携帯端末機
【課題】キャビネットの傾斜姿勢に拘わらず照明装置を常に正常に動作させることが出来る簡易な構成の携帯端末機を提供する。
【解決手段】本発明に係る携帯端末機において、キャビネット1の内部には、照明装置と、受光窓13を経て入射する光が照射される照度センサー7と、照度センサー7によって検知された照度に応じて照明装置の動作を制御する制御回路と、キャビネット1の傾斜角度を検知する傾斜センサーとが配備されている。制御回路には、キャビネット1の傾斜角度と照度センサー7によって検知される照度とを変数として、キャビネット1の周囲の明るさを表わす関係が規定されており、この関係を用いて、傾斜センサーによって検知されたキャビネットの傾斜角度と、照度センサー7ーによって検知された照度から、キャビネット1の周囲の明るさを導出し、導出された周囲の明るさに応じて、照明装置の動作を制御する。
【解決手段】本発明に係る携帯端末機において、キャビネット1の内部には、照明装置と、受光窓13を経て入射する光が照射される照度センサー7と、照度センサー7によって検知された照度に応じて照明装置の動作を制御する制御回路と、キャビネット1の傾斜角度を検知する傾斜センサーとが配備されている。制御回路には、キャビネット1の傾斜角度と照度センサー7によって検知される照度とを変数として、キャビネット1の周囲の明るさを表わす関係が規定されており、この関係を用いて、傾斜センサーによって検知されたキャビネットの傾斜角度と、照度センサー7ーによって検知された照度から、キャビネット1の周囲の明るさを導出し、導出された周囲の明るさに応じて、照明装置の動作を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機の如く携帯可能なキャビネットを具えた携帯端末機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機においては、キャビネットの表面に複数の操作キーからなるキー入力装置と液晶ディスプレイが設けられると共に、キャビネットの内部には、キー入力装置を背面から照明するバックライトや、液晶ディスプレイのバックライト等が配置されている。
そして、これらのバックライトは、キャビネットの周囲の明るさに応じて、その発光輝度やオン/オフが制御されている(特許文献1参照)。
【0003】
例えば図11(a)の如く、キャビネット(1)の内部に設置された回路基板(9)には、照度センサー(7)が設置されており、光源からの光がキャビネット(1)に設けた受光窓(13)を通過して照度センサー(7)に入射することにより、照度センサー(7)によってキャビネット(1)の周囲の明るさが検知される。
【特許文献1】特開2008−158871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の携帯電話機においては、キャビネット(1)が図11(b)の如く傾斜している場合、光源からの光は、受光窓(13)を通過した後、傾斜角度をもって照度センサー(7)に入射するため、図11(a)の如く照度センサー(7)の表面に直交して光が入射する場合に比べて、照度センサー(7)の出力信号(照度)は小さなものとなり、キャビネット(1)の周囲の明るさは実際よりも暗く検知されることとなる。
【0005】
図12は、キャビネットの傾斜角度θがゼロの場合に照度センサーが検知する照度を基準として任意の傾斜角度θでの照度を比率で表わしたもの(感度特性)であって、傾斜角度θが大きくなるにつれて感度は低下することになる。
これは、図11(b)の如く受光窓(13)の奥方(例えば数mm奥方)に照度センサー(7)を配置せざるを得ないため、キャビネット(1)の表面に照射される光束の量と、受光窓(13)を通過して照度センサー(7)に入射する光束の量との間に、傾斜角度θに応じた差が生じるからである。
【0006】
この結果、キー入力装置のバックライトであれば、点灯の必要がないにも拘わらず点灯することとなり、無駄な電力が消費される問題がある。又、ディスプレイのバックライトであれば、高い輝度で発光させる必要があるにも拘わらず低い輝度で発光させることとなり、ディスプレイの画像が見え難くなる問題がある。
この問題を解決するためには、リフレクター等を用いて光を照度センサー(7)に導く方法や、受光窓(13)を拡大する方法を採用することが出来るが、構成が複雑となる問題や、デザイン面及びコスト面の問題が生じる。
【0007】
