説明

接着シート、接着シートの製造方法、接着シートロール、半導体装置の製造方法、及び半導体装置

【課題】部分的に設けられた複数の接着剤層を有する接着シートをロール状に巻き取った場合においても、接着剤層への巻き跡の転写が抑制されるとともに、積層体を剥離する装置への悪影響も抑制される接着シートを提供することを課題とする。
【解決手段】剥離基材1と、剥離基材1の面30に、剥離基材1の長手方向に沿って部分的に設けられた接着剤層2と、接着剤層2を覆い、且つ、接着剤層2の周囲で剥離基材1に接するように形成された粘着フィルム層3と、剥離基材1の短手方向両端部において、剥離基材1の面30から面50にかけて延在して設けられた粘着フィルム層20と、を有し、剥離基材1の短手方向両端部における接着シート100の厚みは、接着剤層2の中央部における接着シート100の厚み以上である接着シート100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着シート、接着シートの製造方法、接着シートロール、半導体装置の製造方法、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子と半導体素子搭載用の支持部材との接合には銀ペーストが主に使用されている。しかし、近年の半導体素子の小型化・高性能化に伴い、使用される支持部材にも小型化・細密化が要求されるようになってきている。こうした要求に対して、銀ペーストでは、はみ出しや半導体素子の傾きに起因するワイヤボンディング時における不具合の発生、銀ペーストからなる接着剤層の膜厚の制御困難性、及び接着剤層のボイド発生などにより上記要求に対処しきれなくなってきている。
【0003】
そのため、上記要求に対処するべく、近年、フィルム状の接着剤が使用されるようになってきた。このフィルム状接着剤は、個片貼付け方式あるいはウェハ裏面貼付け方式において使用されている。フィルム状接着剤を用いて個片貼付け方式により半導体装置を作製する場合には、まず、ロール状(リール状)に巻き取られたフィルム状接着剤をカッティング又はパンチングによって任意のサイズに切り出し、フィルム状接着剤の個片を得る。この個片を、半導体素子搭載用の支持部材に貼り付け、フィルム状接着剤付き支持部材を得る。その後、ダイシング工程によって個片化した半導体素子をフィルム状接着剤付き支持部材に接合(ダイボンド)して半導体素子付き支持部材を作製する。更に、必要に応じてワイヤボンド工程、封止工程等を経ることにより半導体装置を作製する。
【0004】
しかし、個片貼付け方式においてフィルム状接着剤を用いる場合には、フィルム状接着剤を切り出して支持部材に接着するための専用の組立装置が必要であるため、銀ペーストを使用する方法に比べて製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
一方、フィルム状接着剤を用いてウェハ裏面貼付け方式により半導体装置を作製する場合には、まず、半導体ウェハの回路面とは反対側の面(裏面)にフィルム状接着剤を貼付け、更にフィルム状接着剤の半導体ウェハ側と反対側の面にダイシングテープを貼り合わせる。次に、ダイシングによって半導体ウェハ及びフィルム状接着剤を個片化し、フィルム状接着剤付き半導体素子を得る。得られたフィルム状接着剤付き半導体素子をピックアップし、それを半導体素子搭載用の支持部材に接合(ダイボンド)する。その後、加熱、硬化、ワイヤボンド等の工程を経ることにより半導体装置を作製する。
【0006】
このフィルム状接着剤を用いたウェハ裏面貼付け方式は、フィルム状接着剤付き半導体素子を支持部材に接合するため、フィルム状接着剤を個片化するための専用の装置を必要とせず、従来の銀ペースト用の組立装置をそのまま又は熱盤を付加するなどの装置の一部を改良することにより使用できる。そのため、フィルム状接着剤を用いた半導体装置の組立方法の中で製造コストが比較的安く抑えられる方法として注目されている。
【0007】
しかし、フィルム状接着剤を用いた上記のウェハ裏面貼付け方式においては、半導体ウェハのダイシングを行うまでに、フィルム状接着剤を半導体ウェハに貼付する工程とダイシングテープをフィルム状接着剤に貼付する工程との2つの貼付工程が必要である。そこで、このプロセスを簡略化するために、フィルム状接着剤とダイシングテープとを貼り合わせ、一枚で両方の機能を併せ持つ接着シート(ダイボンドダイシングシート)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このような接着シートは、例えば、剥離基材/接着剤層/粘着フィルムの三層構造を有している。
【0008】
また、このような接着シートを、半導体素子を構成するウェハの形状にあらかじめ加工しておく方法(いわゆるプリカット加工)が知られている(例えば特許文献2参照)。かかるプリカット加工は、使用されるウェハの形状に合わせて樹脂層(接着剤層及び粘着フィルム)を打ち抜き、ウェハを貼り付ける部分以外の樹脂層を剥離しておく方法である。
【0009】
プリカット加工が施された接着シートは、例えば、図6(a)に示すような構造を有している。また、図6(b)は図6(a)の接着シート200のX−X端面図であり、剥離基材1上に接着剤層2が積層され、その上にさらに粘着フィルム層3が、剥離基材1側が粘着性を有する面となるようにして積層されている。なお、粘着フィルム層3は接着剤層2を覆い、且つ、接着剤層2の周囲で剥離基材1に接するように積層されており、これにより、半導体ウェハのダイシングを行う際に、半導体ウェハの外周部のウェハリングに粘着フィルム層3を貼り付けて接着シート200を固定することができるようになっている。
【0010】
かかるプリカット加工を施す場合、上記の接着シートは一般的に、フィルム状接着剤において接着剤層をウェハ形状に合わせてプリカット加工し、それとダイシングテープとを貼り合わせた後、このダイシングテープに対してウェハリング形状に合わせたプリカット加工を施すか、又は、あらかじめウェハリング形状にプリカット加工したダイシングテープを、プリカット加工したフィルム状接着剤と貼り合わせることによって作製される。
【0011】
上記プリカット加工が施された接着シート200は、通常、図7に示すように長尺の剥離基材1を用いて円筒状の巻き芯11に巻きつけて、ロール状の接着シートロール210として提供される。このとき、上記接着シート200等の従来のプリカット加工が施された接着シートでは、以下のような不具合が生じることが考えられる。すなわち、上記プリカット加工が施された接着シート200においては、図6(b)に示すように、部分的に接着剤層2と粘着フィルム層3とを積層するため、接着剤層2と粘着フィルム層3との積層部分が他の部分よりも厚くなる。そのため、接着シートロールの直径が大きくなったり、巻き取り時の張力が高くなったりした場合、図8(a)に示すように、接着剤層2の部分に他の接着剤層2の巻き跡12が転写され、図8(a)のY−Y端面図である図8(b)に示すように、フィルムの平滑性が損なわれることがある。また、接着剤層2の厚みが厚くなった場合、巻き跡12が更に転写されやすくなる。これら巻き跡12の転写により接着シート200に平滑性の欠陥があると、接着シート200を半導体ウェハへ貼り付けた時に半導体ウェハと接着剤層2との間に空気を巻き込み、半導体装置組み立て方法上、不具合が生じることがある。
【0012】
なお、接着シートとしては、図9(a)及び図9(a)のZ−Z端面図である図9(b)に示すように、ウェハ形状に合わせてプリカット加工された接着剤層2及び粘着フィルム層3の外方にも粘着フィルム層が形成された接着シート220及び接着シートロール230も知られているが、この場合にも、上記と同様に接着剤層2に巻き跡12が転写され、半導体装置組み立て方法上の不具合が生じることがある。
【0013】
また、上記巻き跡12の転写を抑制する方法として、プリカット加工された接着剤層2及び粘着フィルム層3の外方に、接着剤層2及び粘着フィルム層の合計の膜厚と同等又はそれ以上の膜厚を有する支持層を形成する方法や、剥離基材1の接着剤層2及び粘着フィルム層3が設けられた面とは反対の面に支持部材を設ける方法が開示されている(特許文献3及び特許文献4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平7−45557号公報
【特許文献2】実公平6−18383号公報
【特許文献3】特開2007−2173号公報
【特許文献4】特開2009−88480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のように、プリカット加工された接着剤層2及び粘着フィルム層3の外方に支持層が形成された形態や、反対側の面に支持部材が設けられた形態においては、剥離基材1から接着剤層2と粘着フィルム層3とで構成された積層体を剥離する工程で支持層又は支持部材が剥離してしまった場合、剥離された支持層又は支持部材が剥離基材1から離れ、積層体を剥離する装置に悪影響を与えることが考えられる。
【0016】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、部分的に設けられた複数の接着剤層を有する接着シートをロール状に巻き取った場合においても、接着剤層への巻き跡の転写が抑制されるとともに、積層体を剥離する装置への悪影響も抑制される接着シート及びその製造方法、並びに、上記接着シートを用いた接着シートロール、半導体装置の製造方法、及び半導体装置を提供することを目的とする。
