説明

携帯電話機の位置検索システム、位置検索方法、及び位置検索プログラム

【課題】犯罪に巻き込まれた個人、又は物が現在どの場所にあるかを検索するための携帯電話機の位置検索システム、位置検索方法、及び位置検索プログラムを提供する。
【解決手段】携帯電話機は、操作部13からの位置測定指示、特定の電話番号からの着信、又は予め設定しておいたエリアから携帯電話機が外に出たとき、自機の現在位置の確認を行う。その際、蓄積タイミング監視部17は、制御部5に対し蓄積タイミング信号を送信する。制御部5は蓄積タイミング監視部17からの信号により電界強度測定部16によって測定された電界強度情報を読み出し、メモリ部14に蓄積する。制御部5は、メモリ部14に蓄積された電界強度情報をアンテナ1を介して基地局に送信する。基地局は送信された電界強度情報を受信し、センター局に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機の位置検索システム、位置検索方法、及び位置検索プログラムに関し、特に、犯罪に巻き込まれた個人、又は物が現在どの場所にあるかを検索するための携帯電話機の位置検索システム、位置検索方法、及び位置検索プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、誘拐事件が発生した場合、家族からの通報により警察が事件を知り、捜査員が事件のあった家を訪ねて家族の事情を聴取し、その後子供の写真等を手掛かりに近所や友人宅への聞き込み捜査を開始する。それと同時に、事件のあった家に捜査員が張り込み、様々な機器を持ち込んで犯人からの連絡を待つ。
【0003】
近年、携帯電話機から発信される電波により誘拐された子供等の位置を特定し、事件の早期解決を計る技術が提案されている。一般に、自己の位置を特定する位置特定システムGPS(Global Positioning System)が知られており、これは車のナビゲーションシステムとしても利用されている。複数のGPS衛星から信号を受信復調し、受信点の位置を緯度、経度のデータとして取得し、このデータと自己が有する地図データとを解析し、自己の位置を特定するものである。
【0004】
特許文献1では、無線基地局が全国規模に網羅された電話回線網を使用するもので、捜索依頼者より通報を受けた警察からの指示に基づき捜査センターからの指令を受けた無線基地局より、所定周波数の呼出電波を受けたとき、応答電波を無線基地局に音響なしで発することにより、被捜索体自己自身の現在所在するゾーンを該無線基地局を介して前記捜査センターに知らしめる被捜索体所持の端末機であって、携帯電話の周波数800MHz又は1.5GHz帯域用の高周波部(TRAMP)と、制御部と、メモリ部と、トランシーバー高周波部と、トランシーバー制御部(コントロールプロセッサ)と、トランシーバーメモリ部とを有するトランシーバー手段を有することを特徴とする自己位置情報発信用携帯端末機が提案されている。
【0005】
特許文献2では、携帯端末と複数の無線基地局とからなり、携帯端末は、複数の無線基地局から送信された無線基地局周辺の地図情報及び電波の受信電力情報を得て、自局の位置の候補となる地点を複数検出し自局の位置情報を記憶する記憶手段を備え、自局の位置検出の測定を短い周期で繰り返し行い、それぞれの測定時点で知り得た自局の位置の候補となる地点のうち、携帯端末で前回までの測定で得た自局の位置情報に最も近い地点を、新しく得た位置情報として記憶することにより、シンプルなシステムで高精度に位置検知でき、かつ非常時に携帯端末所有者の位置検知だけでなく、周囲の情報についても伝達する位置検知システムが提案されている。
【0006】
特許文献3では、センター局と位置探索用PHS端末器との間で基地局を介して時分割的にデータ伝送が行われ、位置探索用PHS端末器が、センター局の指令により一定の時間間隔で位置探索用PHS端末器に近接配置された基地局の現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報をセンター局に送信し、センター局が受信した現在位置情報に基づいて位置探索用PHS端末器の現在位置を探索する位置探索機能を備えた移動体通信システムに用いられる位置探索用PHS端末器であって、位置探索用PHS端末器は、一定の時間間隔よりも短い間隔で自発的に現存位置情報を取得して内蔵メモリに格納し、一定の時間間隔の現存位置情報の送信時に、内蔵メモリに格納した現存位置情報を読み出してセンター局に送信する位置探索用PHS端末器が提案されている。
