接写用電子機器
【課題】
従来技術における接写の場合、ストレートタイプの携帯機器などでは、その構造上、筐体を撮像対象上に載置した場合に撮像レンズが撮像対象と接触し、そのためピントが合わせにくくなる、という課題がある。また、折りたたみタイプの携帯機器などでは、ある程度撮像レンズと撮像対象との距離を保つため液晶画面などが配置されている側の筐体を載置面とすると、ヒンジ部などの構造上、やはり載置をすることが困難であるという課題がある。
【解決手段】
以上の課題を解決するために、本発明は、撮像レンズを有する筐体が撮像対象に接触、載置される場合でも、撮像レンズと撮像対象との間の距離が撮像可能な距離に保たれるように、撮像レンズを収納する撮像レンズ収納凹部と、撮像レンズ収納凹部を有する筐体と、からなる電子機器を提供する。
従来技術における接写の場合、ストレートタイプの携帯機器などでは、その構造上、筐体を撮像対象上に載置した場合に撮像レンズが撮像対象と接触し、そのためピントが合わせにくくなる、という課題がある。また、折りたたみタイプの携帯機器などでは、ある程度撮像レンズと撮像対象との距離を保つため液晶画面などが配置されている側の筐体を載置面とすると、ヒンジ部などの構造上、やはり載置をすることが困難であるという課題がある。
【解決手段】
以上の課題を解決するために、本発明は、撮像レンズを有する筐体が撮像対象に接触、載置される場合でも、撮像レンズと撮像対象との間の距離が撮像可能な距離に保たれるように、撮像レンズを収納する撮像レンズ収納凹部と、撮像レンズ収納凹部を有する筐体と、からなる電子機器を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像レンズを備える筐体を、その撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させ、撮像するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話など常時携行する電子機器にカメラ機能が付加され普及したことにより、どこでも気軽に撮像することが可能となった。また、それによって、従来の記念、記録的な撮像のみならず、日常の中での撮像行為が一般的に行われるようになってきた。そのような撮像環境の変化に応じて、現在、例えば広告ポスターや雑誌などにバーコードや二次元コードを印刷し、それを携帯電話のカメラ機能で撮像させることでコードに含まれる情報を携帯電話に読み取らせ、ユーザーにさまざまな情報を提供する、といったサービスも実施されている。そして、上記二次元コードなどの撮像においては、通常、カメラのレンズを撮像対象に可能な限り近づけて撮像するという、いわゆるマクロ撮影による撮像が行われる。ところが、このマクロ撮影の場合、ユーザーは通常携帯電話などの筐体を中空において手で持ち撮像するため、撮像対象とカメラとの距離を一定に保つのが困難でピントが合わせづらかったり、手ぶれが発生してきれいに撮像できなかったりする可能性がある。そのため、コードに含まれる情報をうまく読み取ることができない、という問題も起きている。
【0003】
そこで特許文献1において、第1の筐体と第2の筐体とが折りたたみ可能に連結された折りたたみ式カメラ付携帯機器に関して、撮像レンズを有さない第2の筐体を撮像対象上に載置し、その撮像対象に焦点が合うように第1の筐体に備えられたカメラでマクロ撮影する、という技術が開示されている。このように筐体が、従来のように中空に手で保持されるのではなく撮像対象のある平面上に安定的に載置されることで、撮像対象とカメラとの距離を一定に保ち、手ぶれの発生を抑えて撮像することが可能になっている。
【特許文献1】特開2004−153407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記特許文献1に開示されている従来技術は、折りたたみ式の携帯機器におけるマクロ撮影の技術であって、例えばストレートタイプやフリップタイプの携帯機器での実施が困難である、という課題がある。なぜならば、図2の(a)に示すように従来技術の折りたたみ式の携帯機器は、その構造上、第2の筐体(0202a)を撮像対象のある平面上に載置しても第1の筐体(0203a)に撮像レンズ(0201a)を撮像対象から一定の距離に保つことが可能である。しかしストレートタイプなどでは、その構造上、筐体を撮像対象上に載置した場合に撮像レンズが撮像対象と距離を保つことができずに接触してしまう。そのため、たとえ焦点距離が極端に短いマクロ撮影用の撮像レンズを利用してもピントが合わせにくくなるからである。
【0005】
また、同じ折りたたみ式でも、ダイヤルボタンなどが配置されている側の筐体に撮像レンズが備えられている場合には、やはり同様に実施が困難である、という課題がある。なぜならば、図2の(b)に示すように安定した載置のために適度に重量のあるダイヤルボタン側の筐体(0202b)を接触面とすると、ストレートタイプなどと同様に撮像レンズ(0201b)が撮像対象と接触してしまい、やはりピントが合わせにくくなるからである。また、逆に液晶画面などが配置されている側の筐体を接触面とすると、第一の筐体と第二の筐体の重量差や、ヒンジ部の構造、あるいは接触されることを本来想定していない液晶画面側の筐体のデザインなどを理由として安定した接触をすることが困難である可能性が高いからである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明は、撮像レンズを有する筐体が撮像対象に載置され接触する場合でも、撮像レンズと撮像対象との間の距離が撮像可能な距離に保たれるように構成された電子機器を提供する。なお撮像レンズと撮像対象との間の距離を撮像可能な距離に保つため、例えば携帯機器の筐体の四隅に所定長の足を取り付ける、など、接写時以外の通常使用時の使用感を損ねるような構成を本発明の電子機器はとらない。本発明の電子機器は、具体的には、接写可能な撮像レンズと、撮像レンズを収納する撮像レンズ収納凹部と、撮像レンズ収納凹部を有する筐体と、からなる電子機器であって、撮像レンズ収納凹部は、筐体を、撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させた際に、撮像レンズと、撮像対象との間が接写可能距離であるように撮像レンズを収納する電子機器である。なお、「接写」とは電子機器の筐体を撮像対象に接触させて行うマクロ撮影をいう。また本発明の電子機器は、上記のようなバーコードや二次元コードなどの撮像のみならず、例えば通常の被写体に対する接写や文字のスキャニングのための接写などにおいても同様の効果を奏しうることは言うまでもない。
【0007】
また、さらに本発明は、第二に、上記発明を基本として、前記撮像レンズ収納凹部が、撮像レンズを撮像レンズ収納凹部内にて移動することを可能とする移動手段を有する電子機器を提供する。これによって、さらに接写時のピントを正確に合わせることが可能になる。また、さらに本発明は、第三に、撮像レンズ収納凹部に、凹部内を照明するための照明手段を有している電子機器を提供する。これによって、撮像レンズを備える筐体と撮像対象が接触することによる自然光の入光量の減少を補うことができる。また、さらに本発明は、第四に、筐体の前記接触を検出する接触検出部と、接触検出部が前記接触を検出した場合には接写のための準備処理をする準備処理部と、を有する電子機器を提供する。これにより、ユーザーが意識して特段の操作を行わなくても、自動的に接写状態を検出し電子機器を接写に好適な状態にすることなどが可能になる。また、さらに本発明は、第五に、筐体が前記撮像対象と接触する部分に、筐体自身を支持する支持手段を有する電子機器を提供する。これにより撮像対象と筐体とが載置面ではなく、支持点で接触することになるので、載置した状態で電子機器を動かすことなどによって撮像対象や電子機器に加わる負荷を軽減することができる。また、さらに本発明は、第六に、前記支持手段が、ローラー機能を有する電子機器を提供する。これにより電子機器を載置したまま容易に動かすことが可能となり、接写にもかかわらず広範囲の撮像を行うこと容易に可能となる。あるいはローラーの回転方向を一定方向とすることで、文字列の読取など一定方向への直線的な移動による連続接写などを容易に可能とする。また、さらに本発明は、第七に、前記支持手段が、前記接触検出部と兼用されている電子機器を提供する。これにより、上記第四および第五の発明双方の効果を有しつつ、構成部品を減らし、より簡単に実施可能とした電子機器を提供することができる。また、さらに本発明は、第八に、接写によって取得した画像を保持する画像保持部を有する電子機器を提供する。これにより、例えば連続して撮像した複数の画像を組み合わせて一つの画像として処理することが可能になり、広範囲の撮像が困難であるという接写における欠点を解消することができる。また、さらに本発明は、第九に、パターン認識に利用するパターンデータを保持するパターンデータ保持部と、撮像レンズにより接写された画像をパターンデータに基づいてパターン認識するためのパターン認識部と、を有する電子機器を提供する。これにより、接写で撮像された画像情報を、パターン認識の技術を利用してテキスト情報やその他の形式の情報に変換することが可能になる。またさらに本発明は、第十に、辞書部と、パターン認識部にて認識されたパターンをキーとして辞書部を検索する検索部と、を有する電子機器を提供する。これによりパターン認識された例えば文字列を辞書部の単語と照合して、そのパターン認識の結果の正誤判定などを行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
以上のような構成をとる本発明の電子機器によって、マクロ撮像のために撮像レンズを有する筐体が撮像対象に接触、載置される場合でも、撮像レンズと撮像対象との間の距離を撮像可能な距離に保ち撮像することが可能になる。
【0009】
また、第二の本発明によって、さらに接写時のピントを正確に合わせることが可能になる。また、第三の本発明によって、撮像レンズを備える筐体と撮像対象が接触することによる自然光の入光量の減少を補うことができる。また、第四の本発明によって、ユーザーが意識して特段の操作を行わなくても、自動的に電子機器を接写に好適な状態にすることが可能になる。また、第五の本発明によって、載置した状態で電子機器を動かすことなどによって撮像対象や電子機器に加わる負荷を軽減することができる。また、第六の本発明によって電子機器を載置したまま容易に動かすことが可能となり、接写にもかかわらず広範囲の撮像を行うこと容易に可能となる。また、第七の本発明によって、上記第四および第五の発明双方の効果を有しつつ、構成部品を減らし、より簡単に実施可能とした電子機器を提供することができる。また第八の発明によって、接写で例えば連続して撮像した画像を組み合わせることが可能となり、広範囲の撮像が困難であるという接写の欠点を解消することができる。また、第九の発明によって、接写で撮像された画像情報を、パターン認識の技術を利用してテキスト情報やその他の形式の情報に変換することが可能になる。また、第十の本発明によって、パターン認識された例えば文字列を辞書部の単語と照合して、そのパターン認識の結果の正誤判定などを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。なお、実施例1は、主に請求項1について説明する。また、実施例2は、主に請求項2について説明する。また、実施例3では、主に請求項3について説明する。また、実施例4は、主に請求項4,11,12について説明する。また、実施例5は、主に請求項5について説明する。また、実施例6では、主に請求項6について説明する。また、実施例7では、主に請求項7について説明する。また、実施例8は、主に請求項8について説明する。また、実施例9は、主に請求項9について説明する。また、実施例10は、主に請求項10について説明する。
【0011】
≪実施例1≫ <実施例1の概要> まず、図2を用いて従来のカメラ付の電子機器(ここでは携帯電話を例にとる。)におけるマクロ撮影について再度説明し、それとの比較により接写を可能とする本実施例の電子機器の特徴の概要を、図1を用いて説明する。図2に示すのは、従来のカメラ付電子機器によるマクロ撮影の一例を説明するための図である。この図2(a)にあるように、従来の電子機器の一例は、第1の筐体(0203a)と第2の筐体(0202a)とがヒンジ部により接続され、第1の筐体に撮像用レンズ(0201a)が備えられている折たたみ可能な携帯電話である。ここで第2の筐体は通常ダイヤルボタンが備えられた側であり、折りたたんだ際には下になって載置されることを前提としているため、図に示すような状態でも安定して載置することが可能である。したがって、この状態での撮影は手で中空に保持されるマクロ撮影に比べて手ぶれなどの発生を抑えることができる。また、この状態のとき第1の筐体に備えられた撮像レンズは、図中破線矢印で示すように撮像対象から所定の距離を保って位置することが可能であり、したがって一度合ったピントをずらすことなく固定したまま撮像することができる。
【0012】
一方、図2(b)に示すように、撮像レンズ(0201b)が、第2の筐体(0202b)に備えられている場合、安定した載置のため適度な重量のある第2の筐体を下にして載置すると、撮像レンズが撮像対象と接触してしまい、焦点距離や入光量の関係から撮像対象をうまく撮像することができない。また、液晶画面などを備える第1の筐体(0203b)を下にして載置する場合、その第1の筐体は本来下にして載置されることを前提としていないので、そのデザイン、形状やヒンジ部の構造などから安定して載置することが困難である。
【0013】
そこで上記のような従来の電子機器における不都合を解消するために、本実施例の電子機器は、安定載置可能な側の筐体に撮像レンズが備えられている場合でも撮像レンズと撮像対象とが接触せずにその距離を一定に保ち、またある程度の入光量も確保することのできる構成をとる。
