前記排ガスの成分を検知する成分検知器を有し、前記制御部は、前記成分検知器による前記排ガスの成分の検知結果に基づいて前記加熱ランプをフィードバック制御することを特徴とするものである。
【0014】
このような構成であれば、排ガス処理室から出てきた排ガス中に有害成分が検知された場合に、制御部はこの検知結果に基づいて加熱ランプをフィードバック制御し、排ガス処理室内の温度を上昇させることが可能である。これにより、除害処理の信頼性を向上させることができる。
【0015】
〔発明4〕 発明4の排ガスの除害装置は、発明1から発明3の何れか一の排ガスの除害装置において、前記排ガス処理室内での前記排ガスの流れを迂回させるために当該排ガス処理室内に設けられた整流板を有することを特徴とするものである。
【0016】
このような構成であれば、排ガス処理室内での排ガスの滞留時間を長くすることができるので、排ガスの熱処理時間を実質延長することができ、排ガスの除害率の向上に貢献することができる。
【0017】
〔発明5〕 発明5の排ガスの除害装置は、発明1から発明4の何れか一の排ガスの除害装置において、前記排ガス処理室内を加熱するためのヒータを有することを特徴とするものである。
【0018】
ここで、ヒータのメリットとしては、均熱長が長いので、排ガスの流量が例えば1〜10[リットル/秒]と大きい場合でも、これらの排ガスを十分熱処理して無害化することができる、という事が挙げられる。
発明5の排ガスの除害装置によれば、例えば、排ガス処理室内に大量の排ガスを流す場合には、ヒータと加熱ランプとの両方をオンすると、ヒータが暖まる前に加熱ランプは速やかに所定の高温度に到達する。従って、ヒータが暖まるまでは加熱ランプで排ガス処理室内を加熱することができる。また、ヒータが暖まった後は、加熱ランプをオフすることで、ヒータだけで排ガス処理室内を加熱することができる。
【0019】
これにより、ヒータのデメリットである昇温速度の遅さを加熱ランプで補うことができると共に、大量の排ガスを無害化できるというヒータのメリットを生かすことができる。ヒータをオンした直後から排ガス処理室内に排ガスを導入することができるので、除害装置の使い勝手を向上させることができる。
【0020】
〔発明6〕 発明6の排ガスの除害方法は、発明1から発明5の何れか一の除害装置を用いて、所定の製造装置から排出された排ガスを除害処理することを特徴とするものである。
このような構成であれば、発明1から発明5の何れか一の除害装置が応用されるので、有害成分を含む排ガスを処理しないときの除害装置の消費電力を小さくすることができる。
【0021】
〔発明7〕 発明7の電子デバイスの製造システムは、発明1から発明5の何れか一の除害装置と、1台又は2台以上の電子デバイスの製造装置とを有することを特徴とするものである。
ここで、電子デバイスとは、例えば半導体装置やLCD等のことである。また、電子デバイスの製造装置としては、例えば、CVD(chemical vapor deposition)装置や、ドライエッチング装置等が挙げられる。これら、電子デバイスの製造装置の1台又は複数台の後段に、1台の除害装置が接続される。
発明7の電子デバイスの製造システムによれば、発明1から発明6の何れか一の除害装置を用いて、電子デバイスの製造装置から排出される排ガスを除害処理することができる。従って、有害成分を含む排ガスを処理しないときの除害装置の消費電力を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る排ガスの除害装置及びその除害方法、電子デバイスの製造システムについて説明する。
(1)第1実施形態
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造システム100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、この半導体装置の製造システム100は、半導体処理装置10と、処理ガス供給用のガス供給管15と、半導体処理装置10で所定の処理に用いられた後の処理ガス(即ち、排ガス)を排出するためのガス排出管16及びドライポンプ20と、ドライポンプ20によって排出された排ガス中の有害成分を無害化する除害装置50とを有する。
【0023】
図1に示す半導体処理装置10は、例えば、CVD(chemical vapor deposition)装置や、ドライエッチング装置等である。また、この半導体処理装置10に処理ガスを供給するガス供給官15には、ガス供給管15を開閉する電磁バルブ30や、ガス供給管15を流れる処理ガスの流量を制御するマスフローコントローラ40が設けられている。ガス供給管15から半導体処理装置10に供給される処理ガスは、例えば、地球環境に有害なSFや、PFCガス等である。PFCガスとしては、例えば、C、NF、CF、CHF等が挙げられる。
【0024】
