説明

描画管理システム、描画管理方法及び描画管理プログラム

【課題】ユーザに特別な負担を課すことなく画像表示装置上に表示された情報の漏洩を防止する。
【解決手段】描画端末装置10と、描画端末装置にて描画された画像データを蓄積する画像データ蓄積部22を備えたサーバ装置20と、描画端末装置とサーバ装置とを接続するネットワーク30と、を備えた描画管理システム1であって、描画端末装置は、非接触情報記憶媒体Cに記憶された識別情報を読み取る識別情報読取部11と、ユーザからの画像入力を受け付ける入力受付部12と、入力受付部から入力された画像データを表示する画像表示部13と、装置全体を制御する制御部17と、を備え、制御部は、非接触情報記憶媒体が識別情報読取部との通信許容範囲外にあることを検知した場合に画像表示部の表示を消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユーザの適切な権限に従って描画を管理することができる描画管理システム、及び描画管理プログラムに関し、特に画像表示部に表示された情報の漏洩を効果的に防止する描画管理システム、描画管理方法及び描画管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、タッチパネルを操作し、手書き入力も含むオブジェクトの生成・編集・操作を行い、作成されたオブジェクトをネットワーク上の他の端末と共有することができる会議支援システムが知られている。特許文献1記載の発明においては、オブジェクトのデータを各端末が個別に備えるストレージ装置(例えばハードディスクドライブ等)に保管する。このストレージ装置は容易に運搬できるため、ストレージ装置が盗難にあうと情報が漏えいする虞があるというセキュリティ上の問題がある。
そこで特許文献2では、電子黒板に手書きされたメモ等のオブジェクトデータを所定のタイミングにてネットワーク上のストレージ装置に自動保存する会議支援システムが開示されている。ネットワーク上のストレージ装置は、端末の備えるストレージ装置に比べて盗難にあう虞が低く、情報が漏洩するというセキュリティリスクを低減できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献2に記載の発明においては、画像表示装置上に表示されている情報のセキュリティリスクについては何ら考慮されていない。例えば、会議支援システムのユーザが会議終了後に画像表示装置上の電源を切断する等の措置を取らなければ、画像表示装置を介して情報が漏洩する虞があり、ユーザには情報管理負担が存在するという問題がある。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、ユーザに特別な負担を課すことなく画像表示装置上に表示された情報の漏洩を防止する描画管理システム及び描画管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、描画端末装置と、前記描画端末装置にて描画された画像データを蓄積する画像データ蓄積部を備えたサーバ装置と、前記描画端末装置と前記サーバ装置とを接続するネットワークと、を備えた描画管理システムであって、前記描画端末装置は、非接触情報記憶媒体に記憶された識別情報を読み取る識別情報読取部と、ユーザからの画像入力を受け付ける入力受付部と、該入力受付部から入力された画像データを表示する画像表示部と、装置全体を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲外にあることを検知した場合に前記画像表示部の表示を消去することを特徴とする描画管理システム。
請求項2に記載の発明は、前記描画端末装置は、前記サーバ装置に記憶された画像データを取得するための画像取得要求データを生成する画像取得要求データ生成部を備え、前記サーバ装置は、前記識別情報に基づいてユーザ認証を行う認証部と、前記描画端末装置から送信されたデータに対する応答データを生成する応答データ生成部と、を備え、前記描画端末装置は、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲内にあることを検知した場合に、前記サーバ装置に対して前記識別情報を含む前記画像取得要求データを前記画像取得要求データ生成部により生成して送信し、前記応答データ生成部は、受信した前記画像取得要求データの内容に応じて応答データを生成し、前記画像表示部は、少なくとも受信した前記応答データに含まれる画像データを表示することを特徴とする請求項1に記載の描画管理システム。
【0005】
請求項3に記載の発明は、前記制御部は、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲外であることを検知した場合、所定時間経過後に前記画像表示部の表示を消去することを特徴とする請求項1又は2に記載の描画管理システム。