そこで本発明の目的は、キャビネットの傾斜姿勢に拘わらず照明装置を常に正常に動作させることが出来る簡易な構成の携帯端末機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯端末機においては、携帯可能なキャビネットの表面に操作部及び/又は表示部が設けられると共に、受光窓が形成され、該キャビネットの内部には、前記操作部及び/又は表示部を照明すべき照明装置と、前記受光窓を経て入射する光が照射される照度センサーと、該照度センサーによって検知された照度に応じて前記照明装置の動作を制御する制御回路とが配備されている。
【0009】
ここで、前記キャビネットの内部には、キャビネットの基準姿勢に対する傾斜角度を検知する傾斜センサーが配備され、前記制御回路は、
キャビネットの傾斜角度と照度センサーによって検知される照度とを変数として、キャビネットの周囲の明るさを表わす関係が規定された関係規定手段と、
前記関係規定手段に規定されている関係を用いて、前記傾斜センサーによって検知されたキャビネットの傾斜角度と、前記照度センサーによって検知された照度から、キャビネットの周囲の明るさを導出する明るさ導出手段と、
前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置の動作を制御する制御手段
とを具えている。
【0010】
上記本発明の携帯端末機によれば、傾斜センサーによって検知されたキャビネットの傾斜角度と、照度センサーによって検知された照度から、キャビネットが基準姿勢に設置されたとき(傾斜角度がゼロのとき)の照度に応じた、キャビネットの周囲の明るさが導出される。この様にして導出された明るさは、キャビネットの傾斜角度に拘わらず、実際の周囲の明るさを表わすものとなる。
【0011】
具体的構成において、前記関係規定手段には、水平に伸びる複数の回転軸を中心としてキャビネットが複数の方向に傾斜する場合の傾斜方向毎に前記関係が規定されており、前記明るさ導出手段は、前記傾斜センサーの出力信号に基づいてキャビネットの傾斜方向を検知し、検知された傾斜方向に応じた1つの関係を決定し、該関係を用いてキャビネットの周囲の明るさを導出する。
【0012】
上記具体的構成によれば、キャビネットの傾斜方向をも加味して、周囲の明るさが導出されるので、より正確に照明装置の動作を制御することが出来る。
【0013】
更に具体的な構成において、前記制御手段は、前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置の発光輝度を調整するものである。
或いは、前記制御手段は、前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置をオン/オフするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る携帯端末機によれば、キャビネットの傾斜角度に拘わらず、実際の周囲の明るさに応じた照明制御が実行されるので、簡易な構成で照明装置を常に正常に動作させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を携帯電話機に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る携帯電話機は、図1に示す如く、キャビネット(1)の表面にディスプレイ(12)とキー入力装置(11)が設けられると共に、受光窓(13)が形成されている。又、キャビネット(1)の表面の下部には送話部(14)、上部には受話部(15)が配備されている。
【0016】
キャビネット(1)の内部には、図2に示す如く、電話通信のための通信回路(2)、マイクロコンピュータからなる制御回路(3)、前記送話部(14)を構成するマイクロフォン(4)、前記受話部(15)を構成するスピーカ(5)、キー入力装置(11)やディスプレイ(12)のバックライトとなる照明装置(6)、前記受光窓(13)から入射する光を受けるべき照度センサー(7)、及び加速度センサー(8)が配備されている。
【0017】
加速度センサー(8)は、図3に示す如く回路基板(9)上に搭載されており、その出力信号の一部として、回路基板(9)の表面と平行なX軸、Y軸、及び回路基板(9)に垂直なZ軸の方向の重力加速度成分の値(XX、YY、ZZ)が得られるものである。
【0018】
前記制御回路(3)は、加速度センサー(8)から得られる3つの重力加速度成分の値(XX、YY、ZZ)に基づいて、回路基板(9)の傾斜方向及び傾斜角度θを算出する。