【特許文献1】特開2000−149165号公報
【特許文献2】特開2003−032716号公報
【特許文献3】特開2003−134553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の発明は以下の問題を有している。
【0008】
従来の携帯電話機の位置検索方法においては、携帯電話機の電源がONされており、かつ該携帯電話機が圏内にいる場合に、携帯電話機から発信される電波に基づいてその位置を特定している。そのため、携帯電話機の電源がOFFされたり、又は携帯電話機が圏外にあるときは、その位置を特定することができない。
【0009】
そこで、本発明は、携帯電話機に特定の電話番号からの着信があったとき、ユーザに報知せずに応答し、自機の現在位置の確認を行うために、電界強度測定手段によって測定された電界強度情報を読み出し、メモリ部に蓄積し、メモリ部に蓄積された電界強度情報をアンテナを介して基地局に送信し、基地局は送信された電界強度情報を受信し、センター局は受信した電界強度情報に基づいて携帯電話機の位置を特定する携帯電話機の位置検索システム、位置検索方法、及び位置検索プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、電界強度を測定する電界強度測定手段を有する携帯電話機と、前記携帯電話機から送信された電界強度情報を受信する基地局と、前記基地局から送信された電界強度情報を収集して前記携帯電話機の位置を特定するセンター局とを有する携帯電話機の位置検索システムにおいて、前記携帯電話機は、前記電界強度測定手段によって測定された前記電界強度情報を記憶する記憶手段と、所定の電話番号から着信があったとき、ユーザに報知せずに応答する応答手段と、前記応答手段がユーザに報知せずに応答したとき、前記電界強度情報を前記基地局に送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の携帯電話機の位置検索システムにおいて、前記携帯電話機は、一定周期ごとに自機が属するエリアの前記基地局に位置登録を行い、前記センター局は、前記所定の電話番号から発信が前記携帯電話機へ着信しなかったとき、前記携帯電話機によって前記基地局に位置登録が行われた後、再度、前記所定の電話番号から前記携帯電話機へ発信することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の携帯電話機の位置検索システムにおいて、前記電界強度測定手段は、前記携帯電話機が圏外にあるときも電界強度を測定し続けて前記記憶手段に記憶させ、前記送信手段は、圏内になってから前記記憶手段に記憶された前記電界強度情報を送信することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の携帯電話機の位置検索システムにおいて、前記携帯電話機は、前記所定の電話番号からの発信を音響なしで受けることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、電界強度を測定する電界強度測定手段を有する携帯電話機と、前記携帯電話機から送信された電界強度情報を受信する基地局と、前記基地局から送信された電界強度情報を収集して前記携帯電話機の位置を特定するセンター局とを有する携帯電話機の位置検索システムの位置検索方法において、前記携帯電話機は、前記電界強度測定手段によって測定された前記電界強度情報を記憶する記憶工程と、所定の電話番号から着信があったとき、ユーザに報知せずに応答する応答工程と、前記応答工程がユーザに報知せずに応答したとき、前記電界強度情報を前記基地局に送信する送信工程とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の位置検索方法において、前記携帯電話機は、一定周期ごとに自機が属するエリアの前記基地局に位置登録を行う工程と、前記センター局は、前記所定の電話番号から発信が前記携帯電話機へ着信しなかったとき、前記携帯電話機によって前記基地局に位置登録が行われた後、再度、前記所定の電話番号から前記携帯電話機へ発信する工程とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の位置検索方法において、前記電界強度測定手段は、前記携帯電話機が圏外にあるときも電界強度を測定し続ける工程と、圏内になってから前記記憶手段に記憶された前記電界強度情