請求項4に記載の発明は、印刷データを印刷する印刷装置を備え、前記描画端末装置は、外部からの印刷指示命令に基づいて印刷要求データを生成する印刷要求データ生成部を備え、前記サーバ装置は、印刷データを生成する印刷データ生成部を備え、前記描画端末装置は、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲内にあることを検知したときに前記印刷要求データ生成部により印刷要求データを生成して前記サーバ装置に送信し、前記印刷データ生成部は、前記印刷要求データに基づいて印刷データを生成して前記印刷装置に送信し、前記印刷装置は、受信した印刷データを印刷することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の描画管理システム。
【0006】
請求項5に記載の発明は、描画端末装置と、前記描画端末装置にて描画された画像データを蓄積する画像データ蓄積部を備えたサーバ装置と、前記描画端末装置と前記サーバ装置とを接続するネットワークと、を備えた描画管理システムの描画端末装置における描画管理方法であって、識別情報読取部が、非接触情報記憶媒体に記憶された識別情報を読み取るステップと、入力受付部が、ユーザからの画像入力を受け付けるステップと、画像表示部が、前記入力受付部から入力された画像データを表示するステップと、制御部が、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲外にあることを検知した場合に前記画像表示部の表示を消去するステップと、を有することを特徴とする描画管理方法。
請求項6に記載の発明は、描画端末装置と、前記描画端末装置にて描画された画像データを蓄積する画像データ蓄積部を備えたサーバ装置と、前記描画端末装置と前記サーバ装置とを接続するネットワークと、を備えた描画管理システムの描画端末装置が実行可能な描画管理プログラムであって、識別情報読取部が、非接触情報記憶媒体に記憶された識別情報を読み取るステップと、入力受付部が、ユーザからの画像入力を受け付けるステップと、画像表示部が、前記入力受付部から入力された画像データを表示するステップと、制御部が、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲外にあることを検知した場合に前記画像表示部の表示を消去するステップと、を有することを特徴とする描画管理プログラム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非接触情報記憶媒体が識別情報読取部との通信許容範囲外にある場合に画像表示部の表示を消去するので、ユーザが描画管理システムを用いて会議中に手書きメモした検討内容などを消し忘れることを防止し、画像表示部を介した情報漏えいを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る描画管理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】画像表示部に表示される画面例を示す図である。
【図3】第一の実施形態に係る描画管理システムの動作を示したフローチャートである。
【図4】第二の実施形態に係る描画管理システムの構成の一例を示す図である。
【図5】第二の実施形態に係る描画管理システムの動作を示したフローチャートである。
【図6】第三の実施形態に係る描画管理システムの動作を示したフローチャートである。
【図7】第四の実施形態に係る描画管理システムの構成の一例を示す図である。
【図8】第四の実施形態に係る描画管理システムの動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第一の実施形態〕
本発明の第一の実施形態について図1に基づいて説明する。図1は第一の実施形態に係る描画管理システムの構成の一例を示す図である。本実施形態に係る描画管理システムは、ユーザが常時携帯する非接触情報記憶媒体(例えばICカードの社員証等:以下、情報記憶媒体と呼ぶ)が、この情報を読み取る識別情報読取装置との通信許容範囲外にある場合に、画像表示装置のデータを消去する点に特徴がある。
描画管理システム1は、画像を描画する描画端末装置10と、描画端末装置10にて描画された画像データを蓄積するサーバ装置20と、描画端末装置10とサーバ装置20とを接続するネットワーク30と、を備える。描画管理システム1には、少なくとも1台以上の描画端末装置10が接続されていればよい。
