説明

搬送アーム洗浄装置、搬送アーム洗浄方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】搬送アームの保持部を効率よく洗浄する。
【解決手段】搬送アーム洗浄装置1は、搬送アーム102側の側面が開口した処理容器20を有している。処理容器20の開口部21の上部と下部には、気体を噴射する気体噴射部30、30が設けられている。気体噴射部30からの気体の噴射によって、開口部21にはエアカーテンが形成される。処理容器20内の上部には、洗浄ガス及び洗浄液を吐出する洗浄ノズル40が設けられ、洗浄ノズル40は、水平方向及び鉛直方向に移動可能になっている。洗浄ノズル40から吐出される洗浄ガス及び洗浄液は加熱され、洗浄液はミスト状になっている。処理容器20の底面には、洗浄ノズル40から吐出され処理容器20の底面に落下した洗浄液を回収する排液口50が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板を保持して搬送する搬送アームの保持部の洗浄装置、搬送アーム洗浄方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造におけるフォトリソグラフィー処理では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、ウェハ上に所定のレジストのパターンが形成される。
【0003】
この一連のフォトリソグラフィー処理は、通常、各処理を行う処理ユニットと、当該処理ユニット間にウェハを搬送する搬送アーム等を供えた処理システム内で行われる。この場合、各処理ユニットでの処理後のウェハには、異物が付着している場合がある。そしてこの異物が付着したウェハを搬送アームによって搬送すると、搬送アームのウェハの保持部に異物が転写されるため、次に搬送されるウェハに異物が付着する場合がある。このため、定期的に搬送アームの保持部を洗浄する必要がある。
【0004】
そこで、搬送アームの保持部を洗浄する方法として、特許文献1には、一の側面が開口した処理容器内にその開口部から搬送アームを進入させ、処理容器内の搬送アームの保持部に気体を噴射する方法が開示されている。また、特許文献1には、処理容器内の搬送アームの保持部に洗浄液を供給しながら、洗浄部材を保持部に接触させる方法も開示されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−256345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように処理容器内に搬送アームを進入させた状態で、搬送アームの保持部の洗浄を行った場合、搬送アームは通常処理容器外の駆動機構等に支持されているため、搬送アームは開口部を貫通した状態で洗浄処理される。したがって、この洗浄処理中、処理容器の開口部を閉じることができない。そうすると、上述のように搬送アームの保持部に気体を噴射した場合、除去された異物の一部は処理容器の外部に流出してしまう。また、上述のように搬送アームの保持部に洗浄液を吐出した場合、異物を含んだ洗浄液の一部は処理容器の外部に飛散してしまう。この結果、これら異物や洗浄液がウェハ上に付着したり、あるいは他の処理装置等を汚染するおそれがある。
【0007】
また、搬送アームの保持部に洗浄液を吐出した場合、搬送アームの洗浄液を乾燥させる必要があるため、保持部の洗浄処理に時間がかかってしまう。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、搬送アームの保持部を効率よく洗浄することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板の保持部を複数有する搬送アームの保持部を洗浄する洗浄装置であって、一の側面に、前記搬送アームを進入させる開口部が形成された処理容器と、前記処理容器内に設けられ、前記搬送アームの保持部に対して少なくとも洗浄ガス又は洗浄液を吐出する洗浄ノズルと、前記処理容器の開口部に設けられ、当該開口部を気流で閉塞するように気体を噴射する気体噴射部と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、洗浄ノズルから搬送アームの保持部に少なくとも洗浄ガス又は洗浄液を吐出して当該保持部を洗浄する際、気体噴射部から気体を噴射して開口部を閉塞する、いわゆるエアカーテンを開口部に形成することができるので、洗浄処理中に、保持部に付着していた異物や洗浄ノズルから吐出される洗浄液が処理容器外に流出することがない。また、保持部の洗浄後、搬送アームを処理容器から退出させる際には、前記エアカーテンによって、洗浄液で濡れた搬送アームを乾燥させることができる。したがって、従来行われていた保持部の乾燥時間を短縮することができ、保持部の一連の洗浄処理を短時間で行うことができる。さらに、洗浄ノズルから搬送アームの保持部に吐出される洗浄液を、洗浄ガスによって強い吐出圧力で吐出することができるので、保持部を高い洗浄効果で洗浄することができる。なお、洗浄ガスと洗浄液を混合体とした後、当該混合体を洗浄ノズルから吐出してもよい。
