説明

携帯電話装置

【課題】災害等の緊急事態が発生したときでも、ユーザが緊急の連絡を取れるように、バッテリの残量を確保可能な携帯電話装置を提供する。
【解決手段】デジタルテレビ受信回路12が緊急警報信号を受信すると、制御回路7は、使用禁止とする機能に対応する回路への電圧供給停止を、電源制御回路8に指示する。このとき、段階的に、使用禁止とする機能を増加させていく。制御回路7は、電話の発着信機能と電子メールの編集および送受信機能のみ使用可能な状態としてから一定時間経過した後、携帯電話装置の電源をオフとするように制御する。その後、ユーザによって携帯電話装置の電源がオンとされた場合、制御回路7は、自装置からの通話の発信のみ行えるように制御する。また、電源がオンとされた場合であっても、所定時間の間に発信命令が入力されなければ、再度、携帯電話装置の電源をオフとするように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話装置に関し、特に、バッテリ残量の減少を抑えることが可能な携帯電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上デジタル放送の準備が急速に進められ、2006年には携帯端末向けのワンセグ放送(1セグメント放送)のサービス開始が予定されている。それに伴い、地上デジタル放送を受信可能な携帯電話端末の普及が予測される。
【0003】
ところで、地震や津波等の災害情報を知らせる放送システムでは、人命や財産に重大な影響を及ぼす地震や津波等が発生したり避難命令が発動したりしたときに、放送局側から警報音を兼ねた信号を送り、また災害情報をテレビジョン放送やラジオ放送で伝える緊急警報放送を実現している。地上デジタル放送では、法律や規格に従って、地上デジタルテレビジョン受信機が、放送データのストリーム内に埋め込まれた緊急警報信号の有無を常に監視する構成になっている。
【0004】
また、携帯電話端末では、携帯性を損なわないようにするため、バッテリの小型化が要求されている。また、小型バッテリの限られた容量で携帯電話端末を長時間使用できるように、できるだけ消費電流を抑えることが要求されている。
【0005】
そして、緊急時に、必要な電力を確保できるようにする技術が種々提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、通常時に電力を供給する通常用バッテリと、緊急通報を行うために必要な電力を保持する緊急用バッテリと、入力操作により緊急用バッテリからの電力の供給を開始する緊急用入力手段とを含む携帯用通信装置が記載されている。そして、緊急通報を行う場合には、緊急用入力手段が緊急用バッテリからの電力供給に切り替えることにより、確実に緊急通報を行えることが記載されている。
【0007】
また、例えば、特許文献2には、放送波からの緊急警報通知信号を検出し、緊急警報番組の出力を開始してから所定時間経過したときに、緊急警報番組の出力を継続するかを問いかけるGUIを表示し、緊急警報番組の出力継続操作が行われない場合に、緊急警報番組の出力処理部に対する電源供給を強制的にオフにするデジタルテレビジョン受信機が記載されている。特許文献2に記載されたデジタルテレビジョン受信機は、ユーザ不在時に緊急警報番組を無駄に出力し続けることを防止して電力消費を低減する。
【0008】
また、特許文献3には、電池残量レベルがグラフィックス表示機能停止条件のしきい値より低くなった場合、グラフィックスの表示機能を停止し、引き続き電池残量レベルを検出して、電池残量レベルが映像表示機能停止条件のしきい値より低くなった場合、映像表示機能を停止する携帯端末装置が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2004−48619号公報(段落0005,0019−0023,0060)
【特許文献2】特開2005−51501号公報(段落0010−0038)
【特許文献3】特開2004−12857号公報(段落0011)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された携帯用通信装置では、通常用バッテリとは別に緊急用バッテリを内部に備える構成であるので、装置の小型軽量化が困難となり、装置の携帯性が損なわれるという問題がある。
【0011】
また、特許文献2に記載のデジタルテレビジョン受信機は、ユーザ不在時に緊急警報番組を無駄に出力し続けることを防止して電力消費を低減する。しかし、ユーザ不在時の緊急警報番組の出力に関する電力消費しか低減できない。従って、特許文献2に記載された技術を携帯電話装置に適用したとしても、電力消費の低減という効果は限られ、携帯電話装置のユーザが通話を行うときにバッテリ残量が十分でなく、ユーザが通話を行いたいときに通話を行えないという事態が生じてしまうことがある。
【0012】
地震等の災害が発生したときには、停電のために充電を行えず、その結果、携帯電話装置が通信を行えなくなることも予想される。
【0013】
また、災害等の緊急事態発生直後は輻輳等が生じて電話連絡が行えない事態が発生する。そのため、ユーザが発信等のキー操作を連続して行って、バッテリを消耗してしまったり、携帯電話端末を待ち受け状態のままにして輻輳等の回復を待ち続けて、バッテリを消耗してしまったりすることがある。その結果、ユーザが通信を行いたいときに通信を行えないという事態が生じてしまう。
【0014】
そこで、本発明は、災害等の緊急事態が発生したときでも、ユーザが緊急の連絡を取れるように、バッテリの残量を確保可能な携帯電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による携帯電話装置は、放送データを受信可能な携帯電話装置であって、放送データに含まれる緊急警報信号を検出する緊急警報信号検出手段と、電圧を供給するバッテリと、携帯電話装置が備える回路に対する電圧の供給を制御する電圧供給制御手段と、携帯電話装置が備える回路のうちのどの回路に電圧を供給すべきかを電圧供給制御手段に指示する制御手段とを備え、制御手段が、緊急警報信号検出手段によって緊急警報信号が検出された後、電圧供給制御手段に電圧供給対象となる回路の数を減少させることを特徴とする。
【0016】
そのような構成によれば、制御手段が、緊急警報信号検出手段によって緊急警報信号が検出された後、電圧供給制御手段に電圧供給対象となる回路の数を減少させるので、バッテリの残量の減少を抑えて、ユーザが緊急の連絡を取れるように、バッテリの残量を確保することができる。
【0017】
制御手段が、所定時間が経過したときに電圧供給制御手段に電圧供給対象となる回路の数を減少させることを繰り返し、電圧供給対象となる回路の数を段階的に減少させる構成であってもよい。そのような構成によれば、緊急警報信号を受信した当初はある程度の機能を使用可能としつつ、緊急時に最も重要性の高い機能を長時間維持することができる。