描画端末装置10は、情報記憶媒体Cに記憶されたユーザの識別情報を読み取る識別情報読取部11と、ユーザからの入力を受け付ける入力受付部12と、入力受付部12から入力された画像データを表示する画像表示部13と、識別情報と画像データを含む画像制御要求データを生成する画像制御要求データ生成部14と、生成された画像制御要求データ等を送信し、又はサーバ装置20からのデータを受信するデータ通信部15と、入力受付部12から入力された画像データを一時的に格納する記憶部16と、描画端末装置10全体を制御する制御部17と、を備える。記憶部16は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、あるいはハードディスクドライブ等でよい。
サーバ装置20は、画像制御要求データに含まれる識別情報を利用してユーザ認証を行う認証部21と、画像制御要求データに含まれる画像データを蓄積する画像データ蓄積部22と、ユーザ認証結果及び画像データの蓄積結果等、描画端末装置10に対する応答データを生成する応答データ生成部23と、描画端末装置10との間でデータを送受信するデータ通信部24と、サーバ装置20全体を制御する制御部25と、を備える。
【0010】
ここで、ネットワーク30は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、又はインターネットなどのネットワークである。また、各描画管理システム1は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)、又はFTP(File Transfer Protocol)などにより相互に通信してもよい。
情報記憶媒体Cは、非接触型IC、又はRFID(Radio Frequency IDentification)等の非接触情報記憶媒体であり、具体的には例えば社員証等が挙げられる。情報記憶媒体Cに記憶された識別情報は、ユーザのPKI(Public Key Infrastructure)におけるクライアント証明書でよく、また情報記憶媒体Cが社員証である場合には社員番号でよい。
識別情報読取部11は、情報記憶媒体Cに記憶された識別情報を無線通信により読み取る。また、識別情報読取部11は、情報記憶媒体Cが通信許容範囲内にあるか否かを検知する。
入力受付部12は、例えばタッチパネル(ディスプレイに指やペン等で直接触れたところを座標検出する装置)、やマウス等のポインティング・デバイス(座標検出が可能な装置)であってもよい。
【0011】
図2は、描画端末装置10の画像表示部13に表示される画面例を示す図である。入力受付部12は、図示のようにGUI(Graphical User Interface)であってもよく、GUIを用いて指、スタイラスなどを用いて手書き入力を行えるようにしてもよい。
図2に示す表示画面100は、ユーザが入力受付部12から入力した入力画像が表示される描画領域101と、描画領域101における動作を指示する操作領域102とを有する。操作領域102には、描画領域101内における画面移動の方向を指示する十字ボタン103と、描画領域101内における描画/削除の各モードを切り替える切替ボタン104と、描画領域101内に表示されている画像データを印刷装置70(図7参照)にて印刷するよう指示する印刷ボタン105を有する。印刷ボタン105に関わる描画管理システムの動作については、第四の実施形態にて説明する。
入力受付部12から入力される画像データは、ユーザにより入力された手書きストロークであり、画像データは描画端末装置10及びサーバ装置20においてベクトル形式で保持されてもよく、ビットマップ形式で保持されてもよい。
【0012】
画像制御要求データ生成部14は、画像データに関して所定の制御を行うようサーバ装置20に要求するための画像制御要求データを生成する。画像制御要求データには、サーバ装置20に対する要求、例えば描画データを保存するようリクエストする描画保存コマンドが含まれている。さらに、情報記憶媒体Cから取得した識別情報、具体的にはユーザの所属組織の名称などの情報アクセス権限に関わる情報が含まれてもよく、また描画端末装置の位置情報(部屋番号など)、画像表示部13の画面サイズや解像度等の情報が含まれてもよい。また、画像制御要求データの記述形式はJSON(Java(登録商標)Script Object Notation)、又はXML(eXtensible Markup Language)のように構造化された形式で記述されてもよく、テキスト形式のように構造化されていない形式で記述されてもよい。
サーバ装置20の認証部21は、画像制御要求データに含まれた識別情報に基づいてユーザ認証を行う。認証部21は、SSL(Secure Socket Layer)などPKI(Public Key Infrastructure)を利用して、ユーザの認証要求をしてもよく、識別情報に従ってユーザのアクセス権の有無を取得し、描画管理システム1にアクセス権がある場合に画像制御要求データを承認し、アクセス権がない場合は否認してもよい。
