説明

接着フィルムの貼り合わせ方法、接続方法、接続構造体及び接続構造体の製造方法

【課題】 細幅の接着フィルムを基板の端子部に効率的に貼り合わせる。
【解決手段】リール4に巻回されたリール体5から引き出された積層体3を長さ方向(L)に裁断し、積層体3は、剥離基材2上に異方性導電フィルム1が積層された構造であり、積層体3の幅(A)と、積層体3を裁断した積層体6の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように積層体6を形成し、積層体6を基板7に貼り合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子が形成された基板に、接着フィルムを効率的に貼り合わせる接着フィルムの貼り合わせ方法、接続方法、接続構造体及び接続構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板に接着フィルムを用いて電子部品を実装する実装法が行われている。例えば、液晶表示パネル(LCDパネル)の周縁部に異方性導電フィルムを介して液晶駆動回路であるICチップを実装するCOG(Chip on Glass)実装法が挙げられる。
【0003】
異方性導電フィルムは、導電性粒子が絶縁性樹脂に分散されてなる導電性粒子含有層が、剥離基材上に形成されたものである。このような異方性導電フィルムは、例えば、フランジを有するリールに巻回されたリール体の形状で使用される(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
ところで、液晶表示パネル等の基板における異方性導電フィルムの実装部、すなわち、基板の端子部の幅は、近年狭くなる動向がある。異方性導電フィルムの幅が狭くなった場合には、リールに巻回された異方性導電フィルムは、リール形状を保持することが困難となる。例えば、異方性導電フィルムの幅が、0.8mmの場合には、100m以上巻回させると、巻き圧等で異方性導電フィルムが潰れたり、上手く巻き回しができなくなってしまい、巻きズレや経時での脱落等の問題が発生してしまう。ここで、経時での脱落とは、例えば、異方性導電フィルムの幅が細い場合に、リールのフランジと異方性導電フィルムの巻回体との隙間に、異方性導電フィルムが脱落して入ってしまうことをいう。この場合、リールの中心軸に近い箇所に異方性導電フィルムが絡まってしまう。
【0005】
異方性導電フィルムの幅が狭い場合には、リール形状での巻きズレや経時での脱落等を防止するために、リールに巻回された異方性導電フィルムが短尺とされるので、生産性が著しく低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−171033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、細幅の接着フィルムを基板の端子部に効率的に貼り合わせることができる接着フィルムの貼り合わせ方法、接続方法、接続構造体及び接続構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、端子が形成された基板と、端子が形成された電子部品とを接続させるための接着フィルムの貼り合わせ方法において、リールに巻回されたリール体から引き出された第1の積層体を長さ方向に裁断し、第1の積層体は、剥離基材上に接着フィルムが積層された構造であり、第1の積層体の幅(A)と、第1の積層体を裁断して得られた第2の積層体の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように、第2の積層体を形成し、第2の積層体を前記基板に貼り合わせる。
【0009】
本発明に係る接続方法は、リールに巻回されたリール体から引き出された第1の積層体を長さ方向に裁断し、第1の積層体は、剥離基材上に接着フィルムが積層された構造であり、第1の積層体を裁断して得られた第2の積層体の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように第2の積層体を形成し、第2の積層体を端子が形成された基板に貼り合わせ、第2の積層体から剥離基材を剥離して、接着フィルム上に、端子が形成された電子部品を仮配置させ、電子部品上から加熱押圧装置により押圧し、基板の端子と、電子部品の端子とを接続させる。
【0010】
本発明に係る接続構造体は、リールに巻回されたリール体から引き出された第1の積層体を長さ方向に裁断し、第1の積層体は、剥離基材上に接着フィルムが積層された構造であり、第1の積層体の幅(A)と、第1の積層体を裁断して得られた第2の積層体の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように第2の積層体を形成し、第2の積層体を端子が形成された基板に貼り合わせ、第2の積層体から剥離基材を剥離して、接着フィルム上に、端子が形成された電子部品を仮配置させ、電子部品上から加熱押圧装置により押圧し、基板の端子と、電子部品の端子とを接続させることによって得られたものである。