図4に示す3軸絶対座標系においてXo軸とYo軸によって規定される水平面を基準として、Xo軸回りの回転による傾斜方向(上下方向)Aと、Yo軸回りの回転による傾斜方向(左右方向)Bと、Xo軸及びYo軸に対して45°を為す軸回りの傾斜方向(斜め方向)Cとを設定し、各傾斜方向にはそれぞれ45°の幅をもたせた場合、回路基板(9)の任意の傾斜方向は、これら3つの傾斜方向A、B、Cの何れかに該当させることが出来る。
【0019】
又、回路基板(9)の傾斜角度θは、図6の如く加速度センサー(8)から得られる重力加速度成分の値ZZに基づいて、cosθ=ZZ/100の関係式から算出することが出来る(1Gに対応する出力値が100の場合)。
図7は、傾斜角度θ(0°〜180°)に応じた重力加速度成分の値ZZを示している。
【0020】
制御回路(3)には、図5(a)(b)(c)に示す如き3つのテーブルが格納されている。図5(a)のテーブルは、回路基板(9)が上下方向に傾斜した場合において、周囲の明るさ(100Lx、500Lx、1000Lx、3000Lx)の下、回路基板(9)の傾斜角度θが(−90°〜0°〜90°)の範囲で変化したとき、照度センサーによって検知される照度の一例を示している。又、図5(b)のテーブルは、回路基板(9)が左右方向に傾斜した場合において、周囲の明るさ(100Lx、500Lx、1000Lx、3000Lx)の下、回路基板(9)の傾斜角度θが(−90°〜0°〜90°)の範囲で変化したとき、照度センサーによって検知される照度の一例を示している。更に、図5(c)のテーブルは、回路基板(9)が斜め方向に傾斜した場合において、周囲の明るさ(100Lx、500Lx、1000Lx、3000Lx)の下、回路基板(9)の傾斜角度θが(−90°〜0°〜90°)の範囲で変化したとき、照度センサーによって検知される照度の一例を示している。
【0021】
これらのテーブルは、予め、太陽光や蛍光灯の如く頭上に存在する一般的な光源の下で、照度センサー(7)に対する光の入射角度を変化させることによって取得された照度データに基づき、あらゆる条件に対応可能な最適値を算出してテーブル化したものである。
【0022】
例えば、傾斜方向が上下方向の場合、傾斜角度が10°、照度センサーによって検知された照度が94であれば、そのときの光源(1000Lx)の下で傾斜角度が0°であれば、照度として100が得られるところ、10°の傾斜によって照度が94として検知されたものである。この場合、照度が94として従来の照明制御を行なうと、周囲の実際の明るさ(1000Lx)よりも暗く判断される結果、例えばキー入力装置のバックライトの場合、必要以上の輝度でバックライトが点灯することとなり、無駄な電力が消費される。
【0023】
これに対し、本発明に係る携帯電話機においては、上述の例で、キャビネットの傾斜角度が10°、照度センサーによって検知された照度が94であれば、キャビネットの周囲の明るさは1000Lxであると判断し、その明るさに応じた照明制御を行なう。
【0024】
例えば、液晶ディスプレイ(12)のバックライトの場合、図8の如く、周囲の明るさに応じて、発光輝度を段階的に変化させる。
又、キー入力装置(11)のバックライトの場合、図9の如く、周囲の明るさが所定の閾値を越えているか否かによって、オン/オフを切り換える。
【0025】
図10は、制御回路(3)が実行する明るさ導出及び照明制御の手続きを示している。
先ずステップS1では、キー操作や蓋の開閉等、何らかの動作イベントが発生したか否かを判断し、イエスと判断されたとき、ステップS2に移行して、加速度センサーよりX軸、Y軸及びZ軸の3軸データ(XX、YY、ZZ)を取得する。
次にステップS3では、X軸のデータXXとY軸のデータYYよりキャビネットの3つ傾斜方向(上下、左右、斜め)を判別すると共に、Z軸のデータZZより傾斜角度θを算出し、使用するテーブルを決定する。
【0026】
続いて、ステップS4では、照度センサーより照度データを取得する。
その後、ステップS5にて、前記決定されたテーブルを用いて、傾斜角度と照度データから周囲の明るさを導出する。テーブルの適用に際しては、必要に応じて補間処理を実施する。
そして、ステップS6では、周囲の明るさに応じて照明制御を実行する。
【0027】
