説明

排気圧力制御システム及び排気圧力制御方法

【課題】真空弁のメンテナンスサイクルを長くできる排気圧力制御システム及び排気圧力制御方法を提供すること。
【解決手段】真空チャンバ3に接続される排気系10に配設される真空弁15と、排気系10の排気圧力を目標圧力に制御するように真空弁15のバルブ開度を制御するコントローラ12とを有する排気圧力制御システム11において、排気系10に接続するパージガス供給系14と、パージガス供給系14に配設され、排気系10に供給されるパージガスの流量を制御するパージガス流量コントローラ13と、を有し、パージガス流量コントローラ13により流量制御されたパージガスを排気系10に供給することにより、コントローラ12が制御する真空弁15のバルブ開度を、パージガスを排気系10に供給しないで排気圧力を目標圧力に制御する場合より大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャンバに接続する排気系の排気圧力を目標圧力に制御するように、排気系に配設された真空弁のバルブ開度を制御する排気圧力制御システム及び排気圧力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体、フラットパネル・ディスプレイ、太陽電池の製造には、真空チャンバを備える成膜装置が用いられる。排気圧力制御システムは、真空チャンバに接続される排気系に設けられ、真空チャンバからプロセスガスを排気する際に、パーティクルが巻き上がらないように排気系の排気圧力を制御する。パーティクルは、成膜装置の歩留まりを低下させるからである。排気圧力制御システムは、排気系に設けた真空弁のバルブ開度を制御することによりコンダクタンスを変化させ、排気系の排気圧力を目標圧力に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−82807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の排気圧力制御システムは、排気系のコンダクタンスが真空弁の内部シール部で急激に変化していた。排気系のコンダクタンスが変化する部分には、副生成物が生成して集中的に付着しやすい。そのため、真空弁の内部シール部には副生成物が付着しやすかった。排気圧力制御システムは、真空弁の内部シール部に副生成物が付着すると、内部漏れ(シール不良)に直結する。よって、従来の排気圧力制御システムは、副生成物を除去するために、真空弁を頻繁に分解してメンテナンスを行っていた。真空弁のメンテナンスをする間成膜作業が中断されるため、産業界からは真空弁のメンテナンスサイクルを長くすることが望まれていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、真空弁のメンテナンスサイクルを長くできる排気圧力制御システム及び排気圧力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る排気圧力制御システム及び排気圧力制御方法は、次のような構成を有している。
(1)真空チャンバに接続される排気系に配設される真空弁と、前記排気系の排気圧力を目標圧力に制御するように前記真空弁のバルブ開度を制御するコントローラとを有する排気圧力制御システムにおいて、前記排気系に接続するパージガス供給系と、前記パージガス供給系に配設され、前記排気系に供給されるパージガスの流量を制御するパージガス流量コントローラと、を有し、前記パージガス流量コントローラにより流量制御された前記パージガスを前記排気系に供給することにより、前記コントローラが制御する前記真空弁のバルブ開度を、前記パージガスを前記排気系に供給しないで前記排気圧力を前記目標圧力に制御する場合より大きくした。
【0007】
(2)(1)に記載の発明において、前記コントローラが、前記真空弁の前記バルブ開度を一定に制御した状態で、前記排気圧力の変動に応じて前記パージガス流量コントローラに前記パージガスの流量を変化させる。
【0008】
(3)(1)に記載の発明において、前記コントローラが、前記パージガス流量コントローラに前記パージガスの流量を一定に制御させた状態で、前記排気圧力の変動に応じて前記真空弁の前記バルブ開度を変化させる。
【0009】
(4)(1)乃至(3)の何れか1つに記載の発明において、前記パージガス供給系が前記真空弁の上流側に接続している。
【0010】
(5)真空チャンバに接続される排気系に配設される真空弁のバルブ開度を制御し、前記排気系の排気圧力を目標圧力に制御する排気圧力制御方法において、前記排気系に流量制御されたパージガスを供給することにより、前記真空弁の前記バルブ開度を、前記パージガスを前記排気系に供給しない場合より大きく制御する。
【発明の効果】
【0011】