また本発明は、上記接着シートを容易に製造できる、接着シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、剥離基材と、前記剥離基材の一方の面に、前記剥離基材の長手方向に沿って部分的に設けられた複数の接着剤層と、前記接着剤層を覆い、且つ、前記接着剤層の周囲で前記剥離基材に接するように形成された第1の粘着フィルム層と、前記剥離基材の短手方向両端部において、前記剥離基材の前記一方の面から他方の面にかけて延在して設けられた第2の粘着フィルム層と、を有し、前記剥離基材の前記短手方向両端部における接着シートの厚みは、前記長手方向に前記接着剤層が配列した領域の前記短手方向中央部における接着シートの厚み以上である接着シートを提供する。
【0018】
また、前記剥離基材の前記他方の面に設けられた前記第2の粘着フィルム層における前記短手方向の端部は、前記長手方向に前記接着剤層が配列した領域よりも、前記剥離基材の前記端部側にあることが好ましい。
前記第1の粘着フィルム層の厚みが10μm以上300μm以下であることがこのましい。
前記接着剤層の厚みが2μm以上200μm以下であることが好ましい。
前記接着剤層は、硬化前における25℃での貯蔵弾性率が10MPa以上10000MPa以下であることが好ましい。
高エネルギー線の照射により、前記接着剤層と前記第1の粘着フィルム層との間の粘着力が低下することが好ましい。
【0019】
本発明はまた、上記本発明の接着シートを製造するための接着シートの製造方法であって、前記剥離基材の前記一方の面に、前記剥離基材の長手方向に沿って部分的に複数の前記接着剤層を設ける接着剤層形成工程と、前記剥離基材の前記短手方向の幅よりも幅広の粘着フィルムを、前記剥離基材の前記一方の面に、前記接着剤層を覆い、かつ、前記剥離基材の短手方向両端部からはみ出すように積層し、前記剥離基材の短手方向両端部からはみ出した前記粘着フィルムのはみ出し部を、前記剥離基材の前記他方の面に接触するように折り曲げて固定し、前記第1の粘着フィルム層と、前記第1の粘着フィルム層に連続して形成された前記第2のフィルム層と、を形成する粘着フィルム層形成工程と、を含む接着シートの製造方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、巻き芯と、前記巻き芯の外周面に巻きつけられた上記本発明の接着シートと、を有する接着シートロールを提供する。
【0021】
本発明はまた、上記本発明の接着シートにおいて、前記接着剤層及び前記第1の粘着フィルム層からなる積層体を前記剥離基材から剥離し、前記積層体を、前記接着剤層側の面から半導体ウェハに貼り付けて積層体付き半導体ウェハを得る貼り付け工程と、前記積層体付き半導体ウェハを、前記半導体ウェハ側の面から、前記接着剤層と前記第1の粘着フィルム層との界面までダイシングし、接着剤層付き半導体素子を得るダイシング工程と、前記積層体に高エネルギー線を照射して前記第1の粘着フィルム層の前記接着剤層に対する粘着力を低下させた後、前記第1の粘着フィルム層から前記接着剤層付き半導体素子をピックアップするピックアップ工程と、前記接着剤層付き半導体素子における前記半導体素子を、前記接着剤層を介して被着体に接着する接着工程と、を含む、半導体装置の製造方法を提供する。
【0022】
ここで、上記被着体は、半導体素子搭載用の支持部材、又は、他の半導体素子であることが好ましい。
【0023】
本発明は更に、上記本発明の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、部分的に設けられた複数の接着剤層を有する接着シートをロール状に巻き取った場合においても、接着剤層への巻き跡の転写が抑制されるとともに、積層体を剥離する装置への悪影響も抑制される接着シート及びその製造方法、並びに、上記接着シートを用いた接着シートロール、半導体装置の製造方法、及び半導体装置を提供することができる。
また本発明によれば、上記接着シートを容易に製造できる、接着シートの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は、本発明の接着シートの第1実施形態を示す平面図であり、(b)は、(a)に示す接着シート100を1B−1B線に沿って切断した場合の模式端面図であり、(c)は、(a)に示す接着シート100を1C−1C線に沿って切断した場合の模式端面図である。
【図2】(a)は、本発明の接着シートの第2実施形態を示す平面図であり、(b)は、(a)に示す接着シート110を2B−2B線に沿って切断した場合の模式端面図である。
【図3】(a)〜(h)は本発明の接着シートの製造方法の第1実施形態を示す一連の工程図である。
【図4】本発明の接着シートロールを表す斜視図である。
【図5】本発明の半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。
【図6】(a)は、従来の接着シートの一例を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)のX−X端面図である。
【図7】図6に示す接着シート200を円筒状の巻き芯に巻きつけてなる接着シートロールを示す模式図である。
【図8】(a)は、図6に示す接着シート200に巻き跡が転写されている様子を示す模式図であり、(b)は、(a)のY−Y端面図である。
【図9】(a)は、従来の接着シートの他の一例を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)のZ−Z端面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(接着シート)
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
尚、本明細書において「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
【0027】
図1及び図2は、それぞれ本発明の接着シートの第1実施形態及び第2実施形態を示す模式図である。ここで、図1(a)は、本発明の第1実施形態における接着シートの一部を示す平面図であり、図1(b)及び図1(c)は、それぞれ図1(a)に示す接着シート100を図1(a)の1B−1B線及び1C−1C線に沿って切断した場合の模式端面図である。図2(a)は、本発明の第2実施形態における接着シートの一部を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示す接着シート110を図2(a)の2B−2B線に沿って切断した場合の模式端面図である。
【0028】
図1に示す接着シート100は、例えば、長尺の剥離基材1の面30(一方の面)に、接着剤層2及び粘着フィルム層3からなる積層体10が形成されている。
なお接着剤層2は、例えば図3(c)に示すように、剥離基材1の長手方向に沿って複数設けられているが、図1では複数の接着剤層2のうち1つの接着剤層2のみが示されている。ここで「剥離基材1の長手方向」とは、接着シート100を巻き芯に巻きつける際に巻かれる方向(すなわち、巻き芯の軸と垂直な方向)であり、例えば剥離基材1が長方形である場合長い方の辺に平行な方向である。また「剥離基材1の短手方向」は、前記剥離基材1の長手方向と垂直な方向である。すなわち剥離基材1の短手方向は、接着シート100が巻き芯に巻きつけられた場合に巻き芯の軸と平行になる方向であり、剥離基材1の幅方向(距離が最も小さい方向)と同じ方向であり、例えば剥離基材1が長方形である場合短い方の辺に平行な方向である。以下、剥離基材1の長手方向及び剥離基材1の短手方向を、それぞれ、単に「長手方向」及び「短手方向」と称する場合がある。
【0029】
接着剤層2は、例えば図1に示すように、円形であり、かつ、短手方向中央部に形成されている。
そして粘着フィルム層3は、接着剤層2よりも大きな円形であり、接着剤層2をすべて覆うように積層されるとともに、接着剤層2の周囲において剥離基材1の面30と直接接触するように設けられている。
なお、接着剤層2及び粘着フィルム層3の形状については、円形に限られず、接着剤層2を貼り付ける被着体の形状に応じて適宜選択される。
【0030】
具体的には、接着剤層2の形状としては、半導体ウェハ等の被着体の貼り付けが可能な形状であれば特に制限はなく、例えば、平面形状として、円形、ウェハ形状(円の外周の一部が直線である形状)、四角形、五角形、六角形、八角形などが挙げられる。
なお、接着剤層2において、被着体を貼り付ける部分以外の部分は無駄になるため、被着体として円形の平面形状を有する一般的な半導体ウェハを用いる場合には、接着剤層2は、円形の平面形状又は半導体ウェハの平面形状に合致する平面形状(半導体ウェハ形状)であることが好ましい。半導体ウェハの平面形状に合致する平面形状を接着剤層2が有していることにより、半導体ウェハをダイシングする工程が容易となる傾向がある。
ただし、接着剤層の平面形状は、半導体ウェハの平面形状に完全に一致している必要はなく、例えば、半導体ウェハの平面形状よりもやや大きい平面形状であってもよい。また、一般的に半導体ウェハは円の外周の一部が直線である平面形状を有しているため、接着シートの平面形状が円形形状である場合でも、一般的な半導体ウェハへの接着剤層の貼り付け、及び、半導体ウェハのダイシングを容易に行うことが可能となる傾向にある。また、接着剤層2の外周の一部が粘着フィルム層3の外周の一部の近傍にあるようにするために、接着剤層2の外周の一部に凸部を有していてもよい。
