排気ガス浄化装置
【課題】エンジン70の排気ガスの浄化性能を向上できるものでありながら、エンジン70のメンテナンス等の取扱い作業性を向上できるようにした排気ガス浄化装置を提供しょうとするものである。
【解決手段】エンジン70が排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化体2,3と、各ガス浄化体2,3を内設させる複数の内側ケース4,20と、各内側ケース4,20を内設させる外側ケース5,21とを備える排気ガス浄化装置において、排気上流側の内側ケース4の出口端部と排気下流側の内側ケース20の入口端部を二重構造に重合させ、その二重構造の出口端部又は入口端部の外側面に排気ガスセンサ63,109支持用のセンサボス体110,113を配置し、外側ケース5の外側方にセンサボス体110,113を延長させている。
【解決手段】エンジン70が排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化体2,3と、各ガス浄化体2,3を内設させる複数の内側ケース4,20と、各内側ケース4,20を内設させる外側ケース5,21とを備える排気ガス浄化装置において、排気上流側の内側ケース4の出口端部と排気下流側の内側ケース20の入口端部を二重構造に重合させ、その二重構造の出口端部又は入口端部の外側面に排気ガスセンサ63,109支持用のセンサボス体110,113を配置し、外側ケース5の外側方にセンサボス体110,113を延長させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ディーゼルエンジン等に搭載される排気ガス浄化装置に係り、より詳しくは、排気ガス中に含まれた粒子状物質(すす、パティキュレート)等を除去する排気ガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ディーゼルエンジンの排気経路中に、排気ガス浄化装置(後処理装置)としてディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)を設け、ディーゼルエンジンから排出された排気ガスをDPFにて浄化処理する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、DPFにおいて、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスの温度を検出する温度センサや、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスの圧力を検出する圧力センサを設ける技術も公知である(例えば特許文献1〜2参照)。
【0004】
また、DPFにおいて、外側ケースの内部に内側ケースを二重構造に設け、酸化触媒又はスートフィルタ等を内側ケースに内設させる技術が知られている(例えば特許文献3参照)。
【0005】
また、DPFにおいて、酸化触媒を入れたケースと、スートフィルタを入れたケースとを、ボルトによって締結するフランジを介して分離可能に連結する技術も知られている(例えば特許文献4〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−263593号公報
【特許文献2】特開2001−73748号公報
【特許文献3】特開2005−194949号公報
【特許文献4】特開2009−228516号公報
【特許文献5】特開2009−91982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、酸化触媒が内設された一重構造のケースと、スートフィルタが内設された一重構造のケースとを連結する構造において、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスの温度を検出する排気ガス温度センサや、排気ガスの圧力を検出する排気ガス圧力センサを設ける場合、排気ガス温度センサの支持部や、圧力検出用の排気ガスの取出し部を、酸化触媒とスートフィルタの間で、前記一重構造のケースに形成することによって、前記ケース内部の排気ガス温度が低下しやすく、且つ前記ケース外面が高温になりやすい。
【0008】
即ち、前記ケース内部の排気ガス温度が低下することによって、排気ガス中の粒子状物質がスートフィルタに詰りやすくなり、スートフィルタを高頻度で再生する必要があり、排気ガスの浄化性能を向上できない等の問題がある。一方、前記ケース外面が高温になることによって、前記ケースが冷却されてから、ディーゼルエンジンのメンテナンス等を行う必要があり、取扱い作業性を向上できない等の問題がある。
【0009】
そこで、本願発明は、これらの現状を検討して改善を施した排気ガス浄化装置を提供しょうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる外側ケースとを備える排気ガス浄化装置において、排気上流側の内側ケースの出口端部と排気下流側の内側ケースの入口端部を二重構造に重合させ、その二重構造の出口端部又は入口端部の外側面に排気ガスセンサ支持用のセンサボス体を配置し、前記外側ケースの外側方に前記センサボス体を延長させたものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載した排気ガス浄化装置において、一方の内側ケースの外側面に遮熱ケースを設け、前記遮熱ケース内に他方の内側ケースを挿入する一方、前記一方の内側ケースの端面よりも内方側の外周面に前記遮熱ケースの一端側を固着し、前記一方の内側ケースの端面近傍の前記遮熱ケースの外周面に、前記センサボス体を固着したものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記内側ケースの外径よりも、前記遮熱ケースのうち前記センサボス体の固着部位の内径を大きく形成したものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記内側ケースに前記遮熱ケースの一端側を被嵌させ、前記各外側ケースの接合用のフランジ体に前記遮熱ケースの他端側を連結したものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記外側ケースのセンサ取付け孔を前記遮熱ケースにて閉塞したものである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記遮熱ケースの他端側が延長された前記他方の内側ケースの外周側と、前記遮熱ケースの内周側との間に空間を形成したものである。
【0016】
請求項7の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記各外側ケースの接合用のフランジ体に、他方の前記内側ケースの外側面に延長させた前記遮熱ケースの他端側を連結したものである。
【0017】
請求項8の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記内側ケースと前記遮熱ケースと前記外側ケースを三層構造に設け、前記外側ケースの側端よりも前記遮熱ケースの側端を短尺に形成し、前記遮熱ケースの側端よりも前記内側ケースの側端を短尺に形成したものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によると、エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる外側ケースとを備える排気ガス浄化装置において、排気上流側の内側ケースの出口端部と排気下流側の内側ケースの入口端部を二重構造に重合させ、その二重構造の出口端部又は入口端部の外側面に排気ガスセンサ支持用のセンサボス体を配置し、前記外側ケースの外側方に前記センサボス体を延長させたものであるから、前記センサボス体を介して、排気ガス温度センサや、排気ガス圧力センサの配管等を簡単に組付けることができる。しかも、前記外側ケースの断熱(保温)作用によって前記内側ケース内の排気ガス温度が低下するのを簡単に低減できる。前記内側ケース内部の排気ガス温度を維持することによって、排気ガス中の粒子状物質が前記ガス浄化体(スートフィルタ)の内部に停滞するのを低減でき、前記ガス浄化体を高頻度で再生する必要がなく、排気ガスの浄化性能を向上できる。一方、前記外側ケースの外面温度の上昇が抑制されるから、前記エンジン等が冷却する前に、前記エンジンのメンテナンス等を行うことができ、取扱い作業性を向上できる。
【0019】
請求項2の発明によると、一方の内側ケースの外側面に遮熱ケースを設け、前記遮熱ケース内に他方の内側ケースを挿入する一方、前記一方の内側ケースの端面よりも内方側の外周面に前記遮熱ケースの一端側を固着し、前記一方の内側ケースの端面近傍の前記遮熱ケースの外周面に、前記センサボス体を固着したものであるから、前記各ガス浄化体が対向する部位に前記外側ケースと前記遮熱ケースを延長でき、前記外側ケースと前記遮熱ケースによって前記内側ケース内部の排気ガス温度を簡単に維持できる。しかも、前記各内側ケースを同一径に形成できるものでありながら、前記各ガス浄化体の対向間隔を最短寸法に形成できる。即ち、拡径部を設ける従来構造に比べ、前記内側ケースの拡管代や、前記センサボス体の半径及び溶接代等に影響されることなく、前記ガス浄化体端面と前記排気ガスセンサの取付け位置の間隔を最短寸法(零ないし任意寸法)に形成できる。その結果、DPFの全長を短縮でき、各種機器にDPFを簡単に搭載できる。前記ガス浄化体の端面に接触するまで前記排気ガスセンサを近接でき、DPFの自動再生等の制御性能を向上できる。
【0020】
請求項3の発明によると、前記内側ケースの外径よりも、前記遮熱ケースのうち前記センサボス体の固着部位の内径を大きく形成したものであるから、前記遮熱ケースと、前記遮熱ケースに内挿した内側ケースとの間に隙間が形成されることによって、前記遮熱ケースと内側ケースを簡単に抜出すことができる。しかも、前記遮熱ケースと前記外側ケースによって、前記各ガス浄化体の対向部位の断熱性を向上できる。前記ガス浄化体が捕集した粒子状物質の処理温度を簡単に維持できる。
【0021】
請求項4の発明によると、前記内側ケースに前記遮熱ケースの一端側を被嵌させ、前記各外側ケースの接合用のフランジ体に前記遮熱ケースの他端側を連結したものであるから、前記内側ケースとフランジ体によって前記遮熱ケースを高剛性に支持できる。前記内側ケース内の排気ガスが前記遮熱ケースとの隙間から前記外側ケースに向けて漏れるのを簡単に防止できる。前記外側ケースの表面温度の上昇を低減できる。
【0022】
請求項5の発明によると、前記外側ケースのセンサ取付け孔を前記遮熱ケースにて閉塞したものであるから、前記外側ケースの外側方に前記センサボス体を突出させて、前記排気ガスセンサを計測部に簡単に連結できる。電気配線や配管などを前記センサボス体側から簡単に延長できる。しかも、前記内側ケース内の排気ガスが前記センサ取付け孔から漏れるのを簡単に防止できる。前記外側ケースの表面温度の上昇を低減できる。
【0023】
請求項6の発明によると、前記遮熱ケースの他端側が延長された前記他方の内側ケースの外周側と、前記遮熱ケースの内周側との間に隙間を形成したものであるから、前記遮熱ケースに対して前記他方の内側ケースを簡単に出入させることができ、前記各内側ケース及び前記各外側ケースを容易に接合又は分離できる。前記各ガス浄化体又は前記排気ガスセンサ等のメンテナンス作業性を向上できる。
【0024】
請求項7の発明によると、前記各外側ケースの接合用のフランジ体に、他方の前記内側ケースの外側面に延長させた前記遮熱ケースの他端側を連結したものであるから、前記ガス浄化体から前記外側ケースに向けて排気ガスが漏れるのを簡単に防止できる。前記外側ケースや前記遮熱ケースの断熱作用によって、前記ガス浄化体の排気ガス温度の低下や、前記外側ケースの表面温度の上昇等を低減できる。
【0025】
請求項8の発明によると、前記内側ケースと前記遮熱ケースと前記外側ケースを三層構造に設け、前記外側ケースの側端よりも前記遮熱ケースの側端を短尺に形成し、前記遮熱ケースの側端よりも前記内側ケースの側端を短尺に形成したものであるから、排気ガスの温度低下を低減でき、排気ガス中の粒子状物質の処理効率を向上できる。前記外側ケースの表面温度の上昇を低減でき、運転中に必要になったディーゼルエンジンのメンテナンス等の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態を示すDPFの断面説明図である。
【図2】DPFの外観斜視図である。
【図3】DPFの外観平面図である。
【図4】DPFの外観底面図である。
【図5】DPFの外観正面図である。
【図6】DPFの外観側面図である。
【図7】DPFの上流側の断面側面図である。
【図8】DPFの下流側の断面側面図である。
【図9】DPFの分解断面説明図である。
【図10】挟持フランジ(半円弧体)の分離側面図である。
【図11】触媒側接合フランジの拡大側面断面図である。
【図12】センサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図13】DPFを設けたディーゼルエンジンの平面図である。
【図14】第2実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図15】第3実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図16】第4実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図17】第5実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図18】第6実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1〜図13を参照して、本願発明を具体化した排気ガス浄化装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。排気ガス浄化装置としての連続再生式のディーゼルパティキュレートフィルタ1(以下、DPF1という)を備える。DPF1によって、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減するように構成している。
【0028】
図1、図6、図13に示す如く、排気ガス浄化装置としてのDPF1は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するためのものである。平面視でディーゼルエンジン70の出力軸(クランク軸)と交差する左右方向に長く延びた略円筒形状にDPF1を構成している。ディーゼルエンジン70のフライホイールハウジング78上にDPF1を配置する。DPF1の左右両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガス入口管16(排気ガス取入れ側)と、排気ガス出口管34(排気ガス排出側)とを、ディーゼルエンジン70の左右に振分けて設ける。DPF1の排気ガス取入れ側の排気ガス入口管16は、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71に着脱可能にボルト締結されている。DPF1の排気ガス排出側の排気ガス出口管34にテールパイプ107を接続させる。
【0029】
図1〜図6に示す如く、DPF1は、耐熱金属材料製のDPFケーシング60に、円筒型の内側ケース4,20を介して、例えば白金等のディーゼル酸化触媒2とハニカム構造のスートフィルタ3が直列に並べて収容された構造である。DPF1は、支持体としてのフランジ側ブラケット脚61とケーシング側ブラケット脚62を介して、フライホイールハウジング78に取付けられている。この場合、フランジ側ブラケット脚61の一端側は、DPFケーシング60の外周側に後述するフランジ26を介して着脱可能にボルト締結されている。ケーシング側ブラケット脚62の一端側は、DPFケーシング60の外周面に一体的に溶接固定されている。
【0030】
一方、図1〜6、図13に示す如く、フランジ側ブラケット脚61の他端側は、フライホイールハウジング78の上面(DPF取付け部)に、2本の後付けボルト88にて着脱可能に締結される。ケーシング側ブラケット脚62の他端側は、フライホイールハウジング78の上面(DPF取付け部)に、先付けボルト87と後付けボルト88にて着脱可能に締結される。ケーシング側ブラケット脚62の他端側には、先付けボルト87を係入させるための切欠き孔89が形成されている。
【0031】