【0018】
制御手段が、所定時間が経過したときに電圧供給制御手段に電圧供給対象となる回路の数を減少させることを繰り返す過程で、通話の発着信と電子メールの編集および送受信のみが可能となるように、電圧供給制御手段に電圧供給対象を指示する構成であってもよい。
【0019】
制御手段が、所定時間が経過したときに電圧供給制御手段に電圧供給対象となる回路の数を減少させることを繰り返し、電圧供給対象となる回路の数を段階的に減少させた後、さらに所定期間が経過したときに、携帯電話装置の電源をオフにするように電圧供給制御手段に指示し、電圧供給制御手段が、制御手段の指示に従って携帯電話装置の電源をオフとする構成であってもよい。そのような構成によれば、バッテリの残量を確保しやすくすることができる。
【0020】
基地局に対して無線信号を送信する送信手段と、基地局からの無線信号を受信する受信手段と、ユーザからの指示が入力されるユーザ指示入力手段とを備え、制御手段は、所定期間が経過したことにより携帯電話装置の電源をオフにするように電圧供給制御手段に指示した後、ユーザ指示入力手段により携帯電話装置の電源をオンにする指示が入力されたときに、電圧供給制御手段に送信手段に対して電圧を供給させ、さらにユーザ指示入力手段により発信指示が入力されたときに、電圧供給制御手段に受信手段に対して電圧を供給させることで、携帯電話装置からの発信および発信後の通話のみ可能とする構成であってもよい。そのような構成によれば、バッテリの残量を確保しやすく、緊急事態発生時に、輻輳等が長時間続いた後に輻輳等が回復したときでも、携帯電話装置でユーザ自身からの通話の発信を行うことができる。
【0021】
基地局からの無線信号を受信する受信手段を備え、制御手段が、着信待ち受け状態のときに受信手段に対して定期的に電圧を供給するように電圧供給制御手段に指示し、電圧供給制御手段は、制御手段からの指示に従って、着信待ち受け状態のときに受信手段に対して定期的に電圧を供給し、制御手段は、緊急警報信号検出後の受信手段に対する電圧供給周期が緊急警報信号検出前よりも長くなるように電圧供給制御手段に指示する構成であってもよい。そのような構成によれば、消費電流を抑えつつ、着信を受け付けられる状態を実現することができる。
【0022】
キーを有し、ユーザからの指示が入力されるユーザ指示入力手段と、そのキーを点灯させるためのキーバックライトと、画像を表示する表示部と、その表示部のバックライトである表示部バックライトとを備え、制御手段が、緊急警報信号検出前には、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力を検出したときにキーバックライトおよび表示部バックライトを点灯させるように電圧供給制御手段に指示し、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力の検出がなくなって所定時間経過したときに、キーバックライトおよび表示部バックライトの輝度を低下させるか、あるいはキーバックライトおよび表示部バックライトを消灯させるように電圧供給制御手段に指示し、緊急警報信号検出後には、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力を検出したときに、緊急警報信号検出前よりも低い輝度でキーバックライトおよび表示部バックライトを点灯させるように電圧供給制御手段に指示する構成であってもよい。そのような構成によれば、ユーザがキー操作によりメールを編集している場合や、輻輳時に発信操作を連続して行ってしまった場合であっても、通常時よりもバッテリの消耗を抑えることができる。
【0023】
キーを有し、ユーザからの指示が入力されるユーザ指示入力手段と、そのキーを点灯させるためのキーバックライトと、画像を表示する表示部と、その表示部のバックライトである表示部バックライトとを備え、制御手段が、緊急警報信号検出前には、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力を検出したときにキーバックライトおよび表示部バックライトを点灯させるように電圧供給制御手段に指示し、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力の検出がなくなって所定時間経過したときに、キーバックライトおよび表示部バックライトの輝度を低下させるか、あるいはキーバックライトおよび表示部バックライトを消灯させるように電圧供給制御手段に指示し、緊急警報信号検出後には、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力を検出したときに、キーバックライトおよび表示部バックライトを消灯状態にするように電圧供給制御手段に指示する構成であってもよい。そのような構成によれば、ユーザがキー操作によりメールを編集している場合や、輻輳時に発信操作を連続して行ってしまった場合であっても、通常時よりもバッテリの消耗を抑えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、災害等の緊急事態が発生したときでも、ユーザが緊急の連絡を取れるように、バッテリの残量を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明による携帯電話装置の実施の一形態を示すブロック図である。図1に例示する携帯電話装置は、基地局用アンテナ1と、送受分波器2と、受信回路3と、送信回路4と、表示部バックライト5と、キーバックライト6と、制御回路7と、電源制御回路8と、バッテリ9と、入力キー10と、第1タイマ回路11と、第2タイマ回路21と、デジタルテレビジョン放送受信回路(以下、デジタルテレビ受信回路と記す。)12と、カメラ13とを備える。
【0026】
基地局用アンテナ1は、基地局との通信に用いられるアンテナである。受信回路3は、基地局からの無線信号の受信処理を行う。送信回路4は、基地局に対する無線信号の送信処理を行う。送受信分波器2は、送信と受信との切り分けを行う。すなわち、送受信分波器2は、送信回路4が基地局に送信する無線信号と、受信回路3が基地局から受信する無線信号との切り分けを行う。
【0027】
バッテリ9は、携帯電話装置の電源となるバッテリであり、電圧を供給する。
【0028】
入力キー10は、ユーザから文字、数字、および記号等のデータや、ユーザが選択した機能の実行指示等の各種指示が入力されるユーザインタフェースである。入力されるデータの具体例として、例えば、電話番号等がある。また、ユーザから入力される指示の具体例として、例えば、着信受付(着信時にその着信を受け付ける設定)の指示等がある。入力キー10には、携帯電話装置の前面に設けられる各種キーだけでなく、携帯電話装置の側面に設けられるサイドキーも含まれる。なお、以下の説明において、入力キー10は、単なるキー(ボタン)だけを意味するのではなく、キーを含む操作部(キーバックライト6は除く。)を意味するものとする。