【0031】
粘着フィルム層3の形状としては、ウェハリングと密着させることが可能な形状であれば特に制限はなく、例えば、平面形状として、円形、四角形、五角形、六角形、八角形、菱形形状、星型などが挙げられる。なお、現在のウェハリングの形状及び半導体素子の形状を考慮すると、粘着フィルム層3の平面形状は、円形もしくは円形に順ずる形状であることが好ましい。更に、半導体素子との貼付けを考慮すると、接着剤層2の平面形状と似た平面形状であることが好ましい。
【0032】
剥離基材1の面30における積層体10よりも短手方向両端部には、粘着フィルム層20が、積層体10と離間し、剥離基材1の面30、側面40、及び面50(他方の面)に亘って延在し、かつ、剥離基材1の面30及び面50に直接接触するように、粘着フィルム層20が連続して設けられている。このように粘着フィルム20が設けられることにより、巻き芯に接着シート100を巻きつけて接着シートロールとしたときに、重なった剥離基材1の間に存在する粘着フィルム層20によって接着シート100が支持される。すなわち、前記重なった剥離基材1において、一方の剥離基材1の面30に設けられた粘着フィルム層20及び他方の剥離基材1の面50に設けられた粘着フィルム層20が支持層として機能する。
【0033】
剥離基材1の面30に設けられた部分の粘着フィルム層20は、上記のように積層体10と離間した形態に限られず、図2に示すように、積層体10を構成する粘着フィルム層3と連続して粘着フィルム層20が形成されていてもよい。
また図1においては、剥離基材1の面30において、積層体10の周囲に沿って粘着フィルム層20が形成されているが、これに限られず、剥離基材1の短手方向両端部のみに粘着フィルム層20が形成されていてもよい。具体的には、例えば、剥離基材1の面30における粘着フィルム層20の端部が直線になるように、粘着フィルム層20が設けられていてもよい。
【0034】
剥離基材1の短手方向両端部における接着シート100の厚みは、長手方向に接着剤層2が配列した領域(以下、「接着剤層配列領域」と称する場合がある)の短手方向中央部における接着シート100の厚み以上である。
ここで、接着剤層配列領域とは、長手方向に配列された複数の接着剤層2の間において、接着剤層2の短手方向両端部同士を結んだ線で囲まれた帯状の領域であり、接着シート100を長手方向に沿って巻き芯に巻きつけたときに、接着剤層2と重なりうる領域を意味する。また「接着剤層配列領域の短手方向中央部」とは、接着剤層配列領域のうち、短手方向の中心から、接着剤層配列領域の短手方向における端部までの距離の1/3までの領域をいう。
【0035】
本実施形態では、図1に示すように、面50に設けられた粘着フィルム層20が単層となっている。そのため、剥離基材1の厚みが均一であり、かつ、粘着フィルム層20の膜厚が接着剤層2の膜厚と実質的に同一であれば、剥離基材1の短手方向両端部における接着シート100の厚みは、接着剤層配列領域の短手方向中央部における接着シート100の厚みと実質的に同一である。そして、粘着フィルム層20の膜厚が接着剤層2の膜厚よりも厚い場合は、剥離基材1の短手方向両端部における接着シート100の厚みが、接着剤層配列領域の短手方向中央部における接着シート100の厚みよりも大きい形態となる。
【0036】
上記の通り、本実施形態では、面50に設けられた粘着フィルム層20が単層であるが、これに限られず、面50に設けられた粘着フィルム層20が折り返されて積層されたものであってもよい。例えば接着剤層2の膜厚が粘着フィルム層20の膜厚よりも厚い場合、上記のように面50に設けられた粘着フィルム層20を折り返して積層させることで、剥離基材1の短手方向両端部における接着シート100の厚みを、接着剤層配列領域の短手方向中央部における接着シート100の厚み以上としてもよい。
【0037】
また剥離基材1の面30及び面50上に形成された粘着フィルム層20は、長手方向に連続して設けられている。すなわち、例えば図3(h)に示すように、1つの積層体10が形成された領域における剥離基材1の短手方向両端部から、他の積層体10が形成された領域における剥離基材1の短手方向両端部にかけて、連続して粘着フィルム層20が設けられている。なお粘着フィルム層20は、接着シート100が巻き芯に巻かれたときに支持する機能を失わない程度であれば、長手方向に断続的に設けられてもよいが、巻き跡の転写を抑制する観点から、連続的に設けられている形態のほうが好ましい。
【0038】
また、剥離基材1の面50に接触する粘着フィルム層20は、接着剤層配列領域と重ならないように形成されている。つまり、面50に接する部分の粘着フィルム層20における短手方向の端部22は、接着剤層配列領域よりも、剥離基材1の短手方向端部側にある。
したがって、積層体10が形成された領域における剥離基材1の短手方向両端部及び積層体10が形成されていない領域における剥離基材1の短手方向両端部のいずれにおいても、面50に形成された粘着フィルム層20における短手方向の長さは、剥離基材1の短手方向端部から接着剤層2の短手方向端部までの距離よりも短い。
【0039】
なお、剥離基材1の面50に設けられた粘着フィルム層20は、上記形態に限られず、接着剤層配列領域と重なっていてもよい。ただし、剥離基材1の短手方向両端部における接着シート100の厚みを、接着剤層配列領域の短手方向中央部における接着シート100の厚み以上とするため、少なくとも接着剤層配列領域の短手方向中央部に、剥離基材1の面50に設けられた粘着フィルム層20が重ならないように形成されていることが望ましい。
【0040】
剥離基材1の面50に設けられた粘着フィルム層20は、上記の通り接着シート100をロール状に巻き取った際の接着剤層2への巻き跡の転写を低減する観点から、少なくとも剥離基材1の短手方向の両端部上に形成されている。面50に設けられた粘着フィルム層20の形成位置は、巻き跡の転写が起こりやすい位置を考慮すると、剥離機材1の両端部において、積層体10の存在する部分の剥離基材1の長手方向前後と短手方向左右の4箇所にあることが好ましく、接着剤層2と重ならないように、全面に存在することがより好ましい。但し、半導体ウェハと接着シートとを貼り合わせる装置のセンサーを考慮すると、接着剤層配列領域の短手方向中央部についてのみは面50に粘着フィルム層20が形成されていない方が好ましい。すなわち、面50における粘着フィルム層20は、接着剤層2が形成されている部分と接着剤層配列領域の短手方向中央部とを除く部分をできる限り多く覆うように形成されていることが好ましい。
【0041】
以上説明した本実施形態の接着シート100では、部分的に接着剤層2が形成されているが、上記粘着フィルム層20が設けられているため、粘着フィルム層20が設けられていない場合に比べて、接着シート100を巻き芯に巻いてロール状としても、接着剤層に他の接着剤層の巻き跡が転写されることを抑制することができる。
具体的には、粘着フィルム層20が設けられていない従来の接着シートでは、接着剤層と粘着フィルムとの積層部分が他の部分に比べて厚くなるため、ロール状に巻き取ると、この積層部分に巻き取りの圧力が集中していた。そのため、この積層部分と粘着フィルムのみの部分との段差が巻き取りの圧力により他の接着剤層に転写されることとなる。これに対して本発明の接着シートは、支持層に相当する粘着フィルム層20を備えることで、プリカット加工が施された接着シートにかかっていた巻き取りの圧力を分散するか或いは支持層に集めることができ、上記積層部分と粘着フィルム層3のみの部分との段差が他の接着剤層に転写されることを抑制することが可能となる。そして、接着剤層への巻き跡の転写が抑制されることにより、半導体ウェハ等の被着体に接着剤層を貼り付ける際に、空気の巻き込みによるボイド等の発生を十分に抑制することができる。
【0042】
それに加えて本実施形態の接着シート100では、上記粘着フィルム層20が設けられているため、積層体10を剥離基材1から剥離する工程において、粘着フィルム層20が剥離基材1から離れ、積層体を剥離する装置に悪影響を与えることが抑制される。特に、粘着フィルム層20が剥離機材1の面30及び面50において長手方向及び短手方向に連続的に設けられた場合は、剥離基材1から粘着フィルム層20が離れることがより抑制される。また、剥離基材1の面30及び面50に形成された粘着フィルム層20の面積が大きいほど、剥離基材1から粘着フィルム層20が離れることがより抑制される。
【0043】
さらに、本実施形態の接着シート100では、上記粘着フィルム層20が設けられており、剥離基材1の短手方向端部が粘着フィルム層20で覆われているため、接着シート100の取り扱い性が良好となり、保存性も良好となる。特に、巻き芯に接着シート100を巻いた接着シートロールにおいては、接着シート100における剥離基材1の短手方向端部が粘着フィルム層20で覆われているため、巻き芯の軸方向端部における接着シート100間の隙間が無く、ごみ等が進入しにくいため、接着シートロールとしての保存性も良好となる。
【0044】
また本実施形態の接着シート100では、上記のとおり、接着剤層配列領域に重ならないように剥離基材1の面50に粘着フィルム層20が形成されていることにより、接着シートをロール状に巻き取った際に、接着剤層に他の接着剤層の巻き跡が転写されることをより十分に抑制することができる。そして、半導体ウェハ等の被着体に接着剤層を貼り付ける際に、空気の巻き込みによるボイド等の発生をより十分に抑制することができる。