即ち、ディーゼルエンジン70にDPF1を組付ける場合、先ず、フライホイールハウジング78の上面に先付けボルト87を不完全に螺着させる。そして、作業者が両手でDPF1を持上げて、先付けボルト87に切欠き孔89を介してケーシング側ブラケット脚62を係止させ、ディーゼルエンジン70にDPF1を仮止めする。その状態でDPF1から作業者が両手を離すことができる。その後、排気マニホールド71に入口フランジ体17を締結させ、排気マニホールド71に排気ガス入口管16を固着させる。
【0032】
一方、フランジ側ブラケット脚61とケーシング側ブラケット脚62とを、3本の後付けボルト88によってフライホイールハウジング78の上面に締結させる。また、先付けボルト87も完全に締結させて、フライホイールハウジング78の上面にDPF1を着脱可能に固着させる。なお、前記と逆の手順にてDPF1を取外すことができる。その結果、DPF1は、前記各ブラケット脚61,62と排気マニホールド71とにより、高剛性部材であるフライホイールハウジング78の上部で、ディーゼルエンジン70の後部に安定良く連結支持される。また、1人の作業者によって、ディーゼルエンジン70へのDPF1の着脱作業を実行できる。
【0033】
上記の構成により、ディーゼルエンジン70の排気ガスは、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71から、DPFケーシング60内のディーゼル酸化触媒2側に流入し、ディーゼル酸化触媒2からスートフィルタ3側に移動して浄化処理される。排気ガス中の粒子状物質は、スートフィルタ3における各セル間の多孔質形状の仕切り壁を通り抜けできない。即ち、排気ガス中の粒子状物質は、スートフィルタ3に捕集される。その後、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を通過した排気ガスがテールパイプ107に放出される。
【0034】
排気ガスがディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を通過する際に、排気ガスの温度が再生可能温度(例えば約300℃)を超えていることによって、ディーゼル酸化触媒2の作用にて、排気ガス中のNO(一酸化窒素)が不安定なNO2(二酸化窒素)に酸化される。そして、NO2がNOに戻る際に放出するO(酸素)によって、スートフィルタ3に捕集された粒子状物質が酸化除去される。なお、スートフィルタ3に粒子状物質が堆積した場合、再生可能温度以上に排気ガスの温度を保持することによって、粒子状物質が酸化除去されるから、スートフィルタ3の粒子状物質の捕集能力が回復する(スートフィルタ3が再生する)。
【0035】
図1及び図9を参照して、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化する排気ガス浄化体(フィルタ)の一例であるディーゼル酸化触媒2を組付ける構造を説明する。ディーゼル酸化触媒2は、耐熱金属材料製で略円筒型の触媒内側ケース4内に設けられている。触媒内側ケース4は、耐熱金属材料製で略円筒型の触媒外側ケース5内に設けられている。すなわち、ディーゼル酸化触媒2の外側に、セラミックファイバー製でマット状の触媒断熱材6を介して、触媒内側ケース4を被嵌させている。ディーゼル酸化触媒2と触媒内側ケース4の間に触媒断熱材6を圧入して、ディーゼル酸化触媒2を保護している。
【0036】
また、触媒内側ケース4の外側に、端面L字状の薄板製支持体7を介して触媒外側ケース5を被嵌させている。触媒外側ケース5は、前述したDPFケーシング60を構成する要素の1つである。なお、触媒断熱材6によってディーゼル酸化触媒2が保護される。触媒内側ケース4に伝わる触媒外側ケース5の応力(機械振動、変形力)を薄板製支持体7にて低減させる。
【0037】
図1及び図9に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の一側端部に円板状の側蓋体8を溶接にて固着している。側蓋体8の外面側には外蓋体9がボルト及びナットにて締結されている。ディーゼル酸化触媒2のガス流入側端面2aと側蓋体8とは、一定距離L1(ガス流入空間11)だけ離間させる。ディーゼル酸化触媒2のガス流入側端面2aと左側蓋体8との間に排気ガス流入空間11を形成する。触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5には、排気ガス流入空間11に臨む排気ガス流入口12を開口させる。触媒内側ケース4の開口縁と触媒外側ケース5の開口縁の間に閉塞リング体15を挟持状に固着する。触媒内側ケース4の開口縁と触媒外側ケース5の開口縁の間の隙間が閉塞リング体15にて閉鎖されるから、触媒内側ケース4と触媒外側ケース5の間に排気ガスが流入するのを防止できる。
【0038】
図1〜6、図9に示す如く、排気ガス流入口12が形成された触媒外側ケース5の外側面に排気ガス入口管16を配置する。排気ガス入口管16の一方の開口端部に入口フランジ体17を溶接固定する。ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71に入口フランジ体17を着脱可能にボルト締結する。排気マニホールド71に排気ガス入口管16の一方の開口端部を連通させる。排気ガス入口管16の他方の開口端部は、排気ガス流入口12を外側から覆うようにして、触媒外側ケース5の外側面に溶接されている。なお、触媒外側ケース5の外側面と入口フランジ体17の側縁の間に一対の補強ブラケット体18を溶接固定し、排気マニホールド71と排気ガス入口管16の連結強度を確保している。
【0039】
上記の構成により、ディーゼルエンジン70の排気ガスが、排気マニホールド71から排気ガス入口管16に入り、排気ガス入口管16から排気ガス流入口12を介して排気ガス流入空間11に入り、ディーゼル酸化触媒2にこの左側のガス流入側端面2aから供給される。ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって、二酸化窒素(NO2)が生成される。
【0040】
図1及び図9を参照して、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化する排気ガス浄化体(フィルタ)の一例であるスートフィルタ3を組付ける構造を説明する。スートフィルタ3は、耐熱金属材料製で略円筒型のフィルタ内側ケース20内に設ける。フィルタ内側ケース20は、耐熱金属材料製で略円筒型のフィルタ外側ケース21内に設ける。即ち、スートフィルタ3の外側に、セラミックファイバー製でマット状のフィルタ断熱材22を介して、フィルタ内側ケース20を被嵌させている。フィルタ外側ケース21は、触媒外側ケース5と共に、前述したDPFケーシング60を構成する要素の1つである。なお、スートフィルタ3とフィルタ内側ケース20の間にフィルタ断熱材22を圧入して、スートフィルタ3を保護している。
【0041】
図1及び図9に示す如く、稜線が直線の円筒状に形成された触媒内側ケース4は、ディーゼル酸化触媒2を収容する上流側筒部4aと、後述するフィルタ内側ケース20が挿入される下流側筒部4bとにより構成されている。なお、上流側筒部4aと下流側筒部4bとは略同一径の円筒である。さらに、触媒内側ケース4の外周に溶接固定する薄板状リング形の触媒側接合フランジ25と、フィルタ内側ケース20の外周に溶接固定する薄板状リング形のフィルタ側接合フランジ26を備える。触媒側接合フランジ25と、フィルタ側接合フランジ26は、断面端面がL形状のドーナツ形に形成している。
【0042】
触媒内側ケース4の下流側筒部4bの端部に、触媒側接合フランジ25のL形断面端面の内周側を溶接固定する。触媒外側ケース5の外周側(放射方向)に向けて、触媒側接合フランジ25のL形断面端面の外周側を突出させる。触媒側接合フランジ25のL形断面端面の折り曲げ角部に段部25aを形成する。触媒外側ケース5の下流側の端部が段部25aに溶接固定されている。
【0043】
一方、フィルタ内側ケース20の外周のうち、排気ガス移動方向の中途部に、フィルタ側接合フランジ26のL形断面端面の内周側を溶接固定する。フィルタ外側ケース21の外周側(放射方向)に向けて、フィルタ側接合フランジ26のL形断面端面の外周側を突出させる。フィルタ側接合フランジ26のL形断面端面の折り曲げ角部に段部26aを形成する。フィルタ外側ケース21の上流側の端部が段部26aに溶接固定されている。なお、フィルタ内側ケース20は、稜線が直線の円筒状に形成されている。フィルタ内側ケース20の排気ガス上流側端部と下流側端部とは略同一径の円筒である。
【0044】
また、ディーゼル酸化触媒2の外径とスートフィルタ3の外径とを等しく形成する。フィルタ断熱材22の厚みに比べて、触媒断熱材6の厚みを大きく形成している。一方、触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20は、同一板厚の材料にて形成する。触媒内側ケース4の下流側筒部4bの内径に比べ、フィルタ内側ケース20の外径を小さく形成する。触媒内側ケース4の内周面とフィルタ内側ケース20の外周面の間に下流側隙間23を形成する。下流側隙間23は、前記各ケース4,20の板厚(例えば1,5ミリメートル)よりも大きな寸法(例えば2ミリメートル)に形成する。例えば、前記各ケース4,20が、錆びたり、熱変形しても、触媒内側ケース4の下流側筒部4bにフィルタ内側ケース20の排気ガス上流側端部を簡単に出入できる。
【0045】
図1〜図5、図9、図12に示す如く、ガスケット24を介して触媒側接合フランジ25とフィルタ側接合フランジ26とを突き合わせる。各外側ケース5,21の外周側を囲う一対の厚板状の中央挟持フランジ51,52にて、各接合フランジ25,26を排気ガス移動方向の両側から挟む。ボルト27及びナット28にて、各中央挟持フランジ51,52を締結して、各接合フランジ25,26を挟持することにより、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21とが着脱可能に連結される。
【0046】
図1、図12に示す如く、各中央挟持フランジ51,52及び各接合フランジ25,26を介して、触媒外側ケース5の下流側端部にフィルタ外側ケース21の上流側端部を連結した状態では、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3の間に触媒下流側空間29が形成される。即ち、ディーゼル酸化触媒2の下流側端部と、スートフィルタ3(フィルタ内側ケース20)の上流側端部とが、センサ取付け用間隔L2だけ離れて対峙する。
【0047】
図1及び図9に示すように、触媒内側ケース4における上流側筒部4aの排気ガス移動方向の円筒長さL3よりも、触媒外側ケース5の排気ガス移動方向の円筒長さL4を長く形成する。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の円筒長さL5よりも、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の円筒長さL6が短く形成されている。触媒下流側空間29のセンサ取付け用間隔L2と、触媒内側ケース4の上流側筒部4aの円筒長さL3と、フィルタ内側ケース20の円筒長さL5とを加算した長さ(L2+L3+L5)が、触媒外側ケース5の円筒長さL4と、フィルタ外側ケース21の円筒長さL6とを加算した長さ(L4+L6)にほぼ等しくなるように構成されている。
【0048】
また、フィルタ内側ケース20の上流側の端部は、フィルタ外側ケース21の上流側の端部から、各ケース20,21の長さの差(L7≒L5−L6)だけ突出している。そのため、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した状態では、フィルタ外側ケース21から突出したフィルタ内側ケース20の上流側寸法L7だけ、触媒外側ケース5の下流側(触媒内側ケース4の下流側筒部4b)に、フィルタ内側ケース20の上流側の端部が挿入される。即ち、下流側筒部4b(触媒下流側空間29)内に、フィルタ内側ケース20の上流側が抜出し可能に挿入される。
【0049】
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ3内に一側端面(取入れ側端面)3aから供給される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、スートフィルタ3に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
【0050】
図1、図8及び図9に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガス音を減衰させる消音器30は、耐熱金属材料製で略円筒形の消音内側ケース31と、耐熱金属材料製で略円筒形の消音外側ケース32と、消音外側ケース32の下流側の側端部に溶接にて固着した円板状の側蓋体33とを有する。消音外側ケース32内に消音内側ケース31を設ける。消音外側ケース32は、触媒外側ケース5及びフィルタ外側ケース21と共に、前述したDPFケーシング60を構成する。なお、円筒形の消音外側ケース32の直径は、円筒形の触媒外側ケース5の直径又は円筒形のフィルタ外側ケース21の直径と略同一寸法である。
【0051】
消音内側ケース31の排気ガス移動方向の両側端部には、円盤状の内蓋体36,37がそれぞれ溶接にて固着されている。各内蓋体36,37の間には一対の排気ガス導入管38が設けられている。各排気ガス導入管38の上流側端部は上流内蓋体36を貫通している。各排気ガス導入管38の下流側端部は下流内蓋体37にて塞がれている。各排気ガス導入管38の中間部には複数の連通孔39が形成されている。各排気ガス導入管38内に連通孔39を介して膨張室45を連通している。膨張室45は、消音内側ケース31の内部(各内蓋体36,37の間)に形成されている。
【0052】
消音内側ケース31及び消音外側ケース32には、各排気ガス導入管38の間に配置した排気ガス出口管34を貫通させている。排気ガス出口管34の一端側が出口蓋体35によって閉塞されている。消音内側ケース31の内部における排気ガス出口管34の全体に多数の排気孔46が開設されている。各排気ガス導入管38が、複数の連通孔39、膨張室45及び多数の排気孔46を介して、排気ガス出口管34に連通されている。排気ガス出口管34の他端側にテールパイプ48を接続する。上記の構成により、消音内側ケース31の両排気ガス導入管38内に入り込んだ排気ガスは、複数の連通孔39、膨張室45及び多数の排気孔46を介して排気ガス出口管34を通過し、テールパイプ48を介して消音器30外に排出される。
【0053】
図1及び図9に示す如く、フィルタ内側ケース20の下流側の端部に、薄板状リング形のフィルタ出口側接合フランジ40の内径側が溶接固定されている。フィルタ外側ケース21の外周側(半径外側、放射方向)に向けてフィルタ出口側接合フランジ40の外径側を突出させる。フィルタ出口側接合フランジ40の外周側(端面L形の角隅部)に、フィルタ外側ケース21の下流側の端部が溶接固定されている。消音内側ケース31の上流側の端部に、消音外側ケース32の外周側(半径外側)にはみ出る薄板状の消音側接合フランジ41が溶接固定されている。なお、消音側接合フランジ41の排気ガス上流側に、消音内側ケース31の上流側を、所定円筒寸法L10だけ突出させる。消音側接合フランジ41の下流側で消音内側ケース31の外周面に、消音外側ケース32の上流側の端部が溶接固定されている。
【0054】
図1及び図7〜図10に示すように、ガスケット24を介してフィルタ出口側接合フランジ40と消音側接合フランジ41とを突き合わせ、各外側ケース21,32の外周側を囲う一対の厚板状の出口挟持フランジ53,54にて、各接合フランジ40,41を排気ガス移動方向の両側から挟持させる。ボルト42及びナット43にて、各接合フランジ40,41に各出口挟持フランジ53,54を締結することにより、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とが着脱可能に連結される。
【0055】
図1及び図9に示すように、消音内側ケース31の排気ガス移動方向の円筒長さL8より、消音外側ケース32の排気ガス移動方向の円筒長さL9が短く形成されている。消音内側ケース31の上流側の端部は、消音外側ケース32の上流側の端部(接合フランジ41)から、各ケース31,32の長さの差(L10≒L8−L9)だけ突出している。即ち、フィルタ外側ケース21に消音外側ケース32を連結した状態では、消音内側ケース31の上流側の端部が突出した寸法L10だけ、フィルタ外側ケース21の下流側端部(フィルタ出口側接合フランジ40)内に形成されたフィルタ下流側空間49に、消音内側ケース31の上流側端部が挿入される。
【0056】