図2は、本発明の第1実施形態に係る除害装置50の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、この除害装置50は、排ガス処理用の反応筒51と、複数のハロゲンランプ52と、コントローラ53とを有する。
これらの中で、反応筒51は、例えば石英ガラスからなるものである。この反応筒51の内部への入口側と、内部からの出口側とには、ガス排出管16がそれぞれ取り付けられている。また、ハロゲンランプ52は、反応筒51の内部を例えば400〜1200[℃]程度の高温度まで加熱するものである。このハロゲンランプ52は反応筒51の外側に複数個設けられている。図2では、作図の便宜上からハロゲンランプ52を4個記載しているが、ハロゲンランプ52は反応筒51の大きさ(径、長さ)等に応じて任意の個数だけ用意されているものとする。
【0025】
コントローラ53は、図2に示す各ハロゲンランプ52をオン、オフしたり、その出力を制御したりするものである。このコントローラ53は、例えば有線又は無線等を介して、上記した電磁バルブ30(図1参照)又は半導体処理装置10(図1参照)に接続されている。そして、電磁バルブ30の開閉に関する信号(以下、「バルブ開閉信号」という。)を受信するようになっている。この図1に示す半導体装置の製造システム100では、コントローラ53は、このバルブ開閉信号に基づいて、各ハロゲンランプ52をフォードフォワード制御するようになっている。コントローラ53は、例えばCPU(central processing unit)とRAM(random access memory)等で構成されている。
【0026】
次に、この除害装置50を用いて、半導体処理装置10から排出される排ガスの除害方法について説明する。ここでは、図1に示す半導体処理装置10は例えばドライエッチング装置であり、この半導体処理装置10内に導入される処理ガスは例えばCFであることを想定する。そして、この半導体処理装置10から排出されるCFを含む排ガスを、その後段にある除害装置50で無害化することについて説明する。
【0027】
まず始めに、図1において、半導体処理装置10から電磁バルブ30にガス供給管15を開かせる「バルブ開」信号が送られる。また、この半導体処理装置10からマスフローコントローラ5340に、ガス供給管15内を流れる処理ガスの流量を所定値に設定する流量制御用の信号が送られる。「バルブ開」信号が電磁バルブ30に送られると、電磁バルブ30は開き、CFはガス供給管15を通ってマスフローコントローラ40側へ流れる。また、流量制御用の信号がマスフローコントローラ40に送られると、ガス供給管15を通って流れてきたCFはその流量が調整される。
【0028】
そして、流量調整されたCFは、半導体処理装置10の減圧されたチャンバ(図示せず)内に導入され、エッチングガスとして使用される。また、このエッチング処理に使用された後のCFを含む排ガスは、ドライポンプ20によって半導体処理装置10の外へ引き出され、図2に示す除害装置50の反応筒51の入口側に接続するガス排出管16に送られる。そして、このガス排出管16から反応筒51の内部にCFを含む排ガスが送られる。図1に示した電磁バルブ30が開いてからCFを含む排ガスが反応筒51の内部に到達するまでの所要時間は、配管長や排気速度により異なるが例えば0.5[分]程度である。
【0029】
一方、コントローラ53は、図1に示した電磁バルブ30が開かれると同時に、電磁バルブ30又はコントローラ40(図1参照)等から「バルブ開」信号を受信する。そして、この「バルブ開」信号を受けて、コントローラ53はハロゲンランプ52に電源を供給し、反応筒51内の温度を例えば800[℃] 程度まで昇温させる。言い換えれば、コントローラ53は、電磁バルブ30が開かれたことをトリガーにして、ハロゲンランプ52をオンする。反応等内の温度が800[℃]程度に到達するのに要する時間は、図6に示したように、例えば0.1[分]以内である。
【0030】
従って、ガス排出管16から反応筒51の内部にCFを含む排ガスが送られてきたときには、反応筒51内の温度は既に800[℃]近辺となっているので、CFをCOとHFとに分解することが可能である。この分解されたCOとHFは反応等の出口側に接続するガス排出管16を通ってスクラバー(図示せず)に送られ、特にHFは水に溶かされて廃棄される。
【0031】
また、半導体処理装置10によるエッチング処理が終了し、この半導体処理装置10から電磁バルブ30にガス供給管15を閉じさせる「バルブ閉」信号が送られると、ガス供給管15内におけるCFの流れは止まるので、CFの除害処理は不要となる。コントローラ53は、図1に示した電磁バルブ30が閉じられると同時に、電磁バルブ30又はコントローラ40(図1参照)等から「バルブ閉」信号を受信する。そして、この「バルブ閉」信号を受けてから、例えば上記の所要時間(即ち、電磁バルブ30を通過してから反応筒51内に排ガスが到達するのに要する時間)が経過した後で、コントローラ53はハロゲンランプ52への電源の供給を停止する。言い換えれば、コントローラ53は、電磁バルブ30が閉じられたことをトリガーにして、ハロゲンランプ52をオフする。これにより、反応筒51内の温度は例えば800[℃]から室温に向けて低下していく。
