説明

携帯端末

【課題】携帯電話所有者または通知希望者が通知指示をせずとも、事前に登録した定型行動から外れるような異常行動が検出された場合、直ちに自動的に通知する携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末1は、日時を取得する日時取得部2、現在位置を取得する位置取得部3、および所有者の行動を推定する行動推定部4の出力する情報を行動履歴として格納する行動履歴格納部7と、所定の日時および位置における所有者の行動を予め設定した定型行動パターンを格納する定型行動パターン格納部8を有する。行動パターン比較部9は、定型行動パターンに設定された日時になると行動履歴情報と定型行動パターン情報とを比較し、定型行動パターンと行動履歴とが合致していない場合に、その旨を示す異常行動情報を通知部10から着信端末11へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所有者の位置および行動を把握して、異常行動を外部へ通知する携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害時における被災者の位置確認、通学または通塾時における子供の安否確認、徘徊老人の位置確認等を行う手段として、対象となる人物にGPS(Global Positioning System)機能を搭載した携帯電話を持たせて、位置情報を通知希望者の持つ端末へ通知させる位置通知システムが各種提案されている。このような位置通知システムでは、災害発生時等の位置確認が必要になった場合に、携帯電話所有者または通知希望者が指示することにより、位置情報が通知されていた。
【0003】
また、例えば特許文献1では、上述の位置通知システムの機能に加えて、携帯電話所有者の体温、心拍数等の容態の変化を監視し、異常を検出するとその時点の位置情報を通知する安否確認方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−120060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の携帯端末による位置通知システムは以上のように構成されているので、位置情報の通知を指示するのは携帯電話所有者または通知希望者であり、両者が共に通知指示ができない、あるいは指示する気がないときには、位置情報の通知および確認はできないという課題があった。例えば、携帯電話所有者である子供が通学または通塾時に何らかのトラブルに巻き込まれて身動きできなくなり、位置情報の通知を行うことができないような場合、通知希望者側も子供がどのような行動をしているか把握できないため、位置情報確認の指示を出さなかった。
【0006】
また、特許文献1では例え通知指示を行うことができたとしても、通知によって確認できるのは携帯電話所有者の位置および体の状態であり、行動の内容までは確認できないという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、携帯電話所有者または通知希望者が通知の送信指示をせずとも、事前に登録した定型行動から外れるような携帯電話所有者の異常行動が検出された場合、直ちに、異常行動を自動的に通知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る携帯端末は、対象者の動作で生じる物理量を検出するセンサと、物理量の特徴から推定される行動内容を分類した情報を用いて、センサの検出値から対象者の行動を推定する行動推定部と、現在日時を取得する日時取得部と、対象者の現在位置を取得する位置取得部と、日時取得部により取得された日時、位置取得部により取得された位置および行動推定部で推定された対象者の行動を行動履歴情報として格納する行動履歴格納部と、所定の日時および位置における対象者の行動を予め設定した定型行動パターン情報を格納する定型行動パターン格納部と、定型行動パターン格納部の定型行動パターン情報と行動履歴格納部の行動履歴情報を比較する行動パターン比較部と、行動パターン比較部による比較結果に基づいて、所定の日時および位置における対象者の行動が定型行動パターンに合致していない場合に、その旨を示す異常行動情報として通知する通知部とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、物理量の特徴から推定される