【0011】
前記洗浄ノズルが前記各保持部の上方に位置するように、少なくとも前記洗浄ノズル又は前記搬送アームは移動自在であってもよい。
【0012】
前記洗浄ノズルから吐出される少なくとも洗浄ガス又は洗浄液は、所定の温度に加熱されていてもよい。なお、所定の温度とは、搬送アーム及びその保持部が変質しない温度である。
【0013】
前記洗浄ノズルから吐出される洗浄液は、ミスト状であってもよい。
【0014】
前記気体噴射部は、前記処理容器の開口部の上部と下部に設けられていてもよい。
【0015】
前記気体噴射部から噴射される気体は、所定の温度に加熱されていてもよい。なお、所定の温度とは、搬送アーム及びその保持部が変質しない温度である。
【0016】
別な観点による本発明は、基板の保持部を複数有する搬送アームの保持部を洗浄する洗浄方法であって、一の側面に開口部が形成された処理容器内に、当該開口部から前記搬送アームを進入させる進入工程と、前記処理容器内に設けられた洗浄ノズルから前記搬送アームの保持部に少なくとも洗浄ガス又は洗浄液を吐出する洗浄工程と、前記処理容器から前記搬送アームを退出させる退出工程と、を有し、前記洗浄工程と前記退出工程が行われている間、前記処理容器の開口部に設けられた気体噴射部から気体を噴射し、前記開口部は当該噴射された気体の気流で閉塞されていることを特徴としている。
【0017】
前記洗浄工程において、前記洗浄ノズルが前記各保持部の上方に位置するように、少なくとも前記洗浄ノズル又は前記搬送アームを移動させてもよい。
【0018】
前記洗浄工程において、前記洗浄ノズルから吐出される少なくとも洗浄ガス又は洗浄液は、所定の温度に加熱されていてもよい。なお、所定の温度とは、搬送アーム及びその保持部が変質しない温度である。
【0019】
前記洗浄工程において、前記洗浄ノズルから吐出される洗浄液は、ミスト状であってもよい。
【0020】
前記洗浄工程において、前記洗浄ノズルから前記搬送アームの保持部に少なくとも洗浄液を吐出した後、前記洗浄ノズルから洗浄ガスを前記保持部に噴射し、当該保持部を乾燥させてもよい。
【0021】
前記気体噴射部は、前記処理容器の開口部の上部と下部に設けられ、前記洗浄工程及び前記退出工程において、前記開口部は、前記気体噴射部から下方に噴射される気体の気流と上方に噴射される気体の気流で閉塞されていてもよい。
【0022】
前記退出工程において、前記気体噴射部から噴射される気体は、所定の温度に加熱されていてもよい。なお、所定の温度とは、搬送アーム及びその保持部が変質しない温度である。
【0023】
また別な観点による本発明によれば、前記搬送アームの洗浄方法を搬送アーム洗浄装置によって実行させるために、当該搬送アーム洗浄装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0024】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、異物や洗浄液を処理容器外に流出させることなく、搬送アームの保持部を短時間で効率よく洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる搬送アーム洗浄装置1の構成の概略を示す縦断面図であり、図2は、搬送アーム洗浄装置1の構成の概略を示す横断面図である。なお、図1及び図2には、ウェハを搬送する搬送機構2についても図示している。また、これら搬送アーム洗浄装置1及び搬送機構2は、例えばウェハのフォトリソグラフィー処理を行う処理システム(図示せず)などに設置される。
【0027】
搬送機構2は、図1及び図2に示すようにウェハの外周部を保持して搬送する搬送アーム10を有している。搬送アーム10は、図3に示すようにウェハWの外周部を支持するために3/4円環状に構成されたフレーム部11と、このフレーム部11と一体に形成され、かつフレーム部11を支持するためのアーム部12とを有している。フレーム部11には、ウェハWの外周部を直接支持する保持部13が例えば3箇所設けられている。保持部13はフレーム部11の内円周に等間隔に設けられ、フレーム部11の内側に突出している。
【0028】
