説明

撮像手段を備えた情報端末装置

【課題】 表示時及び撮像時の使用者の視線を一致させることができ、コンパクトに構成することができるようにした、撮像手段付き情報端末装置を提供すること。
【解決手段】 本体11の表面に表示手段40を備えた情報端末装置10であって、上記表示手段40が、透光性を備えており、上記表示手段の表示面の裏側にて、その受光面52aが表示手段の表側に向くように配設された撮像手段51を備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話やノートブック型パーソナルコンピュータ等の情報端末装置に関し、特に撮像部を備えた情報端末装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、カメラ付きのノートブック型パーソナルコンピュータは、例えば図10に示すように、構成されている。図10において、ノートブック型パーソナルコンピュータ1は、内部にCPUを搭載したマザーボード等が取り付けられ、表面のキーボード2aを備えた筐体2と、筐体2の表面に対して開閉可能に支持され、内面に液晶表示部3aを備えた蓋体3と、から構成されており、図示の場合、開放状態における蓋体3の内面の液晶表示部3aの上部に、撮像部としての小型のCCDカメラ4が備えられている。
【0003】このような構成のノートブック型パーソナルコンピュータ1によれば、CCDカメラ4により、ノートブック型パーソナルコンピュータ1の前に位置する使用者自身や、CCDカメラ4を取り外し、あるいはノートブック型パーソナルコンピュータ1を持ち上げて、CCDカメラ4を被写体に向けることにより、風景等の所望の被写体の撮像を行なうことができる。
【0004】しかしながら、このような構成のカメラ付きノートブック型パーソナルコンピュータ1においては、使用者自身の撮像を行なう場合、使用者がCCDカメラ4により撮像された画像を見ようとして、液晶表示部3aを見ると、視線が液晶表示部3aに向くことから、撮像画面においては伏し目がちの画像になってしまうと共に、正面を向いた画面を撮像しようとすると、液晶表示部3aに表示される撮像画面を確認することができなくなってしまう。これは、液晶表示部3aの外側にCCDカメラ4が配置されていると共に、CCDカメラ4から被写体である使用者自身の顔までの距離が短いことから、生ずるものである。
【0005】また、カメラ付き携帯電話は、例えば特開2000−156812号に示すように構成されている。このようなカメラ付き携帯電話5は、図11に示すように、細長い筐体6に対して、受話部6a,送話部6b,表示部6c,テンキー6d及び機能キー6eを備えると共に、筐体6の上端付近に、カメラ部7を備えている。カメラ部7は、CCDカメラ7aと、撮影開始ボタン7bと、を含んでいる。
【0006】このような構成のカメラ付き携帯電話5によれば、テンキー6d及び機能キー6eを操作すると共に、送話部6bに対して発声し、また受話部6aからの音声を聴くことにより、双方向の送受話を行なうことができると共に、筐体6を手で持って、カメラ部4のCCDカメラ7aを被写体に向けて、撮影開始ボタン7bを操作することにより、カメラ部7により被写体の撮像を行なうことができるようになっている。
【0007】しかしながら、このような構成のカメラ付き携帯電話5においては、前述のカメラ付きノートブック型パーソナルコンピュータの場合と同様に、表示部6cとカメラ部7のCCDカメラ7aとが離れていることから、視線のずれの問題が発生すると共に、さらに小型の筐体6に対して、カメラ部7が追加されていることから、カメラ部7の取付スペースが必要になり、筐体6を大きくしたり、あるいは表示部6cやテンキー6d,操作キー6eを小型にする必要がある。筐体6を大きくすることは、携帯電話5のより一層の小型化の要請に反することになると共に、表示部6cやテンキー6d,操作キー6eの小型化は、操作性を損なうことになってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これに対して、例えば特開2000−56226号には、自然な視線での撮像を可能にする表示・撮像装置が開示されている。この表示・撮像装置8は、図12に示すように、液晶表示部8aの表示画面を、光分離手段8b及び反射ミラー8cで反射させて、使用者の目に向かって導くと共に、撮像素子8dには、使用者の顔から、反射ミラー8cで反射され、光分離手段8bを透過した光を導くようにしている。これにより、液晶表示部8aの表示中心と撮像素子8dの撮像中心を一致させることにより、使用者の液晶表示部8aを見るときの視点Iと撮像時の視線を一致させるようにしている。