【0029】
また、図示を省略しているが、本発明による携帯電話装置は、デジタルテレビジョン放送の画像、GUI(Graphical User Interface)、データ(例えば、電子メールの内容等)等の各種画像やデータを表示するディスプレイ装置を備える。表示部バックライト5は、ディスプレイ装置(図示せず。)のバックライトであり、ディスプレイ装置上の表示を明るく見やすい表示にする。ただし、表示部バックライト5の点灯時の明るさ、あるいは表示部バックライト5を点灯状態にするか否かは制御回路7および電源制御回路8によって制御される。
【0030】
キーバックライト6は、入力キー10に含まれるキーを明るく点灯させるためのバックライトである。キーバックライト6の点灯時の明るさ、あるいはキーバックライト6を点灯状態にするか否かは制御回路7および電源制御回路8によって制御される。
【0031】
カメラ13は、画像を撮影する。カメラ13によって撮影された画像は、例えば、携帯電話装置に保存される。また、いわゆるテレビ電話での通話形態のときに、カメラ13は、ユーザによってそのユーザの顔等に向けられ、テレビ電話の通話形態で送受信される画像を撮影する。
【0032】
デジタルテレビ受信回路12は、デジタルテレビジョン放送用アンテナ22を有し、デジタルテレビジョン放送用アンテナ22を介して、地上デジタルテレビジョン放送の放送データを受信する。また、携帯電話装置の電源がオンとなっていて通常モードであるときには、デジタルテレビ受信回路12は、放送データのストリーム内に緊急警報信号が埋め込まれているか否かを常に監視する。通常モードについては、後述する。デジタルテレビ受信回路12は、放送データのストリーム内に埋め込まれた緊急警報信号の受信を検出すると、緊急警報信号の受信を検出した旨を制御回路7に通知する。
【0033】
電源制御回路8は、制御回路7からの指示に従って、各回路への電源供給(電圧供給)を制御する。具体的には、電源制御回路8は、制御回路7からの指示に従って、受信回路3、送信回路4、送受分波器2、表示部バックライト5、キーバックライト6、入力キー10、第1タイマ回路11、第2タイマ回路21、デジタルテレビ受信回路12、カメラ13、制御回路7への電源供給(電圧供給)を制御する。
【0034】
制御回路7は、携帯電話装置の動作状態および携帯電話装置が備える各構成要素の動作状態を把握し、また、携帯電話装置の動作状態および携帯電話装置が備える各構成要素の動作状態を制御する。例えば、制御回路7は、受信回路3および送信回路4による無線信号の送受信動作を制御したり、定期的に受信回路3を、電圧が供給されるオン状態にして、携帯電話装置自身に対する着信の有無を確認する動作を制御したりする。また、例えば、制御回路7は、キー入力等の割込状態、デジタルテレビ受信回路12によるデジタルテレビジョン放送の受信状態、電源制御回路8による各回路への電圧供給状態等を監視する。また、制御回路7は、どの回路に電圧を供給するのかを電源制御回路8に指示する。また、制御回路7は、第1タイマ回路11および第2タイマ回路21に計時開始を指示し、第1タイマ回路11や第2タイマ回路21から所定時間が経過した旨の通知を受けると、その通知に応じた処理を実行する。
【0035】
第1タイマ回路11は、携帯電話装置が緊急警報信号を受信した後に制御回路7によって起動され、制御回路7の指示に応じて計時を行う。そして、所定時間が経過したときに、その旨を制御回路7に通知する。
【0036】
第2タイマ回路21は、制御回路7の指示に応じて計時を行う。そして、所定時間が経過したときに、その旨を制御回路7に通知する。第2タイマ回路21は、ユーザによる操作が行われなくなった後、表示部バックライト5およびキーバックライト6の明るさを低下させる(あるいは消灯させる)までの時間を計時するタイマ回路である。
【0037】
次に、携帯電話装置の動作モードについて説明する。動作モードは、携帯電話装置の消費電流の大きさが段階的に変化するように規定した携帯電話装置の動作状態である。通常モードは、消費電流の大きさが段階的に区分けされた各動作状態(各動作モード)のうち基準となる動作モードである。具体的には、通常モードは、緊急警報信号を受信する前の携帯電話装置の動作状態である。
【0038】
本実施の形態では、緊急警報信号を受信した後の動作モードは、緊急時省電力モード1〜3の三種類に設定されるものとする。通常モードを基準として、通常モード、緊急時省電力モード1、緊急時省電力モード2、緊急時省電力モード3の順に、段階的に動作に制限が加えられ、上述の順番に段階的に消費電流が少なくなる。すなわち、通常モードが消費電流の最も大きい動作状態であり、緊急時省電力モード3が消費電流の最も小さい動作状態である。
【0039】
図2は、各動作モードにおける動作を示す説明図である。図2を参照して、各動作モードにおける動作および動作の制御について説明する。
【0040】
図2(a)に示す通常モードは、通常時(緊急警報信号を受信する前)の携帯電話装置の動作モードであり、本発明による携帯電話装置が有する全ての機能が使用可能な状態である。図1に例示する携帯電話装置の場合、例えば、通話の発着信動作、電子メールの編集および送受信動作、カメラ13による画像撮影動作および撮影した画像のメモリ(図示せず。)への保存動作等が可能である。さらに、通常モードでは、カメラ13を起動してアンテナ1、送受信分波器2、受信回路3、送信回路4により、基地局を介して他の携帯電話装置とテレビ電話の形態で通信する動作、デジタルテレビ受信回路12によって通常の地上デジタルテレビジョン放送の放送データを受信して、地上デジタルテレビジョン放送の画像や音声を出力する動作等も可能である。制御回路7は、受信回路3、送信回路4,カメラ13、またはデジタルテレビ受信回路12等を制御して、これらの回路に、上述の例示した動作を行わせる。なお、画像を出力するディスプレイ装置や音声を出力する音声出力部に関しては、図示を省略している。
【0041】
また、通常モードでは、制御回路7は、ユーザによる入力キー10の操作(例えば、キーの押下)を検出すると、電源制御回路8に表示バックライト5およびキーバックライト6の点灯を指示する。電源制御回路8は、制御回路7からの指示に応じて、表示バックライト5およびキーバックライト6への電圧供給を行い、表示バックライト5およびキーバックライト6を点灯させる。その結果、ユーザにとって、ディスプレイ装置の表示やキーが見やすくなる。
【0042】
