説明

携帯無線機

【課題】擬似的な通話を行っているときに、スピーカから大音量の鳴動を規制し、ユーザへの違和感を軽減することができる携帯無線機を提供すること。
【解決手段】音声通信を行う通信部31と、通信部31による音声通信に伴う音声を出力する通話用スピーカ22と、音声通信が行われる場合に所定の動作を行う動作部32と、通信部31で音声通信が行われていないときに、所定の動作を行わせる擬似通信モードを設定する擬似通信モード設定部33と、擬似通信モード設定部33により擬似通信モードが設定されているときに、動作部32に所定の動作を行わせる動作制御部34と、擬似通信モード設定部33により擬似通信モードが設定され、動作部32により所定の動作が行われているときに、報知動作を伴うイベントが発生した場合に、該報知動作を抑制する報知動作抑制部35と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声通話が可能な携帯無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯モードとして、実際の着信が無い場合にも、あたかも着信があり音声による通話を行っているように振舞うことができる擬似通信機能を有した携帯無線機がある(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2002−344579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、携帯電話には、通話に利用する受話スピーカと、メール等の着信を知らせる拡声スピーカ(外部出力用スピーカ)が搭載されているのが一般的である。また、近年では、携帯電話に対する小型化の要請により、受話スピーカと外部出力用スピーカの配置位置が近くなる傾向にある。
【0004】
このような携帯電話において、擬似通話のために受話スピーカを耳元に当てているときに、本当の電話の着信が有った場合には、外部出力用スピーカから大音量の着信音が鳴動されたり、バイブレータ機能により振動が発生されたりして、通常と同様の報知動作が行われると、ユーザに違和感を与えてしまう問題がある。
【0005】
ここで、擬似的に通話中を装う場合には、実際に通話を行う必要はなくても、受話スピーカを耳元に当てた状態にある場合が多いため、このような擬似的な通話中に外部出力用スピーカから大音量で音を鳴動する等の報知動作を避ける必要がある。
【0006】
また、通常の電話機能による通話は、携帯電話の各種機能の中でも優先度の高い機能であり、通話中に他のアプリケーションによる割り込みを禁止とし、外部出力用スピーカを鳴動させる等の報知動作を回避することが許容されるが、上述したような擬似的な通話中については、電話の着信等のように優先度の高い割り込みが存在するため、擬似的な通話中に外部出力用スピーカが鳴動してしまうような報知動作を回避することができない。
【0007】
本発明では、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、簡易な構成により、擬似的な通話を行っているときに、報知動作を規制し、ユーザへの違和感を軽減することができる携帯無線機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯無線機は、上記課題を解決するために、音声通信を行う通信部と、前記通信部による前記音声通信に伴う音声を出力する通話用スピーカと、を備えた携帯無線機において、前記音声通信が行われる場合に所定の動作を行う動作手段と、前記通信部で前記音声通信が行われていないときに、前記所定の動作を行わせる擬似通信モードを設定する擬似通信モード設定手段と、前記擬似通信モード設定手段により前記擬似通信モードが設定されているときに、前記動作手段に前記所定の動作を行わせる擬似動作手段と、前記擬似通信モード設定手段により前記擬似通信モードが設定されているときに、報知動作を伴うイベントが発生した場合に、該報知動作を抑制する報知動作抑制手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記携帯無線機では、前記報知動作抑制手段は、前記擬似通信モード設定手段により前記擬似通信モードが設定されているときに、音声の鳴動に係る前記報知動作を伴うイベントが発生した場合に、該報知動作を抑制することが好ましい。
【0010】
また、上記携帯無線機では、筐体の外部に音声を出力する外部出力用スピーカを備え、前記外部出力用スピーカは、前記報知動作を伴うイベントが発生した場合に、該報知動作に伴う音声を筐体の外部に出力し、前記報知動作抑制手段は、前記擬似通信モード設定手段により前記擬似通信モードが設定されているときに、前記音声の鳴動に係る前記報知動作を伴うイベントが発生した場合に、前記外部出力用スピーカからの音声の出力を抑制して該報知動作を抑制することが好ましい。
【0011】
また、上記携帯無線機では、前記報知動作抑制手段により前記報知動作が抑制される場合に、前記イベントの発生を前記通話用スピーカから音声にて報知するように制御する報知制御手段を備えることが好ましい。
【0012】