報を送信する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、電界強度を測定する電界強度測定手段を有する携帯電話機と、前記携帯電話機から送信された電界強度情報を受信する基地局と、前記基地局から送信された電界強度情報を収集して前記携帯電話機の位置を特定するセンター局とを有する携帯電話機の位置検索システムの位置検索プログラムにおいて、前記携帯電話機は、前記電界強度測定手段によって測定された前記電界強度情報を記憶する記憶処理と、所定の電話番号から着信があったとき、ユーザに報知せずに応答する応答処理と、前記応答処理がユーザに報知せずに応答したとき、前記電界強度情報を前記基地局に送信する送信処理とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の位置検索プログラムにおいて、前記携帯電話機は、一定周期ごとに自機が属するエリアの前記基地局に位置登録を行う処理と、前記センター局は、前記所定の電話番号から発信が前記携帯電話機へ着信しなかったとき、前記携帯電話機によって前記基地局に位置登録が行われた後、再度、前記所定の電話番号から前記携帯電話機へ発信する処理とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項10記載の発明は、請求項8又は9記載の位置検索プログラムにおいて、前記電界強度測定手段は、前記携帯電話機が圏外にあるときも電界強度を測定し続ける処理と、圏内になってから前記記憶手段に記憶された前記電界強度情報を送信する処理とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、携帯電話機に特定の電話番号からの着信があったとき、ユーザに報知せずに応答し、自機の現在位置の確認を行うために、電界強度測定手段によって測定された電界強度情報を読み出し、メモリ部に蓄積し、メモリ部に蓄積された電界強度情報をアンテナを介して基地局に送信し、基地局は送信された電界強度情報を受信し、センター局は受信した電界強度情報に基づいて携帯電話機の位置を特定することにより、ユーザに知られることなく携帯電話機の位置を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係わる携帯電話機及び通信システムの構成及び動作について説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係わる携帯電話機のシステム構成について図1を用いて説明する。本実施形態に係わる携帯電話機は、電界強度を測定してメモリ部に蓄積し、蓄積した電界強度を送出する。よって、本実施形態に係わる携帯電話機は、電界強度測定機能を有する携帯電話機である。電界強度測定機能は、一般の携帯電話機が持っているのでその機能をそのまま利用してもよいし、精度を重視する場合には新たに測定精度の高い電界強度測定器を設けてもよい。
【0023】
本実施形態に係わる携帯電話機は、アンテナ1、無線部2、復調部3、変調部4、制御部5、バイブレータ6、液晶表示部7、液晶表示部バックライト8、送受話回路9、マイク10、レシーバ11、スピーカ12、操作部13、メモリ14、カメラ15、電界強度測定部16、及び蓄積タイミング監視部17を有して構成される。
【0024】
本実施形態に係わる携帯電話機は、操作部13が操作され電源が投入されると、制御部5によって各部が動作可能な状態となる。この状態で、操作部13を操作して相手の電話番号をダイヤルするか、メモリ14に登録された相手の電話番号を液晶表示部7へ呼出して発信キーを操作すると、発信信号が無線部2を介してアンテナ1から基地局に送信される。そして、相手先の携帯電話機等が応答すると、応答信号がアンテナ1を介して無線部2で受信され、送受話回路9が動作可能となって、マイク10及びレシーバ11を用いて相手と通話可能となる。また、アンテナ1は、メモリ部14からの電界強度情報を基地局へ送信する。
【0025】
復調部3は、アンテナ1を介して無線部2において受信した受信信号をデジタル信号に変換して制御部5に入力する。制御部5は、復調部3から入力されたデジタル信号を復号化する。変調部4は、制御部5において符号化された送信信号をアナログ信号に変換して無線部2に入力する。
【0026】
バイブレータ6は、相手先からの発信信号をアンテナ1を介して無線部2が受信したとき、携帯電話機を振動させてユーザに着信を知らせる。スピーカ12は、相手先からの発信信号をアンテナ1を介して無線部2が受信したとき、着信を知らせる音を発してユーザに着信を知らせる。