図1及び図7〜図10に示す如く、厚板状の中央挟持フランジ51(52)は、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体51a,51b(52a,52b)にて構成されている。実施形態の各半円弧体51a,51b(52a,52b)は円弧状(ほぼ半円状の馬蹄形)に形成されている。触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した状態では、各半円弧体51a,51b(52a,52b)の各端部が当接する。即ち、各半円弧体51a,51b(52a,52b)によって、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の外周側が環状に囲われるように構成している。
【0057】
中央挟持フランジ51(52)には、周方向に沿った等間隔で、貫通穴付きのボルト締結部55が複数設けられている。実施形態では、1組の中央挟持フランジ51に付き8箇所のボルト締結部55を備えている。各半円弧体51a,51b(52a,52b)単位で見ると、円周方向に沿った等間隔で4箇所ずつボルト締結部55が設けられている。一方、触媒側接合フランジ25及びフィルタ側接合フランジ26には、中央挟持フランジ51(52)の各ボルト締結部55に対応するボルト孔56が貫通形成されている。
【0058】
触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21とを連結するに際しては、触媒外側ケース5の外周側を触媒側の両半円弧体51a,51bで囲うと共に、フィルタ外側ケース21の外周側をフィルタ側の両半円弧体52a,52bで囲い、ガスケット24を挟持した触媒側接合フランジ25とフィルタ側接合フランジ26とを、これら半円弧体群(中央挟持フランジ51,52)にて排気ガス移動方向の両側から挟持する。
【0059】
前記の状態で、両側の中央挟持フランジ51,52のボルト締結部55と、両接合フランジ25,26のボルト孔56とに、ボルト27を挿入してナット28で締め付ける。その結果、両接合フランジ25,26が両中央挟持フランジ51,52で挟み固定され、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21との連結が完了する。ここで、触媒側の半円弧体51a,51bと、フィルタ側の半円弧体52a,52bとの端部同士の突合せ部分は、互いに72°位相をずらして位置させるように構成されている。
【0060】
図1及び図7〜図10に示す如く、厚板状の出口挟持フランジ53(54)は、フィルタ外側ケース21(消音外側ケース32)の周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体53a,53b(54a,54b)にて構成されている。実施形態の各半円弧体53a,53b(54a,54b)は、中央挟持フランジ51(52)の半円弧体51a,51b(52a,52b)と基本的に同じ形態のものである。出口挟持フランジ53(54)にも、周方向に沿った等間隔で、貫通穴付きのボルト締結部57が複数設けられている。一方、フィルタ出口側接合フランジ40及び消音側接合フランジ41には、出口挟持フランジ53(54)の各ボルト締結部57に対応するボルト孔58が貫通形成されている。
【0061】
フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とを連結するに際しては、フィルタ外側ケース21の外周側をフィルタ出口側の両半円弧体53a,53bで囲うと共に、消音外側ケース32の外周側を消音側の両半円弧体54a,54bで囲い、ガスケット24を挟持したフィルタ出口側接合フランジ40と消音側接合フランジ41とを、これら半円弧体群(出口挟持フランジ53,54)にて排気ガス移動方向の両側から挟持する。
【0062】
前記の状態で、両側の出口挟持フランジ53,54のボルト締結部57と、両接合フランジ40,41のボルト孔58とに、ボルト42を挿入してナット43で締め付ける。その結果、両接合フランジ40,41が両出口挟持フランジ53,54で挟み固定され、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32との連結が完了する。ここで、フィルタ出口側の半円弧体53a,53bと、消音側の半円弧体54a,54bとの端部同士の突合せ部分は、互いに72°位相をずらして位置させるように構成されている。
【0063】
図1及び図7〜図10に示す如く、挟持フランジ51〜54のうち少なくとも1つに、DPFケーシング60(外側ケース5,21,32)をディーゼルエンジン70に支持させる支持体としての左ブラケット脚61が取り付けられている。実施形態では、フィルタ出口側の出口挟持フランジ53のうち一方の半円弧体53aに、貫通穴付きの支持体締結部59が、隣り合うボルト締結部57の間に位置するように2箇所に一体形成されている。一方、左ブラケット脚61には、前述の支持体締結部59に対応する取付けボス部86が一体形成されている。
【0064】
上記の構成により、フィルタ出口側にある一方の半円弧体53aの支持体締結部59に、左ブラケット脚61の取付けボス部86をボルト締結することにより、フィルタ出口側の出口挟持フランジ53に左ブラケット脚61が着脱可能に固定される。右ブラケット脚62の一端側は、DPFケーシング60(触媒外側ケース5)の外周側に溶接固定され、左右両ブラケット脚61,62の他端側は、フライホイールハウジング78の上面に形成されたDPF取付部80にボルト締結されることは、先の説明の通りである。その結果、DPF1は、左右両ブラケット脚61,62とタービンケース101の排気ガス排出管103とにより、高剛性部材であるフライホイールハウジング78の上部に安定的に連結支持される。
【0065】
図1及び図7〜図10に示す如く、エンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化体(ディーゼル酸化触媒2,スートフィルタ3)と、ディーゼル酸化触媒2,スートフィルタ3を内蔵する各内側ケース4,20,31と、各内側ケース4,20,31を内蔵する各外側ケース5,21,32とを有している。また、前記各内側ケース4,20,31は、各外側ケース5,21,32の外周側にはみ出る接合フランジ25,26,40,41を介して、各外側ケース5,21,32に連結させる。ガス浄化体(ディーゼル酸化触媒2,スートフィルタ3)、各内側ケース4,20,31及び各外側ケース5,21,32の組合せを複数組備え、各接合フランジ25,26(40,41)を一対の挟持フランジ51,52(53,54)にて挟持固定することによって、複数の外側ケース5,21,32を連結する。
【0066】
したがって、隣り合う接合フランジ25,26(40,41)を、各挟持フランジ51,52(53,54)にて両側から挟み付けて圧接(密着)できる。しかも、挟持フランジ51〜54を外側ケース5,21,32に溶接することなく別体に構成するので、挟持フランジ51〜54と外側ケース5,21,32との関係において、溶接に起因する応力集中や歪の問題が生ずるおそれはない。このため、各接合フランジ25,26(40,41)の全体に略均一な圧接力を付与できると共に、挟持フランジ51〜54のシール面(挟持面)の面圧を高い状態に維持できる。その結果、各接合フランジ25,26(40,41)の間からの排気ガス漏れを確実に防止できる。
【0067】
図1及び図7〜図10に示す如く、各挟持フランジ51〜54は、外側ケース5,21,32の周方向に複数に分割された馬蹄形の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)からなり、複数の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)にて外側ケース5,21,32の外周側を囲うように構成している。したがって、複数の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)で構成された挟持フランジ51〜54でありながら一体物と同様の組付け状態になる。このため、リング形状のものに比べて挟持フランジ51〜54の組付けが容易であり、組付け作業性を向上できる。また、加工コストや組付けコストを抑制しつつ、シール性の高いDPF1を構成できる。
【0068】
次に、図11を参照しながら、各接合フランジ25,26,40の詳細構造について説明する。各接合フランジ25,26,40はいずれも基本的に同じ構造であるから、触媒内側ケース4と触媒外側ケース5とに溶接固定される触媒側接合フランジ25を代表例として説明する。図11は実施形態における触媒側接合フランジ25の拡大側面断面図を示している。図11に示す如く、触媒側接合フランジ25は、この断面端面がL形の中間に、階段状に折り曲げられた段部25aを有する。段部25aに触媒外側ケース5の下流側端部を被嵌させ、触媒外側ケース5の下流側端部に段部25aを溶接固定させる。
【0069】
一方、触媒内側ケース4(触媒外側ケース5)の延長方向(排気ガス移動方向)に触媒側接合フランジ25のL形の内径側端部25bが延設される。触媒内側ケース4の下流側端部に内径側端部25bを被嵌させ、触媒内側ケース4に内径側端部25bを溶接固定させる。他方、触媒外側ケース5の外周から放射方向(鉛直方向)に向けて、触媒側接合フランジ25のL形の外径側端部25cを延設させる。触媒側接合フランジ25の断面端面L形状と段部25aの形成によって、触媒側接合フランジ25の高い剛性が確保されている。
【0070】
なお、挟持フランジ51,52と接合フランジ25,26に、各々のボルト孔56を介して、ボルト27を貫通させ、ナット28を螺着させて、挟持フランジ51,52と接合フランジ25,26を締結させるもので、触媒側接合フランジ25の外径側端部25cが挟持フランジ51,52にて挟持されるのは前述の通りである。
【0071】
次に、図1、図12に示す如く、DPF1に付設する上流側ガス温度センサ109(下流側ガス温度センサ112)について説明する。触媒内側ケース4の上流側筒部4aと下流側筒部4bの間で、触媒内側ケース4の外周面に円筒状のセンサボス体110の一端側を溶接固定する。触媒外側ケース5のセンサ取付け開口5aから、該ケース5の外側に向けて、放射方向にセンサボス体110の他端側を延長させる。センサボス体110の他端側にセンサ取付けボルト111を螺着する。センサ取付けボルト111に例えばサーミスタ形の上流側ガス温度センサ109を貫通させ、センサボス体110にセンサ取付けボルト111を介して上流側ガス温度センサ109を支持させる。触媒下流側空間29内に上流側ガス温度センサ109の検出部分を突入させている。
【0072】
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bから排気ガスが排出されたとき、その排気ガス温度が上流側ガス温度センサ109にて検出される。なお、前記と同様に、図1に示す如く、センサボス体110にセンサ取付けボルト111を介して例えばサーミスタ形の下流側ガス温度センサ112を取付け、スートフィルタ3の他側端面(排出側端面)3bの排気ガスの温度を下流側ガス温度センサ112にて検出させる。
【0073】
次に、図13に示す如く、DPF1に付設する差圧センサ63について説明する。差圧センサ63は、DPF1内におけるスートフィルタ3を挟んだ上流側及び下流側間の排気ガスの圧力差を検出するためのものである。当該圧力差に基づいてスートフィルタ3の粒子状物質の堆積量が換算され、DPF1内の詰り状態を把握できるように構成している。即ち、差圧センサ63にて検出された排気ガスの圧力差に基づき、例えば図示しないアクセル制御手段又は吸気スロットル制御手段等を作動させることによって、スートフィルタ3の再生制御を自動的に実行できるように構成されている。
【0074】
上述した消音側の出口挟持フランジ54にセンサブラケット66をボルト締結して、DPFケーシング60の上面側にセンサブラケット66を配置させる。差圧センサ63の検出本体67がセンサブラケット66に取付けられる。差圧センサ63の検出本体67には、上流側センサ配管68と下流側センサ配管69を介して上流側管継手体64と下流側管継手体65がそれぞれ接続される。DPFケーシング60には、前記センサボス体110と同様に、センサボス体113が配置される。管継手ボルト114によってセンサボス体113に上流側管継手体64(下流側管継手体65)が締結される。
【0075】
次に、図14を参照して、本願発明に係るDPF1(排気ガス浄化装置)の第2実施形態を説明する。図14は、第2実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。触媒内側ケース4は、ディーゼル酸化触媒2を収容する上流側筒部4aと、フィルタ内側ケース20が挿入される下流側筒部4bとにより構成されている。下流側筒部4bよりも上流側筒部4aを小径の円筒状に形成している。上流側筒部4aと下流側筒部4bとは、段差部4cを介して一体連結されている。上流側筒部4aの外周面のうち、段差部4c近くに位置した上流側筒部4aの外周面にセンサボス体110を溶接固定している。上流側筒部4aを利用して、段差部4cに近い上流側筒部4aの高剛性位置にセンサボス体110を固着できる。ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bに近接させてガス温度センサ109,112を支持できる。なお、小径の上流側筒部4aと、フィルタ内側ケース20とは、同一径の円筒状に形成している。
【0076】
次に、図15を参照して、本願発明に係るDPF1(排気ガス浄化装置)の第3実施形態を説明する。図15は、第3実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。触媒内側ケース4は、ディーゼル酸化触媒2を収容する上流側筒部4aと、フィルタ内側ケース20が挿入される下流側筒部4bとにより構成されている。下流側筒部4bよりも上流側筒部4aが小径の円筒状に形成されている。上流側筒部4aと下流側筒部4bとは、段差部4cを介して一体連結されている。上流側筒部4aの外周面のうち、段差部4c近くに位置した上流側筒部4aの外周面と、段差部4cとに、センサボス体110が溶接固定されている。上流側筒部4aと段差部4cを利用して、触媒内側ケース4の高剛性位置にセンサボス体110を固着できる。ガス温度センサ109,112の機械振動を低減できる。なお、小径の上流側筒部4aと、フィルタ内側ケース20とは、同一径の円筒状に形成している。
【0077】
次に、図16を参照して、本願発明に係るDPF1(排気ガス浄化装置)の第4実施形態を説明する。図16は、第4実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。フィルタ内側ケース20は、触媒内側ケース4が挿入される上流側筒部20aと、スートフィルタ3を収容する下流側筒部20bとにより構成されている。フィルタ内側ケース20よりも触媒内側ケース4を小径の円筒状に形成している。即ち、触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20とは、稜線が直線の円筒形状であり、両端側の直径が等しく形成されている。一方、上流側筒部20aにセンサボス体110を固着させて、触媒下流側空間29である上流側筒部20a内にガス温度センサ109を突入させている。なお、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bよりも上流側で、接合フランジ25,26を介して、触媒内側ケース4の外周面に上流側筒部20aの端部が着脱可能に固着されている。第4実施形態は、第1実施形態と同様の効果を有する。
【0078】
次に、図17と図18を参照して、本願発明に係るDPF1(排気ガス浄化装置)の第5実施形態と第6実施形態を説明する。図17は、第5実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。図18は、第6実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。図17又は図18に示す如く、触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20のうち、一方の触媒内側ケース4の外側面に遮熱ケース190を設けている。触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20を同一径の円筒状に形成している。即ち、触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20とは、稜線が直線の円筒形状であり、両端側の直径が等しく形成されている。触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20の外周面と、遮熱ケース190の内周面の間には、第1実施形態と同様の下流側隙間23が形成されている。