【0045】
以下、本発明の接着シートの各構成要素について詳細に説明する。
【0046】
<接着剤層>
接着剤層2は、特に制限されないが、例えば、熱硬化性接着剤、光硬化性接着剤、熱可塑性接着剤、及び、酸素反応性接着剤等を含んで構成される。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができるが、接着剤として半導体素子の固定に使用されることを考慮すると、接着剤層2は熱硬化性接着剤を含んで構成されていることが好ましい。
【0047】
熱硬化性接着剤としては、熱により硬化するものであれば特に制限はなく、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソジアヌレート基、アミノ基、アミド基等の官能基を持つ熱重合性成分を含むものが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができるが、接着シートとしての耐熱性及び熱硬化による接着力を考慮すると、上記の熱重合性成分と熱可塑性樹脂とを含有してなる熱硬化性接着剤を用いることが好ましい。上記の熱重合性成分と熱可塑性樹脂とを含有してなる熱硬化性接着剤を用いることにより、かかる接着剤層を介して半導体素子を半導体素子搭載用の支持部材あるいは別の半導体素子に十分に固定することができる。
【0048】
ここで、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を有する樹脂、または少なくとも未硬化状態において熱可塑性を有し、加熱後に架橋構造を形成する樹脂であれば特に制限されないが、熱可塑性樹脂(A)としてTg(ガラス転移温度)が10〜100℃であり、且つ、重量平均分子量が5000〜200000であるもの、又は熱可塑性樹脂(B)としてTgが−50℃〜10℃であり、且つ、重量平均分子量100000以上が好ましい。
【0049】
前者の熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などが挙げられる。これらの中でもポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
【0050】
後者の熱可塑性樹脂(B)としては、官能性モノマーに由来する構造単位を含む重合体を使用することが好ましく、この重合体の官能性モノマーの官能基としてはグリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基などが挙げられ、中でもグリシジル基が好ましい。より具体的には、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートなどの官能基モノマーに由来する構造単位を含むグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体などが好ましく、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂と非相溶であることがより好ましい。
【0051】
上記熱可塑性樹脂(B)のうち、官能性モノマーに由来する構造単位を含む重合体としては、例えば、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマーに由来する構造単位を含有し、かつ重量平均分子量が10万以上であるグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体等が挙げられ、それらの中でもエポキシ樹脂と非相溶であるものが好ましい。グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体の具体例としては、例えば、ナガセケムテックス(株)製のHTR−860P−3(商品名)等が挙げられる。
【0052】
上記グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、(メタ)アクリルエステル共重合体、アクリルゴム等を使用することができ、アクリルゴムがより好ましい。アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体等からなるゴムである。
【0053】
上記グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体を構成する、上記グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有モノマー単位の量は、モノマー全量を基準として0.5〜6.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%がより好ましく、0.8〜5.0質量%が特に好ましい。グリシジル基含有モノマー単位の量がこの範囲にあると、十分な接着力が確保できるとともに、ゲル化を防止することができる。
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート以外のモノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、本発明において、エチル(メタ)アクリレートとは、エチルアクリレートとエチルメタクリレートの両方を示す。官能性モノマーを組み合わせて使用する場合の混合比率は、グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体のTgを考慮して決定することができ、Tgが−10℃以上となるようにすることが好ましい。Tgが−10℃以上であると、Bステージ状態での接着剤層2のタック性が適当であり、取り扱い性が良好なものとなる傾向にある。
【0054】
上記モノマーを重合させて、官能性モノマーに由来する構造単位を含む重量平均分子量が10万以上である重合体を製造する場合、その重合方法としては特に制限はなく、例えば、パール重合、溶液重合等の方法を使用することができる。
【0055】
官能性モノマーに由来する構造単位を含む重合体の重量平均分子量は、10万以上が好ましく、30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、シート状又はフィルム状としたときの強度、可とう性、及びタック性が適当であり、また、フロー性が適当であるため、配線の回路充填性が確保できる傾向にある。すなわち、半導体装置作製における作業環境下でフィルム形状を維持し、取り扱い易いフィルムにすることができる。また、分子量が10万以上あることで室温でのフィルムの硬さが巻き取り時の圧力による転写を防ぐことができる。仮に何らかの原因で転写があった場合も、熱可塑性樹脂であることで、半導体ウェハとの貼り付け時の熱により変形し、ボイドを低減する事ができる。
なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
【0056】
また、官能性モノマーに由来する構造単位を含む重量平均分子量が10万以上である重合体の使用量は、熱重合性成分100質量部に対して、10〜400質量部が好ましい。この範囲にあると、貯蔵弾性率及び成型時のフロー性抑制が確保でき、また高温での取り扱い性が良好なものとなる傾向にある。また、重合体の使用量は、熱重合性成分100質量部に対して、15〜350質量部がより好ましく、20〜300質量部が特に好ましい。
【0057】
また、熱重合性成分としては、熱により重合するものであれば特に制限は無く、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等の官能基を持つ化合物が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができるが、接着シートとしての耐熱性を考慮すると、熱によって硬化し接着作用を及ぼす熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、特に、耐熱性、作業性、信頼性に優れるダイボンドダイシングシートが得られる点でエポキシ樹脂を使用することが最も好ましい。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を合わせて使用することが好ましい。
【0058】
上記エポキシ樹脂としては、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを使用することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
上記エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009)、ダウケミカル社製のDER−330、DER−301、DER−361、及び、東都化成(株)製のYD8125、YDF8170等が挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート152、エピコート154、日本化薬(株)製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が挙げられる。更に、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬(株)製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027、東都化成(株)製のYDCN701、YDCN702、YDCN703、YDCN704等が挙げられる。