【0011】
本発明に係る接続構造体の製造方法は、リールに巻回されたリール体から引き出された第1の積層体を長さ方向に裁断し、第1の積層体は、剥離基材上に接着フィルムが積層された構造であり、第1の積層体の幅(A)と、第1の積層体を裁断して得られた第2の積層体の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように第2の積層体を形成し、第2の積層体を端子が形成された基板に貼り合わせ、第2の積層体から剥離基材を剥離して、接着フィルム上に、端子が形成された電子部品を仮配置させ、電子部品上から加熱押圧装置により押圧し、基板の端子と、電子部品の端子とを接続させることによって接続構造体を得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の積層体を裁断して得られた細幅の第2の積層体を再度リールに巻回させずに直接基板に貼り合わせるので、接着フィルムにおける巻きズレや経時での脱落等の問題が発生せず、接着フィルムを基板の端子部に効率的に貼り合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の積層体をリールに巻回してなるリール体の一例を示す斜視図である。
【図2】異方性導電フィルムの一例を示す図である。
【図3】第1の積層体を裁断する方法の一例を説明するための図であり、(A)は裁断前の第1の積層体を示す図であり、(B)は裁断中の第1の積層体を示す図であり、(C)は裁断後の第2の積層体を示す図である。
【図4】第2の積層体を基板に貼り合わせた状態を示す図である。
【図5】基板の端子上に異方性導電フィルムが設けられた状態を示す図である。
【図6】異方性導電フィルム上に電子部品が仮配置された状態を示す図である。
【図7】電子部品上から加熱押圧装置により押圧する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.接着フィルムの貼り合わせ方法
1−1.リール体を準備する工程
1−2.第1の積層体を裁断する工程
1−3.第2の積層体を貼り合わせる工程
2.基板と電子部品との接続方法
3.実施例
【0015】
<1.接着フィルムの貼り合わせ方法>
本実施の形態に係る接着フィルムの貼り合わせ方法では、図1及び図2に示すように、リール4に巻回されたリール体5から引き出された第1の積層体3(以下、単に「積層体3」という。)を長さ方向(L)に裁断して第2の積層体6(以下、単に「積層体6」という。)を形成する。ここで、積層体3は、剥離基材2上に異方性導電フィルム1が積層された構造である。そして、形成した積層体6を基板7の端子8上に貼り合わせる。また、後に詳述するように、積層体3の幅(A)と、積層体3を裁断して得られた積層体6の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように、積層体6を形成する。
【0016】
(1−1.リール体5を準備する工程)
異方性導電フィルム1の貼り合わせ方法では、まず、積層体3がリール4に巻回されたリール体5を準備する。
【0017】
積層体3は、例えば図1に示すように、プラスチック等からなるリール4に巻回可能な長尺テープ形状とすることができる。すなわち、積層体3は、長尺テープ形状である場合、剥離基材2が外周となるように積層体3の幅方向Aの両端にプラスチック等からなるフランジ10a,10bを備えた巻取部9に巻回され、リール体5として提供される。リール体5における長尺テープ形状の積層体3の長さは、50m〜300m程度とすることができる。
【0018】
積層体3の厚みは、裁断性を良好にする観点から、22〜200μmであることが好ましく、22〜125μmであることがより好ましい。異方性導電フィルム1の厚みは、接続構造体の様式、電気的特性及び機械的特性による接続信頼性、積層体3の製造容易性等の観点から、10μm〜50μmが好ましい。剥離基材2の厚さは、特に限定されないが、剥離性、リール体5における巻回状態の良さ、取扱性等の観点から、12μm〜150μmであることが好ましい。
【0019】
積層体3は、図1及び図3に示すように、バインダ(接着剤)11に導電性粒子12が分散された異方性導電フィルム1が、剥離基材2上に積層されてなる。積層体3は、異方性導電フィルム1の剥離基材2が積層された面とは反対の面側にも剥離基材2を設ける構成としてもよいが、裁断性の観点から、片面のみに剥離基材2を設けることが好ましい。
【0020】
異方性導電フィルム1は、例えば、膜形成樹脂、熱硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する通常のバインダ(接着剤)11に導電性粒子12が分散された異方性導電組成物を剥離基材2上に塗布することにより剥離基材2上に形成される。
【0021】