【0079】
図17又は図18に示す如く、遮熱ケース190の上流側を下流側よりも小径の円筒状に形成し、触媒内側ケース4の外周面に遮熱ケース190の小径の円筒形上流側端部190aを接着させ、触媒内側ケース4に遮熱ケース190の上流側を溶接固定している。一方の触媒内側ケース4の下流側端面よりも内方側の外周面に遮熱ケース190の一端側を固着している。一方、他方のフィルタ内側ケース20の上流側(排気ガス取入れ側端部)を遮熱ケース190内に挿入している。触媒内側ケース4内のディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bと、フィルタ内側ケース20内のスートフィルタ3の一側端面(取入れ側端面)3aの間に、第1実施形態と同様の触媒下流側空間29が形成されている。
【0080】
図17又は図18に示す如く、各内側ケース4,20と遮熱ケース190と触媒外側ケース5を三層構造に設け、触媒外側ケース5の下流側端よりも遮熱ケース190の下流側端を短尺に形成し、遮熱ケースの下流側端よりも触媒内側ケース4の下流側端を短尺に形成している。即ち、一方の触媒内側ケース4に遮熱ケース190の一端側(上流側)を被嵌させ、各外側ケース5,21の接合用のフランジ体としての触媒側接合フランジ25に遮熱ケースの他端側を溶接にて連結している。触媒外側ケース5のセンサ取付け開口5aを遮熱ケース190にて閉塞している。一方、各外側ケース5,21の接合用のフランジ体としての触媒側接合フランジ25に、他方のフィルタ内側ケース20の外側面に延長させた遮熱ケース190の他端側(下流側)を連結している。遮熱ケース190の他端側(下流側)が延長された他方のフィルタ内側ケース20の外周側と、遮熱ケース190の内周側との間に空間である下流側隙間23を形成している。
【0081】
図17又は図18に示す如く、一方の触媒内側ケース4の端面近傍の遮熱ケース190の外周面に、センサボス体113又は110を固着している。触媒内側ケース4(フィルタ内側ケース20)の外径よりも、遮熱ケース190のうちセンサボス体113又は110固着部位の内径を大きく形成している。
【0082】
図17に示す如く、触媒内側ケース4の下流側端部よりも上流側で、触媒内側ケース4と遮熱ケース190の間に上流側隙間23aを形成している。遮熱ケース190の上流側の外周面に円筒状のセンサボス体113の一端側を溶接固定する。管継手ボルト114によってセンサボス体113に上流側管継手体64が締結されている。上流側管継手体64には、上流側センサ配管68を介して、差圧センサ63の検出本体67が接続されている。
【0083】
図17に示す如く、上流側隙間23aにセンサボス体113の中空部を連通させるセンサ開口190bが形成されている。ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bから触媒下流側空間29に排気ガスが排出されることによって、触媒下流側空間29内の排気ガスの一部が、上流側隙間23a、センサ開口190b、センサボス体113の中空部、上流側管継手体64の中空部、上流側センサ配管68を経て、検出本体67側に移動するように構成している。
【0084】
上記の構成により、触媒下流側空間29内の排気ガスがセンサ開口190b方向に移動するときに、排気ガスに含まれている粒状物質が、触媒内側ケース4の下流側端部の角隅と遮熱ケース190の間に堆積する。したがって、触媒下流側空間29に向けてセンサ開口が直接開放される構造に比べて、センサ開口190bの口縁に堆積する粒状物質の量が低減する。センサ開口190bの排気ガス流入圧力を所定圧力以下に維持できる。
【0085】
特に、センサ開口190bの面積に比べて、触媒内側ケース4と遮熱ケース190間の全周に渡って形成される上流側隙間23aの面積を大きく形成できるから、触媒内側ケース4と遮熱ケース190間の上流側隙間23aの一部に粒状物質が堆積しても、他の上流側隙間23aからセンサ開口190bに排気ガスが供給される。即ち、触媒内側ケース4と遮熱ケース190間の全周に渡って形成された上流側隙間23aの全域に粒状物質が堆積するには、長時間に渡るディーゼルエンジン70の連続運転が可能である。センサ開口190bに堆積した粒状物質を除去するためのメンテナンス作業の間隔を長く設定できる。長時間に渡ってディーゼルエンジン70を連続して運転できるものでありながら、差圧センサ63の検出精度を長時間に渡って維持できる。
【0086】
図18に示す如く、遮熱ケース190の外周面(触媒下流側空間29が形成される部位)に円筒状のセンサボス体110の一端側を溶接固定する。触媒外側ケース5のセンサ取付け開口5aから、該ケース5の外側に向けて、放射方向にセンサボス体110の他端側を延長させている。センサボス体110の他端側にセンサ取付けボルト111を螺着している。センサ取付けボルト111にサーミスタ形の上流側ガス温度センサ109を貫通させ、センサボス体110にセンサ取付けボルト111を介して上流側ガス温度センサ109を支持させる。触媒下流側空間29内に上流側ガス温度センサ109の検出部分を突入させている。
【0087】
上記の構成により、例えば、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bよりも上流側にセンサボス体110の一部を位置させることができるから、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bに接触するまで、ガス流出側端面2bに上流側ガス温度センサ109を接近させるように、遮熱ケース190の外周面にセンサボス体110を配置できる。また、各外側ケース5,21の板厚を厚くすることによって、各内側ケース4,20と遮熱ケース190の板厚を薄くすることができ、スートフィルタ3を再生温度以上に維持できるものでありながら、DPF1の軽量化を図ることができる。
【0088】
図1、図9、図12、図14〜図18に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するディーゼル酸化触媒2又はスートフィルタ3と、ディーゼル酸化触媒2又はスートフィルタ3を内設させる触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20と、触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20を内設させる触媒外側ケース5又はフィルタ外側ケース21とを備えている。そして、排気上流側の触媒内側ケース4の出口端部(ガス流出側端部)と排気下流側のフィルタ内側ケース20の入口端部(ガス取入れ側端部)を二重構造に重合させ、その二重構造の出口端部又は入口端部の外側面に排気ガスセンサ支持用のセンサボス体110,113を配置し、触媒外側ケース5の外側方にセンサボス体110,113を延長させている。なお、排気ガスセンサとして、差圧センサ(排気ガス圧力センサ)63、上流側ガス温度センサ(排気ガス温度センサ)109が設けられている。
【0089】
したがって、前記センサボス体110,113を介して、上流側ガス温度センサ109(排気ガス温度センサ)や、差圧センサ63(排気ガス圧力センサ)の配管68等を簡単に組付けることができる。しかも、触媒外側ケース5又はフィルタ外側ケース21の断熱(保温)作用によって、触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20内の排気ガス温度が低下するのを簡単に低減できる。フィルタ内側ケース20内部の排気ガス温度を維持することによって、排気ガス中の粒子状物質がスートフィルタ3の内部に停滞するのを低減でき、スートフィルタ3を高頻度で再生する必要がなく、排気ガスの浄化性能を向上できる。一方、触媒外側ケース5又はフィルタ外側ケース21の外面温度の上昇が抑制されるから、DPF1又はディーゼルエンジン70等が冷却する前に、ディーゼルエンジン70のメンテナンス等を行うことができ、取扱い作業性を向上できる。
【0090】
図17又は図18に示す如く、一方の触媒内側ケース4の外側面に遮熱ケース190を設け、遮熱ケース190内に他方のフィルタ内側ケース20を挿入する一方、一方の触媒内側ケース4の端面よりも内方側の外周面に遮熱ケース190の一端側を固着し、一方の触媒内側ケース4の端面近傍の遮熱ケース190の外周面に、センサボス体110を固着している。
【0091】
したがって、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3が対向する部位に触媒外側ケース5と遮熱ケース190を延長でき、触媒外側ケース5と遮熱ケース190によってフィルタ内側ケース20内の排気ガス温度を簡単に維持できる。しかも、触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20を同一径に形成できるものでありながら、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3の対向間隔L2を最短寸法に形成できる。即ち、拡径部を設ける従来構造に比べ、触媒内側ケースの拡管代や、センサボス体の半径及び溶接代等に影響されることなく、ディーゼル酸化触媒2の端面と上流側ガス温度センサ109の取付け位置の間隔を最短寸法(零ないし任意寸法)に形成できる。その結果、DPF1の全長を短縮でき、各種機器にDPF1を簡単に搭載できる。ディーゼル酸化触媒2の端面に接触するまで上流側ガス温度センサ109を近接でき、DPF1の自動再生処理等の制御性能を向上できる。
【0092】
図17又は図18に示す如く、触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20の外径よりも、遮熱ケース190のうち、センサボス体110が固着される部位の内径を大きく形成したものであるから、遮熱ケース190と、遮熱ケース190に内挿したフィルタ内側ケース20との間に下流側隙間23が形成されることによって、遮熱ケース190からフィルタ内側ケース20を簡単に抜出すことができる。しかも、遮熱ケース190と触媒外側ケース5によって、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3が対向する部位の断熱性を向上できる。スートフィルタ3が捕集した排気ガス中の粒子状物質の酸化処理温度(再生温度)を簡単に維持できる。
【0093】
図17又は図18に示す如く、触媒内側ケース4に遮熱ケース109の一端側を被嵌させ、各外側ケース5,21の接合用の触媒側接合フランジ25(フランジ体)に遮熱ケース190の他端側を連結したものであるから、触媒内側ケース4と触媒側接合フランジ25によって遮熱ケース190を高剛性に支持できる。触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20内の排気ガスが遮熱ケース190との下流側隙間23から各外側ケース5,21に向けて漏れるのを簡単に防止できる。各外側ケース5,21の表面温度の上昇を低減できる。
【0094】
図17又は図18に示す如く、触媒外側ケース5のセンサ取付け開口5a(センサ取付け孔)を遮熱ケース190にて閉塞したものであるから、触媒外側ケース5の外側方にセンサボス体110,113を突出させて、差圧センサ63の上流側センサ配管68、又は上流側ガス温度センサ109(排気ガスセンサ)を計測部に簡単に連結できる。電気配線や配管などをセンサボス体110,113側から簡単に延長できる。しかも、触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20内の排気ガスがセンサ取付け開口5aから漏れるのを簡単に防止できる。触媒外側ケース5又はフィルタ外側ケース21の表面温度の上昇を低減できる。
【0095】
図17又は図18に示す如く、遮熱ケース190の他端側が延長された他方のフィルタ内側ケース20の外周側と、遮熱ケース190の内周側との間に下流側隙間23を形成したものであるから、遮熱ケース190に対して他方のフィルタ内側ケース20を簡単に出入させることができ、各内側ケース4,20及び各外側ケース5,21を容易に接合又は分離できる。ガス浄化体としてのディーゼル酸化触媒2、スートフィルタ3、又は排気ガスセンサとしてのガス温度センサ109、下流側ガス温度センサ112、差圧センサ63等のメンテナンス作業性を向上できる。
【0096】
図17又は図18に示す如く、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21の接合用の触媒側接合フランジ25(フランジ体)に、他方のフィルタ内側ケース20の外側面に延長させた遮熱ケース190の他端側を連結したものであるから、ディーゼル酸化触媒2から各外側ケース5,21に向けて排気ガスが漏れるのを簡単に防止できる。各外側ケース5,21や遮熱ケース190の断熱作用によって、スートフィルタ3の排気ガス温度の低下や、各外側ケース5,21の表面温度の上昇等を低減できる。
【0097】
図17又は図18に示す如く、触媒内側ケース4(フィルタ内側ケース20)と、遮熱ケース190と、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)を三層構造に設け、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の側端よりも遮熱ケース190の側端を短尺に形成し、遮熱ケース190の側端よりも触媒内側ケース4(フィルタ内側ケース20)の側端を短尺に形成したものであるから、排気ガスの温度低下を低減でき、排気ガス中の粒子状物質の処理効率を向上できる。触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の表面温度の上昇を低減でき、運転中に必要になったディーゼルエンジン70のメンテナンス等の作業性を向上できる。
【符号の説明】
【0098】
1 DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)
2 ディーゼル酸化触媒(ガス浄化体)
3 スートフィルタ(ガス浄化体)
4 触媒内側ケース
5 触媒外側ケース
5a センサ取付け開口(センサ取付け孔)
20 フィルタ内側ケース
21 フィルタ外側ケース
25 触媒側接合フランジ
63 差圧センサ(排気ガスセンサ)
70 ディーゼルエンジン
109 上流側ガス温度センサ(排気ガスセンサ)
110 センサボス体
113 センサボス体
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ディーゼルエンジン等に搭載される排気ガス浄化装置に係り、より詳しくは、排気ガス中に含まれた粒子状物質(すす、パティキュレート)等を除去する排気ガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ディーゼルエンジンの排気経路中に、排気ガス浄化装置(後処理装置)としてディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)を設け、ディーゼルエンジンから排出された排気ガスをDPFにて浄化処理する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、DPFにおいて、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスの温度を検出する温度センサや、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスの圧力を検出する圧力センサを設ける技術も公知である(例えば特許文献1〜2参照)。
【0004】
また、DPFにおいて、外側ケースの内部に内側ケースを二重構造に設け、酸化触媒又はスートフィルタ等を内側ケースに内設させる技術が知られている(例えば特許文献3参照)。
【0005】
また、DPFにおいて、酸化触媒を入れたケースと、スートフィルタを入れたケースとを、ボルトによって締結するフランジを介して分離可能に連結する技術も知られている(例えば特許文献4〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−263593号公報
【特許文献2】特開2001−73748号公報
【特許文献3】特開2005−194949号公報
【特許文献4】特開2009−228516号公報