また、上記携帯無線機では、前記報知動作を伴うイベントが発生した場合に、少なくとも音声の出力による報知動作が制限される制限モードを設定する制限モード設定手段を備え、前記報知動作抑制手段は、前記擬似通信モードが設定されたときに、前記制限モードを設定することが好ましい。
【0013】
また、上記携帯無線機では、前記擬似通信モードが設定される前の前記制限モードの設定状態を記憶し、前記擬似通信モードの設定が解除されたときに、前記制限モードの設定状態を前記記憶された設定状態に復帰させる復帰手段を備えることが好ましい。
【0014】
また、上記携帯無線機では、前記擬似通信モードの設定が解除されたときに、当該擬似通信モードの設定が行われている間に前記報知動作抑制手段により前記報知動作が抑制されたイベントの発生を報知するイベント発生報知手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、擬似的な通話を行っているときに、報知動作を規制し、ユーザへの違和感を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る外部機器(基地局)と通信を行う携帯無線機の一例である携帯電話機器1の外観斜視図である。
【0017】
図1に示すように、携帯電話機器1は、フロントケース2aとリアケース2bとにより外面が形成される操作部側筐体部2と、フロントケース3aとリアケース3bとにより外面が形成される表示部側筐体部3と、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを連結するヒンジ機構4と、を備えて構成される。
【0018】
操作部側筐体部2は、フロントケース2aの表面側に露出するように配設される操作ボタン群11と音声入力部12とを有して構成される。操作ボタン群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、数字や文字が割り当てられ、電話番号入力時やメール作成時等における文字入力時に用いられる入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。また、操作部側筐体部2の側面には、イヤホンコネクタキャップ16と、外部機器(基地局)と通信を行うためのインターフェース(図示せず)を覆うキャップ17とが設けられている。さらに、操作部側筐体部2の下端部には、充電用コネクタ(図示せず)を覆うキャップ18aと、一対の充電用接点部18bとが設けられている。なお、音声入力部12は、携帯電話機器1の使用者が通話時に発した音声を入力するために用いられる。
【0019】
表示部側筐体部3は、各種情報を表示するためのディスプレイ21と、通話の相手側の音声を出力する通話用スピーカ22と、メールや電話等の着信時に外部に音声を出力する外部出力用スピーカ23と、を有して構成される。また、表示部側筐体部3の上端部には、他の携帯電話装置等との間で赤外線通信を行うための赤外線通信部24が設けられている。なお、外部出力用スピーカ23は、不図示であるが、表示部側筐体部3の背面(リアケース3b側)又は操作部側筐体部2の背面(リアケース2b側)に配置され、両筐体2、3を重ねた状態でも外部へ音声出力を行えるように構成されている。
【0020】
ヒンジ機構4は、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが相対的に動くようにこれらを連結しており、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが互いに開いた使用状態(開放状態)と、操作部側筐体部2の表面と表示部側筐体部3の表面とが互いに向き合った格納状態(折畳み状態)とに切り替えることができるように構成されている。
【0021】
なお、本実施形態においては、通信機器の一例としてヒンジ機構4を介して操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが相対的に動く、いわゆる折り畳み式の携帯電話機器1を挙げているが、本発明は、折り畳み式ではなく、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式や、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを2軸ヒンジを介して連結したもの、さらには、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが一つの筐体に配置されたもの(いわゆる、ストレートタイプ)であっても適用可能である。
【0022】
また、携帯電話機器1(1a、1b)は、図2に示すように、無線基地局100を介して、ネットワーク101と通信するように無線接続されている。また、本発明に係る携帯電話機器1は、防犯目的等のために、実際の着信が無い(通話を行っていない)場合にも、あたかも着信があり音声による通話を行っているように振舞うことができる擬似着信(以下、擬似通信という。)を行うことができ、当該擬似通信中に割り込みがあった際に外部出力用スピーカ23等のスピーカから鳴動を抑制する機能を有している。
【0023】