上記本発明の携帯電話機によれば、加速度センサー(8)によって検知されたキャビネット(1)の傾斜角度θと、照度センサー(7)によって検知された照度から、キャビネット(1)の傾斜に拘わらず、実際の周囲の明るさが導出され、その明るさに応じた照明制御が実行されるので、照明装置(6)を常に正常に動作させることが出来る。又、単に加速度センサー(8)を設置して、制御回路(3)によって上述の制御を実行するだけでよいので、構成が複雑になることもない。
【0028】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。傾斜センサーとしては、加速度センサー(8)に限らず、ジャイロスコープ等、傾斜角度を検知することが出来る種々のセンサーを採用することが出来る。
【0029】
又、キャビネットの傾斜角度に応じた明るさの導出においては、加速度センサー(8)からのX軸データXXとY軸データYYに基づいて、キャビネットの3つ傾斜方向(上下、左右、斜め)を判別して使用する1つのテーブルを決定する方法に限らず、加速度センサー(8)からのX軸データXXとY軸データYYに基づいて、キャビネットの傾斜方向のX軸回り成分とY軸回り成分を算出し、図5(a)に示すテーブルと図5(b)に示すテーブルの両方を用いて周囲の明るさを導出する方法を採用することも可能である。
【0030】
又、本発明は、図1に示す如き単一のキャビネットを具えた携帯端末機に限らず、2つのキャビネットを開閉可能に連結してなる折り畳み式或いはスライド式の携帯端末機に実施することも可能である。この場合、同一のキャビネットに照度センサーと加速度センサーを配置することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る携帯電話機の斜視図である。
【図2】該携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図3】回路基板上の加速度センサーを示す斜視図である。
【図4】キャビネットの傾斜方向を説明する図である。
【図5】周囲の明るさを導出するための3つのテーブルを示す図表である。
【図6】加速度センサーによる傾斜角度の検出方法を説明する図である。
【図7】傾斜角度に応じた重力加速度成分の値を示す図表である。
【図8】ディスプレイに対する照明制御の一例を表わす説明図である。
【図9】キー入力装置に対する照明制御の一例を表わす説明図である。
【図10】制御回路による明るさ導出及び照明制御の手続きを表わすフローチャートである。
【図11】キャビネットの傾斜によって照度センサーの感度が変化することを説明する図である。
【図12】傾斜角度に応じた照度センサーの感度の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0032】
(1) キャビネット
(11) キー入力装置
(12) ディスプレイ
(13) 受光窓
(2) 通信回路
(3) 制御回路
(6) 照明装置
(7) 照度センサー
(8) 加速度センサー
(9) 回路基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機の如く携帯可能なキャビネットを具えた携帯端末機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機においては、キャビネットの表面に複数の操作キーからなるキー入力装置と液晶ディスプレイが設けられると共に、キャビネットの内部には、キー入力装置を背面から照明するバックライトや、液晶ディスプレイのバックライト等が配置されている。
そして、これらのバックライトは、キャビネットの周囲の明るさに応じて、その発光輝度やオン/オフが制御されている(特許文献1参照)。
【0003】
例えば図11(a)の如く、キャビネット(1)の内部に設置された回路基板(9)には、照度センサー(7)が設置されており、光源からの光がキャビネット(1)に設けた受光窓(13)を通過して照度センサー(7)に入射することにより、照度センサー(7)によってキャビネット(1)の周囲の明るさが検知される。
【特許文献1】特開2008−158871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の携帯電話機においては、キャビネット(1)が図11(b)の如く傾斜している場合、光源からの光は、受光窓(13)を通過した後、傾斜角度をもって照度センサー(7)に入射するため、図11(a)の如く照度センサー(7)の表面に直交して光が入射する場合に比べて、照度センサー(7)の出力信号(照度)は小さなものとなり、キャビネット(1)の周囲の明るさは実際よりも暗く検知されることとなる。