【0060】
多官能エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のEpon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる。
【0061】
アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート604、東都化成(株)製のYH−434、三菱ガス化学(株)製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学(株)製のELM−120等が挙げられる。複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0062】
なお、熱重合性成分が、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含有してなるものであることにより、半導体装置作製後、半導体素子と支持部材あるいは別の半導体素子に十分に固定することができ、半導体装置の使用される環境下で半導体装置の破損や故障を防ぐことができる。
【0063】
エポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ジシアンジアミド、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0064】
上記フェノール樹脂硬化剤の中で好ましいものとしては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、明和化成(株)製、商品名:H−1、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピキュアMP402FPY、エピキュアYL6065、エピキュアYLH129B65、及び、三井化学(株)製、商品名:ミレックスXL、ミレックスXLC、ミレックスRN、ミレックスRS、ミレックスVR等が挙げられる。
【0065】
接着剤層2は、25℃での硬化前の貯蔵弾性率が10〜10000MPaであることが好ましい。ここで、本発明における貯蔵弾性率は、強制振動非共振法による引張り試験によって求めることができる。また接着剤層2は、260℃での硬化後の貯蔵弾性率が0.5〜30MPaであることが好ましい。接着剤層2が上記範囲の貯蔵弾性率を有することにより、半導体素子と半導体素子搭載用の支持部材間の応力を緩和し、幅広い温度域で十分な接着力を確保できる。これにより半導体装置作製の作業中あるいは半導体装置が使用される環境下で、半導体装置の破損や故障を防ぐことができる。
ここで、接着剤層2の貯蔵弾性率を大きくする方法として、例えば、エポキシ樹脂の使用量を増やす方法、グリシジル基濃度の高いエポキシ樹脂又は水酸基濃度の高いフェノール樹脂を使用する等してポリマー全体の架橋密度を上げる方法、フィラーを添加する方法等が挙げられる。
【0066】
上記接着剤層2が熱重合性成分を含む場合、接着剤層2には更に硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、特に制限はなく、例えば、イミダゾール類等が挙げられる。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0067】
この硬化促進剤の添加量は、熱重合性成分の総量100質量部に対して5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。この添加量が5質量部を超えると保存安定性が低下する傾向がある。
【0068】
接着剤層2には、可とう性や耐リフロークラック性を向上させる目的で、熱重合性成分と相溶性がある高分子量樹脂を添加することができる。このような高分子量樹脂としては、特に限定されず、たとえばフェノキシ樹脂、高分子量熱重合性成分、超高分子量熱重合性成分などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0069】
熱重合性成分と相溶性がある高分子量樹脂の使用量は、接着剤層が熱重合性成分を含む場合、熱重合性成分の総量100質量部に対して、40質量部以下とすることが好ましい。この範囲であると、接着剤層2のTgを確保することができる。
【0070】
また、接着剤層2には、その取り扱い性向上、熱伝導性向上、溶融粘度の調整およびチキソトロピック性付与などを目的として、無機フィラーを添加することもできる。無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられる。また、フィラーの形状は特に制限されるものではない。これらのフィラーは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、熱伝導性向上の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカが好ましい。また、溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の観点からは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカが好ましい。
【0071】
無機フィラーの添加量は、接着剤層2の総量を基準として1〜20質量%が好ましい。添加量が1質量%未満であると添加効果が十分に得られない傾向があり、20質量%を超えると、接着剤層2の粘接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題を起こす傾向がある。
【0072】
また、接着剤層2には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられ、中でも効果が高い点でシラン系カップリング剤が好ましい。
【0073】
上記カップリング剤の使用量は、その効果や耐熱性及びコストの面から、接着剤層2全量を基準として0.01〜10質量%とするのが好ましい。
【0074】
更に、接着剤層2には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性を向上させるために、イオン捕捉剤を添加することもできる。このようなイオン捕捉剤としては特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤などが挙げられる。
【0075】
上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果や耐熱性、コスト等の点から、接着剤層2全量を基準として0.1〜10質量%が好ましい。
【0076】
接着剤層2の厚さは、2〜200μmであることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、5〜40μmであることが特に好ましい。厚さが2μm以上であることにより、接着剤として十分な接着力が確保される傾向があり、200μm以下であることにより、半導体装置が肉薄になり、半導体装置の使用用途が広がる傾向がある。
【0077】
<粘着フィルム>
以下、粘着フィルム層3及び粘着フィルム層20に用いられる粘着フィルムについて説明する。
粘着フィルムとしては、基材フィルムに粘着剤層を設けたものが好ましい。この場合、粘着フィルム層3における接着剤層2と接する側の層、及び粘着フィルム層20における剥離基材1と接する側の層が上記粘着剤層となっている。
【0078】
粘着フィルムに使用する基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0079】
また、上記基材フィルムは異なる2種類以上のフィルムを積層したものであっても良い。この場合、粘着剤層が形成される側のフィルムは、半導体素子のピックアップ作業性が向上する点で、25℃での引張弾性率が2000MPa以上であることが好ましく、2200MPa以上であることがより好ましく、2400MPa以上であることが特に好ましい。
【0080】
また、粘着剤層が形成される側と反対側のフィルムは、フィルムの伸びが大きく、エキスパンド工程での作業性がよい点で、25℃での引張弾性率が1000MPa以下であることが好ましく、800MPa以下であることがより好ましく、600MPa以下であることが特に好ましい。この引張弾性率は、JIS K7113号に準じて測定されるものである。
【0081】
基材フィルムが2種以上のフィルムを積層したものである場合、その積層方法としては特に制限はなく、別々に作製したフィルムをラミネートする方法、一方のフィルム上に他方のフィルムを押出しラミネートする方法、2種類以上のフィルムを押出し塗工しながら貼り合せる方法、一方のフィルムの原料となるポリマーを溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、他方のフィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去する方法、及び、接着剤を用いて2種以上のフィルムを貼り合わせる方法等、公知の方法を使用することができる。
【0082】