剥離基材2は、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methlpentene−1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等にシリコーン等の剥離剤を塗布してなり、異方性導電フィルム1の形状を維持することができる。
【0022】
バインダ11に含有される膜形成樹脂としては、平均分子量が10000〜80000程度の樹脂が好ましい。膜形成樹脂としては、エポキシ樹脂、変形エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が特に好ましい。
【0023】
熱硬化性樹脂としては、常温で流動性を有していれば特に限定されず、例えば、市販のエポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0024】
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0025】
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてアクリル化合物、液状アクリレート等を適宜選択することができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。なお、アクリレートをメタクリレートにしたものを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
潜在性硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、加熱硬化型、UV硬化型等の各種硬化剤が挙げられる。潜在性硬化剤は、通常では反応せず、熱、光、加圧等の用途に応じて選択される各種のトリガにより活性化し、反応を開始する。熱活性型潜在性硬化剤の活性化方法には、加熱による解離反応などで活性種(カチオンやアニオン)を生成する方法、室温付近ではエポキシ樹脂中に安定に分散しており高温でエポキシ樹脂と相溶・溶解し、硬化反応を開始する方法、モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤を高温で溶出して硬化反応を開始する方法、マイクロカプセルによる溶出・硬化方法等が存在する。熱活性型潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミン塩、ジシアンジアミド等や、これらの変性物があり、これらは単独でも、2種以上の混合体であってもよい。中でも、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が好適である。
【0027】
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることができる。シランカップリング剤を添加することにより、有機材料と無機材料との界面における接着性が向上される。
【0028】
導電性粒子12としては、異方性導電フィルム1において使用されている公知の何れの導電性粒子を挙げることができる。導電性粒子12としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、或いは、これらの粒子の表面に更に絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒
子を挙げることができる。
【0029】
なお、上述した説明では、積層体3において異方性導電フィルム1を用いるものとしたが、この例に限定されるものではない。積層体3において、異方性導電フィルム1以外の接着フィルム、すなわち、導電性粒子12を含有しない接着フィルムを用いてもよい。例えば、NCF(Non Conductive Film)等の絶縁性接着フィルムを用いてもよい。また、積層体3において、絶縁性接着層と、導電性粒子12を含有する導電性粒子含有層とが積層された2層乃至3層構成の異方性導電フィルムを用いてもよい。
【0030】
(1−2.積層体3を裁断する工程)
続いて、図3(A)〜(C)に示すように、リール体5から積層体3を引き出して長さ方向(L)に裁断し、積層体6を形成する。
【0031】
積層体3を裁断する工程においては、積層体3の幅(A)と、積層体6の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように、積層体3を長手方向に裁断して積層体6を形成する。このように、積層体3の幅(A)と、積層体6の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たす、すなわち、積層体6の幅(B)が、積層体3の幅(A)に対して細すぎないようにすることにより、積層体6における異方性導電フィルム1の状態を良好にすることができる。すなわち、積層体6の異方性導電フィルム1において、浮きやよれが発生することを防止することができる。ここで、異方性導電フィルム1における「浮き」とは、部分的に異方性導電フィルム1が剥離基材2から浮いてしまうことをいう。また、異方性導電フィルム1における「よれ」とは、異方性導電フィルム1が折れてしまい、折り目が付いてしまうことをいう。また、積層体6における異方性導電フィルム1の幅精度を良好にすることができる。