【0005】
図12は、キャビネットの傾斜角度θがゼロの場合に照度センサーが検知する照度を基準として任意の傾斜角度θでの照度を比率で表わしたもの(感度特性)であって、傾斜角度θが大きくなるにつれて感度は低下することになる。
これは、図11(b)の如く受光窓(13)の奥方(例えば数mm奥方)に照度センサー(7)を配置せざるを得ないため、キャビネット(1)の表面に照射される光束の量と、受光窓(13)を通過して照度センサー(7)に入射する光束の量との間に、傾斜角度θに応じた差が生じるからである。
【0006】
この結果、キー入力装置のバックライトであれば、点灯の必要がないにも拘わらず点灯することとなり、無駄な電力が消費される問題がある。又、ディスプレイのバックライトであれば、高い輝度で発光させる必要があるにも拘わらず低い輝度で発光させることとなり、ディスプレイの画像が見え難くなる問題がある。
この問題を解決するためには、リフレクター等を用いて光を照度センサー(7)に導く方法や、受光窓(13)を拡大する方法を採用することが出来るが、構成が複雑となる問題や、デザイン面及びコスト面の問題が生じる。
【0007】
そこで本発明の目的は、キャビネットの傾斜姿勢に拘わらず照明装置を常に正常に動作させることが出来る簡易な構成の携帯端末機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯端末機においては、携帯可能なキャビネットの表面に操作部及び/又は表示部が設けられると共に、受光窓が形成され、該キャビネットの内部には、前記操作部及び/又は表示部を照明すべき照明装置と、前記受光窓を経て入射する光が照射される照度センサーと、該照度センサーによって検知された照度に応じて前記照明装置の動作を制御する制御回路とが配備されている。
【0009】
ここで、前記キャビネットの内部には、キャビネットの基準姿勢に対する傾斜角度を検知する傾斜センサーが配備され、前記制御回路は、
キャビネットの傾斜角度と照度センサーによって検知される照度とを変数として、キャビネットの周囲の明るさを表わす関係が規定された関係規定手段と、
前記関係規定手段に規定されている関係を用いて、前記傾斜センサーによって検知されたキャビネットの傾斜角度と、前記照度センサーによって検知された照度から、キャビネットの周囲の明るさを導出する明るさ導出手段と、
前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置の動作を制御する制御手段
とを具えている。
【0010】
上記本発明の携帯端末機によれば、傾斜センサーによって検知されたキャビネットの傾斜角度と、照度センサーによって検知された照度から、キャビネットが基準姿勢に設置されたとき(傾斜角度がゼロのとき)の照度に応じた、キャビネットの周囲の明るさが導出される。この様にして導出された明るさは、キャビネットの傾斜角度に拘わらず、実際の周囲の明るさを表わすものとなる。
【0011】
具体的構成において、前記関係規定手段には、水平に伸びる複数の回転軸を中心としてキャビネットが複数の方向に傾斜する場合の傾斜方向毎に前記関係が規定されており、前記明るさ導出手段は、前記傾斜センサーの出力信号に基づいてキャビネットの傾斜方向を検知し、検知された傾斜方向に応じた1つの関係を決定し、該関係を用いてキャビネットの周囲の明るさを導出する。
【0012】
上記具体的構成によれば、キャビネットの傾斜方向をも加味して、周囲の明るさが導出されるので、より正確に照明装置の動作を制御することが出来る。
【0013】
更に具体的な構成において、前記制御手段は、前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置の発光輝度を調整するものである。
或いは、前記制御手段は、前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置をオン/オフするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る携帯端末機によれば、キャビネットの傾斜角度に拘わらず、実際の周囲の明るさに応じた照明制御が実行されるので、簡易な構成で照明装置を常に正常に動作させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を携帯電話機に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る携帯電話機は、図1に示す如く、キャビネット(1)の表面にディスプレイ(12)とキー入力装置(11)が設けられると共に、受光窓(13)が形成されている。又、キャビネット(1)の表面の下部には送話部(14)、上部には受話部(15)が配備されている。