【0009】しかしながら、このような表示・撮像装置8は、光分離手段8b及び反射ミラー8cから成る光学系が必要であることから、ある程度の奥行きが必要となる。従って、このような表示・撮像装置8を筐体の大きさが限られるノートブック型パーソナルコンピュータや携帯電話に利用することは困難であった。
【0010】本発明は、以上の点に鑑み、表示時及び撮像時の使用者の視線を一致させることができ、コンパクトに構成することができるようにした、撮像手段付き情報端末装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、請求項1の発明によれば、本体の表面に表示手段を備えた情報端末装置であって、上記表示手段が、透光性を備えており、上記表示手段の表示面の裏側にて、その受光面が表示手段の表側に向くように配設された撮像手段を備えている、撮像手段付き情報端末装置により、達成される。
【0012】請求項1の構成によれば、使用者が、従来の情報端末装置の場合と同様にして、情報端末装置の表示手段における画面表示を見ながら、各種操作を行なうと共に、撮像手段により使用者自身の撮像を行なう場合には、使用者自身からの光が、透光性の表示手段を透過して撮像手段の受光面に入射することにより、使用者自身の撮像が行なわれる。その際、撮像された使用者自身の画像は、情報端末装置の機能に基づいて、表示手段の表示面に表示される。これにより、使用者自身は、自分の画像を表示手段の表示面で確認することができる。このとき、使用者の視線は、表示手段の表示面に向けられるが、撮像手段の受光面が表示手段の表示面の裏側に配設されていることから、撮像中心と表示中心がほぼ一致することになり、使用者自身の視線は、表示手段の表示面を見ているときに、撮像手段の受光面を向いていることになる。
【0013】従って、従来の撮像手段付き情報端末装置のように、使用者が視線を表示手段に向けたとき、視線が撮像手段の受光面から外れてしまうようなことがないので、自然な視線での撮像が可能になる。この場合、撮像手段は、表示手段の表示面の裏側に配設されることになるので、小型の撮像手段を使用することにより、撮像手段の奥行きは少なくて済む。従って、小型の情報端末装置に撮像手段を容易に組み込むことが可能となり、撮像手段付きの情報端末装置が小型に構成される。
【0014】請求項2の発明は、請求項1の構成において、上記撮像手段が対物レンズを備えており、この対物レンズが、上記撮像手段と表示手段との間及び/または上記表示手段の表側に配設されていることを特徴とする。請求項2の構成によれば、撮像手段の受光面に被写体の画像を結像させるための対物レンズが、上記撮像手段と表示手段との間及び/または上記表示手段の表側に配設されることにより、小型の情報端末装置内に容易に組み込まれることになる。
【0015】請求項3の発明は、請求項2の構成において、上記撮像手段が対物レンズと一体に構成されていることを特徴とする。請求項3の構成によれば、撮像手段と対物レンズが一体に構成されることにより、部品点数が少なくて済み、部品コスト及び組立コストが低減される。
【0016】請求項4の発明は、請求項3の構成において、上記撮像手段及び対物レンズが、一体に回動可能に支持されていることを特徴とする。請求項4の構成によれば、撮像手段及び対物レンズが一体に回転されることにより、撮像手段の受光面を、表示手段と反対側に向けて、所望の被写体を撮像することができる。これにより、撮像可能範囲が大幅に広がるので、各種被写体の撮像が容易に行われる。
【0017】請求項5の発明は、請求項1の構成において、上記表示手段の裏側に、バック照明用の照明手段を備えており、上記照明手段が、上記照明手段から撮像手段の受光面に光が入射しないように、遮光部を備えていることを特徴とする。請求項5の構成によれば、表示手段の表示面に表示された画面が、照明手段によってバック照明されると共に、照明手段から撮像手段の受光面に入射しようとする光が上記遮光部によって遮断されることにより、撮像手段による撮像画面が照明手段からの光により影響を受けることがない。
【0018】請求項6の発明は、請求項5の構成において、上記遮光部が、照明手段に設けられた切欠部であることを特徴とする。請求項6の構成によれば、照明手段に切欠部を設けることにより、上記遮光部が容易に且つ低コストで構成されることになる。