【0032】
また、積層体3の幅(A)と、積層体6の幅(B)とが、0.2×A≦B≦0.8×Aなる関係を満たすようにする、すなわち、積層体6の幅(B)が、積層体3の幅(A)に対して細すぎないようにすることが好ましい。これにより、裁断後の異方性導電フィルム1において、浮きやよれが発生することを防止することに加えて、積層体6における異方性導電フィルム1の幅精度をより良好にすることができる。
【0033】
なお、積層体3を裁断する方法は、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすようにすれば、図3に示すように積層体3を二分割する方法に限定されず、例えば、積層体3を三分割以上に裁断してもよい。
【0034】
積層体3の幅(A)は、0.4mm以上であることが好ましく、特に、0.5mm≦A≦3.5mmなる関係を満たすことが好ましい。0.4mm≦Aなる関係を満たすことにより、積層体6における異方性導電フィルム1の幅精度を良好にすることができる。一方、積層体3の幅(A)が0.4mm未満の場合には、積層体3を長さ方向(L)に裁断することが困難となってしまい、また、積層体6における異方性導電フィルム1の幅精度が悪化してしまう。ここで、積層体6における異方性導電フィルム1の幅精度とは、積層体6の全長に亘る幅の変動の大きさをいう。
【0035】
積層体6の幅(B)は、0.2mm以上であることが好ましく、特に、0.3mm≦B≦2.0mmなる関係を満たすことが好ましい。0.2mm≦Bなる関係を満たすことにより、積層体6における異方性導電フィルム1の幅精度を良好にすることができる。一方、積層体6の幅(B)が0.2mm未満の場合には、積層体3を長さ方向(L)に裁断することが困難であり、また、積層体6における異方性導電フィルム1の幅精度が悪化してしまう。
【0036】
積層体6の幅精度は、実装する際の精度の観点から、±0.1mm以内が好ましく、±0.05mm以内となることがより好ましい。
【0037】
積層体3を長さ方向(L)に裁断する方法としては、特に限定されず、例えば、回転式の丸刃、レザー刃(カッター刃)、スコアカッターを用いた方法が挙げられる。特に、装置の構造がコンパクトである観点から、レザー刃を用いる方法が好ましい。また、得られる積層体6の幅精度を安定させるために、刃の付近には、積層体6の幅に相応したガイド溝が設けられている装置を用いることが好ましい。
【0038】
積層体3を長さ方向(L)に裁断する際の裁断速度は、特に限定されず、例えば、後述する積層体6を基板7の端子8に貼り合わせる工程と連動した送り速度とすることができる。また、積層体3を裁断する装置にアキューム機能を設けて、積層体3を連続して裁断するようにしてもよい。なお、積層体3を裁断して得られた積層体6は、全てを使用せずに、一部を破棄してもよい。
【0039】
(1−3.積層体6を貼り合わせる工程)
続いて、例えば図4に示すように、積層体6の異方性導電フィルム1の面を基板7の端子8上に貼り合わせる。基板7は、狭小幅の端子8を設けた絶縁性基板であれば何れのものであってもよく、例えば、液晶表示パネル、狭小幅の端子を設けたガラス基板、プラスチック基板、ガラス強化エポキシ基板等が挙げられる。
【0040】
以上のように、本実施の形態に係る異方性導電フィルムの貼り合わせ方法では、リール体5から引き出された積層体3を長さ方向(L)に裁断して、積層体3の幅(A)と、積層体6の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように積層体6を形成し、積層体6を基板7の端子8上に貼り合わせる。このように、積層体3を裁断して得られた細幅の積層体6を再度リール4に巻回させずに直接基板7に貼り合わせるので、異方性導電フィルム1における巻きズレや経時での脱落等の問題が発生することを防止することができる。これにより、細幅の異方性導電フィルム1を基板7の狭額部、すなわち、基板7の端子8部に効率的に貼り合わせることができる。
【0041】
また、積層体3の幅(A)と、積層体6の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように積層体6を形成することにより、積層体6の幅精度を良好にすることができ、また、積層体6の異方性導電フィルム1において、浮きやよれが生じることを防止することができる。
【0042】
<3.基板7と電子部品14との接続方法>
次に、積層体6を用いて、端子8が形成された基板7と、端子13が形成された電子部品14との接続方法について説明する。
【0043】