さらに、通常モードにおいて、制御回路7は、ユーザによる入力キー10の操作(例えば、キーの押下)を検出しなくなったとき、第2タイマ回路21に一定時間の計時開始を指示する。第2タイマ回路21は、指示された時間を計時し、その時間が経過したときに、その旨を制御回路7に通知する。制御回路7は、この通知を受けると、表示バックライト5およびキーバックライト6の明るさを低下させるように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、制御回路7からの指示に応じて、表示バックライト5およびキーバックライト6への電圧供給量を低下させ、表示バックライト5およびキーバックライト6の明るさを低下させる。なお、通常モードにおいて、制御回路7は、第2タイマ回路21からの通知に応じて、表示バックライト5およびキーバックライト6を消灯させるように、電源制御回路8に指示してもよい。この場合、電源制御回路8は、制御回路7からの指示に応じて、表示バックライト5およびキーバックライト6への電圧供給を停止して、表示バックライト5およびキーバックライト6を消灯させる。
【0043】
また、通常モードにおいて、制御回路7は、着信待ち受け状態のときに、着信処理を行う主要回路(すなわち、受信回路3)をオフ状態にしておき、間欠的にオン状態にするように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、この指示に応じて、受信回路3に対する電圧供給を停止しておき、間欠的に(一定時間毎に)受信回路3に対して電圧を供給し、受信回路3をオンにする。受信回路3は、電圧が供給されてオンになったときに、自装置(携帯電話装置)宛の着信の有無を確認する。なお、通常モードにおける、受信回路3への電圧供給間隔(周期)は、例えば、2.56秒である。この場合、受信回路3は、2.56秒おきに電圧が供給されてオンとなり、自装置宛の着信の有無を確認する。
【0044】
図2(b)に示す緊急時省電力モード1は、電話の発着信機能、電子メールの編集および送受信機能、およびその他の機能が使用可能な状態である。緊急時省電力モード1では、少なくとも電話の発着信機能、電子メールの編集および送受信機能は使用可能であって、他の機能も使用可能であればよい。そして、前述の「他の機能」が、どのような機能であるかは特に限定されない。例えば、電話の発着信機能、電子メールの編集および送受信機能に加え、カメラ13による撮影機能が使用可能であってもよい。また、例えば、電話の発着信機能、電子メールの編集および送受信機能に加え、テレビ電話機能が使用可能であってもよい。また、例えば、電話の発着信機能、電子メールの編集および送受信機能に加え、地上デジタルテレビジョン放送の受信機能が使用可能であってもよい。
【0045】
制御回路7は、緊急警報信号を受信した旨の通知がデジタルテレビ受信回路12から送られると、通常モードから緊急時省電力モード1に切り替える。このとき、緊急時省電力モード1において使用不可能な機能に対応した回路をオフにする。例えば、緊急時省電力モード1では、地上デジタルテレビジョン放送の受信機能が使用不可能であるとする。この場合、制御部7は、地上デジタルテレビジョン放送の受信機能に対応する回路(すなわち、デジタルテレビ受信回路12)をオフにするように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、この指示に応じて、デジタルテレビ受信回路12に対する電圧供給を停止してデジタルテレビ受信回路12をオフにする。
【0046】
ただし、一つの回路が複数の機能に対応していて、緊急時省電力モード1で使用可能な機能にも、緊急時省電力モード1で使用不可能とした機能にも対応しているとする。その場合、制御回路7は、その回路をオンに維持する。例えば、緊急時省電力モード1において、カメラ13による撮影機能が使用可能であるが、テレビ電話機能は使用不可能であるとする。この場合、カメラ13は、使用不可能なテレビ電話機能に対応するが、使用可能な撮影機能にも対応する。従って、制御回路7は、電源制御回路8に、カメラ13への電圧供給を維持させ、カメラ13をオンに維持する。
【0047】
また、緊急時省電力モード1では、制御回路7は、ユーザによる入力キー10の操作(例えば、キーの押下)を検出すると、電源制御回路8に表示バックライト5およびキーバックライト6の点灯を指示する。ただし、緊急時省電力モード1では、ユーザが入力キー10を操作しているときの表示バックライト5およびキーバックライト6の明るさは、ユーザが表示バックライト5およびキーバックライト6の点灯を最低限確認できる程度の明るさに低下させる。従って、緊急時省電力モード1では、電源制御回路8は、制御回路7から各バックライトを点灯させる指示を受けたとしても、表示バックライト5およびキーバックライト6に対して通常モードよりも低い電圧(ユーザが表示バックライト5およびキーバックライト6の点灯を最低限確認できる程度に各バックライトを点灯させる電圧)を供給する。
【0048】
さらに、緊急時省電力モード1において、制御回路7は、ユーザによる入力キー10の操作(例えば、キーの押下)を検出しなくなったとき、第2タイマ回路21に一定時間の計時開始を指示する。第2タイマ回路21は、指示された時間を計時し、その時間が経過したときに、その旨を制御回路7に通知する。制御回路7は、この通知を受けると、表示バックライト5およびキーバックライト6を消灯させるように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、制御回路7からの指示に応じて、表示バックライト5およびキーバックライト6への電圧供給を停止して、表示バックライト5およびキーバックライト6を消灯させる。
【0049】
ここでは、ユーザが入力キー10を操作しているときに、低輝度で表示バックライト5およびキーバックライト6を点灯させる場合を説明した。緊急時省電力モード1では、ユーザが入力キー10を操作しているときに、表示バックライト5およびキーバックライト6を消灯させてもよい。この場合、制御回路7は、ユーザによる入力キー10の操作(例えば、キーの押下)を検出したときであっても、表示バックライト5およびキーバックライト6を消灯のまま維持するように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、この指示に応じて、表示バックライト5およびキーバックライト6に対する電源供給を停止したまま維持する。
【0050】