【0019】請求項7の発明は、請求項6の構成において、上記切欠部が、撮像手段の動作中のみ、作動することを特徴とする。請求項7の構成によれば、撮像手段の非動作中は、切欠部が作動しないことにより、表示手段の表示面に表示された画面が、その全面に亘って照明手段によりバック照明されることになる。
【0020】請求項8の発明は、請求項1の構成において、上記表示手段が、撮像手段の動作中、撮像手段の受光面に対向する領域にて、表示を行なわないことを特徴とする。請求項8の構成によれば、撮像手段の動作中は、被写体から撮像手段の受光面に向かう光が、表示手段を透過する際に、表示手段の表示面に表示された画面によって乱されるようなことがない。
【0021】請求項9の発明は、請求項1の構成において、上記表示手段が、撮像手段の動作中、撮像手段の受光面に対向する領域にて、任意の情報の表示を行なうことを特徴とする。請求項9の構成によれば、撮像手段の動作中は、被写体から撮像手段の受光面に向かう光が、表示手段を透過する際に、表示手段の表示面の撮像手段の受光面に対向する領域に表示された任意の情報の表示によって、特殊効果を付与されることになる。
【0022】請求項10の発明は、請求項1の構成において、上記照明手段が、撮像手段の被写体を照明することを特徴とする。請求項10の構成によれば、照明手段からの光が、表示手段を透過して、外部に出射することにより、撮像手段の被写体に向かって進み、当該被写体を照明することにより、夜間や屋内等の暗い場所であっても、被写体を確実に撮像することができる。この場合、表示手段の表示面をバック照明するための照明手段を利用するので、特に被写体を照明するための照明手段を設ける必要がなく、コストが低減されることになる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態を図1乃至図9を参照しながら、詳細に説明する。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0024】図1乃至図4は、本発明を適用したカメラ付き携帯電話の第一の実施形態を示している。図1において、カメラ付き携帯電話10は、例えば、細長い筐体11に、受話部としてのスピーカ12,送話部としてのマイク13,電話番号等を入力するダイヤルボタン14,動作状況を設定するためのモード切り替えボタン15,通信を開始・終了するオンフックボタン16a及びオフフックボタン16b,アンテナ17と、撮像開始ボタン18及び表示・撮像部19が設けられている。
【0025】図2は、上記カメラ付き携帯電話10の電気的構成を示している。図2において、カメラ付き携帯電話10は、基本的には、一般的な構成の所謂PDAと呼ばれるデジタル方式の携帯電話として構成されていると共に、撮像手段を組み込んだものである。カメラ付き携帯電話10は、受信部として、LNA(Low Noise Amplifier)(低雑音増幅器)20,二つのミキサ回路12,22,ローカル発振器23,IFアンプ24及びモデム25を、また送信部として、IF−MOD(Inter−Frequency−Modulator)(中間周波数変調器)26,ローカル発振器27,ミキサ回路28,RFドライバ29を、備えており、さらに受信及び送信の切換えのためのアンテナ切換器30と、ミキサ回路21,28の周波数を高速で切換えるためのVCO(Voltage Controlled Oscillator)(電圧制御発振器)31,VCO31を制御するためのCPU32を備えている。
【0026】受信の場合には、アンテナ17からアンテナ切換器30を介して、LNA20,VCO31からの発振周波数により切換えられるミキサ回路21,ローカル発振器23からの発振周波数により切換えられるミキサ回路22,IFアンプ24により、CPU32で決定された周波数によりVCO31を発振させることにより、所謂ヘテロダイン方式で特定の周波数の電波が検波される。そして、取り出された検波信号は、モデム25により制御信号とデータ信号(音声及び画像等の信号)に復調される。
【0027】これに対して、送信の場合には、制御信号及びデータ信号を、モデム25により変調し、さらにIF−MOD26によりQPSK変調して、CPU32で決定された周波数により前記VCO31を発振させて搬送周波数として、ミキサ回路28で合成し、RFドライバ29で増幅して、アンテナ切換器30を介して、アンテナ17から電波として送信するようになっている。尚、上記アンテナ切換器30は、受信及び送信にてアンテナ20を共用するために設けられており、デジタル方式の通信手段としてのスペクトラム拡散による広帯域・低電力の通信を行なうために、前記CPU32により、IF−MOD29及びVCO26の周波数を高速で切換えて、所謂TDMA(時分割多重通信)方式やCDMA(符号分割多重通信)方式を実現するようにしている。