行動内容を分類した情報を用いて、対象者の動作で生じる物理量からなる検出値から対象者の行動を推定し、現在日時、対象者の現在位置および推定された対象者の行動を行動履歴情報として格納すると共に、所定の日時および位置における対象者の行動を予め設定した定型行動パターン情報を格納し、定型行動パターン情報と行動履歴情報を比較した比較結果に基づいて所定の日時および位置における対象者の行動が定型行動パターンに合致していない場合に、その旨を示す異常行動情報として通知するようにしたので、対象者または通知希望者が通知指示をせずとも、事前に登録した定型行動から外れるような対象者の異常行動が検出された場合に、直ちに、異常行動を自動的に通知することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る携帯端末の構成を示すブロック図である。
携帯端末1はカレンダ、時計等の日時を取得する日時取得部2、GPS受信機能を有し、現在位置を取得する位置取得部3、加速度センサ等を有し、携帯端末1所有者の行動内容を推定する行動推定部4、キーボード、音声等によりユーザが定型行動パターンを入力する行動パターン入力部5、定型行動パターンの設定に日時取得部2、位置取得部3および行動推定部4が検出した行動パターンを用いるか、ユーザが入力した定型行動パターンを用いるかを切り替えるスイッチ部6、メモリ等で構成され、日時取得部2、位置取得部3および行動推定部4が検出した情報を記録する行動履歴格納部7、メモリ等で構成され、定型行動パターンを記録する定型行動パターン格納部8、異常行動等を検出する行動パターン比較部9、検出された異常行動等を外部へ通知する通知部10を備える。本実施の形態1では、携帯端末1から発信される通知は、通知希望者が所有する着信端末11に着信する。
【0011】
図1に示す日時取得部2は、カレンダ、時計等の現時点の日付および時刻を取得して、その日付時刻情報をスイッチ部6および行動履歴格納部7へそれぞれ出力する。位置取得部3は、例えばGPS受信機を有し、測定を行うことにより現在位置を緯度および経度の情報で取得して、その緯度経度情報をスイッチ部6および行動履歴格納部7へそれぞれ出力する。行動推定部4は、例えば加速度センサを用いて携帯端末1所有者の行動で生じる上下方向および前後方向の物理量を測定し、予め測定しておいた「静止」、「歩いている」、「走っている」、「階段を上っている」、「階段を降りている」等の場合の物理量の特徴と比較する。行動推定部4はその比較結果に基づいて、携帯端末1所有者の行動を「静止」、「歩いている」、「走っている」、「階段を上っている」、「階段を降りている」等のいずれかに分類し、分類した行動情報をスイッチ部6および行動履歴格納部7へそれぞれ出力する。
【0012】
行動履歴格納部7は、日時取得部2、位置取得部3および行動推定部4からそれぞれ出力された日付時刻情報、緯度経度情報および行動情報からなる行動履歴情報を、図2に示すフォーマットで逐次格納する。行動履歴情報は、一定時間毎、緯度経度情報の推移毎、行動情報の変転毎等のタイミングで格納すればよい。
【0013】
定型行動パターン格納部8は、日時取得部2、位置取得部3および行動推定部4からそれぞれ出力された日付時刻情報、緯度経度情報および行動情報、あるいはユーザにより行動パターン入力部5から入力された情報を、図3に示すフォーマットで格納する。定型行動パターンは、日時取得部2、位置取得部3および行動推定部4が検知した各情報を用いて学習しても、ユーザの操作により行動パターン入力部5から出力した情報を用いて設定してもよく、設定切り替えはスイッチ部6が行う。なお、定型行動パターン情報を構成する各情報のうち、時刻および位置に関する許容誤差の情報は、行動パターン入力部5を用いてユーザが入力する。
【0014】
行動パターン比較部9は、定型行動パターン格納部8に格納された定型行動パターン情報と行動履歴格納部7に格納された行動履歴情報とを比較して、携帯端末1所有者が定型行動パターンを行っているか確認して、異常行動を検出する。
【0015】
通知部10は、行動パターン比較部9が出力した比較結果に基づいて、予め設定された通知を行う条件の場合に着信端末11へ通知を行う。通知を行う条件は、携帯端末1所有者の行動が定型行動パターンと一致しなかった場合、即ち異常行動が検出された場合とする。この条件に加えて、所有者の行動が定型行動パターンと一致した場合にも通知を行うよう構成してもよい。