【0027】
液晶バックライト8は、液晶表示部7の背後から液晶表示部7を照光するデバイスであり、制御部5によりON/OFFが制御される。
【0028】
液晶表示部9は、LCD(Liquid Crystal Display)からなり、携帯電話機の各種機能に対応したメニュー、電波の受信状態、電池残量、発信履歴、着信履歴、電子メール文、電話帳、スケジュール、画像等を表示する。また、電源投入時には電源ONを示す表示を行い、電話番号を入力したときや相手を呼出したときはその電話番号を表示し、また、相手が応答すればその旨が表示される。
【0029】
カメラ15は、被写体撮影時、制御部5によって制御され、液晶表示部7を見ながら操作部13の所定のボタンが操作されると、撮影を行うものである。撮影された画像データは、メモリ14に転送され保存される。
【0030】
メモリ14は、上述した相手の電話番号等を保持する。また、メモリ14は、蓄積タイミング監視部17により出力されるタイミングにより電界強度測定部16によって測定された電界強度を記憶する。
【0031】
制御部5は、アンテナ1、無線部2、復調部3、変調部4、制御部5、バイブレータ6、液晶表示部7、液晶表示部バックライト8、送受話回路9、マイク10、レシーバ11、スピーカ12、操作部13、メモリ14、カメラ15、及び電界強度測定部16等の端末各部を制御する。
【0032】
電界強度測定部16は、電界強度を測定し、蓄積タイミング監視部17により出力されるタイミングにより電界強度情報をメモリ14に記憶する。電界強度測定部16としては、携帯電話機が持っている既存の測定手段を用いてもよいし、測定精度の高い電界強度測定器を設けてもよい。蓄積タイミング監視部17は、電界強度情報を蓄積するタイミングを決定する。
【0033】
次に、本実施形態に係わる携帯電話機の外観について図2を用いて説明する。
【0034】
本実施形態に係わる携帯電話機は、中央のヒンジ部20を境に、上部筐体18と下部筐体19とに分けられており、ヒンジ部20を境に折り畳み可能に形成されている。
【0035】
上部筐体18は、送受信用のアンテナ1が引き出し及び収納可能な状態に取り付けられており、当該アンテナ1を介して基地局との間で電波を送受信するようになされている。また、上部筐体18の正面には、液晶表示部7が設けられており、携帯電話機の各種機能に対応したメニュー、電波の受信状態、電池残量、発信履歴、着信履歴、電子メール文、電話帳、スケジュール、画像等のあらゆる情報を液晶表示部7に表示し得るようになされている。さらに、上部筐体18の正面における液晶表示部7の上側にはレシーバ11が設けられており、受信した通信先ユーザの音声や着信通話音を再生するようになされている。カメラ15は、上部筐体18の背面にあり、レンズ正面に位置する被写体を撮影する。通常CCD(Charge Coupled Device)やC−MOS素子などが用いられる。
【0036】
下部筐体19は、その表面下部に、通話時のユーザの音声を集音し得るマイク10が設けられている。また、下部筐体19には、その中央にテンキー、発呼キー、リダイアルキー、終話及び電源キー、クリアキー及び電子メールキー等の操作部13が設けられている。また、下部筐体19には、その背面側に図示しないバッテリパックが装着されており、操作部13の操作により電源が投入されると、当該バッテリパックから内部の回路クロックに対して電力が供給され、携帯電話機を起動して動作可能な状態にする。
【0037】
次に、本実施形態に係わる携帯電話機において、自機の現在位置を確認する動作について説明する。
【0038】
通常、携帯電話機を使用する際、ユーザは携帯電話機が圏内か圏外かを確認するために液晶表示部7を確認する。このとき、液晶表示部7の表示が消えていれば液晶表示部7を表示するために操作部13を操作する。
【0039】
本実施形態に係わる携帯電話機においては、操作部13からの位置測定指示、特定の電話番号からの着信、又は予め設定しておいたエリアから携帯電話機が外に出たとき、自機の現在位置の確認を行う。その際、蓄積タイミング監視部17は、制御部5に対し蓄積タイミング信号を送信する。制御部5は蓄積タイミング監視部17からの信号により電界強度測定部16によって測定された電界強度情報を読み出し、メモリ部14に蓄積する。制御部5は、メモリ部14に蓄積された電界強度情報をアンテナ1を介して基地局に送信する。基地局は送信された電界強度情報を受信し、センター局に送信する。