上記排気圧力制御システム及び排気圧力制御方法は、真空チャンバの排気圧力を目標圧力に制御する場合に、パージガス流量コントローラにより流量制御されたパージガスを排気系に供給する。パージガスを排気系に供給すると、排気ガスが排気系を流れにくくなり、排気圧力が目標圧力より高くなってしまう。そこで、コントローラは、真空弁のバルブ開度をパージガスを排気系に供給しない場合より大きくして、真空弁に流れる排気流量を増加させる。これにより、排気ガスは、パージガスが排気系に供給されない場合と同様に真空弁に流れ、排気圧力が目標圧力に制御される。排気圧力制御時に、真空弁のバルブ開度をパージガスを供給しない場合より大きくしたことにより、真空弁でのコンダクタンスの急激な変化が小さくなる。その結果、副生成物が真空弁の内部シール部に付着しにくくなるので、副生成物を除去するために真空弁を分解してメンテナンスする回数が減る。よって、上記排気圧力制御システム及び排気圧力制御方法によれば、真空弁のメンテナンスサイクルを長くすることができる。
【0012】
上記排気圧力制御システムは、真空弁のバルブ開度を一定にした状態で排気圧力の変動に応じてパージガス流量コントローラにパージガスの流量を変化させ、排気圧力を目標圧力に制御するので、真空弁のバルブ開度をパージガスを供給しない場合より生成物がつきにくい開度以上に大きくした状態で一定にして、真空弁への副生成物の付着を防止できる。
【0013】
上記排気圧力制御システムは、排気系に供給するパージガスの流量を一定にした状態で排気圧力の変動に応じて真空弁のバルブ開度を変化させ、排気圧力を目標圧力に制御するので、排気圧力制御時に、真空弁のバルブ開度をパージガスを供給しない場合より生成物がつきにくい開度以上に大きく開いて変化させ、真空弁への副生成物の付着を防止できる。
【0014】
上記圧力制御システムは、パージガス供給系が真空弁の上流側に接続しており、排気ガスをパージガスで希釈してから真空弁に流すので、真空弁に副生成物が付着することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る排気圧力制御システムを備える成膜装置の概略構成図である。
【図2】パージガス供給流量とバルブ開度との関係を制御圧力別に示すグラフである。
【図3】本発明の第2実施形態に係る排気圧力制御システムを備える成膜装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る排気圧力制御システムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(第1実施形態)
<成膜装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る排気圧力制御システム11を備える成膜装置1の概略構成図である。
第1実施形態の排気圧力制御システム11は、例えば半導体成膜装置1の真空チャンバ3の排気系10に設けられ、真空チャンバ3の排気圧力を制御する。成膜装置1は、排気系10の上流側から下流側へ向かって、マスフローコントローラ2、真空チャンバ3、圧力センサ4、排気圧力制御システム11、真空ポンプ6が設けられている。排気圧力制御システム11は、真空弁15が圧力センサ4と真空ポンプ6との間に配設されている。バイパス弁7とノズル8は、真空弁15と並列に設けられている。
【0018】
<排気圧力制御システムの構成>
排気圧力制御システム11は、コントローラ12とパージガス流量コントローラ13とパージガス供給系14と真空弁15で構成されている。コントローラ12は、成膜装置1のホストコンピュータ9に電気的に接続され、ホストコンピュータ9との間で各種信号を入出力する。真空弁15は、図示しない弁体を図示しない弁座に当接させてシールを行い、図示しない弁体を図示しない弁座から離間させて流量を調整する。真空弁15は、コントローラ12と電気的に接続され、コントローラ12からの指令によりバルブ開度を制御される。パージガス供給系14は、真空弁15の内部シール部より下流側で排気系10に接続され、排気系10にパージガスを供給する。パージガス流量コントローラ13は、パージガス供給系14に配設され、排気系10に供給するパージガスの流量(以下「パージガス供給量」という。)を制御する。パージガス流量コントローラ13は、コントローラ12に電気的に接続され、パージガス供給量を制御するための指令がコントローラ12入力される。
【0019】
<排気圧力制御方法>
排気圧力制御システム11は、排気系10にパージガスを供給することにより、排気系10にパージガスを供給しない場合より真空弁15のバルブ開度を大きくして、真空弁15のコンダクタンスの変化量を小さくしている。また、排気圧力制御システム11は、真空弁15のバルブ開度を一定にした状態で、排気圧力の変動に応じてパージガス供給量を制御することにより、排気系10の排気圧力を目標圧力に制御している。この排気圧力制御方法について以下具体的に説明する。