また、緊急時省電力モード1においても、制御回路7は、着信待ち受け状態のときに、着信処理を行う主要回路(すなわち、受信回路3)をオフ状態にしておき、間欠的(一定時間毎に)にオン状態にするように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、この指示に応じて、受信回路3に対する電圧供給を停止しておき、一定時間毎に受信回路3に対して電圧を供給し、受信回路3をオンにする。受信回路3は、電圧が供給されてオンになったときに、自装置(携帯電話装置)宛の着信の有無を確認する。だたし、制御回路7は、緊急時省電力モード1では、受信回路3をオンにする間隔を、通常モードより長くする。例えば、通常モードにおいて、受信回路3に電圧を供給して受信回路3をオンにする間隔(周期)が2.56秒であったとする。この場合、緊急時省電力モード1では、受信回路3に電圧を供給して受信回路3をオンにする周期を通常モードより長くし、例えば、2.56秒の3倍の7.68秒とする。
【0051】
図2(c)に示す緊急時省電力モード2は、電話の発着信機能と電子メールの編集および送受信機能のみが使用可能な状態である。例えば、図1に例示する携帯電話装置の場合、緊急時省電力モード2では、カメラ13による撮影機能、テレビ電話機能、地上デジタルテレビジョン放送の受信機能を使用不可能とする。そのため、制御回路7は、カメラ13およびデジタルテレビ受信回路12をオフにするように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、カメラ13およびデジタルテレビ受信回路12に対する電圧供給を停止して、カメラ13およびデジタルテレビ受信回路12をオフにする。なお、受信回路3、送信回路4、送受分波器2は、テレビ電話機能に対応する回路であるが、緊急時省電力モード2で使用可能とする電話の発着信機能や電子メールの送受信機能に対応する回路でもあるので、受信回路3、送信回路4、送受分波器2に関しては常時オフにすることはしない。
【0052】
緊急時省電力モード2での、着信待ち受け状態のときにおける受信回路3の制御は、緊急時省電力モード1と同様である。すなわち、制御回路7は、着信待ち受け状態のときに、着信処理を行う受信回路3をオフ状態にしておき、間欠的(一定時間毎に)にオン状態にするように、電源制御回路8に指示する。この指示を受けた電源制御回路8の動作は、緊急時省電力モード1と同様である。また、受信回路3に電圧を供給して受信回路3をオンにする間隔(周期)を通常モードより長くする点に関しても、緊急時省電力モード1と同様である。受信回路3は、電圧が供給されてオンになったときに、自装置(携帯電話装置)宛の着信の有無を確認する。
【0053】
また、緊急時省電力モード2での表示部バックライト5およびキーバックライト6の制御は、緊急時省電力モード1と同様である。
【0054】
制御回路7は、通常モードから緊急時省電力モード1に切り替えて所定時間が経過したときに、緊急時省電力モード1から緊急時省電力モード2に切り替える。
【0055】
図2(d)に示す緊急時省電力モード3は、通信部(送受分波器2、送信回路4、受信回路3)を含む携帯電話装置全体の電源をオフにして(換言すれば、全ての回路に対する電圧供給を停止して)、自装置(携帯電話装置)宛の着信を受けないようにした状態である。ただし、緊急時省電力モード3において、ユーザによって携帯電話装置の電源がオンとされた場合、制御回路7および電源制御回路8は、電話の発信機能のみ使用可能となるように制御する。従って、緊急時省電力モード3では、他のモードと異なり、一定時間周期で受信回路3に電圧を供給して自装置への着信有無を確認させる制御は行わない。また、緊急時省電力モード3では、電子メールの編集および送受信機能も使用不可能とする。
【0056】
ユーザによって携帯電話装置の電源がオンとされ、携帯電話装置が通話相手の電話機と通話を行っているとき、あるいは通話終了時に、バッテリ残量が確保できなくなると、電源制御回路8は、携帯電話装置の各回路への電圧供給を停止し、携帯電話装置はオフ(電源断)となる。この場合、バッテリ9に対する充電が行われない限り、携帯電話装置は使用できない。
【0057】
また、通話終了後にまだバッテリ残量が残っていれば、次の発信が可能である。ただし、このとき、所定時間、入力キー10による発信操作が行われないときには、制御回路7は、電源制御回路8に全ての回路に対する電圧供給の停止を指示する。電源制御回路8は、この指示に従い、携帯電話装置の全ての回路に対する電圧供給を停止する。この結果、携帯電話装置は、オフ(電源断)状態となる。ユーザによって携帯電話装置の電源がオンとされたにも関わらず、所定時間、入力キー10による発信操作が行われない場合も同様である。
【0058】
また、緊急時省電力モード3では、表示部バックライト5およびキーバックライト6の点灯を禁止するように制御する。すなわち、制御回路7は、電源制御回路8に表示部バックライト5およびキーバックライト6の消灯を指示する。電源制御回路8は、この指示に従って、表示部バックライト5およびキーバックライト6に電源を供給せず、表示部バックライト5およびキーバックライト6を消灯状態に維持する。
【0059】
制御回路7は、緊急時省電力モード1から緊急時省電力モード2に切り替えて所定時間が経過した後に、緊急時省電力モード2から緊急時省電力モード3に切り替える。
【0060】
次に、動作について説明する。
図3および図4は、本実施の形態の携帯電話装置の処理経過の例を示すフローチャートである。携帯電話装置が通常モードであったとする。このとき、制御回路7は、電源制御回路8に対してデジタルテレビ受信回路12への電圧供給を指示し、電源制御回路8はデジタルテレビ受信回路12に電圧を供給している。そして、デジタルテレビ受信回路12は、放送データのストリーム内に緊急警報信号が埋め込まれているか否かを常に監視する(ステップS1)。緊急警報信号の受信を検出しない場合には(ステップS1のNo)、デジタルテレビ受信回路12は監視処理を継続する。
【0061】
デジタルテレビ受信回路12は緊急警報信号の受信を検出すると(ステップS1のYes)、緊急警報信号の受信を検出したことを制御回路7に通知する。制御回路7は、この通知を受けると、第1タイマ回路11を起動して、第1タイマ回路11に所定時間(例えば30分)の計時を開始させる(ステップS2)。
【0062】
続いて、制御回路7は、携帯電話装置が通常モードから緊急時省電力モード1に切り替わるように制御する(ステップS3)。すなわち、制御回路7は、緊急時省電力モード1において使用不可能な機能に対応した回路をオフにするように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、この指示に応じて、その回路への電圧供給を停止する。
【0063】
また、ステップS3において、制御回路7は、既に説明したように、ユーザが入力キー10を操作しているときに低輝度で表示バックライト5およびキーバックライト6を点灯させるように制御する。あるいは、ユーザが入力キー10を操作しているときに表示バックライト5およびキーバックライト6を消灯させるように制御してもよい。
【0064】
また、ステップS3において、制御回路7は、既に説明したように、着信待ち受け状態のときに、受信回路3に電圧を供給してオンにする周期を通常モードよりも長くなるように制御する。