粘着フィルムを構成する上記粘着剤層としては、高エネルギー線又は熱によって硬化する(すなわち、粘着力を制御できる)ものが好ましく、高エネルギー線によって硬化するものがより好ましく、紫外線によって硬化するものが特に好ましい。
【0083】
かかる粘着剤層を構成する粘着剤としては、従来から種々のタイプが知られている。それらの中から、高エネルギー線の照射によって、接着剤層2に対する粘着力が低下するものを適宜選んで用いることが好ましい。
【0084】
上記粘着剤としては、特に制限されないが、例えば、ジオール基を有する化合物、イソシアネート化合物、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ジアミン化合物、尿素メタクリレート化合物、側鎖にエチレン性不飽和基を有する高エネルギー線重合性共重合体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0085】
また、粘着剤層が熱により硬化する熱重合性成分を含む場合、粘着剤層には更に硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、特に制限はなく、例えば、イミダゾール類等が挙げられる。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0086】
硬化促進剤の添加量は、熱重合性成分の総量100質量部に対して5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。この添加量が5質量部を超えると保存安定性が低下する傾向がある。
【0087】
また、粘着剤層が高エネルギー線の照射により硬化する高エネルギー線重合性成分を含む場合、粘着剤層には、活性光線の照射によって遊離ラジカルを生成する光重合開始剤を添加することもできる。このような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体などが挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0088】
上記光重合開始剤の使用量としては、特に制限はないが、高エネルギー線重合性成分の総量100質量部に対して通常0.01〜30質量部である。
【0089】
粘着フィルムにおいて、粘着剤層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましい。この厚さが0.1μm以上であることにより、十分な粘着力を確保することができる傾向があり、ダイシング時に半導体チップが飛散することが抑制され、20μm以下であることにより、経済的にも有利となる。
また粘着フィルム全体の厚さは、シワ抑制やダイシングプロセス対応の観点から、50μm以上300μm以下が好ましい。
【0090】
<剥離基材>
次に、剥離基材1について説明する。
剥離基材1は、接着シートの使用時にキャリアフィルムとしての役割を果たすものであり、かかる剥離基材1としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルムなどのポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等を使用することができる。また、紙、不織布、金属箔等も使用することができる。
【0091】
また、剥離基材1の接着剤層2と接する側の面は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の離型剤で表面処理されていてもよい。
【0092】
剥離基材1の厚さは、使用時の作業性を損なわない範囲で適宜選択することができるが、10〜500μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましく、30〜50μmであることが特に好ましい。
【0093】
以上説明した本発明の接着シートは、接着剤層を形成する組成物を溶剤に溶解又は分散してワニスとし、剥離基材1上に塗布し、加熱により溶剤を除去することによって得ることができる。また上記粘着シートも同様に、粘着剤層を形成する組成物を溶剤に溶解又は分散してワニスとし、基材フィルム上に塗布し、加熱により溶剤を除去することによって得ることができる。
【0094】
ここで、上記のワニス化するための溶剤としては特に限定されないが、フィルム作製時の揮発性などを考慮すると、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどの比較的低沸点の溶媒を使用することが好ましい。
【0095】
また、塗膜性を向上させるなどの目的で、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどの比較的高沸点の溶媒を使用することもできる。これらの溶媒は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0096】
無機フィラーを添加した際のワニスの製造には、無機フィラーの分散性を考慮して、らいかい機、3本ロール、ボールミル及びビーズミルなどを使用することが好ましく、また、これらを組み合わせて使用することもできる。また、無機フィラーと低分子量の原料をあらかじめ混合した後、高分子量の原料を配合することによって、混合する時間を短縮することもできる。また、ワニスとした後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することもできる。
【0097】
以上説明したような構成の接着シートに放射線等の高エネルギー線を照射すると、照射後には接着剤層2と粘着フィルム層3との界面の粘着力が大きく低下し、半導体素子に接着剤層2を保持したまま粘着フィルム層3から容易にピックアップすることが可能となる。
【0098】
本発明の接着シートにおいて、接着剤層2と粘着フィルム層3との界面の粘着力を低下させる方法としては、放射線等の高エネルギー線の照射のみで粘着力を低下させる方法以外に、高エネルギー線の照射と同時に又は照射後に硬化反応を促進する目的で加熱を併用する方法が挙げられる。加熱を併用することにより、より低温短時間での粘着力の低下が可能となる。加熱温度は、接着剤層の分解点以下であれば特に制限は受けないが、50〜170℃の温度が好ましい。
【0099】
<接着シートの製造方法>
次に本発明の接着シートを製造する方法について説明する。
【0100】
本発明の接着シートは、例えば、接着剤層2を剥離基材1に塗布する際にあらかじめ部分的に接着剤層2を形成するためのワニス等の原材料を分布させておく方法や、剥離基材1にマスクをし、このマスク部以外の部分に上記のワニス等の原材料を塗布する方法等を用いて形成することができるが、作業の簡便さを考慮すると、あらかじめ剥離基材1の全面に接着剤層2を塗布法により形成し、打ち抜き加工を施して不要部分を取り除く方法が好ましい。また、粘着フィルム層3を部分的に形成する方法としても、上記と同様に打ち抜き加工を施して不要部分を取り除く方法が好ましい。
【0101】
ここで、図3(a)〜(h)は本発明の接着シートの製造方法の第1実施形態を示す一連の工程図である。第1実施形態にかかる本発明の接着シートの製造方法においては、例えば、まず、図3(a)に示すように、剥離基材1上における面30の全面に接着剤層2を積層する(第1の積層工程)。次に、図3(b)に示すように、金型5又はそれに相当する部材を用いて、接着剤層2の剥離基材1に接する側と反対側の面F1から剥離基材1に達するまで切り込みを入れ、所定の形状に打ち抜き加工を施す(第1の切断工程)。その後、図3(c)に示すように、打ち抜き加工を施した接着剤層2の不要部分6を除去し、図3(d)に示すように、所定の平面形状を有する接着剤層2を形成する。
以上のようにして、剥離基材1の面30に、長手方向に沿って部分的に設けられた複数の接着剤層2を形成する(接着剤層形成工程)。
【0102】
次に、図3(e)に示すように、剥離基材1の短手方向の幅よりも幅広の粘着フィルム7を、接着剤層2を覆い、接着剤層2の周囲で剥離基材1の面30と接し、かつ、粘着フィルム7の短手方向両端部が剥離基材1の短手方向両端部からはみ出すように積層する(第2の積層工程)。
その後、剥離基材1の短手方向両端部からはみ出した粘着フィルム7のはみ出し部8を折り曲げて、粘着フィルム7が剥離基材1の面50に接するように固定することで、粘着フィルム層3及び粘着フィルム層20が連続して形成される(粘着フィルム層形成工程)。
以上のようにして、図2に示された接着シート110が得られる。
【0103】
次に、所定の平面形状を有する接着剤層2を形成する場合と同様に、接着シート110の粘着フィルム7に対し、金型又はそれに相当する部材を用いて、粘着フィルム7の剥離基材1に接する側と反対側の面から、剥離基材1に達するまで切り込みを入れ、所定の形状に打ち抜き加工を施し、図3(g)及び図3(h)に示すように粘着フィルム7の不要部分を除去することで、図1に示された接着シート100が得られる。
【0104】
接着シートの製造方法において、第1の積層工程による接着剤層2の積層は、例えば、接着剤層2を構成する材料を溶剤に溶解又は分散してなる接着剤層形成用ワニスを剥離基材1上に塗布し、加熱により溶剤を除去することで行うことができる。
【0105】