【0028】さらに、前述した受信時に復調される制御信号及びデータ信号の処理部は、以下のように構成されている。カメラ付き携帯電話10は、処理部として、チャンネルCODEC(COderDECoder)33,音声CODEC34,ビデオCODEC35,ビデオRAM36と、前記CPU32に接続されたRAM/ROM37,I/Oデバイス38を備えている。
【0029】上記チャンネルCODEC33は、通信データと通信基地からの端末の制御信号とを合成/分離するものであり、制御信号は、CPU32が受信部及び送信部を制御するための制御データを含んでいる。また、通信データは、情報端末装置としての携帯電話10の使用者が最終的に音声の授受や画像の授受を行なうデジタルデータであって、音声データに関しては、音声CODEC34により、音声データの復変調を行なうことにより、復調した音声信号に基づいてスピーカ12を鳴らしたり、マイク13から音声を取り込んで、変調する。上記ビデオCODEC35は、ビデオRAM38を使用して画像データの圧縮/伸長を行なうものであり、伸長して復元した画像信号を表示・撮像部19の表示部(後述)に表示させたり、表示・撮像部19の撮像部(後述)により取り込んだ画像信号を圧縮する。
【0030】さらに、RAM/ROM37には、自己の電話の識別記号が記録してあると共に、I/Oデバイス38即ちダイヤルボタン(テンキー)14やモード切換えボタン15,オンフックボタン16a,オフフックボタン16b等の操作によってCPU32により携帯電話10の動作を指示したり、通信状況やRAM/ROM37に記録されている電話番号等を表示・撮像部19の表示部に表示することができるようになっている。
【0031】図3及び図4において、上記表示・撮像部19は、携帯電話10の筐体11の表面に配設された表示部40と、表示部40の後方に配設された撮像部50と、から構成されている。上記表示部40は、筐体11の表面に設けられた窓部11aから外部に露出するように配置された透光性の表示部としての透過型の液晶表示素子41と、液晶表示素子41の裏面に接触するように配置された照明装置42とを有している。
【0032】上記液晶表示素子41は、例えばドットマトリックス状に配設された多数の画素から構成されており、個々の画素が、取出し電極41aを介して印加される駆動電圧の制御により、光を透過させ、あるいは光を遮断するように動作することにより、全体として文字,記号や画像を表示することができるようになっている。尚、透光性の表示部としては、透過型の液晶表示素子に限らず、EL等の他の構成の透光性の表示手段,すなわち、発光により画像等を表示する手段を使用することも可能である。
【0033】上記照明装置42は、図4に示すように、液晶表示素子41の裏面のほぼ全面に対応するように配設されており、表側から順に拡散板42a,ライトガイド42bと、その少なくとも一側(図示の場合、両側)にて、ライトガイド42bの側端面に対向して配設された例えばLED,CFD等の光源42cと、から構成されている。これにより、光源42cからライトガイド42bの側面に入射した光が、ライトガイド42bの表面から直接にまたは反射された後に出射して、拡散板42aにより拡散されて、液晶表示素子41の裏面から全面に亘ってほぼ均一にバック照明を行なうようになっている。ここで、上記拡散板42a,ライトガイド42bは、そのほぼ中心に切欠部として貫通孔42a1,42b1を有している。これにより、これらの貫通孔42a1,42b1を通って、外部の被写体からの光が、裏側もしくは奥側の撮像部50に達するようになっている。
【0034】上記撮像部50は、前述した表示部40の後方にて、その中心が表示部40の中心とほぼ一致するように配設されており、表示部40の照明装置42のライトガイド42cの裏側に配設された、映像の集束手段としての対物レンズ51と、対物レンズ51の後方に配設された撮像素子52と、から構成されている。上記対物レンズ51は、凸レンズから構成されており、外部の被写体から表示部40の液晶表示素子41を透過し、さらに照明装置42の拡散板42a,ライトガイド42bに設けられた貫通孔42a1,42b1を通って入射する光を、撮像素子52の受光面52aに集束させるようになっている。上記撮像素子52は、例えばCCD(電荷結合素子)等の撮像素子から構成されており、その受光面52aが表側、即ち対物レンズ51そして表示部40を向くように配設されている。