【0065】
第1タイマ回路11は、計時を行い、ステップS2で計時を開始してから所定時間(例えば、30分)が経過したか否かを判定する(ステップS4)。所定時間が経過していなければ(ステップS4のNo)、計時を継続する。
【0066】
第1タイマ回路11は、所定時間が経過したならば(ステップS4のYes)、所定時間が経過したことを制御回路7に通知して、計時を停止する。制御回路7は、この通知を受けると、第1タイマ回路11を再度起動して、第1タイマ回路11に所定時間(例えば30分)の計時を開始させる(ステップS5)。
【0067】
続いて、制御回路7は、携帯電話装置が緊急時省電力モード1から緊急時省電力モード2に切り替わるように制御する(ステップS6)。すなわち、電話の発着信機能と電子メールの編集および送受信機能のみが使用可能となるように制御する。図1に例示する携帯電話装置の場合、撮影機能、テレビ電話機能、地上デジタルテレビジョン放送の受信機能を使用不可能にするために、制御回路7は、カメラ13およびデジタルテレビ受信回路12をオフにするように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、この指示に応じて、カメラ13およびデジタルテレビ受信回路12への電圧供給を停止する。
【0068】
ステップS6における表示バックライト5およびキーバックライト6の制御は、ステップS3における表示バックライト5およびキーバックライト6の制御と同様である。また、着信待ち受け状態のときに、受信回路3に電圧を供給してオンにする周期を通常モードよりも長くなるように制御する点についてもステップS3と同様である。
【0069】
第1タイマ回路11は、計時を行い、ステップS5で計時を開始してから所定時間(例えば30分)が経過したか否かを判定する(ステップS7)。所定時間が経過していなければ(ステップS7のNo)、計時を継続する。
【0070】
第1タイマ回路11は、所定時間が経過したならば(ステップS7のYes)、所定時間が経過したことを制御回路7に通知して、計時を停止する。制御回路7は、この通知を受けると、受信回路3への電圧供給の停止を電源制御回路8に指示し、電源制御回路8はこの指示に従って、受信回路3への電圧供給を停止する(ステップS8)。
【0071】
続いて、制御回路7は、処理中の動作(例えば、電子メールの編集や送信)が無いか否かを判定する。処理中の動作があれば(ステップS9のNo)、その処理が完了するまで制御回路7は、その処理に関する制御を行う。処理中の動作がない場合、または処理中であった動作が完了したならば(ステップS9のYes)、制御回路7は、携帯電話装置全体の電源をオフにするように(全ての回路に対する電圧供給を停止するように)、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、この指示に従って、全ての回路に対する電圧供給を停止し、携帯電話装置をオフにする(ステップS10)。そして、図4に示すステップS11で電源をオンとする操作がユーザによって行われるまで、携帯電話装置はオフのままとなる。
【0072】
ステップS10の後、ユーザによって電源をオンにする操作が行われる(ステップS11)と、電源制御回路8はバッテリ9の残量が無くなっているか否かを判定する(ステップS12)。バッテリ9の残量が無いならば(ステップS12のYes)、電源制御回路8は各回路への電圧供給を行わず(ステップS21)、そのまま動作を終了する。この場合、充電が行われない限り、携帯電話装置を使用することができなくなる。
【0073】
また、バッテリ9の残量が残っているならば(ステップS12のNo)、電源制御回路8は制御回路7に電圧を供給する。そして、制御回路7は、受信回路3、デジタルテレビ受信回路12、カメラ13、第2タイマ回路21、表示部バックライト5およびキーバックライト6をオフにして他の回路(送信回路4、送受分波器2、入力キー10、第1タイマ回路11)をオンにするように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、制御回路7からの指示に従い、受信回路3、デジタルテレビ受信回路12、カメラ13、第2タイマ回路21、表示部バックライト5およびキーバックライト6に対しては電圧を供給せず、送信回路4、送受分波器2、入力キー10、および第1タイマ回路11に対して電圧を供給する(ステップS13)。この結果、受信回路3はオフになっていて、送信回路4はオンになっているので、着信を受けずに、通話の発信のみが可能な状態となる。
【0074】
ステップS13に続いて、制御回路7は、第1タイマ回路11を起動して、第1タイマ回路11に所定時間の計時を開始させる(ステップS14)。ステップS14で制御回路7が第1タイマ回路11に指示する所定時間は、その時間内にユーザが通話の発信操作を行わなかったときに(換言すれば、通話の発信命令が入力されなかったときに)再度携帯電話装置の電源をオフにすることになる時間である。ステップS14で制御回路7が第1タイマ回路11に指示する所定時間は、例えば、1分である。
【0075】
制御回路7は、第1タイマ回路11に所定時間(例えば1分)の計時を開始させた後、通話の発信命令の入力を検出したか否か(すなわち、ユーザが通話の発信操作が行われたか否か)を判定する(ステップS15)。制御回路7は、発信命令の入力を検出したときには(ステップS15のYes)、第1タイマ回路12に計時の停止を指示し、第1タイマ回路11は計時を停止する(ステップS18)。
【0076】
また、第1タイマ回路11は、制御回路7から計時の停止指示を受けなければ、計時を継続し、ステップS14で計時を開始してから所定時間(例えば1分)が経過したか否かを判定する(ステップS16)。
【0077】
所定時間が経過していなければ(ステップS16のNo)、第1タイマ回路11は、計時を継続する。第1タイマ回路11は、所定時間が経過したならば(ステップS16のYes)、所定時間が経過したことを制御回路7に通知して、計時を停止する。制御回路7は、この通知を受けると、携帯電話装置全体の電源をオフにするように(全ての回路に対する電圧供給を停止するように)、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、この指示に従って、全ての回路に対する電圧供給を停止し、携帯電話装置をオフにする(ステップS17)。そして、ステップS11で電源をオンとする操作がユーザによって行われるまで、携帯電話装置はオフのままとなる。
【0078】
従って、制御回路7が所定時間経過するまでに発信命令の入力を検出しなかった場合(ステップS15のNo、ステップS16のYes)、携帯電話装置はオフとなる。一方、制御回路7が所定時間経過するまでに発信命令の入力を検出した場合(ステップS16のNo、ステップS15のYes)、制御回路7は第1タイマ回路11に計時を停止させ(ステップS18)、ステップS19に移行する。