搬送アーム10の下面側には、図1に示すように搬送アーム10を支持する基台14が設けられている。基台14にはモータ15が設けられており、搬送アーム10を水平方向(図1中のX方向)に移動させることができる。モータ15の下面側には、基台14を支持するシャフト16が設けられている。シャフト16の下面側には、例えばモータ(図示せず)などを内蔵した駆動機構17がさらに設けられ、この駆動機構17により搬送アーム10は鉛直方向(図1中のZ方向)に昇降可能であり、かつ回転できる。
【0029】
搬送アーム洗浄装置1は、図1に示すように搬送装置2側の側面が開口した処理容器20を有している。この処理容器20の側面の開口部21から搬送アーム10を進入させて、処理容器20内で当該搬送アーム10の保持部13を洗浄することができる。
【0030】
処理容器20の開口部21の上部と下部には、図1に示すように例えば気体を噴射する気体噴射部30、30が設けられている。気体噴射部30、30は、それぞれ処理容器20の上面内側と下面内側に接して固定されている。気体噴射部30は、気体の噴射口31が複数形成された気体噴射ノズル32を備えている。開口部21の上部に設けられた気体噴射部30の噴射口31は気体噴射ノズル32の下端に設けられ、噴射口31から鉛直下方(図1中のZ方向負方向)に向けて気体が噴射される。一方、開口部21の下部に設けられた気体噴射部30の噴射口31は気体噴射ノズル32の上端に設けられ、噴射口31から鉛直上方(図1中のZ方向正方向)に向けて気体が噴射される。気体噴射ノズル32は、図2に示すように処理容器20の短手方向(図2中のY方向)に延伸し、その両端は、処理容器20の上面又は下面に固定された固定部材33によって支持されている。気体噴射ノズル32には、供給管34を介して気体供給源35が接続されている。供給管34には、気体供給源35から供給される気体を加熱する、例えばヒータなどの加熱機構36が設けられている。そして、気体供給源35から気体噴射ノズル32に気体が供給され、気体噴射ノズル32、32から気体が噴射されると、図4に示すように開口部21が噴射された気体の気流によって閉塞され、開口部21にいわゆるエアカーテンが形成される。なお、気体噴射ノズル32から噴射される気体には、例えば空気が用いられる。また、エアカーテンの気流が処理容器20の外部に流れないように、処理容器20内に排気口(図示せず)を設けてもよい。かかる場合、エアカーテンが形成されているときは、排気口より排気することにより、気体の気流が処理容器20外に流れることを防止できる。
【0031】
処理容器20内の上部には、図1に示すように例えば洗浄ガス及び洗浄液を吐出する洗浄ノズル40が設けられている。洗浄ノズル40は、搬送アーム10の保持部13に上方から均一に洗浄ガス及び洗浄液を吐出できる大きさであり、例えば保持部13と同一の大きさとなっている。洗浄ノズル40には、洗浄ガスの供給管41を介して洗浄ガス供給源42が接続されている。供給管41には、洗浄ガス供給源42から供給される洗浄ガスを加熱する、例えばヒータなどの加熱機構43が設けられている。また、洗浄ノズル40には、洗浄液の供給管44を介して洗浄液供給源45が接続されている。供給管44には、洗浄液供給源45から供給される洗浄液を加熱する、例えばヒータなどの加熱機構46が設けられており、洗浄液は例えばミスト状になるまで加熱される。そして、洗浄液供給源45から供給された洗浄液は、洗浄ガス供給源42から供給された洗浄ガスによって高い吐出圧力で洗浄ノズル40から吐出される。なお、洗浄ガスには、例えば窒素ガス、圧縮空気、ヘリウムガス等が用いられる。洗浄液には、例えば純水(高温が望ましい)、シンナー、アミン系有機溶媒、HFE、アセトン、IPA等が用いられる。
【0032】
洗浄ノズル40は、図2に示すようにアーム47を介して移動機構48に接続されている。アーム47は、移動機構48によって、処理容器20の長手方向(図2中のX方向)に延伸して設けられたガイドレール49に沿って移動できる。また、アーム47は、移動機構48によって処理容器の短手方向(図2中のY方向)に移動できると共に、鉛直方向(図2中のZ方向)にも移動できる。
【0033】
処理容器20の底面には、図1に示すように洗浄ノズル40から吐出され処理容器20の底面に落下した洗浄液を回収する排液口50が形成されている。排液口50には、排液管51が接続されている。なお、この排液口50は排気口として用いることも可能である。
【0034】
上述の移動機構48による洗浄ノズル40の移動動作、洗浄ガス供給源42及び洗浄液供給源45による洗浄ノズル40の洗浄ガス及び洗浄液の吐出動作、気体供給源35による気体噴射ノズル32の気体の噴射動作、モータ15及び駆動機構17による搬送アーム10の移動動作などの駆動系の動作は、制御部100により制御されている。制御部100は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、搬送アーム洗浄装置1及び搬送機構2による保持部13の洗浄処理を制御するプログラムが格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどの記憶媒体に記憶されていたものであって、その記憶媒体から制御部100にインストールされたものが用いられている。