また、第2の積層工程における粘着フィルム7の積層は、例えば、粘着剤層を構成する材料を溶剤に溶解又は分散して粘着剤層形成用ワニスとし、これを基材フィルム上に塗布した後、加熱により溶剤を除去して、基材フィルム及び粘着剤層からなる粘着フィルム7を形成する。そして、上記の通り、得られた粘着フィルム7を、接着剤層2及び露出した剥離基材1の全体を覆うように積層し、剥離基材1の短手方向両端に折り返すことによって行うことができる。
【0106】
ここで、剥離基材1及び基材フィルムへのワニスの塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等を用いることができる。
【0107】
また、粘着フィルム7の積層は、従来公知の方法によって行うことができ、例えば、ラミネーター等を用いて行うことができる。
【0108】
(接着シートロール)
図4は、本発明の接着シートロールの一例を示す斜視図である。図4に示す接着シートロール120は、巻き芯11と、巻き芯11の外周面に巻きつけられた上記第1実施形態の接着シート100と、を含んで構成されている。接着シート100については上記の通りである。また、図4に示す接着シートロール120は、接着シート100が完全に巻かれていない状態が示されているが、完全に巻かれていてもよい。
【0109】
(半導体装置の製造方法)
次に、本発明の接着シートを用いて半導体装置を製造する方法について説明する。
図2に記載された接着シート110を用いて半導体装置を製造する場合は、例えば、上記の接着シート100の製造方法で記載したように、粘着フィルム7の不要部分を除去し、粘着フィルム層3と粘着フィルム層20とが離間した状態にしてから、接着シート100の場合と同様にして半導体装置の製造に用いられる。以下、接着シート100を用いた半導体装置の製造方法について説明する。
【0110】
半導体ウェハへの積層体10の貼り付けは、自動化された工程で連続して行うことができる。このような半導体ウェハへの積層体10の貼り付け作業を行う装置としては、例えば、リンテック(株)製のRAD−2500(商品名)等が挙げられる。
【0111】
積層体10を半導体ウェハに貼り付ける場合、接着シート100はロール状に巻き取られた状態で用いられるが、このとき、接着シート100が粘着フィルム層20を有していることにより、接着剤層2に巻き跡が転写されることを十分に抑制することができる。これにより、半導体ウェハに積層体10を貼り付ける際に空気の巻き込み等を低減することができ、半導体ウェハと接着剤層2との界面におけるボイドの発生を十分に抑制することができる。
また、接着シート100の粘着フィルム層20が上記構成であることにより、積層体10を剥離基材1から剥離する工程においても、粘着フィルム層20が剥離基材1から離れて積層体を剥離する装置に悪影響を与えることが抑制される。
【0112】
次に、上記の工程により得られた積層体付き半導体ウェハをダイシングし、必要な大きさの積層体付き半導体素子を得る。ここで更に、洗浄、乾燥等の工程を行ってもよい。このとき、接着剤層2及び粘着フィルム層3により半導体ウェハは積層体10に十分に粘着保持されているので、上記各工程中に半導体ウェハが脱落することが抑制される。
【0113】
次に、放射線等の高エネルギー線を積層体10の粘着フィルム層3に照射し、粘着フィルム層3における粘着剤層の一部又は大部分を重合硬化せしめる。この際、高エネルギー線照射と同時に又は照射後に、硬化反応を促進する目的で更に加熱を行っても良い。
【0114】
粘着フィルム層3への高エネルギー線の照射は、基材フィルムの粘着剤層が設けられていない側の面から行う。したがって、高エネルギー線として紫外線を用いる場合には、基材フィルムは光透過性であることが必要である。なお、高エネルギー線として電子線を用いる場合には、基材フィルムは必ずしも光透過性である必要はない。
【0115】
高エネルギー線照射後、ピックアップすべき半導体素子を、例えば吸引コレットによりピックアップする。この際、ピックアップすべき半導体素子を基材フィルムの下面から、例えば針扞等により突き上げることもできる。粘着剤層を硬化させることにより、半導体素子と接着剤層2との間の粘着力は、接着剤層2と粘着剤層との間の粘着力よりも大きくなるため、半導体素子のピックアップを行うと、接着剤層2と粘着剤層との界面で剥離が生じ、接着剤層2が半導体素子の下面に付着した状態の接着剤層付き半導体素子がピックアップされることとなる。
【0116】
この接着剤層付き半導体素子を、接着剤層2を介して半導体素子搭載用の支持部材に載置し、加熱を行う。加熱により接着剤層2は接着力が発現し、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材との接着が完了する。
【0117】
その後、必要に応じてワイヤボンド工程や封止工程等を経て、半導体装置が製造される。
【0118】
(半導体装置)
図5は、上述した半導体装置の製造方法により製造される本発明の半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。
【0119】
図5に示すように、半導体装置300は、半導体素子搭載用の支持部材となる有機基板70上に、接着剤層2及び半導体素子72からなる接着剤層付き半導体素子が2つ積層されている。また、有機基板70には、回路パターン74及び端子76が形成されており、この回路パターン74と2つの半導体素子72とが、ワイヤボンド78によってそれぞれ接続されている。そして、これらが封止材80により封止され、半導体装置300が形成されている。この半導体装置300は、上述した本発明の半導体装置の製造方法により、本発明の接着シート100を用いて製造されるものである。
【実施例】
【0120】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0121】
(接着剤層形成用ワニスの作製)
まず、エポキシ樹脂としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:YDCN−703、東都化成(株)製、エポキシ当量:220)60質量部、及び、硬化剤として低吸水性フェノール樹脂(商品名:XLC−LL、三井化学(株)製、フェノールキシレングリコールジメチルエーテル縮合物)40質量部に、シクロヘキサノン1500質量部を加えて撹拌混合し、第1のワニスを調製した。次に、この第1のワニスに、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:NUC A−189、日本ユニカー(株)製)1.5質量部、及び、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(商品名:NCU A−1160、日本ユニカー(株)製)3質量部を加え、更に無機物フィラーとしてシリカフィラー(商品名:R972V、日本アエロジル(株)製)32質量部を加えて撹拌混合した後、ビーズミルにより分散処理を行うことで第2のワニスを調製した。次に、この第2のワニスに、エポキシ基含有アクリル系共重合体(商品名:HTR−860P−3、帝国化学産業(株)製)200質量部、及び、硬化促進剤として1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(商品名:キュアゾール2PZ−CN、四国化成(株)製)0.5質量部を加えて撹拌混合し、接着剤層形成用ワニスを調整した。
【0122】
(実施例1)
上記接着剤層形成用ワニスを、剥離基材である膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:テイジンピューレックスA31、帝人デュポンフィルム(株)製)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥を行い、膜厚10μmのBステージ状態の接着剤層を形成した。
【0123】
得られた接着剤層に対して、剥離基材への切り込み深さが10μm以下となるように調節してφ210mmの円形プリカット加工を行った(第1の切断工程)。
一方、ポリオレフィンフィルム(商品名:ハイミラン1855、三井・デュポン ポリケミカル(株)製)上に、厚さ10μmのアクリル系粘着層(2−ヒドロキシエチルアックリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリレート、メタクリレートおよび2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの共重合体)を設けることにより、基材フィルムに粘着剤層が設けられた厚み110μmの粘着フィルムを得た。
【0124】
その後、接着剤層の不要部分を除去し、粘着フィルムをその粘着剤層が接着剤層と接するように、室温、線圧1kg/cm、速度0.5m/分の条件で貼付けた。これにより、図2に示す構造を有する接着シートを得た。
そして、粘着フィルムに対して、剥離基材への切り込み深さが10μm以下となるように調節して接着剤層と同心円状にφ290mmの円形プリカット加工を行うとともに、剥離基材の短手方向の両端部に粘着フィルムを折り返し、その粘着剤層により剥離基材裏面に固定される状態となるよう加工を行った(第2の切断工程)。これにより、図1に示す構造を有する接着シート(支持層として粘着フィルム層20を有する接着シート100)を得た。
【0125】
(実施例2)
接着剤層の膜厚を25μmとした以外は実施例1と同様にして接着シートを得た。
【0126】
(実施例3)