【0079】
ステップS19では、制御回路7は、受信回路3をオンにするように、電源制御回路8に指示する。電源制御回路8は、制御回路7の指示に従い、受信回路3に電圧を供給する。さらに、制御回路7は、基地局を介して、相手先の電話機と通話できるように、送信回路4に呼び出し信号を送信させる。この結果、相手先の電話機と通話できる状態になる(ステップS19)。なお、ステップS19では、受信回路3に電圧が供給されるので、送話および受話が両方とも可能になる。
【0080】
通話中および通話終了後、制御部7は、電芸制御回路8に、バッテリ9の残量が無くなったか否かを監視させる(ステップS20)。
【0081】
通話中にバッテリ残量がなくなったと判定した場合、電源制御回路8は、携帯電話装置が備える各回路への電圧供給を停止し、携帯電話装置をオフとする(ステップS21)。通話終了後にバッテリ残量がなくなった判定した場合も同様に、電源制御回路8は、携帯電話装置をオフにする(ステップS21)。
【0082】
通話終了後に、まだバッテリ残量が残っていると判定した場合、制御部7は、ステップS14に移行し、ステップS14以降の動作を再度行う。
【0083】
本実施の形態において、緊急警報信号検出手段は、デジタルテレビ受信回路12によって実現される。電圧供給制御手段は、電源制御回路8によって実現される。制御手段は、制御回路7によって実現される。送信手段は、送信回路4によって実現される。受信手段は、受信回路3によって実現される。ユーザ指示入力手段は、入力キー10によって実現される。表示部は、ディスプレイ装置(図示せず。)によって実現される。
【0084】
本発明によれば、緊急時となり、デジタルテレビ受信回路12が緊急警報信号を受信すると、制御回路7は、携帯電話装置を、通常モードよりも消費電流の少ない緊急時省電力モード1にし、さらに、時間経過とともに、より消費電流の少ない緊急時省電力モード2,3に段階的に変化させる。従って、バッテリ残量を確保して、緊急時においても通話をより確実に行える。
【0085】
また、緊急時省電力モード3では、携帯電話装置をオフにして、ユーザが携帯電話装置をオンにする操作を行ったときでも、所定時間内に通話の発信命令の入力が無ければ、携帯電話装置をオフにする。従って、バッテリの残量を確保しやすく、緊急事態発生時に、輻輳等が長時間続いた後に輻輳等が回復したときでも、携帯電話装置でユーザ自身からの通話の発信を行うことができる。
【0086】
また、動作モードを、通常モード、緊急時省電力モード1、緊急時省電力モード2、緊急時省電力モード3の順に段階的に変化させて、緊急時における重要性の低い機能から順に使用不可能として消費電流を削減している。従って、緊急警報信号を受信した当初はある程度の機能を使用可能としつつ、緊急時に最も重要性の高い自身からの発信機能を最も長い時間維持することができる。
【0087】
また、緊急時省電力モード1、緊急時省電力モード2では、受信回路3をオンにして自装置宛の着信の有無を確認する周期を、通常モードよりも長くしている。従って、消費電流を抑えつつ、着信を受け付けられる状態を実現することができる。
【0088】
また、緊急時省電力モード1、緊急時省電力モード2では、ユーザによる入力キー10の操作時に、通常モードよりも表示バックライト5およびキーバックライト6の明るさを低下させるか、あるいは、消灯させる。従って、ユーザがキー操作によりメールを編集している場合や、輻輳時に発信操作を連続して行ってしまった場合であっても、通常時よりもバッテリ9の消耗を抑えることができる。
【0089】
上記の説明では、緊急時省電力モードを三種類規定し、3段階に分けて、消費電流を段階的に減少させている。緊急時省電力モードは、三種類に限定されず、例えば、二種類、あるいは四種類以上規定して、段階的に消費電流を減少させるようにしてもよい。
【0090】
また、上記の説明では、所定時間の経過に伴って、緊急時省電力モード1から緊急時省電力モード2、緊急時省電力モード2から緊急時省電力モード3に変化させるようにしていた。このように時間経過によって緊急時省電力モードを変化させるのでなく、バッテリ残量を示す電圧値を段階的に閾値として保持(記憶)しておき、バッテリ残量を示す電圧値の変化に応じて、緊急時省電力モードを変化させてもよい。この場合、携帯電話装置は、バッテリ9の残量を示す電圧値を検出する電圧値検出回路(図示せず。)を備えていればよい。そして、制御回路7は、電圧値検出回路(図示せず。)によって検出された電圧値と、段階的に定めた閾値とを比較し、電圧値が閾値より低くなったときに、緊急時省電力モードを変化させればよい。このように制御することによっても、緊急時には、まず電話の発着信機能、電子メールの編集および送受信機能、およびその他の機能が使用可能とし、電圧値が減少したときには、電話の発着信機能、電子メールの編集および送受信機能のみを使用可能とし、さらに電圧値が減少したときには、携帯電話装置をオフとすることができる。携帯電話装置をオフにするときの電圧値の閾値には、例えば、バッテリ9が所定時間の通話を行えるだけの残量を有していることを示す電圧値を用いればよい。例えば、10分間程度の通話を行えるだけのバッテリ残量が残っていることを示す電圧値を、携帯電話装置をオフにするときの閾値とすればよい。この場合、オフとした携帯電話装置のバッテリ9には、10分程度の通話を行えるだけのバッテリ残量が確保されている。そして、ユーザは、携帯電話装置をオンにして、必要最低限の通話を行える。この場合も、緊急警報信号を受信した当初はある程度の機能を使用可能としつつ、緊急時に最も重要性の高い自身からの発信機能を最も長い時間維持することができる。
【0091】
また、以上の説明では、携帯電話装置が地上デジタルテレビジョン放送の放送データ内の緊急警報信号を検出して緊急時省電力モードに移行する場合を示した。他の種類の放送の放送データに含まれる緊急警報信号を検出して緊急時省電力モード1に移行してもよい。例えば、アナログテレビジョン放送、アナログラジオ放送、あるいはBSデジタル放送で送出される緊急警報信号を検出して緊急時省電力モードに移行してもよい。この場合、携帯電話装置は、携帯電話装置の電源がオンとなっていて通常モードであるときに、上記のいずれかの放送で送出される緊急警報信号の有無を常時解析する受信回路を備えていればよい。そして、その受信回路が緊急警報信号の受信を検出したときに、その旨を制御回路7に通知すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、携帯電話機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明による携帯電話装置の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】各動作モードにおける動作を示す説明図である。