【0016】
次に、携帯端末1の動作について説明する。図4は、この発明の実施の形態1に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。図4に示すステップST1において、既に定型行動パターンが設定され、定型行動パターン格納部8内に図3に示すフォーマットの定型行動パターン情報が存在する場合(ステップST1“Yes”)、処理はステップST3へ進む。
【0017】
一方、定型行動パターンが設定されていない場合(ステップST1“No”)、続くステップST2において定型行動パターンを設定する。ステップST2の定型行動パターンの設定手順については後述する。
【0018】
定型行動パターン格納部8内に定型行動パターン情報が存在する場合には、携帯端末1はその所有者の行動確認を起動し(ステップST3)、行動確認を行って異常行動の検出および通知を行う(ステップST4)。行動確認手順については後述する。
【0019】
ステップST4において、携帯端末1は全ての行動確認が完了すると行動確認を停止する(ステップST5)。行動確認を繰り返す場合には(ステップST6“Yes”)処理はステップST3に戻り、繰り返さない場合には(ステップST6“No”)処理を終了する。
【0020】
次に、ステップST2の定型行動パターン設定の手順について説明する。図5は、この発明の実施の形態1に係る携帯端末の定型行動パターン設定手順を示すフローチャートである。図5に示すステップST11において、定型行動パターンをユーザが設定するか、日時取得部2、位置取得部3および行動推定部4を使って学習させるか、スイッチ部6を切り替えて選択する。
【0021】
ユーザが設定する場合(ステップST11“Yes”)、ユーザは図3に示す定型行動パターン情報のフォーマットの各項目「日時」、「時刻」、「位置(緯度)」、「位置(経度)」、「行動」の情報を、行動パターン入力部5からそれぞれ入力し、設定する(ステップST12)。
【0022】
日時取得部2、位置取得部3および行動推定部4を用いた学習による設定の場合(ステップST11“No”)、始めに定型行動パターン情報の格納方法が定型行動パターン格納部8に設定される(ステップST13)。格納方法とは、例えば一定時間毎に行動情報の格納を行う、学習中に携帯端末1所有者またはユーザが指定する位置または日時毎に行動情報の格納を行う、といった定型行動パターンを作成する条件である。格納方法には、定型行動パターン格納の処理を開始する位置または日時、および定型行動パターン格納の処理を終了する位置または日時が含まれる。なお、格納方法の設定はユーザが行動パターン入力部5を用いて行えばよい。
【0023】
続くステップST14において、ステップST13で設定された格納方法に従って、設定された開始位置または日時になると、定型行動パターン格納部8が定型行動パターン格納処理を起動する。そして、携帯端末1所有者が実際に定型行動パターンを行い、日時取得部2から出力した日付時刻情報、位置取得部3から出力した緯度経度情報、および行動推定部4から出力した行動情報を、定型行動パターン情報として定型行動パターン格納部8が格納する(ステップST15)。格納方法に従って、設定された終了位置または日時になると、定型行動パターン格納部8は定型行動パターン情報の格納、即ち行動学習を終了する(ステップST16)。
【0024】
作成した定型行動パターン情報について、ステップST17においてユーザによる修正が必要ない場合(ステップST17“No”)、処理はステップST18へ進む。ユーザによる修正を行う場合(ステップST17“Yes”)、処理がステップST12へ進む。ステップST12において、ユーザが行動パターン入力部5を用いて、定型行動パターン情報に含まれる「日付」、「時刻」、「位置」等を変更する。また、「行動」に複数の行動情報を設定する、定型行動パターン情報を複製または削除する等の修正を行ってもよい。
【0025】
ステップST18において、ユーザが行動パターン入力部5を用いて、定型行動パターン情報に含まれる「許容誤差(時刻)」および「許容誤差(位置)」の情報を入力、設定する。許容誤差とは、携帯端末1が所有者の行動確認を行って、異常行動を検出するにあたり、どのくらいの時間および位置の誤差を許容するか、誤差の幅を設定するものである。なお、行動情報の種類毎に許容誤差を設定してもよいし、一括して同じ許容誤差を設定してもよい。