接着剤層の膜厚を40μmとした以外は実施例1と同様にして接着シートを得た。
【0127】
(比較例1)
上記接着剤層形成用ワニスを、膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:テイジンピューレックスA31、帝人デュポンフィルム(株)製)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥を行い、膜厚10μmのBステージ状態の接着剤層を形成した。
【0128】
得られた接着剤層に対して、剥離基材への切り込み深さが10μm以下となるように調節してφ210mmの円形プリカット加工を行った。
【0129】
その後、接着剤層の不要部分を除去し、上記粘着フィルムをその粘着剤層が接着剤層と接するように、室温、線圧1kg/cm、速度0.5m/分の条件で貼付けた。そして、粘着フィルムに対して、剥離基材への切り込み深さが10μm以下となるように調節して接着剤層と同心円状にφ290mmの円形プリカット加工を行った。これにより、図6に示す構造を有する接着シートを得た。
【0130】
(比較例2)
接着剤層の膜厚を25μmとした以外は比較例1と同様にして接着シートを得た。
【0131】
(比較例3)
接着剤層の膜厚を40μmとした以外は比較例1と同様にして接着シートを得た。
【0132】
(比較例4)
粘着フィルムに対するプリカット加工において、接着剤層と同心円状のφ290mmの円形部分と、剥離基材の端部に粘着フィルム層が形成されるようにプリカット加工を行った以外は、比較例1と同様にし、図9に示す構造の支持層を有する接着シートを得た。
【0133】
(比較例5)
比較例1で得られた接着シートの裏面(積層体が形成されていない面)における剥離基材の短手方向両端部に、特開2009−88480号公報の段落0057に記載された実施例1と同様にして支持部材4Aを貼り付け、剥離基材の裏面に支持層を有する接着シートを得た。
【0134】
[巻き跡の転写抑制性評価試験]
実施例1〜3及び比較例1〜5の接着シートを、円形形状の粘着フィルムの数が300枚になるように、巻き取り張力を1kg又は3kgとしてロール状に巻き取り、接着シートロールを作製した。得られた接着シートロールを2週間冷蔵庫内(5℃)で放置した。その後、接着シートロールを室温に戻してからロールを解き、150枚目のフィルムについて目視にて巻き跡の転写の有無を観察し、以下の評価基準に従って、○、△、×の3段階で接着シートの巻き跡の転写抑制性を評価した。その結果を表1に示す。
○:あらゆる角度から観察しても凹み(巻き跡の転写)を確認できない、
△:フィルム上面からは凹み(巻き跡の転写)が確認できないが、フィルムの角度を変え観察することで凹みが確認できる、
×:フィルム上面から観察し、フィルム上に凹み(巻き跡の転写)が確認できる。
【0135】
[支持層の剥離試験]
実施例1〜3及び比較例1〜5の接着シートを用い、積層体をラミネート装置で半導体ウェハにラミネートした。その際、積層体以外の支持層がラミネート装置に与える影響の有無を評価した。その結果を併せて表1に示す。
○:支持層が剥離基材から剥離されず、装置への悪影響も無かった。
△:支持層が剥離基材から部分的に剥離されたのみであり、剥離基材から離れることなく、装置への悪影響も無かった。
×:支持層が剥離基材から離れて、装置内に進入し、悪影響を与えた。
−:支持層を有しない
【0136】
【表1】

【0137】
また、巻き跡の転写抑制性を評価した後の接着シートにおいて、接着剤層及び粘着フィルムを剥離基材から剥離し、これを接着剤層側から半導体ウェハに貼り付けたときのボイドの発生の有無を目視にて評価した。その結果、上記巻き跡の転写抑制性の評価結果が○であったものは、ボイドの発生も十分に抑制されており、△であったものは、ボイドがやや発生しており、×であったものは、ボイドが多く発生していることが確認された。
【0138】
以上の結果から明らかなように、本発明の接着シート(実施例1〜3)によれば、比較例の接着シート(比較例1〜3)と比較して、ロール状に巻き取った場合において、接着剤層に巻き跡が転写されることを十分に抑制することができ、それによって、接着剤層を半導体ウェハに貼り付ける際にボイドの発生を十分に抑制することができることが確認された。また、本発明の接着シート(実施例1〜3)によれば、比較例の接着シート(比較例4〜5)と比較して、支持層が剥離基材から離れにくく、積層体を剥離する装置への悪影響も抑制されることが確認された。
【符号の説明】
【0139】
1…剥離基材、2…接着剤層、3,20…粘着フィルム層、5…金型、6…接着剤層不要部、7…粘着フィルム、10…積層体、22…端部、30,50,F1…面、72…半導体素子、100,110…接着シート、300…半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離基材と、
前記剥離基材の一方の面に、前記剥離基材の長手方向に沿って部分的に設けられた複数の接着剤層と、
前記接着剤層を覆い、且つ、前記接着剤層の周囲で前記剥離基材に接するように形成された第1の粘着フィルム層と、
前記剥離基材の短手方向両端部において、前記剥離基材の前記一方の面から他方の面にかけて延在して設けられた第2の粘着フィルム層と、を有し、
前記剥離基材の前記短手方向両端部における接着シートの厚みは、前記長手方向に前記接着剤層が配列した領域の前記短手方向中央部における接着シートの厚み以上である、接着シート。
【請求項2】
前記剥離基材の前記他方の面に設けられた前記第2の粘着フィルム層における前記短手方向の端部は、前記長手方向に前記接着剤層が配列した領域よりも、前記剥離基材の前記端部側にある請求項1に記載の接着シート。
【請求項3】
前記第1の粘着フィルム層の厚みが10μm以上300μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の接着シート。
【請求項4】
前記接着剤層の厚みが2μm以上200μm以下である、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載の接着シート。
【請求項5】
前記接着剤層は、硬化前における25℃での貯蔵弾性率が10MPa以上10000MPa以下である、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項に記載の接着シート。
【請求項6】
高エネルギー線の照射により、前記接着剤層と前記第1の粘着フィルム層との間の粘着力が低下する、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の接着シート。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の接着シートを製造するための接着シートの製造方法であって、
前記剥離基材の前記一方の面に、前記剥離基材の長手方向に沿って部分的に複数の前記接着剤層を設ける接着剤層形成工程と、
前記剥離基材の前記短手方向の幅よりも幅広の粘着フィルムを、前記剥離基材の前記一方の面に、前記接着剤層を覆い、かつ、前記剥離基材の短手方向両端部からはみ出すように積層し、前記剥離基材の短手方向両端部からはみ出した前記粘着フィルムのはみ出し部を、前記剥離基材の前記他方の面に接触するように折り曲げて固定し、前記第1の粘着フィルム層と、前記第1の粘着フィルム層に連続して形成された前記第2のフィルム層と、を形成する粘着フィルム層形成工程と、
を含む、接着シートの製造方法。
【請求項8】
巻き芯と、
前記巻き芯の外周面に巻きつけられた請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の接着シートと、
を有する接着シートロール。
【請求項9】
請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に記載の接着シートにおいて、前記接着剤層及び前記第1の粘着フィルム層からなる積層体を前記剥離基材から剥離し、前記積層体を、前記接着剤層側の面から半導体ウェハに貼り付けて積層体付き半導体ウェハを得る貼り付け工程と、
前記積層体付き半導体ウェハを、前記半導体ウェハ側の面から、前記接着剤層と前記第1の粘着フィルム層との界面までダイシングし、接着剤層付き半導体素子を得るダイシング工程と、
前記積層体に高エネルギー線を照射して前記第1の粘着フィルム層の前記接着剤層に対する粘着力を低下させた後、前記第1の粘着フィルム層から前記接着剤層付き半導体素子をピックアップするピックアップ工程と、
前記接着剤層付き半導体素子における前記半導体素子を、前記接着剤層を介して被着体に接着する接着工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記被着体が、半導体素子搭載用の支持部材、又は、他の半導体素子である請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9又は10記載の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−6929(P2013−6929A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139451(P2011−139451)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】