【0040】
一方、自機の現在位置を測定する際に、圏外にいた場合には、制御部5は同様に電界強度情報を電界強度測定部16から読み出し、測定結果をメモリ部14に蓄積しておく。その際、複数の圏外の位置で測定した場合には、順次メモリ14に位置情報とその場所における電界強度情報を蓄積しておく。
【0041】
制御部5は、圏内か圏外かを監視しており、圏内になった場合には、メモリ14に蓄積した電界強度情報を読み出し、アンテナ1を経由して基地局へ送信する。基地局は、送信された電界強度情報を受信し、センター局に送信する。携帯電話機が圏外にあるときも電界強度を測定することにより、圏外の情報も収集することができる。
【0042】
携帯電話機が電界強度情報を送信するタイミングとしては、測定後、直ちに送信する方法、携帯電話機が送信するタイミングを判断して送信する方法、基地局の指示により送信する方法、センター局の指示により送信する方法、又は携帯電話機のユーザが任意に送信する方法等様々な方法がある。
【0043】
なお、特定の電話番号からの着信を受けて電界強度情報を送信する場合、制御部5は電界強度情報の送信に必要なアンテナ1、無線部2、復調部3、変調部4、メモリ14、電界強度測定部16、及び蓄積タイミング監視部17のみを動作させることもできる。本処理によれば、携帯電話機は外見上待受状態から変化がないためユーザは送信動作に気づくことがない。ただし、上記の場合、着信によって希望の動作を発動させるため、対象の携帯電話機は待受状態であることが必要であり、電源が切られた状態や圏外の状態では有効ではない。よって、電源を入れたときや、圏外エリアから圏内エリアに移動した際に、実行される位置登録後、直ちに特定の電話番号から着信に応答して、電界強度情報を送信する。この場合、該当着信を保留しておき位置登録直後に再度着信させるといったシステム側での対応も必要になる。
【0044】
また、電界強度情報の送信が一度開始された後は操作部13の操作により電源を切られても、見た目上の動作は電源OFFの動作(液晶表示部7及び液晶バックライト8が消灯するなど)をしても、送信動作は維持される。さらに、電池を抜かれてしまった場合は電源の供給元がなくなってしまい送信を維持することはできないが、再度電池が装着されると直ちに送信を開始するようにしておく。以上により、携帯電話機を常時送信状態にすることができ、位置特定が可能になる。
【0045】
次に、上述の携帯電話機を探索対象とする通信システムの構成及び動作について図3を用いて説明する。
【0046】
通信システムは、探索対象となる携帯電話機、携帯電話機に近接配置されている複数の基地局(31a、31b、31c、31d、…)、各基地局(31a、31b、31c、31d、...)を回線接続する総合デジタル網(Integrated Services Digital Network)等の公衆通信回線(ISDN)32、及び総合デジタル網に接続されたセンター局(CT)33を有して構成される。基地局(31a、31b、31c、31d、…)は、探索対象の携帯電話機より電界強度情報を受信する。センター局33は、基地局(31a、31b、31c、31d、…)より携帯電話機からの電界強度情報を受信する。基地局(31a、31b、31c、31d、…)は、携帯電話機からの電界強度情報を受信する機能、及びそれらの情報をセンター局33に送出する機能を持つ。センター局33は、プログラム制御によって基地局(31a、31b、31c、31d、…)から受信した電界強度情報を集計する機能、地図上に電界強度分布を作成する機能等を有するセンターサーバである。
【0047】
センター局33は、制御部、表示部、記憶部、入力部等を備えた情報端末装置を有して構成される。また、携帯電話機と各基地局(31a、31b、31c、31d、…)とは、それぞれ高周波送受信アンテナを有しており、携帯電話機と各基地局(31a、31b、31c、31d、…)との間では、時分割的に高周波無線信号の送受信が行われる。
【0048】
ここで、センター局33から探索対象となる携帯電話機を呼び出し、携帯電話機の現在位置を表す位置登録情報を取得する動作について説明する。
【0049】
探索対象となり携帯電話機は、センター局33によって指定された一定の時間間隔で呼出され、その呼び出し時に携帯電話機が位置するセル内の基地局31aとの間で時分割的に高周波無線信号の送受信を行う。
【0050】