【0026】
複数の定型行動パターンを設定する場合には、ステップST11−ステップST18の処理を必要回数繰り返して行う。なお、設定した各定型行動パターン情報は、「日時」および「時刻」に基づく時系列に沿って定型行動パターン格納部8に格納されていくものとする。
【0027】
次に、図4に示すステップST4の行動確認の手順について説明する。図6は、この発明の実施の形態1に係る携帯端末の行動確認手順を示すフローチャートである。なお、図6において、定型行動パターン情報に時系列に沿って割り振られた番号である自然数nはn=1から開始するものとする。
【0028】
ステップST21において、図1に示す行動パターン比較部9は定型行動パターン格納部8を参照して、n個目(最初の場合はn=1なので番号1)の定型行動パターンを取り出す。取り出した定型行動パターンは、図3に示す番号1の「毎日16:20に、緯度40.00、経度135.00の位置で、静止する」という内容である。この定型行動パターンには許容誤差が設定されているため、実際の内容は「毎日16:15−16:25に、緯度39.90−40.10、経度134.90−135.10の位置で、静止する」となる。
【0029】
ステップST22において、行動パターン比較部9は、図1に示す行動履歴格納部7に逐次格納された携帯端末1所有者の行動履歴情報の「日付」および「時刻」が、定型行動パターン情報のうちの許容誤差を含んで指定された「日付」および「時刻」を過ぎたかどうかチェックする。その結果、行動履歴情報の日時が定型行動パターンの日時を過ぎている場合は(ステップST22“Yes”)、定型行動パターンが指定日時範囲に行われなかった、即ち異常行動であるため、処理はステップST27へ進む。一方、行動履歴情報の日時が定型行動パターンの指定日時を過ぎていない場合は(ステップST22“No”)、処理はステップST23へ進む。
【0030】
例えば、現時刻16:16に行動パターン比較部9がステップST22の処理を行う場合、図2に示す時刻16:15およびそれ以前の行動履歴情報が行動履歴格納部7に存在している。時刻16:15の行動履歴情報の日時は、図3に示す番号1の定型行動パターンの許容誤差を含む指定日時である時刻16:15−16:25を過ぎていないので、処理はステップST23へ進む。
【0031】
ステップST23において、この行動履歴情報の「位置(緯度)」および「位置(経度)」が、許容誤差を含んで指定された「位置(緯度)」および「位置(経度)」の範囲内かどうかチェックする(ステップST23)。範囲内にある場合(ステップST23“Yes”)、処理はステップST25へ進む。
【0032】
例えば、現時刻16:16に行動パターン比較部9がステップST23の処理を行う場合、時刻16:15の行動履歴情報の時刻および位置は、番号1の定型行動パターン情報の許容誤差を含む指定日時および指定位置範囲内にあるので、処理はステップST25へ進む。
【0033】
一方、範囲内にない場合(ステップST23“No”)、処理はステップST24へ進む。ステップST24において、予め設定された10秒、30秒、1分等の一定時間待った後、再び処置はステップST22へ戻る。例えば、一定時間経過後の現時刻が16:31になった場合、行動履歴格納手段7には時刻16:15および16:30の行動履歴情報が格納されている。ここで、行動パターン比較部9がステップST24からステップST22に戻り、番号1の定型行動パターン情報が許容誤差を含んで指定した日時と行動履歴情報の日時とを比較する。比較の結果、行動履歴情報の時刻16:30が定型行動パターン情報の時刻16:15−16:25を過ぎているため、定型行動パターンが行われなかったとして処理がステップST27へ進む。
【0034】
ステップST25において、行動パターン比較部9は、行動履歴情報の「行動」が番号1の定型行動パターン情報の指定する「行動」と同じかどうか比較する。比較の結果、異なる行動の場合は(ステップST25“No”)、処理は上述のステップST24へ戻る。一方、同じ行動の場合は(ステップST25“Yes”)、処理はステップST26へ進む。
【0035】
例えば、現時刻16:16に行動パターン比較部9がステップST25の処理を行う場合、時刻16:15の行動履歴情報の「行動」は番号1の定型行動パターン情報の「行動」と同じ、静止である。そのため、行動パターン比較部9は携帯端末1所有者の行動が定型行動パターンと一致したと判断して、処理をステップST26へ進める。