本実施の形態に係る接続方法は、リール体5から引き出された積層体3を長さ方向(L)に裁断して、積層体3の幅(A)と、積層体6の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように、積層体6を形成し、積層体6を基板7の端子8上に貼り合わせる。続いて、積層体3から剥離基材2を剥離して、異方性導電フィルム1上に、端子13が形成された電子部品14を仮配置させる。続いて、電子部品14上から加熱押圧装置15により押圧することにより、基板7の端子8と、電子部品14の端子13とを異方性導電接続させる。
【0044】
電子部品14は、例えば、ICチップ、LSI(Large Scale Integration)チップ等のICチップ以外の半導体チップやチップコンデンサ等の半導体素子、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuits)、液晶駆動用半導体実装材料COF(Chip On Film)を挙げることができる。加熱押圧装置15としては、例えば熱加圧ヘッドを用いることができる。また、UV(ultraviolet)光、電子線等の活性エネルギー線を併用して、基板7の端子8と、電子部品14の端子13とを異方性導電接続させるようにしてもよい。
【0045】
まず、上述した異方性導電フィルムの貼り合わせ方法と同様に、基板7の端子8上に積層体6を貼り合わせ、異方性導電フィルム1を端子8に仮圧着する。
【0046】
異方性導電フィルム1を仮圧着した後、異方性導電フィルム1の位置合わせ状態を確認し、位置ずれ等の不具合が生じていない場合には、異方性導電フィルム1から剥離基材2を剥離する。これにより、図5に示すように、基板7の端子8上に異方性導電フィルム1が現れた状態となる。
【0047】
続いて、図6及び図7に示すように、基板7の端子8と電子部品14の端子13とが対向するように、電子部品14を異方性導電フィルム1上に配置する。
【0048】
続いて、図7に示すように、電子部品14の上面を加熱押圧装置15により、例えば圧力3MPa〜50MPa程度の圧力で加圧しながら異方性導電フィルム1中の熱硬化性樹脂の硬化温度以上の温度で加熱する。これにより、異方性導電フィルム1を介して基板7の端子8と電子部品14の端子13とを本圧着する。加熱温度は、熱硬化性樹脂の種類によっても異なるが、例えば、温度140〜220℃程度とすることができる。
【0049】
このような接続方法により、異方性導電フィルム1を介して基板7と電子部品14とが接続された接続構造体が製造される。すなわち、異方性導電フィルム1中の導電性粒子12を介して基板7の端子8と電子部品14の端子13とが接続されて基板7と電子部品14との導通が図られる。
【0050】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は、上述の本実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
<4.実施例>
【実施例】
【0051】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
実施例1では、厚さ50μmのPETフィルムの表面がシリコーンにより剥離処理されてなる剥離フィルムを両面に備えたエポキシ系樹脂をバインダとする厚さ25μmの異方性導電フィルム(CP6920F3、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)を裁断(スリット)し、3層からなる積層体を作成した。続いて、プラスチック製のリールに巻回して、長さ300m、厚さ125μm、幅2.5mmのリール形状の積層体(リール体)を作成した。
【0053】
リール体から引き出した積層体を、レザー刃(製品名OLFA社製、特専黒刃02)により長さ方向に裁断して、幅(B)が1.0mmの積層体と、幅(B)が1.5mmの積層体とを形成した。
【0054】
(実施例2)
実施例2では、リール体から引き出した積層体を裁断して、幅(B)が0.5mmの積層体と、幅(B)が2.0mmの積層体とを形成したこと以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0055】
(実施例3)
実施例3では、長さ50m、厚さ125μm、幅0.4mmのリール形状の積層体(リール体)を作成して、リール体から引き出した積層体を裁断して二分割し、幅(B)が0.2mmの積層体を2つ形成したこと以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0056】
(実施例4)
実施例4では、厚さ75μmのPETフィルムを使用し、異方性導電フィルムの厚さを50μm、長さ50m、厚さ200μm、幅0.4mmのリール形状の積層体(リール体)を作成して、リール体から引き出した積層体を裁断して二分割し、幅(B)が0.2mmの積層体を2つ形成したこと以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0057】
(実施例5)
