説明

携帯電子機器

【課題】 筐体を振動器によって大きく振動させられるようにして、振動によるユーザーへの確実な報知が可能な携帯電子機器を提供する。
【解決手段】 報知手段である振動器12を収容する筐体1に複数の支持点14A〜14Cを設け、機器本体を被載置面上に置くときに、これらの支持点14A〜14Cを被載置面に当接させる。振動器12を、筐体1の内部の前記複数の支持点14A〜14Cを結ぶ領域aの外側になる位置に配置する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機や簡易型携帯電話機(PHS(登録商標))、PDA(Personal Digital Assistants)等の携行可能な携帯電子機器に関し、とりわけ、着信等を知らせる報知手段として振動器を備えた携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPDA等の携帯電子機器には、着信等を知らせる報知手段として振動器を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。この振動器は、通常、モータの軸に錘が偏心して固定され、モータ駆動による錘の偏心回転によって筐体を振動させるようになっている。
この振動器を用いた報知は、呼び出し音と併せて用いられることもあるが、一般にマナーモードと呼ばれる消音モードにて用いられる。
【特許文献1】特開2004−7262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、携帯電子機器をマナーモードに設定した状態で机等の被載置物上に置いた際には、携帯電子機器側の載置面が平坦であると、被載置物との接触面積が大きくなり、振動器のモータが駆動したとしても、筐体自体を充分に振動させることができないことがある。
そして、振動器によって筐体を充分に振動させることができないと、着信等をユーザーに確実に知らせることが困難になる。
【0004】
そこでこの発明は、筐体を振動器によって大きく振動させられるようにして、振動によるユーザーへの確実な報知が可能な携帯電子機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、この発明は、筐体内部に報知手段である振動器を具備する携帯電子機器において、前記筐体の一面に少なくとも3つの支持点を設けると共に、前記振動器が、筐体内部のうち前記各支持点を結ぶ領域の外側に位置するように配置するようにした。
【0006】
前記筐体の一面は略矩形状をなし、かつ、前記一面の一端側幅方向中央に第1の支持点を、前記一面の他端側幅方向中央に第2の支持点を、前記一面の一端側幅方向端部に第3の支持点を夫々有し、前記第1及び第2の支持点を結ぶ線分を挟んで前記第3の支持点と反対側に前記振動器を有することが望ましい。
【0007】
前記振動器は、携帯電子機器の重心と前記第3の支持点とを通る平面上に位置するように配置することがさらに望ましい。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、被載置物に接触する少なくとも3つの支持点を筐体に設けることで携帯電子機器を被載置物上に安定して載置できるようにすると共に、筐体内部のうち前記各支持点を結ぶ領域の外側に振動器を配置するようにしたため、報知時には振動器の振動によって筐体を大きく揺らし、ユーザーに対する報知をより確実なものとすることできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。この発明にかかる携帯電子機器は、携帯電話機や簡易型携帯電話機、PDA等の携帯可能な種々の電子機器を含むものであるが、以下の実施形態はこの発明を携帯電話機に適用したものである。
【0010】
この実施形態の携帯電話機は、図1〜図5に示すように筐体1が縦長の略矩形状に形成されたストレートタイプと呼ばれる筐体構造を持った電話機であり、筐体1は、厚み方向でほぼ半割りとされたフロントケース2とリヤケース3が相互に結合された構造となっている。
【0011】
フロントケース2の前面には、その中央に数字の入力を行う数字キー4a、オフフックボタンとしての通話キー4b、オンフックボタンとしての終話キー4cから成る操作キー群が配置されると共に、上端部と下端部に受話部5と送話部6が配置され、さらに下端部の送話部6の近傍には電波状況とバッテリーの残状況を知らせるためのLEDによる発光インジケータ部7及び電源のオン、オフのためのスライドスイッチ18が配置されている。一方、リヤケース3の背面には、その略下半領域にバッテリー交換用の蓋8が開閉可能に設けられると共に、上端部の左側(フロントケース2の前面から向かって見た場合。)に偏奇した位置にアンテナ収容部9が外側に円弧状に膨出して形成されており、そのアンテナ収容部9にアンテナ15が収容されている。尚、リヤケース3の背面は完全な偏平面ではなく、図3に示すように幅方向に亙って緩やかに湾曲し、幅方向の中央がその湾曲形状の頂部とされている。
【0012】
筐体1の内部には、図6に示すようにフロントケース2とリヤケース3に挟み込まれるかたちで、複数の電気・電子部品を実装する回路基板10が取り付けられると共に、この回路基板10の下面側(リヤケース3側)の中央付近に略矩形状のバッテリー11が収納されている。また、筐体1内には、この回路基板10とバッテリー11の他、受話用スピーカと送話用マイクロフォン(いずれも図示せず)が収容されると共に、振動器12が収容されている。尚、受信用スピーカは報知用スピーカとしても機能するようになっている。
【0013】
振動器12はモータ12aの回転軸に錘が偏心して取り付けられた周知の構造のものであり、モータ12aは、リヤケース3側のフレーム部に収容支持され、かつ、図示しないばね端子を介して回路基板10の背面側の接点パターンに電気的に接続されている。