具体的に、携帯電話機は、図4に示すように待受状態において自機が位置するセル内の基地局31aから周波数Fで送信される信号を所定時間T受信して、自機への着信がないかを確認する。受信するタイミングは、携帯電話機に登録される個別の番号及び基地局31aの設定により決まる。ここでは、携帯電話機の通信方式で定められた一定間隔T´で受信を行う。基地局31aから送信される周波数Fは、電気通信事業者によって決定される。
【0051】
携帯電話機は待受状態に移行する前、例えば、電源を入れた直後や、圏外エリアから圏内エリアに移動した直後などに、各通信方式で定められている情報(例えば、自機のID等)を送信して位置登録動作を行う。この位置登録動作により電気通信事業者は、当該携帯電話機がどのセル内に位置しているかを検知する。なお、この位置登録動作によってセル内における携帯電話機の具体的な位置を特定することはできない。
【0052】
携帯電話機は、待受状態で発信又は着信があると、図2に示すように位置登録を行ったセル内の基地局31aと通信(送受信)を行う。現在、実際にサービスが行なわれているTDMAの通信方式においては、一般的に携帯電話機が受信(基地局から見ると送信)に使用する周波数F及び送信(基地局から見ると受信)に使用する周波数F´には異なる周波数が用いられている。周波数Fと周波数F´との相関関係は、各通信方式にて定められており周波数Fが決まれば周波数F´は一義に決定される。なお、使用される周波数Fは各電気通信事業者によって決定される。
【0053】
次に、携帯電話機から送信された電界強度情報を基地局31aから受信したセンター局33が携帯電話機の位置を特定する動作について説明する。
【0054】
センター局33は、基地局31aから電界強度情報を受信すると、電界強度情報を図示しない記憶手段に順次蓄積していく。センター局33は、記憶手段に蓄積された電界強度値を集計し、上述の位置登録動作により登録された携帯電話機が位置するセルの地図上に電界強度分布を作成する。なお、地図データは図示しない地図データベースに予め格納されているものとする。
【0055】
センター局33は、通信中でもセル内における携帯電話機の詳細な位置は把握できない。しかし、携帯電話機が送信に使用している周波数F´を捜索することにより位置の特定が可能となる。具体的には、周波数F´を用いて電界強度情報を受信しながら、上述の処理により作成した電界強度分布と照合することにより、携帯電話機の位置を特定する。電界強度が強くなる場所を捜索することにより、より的確に携帯電話機の位置を特定することができる。
【0056】
なお、上述の実施形態においては、特定の電話番号からの着信を受けて携帯電話機が常時送信状態として、電界強度情報を送信する構成としたが、携帯電話機に付属しているカメラ15を利用し、定期的に撮影した映像を基地局へ送信し、センター局で管理することにより携帯電話機の位置を特定することもできる。また、携帯電話機がGPS機能を有する場合は、地図情報を有するセンター局にGPSデータを送信して携帯電話機の位置を特定することもできる。さらには、マイクで拾った音声を定期的に送信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態に係わる携帯電話機のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係わる携帯電話機の外観図である。
【図3】本実施形態に係わる通信システムの構成を示すブロック図である。
【図4】位置登録動作のタイミングを表す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 アンテナ
2 無線部
3 復調部
4 変調部
5 制御部
6 バイブレータ
7 液晶表示部
8 液晶バックライト
9 送受話回路
10 マイク
11 レシーバ
12 スピーカ
13 操作部
14 メモリ
15 カメラ
16 電界強度測定部
17 蓄積タイミング監視部
18 上部筐体
19 下部筐体
20 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界強度を測定する電界強度測定手段を有する携帯電話機と、前記携帯電話機から送信された電界強度情報を受信する基地局と、前記基地局から送信された電界強度情報を収集して前記携帯電話機の位置を特定するセンター局とを有する携帯電話機の位置検索システムにおいて、
前記携帯電話機は、
前記電界強度測定手段によって測定された前記電界強度情報を記憶する記憶手段と、