【0014】
図1に示すのは、本実施例の電子機器の、利用形態の一例を説明するための概略図である。この図にあるように、本実施例の電子機器は、撮像対象(0100)上に載置される筐体(0101)に撮像レンズ(0103)が備えられている。しかし、撮像レンズはこの筐体に設けられた破線で示す凹状の空間(0104)のくぼみ底部に具備されているため撮像対象と接触することがない。そして撮像レンズが撮像対象と接触していないので、この凹状空間に光を導入すれば撮像に必要な入光量を得ることも可能である。したがって、本実施例の電子機器は、この撮像レンズを通し撮像対象を撮像素子上に結像させることができる。そしてその像が撮像対象と接触しない側の筐体(0102)に配された液晶画面(0105)上に表示され、ユーザーはその液晶画面で撮像対象を確認しながら希望の撮像対象を撮像することができる。
【0015】
<実施例1の構成例> 図3に示すのは、本実施例の電子機器における構成の一例を説明するための概略図である。この図にあるように、本実施例の「電子機器」(0300)は、「撮像レンズ」(0302)と、「撮像レンズ収納凹部」(0303)と、「筐体」(0303)と、を有する。
【0016】
「撮像レンズ」(0301)は、接写可能なレンズである。この撮像レンズは、例えば従来のマクロ撮影に使用されるような焦点距離の短いレンズであっても構わないし、近接した撮像対象でもボケなく結像させることが可能な被写界深度が深いレンズであっても良い。また、撮像レンズは複数枚のレンズ群からなっていても良いし、また通常撮影時と接写時でその複数のレンズの組み合わせを変化させる構成であっても良い。
【0017】
「撮像レンズ収納凹部」(0302)は、撮像レンズを収納する部位である。そしてこの撮像レンズ収納凹部の一例は、図3の0302に示す部分を拡大した破線円内に示すように、後述する筐体(0303)の一部に設けられた凹状の窪み空間などである。そして図にあるように筐体の凹状くぼみ空間の底部に撮像レンズが具備されているため、筐体が撮像対象と接触した場合でも撮像レンズが撮像対象と接触することがなく、撮像可能な距離(0304)を保つことができる。また、撮像レンズが撮像対象と接触していないので、入光窓(図示せず)などでこの凹状空間に光を導入すれば撮像に必要な入光量を従来のようにレンズ筒に遮られること無く撮像対象に当てることも可能となる。この構成例のように撮像レンズ収納凹部は、後述する筐体を、撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させた際に、撮像レンズと、撮像対象との間が接写可能距離であるように撮像レンズを収納することを特徴としている。
【0018】
なお、この撮像レンズ収納凹部は、撮像レンズを固定して収納していても良いし、あるいは後述するように、撮像レンズを、筐体内や自身の内部を移動可能に収納していても良い。また撮像レンズ収納凹部は、前述のような筐体の一部が凹むことで、その底部に開口部を有するような形状である必要はない。図15に、この撮像レンズ収納凹部の形状について類型の一例を示す。この図15の(1)にあるように、撮像レンズ収納凹部の形状として、例えば通常使用時はその開口部付近に撮像レンズが位置しており、開口部が塞がっている形状が挙げられる。もちろん接写時には撮像レンズ収納凹部奥へと撮像レンズが移動し、撮像対象を撮像可能な距離に位置する構成である。また、その他にも、図15の(2)や(3)に示すように、撮像レンズ収納凹部の開口部に当たる場所にガラス板などの透明板が備えられ塞がれていても良い。このような構成であれば撮像レンズが傷ついたり汚れたりするのを防ぐことができる。あるいは、図15の(4)に示すように、撮像レンズ収納凹部が筐体の長手方向に収納する凹部を有し、開口部に鏡などを備える構成であっても良い。このような構成であれば、筐体の厚みを増すことなく撮像レンズの移動範囲を広げることができる。またそれにより柔軟なピント合わせやレンズの種類、形状の選択を行うことが可能になる。
【0019】
「筐体」(0303)は、撮像レンズ収納凹部を有する電子機器の外郭部材を形成するケースである。なお、筐体がこの撮像レンズ収納凹部を有する場所に関して特段の限定は行わないが、本発明の利用形態やその目的上、電子機器の接触面となる部位に有していることが望ましい。なお前記の図では、撮像レンズ収納凹部を有する筐体は折りたたみ式の電子機器に用いられる筐体であるが、もちろんそれには限られず、ストレートタイプの電子機器に用いられる筐体など、その他の形状の電子機器に用いられる筐体であっても同様の効果を奏しうることは言うまでもない。
【0020】
このように筐体の接触面となる部位の撮像レンズ収納凹部が、撮像レンズを接写可能距離であるように収納することで、本実施例の電子機器は、筐体を、撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させた際でも、問題なく撮像することができる。また凹状の窪みに光を導入することで撮像に必要な入光量を確保することもできる。
【0021】
<実施例1の効果の簡単な説明> 以上のように本実施例の電子機器によって、筐体を、撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させた際でも、撮像レンズと撮像対象との間の距離を接写可能に保たれるので問題なく撮像することができる。また撮像レンズ収納凹部に光を導入することで撮像に必要な入光量を確保することもできる。したがって、ピントのずれや手ぶれを起こしたりすること無く、接写による撮像を問題なく行うことが可能になる。
【0022】
≪実施例2≫ <実施例2の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1を基本として、撮像レンズ収納凹部に収納されている撮像レンズが撮像レンズ収納凹部内にて移動する点を特徴としている。このように撮像レンズが撮像レンズ収納凹部内で移動することで、接写をする際に、例えばズーム処理やピントの合わせ処理などを行うことが可能になる。
【0023】
<実施例2の構成例> 図4に示すのは、本実施例の電子機器における撮像レンズ収納凹部および撮像レンズの一例を表す概略図である。この図を用いて、本実施例の電子機器における構成の一例について説明する。図4(a)にあるように、本実施例の電子機器は、撮像レンズ(0401a)を撮像レンズ収納凹部内にて、例えば上下に移動する「移動手段」を有する構成になっている。このように撮像レンズが撮像対象に対して上下などに移動することで、よりピントの合った位置で撮像することが可能になる。なお、この移動手段は、例えばステッピングモータやピエゾモータなどを利用した従来のオートフォーカス機構と同様の機構による移動や、あるいはボイスコイルモータなどのリニアモータなどを利用した機構による移動などが挙げられる。あるいは撮像レンズに設けられたつまみを利用者が上下左右に動かすことで連動した撮像レンズを移動させる機構によりこの移動を実現しても良い。
【0024】
なおこの撮像レンズのデフォルト(通常撮影時)の位置は、上記例のように撮像レンズ収納凹部の奥部分のみならず、例えば前述の図15を用いて説明したように通常撮影時には撮像レンズが凹部入り口をふさぐ状態に位置し、接写撮影時に撮像レンズ収納凹部の奥方向に移動する、といった具合の様々な位置取りであって構わない。また、本実施例における撮像レンズの移動方向も、上下のみならず図15を用いて説明したような左右方向の移動など様々であって構わない。
【0025】
あるいは図4(b)に示すように、通常撮影時には撮像レンズ収納凹部以外の筐体内の別の場所(0402b)に位置しており、接写時に撮像レンズが撮像レンズ収納凹部内の(0402b´)で示される位置に移動する構成であっても良い。このように、複数のレンズ群で接写用のピント合わせを行う場合、それぞれが接写に適した所定の位置に移動する構成となる。もちろん、この場合の「移動手段」も、前記各種モータなどによる電気的な移動方法や利用者による手動の移動方法など様々な方法でその機能が実現されて良い。
【0026】
<実施例2の効果の簡単な説明> 以上のように、本実施例の電子機器によって撮像レンズが撮像レンズ収納凹部内を移動することで、接写時に例えばピント合わせを行ったり、ズームによる倍率変更を行ったりすることができる。したがって、その撮像画像の品質を向上させることができる。
【0027】
≪実施例3≫ <実施例3の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1や実施例2の電子機器を基本として、撮像レンズ収納凹部内を照明するための例えばライトやフラッシュなどを備えている点を特徴としている。本発明の電子機器は、安定的に撮像対象上に載置することを目的としているため、撮像レンズを備える撮像レンズ収納凹部の周囲は開放されているよりも筐体などで取り囲まれているほうが都合が良い。そのため必然的に撮像レンズ収納凹部への自然光の入光は制限されてしまい、場合によっては撮像に必要な入光量を得られない可能性もある。そこで、本実施例のように撮像レンズ収納凹部内を照明するためのライトやフラッシュなどが備えられていれば、撮像レンズ収納凹部の周囲に入光口など要す必要がなく、安定的に載置可能にして、さらに撮像に必要な入光量を確保することができる。
【0028】
<実施例3の構成例> 図5に示すのは、本実施例の電子機器における撮像レンズ収納凹部および撮像レンズの一例を表す概略図である。この図を用いて、本実施例の電子機器における構成の一例について説明する。図5にあるように、本実施例の電子機器は、撮像レンズ収納凹部内に、例えばLED(発光ダイオード)などの「照明手段」(0502)を有する構成になっている。「照明手段」(0502)は、凹部内を照明するためのものであり、もちろんLEDには限られない。ただし、撮像用電子機器の近傍を照明するという機能上、撮像画像に影響を与える電気的ノイズの発生源にはならないような照明手段であることが望ましい。
【0029】
従来、接写においてはレンズ筒やマクロ撮像用にレンズの先につけるアタッチメントなどが撮像対象に可能な限り近接するようにして撮像されるため、撮像対象に当たるはずの光がそれらレンズ筒などに遮られてしまうことが多い。したがってフラッシュなどの照明手段を利用しても撮像することが難しかった。しかし、このように、レンズ収納凹部を有し、その凹部に照明手段を備えることで、光が遮られること無く撮像対象を照明することができるようになる。
【0030】
<実施例3の効果の簡単な説明> 以上のように、本実施例の電子機器によって、撮像に必要充分な光量を確保して接写を行うことができる。
【0031】
≪実施例4≫ <実施例4の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1や実施例2、実施例3を基本として、筐体と撮像対象との接触を検出するセンサなどを備えていることを特徴とする。このように接触センサなどを利用して筐体と撮像対象との接触を検出することで、例えば電子機器の撮影モードを自動で接写モードに変更するなどの処理を行うことが可能になる。なお、「筐体と撮像対象との接触」とは、筐体と撮像箇所のみとの接触を示すものではなく、撮像箇所を含む対象面全体と筐体との接触を示す。
【0032】
<実施例4の構成例> 図6に示すのは本実施例の電子機器における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の電子機器の構成は、例えば実施例1を基本として、「撮像レンズ」(0601)と、「撮像レンズ収納凹部」(0602)と、「筐体」(0603)と、を有する。なお、これら「撮像レンズ」、「撮像レンズ収納凹部」、「筐体」に関する説明は、前記実施例にて具体例を挙げて説明済みであるので省略する。そして本実施例の電子機器の特徴点は、「接触検出部」(0604)と、「準備処理部」(0605)と、をさらに有している点である。「接触検出部」(0604)は、筐体と、その筐体の撮像レンズを撮像対象面に向けた状態での撮像対象と、の接触を検出する機能を有する。接触検出部として、例えば接点スイッチ、感圧センサ、あるいは光や音の反射で対象物との距離を測定する測距センサなどが挙げられる。
【0033】
「準備処理部」(0605)は、接触検出部(0604)が前記接触を検出した場合には接写のための準備処理をする機能を有する。「接写のための準備処理」とは、例えば、前述の実施例2あるいは実施例3の「移動手段」や「照明手段」を制御する処理が挙げられる。つまり、筐体と撮像対象が接写可能に接触したことを感圧センサなどで検出した場合、移動手段であるステッピングモータがCPUなどの制御により自動的に駆動し、接写に最適な位置に撮像レンズを移動したり、照明手段であるLEDなどが自動で点灯し撮像レンズ収納凹部内を照明したりする、という具合である。
【0034】
また、その他の準備処理として、例えば、接写の際のプレビュー画面の出力表示において画像情報のガンマ値などを補正する処理を行っても良い。これは撮像レンズ収納凹部内は、前述のとおり自然光の入光が少なくなる傾向が高く、暗くなりがちなプレビュー画面の状態を改善するために行う処理である。あるいは逆に照明手段の光量が多すぎて白とびなどしたプレビュー画面の状態を改善するために画像情報の補正処理を行っても良い。
【0035】