画像データ蓄積部22は、HDD(Hard Disk Drive)、又は不揮発性メモリのような記憶媒体でよい。
サーバ装置20は、URL(Uniform Resource Locator)で指定されてよい。例えばsomewhereというサーバ装置のmeetingsというパスにあるcanvas1という保管先をURLにて指定して、画像データのストロークデータ((x1,y1)、(x2,y2))を保存する場合、
https://somewhere/meetings/canvas1?cmd=draw&pos=x1%2Cy1%2Cx2%2Cy2
という形式で指定してもよい。
上記例では、cmdパラメータで描画保存コマンド(draw)を指定し、posパラメータで画像データのストローク位置を“%2C”(“,”のパーセントエンコーディング)区切りで指定している。
【0013】
応答データ生成部23は、描画端末装置10への応答データを生成する。応答データのヘッダ部には認証部21による認証の成否に応じてそれぞれ“200 OK”、“403 Forbidden”のようなステータスコードを含む。応答データのボディ部には、保存に成功した画像データが含まれてよい。また、応答データのボディ部の記述形式はJSON(Java(登録商標)Script Object Notation)、又はXML(eXtensible Markup Language)のように構造化された形式でもよく、テキスト形式のように構造化されていない形式でもよい。
例えばJSON形式であれば、
{“cmd”:“draw”,“result”:[{“id”:pos1,“pos”:[[x1,y1],[x2,y2]]},{“id”:pos2,“pos”:[[x3,y3],[x4,y4]}]}
という形式で指定してもよい。
また、画像表示部13は、データ通信部15において受信した応答データに含まれるヘッダ部の内容に従って、認証の成否を表す文字列(“200 OK”、“403 Forbidden”)を表示するか、又は前景、背景の色などの表示を変更することにより認証の成否を表示する。
【0014】
第一の実施形態における描画管理システム1の動作手順の一例をフローチャートに基づいて説明する。図3は、描画管理システムの動作を示したフローチャート図である。
描画端末装置10の識別情報読取部11は、まず情報記憶媒体Cが通信許容範囲内にあるか否かを判別する(S1)。通信許容範囲内にない場合(S1でNO)、制御部17は画像表示部13に表示されている全ての描画画像を消去するとともに(S2)、描画端末装置10の記憶部16に格納されている全ての描画画像データも消去してフローを終了する。
情報記憶媒体Cが通信許容範囲内にある場合(S1でYES)、識別情報読取部11は情報記憶媒体Cに記憶されている識別情報を読み取る(S3)。入力受付部12はユーザからの入力を受け付け(S4)、制御部17は入力された画像データを記憶部16に格納する。
制御部17は、入力された画像データを画像表示部13に表示する(S5)。画像制御要求データ生成部14は、画像データのストロークデータと識別情報とを含む画像制御要求データを生成し(S6)、データ通信部15は画像制御要求データをサーバ装置20に対して送信し(S7)、サーバ装置20からレスポンスがあるまで待機する。
【0015】
サーバ装置20は、描画端末装置10からの画像制御要求データを受信し(S9)、認証部21は、画像制御要求データに含まれている識別情報に従ってユーザ認証を行う(S10)。
認証が失敗する場合、応答データ生成部23は、アクセスが禁止されている旨を示す“403 Forbidden”をヘッダに含む応答データを生成し(S11)、ステップS15に進む。
認証が成功する場合、制御部25は、画像制御要求データから画像データのストロークを取り出して画像データ蓄積部22に保存する(S12)。さらに、保存処理が成功した画像データのストロークを画像データ蓄積部22から取得する(S13)。
応答データ生成部23は、描画端末装置10からの要求が正常に行われ、問題なく処理が行われたことを示す“200 OK”をヘッダに含み、保存処理が成功した画像データのストロークを含む応答データを生成する(S14)。
その後、データ通信部24は、応答データを描画端末装置10に返送する(S15)
描画端末装置10は応答データを受信し(S8)、ステップS1からのフローを繰り返す。
【0016】
以上のように本実施形態において、ユーザは非接触情報記憶媒体を識別情報読取部から外したとき、すなわち非接触情報記憶媒体が識別情報読取部の通信許容範囲外にあるときに、ユーザが描画した画像データを非表示にできるので、描画管理システムを用いて会議中に手書きした検討内容などを消し忘れた場合であっても、画像表示部を介した情報漏えいを防止することができる。