【0014】
ところで、この携帯電話機はリヤケース3の背面側を下にして、図5に示すように机等の被載置物13の上面(以下、「被載置面13a」と呼ぶ。)に置かれるが、リヤケース3の背面側には、被載置面13aに置かれたときにその面13aに当接する3点の支持点14A,14B,14Cが設けられている。尚、以下では説明の便宜上これを第1支持点14A、第2支持点14B、第3支持点14Cと呼ぶものとする。
【0015】
図4において、今、リヤケース3のアンテナ15が配置されている辺を上辺、それと逆側の辺を下辺と呼ぶものとすると、リヤケース3の背面のうちの、上辺近傍の幅方向中央位置には略円弧状に膨出した支持突起16が形成されている(図3参照)。第1支持点14Aは、この支持突起16の頂部によって構成されている。
【0016】
一方、第2支持点14Bはリヤケース3の下辺の幅方向中央の膨出した頂部によって構成され、第3支持点14Cは、リヤケース3の上辺一側に位置されているアンテナ収容部9の頂部によって構成されている。
【0017】
したがって、この実施形態の場合、第1支持点14Aと第2支持点14Bはリヤケースの幅方向の中心線o上に配置され、第3支持点14Cは中心線oから離れた上辺近傍位置に配置されている。また、この携帯電話機の重心位置Gは、3つの支持点14A〜14Cを結ぶ略三角形の領域aの内側で、かつ、中心線oに充分に近接した位置となっている。
【0018】
このような支持点14A〜14Cの配置に対し、振動器12のモータ12aは、筐体1内のうちの前記略三角形の領域aの外側になる位置、例えば、図4では、重心位置Gを中心として第3支持点14Cとほぼ対称になる位置に配置されている。
【0019】
以上の構成において、この携帯電話機をリヤケース3を下向きにして被載置面13a上に載せ置くと、筐体1は三角形状の各頂点に配置された3つの支持点14A〜14Cで被載置面13aに当接する。このとき、携帯電話機の重心位置Gは支持点14A〜14Cを結ぶ略三角形の領域aの内側に位置されているため、電話機は安定して被載置面13aに支持される。
【0020】
また、この状態から着信等によって振動器12のモータ12aが駆動されると、振動器12が支持点14A〜14Cを結ぶ領域aの外側位置において振動するため、その振動は筐体1を傾動させるモーメントとして作用し、支持点14A〜14Cが被載置面13aを大きく叩くようになる。したがって、このとき携帯電話機がマナーモードになっていても、着信等を確実にユーザーに知らせることができる。
【0021】
特に、この実施形態の携帯電話機は、支持点14A〜14Cを結ぶ領域aの外側位置のうちでも、重心位置Gと支持点14cとを通る平面上(本実施形態では、重心位置Gを中心として第3支持点14Cとほぼ対称となる位置)に振動器12(モータ12a)が配置されているため、第1,第2支持点14A,14Bを支点に第3支持点14Cを大きく上下に揺らし、被載置面13aとの間で大きな振動音を発することができる。
【0022】
以上のようにこの携帯電話機は、支持点14A〜14Cと振動器12の配置の工夫によって筐体1を効率良くより大きく振動させることができるため、モータ12aの出力を抑え、それによって消費電流の低減を図ることができる。
【0023】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、以上ではストレートタイプの筐体構造の携帯電話について説明したが、この発明は、折り畳みタイプやスライドタイプ、水平回転タイプ等の他の筐体構造の携帯電子機器にも適用することができる。また、以上の実施形態では、筐体1に3つの支持点14A〜14Cを設けているが、支持点は3つに限るものでなく複数であればその数は任意である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施形態を示す携帯電話機を前面側から見た斜視図。
【図2】同実施形態の携帯電話機を裏面側から見た斜視図。
【図3】同実施形態の携帯電話機の背面図。
【図4】同実施形態の携帯電話機を、裏面を上にして見た正面図。
【図5】同実施形態の携帯電話機を被載置面に置いた状態を示す右側面図。
【図6】同実施形態の携帯電話機の図4のA−A断面に対応する断面図。
【符号の説明】
【0025】
1 筐体
12 振動器
13a 被載置面
14A 第1の支持点(支持点)
14B 第2の支持点(支持点)
14C 第3の支持点(支持点)
a 支持点を結ぶ領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内部に報知手段である振動器を具備する携帯電子機器において、
前記筐体の一面に少なくとも3つの支持点を設けると共に、
前記振動器が、筐体内部のうち前記各支持点を結ぶ領域の外側に位置するように配置したことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記筐体の一面は略矩形状をなし、前記一面の一端側幅方向中央に第1の支持点を、前記一面の他端側幅方向中央に第2の支持点を、前記一面の一端側幅方向端部に第3の支持点を夫々有すると共に、前記第1及び第2の支持点を結ぶ線分を挟んで前記第3の支持点と反対側に前記振動器を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記振動器は、携帯電子機器の重心と前記第3の支持点とを通る平面上に位置するように配置してあることを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−115302(P2006−115302A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301586(P2004−301586)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】