【0035】本実施形態によるカメラ付き携帯電話10は、以上のように構成されており、発呼時には、従来の携帯電話と同様にして、ダイヤルボタン14により相手先の電話番号を入力し、オフフックボタン16bを操作することにより、発呼を行ない、マイク13に向かって話すと共に、スピーカ12から相手の音声を聴くことにより、通話を行なう。
【0036】さらに、表示・撮像部19の撮像部50により撮像を行なう場合には、モード切換えボタン15により静止画または動画の選択を行なった後、筐体11の側面に設けられた撮像開始ボタン53を操作することにより、撮像が行なわれる。この場合、撮像は、外部の被写体即ち使用者の顔からの光が、表示・撮像部19の表示部40に入射し、透過型の液晶表示素子41を透過して、さらに照明装置42の貫通孔42a1,42b1を通って、対物レンズ51により集束され、撮像素子52の受光面52aに結像する。これにより、撮像素子52により画像取り込みが行なわれ、取り込まれた画像信号が、ビデオCODEC35により圧縮されて、表示部41の液晶表示素子41の画面に画像表示され、あるいはチャンネルCODEC33から送信部を介して通話相手に電波として送信される。
【0037】ここで、撮像部50の撮像素子52が、表示・撮像部19の表示部40の裏側に配設されていることから、使用者が、撮像部50により撮像されて表示部40の液晶表示素子41に画面表示される自分の画像を確認する場合、使用者の視線は表示部40に向いていることから、撮像部50にも向いていることになる。従って、使用者が表示部40を見て自分の画像を確認していても、その視線は、撮像部50からずれることがないので、自然な視線の画像を撮像することができる。さらに、撮像部50が表示部40の裏側に配設されていることから、カメラ付き携帯電話10の筐体11の表面には、表示部40の別に、撮像部50のためのスペースを必要としない。従って、同じ大きさの筐体11の場合には、表示部40等のスペースを大きく取ることができ、あるいは携帯電話10等の情報端末装置全体を小型に構成することができる。また、照明装置42の貫通孔42a1,42b1が切欠部として作用することにより、光源42cからの光が貫通孔42a1,42b1を介して撮像部50に入射しない。これにより、撮像部50による撮像画面が、照明装置42からの漏光により、画質低下することはない。
【0038】ここで、表示部40の液晶表示素子41として、カラー液晶表示素子を使用する場合、液晶表示素子41を構成する両面の偏光板によっての光の透過率が4%とかなり低い。これに対して、撮像素子52の最低被写体感度は、2lxであり、液晶表示素子41を透過する前では50lx相当であることから、屋外だけでなく、屋内であっても、照明により100lx以上の明るさがあれば、十分に撮像を行なうことが可能である。さらに、明るさが不足する場合には、照明装置42からのバック照明を利用して、光源42cの照度を高くすることにより、被写体である使用者の顔を照明するようにすればよい。
【0039】また、撮像部50の動作中は、外部の被写体からの光は、表示部40の液晶表示素子41を透過し、照明装置42の貫通孔42a1,42b1を通って、撮像部50に達するが、液晶表示素子41の表示内容によっては、表示部分によって被写体からの光が遮断されてしまい、撮像部50の撮像素子52の受光面52aに入射する光が減少することがある。このような場合には、照明装置42の貫通孔42a1,42b1に対応する液晶表示素子41の表示領域にて、各画素を適宜に駆動制御することにより、表示内容を変更して、表示を行なわない等により、白色光を透過し得るようにすればよい。あるいは、白色光を透過させる代わりに、単色表示を行なうようにすれば、色フィルタとして作用することにより、撮像部50による撮像画面に特殊効果を与えることも可能であると共に、例えば対物レンズ51のレンズ位置を示す表示を行なうようにすれば、使用者がこの表示を見つめることにより、その視線を確実に撮像部50に向けることができる。
