説明

携帯電子機器

【課題】筐体側面に多くの機能部を配置する。
【解決手段】第2筐体3内に設けられる外部接続部20と、第2筐体3側面17に形成される凹部23と、その凹部23の底面24に形成され外部接続部20の接続面を露出させる開口25とを備える携帯電話1であって、凹部23の底面24における開口25を除く領域に機能部であるタクトスイッチ32が配置された携帯電話1を提供することにより上述した課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ等の携帯電子機器は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器と接続するためのケーブルを備えるコネクタが接続される外部接続部を備えている。図6は従来の折り畳み式携帯電話の一例を示した図である。図示するように、折り畳み式携帯電話101は、矩形の薄型板状の第1筐体102と、その第1筐体102と略同形の略矩形の薄型板状の第2筐体103とが、ヒンジ部104を介して互いに対して折り畳み可能に連結されて構成されている。第1筐体102には液晶表示部105が設けられ、第2筐体103には操作部114が設けられている。第2筐体103の側面117には凹部123が形成され、この凹部123の底面124には開口125が設けられている。そしてこの開口125に、外部接続部120の接続面が、露出されるように配置されている。この外部接続部120を使用しないときは、外部から埃や水が浸入しないように、凹部123にキャップ(図示せず)を装着して開口125を塞ぐように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、外部機器と接続するためのケーブルのコネクタ150は、凹部123の開口125に挿入される端子部151と、その端子部151のケーブル側を覆うハウジング152とを備え、ハウジング152の端面153から端子部151が突き出している。このようなコネクタ150を外部接続部120に接続する場合、ハウジング152の大きさを考慮して凹部123を形成する必要がある。つまり、第2筐体103の側面117に形成される凹部123は、外部接続部120が配置された開口125よりかなり大きく形成する必要がある。
【0004】
また、端子部151の形状や大きさ等の規格が同一であっても、図6においてコネクタ150´として示すように、例えばメーカーによってハウジング152´の大きさが異なる場合があるため、凹部123は、種々の大きさのハウジング端面に対応できるようにある程度大きめに形成されている場合がある。
【特許文献1】特開平11―146046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで、携帯電子機器では筐体の側面に配置する部材等が少なかったため、大きな問題になっていなかったが、近年、携帯電子機器への様々な機能が搭載されるに伴い、筐体側面にもスイッチ、コネクタやカードスロット等の外部接続部が設けられるようになったため、少しでも無駄なスペースを省く必要が生じている。
【0006】
また、複数の操作キーや外部接続部を筐体に設けることは、それだけ筐体に多数の開口部が形成されることになり、その結果、筐体の強度が大幅に低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筐体内に設けられる外部接続部と、筐体外面に形成される凹部と、前記凹部の底面に形成され前記外部接続部の接続面を露出させる開口と、前記凹部の底面における前記開口を除く領域に配置されるタクトスイッチと、を備える携帯電子機器を提供することにより上述した課題を解決する。
【0008】
前記凹部を覆うように装着可能なキャップを更に備え、前記キャップは、前記凹部に装着した状態において前記タクトスイッチと対向する位置に形成される突起状の押子を有していてもよい。
【0009】
前記キャップは、前記押子が形成される面と反対側の面における前記押子の位置に対応する位置に形成される窪み部又は突出部を有していてもよい。
【0010】
前記キャップは、前記押子が形成される面と反対側の面における前記押子の位置に対応する位置に形成される所定の印を有していてもよい。
【0011】
前記凹部及び前記キャップは、それぞれ点対称に形成され、前記キャップを、その表裏を変更せずに180度回転させ、前記押子が前記タクトボタンと対向しない側にくるようにして前記凹部に装着した場合、前記キャップの面と前記タクトボタンとの間には所定の隙間が形成されるようにしてもよい。
【0012】