【0016】
キャビネット(1)の内部には、図2に示す如く、電話通信のための通信回路(2)、マイクロコンピュータからなる制御回路(3)、前記送話部(14)を構成するマイクロフォン(4)、前記受話部(15)を構成するスピーカ(5)、キー入力装置(11)やディスプレイ(12)のバックライトとなる照明装置(6)、前記受光窓(13)から入射する光を受けるべき照度センサー(7)、及び加速度センサー(8)が配備されている。
【0017】
加速度センサー(8)は、図3に示す如く回路基板(9)上に搭載されており、その出力信号の一部として、回路基板(9)の表面と平行なX軸、Y軸、及び回路基板(9)に垂直なZ軸の方向の重力加速度成分の値(XX、YY、ZZ)が得られるものである。
【0018】
前記制御回路(3)は、加速度センサー(8)から得られる3つの重力加速度成分の値(XX、YY、ZZ)に基づいて、回路基板(9)の傾斜方向及び傾斜角度θを算出する。
図4に示す3軸絶対座標系においてXo軸とYo軸によって規定される水平面を基準として、Xo軸回りの回転による傾斜方向(上下方向)Aと、Yo軸回りの回転による傾斜方向(左右方向)Bと、Xo軸及びYo軸に対して45°を為す軸回りの傾斜方向(斜め方向)Cとを設定し、各傾斜方向にはそれぞれ45°の幅をもたせた場合、回路基板(9)の任意の傾斜方向は、これら3つの傾斜方向A、B、Cの何れかに該当させることが出来る。
【0019】
又、回路基板(9)の傾斜角度θは、図6の如く加速度センサー(8)から得られる重力加速度成分の値ZZに基づいて、cosθ=ZZ/100の関係式から算出することが出来る(1Gに対応する出力値が100の場合)。
図7は、傾斜角度θ(0°〜180°)に応じた重力加速度成分の値ZZを示している。
【0020】
制御回路(3)には、図5(a)(b)(c)に示す如き3つのテーブルが格納されている。図5(a)のテーブルは、回路基板(9)が上下方向に傾斜した場合において、周囲の明るさ(100Lx、500Lx、1000Lx、3000Lx)の下、回路基板(9)の傾斜角度θが(−90°〜0°〜90°)の範囲で変化したとき、照度センサーによって検知される照度の一例を示している。又、図5(b)のテーブルは、回路基板(9)が左右方向に傾斜した場合において、周囲の明るさ(100Lx、500Lx、1000Lx、3000Lx)の下、回路基板(9)の傾斜角度θが(−90°〜0°〜90°)の範囲で変化したとき、照度センサーによって検知される照度の一例を示している。更に、図5(c)のテーブルは、回路基板(9)が斜め方向に傾斜した場合において、周囲の明るさ(100Lx、500Lx、1000Lx、3000Lx)の下、回路基板(9)の傾斜角度θが(−90°〜0°〜90°)の範囲で変化したとき、照度センサーによって検知される照度の一例を示している。
【0021】
これらのテーブルは、予め、太陽光や蛍光灯の如く頭上に存在する一般的な光源の下で、照度センサー(7)に対する光の入射角度を変化させることによって取得された照度データに基づき、あらゆる条件に対応可能な最適値を算出してテーブル化したものである。
【0022】
例えば、傾斜方向が上下方向の場合、傾斜角度が10°、照度センサーによって検知された照度が94であれば、そのときの光源(1000Lx)の下で傾斜角度が0°であれば、照度として100が得られるところ、10°の傾斜によって照度が94として検知されたものである。この場合、照度が94として従来の照明制御を行なうと、周囲の実際の明るさ(1000Lx)よりも暗く判断される結果、例えばキー入力装置のバックライトの場合、必要以上の輝度でバックライトが点灯することとなり、無駄な電力が消費される。
【0023】
これに対し、本発明に係る携帯電話機においては、上述の例で、キャビネットの傾斜角度が10°、照度センサーによって検知された照度が94であれば、キャビネットの周囲の明るさは1000Lxであると判断し、その明るさに応じた照明制御を行なう。
【0024】