ここで、携帯電話機器1の当該機能について図3を用いて説明する。携帯電話機器1は、音声通信を行う通信部31(電話通信機能)と、通信部31による音声通信に伴う音声を出力する通話用スピーカ22と、音声通信が行われる場合に所定の動作(発信時、着信時あるいは通話時に行われる所定の動作)を行う動作部32(擬似動作手段)と、通信部31で音声通信が行われていないときに、所定の動作を行わせる擬似通信モードを設定する擬似通信モード設定部33(擬似通信モード設定手段)と、擬似通信モード設定部33により擬似通信モードが設定されているときに、動作部32に所定の動作を行わせる動作制御部34(動作制御手段)と、擬似通信モード設定部33により擬似通信モードが設定され、動作部32により所定の動作が行われているときに、報知動作を伴うイベントが発生した場合に、該報知動作を抑制する報知動作抑制部35(報知動作抑制手段)と、を備える。
【0024】
このような構成によれば、本発明では、擬似通信モードが設定されているときに、音声通信やメール等の着信設定時刻の到達等によるアラーム発生等の報知動作を伴うイベントが発生(アプリケーションの起動により割り込みが発生)しても当該イベントに係る報知動作を抑制するので、当該報知動作の影響をユーザに与えることが無く、ユーザへの違和感を軽減することができる。
【0025】
また、報知動作抑制部35は、擬似通信モード設定部33により擬似通信モードが設定され、動作部32により所定の動作が行われているときに、音声の鳴動に係る報知動作を伴うイベントが発生した場合に、該報知動作を抑制することが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、本発明では、擬似通信モードが設定されているときに、報知動作を伴うイベントが発生(アプリケーションの起動により割り込みが発生)しても当該イベントに係る報知動作を抑制するので、音声の鳴動による影響をユーザに与えることが無く、ユーザへの違和感を軽減することができる。
【0027】
また、外部出力用スピーカ23は、報知動作を伴うイベントが発生した場合に、該報知動作に伴う着信音やアラーム音等の音声を筐体の外部に出力する。また、報知動作抑制部35は、擬似通信モード設定部33により擬似通信モードが設定され、動作部32により所定の動作が行われているときに、音声の鳴動に係る報知動作を伴うイベントが発生した場合に、外部出力用スピーカ23からの音声の出力を抑制して、該報知動作を抑制することが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、本発明では、擬似通信モードが設定されているときに、外部出力用スピーカ23から音声を筐体の外部に出力する報知動作を伴うイベントが発生(アプリケーションの起動により割り込みが発生)しても当該イベントに係る報知動作を抑制するので、外部出力用スピーカ23からの音声の鳴動が抑制され、ユーザへの違和感を軽減することができる。
【0029】
また、携帯電話機器1は、外部出力用スピーカ23からの音声の鳴動等に係る報知動作が抑制されると、イベントの発生を通話用スピーカ22から音声にて報知するように制御する報知制御部36(報知制御手段)を備える構成であっても良い。
【0030】
このような構成によれば、本発明では、擬似通信モードが設定されているときに、報知動作を伴うイベントが発生(アプリケーションの起動により割り込みが発生)しても当該イベントに係る報知動作を抑制するので、外部出力用スピーカ23からの音声の鳴動等の報知動作が抑制され、ユーザへの違和感を軽減することができ、また、当該報知動作が抑制されても当該イベントの発生を耳に当てている通話用スピーカ22から報知されるので、当該イベントの発生を認識することができるとともに、当該イベントを無視するか否か、すなわち、擬似通話を継続するか中断又は中止するのかを擬似通話を行っているユーザ自身が判断でき、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0031】
また、携帯電話機器1は、少なくとも外部出力用スピーカ23等からの音声の出力が制限される制限モードを設定する制限モード設定部37(制限モード設定手段)を備える。このような構成の場合には、報知動作抑制部35は、擬似通信モードが設定されたときに、制限モードを設定する。なお、制限モードとは、例えばいわゆるマナーモード等の動作モードの一種であって、電話の受信等の報知において、音の鳴動を抑制してバイブレーションによる振動やランプの点灯やディスプレイ21への表示等により報知を行うモードである。
【0032】
また、携帯電話機器1は、擬似通信モードが設定される前の制限モードの設定状態を記憶し、擬似通信モードの設定が解除されたときに、この制限モードの設定状態を記憶された設定状態に復帰させる復帰部38(復帰手段)を備える構成であっても良い。
【0033】
このような構成によれば、本発明では、擬似通信モードの設定が解除されたときに、擬似通信モードの設定以前の状態に復帰させることができるので、ユーザが再び設定をし直す必要がなく、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0034】
また、携帯電話機器1は、擬似通信モードの設定が解除されたときに、当該擬似通信モードの設定が行われている間に報知動作抑制部35により報知動作が抑制されたイベントの発生を報知するイベント発生報知部39(イベント発生報知手段)を備える構成であっても良い。