また、本発明は、筐体内に設けられる外部接続部と、筐体外面に形成される凹部と、前記凹部の底面に形成され前記外部接続部の接続面を露出させる開口と、前記凹部の底面における前記開口を除く領域に所定の機能を有する機能部と、を備える携帯電子機器を提供することにより上述した課題を解決する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、筐体外面に形成される凹部の底面であって外部接続部の接続面を露出させる開口を除く領域に、所定の機能部が配置された携帯電子機器を提供することができる。よって筐体に形成される開口を減らして、筐体の強度低下を抑えるとともに、スペースを有効活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下、携帯電子機器として携帯電話について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、情報携帯端末(PDA)、ノートパソコン、デジタルカメラ、小型オーディオプレーヤー等の他の携帯電子機器であってもよい。
【0015】
図1は、本実施形態の携帯電話1を示した斜視図である。図示するように本実施形態の携帯電話1は、折り畳み式の携帯電話であって、略矩形の薄型板状の第1筐体2と、その第1筐体2と略同形の薄型板状の第2筐体3とが、ヒンジ部4を介して互いに対して折り畳み可能に連結されている。折り畳んだ状態では、第2筐体3の上に第1筐体2が重ね合わされ、折り畳んだ状態でも全体として矩形となる。
【0016】
第1筐体2は、折り畳んだ状態で第2筐体3と対向する面の略中央部に、各種情報を表示するための液晶ディスプレィや有機ディスプレィ等の表示部5を備える。
【0017】
第2筐体3は、折り畳んだ状態で第1筐体2と対向する面に配置される操作部14と、側面17に形成される凹部18の底面18Cに形成された開口18D内に設けられたイヤホン接続部18Aと、側面17に形成される凹部23の底面24に形成された開口25内に設けられた外部接続部20とを有する。そして、第2筐体3における外形は、それぞれ一体成型された第1ケース11と第2ケース12とにより構成される。
【0018】
第1ケース11は、折り畳んだ状態で第1筐体2の表示部5と対向する略矩形の上面11Aを有し、その上面11Aには、操作部14が設けられている。操作部14は、数字や文字を入力するためのテンキー15やファンクションキー16A及びカーソルキー16B等の各種の押圧可能な操作キーを備える。これらの操作部14を介して携帯電話1に対する各種操作が行われる。第2ケース12は、第1ケース11の上面11と略同じ外形を有する下面12Aを有し、その下面12Aには、バッテリを交換するための開口部(図示せず)が設けられている。また、第2筐体3内には、アンテナ、該アンテナと接続される無線部や制御部が実装された回路基板、更にはタクトスイッチ32が設けられた回路基板等が設けられている。
【0019】
第1ケース11の上面11Aの外周は、略全体にわたって湾曲して下方に延びている。また、第2ケース12の下面12Aの外周は略全体にわたって湾曲して上方に延びている。この第1ケース11の下方に延びる部分17Aと第2ケース12の上方に延びる部分17Bとを嵌め合わせることにより、第1ケース11と第2ケース12とで全体として矩形の第2筐体3が構成される。そして、この第1ケース11の下方に延びる部分17Aと第2ケース12の上方に延びる部分17Bによって、第2筐体3のやや丸みを帯びた側面17が形成される。
【0020】
なお、イヤホン接続部18A用の凹部18はキャップ18Bにより開閉可能であり、また、外部接続部20用の凹部23はキャップ19により開閉可能である。
【0021】
第1ケース11の下方に延びる部分17Aの下端の一部、及び第2ケース12の上方に延びる部分17Bの上端の一部にはそれぞれ窪みが成型されている。そして、第1ケース11の下方に延びる部分17Aと第2ケース12の上方に延びる部分17Bとを嵌め合わせることによってこれら窪みを結合させ、矩形の凹部18と凹部23が形成される。なお凹部18と凹部23の底面18C、24は側面17と平行に延びている。そして、底面24の第2ケース12側には、細長い開口25が設けられ、その開口25には外部接続部20がその接続面を露出させるようにして設けられ、また底面18Cの第2ケース12側には、細長い開口18Dが設けられ、その開口18Dにはイヤホン接続部18Aが、その接続面を露出させるようにして設けられている。
【0022】
図2は、図1の状態から、第1ケース11、テンキー15、ファンクションキー16等の操作部14及びキャップ18B,19を取り外した状態の第2筐体3を示した図である。図示のように、第2筐体3の内部には、電気回路がプリントされたフレキシブル基板等である回路基板28が配置されている。回路基板28は略矩形の薄い板状であって、その長手方向縁部30の一側の略中央の一部は、外方に向かって延びてその後下方に折れ曲がり、その折れ曲がって延びた延在部31の先端には、タクトスイッチ32が設けられている。タクトスイッチ32は、これに限定されるものではないが、本実施形態においては、クリック感触が明確で接触信頼性が高く、軽量且つ薄型であるといった理由からメタルドームスイッチを使用する。このタクトスイッチ32には、テンキー15及びファンクションキー16により行うことのできる操作とは異なる操作が割り当てられている。ただし、これに限定されず、テンキー15やファンクションキー16と同じ操作を行うものであってもよい。更に、タクトスイッチ32に割り当てられる操作としては、これに限定されるものではないが、外部の接続端子が外部接続部20に差し込まれた状態で操作される可能性の低い操作が割り当てられている。