【0020】
排気圧力制御システム11のコントローラ12は、ホストコンピュータ9から駆動指令を入力するまでは、真空弁15を弁閉し、パージガスをパージガス供給系14から排気系10へ供給しない。コントローラ12は、ホストコンピュータ9から駆動指令を入力すると、パージガス流量コントローラ13にパージガス供給指令を出力し、パージガス供給系14から排気系10にパージガスを供給する。また、コントローラ12は、真空弁15を所定のバルブ開度に開き、真空チャンバ3と真空ポンプ6とを導通させる。
【0021】
真空弁15の下流側にパージガスを供給すると、真空弁15の下流側圧力と上流側圧力との圧力差がパージガスを排気系10に供給しない場合より小さくなる。この状態では、真空チャンバ3から真空弁15へ流れるプロセスガスの流量がパージガスを排気系10に供給しない場合より少なくなり、排気圧力が目標圧力より高くなってしまう。そのため、コントローラ12は、真空弁15のバルブ開度を、パージガスを排気系10に供給しない場合より生成物が付着しにくい開度以上に大きくすることにより、排気系10にパージガスを供給しない場合と同量でプロセスガスを真空ポンプ6へ流すようにしている。コントローラ12は、排気圧力制御中、バルブ開度を一定に制御する。バルブ開度は、プロセスガスの特性(濃度、粘性等)や目標とするコンダクタンス等により予め任意に設定可能である。
【0022】
コントローラ12は、圧力センサ4から圧力測定値が入力されて真空チャンバ3の排気圧力を常時監視している。コントローラ12は、圧力センサ4から入力される排気圧力が目標圧力からずれたことを検知すると、そのずれ量に応じて、パージガス流量コントローラ13が制御するパージガス供給量を変化させ、排気圧力を目標圧力にフィードバック制御する。
すなわち、圧力センサ4が測定する圧力測定値が目標圧力より低い場合には、コントローラ12は、パージガス供給量を増加させる指令をパージガス流量コントローラ13に出力する。パージガス流量コントローラ13が指令に従ってパージガス供給量を増加させると、真空弁15の上流側圧力と下流側圧力との差圧が小さくなり、プロセスガスが真空弁15を流れにくくなるため、排気圧力が目標圧力まで上昇する。
一方、圧力センサ4が測定する圧力測定値が目標圧力より高い場合には、コントローラ12は、パージガス供給量を減少させる指令をパージガス流量コントローラ13に出力する。パージガス流量コントローラ13が指令に従ってパージガス供給量を減少させると、真空弁15の上流側圧力と下流側圧力との差圧が大きくなり、プロセスガスが真空弁15を流れやすくなるため、排気圧力が目標圧力まで下降する。
【0023】
<バルブ開度特性>
次に、排気圧力制御システム11のバルブ開度特性について説明する。図2は、パージガス供給量とバルブ開度との関係を排気圧力別に示すグラフである。
発明者は、上記排気圧力制御システム11を使用し、パージガス供給量とバルブ開度との関係を排気圧力別に調べる実験を行った。実験では、エアを排気系10に一定量供給した状態でパージガス流量コントローラ13にパージガス供給量を変化させ、排気圧力制御システム11が排気圧力を目標圧力(実験では0.066kPa、0.133kPa、0.266kPa、0.532kPa)に制御するときの真空弁15のバルブ開度を測定した。その結果を図2に示す。
【0024】
図2に示すように、パージガス供給量の増加に伴い、バルブ開度が大きくなっている。これは、排気圧力の目標圧力が異なっても同じ傾向が見られる。よって、排気圧力を一定に制御する場合でも、パージガス供給量を供給することにより、真空弁15のバルブ開度を大きくできる。また、同一のバルブ開度でも、パージガス供給量を制御することにより、排気圧力を変動させることができる。
【0025】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の排気圧力制御システム11及び排気圧力制御方法は、真空チャンバ3の排気圧力を目標圧力に制御する場合に、パージガス流量コントローラ13から排気系10の真空弁15の下流側へパージガスを供給する。パージガスを排気系10に供給すると、真空弁15の上流側圧力と下流側圧力との差圧が小さくなってプロセスガスが排気系10を流れにくくなり、排気圧力が目標圧力より高くなってしまう。そこで、コントローラ12は、真空弁15のバルブ開度をパージガスを排気系10に供給しない場合より大きくして、真空弁15に流れるガスの流量を増加させる。これにより、プロセスガスは、パージガスが排気系10に供給されない場合と同様に真空弁15に流れ、排気圧力が目標圧力に制御される。排気圧力制御時に、真空弁15のバルブ開度をパージガスを供給しない場合より大きくしたことにより、排気系10では真空弁15の内部シール部でコンダクタンスが急激に変化しなくなり、副生成物が真空弁15の内部シール部に付着しにくくなるので、副生成物を除去するために真空弁15を分解してメンテナンスする回数が減る。よって、上記排気圧力制御システム11及び排気圧力制御方法によれば、真空弁15のメンテナンスサイクルを長くすることができる。