【0035】
次に、以上のように構成された搬送アーム洗浄装置1で行われる搬送アーム10の保持部13の洗浄について説明する。図5は、搬送アーム10の洗浄処理の各工程を示す説明図である。
【0036】
先ず、搬送アーム10を開口部21から処理容器10内に進入させる。このとき、気体噴射ノズル32からの気体の噴射は停止している(図5(a))。
【0037】
搬送アーム10が所定の位置まで進入すると、洗浄ノズル40を搬送アーム10における一の保持部13の真上に移動させる。その後、洗浄ノズル40から当該保持部13に向けて洗浄ガス及び洗浄液を吐出する。このとき、洗浄液は加熱機構46によって例えば70℃に加熱され、ミスト状になっている。また、洗浄ガスも同様に加熱機構43によって例えば70℃に加熱されている。そして、洗浄ノズル40から吐出される洗浄液は、洗浄ガスによって強い圧力で吐出され、ミスト状の洗浄液の粒が保持部13に衝突し、保持部13に付着した異物が除去される。また、処理容器20の底面に落下した洗浄液は、排液口50から排出される。なお、この洗浄ノズル40からの洗浄ガス及び洗浄液の吐出中、気体噴射ノズル32から気体を噴射する。そうすると、開口部21にエアカーテンが形成され、洗浄ノズル40から吐出される洗浄液が処理容器20の外部に飛散することがない(図5(b))。なお、洗浄ガス及び洗浄液の吐出に際し、洗浄ガス及び洗浄液を混合体とした後、当該混合体を洗浄ノズル40から吐出してもよい。
【0038】
この洗浄ガス及び洗浄液の吐出を所定の時間行い、保持部13が洗浄されると、次に洗浄ノズル40から洗浄ガスのみを噴射する。そして、この洗浄ガスによって、洗浄液で濡れた保持部13を乾燥させる。なお、この保持部13の乾燥中も、気体噴射ノズル32から気体を噴射し、開口部21にエアカーテンを形成しておくのが好ましい(図5(c))。
【0039】
このように一の保持部13の洗浄、乾燥が終了すると、次に洗浄ノズル40を他の保持部13の真上に移動させて、当該他の保持部13の洗浄、乾燥を行う。このようにして搬送アーム10の3箇所の保持部13をすべて洗浄する。
【0040】
すべての保持部13の洗浄が終了すると、搬送アーム10を処理容器20から退出させる。このとき、気体噴射ノズル32から気体が噴射され、この気体は加熱機構36によって例えば70℃に加熱されている。そうすると、搬送アーム10の保持部13が開口部21を通過する際、加熱された気体によって搬送アーム10を完全に乾燥させることができる(図5(d))。
【0041】
以上の実施の形態によれば、洗浄ノズル40から搬送アーム10の保持部13に洗浄ガス及び洗浄液を吐出して当該保持部13を洗浄する際、気体噴射ノズル32から気体を噴射して開口部21を閉塞する、いわゆるエアカーテンを開口部21に形成することができるので、洗浄処理中に、保持部13に付着していた異物や塗布ノズル40から吐出される洗浄液が処理容器20外に流出することがない。したがって、異物や洗浄液が処理容器20外のウェハW上に付着したり、あるいは他の処理装置等を汚染するおそれがない。
【0042】
また、洗浄ノズル40から搬送アーム10の保持部13に吐出される洗浄液は、洗浄ガスによって強い吐出圧力で吐出されるので、保持部13を高い洗浄効果で洗浄することができる。
【0043】
また、保持部13の洗浄後、搬送アーム10を処理容器から退出させる際には、気体噴射ノズル32から噴射された気体により開口部21に形成されるエアカーテンによって、洗浄液で濡れた搬送アーム10を乾燥させることができる。したがって、上述した洗浄ノズル40からの洗浄ガスによる保持部13の乾燥時間を短縮することができる。しかも、気体噴射ノズル32、32は開口部21の上部と下部の両側に設けられているので、搬送アーム10の表面と裏面の両面に気体を噴射して乾燥させることができ、さらに、気体噴射ノズル32から噴射される気体は例えば70℃に加熱されているので、搬送アーム10の乾燥をより効率よく行うことができる。したがって、搬送アーム10の保持部の一連の洗浄処理を短時間で行うことができる。
【0044】
また、洗浄ノズル40は水平方向(X−Y方向)に移動自在であるので、一の洗浄ノズル40で複数の保持部13をすべて洗浄することができる。
【0045】