【0040】図5は、本発明を適用したカメラ付き携帯電話の第二の実施形態を示している。図5において、カメラ付き携帯電話60は、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10とほぼ同様の構成であり、以下に示す点でのみ異なる構成になっている。従って、カメラ付き携帯電話60において、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。図5において、カメラ付き携帯電話60は、図3及び図4に示したカメラ付き携帯電話10における撮像部50の対物レンズ51の代わりに、筐体11の表面に、対物レンズ61が配設されている。この対物レンズ61は、筐体11の表面に取り付けられており、表示部40全体を覆うように形成されている。
【0041】このような構成のカメラ付き携帯電話60によれば、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10と同様に作用すると共に、対物レンズ61が筐体11の表面に配設されているので、この対物レンズ61と撮像部50の撮像素子51との距離が長い。従って、対物レンズ61の焦点距離を長くすることができるので、表示部40全体を覆うように形成されていることと相まって、収差の少ない対物レンズ61の中心部付近を使用して、撮像を行なうことができるので、撮像部50により撮像される撮像画面の画質が向上する。また、表示部40全体が対物レンズ61により覆われているので、使用者は表示部40を拡大して観察することができるので、大きく見易い表示となる。
【0042】図6は、本発明を適用したカメラ付き携帯電話の第三の実施形態を示している。図6において、カメラ付き携帯電話70は、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10とほぼ同様の構成であり、以下に示す点でのみ異なる構成になっている。従って、カメラ付き携帯電話70において、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。図6において、カメラ付き携帯電話70は、図3及び図4に示したカメラ付き携帯電話10における撮像部50の対物レンズ51の代わりに、筐体11の表面に配設された固定レンズ71aと、照明装置42と撮像素子52の間に配設された可動レンズ71bとから成る対物レンズ71を備えている。この対物レンズ71は、固定レンズ71aが筐体11の表面に取り付けられており、表示部40全体を覆うように形成されていると共に、可動レンズ71bが、光軸方向に関して移動調整可能に指示されている。
【0043】このような構成のカメラ付き携帯電話70によれば、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10と同様に作用すると共に、対物レンズ71が所謂ズームレンズとして構成されているので、可動レンズ71bを光軸方向に移動調整することによって、対物レンズ71の焦点距離を調整することができる。従って、対物レンズ71の焦点距離の調整により、適宜の倍率の撮像を行なうことができるので、撮像部50により撮像される撮像画面の撮像範囲角を変更することができる。また、表示部40全体が対物レンズ71の固定レンズ71aにより覆われているので、使用者は表示部40を固定レンズ71aにより拡大して観察することができるので、大きく見易い表示となる。尚、可動レンズ71bの代わりに、異なる焦点距離のレンズが着脱可能に構成されてもよい。この場合、可動レンズ71bの代わりに、種々の焦点距離のレンズが着脱されることにより、種々の撮像範囲角に変更することができる。
【0044】図7は、本発明を適用したカメラ付き携帯電話の第四の実施形態を示している。図7において、カメラ付き携帯電話80は、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10とほぼ同様の構成であり、以下に示す点でのみ異なる構成になっている。従って、カメラ付き携帯電話80において、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。図7において、カメラ付き携帯電話80は、図3及び図4に示したカメラ付き携帯電話10における表示部40の照明装置42の拡散板42a及びライトガイド42bの一部が、移動可能に構成されている。拡散板42a及びライトガイド42bは、図示の場合、ほぼ中心付近から上方の部分42a2,42b2が、上方に向かって摺動可能に形成されている。