【0036】
ステップST26において、通知部10が携帯端末1所有者の行動と定型行動パターンとが一致した場合にも着信端末11へ通知を行う条件が設定されている場合には(ステップST26“Yes”)、処理はステップST27へ進む。
【0037】
ステップST27において、通知部10が着信端末11へ異常行動検出の通知を行う。また、携帯端末1所有者の行動と定型行動パターンとが一致した場合にも着信端末11へ通知を行う設定がされている場合、通知部10は定型行動パターンが行われた旨の通知を行う。以上の処理により、番号1の定型行動パターンに関する行動確認が完了する。
【0038】
定型行動パターン格納部8に次番号の定型行動パターン情報が格納されていれば(ステップST28“Yes”)、ステップST29において定型行動パターン情報の番号がインクリメントされてステップST21に戻り、次の番号の定型行動パターン情報に関する行動確認が引き続き行われる。
【0039】
上述した行動確認では、定型行動パターンに設定された「時刻」を基準にして、定型行動パターンと行動履歴とを比較して確認していく時系列順の手順を説明したが、複数の定型行動パターンを並行に確認してもよく、また時系列以外の順番で確認してもよい。
【0040】
以上のように、実施の形態1によれば、携帯端末1は、携帯端末1所有者の動作で生じる物理量を検出する加速度センサと、物理量の特徴から推定される行動内容を分類した情報を用いて、加速度センサの検出値から携帯端末1所有者の行動を推定する行動推定部4と、現在日時を取得する日時取得部2と、携帯端末1所有者の現在位置を取得する位置取得部3と、日時取得部2により取得された日時、位置取得部3により取得された位置および行動推定部4で推定された行動を行動履歴情報として格納する行動履歴格納部7と、所定の日時および位置における携帯端末1所有者の行動を予め設定した定型行動パターン情報を格納する定型行動パターン格納部8と、定型行動パターン情報と行動履歴情報を比較する行動パターン比較部9と、比較結果に基づいて、所定の日時および位置における携帯端末1所有者の行動が定型行動パターンに合致していない場合に、その旨を示す異常行動情報として着信端末11に通知する通知部10とを備えるように構成した。
そのため、携帯端末所有者が定型行動パターンから外れた行動を行った場合、通知希望者が通知送信を指示していなくても、即座に自動的に通知することができ、携帯端末所有者が異常な状態にあることを素早く検知することが可能となる。また、通知を受けた通知希望者が異常事態および緊急事態に素早く対応することが可能となる。
【0041】
また、実施の形態1によれば、通知部10は、行動パターン比較部9による比較結果に基づいて、所定の日時および位置における携帯端末1所有者の行動が定型行動パターンに合致する度にその旨を通知するように構成した。そのため、携帯端末所有者がどの時刻の定型行動パターンまで行ったか通知することが可能となる。
【0042】
なお、上記実施の形態1では、行動パターン比較部9は行動履歴情報の「位置(緯度)」および「位置(経度)」が、許容誤差を含んで指定された「位置(緯度)」および「位置(経度)」の範囲内かどうかチェックする構成であったが(図6のステップST23)、指定位置範囲内にある場合に通知部10から着信端末11へ携帯端末1所有者が定型行動パターン情報で指定した「位置」に到着した旨を通知する構成であってもよい。
この構成、即ち通知部10が行動パターン比較部9による比較結果に基づいて、携帯端末1所有者の現時刻の位置が定型行動パターンの位置に合致する場合にその旨を通知する構成の場合であっても、携帯端末所有者が定型行動パターンから外れた行動を行った場合に、通知希望者が通知送信を指示していなくても、即座に自動的に通知することが可能である。
【0043】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係る携帯端末の構成を示すブロック図である。図7において図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図7に示す携帯端末1aは、上記実施の形態1の携帯端末1の通知部10および着信端末11にかえて、地図上に表示した現在位置を補正する位置補正部12および地図と現在位置とを表示する位置表示部13を備える。