【0026】
真空弁15に副生成物が付着しにくくなるので、真空弁15のメンテナンスのために成膜作業を停止させる時間が減り、成膜作業を効率良く行うことができる。
【0027】
上記排気圧力制御システム11及び排気圧力制御方法は、真空弁15のバルブ開度を一定にした状態でパージガス流量コントローラ13にパージガスの流量を変化させ、排気圧力を目標圧力に制御するので、真空弁15のバルブ開度をパージガスを供給しない場合より大きくした状態で真空弁15のコンダクタンスの変化を小さくして、真空弁15への副生成物の付着を防止できる。
【0028】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る排気圧力制御システム21を備える成膜装置1の概略構成図である。
第2実施形態の排気圧力制御システム21は、パージガス供給系22が真空弁15の上流側に接続されている点が第1実施形態の排気圧力制御システム11と異なる点を除き、第1実施形態の排気圧力制御システムと構成が同じである。
【0029】
排気圧力制御システム21のコントローラ12は、ホストコンピュータ9から駆動指令を入力すると、パージガス流量コントローラ13から真空弁15の上流側へパージガスを供給すると共に、真空弁15を開く。この場合、真空弁15には、プロセスガスとパージガスが流れることになるため、真空弁15のバルブ開度をパージガスを供給しない場合と同じにしたのでは、真空チャンバ3の排気圧力を目標圧力に制御することができない。そこで、コントローラ12は、真空弁15のバルブ開度をパージガスを供給せずに排気圧力を制御する場合より大きくして一定にし、真空弁15に流れるガス流量を増加させる。更に、プロセスガスがパージガスで希釈されるので、副生成物付着が抑えられる。そして、コントローラ12は、圧力センサ4から圧力測定値を入力し、その圧力測定値を目標圧力に一致させるようにパージガス流量コントローラ13にパージガス供給量を制御させる。
【0030】
このような本実施形態の排気圧制御システム21及び排気圧力制御方法は、第1実施形態の作用効果に加え、パージガス供給系22が真空弁15の上流側に接続しており、プロセスガスをパージガスで希釈してから真空弁15に流すので、真空弁15の内部シール部に副生成物が付着することを抑えることができる。
【0031】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の排気圧力制御システム11は、排気圧力の制御方法のみが第1実施形態と相違している。ここでは、各構成機器に第1実施形態と同じ符号を使用し、排気圧力制御方法を説明する。
【0032】
本実施形態の排気圧力制御方法では、コントローラ12が、パージガス流量コントローラ13にパージガス供給量を一定に制御させる。コントローラ12は、圧力センサ4から入力される排気圧力が目標圧力からずれたことを検知すると、そのずれ量に応じて真空弁15のバルブ開度を変化させ、排気圧力を目標圧力にフィードバック制御する。すなわち、圧力センサ4が測定する圧力測定値が目標圧力より低くなると、コントローラ12が真空弁15のバルブ開度を小さくしてプロセスガスの流量を減少させ、排気系10の排気圧力を目標圧力まで上昇させる。一方、圧力センサ4が測定する圧力測定値が目標圧力より高くなると、コントローラ12が真空弁15のバルブ開度を大きくしてプロセスガスの流量を増加させ、排気系10の排気圧力を目標圧力まで下降させる。
【0033】
排気圧力制御システム11は、真空弁15の下流側圧力と上流側圧力との圧力差が、パージガスを排気系10に供給しない場合より小さくなる。そのため、コントローラ12は、パージガスを排気系10に供給しない場合と同じバルブ開度で真空弁15を制御しても、排気圧力を目標圧力に制御できない。よって、コントローラ12は、真空弁15のバルブ開度を、パージガスを排気系10に供給しない場合より生成物が付着しない開度以上に大きくすることにより、真空弁15の排気流量を大きくしている。これにより、真空チャンバ3は、パージガスを排気系10に供給しない場合と同じ排気流量でプロセスガスが排気され、排気圧力が目標圧力に制御される。
【0034】
第3実施形態の排気圧力制御システム11及び排気圧力制御方法は、真空弁15のバルブ開度を変動させて排気圧力を制御する場合であっても、パージガスを排気系10に供給することにより、真空弁15のバルブ開度がパージガスを排気系10に供給せずに排気圧力を制御する場合より常に大きくなる。そのため、真空弁15のコンダクタンスの変化がパージガスを排気系10に供給せずに排気圧力を制御する場合より小さくなり、真空弁15の内部シール部に副生成物が付着しにくい。よって、本実施形態の排気圧力制御システム11及び排気圧力制御方法は、真真空弁15のメンテナンスサイクルを長くできる。