この筐体と撮像対象との接触に応じた接写のための準備処理の一例は、例えば以下のようにして行われる。まず、前記接触によりセンサに発生した出力信号が接触検出部を構成するユニットに受信されると、準備処理のためのプログラムが保持されている記憶装置の所定のアドレスを指定する命令がアドレスバスを介して送出される。その命令に基づいて、該準備処理のためのプログラムがデータバスを介して記憶装置の所定のアドレスからメインメモリ上のワークエリアに読み出され展開される。そしてメモリのワークエリアに展開されたプログラムに含まれる接写の準備処理のための各種命令、例えば撮像レンズの移動手段であるモータの回転数を決定するために必要なデータを、記憶装置の所定のアドレスから所定のデータキャッシュやレジスタ内に取得するための命令、そして取得したデータに基づいて前記モータの回転数決定などの演算を行う命令、またその演算結果に基づくモータ制御を行うための命令など、がCPUの命令デコーダにより順次解釈、実行され、接写の準備処理として移動手段であるモータの駆動制御などが行われる。あるいは照明手段の照明を点灯させるタイミングや照明量を決定するために必要なデータを、記憶装置の所定のアドレスから所定のデータキャッシュやレジスタ内に取得するための取得命令や、取得したデータに基づいて前記タイミングや照明量を決定する演算を行う命令、あるいはその演算結果のタイミングや照明量に基づく関連機器の制御命令など、がCPUの命令デコーダにより順次解釈、実行され、接写の準備処理として照明手段の制御などが行われる。
【0036】
<実施例4の処理の流れ> 図7に示すのは、本実施例の電子機器における処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、カメラモードが起動し、撮像待機状態になる(ステップS0701)。続いて、筐体と撮像対象との接触が検出されたか否かの判定が行われる(ステップS0702)。ここで筐体と撮像対象との接触が検出された場合、接写のための準備処理、例えば移動手段の駆動による撮像レンズの移動や照明手段の点灯など、が行われる(ステップS0703)。そして接写撮影が行われる(ステップS0704)。あるいは、前記ステップS0702で筐体と撮像対象との接触が検出されない場合、接写撮影ではない通常撮影であると判定され、通常撮影に適した状態に電子機器が制御され通常撮影が行われる(ステップS0705)。
【0037】
また、前記接触の検出処理はステップS0701のカメラモードの起動前に行われてもよい。その場合、例えば電子機器がカメラ付携帯電話である、など撮像機構のほかに通話機構など別の機構を備えていれば、その通話機構の通話待機状態から撮像機構の接写待機状態へと電子機器の制御モードを変更するなどの処理が行われると良い。
【0038】
<実施例4の効果の簡単な説明> 以上のように本実施例の電子機器によって筐体と撮像対象との接触を検出し、接写に適した状態に電子機器を自動で制御することなどができる。
【0039】
≪実施例5≫ <実施例5の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1ないし4のいずれかを基本として、筐体に例えば4個の足が備えられ、その4個の足で撮像対象と接触することを特徴とする。このように例えば4個の足で筐体と撮像対象とが接触するような構成とすることで、筐体と撮像対象との接触部分を面から点に換えることになる。したがって筐体を撮像対象に接触させたまま移動させた場合などに生じる、筐体および撮像対象双方の損傷の度合いを抑えることができる。なお、この「足」は、上述のとおり、あくまで筐体と撮像対象との接触面積の低減を目的としており、レンズと撮像対象との距離を調節するためのものではない。したがってその足の高さは数ミリメートル程度で、通常使用時の使用感を損ねることのない短さであることが望ましい。
【0040】
<実施例5の構成例> 図8に示すのは、本実施例の電子機器の一例を表す概略図である。この図にあるように、本実施例の電子機器は、撮像レンズ収納凹部内に撮像レンズ(0801)を備える。そして、特徴点として、さらに「支持手段」(0802、0803)を有する。「支持手段」は筐体の撮像対象と接触する部分に備えられ、筐体自身を支持する機能を有する。この支持手段は、図示するような円筒形の足状のものには限定されない。また支持手段の個数も4個などに限定されるものではない。円筒形の足状のもの以外の支持手段としては、例えば接地面が点状になっている逆三角錐形状の支持手段や、後述するように車輪やキャタピラによる支持手段やレールとそのレール用車輪が一体となった支持手段などが挙げられる。またこの支持手段の材質は、プラスチック、金属、ゴムなどさまざまな材料が利用されて構わない。もちろんその場合、筐体を一点に固定し撮像するために摩擦抵抗の高いゴムを利用して支持手段を形成したり、逆に筐体を自由に移動させても筐体や撮像対象を損傷しないように摩擦抵抗の低い材質を利用して支持手段を形成したりする、というようにその目的に応じて支持手段の材料を決定することが望ましい。また、支持手段が車輪やキャタピラの場合も、通常使用時の使用感を損ねることのないよう一部が筐体内部に収納されている、などの構成であることが望ましい。
【0041】
<実施例5の効果の簡単な説明> 以上のように、本実施例の電子機器により、例えば筐体と撮像対象との接触部分を面から点である支持手段に換えることができるので、筐体の移動などで生じる筐体および撮像対象双方の損傷を防ぐことができる。また、支持手段の材質や形状などを目的に応じて選択することで、筐体を撮像対象面上の一点で固定するようにしたり、逆に自由に移動するようにしたりすることもできる。
【0042】
≪実施例6≫ <実施例6の概要> 本実施例の電子機器は、実施例5を基本として、筐体に備えられた支持手段に車輪などのローラー機能がついていることを特徴とする。それにより、例えば筐体を撮像対象面上で自由に動かすことができるようになる。あるいはその車輪の向きが固定されていれば、例えば印刷された文字列を接写する場合など印刷の向きに合わせて一直線に(一方向に固定して)動かしながら接写を行うことも可能になる。
【0043】
<実施例6の構成例> 図9(a)に示すのは、本実施例の電子機器の一例を表す概略図である。この図にあるように、本実施例の電子機器は、撮像レンズ収納凹部内に撮像レンズ(0901)を備える。そして、特徴点は「支持手段」(0902、0903)にローラー機能を有している点である。「ローラー機能」は、支持手段の一部または全部が回転することで筐体の移動を容易にする機能をいい、例えば図9に示すような車輪などが挙げられる。図9(b)に示すのは、このローラー機能によって撮像対象面上を筐体が移動する様子の一例を表した図である。例えば車輪を有する支持手段が360度稼動可能に筐体に接続されていれば、この図にあるように、筐体を撮像対象面上に載置したまま自由に移動させて接写を行うことができる。また、ローラー機能を実現するための別の一例として、図10(a)に示すようなキャタピラ(1002)が挙げられる。このように車輪の回転方向が一方向に規定されるキャタピラであれば、図10(b)に示すように、電子機器を一方向に直線的に移動させることができる。したがって、前述のように印刷された文字列などを連続して接写する場合などに、移動による被写体と撮像レンズとのずれを気にすることなしに連続して撮像することができる。もちろんローラー機能が図9に示すような車輪である場合も、支持手段と筐体との接続部分を稼動不可能に固定し、車輪の向きを一方向にそろえることでキャタピラなどと同様の効果を奏することも可能である。
【0044】
<実施例6の効果の簡単な説明> 以上のように、本実施例の電子機器によって、筐体を撮像対象面上で自由に動かすことができるようになる。あるいは、例えば印刷された文字列を接写する場合など、その印刷の向きに合わせて一直線に動かしながら一文字ずつ接写を行う、なども可能になる。
【0045】
≪実施例7≫ <実施例7の概要> 本実施例の電子機器は、実施例5に記載の電子機器の支持手段が、実施例4に記載の接触検出部の機能を有している点を特徴とする。この特徴について具体例を挙げて説明すると、例えば支持手段である4本の足が感圧センサの機能も備えている、という具合に、支持手段が接触検出部を兼用する構成となっている、ということである。このように、支持手段と接触検出部が兼用となる構成であるため、電子機器の構成部品数を減らすことができ、電子機器の小型化、軽量化を図ることが可能になる。
【0046】
<実施例7の構成例> 図11(a)および(b)に示すのは、支持手段と接触検出部の機能を兼務する本実施例の電子機器における構成の一例について説明するための概略図であり、具体的にはこの図の電子機器は、図9で説明したような支持手段を表している。この図にあるように、支持手段の車輪(1101)は、弾性を有するバネ(1102)などにより筐体内の支持部材(1105)と連接されている。また、車輪の受軸には支持部材との接触により通電する接点スイッチ(1106)が備え付けられている。すなわち、支持部材の一部を構成するこの接点スイッチが接触検出部となる。具体的には、図11(a)に示すように、車輪と撮像対象とが接触していない通常時には、バネの弾性によって接点スイッチと支持部材とは離れており、したがって、接触検出部は筐体と撮像対象との接触を検出しない。一方、図11(b)に示すように、車輪と撮像対象とが接触している接写時には、筐体の重さでバネが縮み接点スイッチと支持部材とが接触する。したがって、通電が起こり接触検出部はその通電をもって筐体と撮像対象との接触を検出する、という具合である。なお、この支持手段兼接触検出部の構成は上記車輪と接点スイッチによる実施例のみならず、例えば短い足状の支持手段の底面に感圧センサが備えられているなどの構成でも構わない。
【0047】
また、上記図11で示すような構成において、車輪(1101)と筐体(1103)との接触部分(1104)を例えば摩擦抵抗の高い部材で構成することなどで、ロック機能付きの支持手段兼接触検出部を構成することができる。つまり図11(a)に示すように、筐体と撮像対象の非接触時には、車輪(1101)は接触部分(1104)の摩擦抵抗により回転が阻害され、図11(b)に示すように筐体と撮像対象の接触し、車輪と筐体の接触部分とが離れた場合に車輪の回転を可能とすることができる、という具合である。
【0048】
<実施例7の構成の簡単な説明> 以上のように、本実施例の電子機器によって支持手段と接触検出部を兼用として、電子機器の構成部品数を減らすことができ電子機器の小型化、軽量化を図ることが可能になる。
【0049】
≪実施例8≫ <実施例8の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1から7のいずれかに記載の電子機器を基本として、接写によって取得した画像を保持する機能を備えていることを特徴とする。このように画像を保持することで、例えば接写による複数枚の画像を組み合わせて一つの画像として処理する、などが可能になる。このような組み合わせ処理は、例えば上記実施例6のローラー付電子機器などによって筐体を滑らせて連続して複数回接写を行った場合などに行われると良い。
【0050】
<実施例8の構成> 図12に示すのは、本実施例の電子機器における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例における「電子機器」(1200)は、例えば実施例1を基本として「撮像レンズ」(1201)を有している。なお、この機能ブロック図での図示は省略したが撮像レンズが収納されている「撮像レンズ収納凹部」および「筐体」も本実施例の構成要件である。そして、本実施例の電子機器の特徴点は、さらに「画像保持部」(1202)を有する点である。
【0051】
「画像保持部」(1202)は、接写によって取得した画像を保持する機能を有し、例えば、磁気記録ドライブ、不揮発性メモリ、光学記録メディア、あるいは磁気記録メディアなど、電子機器内部または外部の記録媒体の所定アドレスに画像を表示するためのデータが保持されることによって実現される。また、記録媒体などでの画像保持においては、その撮像順番を示す情報と関連付けて画像が保持されても良い。このように画像がその撮像順番と関連付けられることで、例えば実施例6のようにローラーなどで筐体を滑らせることで、横長のバーコードや文字列などを連続して接写した場合など、保持している画像をその撮像順番に応じて並べて合成し、一つのバーコードや文字列などとして処理することが可能になる。したがって、広範囲を対象とした撮像が困難であるという接写の欠点を解消することができる。
【0052】
<実施例8の効果の簡単な説明> 以上のように本実施例の電子機器によって画像を保持することで、接写によって取得した複数枚の画像を合成し一つの画像として処理することなどが可能になる。したがって、広範囲を対象とした撮像が困難であるという接写の欠点を解消することができる。
【0053】
≪実施例9≫ <実施例9の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1から8のいずれかに記載の電子機器を基本とし、接写により撮像した画像をパターン認識する機能を備えている点を特徴とする。そしてその画像のパターン認識により例えば接写対象が電子透かしなどの所定コードを含む画像であるとパターン認識すれば、撮像した画像を解析部にて解析し電子透かしの認証処理などを行うよう電子機器を自動制御する、などの処理を行う。あるいは、接写した画像がパターン認識で所定の文字列と認識された場合には、その文字列画像をテキスト情報に変換する処理などを行うことができる。また、実施例8で説明した画像保持部を備えていれば、パターン認識されるべき一文字の画像が大きすぎて分割して接写された場合など、その画像を組み合わせて一文字としてパターン認識させることも可能になる。あるいは、例えば「h」、「t」、「t」、「p」、といった具合の一文字ずつの画像を組み合わせて、「http」という文字列を含む画像としてパターン認識を行い、その「http」という文字列をテキストとして抽出することも可能になる。
【0054】