【0023】
回路基板28を第2ケース12内の所定位置に載置すると、タクトスイッチ32は凹部23の底面24に沿って配置される。このタクトスイッチ32の底面24に沿った位置は、開口25と重ならならずに、外部の接続端子の着脱に支障のない位置である。なお、第1ケース11には、第2ケース12と嵌め合わせた際に延在部31がくる位置に、この延在部31を通過させるための切れ込み(図示せず)が設けられている。そして、図2の状態から、回路基板28の上面にテンキー15、ファンクションキー16等の操作部14を積層するように配置して第1ケース11を被せると、その切れ込みによって、回路基板28の延在部31及びタクトスイッチ32は、図1で示すように、凹部23の外側に配置される。
【0024】
図3は、装着状態において携帯電話1の内側を向く内面19Aからキャップ19を見た図である。キャップ19の外周形状は矩形且つ点対称であり、凹部23に装着した状態において外側を向く外面19Bは、第2筐体3の側面17における湾曲に合わせて湾曲する。そして、キャップ19を凹部23に装着した際に、第2筐体3の側面17と滑らかに連続する。キャップ19の内面19Aには、第2筐体3に装着した際にタクトスイッチ32と対向する位置に、突起状の押子35が設けられている。また、同様にキャップ19の内面19Aには、押子35が設けられた側と長手方向において反対側となる位置に、円形の窪み36が設けられている。更に、図1で示すように、キャップ19の外面19Bには、押子35の位置に対応する位置に、キャップ19の外面19Bから突起の位置を把握するための所定の印として突起部37が設けられている。なお、この所定の印は、突起部に限定されず、外部より押子35位置が把握できる目印となるものであればよく、窪みや所定の色やマークであってもよい。
【0025】
次に、本実施形態の携帯電話1の動作について説明する。図4は凹部23にキャップ19を被せた状態を示した図であり、図5はキャップ19をその表裏を変更せずに左右を逆にして凹部23に取り付けた状態を示した図である。まず、携帯電話1を外部の機器と接続するために接続ケーブルを繋ぐ場合、キャップ19を凹部23から取り外し、接続ケーブルのコネクタの接続端子部を開口25に挿入して外部接続部20に接続する。これにより、携帯電話1と外部の機器とを接続することができる。
【0026】
外部の機器と接続しない場合、図4及び図5に示すように、凹部23にキャップ19を被せておく。これにより外部の外部接続部20への埃や水の浸入が防止される。
【0027】
図4に示す状態で突起部37を外面19Bから押すと、突起部37の位置はキャップ19の内面19Aの押子35の位置に対応しているため、キャップ19の内面19Aに形成される押子35が凹部23の裏面側に押圧される。この押子35は、キャップ19を第2筐体3に装着した状態においてタクトスイッチ32と対向しているため、押子35の先端によってタクトスイッチ32が押圧されて、タクトスイッチ32に割り当てられた操作が実行される。
【0028】
このように、キャップ19の内面19Aのタクトスイッチ32と対向する位置には押子35が設けられ、キャップ19の外面19Bにおける押子35に対応する位置には、突起部37が設けられている。したがって、凹部23にキャップ19を装着した状態でも、突起部37の存在により押子35の位置を容易に把握することができる。そして、キャップ19の外面19Bの突起部37を押すとキャップ19が若干変形して、キャップ19の内面19Aに設けられた押子35によってタクトスイッチ32が押され、キャップ19を装着した状態でもタクトスイッチ32を確実に押すことができる。
【0029】
ここで、タクトスイッチ32は凹部23の底面24に沿うように設けられているため、新たなタクトスイッチ32のためのスペースを別途確保する必要がない。また、凹部23における開口25を除く部分にタクトスイッチ32が設けられるため、デッドススペースを有効に利用することができる。
【0030】
次に、キャップ19を、その表裏を変更せずに左右を逆にして凹部23に取り付ける。図5に示すようにキャップ19の外周形状は点対称に作られているため、表裏を変更せずに180°回転させて凹部23に装着することができ、また、その場合もキャップ19は第2筐体3の側面17と滑らかな外形を構成する。この場合、突起部37は、図示したように凹部23においてタクトスイッチ32が配置されている側と反対側に配置される。すなわち、押子35もタクトスイッチ32が配置されている側と反対側に配置され、キャップ19の内面19Aのタクトスイッチ32と対向する位置には窪み36が配置される。この窪みによってタクトスイッチ32とキャップ19との間には隙間が形成される。この状態で携帯電話1を持ち歩く等した際にキャップ19が押されても、タクトスイッチ32が押圧される可能性は低くなる。このようにキャップ19の表裏を変更せずに180°回転させて取り付けることにより、タクトスイッチ32が誤って押圧されることを抑制することができる。