【0032】
このように、本発明の第1実施形態に係る除害装置50によれば、半導体処理装置10で実行される処理に基づいてハロゲンランプ52をフィードフォワード制御することができる。そして、反応筒51内の温度をCFを含む排ガスが流れてくるタイミングに遅滞なく追従させることが可能である。
従って、従来方式と比べて、反応筒51内の温度を常時高温に維持する必要がない。CF等の有害成分を含む排ガスを処理しないときには、ハロゲンランプへの電源の供給を停止して、除害装置50の消費電力を小さくすることができる。これにより、除害処理コストを低減することが可能である。
【0033】
また、ヒータ92(図7参照)と比べて、ハロゲンランプ52は降温速度も速いので、ハロゲンランプ52をオフしてから短時間のうちに反応筒51内を室温付近まで冷やすことができる。これにより、除害装置50のメンテナンス時には、待ち時間をあまり設けることなく反応筒51を冷やすことができ、メンテナンス作業を早く開始することができるので、メンテナンスの短時間化にも貢献することができる。
【0034】
さらに、このハロゲンランプ52を備えた除害装置50によれば、ハロゲンランプ52の優れた加熱特性により、反応筒51内を2000[℃]付近まで加熱することができるので、より多くの種類の有害成分を分解して無害化することができる。
この第1実施形態では、反応筒51が本発明の排ガス処理室に対応し、半導体処理装置10が本発明の所定の製造装置に対応している。また、SFや、CF等のPFCガスが本発明の有害成分に対応し、ハロゲンランプ52が本発明の加熱ランプに対応している。そして、コントローラ53が本発明の制御部に対応している。
【0035】
なお、図1には、半導体処理装置10を1台しか記載していないが、半導体処理装置10は複数台でも良い。例えば、半導体処理装置10は2台又は3台であり、これら2台又は3台の半導体処理装置10の後段に1台の除害装置50が接続されていても良い。このような場合でも、除害装置50の消費電力を小さくすることができ、除害処理コストを低減することが可能である。
(2)第2実施形態
図3は、本発明の第2実施形態に係る除害装置150の構成例を示すブロック図である。図3において、図1に示した除害装置50と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0036】
図1に示すように、この除害装置150は、反応筒51の出口から出てくる排ガス中の有害成分の濃度を常時監視する濃度センサ54を備えている。この濃度センサ54は、有線又は無線によってコントローラ53と接続されており、濃度センサ54による有害成分の濃度測定値がコントローラ53にリアルタイムに送信されるようになっている。濃度センサ54によって、反応筒51内から出てきた排ガス中に有害成分が検知された場合には、この検知結果がコントローラ53に送信される。
【0037】
このような構成であれば、コントローラ53は、ハロゲンランプ52をフィードバック制御することができ、有害成分が検知された場合には反応筒51内の温度を上昇させることができる。従って、除害処理の信頼性を向上させることができる。この第2実施形態では、濃度センサ54が本発明の成分検知器に対応している。
(3)第3実施形態
図4は、本発明の第3実施形態に係る除害装置250の構成例を示す概念図である。図3において、図2に示した除害装置50と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。図4に示すように、この除害装置250の反応筒51内には、反応筒51の開口断面積よりも面積が小さい整流板55が複数枚設けられている。例えば、これらの整流板55は、反応筒51内の上側と下側とに交互に設けられている。
【0038】
このような構成であれば、反応筒内51内に導入された排ガスは、図4の破線矢印で示すように反応筒51内を迂回しながら流れる。従って、反応筒51内での排ガスの滞留時間を長くすることができる。これにより、CF等の有害成分を含む排ガスの熱処理時間を実質延長することができ、除害率の向上に貢献することができる。
(4)第4実施形態
図5は、本発明の第4実施形態に係る除害装置350の構成例を示す概念図である。図5において、図2に示した除害装置50と同一の機能を有する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0039】
図4に示すように、この除害装置350では、2つの反応筒51a及び51bが設けられており、一方の反応筒51aの出口側と他方の反応筒51bの入口側とが、ガス排出管16を介して接続されている。また、図5に示すように、反応筒51aの外側には、この反応筒51a内を加熱するためのハロゲンランプ52が複数個設けられている。反応筒51bの外側には、この反応筒内51bを加熱するためのヒータ92が設けられている。そして、半導体処理装置10(図1参照)から排出されたCF等の有害成分を含む排ガスは、始めに反応筒51a内に入り、次に反応筒51b内に進み、その後、図示しないスクラバーへ排出されるようになっている。