<実施例9の構成例> 図13に示すのは、本実施例の電子機器における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例における「電子機器」(1300)は、例えば実施例1を基本として「撮像レンズ」(1301)を有している。なお、この機能ブロック図での図示は省略したが撮像レンズが収納されている「撮像レンズ収納凹部」および「筐体」も本実施例の構成要件である。また、実施例8を基本として「画像保持部」を有していても良い。そして、本実施例の電子機器の特徴点は、さらに「パターンデータ保持部」(1302)と、「パターン認識部」(1303)を有する点である。
【0055】
「パターンデータ保持部」(1302)は、パターン認識に利用するパターンデータを保持する機能を有し、例えば磁気記録ドライブ、不揮発性メモリ、光学記録メディア、あるいは磁気記録メディアなどの記録媒体の所定アドレスにそれぞれのパターンデータが記憶されていることによって実現される。「パターンデータ」は、例えば、ひらがな、カタカナ、常用漢字をはじめとする漢字、アルファベット、数字、記号、絵文字、またはバーコードの配列や二次元コードなどの典型的なパターン、を示す情報などが挙げられる。
【0056】
「パターン認識部」(1303)は、撮像レンズにより接写された画像をパターンデータ保持部(1302)に保持されているパターンデータに基づいてパターン認識する機能を有する。このパターン認識部でのパターン認識処理は、例えばメモリ上の所定領域に画像を示す情報とパターンデータとを示す情報とがそれぞれ格納される。そして、パターンマッチング用のプログラムがメモリ上に展開され順次CPUにより実行されることで、上記メモリに格納された画像とパターンデータとのマッチング処理が行われる方法が挙げられる。
【0057】
このマッチング処理によるパターン認識処理の一例は、例えば以下のようにして行われる。まず、接写により取得され、記憶装置の所定のアドレスに保持されている画像情報に対してパターン認識処理を行うため、該画像情報をメモリ上の所定のデータ領域に格納する。そのために該当アドレスを指定する命令がアドレスバスを介して送出され、その指定に基づき記憶装置の該当アドレスに保持されている画像情報がデータバスを介してメモリ上に格納される。また、同じくパターンデータを保持している記憶装置の所定アドレスを指定する命令も送出され、パターンデータもデータバスを介し記憶装置の所定アドレスからメモリ上の所定のデータ領域に格納される。つづいて、画像データを構成する画像情報とパターンデータを構成する画像情報とを比較するためのマッチングプログラムがメモリ上に読み出される。そのためにマッチングプログラムが保持されている記憶装置内のアドレスを指定する情報がアドレスバスを介し送出され、それに基づいて記憶装置の所定アドレスに保持されているマッチングプログラムが、データバスを介しメモリ上のワークエリアに展開される。そして展開されたプログラムに含まれる画像のマッチング処理のための各種命令、例えば画素やブロックごとの色情報など画像構成データを取得するための命令や、取得した各画素やブロックの画像構成データの比較を行うための論理演算命令など、がCPUの命令デコーダにより順次解釈され実行される。そしてその演算結果により、例えばパターン認識の結果を示す情報をディスプレイに表示するために関連機器を制御する命令などがデータバスを介し送出され、ディスプレイ表示処理などが実現される。なお、上記パターン認識処理におけるマッチング処理やその他必要な処理における具体的な技術は、従来知られているOCR(光学式文字読取装置)などに採用されている技術を利用すると良い。
【0058】
<実施例9の効果の簡単な説明> このように、接写された画像をパターン認識することで、例えば電子透かし画像と認識されれば、該画像を解析し電子透かしの認証処理などを自動的に行う、といった構成をとることが可能になる。また、例えば画像が文字だと認識されれば、その画像をテキスト情報に変換する処理を行うこともできる。
【0059】
≪実施例10≫ <実施例10の概要> 本実施例の電子機器は、実施例9の電子機器を基本として、さらに辞書部と検索部を有している。そして、その辞書部に保持されているテキスト情報に基づく検索部での検索により、例えばパターン認識によってテキスト情報に変換された文字列に対して正誤判定処理や訂正処理、あるいは他言語への翻訳処理など行うことができる点を特徴とする。
【0060】
<実施例10の構成例> 図14に示すのは、本実施例の電子機器における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「電子機器」(1400)は、例えば実施例9を基本として、「撮像レンズ」(1401)と、「パターンデータ保持部」(1402)と、「パターン認識部」(1403)を有している。もちろん図示は省略したが、本実施例でも撮像レンズが収納されている「撮像レンズ収納凹部」および「筐体」もその構成要件である。また、実施例8を基本として「画像保持部」を有していても良い。なお、これら「撮像レンズ」、「パターンデータ保持部」、「パターン認識部」や、「撮像レンズ収納凹部」、「筐体」、「画像保持部」はすでに先の実施例にて説明済みであるので、その詳細な説明は省略する。そして、本実施例の電子機器の特徴点は、さらに「辞書部」(1404)と、「検索部」(1405)と、を有する点である。
【0061】
「辞書部」(1404)は、テキストデータを保持し、例えば単語辞書、熟語辞書、専門用語辞典、ことわざなどの定型文辞書、英和辞典、和英辞典、英々辞典などの外国語辞書、などに相当するテキストデータを保持していると良い。また、辞書部に「http」や「@」といった特定の用語が登録され、それに応じてWebブラウザやメールクライアントソフトが関連付けてられて保持されていても良い。それにより、後述する検索結果に基づいて関連づけられたWebブラウザやメールクライアントソフトなどを自動起動する処理を行うなどの構成をとることもできる。また、辞書部は上記テキストデータを、例えば磁気記録ドライブ、不揮発性メモリ、光学記録メディア、あるいは磁気記録メディアなどの記録媒体の所定記憶領域にそれぞれ保持することで実現されると良い。
【0062】
「検索部」(1405)は、パターン認識部(1403)にて認識されたパターンをキーとして辞書部を検索する機能を有する。具体的には、例えばメモリ上の所定領域に上記認識されたパターンを変換したテキスト情報などを格納する。またメモリ上のワークエリアに検索用のプログラムが展開され、順次CPUにより実行される。そしてCPUの論理演算処理によりテキスト情報とに単語辞書に格納されている単語とのマッチング処理が行われることで実現する方法が挙げられる。
【0063】
また、この検索部の検索結果から、例えばパターン認識部でパターン認識され変換されたテキスト情報の正誤判定を行っても良い。具体的には、例えば画像保持部で保持された画像が合成され、その合成画像に含まれる文字列の画像がパターン認識により認識され変換されテキスト情報化される。そしてそのテキストと、辞書部に保持されているテキストとのマッチング処理の結果、全く同じテキストが辞書部にあれば正しいと判断する。しかし、全く同じテキストが辞書部にはなく1文字や2文字違いのテキストがある場合、画像に含まれる文字列のパターン認識に誤りがあった可能性がある旨の警告を出力したり、そのパターン認識の結果である誤っていると思われるテキストを、語句として正しいと思われる辞書部のテキストに置き換えたりする、などの処理を行うという具合である。あるいは、上記パターン認識によるテキストの正誤判定処理以外に、検索部の検索結果から他言語への翻訳処理を行っても良い。具体的には、パターン認識によって画像から「I am Bob」という文字列が抽出された場合、これら単語をキーとして辞書部に保持されている英単語のテキストデータが検索される。そしてその検索結果から辞書部の英和辞典に相当するテキストデータから各英単語の日本語での意味が取得され、「私はボブです」という日本語文字列への翻訳処理が行われる、と言う具合である。あるいはその他の処理として、検索結果として特定の文字列が認識されれば、その文字列に対応したアプリケーションの起動などの処理を行っても良い。具体的にはパターン認識により認識され変換されたテキストをキーとして辞書部を検索した結果「http」や「@」という文字列がマッチングした場合、その「http」や「@」を含む文字列で示されるアドレスを予め含む状態でWebブラウザやメールクライアントソフトを自動的に起動させるなどの処理を行う、という具合である。
【0064】
また、本実施例の電子機器は、図示していないがさらにパターンデータ更新部を有していても良い。「パターンデータ更新部」は、検索部(1405)での検索結果に基づいてパターンデータ保持部(1402)を更新する機能を有する。このパターンデータ更新部は、例えば、バッファメモリに格納されている検索結果を示す情報に基づいて、更新用プログラムの処理により、更新対象として不揮発性メモリなどの該当する記憶部分に対し上書き更新を行うことなどにより実現される。このパターンデータの更新の一例としては、例えば画像からパターン認識により抽出されたテキストデータ「ら」が、上記正誤判定処理により「ち」であると判定された場合など、そのパターンデータに関連付けられているテキスト情報を「ら」から「ち」に更新する、あるいは「ら、又は、ち」に更新する、という具合である。このようにパターンデータ保持部に保持されているパターンデータを、検索部の検索結果に応じてフィードバックを行い更新することで、パターン認識部でのパターン認識の精度を上げるという学習効果を奏することができる。
【0065】
<実施例10の効果の簡単な説明> パターン認識してテキスト情報に変換された文字列の正誤判定処理や訂正処理、他言語への翻訳処理、あるいは、文字列に関連するアプリケーションの起動処理、などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1の電子機器の、利用形態の一例を説明するための概略図
【図2】従来のカメラ付電子機器によるマクロ撮影の一例を説明するための概略図
【図3】実施例1の電子機器における構成の一例を説明するための概略図
【図4】実施例2の電子機器における撮像レンズ収納凹部および撮像レンズの一例を表す概略図
【図5】実施例3の電子機器における撮像レンズ収納凹部および撮像レンズの一例を表す概略図
【図6】実施例4の電子機器における機能ブロックの一例を表す図
【図7】実施例4の電子機器における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図8】実施例5の電子機器の一例を表す概略図
【図9】実施例6の電子機器の一例、およびその電子機器の移動の様子の一例を表す概略図
【図10】実施例6の電子機器の別の一例、およびその電子機器の移動の様子の一例を表す概略図
【図11】実施例7の電子機器の、支持手段と接触検出部の機能を兼務する構成の一例について説明するための概略図
【図12】実施例8の電子機器における機能ブロックの一例を表す図
【図13】実施例9の電子機器における機能ブロックの一例を表す図
【図14】実施例10の電子機器における機能ブロックの一例を表す図
【図15】実施例1の電子機器における撮像レンズ収納凹部の形状について類型の一例を示す図
【符号の説明】
【0067】
0100 撮像対象
0101 撮像対象と接触する側の筐体
0102 撮像対象に接触しない側の筐体
0103 撮像レンズ
0104 撮像レンズ収納凹部
0105 液晶画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像レンズを備える筐体を、その撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させ、撮像するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話など常時携行する電子機器にカメラ機能が付加され普及したことにより、どこでも気軽に撮像することが可能となった。また、それによって、従来の記念、記録的な撮像のみならず、日常の中での撮像行為が一般的に行われるようになってきた。そのような撮像環境の変化に応じて、現在、例えば広告ポスターや雑誌などにバーコードや二次元コードを印刷し、それを携帯電話のカメラ機能で撮像させることでコードに含まれる情報を携帯電話に読み取らせ、ユーザーにさまざまな情報を提供する、といったサービスも実施されている。そして、上記二次元コードなどの撮像においては、通常、カメラのレンズを撮像対象に可能な限り近づけて撮像するという、いわゆるマクロ撮影による撮像が行われる。ところが、このマクロ撮影の場合、ユーザーは通常携帯電話などの筐体を中空において手で持ち撮像するため、撮像対象とカメラとの距離を一定に保つのが困難でピントが合わせづらかったり、手ぶれが発生してきれいに撮像できなかったりする可能性がある。そのため、コードに含まれる情報をうまく読み取ることができない、という問題も起きている。
【0003】
そこで特許文献1において、第1の筐体と第2の筐体とが折りたたみ可能に連結された折りたたみ式カメラ付携帯機器に関して、撮像レンズを有さない第2の筐体を撮像対象上に載置し、その撮像対象に焦点が合うように第1の筐体に備えられたカメラでマクロ撮影する、という技術が開示されている。このように筐体が、従来のように中空に手で保持されるのではなく撮像対象のある平面上に安定的に載置されることで、撮像対象とカメラとの距離を一定に保ち、手ぶれの発生を抑えて撮像することが可能になっている。