【特許文献5】特開2009−91982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、酸化触媒が内設された一重構造のケースと、スートフィルタが内設された一重構造のケースとを連結する構造において、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスの温度を検出する排気ガス温度センサや、排気ガスの圧力を検出する排気ガス圧力センサを設ける場合、排気ガス温度センサの支持部や、圧力検出用の排気ガスの取出し部を、酸化触媒とスートフィルタの間で、前記一重構造のケースに形成することによって、前記ケース内部の排気ガス温度が低下しやすく、且つ前記ケース外面が高温になりやすい。
【0008】
即ち、前記ケース内部の排気ガス温度が低下することによって、排気ガス中の粒子状物質がスートフィルタに詰りやすくなり、スートフィルタを高頻度で再生する必要があり、排気ガスの浄化性能を向上できない等の問題がある。一方、前記ケース外面が高温になることによって、前記ケースが冷却されてから、ディーゼルエンジンのメンテナンス等を行う必要があり、取扱い作業性を向上できない等の問題がある。
【0009】
そこで、本願発明は、これらの現状を検討して改善を施した排気ガス浄化装置を提供しょうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる外側ケースとを備える排気ガス浄化装置において、排気上流側の内側ケースの出口端部と排気下流側の内側ケースの入口端部を二重構造に重合させ、その二重構造の出口端部又は入口端部の外側面に排気ガスセンサ支持用のセンサボス体を配置し、前記外側ケースの外側方に前記センサボス体を延長させたものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載した排気ガス浄化装置において、一方の内側ケースの外側面に遮熱ケースを設け、前記遮熱ケース内に他方の内側ケースを挿入する一方、前記一方の内側ケースの端面よりも内方側の外周面に前記遮熱ケースの一端側を固着し、前記一方の内側ケースの端面近傍の前記遮熱ケースの外周面に、前記センサボス体を固着したものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記内側ケースの外径よりも、前記遮熱ケースのうち前記センサボス体の固着部位の内径を大きく形成したものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記内側ケースに前記遮熱ケースの一端側を被嵌させ、前記各外側ケースの接合用のフランジ体に前記遮熱ケースの他端側を連結したものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記外側ケースのセンサ取付け孔を前記遮熱ケースにて閉塞したものである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記遮熱ケースの他端側が延長された前記他方の内側ケースの外周側と、前記遮熱ケースの内周側との間に空間を形成したものである。
【0016】
請求項7の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記各外側ケースの接合用のフランジ体に、他方の前記内側ケースの外側面に延長させた前記遮熱ケースの他端側を連結したものである。
【0017】
請求項8の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、前記内側ケースと前記遮熱ケースと前記外側ケースを三層構造に設け、前記外側ケースの側端よりも前記遮熱ケースの側端を短尺に形成し、前記遮熱ケースの側端よりも前記内側ケースの側端を短尺に形成したものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によると、エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる外側ケースとを備える排気ガス浄化装置において、排気上流側の内側ケースの出口端部と排気下流側の内側ケースの入口端部を二重構造に重合させ、その二重構造の出口端部又は入口端部の外側面に排気ガスセンサ支持用のセンサボス体を配置し、前記外側ケースの外側方に前記センサボス体を延長させたものであるから、前記センサボス体を介して、排気ガス温度センサや、排気ガス圧力センサの配管等を簡単に組付けることができる。しかも、前記外側ケースの断熱(保温)作用によって前記内側ケース内の排気ガス温度が低下するのを簡単に低減できる。前記内側ケース内部の排気ガス温度を維持することによって、排気ガス中の粒子状物質が前記ガス浄化体(スートフィルタ)の内部に停滞するのを低減でき、前記ガス浄化体を高頻度で再生する必要がなく、排気ガスの浄化性能を向上できる。一方、前記外側ケースの外面温度の上昇が抑制されるから、前記エンジン等が冷却する前に、前記エンジンのメンテナンス等を行うことができ、取扱い作業性を向上できる。
【0019】
請求項2の発明によると、一方の内側ケースの外側面に遮熱ケースを設け、前記遮熱ケース内に他方の内側ケースを挿入する一方、前記一方の内側ケースの端面よりも内方側の外周面に前記遮熱ケースの一端側を固着し、前記一方の内側ケースの端面近傍の前記遮熱ケースの外周面に、前記センサボス体を固着したものであるから、前記各ガス浄化体が対向する部位に前記外側ケースと前記遮熱ケースを延長でき、前記外側ケースと前記遮熱ケースによって前記内側ケース内部の排気ガス温度を簡単に維持できる。しかも、前記各内側ケースを同一径に形成できるものでありながら、前記各ガス浄化体の対向間隔を最短寸法に形成できる。即ち、拡径部を設ける従来構造に比べ、前記内側ケースの拡管代や、前記センサボス体の半径及び溶接代等に影響されることなく、前記ガス浄化体端面と前記排気ガスセンサの取付け位置の間隔を最短寸法(零ないし任意寸法)に形成できる。その結果、DPFの全長を短縮でき、各種機器にDPFを簡単に搭載できる。前記ガス浄化体の端面に接触するまで前記排気ガスセンサを近接でき、DPFの自動再生等の制御性能を向上できる。
【0020】
請求項3の発明によると、前記内側ケースの外径よりも、前記遮熱ケースのうち前記センサボス体の固着部位の内径を大きく形成したものであるから、前記遮熱ケースと、前記遮熱ケースに内挿した内側ケースとの間に隙間が形成されることによって、前記遮熱ケースと内側ケースを簡単に抜出すことができる。しかも、前記遮熱ケースと前記外側ケースによって、前記各ガス浄化体の対向部位の断熱性を向上できる。前記ガス浄化体が捕集した粒子状物質の処理温度を簡単に維持できる。
【0021】
請求項4の発明によると、前記内側ケースに前記遮熱ケースの一端側を被嵌させ、前記各外側ケースの接合用のフランジ体に前記遮熱ケースの他端側を連結したものであるから、前記内側ケースとフランジ体によって前記遮熱ケースを高剛性に支持できる。前記内側ケース内の排気ガスが前記遮熱ケースとの隙間から前記外側ケースに向けて漏れるのを簡単に防止できる。前記外側ケースの表面温度の上昇を低減できる。
【0022】
請求項5の発明によると、前記外側ケースのセンサ取付け孔を前記遮熱ケースにて閉塞したものであるから、前記外側ケースの外側方に前記センサボス体を突出させて、前記排気ガスセンサを計測部に簡単に連結できる。電気配線や配管などを前記センサボス体側から簡単に延長できる。しかも、前記内側ケース内の排気ガスが前記センサ取付け孔から漏れるのを簡単に防止できる。前記外側ケースの表面温度の上昇を低減できる。
【0023】
請求項6の発明によると、前記遮熱ケースの他端側が延長された前記他方の内側ケースの外周側と、前記遮熱ケースの内周側との間に隙間を形成したものであるから、前記遮熱ケースに対して前記他方の内側ケースを簡単に出入させることができ、前記各内側ケース及び前記各外側ケースを容易に接合又は分離できる。前記各ガス浄化体又は前記排気ガスセンサ等のメンテナンス作業性を向上できる。
【0024】
請求項7の発明によると、前記各外側ケースの接合用のフランジ体に、他方の前記内側ケースの外側面に延長させた前記遮熱ケースの他端側を連結したものであるから、前記ガス浄化体から前記外側ケースに向けて排気ガスが漏れるのを簡単に防止できる。前記外側ケースや前記遮熱ケースの断熱作用によって、前記ガス浄化体の排気ガス温度の低下や、前記外側ケースの表面温度の上昇等を低減できる。
【0025】
請求項8の発明によると、前記内側ケースと前記遮熱ケースと前記外側ケースを三層構造に設け、前記外側ケースの側端よりも前記遮熱ケースの側端を短尺に形成し、前記遮熱ケースの側端よりも前記内側ケースの側端を短尺に形成したものであるから、排気ガスの温度低下を低減でき、排気ガス中の粒子状物質の処理効率を向上できる。前記外側ケースの表面温度の上昇を低減でき、運転中に必要になったディーゼルエンジンのメンテナンス等の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態を示すDPFの断面説明図である。
【図2】DPFの外観斜視図である。
【図3】DPFの外観平面図である。
【図4】DPFの外観底面図である。
【図5】DPFの外観正面図である。
【図6】DPFの外観側面図である。
【図7】DPFの上流側の断面側面図である。
【図8】DPFの下流側の断面側面図である。
【図9】DPFの分解断面説明図である。
【図10】挟持フランジ(半円弧体)の分離側面図である。
【図11】触媒側接合フランジの拡大側面断面図である。
【図12】センサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図13】DPFを設けたディーゼルエンジンの平面図である。
【図14】第2実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図15】第3実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図16】第4実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図17】第5実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図18】第6実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1〜図13を参照して、本願発明を具体化した排気ガス浄化装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。排気ガス浄化装置としての連続再生式のディーゼルパティキュレートフィルタ1(以下、DPF1という)を備える。DPF1によって、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減するように構成している。
【0028】
図1、図6、図13に示す如く、排気ガス浄化装置としてのDPF1は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するためのものである。平面視でディーゼルエンジン70の出力軸(クランク軸)と交差する左右方向に長く延びた略円筒形状にDPF1を構成している。ディーゼルエンジン70のフライホイールハウジング78上にDPF1を配置する。DPF1の左右両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガス入口管16(排気ガス取入れ側)と、排気ガス出口管34(排気ガス排出側)とを、ディーゼルエンジン70の左右に振分けて設ける。DPF1の排気ガス取入れ側の排気ガス入口管16は、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71に着脱可能にボルト締結されている。DPF1の排気ガス排出側の排気ガス出口管34にテールパイプ107を接続させる。
【0029】
図1〜図6に示す如く、DPF1は、耐熱金属材料製のDPFケーシング60に、円筒型の内側ケース4,20を介して、例えば白金等のディーゼル酸化触媒2とハニカム構造のスートフィルタ3が直列に並べて収容された構造である。DPF1は、支持体としてのフランジ側ブラケット脚61とケーシング側ブラケット脚62を介して、フライホイールハウジング78に取付けられている。この場合、フランジ側ブラケット脚61の一端側は、DPFケーシング60の外周側に後述するフランジ26を介して着脱可能にボルト締結されている。ケーシング側ブラケット脚62の一端側は、DPFケーシング60の外周面に一体的に溶接固定されている。
【0030】
一方、図1〜6、図13に示す如く、フランジ側ブラケット脚61の他端側は、フライホイールハウジング78の上面(DPF取付け部)に、2本の後付けボルト88にて着脱可能に締結される。ケーシング側ブラケット脚62の他端側は、フライホイールハウジング78の上面(DPF取付け部)に、先付けボルト87と後付けボルト88にて着脱可能に締結される。ケーシング側ブラケット脚62の他端側には、先付けボルト87を係入させるための切欠き孔89が形成されている。
【0031】
即ち、ディーゼルエンジン70にDPF1を組付ける場合、先ず、フライホイールハウジング78の上面に先付けボルト87を不完全に螺着させる。そして、作業者が両手でDPF1を持上げて、先付けボルト87に切欠き孔89を介してケーシング側ブラケット脚62を係止させ、ディーゼルエンジン70にDPF1を仮止めする。その状態でDPF1から作業者が両手を離すことができる。その後、排気マニホールド71に入口フランジ体17を締結させ、排気マニホールド71に排気ガス入口管16を固着させる。
【0032】
一方、フランジ側ブラケット脚61とケーシング側ブラケット脚62とを、3本の後付けボルト88によってフライホイールハウジング78の上面に締結させる。また、先付けボルト87も完全に締結させて、フライホイールハウジング78の上面にDPF1を着脱可能に固着させる。なお、前記と逆の手順にてDPF1を取外すことができる。その結果、DPF1は、前記各ブラケット脚61,62と排気マニホールド71とにより、高剛性部材であるフライホイールハウジング78の上部で、ディーゼルエンジン70の後部に安定良く連結支持される。また、1人の作業者によって、ディーゼルエンジン70へのDPF1の着脱作業を実行できる。
【0033】
上記の構成により、ディーゼルエンジン70の排気ガスは、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71から、DPFケーシング60内のディーゼル酸化触媒2側に流入し、ディーゼル酸化触媒2からスートフィルタ3側に移動して浄化処理される。排気ガス中の粒子状物質は、スートフィルタ3における各セル間の多孔質形状の仕切り壁を通り抜けできない。即ち、排気ガス中の粒子状物質は、スートフィルタ3に捕集される。その後、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を通過した排気ガスがテールパイプ107に放出される。
【0034】
排気ガスがディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を通過する際に、排気ガスの温度が再生可能温度(例えば約300℃)を超えていることによって、ディーゼル酸化触媒2の作用にて、排気ガス中のNO(一酸化窒素)が不安定なNO2(二酸化窒素)に酸化される。そして、NO2がNOに戻る際に放出するO(酸素)によって、スートフィルタ3に捕集された粒子状物質が酸化除去される。なお、スートフィルタ3に粒子状物質が堆積した場合、再生可能温度以上に排気ガスの温度を保持することによって、粒子状物質が酸化除去されるから、スートフィルタ3の粒子状物質の捕集能力が回復する(スートフィルタ3が再生する)。
【0035】
図1及び図9を参照して、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化する排気ガス浄化体(フィルタ)の一例であるディーゼル酸化触媒2を組付ける構造を説明する。ディーゼル酸化触媒2は、耐熱金属材料製で略円筒型の触媒内側ケース4内に設けられている。触媒内側ケース4は、耐熱金属材料製で略円筒型の触媒外側ケース5内に設けられている。すなわち、ディーゼル酸化触媒2の外側に、セラミックファイバー製でマット状の触媒断熱材6を介して、触媒内側ケース4を被嵌させている。ディーゼル酸化触媒2と触媒内側ケース4の間に触媒断熱材6を圧入して、ディーゼル酸化触媒2を保護している。
【0036】