【0035】
このような構成によれば、本発明では、擬似通信モードの設定が解除されたときに、擬似通信モードの設定中に報知動作が抑制されていて分からなかったイベントの発生をユーザに知らせることができ、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0036】
<擬似通信中の音声着信時のフロー>
つぎに、本発明に係る携帯電話機器1により擬似通信モードが設定され、当該設定中に電話受信の割り込みが発生した場合について図4に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、当初、待受けアプリケーションAは、アクティブ(動作状態)であり、擬似通信アプリケーションBは、非アクティブ(非動作状態)であり、電話機能アプリケーションCは、非アクティブであるとする。また、ユーザは、携帯電話機器1の所定キー(例えば、サイドキー)を押すことにより、擬似通信モードの設定と解除が行え、擬似通信モードの設定により擬似通信アプリケーションがアクティブ(動作状態)とされ、また、解除により非アクティブ(非動作状態)とされるものとする。
【0037】
待受けアプリケーションAがアクティブであるときに、携帯電話機器1の所定キーが押される操作が行われたことを検出した場合(ステップS1)、携帯電話機器1は、アプリケーションの切り替え処理を行う(ステップS2)。
【0038】
アプリケーションの切り替え処理が行われたとき(ステップS2)、待受けアプリケーションAは、サスペンド(待機状態)に移行し、擬似通信モードの設定により擬似通信アプリケーションBは、アクティブに移行する。
【0039】
擬似通信アプリケーションBは、現在設定されているマナーモード等の制限モードの設定モード(設定状態)をバックアップした後に(ステップS3)、強制的にマナーモードに設定する(ステップS4)。このようにして、擬似通信アプリケーションBがアクティブになると、現実に音声通話を着信したときのように、例えば、擬似的に着信メロディーが外部出力用スピーカ23から出力され、ユーザが通話の操作を行うと、表示部側筐体部3の背面(他人から見える部位)に配置されている発光部(LED等により構成される)が明滅する等して、擬似的な通話状態を演出する。なお、この発光部の点灯に限らずに、内部メモリに記憶されている擬似会話データに基づく音声を通話用スピーカ22から出力して、通常の通話時と同様にユーザに会話を促すような構成であっても良い。
【0040】
また、このような擬似通話をしているときに、現実に音声通話の着信による割り込みが発生した場合には(ステップS5)、携帯電話機器1は、アプリケーションの切り替え処理を行う(ステップS6)。
【0041】
アプリケーションの切り替え処理が行われたとき(ステップS6)、擬似通信アプリケーションBは、サスペンドに移行し、当該着信に伴い、電話機能アプリケーションCは、アクティブに移行する。そして、携帯電話機器1は、ステップS4において強制的に設定したマナーモード等の制限モードにしたがって、所定の音量(例えば、0)で着信を報知する等、制限モードが設定されていない場合に対して報知動作が抑制されることとなる(ステップS7)。
【0042】
ユーザが現実に着信した音声通話に応答した場合には、実際に音声通話が行われ、その終話後に、携帯電話機器1は、アプリケーションの切り替え処理を行う(ステップS8)。
【0043】
アプリケーションの切り替え処理が行われたとき(ステップS8)、擬似通信アプリケーションBは、ステップS4において設定されたマナーモード(制限モード)を解除して、ステップS3においてバックアップした設定モードに復帰させる処理を行う(ステップS9)。そして、待受けアプリケーションAは、アクティブに移行し、擬似通信アプリケーションBと電話機能アプリケーションCは、非アクティブに移行する。なお、擬似通信アプリケーションBがアクティブである状態で、音声通話やメール等の着信やアラーム等の報知動作を伴うイベントの発生が生じずに、擬似通信モードが解除された場合にも、ステップS8以降の処理が行われ、ステップS3においてバックアップした設定モードに復帰させる処理が行われる。
【0044】
<マナーモード変更時のフロー>
つぎに、本発明に係る携帯電話機器1により擬似通信モードが設定され、当該設定中にマナーモード等の制限モードの設定変更の処理が発生した場合について図5に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、当初、以下では、待受けアプリケーションAは、アクティブ(動作状態)であり、擬似通信アプリケーションBは、非アクティブ(非動作状態)であり、電話機能アプリケーションCは、非アクティブであるとする。また、ユーザは、携帯電話機器1の所定キー(例えば、サイドキー)を押すことにより、擬似通信モードの設定と解除が行えるものとする。
【0045】
待受けアプリケーションAがアクティブであるときに、携帯電話機器1の所定キーが押される操作が行われたことを検出した場合(ステップS11)、携帯電話機器1は、アプリケーションの切り替え処理を行う(ステップS12)。
【0046】