【特許文献1】特開2004−153407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記特許文献1に開示されている従来技術は、折りたたみ式の携帯機器におけるマクロ撮影の技術であって、例えばストレートタイプやフリップタイプの携帯機器での実施が困難である、という課題がある。なぜならば、図2の(a)に示すように従来技術の折りたたみ式の携帯機器は、その構造上、第2の筐体(0202a)を撮像対象のある平面上に載置しても第1の筐体(0203a)に撮像レンズ(0201a)を撮像対象から一定の距離に保つことが可能である。しかしストレートタイプなどでは、その構造上、筐体を撮像対象上に載置した場合に撮像レンズが撮像対象と距離を保つことができずに接触してしまう。そのため、たとえ焦点距離が極端に短いマクロ撮影用の撮像レンズを利用してもピントが合わせにくくなるからである。
【0005】
また、同じ折りたたみ式でも、ダイヤルボタンなどが配置されている側の筐体に撮像レンズが備えられている場合には、やはり同様に実施が困難である、という課題がある。なぜならば、図2の(b)に示すように安定した載置のために適度に重量のあるダイヤルボタン側の筐体(0202b)を接触面とすると、ストレートタイプなどと同様に撮像レンズ(0201b)が撮像対象と接触してしまい、やはりピントが合わせにくくなるからである。また、逆に液晶画面などが配置されている側の筐体を接触面とすると、第一の筐体と第二の筐体の重量差や、ヒンジ部の構造、あるいは接触されることを本来想定していない液晶画面側の筐体のデザインなどを理由として安定した接触をすることが困難である可能性が高いからである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明は、撮像レンズを有する筐体が撮像対象に載置され接触する場合でも、撮像レンズと撮像対象との間の距離が撮像可能な距離に保たれるように構成された電子機器を提供する。なお撮像レンズと撮像対象との間の距離を撮像可能な距離に保つため、例えば携帯機器の筐体の四隅に所定長の足を取り付ける、など、接写時以外の通常使用時の使用感を損ねるような構成を本発明の電子機器はとらない。本発明の電子機器は、具体的には、接写可能な撮像レンズと、撮像レンズを収納する撮像レンズ収納凹部と、撮像レンズ収納凹部を有する筐体と、からなる電子機器であって、撮像レンズ収納凹部は、筐体を、撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させた際に、撮像レンズと、撮像対象との間が接写可能距離であるように撮像レンズを収納する電子機器である。なお、「接写」とは電子機器の筐体を撮像対象に接触させて行うマクロ撮影をいう。また本発明の電子機器は、上記のようなバーコードや二次元コードなどの撮像のみならず、例えば通常の被写体に対する接写や文字のスキャニングのための接写などにおいても同様の効果を奏しうることは言うまでもない。
【0007】
また、さらに本発明は、第二に、上記発明を基本として、前記撮像レンズ収納凹部が、撮像レンズを撮像レンズ収納凹部内にて移動することを可能とする移動手段を有する電子機器を提供する。これによって、さらに接写時のピントを正確に合わせることが可能になる。また、さらに本発明は、第三に、撮像レンズ収納凹部に、凹部内を照明するための照明手段を有している電子機器を提供する。これによって、撮像レンズを備える筐体と撮像対象が接触することによる自然光の入光量の減少を補うことができる。また、さらに本発明は、第四に、筐体の前記接触を検出する接触検出部と、接触検出部が前記接触を検出した場合には接写のための準備処理をする準備処理部と、を有する電子機器を提供する。これにより、ユーザーが意識して特段の操作を行わなくても、自動的に接写状態を検出し電子機器を接写に好適な状態にすることなどが可能になる。また、さらに本発明は、第五に、筐体が前記撮像対象と接触する部分に、筐体自身を支持する支持手段を有する電子機器を提供する。これにより撮像対象と筐体とが載置面ではなく、支持点で接触することになるので、載置した状態で電子機器を動かすことなどによって撮像対象や電子機器に加わる負荷を軽減することができる。また、さらに本発明は、第六に、前記支持手段が、ローラー機能を有する電子機器を提供する。これにより電子機器を載置したまま容易に動かすことが可能となり、接写にもかかわらず広範囲の撮像を行うこと容易に可能となる。あるいはローラーの回転方向を一定方向とすることで、文字列の読取など一定方向への直線的な移動による連続接写などを容易に可能とする。また、さらに本発明は、第七に、前記支持手段が、前記接触検出部と兼用されている電子機器を提供する。これにより、上記第四および第五の発明双方の効果を有しつつ、構成部品を減らし、より簡単に実施可能とした電子機器を提供することができる。また、さらに本発明は、第八に、接写によって取得した画像を保持する画像保持部を有する電子機器を提供する。これにより、例えば連続して撮像した複数の画像を組み合わせて一つの画像として処理することが可能になり、広範囲の撮像が困難であるという接写における欠点を解消することができる。また、さらに本発明は、第九に、パターン認識に利用するパターンデータを保持するパターンデータ保持部と、撮像レンズにより接写された画像をパターンデータに基づいてパターン認識するためのパターン認識部と、を有する電子機器を提供する。これにより、接写で撮像された画像情報を、パターン認識の技術を利用してテキスト情報やその他の形式の情報に変換することが可能になる。またさらに本発明は、第十に、辞書部と、パターン認識部にて認識されたパターンをキーとして辞書部を検索する検索部と、を有する電子機器を提供する。これによりパターン認識された例えば文字列を辞書部の単語と照合して、そのパターン認識の結果の正誤判定などを行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
以上のような構成をとる本発明の電子機器によって、マクロ撮像のために撮像レンズを有する筐体が撮像対象に接触、載置される場合でも、撮像レンズと撮像対象との間の距離を撮像可能な距離に保ち撮像することが可能になる。
【0009】
また、第二の本発明によって、さらに接写時のピントを正確に合わせることが可能になる。また、第三の本発明によって、撮像レンズを備える筐体と撮像対象が接触することによる自然光の入光量の減少を補うことができる。また、第四の本発明によって、ユーザーが意識して特段の操作を行わなくても、自動的に電子機器を接写に好適な状態にすることが可能になる。また、第五の本発明によって、載置した状態で電子機器を動かすことなどによって撮像対象や電子機器に加わる負荷を軽減することができる。また、第六の本発明によって電子機器を載置したまま容易に動かすことが可能となり、接写にもかかわらず広範囲の撮像を行うこと容易に可能となる。また、第七の本発明によって、上記第四および第五の発明双方の効果を有しつつ、構成部品を減らし、より簡単に実施可能とした電子機器を提供することができる。また第八の発明によって、接写で例えば連続して撮像した画像を組み合わせることが可能となり、広範囲の撮像が困難であるという接写の欠点を解消することができる。また、第九の発明によって、接写で撮像された画像情報を、パターン認識の技術を利用してテキスト情報やその他の形式の情報に変換することが可能になる。また、第十の本発明によって、パターン認識された例えば文字列を辞書部の単語と照合して、そのパターン認識の結果の正誤判定などを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。なお、実施例1は、主に請求項1について説明する。また、実施例2は、主に請求項2について説明する。また、実施例3では、主に請求項3について説明する。また、実施例4は、主に請求項4,11,12について説明する。また、実施例5は、主に請求項5について説明する。また、実施例6では、主に請求項6について説明する。また、実施例7では、主に請求項7について説明する。また、実施例8は、主に請求項8について説明する。また、実施例9は、主に請求項9について説明する。また、実施例10は、主に請求項10について説明する。
【0011】
≪実施例1≫ <実施例1の概要> まず、図2を用いて従来のカメラ付の電子機器(ここでは携帯電話を例にとる。)におけるマクロ撮影について再度説明し、それとの比較により接写を可能とする本実施例の電子機器の特徴の概要を、図1を用いて説明する。図2に示すのは、従来のカメラ付電子機器によるマクロ撮影の一例を説明するための図である。この図2(a)にあるように、従来の電子機器の一例は、第1の筐体(0203a)と第2の筐体(0202a)とがヒンジ部により接続され、第1の筐体に撮像用レンズ(0201a)が備えられている折たたみ可能な携帯電話である。ここで第2の筐体は通常ダイヤルボタンが備えられた側であり、折りたたんだ際には下になって載置されることを前提としているため、図に示すような状態でも安定して載置することが可能である。したがって、この状態での撮影は手で中空に保持されるマクロ撮影に比べて手ぶれなどの発生を抑えることができる。また、この状態のとき第1の筐体に備えられた撮像レンズは、図中破線矢印で示すように撮像対象から所定の距離を保って位置することが可能であり、したがって一度合ったピントをずらすことなく固定したまま撮像することができる。
【0012】
一方、図2(b)に示すように、撮像レンズ(0201b)が、第2の筐体(0202b)に備えられている場合、安定した載置のため適度な重量のある第2の筐体を下にして載置すると、撮像レンズが撮像対象と接触してしまい、焦点距離や入光量の関係から撮像対象をうまく撮像することができない。また、液晶画面などを備える第1の筐体(0203b)を下にして載置する場合、その第1の筐体は本来下にして載置されることを前提としていないので、そのデザイン、形状やヒンジ部の構造などから安定して載置することが困難である。
【0013】
そこで上記のような従来の電子機器における不都合を解消するために、本実施例の電子機器は、安定載置可能な側の筐体に撮像レンズが備えられている場合でも撮像レンズと撮像対象とが接触せずにその距離を一定に保ち、またある程度の入光量も確保することのできる構成をとる。
【0014】
図1に示すのは、本実施例の電子機器の、利用形態の一例を説明するための概略図である。この図にあるように、本実施例の電子機器は、撮像対象(0100)上に載置される筐体(0101)に撮像レンズ(0103)が備えられている。しかし、撮像レンズはこの筐体に設けられた破線で示す凹状の空間(0104)のくぼみ底部に具備されているため撮像対象と接触することがない。そして撮像レンズが撮像対象と接触していないので、この凹状空間に光を導入すれば撮像に必要な入光量を得ることも可能である。したがって、本実施例の電子機器は、この撮像レンズを通し撮像対象を撮像素子上に結像させることができる。そしてその像が撮像対象と接触しない側の筐体(0102)に配された液晶画面(0105)上に表示され、ユーザーはその液晶画面で撮像対象を確認しながら希望の撮像対象を撮像することができる。
【0015】
<実施例1の構成例> 図3に示すのは、本実施例の電子機器における構成の一例を説明するための概略図である。この図にあるように、本実施例の「電子機器」(0300)は、「撮像レンズ」(0302)と、「撮像レンズ収納凹部」(0303)と、「筐体」(0303)と、を有する。
【0016】
「撮像レンズ」(0301)は、接写可能なレンズである。この撮像レンズは、例えば従来のマクロ撮影に使用されるような焦点距離の短いレンズであっても構わないし、近接した撮像対象でもボケなく結像させることが可能な被写界深度が深いレンズであっても良い。また、撮像レンズは複数枚のレンズ群からなっていても良いし、また通常撮影時と接写時でその複数のレンズの組み合わせを変化させる構成であっても良い。
【0017】
「撮像レンズ収納凹部」(0302)は、撮像レンズを収納する部位である。そしてこの撮像レンズ収納凹部の一例は、図3の0302に示す部分を拡大した破線円内に示すように、後述する筐体(0303)の一部に設けられた凹状の窪み空間などである。そして図にあるように筐体の凹状くぼみ空間の底部に撮像レンズが具備されているため、筐体が撮像対象と接触した場合でも撮像レンズが撮像対象と接触することがなく、撮像可能な距離(0304)を保つことができる。また、撮像レンズが撮像対象と接触していないので、入光窓(図示せず)などでこの凹状空間に光を導入すれば撮像に必要な入光量を従来のようにレンズ筒に遮られること無く撮像対象に当てることも可能となる。この構成例のように撮像レンズ収納凹部は、後述する筐体を、撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させた際に、撮像レンズと、撮像対象との間が接写可能距離であるように撮像レンズを収納することを特徴としている。
【0018】
なお、この撮像レンズ収納凹部は、撮像レンズを固定して収納していても良いし、あるいは後述するように、撮像レンズを、筐体内や自身の内部を移動可能に収納していても良い。また撮像レンズ収納凹部は、前述のような筐体の一部が凹むことで、その底部に開口部を有するような形状である必要はない。図15に、この撮像レンズ収納凹部の形状について類型の一例を示す。この図15の(1)にあるように、撮像レンズ収納凹部の形状として、例えば通常使用時はその開口部付近に撮像レンズが位置しており、開口部が塞がっている形状が挙げられる。もちろん接写時には撮像レンズ収納凹部奥へと撮像レンズが移動し、撮像対象を撮像可能な距離に位置する構成である。また、その他にも、図15の(2)や(3)に示すように、撮像レンズ収納凹部の開口部に当たる場所にガラス板などの透明板が備えられ塞がれていても良い。このような構成であれば撮像レンズが傷ついたり汚れたりするのを防ぐことができる。あるいは、図15の(4)に示すように、撮像レンズ収納凹部が筐体の長手方向に収納する凹部を有し、開口部に鏡などを備える構成であっても良い。このような構成であれば、筐体の厚みを増すことなく撮像レンズの移動範囲を広げることができる。またそれにより柔軟なピント合わせやレンズの種類、形状の選択を行うことが可能になる。
【0019】