また、触媒内側ケース4の外側に、端面L字状の薄板製支持体7を介して触媒外側ケース5を被嵌させている。触媒外側ケース5は、前述したDPFケーシング60を構成する要素の1つである。なお、触媒断熱材6によってディーゼル酸化触媒2が保護される。触媒内側ケース4に伝わる触媒外側ケース5の応力(機械振動、変形力)を薄板製支持体7にて低減させる。
【0037】
図1及び図9に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の一側端部に円板状の側蓋体8を溶接にて固着している。側蓋体8の外面側には外蓋体9がボルト及びナットにて締結されている。ディーゼル酸化触媒2のガス流入側端面2aと側蓋体8とは、一定距離L1(ガス流入空間11)だけ離間させる。ディーゼル酸化触媒2のガス流入側端面2aと左側蓋体8との間に排気ガス流入空間11を形成する。触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5には、排気ガス流入空間11に臨む排気ガス流入口12を開口させる。触媒内側ケース4の開口縁と触媒外側ケース5の開口縁の間に閉塞リング体15を挟持状に固着する。触媒内側ケース4の開口縁と触媒外側ケース5の開口縁の間の隙間が閉塞リング体15にて閉鎖されるから、触媒内側ケース4と触媒外側ケース5の間に排気ガスが流入するのを防止できる。
【0038】
図1〜6、図9に示す如く、排気ガス流入口12が形成された触媒外側ケース5の外側面に排気ガス入口管16を配置する。排気ガス入口管16の一方の開口端部に入口フランジ体17を溶接固定する。ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71に入口フランジ体17を着脱可能にボルト締結する。排気マニホールド71に排気ガス入口管16の一方の開口端部を連通させる。排気ガス入口管16の他方の開口端部は、排気ガス流入口12を外側から覆うようにして、触媒外側ケース5の外側面に溶接されている。なお、触媒外側ケース5の外側面と入口フランジ体17の側縁の間に一対の補強ブラケット体18を溶接固定し、排気マニホールド71と排気ガス入口管16の連結強度を確保している。
【0039】
上記の構成により、ディーゼルエンジン70の排気ガスが、排気マニホールド71から排気ガス入口管16に入り、排気ガス入口管16から排気ガス流入口12を介して排気ガス流入空間11に入り、ディーゼル酸化触媒2にこの左側のガス流入側端面2aから供給される。ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって、二酸化窒素(NO2)が生成される。
【0040】
図1及び図9を参照して、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化する排気ガス浄化体(フィルタ)の一例であるスートフィルタ3を組付ける構造を説明する。スートフィルタ3は、耐熱金属材料製で略円筒型のフィルタ内側ケース20内に設ける。フィルタ内側ケース20は、耐熱金属材料製で略円筒型のフィルタ外側ケース21内に設ける。即ち、スートフィルタ3の外側に、セラミックファイバー製でマット状のフィルタ断熱材22を介して、フィルタ内側ケース20を被嵌させている。フィルタ外側ケース21は、触媒外側ケース5と共に、前述したDPFケーシング60を構成する要素の1つである。なお、スートフィルタ3とフィルタ内側ケース20の間にフィルタ断熱材22を圧入して、スートフィルタ3を保護している。
【0041】
図1及び図9に示す如く、稜線が直線の円筒状に形成された触媒内側ケース4は、ディーゼル酸化触媒2を収容する上流側筒部4aと、後述するフィルタ内側ケース20が挿入される下流側筒部4bとにより構成されている。なお、上流側筒部4aと下流側筒部4bとは略同一径の円筒である。さらに、触媒内側ケース4の外周に溶接固定する薄板状リング形の触媒側接合フランジ25と、フィルタ内側ケース20の外周に溶接固定する薄板状リング形のフィルタ側接合フランジ26を備える。触媒側接合フランジ25と、フィルタ側接合フランジ26は、断面端面がL形状のドーナツ形に形成している。
【0042】
触媒内側ケース4の下流側筒部4bの端部に、触媒側接合フランジ25のL形断面端面の内周側を溶接固定する。触媒外側ケース5の外周側(放射方向)に向けて、触媒側接合フランジ25のL形断面端面の外周側を突出させる。触媒側接合フランジ25のL形断面端面の折り曲げ角部に段部25aを形成する。触媒外側ケース5の下流側の端部が段部25aに溶接固定されている。
【0043】
一方、フィルタ内側ケース20の外周のうち、排気ガス移動方向の中途部に、フィルタ側接合フランジ26のL形断面端面の内周側を溶接固定する。フィルタ外側ケース21の外周側(放射方向)に向けて、フィルタ側接合フランジ26のL形断面端面の外周側を突出させる。フィルタ側接合フランジ26のL形断面端面の折り曲げ角部に段部26aを形成する。フィルタ外側ケース21の上流側の端部が段部26aに溶接固定されている。なお、フィルタ内側ケース20は、稜線が直線の円筒状に形成されている。フィルタ内側ケース20の排気ガス上流側端部と下流側端部とは略同一径の円筒である。
【0044】
また、ディーゼル酸化触媒2の外径とスートフィルタ3の外径とを等しく形成する。フィルタ断熱材22の厚みに比べて、触媒断熱材6の厚みを大きく形成している。一方、触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20は、同一板厚の材料にて形成する。触媒内側ケース4の下流側筒部4bの内径に比べ、フィルタ内側ケース20の外径を小さく形成する。触媒内側ケース4の内周面とフィルタ内側ケース20の外周面の間に下流側隙間23を形成する。下流側隙間23は、前記各ケース4,20の板厚(例えば1,5ミリメートル)よりも大きな寸法(例えば2ミリメートル)に形成する。例えば、前記各ケース4,20が、錆びたり、熱変形しても、触媒内側ケース4の下流側筒部4bにフィルタ内側ケース20の排気ガス上流側端部を簡単に出入できる。
【0045】
図1〜図5、図9、図12に示す如く、ガスケット24を介して触媒側接合フランジ25とフィルタ側接合フランジ26とを突き合わせる。各外側ケース5,21の外周側を囲う一対の厚板状の中央挟持フランジ51,52にて、各接合フランジ25,26を排気ガス移動方向の両側から挟む。ボルト27及びナット28にて、各中央挟持フランジ51,52を締結して、各接合フランジ25,26を挟持することにより、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21とが着脱可能に連結される。
【0046】
図1、図12に示す如く、各中央挟持フランジ51,52及び各接合フランジ25,26を介して、触媒外側ケース5の下流側端部にフィルタ外側ケース21の上流側端部を連結した状態では、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3の間に触媒下流側空間29が形成される。即ち、ディーゼル酸化触媒2の下流側端部と、スートフィルタ3(フィルタ内側ケース20)の上流側端部とが、センサ取付け用間隔L2だけ離れて対峙する。
【0047】
図1及び図9に示すように、触媒内側ケース4における上流側筒部4aの排気ガス移動方向の円筒長さL3よりも、触媒外側ケース5の排気ガス移動方向の円筒長さL4を長く形成する。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の円筒長さL5よりも、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の円筒長さL6が短く形成されている。触媒下流側空間29のセンサ取付け用間隔L2と、触媒内側ケース4の上流側筒部4aの円筒長さL3と、フィルタ内側ケース20の円筒長さL5とを加算した長さ(L2+L3+L5)が、触媒外側ケース5の円筒長さL4と、フィルタ外側ケース21の円筒長さL6とを加算した長さ(L4+L6)にほぼ等しくなるように構成されている。
【0048】
また、フィルタ内側ケース20の上流側の端部は、フィルタ外側ケース21の上流側の端部から、各ケース20,21の長さの差(L7≒L5−L6)だけ突出している。そのため、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した状態では、フィルタ外側ケース21から突出したフィルタ内側ケース20の上流側寸法L7だけ、触媒外側ケース5の下流側(触媒内側ケース4の下流側筒部4b)に、フィルタ内側ケース20の上流側の端部が挿入される。即ち、下流側筒部4b(触媒下流側空間29)内に、フィルタ内側ケース20の上流側が抜出し可能に挿入される。
【0049】
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ3内に一側端面(取入れ側端面)3aから供給される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、スートフィルタ3に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
【0050】
図1、図8及び図9に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガス音を減衰させる消音器30は、耐熱金属材料製で略円筒形の消音内側ケース31と、耐熱金属材料製で略円筒形の消音外側ケース32と、消音外側ケース32の下流側の側端部に溶接にて固着した円板状の側蓋体33とを有する。消音外側ケース32内に消音内側ケース31を設ける。消音外側ケース32は、触媒外側ケース5及びフィルタ外側ケース21と共に、前述したDPFケーシング60を構成する。なお、円筒形の消音外側ケース32の直径は、円筒形の触媒外側ケース5の直径又は円筒形のフィルタ外側ケース21の直径と略同一寸法である。
【0051】
消音内側ケース31の排気ガス移動方向の両側端部には、円盤状の内蓋体36,37がそれぞれ溶接にて固着されている。各内蓋体36,37の間には一対の排気ガス導入管38が設けられている。各排気ガス導入管38の上流側端部は上流内蓋体36を貫通している。各排気ガス導入管38の下流側端部は下流内蓋体37にて塞がれている。各排気ガス導入管38の中間部には複数の連通孔39が形成されている。各排気ガス導入管38内に連通孔39を介して膨張室45を連通している。膨張室45は、消音内側ケース31の内部(各内蓋体36,37の間)に形成されている。
【0052】
消音内側ケース31及び消音外側ケース32には、各排気ガス導入管38の間に配置した排気ガス出口管34を貫通させている。排気ガス出口管34の一端側が出口蓋体35によって閉塞されている。消音内側ケース31の内部における排気ガス出口管34の全体に多数の排気孔46が開設されている。各排気ガス導入管38が、複数の連通孔39、膨張室45及び多数の排気孔46を介して、排気ガス出口管34に連通されている。排気ガス出口管34の他端側にテールパイプ48を接続する。上記の構成により、消音内側ケース31の両排気ガス導入管38内に入り込んだ排気ガスは、複数の連通孔39、膨張室45及び多数の排気孔46を介して排気ガス出口管34を通過し、テールパイプ48を介して消音器30外に排出される。
【0053】
図1及び図9に示す如く、フィルタ内側ケース20の下流側の端部に、薄板状リング形のフィルタ出口側接合フランジ40の内径側が溶接固定されている。フィルタ外側ケース21の外周側(半径外側、放射方向)に向けてフィルタ出口側接合フランジ40の外径側を突出させる。フィルタ出口側接合フランジ40の外周側(端面L形の角隅部)に、フィルタ外側ケース21の下流側の端部が溶接固定されている。消音内側ケース31の上流側の端部に、消音外側ケース32の外周側(半径外側)にはみ出る薄板状の消音側接合フランジ41が溶接固定されている。なお、消音側接合フランジ41の排気ガス上流側に、消音内側ケース31の上流側を、所定円筒寸法L10だけ突出させる。消音側接合フランジ41の下流側で消音内側ケース31の外周面に、消音外側ケース32の上流側の端部が溶接固定されている。
【0054】
図1及び図7〜図10に示すように、ガスケット24を介してフィルタ出口側接合フランジ40と消音側接合フランジ41とを突き合わせ、各外側ケース21,32の外周側を囲う一対の厚板状の出口挟持フランジ53,54にて、各接合フランジ40,41を排気ガス移動方向の両側から挟持させる。ボルト42及びナット43にて、各接合フランジ40,41に各出口挟持フランジ53,54を締結することにより、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とが着脱可能に連結される。
【0055】
図1及び図9に示すように、消音内側ケース31の排気ガス移動方向の円筒長さL8より、消音外側ケース32の排気ガス移動方向の円筒長さL9が短く形成されている。消音内側ケース31の上流側の端部は、消音外側ケース32の上流側の端部(接合フランジ41)から、各ケース31,32の長さの差(L10≒L8−L9)だけ突出している。即ち、フィルタ外側ケース21に消音外側ケース32を連結した状態では、消音内側ケース31の上流側の端部が突出した寸法L10だけ、フィルタ外側ケース21の下流側端部(フィルタ出口側接合フランジ40)内に形成されたフィルタ下流側空間49に、消音内側ケース31の上流側端部が挿入される。
【0056】
図1及び図7〜図10に示す如く、厚板状の中央挟持フランジ51(52)は、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体51a,51b(52a,52b)にて構成されている。実施形態の各半円弧体51a,51b(52a,52b)は円弧状(ほぼ半円状の馬蹄形)に形成されている。触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した状態では、各半円弧体51a,51b(52a,52b)の各端部が当接する。即ち、各半円弧体51a,51b(52a,52b)によって、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の外周側が環状に囲われるように構成している。
【0057】
中央挟持フランジ51(52)には、周方向に沿った等間隔で、貫通穴付きのボルト締結部55が複数設けられている。実施形態では、1組の中央挟持フランジ51に付き8箇所のボルト締結部55を備えている。各半円弧体51a,51b(52a,52b)単位で見ると、円周方向に沿った等間隔で4箇所ずつボルト締結部55が設けられている。一方、触媒側接合フランジ25及びフィルタ側接合フランジ26には、中央挟持フランジ51(52)の各ボルト締結部55に対応するボルト孔56が貫通形成されている。
【0058】
触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21とを連結するに際しては、触媒外側ケース5の外周側を触媒側の両半円弧体51a,51bで囲うと共に、フィルタ外側ケース21の外周側をフィルタ側の両半円弧体52a,52bで囲い、ガスケット24を挟持した触媒側接合フランジ25とフィルタ側接合フランジ26とを、これら半円弧体群(中央挟持フランジ51,52)にて排気ガス移動方向の両側から挟持する。
【0059】
前記の状態で、両側の中央挟持フランジ51,52のボルト締結部55と、両接合フランジ25,26のボルト孔56とに、ボルト27を挿入してナット28で締め付ける。その結果、両接合フランジ25,26が両中央挟持フランジ51,52で挟み固定され、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21との連結が完了する。ここで、触媒側の半円弧体51a,51bと、フィルタ側の半円弧体52a,52bとの端部同士の突合せ部分は、互いに72°位相をずらして位置させるように構成されている。
【0060】
図1及び図7〜図10に示す如く、厚板状の出口挟持フランジ53(54)は、フィルタ外側ケース21(消音外側ケース32)の周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体53a,53b(54a,54b)にて構成されている。実施形態の各半円弧体53a,53b(54a,54b)は、中央挟持フランジ51(52)の半円弧体51a,51b(52a,52b)と基本的に同じ形態のものである。出口挟持フランジ53(54)にも、周方向に沿った等間隔で、貫通穴付きのボルト締結部57が複数設けられている。一方、フィルタ出口側接合フランジ40及び消音側接合フランジ41には、出口挟持フランジ53(54)の各ボルト締結部57に対応するボルト孔58が貫通形成されている。
【0061】
フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とを連結するに際しては、フィルタ外側ケース21の外周側をフィルタ出口側の両半円弧体53a,53bで囲うと共に、消音外側ケース32の外周側を消音側の両半円弧体54a,54bで囲い、ガスケット24を挟持したフィルタ出口側接合フランジ40と消音側接合フランジ41とを、これら半円弧体群(出口挟持フランジ53,54)にて排気ガス移動方向の両側から挟持する。
【0062】
前記の状態で、両側の出口挟持フランジ53,54のボルト締結部57と、両接合フランジ40,41のボルト孔58とに、ボルト42を挿入してナット43で締め付ける。その結果、両接合フランジ40,41が両出口挟持フランジ53,54で挟み固定され、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32との連結が完了する。ここで、フィルタ出口側の半円弧体53a,53bと、消音側の半円弧体54a,54bとの端部同士の突合せ部分は、互いに72°位相をずらして位置させるように構成されている。
【0063】
図1及び図7〜図10に示す如く、挟持フランジ51〜54のうち少なくとも1つに、DPFケーシング60(外側ケース5,21,32)をディーゼルエンジン70に支持させる支持体としての左ブラケット脚61が取り付けられている。実施形態では、フィルタ出口側の出口挟持フランジ53のうち一方の半円弧体53aに、貫通穴付きの支持体締結部59が、隣り合うボルト締結部57の間に位置するように2箇所に一体形成されている。一方、左ブラケット脚61には、前述の支持体締結部59に対応する取付けボス部86が一体形成されている。
【0064】
上記の構成により、フィルタ出口側にある一方の半円弧体53aの支持体締結部59に、左ブラケット脚61の取付けボス部86をボルト締結することにより、フィルタ出口側の出口挟持フランジ53に左ブラケット脚61が着脱可能に固定される。右ブラケット脚62の一端側は、DPFケーシング60(触媒外側ケース5)の外周側に溶接固定され、左右両ブラケット脚61,62の他端側は、フライホイールハウジング78の上面に形成されたDPF取付部80にボルト締結されることは、先の説明の通りである。その結果、DPF1は、左右両ブラケット脚61,62とタービンケース101の排気ガス排出管103とにより、高剛性部材であるフライホイールハウジング78の上部に安定的に連結支持される。
【0065】
図1及び図7〜図10に示す如く、エンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化体(ディーゼル酸化触媒2,スートフィルタ3)と、ディーゼル酸化触媒2,スートフィルタ3を内蔵する各内側ケース4,20,31と、各内側ケース4,20,31を内蔵する各外側ケース5,21,32とを有している。また、前記各内側ケース4,20,31は、各外側ケース5,21,32の外周側にはみ出る接合フランジ25,26,40,41を介して、各外側ケース5,21,32に連結させる。ガス浄化体(ディーゼル酸化触媒2,スートフィルタ3)、各内側ケース4,20,31及び各外側ケース5,21,32の組合せを複数組備え、各接合フランジ25,26(40,41)を一対の挟持フランジ51,52(53,54)にて挟持固定することによって、複数の外側ケース5,21,32を連結する。
【0066】
したがって、隣り合う接合フランジ25,26(40,41)を、各挟持フランジ51,52(53,54)にて両側から挟み付けて圧接(密着)できる。しかも、挟持フランジ51〜54を外側ケース5,21,32に溶接することなく別体に構成するので、挟持フランジ51〜54と外側ケース5,21,32との関係において、溶接に起因する応力集中や歪の問題が生ずるおそれはない。このため、各接合フランジ25,26(40,41)の全体に略均一な圧接力を付与できると共に、挟持フランジ51〜54のシール面(挟持面)の面圧を高い状態に維持できる。その結果、各接合フランジ25,26(40,41)の間からの排気ガス漏れを確実に防止できる。
【0067】
図1及び図7〜図10に示す如く、各挟持フランジ51〜54は、外側ケース5,21,32の周方向に複数に分割された馬蹄形の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)からなり、複数の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)にて外側ケース5,21,32の外周側を囲うように構成している。したがって、複数の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)で構成された挟持フランジ51〜54でありながら一体物と同様の組付け状態になる。このため、リング形状のものに比べて挟持フランジ51〜54の組付けが容易であり、組付け作業性を向上できる。また、加工コストや組付けコストを抑制しつつ、シール性の高いDPF1を構成できる。
【0068】
次に、図11を参照しながら、各接合フランジ25,26,40の詳細構造について説明する。各接合フランジ25,26,40はいずれも基本的に同じ構造であるから、触媒内側ケース4と触媒外側ケース5とに溶接固定される触媒側接合フランジ25を代表例として説明する。図11は実施形態における触媒側接合フランジ25の拡大側面断面図を示している。図11に示す如く、触媒側接合フランジ25は、この断面端面がL形の中間に、階段状に折り曲げられた段部25aを有する。段部25aに触媒外側ケース5の下流側端部を被嵌させ、触媒外側ケース5の下流側端部に段部25aを溶接固定させる。
【0069】
一方、触媒内側ケース4(触媒外側ケース5)の延長方向(排気ガス移動方向)に触媒側接合フランジ25のL形の内径側端部25bが延設される。触媒内側ケース4の下流側端部に内径側端部25bを被嵌させ、触媒内側ケース4に内径側端部25bを溶接固定させる。他方、触媒外側ケース5の外周から放射方向(鉛直方向)に向けて、触媒側接合フランジ25のL形の外径側端部25cを延設させる。触媒側接合フランジ25の断面端面L形状と段部25aの形成によって、触媒側接合フランジ25の高い剛性が確保されている。
【0070】
なお、挟持フランジ51,52と接合フランジ25,26に、各々のボルト孔56を介して、ボルト27を貫通させ、ナット28を螺着させて、挟持フランジ51,52と接合フランジ25,26を締結させるもので、触媒側接合フランジ25の外径側端部25cが挟持フランジ51,52にて挟持されるのは前述の通りである。
【0071】
次に、図1、図12に示す如く、DPF1に付設する上流側ガス温度センサ109(下流側ガス温度センサ112)について説明する。触媒内側ケース4の上流側筒部4aと下流側筒部4bの間で、触媒内側ケース4の外周面に円筒状のセンサボス体110の一端側を溶接固定する。触媒外側ケース5のセンサ取付け開口5aから、該ケース5の外側に向けて、放射方向にセンサボス体110の他端側を延長させる。センサボス体110の他端側にセンサ取付けボルト111を螺着する。センサ取付けボルト111に例えばサーミスタ形の上流側ガス温度センサ109を貫通させ、センサボス体110にセンサ取付けボルト111を介して上流側ガス温度センサ109を支持させる。触媒下流側空間29内に上流側ガス温度センサ109の検出部分を突入させている。
【0072】
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bから排気ガスが排出されたとき、その排気ガス温度が上流側ガス温度センサ109にて検出される。なお、前記と同様に、図1に示す如く、センサボス体110にセンサ取付けボルト111を介して例えばサーミスタ形の下流側ガス温度センサ112を取付け、スートフィルタ3の他側端面(排出側端面)3bの排気ガスの温度を下流側ガス温度センサ112にて検出させる。
【0073】
次に、図13に示す如く、DPF1に付設する差圧センサ63について説明する。差圧センサ63は、DPF1内におけるスートフィルタ3を挟んだ上流側及び下流側間の排気ガスの圧力差を検出するためのものである。当該圧力差に基づいてスートフィルタ3の粒子状物質の堆積量が換算され、DPF1内の詰り状態を把握できるように構成している。即ち、差圧センサ63にて検出された排気ガスの圧力差に基づき、例えば図示しないアクセル制御手段又は吸気スロットル制御手段等を作動させることによって、スートフィルタ3の再生制御を自動的に実行できるように構成されている。
【0074】
上述した消音側の出口挟持フランジ54にセンサブラケット66をボルト締結して、DPFケーシング60の上面側にセンサブラケット66を配置させる。差圧センサ63の検出本体67がセンサブラケット66に取付けられる。差圧センサ63の検出本体67には、上流側センサ配管68と下流側センサ配管69を介して上流側管継手体64と下流側管継手体65がそれぞれ接続される。DPFケーシング60には、前記センサボス体110と同様に、センサボス体113が配置される。管継手ボルト114によってセンサボス体113に上流側管継手体64(下流側管継手体65)が締結される。
【0075】
次に、図14を参照して、本願発明に係るDPF1(排気ガス浄化装置)の第2実施形態を説明する。図14は、第2実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。触媒内側ケース4は、ディーゼル酸化触媒2を収容する上流側筒部4aと、フィルタ内側ケース20が挿入される下流側筒部4bとにより構成されている。下流側筒部4bよりも上流側筒部4aを小径の円筒状に形成している。上流側筒部4aと下流側筒部4bとは、段差部4cを介して一体連結されている。上流側筒部4aの外周面のうち、段差部4c近くに位置した上流側筒部4aの外周面にセンサボス体110を溶接固定している。上流側筒部4aを利用して、段差部4cに近い上流側筒部4aの高剛性位置にセンサボス体110を固着できる。ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bに近接させてガス温度センサ109,112を支持できる。なお、小径の上流側筒部4aと、フィルタ内側ケース20とは、同一径の円筒状に形成している。
【0076】
次に、図15を参照して、本願発明に係るDPF1(排気ガス浄化装置)の第3実施形態を説明する。図15は、第3実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。触媒内側ケース4は、ディーゼル酸化触媒2を収容する上流側筒部4aと、フィルタ内側ケース20が挿入される下流側筒部4bとにより構成されている。下流側筒部4bよりも上流側筒部4aが小径の円筒状に形成されている。上流側筒部4aと下流側筒部4bとは、段差部4cを介して一体連結されている。上流側筒部4aの外周面のうち、段差部4c近くに位置した上流側筒部4aの外周面と、段差部4cとに、センサボス体110が溶接固定されている。上流側筒部4aと段差部4cを利用して、触媒内側ケース4の高剛性位置にセンサボス体110を固着できる。ガス温度センサ109,112の機械振動を低減できる。なお、小径の上流側筒部4aと、フィルタ内側ケース20とは、同一径の円筒状に形成している。
【0077】
次に、図16を参照して、本願発明に係るDPF1(排気ガス浄化装置)の第4実施形態を説明する。図16は、第4実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。フィルタ内側ケース20は、触媒内側ケース4が挿入される上流側筒部20aと、スートフィルタ3を収容する下流側筒部20bとにより構成されている。フィルタ内側ケース20よりも触媒内側ケース4を小径の円筒状に形成している。即ち、触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20とは、稜線が直線の円筒形状であり、両端側の直径が等しく形成されている。一方、上流側筒部20aにセンサボス体110を固着させて、触媒下流側空間29である上流側筒部20a内にガス温度センサ109を突入させている。なお、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bよりも上流側で、接合フランジ25,26を介して、触媒内側ケース4の外周面に上流側筒部20aの端部が着脱可能に固着されている。第4実施形態は、第1実施形態と同様の効果を有する。
【0078】
次に、図17と図18を参照して、本願発明に係るDPF1(排気ガス浄化装置)の第5実施形態と第6実施形態を説明する。図17は、第5実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。図18は、第6実施形態のセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。図17又は図18に示す如く、触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20のうち、一方の触媒内側ケース4の外側面に遮熱ケース190を設けている。触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20を同一径の円筒状に形成している。即ち、触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20とは、稜線が直線の円筒形状であり、両端側の直径が等しく形成されている。触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20の外周面と、遮熱ケース190の内周面の間には、第1実施形態と同様の下流側隙間23が形成されている。
【0079】
図17又は図18に示す如く、遮熱ケース190の上流側を下流側よりも小径の円筒状に形成し、触媒内側ケース4の外周面に遮熱ケース190の小径の円筒形上流側端部190aを接着させ、触媒内側ケース4に遮熱ケース190の上流側を溶接固定している。一方の触媒内側ケース4の下流側端面よりも内方側の外周面に遮熱ケース190の一端側を固着している。一方、他方のフィルタ内側ケース20の上流側(排気ガス取入れ側端部)を遮熱ケース190内に挿入している。触媒内側ケース4内のディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bと、フィルタ内側ケース20内のスートフィルタ3の一側端面(取入れ側端面)3aの間に、第1実施形態と同様の触媒下流側空間29が形成されている。
【0080】
図17又は図18に示す如く、各内側ケース4,20と遮熱ケース190と触媒外側ケース5を三層構造に設け、触媒外側ケース5の下流側端よりも遮熱ケース190の下流側端を短尺に形成し、遮熱ケースの下流側端よりも触媒内側ケース4の下流側端を短尺に形成している。即ち、一方の触媒内側ケース4に遮熱ケース190の一端側(上流側)を被嵌させ、各外側ケース5,21の接合用のフランジ体としての触媒側接合フランジ25に遮熱ケースの他端側を溶接にて連結している。触媒外側ケース5のセンサ取付け開口5aを遮熱ケース190にて閉塞している。一方、各外側ケース5,21の接合用のフランジ体としての触媒側接合フランジ25に、他方のフィルタ内側ケース20の外側面に延長させた遮熱ケース190の他端側(下流側)を連結している。遮熱ケース190の他端側(下流側)が延長された他方のフィルタ内側ケース20の外周側と、遮熱ケース190の内周側との間に空間である下流側隙間23を形成している。
【0081】
図17又は図18に示す如く、一方の触媒内側ケース4の端面近傍の遮熱ケース190の外周面に、センサボス体113又は110を固着している。触媒内側ケース4(フィルタ内側ケース20)の外径よりも、遮熱ケース190のうちセンサボス体113又は110固着部位の内径を大きく形成している。
【0082】
図17に示す如く、触媒内側ケース4の下流側端部よりも上流側で、触媒内側ケース4と遮熱ケース190の間に上流側隙間23aを形成している。遮熱ケース190の上流側の外周面に円筒状のセンサボス体113の一端側を溶接固定する。管継手ボルト114によってセンサボス体113に上流側管継手体64が締結されている。上流側管継手体64には、上流側センサ配管68を介して、差圧センサ63の検出本体67が接続されている。
【0083】
図17に示す如く、上流側隙間23aにセンサボス体113の中空部を連通させるセンサ開口190bが形成されている。ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bから触媒下流側空間29に排気ガスが排出されることによって、触媒下流側空間29内の排気ガスの一部が、上流側隙間23a、センサ開口190b、センサボス体113の中空部、上流側管継手体64の中空部、上流側センサ配管68を経て、検出本体67側に移動するように構成している。