【図3】本実施の形態の携帯電話装置の処理経過の例を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態の携帯電話装置の処理経過の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1 基地局用アンテナ
2 送受分波器
3 受信回路
4 送信回路
5 表示部バックライト
6 キーバックライト
7 制御回路
8 電源制御回路
9 バッテリ
10 入力キー
11 第1タイマ回路
12 デジタルテレビ受信回路
13 カメラ
21 第2タイマ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送データを受信可能な携帯電話装置であって、
放送データに含まれる緊急警報信号を検出する緊急警報信号検出手段と、
電圧を供給するバッテリと、
当該携帯電話装置が備える回路に対する電圧の供給を制御する電圧供給制御手段と、
当該携帯電話装置が備える回路のうちのどの回路に電圧を供給すべきかを電圧供給制御手段に指示する制御手段とを備え、
制御手段は、緊急警報信号検出手段によって緊急警報信号が検出された後、電圧供給制御手段に電圧供給対象となる回路の数を減少させる
ことを特徴とする携帯電話装置。
【請求項2】
制御手段は、所定時間が経過したときに電圧供給制御手段に電圧供給対象となる回路の数を減少させることを繰り返し、電圧供給対象となる回路の数を段階的に減少させる
請求項1に記載の携帯電話装置。
【請求項3】
制御手段は、所定時間が経過したときに電圧供給制御手段に電圧供給対象となる回路の数を減少させることを繰り返す過程で、通話の発着信と電子メールの編集および送受信のみが可能となるように、電圧供給制御手段に電圧供給対象を指示する
請求項2に記載の携帯電話装置。
【請求項4】
制御手段は、所定時間が経過したときに電圧供給制御手段に電圧供給対象となる回路の数を減少させることを繰り返し、電圧供給対象となる回路の数を段階的に減少させた後、さらに所定期間が経過したときに、携帯電話装置の電源をオフにするように電圧供給制御手段に指示し、
電圧供給制御手段は、制御手段の指示に従って携帯電話装置の電源をオフとする
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の携帯電話装置。
【請求項5】
基地局に対して無線信号を送信する送信手段と、
基地局からの無線信号を受信する受信手段と、
ユーザからの指示が入力されるユーザ指示入力手段とを備え、
制御手段は、所定期間が経過したことにより携帯電話装置の電源をオフにするように電圧供給制御手段に指示した後、ユーザ指示入力手段により携帯電話装置の電源をオンにする指示が入力されたときに、電圧供給制御手段に送信手段に対して電圧を供給させ、さらにユーザ指示入力手段により発信指示が入力されたときに、電圧供給制御手段に受信手段に対して電圧を供給させることで、当該携帯電話装置からの発信および発信後の通話のみ可能とする
請求項4に記載の携帯電話装置。
【請求項6】
基地局からの無線信号を受信する受信手段を備え、
制御手段は、着信待ち受け状態のときに受信手段に対して定期的に電圧を供給するように電圧供給制御手段に指示し、
電圧供給制御手段は、制御手段からの指示に従って、着信待ち受け状態のときに受信手段に対して定期的に電圧を供給し、
制御手段は、緊急警報信号検出後の受信手段に対する電圧供給周期が緊急警報信号検出前よりも長くなるように電圧供給制御手段に指示する
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の携帯電話装置。
【請求項7】
キーを有し、ユーザからの指示が入力されるユーザ指示入力手段と、
前記キーを点灯させるためのキーバックライトと、
画像を表示する表示部と、
前記表示部のバックライトである表示部バックライトとを備え、
制御手段は、
緊急警報信号検出前には、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力を検出したときにキーバックライトおよび表示部バックライトを点灯させるように電圧供給制御手段に指示し、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力の検出がなくなって所定時間経過したときに、キーバックライトおよび表示部バックライトの輝度を低下させるか、あるいはキーバックライトおよび表示部バックライトを消灯させるように電圧供給制御手段に指示し、
緊急警報信号検出後には、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力を検出したときに、緊急警報信号検出前よりも低い輝度でキーバックライトおよび表示部バックライトを点灯させるように電圧供給制御手段に指示する
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の携帯電話装置。
【請求項8】
キーを有し、ユーザからの指示が入力されるユーザ指示入力手段と、
前記キーを点灯させるためのキーバックライトと、
画像を表示する表示部と、
前記表示部のバックライトである表示部バックライトとを備え、
制御手段は、
緊急警報信号検出前には、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力を検出したときにキーバックライトおよび表示部バックライトを点灯させるように電圧供給制御手段に指示し、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力の検出がなくなって所定時間経過したときに、キーバックライトおよび表示部バックライトの輝度を低下させるか、あるいはキーバックライトおよび表示部バックライトを消灯させるように電圧供給制御手段に指示し、
緊急警報信号検出後には、ユーザ指示入力手段へのユーザからの指示入力を検出したときに、キーバックライトおよび表示部バックライトを消灯状態にするように電圧供給制御手段に指示する
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の携帯電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−243793(P2007−243793A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65699(P2006−65699)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】