【0017】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態について図4に基づいて説明する。図4は本実施形態に係る描画管理システムの構成の一例を示す図である。本実施形態においては、サーバ装置に蓄積された画像データを取得するための画像取得要求データ生成部を備えた点に特徴がある。第一の実施形態においては、情報記憶媒体が識別情報読取部と通信許容範囲外になった場合に、画像表示部に表示された画像データ及び記憶部に一時的に記憶された画像データが消去されるため、その後に情報記憶媒体が通信許容範囲内になった場合であっても、入力された画像データを表示することができなかった。本実施形態においては、画像データをサーバ装置から取得することにより、画像表示部及び記憶部から消去された画像データを画像表示部に表示する。
以下、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0018】
本実施形態に係る描画管理システム2における描画端末装置40は、サーバ装置20の画像データ蓄積部22内に蓄積された画像データを取得するための画像取得要求データを生成する画像取得要求データ生成部41を備えている。
画像取得要求データ生成部41が生成する画像取得要求データには、サーバ装置20に対する要求の他、情報記憶媒体Cから取得したユーザの識別情報を含む。
サーバ装置20は、URL(Uniform Resource Locator)で指定されてよい。例えばsomewhereというサーバ装置のmeetingsというパスにあるcanvas1という保管先をURLにて指定して、この保管先から画像データを取得する場合、
https://somewhere/meetings/canvas1?cmd=get&id=−1
という形式で指定してもよい。
上記例では、cmdパラメータで取得コマンド(get)を指定し、idパラメータで全ての画像データのid(−1)を指定している。
【0019】
第二の実施形態における描画管理システム2の動作手順の一例をフローチャートに基づいて説明する。図5は、描画管理システムの動作を示したフローチャート図である。第一の実施形態と同一の動作については同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
描画端末装置40は、ステップS1及びS3の動作を行った後、サーバ装置20から、画像表示部13に表示すべき画像データを既に取得しているか否かを判別する(S21)。
既に取得している場合は(S21にてYES)、ステップS4に進む。
未だ取得していない場合は(S21にてNO)、画像取得要求データ生成部41が画像取得要求データを生成し、データ通信部15からサーバ装置20に向けて送信し(S22)、サーバ装置20からレスポンスがあるまで待機する。
サーバ装置20は、描画端末装置10からの画像取得要求データを受信し(S31)、認証部21は、画像取得要求データに含まれている識別情報に従ってユーザ認証を行う(S32)。
認証が失敗する場合、応答データ生成部23が、“403 Forbidden”をヘッダに含む応答データを生成し(S33)、ステップS36に進む。
認証が成功する場合制御部25は、要求された画像データのストロークを画像データ蓄積部22から取得する(S34)。応答データ生成部23は、“200 OK”をヘッダに含み、取得した画像データのストロークを含む応答データを生成する(S35)。
その後、データ通信部24は、応答データを描画端末装置40に返送する(S36)。
描画端末装置40は応答データを受信し(S23)、制御部17は、受信した応答データから画像データのストロークを取り出して、画像表示部13に表示させて(S24)、ステップS4以降の処理を行う。
【0020】
以上のように本実施形態においては、サーバ装置に蓄積された画像データのストロークデータを描画端末装置が取得するので、識別情報読取部と情報記憶媒体との通信が一時的に切断され、画像表示部及び記憶部から描画データが消去された場合であっても、情報記憶媒体が識別情報読取部との通信許容範囲内に入ることで、画像表示装置の表示を復帰させることができるので、ユーザの所望のタイミングで画像表示装置の表示をオン/オフすることができ、ミーティングなどを自由にかつ、安全に中断することができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0021】
〔第三の実施形態〕