例えば、液晶ディスプレイ(12)のバックライトの場合、図8の如く、周囲の明るさに応じて、発光輝度を段階的に変化させる。
又、キー入力装置(11)のバックライトの場合、図9の如く、周囲の明るさが所定の閾値を越えているか否かによって、オン/オフを切り換える。
【0025】
図10は、制御回路(3)が実行する明るさ導出及び照明制御の手続きを示している。
先ずステップS1では、キー操作や蓋の開閉等、何らかの動作イベントが発生したか否かを判断し、イエスと判断されたとき、ステップS2に移行して、加速度センサーよりX軸、Y軸及びZ軸の3軸データ(XX、YY、ZZ)を取得する。
次にステップS3では、X軸のデータXXとY軸のデータYYよりキャビネットの3つ傾斜方向(上下、左右、斜め)を判別すると共に、Z軸のデータZZより傾斜角度θを算出し、使用するテーブルを決定する。
【0026】
続いて、ステップS4では、照度センサーより照度データを取得する。
その後、ステップS5にて、前記決定されたテーブルを用いて、傾斜角度と照度データから周囲の明るさを導出する。テーブルの適用に際しては、必要に応じて補間処理を実施する。
そして、ステップS6では、周囲の明るさに応じて照明制御を実行する。
【0027】
上記本発明の携帯電話機によれば、加速度センサー(8)によって検知されたキャビネット(1)の傾斜角度θと、照度センサー(7)によって検知された照度から、キャビネット(1)の傾斜に拘わらず、実際の周囲の明るさが導出され、その明るさに応じた照明制御が実行されるので、照明装置(6)を常に正常に動作させることが出来る。又、単に加速度センサー(8)を設置して、制御回路(3)によって上述の制御を実行するだけでよいので、構成が複雑になることもない。
【0028】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。傾斜センサーとしては、加速度センサー(8)に限らず、ジャイロスコープ等、傾斜角度を検知することが出来る種々のセンサーを採用することが出来る。
【0029】
又、キャビネットの傾斜角度に応じた明るさの導出においては、加速度センサー(8)からのX軸データXXとY軸データYYに基づいて、キャビネットの3つ傾斜方向(上下、左右、斜め)を判別して使用する1つのテーブルを決定する方法に限らず、加速度センサー(8)からのX軸データXXとY軸データYYに基づいて、キャビネットの傾斜方向のX軸回り成分とY軸回り成分を算出し、図5(a)に示すテーブルと図5(b)に示すテーブルの両方を用いて周囲の明るさを導出する方法を採用することも可能である。
【0030】
又、本発明は、図1に示す如き単一のキャビネットを具えた携帯端末機に限らず、2つのキャビネットを開閉可能に連結してなる折り畳み式或いはスライド式の携帯端末機に実施することも可能である。この場合、同一のキャビネットに照度センサーと加速度センサーを配置することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る携帯電話機の斜視図である。
【図2】該携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図3】回路基板上の加速度センサーを示す斜視図である。
【図4】キャビネットの傾斜方向を説明する図である。
【図5】周囲の明るさを導出するための3つのテーブルを示す図表である。
【図6】加速度センサーによる傾斜角度の検出方法を説明する図である。
【図7】傾斜角度に応じた重力加速度成分の値を示す図表である。
【図8】ディスプレイに対する照明制御の一例を表わす説明図である。
【図9】キー入力装置に対する照明制御の一例を表わす説明図である。
【図10】制御回路による明るさ導出及び照明制御の手続きを表わすフローチャートである。
【図11】キャビネットの傾斜によって照度センサーの感度が変化することを説明する図である。
【図12】傾斜角度に応じた照度センサーの感度の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0032】
(1) キャビネット
(11) キー入力装置
(12) ディスプレイ
(13) 受光窓
(2) 通信回路
(3) 制御回路
(6) 照明装置
(7) 照度センサー
(8) 加速度センサー