【0084】
上記の構成により、触媒下流側空間29内の排気ガスがセンサ開口190b方向に移動するときに、排気ガスに含まれている粒状物質が、触媒内側ケース4の下流側端部の角隅と遮熱ケース190の間に堆積する。したがって、触媒下流側空間29に向けてセンサ開口が直接開放される構造に比べて、センサ開口190bの口縁に堆積する粒状物質の量が低減する。センサ開口190bの排気ガス流入圧力を所定圧力以下に維持できる。
【0085】
特に、センサ開口190bの面積に比べて、触媒内側ケース4と遮熱ケース190間の全周に渡って形成される上流側隙間23aの面積を大きく形成できるから、触媒内側ケース4と遮熱ケース190間の上流側隙間23aの一部に粒状物質が堆積しても、他の上流側隙間23aからセンサ開口190bに排気ガスが供給される。即ち、触媒内側ケース4と遮熱ケース190間の全周に渡って形成された上流側隙間23aの全域に粒状物質が堆積するには、長時間に渡るディーゼルエンジン70の連続運転が可能である。センサ開口190bに堆積した粒状物質を除去するためのメンテナンス作業の間隔を長く設定できる。長時間に渡ってディーゼルエンジン70を連続して運転できるものでありながら、差圧センサ63の検出精度を長時間に渡って維持できる。
【0086】
図18に示す如く、遮熱ケース190の外周面(触媒下流側空間29が形成される部位)に円筒状のセンサボス体110の一端側を溶接固定する。触媒外側ケース5のセンサ取付け開口5aから、該ケース5の外側に向けて、放射方向にセンサボス体110の他端側を延長させている。センサボス体110の他端側にセンサ取付けボルト111を螺着している。センサ取付けボルト111にサーミスタ形の上流側ガス温度センサ109を貫通させ、センサボス体110にセンサ取付けボルト111を介して上流側ガス温度センサ109を支持させる。触媒下流側空間29内に上流側ガス温度センサ109の検出部分を突入させている。
【0087】
上記の構成により、例えば、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bよりも上流側にセンサボス体110の一部を位置させることができるから、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bに接触するまで、ガス流出側端面2bに上流側ガス温度センサ109を接近させるように、遮熱ケース190の外周面にセンサボス体110を配置できる。また、各外側ケース5,21の板厚を厚くすることによって、各内側ケース4,20と遮熱ケース190の板厚を薄くすることができ、スートフィルタ3を再生温度以上に維持できるものでありながら、DPF1の軽量化を図ることができる。
【0088】
図1、図9、図12、図14〜図18に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するディーゼル酸化触媒2又はスートフィルタ3と、ディーゼル酸化触媒2又はスートフィルタ3を内設させる触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20と、触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20を内設させる触媒外側ケース5又はフィルタ外側ケース21とを備えている。そして、排気上流側の触媒内側ケース4の出口端部(ガス流出側端部)と排気下流側のフィルタ内側ケース20の入口端部(ガス取入れ側端部)を二重構造に重合させ、その二重構造の出口端部又は入口端部の外側面に排気ガスセンサ支持用のセンサボス体110,113を配置し、触媒外側ケース5の外側方にセンサボス体110,113を延長させている。なお、排気ガスセンサとして、差圧センサ(排気ガス圧力センサ)63、上流側ガス温度センサ(排気ガス温度センサ)109が設けられている。
【0089】
したがって、前記センサボス体110,113を介して、上流側ガス温度センサ109(排気ガス温度センサ)や、差圧センサ63(排気ガス圧力センサ)の配管68等を簡単に組付けることができる。しかも、触媒外側ケース5又はフィルタ外側ケース21の断熱(保温)作用によって、触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20内の排気ガス温度が低下するのを簡単に低減できる。フィルタ内側ケース20内部の排気ガス温度を維持することによって、排気ガス中の粒子状物質がスートフィルタ3の内部に停滞するのを低減でき、スートフィルタ3を高頻度で再生する必要がなく、排気ガスの浄化性能を向上できる。一方、触媒外側ケース5又はフィルタ外側ケース21の外面温度の上昇が抑制されるから、DPF1又はディーゼルエンジン70等が冷却する前に、ディーゼルエンジン70のメンテナンス等を行うことができ、取扱い作業性を向上できる。
【0090】
図17又は図18に示す如く、一方の触媒内側ケース4の外側面に遮熱ケース190を設け、遮熱ケース190内に他方のフィルタ内側ケース20を挿入する一方、一方の触媒内側ケース4の端面よりも内方側の外周面に遮熱ケース190の一端側を固着し、一方の触媒内側ケース4の端面近傍の遮熱ケース190の外周面に、センサボス体110を固着している。
【0091】
したがって、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3が対向する部位に触媒外側ケース5と遮熱ケース190を延長でき、触媒外側ケース5と遮熱ケース190によってフィルタ内側ケース20内の排気ガス温度を簡単に維持できる。しかも、触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20を同一径に形成できるものでありながら、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3の対向間隔L2を最短寸法に形成できる。即ち、拡径部を設ける従来構造に比べ、触媒内側ケースの拡管代や、センサボス体の半径及び溶接代等に影響されることなく、ディーゼル酸化触媒2の端面と上流側ガス温度センサ109の取付け位置の間隔を最短寸法(零ないし任意寸法)に形成できる。その結果、DPF1の全長を短縮でき、各種機器にDPF1を簡単に搭載できる。ディーゼル酸化触媒2の端面に接触するまで上流側ガス温度センサ109を近接でき、DPF1の自動再生処理等の制御性能を向上できる。
【0092】
図17又は図18に示す如く、触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20の外径よりも、遮熱ケース190のうち、センサボス体110が固着される部位の内径を大きく形成したものであるから、遮熱ケース190と、遮熱ケース190に内挿したフィルタ内側ケース20との間に下流側隙間23が形成されることによって、遮熱ケース190からフィルタ内側ケース20を簡単に抜出すことができる。しかも、遮熱ケース190と触媒外側ケース5によって、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3が対向する部位の断熱性を向上できる。スートフィルタ3が捕集した排気ガス中の粒子状物質の酸化処理温度(再生温度)を簡単に維持できる。
【0093】
図17又は図18に示す如く、触媒内側ケース4に遮熱ケース109の一端側を被嵌させ、各外側ケース5,21の接合用の触媒側接合フランジ25(フランジ体)に遮熱ケース190の他端側を連結したものであるから、触媒内側ケース4と触媒側接合フランジ25によって遮熱ケース190を高剛性に支持できる。触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20内の排気ガスが遮熱ケース190との下流側隙間23から各外側ケース5,21に向けて漏れるのを簡単に防止できる。各外側ケース5,21の表面温度の上昇を低減できる。
【0094】
図17又は図18に示す如く、触媒外側ケース5のセンサ取付け開口5a(センサ取付け孔)を遮熱ケース190にて閉塞したものであるから、触媒外側ケース5の外側方にセンサボス体110,113を突出させて、差圧センサ63の上流側センサ配管68、又は上流側ガス温度センサ109(排気ガスセンサ)を計測部に簡単に連結できる。電気配線や配管などをセンサボス体110,113側から簡単に延長できる。しかも、触媒内側ケース4又はフィルタ内側ケース20内の排気ガスがセンサ取付け開口5aから漏れるのを簡単に防止できる。触媒外側ケース5又はフィルタ外側ケース21の表面温度の上昇を低減できる。
【0095】
図17又は図18に示す如く、遮熱ケース190の他端側が延長された他方のフィルタ内側ケース20の外周側と、遮熱ケース190の内周側との間に下流側隙間23を形成したものであるから、遮熱ケース190に対して他方のフィルタ内側ケース20を簡単に出入させることができ、各内側ケース4,20及び各外側ケース5,21を容易に接合又は分離できる。ガス浄化体としてのディーゼル酸化触媒2、スートフィルタ3、又は排気ガスセンサとしてのガス温度センサ109、下流側ガス温度センサ112、差圧センサ63等のメンテナンス作業性を向上できる。
【0096】
図17又は図18に示す如く、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21の接合用の触媒側接合フランジ25(フランジ体)に、他方のフィルタ内側ケース20の外側面に延長させた遮熱ケース190の他端側を連結したものであるから、ディーゼル酸化触媒2から各外側ケース5,21に向けて排気ガスが漏れるのを簡単に防止できる。各外側ケース5,21や遮熱ケース190の断熱作用によって、スートフィルタ3の排気ガス温度の低下や、各外側ケース5,21の表面温度の上昇等を低減できる。
【0097】
図17又は図18に示す如く、触媒内側ケース4(フィルタ内側ケース20)と、遮熱ケース190と、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)を三層構造に設け、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の側端よりも遮熱ケース190の側端を短尺に形成し、遮熱ケース190の側端よりも触媒内側ケース4(フィルタ内側ケース20)の側端を短尺に形成したものであるから、排気ガスの温度低下を低減でき、排気ガス中の粒子状物質の処理効率を向上できる。触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の表面温度の上昇を低減でき、運転中に必要になったディーゼルエンジン70のメンテナンス等の作業性を向上できる。
【符号の説明】
【0098】
1 DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)
2 ディーゼル酸化触媒(ガス浄化体)
3 スートフィルタ(ガス浄化体)
4 触媒内側ケース
5 触媒外側ケース
5a センサ取付け開口(センサ取付け孔)
20 フィルタ内側ケース
21 フィルタ外側ケース
25 触媒側接合フランジ
63 差圧センサ(排気ガスセンサ)
70 ディーゼルエンジン
109 上流側ガス温度センサ(排気ガスセンサ)
110 センサボス体
113 センサボス体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる外側ケースとを備える排気ガス浄化装置において、
排気上流側の内側ケースの出口端部と排気下流側の内側ケースの入口端部を二重構造に重合させ、その二重構造の出口端部又は入口端部の外側面に排気ガスセンサ支持用のセンサボス体を配置し、前記外側ケースの外側方に前記センサボス体を延長させたことを特徴とする排気ガス浄化装置。
【請求項2】
一方の内側ケースの外側面に遮熱ケースを設け、前記遮熱ケース内に他方の内側ケースを挿入する一方、前記一方の内側ケースの端面よりも内方側の外周面に前記遮熱ケースの一端側を固着し、前記一方の内側ケースの端面近傍の前記遮熱ケースの外周面に、前記センサボス体を固着したことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記内側ケースの外径よりも、前記遮熱ケースのうち前記センサボス体の固着部位の内径を大きく形成したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記内側ケースに前記遮熱ケースの一端側を被嵌させ、前記各外側ケースの接合用のフランジ体に前記遮熱ケースの他端側を連結したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項5】
前記外側ケースのセンサ取付け孔を前記遮熱ケースにて閉塞したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項6】
前記遮熱ケースの他端側が延長された前記他方の内側ケースの外周側と、前記遮熱ケースの内周側との間に空間を形成したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項7】
前記各外側ケースの接合用のフランジ体に、他方の前記内側ケースの外側面に延長させた前記遮熱ケースの他端側を連結したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項8】
前記内側ケースと前記遮熱ケースと前記外側ケースを三層構造に設け、前記外側ケースの側端よりも前記遮熱ケースの側端を短尺に形成し、前記遮熱ケースの側端よりも前記内側ケースの側端を短尺に形成したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項1】
エンジンが排出した排気ガスを浄化する複数のガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内設させる複数の内側ケースと、前記各内側ケースを内設させる外側ケースとを備える排気ガス浄化装置において、
排気上流側の内側ケースの出口端部と排気下流側の内側ケースの入口端部を二重構造に重合させ、その二重構造の出口端部又は入口端部の外側面に排気ガスセンサ支持用のセンサボス体を配置し、前記外側ケースの外側方に前記センサボス体を延長させたことを特徴とする排気ガス浄化装置。
【請求項2】
一方の内側ケースの外側面に遮熱ケースを設け、前記遮熱ケース内に他方の内側ケースを挿入する一方、前記一方の内側ケースの端面よりも内方側の外周面に前記遮熱ケースの一端側を固着し、前記一方の内側ケースの端面近傍の前記遮熱ケースの外周面に、前記センサボス体を固着したことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記内側ケースの外径よりも、前記遮熱ケースのうち前記センサボス体の固着部位の内径を大きく形成したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記内側ケースに前記遮熱ケースの一端側を被嵌させ、前記各外側ケースの接合用のフランジ体に前記遮熱ケースの他端側を連結したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項5】
前記外側ケースのセンサ取付け孔を前記遮熱ケースにて閉塞したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項6】
前記遮熱ケースの他端側が延長された前記他方の内側ケースの外周側と、前記遮熱ケースの内周側との間に空間を形成したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項7】
前記各外側ケースの接合用のフランジ体に、他方の前記内側ケースの外側面に延長させた前記遮熱ケースの他端側を連結したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項8】
前記内側ケースと前記遮熱ケースと前記外側ケースを三層構造に設け、前記外側ケースの側端よりも前記遮熱ケースの側端を短尺に形成し、前記遮熱ケースの側端よりも前記内側ケースの側端を短尺に形成したことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−163273(P2011−163273A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28971(P2010−28971)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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