【0045】このような構成のカメラ付き携帯電話80によれば、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10と同様に通話が行なわれると共に、撮像時には、拡散板42a及びライトガイド42bの部分42a2,42b2が、図7に示すように上方に移動することにより、拡散板42a,ライトガイド42bのほぼ中心付近に、切欠部として貫通孔42a1,42b1を画成することになり、図3及び図4に示したカメラ付き携帯電話10と同様に撮像が行なわれる。これに対して、非撮像時には、拡散板42a及びライトガイド42bの部分42a2,42b2が下方に移動され、切欠部としての貫通孔42a1,42b1を閉じる。これにより、表示部40の液晶表示素子41は、上記貫通孔42a1,42b1が切欠部として作動せず、その全面に亘って照明装置42により均一にバック照明されることになり、上記のようなオン,オフ可能な遮光部としての開閉可能な切欠部を備えることにより、全体に見易い表示が行なわれることになる。
【0046】尚、上記拡散板42a及びライトガイド42bの部分42a2,42b2の移動は、撮像開始ボタン53の操作と連動して自動的に行なわれるようにしておけば、特に部分42a2,42b2の移動を意識して操作する必要がない。さらに、上記拡散板42a及びライトガイド42bの部分42a2,42b2の移動に連動して、液晶表示素子41を構成する偏光板の一部を移動させて、撮像素子52への光路から退避させるようにすると、撮像素子52への入射光量を大幅に増大させることができる。
【0047】図8は、本発明を適用したカメラ付き携帯電話の第五の実施形態を示している。図8において、カメラ付き携帯電話90は、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10とほぼ同様の構成であり、以下に示す点でのみ異なる構成になっている。従って、カメラ付き携帯電話90において、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。図5において、カメラ付き携帯電話90は、図3及び図4に示したカメラ付き携帯電話10における撮像部50の固定配置された対物レンズ51及び撮像素子52の代わりに、撮像ユニット91が配設されている。この撮像ユニット91は、撮像部50を構成する対物レンズ51及び撮像素子52を一体に固定保持すると共に、垂直な回転軸91aの周りに回動可能に構成されている。そして、この撮像ユニット91の背面側にて、携帯電話10の筐体11には、窓部11bが備えられている。
【0048】このような構成のカメラ付き携帯電話60によれば、図8に示すように、撮像ユニット91により支持される対物レンズ51が前側に位置するときには、図1乃至図4に示したカメラ付き携帯電話10と同様に作用すると共に、撮像ユニット91により支持される撮像部50には、前側から被写体からの光が表示部40を介して入射することにより、携帯電話10の前側に居る使用者の顔等の撮像が行なわれる。
【0049】これに対して、図9に示すように、撮像ユニット91が回転軸91aの周りに回動されて、撮像ユニット91により支持される対物レンズ51が後側に位置するときには、筐体11の後方の被写体からの光が、筐体11の窓部11bから撮像ユニット91により支持される撮像部50の対物レンズ51を介して撮像素子52の受光面52aに入射することにより、後方の被写体の撮像が行なわれる。これにより、例えば風景を撮像したい場合には、撮像ユニット91を回動させて、図9に示すように撮像素子52の受光面52aを後方に向けることによって、使用者は、表示部40に画面表示される風景等の画像を見て確認することができる。
【0050】尚、上記筐体11の窓部11bは、不使用時には図示しないシャッタにより閉じておくようにしてもよい。また、撮像ユニット91は、回転可能に支持されているが、これに限らず、着脱可能に且つ前後反転して取り付けることができるように構成してもよい。
【0051】上述した実施形態においては、本発明を情報端末機器としての携帯電話に組み込んだ場合について説明したが、これに限らず、ノートブック型パーソナルコンピュータや所謂PDA等の携帯情報端末機器等、表示部及び撮像部を備えた各種情報端末装置に本発明を適用し得ることは明らかである。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、表示時及び撮像時の使用者の視線を一致させることができ、コンパクトに構成することができるようにした、撮像手段付き情報端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカメラ付き携帯電話の第一の実施形態の外観を示す概略斜視図である。