【0040】
次に、この除害装置350を用いて、CFを含む排ガスを除害処理する方法について説明する。例えば、半導体処理装置10の処理方式がバッチ型の場合には、半導体処理装置10から排出される排ガスの流量は1〜10[リットル/分]程度と、大流量であることが多い。このような場合には、始めに、ヒータ92とハロゲンランプ52との両方をオンする。次に、ヒータ92が十分に暖まる前までは、ハロゲンランプ52によって加熱された反応筒51aで排ガスの除害処理を主に行う。そして、ヒータ92が十分に暖まった後は、ハロゲンランプ52をオフして、ヒータ92によって加熱された反応筒51bで排ガスの除害処理を行う。
【0041】
このような構成であれば、ヒータ92のデメリットである昇温速度の遅さをハロゲンランプ52で補うことができると共に、大量の排ガスを無害化できるというヒータ92のメリットを生かすこともできる。ヒータ92をオンした直後から反応筒51a及び51b内に排ガスを導入することができるので、除害装置350の使い勝手を向上させることができる。
【0042】
一方、半導体処理装置10の処理方式が枚葉型の場合には、半導体処理装置10から排出される排ガスの流量は0.1〜1[リットル/分]程度と、小流量であることが多い。このような場合には、始めからヒータ92をオフしておき、ハロゲンランプ52だけをオンする。そして、このハロゲンランプ52によって加熱された反応筒51a内だけで排ガスの除害処理を行う。
【0043】
この第4実施形態では、反応筒51a及び51bが本発明の排ガス処理室に対応している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態に係る半導体装置の製造システム100の構成例を示すブロック図。
【図2】第1実施形態に係る除害装置50の構成例を示すブロック図。
【図3】第2実施形態に係る除害装置150の構成例を示すブロック図。
【図4】第3実施形態に係る除害装置250の構成例を示す概念図。
【図5】第4実施形態に係る除害装置350の構成例を示す概念図。
【図6】ハロゲンランプの昇温特性を示す図
【図7】従来例に係る除害装置90の構成例を示す概念図
【図8】ヒータ92の昇温特性を示す図。
【符号の説明】
【0045】
10 半導体処理装置、20 ドライポンプ、15 ガス供給管、16 ガス排出管、30 電磁バルブ、40 マスフローコントローラ、50,150,250,350 除害装置、51,51a,51b 反応筒、52 ハロゲンランプ、53 コントローラ、54 濃度センサ、55 整流板、92 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の製造装置から排出された排ガスを排ガス処理室内に導入して当該排ガス中の有害成分を無害化する除害装置であって、
前記排ガス処理室内を加熱する加熱ランプを有することを特徴とする排ガスの除害装置。
【請求項2】
前記製造装置で実行される処理に基づいて前記加熱ランプをフィードフォワード制御する制御部を有することを特徴とする請求項1に記載の排ガスの除害装置。
【請求項3】
前記排ガス処理室の出口側に設けられて当該排ガス処理室内で熱処理された前記排ガスの成分を検知する成分検知器を有し、
前記制御部は、
前記成分検知器による前記排ガスの成分の検知結果に基づいて前記加熱ランプをフィードバック制御することを特徴とする請求項2に記載の排ガスの除害装置。
【請求項4】
前記排ガス処理室内での前記排ガスの流れを迂回させるために当該排ガス処理室内に設けられた整流板を有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の排ガスの除害装置。
【請求項5】
前記排ガス処理室内を加熱するためのヒータを有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の排ガスの除害装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載された除害装置を用いて、所定の製造装置から排出された排ガスを除害処理することを特徴とする排ガスの除害方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載された除害装置と、1台又は2台以上の電子デバイスの製造装置とを有することを特徴とする電子デバイスの製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−35183(P2006−35183A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222987(P2004−222987)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】