本発明の第三の実施形態について図6に基づいて説明する。図6は、本実施形態に係る描画管理システムの動作を示したフローチャート図である。本実施形態においては、情報記憶媒体が識別情報読取部との通信許容範囲外となった場合に、所定時間経過後に画像表示部及び記憶部から画像データを消去する点に特徴がある。以下、第一及び第二の実施形態と同一の動作ステップには同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、本実施形態の動作は第一の実施形態に係る描画管理システム1の例により説明するが、本実施形態は第二の実施形態に係る描画管理システム2に適用することも可能である。すなわち、図5のフローチャートに本実施形態に係る処理ステップS41乃至S43を加えて実施することが可能である。
【0022】
図1に示す描画端末装置10の制御部17は、情報記憶媒体Cが識別情報読取部11との通信許容範囲外に移行してからの時間Tを計測するタイマを備えている。
本実施形態に係る描画管理システムの動作は、以下の通りである。
情報記憶媒体Cが識別情報読取部11との通信許容範囲内にない場合(S1でNO)、制御部17は、情報記憶媒体Cが通信許容範囲外に移行してからの時間Tの計測を開始する(S41)。
制御部17は、時間Tが所定時間、例えば5秒を超えているか否かを判別し(S42)、超えている場合には(S42でYES)、画像表示部13に表示されている全ての描画画像の表示を消去するとともに(S2)、描画端末装置10の記憶部16に格納されている全ての描画画像データも消去してフローを終了する。
時間Tが所定時間を超えていない場合(S42でNO)、識別情報読取部11は、情報記憶媒体Cが通信許容範囲内にあるか否かを判別し(S43)、通信許容範囲内にある場合(S43でYES)、制御部17はステップS3の処理を行う。通信許容範囲内にない場合は(S43でNO)、再度時間Tが所定時間を超えたか否かの判別を制御部17が行う(S42)。
【0023】
以上のように本実施形態によれば、情報記憶媒体Cが通信許容範囲内から逸脱した場合であっても、所定時間が経過するまでは画像表示部及び記憶部の画像データが消去されないので、誤操作により画像データが消去されるという不具合を解消できる。また、所定時間内に情報記憶媒体Cが通信許容範囲内に入った場合には、情報記憶媒体Cに記憶された識別情報を再度識別情報読取装置に読み取らせることにより、入力受付装置からの入力を受け付けるので、誤操作により画像データの入力が中断されるという不具合を解消できる。
【0024】
〔第四の実施形態〕
本発明の第四の実施形態について図7に基づいて説明する。図7は、第四の実施形態に係る描画管理システムの構成の一例を示す図である。本実施形態に係る描画管理システムは、画像データを印刷する印刷装置を備えた点に特徴がある。以下、第一乃至第三の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態における描画管理システム3の描画端末装置50は、第二の実施形態に係る描画端末装置40の備えた各機能の他に、印刷要求データを生成する印刷要求データ生成部51を備えている。また、サーバ装置60は、第一の実施形態に係るサーバ装置20の備えた各部の他に、印刷要求データを生成する印刷データ生成部61を備えている。また、描画管理システム3のネットワーク30には、画像データを印刷する印刷装置70が接続されている。
ユーザは、画像データを印刷するにあたり、図2に示す表示画面100の印刷ボタン105を指、スタイラスなどを用いて選択することにより印刷指示操作を行ってもよい。ユーザからの印刷指示操作を受けて、印刷要求データ生成部51は印刷要求データを生成する。
【0025】
印刷要求データには、情報記憶媒体Cから取得した識別情報、具体的にはユーザの所属組織の名称などの情報アクセス権限に関わる情報が含まれてもよい。
印刷要求データは、印刷設定を含む。印刷設定は、例えば両面印刷か、片面印刷か、集約印刷か、モノクロ/カラー印刷か、などの設定である。
また、印刷要求データは、印刷すべき画像データが保存されている場所を指定する情報を含む。例えば、somewhereというサーバ装置のmeetingsというパスにあるcanvas1という保管先にある全ての描画画像データを印刷する場合、
https://somewhere/meetings/canvas1?cmd=print&id=−1
という形式で指定してもよい。
上記例では、cmdパラメータで印刷コマンド(print)を指定し、idパラメータで全ての画像データのid(−1)を指定している。
また、印刷要求データに含まれるデータの記述形式はJSON(Java(登録商標)Script Object Notation)、又はXML(eXtensible Markup Language)のように構造化された形式で記述されてもよく、テキスト形式のように構造化されていない形式で記述されてもよい。
【0026】
描画管理システム3の動作手順の一例をフローチャートに基づいて説明する。図8は、描画管理システムの動作を示したフローチャート図である。第一乃至第三の実施形態と同一の動作については同一のステップ番号を付している。