アプリケーションの切り替え処理が行われたとき(ステップS12)、待受けアプリケーションAは、サスペンド(待機状態)に移行し、擬似通信モードの設定により擬似通信アプリケーションBは、アクティブに移行する。
【0047】
擬似通信アプリケーションBは、現在設定されているマナーモード等の制限モードの設定モードをバックアップした後に(ステップS13)、強制的にマナーモードに設定する(ステップS14)。このようにして、擬似通信アプリケーションBがアクティブになると、現実に音声通話を着信したときのように、例えば、擬似的に着信メロディーが外部出力用スピーカ23から出力され、ユーザが通話の操作を行うと、表示部側筐体部3の背面(他人から見える部位)の発光部(LED等により構成される)が明滅する等して、擬似的な通話状態を演出する。
【0048】
また、このような擬似通話をしているときに、現実に音声通話の着信による割り込みが発生した場合には(ステップS15)、携帯電話機器1は、アプリケーションの切り替え処理を行う(ステップS16)。
【0049】
アプリケーションの切り替え処理が行われたとき(ステップS16)、擬似通信アプリケーションBは、サスペンドに移行し、当該着信に伴い電話機能アプリケーションCは、アクティブに移行する。そして、携帯電話機器1は、ステップS4において強制的に設定したマナーモード等の制限モードにしたがって、所定の音量(例えば、0)で着信を報知する等により報知動作が抑制される(ステップS17)。
【0050】
ここで、通話相手の携帯機器から遠隔によるマナーモード等の制限モードの解除の要求がされた場合(ステップS18)、擬似通信アプリケーションBに対して、当該制限モードの設定変更の通知が行われる(ステップS19)。なお、当該通知は、制限モードの設定状態を保持しているデータベース経由で行われる。
【0051】
擬似通信アプリケーションBは、ステップS13においてバックアップした制限モードの設定モードを削除する(ステップS20)。
【0052】
また、終話処理が行われた又は擬似通信モードが解除された後(ステップS21)に、携帯電話機器1は、アプリケーションの切り替え処理を行う(ステップS22)。
【0053】
アプリケーションの切り替え処理が行われたとき(ステップS22)、待受けアプリケーションAは、アクティブに移行し、擬似通信アプリケーションBと電話機能アプリケーションCは、非アクティブに移行する。よって、この場合、ステップS22におけるアプリケーションの切り替えに伴い、ステップS14において設定されたマナーモード(制限モード)を解除するとともにステップS18にて要求された遠隔マナー解除に伴い、マナーモード等の制限モードが設定されない状態とされる。
【0054】
<主電源ON時のフロー>
ここで、擬似通信モードを解除して、マナーモード等の制限モードの設定を元の設定に戻す前に、充電池が取り外された場合には、再び、充電池を装着して主電源をON状態にすると、上述したステップS3の工程やステップS13の工程においてバックアップした設定を参照せずに、マナーモード等の制限モードの設定が、擬似通信アプリケーションBが強制的に設定したモード(状態)のままとなってしまい、ユーザが意図していない制限モードの設定状態にされてしまう。そこで、このような現象を回避するために、主電源がONにされたときには、図6に示すように、制限モードの設定を復帰する処理を行う。
【0055】
携帯電話機器1は、主電源がON状態にされた場合(ステップS31)、バックアップの設定がされているか否かを判断し(ステップS32)、バックアップがある場合には、バックアップされている設定(例えば、マナーモードの設定)にしたがって設定を行い(ステップS33)、バックアップの設定を削除する(ステップS34)。
【0056】
このようにして、本発明によれば、擬似通信モードが設定されているときに、報知動作を伴うイベントが発生(アプリケーションの起動により割り込みが発生)しても当該イベントに係る報知動作を抑制するので、当該報知動作の影響をユーザに与えることが無く、ユーザへの違和感を軽減することができる。
【0057】
なお、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0058】
例えば、上述した実施形態では、擬似通信モード設定時に発生したイベントとして、音声通話の着信を例に挙げて説明したが、これに代えて、メール等の文字メッセージの着信や設定時刻の到達によるアラーム機能の起動等の報知動作を伴うイベントであれば良い。なお、このイベントの発生に伴う報知動作は、音声出力を伴うものに限定されるものではなく、バイブレータ機能による振動や発光部での点灯や表示部への情報表示等によりイベントの発生を報知するものであっても良い。
【0059】
また、擬似通信モードの設定時においてマナーモード等の制限モードを強制的に設定する構成としたが、この制限モードは、音声出力がゼロレベルに設定するものに限定されるものではない。例えば、制限モードが設定されていない場合に比して音声出力を抑制したりして、制限モードが設定されている場合の報知動作は、制限モードが設定されていない場合における同イベントの発生によって行われる報知動作に対して抑制されたものであれば良い。
【0060】