「筐体」(0303)は、撮像レンズ収納凹部を有する電子機器の外郭部材を形成するケースである。なお、筐体がこの撮像レンズ収納凹部を有する場所に関して特段の限定は行わないが、本発明の利用形態やその目的上、電子機器の接触面となる部位に有していることが望ましい。なお前記の図では、撮像レンズ収納凹部を有する筐体は折りたたみ式の電子機器に用いられる筐体であるが、もちろんそれには限られず、ストレートタイプの電子機器に用いられる筐体など、その他の形状の電子機器に用いられる筐体であっても同様の効果を奏しうることは言うまでもない。
【0020】
このように筐体の接触面となる部位の撮像レンズ収納凹部が、撮像レンズを接写可能距離であるように収納することで、本実施例の電子機器は、筐体を、撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させた際でも、問題なく撮像することができる。また凹状の窪みに光を導入することで撮像に必要な入光量を確保することもできる。
【0021】
<実施例1の効果の簡単な説明> 以上のように本実施例の電子機器によって、筐体を、撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させた際でも、撮像レンズと撮像対象との間の距離を接写可能に保たれるので問題なく撮像することができる。また撮像レンズ収納凹部に光を導入することで撮像に必要な入光量を確保することもできる。したがって、ピントのずれや手ぶれを起こしたりすること無く、接写による撮像を問題なく行うことが可能になる。
【0022】
≪実施例2≫ <実施例2の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1を基本として、撮像レンズ収納凹部に収納されている撮像レンズが撮像レンズ収納凹部内にて移動する点を特徴としている。このように撮像レンズが撮像レンズ収納凹部内で移動することで、接写をする際に、例えばズーム処理やピントの合わせ処理などを行うことが可能になる。
【0023】
<実施例2の構成例> 図4に示すのは、本実施例の電子機器における撮像レンズ収納凹部および撮像レンズの一例を表す概略図である。この図を用いて、本実施例の電子機器における構成の一例について説明する。図4(a)にあるように、本実施例の電子機器は、撮像レンズ(0401a)を撮像レンズ収納凹部内にて、例えば上下に移動する「移動手段」を有する構成になっている。このように撮像レンズが撮像対象に対して上下などに移動することで、よりピントの合った位置で撮像することが可能になる。なお、この移動手段は、例えばステッピングモータやピエゾモータなどを利用した従来のオートフォーカス機構と同様の機構による移動や、あるいはボイスコイルモータなどのリニアモータなどを利用した機構による移動などが挙げられる。あるいは撮像レンズに設けられたつまみを利用者が上下左右に動かすことで連動した撮像レンズを移動させる機構によりこの移動を実現しても良い。
【0024】
なおこの撮像レンズのデフォルト(通常撮影時)の位置は、上記例のように撮像レンズ収納凹部の奥部分のみならず、例えば前述の図15を用いて説明したように通常撮影時には撮像レンズが凹部入り口をふさぐ状態に位置し、接写撮影時に撮像レンズ収納凹部の奥方向に移動する、といった具合の様々な位置取りであって構わない。また、本実施例における撮像レンズの移動方向も、上下のみならず図15を用いて説明したような左右方向の移動など様々であって構わない。
【0025】
あるいは図4(b)に示すように、通常撮影時には撮像レンズ収納凹部以外の筐体内の別の場所(0402b)に位置しており、接写時に撮像レンズが撮像レンズ収納凹部内の(0402b´)で示される位置に移動する構成であっても良い。このように、複数のレンズ群で接写用のピント合わせを行う場合、それぞれが接写に適した所定の位置に移動する構成となる。もちろん、この場合の「移動手段」も、前記各種モータなどによる電気的な移動方法や利用者による手動の移動方法など様々な方法でその機能が実現されて良い。
【0026】
<実施例2の効果の簡単な説明> 以上のように、本実施例の電子機器によって撮像レンズが撮像レンズ収納凹部内を移動することで、接写時に例えばピント合わせを行ったり、ズームによる倍率変更を行ったりすることができる。したがって、その撮像画像の品質を向上させることができる。
【0027】
≪実施例3≫ <実施例3の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1や実施例2の電子機器を基本として、撮像レンズ収納凹部内を照明するための例えばライトやフラッシュなどを備えている点を特徴としている。本発明の電子機器は、安定的に撮像対象上に載置することを目的としているため、撮像レンズを備える撮像レンズ収納凹部の周囲は開放されているよりも筐体などで取り囲まれているほうが都合が良い。そのため必然的に撮像レンズ収納凹部への自然光の入光は制限されてしまい、場合によっては撮像に必要な入光量を得られない可能性もある。そこで、本実施例のように撮像レンズ収納凹部内を照明するためのライトやフラッシュなどが備えられていれば、撮像レンズ収納凹部の周囲に入光口など要す必要がなく、安定的に載置可能にして、さらに撮像に必要な入光量を確保することができる。
【0028】
<実施例3の構成例> 図5に示すのは、本実施例の電子機器における撮像レンズ収納凹部および撮像レンズの一例を表す概略図である。この図を用いて、本実施例の電子機器における構成の一例について説明する。図5にあるように、本実施例の電子機器は、撮像レンズ収納凹部内に、例えばLED(発光ダイオード)などの「照明手段」(0502)を有する構成になっている。「照明手段」(0502)は、凹部内を照明するためのものであり、もちろんLEDには限られない。ただし、撮像用電子機器の近傍を照明するという機能上、撮像画像に影響を与える電気的ノイズの発生源にはならないような照明手段であることが望ましい。
【0029】
従来、接写においてはレンズ筒やマクロ撮像用にレンズの先につけるアタッチメントなどが撮像対象に可能な限り近接するようにして撮像されるため、撮像対象に当たるはずの光がそれらレンズ筒などに遮られてしまうことが多い。したがってフラッシュなどの照明手段を利用しても撮像することが難しかった。しかし、このように、レンズ収納凹部を有し、その凹部に照明手段を備えることで、光が遮られること無く撮像対象を照明することができるようになる。
【0030】
<実施例3の効果の簡単な説明> 以上のように、本実施例の電子機器によって、撮像に必要充分な光量を確保して接写を行うことができる。
【0031】
≪実施例4≫ <実施例4の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1や実施例2、実施例3を基本として、筐体と撮像対象との接触を検出するセンサなどを備えていることを特徴とする。このように接触センサなどを利用して筐体と撮像対象との接触を検出することで、例えば電子機器の撮影モードを自動で接写モードに変更するなどの処理を行うことが可能になる。なお、「筐体と撮像対象との接触」とは、筐体と撮像箇所のみとの接触を示すものではなく、撮像箇所を含む対象面全体と筐体との接触を示す。
【0032】
<実施例4の構成例> 図6に示すのは本実施例の電子機器における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の電子機器の構成は、例えば実施例1を基本として、「撮像レンズ」(0601)と、「撮像レンズ収納凹部」(0602)と、「筐体」(0603)と、を有する。なお、これら「撮像レンズ」、「撮像レンズ収納凹部」、「筐体」に関する説明は、前記実施例にて具体例を挙げて説明済みであるので省略する。そして本実施例の電子機器の特徴点は、「接触検出部」(0604)と、「準備処理部」(0605)と、をさらに有している点である。「接触検出部」(0604)は、筐体と、その筐体の撮像レンズを撮像対象面に向けた状態での撮像対象と、の接触を検出する機能を有する。接触検出部として、例えば接点スイッチ、感圧センサ、あるいは光や音の反射で対象物との距離を測定する測距センサなどが挙げられる。
【0033】
「準備処理部」(0605)は、接触検出部(0604)が前記接触を検出した場合には接写のための準備処理をする機能を有する。「接写のための準備処理」とは、例えば、前述の実施例2あるいは実施例3の「移動手段」や「照明手段」を制御する処理が挙げられる。つまり、筐体と撮像対象が接写可能に接触したことを感圧センサなどで検出した場合、移動手段であるステッピングモータがCPUなどの制御により自動的に駆動し、接写に最適な位置に撮像レンズを移動したり、照明手段であるLEDなどが自動で点灯し撮像レンズ収納凹部内を照明したりする、という具合である。
【0034】
また、その他の準備処理として、例えば、接写の際のプレビュー画面の出力表示において画像情報のガンマ値などを補正する処理を行っても良い。これは撮像レンズ収納凹部内は、前述のとおり自然光の入光が少なくなる傾向が高く、暗くなりがちなプレビュー画面の状態を改善するために行う処理である。あるいは逆に照明手段の光量が多すぎて白とびなどしたプレビュー画面の状態を改善するために画像情報の補正処理を行っても良い。
【0035】
この筐体と撮像対象との接触に応じた接写のための準備処理の一例は、例えば以下のようにして行われる。まず、前記接触によりセンサに発生した出力信号が接触検出部を構成するユニットに受信されると、準備処理のためのプログラムが保持されている記憶装置の所定のアドレスを指定する命令がアドレスバスを介して送出される。その命令に基づいて、該準備処理のためのプログラムがデータバスを介して記憶装置の所定のアドレスからメインメモリ上のワークエリアに読み出され展開される。そしてメモリのワークエリアに展開されたプログラムに含まれる接写の準備処理のための各種命令、例えば撮像レンズの移動手段であるモータの回転数を決定するために必要なデータを、記憶装置の所定のアドレスから所定のデータキャッシュやレジスタ内に取得するための命令、そして取得したデータに基づいて前記モータの回転数決定などの演算を行う命令、またその演算結果に基づくモータ制御を行うための命令など、がCPUの命令デコーダにより順次解釈、実行され、接写の準備処理として移動手段であるモータの駆動制御などが行われる。あるいは照明手段の照明を点灯させるタイミングや照明量を決定するために必要なデータを、記憶装置の所定のアドレスから所定のデータキャッシュやレジスタ内に取得するための取得命令や、取得したデータに基づいて前記タイミングや照明量を決定する演算を行う命令、あるいはその演算結果のタイミングや照明量に基づく関連機器の制御命令など、がCPUの命令デコーダにより順次解釈、実行され、接写の準備処理として照明手段の制御などが行われる。
【0036】
<実施例4の処理の流れ> 図7に示すのは、本実施例の電子機器における処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図にあるように、まず、カメラモードが起動し、撮像待機状態になる(ステップS0701)。続いて、筐体と撮像対象との接触が検出されたか否かの判定が行われる(ステップS0702)。ここで筐体と撮像対象との接触が検出された場合、接写のための準備処理、例えば移動手段の駆動による撮像レンズの移動や照明手段の点灯など、が行われる(ステップS0703)。そして接写撮影が行われる(ステップS0704)。あるいは、前記ステップS0702で筐体と撮像対象との接触が検出されない場合、接写撮影ではない通常撮影であると判定され、通常撮影に適した状態に電子機器が制御され通常撮影が行われる(ステップS0705)。
【0037】
また、前記接触の検出処理はステップS0701のカメラモードの起動前に行われてもよい。その場合、例えば電子機器がカメラ付携帯電話である、など撮像機構のほかに通話機構など別の機構を備えていれば、その通話機構の通話待機状態から撮像機構の接写待機状態へと電子機器の制御モードを変更するなどの処理が行われると良い。
【0038】
<実施例4の効果の簡単な説明> 以上のように本実施例の電子機器によって筐体と撮像対象との接触を検出し、接写に適した状態に電子機器を自動で制御することなどができる。
【0039】
≪実施例5≫ <実施例5の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1ないし4のいずれかを基本として、筐体に例えば4個の足が備えられ、その4個の足で撮像対象と接触することを特徴とする。このように例えば4個の足で筐体と撮像対象とが接触するような構成とすることで、筐体と撮像対象との接触部分を面から点に換えることになる。したがって筐体を撮像対象に接触させたまま移動させた場合などに生じる、筐体および撮像対象双方の損傷の度合いを抑えることができる。なお、この「足」は、上述のとおり、あくまで筐体と撮像対象との接触面積の低減を目的としており、レンズと撮像対象との距離を調節するためのものではない。したがってその足の高さは数ミリメートル程度で、通常使用時の使用感を損ねることのない短さであることが望ましい。
【0040】
<実施例5の構成例> 図8に示すのは、本実施例の電子機器の一例を表す概略図である。この図にあるように、本実施例の電子機器は、撮像レンズ収納凹部内に撮像レンズ(0801)を備える。そして、特徴点として、さらに「支持手段」(0802、0803)を有する。「支持手段」は筐体の撮像対象と接触する部分に備えられ、筐体自身を支持する機能を有する。この支持手段は、図示するような円筒形の足状のものには限定されない。また支持手段の個数も4個などに限定されるものではない。円筒形の足状のもの以外の支持手段としては、例えば接地面が点状になっている逆三角錐形状の支持手段や、後述するように車輪やキャタピラによる支持手段やレールとそのレール用車輪が一体となった支持手段などが挙げられる。またこの支持手段の材質は、プラスチック、金属、ゴムなどさまざまな材料が利用されて構わない。もちろんその場合、筐体を一点に固定し撮像するために摩擦抵抗の高いゴムを利用して支持手段を形成したり、逆に筐体を自由に移動させても筐体や撮像対象を損傷しないように摩擦抵抗の低い材質を利用して支持手段を形成したりする、というようにその目的に応じて支持手段の材料を決定することが望ましい。また、支持手段が車輪やキャタピラの場合も、通常使用時の使用感を損ねることのないよう一部が筐体内部に収納されている、などの構成であることが望ましい。