また、携帯端末1aは位置表示部13による地図表示のための地図情報を有するが、その地図情報には各経度緯度に対応した「道路」、「駅」等の地図表示情報が含まれる。図8は、この発明の実施の形態2に係る携帯端末の地図情報の例を示す説明図である。また、行動パターン比較部9a、位置補正部12は必要に応じてこの地図情報を参照する。
【0044】
図9は、この発明の実施の形態2に係る携帯端末の定型行動パターン情報の例を示す説明図である。図7に示す定型行動パターン格納部8aは、図3に示す定型行動パターン情報に、「行動位置」の情報を追加したフォーマットの定型行動パターン情報を格納する。その他の構成および動作は上記実施の形態1の定型行動パターン格納部8と同様である。「行動位置」は、定型行動パターンを設定する際にユーザが行動パターン入力部5を用いて設定する情報であり、携帯端末1a所有者が定型行動パターンを行う場所を表す。
【0045】
行動パターン比較部9aは、定型行動パターン格納部8aに格納された定型行動パターン情報と行動履歴格納部7に格納された行動履歴情報とを比較して、上記実施の形態1の行動パターン比較部9同様に携帯端末1a所有者が定型行動パターンを行っているか確認すると共に異常行動を検出する。それに加え、位置表示部13が地図上に表示した携帯端末1a所有者の現在位置における地図表示情報(図8)と定型行動パターン情報の「行動位置」とが矛盾しないか比較する。なお、定型行動パターン比較部9aは、現在位置における地図表示情報と「行動位置」とで矛盾する組み合わせの情報(例えば「道路」と「駅」とは矛盾する組み合わせ)を予め保持しておき、矛盾する組み合わせに該当する場合には現在位置の補正が必要と判定する。
【0046】
位置補正部12は、行動パターン比較部9aによる現在位置と「行動位置」との比較結果に基づき、位置表示部13が表示する地図上の現在位置を図8に示す地図情報を参照して矛盾のない正しい位置に補正する。これにより、GPS等の機器を用いて位置取得部3が測定した位置の誤差を補正することができる。
【0047】
位置表示部13は、携帯端末1aの画面であり、行動履歴情報に含まれる緯度経度情報および図8に示す地図情報に基づいて、現在位置を含む地図を表示する。また、位置表示部13はその地図上に現在位置を重畳して表示する。
【0048】
携帯端末1aの全体の動作は、図4に示すフローチャートと同一である。ただし、ステップST4の行動確認の手順(図6に示す)が一部異なるため、以下で携帯端末1aの行動確認の手順を説明する。図10は、この発明の実施の形態2に係る携帯端末の行動確認手順を示すフローチャートである。図10に示すフローチャートのステップST31−ステップST35、ステップST38およびステップST39の各ステップは、図6に示すフローチャートのステップST21−ステップST25、ステップST28およびステップST29の各ステップと同様であるため、説明を省略する。
【0049】
図10に示すステップST35において、行動履歴情報の「行動」と番号1の定型行動パターン情報の指定する「行動」との比較の結果、同じ行動であった場合に処理はステップST36へ進む。行動パターン比較部9aは定型行動パターン情報と行動履歴情報の各項目の比較に加えて、ステップST36において定型行動パターン情報の「行動位置」と、行動履歴情報の「位置」に基づいて位置表示部13が表示した現在位置に対応する地図表示情報とが矛盾していないか比較する。
【0050】
行動パターン比較部9aによって「行動位置」と現在位置の地図表示情報とが一致していると判断された場合(ステップST36“Yes”)、位置表示部13が表示する現在位置を補正する必要がないため、処理はステップST38へ進む。
一方、行動パターン比較部9aによって「行動位置」と現在位置の地図表示情報とが一致せず、矛盾していると判断された場合には(ステップST36“No”)、ステップST37において位置補正部12が、位置表示部13が表示する現在位置の表示位置を、定型行動パターン情報の許容誤差を含む「位置」の範囲内、かつ「行動位置」と矛盾しない地図表示情報の経度緯度に補正する。
【0051】
以下では、図9に示す最後の定型行動パターン情報を例にとって、具体例を説明する。まず行動パターン比較部9aが、この定型行動パターンが発生する時刻20:10について、行動履歴情報の日時を過ぎているか比較を行う(ステップST32)。過ぎていなければ、行動パターン比較部9aは続いて行動履歴情報が指定日時および位置の範囲内かチェックする(ステップST33)。範囲外であれば、一定時間経過後、行動パターン比較部9aが再度チェックを行う(ステップST34)。