実施例5では、厚さ12μmのPETフィルムの表面がシリコーンにより剥離処理されてなる剥離フィルムを片面に備えたエポキシ系樹脂をバインダとする厚さ10μmの異方性導電フィルム(CP6920F3、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)を裁断(スリット)し、2層からなる積層体を作成した。続いて、プラスチック製のリールに巻回して、長さ50m、厚さ22μm、幅0.4mmのリール形状の積層体(リール体)を作成した。
【0058】
(比較例1)
比較例1では、厚さ50μmのPETフィルムの表面がシリコーンにより剥離処理されてなる剥離フィルムを両面に備えたエポキシ系樹脂をバインダとする厚さ25μmの異方性導電フィルム(CP6920F3、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)を裁断し、3層からなる積層体を作成した。続いてプラスチック製のリールに巻回して、長さ300m、厚さ125μm、幅1.0mmのリール形状の積層体(リール体)を作成した。
【0059】
(比較例2)
比較例2では、厚さ50μmのPETフィルムの表面がシリコーンにより剥離処理されてなる剥離フィルムを両面に備えたエポキシ系樹脂をバインダとする厚さ25μmの異方性導電フィルム(CP6920F3、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)を裁断し、3層からなる積層体を作成した。続いてプラスチック製のリールに巻回して、長さ300m、厚さ125μm、幅0.5mmのリール形状の積層体(リール体)を作成した。
【0060】
(比較例3)
比較例3では、厚さ50μmのPETフィルムの表面がシリコーンにより剥離処理されてなる剥離フィルムを両面に備えたエポキシ系樹脂をバインダとする厚さ25μmの異方性導電フィルム(CP6920F3、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)を裁断し、3層からなる積層体を作成した。続いてプラスチック製のリールに巻回して、厚さ125μm、幅0.2mmの積層体を作成した。
【0061】
(比較例4)
比較例4では、厚さ50μmのPETフィルムの表面がシリコーンにより剥離処理されてなる剥離フィルムを片面に備えたエポキシ系樹脂をバインダとする厚さ25μmの異方性導電フィルム(CP6920F3、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)を裁断し、厚さ75μm、幅0.2mmの2層からなる積層体を作成した。
【0062】
(比較例5)
比較例5では、リール体から引き出した積層体を裁断して二分割し、幅(B)が0.2mmの積層体と、幅(B)が2.3mmの積層体とを形成したこと以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0063】
<フィルム積層体の巻回状態の評価>
実施例1〜5及び比較例1〜5の積層体において、巻回状態の評価を目視にて行った。巻回状態の評価は、異方性導電フィルムのはみ出しによって巻きズレがなく一様に良好な巻回状態であるものを「◎」、巻回状態の一部に巻きズレがあるものを「△」、巻きズレがあり実施不可能であるものを「×」とした。巻回状態の評価結果を表1に示す。
【0064】
<裁断後の幅精度の評価>
実施例1〜5及び比較例1〜5の積層体において、裁断後の幅(B)の精度(幅精度)の評価を行った。幅精度の評価は、裁断後の積層体の幅精度が±0.05mm以内の場合を「◎」、裁断後の積層体の幅精度が±0.1mm以内の場合を「○」、裁断後の積層体の幅精度が±0.1mmを超えた場合を「×」とした。幅精度の評価結果を表1に示す。
【0065】
<裁断後の状態の評価>
実施例1〜5及び比較例1〜5の積層体において、裁断後の状態の評価を行った。裁断後の状態の評価は、異方性導電フィルム層における浮きやよれがなく良好な場合を「◎」、部分的に異方性導電フィルム層の浮きや裁断不良が発生した場合を「×」とした。裁断後の状態の評価結果を表1に示す。
【0066】
<総合評価(判定)>
実施例1〜5及び比較例1〜5の積層体について、以上の全ての評価結果が「◎」又は「○」である積層体を「◎」、すなわち、実施可能な積層体とした。また、以上の評価結果において「△」又は「×」が1つ以上ある積層体を「×」、すなわち、実施に不適である積層体として評価した。総合評価結果を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
比較例1における裁断前の積層体は、巻回状態の一部に巻きズレが生じてしまった。これは、裁断前の積層体の幅が狭く、また、リール体の巻取部に巻回させた積層体の長さが長すぎたためと考えられる。
【0069】
比較例2における積層体は、巻きズレがあり実施不可能であった。これは、裁断前の積層体の幅が狭く、また、リール体の巻取部に巻回させた積層体の長さが長すぎたためと考えられる。
【0070】