(9) 回路基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能なキャビネットの表面に操作部及び/又は表示部が設けられると共に、受光窓が形成され、該キャビネットの内部には、前記操作部及び/又は表示部を照明すべき照明装置と、前記受光窓を経て入射する光が照射される照度センサーと、該照度センサーによって検知された照度に応じて前記照明装置の動作を制御する制御回路とが配備されている携帯端末機において、
前記キャビネットの内部には、キャビネットの基準姿勢に対する傾斜角度を検知する傾斜センサーが配備され、前記制御回路は、
キャビネットの傾斜角度と照度センサーによって検知される照度とを変数として、キャビネットの周囲の明るさを表わす関係が規定された関係規定手段と、
前記関係規定手段に規定されている関係を用いて、前記傾斜センサーによって検知されたキャビネットの傾斜角度と、前記照度センサーによって検知された照度から、キャビネットの周囲の明るさを導出する明るさ導出手段と、
前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置の動作を制御する制御手段
とを具えていることを特徴とする携帯端末機。
【請求項2】
前記関係規定手段には、水平に伸びる複数の回転軸を中心としてキャビネットが複数の方向に傾斜する場合の傾斜方向毎に前記関係が規定されており、前記明るさ導出手段は、前記傾斜センサーの出力信号に基づいてキャビネットの傾斜方向を検知し、検知された傾斜方向に応じた1つの関係を決定し、該関係を用いてキャビネットの周囲の明るさを導出する請求項1に記載の携帯端末機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置の発光輝度を調整するものである請求項1又は請求項2に記載の携帯端末機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置をオン/オフするものである請求項1又は請求項2に記載の携帯端末機。
【請求項1】
携帯可能なキャビネットの表面に操作部及び/又は表示部が設けられると共に、受光窓が形成され、該キャビネットの内部には、前記操作部及び/又は表示部を照明すべき照明装置と、前記受光窓を経て入射する光が照射される照度センサーと、該照度センサーによって検知された照度に応じて前記照明装置の動作を制御する制御回路とが配備されている携帯端末機において、
前記キャビネットの内部には、キャビネットの基準姿勢に対する傾斜角度を検知する傾斜センサーが配備され、前記制御回路は、
キャビネットの傾斜角度と照度センサーによって検知される照度とを変数として、キャビネットの周囲の明るさを表わす関係が規定された関係規定手段と、
前記関係規定手段に規定されている関係を用いて、前記傾斜センサーによって検知されたキャビネットの傾斜角度と、前記照度センサーによって検知された照度から、キャビネットの周囲の明るさを導出する明るさ導出手段と、
前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置の動作を制御する制御手段
とを具えていることを特徴とする携帯端末機。
【請求項2】
前記関係規定手段には、水平に伸びる複数の回転軸を中心としてキャビネットが複数の方向に傾斜する場合の傾斜方向毎に前記関係が規定されており、前記明るさ導出手段は、前記傾斜センサーの出力信号に基づいてキャビネットの傾斜方向を検知し、検知された傾斜方向に応じた1つの関係を決定し、該関係を用いてキャビネットの周囲の明るさを導出する請求項1に記載の携帯端末機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置の発光輝度を調整するものである請求項1又は請求項2に記載の携帯端末機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記明るさ導出手段によって導出された周囲の明るさに応じて、前記照明装置をオン/オフするものである請求項1又は請求項2に記載の携帯端末機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−34914(P2010−34914A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195563(P2008−195563)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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