【0052】
例えば、携帯端末1a所有者が時刻20:20誤差30分以内に緯度40.05、経度135.10周辺0.05度の範囲内にいることを示す行動履歴情報であれば、定型行動パターン情報の指定日時および位置の範囲内となる。範囲内になると、続いて行動パターン比較部9aは、携帯端末1a所有者が指定された行動である「階段上昇」を行っているかチェックする(ステップST35)。
行動パターン比較部9aは指定行動を行っていると判定すると、さらに、その行動位置が地図上の現在位置から判断して矛盾していないか、予め設定された矛盾する組み合わせに該当しないかチェックする(ステップST36)。例えば、現在位置は図8の地図情報によれば道路上となり、行動位置「駅」と一致せず、矛盾する。つまり、階段のない「道路」に対して「階段上昇」が矛盾していることになる。従って、行動パターン比較部9aは現在位置と行動位置が一致せず、現在位置は許容誤差以下の微小な誤差があると判定する。
【0053】
位置補正部12は、行動パターン比較部9aの判定を受けて、位置表示部13の現在位置を、定型行動パターン情報の許容誤差を含む指定位置の範囲内にあり、かつ行動位置である「駅」と一致する緯度40.05、経度135.10に補正する。位置表示部13は、地図上に重畳して表示している携帯端末1a所有者の現在位置を、位置補正部12が補正した位置に表示する(ステップST37)。これにより、携帯端末1a所有者の現在位置が、階段がある駅の位置に表示される。このように、携帯端末1aは、GPS等の機器を用いて位置取得部3が測定した位置の誤差を補正した現在位置を提示することができる。
定型行動パターン格納部8aに次の定型行動パターン情報が存在する場合(ステップST38“Yes”)、行動パターン比較部9aは次の定型行動パターン情報を用いてステップST31から処理を行う。
【0054】
以上のように、実施の形態2によれば、携帯端末1aは、携帯端末1a所有者の動作で生じる物理量を検出する加速度センサと、物理量の特徴から推定される行動内容を分類した情報を用いて、加速度センサの検出値から携帯端末1a所有者の行動を推定する行動推定部4と、現在日時を取得する日時取得部2と、携帯端末1所有者の現在位置を取得する位置取得部3と、日時取得部2により取得された日時、位置取得部3により取得された位置および行動推定部4で推定された行動を行動履歴情報として格納する行動履歴格納部7と、所定の日時および位置における携帯端末1a所有者の行動および行動位置を予め設定した定型行動パターン情報を格納する定型行動パターン格納部8aと、定型行動パターン情報と行動履歴情報を比較する行動パターン比較部9と、携帯端末1a所有者の位置を地図上に重畳して表示する位置表示部13と、比較結果に基づいて、携帯端末1a所有者の現時刻の行動が定型行動パターンの行動に合致するが、携帯端末1a所有者の現在位置が定型行動パターンの位置と異なる場合に、位置表示部13に表示した携帯端末1a所有者の位置を、定型行動パターンの位置に基づいて補正する位置補正部12とを備えるように構成した。そのため、携帯端末所有者の現在位置をより正確に地図表示することが可能となる。
【0055】
なお、上記実施の形態2に上記実施の形態1の構成を適用して、携帯端末1a所有者の行動が定型行動パターンに合致しない異常行動の場合、または定型行動パターンに合致する行動をした場合、ならびに携帯端末1a所有者が定型行動パターンの指定位置範囲内に入った場合に、通知部が着信端末へその旨を通知するように構成してもよい。
【0056】
また、上記実施の形態1および2では、定型行動パターン格納部に格納する定型行動パターン情報として、スイッチ部6で選択した日時取得部2、位置取得部3および行動推定部4から出力した情報、または行動パターン入力部5から出力した情報を用いるように構成したが、スイッチ部6を廃し、どちらか一方から出力した情報を常に用いるように構成してもよい。
【0057】