【図2】図1のカメラ付き携帯電話の電気的構成例を示すブロック図である。
【図3】図1のカメラ付き携帯電話の表示・撮像部を示す概略断面図である。
【図4】図1のカメラ付き携帯電話の表示・撮像部を示す分解斜視図である。
【図5】本発明によるカメラ付き携帯電話の第二の実施形態の表示・撮像部を示す概略断面図である。
【図6】本発明によるカメラ付き携帯電話の第三の実施形態の表示・撮像部を示す概略断面図である。
【図7】本発明によるカメラ付き携帯電話の第四の実施形態の表示・撮像部を示す分解斜視図である。
【図8】本発明によるカメラ付き携帯電話の第五の実施形態の表示・撮像部を示す概略断面図である。
【図9】図8のカメラ付き携帯電話の風景撮像時の状態示す概略断面図である。
【図10】従来のカメラ付きノートブック型パーソナルコンピュータの構成例を示す概略斜視図である。
【図11】従来のカメラ付き携帯電話の構成例を示す概略斜視図である。
【図12】従来の表示・撮像装置の構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
10,60,70,80,90・・・カメラ付き携帯電話、11・・・筐体、11a,11b・・・窓部、19・・・表示・撮像部、40・・・表示部、41・・・液晶表示素子、42・・・照明装置、42a・・・拡散板、42a1,42b1・・・貫通孔、42a2,42b2・・・摺動部分、42b・・・ライトガイド、42c・・・光源、50・・・撮像部、51,61,71・・・対物レンズ、52・・・撮像素子、52a・・・受光面、71a・・・固定レンズ、71b・・・可動レンズ、91・・・撮像ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体の表面に表示手段を備えた情報端末装置であって、上記表示手段が、透光性を備えており、上記表示手段の表示面の裏側にて、受光面が上記表示手段の表側に向くように配設された撮像手段を備えていることを特徴とする、撮像手段付き情報端末装置。
【請求項2】 上記撮像手段が対物レンズを備えており、この対物レンズが、上記撮像手段と表示手段との間及び/または上記表示手段の表側に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の撮像手段付き情報端末装置。
【請求項3】 上記撮像手段が対物レンズと一体に構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の撮像手段付き情報端末装置。
【請求項4】 上記撮像手段と対物レンズとが、一体に回動可能に支持されていることを特徴とする、請求項3に記載の撮像手段付き情報端末装置。
【請求項5】 上記表示手段の裏側に、バック照明用の照明手段を備えており、上記照明手段が、この照明手段から撮像手段の受光面に光が入射しないように、遮光部を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の撮像手段付き情報端末装置。
【請求項6】 上記遮光部が、照明手段に設けられた切欠部であることを特徴とする、請求項5に記載の撮像手段付き情報端末装置。
【請求項7】 上記切欠部が、撮像手段の動作中のみ、作動することを特徴とする、請求項6に記載の撮像手段付き情報端末装置。
【請求項8】 上記表示手段が、撮像手段の動作中、撮像手段の受光面に対向する領域にて、表示を行なわないことを特徴とする、請求項1に記載の撮像手段付き情報端末装置。
【請求項9】 上記表示手段が、撮像手段の動作中、撮像手段の受光面に対向する領域にて、任意の情報の表示を行なうことを特徴とする、請求項1に記載の撮像手段付き情報端末装置。
【請求項10】 上記照明手段が、撮像手段の被写体を照明することを特徴とする、請求項1に記載の撮像手段付き情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2002−125031(P2002−125031A)
【公開日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−317960(P2000−317960)
【出願日】平成12年10月18日(2000.10.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】