【0041】
<実施例5の効果の簡単な説明> 以上のように、本実施例の電子機器により、例えば筐体と撮像対象との接触部分を面から点である支持手段に換えることができるので、筐体の移動などで生じる筐体および撮像対象双方の損傷を防ぐことができる。また、支持手段の材質や形状などを目的に応じて選択することで、筐体を撮像対象面上の一点で固定するようにしたり、逆に自由に移動するようにしたりすることもできる。
【0042】
≪実施例6≫ <実施例6の概要> 本実施例の電子機器は、実施例5を基本として、筐体に備えられた支持手段に車輪などのローラー機能がついていることを特徴とする。それにより、例えば筐体を撮像対象面上で自由に動かすことができるようになる。あるいはその車輪の向きが固定されていれば、例えば印刷された文字列を接写する場合など印刷の向きに合わせて一直線に(一方向に固定して)動かしながら接写を行うことも可能になる。
【0043】
<実施例6の構成例> 図9(a)に示すのは、本実施例の電子機器の一例を表す概略図である。この図にあるように、本実施例の電子機器は、撮像レンズ収納凹部内に撮像レンズ(0901)を備える。そして、特徴点は「支持手段」(0902、0903)にローラー機能を有している点である。「ローラー機能」は、支持手段の一部または全部が回転することで筐体の移動を容易にする機能をいい、例えば図9に示すような車輪などが挙げられる。図9(b)に示すのは、このローラー機能によって撮像対象面上を筐体が移動する様子の一例を表した図である。例えば車輪を有する支持手段が360度稼動可能に筐体に接続されていれば、この図にあるように、筐体を撮像対象面上に載置したまま自由に移動させて接写を行うことができる。また、ローラー機能を実現するための別の一例として、図10(a)に示すようなキャタピラ(1002)が挙げられる。このように車輪の回転方向が一方向に規定されるキャタピラであれば、図10(b)に示すように、電子機器を一方向に直線的に移動させることができる。したがって、前述のように印刷された文字列などを連続して接写する場合などに、移動による被写体と撮像レンズとのずれを気にすることなしに連続して撮像することができる。もちろんローラー機能が図9に示すような車輪である場合も、支持手段と筐体との接続部分を稼動不可能に固定し、車輪の向きを一方向にそろえることでキャタピラなどと同様の効果を奏することも可能である。
【0044】
<実施例6の効果の簡単な説明> 以上のように、本実施例の電子機器によって、筐体を撮像対象面上で自由に動かすことができるようになる。あるいは、例えば印刷された文字列を接写する場合など、その印刷の向きに合わせて一直線に動かしながら一文字ずつ接写を行う、なども可能になる。
【0045】
≪実施例7≫ <実施例7の概要> 本実施例の電子機器は、実施例5に記載の電子機器の支持手段が、実施例4に記載の接触検出部の機能を有している点を特徴とする。この特徴について具体例を挙げて説明すると、例えば支持手段である4本の足が感圧センサの機能も備えている、という具合に、支持手段が接触検出部を兼用する構成となっている、ということである。このように、支持手段と接触検出部が兼用となる構成であるため、電子機器の構成部品数を減らすことができ、電子機器の小型化、軽量化を図ることが可能になる。
【0046】
<実施例7の構成例> 図11(a)および(b)に示すのは、支持手段と接触検出部の機能を兼務する本実施例の電子機器における構成の一例について説明するための概略図であり、具体的にはこの図の電子機器は、図9で説明したような支持手段を表している。この図にあるように、支持手段の車輪(1101)は、弾性を有するバネ(1102)などにより筐体内の支持部材(1105)と連接されている。また、車輪の受軸には支持部材との接触により通電する接点スイッチ(1106)が備え付けられている。すなわち、支持部材の一部を構成するこの接点スイッチが接触検出部となる。具体的には、図11(a)に示すように、車輪と撮像対象とが接触していない通常時には、バネの弾性によって接点スイッチと支持部材とは離れており、したがって、接触検出部は筐体と撮像対象との接触を検出しない。一方、図11(b)に示すように、車輪と撮像対象とが接触している接写時には、筐体の重さでバネが縮み接点スイッチと支持部材とが接触する。したがって、通電が起こり接触検出部はその通電をもって筐体と撮像対象との接触を検出する、という具合である。なお、この支持手段兼接触検出部の構成は上記車輪と接点スイッチによる実施例のみならず、例えば短い足状の支持手段の底面に感圧センサが備えられているなどの構成でも構わない。
【0047】
また、上記図11で示すような構成において、車輪(1101)と筐体(1103)との接触部分(1104)を例えば摩擦抵抗の高い部材で構成することなどで、ロック機能付きの支持手段兼接触検出部を構成することができる。つまり図11(a)に示すように、筐体と撮像対象の非接触時には、車輪(1101)は接触部分(1104)の摩擦抵抗により回転が阻害され、図11(b)に示すように筐体と撮像対象の接触し、車輪と筐体の接触部分とが離れた場合に車輪の回転を可能とすることができる、という具合である。
【0048】
<実施例7の構成の簡単な説明> 以上のように、本実施例の電子機器によって支持手段と接触検出部を兼用として、電子機器の構成部品数を減らすことができ電子機器の小型化、軽量化を図ることが可能になる。
【0049】
≪実施例8≫ <実施例8の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1から7のいずれかに記載の電子機器を基本として、接写によって取得した画像を保持する機能を備えていることを特徴とする。このように画像を保持することで、例えば接写による複数枚の画像を組み合わせて一つの画像として処理する、などが可能になる。このような組み合わせ処理は、例えば上記実施例6のローラー付電子機器などによって筐体を滑らせて連続して複数回接写を行った場合などに行われると良い。
【0050】
<実施例8の構成> 図12に示すのは、本実施例の電子機器における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例における「電子機器」(1200)は、例えば実施例1を基本として「撮像レンズ」(1201)を有している。なお、この機能ブロック図での図示は省略したが撮像レンズが収納されている「撮像レンズ収納凹部」および「筐体」も本実施例の構成要件である。そして、本実施例の電子機器の特徴点は、さらに「画像保持部」(1202)を有する点である。
【0051】
「画像保持部」(1202)は、接写によって取得した画像を保持する機能を有し、例えば、磁気記録ドライブ、不揮発性メモリ、光学記録メディア、あるいは磁気記録メディアなど、電子機器内部または外部の記録媒体の所定アドレスに画像を表示するためのデータが保持されることによって実現される。また、記録媒体などでの画像保持においては、その撮像順番を示す情報と関連付けて画像が保持されても良い。このように画像がその撮像順番と関連付けられることで、例えば実施例6のようにローラーなどで筐体を滑らせることで、横長のバーコードや文字列などを連続して接写した場合など、保持している画像をその撮像順番に応じて並べて合成し、一つのバーコードや文字列などとして処理することが可能になる。したがって、広範囲を対象とした撮像が困難であるという接写の欠点を解消することができる。
【0052】
<実施例8の効果の簡単な説明> 以上のように本実施例の電子機器によって画像を保持することで、接写によって取得した複数枚の画像を合成し一つの画像として処理することなどが可能になる。したがって、広範囲を対象とした撮像が困難であるという接写の欠点を解消することができる。
【0053】
≪実施例9≫ <実施例9の概要> 本実施例の電子機器は、実施例1から8のいずれかに記載の電子機器を基本とし、接写により撮像した画像をパターン認識する機能を備えている点を特徴とする。そしてその画像のパターン認識により例えば接写対象が電子透かしなどの所定コードを含む画像であるとパターン認識すれば、撮像した画像を解析部にて解析し電子透かしの認証処理などを行うよう電子機器を自動制御する、などの処理を行う。あるいは、接写した画像がパターン認識で所定の文字列と認識された場合には、その文字列画像をテキスト情報に変換する処理などを行うことができる。また、実施例8で説明した画像保持部を備えていれば、パターン認識されるべき一文字の画像が大きすぎて分割して接写された場合など、その画像を組み合わせて一文字としてパターン認識させることも可能になる。あるいは、例えば「h」、「t」、「t」、「p」、といった具合の一文字ずつの画像を組み合わせて、「http」という文字列を含む画像としてパターン認識を行い、その「http」という文字列をテキストとして抽出することも可能になる。
【0054】
<実施例9の構成例> 図13に示すのは、本実施例の電子機器における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例における「電子機器」(1300)は、例えば実施例1を基本として「撮像レンズ」(1301)を有している。なお、この機能ブロック図での図示は省略したが撮像レンズが収納されている「撮像レンズ収納凹部」および「筐体」も本実施例の構成要件である。また、実施例8を基本として「画像保持部」を有していても良い。そして、本実施例の電子機器の特徴点は、さらに「パターンデータ保持部」(1302)と、「パターン認識部」(1303)を有する点である。
【0055】
「パターンデータ保持部」(1302)は、パターン認識に利用するパターンデータを保持する機能を有し、例えば磁気記録ドライブ、不揮発性メモリ、光学記録メディア、あるいは磁気記録メディアなどの記録媒体の所定アドレスにそれぞれのパターンデータが記憶されていることによって実現される。「パターンデータ」は、例えば、ひらがな、カタカナ、常用漢字をはじめとする漢字、アルファベット、数字、記号、絵文字、またはバーコードの配列や二次元コードなどの典型的なパターン、を示す情報などが挙げられる。
【0056】
「パターン認識部」(1303)は、撮像レンズにより接写された画像をパターンデータ保持部(1302)に保持されているパターンデータに基づいてパターン認識する機能を有する。このパターン認識部でのパターン認識処理は、例えばメモリ上の所定領域に画像を示す情報とパターンデータとを示す情報とがそれぞれ格納される。そして、パターンマッチング用のプログラムがメモリ上に展開され順次CPUにより実行されることで、上記メモリに格納された画像とパターンデータとのマッチング処理が行われる方法が挙げられる。
【0057】
このマッチング処理によるパターン認識処理の一例は、例えば以下のようにして行われる。まず、接写により取得され、記憶装置の所定のアドレスに保持されている画像情報に対してパターン認識処理を行うため、該画像情報をメモリ上の所定のデータ領域に格納する。そのために該当アドレスを指定する命令がアドレスバスを介して送出され、その指定に基づき記憶装置の該当アドレスに保持されている画像情報がデータバスを介してメモリ上に格納される。また、同じくパターンデータを保持している記憶装置の所定アドレスを指定する命令も送出され、パターンデータもデータバスを介し記憶装置の所定アドレスからメモリ上の所定のデータ領域に格納される。つづいて、画像データを構成する画像情報とパターンデータを構成する画像情報とを比較するためのマッチングプログラムがメモリ上に読み出される。そのためにマッチングプログラムが保持されている記憶装置内のアドレスを指定する情報がアドレスバスを介し送出され、それに基づいて記憶装置の所定アドレスに保持されているマッチングプログラムが、データバスを介しメモリ上のワークエリアに展開される。そして展開されたプログラムに含まれる画像のマッチング処理のための各種命令、例えば画素やブロックごとの色情報など画像構成データを取得するための命令や、取得した各画素やブロックの画像構成データの比較を行うための論理演算命令など、がCPUの命令デコーダにより順次解釈され実行される。そしてその演算結果により、例えばパターン認識の結果を示す情報をディスプレイに表示するために関連機器を制御する命令などがデータバスを介し送出され、ディスプレイ表示処理などが実現される。なお、上記パターン認識処理におけるマッチング処理やその他必要な処理における具体的な技術は、従来知られているOCR(光学式文字読取装置)などに採用されている技術を利用すると良い。
【0058】
<実施例9の効果の簡単な説明> このように、接写された画像をパターン認識することで、例えば電子透かし画像と認識されれば、該画像を解析し電子透かしの認証処理などを自動的に行う、といった構成をとることが可能になる。また、例えば画像が文字だと認識されれば、その画像をテキスト情報に変換する処理を行うこともできる。
【0059】
≪実施例10≫ <実施例10の概要> 本実施例の電子機器は、実施例9の電子機器を基本として、さらに辞書部と検索部を有している。そして、その辞書部に保持されているテキスト情報に基づく検索部での検索により、例えばパターン認識によってテキスト情報に変換された文字列に対して正誤判定処理や訂正処理、あるいは他言語への翻訳処理など行うことができる点を特徴とする。