所定の電話番号から着信があったとき、ユーザに報知せずに応答する応答手段と、
前記応答手段がユーザに報知せずに応答したとき、前記電界強度情報を前記基地局に送信する送信手段とを有することを特徴とする携帯電話機の位置検索システム。
【請求項2】
前記携帯電話機は、一定周期ごとに自機が属するエリアの前記基地局に位置登録を行い、
前記センター局は、前記所定の電話番号から発信が前記携帯電話機へ着信しなかったとき、前記携帯電話機によって前記基地局に位置登録が行われた後、再度、前記所定の電話番号から前記携帯電話機へ発信することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機の位置検索システム。
【請求項3】
前記電界強度測定手段は、前記携帯電話機が圏外にあるときも電界強度を測定し続けて前記記憶手段に記憶させ、
前記送信手段は、圏内になってから前記記憶手段に記憶された前記電界強度情報を送信することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯電話機の位置検索システム。
【請求項4】
前記携帯電話機は、前記所定の電話番号からの発信を音響なしで受けることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の携帯電話機の位置検索システム。
【請求項5】
電界強度を測定する電界強度測定手段を有する携帯電話機と、前記携帯電話機から送信された電界強度情報を受信する基地局と、前記基地局から送信された電界強度情報を収集して前記携帯電話機の位置を特定するセンター局とを有する携帯電話機の位置検索システムの位置検索方法において、
前記携帯電話機は、
前記電界強度測定手段によって測定された前記電界強度情報を記憶する記憶工程と、
所定の電話番号から着信があったとき、ユーザに報知せずに応答する応答工程と、
前記応答工程がユーザに報知せずに応答したとき、前記電界強度情報を前記基地局に送信する送信工程とを有することを特徴とする位置検索方法。
【請求項6】
前記携帯電話機は、一定周期ごとに自機が属するエリアの前記基地局に位置登録を行う工程と、
前記センター局は、前記所定の電話番号から発信が前記携帯電話機へ着信しなかったとき、前記携帯電話機によって前記基地局に位置登録が行われた後、再度、前記所定の電話番号から前記携帯電話機へ発信する工程とを有することを特徴とする請求項5記載の位置検索方法。
【請求項7】
前記電界強度測定手段は、前記携帯電話機が圏外にあるときも電界強度を測定し続ける工程と、
圏内になってから前記記憶手段に記憶された前記電界強度情報を送信する工程とを有することを特徴とする請求項5又は6記載の位置検索方法。
【請求項8】
電界強度を測定する電界強度測定手段を有する携帯電話機と、前記携帯電話機から送信された電界強度情報を受信する基地局と、前記基地局から送信された電界強度情報を収集して前記携帯電話機の位置を特定するセンター局とを有する携帯電話機の位置検索システムの位置検索プログラムにおいて、
前記携帯電話機は、
前記電界強度測定手段によって測定された前記電界強度情報を記憶する記憶処理と、
所定の電話番号から着信があったとき、ユーザに報知せずに応答する応答処理と、
前記応答処理がユーザに報知せずに応答したとき、前記電界強度情報を前記基地局に送信する送信処理とを有することを特徴とする位置検索プログラム。
【請求項9】
前記携帯電話機は、一定周期ごとに自機が属するエリアの前記基地局に位置登録を行う処理と、
前記センター局は、前記所定の電話番号から発信が前記携帯電話機へ着信しなかったとき、前記携帯電話機によって前記基地局に位置登録が行われた後、再度、前記所定の電話番号から前記携帯電話機へ発信する処理とを有することを特徴とする請求項8記載の位置検索プログラム。
【請求項10】
前記電界強度測定手段は、前記携帯電話機が圏外にあるときも電界強度を測定し続ける処理と、
圏内になってから前記記憶手段に記憶された前記電界強度情報を送信する処理とを有することを特徴とする請求項8又は9記載の位置検索プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−166153(P2007−166153A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358907(P2005−358907)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】