また、洗浄ノズル40から吐出される洗浄ガス及び洗浄液は、例えば70℃に加熱されているので、搬送アーム10の保持部13に付着した異物をより効率よく除去することができる。例えば保持部13に付着した異物がレジストである場合には、高温の洗浄液によってレジストを溶解させることができる。
【0046】
また、洗浄ノズル40から吐出される洗浄液は、加熱されてミスト状になっているので、洗浄液の粒が保持部13に付着した異物に衝突し、当該異物を効率よく除去することができる。
【0047】
以上の実施の形態では、洗浄ノズル40は保持部13と同じ大きさであったが、洗浄ノズル40に代えて、図6に示すように処理容器20の短手方向(図6中のY方向)に延伸する洗浄ノズル60を設けてもよい。洗浄ノズル60の長手方向(図6中のY方向)の長さは、搬送アーム10の幅とほぼ同じであり、洗浄ノズル60から長手方向に沿って洗浄ガス及び洗浄液を吐出することができる。また、洗浄ノズル60は、アーム61に支持され、処理容器20に対して固定されている。そして、搬送アーム10を水平方向(図6中のX方向)に移動させることで、保持部13を洗浄ノズル60の直下に配置させ、洗浄ノズル60から吐出される洗浄ガス及び洗浄液によって保持部13が洗浄される。かかる場合、洗浄ノズル60を移動させる必要がなく、前記実施の形態における移動機構48及びガイドレール49を省略することができる。
【0048】
以上の実施の形態では、洗浄ノズル40は1基だけ設けられていたが、図7に示すように洗浄ノズル70を3基設けてもよい。洗浄液ノズル70は、搬送アーム10の保持部13に対応する位置にそれぞれ配置され、アーム71を介して処理容器20に固定されている。また、各洗浄ノズル70は、前記洗浄ノズル40と同一の構造を有しており、洗浄ガス供給源42及び洗浄液供給源45に接続されている。そして、搬送アーム10を水平方向(図7中のX方向)に移動させることで、保持部13を洗浄ノズル70の直下に配置させ、洗浄ノズル70から吐出される洗浄ガス及び洗浄液によって保持部13が洗浄される。かかる場合、3基の洗浄ノズル70によって搬送アーム10の3箇所に設けられた保持部13を同時に洗浄することができ、保持部13の洗浄処理時間を短縮することができる。また、かかる場合、前記実施の形態における移動機構48及びガイドレール49を省略することができる。
【0049】
以上の実施の形態では、洗浄ノズル40から吐出される洗浄ガス及び洗浄液は共に加熱されていたが、洗浄液又は洗浄ガスのいずれか一方を加熱してもよい。
【0050】
以上の実施の形態の搬送アーム洗浄装置1によって搬送アーム10の保持部13を洗浄した後、当該保持部13の清浄度を検査してもよい。かかる清浄度の検査においては、検査用のウェハを洗浄後の搬送アーム10によって検査装置(図示せず)に搬入し、例えばCCDカメラによってウェハ裏面の異物の有無を検査する。この検査結果に基づいて、次に搬送アーム10の保持部13を洗浄する際の洗浄ノズル40や気体噴射部30等がフィードバック制御される。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板を保持して搬送する搬送アームの洗浄の際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施の形態にかかる搬送アーム洗浄装置及び搬送機構の構成の概略を示す縦断面図である。
【図2】本実施の形態にかかる搬送アーム洗浄装置及び搬送機構の構成の概略を示す横断面図である。
【図3】本実施の形態にかかる搬送アームの平面図である。
【図4】本実施の形態にかかる搬送アーム洗浄装置の概略を示す縦断面図である。
【図5】搬送アームの洗浄処理の各工程を示す説明図であり、(a)は搬送アームを処理容器内に進入させる様子を示し、(b)は搬送アームの保持部を洗浄する様子を示し、(c)は搬送アームの保持部を乾燥させる様子を示し、(d)は搬送アームを処理容器外に退出させる様子を示している。
【図6】他の形態にかかる搬送アーム洗浄装置及び搬送機構の構成の概略を示す横断面図である。
【図7】他の形態にかかる搬送アーム洗浄装置及び搬送機構の構成の概略を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 搬送アーム洗浄装置
2 搬送機構
10 搬送アーム
13 保持部
20 処理容器
21 開口部
30 気体噴射部
32 気体噴射ノズル
35 気体供給源
36 加熱機構
40 洗浄ノズル
42 洗浄ガス供給源
43 加熱機構
45 洗浄液供給源
46 加熱機構
50 排液口
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の保持部を複数有する搬送アームの保持部を洗浄する洗浄装置であって、