【0031】
本実施形態によると、第2筐体3における側面17のスペースが有効に利用される。また、操作用スイッチのための開口を増やすことがないため、第2筐体3の強度も低下しない。更に、デザイン的にもスマートな携帯電子機器を提供することもできる。
【0032】
以上、本形態の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態では、凹部23にタクトスイッチ32を配置したが、これに限定されず、カバーを透明にして例えばLEDや発光部、IrDAを設けることもでき、更にスピーカー等の機能部を設けることもできる。
【0033】
また、凹部23の底面24に形成された開口25に配されるものとしては、PC(パーソナルコンピュータ)等の接続用ケーブルのコネクタに対する外部接続部20に限定されるものではなく、他に、SDカード等の外部メモリカード又は緊急用のバッテリ等に対する接続部やイヤホン接続部、あるいは電力供給用端子接続部であっても構わない。更にタクトスイッチ32の配置位置としては、凹部23の底面24のうち、開口25の短辺側近傍に配置した例を示したが、開口25の長辺近傍に配置しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態の携帯電話を示す斜視図である。
【図2】図1で示す携帯電話の第2筐体における筐体の第1ケース等を取り外した状態を示した斜視図である。
【図3】装着状態において内面となる方向からキャップを見た斜視図である。
【図4】キャップを凹部に取り付けた状態を示した斜視図である。
【図5】キャップを、その表裏を変更せずに180°回転させて凹部に取り付けた状態を示した斜視図である。
【図6】従来の折り畳み式携帯電話を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 携帯電話
2 第1筐体
3 第2筐体
11 第1ケース
12 第2ケース
14 操作部
17 側面
19 キャップ
19A 内面
19B 外面
20 外部接続部
23 凹部
24 底面
25 開口
32 タクトスイッチ
35 押子
36 窪み
37 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けられる外部接続部と、
筐体外面に形成される凹部と、
前記凹部の底面に形成され、前記外部接続部の接続面を露出させる開口と、
前記凹部の底面における前記開口を除く領域に配置されるタクトスイッチと、を備える携帯電子機器。
【請求項2】
前記凹部を覆うように装着可能なキャップを更に備え、
前記キャップは、前記凹部に装着した状態において前記タクトスイッチと対向する位置に形成される突起状の押子を有する請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記キャップは、前記押子が形成される面と反対側の面における前記押子の位置に対応する位置に形成される窪み部又は突出部を有する請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記キャップは、前記押子が形成される面と反対側の面における前記押子の位置に対応する位置に形成される所定の印を有する請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記凹部及び前記キャップは、それぞれ点対称に形成され、
前記キャップを、その表裏を変更せずに180度回転させ、前記押子が前記タクトボタンと対向しない側にくるようにして前記凹部に装着した場合、前記キャップの面と前記タクトボタンとの間には所定の隙間が形成される請求項2乃至4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
筐体内に設けられる外部接続部と、
筐体外面に形成される凹部と、
前記凹部の底面に形成され前記外部接続部の接続面を露出させる開口と、
前記凹部の底面における前記開口を除く領域に所定の機能を有する機能部と、を備える携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−85171(P2008−85171A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265213(P2006−265213)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】