識別情報読取部11は、情報記憶媒体Cが通信許容範囲内にあるか否かを判別する(S1)。通信許容範囲内にない場合(S1でNO)、制御部17は、画像表示部13に表示されている全ての描画画像を消去するとともに(S2)、描画端末装置10の記憶部16に格納されている全ての描画画像データも消去してフローを終了する。
情報記憶媒体Cが通信許容範囲内にある場合(S1でYES)、識別情報読取部11は、情報記憶媒体Cに記憶されている識別情報の読み取りを行い(S3)、ユーザからの印刷指示操作を受け付ける(S4)。ユーザからの印刷指示操作に基づいて、印刷要求データ生成部51は印刷要求データを生成し(S52)、データ通信部15は生成された印刷要求データをサーバ装置60に対して送信し(S53)、サーバ装置60からレスポンスがあるまで待機する。
【0027】
サーバ装置60は、描画端末装置50からの印刷要求データを受信し(S61)、認証部21は、印刷要求データに含まれる識別情報に従ってユーザ認証を行う(S62)。
認証が失敗する場合、応答データ生成部23が“403 Forbidden”をヘッダに含む応答データを生成し(S63)、ステップS69に進む。
認証が成功する場合、印刷データ生成部61は、印刷要求データに含まれる印刷する画像データの保存先情報に基づいて画像データ蓄積部22から画像データを取得し(S64)、印刷データを生成する(S65)。
その後、データ通信部24は、生成された印刷データを印刷装置70に送信し(S66)、印刷装置70からレスポンスがあるまで待機する。
印刷装置70は、サーバ装置60からの印刷データを受信後(S71)、印刷データに基づいて出力を行う(S72)。出力が完了すると、印刷装置70はサーバ装置60に対し、印刷終了通知を送信する(S73)。
データ通信部24が印刷終了通知を受信後(S67)、応答データ生成部23は、“200 OK”を含む応答データを生成し(S68)、データ通信部24が応答データを描画端末装置50に送信する(S69)。
描画端末装置50は、応答データを受信する(S54)。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、描画端末装置の画像表示部に表示されている画像データを、この画像データにアクセス権のあるユーザのみが印刷できるので、画像データに対する情報アクセスを制限しつつ、会議等において入力受付部から入力して手書きストローク形式にて保存された検討内容を印刷することができる。
なお、上述の各実施形態に記載した各ステップを有する描画管理方法をコンピュータに実行させることができる。
この場合、コンピュータが実行可能なプログラムを格納する記録媒体としては半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD等)、磁気媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。
また、ロードしたプログラムを実行することにより上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することによって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0029】
市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等を介して接続されたサーバコンピュータの記憶装置にプログラムを格納しておき、インターネット等を通じて他のコンピュータに転送することもできる。この場合、このサーバコンピュータの記憶装置も本発明の記録媒体に含まれる。
なお、コンピュータでは、可搬型の記録媒体上のプログラム、または転送されてくるプログラムを、コンピュータに接続した記録媒体にインストールし、そのインストールされたプログラムを実行することによって上述した実施形態の機能が実現される。
【符号の説明】
【0030】
1、2、3…描画管理システム、10…描画端末装置、11…識別情報読取部、12…入力受付部、13…画像表示部、14…画像制御要求データ生成部、15…データ通信部、16…記憶部、17…制御部、20…サーバ装置、21…認証部、22…画像データ蓄積部、23…応答データ生成部、24…データ通信部、25…制御部、30…ネットワーク、40…描画端末装置、41…画像取得要求データ生成部、50…描画端末装置、51…印刷要求データ生成部、60…サーバ装置、61…印刷データ生成部、70…印刷装置、100…表示画面、101…描画領域、102…操作領域、103…十字ボタン、104…切替ボタン、105…印刷ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特許第4053378号公報