一の側面に、前記搬送アームを進入させる開口部が形成された処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、前記搬送アームの保持部に対して少なくとも洗浄ガス又は洗浄液を吐出する洗浄ノズルと、
前記処理容器の開口部に設けられ、当該開口部を気流で閉塞するように気体を噴射する気体噴射部と、を有することを特徴とする、搬送アーム洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄ノズルが前記各保持部の上方に位置するように、少なくとも前記洗浄ノズル又は前記搬送アームは移動自在であることを特徴とする、請求項1に記載の搬送アーム洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄ノズルから吐出される少なくとも洗浄ガス又は洗浄液は、所定の温度に加熱されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の搬送アーム洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄ノズルから吐出される洗浄液は、ミスト状であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の搬送アーム洗浄装置。
【請求項5】
前記気体噴射部は、前記処理容器の開口部の上部と下部に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の搬送アーム洗浄装置。
【請求項6】
前記気体噴射部から噴射される気体は、所定の温度に加熱されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の搬送アーム洗浄装置。
【請求項7】
基板の保持部を複数有する搬送アームの保持部を洗浄する洗浄方法であって、
一の側面に開口部が形成された処理容器内に、当該開口部から前記搬送アームを進入させる進入工程と、
前記処理容器内に設けられた洗浄ノズルから前記搬送アームの保持部に少なくとも洗浄ガス又は洗浄液を吐出する洗浄工程と、
前記処理容器から前記搬送アームを退出させる退出工程と、を有し、
前記洗浄工程と前記退出工程が行われている間、前記処理容器の開口部に設けられた気体噴射部から気体を噴射し、前記開口部は当該噴射された気体の気流で閉塞されていることを特徴とする搬送アーム洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄工程において、前記洗浄ノズルが前記各保持部の上方に位置するように、少なくとも前記洗浄ノズル又は前記搬送アームを移動させることを特徴とする、請求項7に記載の搬送アーム洗浄方法。
【請求項9】
前記洗浄工程において、前記洗浄ノズルから吐出される少なくとも洗浄ガス又は洗浄液は、所定の温度に加熱されていることを特徴とする、請求項7又は8に記載の搬送アーム洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄工程において、前記洗浄ノズルから吐出される洗浄液は、ミスト状であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載の搬送アーム洗浄方法。
【請求項11】
前記洗浄工程において、前記洗浄ノズルから前記搬送アームの保持部に少なくとも洗浄液を吐出した後、前記洗浄ノズルから洗浄ガスを前記保持部に噴射し、当該保持部を乾燥させることを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の搬送アーム洗浄方法。
【請求項12】
前記気体噴射部は、前記処理容器の開口部の上部と下部に設けられ、
前記洗浄工程及び前記退出工程において、前記開口部は、前記気体噴射部から下方に噴射される気体の気流と上方に噴射される気体の気流で閉塞されていることを特徴とする、請求項7〜11のいずれかに記載の搬送アーム洗浄方法。
【請求項13】
前記退出工程において、前記気体噴射部から噴射される気体は、所定の温度に加熱されていることを特徴とする、請求項7〜12のいずれかに記載の搬送アーム洗浄方法。
【請求項14】
請求項7〜13のいずれかに記載の搬送アーム洗浄方法を搬送アーム洗浄装置によって実行させるために、当該搬送アーム洗浄装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−212335(P2009−212335A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54546(P2008−54546)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】