また、上記実施の形態1および2では、携帯端末を用いて位置および行動の検出および通知を行う構成であったが、これに限定されるものではなく、車両搭載のナビゲーション装置等によって実現する構成であってもよい。運送用車のナビゲーション装置に適用した場合、運送ルートを定型行動パターンとして設定し、運送用車が運送ルートから外れると自動的に通知する等の構成にすることで、輸送方法の効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の実施の形態1に係る携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る携帯端末の行動履歴情報の例を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る携帯端末の定型行動パターン情報の例を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る携帯端末の定型行動パターン設定手順を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1に係る携帯端末の行動確認手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2に係る携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る携帯端末の地図情報の例を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る携帯端末の定型行動パターン情報の例を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る携帯端末の行動確認手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1,1a 携帯端末、2 日時取得部、3 位置取得部、4 行動推定部、5 行動パターン入力部、6 スイッチ部、7 行動履歴格納部、8,8a 定型行動パターン格納部、9,9a 行動パターン比較部、10 通知部、11 着信端末、12 位置補正部、13 位置表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の動作で生じる物理量を検出するセンサと、
前記物理量の特徴から推定される行動内容を分類した情報を用いて、前記センサの検出値から前記対象者の行動を推定する行動推定部と、
現在日時を取得する日時取得部と、
前記対象者の現在位置を取得する位置取得部と、
前記日時取得部により取得された日時、前記位置取得部により取得された位置および前記行動推定部で推定された前記対象者の行動を行動履歴情報として格納する行動履歴格納部と、
所定の日時および位置における前記対象者の行動を予め設定した定型行動パターン情報を格納する定型行動パターン格納部と、
前記定型行動パターン格納部の定型行動パターン情報と前記行動履歴格納部の行動履歴情報を比較する行動パターン比較部と、
前記行動パターン比較部による比較結果に基づいて、前記所定の日時および位置における前記対象者の行動が前記定型行動パターンに合致していない場合に、その旨を示す異常行動情報として通知する通知部とを備えた携帯端末。
【請求項2】
通知部は、行動パターン比較部による比較結果に基づいて、所定の日時および位置における対象者の行動が定型行動パターンに合致する度にその旨を通知することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
通知部は、行動パターン比較部による比較結果に基づいて、対象者の現時刻の位置が定型行動パターンの位置に合致する場合にその旨を通知することを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
対象者の位置を地図上に重畳して表示する位置表示部と、
行動パターン比較部による比較結果に基づいて、前記対象者の現時刻の行動が定型行動パターンの行動に合致するが、前記対象者の現在位置が前記定型行動パターンの位置と異なる場合に、前記位置表示部に表示した前記対象者の位置を、前記定型行動パターンの位置に基づいて補正する位置補正部とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−258976(P2009−258976A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106991(P2008−106991)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】