また、上述した実施形態では、擬似通信モードの設定によりマナーモード等の制限モードを強制的に設定する構成としたが、これに限定されない。例えば、報知動作は、擬似通信モードが設定されていない場合における同イベントの発生によって行われる報知動作に対して抑制されたものであれば良い。
【0061】
また、上述した実施形態では、携帯無線機の一例として携帯電話機器を挙げたが、これに限定されることなく、トランシーバー等の通信機能を有する携帯通信機であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る携帯電話機器の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る携帯電話機器が無線基地局を介してネットワークに接続される様子を示す模式図である。
【図3】本発明に係る携帯電話機器の機能を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明に係る携帯電話機器により擬似通信モードが設定され、当該設定中に電話受信の割り込みが発生した場合についての説明に供するタイミングチャートである。
【図5】本発明に係る携帯電話機器により擬似通信モードが設定され、当該設定中にマナーモードの設定変更の処理が発生した場合について説明に供するタイミングチャートである。
【図6】主電源がONにされたときのマナーモードの設定を復帰する処理についての説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 携帯電話機器
22 通話用スピーカ
23 外部出力用スピーカ
31 通信部(電話通信機能)
32 動作部(擬似動作手段)
33 擬似通信モード設定部(擬似通信モード設定手段)
34 動作制御部(動作制御手段)
35 報知動作抑制部(報知動作抑制手段)
36 報知制御部(報知制御手段)
37 制限モード設定部(制限モード設定手段)
38 復帰部(復帰手段)
39 イベント発生報知部(イベント発生報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声通信を行う通信部と、前記通信部による前記音声通信に伴う音声を出力する通話用スピーカと、を備えた携帯無線機において、
前記音声通信が行われる場合に所定の動作を行う動作手段と、
前記通信部で前記音声通信が行われていないときに、前記所定の動作を行わせる擬似通信モードを設定する擬似通信モード設定手段と、
前記擬似通信モード設定手段により前記擬似通信モードが設定されているときに、前記動作手段に前記所定の動作を行わせる擬似動作手段と、
前記擬似通信モード設定手段により前記擬似通信モードが設定されているときに、報知動作を伴うイベントが発生した場合に、該報知動作を抑制する報知動作抑制手段と、を備えることを特徴とする携帯無線機。
【請求項2】
前記報知動作抑制手段は、前記擬似通信モード設定手段により前記擬似通信モードが設定されているときに、音声の鳴動に係る前記報知動作を伴うイベントが発生した場合に、該報知動作を抑制することを特徴とする請求項1記載の携帯無線機。
【請求項3】
筐体の外部に音声を出力する外部出力用スピーカを備え、
前記外部出力用スピーカは、前記報知動作を伴うイベントが発生した場合に、該報知動作に伴う音声を筐体の外部に出力し、
前記報知動作抑制手段は、前記擬似通信モード設定手段により前記擬似通信モードが設定されているときに、前記音声の鳴動に係る前記報知動作を伴うイベントが発生した場合に、前記外部出力用スピーカからの音声の出力を抑制して該報知動作を抑制することを特徴とする請求項2記載の携帯無線機。
【請求項4】
前記報知動作抑制手段により前記報知動作が抑制される場合に、前記イベントの発生を前記通話用スピーカから音声にて報知するように制御する報知制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯無線機。
【請求項5】
前記報知動作を伴うイベントが発生した場合に、少なくとも音声の出力による報知動作が制限される制限モードを設定する制限モード設定手段を備え、
前記報知動作抑制手段は、前記擬似通信モードが設定されたときに、前記制限モードを設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯無線機。
【請求項6】
前記擬似通信モードが設定される前の前記制限モードの設定状態を記憶し、前記擬似通信モードの設定が解除されたときに、前記制限モードの設定状態を前記記憶された設定状態に復帰させる復帰手段を備えること特徴とする請求項5記載の携帯無線機。
【請求項7】
前記擬似通信モードの設定が解除されたときに、当該擬似通信モードの設定が行われている間に前記報知動作抑制手段により前記報知動作が抑制されたイベントの発生を報知するイベント発生報知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の携帯無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−182581(P2009−182581A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18932(P2008−18932)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】