【特許文献2】特開2006−005589公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画端末装置と、前記描画端末装置にて描画された画像データを蓄積する画像データ蓄積部を備えたサーバ装置と、前記描画端末装置と前記サーバ装置とを接続するネットワークと、を備えた描画管理システムであって、
前記描画端末装置は、非接触情報記憶媒体に記憶された識別情報を読み取る識別情報読取部と、ユーザからの画像入力を受け付ける入力受付部と、該入力受付部から入力された画像データを表示する画像表示部と、装置全体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲外にあることを検知した場合に前記画像表示部の表示を消去することを特徴とする描画管理システム。
【請求項2】
前記描画端末装置は、前記サーバ装置に記憶された画像データを取得するための画像取得要求データを生成する画像取得要求データ生成部を備え、
前記サーバ装置は、前記識別情報に基づいてユーザ認証を行う認証部と、前記描画端末装置から送信されたデータに対する応答データを生成する応答データ生成部と、を備え、
前記描画端末装置は、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲内にあることを検知した場合に、前記サーバ装置に対して前記識別情報を含む前記画像取得要求データを前記画像取得要求データ生成部により生成して送信し、
前記応答データ生成部は、受信した前記画像取得要求データの内容に応じて応答データを生成し、
前記画像表示部は、少なくとも受信した前記応答データに含まれる画像データを表示することを特徴とする請求項1に記載の描画管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲外であることを検知した場合、所定時間経過後に前記画像表示部の表示を消去することを特徴とする請求項1又は2に記載の描画管理システム。
【請求項4】
印刷データを印刷する印刷装置を備え、
前記描画端末装置は、外部からの印刷指示命令に基づいて印刷要求データを生成する印刷要求データ生成部を備え、
前記サーバ装置は、印刷データを生成する印刷データ生成部を備え、
前記描画端末装置は、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲内にあることを検知したときに前記印刷要求データ生成部により印刷要求データを生成して前記サーバ装置に送信し、前記印刷データ生成部は、前記印刷要求データに基づいて印刷データを生成して前記印刷装置に送信し、前記印刷装置は、受信した印刷データを印刷することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の描画管理システム。
【請求項5】
描画端末装置と、前記描画端末装置にて描画された画像データを蓄積する画像データ蓄積部を備えたサーバ装置と、前記描画端末装置と前記サーバ装置とを接続するネットワークと、を備えた描画管理システムの描画端末装置における描画管理方法であって、
識別情報読取部が、非接触情報記憶媒体に記憶された識別情報を読み取るステップと、
入力受付部が、ユーザからの画像入力を受け付けるステップと、
画像表示部が、前記入力受付部から入力された画像データを表示するステップと、
制御部が、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲外にあることを検知した場合に前記画像表示部の表示を消去するステップと、を有することを特徴とする描画管理方法。
【請求項6】
描画端末装置と、前記描画端末装置にて描画された画像データを蓄積する画像データ蓄積部を備えたサーバ装置と、前記描画端末装置と前記サーバ装置とを接続するネットワークと、を備えた描画管理システムの描画端末装置が実行可能な描画管理プログラムであって、
識別情報読取部が、非接触情報記憶媒体に記憶された識別情報を読み取るステップと、
入力受付部が、ユーザからの画像入力を受け付けるステップと、
画像表示部が、前記入力受付部から入力された画像データを表示するステップと、
制御部が、前記非接触情報記憶媒体が前記識別情報読取部との通信許容範囲外にあることを検知した場合に前記画像表示部の表示を消去するステップと、を有することを特徴とする描画管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−191802(P2011−191802A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54798(P2010−54798)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】