比較例3及び比較例4における積層体は、裁断前の積層体の幅(A)が0.4mm未満で細すぎたため、裁断することができなかった。
【0071】
比較例5における積層体は、裁断後の積層体の状態が良好ではなかった。これは、比較例5における積層体において、裁断前の積層体の幅(A)と、裁断後の積層体の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たしていない、すなわち、裁断後の積層体の幅(B−1)が、裁断前の積層体の幅(A)に対して細すぎたためと考えられる。
【0072】
一方、実施例1〜実施例5における積層体は、裁断前の積層体、すなわち、第1の積層体の幅(A)と、裁断後の積層体、すなわち第2の積層体の幅(B)とが、0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たしているので、積層体の巻回状態と、裁断後の幅精度と、裁断後の状態とが良好であった。
【符号の説明】
【0073】
1 異方性導電フィルム、2 剥離基材、3 第1の積層体、4 リール、5 リール体、6 第2の積層体、7 基板、8 端子、9 巻取部、10 フランジ、11 バインダ、12 導電性粒子、13 端子、14 電子部品、15 加熱押圧装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子が形成された基板と、端子が形成された電子部品とを接続させるための接着フィルムの貼り合わせ方法において、
リールに巻回されたリール体から引き出された第1の積層体を長さ方向に裁断し、
前記第1の積層体は、剥離基材上に接着フィルムが積層された構造であり、
前記第1の積層体の幅(A)と、該第1の積層体を裁断して得られた第2の積層体の幅(B)とが、
0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように、該第2の積層体を形成し、該第2の積層体を前記基板に貼り合わせる接着フィルムの貼り合わせ方法。
【請求項2】
前記第1の積層体の幅(A)が0.4mm以上であり、
前記第2の積層体の幅(B)が0.2mm以上である請求項1記載の接着フィルムの貼り合わせ方法。
【請求項3】
前記第1の積層体の厚みが22〜200μmである請求項1又は2記載の接着フィルムの貼り合わせ方法。
【請求項4】
リールに巻回されたリール体から引き出された第1の積層体を長さ方向に裁断し、該第1の積層体は、剥離基材上に接着フィルムが積層された構造であり、該第1の積層体の幅(A)と、該第1の積層体を裁断して得られた第2の積層体の幅(B)とが、
0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように該第2の積層体を形成し、該第2の積層体を端子が形成された基板に貼り合わせ、
前記第2の積層体から前記剥離基材を剥離して、前記接着フィルム上に、端子が形成された電子部品を仮配置させ、
前記電子部品上から加熱押圧装置により押圧し、
前記基板の端子と、前記電子部品の端子とを接続させる接続方法。
【請求項5】
リールに巻回されたリール体から引き出された第1の積層体を長さ方向に裁断し、該第1の積層体は、剥離基材上に接着フィルムが積層された構造であり、該第1の積層体の幅(A)と、該第1の積層体を裁断して得られた第2の積層体の幅(B)とが、
0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように該第2の積層体を形成し、該第2の積層体を端子が形成された基板に貼り合わせ、
前記第2の積層体から前記剥離基材を剥離して、前記接着フィルム上に、端子が形成された電子部品を仮配置させ、
前記電子部品上から加熱押圧装置により押圧し、
前記基板の端子と、前記電子部品の端子とを接続させることによって得られる接続構造体。
【請求項6】
リールに巻回されたリール体から引き出された該第1の積層体を長さ方向に裁断し、該第1の積層体は、剥離基材上に接着フィルムが積層された構造であり、該第1の積層体の幅(A)と、該第1の積層体を裁断して得られた第2の積層体の幅(B)とが、
0.1×A≦B≦0.9×Aなる関係を満たすように該第2の積層体を形成し、該第2の積層体を端子が形成された基板に貼り合わせ、
前記第2の積層体から前記剥離基材を剥離して、前記接着フィルム上に、端子が形成された電子部品を仮配置させ、
前記電子部品上から加熱押圧装置により押圧し、
前記基板の端子と、前記電子部品の端子とを接続させることによって接続構造体を得る接続構造体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−199308(P2011−199308A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2011−126591(P2011−126591)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】