【0035】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、半導体成膜装置1の排気系10に排気圧力制御システム11,21を配設したが、フラットディスプレイ・パネルや太陽電池の成膜装置や他の処理装置の排気系に排気圧力制御システム11,21を配設しても良い。
例えば、第3実施形態では、パージガス供給系14を真空弁15の下流側に接続したが、第2実施形態のように、パージガス供給系22を真空弁15の上流側に接続しても良い。この場合も、第2実施形態と同様の作用効果が得られ、また、プロセスガスをパージガスで希釈して真空弁15に流すので、真空弁15のシール部に副生成物が付着することをさらに抑えることができる。
例えば、上記実施形態では、真空弁15の下流側又は上流側にパージガス供給系14,22を接続してパージガスを排気系10に供給した。これに対して、パージガス供給系14が接続される図示しない導入流路を、図示しない弁座にパージガスを直接噴出するように、真空弁15に設けることにより、真空弁15の内部シール部に副生成物が付着しにくくすることができる。
例えば、上記実施形態において、成膜装置1が真空チャンバ3を真空引きする際の動作を予めコントローラ12に学習させ、パージガス供給量と真空弁15のバルブ開度との関係を排気圧力別にコントローラ12に記憶させてもよい。この場合、コントローラ12は、ホストコントローラ9から駆動指令が入力された場合に、パージガス流量コントローラ13からパージガス供給量を入力し、その入力したパージガス供給量を記憶されたデータに照合することにより、バルブ開度を求め、真空弁15を開くと良い。これによれば、バルブ開度をパージガス供給量に適した大きさに短時間で調整し、応答性良く排気圧力を目標圧力に制御できる。
【符号の説明】
【0036】
3 真空チャンバ
10 排気系
11,21 排気圧力制御システム
12 コントローラ
13 パージガス流量コントローラ
14,22 パージガス供給系
15 真空弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバに接続される排気系に配設される真空弁と、前記排気系の排気圧力を目標圧力に制御するように前記真空弁のバルブ開度を制御するコントローラとを有する排気圧力制御システムにおいて、
前記排気系に接続するパージガス供給系と、
前記パージガス供給系に配設され、前記排気系に供給されるパージガスの流量を制御するパージガス流量コントローラと、を有し、
前記パージガス流量コントローラにより流量制御された前記パージガスを前記排気系に供給することにより、前記コントローラが制御する前記真空弁のバルブ開度を、前記パージガスを前記排気系に供給しないで前記排気圧力を前記目標圧力に制御する場合より大きくした
ことを特徴とする排気圧力制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載する排気圧力制御システムにおいて、
前記コントローラが、前記真空弁の前記バルブ開度を一定に制御した状態で、前記排気圧力の変動に応じて前記パージガス流量コントローラに前記パージガスの流量を変化させる
ことを特徴とする排気圧力制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載する排気圧力制御システムにおいて、
前記コントローラが、前記パージガス流量コントローラに前記パージガスの流量を一定に制御させた状態で、前記排気圧力の変動に応じて前記真空弁の前記バルブ開度を変化させる
ことを特徴とする排気圧力制御システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載する排気圧力制御システムにおいて、
前記パージガス供給系が前記真空弁の上流側に接続している
ことを特徴とする排気圧力制御システム。
【請求項5】
真空チャンバに接続される排気系に配設される真空弁のバルブ開度を制御し、前記排気系の排気圧力を目標圧力に制御する排気圧力制御方法において、
前記排気系に流量制御されたパージガスを供給することにより、前記真空弁の前記バルブ開度を、前記パージガスを前記排気系に供給しない場合より大きく制御する
ことを特徴とする排気圧力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−34445(P2011−34445A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181741(P2009−181741)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】