【0060】
<実施例10の構成例> 図14に示すのは、本実施例の電子機器における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「電子機器」(1400)は、例えば実施例9を基本として、「撮像レンズ」(1401)と、「パターンデータ保持部」(1402)と、「パターン認識部」(1403)を有している。もちろん図示は省略したが、本実施例でも撮像レンズが収納されている「撮像レンズ収納凹部」および「筐体」もその構成要件である。また、実施例8を基本として「画像保持部」を有していても良い。なお、これら「撮像レンズ」、「パターンデータ保持部」、「パターン認識部」や、「撮像レンズ収納凹部」、「筐体」、「画像保持部」はすでに先の実施例にて説明済みであるので、その詳細な説明は省略する。そして、本実施例の電子機器の特徴点は、さらに「辞書部」(1404)と、「検索部」(1405)と、を有する点である。
【0061】
「辞書部」(1404)は、テキストデータを保持し、例えば単語辞書、熟語辞書、専門用語辞典、ことわざなどの定型文辞書、英和辞典、和英辞典、英々辞典などの外国語辞書、などに相当するテキストデータを保持していると良い。また、辞書部に「http」や「@」といった特定の用語が登録され、それに応じてWebブラウザやメールクライアントソフトが関連付けてられて保持されていても良い。それにより、後述する検索結果に基づいて関連づけられたWebブラウザやメールクライアントソフトなどを自動起動する処理を行うなどの構成をとることもできる。また、辞書部は上記テキストデータを、例えば磁気記録ドライブ、不揮発性メモリ、光学記録メディア、あるいは磁気記録メディアなどの記録媒体の所定記憶領域にそれぞれ保持することで実現されると良い。
【0062】
「検索部」(1405)は、パターン認識部(1403)にて認識されたパターンをキーとして辞書部を検索する機能を有する。具体的には、例えばメモリ上の所定領域に上記認識されたパターンを変換したテキスト情報などを格納する。またメモリ上のワークエリアに検索用のプログラムが展開され、順次CPUにより実行される。そしてCPUの論理演算処理によりテキスト情報とに単語辞書に格納されている単語とのマッチング処理が行われることで実現する方法が挙げられる。
【0063】
また、この検索部の検索結果から、例えばパターン認識部でパターン認識され変換されたテキスト情報の正誤判定を行っても良い。具体的には、例えば画像保持部で保持された画像が合成され、その合成画像に含まれる文字列の画像がパターン認識により認識され変換されテキスト情報化される。そしてそのテキストと、辞書部に保持されているテキストとのマッチング処理の結果、全く同じテキストが辞書部にあれば正しいと判断する。しかし、全く同じテキストが辞書部にはなく1文字や2文字違いのテキストがある場合、画像に含まれる文字列のパターン認識に誤りがあった可能性がある旨の警告を出力したり、そのパターン認識の結果である誤っていると思われるテキストを、語句として正しいと思われる辞書部のテキストに置き換えたりする、などの処理を行うという具合である。あるいは、上記パターン認識によるテキストの正誤判定処理以外に、検索部の検索結果から他言語への翻訳処理を行っても良い。具体的には、パターン認識によって画像から「I am Bob」という文字列が抽出された場合、これら単語をキーとして辞書部に保持されている英単語のテキストデータが検索される。そしてその検索結果から辞書部の英和辞典に相当するテキストデータから各英単語の日本語での意味が取得され、「私はボブです」という日本語文字列への翻訳処理が行われる、と言う具合である。あるいはその他の処理として、検索結果として特定の文字列が認識されれば、その文字列に対応したアプリケーションの起動などの処理を行っても良い。具体的にはパターン認識により認識され変換されたテキストをキーとして辞書部を検索した結果「http」や「@」という文字列がマッチングした場合、その「http」や「@」を含む文字列で示されるアドレスを予め含む状態でWebブラウザやメールクライアントソフトを自動的に起動させるなどの処理を行う、という具合である。
【0064】
また、本実施例の電子機器は、図示していないがさらにパターンデータ更新部を有していても良い。「パターンデータ更新部」は、検索部(1405)での検索結果に基づいてパターンデータ保持部(1402)を更新する機能を有する。このパターンデータ更新部は、例えば、バッファメモリに格納されている検索結果を示す情報に基づいて、更新用プログラムの処理により、更新対象として不揮発性メモリなどの該当する記憶部分に対し上書き更新を行うことなどにより実現される。このパターンデータの更新の一例としては、例えば画像からパターン認識により抽出されたテキストデータ「ら」が、上記正誤判定処理により「ち」であると判定された場合など、そのパターンデータに関連付けられているテキスト情報を「ら」から「ち」に更新する、あるいは「ら、又は、ち」に更新する、という具合である。このようにパターンデータ保持部に保持されているパターンデータを、検索部の検索結果に応じてフィードバックを行い更新することで、パターン認識部でのパターン認識の精度を上げるという学習効果を奏することができる。
【0065】
<実施例10の効果の簡単な説明> パターン認識してテキスト情報に変換された文字列の正誤判定処理や訂正処理、他言語への翻訳処理、あるいは、文字列に関連するアプリケーションの起動処理、などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1の電子機器の、利用形態の一例を説明するための概略図
【図2】従来のカメラ付電子機器によるマクロ撮影の一例を説明するための概略図
【図3】実施例1の電子機器における構成の一例を説明するための概略図
【図4】実施例2の電子機器における撮像レンズ収納凹部および撮像レンズの一例を表す概略図
【図5】実施例3の電子機器における撮像レンズ収納凹部および撮像レンズの一例を表す概略図
【図6】実施例4の電子機器における機能ブロックの一例を表す図
【図7】実施例4の電子機器における処理の流れの一例を表すフローチャート
【図8】実施例5の電子機器の一例を表す概略図
【図9】実施例6の電子機器の一例、およびその電子機器の移動の様子の一例を表す概略図
【図10】実施例6の電子機器の別の一例、およびその電子機器の移動の様子の一例を表す概略図
【図11】実施例7の電子機器の、支持手段と接触検出部の機能を兼務する構成の一例について説明するための概略図
【図12】実施例8の電子機器における機能ブロックの一例を表す図
【図13】実施例9の電子機器における機能ブロックの一例を表す図
【図14】実施例10の電子機器における機能ブロックの一例を表す図
【図15】実施例1の電子機器における撮像レンズ収納凹部の形状について類型の一例を示す図
【符号の説明】
【0067】
0100 撮像対象
0101 撮像対象と接触する側の筐体
0102 撮像対象に接触しない側の筐体
0103 撮像レンズ
0104 撮像レンズ収納凹部
0105 液晶画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接写可能な撮像レンズと、
撮像レンズを収納する撮像レンズ収納凹部と、
撮像レンズ収納凹部を有する筐体と、
からなる電子機器であって、
撮像レンズ収納凹部は、筐体を、撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させた際に、撮像レンズと、撮像対象との間が接写可能距離であるように撮像レンズを収納する電子機器。
【請求項2】
撮像レンズ収納凹部は、撮像レンズを撮像レンズ収納凹部内にて移動する移動手段を有する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
撮像レンズ収納凹部は、凹部内を照明するための照明手段を有する請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
筐体の前記接触を検出する接触検出部と、
接触検出部が前記接触を検出した場合には接写のための準備処理をする準備処理部と、を有する請求項1から3のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項5】
筐体は、前記撮像対象と接触する部分に、筐体自身を支持する支持手段を有する請求項1から4のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項6】
前記支持手段は、ローラー機能を有する請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記支持手段は、前記接触検出部と兼用されている請求項5に記載の電子機器のうち請求項4に従属している電子機器。
【請求項8】
前記接写よって取得した画像を保持する画像保持部を有する請求項1から7のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項9】
パターン認識に利用するパターンデータを保持するパターンデータ保持部と、
前記接写された画像をパターンデータ保持部に保持されているパターンデータに基づいてパターン認識するためのパターン認識部と、
を有する請求項1から8のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項10】
辞書部と、パターン認識部にて認識されたパターンをキーとして辞書部を検索する検索部と、を有する請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
請求項1に記載の電子機器の筐体と、撮像対象との前記接触を検出する接触検出ステップと、
前記接触検出ステップにて接触が検出された場合には、撮像レンズを接写のための所定位置に移動する撮像レンズ移動ステップと、
を有する電子機器による接写方法。
【請求項12】
請求項1に記載の電子機器の筐体と、撮像対象との前記接触を検出する接触検出ステップと、
前記接触検出ステップにて接触が検出された場合には、前記凹部内を照明するための照明手段を点灯させる照明点灯ステップと、
を有する電子機器による接写方法。
【請求項1】
接写可能な撮像レンズと、
撮像レンズを収納する撮像レンズ収納凹部と、
撮像レンズ収納凹部を有する筐体と、
からなる電子機器であって、
撮像レンズ収納凹部は、筐体を、撮像レンズを撮像対象面に向けた状態で撮像対象に接触させた際に、撮像レンズと、撮像対象との間が接写可能距離であるように撮像レンズを収納する電子機器。
【請求項2】
撮像レンズ収納凹部は、撮像レンズを撮像レンズ収納凹部内にて移動する移動手段を有する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
撮像レンズ収納凹部は、凹部内を照明するための照明手段を有する請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
筐体の前記接触を検出する接触検出部と、
接触検出部が前記接触を検出した場合には接写のための準備処理をする準備処理部と、を有する請求項1から3のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項5】
筐体は、前記撮像対象と接触する部分に、筐体自身を支持する支持手段を有する請求項1から4のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項6】
前記支持手段は、ローラー機能を有する請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記支持手段は、前記接触検出部と兼用されている請求項5に記載の電子機器のうち請求項4に従属している電子機器。
【請求項8】
前記接写よって取得した画像を保持する画像保持部を有する請求項1から7のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項9】
パターン認識に利用するパターンデータを保持するパターンデータ保持部と、
前記接写された画像をパターンデータ保持部に保持されているパターンデータに基づいてパターン認識するためのパターン認識部と、
を有する請求項1から8のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項10】
辞書部と、パターン認識部にて認識されたパターンをキーとして辞書部を検索する検索部と、を有する請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
請求項1に記載の電子機器の筐体と、撮像対象との前記接触を検出する接触検出ステップと、
前記接触検出ステップにて接触が検出された場合には、撮像レンズを接写のための所定位置に移動する撮像レンズ移動ステップと、
を有する電子機器による接写方法。
【請求項12】
請求項1に記載の電子機器の筐体と、撮像対象との前記接触を検出する接触検出ステップと、
前記接触検出ステップにて接触が検出された場合には、前記凹部内を照明するための照明手段を点灯させる照明点灯ステップと、
を有する電子機器による接写方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−13556(P2007−13556A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191610(P2005−191610)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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